JP2004520571A - 炭水化物の定量法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、2つまたはそれ以上の出発サンプル中の炭水化物の定量法に関する。該方法は:(i)各炭水化物に対して、その炭水化物から誘導されたタグ化形態の炭水化物混合物を含有する混合サンプルで、当該混合物中の1つまたはそれ以上の質量タグ化形態がそれぞれ:その炭水化物部分が誘導される出発サンプルに対して固有の質量タグを含み、そしてその炭水化物部分が誘導される出発サンプル中の炭水化物量に合致する量で、混合サンプル中に存在する、サンプルを提供し;(ii)質量スペクトルを得るために、質量タグ化形態の混合物をそれぞれ質量分析して;(iii)その質量スペクトルにおける質量タグ化形態のシグナルから、1つの天然サンプルにおいて定量される炭水化物量を、1つまたはそれ以上の他の天然サンプル中の同じ炭水化物量に対して定量する、ことからなる段階を含む。本発明はまた、上述の方法において有益な試薬のキットに関する。

Description

【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、2またはそれ以上のサンプル(出発サンプルI、II、III等)中における1またはそれ以上の炭水化物(A、B、C等)の定量測定法に関する。
当該炭水化物は、典型的には1、2、3、またはそれ以上のモノサッカライド単位を含有する。
【0002】
背景
最近10年の間、個々の生体分子のグリコシル化のパターンが、しばしば生物活性に非常に多大な影響をもたらすことが完全に明らかになってきている。
そのパターンは、生体分子自身、細胞からおよび糖蛋白、糖脂質等から放出された遊離型の炭水化物に反映される。疾患の診断をする、代謝事象等をモニターする等のために、質的および量的な変動が使用されてきた。その診断的利用としては、特定の疾患をチェックするために純粋な診断、治療のモニタリング、疾患の予測等が挙げられてきた。
これにより、個々のグリコシル化生体分子のグリコシル化パターンにおける質的および量的変動の測定法が開発された。
【0003】
1つの手段とは、1つの親蛋白のグリコシル化形態を別々に同定、および定量することであった。この手段は、親蛋白を単離するための高速液体クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー/吸着、およびアフィニティークロマトグラフィー/吸着、および等電点電気泳動等といったクロマトグラフィーおよび/または吸着に基づいた分離の原則を利用してきた。該方法は、異なる炭水化物構造間を区別する分析的に検出可能な試薬の使用としばしば組み合わされてきた。レクチン、糖の特定的抗体等が、試薬として使用されてきた。
【0004】
第2の手段とは、所望の親糖蛋白を単離し、その炭水化物部分を遊離して回収し、それに続いてその遊離され炭水化物を、質量分析、電気泳動、クロマトグラフィー等により分析することであった。
【0005】
その両方において、クロマトグラフィー、電気泳動等といった代替可能な分離原則が1、2、およびそれ以上の次元で実施されてきた。
糖スフィンゴ脂質、プロテオグリカン等といった他の生体分子は、類似の方法で分析されてきた。
【0006】
炭水化物の混合物の、クロマトグラフィーまたは電気泳動のプロファイリング用のクロモフォアおよび/またはフルオロフォアによるタギングが示されている(Hase, Methods of Mol. Biol. 14 (1993) 69-80;Bigge et al., Anal. Biochem 230 (2) (1995) 229-238;Honda et al., Anal. Biochem 180 (2) (1989) 351-357;Shinohara et al., Anal. Chem. 68 (15) (1996) 2573-2579);Hu, J. Chromatog. A 705 (1) (1995) 89-103;Starr et al., J. Chromatog. A 720 (1-2) (1996) 295-321)。
【0007】
本発明の概要
最近のあらゆる努力にもかかわらず、いまだに炭水化物混合物中の個々の炭水化物または炭水化物群の簡単な定量法が必要とされている。
【0008】
本発明の1つの目的は、炭水化物混合物中の炭水化物を定量するときの、感度、再現性、分離度、プロトコールの簡潔化のうちの1つまたはそれ以上について改善することである。
本発明の別の目的は、個々の親蛋白または蛋白群の共翻訳および/または翻訳後の炭水化物修飾の改良された定性的および/または定量的測定を提供することである。
【0009】
本発明の更なる目的は、1つまたはそれ以上の親蛋白、あるいは親蛋白群の共翻訳および/または翻訳後の炭水化物修飾における変化を
(a)異なる外部刺激を受けている生体から得られるサンプル間、
(b)別々に変異遺伝子を有する細胞および生体から得られるサンプル間、
(c)健常人対病人、あるいは対特定の疾患について試験されるべき(例えば診断において)個体から得られるサンプル間、
(d)様々な状況で(例えば、個体における疾患の進行または治癒のモニタリングに対して)まったく同一の個体について得られるサンプル間
(e)その他
の1つまたはそれ以上の違いと関連付けるための改良法である。
【0010】
上述の目的は、蛋白の共翻訳および/または翻訳後の修飾に関するが、脂質および非共役型炭水化物といった、他の生体分子のグリコシル化も包含する。
本発明の目的は、添付の請求項に示されるように達成される。
【0011】
図面の簡単な説明
図1は、モル比(BXH−G4/BCH−G4)とシグナル強度比(N=2または3)との間の相関を示す。白抜きの丸は、平均値を示し、バーは、個々のデータを示す。
図2は、2種のタギング試薬を使用して、様々なオリゴサッカライドが呈示されて得られるMSスペクトルを示す。
【0012】
定義
上述されるような「個体」なる用語は、生体、特に鳥類、哺乳類、両生類、爬虫類、魚類等といった動物を含む、単細胞および多細胞生体を包含し、ヒトおよびカブトムシを包含する。細胞は、哺乳類のような脊椎動物、または無脊椎動物(例えば培養昆虫細胞)、または微生物(例えば、培養菌、細菌、酵母等)に由来するものであってもよい。培養されていてもよい植物細胞および他の種類の生細胞も含まれる。
【0013】
本発明の詳細な説明
本発明者は今や、「技術分野」なる表題において定義されるような方法で、質量タギングを質量分析と適切に組み合わせることにより、これらの目的が少なくとも一部分解決可能であることを発見した。従って、本発明の第1の態様は、これらの方法の改良型であって、それゆえ2つまたはそれ以上のサンプル(出発サンプルI、II、III等)における1つまたはそれ以上の炭水化物(A、B、C等)の定量測定法である。この態様の主に特徴付けられる特性は、当該方法が:
(i)各炭水化物に対して、その炭水化物から誘導された1つまたはそれ以上のタグ化形態の混合物を含有する混合サンプルで、当該混合物中の1つまたはそれ以上のタグ化形態がそれぞれ、
・その炭水化物部分が誘導される出発サンプルに対して固有の質量タグを含み、そして
・その炭水化物部分が誘導される出発サンプル中の炭水化物量に合致する量で、混合サンプル中に存在する、サンプルを提供し;
(ii)質量スペクトルを得るために、その混合サンプルにおける質量タグ化形態の混合物をそれぞれ質量分析して;
(iii)その質量スペクトルにおける質量タグ化形態のシグナルから、1つの出発サンプルにおいて定量される炭水化物量を、1つまたはそれ以上の他の出発サンプル中の同じ炭水化物量に対して定量する、
からなる段階を含むことである。
【0014】
段階(ii)における「質量スペクトルを得るために」なる表現は、1本の質量スペクトルが1つ得られること、および各混合物に対して別々の質量スペクトルが得られることの両方が考えられる。
【0015】
好ましい実施態様において、段階(i)は:
(a)2つまたはそれ以上の出発サンプル(サンプルI、II、III等)を提供し;
(b)その出発サンプルのそれぞれを、当該炭水化物のそれぞれを質量タグ化炭水化物(サンプルIにおけるA−I、B−I、C−I等、サンプルIIにおけるA−II、B−II、CIII等)に転換可能なサンプル固有の質量タギング試薬(試薬I、II、III等)を用いて処置し;
(c)段階(b)において得られた質量タグ化形態を、定量される各炭水化物に対する質量タグ化形態の混合物を1つ含む混合サンプルに混合する、
ことからなる段階を含む点で特徴付けられる
ことからなる段階を含む。
【0016】
「サンプル固有の質量タギング試薬」および「質量タグ化形態が誘導される出発サンプルに固有の質量タグ」なる表現により、1つのサンプル中の炭水化物が、他のサンプルのいずれかに導入されたタグに対して質量の異なるタグを用いてタグ化されると考えられる。
【0017】
出発サンプルの提供(段階 ( . )
出発サンプルは、定量される1つまたはそれ以上の炭水化物を含有するよう懸濁される。1つまたはそれ以上の該サンプルは、1つまたはそれ以上の定量される炭水化物を標準/基準量含有する標準またはコントロールサンプルであり得る。出発サンプルのうちの少なくとも1つは、定量される炭水化物を未知量含有している。
出発サンプルの総数は、少なくとも2つであり、例えば最大5、または最大10であってもよい。
【0018】
出発サンプルは、生体起源である場合が好ましい。それらは、細胞可溶化液、細胞ホモジネート、組織ホモジネート、発酵上清、体液等といった生体液由来であってもよい。最も重要な体液は、全血、血清および血漿といった血液由来のもの、および涙壷液、精液、脳脊髄液(CSF)、唾液、尿等である。生体起源のサンプルとしてはまた、蛋白質、炭水化物、脂質、ホルモン等の中から選ばれる生物有機化学分子を含有する任意の他の液体サンプルが挙げられる。
【0019】
未処置で天然の生体サンプルは、典型的には遊離型炭水化物、蛋白質、脂質等に結合した炭水化物、および任意の炭水化物構造を含有しない化合物をも含むことにより極めて複合体化している。これにより、タグ化した反応複合体が作成され、また目的の炭水化物に対する有益な質量スペクトルを得ることを困難にしている。それゆえ、目的の炭水化物(炭水化物群)について豊富なサンプルを得るために、未処置の生体サンプルがしばしば加工される。従って、炭水化物において目的のものだけが、親生体分子または親生体分群に結合されるならば、その天然のサンプルは、関心のある生体分子が豊富となるフラクションまたは処置サンプルを得るよう処置される。親生体分子から該炭水化物を遊離した後、そうして得た遊離型の炭水化物を、必要であれば、更に所望の炭水化物を豊富にした後、本発明における出発サンプルとして使用してもよい。遊離条件を選択して、NまたはO−グリコシド結合により親生体分子(例えば蛋白)にこれまで結合していた遊離型の炭水化物を得ることができる。
【0020】
目的の炭水化物が、天然の生体サンプルにおいて親生体分子に共役していない場合、多かれ少なかれ直接的に目的の炭水化物(炭水化物群)が豊富なフラクションへの分離が実施され得る。この種のフラクションが、出発サンプルとして使用されてもよい。
【0021】
必要であれば、上述の生体由来サンプルは、段階(i.a)で提供されるサンプルとして使用される前に、pH、塩濃度、炭水化物濃度等について調整される。
【0022】
定量される炭水化物の数は、≧1、例えば≧2、≧3、≧4、≧5、≧6、≧7、≧8、≧9、または≧10である。上限は、100、200、または300であってもよい。段階(i.a)において提供されるサンプルは、定量されるもの以外の炭水化物を含んでいてもよい。定量される炭水化物を多数含むサンプルについては、出発サンプルを、定量する炭水化物をより少なく含むより単純なサンプルに分離する分離法が、典型的に含まれている。「分離」なる表題の箇所を参照。
【0023】
定量される炭水化物は、一般的にタギングを実施することが可能な反応基を有するのが好ましい。以下の「質量タギング試薬およびタギング(段階(i.b))」の表題の箇所参照。炭水化物におけるタギングに利用可能である好適な基は:ヒドロキシ(主に、1−ヒドロキシ、または2−ヒドロキシ)、カルボキシ、カルボニル(ケトおよびアルデヒド)、アミノ等である。
【0024】
質量タギング試薬およびタギング(段階(b))
この段階は、段階(i.a)で提供される各サンプルを、定量される各炭水化物上に質量タグ(質量タグI、II、III等)を導入するために、サンプル固有の質量タギング試薬と反応させることを含む。言い換えると、炭水化物A−I、炭水化物B−I、炭水化物C−I等が、サンプルIにおいて形成され;炭水化物A−II、炭水化物B−II、炭水化物C−II等が、サンプルIIにおいて形成される;などである。
【0025】
本発明の特定の変形において、異なる種の反応基を有する炭水化物上に異なるタグを導入するために、サンプルあたり2またはそれ以上の異なる質量タギング試薬が使用されてもよい。
【0026】
質量タグ化形態は、「予め決められ、再生可能な方法」で形成され、当該方法とは、(i.a)において提供される出発サンプルにおいて相当する炭水化物(炭水化物群)に対して、定量される各炭水化物(炭水化物群)のタグ化形態が予め決められた量形成されることを意味する。好ましい変形において、質量タギング試薬および条件は、様々な場合に使用される同じ試薬に対して、および異なる質量タグを導入する質量タギング試薬に対しての両方で、本質的に有効性(コンスタントな収率)を提供するよう選択されるべきである。本明細書において「コンスタントな収率」とは、典型的には相当するタグ化されない炭水化物を基準として70%±30%、例えば70%±20%または70%±10%を意味する。収率が定量的である、すなわちタグ化されない炭水化物を基準として≧80%、例えば≧90%または≧95%であるように調整することにより再現性を確保することもまた、好都合となり得る。好ましい実施態様において、このタギング試薬は、タギング反応が本質的に対等な条件下で実施可能となるよう選択されてきた。
【0027】
タグ間の質量の相違は、(a)タグの異なる元素組成、および/または(b)そのタグの1つまたはそれ以上の元素の異なる同位体組成に依存する。
質量タグ(I、II、III等)は、質量タギング試薬/反応により炭水化物上に導入される完全な群として定義される。
【0028】
質量タグは、定量される炭水化物の分子量と比較してしばしば小さい。ほとんどのタグは、典型的にはタグ化される最も重量の炭水化物の質量のせいぜい50%、多くの場合、せいぜい10%、例えばせいぜい5%の質量を有する。たいていは、最適な質量タグは、分子量が≦1000ダルトン、例えば≦500ダルトンである。
【0029】
上述の代替可能な(a)および(b)の両方において、導入されるタグの質量の差は、段階(ii)で得られる質量スペクトルにおいて別々に測定可能なピークとなるようにするべきでる。炭水化物のタグ化形態に相当するピークのベースライン分離が可能となるようにタグが選ばれれば、段階(iii)での計算が容易になり、より安全で信頼性のあるものとなる。タグ間の最適な質量の差は、様々な因子、例えば質量分析計次第である。同じ元素組成の2つの異なるタグの質量差は、典型的には≧2、例えば≧4または≧6ダルトン、例えば7、8、9、10、11、12ダルトンまたは≧13ダルトンである。この質量差の上限は、25ダルトンとなり得る。タグが元素組成に対して異なる場合、この差は最大200ダルトンまでまたはそれ以上であってもよい。3つまたはそれ以上のタグが使用されるならば、最大の質量差は、前述に述べた限度内であるべきである。
本発明において有益となる典型的な同位体は:H/H、12C/13C、14N/15N、16O/17O/18O、32S/34S、CL,BrおよびPの同位体等である。
【0030】
質量タギング反応は、一段階反応プロトコールで実施するのが好ましいが、より典型的には第1の活性化段階、およびそれに続く質量差をもたらす基を導入する第2段階を含む多段階プロトコールを包含してもよい。その環境に依存して、また更なる段階、反応、および試薬が必要とされ得る。炭水化物をタギングする際に関与するすべての段階および試薬は、(炭水化物自体を除いて)「質量タギング反応」、「タギング反応」、「質量タギング試薬」、および「タギング試薬」なる用語内に含まれる。炭水化物が、質量タギングを可能にするいかなる好適な反応基も含まない場合、当該基が、質量タギング反応において導入可能である。
質量タギング試薬となり得る試薬は、定量される炭水化物中の反応基と適合する反応基を有するべきである。
【0031】
カルボニル基を含有する炭水化物について、例えばアルデヒドまたはケトンにおいて、マスタギング試薬は、
(a)アルデヒドおよび/またはケトンのカルボニル基と付加体を形成する(−NH−)含有基、または
(b)アルデヒドおよびケトンをアルコールに還元すると同時に、水素、重水素、またはトリチウムから選ばれる水素同位体を導入可能な還元剤
を有し得る。
【0032】
この方法で導入されるタグの質量は、上述で示されるように異なる。但し、可変種(b)だけは、同位体組成に対して異なる質量タグを提供する。
可変種(a)における(−NH−)含有基は、第1級または第2級アミノ基またはヒドラジン誘導体(例えば、アシルヒドラジン、スルホニルヒドラジン等)であり得る。
【0033】
安定な付加体を提供するために、可変種(a)は、付加体をアミンに変換する還元剤と混合可能である。還元剤は、好ましくは適用された条件の間に、遊離型のカルボニル基に対するよりも付加体に対してより高い還元活性を有するよう選択されるべきである。一般的な指針としては、アルデヒドの還元に比べて、付加体の還元用の還元剤の選択性は、NaBHCNで示される選択性と同様またはそれよりも良好であるべきである。
【0034】
可変種(b)により使用される典型的な還元剤としては、NaBH、NaBHCN等といった水素化ホウ素ナトリウムが挙げられ、その水素が、アルデヒドおよびケトンをアルコールに還元可能な他の水素化物の同位体変種と一緒に、重水素またはトリチウムに置き換えられ得る。
【0035】
アミノ基を含有する炭水化物に対しては、質量タギング試薬は、活性化酸基、例えば活性化カルボキシ基を有し得る。有益となり得る基は、反応性エステル基、酸ハライド基、酸無水物基等である。この方法で導入されるタグの質量は、上述で示すように様々である。この種の試薬について質量差は、試薬の「酸」部分、すなわちアミノ基が結合することになる部分にある。
【0036】
カルボキシ基を含有する炭水化物に対しては、質量タギング試薬は、典型的には(−NH−)含有基、ヒドロキシ基、またはカルボキシル基の活性化形態と反応を引き起こし得る任意の他の反応基を有する。(−NH−)含有基は、第1級または第2級アミン、置換型ヒドラジン(例えばアシルヒドラジン、スルホニルヒドラジン等)であってもよい。好適なヒドロキシ基としては、アルコール性およびフェノール性のヒドロキシが挙げられる。この方法で導入されるタグの質量は、上述で述べるように様々である。
【0037】
質量タギング試薬と定量される炭水化物における反応基の他の組み合わせは、化学文献から推測可能である。
触媒反応、例えば酵素反応および定量される炭水化物の予め決められた位置に質量タグを導入するための酵素は、質量タギング反応/試薬の概念に包含される。
【0038】
本発明に記載の定量は、使用される質量タギング試薬との反応を可能にする基を有する炭水化物に対して可能となるだけである。この基は有さないが他の反応基を有する炭水化物まで定量を適用させるためには、様々な質量タギング反応/試薬の組み合わせが同じサンプルに与えられねばならない。このことを達成するのに最も簡単な方法が、出発サンプルの別々のアリコート上の各基に対して(i)〜(iii)の順で実施することであると考えられている。
【0039】
予め決めれらた再現可能量のタグ化形態を確保する1つの方法は、定量される炭水化物の総量に質量タギング試薬が消費する反応混合物中の他の成分量をプラスした合計に対して過剰な質量タギング試薬を使用することである。この原則を用いるならば、典型的な過剰量は、少なくとも50%となるはずである。
【0040】
タギング反応後、未反応のタギング試薬を除去するのが有利となり得る。状況次第で、これは段階(ii)(質量分析段階)前に、特定の位置で例えば、段階(i.b)と(i.c)との間の個々の反応混合物に対して、段階(i)と(ii)との間の混合サンプルに対して、実施可能である。未反応のタギング試薬を含有する液体を、未反応のタギング試薬と相互作用可能な構造の固相の拘束形態を接触させることにより除去が達成可能である。この固相は、例えばビーズまたは他の粒子の形態であってもよい。
【0041】
タグは、MSにおいて定量される炭水化物と同一または類似のフラグメントパターンを提供する構造的要素を含むべきではない。ステップ(ii)においてタンデムMSが使用されるならば、このことは特に当てはまる。従って、タグは、定量される炭水化物中に存在するものと同一種の炭水化物構造を呈してはならない。
【0042】
様々な出発サンプルから誘導されるタグ化形態の混合(段階i . c)
この段階は、典型的には段階(i.b)で得られた反応混合物の決められたアリコートを混合することを含む。そのアリコートが各サンプルについて等量であるのが好ましい。このことは、段階(i.b)において生成される様々なタグ化形態を豊富にするか、あるいは混合サンプルを形成するようタグ化形態が混合される前に過剰の試薬が除去されることを除かない。
【0043】
段階( ii )〜( iii )、質量分析および定量
これらの段階は、定量される各炭水化物のタグ化形態の混合物を質量分析にかけることを含む。特定の炭水化物に相当して混合物中に存在する質量タグ化形態に対するシグナル(ピーク)間の関係から、同一混合物中の任意の他の質量タグ化形態に対する各質量タグ化形態の量が決定可能である。その混合物中の質量タグ化形態の相対量は、その後、出発サンプル中の相当するタグ化されない炭水化物の相対量を提供することができる。これらの計算を実施する原則は、蛋白定量に関する分野で従来実施されてきた。Aebersold他(国際特許出願WO 0011208);Gygi他(Nature Biotechnology 17 (1999) (994-999);Munchbach他(Anal. Chem. 2000 (72) 4047-4057)およびOda他(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96 (1999) 6591-6596)参照。
【0044】
既知の絶対量の炭水化物を含むコントロールサンプルまたは標準サンプルが使用される場合、その方法は、定量される絶対量または絶対濃度の炭水化物(炭水化物群)を提供することが可能となる。
【0045】
本明細書において「質量スペクトル」なる用語は、質量分析から得られた質量タグ化形態に対する一組のシグナル、および従来の質量スペクトルにおけるピークとしてのこれらのシグナルの表示の両方をいう。
【0046】
典型的には、質量タギング反応は、定量される各炭水化物上にタグを1つだけ導入する。炭水化物中で反応基が1度以上発生する場合には、各炭水化物上に2個、3個、またはそれ以上の同一のタグが導入されることもあり得る。本発明に従って定量用質量スペクトルにおいて使用されるシグナル(ピーク)は、通常タグの質量差と同一である質量差で位置決めされる。炭水化物あたりに2以上の同一の質量タグが導入されているなら、使用されるタグの2倍、3倍等の質量差となる質量差に位置されるシグナルがまた利用可能である。
【0047】
段階(ii)において使用される混合サンプル中の塩濃度が、質量分析段階に対して非常に高い場合、段階(ii)の前に1回またはそれ以上脱塩段階が含まれてもよい。代替としては、前の段階の1つまたはそれ以上が、高度な定性質量分析段階(ii)に対してサンプル中に十分に低い塩濃度を提供する条件に前もって調整されてもよい。
【0048】
イオン化に対して、質量分析法が、個々のフラクション中のタグ化形態の熱スプレー(ESI)、マトリックス支援レーザー脱離イオン(MALDI)等を利用してもよい。質量分析段階にかけられるタグ化炭水化物フラグメントを順序付ける必要がある場合には、タンデムMS(MS)が使用され得る。必要に応じて、質量分析段階の設定が、LC−MS、CE−MS等の形態となり得る。以下の「分離段階」の表題の箇所もまた参照。
【0049】
段階(iii)における定量の基本は:
(a)質量スペクトルにおけるシグナルが、質量分析法において適用されるタグ化形態の量の関数となり、そして
(b)次にこの量が、タグ化形態が誘導される出発サンプル中のタグ化されない炭水化物量の関数となる、
ことである。
【0050】
段階(iii)において量を計算する場合に、1つのこと、例えば
(1)段階(i.a)で提供される出発サンプルの相対体積、
(2)段階(i.b)において様々な反応混合物を形成することにより引き起こされる相対希釈率、
(3)段階(i.b)における様々なタギング試薬の相対的なタギング効率、
(4)段階(i.c)において混合された混合物の相対体積および/または相対量
が考慮されなければならない。
【0051】
好ましい場合において、以下に示す特性の少なくとも1つが当てはまる:
(i)段階(i.a)におけるすべての出発サンプルは、定量される炭水化物と本質的に等しい体積および/または本質的に同一の総濃度を有する、
(ii)段階(i.b)での様々な反応混合物における希釈率およびタギング効率は、本質的には等しい、および
(iii)反応混合物の体積および/または段階(i.c)において混合される混合物の量は、本質的には等しい。
【0052】
他の段階
段階(ii)の前、例えば段階(i.a)と段階(i.b)との間に、1つまたはそれ以上の更なる段階があってもよい。具体例としては、質量タギング以外の目的での誘導化段階、分離段階、および分解段階等である。
【0053】
分離段階
段階(i.a)において提供される出発サンプルが、段階(ii)〜(iii)における質量分析法の使用により定量するのが困難な炭水化物の複雑な混合物を含んでいるかもしれない。その複雑性は、多数の異なる炭水化物および/または質量の差が非常に小さい炭水化物および/または質量分析において類似のフラグメントを生じる炭水化物等にあり得る。これらの場合において、段階(i.b)の後であるが段階(ii)の前に、個々の炭水化物または炭水化物群のタグ化形態を、段階(iii)における定量を簡単にするフラクションに共分離可能な分離段階が挿入されてもよい。
【0054】
分離段階が、段階(i.b)の後に含まれる場合、適用される分離プロトコールおよび導入されるタグは、同じ炭水化物のタグ化形態が共分離するように相互に適応されるべきである。言い換えると、同じ炭水化物のタグ化形態が、同じフラクション中で回収されるように調整することである。
【0055】
分離段階は、2つまたはそれ以上の分離プロトコールを包含してもよい。十分に高い分解能を獲得するために、これらの分離プロトコールのうち少なくとも2つが、用いられる分離原則に関して異なるものであるのが好都合である。
【0056】
典型的な分離原則は、炭水化物と周囲の媒体との間の異なる相互作用に基づいた分離である。その相違は、例えば炭水化物のサイズおよび/または電荷におけるの相違、すなわちサイズ排除クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、ゲル電気泳動(例えばPAGE、キャピラリー電気泳動)、等電点電気泳動(例えばゲル、キャピラリー等における)等で利用される相違で反映され得る。その相違は、炭水化物の使用される分離媒体等に結合する1つまたはそれ以上のリガンドとの様々な親和性でも反映され得る。異なる親和性は、吸着段階および解離段階のいずれか、またはその両方に利用され得る。
【0057】
様々な原則の概念は、分離の間に質量移動が起こる方法により定義される。クロマトグラフィー法におけるような液流による、電気泳動におけるような使用される電場による、遠心分離におけるような遠心力により説明される例は、バッチ設計された方法におけるような乱流/凝集を提供する攪拌または他の手段、重力等によるものである。
【0058】
同じ分離原則に基づいた分離プロトコールとは、分離プロトコールが、従来のプロトコールにおけるのと本質的に同一の条件下で従来のプロトコールにおいて得られたフラクションに対して実施されることが含まれる。それはまた、pH、塩濃度等の変化といった、異なるプロトコール間のバリエーションも含む。
【0059】
原則としては、混合物が複雑になるほど、選ぶプロトコールの組み合わせに全体的により高い分解脳が要求される。好ましいプロトコールは、単独か組み合わせかのいずれかであるが、逆相液体クロマトグラフィー、等電点による分離(等電点電気泳動など)、および分子サイズによる分離(ゲル電気泳動など)である。従って、その分離段階は、多次元、すなわち、2Dゲル電気泳動(1次元での等電点電気泳動と2次元でのゲル電気泳動)においてといった、異なる原則を利用する2つまたはそれ以上の分離プロトコールを含み得る。
【0060】
段階(ii)の前に挿入される可能な分画段階は、以下の「分画段階」なる表題の箇所に示される1つまたはそれ以上の様々な分画段階が含まれてもよい。
多くの市販で入手可能な質量分析計において、分離段階が、例えばLC−MS、CE−MSなど、一体化されている。LCとは、液体クロマトグラフィー、典型的には逆相液体クロマトグラフィーの略である。CEとは、キャピラリー電気泳動の略である。
【0061】
他の誘導化段階
(i.a)〜(i.c)の順において特定の位置で、
(1)質量分析段階(ii)の間に(段階(ii)の前の任意の位置で)イオン化を促進させる、
(2)質量分析段階(ii)の間に(段階(ii)の前の任意の位置で)分画を促進させる、
(3)(分離段階の前の任意の位置で)質量タグにより導入される分離の相違を最小にする、そして
(4)誘導化される炭水化物を選択的に取り出すために利用される親和性ハンドル(affinity handle)を導入する、
(5)分析的に検出可能な基、例えば放射線を放射する基、例えばフルオロフォアまたはUVにより検出可能な基を導入する、
目的で誘導化段階が挿入されてもよい。
【0062】
項目(4)および(5)は、本質的には本発明により含まれ得る分離段階を促進し、モニタリングすることが意図されている。
他の種類の誘導化段階は、例えば、質量分析(MS)検出および特定の糖単位の定量を可能としたり改良するために、その単位を修飾するための酵素を用いて予測可能である。
【0063】
これらの追加の誘導化のそれぞれについては、すべてのサンプルに対して同じ試薬が使用されるのが好ましい。重要な変形となり得るのは、質量タギング反応が実施されているときに、1つまたはそれ以上のこれらの誘導化が達成されるよう質量タギング試薬をデザインすることである。例えば、導入される質量タグが、親和性ハンドルとしておよび/または良好な蛍光性またはUV特性により、作用する能力を有する質量タギング機能を兼ね備える実施例部分を参照。
【0064】
分解段階
この種の段階は、2000年10月2日に出願されたスウェーデン特許出願第0003566−7号で概説されるように利用され得、これは参照して本明細書の一部とする。
分解段階は、酵素的にまたは化学的手段により実施され得る。それは、段階(i.a)と段階(ii)との間に、2000年10月2日に出願されたスウェーデン特許出願第0003566−7号で概説されるように、次に続く段階の修飾と一緒に挿入され得る。
【0065】
本発明の第2の態様
本発明に第2の態様は、アルデヒドまたはケトン基の形態の遊離型カルボニル基がある炭水化物構造を呈する化合物の分析用キットである。そのキットを使用して分析される好ましい化合物は、遊離型の炭水化物、すなわちペプチドまたは脂質構造に共有結合しないで、好ましくはオリゴサッカライド構造を有する炭水化物化合物である。該キットは、
(a)2、3、またはそれ以上の質量タギング試薬であって、それぞれが、アルデヒドおよびケトン基から選ばれるカルボニル基と付加体を形成可能であり、当該付加体が、その質量タギング試薬のうちの1つから誘導し、当該2、3、またはそれ以上の質量タギング試薬を使用することにより形成される様々な付加体に対して様々な質量を有する質量タギング基を含む試薬、および
(b)所望により、当該2、3、またはそれ以上の質量タギング試薬を使用することにより形成される付加体を安定化させるための還元剤、
を含む点で特徴付けられる。
【0066】
質量タギング試薬および還元剤は、上述の「質量タギング試薬およびタギング(段階(i.b)」なる表題の箇所で提供されるのと同様の原則により選ばれる。
質量タギング試薬および質量タグは、好ましくはすべての質量タギング試薬および質量タグに対して同一であるの親和性対の構成要素(リガンド)を含んでいてもよい。第2の態様のこの変形において、該キットはまた、当該構成要素に対する親和性の相手(レセプター)となる親和性試薬を含んでもよい。
【0067】
リガンド−レセプター対は、いわゆる親和性反応を介して相互に結合可能な反応体の対である。この種の反応体は、典型的には、いわゆる生体特異的親和性反応、または合成的に生成された親和性対が親和性を介して相互に結合する類似の反応により説明される。親和性対(リガンド−レセプター対)は、抗原/ハプテンと抗体、ビオチンとストレプトアビジン、IgGとIgGのFc部分に結合するIgG結合蛋白、レクチンと炭水化物構造を呈する化合物等により説明される。親和性対の一方の構成要素(リガンド)は、質量タグ部分であり得る一方、そうすると親和性対の他方の構成要素(レセプター)は、キットの親和性試薬部分となる。抗体なる用語は、抗原/ハプテン結合フラグメント、および修飾した抗体(Fabフラグメント、1本鎖抗体等)を含む。
【0068】
実施例部において、親和性ハンドルとして機能可能な質量タグは、ビオチンおよびハプテン分子で説明される。特にハプテン分子は、自由電子対および/または芳香環系に対する共鳴により非局在化可能なπ電子を含有する電子供与性および/または電子吸引性基と置換される芳香環系を含んでいてもよい。
【0069】
前述の段落で定義される種類の構造は、しばしばクロモフォアである。それらは、上述されるように、炭水化物の標識化および分離後、個々の炭水化物の定性的かつ定量的な測定をするために利用可能である。このような利用に対しては、質量分析は必要ではない。それらが、例えばモル吸光係数が>1000cm−1−1、例えば>10000cm−1−1の蛍光性である場合、その測定は蛍光光度分析により実施され得る。
【0070】
本発明のサブ態様において、キットのタギング試薬の少なくとも1、2、3、またはそれ以上は、クロモフォア構造と別々の親和性ハンドルの両方を含む点で二機能性であり、その両方が上述で定義されるのと同様であり得る。この種の試薬は、(Anal. Chem. 68 (15) (1996) 2573-2579)において篠原氏により示されている。
【0071】
本発明は、本発明の根底にある原則の証拠をも提供する実施例部において説明されて理解されるだろう。本発明は、添付の請求項で定義される。
【0072】
図面の詳細な説明
図1は、モル比(bxh−g4/bch−g4)とシグナル強度比(n=2または3)との間の相関を示す。白抜きの丸は、平均値を示し、一方バーは、個々のデータを示す。傾向線は、平均値に対して引かれる。方程式とrの2乗の値が提供されている。
図2は、2種のタギング試薬:BCHおよびBXHを用いて、様々なオリゴサッカライドを呈示されて得られるMS−スペクトルを示す。
【0073】
実施例部
本発明の実施例は、本発明を説明するためだけに提供されるものであり、添付の請求項により定義されるように範囲を制限する目的はない。
. オリゴサッカライドのタギング
(a)ホウ化水素(NaBH)およびホウ化重水素ナトリウム(NaBD)によるタギング
オリゴサッカライドを200μlの0.05N NaOHに溶解して、37℃で4.5時間、NaBHまたはNaBD(5M超過、ジメチルホルムアミドに溶解したもの)とインキュベーションすることにより還元する。100μlの1M 酢酸を添加することにより反応を停止して、蒸発乾固する。その残渣を水で5回蒸留する。
【0074】
(b)エチルp−アミノベンゾエート(ABEE)およびn−ブチルp−アミノベンゾエート(ABBE)によるタギング
ABEE溶液またはABBE溶液(2μl、1M、AcOH/DMSO(3:7)中)を添加して約1nmolのオリゴサッカライドを含有する0.5μlの水溶液に添加する。次に、反応管をボルテクスし、90℃で30分間維持する。5μlの水素化シアノホウ素ナトリウム(1.8μmol)水をその反応混合物に添加し、その反応混合物を、この温度で更に1時間維持する。
【0075】
(c)N−ビオチノイル−2,6−ジアミノヘキサン酸ヒドラジン(BCH)、N−ビオチノイル−6−アミノヘキサン酸ヒドラジン(BXH)、ダンシルヒドラジン、7−ジエチルアミノクマリン−3−カルボン酸ヒドラジド(DCCH)およびN−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)ヒドラジン(FMOCヒドラジン)によるタギング
オリゴサッカライドを、10μlの水に溶解し、水またはアセトニトリル(1〜4M超過)に溶解したヒドラジン誘導体と混合して、90℃で1.5時間インキュベートする。その反応管を氷槽中で冷却して、反応を止める。
【0076】
2.構造的に類似のタギング試薬を用いたMSによる様々な表示
マルトオリゴサッカライドの混合物(G3、G4、G5、およびG6)を、BCHおよびBXHを用いてタグ化した。これらのタギング試薬は、構造的に類似しており、分子量の差は、約15Daである。G5およびG6については、BCHおよびBXHに対するタギング収率は、それぞれ>85%、および>92%であった。
【0077】
イオン強度、およびBCHタグ化とBXHタグ化オリゴサッカライドのイオン種をMALDI/TOF分析において比較するために、上述の(c)に従ってBCHまたはBXHを用いてタグ化されたマルトテトラオース(G4)を、3種の異なる割合(BCH−G4/BXH−G4=1:1、1:3、および3:1)で混合した。基質としてDHB(2,5−ジヒドロキシ安息香酸)を用いるMALDI−TOF分析において、BCH−G4およびBXH−G4は両方とも、MNa種のみを産生した(Maldi−TOF機器、Amersham Pharmacia Biotech AB、Uppsala、Sweden提供)。BXH−タグ化形態は、等モル量でBCH−タグ化形態よりもわずかに高いシグナル強度を提供する傾向があるけれども、その2つのタグ化形態は、等モル基準では同等であると考えられた。図1参照。
【0078】
G3、G4、G5、およびG6のそれぞれ等モル量(50nmol)の混合物をBXHを用いてタグ化し、100nmolのG3と50nmolのG5およびG6のそれぞれとの混合物を、BCHを用いてタグ化した。タギング後、両方の反応混合物を混合して、MALDI−TOF分析を実施した。図2に示すように、G3、G5、およびG6のすべてのタグ化形態は、m/z差が15の2重のシグナルとして観測可能となる一方、G4は、1重のシグナルとして観測可能であった。相対的なシグナル強度は、BXH-G3よりもBCH-G3の方が高かったものの、G5およびG6の両方のタグ化形態については反対の傾向が見られた。この所見は、混合物中に存在する真の相対量と一致している。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】モル比とシグナル強度比との間の相関を示す。
【図2】2種のタギング試薬を使用して、様々なオリゴサッカライドが呈示されて得られるMS−スペクトルを示す。

Claims (9)

  1. 2つまたはそれ以上の出発サンプルにおける1つまたはそれ以上の炭水化物の定量法であって、当該方法が:
    (i)各炭水化物に対して、その炭水化物から誘導された1つまたはそれ以上の質量タグ化形態の混合物を含有する混合サンプルで、当該混合物中の1つまたはそれ以上の質量タグ化形態がそれぞれ、
    ・その炭水化物部分が誘導される出発サンプルに対して固有の質量タグを含み、そして
    ・その炭水化物部分が誘導される出発サンプル中の炭水化物量に合致する量で、混合サンプル中に存在する、サンプルを提供し;
    (ii)質量スペクトルを得るために、質量タグ化形態の混合物をそれぞれ質量分析して;
    (iii)その質量スペクトルにおける質量タグ化形態のシグナルから、1つの天然サンプルにおいて定量される炭水化物量を、1つまたはそれ以上の他の天然サンプル中の同じ炭水化物量に対して定量する、
    からなる段階を含む点で特徴付けられる、方法。
  2. 段階(i)が:
    (a)該2つまたはそれ以上の出発サンプルを提供し;
    (b)その出発サンプルのそれぞれを、当該炭水化物のそれぞれを質量タグ化形態の炭水化物に転換可能なサンプル固有の質量タギング試薬を用いて処置し;
    (c)段階(b)において得られた質量タグ化形態を、段階(i)で提供される異なる質量タグ化形態を含む混合サンプルに混合する、
    ことからなる段階を含む点で特徴付けられる、請求項1に記載の方法。
  3. 該天然サンプルのうちの少なくとも1つが、例えば予め決められた量の当該炭水化物を1つまたはそれ以上含む、標準またはコントロールサンプルである点で特徴付けられる、請求項1または2に記載の方法。
  4. 該質量タグが、元素組成および/または同位体組成において異なる点で特徴付けられる、請求項1または2に記載の方法。
  5. (A)段階(i.b)と段階(ii)との間に、1つまたはそれ以上のフラクションとなり、そのフラクションのそれぞれが、定量される他の炭水化物の質量タグ化形態に対して、定量される炭水化物の少なくとも1つの質量タグ化形態について豊富となる分離段階があり、そして
    (B)段階(ii)が、(A)により得られたフラクション由来の混合サンプルに対して実施される、
    点で特徴付けられる、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 試薬のキットであって:
    (a)2、3、またはそれ以上の質量タギング試薬であって、その試薬のそれぞれが、アルデヒドおよびケトン基から選ばれるカルボニル基と付加体を形成可能であり、当該付加体が、その質量タギング試薬のうちの1つに由来し、当該2、3、またはそれ以上の質量タギング試薬を使用することにより形成される様々な付加体に対して様々な質量を有する質量タギング基を含む試薬;
    (b)所望により、当該2、3、またはそれ以上の質量タギング試薬を使用することにより形成される付加体を安定化させるための一般的な還元剤、
    を含む点で特徴付けられる、キット。
  7. 質量タギング試薬および質量タグのそれぞれが、すべての質量タギング試薬および質量タグに対して同一である親和性対の構成要素を含み、該キットがまた、当該構成要素に対する親和性の相手となる親和性試薬を含む点で特徴付けられる、請求項6に記載のキット。
  8. 該質量タギング試薬および質量タグが、ビオチンを含む点で特徴付けられる、請求項6または7に記載のキット。
  9. 該質量タギング試薬および質量タグが、自由電子対および/または芳香環系に対する共鳴により非局在化可能なπ電子を含む電子供与性および/または電子吸引性の基を含む点で特徴付けられる、請求項6または7に記載のキット。
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