JP2004517389A - マスクされた円錐ビーム投影データの処理によって発生した画像の誤差の補正を簡易化する方法および装置 - Google Patents
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Abstract
ここに記載されているのは、物体の3次元(3D)コンピュータトモグラフィ(CT)イメージングに対する方法および装置であり、ここでは画像再構成処理が、2D円錐ビーム投影データの複数の集合に適用され、各集合は、相応する複数のスキャンパス放射源位置において2D検出器上で収集される。最初の画像再構成処理ステップでは投影データの各集合にマスクが適用され、これによって各マスクの境界内のデータにより、相応する複数のマスクされた2Dデータの集合が形成される。つぎにマスクされたデータの各集合内のデータが、このマスクされた2Dデータの集合に形成される線分に沿って処理されて、データの第1の2D推定値が形成される。ここで上記の線分は、マスク境界によって決定される端点を有しており、上記の第1の2D推定値は、2D円錐ビーム投影データの所定の集合から決定される。つぎのステップでは、データの各第1推定値に対して2D補正データが形成され、ここでこれはマスクされた投影データの部分に1次元(1D)畳込み処理を行うことによって行われ、これによって上記の2D補正データが作成される。最後のステップでは、物体の精確な3D画像を再構成する処理において、データの各第1推定と、組み合わせのために計算された2D補正データとが組み合わせられる。
Description
【0001】
関連する明細書への相互参照
本発明には、本願発明者により同時に提出された、「マスクされた円錐ビーム投影データの簡易化された処理によって発生した画像の誤差を識別して補正する方法および装置」(”A Method and Apparatus for Identifying and Correcting Image Inaccuracies Caused by Simplified Processing of Masked Cone Beam Projection Data”)なる名称の米国特許明細書に関連する事項が含まれている。
【0002】
発明の背景
1.発明の属する技術の分野
本発明は一般的には円錐ビームコンピュータトモグラフィ(CT)イメージングシステムに関し、また殊にマスクされた円錐ビーム投影データの処理によって発生した画像の誤差の補正を簡易化する方法および装置に関する。
【0003】
2. 従来技術の説明
最近では円錐ビーム幾何学形状を使用するシステムが、3次元(3D)コンピュータトモグラフィ(CT)イメージングに対して開発されており、これには円錐ビーム放射源および2Dエリア検出器が含まれる。イメージングすべき物体は、種々異なる方法のうちの任意の1つによって、有利には360°の角度領域にわたりその全長に沿ってスキャンされる。エリア検出器の位置は前記放射源に対して固定されており、放射源と物体との間の相対的な回転および並進的な運動によって上記のスキャニング(放射エネルギーによる物体の照射)が行われる。3D CTに対する円錐ビームアプローチは、医療および工業の両方の応用において、慣用の3D CT装置(すなわち平行またはファンビームのx線を使用して得られるスライスのスタックによるアプローチ)と比べた場合に、改善された速度および改善された線量利用率で3Dイメージングが得られるという可能性を有している。
【0004】
円錐ビーム源を複数の放射源位置(すなわち「ビュー」)にスキャンパスに沿って相対的に運動させることにより、検出器によって、円錐ビーム投影データ(ここでは円錐ビームデータまたは投影データとも称される)からなる順次の複数の集合が相応に収集される。ここで円錐ビームデータの各集合は、複数の放射源位置のうちのそれぞれの放射源位置において、物体により生じたx線の減衰を表す。
【0005】
公知であり、かつ例えば、ここに文献として援用される1993年10月26日に提出された本願発明者による”METHOD AND APPARATUS FOR CONVERTING CONE BEAM X−RAY PROJECTION DATA TO PLANAR INTEGRAL AND RECONSTRUCTING A THREE−DIMENSIONAL COMUTERIZED TOMOGRAPHY (CT) IMAGE OF AN OBJECT”なる名称の米国特許第5257183号に完全に記載されているように、画像再構成処理は、一般的に、収集された円錐ビームデータからラドン微分データを計算することによって開始される。ラドン微分データは通例、収集された円錐ビームデータに引かれた複数の線分Lに対して線積分の微分を計算することによって決定される。上記の第5257183号明細書に詳細に記載された実施形態では、微分データのラドン空間ドリブンの変換が使用されて、物体における関心領域(ROI region−of−interest)の精確な画像再構成が行われる。線積分の微分データの計算は、比較的複雑であり、また計算時間を消費してしまうタスクである。
【0006】
円錐ビームデータマスキング法は公知であり、この技法によってこのようなラドン空間ドリブンの再構成処理における微分データの計算の効率が改善される。すなわちこれが簡易化されるのである。このことは、1996年4月2日に提出された本願発明者による”METHOD AND SYSTEM FOR MASKING CONE BEAM PROJECTION DATA GENERATED FROM EITHER A REGION OF INTEREST HELICAL SCAN OR A HELICAL SCAN”なる名称の米国特許第5504792号に記載されている通りである。ここではこの明細書も同様にここに文献として援用する。通常行われるように物体のROIだけをイメージングすべき場合には、このマスキング技法によって、効率的な3D CTイメージングがより容易になる。そこに記載されている有利な実施形態では、スキャンニング経路は物体の周りに設けられ、ここでこの経路は、ROIの頂部および底部のエッジの近傍にそれぞれ配置された第1および第2のスキャンニング円を含み、螺旋状のスキャンニングパスがそれらの間に接続される。つぎにこのスキャニング経路が複数の放射源位置においてサンプリングされ、ここでこれらの放射源位置で円錐ビームエネルギーがROIに向かって放射される。ROIを通過した後、各放射源位置における残余エネルギーが、エリア検出器において、円錐ビームデータからなる複数の集合のうちの1つとして収集される。つぎに円錐ビームデータの各集合はマスクされ、これによって、物体のROIの投影において所定の部分区画外にある円錐ビームデータ部分が取り除かれ、またこの所定の部分区間内にある円錐ビーム投影データが保持される。円錐ビームデータの所定の集合に対する各マスクの形状は、検出器へのスキャンパスの投影によって決定され、これは、上記の円錐ビームデータの所定の集合が収集された放射源位置の上および下にある。マスクされる(すなわち保持される)円錐ビームデータはつぎに処理されて、線積分の微分再構成データが形成される。ROIの精確な画像は、共通の積分面で交わる種々異なる放射源位置から得られた再構成データを組み合わせることによって形成される。それゆえこのマスクは通例「データコンビネーション」マスクと称されるのである。
【0007】
このデータコンビネーションマスクを使用することによってラドンドリブンアプローチに必要な処理が格段に簡易化されるのではあるが、線積分の微分データの計算は、なお比較的複雑なタスクであり、また計算時間も消費してしまう。このようなラドン空間ドリブンの再構成処理アプローチにおいて、線積分の微分再構成データを形成する公知の1技法は、リノグラム(linogram)を使用することである。このリノグラム法によって、マスクされたデータの格段に高速でありかつ比較的簡易化された処理が得られ、線積分の微分再構成データが形成されるのではあるが、これによって作成されるのは、より精確さを欠いた、すなわちquasi−exactな再構成画像なのである。
【0008】
データコンビネーションマスクは、検出器データドリブンの技法、例えばフィルタ補正逆投影法(FBP=Filtered Back Projection)を使用する技法において微分データの計算効率を改善するためにも使用可能である。「簡易化された」FBP法は、1999年3月9日に提出された本願発明者による”SIMPLIFIED CONE BEAM IMAGE RECONSTRUCTION USING 3D BACKPROJECTION”なる名称の米国特許第5881123号に記載されており、この明細書も同様にここに文献として援用する。この簡易化された技法では、2Dの近似データの集合が使用されて画像が再構成され、ここでこの2Dの近似データの集合は、マスクされた円錐ビームデータのランプフィルタリング(ramp filtering)によって形成される。このフィルタリングは、この円錐ビームデータの集合が収集された放射源位置において、スキャンパスに接して引かれた線の投影方向に行われる。この技法も従来公知の技法より簡単であるが、再構成された画像はやはりquasi−exactである。
【0009】
したがって、同様にここに文献として援用される2000年7月4日に提出された、本願発明者による”ADAPTIVE MASK BOUNDARY CORRECTION IN A CONE BEAM IMAGING SYSTEM”なる名称の米国特許第6084937号には2D補正データを計算する技法が記載されており、これは、ランプフィルタリングされた2D近似データの集合と組み合わせた場合に、精確な画像再構成が得られることを意図したものである。この2D補正データは基本的に、データコンビネーションマスクの境界で交わる検出器の各点に対して、画像再構成処理を表す点広がり関数からなる。
【0010】
この技法も、また上述の米国特許第5504729号の技法も共に精確な画像再構成を得ることを意図したものであるが、本願発明者が認識したのは、このような技法もまた実際にはquasi−exactであることである。より具体的にいうと、例示的なフィルタ補正逆投影法(FBP)画像再構成において、検出器上でuおよびvをこの検出器のデカルト座標軸とし、ここでv軸は回転軸と一致し、またL(θ,s)により投影/逆投影が行われる線を表し、(θ−π/2)は、線L(θ,s)がu軸となす角であり、sは原点からのこの線の変位であるとする。円錐ビーム画像のフィルタリングは、明示的にせよ、暗黙的にせよ、結合された演算D1Hからなり、ここでD1は、投影されたスキャンパス方向tにおける(空間的な)微分演算であり、Hは∫B(θ)Ds(θ)P(θ)dθの省略記法である。P(θ)は角度θにおける2D投影演算(線積分)、Ds(θ)は角度θにおける投影に対する、sに関する1D微分演算、B(θ)は角度θにおける2D逆投影演算である。
【0011】
図1Aおよび1Bには、この組み合わされた演算がFBP再構成処理法において示されており、これは例えば上述の米国特許第6084937号に記載されている。FBP画像再構成は相異なる2種類の処理からなる。すなわち、第1は2次元(2D)の処理であり、また第2は3次元(3D)の処理である。2Dのステップでは各円錐ビーム投影画像が2次元空間で処理され、3Dのステップでは処理された2D画像が3次元の物体空間に逆投影される。2Dのステップは、以下の4つのFBP画像再構成サブステップからなり、ここでこれらはスキャンパスに沿った複数の放射源位置(Si)のうちの各放射源位置において収集された円錐ビームデータを処理するためのものである。すなわち、
1. 複数の角度θのうちの各角度で検出器面100において収集された円錐ビーム画像の1D投影(すなわち線積分)を計算する。このステップは、図1Aに、複数の角度θのうちの所定の角度θ1に対して示されている。1D投影102が座標s,θ1において示されており、これは、角度θ1に対して直角な複数の平行線L(s,θ)に沿った検出器面100における円錐ビーム画像104の積分値からなり、原点Oからの各線Lの増分間隔はsである。データの組み合わせのコンセプトおよび実現を説明する図2および3に関連して図示しかつ以下に説明するように、線Lの長さは、上述のマスキング技法を使用して制限される。一般的には検出器面100がN×Nのピクセルアレイからなる場合、角度θの数は通例、πN/2で得られる。
【0012】
2. 各1D投影102をd/dsフィルタにしたがってフィルタリング(微分)する。これによってs,θ座標の各座標において新たな値の集合が得られる。これは例えば図1Aに示した角度θ1に対して微分の投影106によって示される。これらのs,θ座標において得られた値の和(積分)により、積分平面Q(s,θ)に対してラドン微分に比例する量が得られることに注意されたい。これは、ラドン空間ドリブンの画像再構成処理に対して上述した通りである。
【0013】
3. 図1Bに示したように、各角度θから得られた微分の投影106を、2次元の物体空間107に逆投影する(これは検出器面100と一致する)。線108は、この逆投影を表しておりかつ各s座標から得られた値を、各θに対して直角な方向に2次元空間107に拡散させ、これによって逆投影画像109に寄与する。2次元の物体空間107は、仮想の検出器に相応するサイズを有しており、ここでこれは(スキャンパスのピッチに相応する高さを有する検出器に比較して)より拡大されており、これによって物体の全関心領域(ROI)がカバーされることに注意されたい。この拡大が必要な理由は、計算したラドンデータは、全Q平面の再構成に影響を及ぼし、データコンビネーションマスクによって表される部分的な平面だけに影響を及ぼすのではないからである。
【0014】
4. ステップ3において2D空間107に形成された逆投影画像を1D d/dtフィルタリングする。この1Dフィルタリングは、スキャンパスの方向に、すなわち線110に沿って行われ、ここでtは、スキャンパスに接して引かれた線の投影の方向を指し示す。
【0015】
さらに「簡易化された」FBP再構成処理法では、上記のステップ1〜3は、t(スキャンパスの接線方向の投影)方向におけるマスクされた2D投影データの「Feldkamp」ランプフィルタリングの単一のステップに一体化される。これは本願発明者の上述の米国特許第5881123号に詳しく記載されている通りである。
【0016】
上記のステップ4の後、図1Bに示したように、上記の3Dステップでは、このようにフィルタリングされたデータが、2D空間107から(すなわち検出器の各ピクセルから)3D物体体積体112における複数のサンプル点Pに重み付られて3D逆投影される。各点Pに割り当てられる密度(density)は、サンプル点とx線の位置との間の距離の2乗の逆数によって重み付けが行われる。
【0017】
データコンビネーションマスクを使用する画像再構成法、例えば上記のFBPおよび簡易化されたFBP法において共通であるのは、上述のデータコンビネーションマスク処理であり、これは、積分平面のx線カバー範囲を、各放射源位置において、現在の放射源位置の下にある先行の放射源位置と、上にある後続のソ放射源位置とによって境界付けられた角度範囲に制限する。共通の積分(Q)面で交わるいくつか放射源位置からのこのようなデータコンビネーションが、図2に示されている。
【0018】
より具体的にいうと、図2は、円柱状の物体および螺旋状のスキャンパスに交じわる典型的な積分面Q(s,θ)を表し、ここでこのスキャンパスは、仮想的な円柱において物体を包み込むと仮定され、かつこの物体における関心領域(ROI)の頂部および底部エッジと同じ高さに、頂部および底部の円形のスキャンパスを有する。面Qの辺側から見た図は図4に示されている(この説明の詳細部で説明される)。垂直でない面と円柱とが交わると楕円が生じることになるため、面Q(s,θ)と、物体および円柱状の螺旋状のスキャンパスとが交わって2つの楕円、すなわちそれぞれE1およびE2になって一方が他方に含まれる。これは図2に示した通りである。
【0019】
螺旋のパスはスキャンパスの円柱上にあるため、これは楕円E2上にある点において面Qに交わる。これらの放射源位置は図2においてS1,S2およびS3で示されている。同様に容易にわかるのは、頂部のスキャンパス円とこの面とが、E2と物体のROIの頂部のエッジとの間の共通部分にある2点T1およびT2において交わり、底部のスキャンパス円とこの面とが、E2と物体のROIの底部のエッジとの間の共通部分にある2点B1およびB2において交わることである。別の積分平面は、その方向に依存して、螺旋のスキャンパスとより大きなまたはより小さな共通部分を有することもあり、また頂部または底部の円形スキャンパスのいずれにも交わらないこともある。
【0020】
図2からわかるように、ROI内にある積分平面Qの部分を照射する放射源位置は、T2,S1,S2,S3およびB2である。積分平面のこの部分における関心領域200をX線で完全にカバーできるのは、図3に示したように、これらの5つの放射源位置で収集したデータを適切に組み合わせることによってである。例えば、T2において、T1T2およびT2S1によって挟まれた角度内の円錐ビームデータだけが使用され、またS1において、T2S1およびS1S2によって挟まれた角度内の円錐ビームデータだけが使用され、以下同様に続けられる。したがって5つの部分面P1〜P5が放射源位置T2,S1,S2,S3およびB2によって定められ、これらは重ならず、また一緒になってROI内にある面Qの部分を完全にカバーする。このようにして、寄与する各放射源位置からの円錐ビームデータをすべてまとめると、重なりなしに一度だけ面Q全体が照射されるのである。このデータコンビネーション法のさらなる詳細は、以前に提出された本願発明者の特許明細書、例えば、米国特許第5463666号または第6084937号明細書に記載されている。
【0021】
マスクは、目下の放射源位置の上側の螺旋のターンおよび下側の螺旋のターンを検出器面に投影することによって形成される頂部の曲線と底部の曲線とからなる。放射源と検出器原点と結ぶ線が検出器面に直角であるように回転軸に配置された平面検出器については、螺旋状スキャンに対する頂部の曲線の方程式はつぎによって得られる。すなわち、
【0022】
【数1】
【0023】
ここでRは螺旋の半径であり、hは隣り合う螺旋のターン間の間隔(ピッチ)である。底部の曲線は、頂部の曲線の原点に関する鏡像であり、すなわち(u,v)⇒(−u,−v)である。このような螺旋のマスクのうちの1つの形状が図3に示されている。データコンビネーションマスクの形成および使用についてのさらなる詳細は、本願発明者の以前の円錐ビームに関する特許明細書、例えば、米国特許第5463666号または第6084937号に記載されている。
【0024】
本願発明者によって認識されたのは、”ADAPTIVE MASK BOUNDARY CORRECTION IN A CONE BEAM IMAGING SYSTEM”なる名称の上記の米国特許第6084937号では精確な画像の再構成を意図したにもかかわらず、実際にはまだ画像の誤差が存在することである。その理由はこのマスク処理が、適切なデータコンビネーションを達成するためには単なる近似でしかなかったからであり、これは円錐ビーム画像に交わる線積分の計算を制限するためである。したがって再構成処理は実際にはquasi−exact、すなわち再構成された画像はアーチファクトを有するのである。
【0025】
本願発明者によって認識されたのは、画像誤差の1要因が、積分の線分とマスク境界との間の「第2の交わり」から発生することである。より具体的にいうと、図3に示した線Lと頂部のマスク境界とを考慮してみる。ここではマスク境界に投影される螺旋のパスにより、底部から頂部に向かって時計方向にスキャンが行われる。線Lと頂部のマスク境界とは2点M1およびM2で交わる。この場合に、螺旋のスキャンパスは、線Lと目下の放射源位置とによって定まる積分面Qにつぎの順番で交わることになる。すなわち、目下の放射源位置、つぎにM1、さらにつぎにM2である。したがってデータコンビネーションに合致する線の部分、すなわち、下にある前の放射源位置と、上にある後続の放射源位置とによって挟まれている角度範囲のx線データは、M1の右側の区画である。円錐データ画像をフィルタリングする場合、投影演算P(θ)、すなわち線積分演算において含まれるべきであるのは、この区画だけである。しかしながら上述のフィルタ補正逆投影再構成アルゴリズムにおいて(またラドン空間ドリブンの再構成処理に使用されることが知られている上記のリノグラム法においても)、マスクの内側の線のすべての部分が投影演算に含まれていることが仮定される。すなわちM1の右側の区画だけでなく、M2の左側の区画も投影演算に含まれるのである。このような投影への不要の寄与(「ダブルヒット」と称されることもある)はつぎの場合に必ず生じる。すなわち、(1)積分の線が同じマスク境界に2回交わる、(2)第2の交点が検出器内にあるの場合に必ず生じる。より具体的にいうと、頂部および底部のマスク境界に対して、誤差が、第2の交点の左および右側の線分における線積分によってそれぞれ発生する。上記の精確なラドン空間ドリブンの再構成法では、これらの第2の交点の寄与は、各線積分に対する明示的なタビュレーション(tabulation)を介して回避されたことに注意されたい。このようなタビュレーションは、簡易化されたラドンドリブンの処理に対しては(すなわちリノグラム法またはフィルタ補正逆投影処理に対しては)実践的ではない。
【0026】
”A Method and Apparatus for Identifying and Correcting Image Inaccuracies Caused by Simplified Processing of Masked Cone Beam Projection Data”なる名称を有する本発明と同時に提出された本願発明者の特許明細書には、線分L((,s)からのこれらの第2の交点によって生じる画像の誤差を識別して補正する方法および装置が記載されている。第2の交点を有する線分が識別された後、図1Aおよび1Bに示したように、マスクされた円錐ビーム投影データに、識別した線分に沿って投影/微分/2D逆投影演算を適用することによって2D補正画像が形成される。このような投影、微分および2D逆投影は、極めて多くの識別された線分に対して実行しなければならず、これにより2D補正画像の生成は、計算機にとってやや複雑なタスクになってしまう。
【0027】
以上より望ましいのは、2D補正画像の生成を簡易化する方法を提供することである。
【0028】
本発明の要約
本発明は、物体の3次元(3D)コンピュータトモグラフィ(CT)イメージングに対するスキャニングおよびデータ収集方法および装置に関し、ここで再構成される画像は、複数の線分Lに沿って再構成データを計算することによって形成され、ここでこれらの線分は、物体の周りの相応する複数の放射源位置において検出器で収集された2D円錐ビーム投影データの複数の集合において形成される。各放射源位置において収集された円錐ビーム投影データの集合において形成される線分Lの端点は、円錐ビーム投影データの集合に適用されるデータコンビネーションマスクによって定められる。線積分は、円錐ビーム投影データの集合において線分に沿って計算され、これによって相応する複数の処理された2Dデータの集合が形成され、それぞれの処理された2Dデータの集合は、2D円錐ビーム投影データの所定の集合に対して定められる第1データ推定値の計算に相応する。各第1データ推定値に対して2D補正データが形成され、ここでこれは、マスクされた投影データの部分に1次元(1D)畳込み処理を実行することによって行われ、これによって上記の2D補正データが形成される。つぎに物体の精確な3D画像を再構成する画像再構成処理中に各第1データ推定値と、組み合わせのために形成された2D補正データとが組み合わせられる。
【0029】
図面の簡単な説明
図1Aおよび1Bは、上述のように、画像を再構成するための従来技術による3Dフィルタ補正逆投影アプローチを示しており、
図2および3は、上述のように、画像再構成処理中のデータコンビネーションマスクの使用と、その使用がどのように画像のアーチファクトの原因になり得るかを示しており、
図4は、本発明の原理にしたがって円錐ビームデータを収集しかつ処理するのに有利な3D CT画像装置を示しており、
図5および6は、画像のアーチファクトを形成する原因である線分の識別の仕方を理解するのに有効な線図を示しており、ここでこれは本発明の原理にしたがって補正画像を作成するために使用され、
図7aおよび7bは、マスクされた円錐ビーム投影データの1Dヒルベルト変換処理を示しており、これによって2D補正画像の作成が簡易化される。
【0030】
本発明の詳細な説明
図4には、本発明の原理にしたがって、円錐ビームデータを収集し、収集された円錐ビームデータを処理するのに有利な円錐ビーム3D CT画像装置が示されている。図示の画像装置は、上記の米国特許第5257183号明細書に記載されたのと実質的に同じ原理にしたがって構成されておりかつ動作する。またここでは、すでにここに文献としてすでに援用された本願発明者の上述の米国特許第5881123号および第6084937号に記載されているマスキング画像再構成法が使用される。
【0031】
図4に示したように、コンピュータ制御のマニュピュレータ408は、適切にプログラミングされたコンピュータ406からの制御信号に応じて、円錐またはピラミッド状のエネルギービーム(例えばx線)の放射源410と、2次元にピクセルが配置された検出器アレイ412とを、離散的に順次に設けられており隣り合う複数の放射源位置において、あらかじめ定めた放射源スキャンニングパスに沿って協働させる(スキャニングを行う)。図示の実施形態では、スキャニングパスは、物体416のあらかじめ定めた軸415にセンタリングされた螺旋状スキャンパス414として示されており、これは時計方向に螺旋状の方向で上に向かって進む。物体416を取り囲んで横断する別のタイプのスキャンパスも使用可能であるが、平行投影において高い対称性を示すスキャンパス414が有利である。
【0032】
検出器に対する高さについてのただ1つの要求は、それが、螺旋状スキャンパス414の検出器412への円錐ビーム投影において、隣接するターン間の距離よりも大きいことである。本願発明者の米国特許明細書第09/343770号に記載されているのは、ただ1つの「関心領域」(ROI=region of interest、物体416の陰影付きの領域として示されている)をイメージングすべき場合には、ROIの頂部および底部の端部においてそれぞれ頂部および底部スキャンパス円を用意する必要がないことである。したがって必要なのは、ROIの長さを横断する単純な連続した螺旋状スキャンパス14だけである。
【0033】
コンピュータ406およびマニュピュレータ408の制御の下で放射源/検出器が協働することにより、各放射源位置において、x線エネルギーのビームは、イメージング装置の視野を通過し、物体416内部の様々に変化するエネルギー吸収度(energy absorbing density)によって選択的に減衰され、検出器412のエレメント(ピクセル)に到来して検出されたx線エネルギーに相応する円錐ビームデータの集合が形成される。つぎにこの円錐ビームデータの集合は、データ収集システム(DAS=data acquisition system)417に供給される。ここでこれは、図4の上述した部分と同様に、この技術の分野における通常の知識を有する者が公知の手法で動作させることができ、収集された円錐ビームデータのディジタル化および記憶が行われる。
【0034】
本願発明者の上述の米国特許第5257183号に記載されているように、画像再構成処理418は、収集した円錐ビームデータから微分データを計算することによって開始され、これらのデータは、スキャンパスおよびROIの両方に交わる積分平面Qの部分に対して計算される。このようなQ平面の1つが図4に示されており、上述の図1にデータコンビネーション原理が示されている。
【0035】
簡易化された画像再構成処理法が使用されて物体416の画像再構成がディスプレイ420に形成される場合、例えば、リノグラム法を適用してラドン空間ドリブンの微分データの変換(例えば上述の米国特許第5257183号から公知の基本ラドン法)を行う場合、または(例えば、上述の米国特許第6084937号から公知である)FBP法または(例えば、上述の米国特許第5881123号から公知である)簡易化されたFBP法の場合、再構成される画像はquasi−exactであるに過ぎず、したがって単なる「推測」の画像としかみなすことができない。いずれの場合にも、「第2の交わり」の誤差を識別し、これを防止または補正して精確な画像再構成を行わなければならないのである。
【0036】
それゆえに本発明の原理では、簡易化された画像再構成処理中に「第2の交わり」の誤差が防止または補正される。
【0037】
「第2の交わり」の誤差の原因を識別するため、頂部マスクの漸近的な振る舞いがつぎの式(1)から導き出されて、つぎが得られる:
【0038】
【数2】
【0039】
図5に示したように、u⇒∞の際、マスクはu軸と角度τ(∞) = tan− 1(h/2πR)をなす直線に漸次近づき、u⇒−∞の際、マスクは放物線に漸次近づく。τ(∞)は、また投影されたスキャンパス方向tとu軸とがなす角でもあることに注意されたい。必要な前提条件として示すことができるのは、頂部マスク境界に2回交差しかつ第2の交点が検出器内にある積分線は、u軸との角度θが角度の範囲
【0040】
【数3】
【0041】
内にある線であることを識別することであり、ここでτ(−W/2)は、マスク境界に対する接線が、検出器の左側のエッジ、u = −W/2においてu軸となす角である。図5では例示的な線分L(θ,s)が示されており、ここでこれはθを第2の角度範囲[τ(−W/2),π]に有することに注意されたい。したがってこの例示的な線分L(θ,s)は、第2の交わり誤差部分50を有しており、これは交点M2の左側に延在していることが示されている。
【0042】
上側および下側のマスク境界においてこの第2の交わり誤差を有する上述の簡易化された画像再構成処理プロシージャのうちの1つを使用する場合、quasi−exactなフィルタ補正画像(ここでは「推定された」画像と称されることもある)に対する補正プロシージャには、つぎのステップが含まれる。すなわち、
(1) 頂部または底部のマスク境界に2回交わる線分を識別する;
(2) 識別したこれらの線分を使用して2D補正画像を形成する;
(3) quasi−exactなフィルタ補正画像からこの2D補正画像を減算する。
【0043】
ステップ2、すなわち識別した線分を使用した2D補正画像の形成は、つぎのようにして達成されることに注意されたい。すなわちこの2D補正画像の形成は、(この明細書の背景部分で述べ、また基本的にここの図1Aおよび1Bで示した投影/微分/2D逆投影演算からなる)フィルタリング演算D1Hを、識別した線分に沿い、円錐ビーム画像に対して適用することによって達成されるのである。
【0044】
さらに、本願発明者の以前の米国特許第5881123号に記載された簡易化されたFBP法は、つぎのようにしてquasi−exactな画像の形成に対して容易に使用できることにも注意されたい。すなわち、
1) 各放射源位置で収集した2D円錐ビーム投影データの各集合にマスクを適用し、各放射源位置に対して、マスクされた2Dデータの集合を形成し、
2) マスクされた2Dデータの各集合内で2D円錐ビーム投影データをランプフィルタリングして、ランプフィルタリングされた2Dデータの集合を形成し、
3) 物体の関心領域(ROI)の全視野に相応する3D空間に、上記のランプフィルタリングされた2Dデータの集合を重み付きで3D逆投影し、これによってこの3D空間に物体のROIの3D画像を再構成する。
【0045】
このランプフィルタリング法を使用する場合、quasi−exactなランプフィルタリングされた2Dデータの集合の画像から2D補正画像を減算するのが、すなわち画像減算を3D領域ではなく2D領域において行うのが最善である。
【0046】
図5および6(ここでL(θ,s)は前に定めたように積分線を表す)を参照すると、第2の交わりの誤差に寄与する部分を有する線分は、以下の3つの各条件を満たさなければならないことを示すことができる。すなわち、
1. θ∈A = [τ(−W/2)−π/2,τ(∞)+π/2];
2. |s|>|smin(θ)|,ここでL(θ,smin(θ))は(図6に示したように)頂部または底部のマスク境界に対する接線である;
3. 第2の交差の誤差に寄与する線分は、頂部マスクとの第2の交点の左側または底部マスクとの第2の交点の右側の線の部分を含んでいる。当然のことながらこのスキャンパスが逆方向にスキャンされる場合には、影響を受ける線分は、識別した第2の交点の反対側になる。
【0047】
したがって上記の結果から、L(θ,s)の全空間のうち、すべての線分のうちの極めてわずかなパーセントだけしか第2の交わりの誤差に寄与しないのである。結果的にこれらの誤差は容易に計算することでき、ここでこれは上記のように、これらの3つの条件によって定められる線分の識別された部分に、演算D1Hを適用することによって行われる。識別が行われると、これらの部分は補正2D画像を形成するために使用され、これは上記のように相応するquasi−exactな2D画像と組み合わせられ(すなわち減算され)、これによってさらに精確な3D再構成画像が得られるのである。
【0048】
本発明の別の様相によれば、本願発明により、補正画像の形成に使用される処理が簡易化される。ここでこれは1Dヒルベルト変換として公知の1次元(1D)畳込み/フィルタリング法を使用することによって行われる。
【0049】
より具体的にいうと、(この説明の範囲を越えてしまうが)第2の交わりの寄与に対する補正を行った後、点Pにおける演算Hに対するPSF(pixel spread function)が、1/2[H(τ(∞))+H(τ(P))]によって与えられることを示すことが可能である。ここでH(θ)は、角度θにおける1Dヒルベルト変換、τ(P)は、点Pに関するマスク境界の接線の角度である。
【0050】
背景を少し説明すると、1D関数g(v)=は、関数i sgn(k)のフーリエ変換であることが一般的に知られている。その関数の形は
g(v) = −1/(πv)
で与えられ、ヒルベルト変換として知られている(CT画像再構成技術の分野の技術者にはよく知られており、例えばR.N. Bracewellの”The Fourier Transform and Its Applications”, 1978, McGraw−Hill, p.267に詳述されている)。
【0051】
この発明のコンセプトを2D補正画像の作成に適用することについては、図7aおよび7bを参照することによって理解することができる。
【0052】
本発明の原理によれば、また図7aおよび7bに示したように、上側のマスク境界に対して、マスクされたデータの集合から2D補正画像を形成するための簡易化された演算Hはつぎを含んでいる。
【0053】
ステップ1.1 1/2 H(τ(∞))
1) 角度τ(∞)で原点Oを通る線70によって円錐ビーム画像7aを分割する。τ(∞)は、投影されたスキャンパス方向tがu軸となす角でもあることを思い起こされたい
2) 角度τ(∞)における1/2 1Dヒルベルト変換を、図7aに示した、分割された画像の左上部分に適用する。
【0054】
ステップ1.2 1/2 H(τ(P))
各角度
【0055】
【数4】
【0056】
に対して、
1) 角度θにおける線分であり、かつ頂部のマスク境界に接する線分を構成し、
2) 角度θにおける1/2 1Dヒルベルト変換を、接点の左側にある線分の部分のデータに適用する。図7bの左上の部分に示したように、これはすなわち線70の上の部分である。
【0057】
同様に本発明の原理によれば、また図7aおよび7bに示されているように下側のマスク境界に対して、簡易化された演算Hは、マスキングされたデータの集合から2D補正画像を形成するためにつぎを含む。すなわち、
ステップ2.1 1/2 H(τ(∞))
3) 角度τ(∞)で原点Oを通る線70によって円錐ビーム画像7aを分割する
4) 角度τ(∞)における1/2 1Dヒルベルト変換を、図7aに示した分割された画像の右下部分に適用する。
【0058】
ステップ2.2 1/2 H(τ(∞))
各角度
【0059】
【数5】
【0060】
に対して、
3) 角度θにおける線分であり、かつ底部のマスク境界に接する線分を構成し、
4) 角度θにおける1/2 1Dヒルベルト変換を、接点の右側にある線分の部分のデータに適用する。図7bの右下の部分に示したように、これはすなわち線70の下の部分である。
【0061】
重ね合わせステップ1.1およびステップ2.1は、図7aにおいて線図で示されており、重ね合わせステップ1.2およびステップ2.2は、図7bにおいて線図で示されている。後者に続いてDsを行うと、本願発明者の米国特許第5881123号に記載されているよく知られたランプフィルタリング演算に等価であることに注意されたい。
【0062】
この点から2つの方向に進み、
1. 図7aおよび7bによって示された処理によって得られたデータが組み合わされ、つぎにこの組み合わされたデータが、スキャンパスの方向に行われる1D d/dsフィルタリングによって処理される。これは、例えば図1Bの線110の揃えであり、ここでtは、スキャンパスに接して引かれれた線の投影の方向を向いており、または、
2. 図7aおよび7bに示した処理によって得られたデータが、それぞれ1D d/dsフィルタリングされ、つぎに組み合わされて、2D補正画像が作成されるようにするかのいずれかである。
【0063】
いずれの場合にも2D補正画像が作成されると、これは、その相応する第1推定画像から減算され、これによって第2の交じわりの誤差が除去される。
【0064】
したがって以上から示されたのは、円錐ビーム再構成においてマスキングを使用してデータコンビネーションを達成する場合の誤差の主因が、同じマスク境界に2回交わる積分線分から生じ、ここでこの第2の交点が検出器内にあることである。これらの線分は、検出器の投影空間にある。これら誤差は、この線分のグループに演算D1Hを適用することによって実質的に除去される。補正を含むフィルタリング処理は、わずかな数の1Dヒルベルト変換を使用することによって簡易化される。
【0065】
以上によって、円錐ビームCTイメージング装置において、簡易化された画像再構成処理を使用して作成した2D画像を補正する新規の方法および装置を示しかつ説明した。当業者には本発明の多くの変更、修正、変形ならび別の使用および適用が明らかになるが、本発明の有利な実施形態を記載したこの明細書およびその添付の図面を考慮してはじめて明らかになるのである。例えば、ステップ1.1および2.1は、投影データの集合のより効率的な処理のために単一のステップに組み合わせることが可能である。例えば、補正画像は、画像がまだ2D投影画像であるうちにではなく3D逆投影ステップ中にquasi−exactな画像と組み合わせることができる。本発明の教示から逸脱することのないこのようなすべての変更、修正、変形ならびに別の使用および適用は本発明によってカバーされると考えられられ、ここでこれは上記の説明を鑑みて解釈される請求項によってのみ制限される。
【図面の簡単な説明】
【図1A】
画像を再構成するための従来技術による3Dフィルタ補正逆投影アプローチを示す図である。
【図1B】
画像を再構成するための従来技術による3Dフィルタ補正逆投影アプローチを示す別の図である。
【図2】
画像再構成処理中のデータコンビネーションマスクの使用を示す図である。
【図3】
データコンビネーションマスクの使用がどのようにして画像のアーチファクトの原因になり得るかを示す図である。
【図4】
本発明の原理にしたがって円錐ビームデータを収集しかつ処理するのに有利な3D CT画像装置を示す図である。
【図5】
画像のアーチファクトを形成する原因である線分の識別の仕方を理解するのに有効な線図である。
【図6】
画像のアーチファクトを形成する原因である線分の識別の仕方を理解するのに有効な別の線図である。
【図7A】
2D補正画像の作成を簡易化するための、マスクされた円錐ビーム投影データの1Dヒルベルト変換処理を示す図である。
【図7B】
2D補正画像の作成を簡易化するための、マスクされた円錐ビーム投影データの1Dヒルベルト変換処理を示す別の図である。
関連する明細書への相互参照
本発明には、本願発明者により同時に提出された、「マスクされた円錐ビーム投影データの簡易化された処理によって発生した画像の誤差を識別して補正する方法および装置」(”A Method and Apparatus for Identifying and Correcting Image Inaccuracies Caused by Simplified Processing of Masked Cone Beam Projection Data”)なる名称の米国特許明細書に関連する事項が含まれている。
【0002】
発明の背景
1.発明の属する技術の分野
本発明は一般的には円錐ビームコンピュータトモグラフィ(CT)イメージングシステムに関し、また殊にマスクされた円錐ビーム投影データの処理によって発生した画像の誤差の補正を簡易化する方法および装置に関する。
【0003】
2. 従来技術の説明
最近では円錐ビーム幾何学形状を使用するシステムが、3次元(3D)コンピュータトモグラフィ(CT)イメージングに対して開発されており、これには円錐ビーム放射源および2Dエリア検出器が含まれる。イメージングすべき物体は、種々異なる方法のうちの任意の1つによって、有利には360°の角度領域にわたりその全長に沿ってスキャンされる。エリア検出器の位置は前記放射源に対して固定されており、放射源と物体との間の相対的な回転および並進的な運動によって上記のスキャニング(放射エネルギーによる物体の照射)が行われる。3D CTに対する円錐ビームアプローチは、医療および工業の両方の応用において、慣用の3D CT装置(すなわち平行またはファンビームのx線を使用して得られるスライスのスタックによるアプローチ)と比べた場合に、改善された速度および改善された線量利用率で3Dイメージングが得られるという可能性を有している。
【0004】
円錐ビーム源を複数の放射源位置(すなわち「ビュー」)にスキャンパスに沿って相対的に運動させることにより、検出器によって、円錐ビーム投影データ(ここでは円錐ビームデータまたは投影データとも称される)からなる順次の複数の集合が相応に収集される。ここで円錐ビームデータの各集合は、複数の放射源位置のうちのそれぞれの放射源位置において、物体により生じたx線の減衰を表す。
【0005】
公知であり、かつ例えば、ここに文献として援用される1993年10月26日に提出された本願発明者による”METHOD AND APPARATUS FOR CONVERTING CONE BEAM X−RAY PROJECTION DATA TO PLANAR INTEGRAL AND RECONSTRUCTING A THREE−DIMENSIONAL COMUTERIZED TOMOGRAPHY (CT) IMAGE OF AN OBJECT”なる名称の米国特許第5257183号に完全に記載されているように、画像再構成処理は、一般的に、収集された円錐ビームデータからラドン微分データを計算することによって開始される。ラドン微分データは通例、収集された円錐ビームデータに引かれた複数の線分Lに対して線積分の微分を計算することによって決定される。上記の第5257183号明細書に詳細に記載された実施形態では、微分データのラドン空間ドリブンの変換が使用されて、物体における関心領域(ROI region−of−interest)の精確な画像再構成が行われる。線積分の微分データの計算は、比較的複雑であり、また計算時間を消費してしまうタスクである。
【0006】
円錐ビームデータマスキング法は公知であり、この技法によってこのようなラドン空間ドリブンの再構成処理における微分データの計算の効率が改善される。すなわちこれが簡易化されるのである。このことは、1996年4月2日に提出された本願発明者による”METHOD AND SYSTEM FOR MASKING CONE BEAM PROJECTION DATA GENERATED FROM EITHER A REGION OF INTEREST HELICAL SCAN OR A HELICAL SCAN”なる名称の米国特許第5504792号に記載されている通りである。ここではこの明細書も同様にここに文献として援用する。通常行われるように物体のROIだけをイメージングすべき場合には、このマスキング技法によって、効率的な3D CTイメージングがより容易になる。そこに記載されている有利な実施形態では、スキャンニング経路は物体の周りに設けられ、ここでこの経路は、ROIの頂部および底部のエッジの近傍にそれぞれ配置された第1および第2のスキャンニング円を含み、螺旋状のスキャンニングパスがそれらの間に接続される。つぎにこのスキャニング経路が複数の放射源位置においてサンプリングされ、ここでこれらの放射源位置で円錐ビームエネルギーがROIに向かって放射される。ROIを通過した後、各放射源位置における残余エネルギーが、エリア検出器において、円錐ビームデータからなる複数の集合のうちの1つとして収集される。つぎに円錐ビームデータの各集合はマスクされ、これによって、物体のROIの投影において所定の部分区画外にある円錐ビームデータ部分が取り除かれ、またこの所定の部分区間内にある円錐ビーム投影データが保持される。円錐ビームデータの所定の集合に対する各マスクの形状は、検出器へのスキャンパスの投影によって決定され、これは、上記の円錐ビームデータの所定の集合が収集された放射源位置の上および下にある。マスクされる(すなわち保持される)円錐ビームデータはつぎに処理されて、線積分の微分再構成データが形成される。ROIの精確な画像は、共通の積分面で交わる種々異なる放射源位置から得られた再構成データを組み合わせることによって形成される。それゆえこのマスクは通例「データコンビネーション」マスクと称されるのである。
【0007】
このデータコンビネーションマスクを使用することによってラドンドリブンアプローチに必要な処理が格段に簡易化されるのではあるが、線積分の微分データの計算は、なお比較的複雑なタスクであり、また計算時間も消費してしまう。このようなラドン空間ドリブンの再構成処理アプローチにおいて、線積分の微分再構成データを形成する公知の1技法は、リノグラム(linogram)を使用することである。このリノグラム法によって、マスクされたデータの格段に高速でありかつ比較的簡易化された処理が得られ、線積分の微分再構成データが形成されるのではあるが、これによって作成されるのは、より精確さを欠いた、すなわちquasi−exactな再構成画像なのである。
【0008】
データコンビネーションマスクは、検出器データドリブンの技法、例えばフィルタ補正逆投影法(FBP=Filtered Back Projection)を使用する技法において微分データの計算効率を改善するためにも使用可能である。「簡易化された」FBP法は、1999年3月9日に提出された本願発明者による”SIMPLIFIED CONE BEAM IMAGE RECONSTRUCTION USING 3D BACKPROJECTION”なる名称の米国特許第5881123号に記載されており、この明細書も同様にここに文献として援用する。この簡易化された技法では、2Dの近似データの集合が使用されて画像が再構成され、ここでこの2Dの近似データの集合は、マスクされた円錐ビームデータのランプフィルタリング(ramp filtering)によって形成される。このフィルタリングは、この円錐ビームデータの集合が収集された放射源位置において、スキャンパスに接して引かれた線の投影方向に行われる。この技法も従来公知の技法より簡単であるが、再構成された画像はやはりquasi−exactである。
【0009】
したがって、同様にここに文献として援用される2000年7月4日に提出された、本願発明者による”ADAPTIVE MASK BOUNDARY CORRECTION IN A CONE BEAM IMAGING SYSTEM”なる名称の米国特許第6084937号には2D補正データを計算する技法が記載されており、これは、ランプフィルタリングされた2D近似データの集合と組み合わせた場合に、精確な画像再構成が得られることを意図したものである。この2D補正データは基本的に、データコンビネーションマスクの境界で交わる検出器の各点に対して、画像再構成処理を表す点広がり関数からなる。
【0010】
この技法も、また上述の米国特許第5504729号の技法も共に精確な画像再構成を得ることを意図したものであるが、本願発明者が認識したのは、このような技法もまた実際にはquasi−exactであることである。より具体的にいうと、例示的なフィルタ補正逆投影法(FBP)画像再構成において、検出器上でuおよびvをこの検出器のデカルト座標軸とし、ここでv軸は回転軸と一致し、またL(θ,s)により投影/逆投影が行われる線を表し、(θ−π/2)は、線L(θ,s)がu軸となす角であり、sは原点からのこの線の変位であるとする。円錐ビーム画像のフィルタリングは、明示的にせよ、暗黙的にせよ、結合された演算D1Hからなり、ここでD1は、投影されたスキャンパス方向tにおける(空間的な)微分演算であり、Hは∫B(θ)Ds(θ)P(θ)dθの省略記法である。P(θ)は角度θにおける2D投影演算(線積分)、Ds(θ)は角度θにおける投影に対する、sに関する1D微分演算、B(θ)は角度θにおける2D逆投影演算である。
【0011】
図1Aおよび1Bには、この組み合わされた演算がFBP再構成処理法において示されており、これは例えば上述の米国特許第6084937号に記載されている。FBP画像再構成は相異なる2種類の処理からなる。すなわち、第1は2次元(2D)の処理であり、また第2は3次元(3D)の処理である。2Dのステップでは各円錐ビーム投影画像が2次元空間で処理され、3Dのステップでは処理された2D画像が3次元の物体空間に逆投影される。2Dのステップは、以下の4つのFBP画像再構成サブステップからなり、ここでこれらはスキャンパスに沿った複数の放射源位置(Si)のうちの各放射源位置において収集された円錐ビームデータを処理するためのものである。すなわち、
1. 複数の角度θのうちの各角度で検出器面100において収集された円錐ビーム画像の1D投影(すなわち線積分)を計算する。このステップは、図1Aに、複数の角度θのうちの所定の角度θ1に対して示されている。1D投影102が座標s,θ1において示されており、これは、角度θ1に対して直角な複数の平行線L(s,θ)に沿った検出器面100における円錐ビーム画像104の積分値からなり、原点Oからの各線Lの増分間隔はsである。データの組み合わせのコンセプトおよび実現を説明する図2および3に関連して図示しかつ以下に説明するように、線Lの長さは、上述のマスキング技法を使用して制限される。一般的には検出器面100がN×Nのピクセルアレイからなる場合、角度θの数は通例、πN/2で得られる。
【0012】
2. 各1D投影102をd/dsフィルタにしたがってフィルタリング(微分)する。これによってs,θ座標の各座標において新たな値の集合が得られる。これは例えば図1Aに示した角度θ1に対して微分の投影106によって示される。これらのs,θ座標において得られた値の和(積分)により、積分平面Q(s,θ)に対してラドン微分に比例する量が得られることに注意されたい。これは、ラドン空間ドリブンの画像再構成処理に対して上述した通りである。
【0013】
3. 図1Bに示したように、各角度θから得られた微分の投影106を、2次元の物体空間107に逆投影する(これは検出器面100と一致する)。線108は、この逆投影を表しておりかつ各s座標から得られた値を、各θに対して直角な方向に2次元空間107に拡散させ、これによって逆投影画像109に寄与する。2次元の物体空間107は、仮想の検出器に相応するサイズを有しており、ここでこれは(スキャンパスのピッチに相応する高さを有する検出器に比較して)より拡大されており、これによって物体の全関心領域(ROI)がカバーされることに注意されたい。この拡大が必要な理由は、計算したラドンデータは、全Q平面の再構成に影響を及ぼし、データコンビネーションマスクによって表される部分的な平面だけに影響を及ぼすのではないからである。
【0014】
4. ステップ3において2D空間107に形成された逆投影画像を1D d/dtフィルタリングする。この1Dフィルタリングは、スキャンパスの方向に、すなわち線110に沿って行われ、ここでtは、スキャンパスに接して引かれた線の投影の方向を指し示す。
【0015】
さらに「簡易化された」FBP再構成処理法では、上記のステップ1〜3は、t(スキャンパスの接線方向の投影)方向におけるマスクされた2D投影データの「Feldkamp」ランプフィルタリングの単一のステップに一体化される。これは本願発明者の上述の米国特許第5881123号に詳しく記載されている通りである。
【0016】
上記のステップ4の後、図1Bに示したように、上記の3Dステップでは、このようにフィルタリングされたデータが、2D空間107から(すなわち検出器の各ピクセルから)3D物体体積体112における複数のサンプル点Pに重み付られて3D逆投影される。各点Pに割り当てられる密度(density)は、サンプル点とx線の位置との間の距離の2乗の逆数によって重み付けが行われる。
【0017】
データコンビネーションマスクを使用する画像再構成法、例えば上記のFBPおよび簡易化されたFBP法において共通であるのは、上述のデータコンビネーションマスク処理であり、これは、積分平面のx線カバー範囲を、各放射源位置において、現在の放射源位置の下にある先行の放射源位置と、上にある後続のソ放射源位置とによって境界付けられた角度範囲に制限する。共通の積分(Q)面で交わるいくつか放射源位置からのこのようなデータコンビネーションが、図2に示されている。
【0018】
より具体的にいうと、図2は、円柱状の物体および螺旋状のスキャンパスに交じわる典型的な積分面Q(s,θ)を表し、ここでこのスキャンパスは、仮想的な円柱において物体を包み込むと仮定され、かつこの物体における関心領域(ROI)の頂部および底部エッジと同じ高さに、頂部および底部の円形のスキャンパスを有する。面Qの辺側から見た図は図4に示されている(この説明の詳細部で説明される)。垂直でない面と円柱とが交わると楕円が生じることになるため、面Q(s,θ)と、物体および円柱状の螺旋状のスキャンパスとが交わって2つの楕円、すなわちそれぞれE1およびE2になって一方が他方に含まれる。これは図2に示した通りである。
【0019】
螺旋のパスはスキャンパスの円柱上にあるため、これは楕円E2上にある点において面Qに交わる。これらの放射源位置は図2においてS1,S2およびS3で示されている。同様に容易にわかるのは、頂部のスキャンパス円とこの面とが、E2と物体のROIの頂部のエッジとの間の共通部分にある2点T1およびT2において交わり、底部のスキャンパス円とこの面とが、E2と物体のROIの底部のエッジとの間の共通部分にある2点B1およびB2において交わることである。別の積分平面は、その方向に依存して、螺旋のスキャンパスとより大きなまたはより小さな共通部分を有することもあり、また頂部または底部の円形スキャンパスのいずれにも交わらないこともある。
【0020】
図2からわかるように、ROI内にある積分平面Qの部分を照射する放射源位置は、T2,S1,S2,S3およびB2である。積分平面のこの部分における関心領域200をX線で完全にカバーできるのは、図3に示したように、これらの5つの放射源位置で収集したデータを適切に組み合わせることによってである。例えば、T2において、T1T2およびT2S1によって挟まれた角度内の円錐ビームデータだけが使用され、またS1において、T2S1およびS1S2によって挟まれた角度内の円錐ビームデータだけが使用され、以下同様に続けられる。したがって5つの部分面P1〜P5が放射源位置T2,S1,S2,S3およびB2によって定められ、これらは重ならず、また一緒になってROI内にある面Qの部分を完全にカバーする。このようにして、寄与する各放射源位置からの円錐ビームデータをすべてまとめると、重なりなしに一度だけ面Q全体が照射されるのである。このデータコンビネーション法のさらなる詳細は、以前に提出された本願発明者の特許明細書、例えば、米国特許第5463666号または第6084937号明細書に記載されている。
【0021】
マスクは、目下の放射源位置の上側の螺旋のターンおよび下側の螺旋のターンを検出器面に投影することによって形成される頂部の曲線と底部の曲線とからなる。放射源と検出器原点と結ぶ線が検出器面に直角であるように回転軸に配置された平面検出器については、螺旋状スキャンに対する頂部の曲線の方程式はつぎによって得られる。すなわち、
【0022】
【数1】
【0023】
ここでRは螺旋の半径であり、hは隣り合う螺旋のターン間の間隔(ピッチ)である。底部の曲線は、頂部の曲線の原点に関する鏡像であり、すなわち(u,v)⇒(−u,−v)である。このような螺旋のマスクのうちの1つの形状が図3に示されている。データコンビネーションマスクの形成および使用についてのさらなる詳細は、本願発明者の以前の円錐ビームに関する特許明細書、例えば、米国特許第5463666号または第6084937号に記載されている。
【0024】
本願発明者によって認識されたのは、”ADAPTIVE MASK BOUNDARY CORRECTION IN A CONE BEAM IMAGING SYSTEM”なる名称の上記の米国特許第6084937号では精確な画像の再構成を意図したにもかかわらず、実際にはまだ画像の誤差が存在することである。その理由はこのマスク処理が、適切なデータコンビネーションを達成するためには単なる近似でしかなかったからであり、これは円錐ビーム画像に交わる線積分の計算を制限するためである。したがって再構成処理は実際にはquasi−exact、すなわち再構成された画像はアーチファクトを有するのである。
【0025】
本願発明者によって認識されたのは、画像誤差の1要因が、積分の線分とマスク境界との間の「第2の交わり」から発生することである。より具体的にいうと、図3に示した線Lと頂部のマスク境界とを考慮してみる。ここではマスク境界に投影される螺旋のパスにより、底部から頂部に向かって時計方向にスキャンが行われる。線Lと頂部のマスク境界とは2点M1およびM2で交わる。この場合に、螺旋のスキャンパスは、線Lと目下の放射源位置とによって定まる積分面Qにつぎの順番で交わることになる。すなわち、目下の放射源位置、つぎにM1、さらにつぎにM2である。したがってデータコンビネーションに合致する線の部分、すなわち、下にある前の放射源位置と、上にある後続の放射源位置とによって挟まれている角度範囲のx線データは、M1の右側の区画である。円錐データ画像をフィルタリングする場合、投影演算P(θ)、すなわち線積分演算において含まれるべきであるのは、この区画だけである。しかしながら上述のフィルタ補正逆投影再構成アルゴリズムにおいて(またラドン空間ドリブンの再構成処理に使用されることが知られている上記のリノグラム法においても)、マスクの内側の線のすべての部分が投影演算に含まれていることが仮定される。すなわちM1の右側の区画だけでなく、M2の左側の区画も投影演算に含まれるのである。このような投影への不要の寄与(「ダブルヒット」と称されることもある)はつぎの場合に必ず生じる。すなわち、(1)積分の線が同じマスク境界に2回交わる、(2)第2の交点が検出器内にあるの場合に必ず生じる。より具体的にいうと、頂部および底部のマスク境界に対して、誤差が、第2の交点の左および右側の線分における線積分によってそれぞれ発生する。上記の精確なラドン空間ドリブンの再構成法では、これらの第2の交点の寄与は、各線積分に対する明示的なタビュレーション(tabulation)を介して回避されたことに注意されたい。このようなタビュレーションは、簡易化されたラドンドリブンの処理に対しては(すなわちリノグラム法またはフィルタ補正逆投影処理に対しては)実践的ではない。
【0026】
”A Method and Apparatus for Identifying and Correcting Image Inaccuracies Caused by Simplified Processing of Masked Cone Beam Projection Data”なる名称を有する本発明と同時に提出された本願発明者の特許明細書には、線分L((,s)からのこれらの第2の交点によって生じる画像の誤差を識別して補正する方法および装置が記載されている。第2の交点を有する線分が識別された後、図1Aおよび1Bに示したように、マスクされた円錐ビーム投影データに、識別した線分に沿って投影/微分/2D逆投影演算を適用することによって2D補正画像が形成される。このような投影、微分および2D逆投影は、極めて多くの識別された線分に対して実行しなければならず、これにより2D補正画像の生成は、計算機にとってやや複雑なタスクになってしまう。
【0027】
以上より望ましいのは、2D補正画像の生成を簡易化する方法を提供することである。
【0028】
本発明の要約
本発明は、物体の3次元(3D)コンピュータトモグラフィ(CT)イメージングに対するスキャニングおよびデータ収集方法および装置に関し、ここで再構成される画像は、複数の線分Lに沿って再構成データを計算することによって形成され、ここでこれらの線分は、物体の周りの相応する複数の放射源位置において検出器で収集された2D円錐ビーム投影データの複数の集合において形成される。各放射源位置において収集された円錐ビーム投影データの集合において形成される線分Lの端点は、円錐ビーム投影データの集合に適用されるデータコンビネーションマスクによって定められる。線積分は、円錐ビーム投影データの集合において線分に沿って計算され、これによって相応する複数の処理された2Dデータの集合が形成され、それぞれの処理された2Dデータの集合は、2D円錐ビーム投影データの所定の集合に対して定められる第1データ推定値の計算に相応する。各第1データ推定値に対して2D補正データが形成され、ここでこれは、マスクされた投影データの部分に1次元(1D)畳込み処理を実行することによって行われ、これによって上記の2D補正データが形成される。つぎに物体の精確な3D画像を再構成する画像再構成処理中に各第1データ推定値と、組み合わせのために形成された2D補正データとが組み合わせられる。
【0029】
図面の簡単な説明
図1Aおよび1Bは、上述のように、画像を再構成するための従来技術による3Dフィルタ補正逆投影アプローチを示しており、
図2および3は、上述のように、画像再構成処理中のデータコンビネーションマスクの使用と、その使用がどのように画像のアーチファクトの原因になり得るかを示しており、
図4は、本発明の原理にしたがって円錐ビームデータを収集しかつ処理するのに有利な3D CT画像装置を示しており、
図5および6は、画像のアーチファクトを形成する原因である線分の識別の仕方を理解するのに有効な線図を示しており、ここでこれは本発明の原理にしたがって補正画像を作成するために使用され、
図7aおよび7bは、マスクされた円錐ビーム投影データの1Dヒルベルト変換処理を示しており、これによって2D補正画像の作成が簡易化される。
【0030】
本発明の詳細な説明
図4には、本発明の原理にしたがって、円錐ビームデータを収集し、収集された円錐ビームデータを処理するのに有利な円錐ビーム3D CT画像装置が示されている。図示の画像装置は、上記の米国特許第5257183号明細書に記載されたのと実質的に同じ原理にしたがって構成されておりかつ動作する。またここでは、すでにここに文献としてすでに援用された本願発明者の上述の米国特許第5881123号および第6084937号に記載されているマスキング画像再構成法が使用される。
【0031】
図4に示したように、コンピュータ制御のマニュピュレータ408は、適切にプログラミングされたコンピュータ406からの制御信号に応じて、円錐またはピラミッド状のエネルギービーム(例えばx線)の放射源410と、2次元にピクセルが配置された検出器アレイ412とを、離散的に順次に設けられており隣り合う複数の放射源位置において、あらかじめ定めた放射源スキャンニングパスに沿って協働させる(スキャニングを行う)。図示の実施形態では、スキャニングパスは、物体416のあらかじめ定めた軸415にセンタリングされた螺旋状スキャンパス414として示されており、これは時計方向に螺旋状の方向で上に向かって進む。物体416を取り囲んで横断する別のタイプのスキャンパスも使用可能であるが、平行投影において高い対称性を示すスキャンパス414が有利である。
【0032】
検出器に対する高さについてのただ1つの要求は、それが、螺旋状スキャンパス414の検出器412への円錐ビーム投影において、隣接するターン間の距離よりも大きいことである。本願発明者の米国特許明細書第09/343770号に記載されているのは、ただ1つの「関心領域」(ROI=region of interest、物体416の陰影付きの領域として示されている)をイメージングすべき場合には、ROIの頂部および底部の端部においてそれぞれ頂部および底部スキャンパス円を用意する必要がないことである。したがって必要なのは、ROIの長さを横断する単純な連続した螺旋状スキャンパス14だけである。
【0033】
コンピュータ406およびマニュピュレータ408の制御の下で放射源/検出器が協働することにより、各放射源位置において、x線エネルギーのビームは、イメージング装置の視野を通過し、物体416内部の様々に変化するエネルギー吸収度(energy absorbing density)によって選択的に減衰され、検出器412のエレメント(ピクセル)に到来して検出されたx線エネルギーに相応する円錐ビームデータの集合が形成される。つぎにこの円錐ビームデータの集合は、データ収集システム(DAS=data acquisition system)417に供給される。ここでこれは、図4の上述した部分と同様に、この技術の分野における通常の知識を有する者が公知の手法で動作させることができ、収集された円錐ビームデータのディジタル化および記憶が行われる。
【0034】
本願発明者の上述の米国特許第5257183号に記載されているように、画像再構成処理418は、収集した円錐ビームデータから微分データを計算することによって開始され、これらのデータは、スキャンパスおよびROIの両方に交わる積分平面Qの部分に対して計算される。このようなQ平面の1つが図4に示されており、上述の図1にデータコンビネーション原理が示されている。
【0035】
簡易化された画像再構成処理法が使用されて物体416の画像再構成がディスプレイ420に形成される場合、例えば、リノグラム法を適用してラドン空間ドリブンの微分データの変換(例えば上述の米国特許第5257183号から公知の基本ラドン法)を行う場合、または(例えば、上述の米国特許第6084937号から公知である)FBP法または(例えば、上述の米国特許第5881123号から公知である)簡易化されたFBP法の場合、再構成される画像はquasi−exactであるに過ぎず、したがって単なる「推測」の画像としかみなすことができない。いずれの場合にも、「第2の交わり」の誤差を識別し、これを防止または補正して精確な画像再構成を行わなければならないのである。
【0036】
それゆえに本発明の原理では、簡易化された画像再構成処理中に「第2の交わり」の誤差が防止または補正される。
【0037】
「第2の交わり」の誤差の原因を識別するため、頂部マスクの漸近的な振る舞いがつぎの式(1)から導き出されて、つぎが得られる:
【0038】
【数2】
【0039】
図5に示したように、u⇒∞の際、マスクはu軸と角度τ(∞) = tan− 1(h/2πR)をなす直線に漸次近づき、u⇒−∞の際、マスクは放物線に漸次近づく。τ(∞)は、また投影されたスキャンパス方向tとu軸とがなす角でもあることに注意されたい。必要な前提条件として示すことができるのは、頂部マスク境界に2回交差しかつ第2の交点が検出器内にある積分線は、u軸との角度θが角度の範囲
【0040】
【数3】
【0041】
内にある線であることを識別することであり、ここでτ(−W/2)は、マスク境界に対する接線が、検出器の左側のエッジ、u = −W/2においてu軸となす角である。図5では例示的な線分L(θ,s)が示されており、ここでこれはθを第2の角度範囲[τ(−W/2),π]に有することに注意されたい。したがってこの例示的な線分L(θ,s)は、第2の交わり誤差部分50を有しており、これは交点M2の左側に延在していることが示されている。
【0042】
上側および下側のマスク境界においてこの第2の交わり誤差を有する上述の簡易化された画像再構成処理プロシージャのうちの1つを使用する場合、quasi−exactなフィルタ補正画像(ここでは「推定された」画像と称されることもある)に対する補正プロシージャには、つぎのステップが含まれる。すなわち、
(1) 頂部または底部のマスク境界に2回交わる線分を識別する;
(2) 識別したこれらの線分を使用して2D補正画像を形成する;
(3) quasi−exactなフィルタ補正画像からこの2D補正画像を減算する。
【0043】
ステップ2、すなわち識別した線分を使用した2D補正画像の形成は、つぎのようにして達成されることに注意されたい。すなわちこの2D補正画像の形成は、(この明細書の背景部分で述べ、また基本的にここの図1Aおよび1Bで示した投影/微分/2D逆投影演算からなる)フィルタリング演算D1Hを、識別した線分に沿い、円錐ビーム画像に対して適用することによって達成されるのである。
【0044】
さらに、本願発明者の以前の米国特許第5881123号に記載された簡易化されたFBP法は、つぎのようにしてquasi−exactな画像の形成に対して容易に使用できることにも注意されたい。すなわち、
1) 各放射源位置で収集した2D円錐ビーム投影データの各集合にマスクを適用し、各放射源位置に対して、マスクされた2Dデータの集合を形成し、
2) マスクされた2Dデータの各集合内で2D円錐ビーム投影データをランプフィルタリングして、ランプフィルタリングされた2Dデータの集合を形成し、
3) 物体の関心領域(ROI)の全視野に相応する3D空間に、上記のランプフィルタリングされた2Dデータの集合を重み付きで3D逆投影し、これによってこの3D空間に物体のROIの3D画像を再構成する。
【0045】
このランプフィルタリング法を使用する場合、quasi−exactなランプフィルタリングされた2Dデータの集合の画像から2D補正画像を減算するのが、すなわち画像減算を3D領域ではなく2D領域において行うのが最善である。
【0046】
図5および6(ここでL(θ,s)は前に定めたように積分線を表す)を参照すると、第2の交わりの誤差に寄与する部分を有する線分は、以下の3つの各条件を満たさなければならないことを示すことができる。すなわち、
1. θ∈A = [τ(−W/2)−π/2,τ(∞)+π/2];
2. |s|>|smin(θ)|,ここでL(θ,smin(θ))は(図6に示したように)頂部または底部のマスク境界に対する接線である;
3. 第2の交差の誤差に寄与する線分は、頂部マスクとの第2の交点の左側または底部マスクとの第2の交点の右側の線の部分を含んでいる。当然のことながらこのスキャンパスが逆方向にスキャンされる場合には、影響を受ける線分は、識別した第2の交点の反対側になる。
【0047】
したがって上記の結果から、L(θ,s)の全空間のうち、すべての線分のうちの極めてわずかなパーセントだけしか第2の交わりの誤差に寄与しないのである。結果的にこれらの誤差は容易に計算することでき、ここでこれは上記のように、これらの3つの条件によって定められる線分の識別された部分に、演算D1Hを適用することによって行われる。識別が行われると、これらの部分は補正2D画像を形成するために使用され、これは上記のように相応するquasi−exactな2D画像と組み合わせられ(すなわち減算され)、これによってさらに精確な3D再構成画像が得られるのである。
【0048】
本発明の別の様相によれば、本願発明により、補正画像の形成に使用される処理が簡易化される。ここでこれは1Dヒルベルト変換として公知の1次元(1D)畳込み/フィルタリング法を使用することによって行われる。
【0049】
より具体的にいうと、(この説明の範囲を越えてしまうが)第2の交わりの寄与に対する補正を行った後、点Pにおける演算Hに対するPSF(pixel spread function)が、1/2[H(τ(∞))+H(τ(P))]によって与えられることを示すことが可能である。ここでH(θ)は、角度θにおける1Dヒルベルト変換、τ(P)は、点Pに関するマスク境界の接線の角度である。
【0050】
背景を少し説明すると、1D関数g(v)=は、関数i sgn(k)のフーリエ変換であることが一般的に知られている。その関数の形は
g(v) = −1/(πv)
で与えられ、ヒルベルト変換として知られている(CT画像再構成技術の分野の技術者にはよく知られており、例えばR.N. Bracewellの”The Fourier Transform and Its Applications”, 1978, McGraw−Hill, p.267に詳述されている)。
【0051】
この発明のコンセプトを2D補正画像の作成に適用することについては、図7aおよび7bを参照することによって理解することができる。
【0052】
本発明の原理によれば、また図7aおよび7bに示したように、上側のマスク境界に対して、マスクされたデータの集合から2D補正画像を形成するための簡易化された演算Hはつぎを含んでいる。
【0053】
ステップ1.1 1/2 H(τ(∞))
1) 角度τ(∞)で原点Oを通る線70によって円錐ビーム画像7aを分割する。τ(∞)は、投影されたスキャンパス方向tがu軸となす角でもあることを思い起こされたい
2) 角度τ(∞)における1/2 1Dヒルベルト変換を、図7aに示した、分割された画像の左上部分に適用する。
【0054】
ステップ1.2 1/2 H(τ(P))
各角度
【0055】
【数4】
【0056】
に対して、
1) 角度θにおける線分であり、かつ頂部のマスク境界に接する線分を構成し、
2) 角度θにおける1/2 1Dヒルベルト変換を、接点の左側にある線分の部分のデータに適用する。図7bの左上の部分に示したように、これはすなわち線70の上の部分である。
【0057】
同様に本発明の原理によれば、また図7aおよび7bに示されているように下側のマスク境界に対して、簡易化された演算Hは、マスキングされたデータの集合から2D補正画像を形成するためにつぎを含む。すなわち、
ステップ2.1 1/2 H(τ(∞))
3) 角度τ(∞)で原点Oを通る線70によって円錐ビーム画像7aを分割する
4) 角度τ(∞)における1/2 1Dヒルベルト変換を、図7aに示した分割された画像の右下部分に適用する。
【0058】
ステップ2.2 1/2 H(τ(∞))
各角度
【0059】
【数5】
【0060】
に対して、
3) 角度θにおける線分であり、かつ底部のマスク境界に接する線分を構成し、
4) 角度θにおける1/2 1Dヒルベルト変換を、接点の右側にある線分の部分のデータに適用する。図7bの右下の部分に示したように、これはすなわち線70の下の部分である。
【0061】
重ね合わせステップ1.1およびステップ2.1は、図7aにおいて線図で示されており、重ね合わせステップ1.2およびステップ2.2は、図7bにおいて線図で示されている。後者に続いてDsを行うと、本願発明者の米国特許第5881123号に記載されているよく知られたランプフィルタリング演算に等価であることに注意されたい。
【0062】
この点から2つの方向に進み、
1. 図7aおよび7bによって示された処理によって得られたデータが組み合わされ、つぎにこの組み合わされたデータが、スキャンパスの方向に行われる1D d/dsフィルタリングによって処理される。これは、例えば図1Bの線110の揃えであり、ここでtは、スキャンパスに接して引かれれた線の投影の方向を向いており、または、
2. 図7aおよび7bに示した処理によって得られたデータが、それぞれ1D d/dsフィルタリングされ、つぎに組み合わされて、2D補正画像が作成されるようにするかのいずれかである。
【0063】
いずれの場合にも2D補正画像が作成されると、これは、その相応する第1推定画像から減算され、これによって第2の交じわりの誤差が除去される。
【0064】
したがって以上から示されたのは、円錐ビーム再構成においてマスキングを使用してデータコンビネーションを達成する場合の誤差の主因が、同じマスク境界に2回交わる積分線分から生じ、ここでこの第2の交点が検出器内にあることである。これらの線分は、検出器の投影空間にある。これら誤差は、この線分のグループに演算D1Hを適用することによって実質的に除去される。補正を含むフィルタリング処理は、わずかな数の1Dヒルベルト変換を使用することによって簡易化される。
【0065】
以上によって、円錐ビームCTイメージング装置において、簡易化された画像再構成処理を使用して作成した2D画像を補正する新規の方法および装置を示しかつ説明した。当業者には本発明の多くの変更、修正、変形ならび別の使用および適用が明らかになるが、本発明の有利な実施形態を記載したこの明細書およびその添付の図面を考慮してはじめて明らかになるのである。例えば、ステップ1.1および2.1は、投影データの集合のより効率的な処理のために単一のステップに組み合わせることが可能である。例えば、補正画像は、画像がまだ2D投影画像であるうちにではなく3D逆投影ステップ中にquasi−exactな画像と組み合わせることができる。本発明の教示から逸脱することのないこのようなすべての変更、修正、変形ならびに別の使用および適用は本発明によってカバーされると考えられられ、ここでこれは上記の説明を鑑みて解釈される請求項によってのみ制限される。
【図面の簡単な説明】
【図1A】
画像を再構成するための従来技術による3Dフィルタ補正逆投影アプローチを示す図である。
【図1B】
画像を再構成するための従来技術による3Dフィルタ補正逆投影アプローチを示す別の図である。
【図2】
画像再構成処理中のデータコンビネーションマスクの使用を示す図である。
【図3】
データコンビネーションマスクの使用がどのようにして画像のアーチファクトの原因になり得るかを示す図である。
【図4】
本発明の原理にしたがって円錐ビームデータを収集しかつ処理するのに有利な3D CT画像装置を示す図である。
【図5】
画像のアーチファクトを形成する原因である線分の識別の仕方を理解するのに有効な線図である。
【図6】
画像のアーチファクトを形成する原因である線分の識別の仕方を理解するのに有効な別の線図である。
【図7A】
2D補正画像の作成を簡易化するための、マスクされた円錐ビーム投影データの1Dヒルベルト変換処理を示す図である。
【図7B】
2D補正画像の作成を簡易化するための、マスクされた円錐ビーム投影データの1Dヒルベルト変換処理を示す別の図である。
Claims (3)
- 物体の3次元(3D)コンピュータトモグラフィ(CT)イメージングに対する方法および装置において、
前記物体を照射することによって2D円錐ビーム投射データの複数の集合を収集し、ここで当該照射は、前記物体の周りに配置された相応する複数のスキャンパス放射源位置にて、2D検出器に向かって配向された円錐ビーム源からのエネルギーで行われ、
前記2D円錐ビーム投影データの各集合にマスクを適用して、相応する複数のマスクされた2Dデータの集合を形成し、
2D円錐ビーム投影データにて複数の線分L(s,θ)に沿って線積分を処理し、ここで該線分は、マスクされた2Dデータの各集合の境界によって定められる端点を有しており、当該処理によって相応する処理された2Dデータの集合が形成され、処理された2Dデータの各集合は、2D円錐ビーム投影データの所定の集合に対して決定される第1データ推定値の計算に相応し、
各第1データ推定値に対して2D補正データを形成し、ここで当該形成は、前記のマスクされた投射データの部分に1次元(1D)畳込み処理を実行することによって行われ、これによって前記の2D補正データが形成され、
前記物体の精確な3D画像を再構成する画像再構成処理中に、各第1データ推定値と、組み合わせのために形成された前記2D補正データとを組み合わせることを特徴とする、
物体の3次元(3D)コンピュータトモグラフィ(CT)イメージングに対する方法および装置。 - 前記の1D畳込み処理が実行される2D円錐ビーム投影データの部分は、前記のマスキングされたデータの第1,第2,第3および第4の部分を含み、
各部分は、前記マスクの境界と、該マスクに接して引かれた線との間の領域によって囲まれている、
請求項1に記載の方法。 - 前記1D畳込み処理には、1Dヒルベルト変換が含まれる、
請求項1に記載の方法および装置。
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