JP2004514491A - 患者の覚醒状態において睡眠時無呼吸の診断をする方法および装置 - Google Patents
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Abstract
Description
【政府の権益についての陳述】
本発明は、実施料を支払うことなく、政治上の目的で、米国政府によって、または米国政府のために、製造、使用される可能性がある。
【0002】
【発明の属する技術分野】
一般的に、本発明は、医療診断を実行するための方法および装置に関するものであり、特に、患者が覚醒状態において、睡眠呼吸疾患または他の生理的な呼吸器の機能障害の診断を可能にする方法および装置に関するものである。
【0003】
【従来の技術】
人間の睡眠呼吸疾患および他の生理的な呼吸器の機能障害は、診断を必要とするエリアを備えている。このエリアは、閉塞性の睡眠時無呼吸または睡眠呼吸疾患と呼ばれている。小児科の幼児や新生児において、幼児の突然死現象や睡眠呼吸疾患という脅威的な現象が発生していることが、かなり報告されている。55才以上の健康的な大人の25%以上が、睡眠時無呼吸に襲われている。睡眠時無呼吸は、日中の疲労や、職場におけるアクシデントの増加、心血管の障害の一因となる。これらの様々な生理的な呼吸器の障害を診断するための効率的な方法および処置を実現するため、比較的簡単に実行できる処置が必要とされている。
【0004】
Griebelの米国特許4982738号では、患者の睡眠状態における心拍数と同様に、患者のいびきおよび呼吸音を録音する無呼吸診断モニタシステムが開示されている。いびき音およびその時間間隔を示す信号は、録音された呼吸から生成される。このシステムは、1時間あたりのいびきの症状の間隔数を表す第1の呼吸疾患指数を発生する。平均心拍数も、録音された患者の第2の呼吸疾患指数に応じて生成される。第2の呼吸疾患指数は、患者の心拍数を平均心拍数の90%から109%に維持して計測された、1時間あたりの特異現象(spisodes)数を示す指数である。医者は、閉塞性の睡眠時無呼吸の徴候があるかどうかを決定するために、第1および第2の障害指数を評価する。
【0005】
Koyamaの米国特許5101831号では、睡眠状態を識別し、選択的に患者を起こすためのシステムが開示されている。このシステムは、測定の開始時間からインクリメントするために測定された生理的信号の時系列の傾向を表す第1の変化量、および生理的信号の一時的な変化を意味する第2の変化量に基づく、生理的信号の変化量を表す指数の変化量を提供する。これらの信号は、あらかじめ定めたしきい値を超える変化指数の密度分布に基づいて、様々な睡眠状態、つまり、NREMやREM睡眠状態の区別を可能にする。
【0006】
Nishimuraの米国特許5105354号では、呼吸と心拍の変化性を相互に関連付ける方法および装置、特に、新生児の通常状態および睡眠時無呼吸状態における呼吸と心拍との関連を調査することによって、幼児の突然死現象を予測する方法が開示されている。本質的には、このシステムは呼吸情報を検知し、呼吸情報を表す包絡線を生成する。そして、包絡線情報の高速フーリエ変換スペクトルを生成するため、包絡線を標本化(sample)する。同様に、このシステムは、心電図の形式で心電情報を検知し、ピーク値を検知して、R−R区間変化量(R−R interval variation)のスペクトラムに高速フーリエ変換された連続するR−R区間級数(R−R interval series)を計算する。これら2つの共役数はかけ算され、高速フーリエ変換を通じて、新生児の標準状態が睡眠時無呼吸の状態になる前に、状態を識別できる呼吸と心拍との関連を計算して解析し、幼児の突然死現象を予測する
Yamanashiの米国特許5385144号では、閉塞性の睡眠時無呼吸と中枢性無呼吸とを区別する呼吸診断装置が開示されている。アナログ・シグナルプロセッサは、光の放射手段から受けた光であって、生体組織を通過またはそれに反射した光に基づいて、パルス波信号を発生する。アナログ・シグナルプロセッサが抽出するパルス波の列は、発生したパルス波信号のベースラインの成分を変化させる。マスター・マイクロコンピュータは、抽出されたパルス波のベースラインの変化に基づいて、閉塞性の睡眠時無呼吸と中枢性無呼吸とを区別する。
【0007】
Lynnの米国特許5398682号では、人体の一部分との1つのインターフェースを利用した睡眠時無呼吸を診断する装置が開示されている。特に、患者の血液の酸素飽和度(oxygen saturation)により、脱飽和(resaturation)とresaturation現象を特定する。当該現象の傾向は、睡眠時無呼吸を決定するための様々な情報と比較され決定される。心臓および呼吸系信号は、非線形力学的システム信号であることも認識されている。
【0008】
Wangの米国特許5404298号およびBroomheadの米国特許5453940号では、力学的システムアナライザーまたはカオスアナライザーが、力学的システム信号に基づいて特性を決定することが有用であることが開示されている。さらに、Strogatz、Steven Hの「カオスの非線形力学」(アディソン・ウェズレー出版社、1994年379頁)には、カオス使用に関する情報が記述されている。
【0009】
この出願と同一の発明者による米国特許5769084号では、習慣的な一晩中の睡眠研究において、睡眠呼吸疾患に特有な現象の開始タイミングおよび継続期間を特定する装置および方法が開示されている。カオス処理技術は、1以上の心呼吸系機能に関するデータを分析する。例えば、鼻の空気流、胸壁症(chest wall effort)、酸素飽和、心拍数、心臓運動などである。しきい値を超えた信号の脱線から、閉塞性の睡眠時無呼吸および他の呼吸疾患の診断に有用な現象のタイミングを表すマーカーを得る。
【0010】
習慣的な睡眠の研究には、重要な仕事を担当する人材が必要とされる。一般的に、彼らは、特殊な施設において行動する。ある患者が、夜は部屋に滞在し、いつもどおりに、午後8時ごろに部屋に帰ってきて、午前6時ごろに部屋を出る。少なくとも訓練を受けた2人の技術者が、試験期間中は居合わせている。彼らは、頭、胸、腕、足に様々なセンサを取り付け、多くの患者から様々な信号をモニタする。マルチチャンネルのチャート結果および観察された現象は、睡眠時無呼吸または他の呼吸疾患の存在を決定するために、様々な専門を有する1人または2人の医者によって検査される。この要件が満たされても、他の目的には有用でないが、この習慣的な睡眠の研究では重要な医療的施設が必要とされる。さらに、この診断は、非常に労力を要するものである。
【0011】
Katzの「人間の主部における呼吸器および心臓障害の検知用の非線形方法」(SPIE Vol.2612 Page.189(1995))によれば、患者の覚醒状態において、診断を行う可能性が仮説されている。この文献では、量的な結果を示しておらず、生理的な機能による一時的な信号をただプロットしている。患者の覚醒状態において、睡眠障害または他の呼吸疾患を審査できる診断テストであり、これにより、多数の患者の習慣的な睡眠の研究のための施設を設ける必要がない。このような先行技術が存在するにもかかわらず、睡眠時無呼吸を診断するための現状の伝統的な手法が診断法として採用され続けている。
【0012】
【発明の概要】
したがって、本発明は、患者の覚醒状態において、睡眠呼吸疾患の診断を簡易化するための方法および装置を提供することを目的とする。
【0013】
さらに、本発明は、患者の覚醒状態において、睡眠呼吸疾患に特有な現象の開始タイミングおよび継続期間を特定するマーカーを発生する方法および装置を提供することを目的とする。
【0014】
本発明によれば、心呼吸系(心肺)機能が、患者の覚醒状態において時間の経過とともにモニタされる。各心呼吸系機能のデジタル化された時系列表示が、生成される。対応する時系列表示のカオス処理により、処理信号が生成される。しきい値を外れる信号の挙動は、現象の開始時間とその継続期間によって示される。
【0015】
【好ましい実施形態の説明】
添付のクレームは、特殊性で指摘し、本発明の主題を明確に主張するように意図されている。本発明の様々な目的、利点および新規な特徴は、同様の部分には同様の符号を付した図面とともに、次の詳細な記述からより明らかになるであろう。
【0016】
本発明の具体例である装置10は、1以上のモニタを備えており、その各モニタ11は、少なくとも患者12の心呼吸系機能を、時間経過とともにモニタするものである。各モニタ11は、セレクタ13がカオスプロセッサ14に伝達する信号を生成する。カオスプロセッサ14は、選択された各信号を、モニタされた心呼吸系機能の時系列表示に変換し、その時系列表示のカオス処理に基づいた当該機能のための信号を生成する。出力部15は、対応するしきい値を超える信号の各挙動(excursions)をマーカーとして特定し、現象の開始タイミングおよび継続期間を示す。
【0017】
図1に、モニタ11、カオスプロセッサ14および出力部15の特定の具体例を示す。セレクタ13は、逐次に各信号をサンプルするために、マルチプロセッサまたはスイッチとして機能する。説明ためだけに、セレクタを用いたことは明らかであろう。仮に、この装置が、1の機能だけをモニタするために設計されていれば、セレクタ13はなくてもよい。オンライン結果が必要とされ、多数の機能がモニタされる場合には、カオスプロセッサ14の素子を、複数カオスプロセッサとして構築するか、もしくは、公知の技術により選択信号による同期をとって、一つのカオスプロセッサ内のプログラムをタイムシェアリングすることにより、多重化することができる。
【0018】
図1に示すモニタ11の1つは、口、鼻の空気流をモニタするエア・フロー・モニタ16である。様々な感流および感圧を変換するモニタは、患者11からの空気流を正確にモデル化する信号を供給するため、いくつ使用してもよい。エア・フロー・モニタ16の出力部は、細長いチャート(strip chart)を生成する。セレクタ13の機能は、自動的にまたは手動操作によって、A/Dコンバータ(degital−to−analog converter)に入力を与える装置、または、信号をアナログ形式でカオスプロセッサに与える装置によって、得られるであろう。なお、エア・フロー・モニタ16からのアナログ信号は、ローカルメモリに記憶するために、直ぐにデジタル化されることが好ましい。
【0019】
モニタ11の1つから得られる信号や、それぞれの信号の処理を述べる前に、カオスプロセッサ14の動作を概観することが有用であろう。基本的に本発明の一側面にしたがうと、カオスプロセッサは、モニタ11からのアナログ信号をカオスラジアス信号(chaotic radius signal)および微分ラジアス信号(differential radius signal)に変換する。図2に、睡眠呼吸疾患に特有の現象の開始タイミングおよび継続期間を決定する信号を分析するための一つの方法における過程を示す。最初のステップとして、システムは、心呼吸系機能として、鼻の空気流を測定するために、口・鼻のエア・フロー・モニタ16からの信号を利用する。この測定は、患者が快適で覚醒状態の間になされる。この測定は、任意の時間であってよい。この測定は、1時間くらいまでなされることが望ましい。カオスプロセッサ14における時間サンプル・A/Dコンバータ22は、測定された動き(functioon)を、サンプリング周波数にてモニタされた動きのサンプルのデジタル化された時系列に、変換する。
【0020】
妥当な時間内に信頼性のある結果を提供するため、プロセス中の以下のステップにおいて、十分なデータが与えられるように、サンプリング周波数は、適切なサンプルを提供するように選択されなければならない。オーバー・サンプリングは、処理時間および処理の複雑さを増すが、アンダー・サンプリングよりは好ましい。最小サンプリング周波数は、心呼吸系機能に関して生理的に関連する最大周波数より大きくなるはずであることは確認されている。一般的には、線形信号用のナイキスト・サンプリング周波数は、良い結果をもたらす。サンプリング周波数が10Hzから40Hzの間では、鼻の空気流の適度なサンプリングを可能とする。40Hzを超えるサンプリングは、他の非線形の生理的なパラメータをモニタリングするために効果的であることが確認されている。
【0021】
なお、図1と図2で示すように、コンバータ22は、ステップ23において、スカラー時系列において一般に得られる式(1)により、送られてくる心呼吸系機能信号のデジタル化生成を行う。
【0022】
【数1】
ここで、”t”は診断の開始時間、”dt”はサンプル間隔(例えば、サンプリング周波数が10Hzの時は0.10秒)、”n”はn=1,2,3,...N.のサンプル番号である。
【0023】
図1に示すベクトル時間遅延間隔ジェネレータ24は、一連のベクトルを生成する間隔を決定するために、このスカラー時系列を処理する。この処理は、既知のいくつかの手法を用いて行うことができる。図2に示すステップ25では、ベクトル時間の遅延を決定するために、図1に示すAMIモジュール26により表される平均相互情報(average mutual information)(AMI)に基づいて行われる既知の代替処理のうち好ましいものが示されている。知られているように、平均相互情報は、カオスシステムにおける情報理論的な特性の量を計るためのものである。さらに、平均相互情報は、式(1)で示すようなある時系列の式において、どれくらい多くの情報が存在するのかを指示する図1に示す信号の測定についてのものであり、Tdt時間経過後の測定に関係している。すなわち、平均相互情報の時系列v(n)は、どれくらい多くの情報が、Tdt時間後における電圧レベル、すなわちv(n+T)値を予測するために利用できるかを示すことになる。平均相互情報の処理により、測定されたデータ組についての測定値v(n)、v(n+T)が分布し、これら2つの量の測定値についての結合分布(joint distribution)が決定される。最初の分布はP(v(n))で、2番目はP(v(n+T))で、3番目はP(v(n)、v(n+T))である。これらの測定値間の相互情報は、式(2)で表される。
【0024】
【数2】
ここで、”ln”は自然対数である。N回の観測についての、全体にわたる平均測定値は、式(3)のAMIで与えられる。
【0025】
【数3】
独立な測定であるため、各項の上記和は、同時確率の因数分解 P(a,b)=P(a)P(b)により0になる。T=0の場合、そこでは測定値の知識(full knowledfe of the measurements)で満たされているため、I(0)は大きい。しかしながら、通常は、I(T)は0より大きい。その対象は、処理に過度の負担をかけることなくシステムの情報を保存するようなTの中間値を定めるようになる。最初の極小近くのT値の何れかは満足しなければないが、ある方法では、平均相互情報とともに、I(T)の最初の極小に相当するT値が選択される。T値が任意のいずれかの数であることは明らかである。通常は、その値にはフィルターがかけられ、コンバータ22により定められるサンプリング積分の整数倍と一致する。
【0026】
T値が得られると、図2のステップ27に示すように、カオスプロセッサ14の時系列ベクトル表示ジェネレータ28によって、デジタル化されたサンプルがサンプリング間隔Tを有する時系列ベクトル表示に転換される。各ベクトルは、間隔”T”後におけるスカラー値を示す。さらに、図2のステップ27において作動する、図1に示す時系列ベクトル表示ジェネレータ28は、固定された時間遅延ベクトルTの連続から、式(4)で表されるベクトルのd次元のベクトル組を生成する。
【0027】
【数4】
ここで、v(n)は、添字nの時刻における元の時系列の基準である。v(n+T)は、ベクトル時間遅延間隔Tによって正方向に補正される同時系列からの基準である。v(n+2T)は、ベクトル時間遅延間隔2Tによって正方向に補正される同時系列からの基準である。v(n+d−1)Tは、ベクトル時間遅延間隔(d−1)Tによって補正される同じ時系列からの基準であり、dは、図1に示す組込遅延値ジェネレータ30から得られ、図2に示すステップ31の処理において組み込む次元である。nは、時系列基準の指数であり、n=1,2,3...Nというように、Nにて最大の値となる。Nは選択される任意の大きな値が選択される。典型的な値としては900かそれ以上である。
【0028】
これらの時間遅延は正方向に与えられる。負方向に与えることもできるのは明らかである。
【0029】
この結果得られる時系列ベクトルは、その後、最小組込関数(minimum embedding function)”d”を決定するために分析される。組み込まれる遅延値を決定するために、ベクトル時間遅延間隔の生成に関連した、他の方法を用いることができる。信頼できる結果を生み出す望ましい方法としては、ジェネレータ30のGFNNモジュール32が実行する既知の「全体的疑似最近似」(global false nearest neighbor)プロセスを利用することができる。基本的に、このプロセスは「高次元のポイントが低次元の空間に投影される時に、低次元空間にオーバーラップ(overlap)する軌道がある」というコンセプトに基づくものである。このコンセプトは、「もし、プロセスが逆に行われ、与えられた空間が高次元に投影されたならば、軌道に沿った付近のポイントが分離することが合理的に期待できる」というようなものである。基本的に、プロセスは最初の次元で始まり、時系列ベクトル表示をより高い次元へと展開していく。一方で、次元数が増加する度に、離れて広がっていく最も近くにあるネイバー(neighbor)の割合を把握している。予測のクオリティやネイバー(neighbors)の動きが独立の次元(independent of the dimensionos)になったとき、1の表示のために所望の結果として他に生じる遅延が最小の組込値を構成する。
【0030】
さらに、そのプロセスは、ベクトル表示を作り上げるポイントと共に”d”次元を決定する。ここで、ポイントy(n)の最も近くにあるネイバーynn(n)は式(5)で与えられる。
【0031】
【数5】
そのプロセスは、これらのポイントが(d+1)次元に残るかどうか、ベクトルy(n)が構成要素v(n+dt)によって増加されるかどうか、ベクトルynn(n)が構成要素vnn(n+dt)によって増加されられるかどうかを決定する。少し離れた距離にあるネイバーは、真のネイバーである。大きく離れた距離には、偽のネイバーが存在する。偽のネイバーの割合が0に低下したとき、結果として生じる遅延は、組み込む最小の次元か遅延値である。
【0032】
最小組込遅延値が決定されると、図2のステップ33において図1のカオスラジアスプロセッサ34は、各時間についてのカオスラジアスを得るために、組込遅延値による遅延時間と時系列ベクトル表示の各時間の大きさを比較する。一般的に、n次元のカオスラジアス(r)は式(6)で与えられる。
【0033】
【数6】
図1のカオスラジアスプロセッサ34は、nが1より大きい何れかの値をとるベクトルの各ポイントに効率的にスカラー値を描く。
【0034】
図3は、n=2のときの解法を示す。横軸と縦軸のスケールには、時間”t”での構成要素ベクトルの大きさを表すX(t)とX(t+p)、時間”t”と(t+p)における2つの連続するポイント間の大きさの変化をそれぞれ表すポイントX(t+p)とX(t+d+p)が表示されている。その結果、n=2におけるカオスラジアス(r)は式(7)で与えられる。
【0035】
【数7】
さらに、微分ラジアス(dr)が式(8)、または式(9)により定義されることは明らかである。
【0036】
【数8】
【0037】
【数9】
図2のステップ35において図1の微分ラジアスプロセッサ36は、前述の代替方法の何れかに従い、微分ラジアスdrに相当する時系列ベクトル表示の各ベクトルについての計算を行う。
【0038】
再び図1を参照して、カオスラジアスまたはその微分ラジアスは、カオスラジアスプロセッサ34または微分ラジアスプロセッサ36から出力15の閾値検出器40に移行することができる。ディスプレイ40上にカオスラジアスまたは微分カオスラジアスの表示を生成するように、閾値セレクタ41は、異なる心呼吸系機能のカオスラジアスまたは微分カオスラジアスに相当する信号に適合するように調節できる。典型的には、閾値は指定した時間間隔における平均的なレベルを外れた2または3の標準偏差値に設定される。これらは、診療所の診断において有用であることがわかっている。
【0039】
このカオスプロセッサ14の動作を理解した上で、この発明に従う診断が行われる図1の患者12を再度参照する。図1に示すように、エアフロー(空気流)モニタ16は、カオスプロセッサへの入力を行う。1の心呼吸系機能の測定により、診断を行うのに十分なデータが得られることが知られている。いくつかの状況においては、空気流の測定や空気流の測定の補足として、心呼吸系機能をもう1つ用いることが望ましい。補足的な測定の結果は、その後、空気流モニタからの信号を確証するために使用される。したがって、図1においては、補助的なモニタは破線(pahntom)にて示されている。これらは、心活動を電気的に測定するECG44;各人の人差し指に装着されて酸素浸透レベルを指示する酸素濃度計(オキシメータ);胸壁(chest wall)の働きを測定する胸壁インピーダンスモニタ47を含んでいる。44から47の各モニタはよく知られている技術のものである。チャート・レコーダ50は、診断中に使用された1または複数の信号の変化をディスプレイ表示することにより現時間を図表化したテスト履歴を提供するセレクタ13を含んでもよい。
【0040】
図4Aおよび図4Bは、覚醒および睡眠状態の何人かの患者についての分析結果を図表化し、比較したものである。具体的には、図4Aは、患者の覚醒時において、1.5分のテスト間隔内に生成された微分ラジアスの軌跡51を描いたものである。このデータは、前述した閾値を確定するために統計的に分析される。閾値は経験的情報に基づく任意の数値に設定される。この説明して目的のために、閾値は−10に仮定されている。図4Aには、破線52で示される閾値を越える16カ所の挙動が描かれている。これらは、挙動A〜Pとして判別される。
【0041】
図4Bは、典型的な患者の睡眠検査において、1.5分のテスト間隔内に生成された微分ラジアスの軌跡53を描いたものである。比較のために、破線54により示される閾値は再び−10に設定される。この間隔においては、閾値54を越える16カ所の挙動が存在する。それらは挙動A〜Pとして示されている。
【0042】
テスト中における挙動の平均反復率は、睡眠時無呼吸の発生またはその他の呼吸機能不全の重要なインジケータとなる。図4Aおよび図4Bを比較することにより、閾値を超える種々の挙動のタイミングが相違していることは明らかである。しかしながら、平均数は統計的に同じであり、この特別なケースにおいては確かに同じとである。このように、図4Aに示すような、患者の覚醒時において1.5分のテスト間隔内に得られる情報は、図4Bに示すような、患者が受ける典型的な睡眠検査時における1.5分のテスト間隔内に得られる数量的に同じ様なデータを生成している。
【0043】
このように、患者が覚醒中の短時間テストにより、長時間睡眠している状態のような情報と本質的に同じ情報を図4Aは提供する。その上、必要な測定の回数を減少できる。この特別な実施形態では、鼻の空気流だけがモニタされ、典型的な睡眠検査のいて利用される無数のセンサが無視されている。この診断手法はさらに簡略化できる。結果として、このようなテストに用いなければならない病院の物的資産を著しく減少させることができる。その上、患者が面接・準備・テストを1時間の間隔内で行うことが可能であるとすると、通常の勤務時間内に8回のテストを実施できると仮定できる。これは通常のビジネス時間の後に1回の睡眠検査を行うのに必要な時間と同じである。結果として、与えられた装置により診察される患者の数は非常に多くなり、著しく低コストで典型的な睡眠検査を用いた診察を行うことができる。
【0044】
いくつかのカオス処理システムは、図1に示すカオス・プロセッサ14によって情報を生み出すために利用することができる。図1に示す個々の構成要素のうち、特にプロセッサ13と閾値検出器40は、独立して、またはデータ処理システムまたは混成型のソフトウェア・モジュールとして構築してもよい。図1に示すシステムのディスプレイ42は、時間における微分ラジアスまたはラジアスを簡潔に図表化するディスプレイを備えてもよく、閾値に対する何れかの信号を重ねて表示するようにしてもよい。微分カオスラジアスまたはカオスラジアスの値を閾値について比較し、このような挙動の時間を自動的にマークするための回路は、選択的に、カオス・プロセッサ14が有する情報と合わせて生成される。
【0045】
この発明は、ある実施形態の表現によって開示されている。この発明から出発して、開示された装置に多くの変更を加えるられることは明らかである。例えば、空気流の温度測定は、同様の情報を生成するために空気流の圧力測定に変更することができる。ゆえに、添付のクレームは、この発明の範囲とその精神内における、このようなバリエーションのすべてをカバーすることを意図するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、患者と、ブロック・ダイアグラム型で本発明を実施する装置を示している。
【図2】
図2は、図1に示す装置にて採用された本発明の方法を表すフローチャートである。
【図3】
図3は、図1、図2に示す装置、方法の機能を把握するのに有用なダイアグラムである。
【図4】
図4Aおよび図4Bは、人の覚醒状態(図4A)と、睡眠状態(図4B)の心呼吸系機能に対応した信号を比較している。
Claims (24)
- 呼吸器の生理的な機能障害について患者を診断する方法であって、
患者が覚醒中の所定期間にわたって(over time)心呼吸系機能を監視するステップ、
前記監視された心呼吸系機能の時系列ベクトル表示を生成するステップ
対応する前記時系列ベクトル表示のカオス処理(chaotic processing)に基づき、前記被監視心呼吸系機能用の信号を生成するステップ、
前記生成信号のしきい値を設定するステップ、および
前記しきい値に関連する前記信号の各挙動(each excursion)をマーカーとして認識するステップ、
を備えたことを特徴とするもの。 - 請求項1に述べる方法において、前記信号生成ステップは、第二の前記心呼吸系機能の時系列ベクトル表示のカオスおよび微分処理に基づいて、カオスラジアス信号(chaotic radius signal)およびカオス微分ラジアス信号(chaotic differential radius signal)を生成するステップを備えたこと、
を特徴とするもの。 - 請求項2に述べる方法において、前記心呼吸系機能は、鼻における空気流、酸素飽和度、胸壁の抵抗(chest wall impedance)、心拍数および心活動(heart rate and heart activity) (心電図)から構成される心呼吸系機能のグループから選ばれたこと、
を特徴とするもの。 - 請求項2に述べる方法において、前記微分ラジアス信号生成ステップは、
前記時系列ベクトル表示に基づいて、組み込み遅延値(embedding delay value)を生成するステップ、
カオスラジアス(chaotic radius)を得るため、一定時間および前記組み込み遅延値によって遅延した時間、における前記ベクトル表示の振幅の期間(terms)を比較するステップ、および
前記カオスラジアスの各値に応じて前記一定期間中の前記微分カオスラジアス信号を生成するステップ、を備えたこと、
を特徴とするもの。 - 請求項4に述べる方法において、前記組み込み遅延値を決定するステップは、
監視された機能をサンプルの時系列に変換するステップ、
サンプルの前記時系列における前記データに応じて、ベクトル時間遅延間隔を生成するステップ、および
前記ベクトル時間遅延間隔に対応する間隔中のサンプルの前記時系列の前記データ値に基づいて、前記時系列ベクトル表示を生成するステップ、を含むこと、
を特徴とするもの。 - 請求項5に述べる方法において、前記ベクトル時間遅延間隔生成ステップは、サンプルの前記時系列から平均相互情報(average mutual information)を得るステップ、を含むこと、
を特徴とするもの。 - 請求項5に述べる方法において、前記組み込み遅延値生成ステップは、前記時系列ベクトル表示から全体の疑似最近似情報(global false nearest neighbor information)を得るステップ、を含むこと、
を特徴とするもの。 - 請求項5に述べる方法において、前記微分カオスラジアス生成ステップは、各ベクトル時系列間隔に対応する際、その時点における前記時系列ベクトル表示の振幅と前記組み込み遅延値によりオフセット(offset)された時点の振幅を比較するステップ、を含むこと、
を特徴とするもの。 - 請求項5に述べる方法において、前記被監視機能用に前記時系列ベクトル表示が生成された時点におけるサンプリング周波数は、前記監視された心呼吸系機能についての生理的適合(physiologic relevance)の最大周波数よりも高く、前記ベクトル時間遅延は、前記サンプリング間隔の整数倍であり、および、前記組み込み機能(embedding function)は、前記ベクトル時間遅延の整数倍であること、
を特徴とするもの。 - 請求項2に述べる方法において、前記心呼吸系機能は、鼻における空気流であること、
を特徴とするもの。 - 請求項10に述べる方法において、前記サンプリング周波数は、少なくとも10Hzであること、
を特徴とするもの。 - 請求項10に述べる方法において、前記サンプリング周波数は、10Hzから40Hzであり、前記監視ステップは、約1時間未満の間隔にわたって行われること、
を特徴とするもの。 - 呼吸器の生理的な機能障害について患者を診断する装置であって、
患者が覚醒中の一定期間にわたって(over time)心呼吸系機能を監視する監視手段、
前記監視された心呼吸系機能の時系列ベクトル表示を生成する第一手段、
対応する前記時系列ベクトル表示のカオス処理(chaotic processing)に基づき、前記監視された心呼吸系機能用の信号を生成する第二手段、
前記第二手段から生成された信号のしきい値を設定する第三手段、および
前記第三手段からの対応しきい値を超える前記第二生成手段からの前記信号の全ての挙動(each excursion)を識別するマーカー認識手段、を備えたこと、
を特徴とするもの。 - 請求項13に述べる装置において、前記第二生成手段は、前記第一及び第二心呼吸系機能の時系列ベクトル表示のカオスおよび微分処理に基づいて、カオスラジアス信号およびカオス微分ラジアス信号をそれぞれ生成する手段、を含むこと、
を特徴とするもの。 - 請求項14に述べる装置において、前記監視手段は、口と鼻における空気流を監視するサーミスタ手段、酸素飽和度を監視するフィンガーパルス酸素測定手段、胸壁の抵抗を監視する胸壁監視手段、および心拍数を監視する心拍数監視手段から構成される心呼吸系機能モニタのグループの1つを含み、第一、第二及び第三生成手段ならびに前記マーカー識別手段が、前記グループの少なくとも1つの監視手段からの信号によって動作すること、
を特徴とするもの。 - 請求項16に述べる装置において、前記微分カオスラジアス信号生成手段は、
前記時系列ベクトル表示に基づいて、組み込み遅延信号を生成する手段、
カオスラジアスを得るため、一定期間および前記組み込み遅延値によって遅延した時間における前記ベクトル表示の振幅の期間を比較する手段、および
前記一定期間中の前記カオスラジアスの各値に応じ、前記一定期中、前記微分カオスラジアス信号を生成する手段、を備えたこと、
を特徴とするもの。 - 請求項16に述べる装置において、前記組み込み遅延決定手段は、
監視された機能をサンプルの時系列に変換する手段、
サンプルの前記時系列における前記データに応じて、ベクトル時間遅延間隔を生成する手段、および
前記ベクトル時間遅延間隔に対応する間隔中のサンプルの前記時系列の前記データ値に基づいて、前記時系列ベクトル表示を生成する手段、を含むこと、
を特徴とするもの。 - 請求項17に述べる装置おいて、前記ベクトル時間遅延間隔生成手段は、
サンプルの前記時系列から平均相互情報を得る手段を含むこと、
を特徴とするもの。 - 請求項17に述べる装置おいて、前記組み込み遅延値の決定は、前記時系列ベクトル表示から全体的の疑似最近似情報を得るステップ、を含むこと、
を特徴とするもの。 - 請求項17に述べる装置おいて、前記微分カオスラジアス生成手段は、各ベクトル時系列間隔に対応する際、その時点における前記時系列ベクトル表示の振幅と前記組み込み遅延値によりオフセット(offset)された時点の振幅を比較する手段、を含むこと、
を特徴とするもの。 - 請求項17に述べる装置おいて、前記第一生成手段は、前記被監視機能用に前記時系列ベクトル表示が生成された時点のものであって、前記監視された心呼吸系機能についての生理的適合(physiologic relevance)の最大周波数よりも高いサンプリング周波数を設定する手段を含んでおり、前記ベクトル時間遅延は、前記サンプリング間隔の整数倍であり、および、前記組み込み機能は、前記ベクトル時間遅延の整数倍であること、
を特徴とするもの。 - 請求項14に述べる装置において、前記監視手段は、鼻における空気流を監視すること、
を特徴とするもの。 - 請求項22に述べる装置において、前記第一生成手段は、少なくとも10Hzのサンプリング周波数を設定する手段を含み、前記ベクトル時間遅延は、前記サンプリング間隔の整数倍であり、および、前記組み込み機能は、前記ベクトル時間遅延の整数倍であること、
を特徴とするもの。 - 請求項22に述べる装置において、前記サンプリング周波数は、10Hzから40Hzであり、前記監視手段は、約1時間未満の間隔にわたって動作すること、
を特徴とするもの。
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