JP2004514226A - 量子力学的情報単位を処理する方法及び装置 - Google Patents
量子力学的情報単位を処理する方法及び装置 Download PDFInfo
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Abstract
Description
本発明は、個々のスピンの共鳴振動数の制御及び隣接したスピン間の電磁的カップリングの制御によって、基板に局所的に配置されたアドレッシング可能なスピンを、外部磁場中で入射された電磁パルスにより共鳴振動数に影響を及ぼすことができるスピン箇所で符号化することにより量子力学的情報単位を処理する方法に関する。さらに、本発明は、前記方法を実施するための、個々のスピンの共鳴振動数を制御する局所的アドレッシング−制御アクセス及び隣接したスピン間の電磁的カップリングを制御する局所的カップリング−制御アクセスを備えたスピンに基づく量子コンピュータの形の装置に関する。
【0002】
量子力学的情報処理は極めて新しい分野である(参考文献”Quantum information and computation” C.H. Bennett, D.P. DiVincenzo, Nature/ Vol 404/16. March 2000/ pp 247−255参照)。その下位領域はスピン−量子コンピュータにおいて個々のスピン箇所に量子力学的情報単位(いわゆるキュービット)を符号化することによる量子力学的情報単位の処理に取り組んでいる。この情報は、この種のコンピュータの場合に、外部磁場中で共鳴振動数を有する電磁パルスにより伝達される(磁気共鳴現象、例えば核スピン−トモグラフィーから公知)。スピン−量子コンピュータのいくつかの実現化は文献中で記載されている(例えばBennett and DiVincenzoの上記文献参照)が、このたいていは液体−量子コンピュータであり、この場合には情報を有する核スピン系は液相の形で存在する。この種の量子コンピュータは、局所的制御アクセスによるスピンの局所的な動的制御が不可能である。従って、情報は電磁パルスの入射時に原則的に同じ共鳴振動数を有する全てのスピンに伝達される。従って、活性核スピンがその局所的周辺フィールドを通して静的に多様な共鳴振動数を有する特別な分子を使用しなければならない。本来の情報処理のために必要なスピン相互のカップリングはこのコンピュータの場合にこの分子により不変に設定される。
【0003】
局所的制御アクセスを備えた固体量子コンピュータは液体量子コンピュータよりも極めて高性能である。この量子コンピュータは公知の実施形態では分子の所定の設計に基づいておらず、例えば半導体技術から公知の固体のナノ構造化法によるスピンの配置に基づいている。局所的制御アクセスは個々のスピンの共鳴振動数並びにスピン相互のカップリングの動的変更が行える。それにより、コンピュータのデザインにおいて自由度を増すことができ、特に僅かなキュービットから多くのキュービットまでの構想に段階付けすることができる。スピンのアドレッシング制御によりこの応答性を規定することができる。共鳴振動数を有するスピンだけが応答可能である。共鳴振動数が制御手段により調節される場合、相応するスピンは「遮断」され、本来の共鳴振動数によりもはや応答できない。隣接したスピン間のカップリングの制御により計算プロセスに影響を及ぼすことができる。特にスピンの調節の間及び計算プロセス後の読み取り時でのカップリングの遮断が可能である。「隣接したスピン」とはこの文脈において2つのスピンの直接的な隣り合いだけでなく、複数の並んで配置されたスピンの間接的な隣り合いでもあると解釈される。
【0004】
個々のスピンの共鳴周波数の制御及び隣接したスピン間の電磁的カップリングの制御を用いてスピン箇所を符号化する方法及び電子的制御アクセスを相応して実現化する方法は、WO9914858から公知である(”A silicon−based nuclear spin quantum computer” B.E. Kane, Nature/Vol 393/14. May 1998/ pp 133−137参照)。この場合、キュービットとしてケイ素中の個々のリン原子の核スピンが使用されている。この方法は、制御可能な電場を用いて電子環境に影響を与えることにより、符号化のために利用する核スピン系のカップリングに基づいている。個々のアドレッシング可能な核スピンの共鳴周波数の制御のために、電場をかけることにより個々の核スピンとその価電子との超微細カップリングが直接変化される。このために、アドレッシング−制御アクセスは電極として構成され、リン原子上に正確に位置決めされかつ制御電圧が接続される。隣接した核スピン間の電磁的カップリングを制御する場合には、電場の局所的印加によって、隣接した核スピン間の交換相互作用が再び変化する。このために同様に電極として構成されたカップリング−制御アクセスは、相互作用する核スピン間に位置的に正確に配置しなければならず、このカップリング−制御アクセスは制御電圧がかけられる。この方法及びこの実現化の場合の難点は、電子的制御アクセスにより多様なカップリングに制御する影響が極めてわずかな点である。それによりこの制御アクセスの技術的実現化に関する極端に高い要求、特にシリコン基板内での定義された箇所での個々のリン原子の位置決めが求められる。さらに、数ナノメートルの範囲内の寸法を有する電極として構成される制御アクセスはいまだに技術的に実現化できていない。
【0005】
前記の理由から、スピン−量子コンピュータの場合に、一方で所定の情報キャリアに選択的に応答し(スピン−共鳴周波数の制御された変更によるアドレッシング)、他方で情報キャリア間のカップリングを意図的にスイッチオン及びスイッチオフするかもしくはその強度を変更する(スピン−カップリングの制御)ことが必要となる。従って本発明の課題は、特に大きな柔軟性を有する有能かつ有効な方法を提供することであった。方法の実施のための有利な装置もこの場合簡単な方法でこの柔軟性を実現できる。しかしながら、本発明による方法及び実現化する装置は公知の方法及びその実現化の際に指摘された難点を解消すべきである。
【0006】
この問題の解決手段として、個々のスピンの共鳴周波数の制御及び隣接したスピン間の電磁カップリングの制御によって量子力学的情報単位を処理する冒頭に記載した種類の方法において、従って、情報処理のために内包フラーレンの籠内部空間内の結合していない封入原子を使用し、これは隣接した封入原子の電子スピンと磁気双極子−双極子相互作用を介して結合していて、かつ電子スピンの共鳴振動数の制御を、調節可能な滞留時間を有する内包フラーレンの籠への又は籠からの制御された電子伝達によって行い及び/又は電磁カップリングの制御を、外部磁場の方位と隣接したフラーレンの結合ベクトルとの間の制御された角度変化によって行うことが想定される。
【0007】
さらに、方法実施のためのスピンに基づく量子コンピュータの形の装置の場合に、課題の解決のために、アドレッシング可能なスピンは同じ又は異なる構成の内包フラーレンの籠内部空間中の結合していない封入原子の核スピンにより形成され、この内包フラーレンは基板を含めて二次元的又は三次元的形態を有するマトリックス内で相互に所定の距離及び相対位置で相互に固定結合されており、かつアドレッシング−及び/又はカップリング−制御アクセスは、構造的に個々のスピンの共鳴周波数の制御の選択された形に応じて及び隣接したスピン間の電磁的カップリングの制御の選択された形に応じて構成されている。
【0008】
本発明による方法の有利な実施態様及び有利な装置は、相応して記載された引用形式請求項に記載されている。この場合、「アドレッシング−制御アクセス」及び「カップリング−制御アクセス」の概念は本発明の範囲内で、対応して制御すべき位置への一般的なアクセス性において選択される(Zugang haben)。このアクセスの実現化は多様な性質の制御様式の選択に応じることができ、かつ電気的アクセス、例えば簡単な平面電極の形、から光学的、熱的及び化学的並びに他の手法によるアクセスの形で達成することができる。
【0009】
本発明による方法の基本的な特徴は、相対的に僅かな感度を有する核スピン系の公知の利用に対して、情報加工のために電子スピン系を利用することである。電子スピン系として安定な内包フラーレンを利用する。フラーレンは炭素原子からなる籠状の分子である。最も公知なものはC60分子である。この分子の内部に多様な方法で原子又は分子を封入させることができる。こうして形成された分子は内包フラーレンと呼ばれる。本発明による方法のために使用可能な内包フラーレンにおいて、封入された原子はフラーレンの内側と結合せず、籠中央に遊離して位置し、それにより封入された原子の電子スピンのための所望な特性が利用される(EP0958241参照)。その周囲からの電子スピンの極めて良好な遮蔽によって長いコヒーレント時間が生じ、この時間内で全ての関連するスピンの状態が位相コヒーレントで保たれる。
【0010】
さらに、本願発明で使用される内包フラーレンは磁気双極子を示し、これは隣接した電子スピンに対して磁気双極子−双極子相互作用の可能にしかつ量子力学的計算を可能にする。
【0011】
本発明による方法の場合に、電子スピンの利用により量子計算のための2つのコンセプトを実現化できる:一つは、インプット及びアウトプット、計算及び記憶の形の全体のデータ処理を電子スピンを用いるだけで行うことができる。核スピンはこの場合に無視されるか又は失活することができる。もう一つは中間結果の長時間記憶のための第1のコンセプトの拡張において核スピンを参照することができる。核スピンは電子スピンよりも長いコヒーレント時間を示すため、「集積された量子−ハードディスク」として利用することができる。しかしながら、いくらか短いコヒーレント時間を有する電子スピンによる増大する非コヒーレンスを未然に防ぐために急速な計算時間が必要である。電子スピンに基づく系の他の利点は、完全な分極までの電子スピンのより強い分極性であり、それによりスピン状態を調査するためのプロセス開始時の煩雑な初期化ルーチン(これは例えば上記に引用したWO9914858から公知である)を使用せず、かつより強い分極性と関連して核スピン(NMR)と比較して電子スピン共鳴(ESR)は著しく高感度であり、これはシグナル検出能力を改善する。
【0012】
本発明の方法の他の本質的な特徴群は、個々のスピンのアドレッシングの制御及び隣接したスピン間のカップリングの制御の種類である。1つ又は複数の電子を内包フラーレンへ制御して伝達することにより、そのスピン系は共鳴線が著しくシフトするか又はこれが極端に著しく拡張されることにより著しく変化するため、入射された周波数にはもはや応答しない。つまり、フラーレンへの電子伝達によって電子スピンの応答蓋然性を遮断し、それによりそのアドレッシングを制御することが可能である。
【0013】
P. Jaket et al著の文献”Synthesis and EPR studies of N@C60 and N@C70 radical anion” (XIVth International Winterschool on Electronic Properties of Novel Materials, Kirchberg (Austria) 2000)から、C60分子が複数の電子を収容可能であり(電子受容体として機能)、それにより、封入された原子の共鳴周波数がシフトされている新規の状態(電子伝達時のN@C60のESR−共鳴線の消滅)を生じることが公知である。しかしながらこの知識から利用のための手掛かりまたは示唆は得られない。双極子−双極子−カップリングの場合の角度変化による隣接したスピン間のカップリングの制御の変換もこの文献からは公知ではない。しかしながらより上位にある磁場中での双極子場の挙動に関するこの知識は一般に公知でありかつ物理的基礎知識に属する。この電子スピンは磁気双極子モーメントを有し、この磁気双極子モーメントは距離と共に急速に低下する磁場を生じる。しかしながらこの磁場はそれぞれ隣接した電子スピン(双極子−双極子カップリング又は双極子−双極子相互作用)に作用する。双極子場のジオメトリーは、2つのキュービットの間のカップリング強度がフラーレンの結合線と生じた双極子の配向との間の角度に著しく依存する結果となる。特に、「磁気的」角度が54.7゜の場合にカップリング強度J=0である。それに対して、この角度がゼロである場合に、カップリングJは最大である。電子スピンの配向は、外部からかけられる磁場の方位に(同じ又は正反対)追従する。従って、2つのフラーレンの結合線と外部磁場の方位との間の角度を制御して調整することにより、本発明による方法の場合に双極子−双極子カップリングの強度をゼロと最大値との間で制御できるかもしくは切り替えることができる。
【0014】
スピン及びそのカップリングのアドレッシングの制御の場合には、1回の制御プロセス、例えば初期化又はリセットの実施の他に、クロック制御を実施する可能性も生じる。所定の動作クロック内でのこの制御は、典型的な電子計算機に対する時間クロックと同様とみなされ、これは可能な限り最高の同期性を有する最適な計算経過を可能にする。
【0015】
本発明による方法の実現はスピン−量子コンピュータにおいてなされる。このために複数の内包フラーレンが基本構成単位として相互に選択可能な関係で配置され、それにより寸法形状的に十分に規定されたスピン系を有する固体構造が提供される。この場合には、構造に応じて同じ又は異なる内包フラーレンを使用することができ、それによって特にキュービットの異なるクラスの静的アドレッシング可能性を設定でき、このキュービットは同じ局所的な周囲フィールドによって特徴付けられている。フラーレン相互の距離及び相対的位置の選択によって、キュービット間のカプリングの静的予備調整を達成することができる。多様な天然由来のV族の元素(14N、15N、31P)をフラーレン中に封入することができる。さらに、フラーレン分子は変えることができ(C60に代えてC70)るか又は化学的な基(アデンド)を取り付けてアダクト形成することにより化学的に修飾される。それにより、静的に識別可能なキュービットとしてそれぞれ特徴付けられた共鳴振動数を有する多様な、個々にデザインされた分子が提供される。フラーレンのダイマー(フラーレン−オリゴマー)もしくはフラーレン−ポリマー(一般にフラーレン−システム)を製造する手段によって、その中に組み込まれた電子スピン間の定義された双極子カップリングを有する構造体をさらに実現することができる。関与するスピンの数は原則として自由に選択可能であるため、従って任意のサイズの線的、平面的又は空間的なキュービットシステムを作成できる。さらに、この方法で同じキュービットシステムを1つの工程で実現でき、これは読み取り工程のために有利である。このフラーレンオリゴマーが相応するマトリックス中に配向して組み込まれている場合には、並列のn次元のキュービット−固体システムが得られる。
【0016】
フラーレン相互の化学的結合によっても製造することができるこのようなフラーレン−システムの配置は、多様な可能性を有する。基本構造ではこのフラーレン−システムは個々のフラーレン相互の間で規則的距離を有する線状鎖として構成される、それというのも隣接したフラーレン間の結合ベクトルは同じ値及び同じ方向であるためである。従って、磁場の配向に対する「磁気的角度」を全ての電子スピンに対して同時に選択することができるため、全てのスピンの全体のデカップリングが生じる。他の方法では、規則的なハニカム構造を有する格子が可能であり、この格子の結合点にフラーレンが配置されている。このハニカムは任意であるが、しかしながら特に方形(従って結合は「方形」でもある)又は三角形であることもできる。各構造に対して、不所望なカップリングは相応して入射されるパルス系によって再度リセットすることができる。他の方法では、複数のフラーレンがメッシュに沿って再度線状鎖の形で配置されている格子が可能である。この鎖はそれ自体完全にデカップリング可能である。しかしながら、相互作用の距離依存性に基づき隣の鎖とは相互作用は生じない、それというのもこれらの鎖は遠く離れて配置されているためである。さらに、意図的に相互にカップリングされた鎖を有する構造及び空間的配置が可能である。
【0017】
キュービットの共鳴周波数の変化により個々の電子スピンのアドレッシングを制御する場合に、これは付加的な外部手段なしで、フラーレン分子の種類及び化学的修飾、封入原子の種類及び隣接したキュービット相互の配置によって相互に影響を受ける。付加的な外部手段を含めた場合、振動周波数は1つ又は複数の電子をフラーレンに伝達することにより変えることができる。この手法は電荷移動の電子的制御により、フラーレン上での電子の滞留時間の選択(化学的にも影響を受ける)により及び電荷キャリアの光学的に選択された励起によって制御することができる。従って、個々の手段の適当な組合せによって、量子コンピュータを用いた計算のための極めて細分化されかつ複雑なプロトコルを実現できる。特に複数の静的に識別可能なキュービットを1つのグループにまとめることができ、このグループは、例えば電極の形の1つの制御アクセスで共通に切り替えられる。それにより特にこの電極は、先行技術から公知のナノメーター領域の困難な寸法を有する電極よりも大きく設計することができる。共通の制御電極は、例えば電荷搬出だけを制御することができ(分離ダイオード)、それに対して電子供給は物質的な電極なしで光学的励起によって行われる。この場合には、制御アクセスは制御可能な光源によって相応して実現される。
【0018】
次に、共鳴振動数の変化による電子スピンのアドレッシング可能性のコントロール可能な制御のために、フラーレンに電子伝達する多様な手段及び実現化を記載する。
【0019】
− 電場による電子伝達
電子のソース及び低地(Senke)としてフラーレン分子の周囲、特に基板又はフラーレンを取り囲む電解質が挙げられる。制御電圧の印加により1つ又は複数の電子をフラーレンに伝達するか又はフラーレンから取り去ることができる。電解質の使用の場合、付加的にフラーレンの固定に留意しなければならない(例えば付着改善性アデンドの使用による)。
【0020】
− フラーレンのドナー分子への結合
フラーレン研究から、フラーレンは光起電性の適用において電子−正孔対の分離のためにポリマーと結合して使用できることは公知である。フラーレン分子への電荷伝達はこの場合極めて迅速である(数フェムト秒)。従って、ポリマーベースのリード部を介した電子伝達及び電子搬出は可能であり、それにより電極構造体の寸法的な等化を達成することができる。材料の適当な選択により、フラーレン分子状での電子の滞留時間を調整することができる。場合により、フラーレンとポリマーとの間の直接的な化学結合も製造できる。
【0021】
− 電子−正孔対の励起による光学スイッチ
太陽電池研究から同様に、上記したドナー分子中の電子−正孔対の光学励起は公知である。それによりアドレッシング制御アクセスの光学スイッチが可能である。この場合、特に多様な感色性を有する、つまり多様な吸光波長を有するドナー分子も使用可能であり、それによりキュービットの個々のクラスの同時又は意図的な光学スイッチが可能である。
【0022】
次に、2つの電子スピン間のカップリングのコントロール可能な制御のための磁気双極子−双極子−カップリングの角度の変更のための多様な手段及び実現化を記載する。
【0023】
− 基板と外部磁場との傾斜によるスイッチング
最も簡単な場合は、全ての量子ビットが線状配列(列)の形で存在することである。結合ベクトルは全ての隣接したキュービットに対して同じである。外部磁場に対するこの列の方位が変化した場合(基板の傾斜によるか又は磁石の傾斜により)に、全てのキュービット相互のカップリングは同時に変化する。この場合、磁場は特に列に対して平行(全てのキュービットの最大カップリング)であるか又は列に対して54.7゜の角度(スイッチオフされたカップリング)である。45゜±9.7゜の角度の間での切り替えも考えられ、これによりゼロと最大カップリングの半分の間のカップリングが切り替えられ、中間値では45゜で最大カップリングの1/4である。基板はさらに複数の領域(列中でのキュービット間よりも大きな距離をあけた平行の列)に区切ることができ、これは相互に無関係に傾斜する。特にこのために液晶が使用され、従って例えばLCDディスプレー中での電場によるこの液晶の配向性が使用される。外部磁場に対してキュービットの結合軸の方位を機械的に変える代わりに、反対に磁場の方位を変えることもできる。量子化するメインフィールドに対して直交する付加的フィールドをかけることにより、有効なフィールド方位を適切に変更できる。このような変化はマイクロ秒の時間スケールで可能であるという利点がある。
【0024】
− 個々のフラーレンもしくはグループのシフトによるスイッチング
個々の分子又は分子グループは他の方法:フィールドベクトル(スピン配向)に沿ったフラーレンのシフトにより切り替えることができる。この場合には、2つのキュービット間の結合線だけが変化し、電子スピンの方位は変化しない。このシフトは多様な方法で行うことができる:ピエゾ素子、メカニカル素子、例えば単一又は多重ピンセットとしての「マイクロレイク」又はSTM−探針、フラーレン分子への多様な力伝達の際の基板のメカニカルバイブレータ(基板とフラーレンとの間のスプリング状のアデンド)、スプリング状のアデンドにおける振動モードの直接的な局所的励起又は周波数>1GHzまでの市販の振動クオーツを有する表面弾性波(SAW)デバイスの使用。
【0025】
次に、本発明の実施態様を図式的図面を用いて詳細に説明する。
【0026】
図1aは、内包フラーレンを有する本発明による電子スピン−量子コンピュータの断面図を表し、
図1bは、電子スピンが双極子−双極子相互作用により相互にカップリングされている2つの内包フラーレンを表し、
図2は、カップリング−制御アクセスを備えた本発明による電子スピン−量子コンピュータの断面図を表し、キュービットのカップリング強度を変更するカップリング制御アクセスは、
図2aでは、磁場の配向に対する基板の傾斜により変更され、
図2bでは、隣のフラーレンと比べたフラーレンのたわみにより変更され、
図2cでは、基板に対する外部磁場の傾斜により変更される、
図3は、複数のキュービットに対して共通のアドレッシング電極を使用したアドレッシング−制御アクセスを備えた本発明による電子スピン−量子コンピュータの断面図を表し、このキュービットはその静止状態の共鳴振動数において、
図3aでは、フラーレンの中の距離が異なっている、
図3bでは、内包された原子又はフラーレン籠が異なっている、
図3cでは、同じ種類の内包フラーレンに異なるアデンドが取り付けられている、
図4は、図3a、3b、3cによる共通のアドレッシング−制御アクセスを備えた本発明による電子スピン−量子コンピュータの平面図を表す。
【0027】
図1aには、内包フラーレンを備えた電子スピン−量子コンピュータ100の図が示されている。基板101上に(酸化層102により分離された)内包フラーレン104(これは選択された実施例では結合していない封入原子として窒素Nを有するC60−フラーレン(N@C60)である)が、ストライプ状のアドレッシング電極103上に配置されており、この電極はアドレッシング−制御アクセスを形成する。ここで使用された内包フラーレン104は磁気モーメントを有し、この磁気モーメントは磁気双極子−双極子相互作用(J)105によって隣接原子とカップリングしている。フラーレン104に関する電子伝達に基づき電子スピン共鳴振動数の変化によるフラーレン104の磁気カップリング(J)105及び/又はアドレッシングの変化によって、電子スピン−量子コンピュータ100を計算操作の実施のために意図的に影響を及ぼすことができる。
【0028】
図1bは2つの内包フラーレン104の図を表し、これらのフラーレンの電子スピン106は磁気双極子−双極子相互作用(J)105によって相互にカップリングされている。電子スピン106は磁気双極子モーメントを示し、この磁気双極子モーメントは距離と共に急速に低下する磁場を生じ、かつ外部磁場(B)109の方位において同じに(又は正反対に)整列されている。この双極子−双極子相互作用(J)105は、図1bにおいて記載した式(J)について、2つのフラーレン(封入原子)の距離ベクトル(r)107及び距離ベクトル(r)107とスピン106の方向との間の角度(θ)108に依存する。
【0029】
図2a、2b及び2cにおいて、キュービットのカップリング強度(J)の変化のためのカップリング制御アクセスのための多様な実現化手段が示されている。これは絶対的な及び相対的な位置状態変化であり、この位置状態変化は単なる機械的手段、例えばねじれ、傾斜又は上昇によって引き起こされる。従って、相応するカップリング制御アクセスは傾斜メカニズム、回転メカニズム又は持ち上げメカニズムの形で構成され、このメカニズムは一般に公知の構造原則に従うことができる。
【0030】
図2aには磁場方位(B)109に対する基板101のねじれ又は傾斜によるキュービット106のカップリング強度(J)の相互の変化が示されている。(r)107で示す結合ベクトルでの基板101上の内包フラーレン104の、図1aと同様の配置は、外部磁場(B)109の軸に関する基板101の傾斜201により所定の角度(θ)108に調節される。角度θ=54.7゜に対してカップリング(J)はゼロであり、角度θ=0゜でカップリング(J)は最大である。
【0031】
図2bは、フラーレン104′の隣接フラーレン104に対するたわみによるキュービット106のカップリング強度(J)の変化を表す。基板101上に配置されたそれぞれの第2のフラーレン104′は、外部磁場(B)109の方位に沿って、つまりこの場合では基板101の表面に対して垂直方向に、所定の距離(d)202だけ指向的にシフトする。それにより、ゼロとは異なる角度(θ)108が結合ベクトル(r)107と外部磁場(B)109の方位との間に生じる。この角度(θ)108の大きさが、隣接したフラーレン104/104′の間のカップリング強度(J)によって決まり、このカップリング強度は調節可能である。
【0032】
図2cには、基板101に対する外部磁場(B)109のねじれ又は傾斜によるキュービット106のカップリング強度(J)の変化が示されている。図2aによる外部フィールド109に対してフラーレン104と一緒に基板101を傾斜させる代わりに、この場合に外部磁場(B)109は角度(β)203だけ傾斜させる。この場合に生じる、結合ベクトル(r)107と外部磁場(B)109の方位との間の角度(θ)108は、上記のようにカップリング(J)の制御のために使用することができる。
【0033】
図3a、3b及び3cには、キュービット106の意図的なアドレッシングのためにアドレッシング−制御アクセス用の多様な実現化手段が示されている。この場合に、それぞれ基板301上に酸化層206により分離された内包フラーレン304、305、306が配置されている。この図の中では、酸化層302中にそれぞれ全てのフラーレン304、305、306に対して共通の平面上のアドレッシング−電極303が、キュービット106の所定の特性との相互作用でアドレッシング−制御アクセスの可能な実現化手段として存在する。
【0034】
図3aは、複数のキュービット106に対する共通のアドレッシング−電極303の使用を示し、これは、フラーレン304間の距離(a)300/300′が異なることによりその静的な共鳴振動数(ω)とは異なる。フラーレン304は、異なる距離(a)300/300′に基づき隣接フラーレンとの異なる双極子−双極子相互作用(J)105が存在するために、その共鳴振動数(ω)において異なっており、この双極子−双極子相互作用は各フラーレン304の共鳴振動数(ω)を明らかにシフトさせる。
【0035】
図3bには、複数のキュービット106についての共通のアドレッシング−電極303の使用が図示されており、このキュービットは内包された原子又はフラーレン籠が異なることによりその静的共鳴振動数(ω)が異なっている。このフラーレン304、305、306はその共鳴振動数(ω1、ω2、ω3)が異なる、それというのもこれらのフラーレンは異なる原子(例えばC60中の窒素N又はリンP)を含有するか又は原子が異なる籠(例えばC60又はC70中の窒素N)が存在するためである。
【0036】
図3cは複数のキュービット106に対する共通のアドレッシング−電極303の使用が示されており、このキュービットは同じ種類の内包フラーレン304に異なるアデンド311、312、313が取り付けられていることにより静的共鳴振動数(ω)が異なる。これらのフラーレン304は異なるアデンド311、312、313を備えているためその共鳴振動数(ω)が異なることができる。これらのアデンド311、312、313は、ここに示された実施例の場合に、その感光性(λ1、λ2、λ3で吸収極大)により異なり、従って有色光によって選択的に応答可能であるため、フラーレン304は相応してアドレッシング可能である。この種の異なる感色性フラーレンは例えば同じ感色性を有するグループで基板上に正方形に配置されているため、対応するアドレス領域が生じる(図3cには図示されていない)。吸光により特に電子がフラーレン籠304に伝達され、この電子がESR振動を変更する。電子伝達によるアドレッシング−制御アクセスの光スイッチの場合には、アドレッシング−電極303は電荷搬出の制御に利用される。これは、フラーレン304上の電子の滞留時間を他の方法で、例えばアドレッシング電極303の化学的操作によって制御する場合に、電気的機能様式なしで実現することができる。
【0037】
図4では、図3a及び3cによる実現化設定による電子スピン−量子コンピュータ400の上から見た図を表す。酸化層302上に、異なるタイプの内包フラーレン304、305、306が行401及び列402に配置されている。行401内にはフラーレン304、305、306がそれぞれのタイプによって相互に異なり、列402内にはそれぞれの距離(a)300/300′により相互に異なる。2つのパラメータ(タイプ及び距離)は、フラーレン304、305、306中に内包された原子のキュービット106の差異をその共鳴振動数(ω1、ω2、ω3)及びそのカップリング(J)に基づいて静的に設定する。キュービット106の異なる共鳴振動数(ω1、ω2、ω3)により、この場合に平面状の、酸化層302内に導入された電極303により実現化されているアドレッシング−制御アクセスが、全てのキュービット106に対して共通に作用させるだけのために必要である。
【図面の簡単な説明】
【図1】
1aは内包フラーレンを有する本発明による電子スピン−量子コンピュータの断面図、1bは電子スピンが双極子−双極子相互作用により相互にカップリングされている2つの内包フラーレンの図
【図2】
多様な方法により変更されたキュービットのカップリング強度を変更するカップリング制御アクセスを備えた本発明による電子スピン量子コンピュータの断面図
【図3】
多様な方法によりキュービットの静止状態の共鳴振動数が異なる、複数のキュービットに対して共通のアドレッシング電極を使用したアドレッシング−制御アクセスを備えた本発明による電子スピン−量子コンピュータの断面図
【図4】
図3による共通のアドレッシング−制御アクセスを備えた本発明による電子スピン−量子コンピュータの平面図
【符号の説明】
100 電子スピン−量子コンピュータ
101 基板
102 酸化層
103 アドレッシング−電極
104 内包フラーレン
104′ たわんだ内包フラーレン
105 双極子−双極子相互作用/電磁的カップリング(J)
106 電子スピン(キュービット)
107 距離ベクトル(r)
108 角度(θ)
109 外部磁場(B)
201 傾斜/ねじれ
202 シフトベクトル(d)
203 角度(β)
300 距離(a)
300′ 距離(a)
301 基板
302 酸化層
303 アドレッシング−電極
304 共鳴振動数ω1を有する内包フラーレン
305 共鳴振動数ω2を有する内包フラーレン
306 共鳴振動数ω3を有する内包フラーレン
311 λ1で吸光極大を有する感光性アデンド
312 λ2で吸光極大を有する感光性アデンド
313 λ3で吸光極大を有する感光性アデンド
400 電子スピン−量子コンピュータ
401 行
402 列
Claims (24)
- 個々のスピンの共鳴振動数の制御及び隣接したスピン間の電磁的カップリングの制御によって、基板に局所的に配置されたアドレッシング可能なスピンを、外部磁場中で入射された電磁パルスにより共鳴振動数に影響を及ぼすことができるスピン箇所で符号化することにより、量子力学的情報単位を処理する方法において、アドレッシング可能な電子スピン(106)の情報処理のために内包フラーレン(104)の籠内部空間中の結合していない封入原子を利用し、このフラーレンは隣接した封入原子の電子スピン(106)と共に磁気双極子−双極子相互作用(105)によってカップリングしていて、かつ電子スピン(106)の共鳴振動数(ω)の制御は調節可能な滞留時間を有する内包フラーレン(104)の籠への又は籠からの制御された電子伝達により行い、及び/又は電磁的カップリング(J)の制御は外部磁場(B)(109)の方位と隣接したフラーレン(104)の結合ベクトル(r)(107)との間の制御された角度変化(θ)(108)により行うことを特徴とする、量子力学的情報単位を処理する方法。
- 制御を周期的な動作クロックで行う、請求項1記載の方法。
- 個々の電子スピン(106)の共鳴振動数(ω1、ω2、ω3)の制御を、付加的な外部手段なしで、個々の電子スピン(106)の静的な識別のために、内包フラーレン(304,305,306)の種類、バリエーション又は化学的修飾の選択により並びに封入原子の種類の選択により及び/又は隣接したフラーレン(304,305,306)の局所的配置の選択により行う、請求項1又は2記載の方法。
- 個々の電子スピンの共鳴振動数の制御を、個々の電子スピンの動的な識別のために、電子伝達の電子的制御の形、フラーレンの籠上に伝達された電子の滞留時間の化学的影響の形及び/又は電子伝達の光学的選択励起の形の付加的な外部手段によって行う、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
- 複数の静的に識別可能な電子スピンに、動的な識別のための共通の少なくとも1つの手段を行う、請求項3及び4記載の方法。
- 電子伝達用の電子は電気的制御フィールドをかけることで内包フラーレンの周囲から生じるか又はこの周囲へ戻る、請求項4又は5記載の方法。
- 電子伝達用の電子は電気的制御フィールドをかけることで、フラーレンに結合しているポリマーベースのドナー分子から生じるか又はこのドナー分子へ戻る、請求項4又は5記載の方法。
- 電子伝達用の電子は光学的制御フィールドをけけることで、フラーレン(304)に結合しているポリマーベースの感光性の、特に感色性のドナー分子(311,312,313)から生じる、請求項4又は5記載の方法。
- 付加的な外部手段を用いる及び付加的な外部手段なしの共鳴振動数用の多様な調節形式の組合せにより、細分化された複雑なプロトコルが量子力学的情報単位の処理のために提供可能である、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
- 隣接した電子スピン(106)間の電磁的カップリング(J)の制御を、外部磁場(B)(109)に対する個々のフラーレン又はグループにまとめられたフラーレン(104)の相対的位置変化による、外部磁場(B)(109)の方位と、隣接したフラーレン(104)の結合ベクトル(r)(107)との間の0゜〜54.7゜の角度範囲内の制御された角度変化(θ)(108)により行う、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
- 制御された角度変化(θ)(108)を45゜±9.7゜の角度範囲内で行う、請求項10記載の方法。
- 相対的位置変化を、外部磁場の有効な方位(β)(203)の傾斜又は変化により、又は内包フラーレン(104)が局所的に配置されている基板(101)の傾斜(θ)(108)により行う、請求項10又は11記載の方法。
- 相対的位置変化を、個々の又はグループにまとめられた内包フラーレン(104,104′)の、外部磁場(B)(109)の方位に沿ったシフト(d)(202)により行う、請求項10又は11記載の方法。
- 個々のスピンの共鳴振動数の制御及び隣接したスピン間の電磁的カップリングの制御によって、基板に局所的に配置されたアドレッシング可能なスピンを、外部磁場中で入射された電磁パルスにより共鳴振動数に影響を及ぼすことができるスピン箇所で符号化することにより、量子力学的情報単位を処理する請求項1から13までのいずれか1項記載の方法を実施するための、個々のスピンの共鳴振動数の制御のための局所的アドレッシング−制御アクセスと、隣接したスピン間の電磁的カップリングの制御のための局所的カップリング−制御アクセスとを備えたスピンに基づく量子コンピュータの形の装置において、アドレッシング可能なスピンは、同じ又は異なる構造の内包フラーレン(104,304,305,306)の籠内部空間中の結合していない内包元素の電子スピン(106)により形成されており、この内包フラーレンは基板(101,301)を含めて、二次元的又は三次元的形態を有するマトリックス内で相互に所定の距離(a)(300,300′)及び相対位置で相互に固定結合されており、かつアドレッシング−及び/又はカップリング−制御アクセス(103,303)は、構造的に個々のスピン(106)の共鳴振動数(ω)の制御の選択された形に応じて及び隣接したスピン(106)間の電磁的カップリングの制御の選択された形に応じて構成されていることを特徴とする、量子力学的情報単位を処理する装置。
- 個々の電子スピンの共鳴振動数の制御のために、アドレッシング−制御アクセスを介して制御電圧を印加し、この制御電圧は基板からフラーレンへの又はフラーレンを取り囲む電解質からフラーレンへの電子伝達を行う、請求項14記載の装置。
- ポリマーベースのドナー分子からの電子伝達による個々の電子スピンの共鳴振動数の制御のために、ドナー分子は直接的な化学結合によって又はポリマーベースのリード部を介して内包フラーレンと結合しており、かつ電極の形のアドレッシング−制御アクセスを介して制御電圧が印加される、請求項14記載の装置。
- ポリマーベースの感光性ドナー分子(311,312,313)からの電子伝達による個々の電子スピン(106)の共鳴振動数の制御のために、ドナー分子は直接的な化学結合によって又はポリマーベースのリード部を介して内包フラーレン(304)と結合しており、かつ光源の形のアドレッシング−制御アクセスを介して励起光束が作り出される、請求項14記載の装置。
- 静的に識別可能な電子スピンの場合に共通のアドレッシング−制御アクセスが設けられている、請求項14から17までのいずれか1項記載の装置。
- 内包フラーレンは、異なる双極子カップリングを有するオリゴマー又はポリマーの又は化学的に相互に結合した内包フラーレン系の形に構造化されていてかつマトリックス中に配置されている、特に配向されて配置されている、請求項14から18までのいずれか1項記載の装置。
- 内包フラーレン(304)は線状鎖(401,402)の形で個々のフラーレン(304)間の規則的距離(a)で、結合点に又は個々の又は線状の又はカップリングした鎖の形で、規則的なハニカム構造体を有する格子のメッシュに沿って、基板(301)上の平面状のマトリックス中に配置されている、請求項19記載の装置。
- 外部磁場(B)(109)又は内包フラーレン(104)が局所的に配置されている基板(101)の傾斜(β,θ)による隣接した電子スピン間の電磁的カップリングの制御のために、カップリング−制御アクセスが相応する傾斜メカニズムの形で、特に基板範囲の傾斜の際に液晶の形で構成されている、請求項19又は20記載の装置。
- 外部磁場(B)(109)の有効な方位の変化による隣接した電子スピン(106)間の電磁的カップリング(J)の制御のために、カップリング−制御アクセスが、量子化するメインフィールドに対して直交する付加的フィールドとして構成されている、請求項19又は20記載の装置。
- 個々の又はグループにまとめられた内包フラーレン(104,104′)の、外部磁場(B)(109)の方位に沿ったシフト(d)(203)による隣接した電子スピン(106)間の電磁的カップリングの制御のために、相応する力の伝達によってフラーレン又はフラーレングループへ作用するカップリング−制御アクセスが、圧電素子又は振動素子又は表面弾性波を生じるデバイスの形で構成されている、請求項19又は20記載の装置。
- 隣接した電子スピン間の静的に識別可能な電磁的カップリングにおいて、それぞれ個々の、これらを共通してカバーするカップリング−制御アクセスが、カップリングのために選択された制御形態に応じた構造形態で設けられている、請求項19から23までのいずれか1項記載の装置。
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