JP2004512139A - ざらざらした最上層を持つ基端部を有する歯科用楔 - Google Patents
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Abstract
改良された歯科用楔(30)は、器具が歯科用楔(30)に簡単に係合でき、2本の歯の間に楔を配置できる、ざらざらした最上層(70)を有する。楔(30)は、接着剤の使用により、又は成形技術により、楔の基端部(54)上に配置されるざらざらした層(70)を有し得る。ざらざらした最上層(70)は、酸化アルミニウムのような粗粒子材料及びアクリル樹脂のような接着材料を含んでいる。
Description
【0001】
(背景)
1. 発明の分野
本明細書に開示される発明は、歯科用器具の分野に関する。より詳細には、本発明は、歯科用プレパラート(a dental preparation)を取り囲んで位置決めされ、該プレパラートに充填するのに使用される材料用として機能する歯科用マトリックス・バンド(dental matrix bands)の使用を含む歯科用処置に備えて歯を隔てるために利用される歯科用楔に関する。
【0002】
2. 背景技術
歯科の分野では、歯科実務家は、歯の側部に発達した空洞を有する患者をたびたび治療する。これらの空洞が、隣り合う歯の近くに位置している場合、これらの空洞は、隣接歯面間空洞(interproximal cavities)として知られている。隣接歯面間空洞のような歯の側部の空洞を扱うために、歯科実務家は、歯の感染部分を取り除き、次に、樹脂材料又はアマルガムのような充填物を歯のプレパラート内に付着させる。
【0003】
歯の側部を越えた充填材料の好ましくない漏出なしに、充填物をちゃんと付着させるために、典型的には、マトリックス・バンドが歯の周囲に配置され、その後、充填物が付着される。マトリックス・バンドは、典型的には、接合される第1端部及び第2端部を有し、それによって、歯の周囲に配置される型枠を形成する金属片又はプラスチック細片である。歯の周囲を取り囲まれる時、マトリックス・バンドは、機能的に実際の形と同様に、修理される歯の望ましい形状のための型枠を提供する機能を果たす。
【0004】
修復される歯に対して望ましい位置にマトリックス・バンドを保持するために、小さい歯科用楔が、修復される歯の近くの、マトリックス・バンドと歯との間の隣接歯面間空間(interproximal spaces)内にしばしば置かれる。楔は、また、充填処置の間、修復される歯に隣接する歯を区切る。歯科用楔は、マトリックス・バンドが最初に歯の周囲に位置決めされることを可能にするような、いろいろなその他の目的のために隣り合う歯を広げるべく使用されてもよい。歯周線維の弾力性のおかげで、歯は、楔及びマトリックス・バンドが取り除かれた後、それらの当初位置に戻る。
【0005】
図1は、歯科用マトリックス・バンド20により取り囲まれている歯10を示す。歯10及び隣り合う歯12との間に位置決めされている歯科用楔30が示されている。プライヤー(pliers)18が楔30を保持するために使用される。図2は、歯の周囲に置かれる前の代表的なマトリックス・バンドを20で示している。図3は、歯科用楔30をより詳細に示す。
【0006】
マトリックス・バンドは、また、異なる性状をもたらすべく異なる材料から形成され得る。もともとは、マトリックス・バンドは、ステンレス鋼から作られてきた。複合材料を重合させる準備段階において、輻射エネルギが複合材料に向けてバンドを通り抜けることを可能にするために透明又は半透明である、マトリックス・バンドの量が増大することは、納得させられる。
【0007】
従来のマトリックス・バンド及び歯科用楔の使用に伴う重要な問題は、歯科用楔が隣接歯面間空間におけるそれらの位置から抜け出し易いことにある。楔が、歯の間から抜け出すと、修復される歯の望ましい形状がゆがめられる。楔と歯科用マトリックス・バンドとの間の界面に関連する別の問題は、楔の挿入中の有害な滑りの可能性である。これらの問題は、従来の技術によって解決されていない。
【0008】
図3に示される従来の楔に加えて、図4−5は、従来の楔のその他の例をそれぞれ40及び50で示す。図4−5は、以下本明細書で説明される。代表的な楔は、示されるように三角形の断面を有する。この三角形断面は、他端部において平坦な基体へと広がる挿入末端部にある細い先端部、把持基端部を含んでいる。図3−5における各楔は、それぞれ32、42及び52で示される挿入末端部及びそれぞれ34、44及び54で示される把持基端部を有するように示されている。
【0009】
図1に示されるように、楔は、隣接歯面間空間に正しく嵌合するために、歯肉線に向かって配置される拡大端部、及び歯の間に延在し、歯肉から離れて延在する細い先端部とで概ね設置される。そのような楔を使用する時、実務者は、幅広い端部を歯肉線に向けて方向付けるのに慎重である。一方、細い先の尖った先端部は、歯の間の上方に向けられる。
【0010】
典型的な楔のこの三角形状を勘案すると、図3−5に36、46及び56でそれぞれ示される楔の本体を隣接歯面間空間に押しやる前に隣接歯面間空間に対して正しく楔の位置を確定することが重要である。さらに、正しく位置を確定された楔は、該空間に正確に案内されなければならない。しかしながら、それらの小型性と患者を不快にさせ、患者の歯肉及び/又は歯をできるだけ傷つけることなく楔の挿入を制御するのに伴う困難性とにより、口内の所望の隣接歯面間空間内で正しく楔の位置を確定することは多くの場合困難である。したがって、実務家は、楔を戦略的に整列し、正しく案内するために、楔の上に中実の把持部を維持する。もちろん、実務家が、楔を落とすことを避けるために、楔の中実把持部を保持することも必要である。
【0011】
それらの形により滑るという楔の傾向は、きつく掴まれたとき、特に、唾液又は血液のような流体で覆われたとき、それらの滑らかさと相対的な硬さによりさらに増大する。そのような滑らかさ及び硬さは、従来の楔を形成するために使用される材料のタイプに起因する。代表的歯科用楔は、それらの小型性により楔をしっかりと掴むことに伴う困難性と複合した滑らかな外面を有する、スズカケの木からなる楔のような、硬質プラスチック又は木材からなる。楔30が、木材から形成されるのに対し、楔40は、複合材料の光重合中、光が通過することを可能にするため、半透明のプラスチックから形成されていることに注目されたい。
【0012】
実務家は、特定の楔をしっかりと掴むため、さらに、該楔を口中に位置決めするために、コットンプライヤー(cotton pliers)として知られる小さいノーズを有する(small−nosed)プライヤーを概ね使用する。楔を掴むという実務家の技量を高めるために、いくつかの楔は、楔の本体の基端部に配置されている頭部を有する。例えば、楔40及び50は、本体46及び56に取り付けられた頭部48及び58によりそれぞれ示されている。頭部48は、掴むのに頭部58より優れている4つの把持表面49a―dを有する。しかしながら、頭部48は、概ね、プラスチックのような硬質材料から成るので、プライヤーは、そのような楔に接触すると、依然として簡単に滑る。
【0013】
楔が最初に位置決めされた後、歯科医は、楔を最終位置に押し進める。当該強制挿入中、プライヤー又はピンセットが、楔から患者の口内の柔らかい組織に滑り落ちるので、傷つく公算は最大である。さらに、歯医者が楔をコットンプライヤーで再度掴もうとすると、該楔から滑り落ちる恐れもある。楔の滑り易い性質は、楔が患者の口内で取り外された状態になること、又は汚染された状態になるようにプライヤーから床の上に放出された状態になることを引き起こす恐れがある。
【0014】
上で指摘されたように、口腔内の状態と結び付けられた楔の滑り易い性質は、隣接歯面間空間内に位置決めされた後、時々、楔が取り外された状態になり易くする。位置決めされた後に追い出される傾向は、また、楔の本体の大部分を隣接歯面間空間内に挿入することを困難にさせるような非常に空きのない空間内で使用されることに起因する。
【0015】
したがって、楔から滑り落ちる器具を位置決めするのに最小限のリスクで、容易に位置決めされる歯科用楔に対する技術的必要性がある。
【0016】
(発明の簡単な概要)
1つの発明は、歯科用楔に関する。該歯科用楔は、(i)挿入末端部を有する本体、及び(ii)楔の基端部にざらざらした最上層を備えている。歯科用楔は、ざらざらした最上層が頭部の基端部に存在するように、首部により本体に結合されている頭部を有することが好ましい。しかしながら、該ざらざらした最上層は、どのような形状をも有する楔の基端部にあってもよい。
【0017】
ざらざらした最上層は、先細状にされた本体が2本の歯の間の隣接歯面間空間内に挿入されるにつれて、器具がざらざらした最上層に対して押された時、著しく圧縮されるよう十分な圧縮性があってもよい。さらに、ざらざらした最上層は、テーパを有する本体が2つの歯の間の隣接歯面間空間内に挿入されるにつれて、器具がざらざらした最上層に対して押された時、著しく圧縮されないよう十分な硬さがあってもよい。どちらの実施態様においても、ざらざらした最上層は、歯科用器具がざらざらした最上層から滑り落ちるか又は転げ落ちることを防止するように、摩擦抵抗を本質的に提供する。
【0018】
ざらざらした最上層は、接着材料内に混合されている粗粒子材料を含んでいる。接着材料は、ざらざらした最上層が塗膜として楔の基端部に位置決めされ、硬化されることが許されるような接着剤であってもよい。接着材料は、また、ざらざらした最上層が成形工程により楔の基端部に位置決めされるようなプラスチックであってもよい。ざらざらした最上層は、どのような適切な粗粒子材料をも含んでいてもよいけれども、該粗粒子材料は、約50ミクロンから約80メッシュまでの範囲にある平均的な粒子の大きさを有していることが好ましい。
【0019】
本発明に係るさらなる利点は、以下の記述で述べられるであろう。該利点は、幾分は、該以下の記述から明らかになり、あるいは、本発明の実践により習得され得る。本発明の利点は、特に、添付されているクレームで指摘される器具及び組み合わせにより理解され、獲得されてもよい。
【0020】
本発明に係る上記した及びその他の利点が獲得されるように、上で簡単に説明された本発明のより詳細な説明が、添付される図面に示されるその特定の実施態様を参照することにより行なわれるであろう。これらの図面は、本発明に係る代表的実施態様を示しているにすぎず、したがって、その範囲の限定しようとするものではないことを理解しつつ、本発明は、添付図面を使ってさらに具体的かつ詳細に説明されるであろう。
【0021】
(好ましい実施態様の詳細な説明)
本発明に係る楔は、マトリックス・バンドを望ましい姿勢に保持し、歯の間に空間を作り出し、又はその他の歯科用あるいは非歯科用機能を提供するのに有益である。楔は、基端部から反対側に挿入末端部を有する。楔は、摩擦抵抗面を持つ基端部を有する。該摩擦抵抗面は、実務家が歯科用楔を歯の間に安全に位置決めすることができる、基端部のざらざらした又は粒子の粗い最上層であることが好ましい。
【0022】
ざらざらした最上層は、添付図面に70で識別される。ざらざらした最上層70は、粗粒又は微粒子のような粗粒子材料を含んでいる。最上層は、粗粒子材料を、混合物を形成する接着材料と混合し、混合物を形成し、次に該混合物を楔の基端部上に塗布することにより形成される。最上層は、楔の基端部上に塗布されて後硬化される塗膜として塗布されることが好ましい。最上層は、また、歯科用楔上に成形されてもよい。
【0023】
ざらざらした最上層70の粗粒又は微粒子は、増大した摩擦を提供できるどのような適切な粗粒子材料であってもよい。好ましい粗粒子材料の例は、酸化アルミニウム、軽石、シリカ、二酸化チタン等を含んでいる。粗粒子材料は、どのような適切な色を有していてもよい、例えば、酸化アルミニウムは、黒又はえび茶色であってもよいが、しかしながら、酸化アルミニウムは、白いものが使用されることが好ましい。粗粒は、どのような適切な大きさを有していてもよい。好ましい粒子の平均的大きさは、約50ミクロンから約80メッシュまでの範囲にある。
【0024】
ざらざらした最上層70が、粗粒子材料と接着材料との混合物として楔に塗布されている塗膜から形成されている場合、接着材料は、どのような適切な接着剤であってもよい。該接着剤は、混合物が楔上に塗布され、次に活性化され得るように、光活性接着剤であることが好ましい。接着剤は、また、可撓性であることが好ましい。該接着剤は、可撓性の光硬化性アクリル樹脂であることが好ましい。同様に使用され得るその他の接着剤としては、エポキシ樹脂が含まれ、ある場合には、シリコン樹脂が使用され得る。ざらざらした最上層70が、成形により形成される場合、接着材料は、どのような適切な成形用材料であってもよい。好ましい成形用材料は、ウレタンである。熱可塑性エラストマ−が、成形用材料として概ね有益である。追加例としては、ネオプレン、シリコン、ポリプロピレン、ラテックス、ゴム等のようなエラストマ−が含まれる。
【0025】
ざらざらした最上層70は、比較的硬くてもよいし、あるいは圧縮性であってもよい。圧縮性のざらざらした最上層の利点は、最上層70に係合するのに使用される器具がそれに押付けることができることにある。図5Cは、ピンセット80の平滑末端部(blunt end)84がざらざらした最上層70を押すのに使用されていることを示している。もし、ざらざらした最上層70が、上述したように圧縮性であるならば、この時、ピンセット80の平滑末端部84は、器具により接触される表面積を増すように、ざらざらした最上層70内に入り込む。その結果、器具がざらざらした最上層から一層滑り落ちることはない。圧縮性のざらざらした最上層70は、滑りの可能性を減少させるけれども、ざらざらした最上層70の粗粒子材料が有効な摩擦係合を与えるので、ざらざらした最上層70が圧縮性であることは必要ではない。したがって、先細状にされた本体手段が2本の歯の間の隣接歯面間空間内に挿入されるように、器具がざらざらした最上層に対して押されると、該最上層は、著しく圧縮されないか又は圧縮されるかのいずれかであるので、ざらざらした最上層70は、充分硬いか又は圧縮性であってもよい。
【0026】
ざらざらした最上層は、どのような適切な形をしていてもよい。例えば、ざらざらした最上層は、本質的に平坦であってもよいし、あるいは、湾曲した形状を有していてもよい。湾曲した形状の例は、本質的に凸状又はドーム状であるざらざらした最上層、及び本質的に凹状又は窪んでいるざらざらした最上層を含んでいる。ドーム形状のざらざらした最上層は、圧縮性であるように形成されている場合有益である。一方、窪んだ形状のざらざらした最上層は、凹形がざらざらした最上層70から歯科用器具が滑り落ちることを防止することを助けるような方法で、窪んだ形状のざらざらした最上層の低点で又は該低点の近くで歯科用器具が位置決めされ得るように、比較的硬いように形成されている場合有益である。凸状又は凹状の程度は、比較的浅くてもよいし、比較的深くてもよい。
【0027】
ざらざらした最上層70のようなざらざらした最上層は、どのような歯科用楔とも共同して使用され得る。例えば、ざらざらした最上層は、図1−3に示される楔のようなどのような従来の歯科用楔の基端部にも塗布され得る。同様に、本明細書で開示されるざらざらした最上層は、また、その他の従来の歯科用楔の基端部にも塗布され得る。
【0028】
ざらざらした最上層は、楔の基端部に配置されているので、該楔は、木材のようなどのような適切な材料から形成されてもよい。例えば、ざらざらした最上層は、楔10の基端部に接着されていてもよい。しかしながら、楔は、プラスチックから一体的に形成されていることが好ましい。さらに詳細には、楔の本体が、隣接歯面間空間内に配置され、隣接する歯の間に所望の姿勢でマトリックス・バンドを保持するか、さもなければ、歯の間の空間に保持するように設計されるので、該本体は、比較的硬質のプラスチックのような硬質材料からなることが好ましい。適切なプラスチックの例は、ナイロンである。製造の容易性に加えて、楔を形成するのにプラスチックを使用することの利点は、プラスチックは、楔を通って光が案内されることを可能とするために、楔が全体的に半透明であるか又はその一部が本体のように半透明であり得るように、選択され得ることにある。
【0029】
プラスチックから形成された楔は、熱可塑性樹脂形成技術又は注型プラスチック形成技術等のどのような手段で形成されてもよい。当業者であれば、いろいろな異なる方法が、歯科用楔を製造するのに利用できることを理解されるであろう。最上層70が成形される場合、最上層70を形成するのに使用された2つの構成材及び楔の残りの部分が、例えば、構成材を互いに化学的に接着させるために二色成形を使用することにより、互いに成形される。
【0030】
図5Cを参照して上述したように、楔の基端部のざらざらした最上層は、実務家が歯科用楔を歯の間に安全に位置決めすることを可能にする。好ましい実施態様は、また、実務家が、図5Bの最初に位置決めされるのに示されていると同じ方法で、歯科用処置の完了時に楔を安全に取り除くことを可能にする。図5A−5Dは、図4A−4Bの楔が、図5Aにおいて選択され、図5Bにおいて、鼓形空隙(an embrasure)に最初に挿入され、図5Cにおいて、マトリックス・バンドに係合させるのに十分な緊密さで鼓形空間に位置決めされ、そして次に図5Dにおいて、取り除かれることを示す一連の図である。図5A−5Dは、連続して起こることを示しているけれども、可能性のあるいろいろな組み合わせを示すために利用されている異なる楔及びバンドが、示されていることに留意されたい。
【0031】
図4A−4C及び図5A−5Dに示されるように、歯科用楔30は、(i)挿入末端部42及び基端部44を有する本体40、及び(ii)本体40に結合され、末端部62及び基端部64を有する頭部60からなる。同じく示されるように、首部50が、頭部60を本体40に結合させることが好ましい。示されるように、首部50の末端部52は、本体40の基端部44に結合されている。首部50の基端部54は、頭部60の末端部62に結合されている。頭部60の基端部64が楔の基端部であること及び本体の挿入末端部42もまた、楔の挿入末端部であることに留意されたい。
【0032】
同じ数字が各実施態様の対応する要素を識別するために使用されるとともに、プライム符号(prime symbols)が異なる実施態様に関して該要素を指示するために、あるいは、ほんのわずかに異なる実施態様に対しては小文字が使用されている。それで、図に示されるように、要素に対する特定の記号により別に指示されていない限り、要素に対する記号及びその対応する数字もまた、他の実施態様における同じ要素を示している。楔30の形状について主として言及されており、その要素が、議論され、他の実施態様の対応する要素と対比される。
【0033】
楔の本体は、鼓形空間に又は2本の歯の間の隣接歯面間空間内に挿入するのに適したどのような形状を有していてもよい。図4Aに示されるように、楔の本体の好ましい形状は、比較的湾曲し、先の尖った先端部46で終わる底部分43を持つ比較的細い挿入末端部を概ね有している。本体は、該本体が、漸次その大きさが拡大する三角形断面を有するように、挿入末端部から基端部44に向けて朝顔状に広がっていることが好ましい。細い末端部は、実務者が患者の歯の間に楔30を最初に配置することを可能にする。本体40の傾斜は、楔に圧力が加えられると、実務者が互いに関係する歯を動かすことを可能にする。さらに詳細には、楔が、内方に押されると、歯の間の楔の断面は、だんだんと広がった状態になり、それにより、相対的な歯の移動が可能となる。
【0034】
図5Aに示されるように、2以上の楔を有する一揃い(a kit)が用意されてもよい。また、該楔は、異なる形状を有していもよい。より詳細には、楔の本体は、図5Aに40b及び40aで示されるように、異なる広がり又は傾斜を有していてもよい。図5Aに示される楔の本体は全て、三角形断面を有している。しかしながら、本体40aは、その他の楔本体40b及び40cより狭い基体と頂角を有している。基体、勾配又は頂角に加えて、楔の本体は、また、異なる高さを有している。先に論じた従来の本体形状を含む、本明細書に開示された楔本体のいろいろな実施態様は、2本の歯の間の隣接歯面間空間内に挿入するための先細状の本体手段の例である。さらに、どのような従来の本体形状も利用され得る。
【0035】
図5Aに示される楔30a−cは、無菌又は略無菌の状態で楔を維持するためのものであることが好ましい支持部材86内に垂直に立っていることに留意されたい。図5Aに示されるように、使用者は、尖った先82又は従来のコットンプライヤー80の把持端部で簡単に楔を掴むことができる。
【0036】
図5B−5Dは、歯科用楔40及び摩擦係合表面116を有するマトリックス・バンド110又はマトリックス・バンド110′のペアでの使用を示している。上記したように、歯科用楔は、マトリックス・バンドが準備されている歯に対して保持されることを確実にするのに役立つ。マトリックス・バンドは、典型的には、マトリックス・バンド・ホルダーと併せて使用される。マトリックス・バンド110、110′及び110″は、しかしながら、図5B−5Dでは、主として楔の観察能力を高めるため、歯科用マトリックス・バンド・ホルダーなしで示されている。マトリックス・バンド・ホルダーが使用されない場合、マトリックス・バンドは、該バンドがスリーブ又は歯の周囲の形状を形成するように、スポット溶接、はんだ付け又は弾性バンドの使用を含む、いろいろな従来の方法を使用することにより保持される。はんだ、弾性バンド及びスポット溶接は、マトリックス・バンドが歯科用プレパラートを充填するのに使用されることを可能にするために、歯の周囲にマトリックスバンドを配置する手段の、マトリックス・バンド・ホルダーに加えてさらなる例であることに留意されたい。マトリックス・バンド110、110′及び110″がマトリックス・バンド・ホルダなしで示されているのに対し、そのようなマトリックス・バンドは、マトリックス・バンド・ホルダーで所定の位置に保持されることが好ましい。
【0037】
図5Bは、挿入末端部42bが隣接歯面間空間内に押されている時の、楔30bを首部50bでしっかりと掴んでいるとがった先82を示している。楔の基体又は拡大端部は、歯肉線に向けて配置され、細い頂部は、歯100b及び100cの間であって歯肉から離れて延在する。本体は、首部をしっかりと掴むことにより、及び/又は本体の基端部の前面、例えば、図4A−4Bに示される前面45のような本体基端部の前面を押すことにより、所定の位置に最初に挿入されるか又は完全に押され得る。より詳細には、所望の位置に楔30を最初に押すために、末端部44を押す一方、とがった先82が、本体40の基端部44に対して押されるか又は首部50をしっかりと掴むために使用される。楔の本体は、次に、図5Cに示されるように、ピンセット80の平滑末端84を頭部60に対して強く動かすことにより所定位置に十分に挿入される。より詳細には、平滑末端84又はどのような適切な器具でも、楔30aの本体40aを歯の間にさらに強く動かすために、頭部60の基端部64のざらざらした最上層70を押す。楔は、ピンセット80のとがった先82で、最初の配置に関し図5Bに示される同じ方法により、鼓形空隙から容易に取り除かれ得る。したがって、楔30は、頭部60の末端部62の前面、例えば、図4Bに示される前面63、をとがった先82で引っ張ることにより、首部50をしっかりと掴み、引っ張ることにより、あるいは、首部50を掴む一方末端部62に対して引っ張ることにより、鼓形空隙から引き抜かれてもよい。さらに、楔30は、図5Dに示されるように、従来のプライヤーで頭部を掴み、該頭部を引っ張ることにより、又は、ピンセットで頭部を掴み、該頭部を引っ張ることにより、鼓形空隙から引き抜かれてもよい。従来のピンセット又はプライヤーのような器具が、歯科用楔を挿入及び除去に有益であるのに対し、創意工夫のある器具は、楔30a−cのような歯科用楔とともに使うのに特に適合している。
【0038】
図4A−4Bに示されるように、本体40は、全体的には三角形断面形状でないことが好ましい。三角形の底辺の両コーナーは、歯を隔てるか又は移動させるのにさらに高いてこ比を提供するスペーサ面47を提供するために、面取りされている。頂点が、台状頂点41をもたらすように、基端部44において部分的に面取りされていることに留意されたい。図5A及び図6にそれぞれ示される楔本体40a及び40′のような他の実施態様は、面取りされていない。それで、側面は、全て角で終わっている。
【0039】
前に述べたように、患者の歯の間であって、マトリックス・バンドに対し楔を配置することは、マトリックス・バンドが準備されている歯に対し保持されることを確実にするのを助ける。図5B及び5Dに示されるように、マトリックス・バンドは、摩擦係合表面116、116′又は116″を有していてもよい。摩擦係合表面は、十分にざらついているか又は粗いので、歯科用楔は、一度該摩擦係合表面に対し位置決めされると、鼓形空隙から滑り落ちる可能性がほとんどない。摩擦係合表面によって提供されるより高い抵抗は、マトリックス・バンドが歯科用楔により所定位置にしっかりと保持されるであろうことを確実にする。したがって、実務家は、修復を安全に進めることができる。そのような摩擦係合表面は、マトリックス・バンドにサンドブラストを掛けることにより形成されることが好ましい。しかしながら、摩擦係合表面は、どのような適切な工程で形成されてもよい。例えば、摩擦係合表面は、マトリックス・バンドの外面又は外面の一部にマイクロエッチングをする(microetching)ことにより形成されてもよい。摩擦係合表面は、また、好ましくは静電方法を介して、マトリックス・バンドの外面又はその一部に研磨材料を接着することにより形成されてもよい。摩擦係合表面は、また、外面の粘着性のある部分であってもよい。そのような粘着性のある部分は、例えば、マトリックス・バンドの外面に適切な接着剤を塗布することにより形成され得る。若干の摩擦係合表面は、また、摩擦係合表面が成形工程中に形成されるような成形により形成されてもよい。摩擦係合表面は、図5Cに116′で示されるような一連の隆起部、又は、図5Dに116″で示されるような、マトリックス・バンドの一側面上で一方向に向いている一連の矢とマトリックス・バンドの他側面上で反対方向を向いている別の一連の矢(図5Dには示されていない)のような模様化された形状を有していてもよいことに留意されたい。
【0040】
楔がマトリックス・バンドに摩擦により係合する能力は、楔の押し面が摩擦抵抗表面で構成される時、高められる。例えば、図5A及び5Dに示される楔30cは、押し面47が、ぎざぎざのある外見を有するように、隆起部48を持つ押し面47cを有する。隆起部は、どのような適切な長さによって区切られていてもよいし、どのような適切な高さを有していてもよい。隆起部は、楔が成形されるときに形成されることが好ましい。摩擦抵抗表面の別の例は、図7に関連して以下に説明される粗面48″である。しかしながら、押し面は、図4A−4Bに楔30及び図5Aに示される一組の中の全く同じ楔、楔40bにより示されるように、必ずしも摩擦抵抗表面を持って構成される必要性がないことに留意されたい。
【0041】
歯科用楔本体の摩擦抵抗表面は、どのような適切な方法によって形成されてもよい。さらに、歯科用楔本体の摩擦抵抗表面は、歯科用マトリックス・バンドの摩擦係合表面を形成するのに使用されるどのような方法によって形成されてもよい。歯科用楔の摩擦抵抗表面は、また、摩擦抵抗表面が楔の本体全部又は該本体の一部を覆うように、押し面を越えて延在してもよい。どのような歯科用楔も、そのような摩擦抵抗表面で構成されていてもよく、それは、本発明の範囲内にあり得る。本明細書で開示される歯科用楔本体の摩擦抵抗表面は、歯科用楔に対して鼓形空隙内に押し込まれた後、該歯科用楔が鼓形空隙から出てくることを防止する手段の例である。ざらざらした最上層70が楔の基端部における好ましい摩擦抵抗表面であるけれども、本明細書で開示された楔は、楔本体に関し、又はマトリックス・バンドに関し、本明細書で開示された摩擦抵抗表面形状のいずれをも持つ基端部を有することに留意されたい。楔の基端部におけるざらざらした最上層及びそのような他の摩擦抵抗表面は、歯科用楔の基端部を押すことにより歯科用楔を固形空隙に位置決めするのに使用される器具に摩擦により係合させる手段の全ての例である。
【0042】
図4Bに最もよく見られるように、首部50は、頭部60の末端部62及び本体40の基端部44より小さい径を有し、それによって、そこに歯科用器具の配置用溝57を形成している。溝57は、(i)本体40の基端部44、(ii)首部50の外面、及び(iii)頭部60の末端部62により画成されている。実質上、縮径された首部50は、頭部と前面基端部との間に配置された窪み又は溝である。
【0043】
図4Bは、首部50の横断面が八角形の形状を有するように、首部表面の外周を巡って延在する8つの異なる平坦な把持表面56を有する首部50を示している。もちろん、首部は、どのような適切な形状を有していてもよい。例えば、首部は、一般的には、円形、楕円形、三角形である断面を有していてもよい。又は、首部は、断面が、四角形、五角形、六角形等の形状であるように、首部表面の外周を巡って延在する4以上の異なる平坦な把持表面を有していてもよい。首部50が多面である結果として、首部50は、いろいろな異なる把持角度及び把持位置で掴まれ得る。さらに、首部50の外周は、対称的であることが好ましい。
【0044】
本明細書で開示された各首部は、2本の歯の間の隣接歯面間空間に対し先細状本体手段を動かすために、歯科用器具の把持端部を受け入れる首部手段、及び頭部手段の末端部を先細状本体手段の基端部に結合する首部手段の例である。別の実施態様では、首部の表面は、ざらつきがあってもよいし、あるいは粘着性材料で被覆されていてもよい。さらに、可撓性及び圧縮性の座金が首部の回りに配置されていてもよい。そのようなざらつき表面、塗膜及び座金は、首部の摩擦抵抗表面の例であり、また、楔に対して強く動かされている歯科用器具、又は、より詳細には、楔あるいは首部を掴むのに使用される歯科用器具の滑りを防止する手段の例である。
【0045】
首部50のように、頭部60も8つの異なる平坦な側面66を有して図4A−4Bに示されている。頭部は、どのような適切な形状を有していてもよい。しかしながら、頭部は、頭部の外周を巡って、4以上の異なる平坦な側面を持つ多角形の形状であることが好ましい。そのような形状の例は、五角形、六角形、八角形、十角形等を含んでいる。したがって、軸58を横切る頭部60の断面は、五角形、六角形、八角形、十角形等の形状であってもよい。示されるように、頭部60の外周は、各平坦な側面が同じ大きさを有するので、対称的であることが好ましい。必須ではないけれども、頭部60の異なる平坦な把持表面の数は、偶数であることが好ましい。同様に、首部50の異なる平坦な把持表面の数も、偶数であることが好ましい。頭部60の外周を巡って延在する平坦な表面66及び首部50の外周を巡って延在する平坦な表面56は、平行な形状で互いに整列されていてもよいし、あるいは、平坦な表面66が平坦な表面56と平行でないように、互いを補っていてもよい。楔の種々の表面のせいで、実務者は、掴みと引っ張り、掴みと押し、又は楔30のいろいろな異なる構造に対する押しについて選択の余地を有する。さらに、頭部及び首部は、その外周を巡る、いろいろな異なる位置から掴まれ得る。
【0046】
図6は、その基端部において、楔30の本体40の面取りされた頂点41のような面取りされた頂点を持たない本体40′を有する歯科用楔30′の別の実施態様を示している。楔30の形状とは違って、楔30′の基端部のざらざらした最上層70は、頭部60′の面66′の上部分には延在していないことに留意されたい。
【0047】
図7には、本発明に係る歯科用楔の別の実施態様が、30″で示されている。楔30″の頭部60″は、首部なしに、本体40″に直接結合されている。そのような実施態様では、頭部60″は、図7に示されるように、本体40″より大きいことが好ましい。同様に、その他の実施態様の楔の頭部も、それぞれの本体よりも大きくてもよい。楔30″がマトリックス・バンドに摩擦により係合する能力は、楔30″の押し面47″の粗面48″により高められる。
【0048】
図8には、歯科用楔のさらに別の実施態様が、30’’’で示されている。楔30’’’は、芯部147及び硬質の芯部に取り付けられた圧縮性側部要素148を持つ本体40’’’を有する。圧縮性側部要素148a及び148bは、上で述べたような圧縮性材料から形成され得る。しかしながら、側部要素は、シリコンから形成されることが好ましい。側部要素は、芯部上に接着されてもよいし、あるいは、楔の基端部のざらざらした最上層の配置に関して上で述べられた方法により、芯部上に成形されてもよい。そのような側部要素の利点は、楔が鼓形空隙に挿入された時、緊密な嵌合が達成されることである。もちろん、芯部及び圧縮性側部要素を持つ本体を有する楔の実施態様は、本明細書で開示されたもののような形状又はざらざらした最上層とのペアでの使用に限られるものではない。芯部147は、半透明であってもよい。
【0049】
本発明は、その精神又は本質的な特徴から離れることなく、その他の特定の形に具体化されてもよい。説明された実施態様は、あらゆる点で、単なる例示として考慮されるべきであり、拘束されるべきではない。したがって、本発明の範囲は、上で述べたことによるよりもむしろ、添付されたクレームにより示される。クレームの意味及びクレームと等価の範囲内で生じるあらゆる変更がその範囲内で採用されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】
従来の歯科用楔の図である。
【図2】
従来の別の歯科用楔の図である。
【図3】
従来のさらに別の歯科用楔の図である。
【図4A】
本発明に係る歯科用楔の斜視図である。
【図4B】
図4Aに示される楔の頭部及び首部の拡大側面図である。
【図5A】
使用者が歯科用楔を異なるフレアを有する一揃いの歯科用楔から1つの歯科用楔を選択している斜視図である。
【図5B】
使用者の手がピンセットを使って歯科用楔の首部を介して歯科用楔をしっかりと掴み、歯科用楔の挿入末端部を歯の周りに配置されているマトリックス・バンドの近くの鼓形空隙又は隣接歯面間空間内に最初に挿入している斜視図である。
【図5C】
鼓形空隙に要望どおりに位置決めされるように、歯科用楔を歯の間にさらに挿入するために、使用者の手がピンセットの平滑末端部を使って歯科用楔のざらざらした最上層を押している斜視図である。
【図5D】
歯科用楔を歯の間から取り除くために、使用者の手がペンチを使って歯科用楔の頭部を引っ張っている斜視図である。
【図6】
頭部の正面に延在することなく頭部の基端部のみにざらざらした最上層を有する、本発明に係る歯科用楔の別の実施態様の斜視図である。
【図7】
首部がなく、頭部と一体化されている本体を有する、本発明に係る歯科用楔の別の実施態様の斜視図である。
【図8】
芯部及び圧縮性の側部要素を有する本発明に係る歯科用楔の別の実施態様の斜視図である。
(背景)
1. 発明の分野
本明細書に開示される発明は、歯科用器具の分野に関する。より詳細には、本発明は、歯科用プレパラート(a dental preparation)を取り囲んで位置決めされ、該プレパラートに充填するのに使用される材料用として機能する歯科用マトリックス・バンド(dental matrix bands)の使用を含む歯科用処置に備えて歯を隔てるために利用される歯科用楔に関する。
【0002】
2. 背景技術
歯科の分野では、歯科実務家は、歯の側部に発達した空洞を有する患者をたびたび治療する。これらの空洞が、隣り合う歯の近くに位置している場合、これらの空洞は、隣接歯面間空洞(interproximal cavities)として知られている。隣接歯面間空洞のような歯の側部の空洞を扱うために、歯科実務家は、歯の感染部分を取り除き、次に、樹脂材料又はアマルガムのような充填物を歯のプレパラート内に付着させる。
【0003】
歯の側部を越えた充填材料の好ましくない漏出なしに、充填物をちゃんと付着させるために、典型的には、マトリックス・バンドが歯の周囲に配置され、その後、充填物が付着される。マトリックス・バンドは、典型的には、接合される第1端部及び第2端部を有し、それによって、歯の周囲に配置される型枠を形成する金属片又はプラスチック細片である。歯の周囲を取り囲まれる時、マトリックス・バンドは、機能的に実際の形と同様に、修理される歯の望ましい形状のための型枠を提供する機能を果たす。
【0004】
修復される歯に対して望ましい位置にマトリックス・バンドを保持するために、小さい歯科用楔が、修復される歯の近くの、マトリックス・バンドと歯との間の隣接歯面間空間(interproximal spaces)内にしばしば置かれる。楔は、また、充填処置の間、修復される歯に隣接する歯を区切る。歯科用楔は、マトリックス・バンドが最初に歯の周囲に位置決めされることを可能にするような、いろいろなその他の目的のために隣り合う歯を広げるべく使用されてもよい。歯周線維の弾力性のおかげで、歯は、楔及びマトリックス・バンドが取り除かれた後、それらの当初位置に戻る。
【0005】
図1は、歯科用マトリックス・バンド20により取り囲まれている歯10を示す。歯10及び隣り合う歯12との間に位置決めされている歯科用楔30が示されている。プライヤー(pliers)18が楔30を保持するために使用される。図2は、歯の周囲に置かれる前の代表的なマトリックス・バンドを20で示している。図3は、歯科用楔30をより詳細に示す。
【0006】
マトリックス・バンドは、また、異なる性状をもたらすべく異なる材料から形成され得る。もともとは、マトリックス・バンドは、ステンレス鋼から作られてきた。複合材料を重合させる準備段階において、輻射エネルギが複合材料に向けてバンドを通り抜けることを可能にするために透明又は半透明である、マトリックス・バンドの量が増大することは、納得させられる。
【0007】
従来のマトリックス・バンド及び歯科用楔の使用に伴う重要な問題は、歯科用楔が隣接歯面間空間におけるそれらの位置から抜け出し易いことにある。楔が、歯の間から抜け出すと、修復される歯の望ましい形状がゆがめられる。楔と歯科用マトリックス・バンドとの間の界面に関連する別の問題は、楔の挿入中の有害な滑りの可能性である。これらの問題は、従来の技術によって解決されていない。
【0008】
図3に示される従来の楔に加えて、図4−5は、従来の楔のその他の例をそれぞれ40及び50で示す。図4−5は、以下本明細書で説明される。代表的な楔は、示されるように三角形の断面を有する。この三角形断面は、他端部において平坦な基体へと広がる挿入末端部にある細い先端部、把持基端部を含んでいる。図3−5における各楔は、それぞれ32、42及び52で示される挿入末端部及びそれぞれ34、44及び54で示される把持基端部を有するように示されている。
【0009】
図1に示されるように、楔は、隣接歯面間空間に正しく嵌合するために、歯肉線に向かって配置される拡大端部、及び歯の間に延在し、歯肉から離れて延在する細い先端部とで概ね設置される。そのような楔を使用する時、実務者は、幅広い端部を歯肉線に向けて方向付けるのに慎重である。一方、細い先の尖った先端部は、歯の間の上方に向けられる。
【0010】
典型的な楔のこの三角形状を勘案すると、図3−5に36、46及び56でそれぞれ示される楔の本体を隣接歯面間空間に押しやる前に隣接歯面間空間に対して正しく楔の位置を確定することが重要である。さらに、正しく位置を確定された楔は、該空間に正確に案内されなければならない。しかしながら、それらの小型性と患者を不快にさせ、患者の歯肉及び/又は歯をできるだけ傷つけることなく楔の挿入を制御するのに伴う困難性とにより、口内の所望の隣接歯面間空間内で正しく楔の位置を確定することは多くの場合困難である。したがって、実務家は、楔を戦略的に整列し、正しく案内するために、楔の上に中実の把持部を維持する。もちろん、実務家が、楔を落とすことを避けるために、楔の中実把持部を保持することも必要である。
【0011】
それらの形により滑るという楔の傾向は、きつく掴まれたとき、特に、唾液又は血液のような流体で覆われたとき、それらの滑らかさと相対的な硬さによりさらに増大する。そのような滑らかさ及び硬さは、従来の楔を形成するために使用される材料のタイプに起因する。代表的歯科用楔は、それらの小型性により楔をしっかりと掴むことに伴う困難性と複合した滑らかな外面を有する、スズカケの木からなる楔のような、硬質プラスチック又は木材からなる。楔30が、木材から形成されるのに対し、楔40は、複合材料の光重合中、光が通過することを可能にするため、半透明のプラスチックから形成されていることに注目されたい。
【0012】
実務家は、特定の楔をしっかりと掴むため、さらに、該楔を口中に位置決めするために、コットンプライヤー(cotton pliers)として知られる小さいノーズを有する(small−nosed)プライヤーを概ね使用する。楔を掴むという実務家の技量を高めるために、いくつかの楔は、楔の本体の基端部に配置されている頭部を有する。例えば、楔40及び50は、本体46及び56に取り付けられた頭部48及び58によりそれぞれ示されている。頭部48は、掴むのに頭部58より優れている4つの把持表面49a―dを有する。しかしながら、頭部48は、概ね、プラスチックのような硬質材料から成るので、プライヤーは、そのような楔に接触すると、依然として簡単に滑る。
【0013】
楔が最初に位置決めされた後、歯科医は、楔を最終位置に押し進める。当該強制挿入中、プライヤー又はピンセットが、楔から患者の口内の柔らかい組織に滑り落ちるので、傷つく公算は最大である。さらに、歯医者が楔をコットンプライヤーで再度掴もうとすると、該楔から滑り落ちる恐れもある。楔の滑り易い性質は、楔が患者の口内で取り外された状態になること、又は汚染された状態になるようにプライヤーから床の上に放出された状態になることを引き起こす恐れがある。
【0014】
上で指摘されたように、口腔内の状態と結び付けられた楔の滑り易い性質は、隣接歯面間空間内に位置決めされた後、時々、楔が取り外された状態になり易くする。位置決めされた後に追い出される傾向は、また、楔の本体の大部分を隣接歯面間空間内に挿入することを困難にさせるような非常に空きのない空間内で使用されることに起因する。
【0015】
したがって、楔から滑り落ちる器具を位置決めするのに最小限のリスクで、容易に位置決めされる歯科用楔に対する技術的必要性がある。
【0016】
(発明の簡単な概要)
1つの発明は、歯科用楔に関する。該歯科用楔は、(i)挿入末端部を有する本体、及び(ii)楔の基端部にざらざらした最上層を備えている。歯科用楔は、ざらざらした最上層が頭部の基端部に存在するように、首部により本体に結合されている頭部を有することが好ましい。しかしながら、該ざらざらした最上層は、どのような形状をも有する楔の基端部にあってもよい。
【0017】
ざらざらした最上層は、先細状にされた本体が2本の歯の間の隣接歯面間空間内に挿入されるにつれて、器具がざらざらした最上層に対して押された時、著しく圧縮されるよう十分な圧縮性があってもよい。さらに、ざらざらした最上層は、テーパを有する本体が2つの歯の間の隣接歯面間空間内に挿入されるにつれて、器具がざらざらした最上層に対して押された時、著しく圧縮されないよう十分な硬さがあってもよい。どちらの実施態様においても、ざらざらした最上層は、歯科用器具がざらざらした最上層から滑り落ちるか又は転げ落ちることを防止するように、摩擦抵抗を本質的に提供する。
【0018】
ざらざらした最上層は、接着材料内に混合されている粗粒子材料を含んでいる。接着材料は、ざらざらした最上層が塗膜として楔の基端部に位置決めされ、硬化されることが許されるような接着剤であってもよい。接着材料は、また、ざらざらした最上層が成形工程により楔の基端部に位置決めされるようなプラスチックであってもよい。ざらざらした最上層は、どのような適切な粗粒子材料をも含んでいてもよいけれども、該粗粒子材料は、約50ミクロンから約80メッシュまでの範囲にある平均的な粒子の大きさを有していることが好ましい。
【0019】
本発明に係るさらなる利点は、以下の記述で述べられるであろう。該利点は、幾分は、該以下の記述から明らかになり、あるいは、本発明の実践により習得され得る。本発明の利点は、特に、添付されているクレームで指摘される器具及び組み合わせにより理解され、獲得されてもよい。
【0020】
本発明に係る上記した及びその他の利点が獲得されるように、上で簡単に説明された本発明のより詳細な説明が、添付される図面に示されるその特定の実施態様を参照することにより行なわれるであろう。これらの図面は、本発明に係る代表的実施態様を示しているにすぎず、したがって、その範囲の限定しようとするものではないことを理解しつつ、本発明は、添付図面を使ってさらに具体的かつ詳細に説明されるであろう。
【0021】
(好ましい実施態様の詳細な説明)
本発明に係る楔は、マトリックス・バンドを望ましい姿勢に保持し、歯の間に空間を作り出し、又はその他の歯科用あるいは非歯科用機能を提供するのに有益である。楔は、基端部から反対側に挿入末端部を有する。楔は、摩擦抵抗面を持つ基端部を有する。該摩擦抵抗面は、実務家が歯科用楔を歯の間に安全に位置決めすることができる、基端部のざらざらした又は粒子の粗い最上層であることが好ましい。
【0022】
ざらざらした最上層は、添付図面に70で識別される。ざらざらした最上層70は、粗粒又は微粒子のような粗粒子材料を含んでいる。最上層は、粗粒子材料を、混合物を形成する接着材料と混合し、混合物を形成し、次に該混合物を楔の基端部上に塗布することにより形成される。最上層は、楔の基端部上に塗布されて後硬化される塗膜として塗布されることが好ましい。最上層は、また、歯科用楔上に成形されてもよい。
【0023】
ざらざらした最上層70の粗粒又は微粒子は、増大した摩擦を提供できるどのような適切な粗粒子材料であってもよい。好ましい粗粒子材料の例は、酸化アルミニウム、軽石、シリカ、二酸化チタン等を含んでいる。粗粒子材料は、どのような適切な色を有していてもよい、例えば、酸化アルミニウムは、黒又はえび茶色であってもよいが、しかしながら、酸化アルミニウムは、白いものが使用されることが好ましい。粗粒は、どのような適切な大きさを有していてもよい。好ましい粒子の平均的大きさは、約50ミクロンから約80メッシュまでの範囲にある。
【0024】
ざらざらした最上層70が、粗粒子材料と接着材料との混合物として楔に塗布されている塗膜から形成されている場合、接着材料は、どのような適切な接着剤であってもよい。該接着剤は、混合物が楔上に塗布され、次に活性化され得るように、光活性接着剤であることが好ましい。接着剤は、また、可撓性であることが好ましい。該接着剤は、可撓性の光硬化性アクリル樹脂であることが好ましい。同様に使用され得るその他の接着剤としては、エポキシ樹脂が含まれ、ある場合には、シリコン樹脂が使用され得る。ざらざらした最上層70が、成形により形成される場合、接着材料は、どのような適切な成形用材料であってもよい。好ましい成形用材料は、ウレタンである。熱可塑性エラストマ−が、成形用材料として概ね有益である。追加例としては、ネオプレン、シリコン、ポリプロピレン、ラテックス、ゴム等のようなエラストマ−が含まれる。
【0025】
ざらざらした最上層70は、比較的硬くてもよいし、あるいは圧縮性であってもよい。圧縮性のざらざらした最上層の利点は、最上層70に係合するのに使用される器具がそれに押付けることができることにある。図5Cは、ピンセット80の平滑末端部(blunt end)84がざらざらした最上層70を押すのに使用されていることを示している。もし、ざらざらした最上層70が、上述したように圧縮性であるならば、この時、ピンセット80の平滑末端部84は、器具により接触される表面積を増すように、ざらざらした最上層70内に入り込む。その結果、器具がざらざらした最上層から一層滑り落ちることはない。圧縮性のざらざらした最上層70は、滑りの可能性を減少させるけれども、ざらざらした最上層70の粗粒子材料が有効な摩擦係合を与えるので、ざらざらした最上層70が圧縮性であることは必要ではない。したがって、先細状にされた本体手段が2本の歯の間の隣接歯面間空間内に挿入されるように、器具がざらざらした最上層に対して押されると、該最上層は、著しく圧縮されないか又は圧縮されるかのいずれかであるので、ざらざらした最上層70は、充分硬いか又は圧縮性であってもよい。
【0026】
ざらざらした最上層は、どのような適切な形をしていてもよい。例えば、ざらざらした最上層は、本質的に平坦であってもよいし、あるいは、湾曲した形状を有していてもよい。湾曲した形状の例は、本質的に凸状又はドーム状であるざらざらした最上層、及び本質的に凹状又は窪んでいるざらざらした最上層を含んでいる。ドーム形状のざらざらした最上層は、圧縮性であるように形成されている場合有益である。一方、窪んだ形状のざらざらした最上層は、凹形がざらざらした最上層70から歯科用器具が滑り落ちることを防止することを助けるような方法で、窪んだ形状のざらざらした最上層の低点で又は該低点の近くで歯科用器具が位置決めされ得るように、比較的硬いように形成されている場合有益である。凸状又は凹状の程度は、比較的浅くてもよいし、比較的深くてもよい。
【0027】
ざらざらした最上層70のようなざらざらした最上層は、どのような歯科用楔とも共同して使用され得る。例えば、ざらざらした最上層は、図1−3に示される楔のようなどのような従来の歯科用楔の基端部にも塗布され得る。同様に、本明細書で開示されるざらざらした最上層は、また、その他の従来の歯科用楔の基端部にも塗布され得る。
【0028】
ざらざらした最上層は、楔の基端部に配置されているので、該楔は、木材のようなどのような適切な材料から形成されてもよい。例えば、ざらざらした最上層は、楔10の基端部に接着されていてもよい。しかしながら、楔は、プラスチックから一体的に形成されていることが好ましい。さらに詳細には、楔の本体が、隣接歯面間空間内に配置され、隣接する歯の間に所望の姿勢でマトリックス・バンドを保持するか、さもなければ、歯の間の空間に保持するように設計されるので、該本体は、比較的硬質のプラスチックのような硬質材料からなることが好ましい。適切なプラスチックの例は、ナイロンである。製造の容易性に加えて、楔を形成するのにプラスチックを使用することの利点は、プラスチックは、楔を通って光が案内されることを可能とするために、楔が全体的に半透明であるか又はその一部が本体のように半透明であり得るように、選択され得ることにある。
【0029】
プラスチックから形成された楔は、熱可塑性樹脂形成技術又は注型プラスチック形成技術等のどのような手段で形成されてもよい。当業者であれば、いろいろな異なる方法が、歯科用楔を製造するのに利用できることを理解されるであろう。最上層70が成形される場合、最上層70を形成するのに使用された2つの構成材及び楔の残りの部分が、例えば、構成材を互いに化学的に接着させるために二色成形を使用することにより、互いに成形される。
【0030】
図5Cを参照して上述したように、楔の基端部のざらざらした最上層は、実務家が歯科用楔を歯の間に安全に位置決めすることを可能にする。好ましい実施態様は、また、実務家が、図5Bの最初に位置決めされるのに示されていると同じ方法で、歯科用処置の完了時に楔を安全に取り除くことを可能にする。図5A−5Dは、図4A−4Bの楔が、図5Aにおいて選択され、図5Bにおいて、鼓形空隙(an embrasure)に最初に挿入され、図5Cにおいて、マトリックス・バンドに係合させるのに十分な緊密さで鼓形空間に位置決めされ、そして次に図5Dにおいて、取り除かれることを示す一連の図である。図5A−5Dは、連続して起こることを示しているけれども、可能性のあるいろいろな組み合わせを示すために利用されている異なる楔及びバンドが、示されていることに留意されたい。
【0031】
図4A−4C及び図5A−5Dに示されるように、歯科用楔30は、(i)挿入末端部42及び基端部44を有する本体40、及び(ii)本体40に結合され、末端部62及び基端部64を有する頭部60からなる。同じく示されるように、首部50が、頭部60を本体40に結合させることが好ましい。示されるように、首部50の末端部52は、本体40の基端部44に結合されている。首部50の基端部54は、頭部60の末端部62に結合されている。頭部60の基端部64が楔の基端部であること及び本体の挿入末端部42もまた、楔の挿入末端部であることに留意されたい。
【0032】
同じ数字が各実施態様の対応する要素を識別するために使用されるとともに、プライム符号(prime symbols)が異なる実施態様に関して該要素を指示するために、あるいは、ほんのわずかに異なる実施態様に対しては小文字が使用されている。それで、図に示されるように、要素に対する特定の記号により別に指示されていない限り、要素に対する記号及びその対応する数字もまた、他の実施態様における同じ要素を示している。楔30の形状について主として言及されており、その要素が、議論され、他の実施態様の対応する要素と対比される。
【0033】
楔の本体は、鼓形空間に又は2本の歯の間の隣接歯面間空間内に挿入するのに適したどのような形状を有していてもよい。図4Aに示されるように、楔の本体の好ましい形状は、比較的湾曲し、先の尖った先端部46で終わる底部分43を持つ比較的細い挿入末端部を概ね有している。本体は、該本体が、漸次その大きさが拡大する三角形断面を有するように、挿入末端部から基端部44に向けて朝顔状に広がっていることが好ましい。細い末端部は、実務者が患者の歯の間に楔30を最初に配置することを可能にする。本体40の傾斜は、楔に圧力が加えられると、実務者が互いに関係する歯を動かすことを可能にする。さらに詳細には、楔が、内方に押されると、歯の間の楔の断面は、だんだんと広がった状態になり、それにより、相対的な歯の移動が可能となる。
【0034】
図5Aに示されるように、2以上の楔を有する一揃い(a kit)が用意されてもよい。また、該楔は、異なる形状を有していもよい。より詳細には、楔の本体は、図5Aに40b及び40aで示されるように、異なる広がり又は傾斜を有していてもよい。図5Aに示される楔の本体は全て、三角形断面を有している。しかしながら、本体40aは、その他の楔本体40b及び40cより狭い基体と頂角を有している。基体、勾配又は頂角に加えて、楔の本体は、また、異なる高さを有している。先に論じた従来の本体形状を含む、本明細書に開示された楔本体のいろいろな実施態様は、2本の歯の間の隣接歯面間空間内に挿入するための先細状の本体手段の例である。さらに、どのような従来の本体形状も利用され得る。
【0035】
図5Aに示される楔30a−cは、無菌又は略無菌の状態で楔を維持するためのものであることが好ましい支持部材86内に垂直に立っていることに留意されたい。図5Aに示されるように、使用者は、尖った先82又は従来のコットンプライヤー80の把持端部で簡単に楔を掴むことができる。
【0036】
図5B−5Dは、歯科用楔40及び摩擦係合表面116を有するマトリックス・バンド110又はマトリックス・バンド110′のペアでの使用を示している。上記したように、歯科用楔は、マトリックス・バンドが準備されている歯に対して保持されることを確実にするのに役立つ。マトリックス・バンドは、典型的には、マトリックス・バンド・ホルダーと併せて使用される。マトリックス・バンド110、110′及び110″は、しかしながら、図5B−5Dでは、主として楔の観察能力を高めるため、歯科用マトリックス・バンド・ホルダーなしで示されている。マトリックス・バンド・ホルダーが使用されない場合、マトリックス・バンドは、該バンドがスリーブ又は歯の周囲の形状を形成するように、スポット溶接、はんだ付け又は弾性バンドの使用を含む、いろいろな従来の方法を使用することにより保持される。はんだ、弾性バンド及びスポット溶接は、マトリックス・バンドが歯科用プレパラートを充填するのに使用されることを可能にするために、歯の周囲にマトリックスバンドを配置する手段の、マトリックス・バンド・ホルダーに加えてさらなる例であることに留意されたい。マトリックス・バンド110、110′及び110″がマトリックス・バンド・ホルダなしで示されているのに対し、そのようなマトリックス・バンドは、マトリックス・バンド・ホルダーで所定の位置に保持されることが好ましい。
【0037】
図5Bは、挿入末端部42bが隣接歯面間空間内に押されている時の、楔30bを首部50bでしっかりと掴んでいるとがった先82を示している。楔の基体又は拡大端部は、歯肉線に向けて配置され、細い頂部は、歯100b及び100cの間であって歯肉から離れて延在する。本体は、首部をしっかりと掴むことにより、及び/又は本体の基端部の前面、例えば、図4A−4Bに示される前面45のような本体基端部の前面を押すことにより、所定の位置に最初に挿入されるか又は完全に押され得る。より詳細には、所望の位置に楔30を最初に押すために、末端部44を押す一方、とがった先82が、本体40の基端部44に対して押されるか又は首部50をしっかりと掴むために使用される。楔の本体は、次に、図5Cに示されるように、ピンセット80の平滑末端84を頭部60に対して強く動かすことにより所定位置に十分に挿入される。より詳細には、平滑末端84又はどのような適切な器具でも、楔30aの本体40aを歯の間にさらに強く動かすために、頭部60の基端部64のざらざらした最上層70を押す。楔は、ピンセット80のとがった先82で、最初の配置に関し図5Bに示される同じ方法により、鼓形空隙から容易に取り除かれ得る。したがって、楔30は、頭部60の末端部62の前面、例えば、図4Bに示される前面63、をとがった先82で引っ張ることにより、首部50をしっかりと掴み、引っ張ることにより、あるいは、首部50を掴む一方末端部62に対して引っ張ることにより、鼓形空隙から引き抜かれてもよい。さらに、楔30は、図5Dに示されるように、従来のプライヤーで頭部を掴み、該頭部を引っ張ることにより、又は、ピンセットで頭部を掴み、該頭部を引っ張ることにより、鼓形空隙から引き抜かれてもよい。従来のピンセット又はプライヤーのような器具が、歯科用楔を挿入及び除去に有益であるのに対し、創意工夫のある器具は、楔30a−cのような歯科用楔とともに使うのに特に適合している。
【0038】
図4A−4Bに示されるように、本体40は、全体的には三角形断面形状でないことが好ましい。三角形の底辺の両コーナーは、歯を隔てるか又は移動させるのにさらに高いてこ比を提供するスペーサ面47を提供するために、面取りされている。頂点が、台状頂点41をもたらすように、基端部44において部分的に面取りされていることに留意されたい。図5A及び図6にそれぞれ示される楔本体40a及び40′のような他の実施態様は、面取りされていない。それで、側面は、全て角で終わっている。
【0039】
前に述べたように、患者の歯の間であって、マトリックス・バンドに対し楔を配置することは、マトリックス・バンドが準備されている歯に対し保持されることを確実にするのを助ける。図5B及び5Dに示されるように、マトリックス・バンドは、摩擦係合表面116、116′又は116″を有していてもよい。摩擦係合表面は、十分にざらついているか又は粗いので、歯科用楔は、一度該摩擦係合表面に対し位置決めされると、鼓形空隙から滑り落ちる可能性がほとんどない。摩擦係合表面によって提供されるより高い抵抗は、マトリックス・バンドが歯科用楔により所定位置にしっかりと保持されるであろうことを確実にする。したがって、実務家は、修復を安全に進めることができる。そのような摩擦係合表面は、マトリックス・バンドにサンドブラストを掛けることにより形成されることが好ましい。しかしながら、摩擦係合表面は、どのような適切な工程で形成されてもよい。例えば、摩擦係合表面は、マトリックス・バンドの外面又は外面の一部にマイクロエッチングをする(microetching)ことにより形成されてもよい。摩擦係合表面は、また、好ましくは静電方法を介して、マトリックス・バンドの外面又はその一部に研磨材料を接着することにより形成されてもよい。摩擦係合表面は、また、外面の粘着性のある部分であってもよい。そのような粘着性のある部分は、例えば、マトリックス・バンドの外面に適切な接着剤を塗布することにより形成され得る。若干の摩擦係合表面は、また、摩擦係合表面が成形工程中に形成されるような成形により形成されてもよい。摩擦係合表面は、図5Cに116′で示されるような一連の隆起部、又は、図5Dに116″で示されるような、マトリックス・バンドの一側面上で一方向に向いている一連の矢とマトリックス・バンドの他側面上で反対方向を向いている別の一連の矢(図5Dには示されていない)のような模様化された形状を有していてもよいことに留意されたい。
【0040】
楔がマトリックス・バンドに摩擦により係合する能力は、楔の押し面が摩擦抵抗表面で構成される時、高められる。例えば、図5A及び5Dに示される楔30cは、押し面47が、ぎざぎざのある外見を有するように、隆起部48を持つ押し面47cを有する。隆起部は、どのような適切な長さによって区切られていてもよいし、どのような適切な高さを有していてもよい。隆起部は、楔が成形されるときに形成されることが好ましい。摩擦抵抗表面の別の例は、図7に関連して以下に説明される粗面48″である。しかしながら、押し面は、図4A−4Bに楔30及び図5Aに示される一組の中の全く同じ楔、楔40bにより示されるように、必ずしも摩擦抵抗表面を持って構成される必要性がないことに留意されたい。
【0041】
歯科用楔本体の摩擦抵抗表面は、どのような適切な方法によって形成されてもよい。さらに、歯科用楔本体の摩擦抵抗表面は、歯科用マトリックス・バンドの摩擦係合表面を形成するのに使用されるどのような方法によって形成されてもよい。歯科用楔の摩擦抵抗表面は、また、摩擦抵抗表面が楔の本体全部又は該本体の一部を覆うように、押し面を越えて延在してもよい。どのような歯科用楔も、そのような摩擦抵抗表面で構成されていてもよく、それは、本発明の範囲内にあり得る。本明細書で開示される歯科用楔本体の摩擦抵抗表面は、歯科用楔に対して鼓形空隙内に押し込まれた後、該歯科用楔が鼓形空隙から出てくることを防止する手段の例である。ざらざらした最上層70が楔の基端部における好ましい摩擦抵抗表面であるけれども、本明細書で開示された楔は、楔本体に関し、又はマトリックス・バンドに関し、本明細書で開示された摩擦抵抗表面形状のいずれをも持つ基端部を有することに留意されたい。楔の基端部におけるざらざらした最上層及びそのような他の摩擦抵抗表面は、歯科用楔の基端部を押すことにより歯科用楔を固形空隙に位置決めするのに使用される器具に摩擦により係合させる手段の全ての例である。
【0042】
図4Bに最もよく見られるように、首部50は、頭部60の末端部62及び本体40の基端部44より小さい径を有し、それによって、そこに歯科用器具の配置用溝57を形成している。溝57は、(i)本体40の基端部44、(ii)首部50の外面、及び(iii)頭部60の末端部62により画成されている。実質上、縮径された首部50は、頭部と前面基端部との間に配置された窪み又は溝である。
【0043】
図4Bは、首部50の横断面が八角形の形状を有するように、首部表面の外周を巡って延在する8つの異なる平坦な把持表面56を有する首部50を示している。もちろん、首部は、どのような適切な形状を有していてもよい。例えば、首部は、一般的には、円形、楕円形、三角形である断面を有していてもよい。又は、首部は、断面が、四角形、五角形、六角形等の形状であるように、首部表面の外周を巡って延在する4以上の異なる平坦な把持表面を有していてもよい。首部50が多面である結果として、首部50は、いろいろな異なる把持角度及び把持位置で掴まれ得る。さらに、首部50の外周は、対称的であることが好ましい。
【0044】
本明細書で開示された各首部は、2本の歯の間の隣接歯面間空間に対し先細状本体手段を動かすために、歯科用器具の把持端部を受け入れる首部手段、及び頭部手段の末端部を先細状本体手段の基端部に結合する首部手段の例である。別の実施態様では、首部の表面は、ざらつきがあってもよいし、あるいは粘着性材料で被覆されていてもよい。さらに、可撓性及び圧縮性の座金が首部の回りに配置されていてもよい。そのようなざらつき表面、塗膜及び座金は、首部の摩擦抵抗表面の例であり、また、楔に対して強く動かされている歯科用器具、又は、より詳細には、楔あるいは首部を掴むのに使用される歯科用器具の滑りを防止する手段の例である。
【0045】
首部50のように、頭部60も8つの異なる平坦な側面66を有して図4A−4Bに示されている。頭部は、どのような適切な形状を有していてもよい。しかしながら、頭部は、頭部の外周を巡って、4以上の異なる平坦な側面を持つ多角形の形状であることが好ましい。そのような形状の例は、五角形、六角形、八角形、十角形等を含んでいる。したがって、軸58を横切る頭部60の断面は、五角形、六角形、八角形、十角形等の形状であってもよい。示されるように、頭部60の外周は、各平坦な側面が同じ大きさを有するので、対称的であることが好ましい。必須ではないけれども、頭部60の異なる平坦な把持表面の数は、偶数であることが好ましい。同様に、首部50の異なる平坦な把持表面の数も、偶数であることが好ましい。頭部60の外周を巡って延在する平坦な表面66及び首部50の外周を巡って延在する平坦な表面56は、平行な形状で互いに整列されていてもよいし、あるいは、平坦な表面66が平坦な表面56と平行でないように、互いを補っていてもよい。楔の種々の表面のせいで、実務者は、掴みと引っ張り、掴みと押し、又は楔30のいろいろな異なる構造に対する押しについて選択の余地を有する。さらに、頭部及び首部は、その外周を巡る、いろいろな異なる位置から掴まれ得る。
【0046】
図6は、その基端部において、楔30の本体40の面取りされた頂点41のような面取りされた頂点を持たない本体40′を有する歯科用楔30′の別の実施態様を示している。楔30の形状とは違って、楔30′の基端部のざらざらした最上層70は、頭部60′の面66′の上部分には延在していないことに留意されたい。
【0047】
図7には、本発明に係る歯科用楔の別の実施態様が、30″で示されている。楔30″の頭部60″は、首部なしに、本体40″に直接結合されている。そのような実施態様では、頭部60″は、図7に示されるように、本体40″より大きいことが好ましい。同様に、その他の実施態様の楔の頭部も、それぞれの本体よりも大きくてもよい。楔30″がマトリックス・バンドに摩擦により係合する能力は、楔30″の押し面47″の粗面48″により高められる。
【0048】
図8には、歯科用楔のさらに別の実施態様が、30’’’で示されている。楔30’’’は、芯部147及び硬質の芯部に取り付けられた圧縮性側部要素148を持つ本体40’’’を有する。圧縮性側部要素148a及び148bは、上で述べたような圧縮性材料から形成され得る。しかしながら、側部要素は、シリコンから形成されることが好ましい。側部要素は、芯部上に接着されてもよいし、あるいは、楔の基端部のざらざらした最上層の配置に関して上で述べられた方法により、芯部上に成形されてもよい。そのような側部要素の利点は、楔が鼓形空隙に挿入された時、緊密な嵌合が達成されることである。もちろん、芯部及び圧縮性側部要素を持つ本体を有する楔の実施態様は、本明細書で開示されたもののような形状又はざらざらした最上層とのペアでの使用に限られるものではない。芯部147は、半透明であってもよい。
【0049】
本発明は、その精神又は本質的な特徴から離れることなく、その他の特定の形に具体化されてもよい。説明された実施態様は、あらゆる点で、単なる例示として考慮されるべきであり、拘束されるべきではない。したがって、本発明の範囲は、上で述べたことによるよりもむしろ、添付されたクレームにより示される。クレームの意味及びクレームと等価の範囲内で生じるあらゆる変更がその範囲内で採用されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】
従来の歯科用楔の図である。
【図2】
従来の別の歯科用楔の図である。
【図3】
従来のさらに別の歯科用楔の図である。
【図4A】
本発明に係る歯科用楔の斜視図である。
【図4B】
図4Aに示される楔の頭部及び首部の拡大側面図である。
【図5A】
使用者が歯科用楔を異なるフレアを有する一揃いの歯科用楔から1つの歯科用楔を選択している斜視図である。
【図5B】
使用者の手がピンセットを使って歯科用楔の首部を介して歯科用楔をしっかりと掴み、歯科用楔の挿入末端部を歯の周りに配置されているマトリックス・バンドの近くの鼓形空隙又は隣接歯面間空間内に最初に挿入している斜視図である。
【図5C】
鼓形空隙に要望どおりに位置決めされるように、歯科用楔を歯の間にさらに挿入するために、使用者の手がピンセットの平滑末端部を使って歯科用楔のざらざらした最上層を押している斜視図である。
【図5D】
歯科用楔を歯の間から取り除くために、使用者の手がペンチを使って歯科用楔の頭部を引っ張っている斜視図である。
【図6】
頭部の正面に延在することなく頭部の基端部のみにざらざらした最上層を有する、本発明に係る歯科用楔の別の実施態様の斜視図である。
【図7】
首部がなく、頭部と一体化されている本体を有する、本発明に係る歯科用楔の別の実施態様の斜視図である。
【図8】
芯部及び圧縮性の側部要素を有する本発明に係る歯科用楔の別の実施態様の斜視図である。
Claims (20)
- 2本の歯の間の隣接歯面間空間内に挿入される先細状本体手段を備え、
該先細状本体手段は、挿入末端部を有し、
基端部の上に配置されているざらざらした最上層をもつ本体手段の挿入末端部とは反対側に、該基端部を有することを特徴とする歯科用楔。 - ざらざらした最上層は、先細状本体手段が2本の歯の間の隣接歯面間空間内に挿入されるにつれ、器具がざらざらした最上層に対して押される時、該ざらざらした最上層が著しく圧縮しない程度に硬いことを特徴とする請求項1に記載の歯科用楔。
- ざらざらした最上層は、先細状本体手段が2本の歯の間の隣接歯面間空間内に挿入されるにつれ、器具がざらざらした最上層に対して押される時、該ざらざらした最上層が著しく圧縮する程に圧縮性であることを特徴とする請求項1に記載の歯科用楔。
- ざらざらした最上層は、接着材料に混合されている粗粒子材料を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の歯科用楔。
- ざらざらした最上層は、約50ミクロンから約80メッシュまでの範囲にある平均的な粒子の大きさを有する粗粒子材料を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の歯科用楔。
- ざらざらした最上層は、楔の基端部上に塗膜として配置されることを特徴とする請求項1に記載の歯科用楔。
- ざらざらした最上層は、楔の基端部上に成型工程により配置されることを特徴とする請求項1に記載の歯科用楔。
- 楔の基端部は、頭部の基端部であることを特徴とする請求項1に記載の歯科用楔。
- 楔の基端部は、頭部の基端部であり、該頭部は、首部で本体手段に結合されていることを特徴とする請求項1に記載の歯科用楔。
- 先細状本体手段は、プラスチックから形成されていることを特徴とする請求項1に記載の歯科用楔。
- 2本の歯の間の隣接歯面間空間内に挿入されるように構成されている先細状本体を備え、
該先細状本体は、挿入末端部を有し、
基端部の上に配置されているざらざらした最上層をもつ先細状本体の挿入末端部とは反対側に、該基端部を有することを特徴とする歯科用楔。 - ざらざらした最上層は、先細状本体が2本の歯の間の隣接歯面間空間内に挿入されるにつれ、器具がざらざらした最上層に対して押される時、該ざらざらした最上層が著しく圧縮しない程度に硬いことを特徴とする請求項11に記載の歯科用楔。
- ざらざらした最上層は、先細状本体が2本の歯の間の隣接歯面間空間内に挿入されるにつれ、器具がざらざらした最上層に対して押される時、該ざらざらした最上層が著しく圧縮する程に圧縮性であることを特徴とする請求項11に記載の歯科用楔。
- ざらざらした最上層は、接着材料に混合されている粗粒子材料を含んでいることを特徴とする請求項11に記載の歯科用楔。
- ざらざらした最上層は、約50ミクロンから約80メッシュまでの範囲にある平均的な粒子の大きさを有する粗粒子材料を含んでいることを特徴とする請求項11に記載の歯科用楔。
- ざらざらした最上層は、楔の基端部上に塗膜として配置されることを特徴とする請求項11に記載の歯科用楔。
- ざらざらした最上層は、楔の基端部上に成型工程により配置されることを特徴とする請求項11に記載の歯科用楔。
- 楔の基端部は、頭部の基端部であることを特徴とする請求項11に記載の歯科用楔。
- 楔の基端部は、頭部の基端部であり、該頭部は、首部で本体に結合されていることを特徴とする請求項11に記載の歯科用楔。
- 挿入末端部を有し、2本の歯の間の隣接歯面間空間内に挿入されるように構成されている先細状本体、
首部で該先細状本体に結合されている頭部であって、本体の挿入末端部とは反対側に基端部を有する頭部、
該頭部の基端部上に配置されているざらざらした最上層、
を備えていることを特徴とする歯科用楔。
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