JP2004505636A - 二色蛍光測定によるプロテアーゼ検査 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、プロテアーゼ基質としての使用に適する自己蛍光融合蛋白質、この融合蛋白質をコードする核酸配列、並に液体サンプル又は細胞中の蛋白質分解活性を検出及び定量する方法であって、二色共焦点式蛍光測定検査において前記融合蛋白質及び/又は核酸配列を用いる前記方法に関する。
【0002】
発明の背景
プロテアーゼは、ペプチド分子の加水分解を触媒する酵素である。蛋白質分解活性の検出及び定量は、様々な研究分野において、また製薬業界及びバイオテクノロジー業界において重要である。プロテアーゼ検査として知られている利用可能な検査方法が、蛋白質分解活性を有する新しい酵素の研究、その生化学的特性の研究、製造装置における汚染の防止の研究、そして活性を修飾する特性を有する物質の研究において用いられている。本発明では特に、例えばウイルス感染の処置に用いられる、プロテアーゼ阻害効果を有する有効な物質(プロテアーゼ阻害剤)を、高速大量にスクリーニングすることが焦点となっている。
【0003】
プロテアーゼ検査では、主にペプチドが基質として用いられる。そのアミノ酸配列は、プロテアーゼの活性中心と理想的に相互作用しうるものである。その様な基質の加水分解を測定する一連の適当な方法が、文献に記載されている。例えば、電気泳動による方法、クロマトグラフィーによる方法、又は分光学的方法(Methods Enzymol. (1981) 80:341−361, Methods Enzymol. (1994) 241:70−86, Peptides (1991) 787−789)である。プロテアーゼ活性の既知の分析方法は、基本的には異質的方法と均質的方法のいずれかに分類できる。異質的方法では、加水分解産物の分析は、反応系から分離した後に行われる(オフライン)。その場合、例えばSDS−PAGE法、ウエスタンブロット法、ELISA法又はHPLC法などの方法が用いられる。反応と測定との時間的不一致という欠点の外に、これらの方法は、特に、操作が複雑であるという特徴を有する。これらの方法の利点は、全く未修飾の基質を用いうるということである。故に異質的方法は、主に単独の分析及び評価に用いられる。
【0004】
均質的分析方法の利点は、反応をリアルタイムで直接に観察できることである(オンライン)。更に、他の方法と比較して分光学的方法の別の利点は、比較的に少量のみの対象物質が測定に必要であることである。第一世代の均質的方法には、発色性又は蛍光性基質を用いる分光学的方法があった。これらの測定は、蛋白質分解の結果としての、発色団(発色物質)の吸光スペクトルの変化、又は蛍光団(蛍光物質)の蛍光放射の変化に基づいている(Biochemistry (1967) 67(6):1765−1777; Anal. Biochem. (1979) 99(1):53−64)。一般に蛍光物質には、発色物質に比べてより感度が高いという利点があるので、実質的により低い濃度を検出することができる。通常、これらの基質の発色団又は蛍光団は、測定するプロテアーゼに特異的なアミ酸配列を有するペプチドのC末端に、アミド結合を介して結合されている。
【0005】
しかし、第一世代のこれらの基質には、その使用を制限する多数の欠点がある。まず、これらの発色団及び蛍光団の大部分は、比較的大きな芳香族残基(例えばp−ニトロフェノール、β−ナフチルアミドなど)であり、それらは天然に存在する20種類のアミノ酸残基とは化学的性質において大きく異なる。更に、発色団又は蛍光団の結合に通常用いられるアミド結合は、ペプチド結合と実質的に異なる。これにより、酵素の選択性及び変換率が劇的に低下する。最後に、通常、発色団又は蛍光団は、プロテアーゼにより触媒される加水分解の最中に放出され、そのスペクトル又は蛍光特性が変化する様に、プロテアーゼ切断部位のC末端に直接結合されていなければならない。
【0006】
これらの基質は、プロテアーゼ切断部位からいくらか離れた位置におけるペプチド鎖上の基質特異性、即ち二次的基質特異性の分析には全く不適である。例えば、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)由来のプロテアーゼは、基質の認識のために、切断部位の両端に3又は4つのアミノ酸が必要である。これらのタイプの検査では、より長いペプチドが要求され、かつそのペプチド鎖内の配列を変化させる必要がある。この目的のために、分子内エネルギー転移を示す蛍光性プロテアーゼ基質が導入されてきた(Castillo, M. J. et al., Anal. Biochem. 95 (1979), 228−235; Gershkovich, A. A., and Khnolodovych, V. V., J. Biochem. Biophys. Methods 33 (1996), 135−162)。1つの方法は、蛍光団(供給体)を基質ペプチドの1つの端に、そして消光分子(受容体、例えばdabcyl)をもう1つの端に連結することである(Matayoshi, E. D., et al., Science 247 (1990), 954−958; Methods in Enzymology (1994) 241:70−86; Anal. Biochem. (1995) 227:148−155)。そのままのペプチド基質では、消光物質が蛍光団の蛍光をほぼ完全に消している。しかし、切断反応により消光物質と蛍光団が分離されると、蛍光団の励起により生じる測定可能な蛍光放射が大きく増加する。
【0007】
消光分子の代りに、励起スペクトルが第1の蛍光団の発光スペクトルと重複する別の蛍光団を用いて、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET、フォルスターエネルギー転移)を誘導することもできる。これらの基質に基づく方法では、シグナルの質、従って検査の感度は、特に、供給体と受容体との距離、供給体の発光スペクトルと受容体の吸光スペクトルとの重複、そして遷移双極子の配向に依存する。従ってこれら3つのパラメーターにより、この様なプロテアーゼ基質の利用性が制限される。上記のHIVプロテアーゼ検査に必要な最小の長さが7アミノ酸残基であることは、この検査のかなりの制限となる。従って対応する基質では、供給分子と受容分子を慎重に選択し、そして立体的な判断を考慮に入れて合成することが必要である。
【0008】
この様な2つの化学基間の蛍光エネルギー転移の測定に基づくプロテアーゼ検査の代りとして、ペプチド基質を二色共焦点蛍光測定法に適用することが文献に記載されている(WO 99/34195; Koltermann, A. et al., Fluorescence Correlation Spectroscopy, Theory and Application, Springer−Verlag, Right, R., Elson, E., (eds.), (2000))。これらの基質では、蛍光団はペプチド鎖の両端に化学的に結合されており、その2つの蛍光団は分光学的に異なった蛍光放射特性を有する。共焦点蛍光測定法、例えば二色蛍光相互相関分光法(二色FCS, DE19757740)又は共焦点蛍光同時(coincidence)分析法(CFCA, WO 99/34195)を用いることによって、試験溶液中で両蛍光団が連結された分子の割合を決定することができる。
【0009】
これの唯一の条件は、化学結合により蛍光団を結合することなので、上記の境界条件による制限を受けることなく、蛋白質分解活性を決定することができる。蛍光団間の距離および配向は、検査の必要条件に応じて自由に選択できる。全蛋白質ドメインを切断部位として用いることができ、かつ2つの蛍光団の空間配向は相互に無関係であるので、上述した方法に対して、この検査は原則的に、事実上自然な条件下でオンライン式プロテアーゼ検査法に従って行うことができる。更に、この方法により、最少サンプル量(ほんの数ピコリットル)においてさへ、ナノモル濃度未満の二色の蛍光団を検出することができる。
【0010】
しかし、蛍光団を化学的に結合したこの様な既知のプロテアーゼ基質の欠点は、それらを合成するために複雑な方法が必要なことである。ペプチドは、約50アミノ酸の長さまで固相法により比較的に効率的に合成することができるが、使用する蛍光団は通常ペプチド合成化学に対して相性が良くないので、蛍光団を2回部位特異的に結合することはかなりの労力を要する。しかも、例えば少し改変した基質の特異性を分析するために、少し改変したペプチド配列を合成するためにでも、同様に相当な労力が必要である。これに比べて、遺伝子工学的方法により、即ち細胞発現系又は無細胞発現系を用いて、核酸配列によってコードされる蛋白質を発現させるための核酸配列を作製することにより、ポリペプチドを作製することはかなり簡単である。
【0011】
更に、これまでに知られているいずれの基質も、細胞内プロテアーゼの検査の要件を満足していない。多くのプロテアーゼは細胞から培地内に分泌されず、細胞内に存在する。真核細胞では、それらは単一の区域にのみ特異的に存在している。プロテアーゼを測定できるようにするために細胞を破壊することは、通常複雑な処理である。しかも空間的な分解能が失われる。
【0012】
他方、空間分解能を有する細胞内蛍光測定が、現代的な共焦点蛍光測定法により正に実現できる (Schwille, P. et al., Biophys. J. 77 (1999) 2551)。蛍光測定法により細胞内のプロテアーゼ活性を測定するためには、適当な基質を細胞内に挿入するか、又は細胞内で生産させる必要がある。物質を細胞内に挿入する方法が知られており、例えば微小注入法又は電気穿孔法である。しかしこれらの方法は全て、比較的労働集約的であり、本質的に細胞に損傷を与え、そして挿入量及び挿入部位の潜在的な調節が困難であるという問題を有する。しかしまた、プロテアーゼ基質をコードする核酸配列を、既知の分子生物学的方法により細胞内に挿入することもできる。核酸配列から対応するポリペプチドを連続的に発現させることにより、プロテアーゼ基質が生産される。またこの発現は外部的に調節可能である。1又は複数の自己蛍光蛋白質(AFP)のコード配列を、基礎となるプロテアーゼ基質のコード配列に連結しておけば、その様なプロテアーゼ基質を蛍光測定に使用することができる。
【0013】
この様な完全に発現可能なプロテアーゼ基質の可能性が文献に記載されている(Mitra, R. D. et al., Gene 173 (1996) 13−93)。この目的のために、GFP (オワンクラゲAequorea victoria由来の緑色蛍光蛋白質)の2つの変種をコードする配列間にプロテアーゼ切断部位のコード配列を有する核酸配列が提供されている。これらの変種GFPは、それらの間の蛍光エネルギー転移が、そのままの状態のペプチド架橋(20アミノ酸残基とXa因子の切断部位とによる架橋が記載されている)において測定可能である様に選択されている。蛋白質分解活性により2つの蛍光団が分離され、その結果受容体蛍光団の蛍光放射が減少する。この方法は、化学合成された基質に関する問題点を解消し、かつ基本的に細胞内検査に適する。それでもなお、この方法は、上記の蛍光エネルギー転移基質の全ての欠点、例えば基質の構造設計における制限やプロテアーゼ認識配列の可能な最大長による制限などを有する。
【0014】
本発明の基本的な技術課題は、プロテアーゼ基質を設計すること、そしてこのプロテアーゼ基質を用いた蛋白質分解活性測定法を提供することであり、これらによって、既知のプロテアーゼ基質及び既知の蛋白質分解活性測定法に関する上述した欠点を回避することができる。特に、該基質は、細胞発現系又は無細胞発現系による合成に適し、かつ蛋白質分解活性の細胞内分析を可能にするものである。該基質は、蛍光団の複雑な部位特異的化学結合を必要としない。そしてプロテアーゼ切断部位を制限なく設計することも可能である。
【0015】
発明の要旨
驚くことに、2つの識別可能な自己蛍光蛋白質からなる特殊な自己蛍光融合蛋白質により上記の要件を達成できることが見出された。従って本発明は下記事項に関する。
(1)第1の自己蛍光蛋白質、プロテアーゼ切断部位を含有する切断部位領域、及び第1自己蛍光蛋白質から識別できる少なくとも1つの別の自己蛍光蛋白質からなり、それらの2つの自己蛍光蛋白質間に有意な蛍光エネルギー転移が無い、自己蛍光融合蛋白質。
(2)(1)記載の自己蛍光融合蛋白質をコードする核酸配列。
(3)(2)記載の核酸配列を含有するベクター。
(4)(2)記載の核酸配列及び/又は(3)記載のベクターを含有する細胞又はトランスジェニック生物。
(5)細胞発現系又は無細胞発現系によって(2)記載の核酸配列を発現させることを含んで成る、(1)記載の自己蛍光融合蛋白質の製造方法。
【0016】
(6)試料中の蛋白質分解活性の分析方法であって、
(a)検査水溶液中で、(1)記載の自己蛍光融合蛋白質を、蛋白質分解活性を検査する試料と混合する過程;
(b)蛋白質分解切断に適する条件下でインキュベーションする過程;及び
(c)共焦点蛍光測定法により、切断された融合蛋白質の割合を測定する過程
を含んで成る、前記方法。
(7)試料中のプロテアーゼ阻害活性の分析方法であって、
(a)検査水溶液中で、(1)記載の自己蛍光融合蛋白質を、プロテアーゼ阻害活性を検査する試料及び適当なプロテアーゼと混合する過程;
(b)蛋白質分解切断に適する条件下でインキュベーションする過程;及び
(c)共焦点蛍光測定法により、切断された融合蛋白質の割合を測定する過程
を含んで成る、前記方法。
【0017】
(8)細胞内プロテアーゼ活性の分析方法であって、
(a)検査する細胞内に(2)記載の核酸配列及び/又は(3)記載のベクターを挿入することにより、(1)記載の自己蛍光融合蛋白質を細胞内で発現させる過程;
(b)該融合蛋白質の発現及び蛋白質分解切断に適する条件下でインキュベーションする過程;及び
(c)共焦点蛍光測定法により、細胞内で生じたプロテアーゼ活性を測定する過程
を含んで成る、前記方法。
(9)細胞内プロテアーゼ阻害活性の分析方法であって、
(a)検査する細胞内に(2)記載の核酸配列及び/又は(3)記載のベクターを挿入することにより、(1)記載の自己蛍光融合蛋白質を細胞内で発現させる過程;
(b)該融合蛋白質の発現及び蛋白質分解切断に適する条件下でインキュベーションする過程;及び
(c)共焦点蛍光測定法により、細胞内で生じたプロテアーゼ阻害活性を測定する過程
を含んで成る、前記方法。
以下に発明を詳細に説明する。
【0018】
発明の詳細な説明
本発明の実施態様(1)に記載の融合蛋白質は、全部で1つの連続した蛋白質鎖を形成する数個の部分配列から成る。本発明の蛋白質鎖は、第1の自己蛍光蛋白質、プロテアーゼ切断部位を含有する切断部位領域、及び第1自己蛍光蛋白質から識別できる少なくとも1つの別の自己蛍光蛋白質を含有する。ただしそれらの2つの自己蛍光蛋白質間に有意な蛍光エネルギー転移は無い。好ましい態様では、該蛋白質鎖内で、スペクトル特性に基づいて相互に識別できる2つの自己蛍光蛋白質の間に、切断部位領域が位置する。
【0019】
本発明において「有意な蛍光エネルギー転移が無い」とは、前記の2つ(又はそれ以上)の自己蛍光蛋白質から放射された蛍光が、他方の自己蛍光蛋白質を励起しないこと、又は50%未満で、好ましくは30%未満で、最も好ましくは10%未満で励起することを意味する。一方で、これは、2つの自己蛍光蛋白質間の距離、即ち自己蛍光蛋白質間のスペーサーペプチド(ここでは切断部位領域)の長さにより影響を受けうる。他方で、スペーサー蛋白質のタイプ、即ちスペーサーペプチドが二次構造(皺)を形成する程度が、蛍光エネルギー転移に関係する。本発明では、二次構造を形成せず、かつ比較的堅い切断部位領域(プロテアーゼ切断部位を有する)が特に好ましい。特に、この切断部位領域は少なくとも10、好ましくは少なくとも20、最も好ましくは少なくとも30アミノ酸残基の長さを有する。
【0020】
本発明では、該自己蛍光蛋白質は、細胞による蛋白質生合成により、又はリボゾームによる蛋白質合成のための無細胞系により発現された後、場合により引き続き、細胞成分又は追加した酵素により修飾された後、蛍光特性を発揮する。
【0021】
本発明では、使用する蛍光団は「スペクトル上識別でき」、特にそれらの発光スペクトルを相互に識別できる。好ましい態様では、自己蛍光蛋白質として、一方にオワンクラゲ(Aequorea victoria)由来の緑色蛍光蛋白質又はその変種、特に赤色側にシフトした変種、他方にハナイソギンチャクモドキ(Discosoma)種由来のDsRed又はその変種が用いられる。特に好ましくは、rsGFP(配列番号1、アミノ酸11〜249)及びDsRed(配列番号1、アミノ酸263〜487)を含有する融合蛋白質を用いる。
【0022】
特に好適なプロテアーゼ切断部位は、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)由来のプロテアーゼ(アミノ酸配列SQNYPIVQを認識する)、C型肝炎ウイルス由来のプロテアーゼ、TEV(タバコエッチウイルス)由来のプロテアーゼ(アミノ酸配列ENLYFQSを認識する)、hCMV(ヒトサイトメガロウイルス)由来のプロテアーゼ(アミノ酸配列RGVVNASSRLAを認識する)、HSV(単純ヘルペスウイルス)由来のプロテアーゼ(アミノ酸配列LVLASSSFを認識する)、プロテアーゼプラスミン(アミノ酸配列KXYKを認識する)、プロテアーゼACE(アンギオテンシン変換酵素)(アミノ酸配列GKYAPWVを認識する)、プロテアーゼtPA、Xa因子(アミノ酸配列IEGRを認識する)、トロンビン(アミノ酸配列VGPRSFLLKを認識する)などにより特異的に認識され、そして切断されるものである。
【0023】
特に好ましい融合蛋白質は以下の融合蛋白質A〜Cである(切断部位領域を下線で示し、プロテアーゼ切断部位を太字で示し、TEVプロテアーゼの切断部位を↓で示す)。
融合蛋白質A(変種1;487アミノ酸;配列番号1):
【0024】
融合蛋白質B(変種2;506アミノ酸;配列番号2):
【0025】
融合蛋白質C(変種3;547アミノ酸;配列番号3):
【0026】
本発明の実施態様(6)に記載の方法は、試料中の蛋白質分解活性の分析方法であって、
(a)検査水溶液中で、細胞発現系又は無細胞発現系によって生産された本発明の自己蛍光融合蛋白質を、蛋白質分解活性を検査する試料と混合する過程;
(b)蛋白質分解切断に適する条件下でインキュベーションする過程;及び
(c)共焦点蛍光測定法により、切断された融合蛋白質の割合を測定する過程を含んで成る。
本発明では、検査する試料は、天然単離物、物質ライブラリー内の化学物質、発酵ブロスの分画、又は改変技術により作製したプロテアーゼライブラリーでよい。
【0027】
共焦点蛍光測定法とは、単一蛍光団が励起焦点を通過することによって生じる蛍光シグナルを評価する方法である。共焦点蛍光測定法には、特に蛍光相関分光法(FCS)、二色蛍光相互相関分光法(KK−FCS)、共焦点蛍光同時(coincidence)分析法(CFCA)及び2次元蛍光強度分布分析法(2D−FIDA)がある。
【0028】
本発明の実施態様(7)に記載の方法は、試料中のプロテアーゼ阻害活性の分析方法である。この方法は、上記実施態様(6)の方法に類似し、蛋白質分解活性を検査する試料の代りに、適当なプロテアーゼと共にプロテアーゼ阻害活性を検査する試料を用いる。
本発明では、前記の適当なプロテアーゼとは、そのプロテアーゼ基質に合致した配列特異性を有する一群のプロテアーゼ中のいずれかのことである。
【0029】
本発明の実施態様(8)に記載の方法は、細胞内プロテアーゼ活性の分析方法に関する。この方法は、上記実施態様(6)の方法に類似し、この方法により、当該融合蛋白質をコードする核酸配列を細胞内に挿入することにより該蛋白質を細胞内で発現させ、そして細胞内に存在するプロテアーゼ活性を共焦点蛍光測定法により分析することができる。
【0030】
実施態様(9)に記載の発明は、細胞内プロテアーゼ阻害活性の分析方法に関し、これも上記方法(6)〜(8)に類似する。この方法により、当該融合蛋白質をコードする核酸配列及び適当なプロテアーゼをコードする核酸配列を細胞内に挿入することによりそれらを細胞内で発現させ、そして細胞内に存在するプロテアーゼ阻害活性を共焦点蛍光測定法により分析することができる。
【0031】
好ましい態様では、位置的及び時間的な発現調節が可能なベクターを用いて、真核細胞に上記核酸配列を挿入する。特に好ましい態様では、選択した細胞内区域でのみ発現が生じる。
別の特に好ましい態様では、共焦点蛍光測定法として、二色蛍光相互相関分光法(KK−FCS)、共焦点蛍光同時(coincidence)分析法(CFCA)又は2次元蛍光強度分布分析法(2D−FIDA)が用いられる。
【0032】
本発明では、二色共焦点蛍光測定法に加えて、別の測定パラメータとして、蛍光エネルギー転移を示す分子の割合を決定しうる。
別の特に好ましい態様では、スクリーニングに基づき、蛋白質分解活性を有する生体分子を進展的に最適化する方法、又はスクリーニングに基づき、蛋白質分解活性を有する生体分子を進展的に作製する方法も用いられる。
本発明を、以下の具体的な実施例に基づいてより詳細に記す。
【0033】
実施例
rsGFP を有する融合蛋白質の構築と精製、並に TEV プロテアーゼ検査におけるそ の使用
クローニング方法:最小量の当該物質がFCS測定を行うために適当であるので、lacプロモーターを有するベクターを、該融合蛋白質の発現に用いる。これにより、細菌内に封入体が形成される危険性が最小になる。またニッケルキレートクロマトグラフィーによっても精製できる様に、大腸菌で発現させる予定の全ての融合蛋白質のC末端に、ヘキサヒスチジン配列を連結した。プロテアーゼ認識配列の周囲のアミノ酸残基がどの程度反応に影響するかが知られていなかったので、タバコエッチウイルスのポリ蛋白質に由来するペプチド配列を選択して、2つの蛍光団の間に挿入した。この配列は、該ウイルスのキャプシド蛋白質とポリメラーゼとの間の切断部位領域のものである。TEVプロテアーゼの切断部位への接触性は、その他の要因の比べて特に、2つの自己蛍光蛋白質部分間のペプチド配列の長さに依存する。そのために、32アミノ酸残基の切断部位領域を有する短型変種(変種2;STEV;配列番号2)及び73アミノ酸残基の切断部位領域を有する長型変種(変種3;STEV;配列番号3)を作製した。いずれの場合も、切断部位は中央に位置する。従って長型挿入体のためにTEVのポリ蛋白質のアミノ酸2761〜2819を選択し、短型挿入体のためにアミノ酸2781〜2797を選択した。
【0034】
最初の過程で、2つの構成体を作製した。いずれの構成体でも、rsGFPの遺伝子をDsRedの遺伝子の前に挿入し、前者を後者と同じ読み枠に配置した。大腸菌での発現のために、まずベクターpQBI63 (Qbiogene)内のGFP遺伝子を増幅した。その増幅産物を制限エンドヌクレアーゼSal I及びSph Iにより切断し、次にその挿入体を、同様に切断したプラスミドpDsRed (Clontech)内に挿入した。クローニングの結果を、先に用いた制限酵素によりプラスミドを切断することにより評価した。最後に配列決定により、クローニングが成功したこと、そして変異が生じていないことが示された(”pGFRed”;変種1;配列番号1)。次の過程で、後にニッケルキレートクロマトグラフィーによる精製を可能にするために、その融合蛋白質の遺伝子を、6ヒスチジン残基をコードするヌクレオチドにより3’側に連続的に伸長した。
【0035】
この伸長を、前記と同様な手法に従って、プラスミドpDsRed内のDsRed遺伝子の増幅により行った。次に、その挿配体及びプラスミドpGFRedを、制限酵素Sal I及びNot Iにより切断した。連結後に得られた構成体を、以下ではpGFRed−CHと称する。このクローニングの結果も、先に使用した制限酵素によるプラスミドDNAの切断及び配列決定により検査した。
【0036】
上記構成体(pGFRed, pGFRed−CH)は、2つの蛍光蛋白質の遺伝子間に、5’側MCSの残存残基に由来する短いヌクレオチド配列を有する。これらの部分を、合成配列の挿入により以下の通り伸長した。これにより、2つの蛍光蛋白質間のペプチド鎖の長さを変えることができ、そして特異的なプロテアーゼ切断部位を、後に形成する蛋白質内に挿入することができた。
【0037】
長さの異なる2つのペプチド配列は、蛋白質全域中に唯一となるTEVプロテアーゼの切断部位が中央になる様に設計した。そしてこれらの配列を、基礎となるGFRed蛋白質内と、ポリヒスチジンを有するGFRed蛋白質内との両方に組み込んだ。上記配列を、合成ヌクレオチド配列の直接的な挿入により作製した。そのために、上記ベクターをBamH Iにより切断し、その遊離末端のリン酸基をアルカリホスファターゼにより除去した。上記の2つの合成オリゴヌクレオチドを、上記ベクター内に二重鎖として挿入するためにリン酸化した。生成したプラスミドは、pSTev(変種2;配列番号2;短挿入体)、pSTev−CH(C末端にヘキサヒスチジン配列を有する短挿入体)、pLTev(変種3;配列番号3;長挿入体)、又はpLTev−CH(C末端にヘキサヒスチジン配列を有する長挿入体)である。
【0038】
唯一の切断部位を用いているので、その遺伝子領域は2つの異なる方向に挿入されうる。挿入体の方向を分析的PCRにより評価した。PCR産物は、該遺伝子領域が正しい方向に挿入された場合にのみ形成された。この方法自身は、他の制限切断部位に対しても用いられる。後の蛋白質内におけるプロテアーゼ切断部位の種類及び位置は、挿入ヌクレオチド配列の適当な選択によっても自由に選択することができる。
【0039】
大腸菌内の蛋白質発現:継続培養中の上記の適当なベクター構成体を有する菌株を、選択栄養アガープレート上に塗りつけ、37℃で一晩インキュベーションした。1つのコロニーを、選択培地10 mlの予備培養液に接種した。これもまた37℃で一晩振とうし、翌朝、選択培地200 mlの2つのバッチに接種した。各々に5mlの予備培養液を接種した。培養液の光学密度が600 nmで0.7〜0.8に達した時点で、各々に100 μlのIPTG溶液(最終0.5 mM)を添加することにより蛋白質発現を誘導した。4時間後、冷却式遠心機により4℃、5000gで15分間遠心し、上清を捨て、菌を集めた。
【0040】
菌の破壊:菌を20mlの緩衝液中に再度懸濁した後、直径0.25 mmの針付き注射器に通し、最後にフレンチプレスにより溶解させた。この溶解液を、氷冷した遠心チューブに集め、そこに、プロテアーゼを阻害するために100 mg/ml PMSF溶液100 μlを加えた。即座に冷却遠心機により4℃、20000gで20分間遠心し、細胞残鎖を除いた。この菌溶解液をシリンジフィルターに通し、100 μlの分量をカラムにかけた。
【0041】
陰イオン交換クロマトグラフィーによる蛋白質精製:カラム材としてDEAEセファセルを用いた。カラムの直径は1cmであり、充填長は5cmであった。泡が入らぬようにカラムを充填し、試料の添加前に最低50 mlの洗浄緩衝液により平衡化した。流速は5ml/分であった。菌を洗浄緩衝液中で破壊し、上記の濾過した上清をカラムにかけた。後の分析のために排出液を集めた。次に40 mlの緩衝液によりカラムを洗浄した。ここでも排出液を集めた。カラム材に結合した蛋白質を、洗浄緩衝液中50mM〜1Mの塩化ナトリウムの直線勾配により溶離させ、各30滴(約2ml)の分画を集めた。総量は100 mlであった。最後に、このカラムを、洗浄緩衝液中2Mの塩化ナトリウムにより再生し、続いて洗浄緩衝液50 mlにより平衡化した。全ての分画において、励起波長488 nm及び543 nmにより蛍光を測定した。蛍光の強い分画をプールした。
【0042】
ニッケルキレートクロマトグラフィーによる蛋白質精製:カラム容量1mlのHiTrapキレートカラム(ファルマシア)を用いた。流速は、溶解液の添加時には0.5 ml/分であり、その他では1ml/分であった。まず、このカラムを10 mlの水で洗浄し、次に2mlの塩化ニッケル溶液(100 ml)を添加した。洗浄緩衝液中300 mMのイミダゾール溶液10 mlにより、非特異的に結合したNi2+イオンを除いた。次にそのカラムを洗浄緩衝液10 mlにより平衡化した。上記の破壊した菌の濾過上清をカラムに添加し、続いて緩衝液10 mlにより洗浄し、そして洗浄緩衝液中100 mMのイミダゾール溶液8mlにより蛋白質を溶離した。採取した各1mlの分画の蛍光を調べ、そして緩衝液中500 mMのイミダゾール溶液10 mlによりカラムを洗浄した。試料添加時、洗浄時及びクリーニング時の排出液を、後の分析のために採取し保存した。
【0043】
検査する試料を、セントリコンカラムにより1000gで遠心濃縮し、100μlのPBS緩衝液と混合し、そして再び1000gで遠心した。測定のために、測定値が合理的な範囲になるように、これをPBS緩衝液により希釈した。
【0044】
蛍光スペクトル:各試料毎に、励起波長488 nmによる発光スペクトルを測定した。図2は、陰イオン交換クロマトグラフィーにより精製した3つの融合蛋白質GFRed, STev及びLTevの発光スペクトル(λEx=488 nm)を示す。強度を各々相対的に比較するために、540 nm及び580 nmにおける蛍光強度の合計に対して各スペクトルを標準化した。この2つの波長は、DsRed及びrsGFPの最大値がその範囲にあるので、基準として選択した。この2つの蛍光強度の合計値は、総強度の概算測定値となる。
【0045】
特筆すべきことに、GFRed及びSTev試料のグラフには、約540 nmに予想通りのGFP発光のピークが存在する他、約580 nmにも別のピーク、すなわち肩部分が存在する。しかし、これはLTev蛋白質のスペクトルには認められない。この現象は、蛋白質内のエネルギー転移(FRET)によって起きたものである。このエネルギー転移は、rsGFPの発光スペクトルとDsRedの励起スペクトルとが重複することにより生じる。このエネルギー転移の割合は、リンカーの長さが増すに連れて低下する。
【0046】
蛍光相関分光法による測定:
自社開発したFCS装置を用いて、ヌンク社テストチャンバー内で、大腸菌から調製した上記基質蛋白質に対するTEVプロテアーゼの蛋白質分解活性を測定した。基質濃度は50nMであった。PBS緩衝液中の基質100μlから成る2つの各基質バッチを用意した。一方のバッチはTEVプロテアーゼ(種々の濃度)と混合し、他方はネガティブコントロールとして用いた。波長950 nmの二光子励起により測定を行った。分光した後、2つの範囲:500 nm〜550 nm(rsGFPチャネル、検出フィルター:525DF50)及び560 nm〜610 nm(DsRedチャネル、検出フィルター:585DF50)において、ダイクロイト(dichroite)(D530)を介して検出を行った。測定時間は60 sであった。反応動態をオンラインで数分間観察した。この測定結果を図3〜5に示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1:本発明の融合蛋白質B(配列番号2参照)の典型的概略図。第1自己蛍光蛋白質(AFP)はrsGFPであり、第2自己蛍光蛋白質はDsRedであり、2つのリンカー配列間に、タバコエッチウイルス(tabacco etch virus, TEV)由来のプロテアーゼの特異的切断部位が挿入されている。
【図2】
図2:励起波長488 nmによる3つの融合蛋白質の変種の蛍光放射スペクトル。AFP1 はrsGFPであり、AFP2はDsRedである。2つの自己蛍光蛋白質間には、変種1(融合蛋白質A、配列番号1)では13アミノ酸、変種2(融合蛋白質B、配列番号2)では32アミノ酸、変種3(融合蛋白質C、配列番号3)では73アミノ酸が存在する。リンカーの長さの増加に連関するFRETの減少が、DsRedの発光の減少から明確に分かる。これによる影響は、本発明における前記融合蛋白質のプロテアーゼ基質としての使用、及び相互相関分析又は同時(coincidence)分析による測定において認められない。
【図3】
図3:TEVプロテアーゼの作用による変種2の融合蛋白質(融合蛋白質B、配列番号2)の切断中における二光子相互相関の測定。この結合切断、及びそれによる測定溶液中の二重蛍光分子の割合の低下により、この相互相関の振幅は減少する。
【図4】
図4:TEVプロテアーゼの作用による変種2の融合蛋白質(融合蛋白質B、配列番号2)の切断中における二光子自己相関曲線の測定。この結合切断は、当該2つの自己蛍光蛋白質の蛍光強度及び濃度又は粒子サイズに対して検出できるほどの影響を与えない。
【図5】
図5:種々の量のTEVプロテアーゼによる変種2の融合蛋白質(融合蛋白質B、配列番号2)の切断中における二光子相互相関の振幅の時間経過。
Claims (18)
- 第1の自己蛍光蛋白質、プロテアーゼ切断部位を含有する切断部位領域、及び第1自己蛍光蛋白質から識別できる少なくとも1つの別の自己蛍光蛋白質からなり、それらの2つの自己蛍光蛋白質間に有意な蛍光エネルギー転移が無い、自己蛍光融合蛋白質。
- 前記切断部位領域が
(i) スペクトル特性により相互に識別できる2つの自己蛍光蛋白質の間に位置し、そして/又は
(ii) プロテアーゼ切断部位に加えて、末端リンカーペプチドを有し、そして/又は
(iii) 少なくとも10、好ましくは20超、最も好ましくは少なくとも30個のアミノ酸残基の長さを有する、
請求項1記載の自己蛍光融合蛋白質。 - 前記切断部位領域が、ヒト免疫不全ウイルス由来のプロテアーゼ、C型肝炎ウイルス由来のプロテアーゼ、タバコエッチウイルス由来のプロテアーゼ、ヒトサイトメガロウイルス由来のプロテアーゼ、単純ヘルペスウイルス由来のプロテアーゼ、プロテアーゼプラスミン、プロテアーゼアンギオテンシン変換酵素、プロテアーゼtPA、Xa因子、及び/又はトロンビンにより特異的に認識され、そして切断されるプロテアーゼ切断部位を有する、請求項1又は2記載の自己蛍光融合蛋白質。
- 第1の自己蛍光融合蛋白質が、オワンクラゲ(Aequorea victoria)由来の緑色蛍光蛋白質(GFP)又はその変種、特に赤色側にシフトした変種(rsGFP)であり、そして第2の自己蛍光蛋白質が、ハナイソギンチャクモドキ(Discosoma)種由来のDsRed又はその変種である、請求項1〜3のいずれかに記載の自己蛍光融合蛋白質。
- その他の機能性ペプチド配列、特にシグナル配列、親和性マーカーペプチド、又は検出マーカーペプチドを更に有する、請求項1〜4のいずれかに記載の自己蛍光融合蛋白質。
- 融合蛋白質B又はCの配列(配列番号2又は3)を有する、請求項1記載の自己蛍光融合蛋白質。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の自己蛍光融合蛋白質をコードする核酸配列。
- 請求項7記載の核酸配列を含有するベクター。
- 請求項7記載の核酸配列及び/又は請求項8記載のベクターを含有する細胞又はトランスジェニック生物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の自己蛍光融合蛋白質の製造方法であって、細胞発現系又は無細胞発現系によって、請求項7記載の核酸配列を発現させることを含んで成る、前記製造方法。
- 試料中の蛋白質分解活性の分析方法であって、
(a)検査水溶液中で、請求項1〜6のいずれかに記載の自己蛍光融合蛋白質を、蛋白質分解活性を検査する試料と混合する過程;
(b)蛋白質分解切断に適する条件下でインキュベーションする過程;及び
(c)共焦点蛍光測定法により、切断された融合蛋白質の割合を測定する過程を含んで成る、前記方法。 - 試料中のプロテアーゼ阻害活性の分析方法であって、
(a)検査水溶液中で、請求項1〜6のいずれかに記載の自己蛍光融合蛋白質を、プロテアーゼ阻害活性を検査する試料および適当なプロテアーゼと混合する過程;
(b)蛋白質分解切断に適する条件下でインキュベーションする過程;及び
(c)共焦点蛍光測定法により、切断された融合蛋白質の割合を測定する過程を含んで成る、前記方法。 - 細胞内プロテアーゼ活性の分析方法であって、
(a)検査する細胞内に請求項7記載の核酸配列及び/又は請求項8記載のベクターを挿入することにより、請求項1〜6のいずれかに記載の自己蛍光融合蛋白質を細胞内で発現させる過程;
(b)該融合蛋白質の発現及び蛋白質分解切断に適する条件下でインキュベーションする過程;及び
(c)共焦点蛍光測定法により、細胞内で生じたプロテアーゼ活性を測定する過程
を含んで成る、前記方法。 - 細胞内プロテアーゼ阻害活性の分析方法であって、
(a)検査する細胞内に請求項7記載の核酸配列及び/又は請求項8記載のベクターを挿入することにより、請求項1〜6のいずれかに記載の自己蛍光融合蛋白質を細胞内で発現させる過程;
(b)該融合蛋白質の発現及び蛋白質分解切断に適する条件下でインキュベーションする過程;及び
(c)共焦点蛍光測定法により、細胞内で生じたプロテアーゼ阻害活性を測定する過程
を含んで成る、前記方法。 - 測定法として、二色共焦点蛍光測定法を用いる、請求項11〜14のいずれかに記載の方法。
- 測定法として、二色蛍光相互相関分光法(KK−FCS)、共焦点蛍光同時(coincidence)分析法(CFCA)、又は二次元蛍光強度分布分析法(2D−FIDA)を用いる、請求項15記載の方法。
- 二色共焦点蛍光測定法に加えて、蛍光エネルギー転移を示す分子の割合を決定する、請求項15記載の方法。
- スクリーニングに基づき、蛋白質分解活性を有する生体分子を進展的に最適化するための、及び/又はスクリーニングに基づき、蛋白質分解活性を有する生体分子を進展的に作製するための、請求項11〜17のいずれかに記載の方法の使用。
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