JP2004504361A - 肝臓疾病の診断 - Google Patents
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Abstract
肝臓繊維症または壊死を、カルシウムキレートホスホネート基を有するポリマーと放射線核種イオンとの複合体を投与し、患部肝臓のポリマーの保持率を正常な患者のそれと比較することにより、インビボで診断する。好ましい複合体はTc−99mポリエチレンイミノメチルホスホネートである。
Description
【0001】
発明の分野
1.本発明はインビボにおける肝臓繊維症及び壊死の診断におけるポリマー製剤の使用に関する。
【0002】
2.関連する技術の説明
肝臓繊維症は、慢性肝臓障害を伴う患者における繊維性の細胞外マトリックスまたは瘢痕組織の蓄積である。放置して処置しないと、現在では難病である肝硬変に進行する。経時的現象は以下のとおりである。
(1) 肝臓への障害、例えば、有毒な代謝によるもの;
(2) 壊死(細胞死);
(3) 炎症;
(4) 繊維性細胞外マトリックスの形成(繊維性組織)。
【0003】
肝臓繊維症の主要な原因は、肝臓星状細胞の活性化である。参照“the review by Scott L. Friedman, ”Cytokines and Fibrogenesis”, Seminars in Liver Disease” 19 (2), 129 − 140 (1999)”。これらの細胞は肝臓の損傷または有毒な侵襲により活性化され、上記一連の現象鎖において硬化する。前記レビューは、このプロセスを特定のサイトカインの作用を調節することにより停止できるかもしれないと提案している。この背景を考慮すると、早い段階で先行する肝臓の繊維症または壊死を診断することが望ましい。
【0004】
テクネチウム−99m (“m”はアイソトープの特定の形態の準安定状態を意味する)は、ガンマ線エミッタである。Tc−99mホスフェート類は骨のイメージング(画像化)のために30年前に導入され、肝臓を含む軟組織へのTcの蓄積のレポートが多数存在する。例えば、Amilcare Gentili et al., ”Nonosseous accumulation of bone−seeking radiopharmaceuticals”, Radiographics 10, 871−881 (1990)中の要約参照。この論文は、肝臓による摂取が、しばしば他の器官の様々な癌からの転移性蓄積により起こることを述べている。心臓に関して、この論文は、Tc99mパイロホスフェートを使用して急性心筋梗塞を検出することについて言及している。この試薬を用いたガンマ線シンチグラフィーからの知見は、組織カルシウムの過剰、続く局所的組織壊死またはダメージがある場合に、Tc99mジホスホネートの使用において観察されるものと同様であることを述べている。
【0005】
Kenneth P. Lyons et al., ”Localization of Tc−99m pyrophosphate in the liver due to massive liver necrosis: Case report”, Journal of Nuclear Medicine 18 (6), 551〜552 (1977)には、テクネチウムラベル化ホスフェートを、細胞性障害及び壊死を伴う器官に局在化させることを述べている。論文は、アルコール、肝炎、肝毒性及び受動性うっ血(passive congestion)の症状を呈している患者におけるTcラベル化ホスフェートの可能性のある診断上の利点を述べている。
【0006】
Barry M. Flynn and S. T. Treves, ”Diffuse hepatic uptake of technetium−99m 0 methylene diphosphonate in a patient receiving high dose methotrexate”, The Journal of Nuclear Medicine 28 (4), 532〜534 (1987)には、肝臓転移、高カルシウム血症、肝臓壊死及びアミロイドーシスにおいて報告された異常な現象として、テクネチウム99mの肝臓摂取について述べている。この論文は、明らかにメトトレキセート毒性により生じた、重篤な可逆性肝臓機能障害のケーススタディを報告している。患者の肝臓中のテクネチウム99mメチレンジホスフェートの摂取は骨のスキャンにより明らかにされた。
【0007】
Wei−Jen Shih and John Coupal, ”Diffuse and intense Tc−99m HMDP localization in the liver due to hypoxia secondary to respiratory failure”, Clinical Nuclear Medicine 19 (2), 116〜120 (1994)には、ガンを切除するための肺の肺葉切除術に伴う、呼吸困難のケースについて報告している。Tc−99mヒドロキシメチレンジホスフェート骨スキャンにより、増大した肝臓摂取が示されたが、これは肝臓壊死を示すと説明された。
【0008】
C. H. Evans and D. C. Mears, ”Binding of the bone−seeking agent 99m Tc−lhydroxyethylidene−I,I−diphosphonic acid to cartilage and collagen in vitro and its stimulation by Er3+ and low pH”, Calcified Tissue International 32, 91〜94 (1980)には、コラーゲンがこの化合物を隔離し、軟骨及び骨がその摂取に寄与していることが示唆されている。
【0009】
“ポリミンMP”(Polymin−MP、ポリエチレンミノメチルリン酸)を含む他の骨を探す(bone−seeking)Tc−99m試薬が知られている(参照;W. Louw et al., Biodistribution of radiolabelled Polymin−MP of different molecular sizes as a selective bone−seeker for therapy in animal models”, European Journal of Nuclear Medicine 25 (8), 1167, Abstract PS−733, (1998) and R. J. Milner et al., ”The biodistribution, phannacokinetics, bone localisation of variously molecular sized molecular radiolabelled Polymin−MP in normal dogs and dogs with osteosarcoma of the appendicular skeleton”, European Journal of Nuclear Medicine 26 (9), 1220, Abstract PS−669, (1999))。
【0010】
発明の要約
放射性核種イオンと安定な複合体を形成でき、かつカルシウムイオンを結合できるポリデンテート(多価)リガンドを提供できるように位置した遊離のホスホネート基を有するポリマーは、患者に投与されたとき、肝臓の繊維症または壊死を十分に診断し得る放射性核種イオンとの複合体を形成に非常に有用である。そのポリマーは、肝臓中に摂取されることができ、正常な肝臓と比較できるように肝臓中の放射線活性をカウントするのに確実に十分な時間の間、患部(繊維性または壊死性)肝臓により保持されて、腎臓による十分で迅速な排泄を可能として、患者を長期間の危険から回避させるものである。
【0011】
発明のベースとなる原理は、以下の性質を含むものである。
1.遊離のホスホネート基はインビボにおいてカルシウムキレーティング機能を提供する。繊維症の開始は、カルシウムイオンの蓄積を伴うと考えられ、カルシウムイオンをポリマーによりキレート化し、健康な肝臓よりもより長い時間においてポリマーを患部肝臓内に保持させる。
2.ホスホネート基に対するカルシウムイオンの結合は、肝臓繊維性組織中のコラーゲンの存在を伴う。
3.ホスホネート基は放射性核種イオンと初期に安定な複合体を形成することができる。おそらく、その後の患部肝臓中のカルシウムによるポリマーとの結合は、放射線核種イオンを置換するが、いずれにしても、診断を行うのに十分に肝臓により保持される。最後に、それらは腎臓による排泄のため肝臓を通過する。正常な肝臓では、保持率は非常に低い。
【0012】
4.ポリマー中に非常に多数の(アニオン性)ホスホネート基を提供することにより、ポリマー全体として非常にアニオン性となり、細胞内に入らなくなる。これにより、繊維性細胞外マトリックスと相互作用のための十分なポリマーが得られ、低いバックグラウンドを伴うスキャンを与え、その結果イメージングを増強する。
5.ポリマーの相対分子量(relative molecular mass)は、肝臓中に入り、かつ診断後肝臓から放出されるのを確実にするように選択され、また(患部肝臓に保持された後は)腎臓を通じて体から迅速に排泄されるように選択される。通常、少なくとも5キロダルトン(kDa)である。
【0013】
本明細書において用語“迅速な排泄(クリアランス)”は、患者を長期間の放射線障害から避けるために十分に早いという意味で使用されている。参考として、通常、健康なオスのヒヒに放射線ラベル化ポリマーを与えた場合、肝臓中の放射線活性の半減期は45分より短い。
投与される形態は、ポリマーの放射線核種複合体であり、通常、患者に投与するために新たに作製される。好ましい実施態様、すなわち、Tc99mポリエチレンイミンメチルホスホネート(略して“PEIMP”)は、骨イメージングにおいて既に報告されているためこの複合体自身は新規ではない(R. J. Milner et al. and W. Louw et al., above.)。したがって、本発明は、この活性な主成分(principle)のインビボ診断における第二の使用であり、特許法に従って許される方法で保護されるものである。
【0014】
本明細書において用語“診断”は、疾病の存在またはその進行(予後)の存在を、定性的、定量的または準定量的に測定することを意味し、広く解釈されるべきである。
特許法、特にオーストラリア及びUSA、が許す限り、本発明は、患者における肝臓繊維症または壊死のインビボ診断法を提供し、前記方法は、(1)上述したポリマー及び(2)診断において非毒性の放射線核種イオンの複合体の有効量を患者に非経口的に投与すること、診断される患者の肝臓内の放射線核種の保持率を、正常な患者のそれと比較して決定すること、及び前記決定の結果から、患者が肝臓繊維症若しくは壊死にかかっているか否か、またはその程度について診断することを含む。
【0015】
特許法、特に欧州、が許す限り、本発明は、肝臓繊維症若しくは壊死またはその程度についてのインビボ診断のための、上述したポリマーを上記放射線核種イオンとの複合体であるその剤型の製造における使用を提供する。
特許法、特に日本及び韓国、が許す限り、本発明は前記複合体を含む、前記目的のための組成物を提供する。
肝臓の肝繊維症または壊死の診断の目的で投与される複合体を製造する目的のポリマーの無権利者である販売者は、本出願に基づく特許の侵害に寄与するものまたは間接侵害であり、それに対して明確な警告を与える。
【0016】
本明細書において、用語”複合体”は、ポリマーと放射線核種イオンの共構築体(co‐assmbly)を形成する複合体の形態を意味する。したがって、この用語は、ポリマーと放射線核種塩との混合物、及び必要な場合には、放射線核種を適当な酸化状態に還元するための還元剤との混合物、を含む。例えば、ポリマー、放射線活性テクネチウムのパーテクネテート(pertechnetate)塩及び塩化第一スズ(stannous chloride)(還元剤)の混合物が挙げられる。
【0017】
発明の好ましい実施態様
ポリマー
ポリマーの種類は、多価リガンド形成に利用できるホスホネート基を有し、簡便な投与用に処方(好ましくは水中に分散または溶解し得るように)できるのであれば、重要ではない。
好ましくは、ポリマーはポリアミンである。本明細書において用語“ポリアミン”は、主鎖がイミンから形成されているかまたはアミンから形成されているか否かに関わらず、多数の遊離アミノ基を有する必要な相対分子量のポリマーを意味する。したがって、“ポリアミン”は主鎖に窒素原子を有さないが、それからサブテンドする(subtended)アミノ基を有するものを含む。
【0018】
ポリマーの主鎖は直鎖または分岐鎖であることができ、デンドリマーであってもよい。デンドリマー状のポリマーは、分岐鎖上に分岐鎖が形成される、次第に分岐する構造を有するマクロ分子である。この用語はギリシャ語の“デンドラ(dendra)(木)”に由来するが、本明細書では木のように直線の“幹(trunk)”を有すべきことを意味するものではない。デンドリマーは重合化の間に分岐反応を行うモノマーから製造されてもよく、それにより第一の分岐から第二の分岐が伸び、第二の分岐から第三の分岐が伸び、これが続く(ただし全ての分岐がそれ自身分岐している必要はない)。ポリマーは好ましくはデンドリマー状ポリアミンであり、最も特に、エチレンイミンのホモポリマーまたはコポリマーである。エチレンイミンはデンドリマー状付加ポリマーを形成し、そのポリマーは部分的に以下に示されるような式を有する。
【0019】
【化1】
【0020】
記号”x”及び”y”は鎖に沿って散りばめられた単位の概略的(schematically)変動数を意味し、第一、第二及び第三アミン単位は実質的にランダムにポリマー構造中に分散している。典型的には、約50%の第一アミン基と、25%づつの第二及び第三アミン基が存在する。
【0021】
ポリマーは、ランダム、ブロックまたはグラフトコポリマーであってもよい。したがって、エチレンイミンポリマーはエチレンイミン以外の他の単位、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドまたはアクリル若しくはメタクリルモノマー類(例、アクリルアミドまたは2‐N,N‐ジエチルアミノエチルアクリレートまたは相当するメタクリレート)を有していてもよい。しかし、エチレンイミンポリマーは適切によく分岐されて、鎖の末端において多数のホスホネート基を第一アミン基に結合させ、それにより強力なキレート機能を提供しなければならない。
【0022】
または、ポリアミンは非デンドリマーであってもよい。例えば、クロロメチルポリスチレン出発ポリマーはクロロメチル置換基位置(例、パラ位またはオルト位とパラ位)でアミノ化することができ、アミノメチルポリスチレンを与える。これは次にホルムアルデヒド及び亜リン酸と反応してメチルホスホネート(ホスホノメチルポリスチレン)が生成する。
【0023】
用語“ホスホネート基”は、ビホスホネート類を含む。一般に、ホスホネート類は式−R−(PO(OH)2)nを有する。式中、nは1〜3であり、Rはnの値にマッチする価を有する有機基であり、ポリマー鎖に直接または間接に結合する。Rは脂肪族、環脂肪族、芳香族、芳香脂肪族(araliphatic)等であってもよい。好ましくは、アルカン、ヒドロキシ置換アルカンまたはベンゼンの残基である。残る価は水素原子または置換基により埋められる。ビホスホネート類では、n=2である。好ましくは、nは1または2である。nが1である場合には、有機基Rは好ましくはメチレン、1,1‐エチレン、1,2−エチレン、1−ヒドロキシエチレン、1,3−、1,2− 若しくは2,2‐プロピレンまたはp−フェニレン若しくはp−トリレンである。n =2の場合には、同じR基であるが、他の同じ−PO(OH)2 基を末端H原子(可能であれば)の代わりに有するものが好ましい。
【0024】
ホスホネート基は、カチオン結合に対し少なくとも二つの隣接基を提供するのに有効なようにポリマー上に配置されてもよい。言い換えると、ポリマーにより提供されるリガンドは少なくとも二価(bidentate)でなければならない。2より高い価を有していてもよい。例えば、以下の式の繰り返し単位を有するポリスチリルプロパン−2,2−ビスホスホネート類のように、ホスホネート基がジェミナル(同じ炭素基に結合)であってもよい。
【0025】
【化2】
【0026】
参照;Mats J. Sundell and Jan H. Nasman, ”Desk Reference of Functional Polymers, Syntheses and Applications”, American Chemical Society (1997), Chapter 1.8, lines 120−126 at page 120.
【0027】
またはホスホン酸基はダイレクトビシナル(隣接炭素原子に直接結合)または近接ビシナル(交互の炭素原子に結合)であってもよい。例としてポリビニルホスホン酸が挙げられる。結合基の他の形態はペンダントビシナルまたはペンダント近接ビシナルであり、隣接または交互炭素原子に直接結合していないが、ぶらさがっている状態である。例えば、以下の式の繰り返し単位を有する、PEIMP またはポリスチリルホスホネート類における場合が挙げられる。
【0028】
【化3】
【0029】
そのモノエチルエーテルは上述した、Mats J. Sundell and Jan H Ndsmanの第126頁に記載されている。
ポリアミン(例、PEIMP)の一級アミン基に結合したホスホネート基は、好ましくは−R’−PO(OH)2(式中、R’は分岐鎖を有していてもよい1〜4炭素原子のアルキレン基であり、好ましくは、メチレン、1,2‐エチレンまたは1,1−エチレンである)である。アルキレン基は、特にα−炭素原子(P原子に隣接する)において、任意に水酸基で置換されていてもよい。
【0030】
本発明において使用し得る他のタイプのポリマーは、ビスホスホネート基を有するポリエチレンビニルベンゼングラフトコポリマーであり、これはMats J. Sundell and Jan H. Ndsman, above, at page 127に記載されるように製造してもよい。
他の有用なポリマー類としては、任意にアクリル酸またはメタクリル酸と共重合されている、ヒドロキシメチルホスホン酸エステル若しくは2‐エチルホスホン酸エステルまたはアクリル酸若しくはメタクリル酸が挙げられる。
これらのポリマーを注入可能な溶液または分散液、好ましくは水性のもの、とした処方とすることが望ましいことは当業者らに認められることである。したがって、ホモポリマーの溶解性、特に水溶性を改良する官能基を有するコモノマー類と適切なモノマー類を共重合することが望ましい場合もある。したがって、カルボン酸基を有するコモノマー類が通常特に適する。
【0031】
ポリアミン類からのホスホネート類の製造
ポリアミンと、アルデヒド及び亜リン酸若しくは適する亜リン酸の誘導体とを縮合する工程により、ホスホネート基をポリアミン類(例、エチレンイミンポリマー類)に、添加してもよい。最終生成物は容易にサイズ分離することができるので、出発のポリアミンは最終的に必要な範囲外の分子量を有していてもよい。例えば、エチレンイミンポリマーは2〜100kDaのサイズ範囲を有していてもよい。アルデヒドはホルムアルデヒドであってもよく、例えばその水溶液であってもよい。亜リン酸誘導体は亜リン酸の塩であってもよい。したがって、ポリマーはポリエチレンイミノメチルリン酸(PEIMP)またはその塩であってもよい。
【0032】
側鎖(ペンダント)一級アミン基を有する他のポリマー上で同様の反応を行ってもよい。
好ましい製造方法としては、亜リン酸またはその誘導体の水溶液を、塩酸等の強酸存在下還流温度まで過熱し、ゆっくりアルデヒドとポリマー(いずれの順でもよいが予め選択したモル比において)を前記水溶液に添加し、前記混合物を反応が十分な割合まで進行するまで過熱し、分子量が10〜30kDa、より好ましくは20〜30kDaの分子量を有するフラクションを、例えばメンブレン限外ろ過により、単離する工程を含む。
【0033】
相対分子量(relative molecular mass)
ポリマーの最適r.m.mは、上述したインビボにおける生物学的要求によってのみ決定されるものである。r.m.m.が大きすぎたり、小さすぎる場合には、ポリマーの腎臓からの排泄は迅速さに欠けるため、限界を小動物の実験から決定できる。用語“迅速な排泄(クリアランス)”は通常、健康な雄ヒヒの肝臓における放射線同位体の半減期が45分より短いことを意味するが、好ましくは30分より短くなければならない。好ましい定義からあいまいさは生じないと考えられるが、本試験の条件をセットする上で実施例2に記載の手順とヒヒを定義としてもよい。r.m.m.の正確な数値的な限界はシャープなものではなく、また特定のポリマーに依存する。5 kDaより少ないということはありえそうもなく、通常、少なくとも10kDaである。もしPEIMPを使用する場合には、通常約10kDa〜30kDaの相対分子量を有する。
【0034】
本明細書において述べるすべてのr.m.mは、メンブレン、特にポリエーテルスルホンメンブレン上での限外ろ過(またはゲル浸透クロマトグラフィ)により得られるものをいう。しかし、r.m.m.は等価な値が得られる他の方法により測定されてもよい。例えば粘度測定が挙げられる。放射線核種イオン類はr.m.m.数値から除かれる。
【0035】
放射線核種
放射線核種は目的に合致し、診断を行うのに適する半減期、しかし好ましくはできるだけ短い半減期、を有するいずれのものでもよい。診断目的のために核医学において日常的に使用されているテクネチウム99mが好ましい。テクネチウム99mは半減期が約6時間である。ガンマ線と低エネルギー電子を放出して崩壊する。Tc99mのジェネレーター(generator)は商業的に入手可能である。これらは崩壊してTc99になるMo99をベースとする。ジェネレーターは保存期間が短い(約2週間)。Tc99mは核再生から得られるTc99(半減期が2.13 x 105年)と混同されるべきではない。本発明において使用に適する他の放射線核種類は放射線化学分野における当業者に明らかであり、特にインジウム−111、ガリウム−67、ガリウム−68、及びスズ−117mが挙げられる。
【0036】
上述したような放射線核種とポリマーの複合体を形成するには、放射線核種塩を、典型的にはpH4‐7において、水と水に細かく分けた状態で分散または溶解したポリマーに溶解する。pHは放射線核種を含む化合物の水中への溶解を促進するように選択され、放射線核種及びポリマーから複合体の形成を促進するように選択される。放射線核種の金属種は、ポリマーと複合するために適する酸化状態にしておいてもよく、あるいはより高い酸化状態であってもよい。後者の場合には、ポリマーと複合するように、放射線核種の酸化状態を下げるための還元剤存在下に反応を行う。例えば、放射線核種塩がパーテクネテートであり、還元剤がスズ塩(例、塩化第一スズまたは塩化第一スズ二水物)であってもよい。しかし、インジウム及びガリウム塩類は塩化物のような非毒性のカチオン塩として単純に供給することができ、したがって還元は必要ではない。
【0037】
pH調整及び塩類
本発明の方法は、複合体形成後、反応混合物のpHを生理学的に許容される値にpHを調整する工程を含んでいてもよい。pHは生理学的に許容される酸またはアルカリであり、複合体の形成を妨げないものを使用して調整してもよい。例えば、pHは塩酸若しくは酢酸のような酸、またはアルカリ金属の水酸化物、炭酸化物、若しくは炭酸水素化物、水性アンモニアまたは炭酸アンモニウム若しくは炭酸水素アンモニウムのようなアンモニウム塩のような塩基を用いて調整してもよい。アルカリ金属はナトリウムまたはカリウムが都合がよい。もっとも好ましくは、その非毒性及び水溶性からナトリウム塩が用いられる。
【0038】
投与
複合体は患者に対し、肝臓に迅速に浸透するのに適するいずれの方法により投与されてもよい。比較的短い半減期の放射線核種を使用することが望ましい限り、循環にすばやく入ることを確実にする方法のみが有用であり、主に注射(注入)であり、最も通常には静脈内注射である。したがって複合体は通常、いずれかの非毒性の溶媒(通常は水性)中の滅菌された注入可能な溶液または分散液として作製される。
投与される放射線核種の量は、半減期に依存する。通常3.5〜15 MBqであり、より通常には3.7〜10.4 MBq Tc−99m/kg(患者の体重)である。他の放射線核種については等価な投与量を推定することができる。
【0039】
肝臓における放射線核種の保持率の測定
正常な肝臓と患部肝臓におけるポリマーの保持の比較を、直接または間接に可能にするいずれの方法も使用することができる。簡便には、ガンマ放射性同位元素を使用し、ガンマ線シンチグラフィを用いる。一つの好ましい方法は、(a)壊死を検出またはアッセイする試験初期の静止画像、及び(b)繊維症を検出またはアッセイする試験後期の静止画像を使用する。これらは簡便には(a)20〜40分、好ましくは30分及び(b)2〜4時間、好ましくは3時間において撮影する。画像を撮影する時間の長さは例えば、それぞれ1分及び2分であってもよい。測定は様々な方法で行ってもよく、特に肝臓:心臓血液プール比を測定することにより行ってもよい。比が正常より高い値であることは繊維症または壊死を示す。また、肝臓に存在する、初期に注入された量に対する比率を測定することもできる。これは患部肝臓においては顕著に高い値となりうる。これらの方法のバリエーションを容易に考えることができる。本発明の方法は疾患の状態を定量化または準定量化するのに十分なように正確に行うことができ、患者の状態を改善する治療の効果をモニターするのに有効である。同様に、候補薬剤または治療方法の効果をモデル動物において試験することが役立つ。
【0040】
本発明は以下の非限定的な実施例により説明される。表は記述の後に示されている。放射線量はミリキュリー(mCi)からメガベケレル(megaBecquerels)に変換した。1 キュリー = 3.7 x 1010 ベケレルであり、1 ミリキュリー = 37 メガベケレルである。表中のT1/2値は、時間プロットに基づき、特定の器官から放射線活性が排泄される時間の半分を意味する(勿論一定値である同位体のT1/2ではない)。
【0041】
実施例1
1. ポリエチレンイミノメチルホスホン酸 (PEIMP)の合成
亜リン酸(18.36 g) 及び濃塩酸 (51.3 ml) を、温度計、マグネチックスターラーバー、滴下ロート及びコンデンサーを備えた反応容器中に、アルゴン雰囲気下添加した。亜リン酸は攪拌し、80℃に加熱することにより溶解した。滴下ロートをホルムアルデヒド溶液(23.3 ml)で満たし、溶液を亜リン酸へ滴下した。温度を還流(90℃)まで上昇させ、ポリエチレンイミン(8.33 g/40 ml 水)を、蠕動ポンプを用いて0.3 ml/分の速度でゆっくり滴下し、反応混合物を形成した。反応混合物をアルゴンで連続的にパージした。ポリエチレンイミン溶液の添加が終了したら、反応混合物を90℃でさらに1時間還流攪拌し、一晩ゆっくり冷却した。その間に生成物が粘ちょうなオイルとして分離した。母液をデカントし、水(50ml)を添加し、攪拌すると、生成物は青白い塊と液相になった。
【0042】
液相はデカントし、水添加、攪拌及びデカントをさらに、2回繰り返した。青白い物質を1M炭酸ナトリウム溶液(36ml)に溶解して、PEIMPの水溶性ナトリウム塩をpH7において形成した。凍結乾燥後、12gの高分子PEIMPナトリウムを得た。
【0043】
2. PEIMPナトリウムの精製及び分画
セクション1で製造したPEIMPナトリウムを、市販のポリエーテルスルホンメンブレンを用いて、連続メンブレン限外ろ過により分画して、種々の相対分子量を有する様々なフラクションを得た。メンブレンリテンテート(retentates)を集め、10分の1の体積に濃縮し、蒸留水で希釈し、再限外ろ過し、再度集めた。20〜30kDaフラクションの典型的な収率は、9%であった。
【0044】
3. PEIMPのTc−99mによるラベル化
キットを製造するために、セクション2で製造した、密閉バイアル中の凍結乾燥したPEIMPナトリウム(5mg)と還元剤(塩化第一スズ二水和物、0.25mg)を、パーテクネテート99mの水溶液、好ましくは生理食塩水、を約10ml(1850 MBqまで)バイアルに添加することにより、テクネチウム99mとの複合体を形成し、PEIMPのテクネチウム99mラベル化複合体を生成した(pH 5.0‐5.5)。放射線ラベル化複合体の試料の放射化学的純度について、シリカゲル浸透グラスファイバーシート(固相)上でアセトン及び0.9%塩化ナトリウム水溶液(移動相)を用いた薄層クロマトグラフィを利用して分析した。その放射化学純度は>95%であり、これは十分に核医学的要求の範囲内である。
【0045】
4. 一般的シンチグラフィ手順
特に述べない限り、診断を受ける特定の種に限定されない一般的記述を行う。シンチグラフィは、核医学において使用される方法であり、この方法において、患者の静脈内に注入されたガンマ放射する放射活性物質(トレーサー)が患者の体を通過するのを追跡し、NaIシンチレーション結晶、光電子倍増管(フォトマル)及び専化したコンピュータにより定量化のためのデジタル変換の類似物を用いて放射線活性の放出を検出しカウントすることにより、蓄積部位を局在化させる。
【0046】
この器具はデータプロセッサとガンマカメラと呼ばれる。そのようなカメラは、NaI結晶をいれる(house)単一、二つまたは三つのヘッドとともに入手できる。動的試験は、迅速に連続して、主にトレーサー注入後すぐに、カメラにより得られる、一連の短い持続時間の画像である。静止画像はトレーサー注入後の一定の時間、主により長い時間、典型的には2分における画像である。
単一/二つのヘッドのガンマカメラを、犬及びヒヒにおいて胸部及び肝臓等の器官を見る位置に配置させた。この位置はヒトにおいても、少なくとも肝臓及び心臓血液の流れを見るのに有用である。Tc−99m ナトリウムPEIMPフラクションの投与量は約3.7〜10MBq/kg(体重)を用いた。動的及び静止の試験を上述したように行った。本発明の原理は、壊死については、ポリマー“トレーサー”が探し、患者に投与した後初期に壊死細胞の部位に残存する。一方、“トレーサー”は、繊維症部位にはより長く留まる傾向があり、そのため、後期スキャン(3時間)において繊維症を優位にマークする。
【0047】
プロセッシングを行って、以下の情報を様々に得た。
・生物動態を示す、心臓血液プール、肝臓及び腎臓の時間活性カーブ
・上記トレーサーの相対器官分布のパーセンテージ
・注入後の時間に対する、肝臓:心臓血液プールカウント比
【0048】
実施例2
ヒヒにおけるr.m.m. 3〜10, 10〜30, 30〜50, 50〜100及び100〜300 kDaのTc−99m−PEMIP フラクションのインビボ薬物動態及び体内分布
20匹の健康な雄のヒヒ(Papio ursinus)、平均体重27.5kgを試験で用いた。各々は様々な相対分子量範囲のi.v. Tc−99m PEIMPを投与された。全ての試験は南アフリカの薬物及び関連物質の研究、教育、診断及び試験における動物使用のための国家法(National Code for Animal Use in Research, Education, Diagnosis and Testing of Drugs and Related Substances)のガイドラインに従い、倫理委員会により許可を受けた後に行った。
【0049】
ヒヒ(各群においてn=4)について、ポリマーの相対的分子量範囲における記載した差異を除いて理想的な実験手順を行った。PEIMPの5種類の異なる相対分子量範囲は、(i) 3 − 10 kDa, (ii) 10 − 30 kDa, (iii) 30 − 50 kDa, (iv) 50 − 100 kDa 及び (v) 100 − 300 kDaである。麻酔の導入をケタミン塩酸物(10 mg/kg i.m.)、(Ketalar Parke Davis, Cape Town)を用いて行い、その後すぐに、6%ペントバルビトンナトリウム溶液(Sagatal Kyron Laboratories Pty Ltd, Benrose)を30 ml/hでコントロールした注入を保持した。ガンマカメラ下の仰臥位置の動物に、185〜259 MBq のTc−99m PEIMPのボーラスとともにi.v.注入し、64 x 64 ワードモードで30分動的試験(30 x 1分フレーム)を行って、シーメンスオービター(Siemens Orbiter)ガンマカメラにより、データ取得のカウントダウンを始めた。1、2、3及び4時間、さらに24時間において、120秒の静止画像を得た。
【0050】
血液及び尿サンプルを4時間の間、一定の間隔で集めた。すなわち、血液試料については最初の1時間については3分毎に、次に1時間毎に、そして尿については、最初の1時間については5分毎に、次に1時間毎に、集めた。各試料の活性及び体積を記録した。これらの血液試料を頚部静脈の留置カテーテルから血液試料を採取した。
【0051】
目的の領域(ROIs)を心臓血液プール、肝臓、肺、脾臓、腎臓及び骨(脊椎骨)の画像上に配置し、動的試験の時間活性カーブを得る。同様にROIsのピクセルあたりのカウント速度のデータ(減衰補正を行った)を静止画像から得た。これらを、動的試験の時間−活性カーブを4時間まで延長して基準化した。
血液クリアランス及び累積尿カーブをまた全てのケースにおいて得て、保持活性の平均相対器官分布及び注入投与量(i.d.)さえも、ポリマーの全ての分子量サイズに対して得た。統計学的分析を、5%レベルの信頼性における対の変数に対し(for paired variables)スチューデントt−テストにより行った。
【0052】
患部肝臓領域に対する選択性について高分子の分子サイズを最適化するために、過剰な正常肝臓の摂取を最小化しなければならず、また潜在的に危険な腎臓及び骨の摂取についても同様である。このことからフラクション > 50 kDa (肝臓)が除かれ、さらに30 − 50 kDa及び3 − 10 kDaについても同じであり、これは腎臓について放射線暴露を受けやすくさせる。しかし、腎臓は排泄経路でなければならない。このフラクションについて骨格による摂取は最も高いが、しかしほとんどのホスホネートに対するより依然としてかなり低い。サイズ範囲10〜30kDa、より特別には20〜30kDaは、心臓血液プール中にT1/2=10分で残存し、これは肝臓の病変により蓄積するのに十分な時間である。
【0053】
正常で健康な犬においてテクネチウム99mにより続いてラベル化したナトリウムPEIMPの20−30 kDaフラクションのインビボ薬理学動態及び生物分布試験は、満足な結果を示した。南アフリカの先願の実施例6に記録されているが、ここでは簡潔さのため、省略した。ポリマー複合体の投与後の様々な時間における心臓に対する肝臓の比は、0.7〜0.9:1の範囲であった。3時間の間、1:1より低いレベルで保持し、時間とともにわずかに上昇した。
【0054】
実施例3
組織学的に確認された肝臓繊維症の犬におけるTc−99m 20〜30 kDa ナトリウムPEIMPの生物分布
Tc−99m 20 − 30 kDa PEIMPを実施例1で述べたように製造し、組織学的に確認された肝臓繊維症のジャーマンシェパード犬にボーラス注入により185 MBq (10 MBq/kg)において投与した。生物分布をシンチグラフィにより実施例2で述べたように3時間において測定した。シンチレーションスキャンは、コントロールより高いTc−99m 20 − 30 kDa PEIMPの摂取を示し、より高い肝臓:心臓比(すなわち、コントロールに対し1.11:1 vs. 0.75:1)。これは健康な犬よりも病気の犬における血液プールからのより早いクリアランスに相当し、肝臓からのより遅いクリアランスに相当する。(T1/2心臓)コントロール = 19 分 vs. (T1/2心臓)病気 = 12 分。 (T1/2肝臓)コントロール = 15 分 vs. (T1/2 肝臓)病気= 22 分。表4に結果を示した。
【0055】
この結果は本発明が肝臓繊維症または壊死のインビボ診断に有用であることを示す。特に本発明は、他の器官、骨、及び骨髄に対する許容されない放射線障害を同時に生じることなく、ヒトまたは動物の体の患部肝臓領域における放射線核種の診断学的に有効な摂取を誘導することにより、許容できる選択性を促進して、そのような正常な器官及びバックグラウンドを、より良好な障害検出のための放射線活性から大部分遊離にし、また、障害部位における適切かつ再現性の、定量化しえる蓄積を起こすのに十分長く脈管構造中に残存させる。
【0056】
実施例4
肝繊維症のラットモデル及びコントロールラットにおけるTc−99m 20−30 kDa ナトリウムPEIMPの生体分布
南アフリカの薬物及び関連物質の研究、教育、診断及び試験における動物使用のための国家法(National Code for Animal Use in Research, Education, Diagnosis and Testing of Drugs and Related Substances)のガイドラインに従い、プレトリア(Pretoria)大学の倫理委員会の許可の後、これらの試験を行った。
200gの平均出発体重を有する成体雄ラット類(Sprague−Dawley)をこの試験に使用した。動物を4群に分けた。5動物からなる1コントロール群、及び各8動物からなる3実験群である。
【0057】
慢性肝臓病を、3実験群の動物をCCl4の胃内投与に毎週暴露することにより確立した。80μlの出発投与量を用い、動物の体重に基づき毎週増加させた。コントロール群には何も投与しなかった。全ての動物の体重を一日目に測定し、実験群を80μlのCCl4で開始した。三日後、動物の体重を再度測定して第二週の投与量を測定した。このような手順でCCl4の投与を全実験期間において行った。第5週の3日目に、群1のスキャニングを開始した。各ケースの麻酔をペントバルビトンナトリウム6%溶液(Sagatal, Kryon Laboratories Pty Ltd., Benrose, Gauteng, S.A)の腹腔内注入により行った。各ラットをカメラ(Siemens Orbiter Gamma Camera) 上に配置し、37 MBq/kgのTc−99m 20−30 kDa PEIMTを注入し、15分間の動的シンチグラフィデータ取得のためのカウントダウンをした。群2(7週間)及び群3(9週間)の手順は群1の手順と、動的シンチグラフィ取得を25分で行うことを除いて同じである。データ取得完了後、ラット類をペントバルビトンナトリウムの静脈内過剰投与により殺した。肝臓を取り出し、翌日まで10%ホルマリン溶液中に保存し、次に処理して、ヘマトキシリン(Haematoxylin)及びエオシン(Eosin)、レチキュリン(Reticulin)及びサイラスレッド(Cyrus red)により染色した。
【0058】
動的試験から、心臓血液プール領域、肝臓及び腎臓について時間−活性カーブを得た。様々な器官における放射線活性の相対分布の平均値を次に注入量(%ID)のパーセンテージ及び保持活性のパーセンテージとして計算し、4群について比較した。肝臓:心臓比(L/C)活性をまた測定し、時間の関数としてプロットした。この比は、心臓血液プールに存在する放射線活性に対して、肝臓の放射線活性摂取をトラックする。
【0059】
コントロールに対して、処置ラット類では増強された肝臓保持時間及び摂取が生じた。これは表5に要約され、表では各群のT1/2は心臓血液プール、肝臓及び腎臓における放射線活性の最大パーセンテージ摂取を伴う。表からわかるように、心臓血液プールではT1/2の低減が進み、肝臓における保持を延長した。処置したラット類に関して心臓血液プールから異常に速いクリアランスを示し、かつ肝臓における放射線活性の蓄積の増大を示すL/C比を表6に示した。正常な動物については、肝臓による化合物の処理は、血液プールクリアランス画像に類似する。正常な肝臓における約1:1のL/C比は、分子サイズのため、化合物の血管内保持率を意味する。腎臓を通じて正常な排泄が起こる。
【0060】
ラット類の肝臓セクションをH&E、マッソントリクローム(Masson Trichrome)及びレチキュリン染色により染色した。壊死及び繊維症の量は、経験を積んだ肝臓病理学者により解釈され、分類システムに従いスコア化し、それによると1はマイルドな壊死または繊維症であり、4は重症であるとする。CCl4を投与されないコントロールラット類は、繊維症または壊死を示さないが、一方、CCl4処理されたラット類は壊死については平均スコアは5、7、及び9週間後に1.9、1.7及び1.4であり、繊維症はそれぞれ1.9、1.9及び2.1であった。
【0061】
これらの組織病理学的結果は、肝臓繊維症及び壊死への動物モデルの信頼性を示す。試験における、繊維症、壊死及びポリマーからの放射線活性の摂取の良好な関係はさらに本発明がヒトの診断に適することを示している。
放射線ラベル化ポリマー複合体は繊維症をターゲット化する。正常な肝臓摂取は非常に制限され、そして、複合体は、他の器官、例えば肺、からの迅速なクリアランスに特徴付けられる。クリアランスは主に腎臓により行われ、繰り返される患者のスクリーニングを考慮して、骨格による摂取は低くして骨髄への放射線量を最小化する。さらに、そして重要なことに、無傷の脈管構造における薬剤の保持があり、障害部位における適切な蓄積のための時間を与える。
【0062】
実施例5
マウス及びラビットにおけるTc99mPEIMPのパイロジェン及び毒性試験
5匹のBALB/Cマウスに、マウス一匹あたり各投与量が0.165mg/0.33ccのTc−99m20−30 kDa PEIMPを静脈内に注入した。これらを24時間及び48時間において観察及びモニターし、生きておりかつ良好であることが観察された。注入された化合物はプロジェクトの実験動物が受けるよりも、臨床使用の目的よりも、かなり高い濃度であり、またそのため、患者への適用については非毒性であることが許容される(南アフリカ局標準法(South African Bureau of Standards Method)6:1992)。
【0063】
三匹のラビット類の体温変動について2時間にわたり観察し、モニターし、各々について平均を得た。これらは続いて静脈内注入により化合物の投与を受け、2.5時間の間観察し、モニターした。パターンの相違点及び温度変動を記録した。それらは試験化合物の非発熱性(Standard SABS Method 6:1992)の要求を満足する。
これらの結果は本発明に使用される診断薬の安全性を示す。
【0064】
実施例6
本発明が基礎とする理論の一部は、コラーゲンと連合するカルシウムイオンが繊維症肝臓の放射線ラベル化ポリマー試薬に結合することである。そのため、以下の試験はTcラベル化PEIMPのコラーゲンへの結合能を試験するものである。
試験ではまた、二つの最も一般的に使用される骨探求剤(bone seeking agent)、Tc−99m−PYP及びTc−99m−MDP、並びに非骨探求剤Tc−99m DTPA (コントロール)の親和性を、Tc−99m−PEIMP (20−30 kDa)と、コラーゲン類(I型及びIV型)について比較する。表Xに示すこの結果は、Ca2+−コラーゲンI型及びIV型に対する親和性がTc−99m−PEIMP > Tc−99m−PYP > Tc−99m−MDP > Tc−99m−DTPAであることを示す。
【0065】
すべての試薬は分析グレードのものを使用し、全ての適切な溶媒及び溶液はアルゴンをパージすることにより脱酸素した。市販のDTPA(ジエチルトリアミンペンタ酢酸), MDP (メチレンジホスホネート)及びPYP(パイロホスフェート)ラベルキットを、製造者の指示に従い、Mo−99/Tc99mジェネレーターから得られたTc99mでラベル化した。すべての放射線活性測定を、Capintec CRC−15投与量キャリブレータ (Capintec Inc. Pittsburgh, PA, USA)中で行った。
ラベルキット処方における差異のため、ならびに、活性な成分の化学組成物の多様性における差異のため、様々な最終Tc99mラベル化溶液を、計算した元素状リン含量において等しくし、かつトリスバッファー(0.01 M, pH 7.4)により希釈して最終リン含量0.025 mg/mlまで希釈した。
【0066】
放射線ラベル化複合体を、シリカゲル浸透グラスファイバーシート(固相)上で、アセトン及び0.9%塩化ナトリウム溶液(移動相)を用いてインスタント薄層クロマトグラフィを用いて放射線化学純度について分析した。複合体の放射線化学純度は> 95 %であった。.
ヒト胎盤からのヒトコラーゲン類、I型(シグマ、VIII型)及びIV型(シグマ、VI型)を、シグマケミカル(Sigma Chemical Company, St. Louis, MO, USA)から得た。
【0067】
コラーゲン製品を、トリスバッファー(pH 7.4, 0.1 M)中に均一に懸濁し、0.22μmMillex−GS 25 mm直径フィルターユニット (Millipore Products Division, Bedford MA, USA)上に載せた。フィルター上のコラーゲン製品を、0.5 ml (0.03 ml/min)の1.12M CaCl2を含むトリスバッファーをフィルターを通すことにより、含有Ca2+イオン類で飽和した。1時間後、プロセスを繰り返し、ろ過物を室温で一晩静地した。使用1時間前、他の0.5 ml CaCl2/トリスバッファーをフィルターを通し、その後1.0 mlトリス(0.03 ml/min)を通過させることにより過剰のCa2+をフィルターから洗浄した。
1ミリリットルのTc99mラベル化放射線活性物質を、1mlシリンジ中へ取り出し、フィルターに接続し、活性を測定した。シリンジの内容を次にゆっくりとコラーゲン負荷フィルター(0.03 ml/min)中を通し、続いて2mlのトリスバッファーを通し、その後、フィルター上のTc99m活性を測定した。
【0068】
ろ過プロセスの前後の活性、並びにシリンジ中に吸着した活性及びコントロールフィルターの活性を、減衰補正し、フィルター上に残存した活性パーセンテージを計算した。全ての実験を三回行い、フィルター上に残存した平均活性パーセンテージを表7に要約した。
本発明において使用されるTc99mラベル化PEIMPは、非常に有利である非予測性結果を示し、非ポリマー物質より優位である。
本発明の特徴を述べる目的で引用された全ての文献は、本明細書に引用文献として組み入れるものとする。
【0069】
【表1】
【0070】
【表2】
【0071】
【表3】
【0072】
【表4】
【0073】
【表5】
【0074】
【表6】
【0075】
【表7】
発明の分野
1.本発明はインビボにおける肝臓繊維症及び壊死の診断におけるポリマー製剤の使用に関する。
【0002】
2.関連する技術の説明
肝臓繊維症は、慢性肝臓障害を伴う患者における繊維性の細胞外マトリックスまたは瘢痕組織の蓄積である。放置して処置しないと、現在では難病である肝硬変に進行する。経時的現象は以下のとおりである。
(1) 肝臓への障害、例えば、有毒な代謝によるもの;
(2) 壊死(細胞死);
(3) 炎症;
(4) 繊維性細胞外マトリックスの形成(繊維性組織)。
【0003】
肝臓繊維症の主要な原因は、肝臓星状細胞の活性化である。参照“the review by Scott L. Friedman, ”Cytokines and Fibrogenesis”, Seminars in Liver Disease” 19 (2), 129 − 140 (1999)”。これらの細胞は肝臓の損傷または有毒な侵襲により活性化され、上記一連の現象鎖において硬化する。前記レビューは、このプロセスを特定のサイトカインの作用を調節することにより停止できるかもしれないと提案している。この背景を考慮すると、早い段階で先行する肝臓の繊維症または壊死を診断することが望ましい。
【0004】
テクネチウム−99m (“m”はアイソトープの特定の形態の準安定状態を意味する)は、ガンマ線エミッタである。Tc−99mホスフェート類は骨のイメージング(画像化)のために30年前に導入され、肝臓を含む軟組織へのTcの蓄積のレポートが多数存在する。例えば、Amilcare Gentili et al., ”Nonosseous accumulation of bone−seeking radiopharmaceuticals”, Radiographics 10, 871−881 (1990)中の要約参照。この論文は、肝臓による摂取が、しばしば他の器官の様々な癌からの転移性蓄積により起こることを述べている。心臓に関して、この論文は、Tc99mパイロホスフェートを使用して急性心筋梗塞を検出することについて言及している。この試薬を用いたガンマ線シンチグラフィーからの知見は、組織カルシウムの過剰、続く局所的組織壊死またはダメージがある場合に、Tc99mジホスホネートの使用において観察されるものと同様であることを述べている。
【0005】
Kenneth P. Lyons et al., ”Localization of Tc−99m pyrophosphate in the liver due to massive liver necrosis: Case report”, Journal of Nuclear Medicine 18 (6), 551〜552 (1977)には、テクネチウムラベル化ホスフェートを、細胞性障害及び壊死を伴う器官に局在化させることを述べている。論文は、アルコール、肝炎、肝毒性及び受動性うっ血(passive congestion)の症状を呈している患者におけるTcラベル化ホスフェートの可能性のある診断上の利点を述べている。
【0006】
Barry M. Flynn and S. T. Treves, ”Diffuse hepatic uptake of technetium−99m 0 methylene diphosphonate in a patient receiving high dose methotrexate”, The Journal of Nuclear Medicine 28 (4), 532〜534 (1987)には、肝臓転移、高カルシウム血症、肝臓壊死及びアミロイドーシスにおいて報告された異常な現象として、テクネチウム99mの肝臓摂取について述べている。この論文は、明らかにメトトレキセート毒性により生じた、重篤な可逆性肝臓機能障害のケーススタディを報告している。患者の肝臓中のテクネチウム99mメチレンジホスフェートの摂取は骨のスキャンにより明らかにされた。
【0007】
Wei−Jen Shih and John Coupal, ”Diffuse and intense Tc−99m HMDP localization in the liver due to hypoxia secondary to respiratory failure”, Clinical Nuclear Medicine 19 (2), 116〜120 (1994)には、ガンを切除するための肺の肺葉切除術に伴う、呼吸困難のケースについて報告している。Tc−99mヒドロキシメチレンジホスフェート骨スキャンにより、増大した肝臓摂取が示されたが、これは肝臓壊死を示すと説明された。
【0008】
C. H. Evans and D. C. Mears, ”Binding of the bone−seeking agent 99m Tc−lhydroxyethylidene−I,I−diphosphonic acid to cartilage and collagen in vitro and its stimulation by Er3+ and low pH”, Calcified Tissue International 32, 91〜94 (1980)には、コラーゲンがこの化合物を隔離し、軟骨及び骨がその摂取に寄与していることが示唆されている。
【0009】
“ポリミンMP”(Polymin−MP、ポリエチレンミノメチルリン酸)を含む他の骨を探す(bone−seeking)Tc−99m試薬が知られている(参照;W. Louw et al., Biodistribution of radiolabelled Polymin−MP of different molecular sizes as a selective bone−seeker for therapy in animal models”, European Journal of Nuclear Medicine 25 (8), 1167, Abstract PS−733, (1998) and R. J. Milner et al., ”The biodistribution, phannacokinetics, bone localisation of variously molecular sized molecular radiolabelled Polymin−MP in normal dogs and dogs with osteosarcoma of the appendicular skeleton”, European Journal of Nuclear Medicine 26 (9), 1220, Abstract PS−669, (1999))。
【0010】
発明の要約
放射性核種イオンと安定な複合体を形成でき、かつカルシウムイオンを結合できるポリデンテート(多価)リガンドを提供できるように位置した遊離のホスホネート基を有するポリマーは、患者に投与されたとき、肝臓の繊維症または壊死を十分に診断し得る放射性核種イオンとの複合体を形成に非常に有用である。そのポリマーは、肝臓中に摂取されることができ、正常な肝臓と比較できるように肝臓中の放射線活性をカウントするのに確実に十分な時間の間、患部(繊維性または壊死性)肝臓により保持されて、腎臓による十分で迅速な排泄を可能として、患者を長期間の危険から回避させるものである。
【0011】
発明のベースとなる原理は、以下の性質を含むものである。
1.遊離のホスホネート基はインビボにおいてカルシウムキレーティング機能を提供する。繊維症の開始は、カルシウムイオンの蓄積を伴うと考えられ、カルシウムイオンをポリマーによりキレート化し、健康な肝臓よりもより長い時間においてポリマーを患部肝臓内に保持させる。
2.ホスホネート基に対するカルシウムイオンの結合は、肝臓繊維性組織中のコラーゲンの存在を伴う。
3.ホスホネート基は放射性核種イオンと初期に安定な複合体を形成することができる。おそらく、その後の患部肝臓中のカルシウムによるポリマーとの結合は、放射線核種イオンを置換するが、いずれにしても、診断を行うのに十分に肝臓により保持される。最後に、それらは腎臓による排泄のため肝臓を通過する。正常な肝臓では、保持率は非常に低い。
【0012】
4.ポリマー中に非常に多数の(アニオン性)ホスホネート基を提供することにより、ポリマー全体として非常にアニオン性となり、細胞内に入らなくなる。これにより、繊維性細胞外マトリックスと相互作用のための十分なポリマーが得られ、低いバックグラウンドを伴うスキャンを与え、その結果イメージングを増強する。
5.ポリマーの相対分子量(relative molecular mass)は、肝臓中に入り、かつ診断後肝臓から放出されるのを確実にするように選択され、また(患部肝臓に保持された後は)腎臓を通じて体から迅速に排泄されるように選択される。通常、少なくとも5キロダルトン(kDa)である。
【0013】
本明細書において用語“迅速な排泄(クリアランス)”は、患者を長期間の放射線障害から避けるために十分に早いという意味で使用されている。参考として、通常、健康なオスのヒヒに放射線ラベル化ポリマーを与えた場合、肝臓中の放射線活性の半減期は45分より短い。
投与される形態は、ポリマーの放射線核種複合体であり、通常、患者に投与するために新たに作製される。好ましい実施態様、すなわち、Tc99mポリエチレンイミンメチルホスホネート(略して“PEIMP”)は、骨イメージングにおいて既に報告されているためこの複合体自身は新規ではない(R. J. Milner et al. and W. Louw et al., above.)。したがって、本発明は、この活性な主成分(principle)のインビボ診断における第二の使用であり、特許法に従って許される方法で保護されるものである。
【0014】
本明細書において用語“診断”は、疾病の存在またはその進行(予後)の存在を、定性的、定量的または準定量的に測定することを意味し、広く解釈されるべきである。
特許法、特にオーストラリア及びUSA、が許す限り、本発明は、患者における肝臓繊維症または壊死のインビボ診断法を提供し、前記方法は、(1)上述したポリマー及び(2)診断において非毒性の放射線核種イオンの複合体の有効量を患者に非経口的に投与すること、診断される患者の肝臓内の放射線核種の保持率を、正常な患者のそれと比較して決定すること、及び前記決定の結果から、患者が肝臓繊維症若しくは壊死にかかっているか否か、またはその程度について診断することを含む。
【0015】
特許法、特に欧州、が許す限り、本発明は、肝臓繊維症若しくは壊死またはその程度についてのインビボ診断のための、上述したポリマーを上記放射線核種イオンとの複合体であるその剤型の製造における使用を提供する。
特許法、特に日本及び韓国、が許す限り、本発明は前記複合体を含む、前記目的のための組成物を提供する。
肝臓の肝繊維症または壊死の診断の目的で投与される複合体を製造する目的のポリマーの無権利者である販売者は、本出願に基づく特許の侵害に寄与するものまたは間接侵害であり、それに対して明確な警告を与える。
【0016】
本明細書において、用語”複合体”は、ポリマーと放射線核種イオンの共構築体(co‐assmbly)を形成する複合体の形態を意味する。したがって、この用語は、ポリマーと放射線核種塩との混合物、及び必要な場合には、放射線核種を適当な酸化状態に還元するための還元剤との混合物、を含む。例えば、ポリマー、放射線活性テクネチウムのパーテクネテート(pertechnetate)塩及び塩化第一スズ(stannous chloride)(還元剤)の混合物が挙げられる。
【0017】
発明の好ましい実施態様
ポリマー
ポリマーの種類は、多価リガンド形成に利用できるホスホネート基を有し、簡便な投与用に処方(好ましくは水中に分散または溶解し得るように)できるのであれば、重要ではない。
好ましくは、ポリマーはポリアミンである。本明細書において用語“ポリアミン”は、主鎖がイミンから形成されているかまたはアミンから形成されているか否かに関わらず、多数の遊離アミノ基を有する必要な相対分子量のポリマーを意味する。したがって、“ポリアミン”は主鎖に窒素原子を有さないが、それからサブテンドする(subtended)アミノ基を有するものを含む。
【0018】
ポリマーの主鎖は直鎖または分岐鎖であることができ、デンドリマーであってもよい。デンドリマー状のポリマーは、分岐鎖上に分岐鎖が形成される、次第に分岐する構造を有するマクロ分子である。この用語はギリシャ語の“デンドラ(dendra)(木)”に由来するが、本明細書では木のように直線の“幹(trunk)”を有すべきことを意味するものではない。デンドリマーは重合化の間に分岐反応を行うモノマーから製造されてもよく、それにより第一の分岐から第二の分岐が伸び、第二の分岐から第三の分岐が伸び、これが続く(ただし全ての分岐がそれ自身分岐している必要はない)。ポリマーは好ましくはデンドリマー状ポリアミンであり、最も特に、エチレンイミンのホモポリマーまたはコポリマーである。エチレンイミンはデンドリマー状付加ポリマーを形成し、そのポリマーは部分的に以下に示されるような式を有する。
【0019】
【化1】
【0020】
記号”x”及び”y”は鎖に沿って散りばめられた単位の概略的(schematically)変動数を意味し、第一、第二及び第三アミン単位は実質的にランダムにポリマー構造中に分散している。典型的には、約50%の第一アミン基と、25%づつの第二及び第三アミン基が存在する。
【0021】
ポリマーは、ランダム、ブロックまたはグラフトコポリマーであってもよい。したがって、エチレンイミンポリマーはエチレンイミン以外の他の単位、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドまたはアクリル若しくはメタクリルモノマー類(例、アクリルアミドまたは2‐N,N‐ジエチルアミノエチルアクリレートまたは相当するメタクリレート)を有していてもよい。しかし、エチレンイミンポリマーは適切によく分岐されて、鎖の末端において多数のホスホネート基を第一アミン基に結合させ、それにより強力なキレート機能を提供しなければならない。
【0022】
または、ポリアミンは非デンドリマーであってもよい。例えば、クロロメチルポリスチレン出発ポリマーはクロロメチル置換基位置(例、パラ位またはオルト位とパラ位)でアミノ化することができ、アミノメチルポリスチレンを与える。これは次にホルムアルデヒド及び亜リン酸と反応してメチルホスホネート(ホスホノメチルポリスチレン)が生成する。
【0023】
用語“ホスホネート基”は、ビホスホネート類を含む。一般に、ホスホネート類は式−R−(PO(OH)2)nを有する。式中、nは1〜3であり、Rはnの値にマッチする価を有する有機基であり、ポリマー鎖に直接または間接に結合する。Rは脂肪族、環脂肪族、芳香族、芳香脂肪族(araliphatic)等であってもよい。好ましくは、アルカン、ヒドロキシ置換アルカンまたはベンゼンの残基である。残る価は水素原子または置換基により埋められる。ビホスホネート類では、n=2である。好ましくは、nは1または2である。nが1である場合には、有機基Rは好ましくはメチレン、1,1‐エチレン、1,2−エチレン、1−ヒドロキシエチレン、1,3−、1,2− 若しくは2,2‐プロピレンまたはp−フェニレン若しくはp−トリレンである。n =2の場合には、同じR基であるが、他の同じ−PO(OH)2 基を末端H原子(可能であれば)の代わりに有するものが好ましい。
【0024】
ホスホネート基は、カチオン結合に対し少なくとも二つの隣接基を提供するのに有効なようにポリマー上に配置されてもよい。言い換えると、ポリマーにより提供されるリガンドは少なくとも二価(bidentate)でなければならない。2より高い価を有していてもよい。例えば、以下の式の繰り返し単位を有するポリスチリルプロパン−2,2−ビスホスホネート類のように、ホスホネート基がジェミナル(同じ炭素基に結合)であってもよい。
【0025】
【化2】
【0026】
参照;Mats J. Sundell and Jan H. Nasman, ”Desk Reference of Functional Polymers, Syntheses and Applications”, American Chemical Society (1997), Chapter 1.8, lines 120−126 at page 120.
【0027】
またはホスホン酸基はダイレクトビシナル(隣接炭素原子に直接結合)または近接ビシナル(交互の炭素原子に結合)であってもよい。例としてポリビニルホスホン酸が挙げられる。結合基の他の形態はペンダントビシナルまたはペンダント近接ビシナルであり、隣接または交互炭素原子に直接結合していないが、ぶらさがっている状態である。例えば、以下の式の繰り返し単位を有する、PEIMP またはポリスチリルホスホネート類における場合が挙げられる。
【0028】
【化3】
【0029】
そのモノエチルエーテルは上述した、Mats J. Sundell and Jan H Ndsmanの第126頁に記載されている。
ポリアミン(例、PEIMP)の一級アミン基に結合したホスホネート基は、好ましくは−R’−PO(OH)2(式中、R’は分岐鎖を有していてもよい1〜4炭素原子のアルキレン基であり、好ましくは、メチレン、1,2‐エチレンまたは1,1−エチレンである)である。アルキレン基は、特にα−炭素原子(P原子に隣接する)において、任意に水酸基で置換されていてもよい。
【0030】
本発明において使用し得る他のタイプのポリマーは、ビスホスホネート基を有するポリエチレンビニルベンゼングラフトコポリマーであり、これはMats J. Sundell and Jan H. Ndsman, above, at page 127に記載されるように製造してもよい。
他の有用なポリマー類としては、任意にアクリル酸またはメタクリル酸と共重合されている、ヒドロキシメチルホスホン酸エステル若しくは2‐エチルホスホン酸エステルまたはアクリル酸若しくはメタクリル酸が挙げられる。
これらのポリマーを注入可能な溶液または分散液、好ましくは水性のもの、とした処方とすることが望ましいことは当業者らに認められることである。したがって、ホモポリマーの溶解性、特に水溶性を改良する官能基を有するコモノマー類と適切なモノマー類を共重合することが望ましい場合もある。したがって、カルボン酸基を有するコモノマー類が通常特に適する。
【0031】
ポリアミン類からのホスホネート類の製造
ポリアミンと、アルデヒド及び亜リン酸若しくは適する亜リン酸の誘導体とを縮合する工程により、ホスホネート基をポリアミン類(例、エチレンイミンポリマー類)に、添加してもよい。最終生成物は容易にサイズ分離することができるので、出発のポリアミンは最終的に必要な範囲外の分子量を有していてもよい。例えば、エチレンイミンポリマーは2〜100kDaのサイズ範囲を有していてもよい。アルデヒドはホルムアルデヒドであってもよく、例えばその水溶液であってもよい。亜リン酸誘導体は亜リン酸の塩であってもよい。したがって、ポリマーはポリエチレンイミノメチルリン酸(PEIMP)またはその塩であってもよい。
【0032】
側鎖(ペンダント)一級アミン基を有する他のポリマー上で同様の反応を行ってもよい。
好ましい製造方法としては、亜リン酸またはその誘導体の水溶液を、塩酸等の強酸存在下還流温度まで過熱し、ゆっくりアルデヒドとポリマー(いずれの順でもよいが予め選択したモル比において)を前記水溶液に添加し、前記混合物を反応が十分な割合まで進行するまで過熱し、分子量が10〜30kDa、より好ましくは20〜30kDaの分子量を有するフラクションを、例えばメンブレン限外ろ過により、単離する工程を含む。
【0033】
相対分子量(relative molecular mass)
ポリマーの最適r.m.mは、上述したインビボにおける生物学的要求によってのみ決定されるものである。r.m.m.が大きすぎたり、小さすぎる場合には、ポリマーの腎臓からの排泄は迅速さに欠けるため、限界を小動物の実験から決定できる。用語“迅速な排泄(クリアランス)”は通常、健康な雄ヒヒの肝臓における放射線同位体の半減期が45分より短いことを意味するが、好ましくは30分より短くなければならない。好ましい定義からあいまいさは生じないと考えられるが、本試験の条件をセットする上で実施例2に記載の手順とヒヒを定義としてもよい。r.m.m.の正確な数値的な限界はシャープなものではなく、また特定のポリマーに依存する。5 kDaより少ないということはありえそうもなく、通常、少なくとも10kDaである。もしPEIMPを使用する場合には、通常約10kDa〜30kDaの相対分子量を有する。
【0034】
本明細書において述べるすべてのr.m.mは、メンブレン、特にポリエーテルスルホンメンブレン上での限外ろ過(またはゲル浸透クロマトグラフィ)により得られるものをいう。しかし、r.m.m.は等価な値が得られる他の方法により測定されてもよい。例えば粘度測定が挙げられる。放射線核種イオン類はr.m.m.数値から除かれる。
【0035】
放射線核種
放射線核種は目的に合致し、診断を行うのに適する半減期、しかし好ましくはできるだけ短い半減期、を有するいずれのものでもよい。診断目的のために核医学において日常的に使用されているテクネチウム99mが好ましい。テクネチウム99mは半減期が約6時間である。ガンマ線と低エネルギー電子を放出して崩壊する。Tc99mのジェネレーター(generator)は商業的に入手可能である。これらは崩壊してTc99になるMo99をベースとする。ジェネレーターは保存期間が短い(約2週間)。Tc99mは核再生から得られるTc99(半減期が2.13 x 105年)と混同されるべきではない。本発明において使用に適する他の放射線核種類は放射線化学分野における当業者に明らかであり、特にインジウム−111、ガリウム−67、ガリウム−68、及びスズ−117mが挙げられる。
【0036】
上述したような放射線核種とポリマーの複合体を形成するには、放射線核種塩を、典型的にはpH4‐7において、水と水に細かく分けた状態で分散または溶解したポリマーに溶解する。pHは放射線核種を含む化合物の水中への溶解を促進するように選択され、放射線核種及びポリマーから複合体の形成を促進するように選択される。放射線核種の金属種は、ポリマーと複合するために適する酸化状態にしておいてもよく、あるいはより高い酸化状態であってもよい。後者の場合には、ポリマーと複合するように、放射線核種の酸化状態を下げるための還元剤存在下に反応を行う。例えば、放射線核種塩がパーテクネテートであり、還元剤がスズ塩(例、塩化第一スズまたは塩化第一スズ二水物)であってもよい。しかし、インジウム及びガリウム塩類は塩化物のような非毒性のカチオン塩として単純に供給することができ、したがって還元は必要ではない。
【0037】
pH調整及び塩類
本発明の方法は、複合体形成後、反応混合物のpHを生理学的に許容される値にpHを調整する工程を含んでいてもよい。pHは生理学的に許容される酸またはアルカリであり、複合体の形成を妨げないものを使用して調整してもよい。例えば、pHは塩酸若しくは酢酸のような酸、またはアルカリ金属の水酸化物、炭酸化物、若しくは炭酸水素化物、水性アンモニアまたは炭酸アンモニウム若しくは炭酸水素アンモニウムのようなアンモニウム塩のような塩基を用いて調整してもよい。アルカリ金属はナトリウムまたはカリウムが都合がよい。もっとも好ましくは、その非毒性及び水溶性からナトリウム塩が用いられる。
【0038】
投与
複合体は患者に対し、肝臓に迅速に浸透するのに適するいずれの方法により投与されてもよい。比較的短い半減期の放射線核種を使用することが望ましい限り、循環にすばやく入ることを確実にする方法のみが有用であり、主に注射(注入)であり、最も通常には静脈内注射である。したがって複合体は通常、いずれかの非毒性の溶媒(通常は水性)中の滅菌された注入可能な溶液または分散液として作製される。
投与される放射線核種の量は、半減期に依存する。通常3.5〜15 MBqであり、より通常には3.7〜10.4 MBq Tc−99m/kg(患者の体重)である。他の放射線核種については等価な投与量を推定することができる。
【0039】
肝臓における放射線核種の保持率の測定
正常な肝臓と患部肝臓におけるポリマーの保持の比較を、直接または間接に可能にするいずれの方法も使用することができる。簡便には、ガンマ放射性同位元素を使用し、ガンマ線シンチグラフィを用いる。一つの好ましい方法は、(a)壊死を検出またはアッセイする試験初期の静止画像、及び(b)繊維症を検出またはアッセイする試験後期の静止画像を使用する。これらは簡便には(a)20〜40分、好ましくは30分及び(b)2〜4時間、好ましくは3時間において撮影する。画像を撮影する時間の長さは例えば、それぞれ1分及び2分であってもよい。測定は様々な方法で行ってもよく、特に肝臓:心臓血液プール比を測定することにより行ってもよい。比が正常より高い値であることは繊維症または壊死を示す。また、肝臓に存在する、初期に注入された量に対する比率を測定することもできる。これは患部肝臓においては顕著に高い値となりうる。これらの方法のバリエーションを容易に考えることができる。本発明の方法は疾患の状態を定量化または準定量化するのに十分なように正確に行うことができ、患者の状態を改善する治療の効果をモニターするのに有効である。同様に、候補薬剤または治療方法の効果をモデル動物において試験することが役立つ。
【0040】
本発明は以下の非限定的な実施例により説明される。表は記述の後に示されている。放射線量はミリキュリー(mCi)からメガベケレル(megaBecquerels)に変換した。1 キュリー = 3.7 x 1010 ベケレルであり、1 ミリキュリー = 37 メガベケレルである。表中のT1/2値は、時間プロットに基づき、特定の器官から放射線活性が排泄される時間の半分を意味する(勿論一定値である同位体のT1/2ではない)。
【0041】
実施例1
1. ポリエチレンイミノメチルホスホン酸 (PEIMP)の合成
亜リン酸(18.36 g) 及び濃塩酸 (51.3 ml) を、温度計、マグネチックスターラーバー、滴下ロート及びコンデンサーを備えた反応容器中に、アルゴン雰囲気下添加した。亜リン酸は攪拌し、80℃に加熱することにより溶解した。滴下ロートをホルムアルデヒド溶液(23.3 ml)で満たし、溶液を亜リン酸へ滴下した。温度を還流(90℃)まで上昇させ、ポリエチレンイミン(8.33 g/40 ml 水)を、蠕動ポンプを用いて0.3 ml/分の速度でゆっくり滴下し、反応混合物を形成した。反応混合物をアルゴンで連続的にパージした。ポリエチレンイミン溶液の添加が終了したら、反応混合物を90℃でさらに1時間還流攪拌し、一晩ゆっくり冷却した。その間に生成物が粘ちょうなオイルとして分離した。母液をデカントし、水(50ml)を添加し、攪拌すると、生成物は青白い塊と液相になった。
【0042】
液相はデカントし、水添加、攪拌及びデカントをさらに、2回繰り返した。青白い物質を1M炭酸ナトリウム溶液(36ml)に溶解して、PEIMPの水溶性ナトリウム塩をpH7において形成した。凍結乾燥後、12gの高分子PEIMPナトリウムを得た。
【0043】
2. PEIMPナトリウムの精製及び分画
セクション1で製造したPEIMPナトリウムを、市販のポリエーテルスルホンメンブレンを用いて、連続メンブレン限外ろ過により分画して、種々の相対分子量を有する様々なフラクションを得た。メンブレンリテンテート(retentates)を集め、10分の1の体積に濃縮し、蒸留水で希釈し、再限外ろ過し、再度集めた。20〜30kDaフラクションの典型的な収率は、9%であった。
【0044】
3. PEIMPのTc−99mによるラベル化
キットを製造するために、セクション2で製造した、密閉バイアル中の凍結乾燥したPEIMPナトリウム(5mg)と還元剤(塩化第一スズ二水和物、0.25mg)を、パーテクネテート99mの水溶液、好ましくは生理食塩水、を約10ml(1850 MBqまで)バイアルに添加することにより、テクネチウム99mとの複合体を形成し、PEIMPのテクネチウム99mラベル化複合体を生成した(pH 5.0‐5.5)。放射線ラベル化複合体の試料の放射化学的純度について、シリカゲル浸透グラスファイバーシート(固相)上でアセトン及び0.9%塩化ナトリウム水溶液(移動相)を用いた薄層クロマトグラフィを利用して分析した。その放射化学純度は>95%であり、これは十分に核医学的要求の範囲内である。
【0045】
4. 一般的シンチグラフィ手順
特に述べない限り、診断を受ける特定の種に限定されない一般的記述を行う。シンチグラフィは、核医学において使用される方法であり、この方法において、患者の静脈内に注入されたガンマ放射する放射活性物質(トレーサー)が患者の体を通過するのを追跡し、NaIシンチレーション結晶、光電子倍増管(フォトマル)及び専化したコンピュータにより定量化のためのデジタル変換の類似物を用いて放射線活性の放出を検出しカウントすることにより、蓄積部位を局在化させる。
【0046】
この器具はデータプロセッサとガンマカメラと呼ばれる。そのようなカメラは、NaI結晶をいれる(house)単一、二つまたは三つのヘッドとともに入手できる。動的試験は、迅速に連続して、主にトレーサー注入後すぐに、カメラにより得られる、一連の短い持続時間の画像である。静止画像はトレーサー注入後の一定の時間、主により長い時間、典型的には2分における画像である。
単一/二つのヘッドのガンマカメラを、犬及びヒヒにおいて胸部及び肝臓等の器官を見る位置に配置させた。この位置はヒトにおいても、少なくとも肝臓及び心臓血液の流れを見るのに有用である。Tc−99m ナトリウムPEIMPフラクションの投与量は約3.7〜10MBq/kg(体重)を用いた。動的及び静止の試験を上述したように行った。本発明の原理は、壊死については、ポリマー“トレーサー”が探し、患者に投与した後初期に壊死細胞の部位に残存する。一方、“トレーサー”は、繊維症部位にはより長く留まる傾向があり、そのため、後期スキャン(3時間)において繊維症を優位にマークする。
【0047】
プロセッシングを行って、以下の情報を様々に得た。
・生物動態を示す、心臓血液プール、肝臓及び腎臓の時間活性カーブ
・上記トレーサーの相対器官分布のパーセンテージ
・注入後の時間に対する、肝臓:心臓血液プールカウント比
【0048】
実施例2
ヒヒにおけるr.m.m. 3〜10, 10〜30, 30〜50, 50〜100及び100〜300 kDaのTc−99m−PEMIP フラクションのインビボ薬物動態及び体内分布
20匹の健康な雄のヒヒ(Papio ursinus)、平均体重27.5kgを試験で用いた。各々は様々な相対分子量範囲のi.v. Tc−99m PEIMPを投与された。全ての試験は南アフリカの薬物及び関連物質の研究、教育、診断及び試験における動物使用のための国家法(National Code for Animal Use in Research, Education, Diagnosis and Testing of Drugs and Related Substances)のガイドラインに従い、倫理委員会により許可を受けた後に行った。
【0049】
ヒヒ(各群においてn=4)について、ポリマーの相対的分子量範囲における記載した差異を除いて理想的な実験手順を行った。PEIMPの5種類の異なる相対分子量範囲は、(i) 3 − 10 kDa, (ii) 10 − 30 kDa, (iii) 30 − 50 kDa, (iv) 50 − 100 kDa 及び (v) 100 − 300 kDaである。麻酔の導入をケタミン塩酸物(10 mg/kg i.m.)、(Ketalar Parke Davis, Cape Town)を用いて行い、その後すぐに、6%ペントバルビトンナトリウム溶液(Sagatal Kyron Laboratories Pty Ltd, Benrose)を30 ml/hでコントロールした注入を保持した。ガンマカメラ下の仰臥位置の動物に、185〜259 MBq のTc−99m PEIMPのボーラスとともにi.v.注入し、64 x 64 ワードモードで30分動的試験(30 x 1分フレーム)を行って、シーメンスオービター(Siemens Orbiter)ガンマカメラにより、データ取得のカウントダウンを始めた。1、2、3及び4時間、さらに24時間において、120秒の静止画像を得た。
【0050】
血液及び尿サンプルを4時間の間、一定の間隔で集めた。すなわち、血液試料については最初の1時間については3分毎に、次に1時間毎に、そして尿については、最初の1時間については5分毎に、次に1時間毎に、集めた。各試料の活性及び体積を記録した。これらの血液試料を頚部静脈の留置カテーテルから血液試料を採取した。
【0051】
目的の領域(ROIs)を心臓血液プール、肝臓、肺、脾臓、腎臓及び骨(脊椎骨)の画像上に配置し、動的試験の時間活性カーブを得る。同様にROIsのピクセルあたりのカウント速度のデータ(減衰補正を行った)を静止画像から得た。これらを、動的試験の時間−活性カーブを4時間まで延長して基準化した。
血液クリアランス及び累積尿カーブをまた全てのケースにおいて得て、保持活性の平均相対器官分布及び注入投与量(i.d.)さえも、ポリマーの全ての分子量サイズに対して得た。統計学的分析を、5%レベルの信頼性における対の変数に対し(for paired variables)スチューデントt−テストにより行った。
【0052】
患部肝臓領域に対する選択性について高分子の分子サイズを最適化するために、過剰な正常肝臓の摂取を最小化しなければならず、また潜在的に危険な腎臓及び骨の摂取についても同様である。このことからフラクション > 50 kDa (肝臓)が除かれ、さらに30 − 50 kDa及び3 − 10 kDaについても同じであり、これは腎臓について放射線暴露を受けやすくさせる。しかし、腎臓は排泄経路でなければならない。このフラクションについて骨格による摂取は最も高いが、しかしほとんどのホスホネートに対するより依然としてかなり低い。サイズ範囲10〜30kDa、より特別には20〜30kDaは、心臓血液プール中にT1/2=10分で残存し、これは肝臓の病変により蓄積するのに十分な時間である。
【0053】
正常で健康な犬においてテクネチウム99mにより続いてラベル化したナトリウムPEIMPの20−30 kDaフラクションのインビボ薬理学動態及び生物分布試験は、満足な結果を示した。南アフリカの先願の実施例6に記録されているが、ここでは簡潔さのため、省略した。ポリマー複合体の投与後の様々な時間における心臓に対する肝臓の比は、0.7〜0.9:1の範囲であった。3時間の間、1:1より低いレベルで保持し、時間とともにわずかに上昇した。
【0054】
実施例3
組織学的に確認された肝臓繊維症の犬におけるTc−99m 20〜30 kDa ナトリウムPEIMPの生物分布
Tc−99m 20 − 30 kDa PEIMPを実施例1で述べたように製造し、組織学的に確認された肝臓繊維症のジャーマンシェパード犬にボーラス注入により185 MBq (10 MBq/kg)において投与した。生物分布をシンチグラフィにより実施例2で述べたように3時間において測定した。シンチレーションスキャンは、コントロールより高いTc−99m 20 − 30 kDa PEIMPの摂取を示し、より高い肝臓:心臓比(すなわち、コントロールに対し1.11:1 vs. 0.75:1)。これは健康な犬よりも病気の犬における血液プールからのより早いクリアランスに相当し、肝臓からのより遅いクリアランスに相当する。(T1/2心臓)コントロール = 19 分 vs. (T1/2心臓)病気 = 12 分。 (T1/2肝臓)コントロール = 15 分 vs. (T1/2 肝臓)病気= 22 分。表4に結果を示した。
【0055】
この結果は本発明が肝臓繊維症または壊死のインビボ診断に有用であることを示す。特に本発明は、他の器官、骨、及び骨髄に対する許容されない放射線障害を同時に生じることなく、ヒトまたは動物の体の患部肝臓領域における放射線核種の診断学的に有効な摂取を誘導することにより、許容できる選択性を促進して、そのような正常な器官及びバックグラウンドを、より良好な障害検出のための放射線活性から大部分遊離にし、また、障害部位における適切かつ再現性の、定量化しえる蓄積を起こすのに十分長く脈管構造中に残存させる。
【0056】
実施例4
肝繊維症のラットモデル及びコントロールラットにおけるTc−99m 20−30 kDa ナトリウムPEIMPの生体分布
南アフリカの薬物及び関連物質の研究、教育、診断及び試験における動物使用のための国家法(National Code for Animal Use in Research, Education, Diagnosis and Testing of Drugs and Related Substances)のガイドラインに従い、プレトリア(Pretoria)大学の倫理委員会の許可の後、これらの試験を行った。
200gの平均出発体重を有する成体雄ラット類(Sprague−Dawley)をこの試験に使用した。動物を4群に分けた。5動物からなる1コントロール群、及び各8動物からなる3実験群である。
【0057】
慢性肝臓病を、3実験群の動物をCCl4の胃内投与に毎週暴露することにより確立した。80μlの出発投与量を用い、動物の体重に基づき毎週増加させた。コントロール群には何も投与しなかった。全ての動物の体重を一日目に測定し、実験群を80μlのCCl4で開始した。三日後、動物の体重を再度測定して第二週の投与量を測定した。このような手順でCCl4の投与を全実験期間において行った。第5週の3日目に、群1のスキャニングを開始した。各ケースの麻酔をペントバルビトンナトリウム6%溶液(Sagatal, Kryon Laboratories Pty Ltd., Benrose, Gauteng, S.A)の腹腔内注入により行った。各ラットをカメラ(Siemens Orbiter Gamma Camera) 上に配置し、37 MBq/kgのTc−99m 20−30 kDa PEIMTを注入し、15分間の動的シンチグラフィデータ取得のためのカウントダウンをした。群2(7週間)及び群3(9週間)の手順は群1の手順と、動的シンチグラフィ取得を25分で行うことを除いて同じである。データ取得完了後、ラット類をペントバルビトンナトリウムの静脈内過剰投与により殺した。肝臓を取り出し、翌日まで10%ホルマリン溶液中に保存し、次に処理して、ヘマトキシリン(Haematoxylin)及びエオシン(Eosin)、レチキュリン(Reticulin)及びサイラスレッド(Cyrus red)により染色した。
【0058】
動的試験から、心臓血液プール領域、肝臓及び腎臓について時間−活性カーブを得た。様々な器官における放射線活性の相対分布の平均値を次に注入量(%ID)のパーセンテージ及び保持活性のパーセンテージとして計算し、4群について比較した。肝臓:心臓比(L/C)活性をまた測定し、時間の関数としてプロットした。この比は、心臓血液プールに存在する放射線活性に対して、肝臓の放射線活性摂取をトラックする。
【0059】
コントロールに対して、処置ラット類では増強された肝臓保持時間及び摂取が生じた。これは表5に要約され、表では各群のT1/2は心臓血液プール、肝臓及び腎臓における放射線活性の最大パーセンテージ摂取を伴う。表からわかるように、心臓血液プールではT1/2の低減が進み、肝臓における保持を延長した。処置したラット類に関して心臓血液プールから異常に速いクリアランスを示し、かつ肝臓における放射線活性の蓄積の増大を示すL/C比を表6に示した。正常な動物については、肝臓による化合物の処理は、血液プールクリアランス画像に類似する。正常な肝臓における約1:1のL/C比は、分子サイズのため、化合物の血管内保持率を意味する。腎臓を通じて正常な排泄が起こる。
【0060】
ラット類の肝臓セクションをH&E、マッソントリクローム(Masson Trichrome)及びレチキュリン染色により染色した。壊死及び繊維症の量は、経験を積んだ肝臓病理学者により解釈され、分類システムに従いスコア化し、それによると1はマイルドな壊死または繊維症であり、4は重症であるとする。CCl4を投与されないコントロールラット類は、繊維症または壊死を示さないが、一方、CCl4処理されたラット類は壊死については平均スコアは5、7、及び9週間後に1.9、1.7及び1.4であり、繊維症はそれぞれ1.9、1.9及び2.1であった。
【0061】
これらの組織病理学的結果は、肝臓繊維症及び壊死への動物モデルの信頼性を示す。試験における、繊維症、壊死及びポリマーからの放射線活性の摂取の良好な関係はさらに本発明がヒトの診断に適することを示している。
放射線ラベル化ポリマー複合体は繊維症をターゲット化する。正常な肝臓摂取は非常に制限され、そして、複合体は、他の器官、例えば肺、からの迅速なクリアランスに特徴付けられる。クリアランスは主に腎臓により行われ、繰り返される患者のスクリーニングを考慮して、骨格による摂取は低くして骨髄への放射線量を最小化する。さらに、そして重要なことに、無傷の脈管構造における薬剤の保持があり、障害部位における適切な蓄積のための時間を与える。
【0062】
実施例5
マウス及びラビットにおけるTc99mPEIMPのパイロジェン及び毒性試験
5匹のBALB/Cマウスに、マウス一匹あたり各投与量が0.165mg/0.33ccのTc−99m20−30 kDa PEIMPを静脈内に注入した。これらを24時間及び48時間において観察及びモニターし、生きておりかつ良好であることが観察された。注入された化合物はプロジェクトの実験動物が受けるよりも、臨床使用の目的よりも、かなり高い濃度であり、またそのため、患者への適用については非毒性であることが許容される(南アフリカ局標準法(South African Bureau of Standards Method)6:1992)。
【0063】
三匹のラビット類の体温変動について2時間にわたり観察し、モニターし、各々について平均を得た。これらは続いて静脈内注入により化合物の投与を受け、2.5時間の間観察し、モニターした。パターンの相違点及び温度変動を記録した。それらは試験化合物の非発熱性(Standard SABS Method 6:1992)の要求を満足する。
これらの結果は本発明に使用される診断薬の安全性を示す。
【0064】
実施例6
本発明が基礎とする理論の一部は、コラーゲンと連合するカルシウムイオンが繊維症肝臓の放射線ラベル化ポリマー試薬に結合することである。そのため、以下の試験はTcラベル化PEIMPのコラーゲンへの結合能を試験するものである。
試験ではまた、二つの最も一般的に使用される骨探求剤(bone seeking agent)、Tc−99m−PYP及びTc−99m−MDP、並びに非骨探求剤Tc−99m DTPA (コントロール)の親和性を、Tc−99m−PEIMP (20−30 kDa)と、コラーゲン類(I型及びIV型)について比較する。表Xに示すこの結果は、Ca2+−コラーゲンI型及びIV型に対する親和性がTc−99m−PEIMP > Tc−99m−PYP > Tc−99m−MDP > Tc−99m−DTPAであることを示す。
【0065】
すべての試薬は分析グレードのものを使用し、全ての適切な溶媒及び溶液はアルゴンをパージすることにより脱酸素した。市販のDTPA(ジエチルトリアミンペンタ酢酸), MDP (メチレンジホスホネート)及びPYP(パイロホスフェート)ラベルキットを、製造者の指示に従い、Mo−99/Tc99mジェネレーターから得られたTc99mでラベル化した。すべての放射線活性測定を、Capintec CRC−15投与量キャリブレータ (Capintec Inc. Pittsburgh, PA, USA)中で行った。
ラベルキット処方における差異のため、ならびに、活性な成分の化学組成物の多様性における差異のため、様々な最終Tc99mラベル化溶液を、計算した元素状リン含量において等しくし、かつトリスバッファー(0.01 M, pH 7.4)により希釈して最終リン含量0.025 mg/mlまで希釈した。
【0066】
放射線ラベル化複合体を、シリカゲル浸透グラスファイバーシート(固相)上で、アセトン及び0.9%塩化ナトリウム溶液(移動相)を用いてインスタント薄層クロマトグラフィを用いて放射線化学純度について分析した。複合体の放射線化学純度は> 95 %であった。.
ヒト胎盤からのヒトコラーゲン類、I型(シグマ、VIII型)及びIV型(シグマ、VI型)を、シグマケミカル(Sigma Chemical Company, St. Louis, MO, USA)から得た。
【0067】
コラーゲン製品を、トリスバッファー(pH 7.4, 0.1 M)中に均一に懸濁し、0.22μmMillex−GS 25 mm直径フィルターユニット (Millipore Products Division, Bedford MA, USA)上に載せた。フィルター上のコラーゲン製品を、0.5 ml (0.03 ml/min)の1.12M CaCl2を含むトリスバッファーをフィルターを通すことにより、含有Ca2+イオン類で飽和した。1時間後、プロセスを繰り返し、ろ過物を室温で一晩静地した。使用1時間前、他の0.5 ml CaCl2/トリスバッファーをフィルターを通し、その後1.0 mlトリス(0.03 ml/min)を通過させることにより過剰のCa2+をフィルターから洗浄した。
1ミリリットルのTc99mラベル化放射線活性物質を、1mlシリンジ中へ取り出し、フィルターに接続し、活性を測定した。シリンジの内容を次にゆっくりとコラーゲン負荷フィルター(0.03 ml/min)中を通し、続いて2mlのトリスバッファーを通し、その後、フィルター上のTc99m活性を測定した。
【0068】
ろ過プロセスの前後の活性、並びにシリンジ中に吸着した活性及びコントロールフィルターの活性を、減衰補正し、フィルター上に残存した活性パーセンテージを計算した。全ての実験を三回行い、フィルター上に残存した平均活性パーセンテージを表7に要約した。
本発明において使用されるTc99mラベル化PEIMPは、非常に有利である非予測性結果を示し、非ポリマー物質より優位である。
本発明の特徴を述べる目的で引用された全ての文献は、本明細書に引用文献として組み入れるものとする。
【0069】
【表1】
【0070】
【表2】
【0071】
【表3】
【0072】
【表4】
【0073】
【表5】
【0074】
【表6】
【0075】
【表7】
Claims (19)
- 患者における肝繊維症または壊死をインビボで診断する方法であって、(1)放射線核種イオンと安定な複合体を形成することができ、かつカルシウムイオンと結合し得る多価リガンドを提供するように配置された遊離ホスホネート基を有するポリマーと、(2)診断において非毒性の放射線核種イオンとの複合体の有効量を患者に非経口的に投与し、正常な患者に対する患者の肝臓内の放射線核種の保持率を測定し、その測定結果から前記患者が肝繊維症または壊死に罹患しているか否か若しくはその程度について診断することを含み、前記ポリマーは肝臓中に摂取され、正常な肝臓と比較することができるように肝臓中での放射線活性をカウントするのに確実に十分な時間の間患部である(繊維症または壊死)肝臓により保持され、かつ腎臓により十分迅速に排泄されて患者を長期間の危険から回避させることを可能とする分子量を有する、上記方法。
- 該ポリマーが10〜30 kDaの相対分子量(放射線核種イオンを除く)を有する、請求項1記載の方法。
- 該ポリマーが20〜30 kDaの相対分子量を有する、請求項2記載の方法。
- 該ポリマーが分岐上分岐(branch upon branch)鎖構造を有するデンドリマーである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
- 該ポリマーがポリアミンである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
- ポリアミンがエチレンイミンポリマーである、請求項5記載の方法。
- エチレンイミンポリマーがホモポリマーである、請求項6記載の方法。
- ホスホネート基が式R−(PO(OH)2)n (式中、nは1または2であり、nが1であるか2であるかにより、Rは水酸基で置換されていてもよい1〜4炭素原子の二価のアルキレン基または三価の対応物を表す)のアルキルホスホネートである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
- アルキルホスホネートがメチルホスホネートである、請求項8記載の方法。
- ポリマーが相対分子量(放射線核種イオンを除く)20〜30kDaのポリエチレンイミノメチルホスホネートである、請求項9記載の方法。
- 複合体が還元可能な放射線核種の塩及び還元剤から製造される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
- 放射線核種がガンマ線エミッタであり、放射線核種の保持率をガンマ線シンチグラフィーで測定する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
- 放射線核種がテクネチウム99mであり、記号“m”は同位元素が準安定であることを示す、請求項12記載の方法。
- 複合体がパーテクネテートナトリウム、塩化第一スズ(還元剤)及び該ポリマーから製造される、請求項13記載の方法。
- 複合体を、滅菌した水性溶液または分散液として患者に注入する、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
- 射線核種塩と安定な複合体を形成することができ、かつカルシウムイオンと結合し得る多価リガンドを提供するように位置した遊離ホスホネート基を有するポリマーの、患者における肝繊維症または壊死またはその程度をインビボで診断するために使用される、放射線核種イオンとの複合体であるその製剤を製造するための使用であって、前記放射線核種イオンはそのような診断において非毒性であり、前記ポリマーは肝臓中に摂取され、正常な肝臓と比較することができるように肝臓中での放射線活性をカウントするのに確実に十分な時間の間患部である(繊維症または壊死)肝臓により保持され、かつ腎臓により十分迅速に排泄されて患者を長期間の危険から回避させることを可能とする分子量を有する、上記使用。
- ポリマーが請求項2〜10のいずれか一項に記載されるポリマーである、請求項16記載の使用。
- 放射線核種または複合体が請求項11〜14のいずれか一項に記載されるものである、請求項16または17に記載の使用。
- 処方が滅菌した注入可能な水性溶液または分散液である、請求項16〜18のいずれか一項に記載の使用。
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