JP2004500859A - キナーゼ及びホスファターゼ用の評価分析法 - Google Patents
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Abstract
開示するのは、EC 2.7.1、EC 3.1.3、及びEC 3.1.4からなる群から選択される酵素分類内で分類される酵素の存在、活性、又はそれら両方を評価分析するための方法及び対応するキットである。その方法は、一般的に、リン酸化された又は脱リン酸化された生成物を生じさせる十分な時間の間、酵素を基質と反応させる、結合マトリックスと生成物を接触させて生成物をマトリックスに付着させる、及び、次にマトリックスに固定された生成物の存在、量、又は存在及び量の両方に関してマトリックスを定量分析して酵素の存在、活性、又は存在及び活性の両方を決定することができる、ステップを含む。
Description
【0001】
[優先権]
ここにおいて、優先権を、2000年5月31日に出願した仮出願の出願番号60/208,405に対して主張し、その内容全体は、ここでは参照によって組み込まれる。
【0002】
[発明の技術分野]
本発明は、キナーゼ及びホスファターゼの存在、活性、又はそれら両方を決定するための評価分析法に向けられる。好適な方法は、脂質キナーゼ、リン脂質キナーゼ、及びリン脂質ホスファターゼに対する評価分析法である。
【0003】
[関連技術の説明]
細胞増殖、細胞自滅、及び分泌機能のような細胞の過程の調節における、一般的にリン脂質、及び特にホスホイノシチドの重要性は、長年の間認識されてきた。これらの化合物の重要性が明白であると同時に、これらの重要な細胞通信化合物がどのようにして調節されるかについて未知のままである多くのことがある。
【0004】
ホスホイノシチドは、1:
【0005】
【化8】
に示す一般式を有し、ここで各Rは、置換されてない又は置換されたアルキル、アルケニル、アルキルカルボニル、又はアルケニルカルボニル基であり、R2、R3、R4、R5、及びR6は、水素原子であり、それらの場所は、イノシトール部分である。これらの水素原子を、別々に又は様々な組み合わせでリン酸基に交換することができる。一般構造1は、ここでは、ホスホイノシチド又は単純に“PI”と呼ぶものとする。直接的に関連性する場合、イノシトール部分におけるリン酸基の存在及び位置を、文字“P”に引き続く番号の明示によって明示することにする。よって、例えば、R3の位置にリン酸をもつPI(即ち、ホスファチジルイノシトール−3−リン酸)を、“PI3P”と明示することにし、ホスファチジルイノシトール−4−リン酸を、“PI4P”と明示することにする、等である。多様にリン酸化されたPIに関しては、コンマによって分離された数を、リン酸基の位置を明示するために使用することにする。例えば、“PI3,4P2”は、1に示すようなイノシトール部分のR3及びR4の位置でリン酸化されるPIを明示する。リン酸化されたPIは、一般的に、“PIP”と呼ばれる。
【0006】
PIは、全ての真核生物において信号変換及び膜の通行に対して中心的であると考えられる(Rao et al.(1988)Cell 94:829)ので、PI、PIP、及びそれらの代謝産物を調節する酵素の理解は、極端に助けになるかもしれない。本発明、脂質キナーゼ、リン脂質キナーゼ、及びホスファターゼの存在及び/又は活性を決定するための評価分析法を、PIの生物学的な役割をさらに解明するために、使用することができる。
【0007】
酵素の活性を測定するためのいくつもの評価分析法が、先行技術において知られている。特に、1999年2月9日に発行されたHuang等の米国特許第5,869,275号は、タンパク質転移酵素の活性を測定するための親和力限外濾過に基づいた評価分析法を記載している。このアプローチにおいては、標識された及び標識されてない結合部位(結合部位は、評価分析される酵素の作用によって作られるか、又は抗原決定群のような、基質の一体部分として存在する)を有する基質を、標識された生成物及び標識されてない生成物を形成するために、酵素と共に保温する。次に、反応混合物を、生成物と共に特異的な錯体を形成することが可能である可溶性のマクロリガンドと接触させる。決定的に重要なものは、マクロリガンド−生成物の錯体の大きさが、反応混合物に見出される任意の不純物又は反応物の大きさよりもかなり大きくなければならないことである
次に、マクロリガンド−生成物の錯体を、限外濾過を介して反応物から分離する。ここで決定的な考慮すべき事項は、限外濾過における膜の公称分子量の限界が、任意の未反応の標識された基質よりも大きいだけでなく、反応混合物における任意の潜在的な不純物よりも大きいが、マクロリガンド−生成物の錯体の大きさよりも小さくなければならないことである。この様式において、比較的非常に大きいマクロリガンド−生成物の錯体を膜によって保持すると同時に、反応物及び不純物は、膜を通過する。標識された生成物の存在に関する限外濾過の濃縮水の検査は、反応の程度の指標を提供する。
【0008】
1996年6月19日に発行されたMalliaの米国特許第5,527,688号は、結合する膜を反応容器内に掛けることで容器を二つの区画に分割する、タンパク質キナーゼに対する評価分析法を記載している。生成物を掛けられた膜に付着させることによって、洗浄を、上部のチャンバーに洗浄溶液を置くと共に遠心力を作用させて、膜を通じて洗浄溶液を押し込むことによって、遠心力で成し遂げることができる。
【0009】
[発明の要約]
本発明は、キナーゼ及びホスファターゼ、より具体的には、脂質及びリン脂質のキナーゼ及びホスファターゼの存在及び活性を決定するための評価分析法及び対応するキットである。本発明の好適な実施例は、脂質又はリン脂質の基質からリン酸基を加える又は取り除く、任意のキナーゼ又はホスファターゼの存在及び/又は活性を測定することが可能である評価分析法である。
【0010】
特に、本発明の第一の実施例は、酵素分類、EC 2.7.1、EC 3.1.3、及びEC 3.1.4内に属する酵素の存在、活性、又は存在及び活性の両方を評価分析するための方法に向けられる。その方法は、キナーゼを評価分析するときにはリン酸化された生成物を、又は、ホスファターゼを評価分析するときには脱リン酸化された生成物を、生じるための十分な時間の間に、酵素を対応する基質と最初に反応させることを含む。もちろん、調査の下で酵素を活性にする条件下で、その反応を実行し、よって酵素は、基質のリン酸化(キナーゼ)又は脱リン酸化(ホスファターゼ)のいずれかを触媒することになる。
【0011】
次に、酵素の反応によって形成された生成物を結合マトリックスと接触させる。これは、マトリックスに結合する又は固定される生成物に帰着する。マトリックスに固定された生成物と共に、マトリックスを反応溶液から機械的に分離して、反応溶液の未反応の反応物、酵素、及び他の生成物でない成分から酵素の反応の生成物を分離するための容易な手段を提供することができる。
【0012】
次に、マトリックスに固定された生成物の存在、量、又は存在及び量の両方に関してマトリックスを定量分析する。マトリックスに見出された生成物の存在及び/又は量を決定することによって、生成物を生ずる酵素の存在、活性、又は存在及び活性の両方を決定することができる。
【0013】
本発明の第二の実施例は、基質が結合部分を含むことを加えた、実質的に上述の方法に向けられる。基質が、(酵素の作用によって)生成物に転化されるとき、生成物もまた結合部分を含有する。
【0014】
次に、生成物を、結合部分に対して特異的に結合する結合マトリックスと接触させる。これは、結合部分及び結合マトリックスの相互作用を介して)マトリックスへ特異的に固定される生成物に帰着する。好適な結合部分は、ビオチンであり、好適な結合マトリックスは、不活性な保持体において不動にしたアビジン又はストレプトアビジンである。次に、マトリックスを、第一の実施例におけるように定量分析する。
【0015】
本発明の第二の実施例において、脂質又はリン脂質の酵素基質を変性させるために使用したアプローチは、結合部分を含むことである。この実施例において、結合部分(及び結合部分のみ)は、その目的のために設計された保持体へ特異的に結合することになる。この様式において、結合部分をもつ生成物を、保持体上で反応混合物を単純に通過させることによって、結合部分をもたない生成物から容易に分離することができる。結合部分がビオチンであることは、非常に好ましい。次に、保持体は、不動にしたアビジン又はストレプトアビジンを有する任意の適切な基質(ビーズ、濾紙など)を含むかもしれない。
【0016】
本発明の第三の実施例において、保持体は、要求されない。このアプローチにおいては、評価分析法を、完全に液相で実施する。例としてビオチンの結合部分を使用して、アビジン又はストレプトアビジンを反応に加えるかもしれず、形成するビオチン−アビジン錯体を、任意の既知の手段(電気泳動、クロマトグラフィー、遠心分離など)によって分離することができるかもしれない。
【0017】
要するに、この実施例の評価分析法は、以下のように脂質及びリン脂質キナーゼの存在及び活性を決定するために機能する。評価分析される酵素に対する脂質又はリン脂質キナーゼの基質を、結合部分を含むように最初に変性させる。上記したように、抗原又は抗体もまた結合部分として使用することができるが、結合部分は、好ましくは、ビオチンである。結合部分の選択に関らず、結合部分を、その存在が、基質をリン酸化するか又は脱リン酸化する酵素の能力を妨げる様式で、基質に付けることは重要である。ほとんどの実例において、これは、たいていヘッドグループの性質によって認識が必然的に決められるので、結合部分を、基質の脂肪族アシル部分の一端に加えることを要求する。
【0018】
脂質及び/又はリン脂質キナーゼに対する評価分析に対して、変性した基質を、γ−32P ATPの存在下で、関心のあるキナーゼを含有することが考えられると共に、十分な量の時間の間、キナーゼが、存在すると共に活性であるとすれば、変性した基質を32P−標識したリン酸基でリン酸化することができるような適切な条件下で保温することを可能にする、溶液に露出する。次に、反応混合物を、捕捉膜又はマトリックス、即ち、変性した基質を特異的に捕捉することになる部分をもつ保持体と接触させる。ビオチンの場合には、これは、保持体に連結したアビジン又はストレプトアビジンであるかもしれない。結合部分が抗原であるとすれば、捕捉膜は、抗原に対して特異的な不動にした抗体等を含むかもしれない。
【0019】
変性した基質を、固体の保持体へ捕捉するとき、遊離の32P ATP、反応物、不純物等を、保持体から穏やかに洗浄し、結合した放射性標識した物質を、シンチレーション計数器、“PhosphoImager”デバイスを使用して、又はオートラジオグラフィーによって、活性に関して測定する。
【0020】
ホスファターゼを評価分析することになっている場合、評価分析法のプロトコルは、γ−32Pリン酸基を含むように基質を変性させることを除いては、上記したのと同じである。加えて、標識してない基質を使用することができ、放出されたリン酸は、比色法又は蛍光分析法(例えば、Molecular Probes,Eugene,Oregonは、放出されたリン酸の蛍光検出に関する方法を販売する)で決定される。次に、定量分析の下でホスファターゼの酵素の活性は、それらの基のある部分を取り除くことになる。このアプローチにおいて、開始の標識された基質と比較してマトリックスに見出された減少した活性は、ホスファターゼの活性の直接的な尺度であり、又は、放射性標識されてないリン酸の場合には、放出されたリン酸の量は、ホスファターゼの活性の尺度として使用される。
【0021】
また本発明は、一又は複数回、評価分析を実行するために必要な試薬の全てを含有する、対応するキットを含む。キットは、一般的に、第一の容器に配分されるある量の反応緩衝剤、EC 2.7.1、EC 3.1.3、及びEC 3.1.4からなる群から選択される酵素分類内に分類された酵素に対するある量の基質、EC 2.7.1、EC 3.1.3、及びEC 3.1.4からなる群から選択される酵素分類内に分類されたある量の精製した酵素、ある量の結合マトリックス、及びキットの使用に関する使用説明書を含み、基質は、第二の容器に配分され、酵素は、第三の容器に配分される(又は、ユーザーが酵素を供給することができる)。
【0022】
その評価分析法の明確で主な利点は、研究者が、任意の数又はタイプの脂質又はリン脂質キナーゼ又はホスファターゼの活性を速く便利に評価分析することを可能にすることである。
【0023】
その評価分析法の別の主な利点は、組織及び細胞の抽出物から直接、脂質及びリン脂質キナーゼ及びホスファターゼを評価分析するために十分に敏感であることである。マトリックスに対する脂質及びリン脂質の生成物の高い親和性によって、異質な遊離のγ32P−ATPを、洗浄することによって取り除くことができ、形成された生成物の量を、脂質の抽出に対する必要なしに決定することができる。これは、脂質の抽出を要求する、従来のHPLC及びTLCの評価分析法を超える明確な改善である。高価であり時間を浪費する、脂質の抽出を除去することは、本評価分析法を、この分野における研究者に対して魅力的にする。
【0024】
別の利点は、評価分析法が、高い処理量の形式に適合するように拡大縮小可能であることである。その評価分析法は、自動化に対して高度に適応する。
【0025】
[発明の詳細な説明]
(略語及び定義)
ここでは、以下の略語及び定義を特別に採用する。定義を提供しない全ての用語は、等技術においてそれらの承認された定義を与えることができる。
【0026】
“アルキル”=明示する炭素原子の数を有する(即ちC1−C24は、一つ乃至24個の炭素を意味する)直鎖、分岐、又は環状の十分に飽和した炭化水素ラジカル。例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、シクロヘキシル、(シクロヘキシル)エチル、シクロプロピルメチル、及びそれらのより高級の同族体及び異性体、例えば、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−へプチル、n−オクチル、などを含む。アルキル基は、典型的には、1個から24個までの炭素原子を含有することになり、八個又はそれ以上の炭素原子を有するそれらの基が、本発明では好ましい。“低級アルキル”は、八個より少ない炭素原子を有するアルキル基である。
【0027】
“アルケニル”=一つ又は複数の二重結合又は三重結合を有するアルキル基。不飽和アルキル基の例は、ビニル、2−プロペニル、クロチル、2−イソペンテニル、2−(ブタジエニル)、2,4−ペンタジエニル、3−(1,4−ペンタジエニル)、エチニル、1−及び3−プロピニル、3−ブチニル、及びより高級の同族体及び異性体を含む。
【0028】
“アルキルカルボニル”=対応するカルボン酸から誘導されたカルボニルを含有するアルキルラジカル、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、などから誘導されたアシルラジカル。典型的には、2個から24個までの炭素原子を含有することになる。
【0029】
“アルケニルカルボニル”=対応するカルボン酸から誘導されたカルボニルを含有するアルケニルラジカル、例えば、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキドン酸など誘導されたアシルラジカル。典型的には、2個から24個までの炭素原子を含有することになる。
【0030】
“Bn”=ベンジル。
【0031】
“BOM”=ベンジルオキシメチル。
【0032】
“EDTA”=エチレンジアミンテトラ酢酸
“HEPES”=N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸
“脂質キナーゼ/リン脂質キナーゼ”=分類EC2.7.1.x内に属する任意の酵素、ここで“x”は、変数である。
【0033】
“PDGF”=血小板によって誘導された成長因子。
【0034】
“リン脂質ホスファターゼ”=分類EC3.1.3.x及び3.1.4.x内に属する任意の酵素、ここで“x”は、変数である。
【0035】
“PI”=ホスファチジルイノシトール。リン酸化されてないホスホイノシチド(即ち、イノシトール部分に任意のリン酸基を欠くホスホイノシチド)。
【0036】
“PIK”=一般的に、ホスホイノシチドキナーゼ。PI−3−キナーゼ、PI−3Kは、説明の酵素である。
【0037】
“PIP”=リン酸化したホスホイノシチド(即ち、イノシトール部分に存在する一つ又は複数のリン酸基を有するPI)。ホスファチジルイノシトール リン酸。
【0038】
“PIx,x’,x’’...Pn”=明示したPIPに対する命名法の略記、ここで“PI”は、ホスホイノシチドを明示し、“x,x’,x’’...”は、イノシトール部分におけるリン酸基の位置を明示する数値であり、“P”は、イノシトール部分がリン酸化されることを明示し、“n”は、イノシトール部分に存在するリン酸基の数を明示する。
【0039】
“PMB”=p−メトキシベンジル。
【0040】
“PS”=ホスファチジルセリン。
【0041】
“置換された”=低級アルキル、アリール、アシル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、アルコキシ、アルキルアミノ、アシルアミノ、チオアミド、アシルオキシ、アリールオキシ、アリールオキシアルキル、メルカプト、チア、アザ、オキソ、飽和及び不飽和の両方の環状炭化水素、ヘテロ環などのような、一つ又は複数の置換基を含むラジカル。置換基をベース部分の任意の炭素に付けてもよい。
【0042】
“基質”又は“対応する基質”=評価分析される酵素によってリン酸化する又は脱リン酸化することができる基質。
【0043】
“固体の保持体”=選択された溶媒系に実質的に不溶である、又は可溶である選択された溶媒系から(例えば、沈殿によって)容易に分離することができる、物質。本発明を実施することに有用な固体の保持体は、選択された種を固体の保持体へ結合させることを可能にするために、活性化される又は活性化が可能である基を含むことができる。また固体の保持体は、基質、例えばチップ、ウェハ、又はウェルであり得る。
【0044】
“TLC”=薄層クロマトグラフィー
(結合部分を含有するために基質を変性させること)
脂質又はリン脂質キナーゼ及びホスファターゼに対する基質を、非常に多くの供給業者からの商業的に得ることができる。
【0045】
例えば、D−ミオ−ホスファチジルイノシトール、D−ミオ−ホスファチジルイノシトール 3−リン酸、D−ミオ−ホスファチジルイノシトール 4−リン酸、D−ミオ−ホスファチジルイノシトール 5−リン酸、D−ミオ−ホスファチジルイノシトール 3,4−重リン酸、D−ミオ−ホスファチジルイノシトール 3,5−重リン酸、D−ミオ−ホスファチジルイノシトール 4,5−重リン酸、D−ミオ−ホスファチジルイノシトール 3,4,5−三リン酸、及びそれらの誘導体、PIK抗体、並びにビオチンによって標識されたPIのようなPIは、Echelon Research Laboratories Inc.,Salt Lake City,Utah及びUpstate Biotechnology,Lake Placid,New York)から市販されている。上記したPIは、それらに対する他のホスト、誘導体、及び抗体と共に、A.G.Sciectific,Inc.,San Diego,Californiaからも市販されている。
【0046】
また、PIを、天然のキラル前駆体から従来の経路を使用して、合成することもできる。例えば、イノシトールのヘッドグループを、メチル α−D−グルコピラノシドからFerrier転位を介して誘導することができ、ジアシルグリセリル部分を、(+)−イソプロピリデングリセロールから調整することができる。
【0047】
基質へ付けられる最も好適な結合部分は、(このような結合部分を用いるとき、)ビオチン部分である。これは、ビオチンの相対的に小さい大きさ、化学的な操作の相対的な容易さ、及びアビジン及びストレプトアビジンに対するその非常にロバストで高水準の特異的な結合による。
【0048】
ビオチンを、カップリング反応を介して基質PIのジアシルグリセロール部分のアシル鎖へ付けることができ、ここでビオチンは、アミド結合を介してPIへ連結される。アシル鎖へ付けるとき、ビオチンが、イノシトールのヘッドグループ及びヘッドグループに最も近いグリセロールの主鎖の両方で変成した基質の認識を妨げないことに注意すること。この発見、基質PIを、基質を認識する及び基質へ結合する脂質/リン脂質キナーゼ又はホスファターゼの能力を妨げることなくビオチンのような結合部分の添加によって変性させることができることは、新規である。要するに、発明者等が知る先行技術は、このような変性をなすことができることを記載してない又は提案してない。
【0049】
ビオチン(又は利用可能な反応性の基を有する任意の他の結合部分)をPIへ付けるための好適な反応は、ここでは参照によって組み込まれるChen et al.(1996),61 J.Org.Chem 6305−6312に記載されているものに類似する。また、ここでは参照によって組み込まれるG.D.Prestwich(1996),29 Acc.Chem.Res.503−513も参照のこと。
【0050】
簡単に、PIの脂質を変性させた類似体を、PIのsn−1の位置でアミノアルカノイル基を挿入することによって、形成することができる。次に、この基は、アシル鎖の端への結合部分、好ましくはビオチンの添加を可能にする。
【0051】
反応スキーム1に示す合成は、収束アプローチに従い、保護されたキラルのグリセロールシントンの選択的なsn−1−O−アシル化で開始し、sn−2の位置におけるアシル化及び酸化の脱保護によって続けられ、所望の1,2−O−ジアシルグリセロール誘導体を生じる。
【0052】
ベンジル(N,N−ジイソプロピルアミノ)クロロホスフィンとの反応は、次に適切に保護されたD−ミオ−イノシトール誘導体と共に濃縮される、ホスホアミダイトを生じる。
【0053】
反応スキーム1
【0054】
【化9】
中間の化合物において、ベンジル(Bn)又はベンジルオキシメチル(BOM)基は、最終的な水酸基を保護し、p−メトキシベンジル(PMB)基は、未来のホスホモノエステルを保護する。PMB基の脱保護は、リン酸化、水素化分解、及びイオン交換クロマトグラフィーによって続けられ、アミノアシル変性したPIを生じる。
【0055】
エステル結合を介した結合部分の取り付けは、連結される結合部分を有するPIを生じる。
【0056】
結合部分が、抗体又は抗原決定基のような、ビオチン以外の何かである場合、類似の連結する化学を、結合部分をPIのアシル鎖へ付けるために、利用することができる。
【0057】
(結合マトリックス)
結合部分を基質へ取り付けない場合、好適な結合マトリックスは、アルデヒドで活性化された固体の保持体又は基質、最も好ましくはアルデヒドで活性化された再生セルロースである。好適なマトリックスは、Sartorius Corporation(Edgewood,New York,USA及びGoettingen,Germany)から市販されている“SARTOBIND”(R)銘柄のアルデヒド膜、並びに(以下の段落に記載する)SAM2(R)銘柄の膜である。同様に、ジエチルアミノエチル セルロース及びポリ二フッ化ビニリデンを含む保持体もまた使用することができる。
【0058】
結合部分がビオチンである場合、好適な結合マトリックスは、不動にしたアビジン又はストレプトアビジンを有する保持体である。保持体は、フィルター、膜、ビーズ等の形態にあってもよい。最も好適なマトリックスは、Promega Corporation,Madison,WisconsinからのSAM2(R)銘柄のBiotin Capture Menbrane又はSAM2(R)銘柄の96Biotin Capture Plate(96−ウェルマイクロ滴定量形式)である。SAM2(R)銘柄の膜は、ビオチン化された分子を、ストレプトアビジンに対するそれらの強い親和性に基づいて、結合させる。膜を生成する過程は、ビオチン化された基質の急速な定量的な捕捉を促進させる、膜のフィルターのマトリックスにおける高い密度のストレプトアビジンに帰着する。加えて、SAM2(R)銘柄の膜を、低い非特異的な結合に関して最適化してきた。96ウェルプレート形式を使用することは、真空マニホールド又は市販のプレート洗浄器を使用して行なわれる洗浄を可能にする。
【0059】
結合部分が、抗体又は抗原決定基である場合、好適な結合マトリックスは、不動にした結合部分と強く特異的に結合させる化合物を有する親和性マトリックスである。
【0060】
(評価分析することができる酵素)
本評価分析法を、任意の脂質又はリン脂質キナーゼ又はホスファターゼの存在を検出する及び測定するために、使用することができる。要するに、その触媒活性がリン酸基を脂質若しくはリン脂質の基質へ移動させる任意の酵素、又はその触媒活性がリン酸基を脂質若しくはリン脂質の基質から取り除く任意の酵素を、本発明を使用して、評価分析することができる。
【0061】
より具体的には、酵素分類(EC)2.7.1.x(ここでxは、変数である)内に属する、限定ではなく、EC2.7.1.1 ヘキソキナーゼ、EC2.7.1.2 グルコキナーゼ、EC2.7.1.3 ケトへキソキナーゼ、EC2.7.1.4 フルクトキナーゼ、EC2.7.1.5 ラムノロキナーゼ、EC2.7.1.6 ガラクトキナーゼ、EC2.7.1.7 マンノキナーゼ、EC2.7.1.8 グルコサミンキナーゼ、EC2.7.1.10 ホスホグルコキナーゼ、EC2.7.1.11 6−ホスホフルクトキナーゼ、EC2.7.1.12 グルコノキナーゼ、EC2.7.1.13 デヒドログルコノキナーゼ、EC2.7.1.14 セドへプツロキナーゼ、EC2.7.1.15 リボキナーゼ、EC2.7.1.16 リブロキナーゼ、EC2.7.1.17 キシルロキナーゼ、EC2.7.1.18 ホスホリボキナーゼ、EC2.7.1.19 ホスホリブロキナーゼ、EC2.7.1.20 アデノシンキナーゼ、EC2.7.1.21 チミジンキナーゼ、EC2.7.1.22 リボシルニコチンアミドキナーゼ、EC2.7.1.23 NADキナーゼ、EC2.7.1.24 デホスホ−CoAキナーゼ、EC2.7.1.25 硫酸アデニリルキナーゼ、EC2.7.1.26 リボフラビンキナーゼ、EC2.7.1.27 エリトリトールキナーゼ、EC2.7.1.28 トリオキナーゼ、EC2.7.1.29 グリセロンキナーゼ、EC2.7.1.30 グリセロールキナーゼ、EC2.7.1.31 グリセリン酸キナーゼ、EC2.7.1.32 コリンキナーゼ、EC2.7.1.33 パントテン酸キナーゼ、EC2.7.1.34 パントテニンキナーゼ、EC2.7.1.35 ピリドキサルキナーゼ、EC2.7.1.36 メバロン酸キナーゼ、EC2.7.1.37 タンパク質キナーゼ、EC2.7.1.38 ホスホリラーゼキナーゼ、EC2.7.1.39 ホモセリンキナーゼ、EC2.7.1.40 ピルビン酸キナーゼ、EC2.7.1.41 グルコース−1−リン酸ホスホジムターゼ、EC2.7.1.42 リボフラビンホスホトランスフェラーゼ、EC2.7.1.43 グルクロノキナーゼ、EC2.7.1.44 ガラクツロノキナーゼ、EC2.7.1.45 2−デヒドロ−3−デオキシグルコノキナーゼ、EC2.7.1.46 L−アラビノキナーゼ、EC2.7.1.47 D−リブロキナーゼ、EC2.7.1.48 ウリジンキナーゼ、EC2.7.1.49 ヒドロキシメチルピリミジンキナーゼ、EC2.7.1.50 ヒドロキシエチルチアゾールキナーゼ、EC2.7.1.51 L−フクロキナーゼ、EC2.7.1.52 フコキナーゼ、EC2.7.1.53 L−キシルロキナーゼ、EC2.7.1.54 D−アラビノキナーゼ、EC2.7.1.55 アロースキナーゼ、EC2.7.1.56 1−ホスホフルクトキナーゼ、EC2.7.1.58 2−デヒドロ−3−デオキシガラクトノキナーゼ、EC2.7.1.59 N−アセチルグルコサミンキナーゼ、EC2.7.1.60 N−アシルマンノースアミンキナーゼ、EC2.7.1.61アシルリン酸ヘキソースホスホトランスフェラーゼ、EC2.7.1.62 ホスホルアミド酸ヘキソースホスホトランスフェラーゼ、EC2.7.1.63 ポリリン酸グルコースホスホトランスフェラーゼ、EC2.7.1.64 イノシトール 1−キナーゼ、EC2.7.1.65 シロ−イノサミン 4−キナーゼ、EC2.7.1.66 ウンデカプレノールキナーゼ、EC2.7.1.67 1−ホスファチジルイノシトール 4−キナーゼ、EC2.7.1.68 1−ホスファチジルイノシトール−4−リン酸 5−キナーゼ、EC2.7.1.69 タンパク質−NP−ホスホヒスチジン−糖ホスホトランスフェラーゼ、EC2.7.1.70 プロタミンキナーゼ、EC2.7.1.71 シキミ酸キナーゼ、EC2.7.1.72 ストレプトマイシン 6−キナーゼ、EC2.7.1.73 イノシンキナーゼ、EC2.7.1.74 デオキシシチジンキナーゼ、EC2.7.1.75(現在、EC2.7.1.21)、EC2.7.1.76 デオキシアデノシンキナーゼ、EC2.7.1.77 ヌクレオシドホスホトランスフェラーゼ、EC2.7.1.78 ポリヌクレオチド 5’−ヒドロキシルキナーゼ、EC2.7.1.79 二リン酸グリセロールホスホトランスフェラーゼ、EC2.7.1.80 二リン酸−セリンホスホトランスフェラーゼ、EC2.7.1.81 ヒドロキシリシンキナーゼ、EC2.7.1.82 エタノールアミンキナーゼ、EC2.7.1.83 プソイドウリジンキナーゼ、EC2.7.1.84 アルキルグリセロンキナーゼ、EC2.7.1.85 b−グルコシドキナーゼ、EC2.7.1.86 NADH2キナーゼ、EC2.7.1.87 ストレプトマイシン 3’’−キナーゼ、EC2.7.1.88 ジヒドロストレプトマイシン−6−リン酸 3’a−キナーゼ、EC2.7.1.89 チアミンキナーゼ、EC2.7.1.90 ジリン酸−フルクト−ス−6−リン酸 1−ホスホトランスフェラーゼ、EC2.7.1.91 スフィンガニンキナーゼ、EC2.7.1.92 5−デヒドロ−2−デオキシグルコノキナーゼ、EC2.7.1.93 アルキルグリセロールキナーゼ、EC2.7.1.94 アシルグリセロールキナーゼ、EC2.7.1.95 カナマイシンキナーゼ、EC2.7.1.96(EC2.7.1.86に含まれる)、EC2.7.1.97(EC2.7.1.125と同一)、EC2.7.1.99 {ピルビン酸デヒドロゲナーゼ(リポアミド)}キナーゼ、EC2.7.1.100 5−メチルチオリボースキナーゼ、EC2.7.1.101 タガトースキナーゼ、EC2.7.1.102 ハマメロースキナーゼ、EC2.7.1.103 バイオマイシンキナーゼ、EC2.7.1.104 二リン酸−タンパク質ホスホトランスフェラーゼ、EC2.7.1.105 6−ホスホフルクト−2−キナーゼ、EC2.7.1.106 グルコース−1,6−重リン酸シンターゼ、EC2.7.1.107 ジアシルグリセロールキナーゼ、EC2.7.1.108 ドリコールキナーゼ、EC2.7.1.109{ヒドロキシメチルグルタリル−CoAレダクターゼ(NADPH2)}キナーゼ、EC2.7.1.110 デホスホ−{レダクターゼキナーゼ}キナーゼ、EC2.7.1.111(現在、EC2.7.1.128)、EC2.7.1.112 タンパク質−チロシンキナーゼ、EC2.7.1.113 デオキシグアノシンキナーゼ、EC2.7.1.114 AMP−チミジンキナーゼ、EC2.7.1.115 {3−メチル−2−オキソブタン酸デヒドロゲナーゼ(リポアミド)}キナーゼ、EC2.7.1.116 {イソクエン酸デヒドロゲナーゼ(NADP)}キナーゼ、EC2.7.1.117 ミオシン−軽鎖キナーゼ、EC2.7.1.118 ADP−チミジンキナーゼ、EC2.7.1.119 ハイグロマイシン−B キナーゼ、EC2.7.1.120 カルデスモンキナーゼ、EC2.7.1.121 ホスフェノールピルビン酸−グリセロンホスホトランスフェラーゼ、EC2.7.1.122 キシリトールキナーゼ、EC2.7.1.123 Ca2+/カルモジュリン依存性タンパク質キナーゼ、EC2.7.1.124 {チロシン3−モノオキシゲナーゼ}キナーゼ、EC2.7.1.125 ロドプシンキナーゼ、EC2.7.1.126 b−アドレナリン性受容体キナーゼ、EC2.7.1.127 1−D−ミオ−イノシトール−トリスリン酸 3−キナーゼ、EC2.7.1.128 {アセチル−CoAカルボキシラーゼ}キナーゼ、EC2.7.1.129 ミオシン−重鎖キナーゼ、EC2.7.1.130 テトラアシルジサッカリド 4’−キナーゼ、EC2.7.1.131 低密度−リポタンパク質キナーゼ、EC2.7.1.132 トロポミオシンキナーゼ、EC2.7.1.133 イノシトール−トリスリン酸 6−キナーゼ、EC2.7.1.134 イノシトール−テトラキスリン酸 1−キナーゼ、EC2.7.1.135 タウタンパク質キナーゼ、EC2.7.1.136 マクロライド 2’−キナーゼ、EC2.7.1.137 1−ホスファチジルイノシトール 3−キナーゼ、EC2.7.1.138 セラミドキナーゼ、EC2.7.1.139 イノシトール−トリスリン酸 5−キナーゼ、EC2.7.1.140 イノシトール−テトラキスリン酸 5−キナーゼ、EC2.7.1.141 {RNA−ポリメラーゼ}−サブユニットキナーゼ、EC2.7.1.142 グリセロールリン酸グルコースホスホトランスフェラーゼ、EC2.7.1.143 二リン酸−プリンヌクレオシドキナーゼ、EC2.7.1.144 タガトース−6−リン酸キナーゼ、及びEC2.7.1.145 デオキシヌクレオシドキナーゼを含む、任意の脂質又はリン脂質キナーゼの存在及び/又は活性を決定するために、本評価分析法を使用することができる。
【0062】
本評価分析法を使用して評価分析することができる好適なキナーゼは、EC2.7.1.137(1−ホスファチジルイノシトール 3−キナーゼ、ここではPI−3Kと呼ぶ)、EC2.7.1.67(1−ホスファチジルイノシトール 4−キナーゼ)、EC2.7.1.68(1−ホスファチジルイノシトール−4−リン酸 5−キナーゼ、またジホスホイノシチド又はPIPキナーゼとも呼ばれる)、1−ホスファチジルイノシトール 5−キナーゼ(PI−5K)などを含む。
【0063】
ホスファターゼに関しては、酵素分類(EC)3.1.3.x及びEC3.1.4.x(ここでxは、変数である)内に属する、限定ではなく、EC3.1.3.1 アルカリ性のホスファターゼ、EC3.1.3.2 酸ホスファターゼ、EC3.1.3.3ホスホセリンホスファターゼ、EC3.1.3.4 ホスファチジン酸ホスファターゼ、EC3.1.3.5 5’−ヌクレオチダーゼ、EC3.1.3.6 3’−ヌクレオチダーゼ、EC3.1.3.7 3’(2’),5’−ビスリン酸ヌクレオチダーゼ、EC3.1.3.8 3−フィターゼ、EC3.1.3.9 グルコース−6−ホスファターゼ、EC3.1.3.10 グルコース−1−ホスファターゼ、EC3.1.3.11 フルクトース−ビスホスファターゼ、EC3.1.3.12 トレハロースホスファターゼ、EC3.1.3.13 ビスホスホグリセリン酸ホスファターゼ、EC3.1.3.14 メチルホスホチオグリセリン酸ホスファターゼ、EC3.1.3.15 ヒスチジノールホスファターゼ、EC3.1.3.16 ホスホプロテインホスファターゼ、EC3.1.3.17 {ホスホリラーゼ}ホスファターゼ、EC3.1.3.18 ホスホグリコール酸ホスファターゼ、EC3.1.3.19 グリセロール−2−ホスファターゼ、EC3.1.3.20 ホスホグリセリン酸ホスファターゼ、EC3.1.3.21 グリセロール−1−ホスファターゼ、EC3.1.3.22 マンニトール−1−ホスファターゼ、EC3.1.3.23 糖−ホスファターゼ、EC3.1.3.24 スクロースホスファターゼ、EC3.1.3.25 イノシトール−1(又は4)−モノホスファターゼ、EC3.1.3.26 6−フィターゼ、EC3.1.3.27 ホスファチジルグリセロホスファターゼ、EC3.1.3.28 ADPホスホグリセリン酸ホスファターゼ、EC3.1.3.29 N−アシルノイラミン酸ホスファターゼ、EC3.1.3.30 削除、EC3.1.3.31に含まれる、EC3.1.3.31 ヌクレオチダーゼ、EC3.1.3.32 ポリヌクレオチド 3’−ホスファターゼ、EC3.1.3.33 ポリヌクレオチド 5’−ホスファターゼ、EC3.1.3.34 デオキシヌクレオチド 3’−ホスファターゼ、EC3.1.3.35 チミジル酸 5’−ホスファターゼ、EC3.1.3.36 ホスファチジルイノシトール−ビスホスファターゼ、EC3.1.3.37 セドヘプツロース−ビスホスファターゼ、EC3.1.3.38 3−ホスホグリセリン酸ホスファターゼ、EC3.1.3.39 ストレプトマイシン−6−ホスファターゼ、EC3.1.3.40 グアニジノデオキシ−シロ−イノシトール−4−ホスファターゼ、EC3.1.3.41 4−ニトロフェニルホスファターゼ、EC3.1.3.42 {グリコーゲンシンターゼ−D}ホスファターゼ、EC3.1.3.43{ピルビン酸デヒドロゲナーゼ(リポアミド)}−ホスファターゼ、EC3.1.3.44 {アセチル−CoAカルボン酸}−ホスファターゼ、EC3.1.3.45 3−ドキシ−マンノ−オクツロソン酸−8−ホスファターゼ、EC3.1.3.46 フルクトース−2,6−ビスリン酸 2−ホスファターゼ、EC3.1.3.47 {ヒドロキシメチルグルタリル−CoA レダクターゼ(NADPH)−ホスファターゼ、EC3.1.3.48 タンパク質−チロシン−ホスファターゼ、EC3.1.3.49 {ピルビン酸キナーゼ}−ホスファターゼ、EC3.1.3.50 ソルビトールホスファターゼ、EC3.1.3.51 ドリキル−ホスファターゼ、EC3.1.3.52 {3−メチルオキソブタン酸デヒドロゲナーゼ(リポアミド)}−ホスファターゼ、EC3.1.3.53 ミオシン−軽鎖−ホスファターゼ、EC3.1.3.54 フルクトース−2、6−ビスリン酸 6−ホスファターゼ、EC3.1.3.55 カルデスモンホスファターゼ、EC3.1.3.56 イノシトール−1,4,5−トリスリン酸 5−ホスファターゼ、EC3.1.3.57 イノシトール−1,4−ビスリン酸 1−ホスファターゼ、EC3.1.3.58 糖−末端−ホスファターゼ、EC3.1.3.59 アルキルアセチルグリセロホスファターゼ、EC3.1.3.60 ホスホエノールピルビン酸ホスファターゼ、EC3.1.3.61 イノシトール−1,4,5−トリスリン酸 1−ホスファターゼ、EC3.1.3.62 イノシトール−1,3,4,5−テトラキスリン酸 3−ホスファターゼ、EC3.1.3.63 2−カルボキシ−D−アラビニトール−1−ホスファターゼ、EC3.1.3.64 ホスファチジルイノシトール−3−ホスファターゼ、EC3.1.3.65 イノシトール−1,3−ビスリン酸 3−ホスファターゼ、EC3.1.3.66 イノシトール−3,4−ビスリン酸 4−ホスファターゼ、EC3.1.3.67 ホスファチジルイノシトール−3,4,5−トリスリン酸 3−ホスファターゼ、EC3.1.3.68 2−デオキシグルコースホスファターゼ、EC3.1.4.1 ホスホジエステラーゼI、EC3.1.4.2 グリセロホスホコリンホスホジエステラーゼ、EC3.1.4.3 ホスホリパーゼC、EC3.1.4.4 ホスホリパーゼD、EC3.1.4.10 1−ホスファチジルイノシトールホスホジエステラーゼ、EC3.1.4.11 1−ホスファチジルイノシトール−4,5−ビスリン酸ホスホジエステラーゼ、EC3.1.4.12 スフィンゴミエリンホスホジエステラーゼ、EC3.1.4.13 セリン−エタノールアミンリン酸ホスホジエステラーゼ、EC3.1.4.14 {アシル−担体−タンパク質}ホスホジエステラーゼ、EC3.1.4.15 アデニリル−{グルタミン酸アンモニアリガーゼ}ヒドロラーゼ、EC3.1.4.16 2’,3’−環状ヌクレオチド 2’−ホスホジエステラーゼ、EC3.1.4.17 3’,5’−環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ、EC3.1.4.35 3’,5’−環状−GMP ホスホジエステラーゼ、EC3.1.4.36 1,2−環状イノシトール−リン酸ホスホジエステラーゼ、EC3.1.4.37 2’,3’−環状ヌクレオチド 3’−ホスホジエステラーゼ、EC3.1.4.38 グリセロホスホコリンコリンホスホジエステラーゼ、EC3.1.4.39 アルキルグリセロホスホエタノールアミン ホスホジエステラーゼ、EC3.1.4.40 CMP−N−アシルノイラミン酸ホスホジエステラーゼ、EC3.1.4.41 スフィンゴミエリンホスホジエステラーゼD、EC3.1.4.42 グリセロール−1,2−環状−リン酸 2−ホスホジエステラーゼ、EC3.1.4.43 グリセロホスホイノシトールイノシトールホスホジエステラーゼ、EC3.1.4.44 グリセロホスホイノシトールグリセロホスホジエステラーゼ、EC3.1.4.45 N−アセチルグルコサミン−1−ホスホジエステル a−N−アセチルグルコサミニダーゼ、EC3.1.4.46 グリセロホスホジエステルホスホジエステラーゼ、EC3.1.4.47 変異体−表面−糖タンパク質ホスホリパーゼC、EC3.1.4.48 ドリキルリン酸グルコースホスホジエステラーゼ、EC3.1.4.49 ドリキルリン酸マンノースホスホジエステラーゼ、EC3.1.4.50 糖タンパク質ホスホリパーゼD、EC3.1.4.51 グルコース−1−ホスホ−D−マンノシル糖タンパク質ホスホジエステラーゼ、を含む、任意の脂質又はリン脂質ホスファターゼの存在及び/又は活性を決定するために、本評価分析法を使用することができる。
【0064】
本評価分析法を使用して評価分析することができる好適なホスファターゼは、EC3.1.3.27(ホスファチジルグリセロホスファターゼ)、EC3.1.3.36(ホスファチジルイノシトールビスホスファターゼ;トリホスホイノシチドホスファターゼ)、EC3.1.3.64(ホスファチジルイノシトール−3−ホスファターゼ)、EC3.1.3.67(ホスファチジルイノシトール−3,4,5−トリスリン酸 3−ホスファターゼ)、EC3.1.4.10(1−ホスファチジルイノシトールホスホジエステラーゼ;モノホスファチジルイノシトールホスホジエステラーゼ;ホスファチジルイノシトールホスホリパーゼC)、EC3.1.4.11(1−ホスファチジルイノシトール−4,5−ビスリン酸ホスホジエステラーゼ、トリホスホイノシチドホスホジエステラーゼ)、ホスファチジルイノシトール 3,4,5−トリリン酸 5−ホスファターゼなどを含む。
【0065】
また、評価分析法を、ホスホリラーゼの存在又は活性に関する評価分析するために、拡張することができる。
【0066】
(キット)
また、本発明は、ここで記載した評価分析法を利用するキットにも向けられる。脂質/リン脂質キナーゼ又はホスファターゼの酵素の存在及び/又は活性を測定するための基本的なキットは、取り付けられる結合部分を有する天然の、半合成の、又は全合成の酵素基質及び/又は変成した酵素基質を含有する容器を含み、その変成した基質は、評価分析される酵素に対して特異的な反応性を有する。またキットは、変性した基質における結合部分を特異的に吸収する又はさもなければその結合部分に結合すると共にその結合部分を不動にする結合マトリックスを含有する。またキットの使用に関する使用説明書も含んでもよい。またキットは、適切な容器に配分される適切な量の反応緩衝剤を含んでもよい。
【0067】
“使用に関する使用説明書”は、試薬の濃度又は、混合される試薬及び試料の相対的な量、試薬/試料の混合に対する保全時間間隔、温度、緩衝剤の条件などのような少なくとも一つの評価分析方法のパラメータを記載する明解な表現である。使用に関する使用説明書は、分析者が所望の評価分析法を実行することを可能とすることに適する。
【0068】
変性した基質が、好適な結合部分、ビオチンを含む場合、キットの好適な実施例は、フィルター、ディスク、ビーズ、プレート、又は可溶なマトリックスのような不活性な保持体に不動にされたアビジン又はストレプトアビジンの分子を含む、ビオチン−結合マトリックスを含む。
【0069】
キットにおける様々な試薬の量を、評価分析の最適な感度、行なわれる評価分析の数などのような様々な因子に依存して、変動させることができる。
【0070】
手動の試験キット又は自動化された分析器における使用のための試験キットを提供することは、本発明の範囲内にある。
【0071】
(評価分析のプロトコル)
先行技術の方法(左手の列)を本発明の好適な実施例(右手の列)に対して比較するフローチャートであるここで図1を参照して、本発明の多くの利点は、直ちに明らかになる。
【0072】
最初に本発明を扱うと、最も直接の利点は、脂質を、有機溶媒から乾燥させる必要がないことである。代わりに、反応溶液を、単純に、結合マトリックスへ直接スポッティングする。酵素を、結合する基質へ添加し、反応は、指定された時間の間隔で進む。次に、反応を停止させ、膜を水洗し、マトリックスに保持された標識の量を測定する。
【0073】
全く反対に、従来のアプローチは、脂質の基質を、有機溶媒(通常、クロロホルム/メタノール)から乾燥させると共に水性の反応溶液中で(通常、音波処理によって)再懸濁させなければならないことを要求する。次に、研究される酵素の反応を水性の反応溶液中で行なう。反応が完了した後、脂質の生成物を、定量分析のためにクロロホルム/メタノール中へ戻して抽出しなければならない。このように、従来のアプローチは、時間を消費し試薬を消費すると共に自動化にあまり適応しない、多くの手動の分離段階を必然的に伴う。これらの乾燥及び抽出段階に対する必要性を、本発明においては最小にする又は完全に除去する。
【0074】
本発明の評価分析のプロトコルを、多くの例を介して最も良く説明する。例は、ここに記載すると共に請求する本発明のより完全な理解を提供するためにのみ含まれる。例は、請求する本発明の範囲をどのようにも限定しない。
【0075】
(例1)
以下の例は、ホスホイノシチドキナーゼの二つの明確な構造の系統(それぞれ、PI及びPIPキナーゼ)からの構成員の、PI−3キナーゼ及びPI4P−5キナーゼが、固体の保持体に不動にしてあったリン脂質の基質にリン酸を加えるように作用し得ることを証明する。更に、この例は、反応の基質が小胞又はミセルとして存在する水相よりもむしろ、単量体(即ち、個々の脂質の分子)として反応の基質が存在する場合に、これを有機の溶液から直接成し遂げることができることを証明する。
【0076】
さらに、この例は、生成物の脂質が、洗浄の処理手順の間、マトリックスに結合されたままであることによって、反応溶液の未反応の反応物、酵素、及び他の生成物でない成分から酵素の反応の生成物を分離するための容易な手段を提供することを示す。
【0077】
本発明に従って発生させたデータを、図1に例示した従来のリン脂質の抽出処理手順を使用して発生させた類似のデータと比較する。従来のアプローチにおいて、酵素変性に対する基質は、水性の反応溶液における小胞又はミセルの形態で与えられる。(水溶液中で起こる)酵素反応の後、生成物の脂質を、生成物を有機相、通常クロロホルム/メタノール中へ戻して抽出することによって、他の反応の構成成分から分離する。生成物の脂質は、他の反応の構成成分が水相相に残ると同時に、有機相中へ分配する。先行技術の方法及び本発明の比較的なフローチャートを図1に与える。
【0078】
脂質、10μgのPI4,5P2+20μgのPSを、クロロホルム:メタノール(2:1)に溶解させ、PI−3K活性の測定用に“SAM2”銘柄の膜に加えた。膜を空気乾燥させ、50mMのHEPES/NaOH,pH7.5、100mMのNaCl、10mMのMgCl2、20ngの部分的に精製したPI−3K又は10ngの精製したPI4P−5K、1μCiのγ−32P−ATPを補給した50μMのATPを含有する反応混合物を、不動にした脂質を含有する膜に添加した。
【0079】
室温での保温に続けて、反応を、7.5Mのグアニジン クロリドで停止させ、膜を、2MのNaCl、引き続き2MのNaCl/1%H3PO4で洗浄した。洗浄した膜を乾燥させ、シンチレーション計数にかけた。得られたデータを図2Aに与える(白棒)。
【0080】
従来のリン脂質の抽出処理手順において、上に示した同じ量の脂質を窒素の下で乾燥させ、1mMのEDTAを含有する50mMのHEPES/NaOH,pH7.5の緩衝剤中で音波処理によって再懸濁させた。次に、反応混合物を、音波処理した脂質に添加し、反応を水溶液中で実行した。反応を、1NのHClで停止させ、脂質を、図1に示すように抽出し、定量分析した。それらのデータを図2Aに示す(黒棒)。
【0081】
図2Bで使用するような免疫沈降させた酵素を発生させるために、エーテル麻酔の後、肝臓をラットから取り除いた。肝臓を小片に切り出し、均質化した。ホモジェネートを、10分間、10,000×gで遠心分離機にかけた。その上澄みを、1時間、15,000×gで遠心分離機にかけた。次に、上澄みを、1M酢酸の液滴の添加によって、pH5.75まで滴定した。4℃で10分間攪拌した後、溶液を、10分間、10,000×gで遠心分離機にかけた。ペレットを、50mMのHEPES/NaOH,pH7.5を含有する緩衝剤中で再懸濁した。
【0082】
次に、6μlの抗PI−3キナーゼp85ウサギ多クローン性IgG(Upstate Biotechnology,Lake Placid,New York)を、崩壊した細胞の溶液を含有する各管へ添加し、管を、4℃で一晩中保温した。次に100μlのタンパク質AセファロースCL−4B(Pharmacia,Peapack,New Jersey)を、各管へ添加し、それらを、4℃で2時間、さらに保温した。次に、セファロース/抗体/抗原の複合体(“複合体”)を、遠心分離によってペレットにし、上澄みを取り除き、1%NP−40及び10%グリセロールを含有するPBSで複合体を二回、500mMのNaCl及び100μMのNa3VO4を含有する100mMのトリス/HCl(pH7.5)で三回、及び100mMのNaCl、1mMのEDTA、100μMのNa3VO4を含有する10mMのトリス/HClで二回洗浄する。次に、100mMのNaClを含有する50μlの10mMのトリス/HCl(pH7.5)を複合体に添加し、そしてこの溶液を免疫沈降させたPI−3キナーゼ酵素と呼んだ。
【0083】
免疫沈降したPI−3Kを、“SAM”銘柄の膜に不動にさせた脂質の基質を伴う精製したPI−3Kに関して、上述のように評価分析した。全ての反応を、反応の基質として10μgのPI4,5P2+20μgのPS(図2B、棒3及び4)又は50μgのPI(図2B、棒1及び2)を使用して室温で実行させた。
【0084】
(例2)
例1に描くものに類似の評価分析法を、ホスファチジルイノシトール−3,4,5−三リン酸 3−ホスファターゼのような脂質及びリン脂質ホスファターゼの存在及び/又は活性に関して評価分析するために結集させることができる。
【0085】
ここで、結合部分をもつ基質を、既知の量の{γ−32P}ATPでリン酸化する。
【0086】
反応の構成成分は、例1に記載したものと同じであった。反応の構成成分を、“SAM2”銘柄の膜へ直接加え、反応は、指定した時間間隔で進み、それから終結した。実験の結果を、反応物に存在する放射能と比較して、結合マトリックスに付着する生成物に存在する減少させた量の放射を測定することによって発生させる。
【0087】
(例3)
休止細胞において、PI−3Kをサイトゾル中に置く。しかしながら、細胞の刺激において、酵素は、それが特定の受容体と関係付けられると共に信号のさらなる伝播に伴われる原形質膜へ入れられる。この例は、記載した方法が、活性化された受容体と関係付けられるPI−3Kの活性を測定することを可能にすることを説明する。3T3NIH細胞(0.5×107個の細胞)を、無血清培地で一晩で死滅させた。PDGF(50ng/ml)を、死滅させた細胞へ添加し、37℃で5分間、その導入を実行した。PDGFの導入に続けて、細胞を、PBSで一回洗浄すると同時に、プレート上で、PBS中に解体し、遠心分離管へ移し、遠心分離によってペレットにした。細胞のペレットを、崩壊させ、活性化した受容体−PI−3K複合体を、抗ホスホチロシン特異性抗体を使用して、免疫沈降させた。PI−3Kの反応を、基質としてPIP4,5P2(10μg)を使用して、60分間進ませ、20μgの担体の脂質(PS)と一緒に“SAM2”銘柄の膜に不動にさせた。PDGFでの刺激においてPI−3Kの活性における増加を図3に示す。この例は、本発明が、活性化に関して細胞を監視することを可能とすると共に活性化された受容体と関係付けられたPI−3Kの活性の定量分析もまた可能とすることを、明らかに示す。
【0088】
(例4)
この例は、結合マトリックスに加えた脂質の基質の量に対するPIKの活性の依存性を説明する。図4Aにおいて、(述べた任意の変性を伴う、例1のプロトコルを使用して)室温で60分間Alexis(12.5μg/ml)からのPI−3Kを使用して、PI−3Kの活性を測定した。図4Bにおいて、室温で60分間、精製したPI−5K(125ng/ml)を使用して、PI−5Kの活性を測定した。脂質の基質に加えて、全ての試料は、膜に加えた10μgのPSを含有していた。
【0089】
図4Aに示すように、反応は、基質の0からおおよそ6μgまで線形な応答を生じる。次に、反応は、おおよそ7μgのPIP2で飽和点に到達する。基質のこの濃度を超えて、追加の基質の存在は、形成された生成物における、より高い放射能の組み込みに帰着しない。PI−5Kに対する結果を説明する、図4Bは、CPM計数として表現された酵素活性が、1から10μgまでのPI4Pの濃度からの進行において変化しないままであることを示し、よって、これらの基質のレベルで反応は既に飽和することを示す。
【0090】
(例5)
この例は、本発明を使用するPIP−5K活性の線形な検出を説明する。予め番号付けられた正方形の膜へスポットされる、クロロホルム/メタノール2:1中に1μgのPI4P及び10μgのPSを含有する3μlの脂質の混合物と共に、記載したプロトコル(例1)を使用して評価分析を行なった。
【0091】
図5A及び5Bにおいて、PI−5K活性を、4ngの精製したタンパク質を使用して、異なる時点(0、2.5、5、10、及び20分)で測定した。図5C及び5Dにおいて、PI−5K活性を、異なるタンパク質の濃度(0、50、125、200、250ng/ml)を使用して10分間測定した。反応生成物を、ホスホイメージング(図5A及び5C)によって、又はシンチレーション計数(図5B及び5D)によって、定量分析した。この一連の図によって明らかに説明するように、評価分析法のプロトコルは、線形な時間依存性の結果(図5A及び5B)並びに濃度依存性の結果(図5C及び5D)を生じる。20pmol及び1.2nmolの間の形成された生成物を、本発明を使用して、検出することができる。
【0092】
(例6)
この例において、PI−3Kの活性の線形な検出を、本発明を使用して評価分析した。変性したSAM銘柄の膜、96−ウェルプレート(Promega)のウェルへスポットされる、クロロホルム/メタノール2:1における5μlのPI(25μg)と共に、記載したプロトコルを使用して、評価分析を行った。異なる量の部分的に精製したPI−3K、1ng(薄緑色)、2ng(濃緑色)、4ng(黄色)、8ng(橙色)、16ng(赤色)を使用して、評価分析を行った。得られたシンチレーション計数に基づいて、特異的な活性を、計算してきたと共に図6に示す。異なる量のタンパク質に関する計算した初期の反応速度を図6Bに示す。この例は、本方法が、広い濃度範囲にわたって酵素の線形な検出を生じることを示す。
【0093】
(例7)
この例は、本発明を使用して検出された反応生成物対図1に概略を述べた従来のリン脂質抽出処理手順の比較である。図10において、反応基質として1μgのPI4P+10μgのPS、及び酵素の源として精製したPI−5Kを使用して活性を評価した。0(レーン3、4)及び30(レーン1、2)分に対して反応を実行した。従来のリン脂質の抽出処理手順を使用して(レーン2、4)、又は本発明に従って(レーン1、3)、反応を行った。本発明を使用するとき、膜のシートで行なわれた反応に引き続き、脂質をTLC定量分析用に再抽出した。
【0094】
その結果は、本発明を使用して形成された生成物が、酵素の活性に関する有用な情報、先に記載した広く使用される従来の評価分析と同等である情報を生じることを示す。
【0095】
(例8)
この例は、本発明の再現性を証明する。
【0096】
図7A:40分間、脂質の基質として部分的に精製したPI−3K(500ng/ml)及びPIP2(10μg)+PS(20μg)、
図7B:15分間、PI−5K(125ng/ml)及びPI4P(1μg)+PS(10μg)、
図7C:60分間、PI−5K(125ng/ml)及びPI4P(1μg)、を使用して評価分析を行った。
【0097】
1μCiの32P−ATPを使用して室温で全ての評価分析を行なった。
【0098】
図7Cにおいて、三つの異なるプレート(それぞれ、試料1−4、5−8、9−12)で反応を実行した。各プレートにおいて、反応を三つの異なる場所で三回ずつ行なった。各点は、三つの独立な反応の平均を表す。黄色の棒は、同じプレートで行なわれた9個の点の平均を示す。
【0099】
この実験の組みによって明らかに示されるように、本方法は、高い再現性がある。
【0100】
(例9)
この例は、酵素の反応によって形成された生成物が活性な酵素の存在のみによることを説明する。これは、PI−3Kに対して特異的である阻害剤の存在下で反応を進ませるとき、形成された生成物の損失によって示される。反応を、PI−3K阻害剤、wortmannin(最終濃度100nM)の存在(三角形)又は不在(菱形)下で、異なる時間間隔で、部分的に精製したPI−3Kと共に進ませた。図8を参照のこと。図8に示すように、評価分析をPI−3K阻害剤の存在下で行ったとき、本方法は、CPM値で表現されるような非常に減少した放射性標識された生成物を生じた。
【0101】
(例10)
この例は、脂質の基質に対する反応の特異性を説明する。ここで、反応を、異なる脂質の基質、PI3,4P(レーン1)、PI3,5P(レーン2)及びPI4,5P2(レーン3)、を使用して、室温で15分間、精製したPI−5K(125ng/ml)と共に行った。5−位にリン酸基を既に有する、PI3,5P(レーン2)及びPI4,5P(レーン3)は、PI−5K、適切な基質の5−位へのリン酸基の付加を触媒するように機能する酵素に対する基質ではない。このように、図9に明らかに示すように、評価分析法は、適切な結果を発生させ、よって酵素基質に対する特異性を証明する。PI3,4P(レーン1)は、PI−5K酵素に対する適切な基質であり、酵素が現実にこれらの基質を特異的にリン酸化してきたことを示す、期待された対応するCPM値を示す。
【0102】
(例11)
以下の例は、リン脂質が、酵素及びビオチン化された基質の間における相互作用を妨げないような方法でビオチン化されるとき、PI−3キナーゼ(PI−3K)が、ビオチン化されたリン脂質に対してリン酸基を添加するように作用し得ることを証明する。ビオチン基は、脂質の基質へ、好ましくは脂質の鎖の端へ取り付けられる。また、この例は、ストレプトアビジンのマトリックスが、生成物の検出及び定量を可能にするために、反応混合物のビオチン化されてない構成成分からビオチン化されたリン酸化された生成物を分離することが可能であることも証明する。
【0103】
脂質:30μgの短鎖のPI4P−C8、ビオチン変性させた短鎖のPI4P−C6−ビオチン、及び長鎖のPI4P−C16を、個別の管において、10μgの担体脂質(PS)の存在下で、真空下で乾燥させた。乾燥させた脂質を、50mMのHEPES/NaOH,pH7.5+1mMのEDTA緩衝剤に溶解させ、5分間、音波処理を受けさせた。この溶液を“調製した基質”と呼ぶ。
【0104】
次に、以下のキナーゼの反応
4μlの100mMのMgCl2、
20μlの調製した基質、
1μlの精製したPIP4−5K又はPI−3K
11μlの50mMのHEPES/NaOH+100mMのNaCl緩衝剤、 4μlの0.5mMの、1μCiの32P−ATPを含有するATP、
を結集させた。
【0105】
反応を、室温で15分間実行した。図11Aにおいて、その反応に引き続き、脂質を抽出し、ビオチン化された脂質をPI−キナーゼによって変性させることができることを示すために、TLCで定量分析した。図11Bにおいて、25%の反応混合物を、“SAM2”銘柄の膜に加え、次に膜を洗浄すると共に直接定量分析した(黒棒)、又は膜を、変性してない脂質から変性したものを取り除くと共に分離するためにクロロホルム/メタノール/水(10:10:3)による追加の処理に晒した(白棒)。
【0106】
この例は、膜に結合した脂質が、分離処理手順の間、マトリックスへ取り付けられたままであることによって、反応生成物の他の反応構成成分からの分離を可能にすることを示す。しかしながら、膜に結合した天然の脂質を、明確に定められた条件下で、例えば、クロロホルム:メタノール:水(10:10:3)による膜の処理に引き続く、取り除くことができる。よって、必要であれば、反応生成物に、より詳細な構造の定量分析を受けさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
フローチャート。先行技術の方法を本発明に従う好適な方法と比較する並列のフローチャート。
【図2A】
PIK活性測定の比較。本発明対従来のリン脂質抽出処理手順。40分間部分的に精製したPI−3K(500ng/ml)又は20分間精製したPI4P−5K(250ng/ml)を使用して評価分析を行った。PI−3K活性の測定に関して、PI4,5P2(10μg)+PS(20μg)を反応の基質として使用した。PI4P−5K反応を、反応の基質としてPI4P(10μg)を使用して、反応を実行した。図1(黒棒)に説明するような従来のリン脂質の抽出処理手順を使用して、又は本発明に従って(白棒)、試料を処理した。
【図2B】
PT−K活性測定の比較。本発明対標準的なリン脂質の抽出処理手順。を60分間肝臓組織(500μg)から免疫沈降したPI−3Kを使用して、評価分析法を行った。全ての反応を、反応の基質としてPIP2(10μg)+PS(20μg)(レーン3及び4)又はPI(50μg)(レーン1及び2)を使用して、室温で実行した。図1に説明されるように従来のリン脂質の抽出処理手順を使用して(レーン2及び4)、又は本発明に従って(レーン1及び3)、試料を処理した。
【図3】
活性化された受容体と関連したPI−3Kの活性の検出。3T3NIH細胞(5×107個の細胞)を、PDGF(37℃で5分間50ng/ml)無し(レーン1)又は有り(レーン2)で処理し、PI−3Kを、抗ホスホチロシン特異性抗体を使用して、共免疫沈降させた。PI−3K反応を、基質としてPIP2(10μg)+PS(20μg)を使用して60分間実行した。
【図4A】
膜に加えた脂質の基質の量に対するPI−Kの活性の依存性。PI−3Kの活性を、室温で60分間Alexis Biochemical(San Diego,California)(12.5μg/ml)からのPI−3Kを使用して測定した。
【図4B】
膜に加えた脂質の基質の量に対するPI−Kの活性の依存性。PI−5Kの活性を、室温で60分間精製したPI−5K(125ng/ml)を使用して、測定した。脂質の基質に加えて、全ての試料は、膜に加えた10μgのPSを含有した。
【図5A】
本発明を使用するPIP−5Kの活性の線形検出。予め番号付けした正方形の膜にスポッティングしたクロロホルム/メタノール2:1における1μgのPI4P及び10μgのPSを含有する3μlの脂質の混合物を利用して、ここに記載した発明の方法を使用する評価分析を行った。PI−5Kの活性を、4ngの精製したタンパク質を使用して、異なる時点で測定した。反応生成物をホスホイメージングによって定量分析した。要約:本発明を使用して、20pmol乃至1.2nmの間の形成された生成物を検出することができる。
【図5B】
本発明を使用するPIP−5Kの活性の線形検出。予め番号付けした正方形の膜にスポッティングしたクロロホルム/メタノール2:1における1μgのPI4P及び10μgのPSを含有する3μlの脂質の混合物を利用して、ここに記載した発明の方法を使用する評価分析を行った。PI−5Kの活性を、4ngの精製したタンパク質を使用して、異なる時点で測定した。反応生成物をシンチレーション計数によって定量分析した。要約:本発明を使用して、20pmol乃至1.2nmの間の形成された生成物を検出することができる。
【図5C】
本発明を使用するPIP−5Kの活性の線形検出。予め番号付けした正方形の膜にスポッティングしたクロロホルム/メタノール2:1における1μgのPI4P及び10μgのPSを含有する3μlの脂質の混合物を利用して、ここに記載した発明の方法を使用する評価分析を行った。PI−5Kの活性を、異なる濃度のタンパク質を使用して10分間測定した。反応生成物をホスホイメージングによって定量分析した。要約:本発明を使用して、20pmol乃至1.2nmの間の形成された生成物を検出することができる。
【図5D】
本発明を使用するPIP−5Kの活性の線形検出。予め番号付けした正方形の膜にスポッティングしたクロロホルム/メタノール2:1における1μgのPI4P及び10μgのPSを含有する3μlの脂質の混合物を利用して、ここに記載した発明の方法を使用する評価分析を行った。PI−5Kの活性を、異なる濃度のタンパク質を使用して10分間測定した。反応生成物をシンチレーション計数によって定量分析した。要約:本発明を使用して、20pmol乃至1.2nmの間の形成された生成物を検出することができる。
【図6A】
本発明を使用するPI−3Kの活性の線形検出。“SAM2”銘柄の膜96−ウェルプレートのウェルにスポッティングしたクロロホルム/メタノール2:1における5μgのPI(25μg)を利用して、ここで記載した発明の方法を使用する評価分析法を行った。減少する量:1ng、2ng、4ng、8ng、及び16ngの部分的に精製したPI−3Kを使用して評価分析を行った。得られたシンチレーション計数に基づいて、特異的な活性を計算し示してきた。
【図6B】
本発明を使用するPI−3Kの活性の線形検出。“SAM2”銘柄の膜96−ウェルプレートのウェルにスポッティングしたクロロホルム/メタノール2:1における5μgのPI(25μg)を利用して、ここで記載した発明の方法を使用する評価分析法を行った。減少する量:1ng、2ng、4ng、8ng、及び16ngの部分的に精製したPI−3Kを使用して評価分析を行った。異なる量のタンパク質に対する計算された初期反応速度を示す。
【図7A】
本発明の再現性。40分間、脂質の基質として部分的に精製したPI−3K(500ng/ml)及びPIP2(10μg)+PS(20μg)を使用して評価分析を行った。評価分析を、1μCiの32P−ATPを使用して室温で行った。
【図7B】
本発明の再現性。15分間、PI−5K(125ng/ml)及びPI4P(1μg)+PS(10μg)を使用して評価分析を行った。評価分析を、1μCiの32P−ATPを使用して室温で行った。
【図7C】
本発明の再現性。60分間、PI−5K(125ng/ml)及びPI4P(1μg)を使用して評価分析を行った。評価分析を、1μCiの32P−ATPを使用して室温で行った。反応を三つの異なるプレートで実行した(それぞれ、試料1−4、5−8、9−12)。各プレートにおいて、三つの異なる場所で三回ずつ反応を行った。各点は、三つの独立な反応の平均を表す。より薄い棒は、同じプレートで行なわれた9個の点の平均を示す。
【図8】
PI−3Kの活性の阻害。PI−3Kの阻害剤ウォルトマニン(最終濃度100nM)の存在(三角形)又は欠除(菱形)の下で、異なる時間間隔に対して、部分的に精製したPI−3Kを使用して、本発明に従う反応を行った。
【図9】
脂質の基質に対する反応の特異性。本発明に従う反応を、1μgの異なる資質の基質:PI3,4P(レーン1)、PI3,5P2(レーン2)、及びPi4,5P2(レーン3)を使用して、室温で45分間、精製したPI4P−5K(250ng/ml)で行った。脂質の基質に加えて、全ての試料は、膜に加えた10μgのPSを含有する。
【図10】
反応生成物の比較。本発明対従来のリン脂質の抽出処理手順。反応の基質として1μgのPI4P+10μgのPS及び酵素としての精製したPI−5K(2.5ng)を使用して活性を評価した。図1に説明するように従来のリン脂質の抽出の処理手順を使用して(レーン2及び4)、本発明に従って(レーン1及び3)、反応を引き起こした。反応を膜のシートで行ってきたとき、40%の結合反応の生成物を、TLC定量分析用に再抽出した。
【図11A】
ビオチン化した及びビオチン化してない短鎖の脂質並びにビオチン化してない長鎖の脂質を使用するPI4P−5キナーゼの活性の比較。PI4P−5キナーゼの活性を、反応の基質としてPI4P−C6−ビオチン(レーン1)、PI4P−C8(レーン2)、及びPI4P−C16(レーン3)を使用して測定した。反応生成物を、抽出して、TLCを介して定量分析した。
【図11B】
ビオチン化した短鎖の脂質及びビオチン化してない長鎖の脂質を使用するPI−3Kの活性の比較。PI−3Kの活性を、反応の基質としてPI−C6−ビオチン又はPi−C16を使用して、測定した。反応生成物を、ストレプトアビジンでコートした膜へ結合させた。膜を洗浄して未反応の反応物を取り除き、直接、定量分析した(黒棒)、又は脂質の再抽出用にクロロホルム:メタノール:水(10:10:3)の処理に晒した(白棒)。
[優先権]
ここにおいて、優先権を、2000年5月31日に出願した仮出願の出願番号60/208,405に対して主張し、その内容全体は、ここでは参照によって組み込まれる。
【0002】
[発明の技術分野]
本発明は、キナーゼ及びホスファターゼの存在、活性、又はそれら両方を決定するための評価分析法に向けられる。好適な方法は、脂質キナーゼ、リン脂質キナーゼ、及びリン脂質ホスファターゼに対する評価分析法である。
【0003】
[関連技術の説明]
細胞増殖、細胞自滅、及び分泌機能のような細胞の過程の調節における、一般的にリン脂質、及び特にホスホイノシチドの重要性は、長年の間認識されてきた。これらの化合物の重要性が明白であると同時に、これらの重要な細胞通信化合物がどのようにして調節されるかについて未知のままである多くのことがある。
【0004】
ホスホイノシチドは、1:
【0005】
【化8】
に示す一般式を有し、ここで各Rは、置換されてない又は置換されたアルキル、アルケニル、アルキルカルボニル、又はアルケニルカルボニル基であり、R2、R3、R4、R5、及びR6は、水素原子であり、それらの場所は、イノシトール部分である。これらの水素原子を、別々に又は様々な組み合わせでリン酸基に交換することができる。一般構造1は、ここでは、ホスホイノシチド又は単純に“PI”と呼ぶものとする。直接的に関連性する場合、イノシトール部分におけるリン酸基の存在及び位置を、文字“P”に引き続く番号の明示によって明示することにする。よって、例えば、R3の位置にリン酸をもつPI(即ち、ホスファチジルイノシトール−3−リン酸)を、“PI3P”と明示することにし、ホスファチジルイノシトール−4−リン酸を、“PI4P”と明示することにする、等である。多様にリン酸化されたPIに関しては、コンマによって分離された数を、リン酸基の位置を明示するために使用することにする。例えば、“PI3,4P2”は、1に示すようなイノシトール部分のR3及びR4の位置でリン酸化されるPIを明示する。リン酸化されたPIは、一般的に、“PIP”と呼ばれる。
【0006】
PIは、全ての真核生物において信号変換及び膜の通行に対して中心的であると考えられる(Rao et al.(1988)Cell 94:829)ので、PI、PIP、及びそれらの代謝産物を調節する酵素の理解は、極端に助けになるかもしれない。本発明、脂質キナーゼ、リン脂質キナーゼ、及びホスファターゼの存在及び/又は活性を決定するための評価分析法を、PIの生物学的な役割をさらに解明するために、使用することができる。
【0007】
酵素の活性を測定するためのいくつもの評価分析法が、先行技術において知られている。特に、1999年2月9日に発行されたHuang等の米国特許第5,869,275号は、タンパク質転移酵素の活性を測定するための親和力限外濾過に基づいた評価分析法を記載している。このアプローチにおいては、標識された及び標識されてない結合部位(結合部位は、評価分析される酵素の作用によって作られるか、又は抗原決定群のような、基質の一体部分として存在する)を有する基質を、標識された生成物及び標識されてない生成物を形成するために、酵素と共に保温する。次に、反応混合物を、生成物と共に特異的な錯体を形成することが可能である可溶性のマクロリガンドと接触させる。決定的に重要なものは、マクロリガンド−生成物の錯体の大きさが、反応混合物に見出される任意の不純物又は反応物の大きさよりもかなり大きくなければならないことである
次に、マクロリガンド−生成物の錯体を、限外濾過を介して反応物から分離する。ここで決定的な考慮すべき事項は、限外濾過における膜の公称分子量の限界が、任意の未反応の標識された基質よりも大きいだけでなく、反応混合物における任意の潜在的な不純物よりも大きいが、マクロリガンド−生成物の錯体の大きさよりも小さくなければならないことである。この様式において、比較的非常に大きいマクロリガンド−生成物の錯体を膜によって保持すると同時に、反応物及び不純物は、膜を通過する。標識された生成物の存在に関する限外濾過の濃縮水の検査は、反応の程度の指標を提供する。
【0008】
1996年6月19日に発行されたMalliaの米国特許第5,527,688号は、結合する膜を反応容器内に掛けることで容器を二つの区画に分割する、タンパク質キナーゼに対する評価分析法を記載している。生成物を掛けられた膜に付着させることによって、洗浄を、上部のチャンバーに洗浄溶液を置くと共に遠心力を作用させて、膜を通じて洗浄溶液を押し込むことによって、遠心力で成し遂げることができる。
【0009】
[発明の要約]
本発明は、キナーゼ及びホスファターゼ、より具体的には、脂質及びリン脂質のキナーゼ及びホスファターゼの存在及び活性を決定するための評価分析法及び対応するキットである。本発明の好適な実施例は、脂質又はリン脂質の基質からリン酸基を加える又は取り除く、任意のキナーゼ又はホスファターゼの存在及び/又は活性を測定することが可能である評価分析法である。
【0010】
特に、本発明の第一の実施例は、酵素分類、EC 2.7.1、EC 3.1.3、及びEC 3.1.4内に属する酵素の存在、活性、又は存在及び活性の両方を評価分析するための方法に向けられる。その方法は、キナーゼを評価分析するときにはリン酸化された生成物を、又は、ホスファターゼを評価分析するときには脱リン酸化された生成物を、生じるための十分な時間の間に、酵素を対応する基質と最初に反応させることを含む。もちろん、調査の下で酵素を活性にする条件下で、その反応を実行し、よって酵素は、基質のリン酸化(キナーゼ)又は脱リン酸化(ホスファターゼ)のいずれかを触媒することになる。
【0011】
次に、酵素の反応によって形成された生成物を結合マトリックスと接触させる。これは、マトリックスに結合する又は固定される生成物に帰着する。マトリックスに固定された生成物と共に、マトリックスを反応溶液から機械的に分離して、反応溶液の未反応の反応物、酵素、及び他の生成物でない成分から酵素の反応の生成物を分離するための容易な手段を提供することができる。
【0012】
次に、マトリックスに固定された生成物の存在、量、又は存在及び量の両方に関してマトリックスを定量分析する。マトリックスに見出された生成物の存在及び/又は量を決定することによって、生成物を生ずる酵素の存在、活性、又は存在及び活性の両方を決定することができる。
【0013】
本発明の第二の実施例は、基質が結合部分を含むことを加えた、実質的に上述の方法に向けられる。基質が、(酵素の作用によって)生成物に転化されるとき、生成物もまた結合部分を含有する。
【0014】
次に、生成物を、結合部分に対して特異的に結合する結合マトリックスと接触させる。これは、結合部分及び結合マトリックスの相互作用を介して)マトリックスへ特異的に固定される生成物に帰着する。好適な結合部分は、ビオチンであり、好適な結合マトリックスは、不活性な保持体において不動にしたアビジン又はストレプトアビジンである。次に、マトリックスを、第一の実施例におけるように定量分析する。
【0015】
本発明の第二の実施例において、脂質又はリン脂質の酵素基質を変性させるために使用したアプローチは、結合部分を含むことである。この実施例において、結合部分(及び結合部分のみ)は、その目的のために設計された保持体へ特異的に結合することになる。この様式において、結合部分をもつ生成物を、保持体上で反応混合物を単純に通過させることによって、結合部分をもたない生成物から容易に分離することができる。結合部分がビオチンであることは、非常に好ましい。次に、保持体は、不動にしたアビジン又はストレプトアビジンを有する任意の適切な基質(ビーズ、濾紙など)を含むかもしれない。
【0016】
本発明の第三の実施例において、保持体は、要求されない。このアプローチにおいては、評価分析法を、完全に液相で実施する。例としてビオチンの結合部分を使用して、アビジン又はストレプトアビジンを反応に加えるかもしれず、形成するビオチン−アビジン錯体を、任意の既知の手段(電気泳動、クロマトグラフィー、遠心分離など)によって分離することができるかもしれない。
【0017】
要するに、この実施例の評価分析法は、以下のように脂質及びリン脂質キナーゼの存在及び活性を決定するために機能する。評価分析される酵素に対する脂質又はリン脂質キナーゼの基質を、結合部分を含むように最初に変性させる。上記したように、抗原又は抗体もまた結合部分として使用することができるが、結合部分は、好ましくは、ビオチンである。結合部分の選択に関らず、結合部分を、その存在が、基質をリン酸化するか又は脱リン酸化する酵素の能力を妨げる様式で、基質に付けることは重要である。ほとんどの実例において、これは、たいていヘッドグループの性質によって認識が必然的に決められるので、結合部分を、基質の脂肪族アシル部分の一端に加えることを要求する。
【0018】
脂質及び/又はリン脂質キナーゼに対する評価分析に対して、変性した基質を、γ−32P ATPの存在下で、関心のあるキナーゼを含有することが考えられると共に、十分な量の時間の間、キナーゼが、存在すると共に活性であるとすれば、変性した基質を32P−標識したリン酸基でリン酸化することができるような適切な条件下で保温することを可能にする、溶液に露出する。次に、反応混合物を、捕捉膜又はマトリックス、即ち、変性した基質を特異的に捕捉することになる部分をもつ保持体と接触させる。ビオチンの場合には、これは、保持体に連結したアビジン又はストレプトアビジンであるかもしれない。結合部分が抗原であるとすれば、捕捉膜は、抗原に対して特異的な不動にした抗体等を含むかもしれない。
【0019】
変性した基質を、固体の保持体へ捕捉するとき、遊離の32P ATP、反応物、不純物等を、保持体から穏やかに洗浄し、結合した放射性標識した物質を、シンチレーション計数器、“PhosphoImager”デバイスを使用して、又はオートラジオグラフィーによって、活性に関して測定する。
【0020】
ホスファターゼを評価分析することになっている場合、評価分析法のプロトコルは、γ−32Pリン酸基を含むように基質を変性させることを除いては、上記したのと同じである。加えて、標識してない基質を使用することができ、放出されたリン酸は、比色法又は蛍光分析法(例えば、Molecular Probes,Eugene,Oregonは、放出されたリン酸の蛍光検出に関する方法を販売する)で決定される。次に、定量分析の下でホスファターゼの酵素の活性は、それらの基のある部分を取り除くことになる。このアプローチにおいて、開始の標識された基質と比較してマトリックスに見出された減少した活性は、ホスファターゼの活性の直接的な尺度であり、又は、放射性標識されてないリン酸の場合には、放出されたリン酸の量は、ホスファターゼの活性の尺度として使用される。
【0021】
また本発明は、一又は複数回、評価分析を実行するために必要な試薬の全てを含有する、対応するキットを含む。キットは、一般的に、第一の容器に配分されるある量の反応緩衝剤、EC 2.7.1、EC 3.1.3、及びEC 3.1.4からなる群から選択される酵素分類内に分類された酵素に対するある量の基質、EC 2.7.1、EC 3.1.3、及びEC 3.1.4からなる群から選択される酵素分類内に分類されたある量の精製した酵素、ある量の結合マトリックス、及びキットの使用に関する使用説明書を含み、基質は、第二の容器に配分され、酵素は、第三の容器に配分される(又は、ユーザーが酵素を供給することができる)。
【0022】
その評価分析法の明確で主な利点は、研究者が、任意の数又はタイプの脂質又はリン脂質キナーゼ又はホスファターゼの活性を速く便利に評価分析することを可能にすることである。
【0023】
その評価分析法の別の主な利点は、組織及び細胞の抽出物から直接、脂質及びリン脂質キナーゼ及びホスファターゼを評価分析するために十分に敏感であることである。マトリックスに対する脂質及びリン脂質の生成物の高い親和性によって、異質な遊離のγ32P−ATPを、洗浄することによって取り除くことができ、形成された生成物の量を、脂質の抽出に対する必要なしに決定することができる。これは、脂質の抽出を要求する、従来のHPLC及びTLCの評価分析法を超える明確な改善である。高価であり時間を浪費する、脂質の抽出を除去することは、本評価分析法を、この分野における研究者に対して魅力的にする。
【0024】
別の利点は、評価分析法が、高い処理量の形式に適合するように拡大縮小可能であることである。その評価分析法は、自動化に対して高度に適応する。
【0025】
[発明の詳細な説明]
(略語及び定義)
ここでは、以下の略語及び定義を特別に採用する。定義を提供しない全ての用語は、等技術においてそれらの承認された定義を与えることができる。
【0026】
“アルキル”=明示する炭素原子の数を有する(即ちC1−C24は、一つ乃至24個の炭素を意味する)直鎖、分岐、又は環状の十分に飽和した炭化水素ラジカル。例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、シクロヘキシル、(シクロヘキシル)エチル、シクロプロピルメチル、及びそれらのより高級の同族体及び異性体、例えば、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−へプチル、n−オクチル、などを含む。アルキル基は、典型的には、1個から24個までの炭素原子を含有することになり、八個又はそれ以上の炭素原子を有するそれらの基が、本発明では好ましい。“低級アルキル”は、八個より少ない炭素原子を有するアルキル基である。
【0027】
“アルケニル”=一つ又は複数の二重結合又は三重結合を有するアルキル基。不飽和アルキル基の例は、ビニル、2−プロペニル、クロチル、2−イソペンテニル、2−(ブタジエニル)、2,4−ペンタジエニル、3−(1,4−ペンタジエニル)、エチニル、1−及び3−プロピニル、3−ブチニル、及びより高級の同族体及び異性体を含む。
【0028】
“アルキルカルボニル”=対応するカルボン酸から誘導されたカルボニルを含有するアルキルラジカル、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、などから誘導されたアシルラジカル。典型的には、2個から24個までの炭素原子を含有することになる。
【0029】
“アルケニルカルボニル”=対応するカルボン酸から誘導されたカルボニルを含有するアルケニルラジカル、例えば、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキドン酸など誘導されたアシルラジカル。典型的には、2個から24個までの炭素原子を含有することになる。
【0030】
“Bn”=ベンジル。
【0031】
“BOM”=ベンジルオキシメチル。
【0032】
“EDTA”=エチレンジアミンテトラ酢酸
“HEPES”=N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸
“脂質キナーゼ/リン脂質キナーゼ”=分類EC2.7.1.x内に属する任意の酵素、ここで“x”は、変数である。
【0033】
“PDGF”=血小板によって誘導された成長因子。
【0034】
“リン脂質ホスファターゼ”=分類EC3.1.3.x及び3.1.4.x内に属する任意の酵素、ここで“x”は、変数である。
【0035】
“PI”=ホスファチジルイノシトール。リン酸化されてないホスホイノシチド(即ち、イノシトール部分に任意のリン酸基を欠くホスホイノシチド)。
【0036】
“PIK”=一般的に、ホスホイノシチドキナーゼ。PI−3−キナーゼ、PI−3Kは、説明の酵素である。
【0037】
“PIP”=リン酸化したホスホイノシチド(即ち、イノシトール部分に存在する一つ又は複数のリン酸基を有するPI)。ホスファチジルイノシトール リン酸。
【0038】
“PIx,x’,x’’...Pn”=明示したPIPに対する命名法の略記、ここで“PI”は、ホスホイノシチドを明示し、“x,x’,x’’...”は、イノシトール部分におけるリン酸基の位置を明示する数値であり、“P”は、イノシトール部分がリン酸化されることを明示し、“n”は、イノシトール部分に存在するリン酸基の数を明示する。
【0039】
“PMB”=p−メトキシベンジル。
【0040】
“PS”=ホスファチジルセリン。
【0041】
“置換された”=低級アルキル、アリール、アシル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、アルコキシ、アルキルアミノ、アシルアミノ、チオアミド、アシルオキシ、アリールオキシ、アリールオキシアルキル、メルカプト、チア、アザ、オキソ、飽和及び不飽和の両方の環状炭化水素、ヘテロ環などのような、一つ又は複数の置換基を含むラジカル。置換基をベース部分の任意の炭素に付けてもよい。
【0042】
“基質”又は“対応する基質”=評価分析される酵素によってリン酸化する又は脱リン酸化することができる基質。
【0043】
“固体の保持体”=選択された溶媒系に実質的に不溶である、又は可溶である選択された溶媒系から(例えば、沈殿によって)容易に分離することができる、物質。本発明を実施することに有用な固体の保持体は、選択された種を固体の保持体へ結合させることを可能にするために、活性化される又は活性化が可能である基を含むことができる。また固体の保持体は、基質、例えばチップ、ウェハ、又はウェルであり得る。
【0044】
“TLC”=薄層クロマトグラフィー
(結合部分を含有するために基質を変性させること)
脂質又はリン脂質キナーゼ及びホスファターゼに対する基質を、非常に多くの供給業者からの商業的に得ることができる。
【0045】
例えば、D−ミオ−ホスファチジルイノシトール、D−ミオ−ホスファチジルイノシトール 3−リン酸、D−ミオ−ホスファチジルイノシトール 4−リン酸、D−ミオ−ホスファチジルイノシトール 5−リン酸、D−ミオ−ホスファチジルイノシトール 3,4−重リン酸、D−ミオ−ホスファチジルイノシトール 3,5−重リン酸、D−ミオ−ホスファチジルイノシトール 4,5−重リン酸、D−ミオ−ホスファチジルイノシトール 3,4,5−三リン酸、及びそれらの誘導体、PIK抗体、並びにビオチンによって標識されたPIのようなPIは、Echelon Research Laboratories Inc.,Salt Lake City,Utah及びUpstate Biotechnology,Lake Placid,New York)から市販されている。上記したPIは、それらに対する他のホスト、誘導体、及び抗体と共に、A.G.Sciectific,Inc.,San Diego,Californiaからも市販されている。
【0046】
また、PIを、天然のキラル前駆体から従来の経路を使用して、合成することもできる。例えば、イノシトールのヘッドグループを、メチル α−D−グルコピラノシドからFerrier転位を介して誘導することができ、ジアシルグリセリル部分を、(+)−イソプロピリデングリセロールから調整することができる。
【0047】
基質へ付けられる最も好適な結合部分は、(このような結合部分を用いるとき、)ビオチン部分である。これは、ビオチンの相対的に小さい大きさ、化学的な操作の相対的な容易さ、及びアビジン及びストレプトアビジンに対するその非常にロバストで高水準の特異的な結合による。
【0048】
ビオチンを、カップリング反応を介して基質PIのジアシルグリセロール部分のアシル鎖へ付けることができ、ここでビオチンは、アミド結合を介してPIへ連結される。アシル鎖へ付けるとき、ビオチンが、イノシトールのヘッドグループ及びヘッドグループに最も近いグリセロールの主鎖の両方で変成した基質の認識を妨げないことに注意すること。この発見、基質PIを、基質を認識する及び基質へ結合する脂質/リン脂質キナーゼ又はホスファターゼの能力を妨げることなくビオチンのような結合部分の添加によって変性させることができることは、新規である。要するに、発明者等が知る先行技術は、このような変性をなすことができることを記載してない又は提案してない。
【0049】
ビオチン(又は利用可能な反応性の基を有する任意の他の結合部分)をPIへ付けるための好適な反応は、ここでは参照によって組み込まれるChen et al.(1996),61 J.Org.Chem 6305−6312に記載されているものに類似する。また、ここでは参照によって組み込まれるG.D.Prestwich(1996),29 Acc.Chem.Res.503−513も参照のこと。
【0050】
簡単に、PIの脂質を変性させた類似体を、PIのsn−1の位置でアミノアルカノイル基を挿入することによって、形成することができる。次に、この基は、アシル鎖の端への結合部分、好ましくはビオチンの添加を可能にする。
【0051】
反応スキーム1に示す合成は、収束アプローチに従い、保護されたキラルのグリセロールシントンの選択的なsn−1−O−アシル化で開始し、sn−2の位置におけるアシル化及び酸化の脱保護によって続けられ、所望の1,2−O−ジアシルグリセロール誘導体を生じる。
【0052】
ベンジル(N,N−ジイソプロピルアミノ)クロロホスフィンとの反応は、次に適切に保護されたD−ミオ−イノシトール誘導体と共に濃縮される、ホスホアミダイトを生じる。
【0053】
反応スキーム1
【0054】
【化9】
中間の化合物において、ベンジル(Bn)又はベンジルオキシメチル(BOM)基は、最終的な水酸基を保護し、p−メトキシベンジル(PMB)基は、未来のホスホモノエステルを保護する。PMB基の脱保護は、リン酸化、水素化分解、及びイオン交換クロマトグラフィーによって続けられ、アミノアシル変性したPIを生じる。
【0055】
エステル結合を介した結合部分の取り付けは、連結される結合部分を有するPIを生じる。
【0056】
結合部分が、抗体又は抗原決定基のような、ビオチン以外の何かである場合、類似の連結する化学を、結合部分をPIのアシル鎖へ付けるために、利用することができる。
【0057】
(結合マトリックス)
結合部分を基質へ取り付けない場合、好適な結合マトリックスは、アルデヒドで活性化された固体の保持体又は基質、最も好ましくはアルデヒドで活性化された再生セルロースである。好適なマトリックスは、Sartorius Corporation(Edgewood,New York,USA及びGoettingen,Germany)から市販されている“SARTOBIND”(R)銘柄のアルデヒド膜、並びに(以下の段落に記載する)SAM2(R)銘柄の膜である。同様に、ジエチルアミノエチル セルロース及びポリ二フッ化ビニリデンを含む保持体もまた使用することができる。
【0058】
結合部分がビオチンである場合、好適な結合マトリックスは、不動にしたアビジン又はストレプトアビジンを有する保持体である。保持体は、フィルター、膜、ビーズ等の形態にあってもよい。最も好適なマトリックスは、Promega Corporation,Madison,WisconsinからのSAM2(R)銘柄のBiotin Capture Menbrane又はSAM2(R)銘柄の96Biotin Capture Plate(96−ウェルマイクロ滴定量形式)である。SAM2(R)銘柄の膜は、ビオチン化された分子を、ストレプトアビジンに対するそれらの強い親和性に基づいて、結合させる。膜を生成する過程は、ビオチン化された基質の急速な定量的な捕捉を促進させる、膜のフィルターのマトリックスにおける高い密度のストレプトアビジンに帰着する。加えて、SAM2(R)銘柄の膜を、低い非特異的な結合に関して最適化してきた。96ウェルプレート形式を使用することは、真空マニホールド又は市販のプレート洗浄器を使用して行なわれる洗浄を可能にする。
【0059】
結合部分が、抗体又は抗原決定基である場合、好適な結合マトリックスは、不動にした結合部分と強く特異的に結合させる化合物を有する親和性マトリックスである。
【0060】
(評価分析することができる酵素)
本評価分析法を、任意の脂質又はリン脂質キナーゼ又はホスファターゼの存在を検出する及び測定するために、使用することができる。要するに、その触媒活性がリン酸基を脂質若しくはリン脂質の基質へ移動させる任意の酵素、又はその触媒活性がリン酸基を脂質若しくはリン脂質の基質から取り除く任意の酵素を、本発明を使用して、評価分析することができる。
【0061】
より具体的には、酵素分類(EC)2.7.1.x(ここでxは、変数である)内に属する、限定ではなく、EC2.7.1.1 ヘキソキナーゼ、EC2.7.1.2 グルコキナーゼ、EC2.7.1.3 ケトへキソキナーゼ、EC2.7.1.4 フルクトキナーゼ、EC2.7.1.5 ラムノロキナーゼ、EC2.7.1.6 ガラクトキナーゼ、EC2.7.1.7 マンノキナーゼ、EC2.7.1.8 グルコサミンキナーゼ、EC2.7.1.10 ホスホグルコキナーゼ、EC2.7.1.11 6−ホスホフルクトキナーゼ、EC2.7.1.12 グルコノキナーゼ、EC2.7.1.13 デヒドログルコノキナーゼ、EC2.7.1.14 セドへプツロキナーゼ、EC2.7.1.15 リボキナーゼ、EC2.7.1.16 リブロキナーゼ、EC2.7.1.17 キシルロキナーゼ、EC2.7.1.18 ホスホリボキナーゼ、EC2.7.1.19 ホスホリブロキナーゼ、EC2.7.1.20 アデノシンキナーゼ、EC2.7.1.21 チミジンキナーゼ、EC2.7.1.22 リボシルニコチンアミドキナーゼ、EC2.7.1.23 NADキナーゼ、EC2.7.1.24 デホスホ−CoAキナーゼ、EC2.7.1.25 硫酸アデニリルキナーゼ、EC2.7.1.26 リボフラビンキナーゼ、EC2.7.1.27 エリトリトールキナーゼ、EC2.7.1.28 トリオキナーゼ、EC2.7.1.29 グリセロンキナーゼ、EC2.7.1.30 グリセロールキナーゼ、EC2.7.1.31 グリセリン酸キナーゼ、EC2.7.1.32 コリンキナーゼ、EC2.7.1.33 パントテン酸キナーゼ、EC2.7.1.34 パントテニンキナーゼ、EC2.7.1.35 ピリドキサルキナーゼ、EC2.7.1.36 メバロン酸キナーゼ、EC2.7.1.37 タンパク質キナーゼ、EC2.7.1.38 ホスホリラーゼキナーゼ、EC2.7.1.39 ホモセリンキナーゼ、EC2.7.1.40 ピルビン酸キナーゼ、EC2.7.1.41 グルコース−1−リン酸ホスホジムターゼ、EC2.7.1.42 リボフラビンホスホトランスフェラーゼ、EC2.7.1.43 グルクロノキナーゼ、EC2.7.1.44 ガラクツロノキナーゼ、EC2.7.1.45 2−デヒドロ−3−デオキシグルコノキナーゼ、EC2.7.1.46 L−アラビノキナーゼ、EC2.7.1.47 D−リブロキナーゼ、EC2.7.1.48 ウリジンキナーゼ、EC2.7.1.49 ヒドロキシメチルピリミジンキナーゼ、EC2.7.1.50 ヒドロキシエチルチアゾールキナーゼ、EC2.7.1.51 L−フクロキナーゼ、EC2.7.1.52 フコキナーゼ、EC2.7.1.53 L−キシルロキナーゼ、EC2.7.1.54 D−アラビノキナーゼ、EC2.7.1.55 アロースキナーゼ、EC2.7.1.56 1−ホスホフルクトキナーゼ、EC2.7.1.58 2−デヒドロ−3−デオキシガラクトノキナーゼ、EC2.7.1.59 N−アセチルグルコサミンキナーゼ、EC2.7.1.60 N−アシルマンノースアミンキナーゼ、EC2.7.1.61アシルリン酸ヘキソースホスホトランスフェラーゼ、EC2.7.1.62 ホスホルアミド酸ヘキソースホスホトランスフェラーゼ、EC2.7.1.63 ポリリン酸グルコースホスホトランスフェラーゼ、EC2.7.1.64 イノシトール 1−キナーゼ、EC2.7.1.65 シロ−イノサミン 4−キナーゼ、EC2.7.1.66 ウンデカプレノールキナーゼ、EC2.7.1.67 1−ホスファチジルイノシトール 4−キナーゼ、EC2.7.1.68 1−ホスファチジルイノシトール−4−リン酸 5−キナーゼ、EC2.7.1.69 タンパク質−NP−ホスホヒスチジン−糖ホスホトランスフェラーゼ、EC2.7.1.70 プロタミンキナーゼ、EC2.7.1.71 シキミ酸キナーゼ、EC2.7.1.72 ストレプトマイシン 6−キナーゼ、EC2.7.1.73 イノシンキナーゼ、EC2.7.1.74 デオキシシチジンキナーゼ、EC2.7.1.75(現在、EC2.7.1.21)、EC2.7.1.76 デオキシアデノシンキナーゼ、EC2.7.1.77 ヌクレオシドホスホトランスフェラーゼ、EC2.7.1.78 ポリヌクレオチド 5’−ヒドロキシルキナーゼ、EC2.7.1.79 二リン酸グリセロールホスホトランスフェラーゼ、EC2.7.1.80 二リン酸−セリンホスホトランスフェラーゼ、EC2.7.1.81 ヒドロキシリシンキナーゼ、EC2.7.1.82 エタノールアミンキナーゼ、EC2.7.1.83 プソイドウリジンキナーゼ、EC2.7.1.84 アルキルグリセロンキナーゼ、EC2.7.1.85 b−グルコシドキナーゼ、EC2.7.1.86 NADH2キナーゼ、EC2.7.1.87 ストレプトマイシン 3’’−キナーゼ、EC2.7.1.88 ジヒドロストレプトマイシン−6−リン酸 3’a−キナーゼ、EC2.7.1.89 チアミンキナーゼ、EC2.7.1.90 ジリン酸−フルクト−ス−6−リン酸 1−ホスホトランスフェラーゼ、EC2.7.1.91 スフィンガニンキナーゼ、EC2.7.1.92 5−デヒドロ−2−デオキシグルコノキナーゼ、EC2.7.1.93 アルキルグリセロールキナーゼ、EC2.7.1.94 アシルグリセロールキナーゼ、EC2.7.1.95 カナマイシンキナーゼ、EC2.7.1.96(EC2.7.1.86に含まれる)、EC2.7.1.97(EC2.7.1.125と同一)、EC2.7.1.99 {ピルビン酸デヒドロゲナーゼ(リポアミド)}キナーゼ、EC2.7.1.100 5−メチルチオリボースキナーゼ、EC2.7.1.101 タガトースキナーゼ、EC2.7.1.102 ハマメロースキナーゼ、EC2.7.1.103 バイオマイシンキナーゼ、EC2.7.1.104 二リン酸−タンパク質ホスホトランスフェラーゼ、EC2.7.1.105 6−ホスホフルクト−2−キナーゼ、EC2.7.1.106 グルコース−1,6−重リン酸シンターゼ、EC2.7.1.107 ジアシルグリセロールキナーゼ、EC2.7.1.108 ドリコールキナーゼ、EC2.7.1.109{ヒドロキシメチルグルタリル−CoAレダクターゼ(NADPH2)}キナーゼ、EC2.7.1.110 デホスホ−{レダクターゼキナーゼ}キナーゼ、EC2.7.1.111(現在、EC2.7.1.128)、EC2.7.1.112 タンパク質−チロシンキナーゼ、EC2.7.1.113 デオキシグアノシンキナーゼ、EC2.7.1.114 AMP−チミジンキナーゼ、EC2.7.1.115 {3−メチル−2−オキソブタン酸デヒドロゲナーゼ(リポアミド)}キナーゼ、EC2.7.1.116 {イソクエン酸デヒドロゲナーゼ(NADP)}キナーゼ、EC2.7.1.117 ミオシン−軽鎖キナーゼ、EC2.7.1.118 ADP−チミジンキナーゼ、EC2.7.1.119 ハイグロマイシン−B キナーゼ、EC2.7.1.120 カルデスモンキナーゼ、EC2.7.1.121 ホスフェノールピルビン酸−グリセロンホスホトランスフェラーゼ、EC2.7.1.122 キシリトールキナーゼ、EC2.7.1.123 Ca2+/カルモジュリン依存性タンパク質キナーゼ、EC2.7.1.124 {チロシン3−モノオキシゲナーゼ}キナーゼ、EC2.7.1.125 ロドプシンキナーゼ、EC2.7.1.126 b−アドレナリン性受容体キナーゼ、EC2.7.1.127 1−D−ミオ−イノシトール−トリスリン酸 3−キナーゼ、EC2.7.1.128 {アセチル−CoAカルボキシラーゼ}キナーゼ、EC2.7.1.129 ミオシン−重鎖キナーゼ、EC2.7.1.130 テトラアシルジサッカリド 4’−キナーゼ、EC2.7.1.131 低密度−リポタンパク質キナーゼ、EC2.7.1.132 トロポミオシンキナーゼ、EC2.7.1.133 イノシトール−トリスリン酸 6−キナーゼ、EC2.7.1.134 イノシトール−テトラキスリン酸 1−キナーゼ、EC2.7.1.135 タウタンパク質キナーゼ、EC2.7.1.136 マクロライド 2’−キナーゼ、EC2.7.1.137 1−ホスファチジルイノシトール 3−キナーゼ、EC2.7.1.138 セラミドキナーゼ、EC2.7.1.139 イノシトール−トリスリン酸 5−キナーゼ、EC2.7.1.140 イノシトール−テトラキスリン酸 5−キナーゼ、EC2.7.1.141 {RNA−ポリメラーゼ}−サブユニットキナーゼ、EC2.7.1.142 グリセロールリン酸グルコースホスホトランスフェラーゼ、EC2.7.1.143 二リン酸−プリンヌクレオシドキナーゼ、EC2.7.1.144 タガトース−6−リン酸キナーゼ、及びEC2.7.1.145 デオキシヌクレオシドキナーゼを含む、任意の脂質又はリン脂質キナーゼの存在及び/又は活性を決定するために、本評価分析法を使用することができる。
【0062】
本評価分析法を使用して評価分析することができる好適なキナーゼは、EC2.7.1.137(1−ホスファチジルイノシトール 3−キナーゼ、ここではPI−3Kと呼ぶ)、EC2.7.1.67(1−ホスファチジルイノシトール 4−キナーゼ)、EC2.7.1.68(1−ホスファチジルイノシトール−4−リン酸 5−キナーゼ、またジホスホイノシチド又はPIPキナーゼとも呼ばれる)、1−ホスファチジルイノシトール 5−キナーゼ(PI−5K)などを含む。
【0063】
ホスファターゼに関しては、酵素分類(EC)3.1.3.x及びEC3.1.4.x(ここでxは、変数である)内に属する、限定ではなく、EC3.1.3.1 アルカリ性のホスファターゼ、EC3.1.3.2 酸ホスファターゼ、EC3.1.3.3ホスホセリンホスファターゼ、EC3.1.3.4 ホスファチジン酸ホスファターゼ、EC3.1.3.5 5’−ヌクレオチダーゼ、EC3.1.3.6 3’−ヌクレオチダーゼ、EC3.1.3.7 3’(2’),5’−ビスリン酸ヌクレオチダーゼ、EC3.1.3.8 3−フィターゼ、EC3.1.3.9 グルコース−6−ホスファターゼ、EC3.1.3.10 グルコース−1−ホスファターゼ、EC3.1.3.11 フルクトース−ビスホスファターゼ、EC3.1.3.12 トレハロースホスファターゼ、EC3.1.3.13 ビスホスホグリセリン酸ホスファターゼ、EC3.1.3.14 メチルホスホチオグリセリン酸ホスファターゼ、EC3.1.3.15 ヒスチジノールホスファターゼ、EC3.1.3.16 ホスホプロテインホスファターゼ、EC3.1.3.17 {ホスホリラーゼ}ホスファターゼ、EC3.1.3.18 ホスホグリコール酸ホスファターゼ、EC3.1.3.19 グリセロール−2−ホスファターゼ、EC3.1.3.20 ホスホグリセリン酸ホスファターゼ、EC3.1.3.21 グリセロール−1−ホスファターゼ、EC3.1.3.22 マンニトール−1−ホスファターゼ、EC3.1.3.23 糖−ホスファターゼ、EC3.1.3.24 スクロースホスファターゼ、EC3.1.3.25 イノシトール−1(又は4)−モノホスファターゼ、EC3.1.3.26 6−フィターゼ、EC3.1.3.27 ホスファチジルグリセロホスファターゼ、EC3.1.3.28 ADPホスホグリセリン酸ホスファターゼ、EC3.1.3.29 N−アシルノイラミン酸ホスファターゼ、EC3.1.3.30 削除、EC3.1.3.31に含まれる、EC3.1.3.31 ヌクレオチダーゼ、EC3.1.3.32 ポリヌクレオチド 3’−ホスファターゼ、EC3.1.3.33 ポリヌクレオチド 5’−ホスファターゼ、EC3.1.3.34 デオキシヌクレオチド 3’−ホスファターゼ、EC3.1.3.35 チミジル酸 5’−ホスファターゼ、EC3.1.3.36 ホスファチジルイノシトール−ビスホスファターゼ、EC3.1.3.37 セドヘプツロース−ビスホスファターゼ、EC3.1.3.38 3−ホスホグリセリン酸ホスファターゼ、EC3.1.3.39 ストレプトマイシン−6−ホスファターゼ、EC3.1.3.40 グアニジノデオキシ−シロ−イノシトール−4−ホスファターゼ、EC3.1.3.41 4−ニトロフェニルホスファターゼ、EC3.1.3.42 {グリコーゲンシンターゼ−D}ホスファターゼ、EC3.1.3.43{ピルビン酸デヒドロゲナーゼ(リポアミド)}−ホスファターゼ、EC3.1.3.44 {アセチル−CoAカルボン酸}−ホスファターゼ、EC3.1.3.45 3−ドキシ−マンノ−オクツロソン酸−8−ホスファターゼ、EC3.1.3.46 フルクトース−2,6−ビスリン酸 2−ホスファターゼ、EC3.1.3.47 {ヒドロキシメチルグルタリル−CoA レダクターゼ(NADPH)−ホスファターゼ、EC3.1.3.48 タンパク質−チロシン−ホスファターゼ、EC3.1.3.49 {ピルビン酸キナーゼ}−ホスファターゼ、EC3.1.3.50 ソルビトールホスファターゼ、EC3.1.3.51 ドリキル−ホスファターゼ、EC3.1.3.52 {3−メチルオキソブタン酸デヒドロゲナーゼ(リポアミド)}−ホスファターゼ、EC3.1.3.53 ミオシン−軽鎖−ホスファターゼ、EC3.1.3.54 フルクトース−2、6−ビスリン酸 6−ホスファターゼ、EC3.1.3.55 カルデスモンホスファターゼ、EC3.1.3.56 イノシトール−1,4,5−トリスリン酸 5−ホスファターゼ、EC3.1.3.57 イノシトール−1,4−ビスリン酸 1−ホスファターゼ、EC3.1.3.58 糖−末端−ホスファターゼ、EC3.1.3.59 アルキルアセチルグリセロホスファターゼ、EC3.1.3.60 ホスホエノールピルビン酸ホスファターゼ、EC3.1.3.61 イノシトール−1,4,5−トリスリン酸 1−ホスファターゼ、EC3.1.3.62 イノシトール−1,3,4,5−テトラキスリン酸 3−ホスファターゼ、EC3.1.3.63 2−カルボキシ−D−アラビニトール−1−ホスファターゼ、EC3.1.3.64 ホスファチジルイノシトール−3−ホスファターゼ、EC3.1.3.65 イノシトール−1,3−ビスリン酸 3−ホスファターゼ、EC3.1.3.66 イノシトール−3,4−ビスリン酸 4−ホスファターゼ、EC3.1.3.67 ホスファチジルイノシトール−3,4,5−トリスリン酸 3−ホスファターゼ、EC3.1.3.68 2−デオキシグルコースホスファターゼ、EC3.1.4.1 ホスホジエステラーゼI、EC3.1.4.2 グリセロホスホコリンホスホジエステラーゼ、EC3.1.4.3 ホスホリパーゼC、EC3.1.4.4 ホスホリパーゼD、EC3.1.4.10 1−ホスファチジルイノシトールホスホジエステラーゼ、EC3.1.4.11 1−ホスファチジルイノシトール−4,5−ビスリン酸ホスホジエステラーゼ、EC3.1.4.12 スフィンゴミエリンホスホジエステラーゼ、EC3.1.4.13 セリン−エタノールアミンリン酸ホスホジエステラーゼ、EC3.1.4.14 {アシル−担体−タンパク質}ホスホジエステラーゼ、EC3.1.4.15 アデニリル−{グルタミン酸アンモニアリガーゼ}ヒドロラーゼ、EC3.1.4.16 2’,3’−環状ヌクレオチド 2’−ホスホジエステラーゼ、EC3.1.4.17 3’,5’−環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ、EC3.1.4.35 3’,5’−環状−GMP ホスホジエステラーゼ、EC3.1.4.36 1,2−環状イノシトール−リン酸ホスホジエステラーゼ、EC3.1.4.37 2’,3’−環状ヌクレオチド 3’−ホスホジエステラーゼ、EC3.1.4.38 グリセロホスホコリンコリンホスホジエステラーゼ、EC3.1.4.39 アルキルグリセロホスホエタノールアミン ホスホジエステラーゼ、EC3.1.4.40 CMP−N−アシルノイラミン酸ホスホジエステラーゼ、EC3.1.4.41 スフィンゴミエリンホスホジエステラーゼD、EC3.1.4.42 グリセロール−1,2−環状−リン酸 2−ホスホジエステラーゼ、EC3.1.4.43 グリセロホスホイノシトールイノシトールホスホジエステラーゼ、EC3.1.4.44 グリセロホスホイノシトールグリセロホスホジエステラーゼ、EC3.1.4.45 N−アセチルグルコサミン−1−ホスホジエステル a−N−アセチルグルコサミニダーゼ、EC3.1.4.46 グリセロホスホジエステルホスホジエステラーゼ、EC3.1.4.47 変異体−表面−糖タンパク質ホスホリパーゼC、EC3.1.4.48 ドリキルリン酸グルコースホスホジエステラーゼ、EC3.1.4.49 ドリキルリン酸マンノースホスホジエステラーゼ、EC3.1.4.50 糖タンパク質ホスホリパーゼD、EC3.1.4.51 グルコース−1−ホスホ−D−マンノシル糖タンパク質ホスホジエステラーゼ、を含む、任意の脂質又はリン脂質ホスファターゼの存在及び/又は活性を決定するために、本評価分析法を使用することができる。
【0064】
本評価分析法を使用して評価分析することができる好適なホスファターゼは、EC3.1.3.27(ホスファチジルグリセロホスファターゼ)、EC3.1.3.36(ホスファチジルイノシトールビスホスファターゼ;トリホスホイノシチドホスファターゼ)、EC3.1.3.64(ホスファチジルイノシトール−3−ホスファターゼ)、EC3.1.3.67(ホスファチジルイノシトール−3,4,5−トリスリン酸 3−ホスファターゼ)、EC3.1.4.10(1−ホスファチジルイノシトールホスホジエステラーゼ;モノホスファチジルイノシトールホスホジエステラーゼ;ホスファチジルイノシトールホスホリパーゼC)、EC3.1.4.11(1−ホスファチジルイノシトール−4,5−ビスリン酸ホスホジエステラーゼ、トリホスホイノシチドホスホジエステラーゼ)、ホスファチジルイノシトール 3,4,5−トリリン酸 5−ホスファターゼなどを含む。
【0065】
また、評価分析法を、ホスホリラーゼの存在又は活性に関する評価分析するために、拡張することができる。
【0066】
(キット)
また、本発明は、ここで記載した評価分析法を利用するキットにも向けられる。脂質/リン脂質キナーゼ又はホスファターゼの酵素の存在及び/又は活性を測定するための基本的なキットは、取り付けられる結合部分を有する天然の、半合成の、又は全合成の酵素基質及び/又は変成した酵素基質を含有する容器を含み、その変成した基質は、評価分析される酵素に対して特異的な反応性を有する。またキットは、変性した基質における結合部分を特異的に吸収する又はさもなければその結合部分に結合すると共にその結合部分を不動にする結合マトリックスを含有する。またキットの使用に関する使用説明書も含んでもよい。またキットは、適切な容器に配分される適切な量の反応緩衝剤を含んでもよい。
【0067】
“使用に関する使用説明書”は、試薬の濃度又は、混合される試薬及び試料の相対的な量、試薬/試料の混合に対する保全時間間隔、温度、緩衝剤の条件などのような少なくとも一つの評価分析方法のパラメータを記載する明解な表現である。使用に関する使用説明書は、分析者が所望の評価分析法を実行することを可能とすることに適する。
【0068】
変性した基質が、好適な結合部分、ビオチンを含む場合、キットの好適な実施例は、フィルター、ディスク、ビーズ、プレート、又は可溶なマトリックスのような不活性な保持体に不動にされたアビジン又はストレプトアビジンの分子を含む、ビオチン−結合マトリックスを含む。
【0069】
キットにおける様々な試薬の量を、評価分析の最適な感度、行なわれる評価分析の数などのような様々な因子に依存して、変動させることができる。
【0070】
手動の試験キット又は自動化された分析器における使用のための試験キットを提供することは、本発明の範囲内にある。
【0071】
(評価分析のプロトコル)
先行技術の方法(左手の列)を本発明の好適な実施例(右手の列)に対して比較するフローチャートであるここで図1を参照して、本発明の多くの利点は、直ちに明らかになる。
【0072】
最初に本発明を扱うと、最も直接の利点は、脂質を、有機溶媒から乾燥させる必要がないことである。代わりに、反応溶液を、単純に、結合マトリックスへ直接スポッティングする。酵素を、結合する基質へ添加し、反応は、指定された時間の間隔で進む。次に、反応を停止させ、膜を水洗し、マトリックスに保持された標識の量を測定する。
【0073】
全く反対に、従来のアプローチは、脂質の基質を、有機溶媒(通常、クロロホルム/メタノール)から乾燥させると共に水性の反応溶液中で(通常、音波処理によって)再懸濁させなければならないことを要求する。次に、研究される酵素の反応を水性の反応溶液中で行なう。反応が完了した後、脂質の生成物を、定量分析のためにクロロホルム/メタノール中へ戻して抽出しなければならない。このように、従来のアプローチは、時間を消費し試薬を消費すると共に自動化にあまり適応しない、多くの手動の分離段階を必然的に伴う。これらの乾燥及び抽出段階に対する必要性を、本発明においては最小にする又は完全に除去する。
【0074】
本発明の評価分析のプロトコルを、多くの例を介して最も良く説明する。例は、ここに記載すると共に請求する本発明のより完全な理解を提供するためにのみ含まれる。例は、請求する本発明の範囲をどのようにも限定しない。
【0075】
(例1)
以下の例は、ホスホイノシチドキナーゼの二つの明確な構造の系統(それぞれ、PI及びPIPキナーゼ)からの構成員の、PI−3キナーゼ及びPI4P−5キナーゼが、固体の保持体に不動にしてあったリン脂質の基質にリン酸を加えるように作用し得ることを証明する。更に、この例は、反応の基質が小胞又はミセルとして存在する水相よりもむしろ、単量体(即ち、個々の脂質の分子)として反応の基質が存在する場合に、これを有機の溶液から直接成し遂げることができることを証明する。
【0076】
さらに、この例は、生成物の脂質が、洗浄の処理手順の間、マトリックスに結合されたままであることによって、反応溶液の未反応の反応物、酵素、及び他の生成物でない成分から酵素の反応の生成物を分離するための容易な手段を提供することを示す。
【0077】
本発明に従って発生させたデータを、図1に例示した従来のリン脂質の抽出処理手順を使用して発生させた類似のデータと比較する。従来のアプローチにおいて、酵素変性に対する基質は、水性の反応溶液における小胞又はミセルの形態で与えられる。(水溶液中で起こる)酵素反応の後、生成物の脂質を、生成物を有機相、通常クロロホルム/メタノール中へ戻して抽出することによって、他の反応の構成成分から分離する。生成物の脂質は、他の反応の構成成分が水相相に残ると同時に、有機相中へ分配する。先行技術の方法及び本発明の比較的なフローチャートを図1に与える。
【0078】
脂質、10μgのPI4,5P2+20μgのPSを、クロロホルム:メタノール(2:1)に溶解させ、PI−3K活性の測定用に“SAM2”銘柄の膜に加えた。膜を空気乾燥させ、50mMのHEPES/NaOH,pH7.5、100mMのNaCl、10mMのMgCl2、20ngの部分的に精製したPI−3K又は10ngの精製したPI4P−5K、1μCiのγ−32P−ATPを補給した50μMのATPを含有する反応混合物を、不動にした脂質を含有する膜に添加した。
【0079】
室温での保温に続けて、反応を、7.5Mのグアニジン クロリドで停止させ、膜を、2MのNaCl、引き続き2MのNaCl/1%H3PO4で洗浄した。洗浄した膜を乾燥させ、シンチレーション計数にかけた。得られたデータを図2Aに与える(白棒)。
【0080】
従来のリン脂質の抽出処理手順において、上に示した同じ量の脂質を窒素の下で乾燥させ、1mMのEDTAを含有する50mMのHEPES/NaOH,pH7.5の緩衝剤中で音波処理によって再懸濁させた。次に、反応混合物を、音波処理した脂質に添加し、反応を水溶液中で実行した。反応を、1NのHClで停止させ、脂質を、図1に示すように抽出し、定量分析した。それらのデータを図2Aに示す(黒棒)。
【0081】
図2Bで使用するような免疫沈降させた酵素を発生させるために、エーテル麻酔の後、肝臓をラットから取り除いた。肝臓を小片に切り出し、均質化した。ホモジェネートを、10分間、10,000×gで遠心分離機にかけた。その上澄みを、1時間、15,000×gで遠心分離機にかけた。次に、上澄みを、1M酢酸の液滴の添加によって、pH5.75まで滴定した。4℃で10分間攪拌した後、溶液を、10分間、10,000×gで遠心分離機にかけた。ペレットを、50mMのHEPES/NaOH,pH7.5を含有する緩衝剤中で再懸濁した。
【0082】
次に、6μlの抗PI−3キナーゼp85ウサギ多クローン性IgG(Upstate Biotechnology,Lake Placid,New York)を、崩壊した細胞の溶液を含有する各管へ添加し、管を、4℃で一晩中保温した。次に100μlのタンパク質AセファロースCL−4B(Pharmacia,Peapack,New Jersey)を、各管へ添加し、それらを、4℃で2時間、さらに保温した。次に、セファロース/抗体/抗原の複合体(“複合体”)を、遠心分離によってペレットにし、上澄みを取り除き、1%NP−40及び10%グリセロールを含有するPBSで複合体を二回、500mMのNaCl及び100μMのNa3VO4を含有する100mMのトリス/HCl(pH7.5)で三回、及び100mMのNaCl、1mMのEDTA、100μMのNa3VO4を含有する10mMのトリス/HClで二回洗浄する。次に、100mMのNaClを含有する50μlの10mMのトリス/HCl(pH7.5)を複合体に添加し、そしてこの溶液を免疫沈降させたPI−3キナーゼ酵素と呼んだ。
【0083】
免疫沈降したPI−3Kを、“SAM”銘柄の膜に不動にさせた脂質の基質を伴う精製したPI−3Kに関して、上述のように評価分析した。全ての反応を、反応の基質として10μgのPI4,5P2+20μgのPS(図2B、棒3及び4)又は50μgのPI(図2B、棒1及び2)を使用して室温で実行させた。
【0084】
(例2)
例1に描くものに類似の評価分析法を、ホスファチジルイノシトール−3,4,5−三リン酸 3−ホスファターゼのような脂質及びリン脂質ホスファターゼの存在及び/又は活性に関して評価分析するために結集させることができる。
【0085】
ここで、結合部分をもつ基質を、既知の量の{γ−32P}ATPでリン酸化する。
【0086】
反応の構成成分は、例1に記載したものと同じであった。反応の構成成分を、“SAM2”銘柄の膜へ直接加え、反応は、指定した時間間隔で進み、それから終結した。実験の結果を、反応物に存在する放射能と比較して、結合マトリックスに付着する生成物に存在する減少させた量の放射を測定することによって発生させる。
【0087】
(例3)
休止細胞において、PI−3Kをサイトゾル中に置く。しかしながら、細胞の刺激において、酵素は、それが特定の受容体と関係付けられると共に信号のさらなる伝播に伴われる原形質膜へ入れられる。この例は、記載した方法が、活性化された受容体と関係付けられるPI−3Kの活性を測定することを可能にすることを説明する。3T3NIH細胞(0.5×107個の細胞)を、無血清培地で一晩で死滅させた。PDGF(50ng/ml)を、死滅させた細胞へ添加し、37℃で5分間、その導入を実行した。PDGFの導入に続けて、細胞を、PBSで一回洗浄すると同時に、プレート上で、PBS中に解体し、遠心分離管へ移し、遠心分離によってペレットにした。細胞のペレットを、崩壊させ、活性化した受容体−PI−3K複合体を、抗ホスホチロシン特異性抗体を使用して、免疫沈降させた。PI−3Kの反応を、基質としてPIP4,5P2(10μg)を使用して、60分間進ませ、20μgの担体の脂質(PS)と一緒に“SAM2”銘柄の膜に不動にさせた。PDGFでの刺激においてPI−3Kの活性における増加を図3に示す。この例は、本発明が、活性化に関して細胞を監視することを可能とすると共に活性化された受容体と関係付けられたPI−3Kの活性の定量分析もまた可能とすることを、明らかに示す。
【0088】
(例4)
この例は、結合マトリックスに加えた脂質の基質の量に対するPIKの活性の依存性を説明する。図4Aにおいて、(述べた任意の変性を伴う、例1のプロトコルを使用して)室温で60分間Alexis(12.5μg/ml)からのPI−3Kを使用して、PI−3Kの活性を測定した。図4Bにおいて、室温で60分間、精製したPI−5K(125ng/ml)を使用して、PI−5Kの活性を測定した。脂質の基質に加えて、全ての試料は、膜に加えた10μgのPSを含有していた。
【0089】
図4Aに示すように、反応は、基質の0からおおよそ6μgまで線形な応答を生じる。次に、反応は、おおよそ7μgのPIP2で飽和点に到達する。基質のこの濃度を超えて、追加の基質の存在は、形成された生成物における、より高い放射能の組み込みに帰着しない。PI−5Kに対する結果を説明する、図4Bは、CPM計数として表現された酵素活性が、1から10μgまでのPI4Pの濃度からの進行において変化しないままであることを示し、よって、これらの基質のレベルで反応は既に飽和することを示す。
【0090】
(例5)
この例は、本発明を使用するPIP−5K活性の線形な検出を説明する。予め番号付けられた正方形の膜へスポットされる、クロロホルム/メタノール2:1中に1μgのPI4P及び10μgのPSを含有する3μlの脂質の混合物と共に、記載したプロトコル(例1)を使用して評価分析を行なった。
【0091】
図5A及び5Bにおいて、PI−5K活性を、4ngの精製したタンパク質を使用して、異なる時点(0、2.5、5、10、及び20分)で測定した。図5C及び5Dにおいて、PI−5K活性を、異なるタンパク質の濃度(0、50、125、200、250ng/ml)を使用して10分間測定した。反応生成物を、ホスホイメージング(図5A及び5C)によって、又はシンチレーション計数(図5B及び5D)によって、定量分析した。この一連の図によって明らかに説明するように、評価分析法のプロトコルは、線形な時間依存性の結果(図5A及び5B)並びに濃度依存性の結果(図5C及び5D)を生じる。20pmol及び1.2nmolの間の形成された生成物を、本発明を使用して、検出することができる。
【0092】
(例6)
この例において、PI−3Kの活性の線形な検出を、本発明を使用して評価分析した。変性したSAM銘柄の膜、96−ウェルプレート(Promega)のウェルへスポットされる、クロロホルム/メタノール2:1における5μlのPI(25μg)と共に、記載したプロトコルを使用して、評価分析を行った。異なる量の部分的に精製したPI−3K、1ng(薄緑色)、2ng(濃緑色)、4ng(黄色)、8ng(橙色)、16ng(赤色)を使用して、評価分析を行った。得られたシンチレーション計数に基づいて、特異的な活性を、計算してきたと共に図6に示す。異なる量のタンパク質に関する計算した初期の反応速度を図6Bに示す。この例は、本方法が、広い濃度範囲にわたって酵素の線形な検出を生じることを示す。
【0093】
(例7)
この例は、本発明を使用して検出された反応生成物対図1に概略を述べた従来のリン脂質抽出処理手順の比較である。図10において、反応基質として1μgのPI4P+10μgのPS、及び酵素の源として精製したPI−5Kを使用して活性を評価した。0(レーン3、4)及び30(レーン1、2)分に対して反応を実行した。従来のリン脂質の抽出処理手順を使用して(レーン2、4)、又は本発明に従って(レーン1、3)、反応を行った。本発明を使用するとき、膜のシートで行なわれた反応に引き続き、脂質をTLC定量分析用に再抽出した。
【0094】
その結果は、本発明を使用して形成された生成物が、酵素の活性に関する有用な情報、先に記載した広く使用される従来の評価分析と同等である情報を生じることを示す。
【0095】
(例8)
この例は、本発明の再現性を証明する。
【0096】
図7A:40分間、脂質の基質として部分的に精製したPI−3K(500ng/ml)及びPIP2(10μg)+PS(20μg)、
図7B:15分間、PI−5K(125ng/ml)及びPI4P(1μg)+PS(10μg)、
図7C:60分間、PI−5K(125ng/ml)及びPI4P(1μg)、を使用して評価分析を行った。
【0097】
1μCiの32P−ATPを使用して室温で全ての評価分析を行なった。
【0098】
図7Cにおいて、三つの異なるプレート(それぞれ、試料1−4、5−8、9−12)で反応を実行した。各プレートにおいて、反応を三つの異なる場所で三回ずつ行なった。各点は、三つの独立な反応の平均を表す。黄色の棒は、同じプレートで行なわれた9個の点の平均を示す。
【0099】
この実験の組みによって明らかに示されるように、本方法は、高い再現性がある。
【0100】
(例9)
この例は、酵素の反応によって形成された生成物が活性な酵素の存在のみによることを説明する。これは、PI−3Kに対して特異的である阻害剤の存在下で反応を進ませるとき、形成された生成物の損失によって示される。反応を、PI−3K阻害剤、wortmannin(最終濃度100nM)の存在(三角形)又は不在(菱形)下で、異なる時間間隔で、部分的に精製したPI−3Kと共に進ませた。図8を参照のこと。図8に示すように、評価分析をPI−3K阻害剤の存在下で行ったとき、本方法は、CPM値で表現されるような非常に減少した放射性標識された生成物を生じた。
【0101】
(例10)
この例は、脂質の基質に対する反応の特異性を説明する。ここで、反応を、異なる脂質の基質、PI3,4P(レーン1)、PI3,5P(レーン2)及びPI4,5P2(レーン3)、を使用して、室温で15分間、精製したPI−5K(125ng/ml)と共に行った。5−位にリン酸基を既に有する、PI3,5P(レーン2)及びPI4,5P(レーン3)は、PI−5K、適切な基質の5−位へのリン酸基の付加を触媒するように機能する酵素に対する基質ではない。このように、図9に明らかに示すように、評価分析法は、適切な結果を発生させ、よって酵素基質に対する特異性を証明する。PI3,4P(レーン1)は、PI−5K酵素に対する適切な基質であり、酵素が現実にこれらの基質を特異的にリン酸化してきたことを示す、期待された対応するCPM値を示す。
【0102】
(例11)
以下の例は、リン脂質が、酵素及びビオチン化された基質の間における相互作用を妨げないような方法でビオチン化されるとき、PI−3キナーゼ(PI−3K)が、ビオチン化されたリン脂質に対してリン酸基を添加するように作用し得ることを証明する。ビオチン基は、脂質の基質へ、好ましくは脂質の鎖の端へ取り付けられる。また、この例は、ストレプトアビジンのマトリックスが、生成物の検出及び定量を可能にするために、反応混合物のビオチン化されてない構成成分からビオチン化されたリン酸化された生成物を分離することが可能であることも証明する。
【0103】
脂質:30μgの短鎖のPI4P−C8、ビオチン変性させた短鎖のPI4P−C6−ビオチン、及び長鎖のPI4P−C16を、個別の管において、10μgの担体脂質(PS)の存在下で、真空下で乾燥させた。乾燥させた脂質を、50mMのHEPES/NaOH,pH7.5+1mMのEDTA緩衝剤に溶解させ、5分間、音波処理を受けさせた。この溶液を“調製した基質”と呼ぶ。
【0104】
次に、以下のキナーゼの反応
4μlの100mMのMgCl2、
20μlの調製した基質、
1μlの精製したPIP4−5K又はPI−3K
11μlの50mMのHEPES/NaOH+100mMのNaCl緩衝剤、 4μlの0.5mMの、1μCiの32P−ATPを含有するATP、
を結集させた。
【0105】
反応を、室温で15分間実行した。図11Aにおいて、その反応に引き続き、脂質を抽出し、ビオチン化された脂質をPI−キナーゼによって変性させることができることを示すために、TLCで定量分析した。図11Bにおいて、25%の反応混合物を、“SAM2”銘柄の膜に加え、次に膜を洗浄すると共に直接定量分析した(黒棒)、又は膜を、変性してない脂質から変性したものを取り除くと共に分離するためにクロロホルム/メタノール/水(10:10:3)による追加の処理に晒した(白棒)。
【0106】
この例は、膜に結合した脂質が、分離処理手順の間、マトリックスへ取り付けられたままであることによって、反応生成物の他の反応構成成分からの分離を可能にすることを示す。しかしながら、膜に結合した天然の脂質を、明確に定められた条件下で、例えば、クロロホルム:メタノール:水(10:10:3)による膜の処理に引き続く、取り除くことができる。よって、必要であれば、反応生成物に、より詳細な構造の定量分析を受けさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
フローチャート。先行技術の方法を本発明に従う好適な方法と比較する並列のフローチャート。
【図2A】
PIK活性測定の比較。本発明対従来のリン脂質抽出処理手順。40分間部分的に精製したPI−3K(500ng/ml)又は20分間精製したPI4P−5K(250ng/ml)を使用して評価分析を行った。PI−3K活性の測定に関して、PI4,5P2(10μg)+PS(20μg)を反応の基質として使用した。PI4P−5K反応を、反応の基質としてPI4P(10μg)を使用して、反応を実行した。図1(黒棒)に説明するような従来のリン脂質の抽出処理手順を使用して、又は本発明に従って(白棒)、試料を処理した。
【図2B】
PT−K活性測定の比較。本発明対標準的なリン脂質の抽出処理手順。を60分間肝臓組織(500μg)から免疫沈降したPI−3Kを使用して、評価分析法を行った。全ての反応を、反応の基質としてPIP2(10μg)+PS(20μg)(レーン3及び4)又はPI(50μg)(レーン1及び2)を使用して、室温で実行した。図1に説明されるように従来のリン脂質の抽出処理手順を使用して(レーン2及び4)、又は本発明に従って(レーン1及び3)、試料を処理した。
【図3】
活性化された受容体と関連したPI−3Kの活性の検出。3T3NIH細胞(5×107個の細胞)を、PDGF(37℃で5分間50ng/ml)無し(レーン1)又は有り(レーン2)で処理し、PI−3Kを、抗ホスホチロシン特異性抗体を使用して、共免疫沈降させた。PI−3K反応を、基質としてPIP2(10μg)+PS(20μg)を使用して60分間実行した。
【図4A】
膜に加えた脂質の基質の量に対するPI−Kの活性の依存性。PI−3Kの活性を、室温で60分間Alexis Biochemical(San Diego,California)(12.5μg/ml)からのPI−3Kを使用して測定した。
【図4B】
膜に加えた脂質の基質の量に対するPI−Kの活性の依存性。PI−5Kの活性を、室温で60分間精製したPI−5K(125ng/ml)を使用して、測定した。脂質の基質に加えて、全ての試料は、膜に加えた10μgのPSを含有した。
【図5A】
本発明を使用するPIP−5Kの活性の線形検出。予め番号付けした正方形の膜にスポッティングしたクロロホルム/メタノール2:1における1μgのPI4P及び10μgのPSを含有する3μlの脂質の混合物を利用して、ここに記載した発明の方法を使用する評価分析を行った。PI−5Kの活性を、4ngの精製したタンパク質を使用して、異なる時点で測定した。反応生成物をホスホイメージングによって定量分析した。要約:本発明を使用して、20pmol乃至1.2nmの間の形成された生成物を検出することができる。
【図5B】
本発明を使用するPIP−5Kの活性の線形検出。予め番号付けした正方形の膜にスポッティングしたクロロホルム/メタノール2:1における1μgのPI4P及び10μgのPSを含有する3μlの脂質の混合物を利用して、ここに記載した発明の方法を使用する評価分析を行った。PI−5Kの活性を、4ngの精製したタンパク質を使用して、異なる時点で測定した。反応生成物をシンチレーション計数によって定量分析した。要約:本発明を使用して、20pmol乃至1.2nmの間の形成された生成物を検出することができる。
【図5C】
本発明を使用するPIP−5Kの活性の線形検出。予め番号付けした正方形の膜にスポッティングしたクロロホルム/メタノール2:1における1μgのPI4P及び10μgのPSを含有する3μlの脂質の混合物を利用して、ここに記載した発明の方法を使用する評価分析を行った。PI−5Kの活性を、異なる濃度のタンパク質を使用して10分間測定した。反応生成物をホスホイメージングによって定量分析した。要約:本発明を使用して、20pmol乃至1.2nmの間の形成された生成物を検出することができる。
【図5D】
本発明を使用するPIP−5Kの活性の線形検出。予め番号付けした正方形の膜にスポッティングしたクロロホルム/メタノール2:1における1μgのPI4P及び10μgのPSを含有する3μlの脂質の混合物を利用して、ここに記載した発明の方法を使用する評価分析を行った。PI−5Kの活性を、異なる濃度のタンパク質を使用して10分間測定した。反応生成物をシンチレーション計数によって定量分析した。要約:本発明を使用して、20pmol乃至1.2nmの間の形成された生成物を検出することができる。
【図6A】
本発明を使用するPI−3Kの活性の線形検出。“SAM2”銘柄の膜96−ウェルプレートのウェルにスポッティングしたクロロホルム/メタノール2:1における5μgのPI(25μg)を利用して、ここで記載した発明の方法を使用する評価分析法を行った。減少する量:1ng、2ng、4ng、8ng、及び16ngの部分的に精製したPI−3Kを使用して評価分析を行った。得られたシンチレーション計数に基づいて、特異的な活性を計算し示してきた。
【図6B】
本発明を使用するPI−3Kの活性の線形検出。“SAM2”銘柄の膜96−ウェルプレートのウェルにスポッティングしたクロロホルム/メタノール2:1における5μgのPI(25μg)を利用して、ここで記載した発明の方法を使用する評価分析法を行った。減少する量:1ng、2ng、4ng、8ng、及び16ngの部分的に精製したPI−3Kを使用して評価分析を行った。異なる量のタンパク質に対する計算された初期反応速度を示す。
【図7A】
本発明の再現性。40分間、脂質の基質として部分的に精製したPI−3K(500ng/ml)及びPIP2(10μg)+PS(20μg)を使用して評価分析を行った。評価分析を、1μCiの32P−ATPを使用して室温で行った。
【図7B】
本発明の再現性。15分間、PI−5K(125ng/ml)及びPI4P(1μg)+PS(10μg)を使用して評価分析を行った。評価分析を、1μCiの32P−ATPを使用して室温で行った。
【図7C】
本発明の再現性。60分間、PI−5K(125ng/ml)及びPI4P(1μg)を使用して評価分析を行った。評価分析を、1μCiの32P−ATPを使用して室温で行った。反応を三つの異なるプレートで実行した(それぞれ、試料1−4、5−8、9−12)。各プレートにおいて、三つの異なる場所で三回ずつ反応を行った。各点は、三つの独立な反応の平均を表す。より薄い棒は、同じプレートで行なわれた9個の点の平均を示す。
【図8】
PI−3Kの活性の阻害。PI−3Kの阻害剤ウォルトマニン(最終濃度100nM)の存在(三角形)又は欠除(菱形)の下で、異なる時間間隔に対して、部分的に精製したPI−3Kを使用して、本発明に従う反応を行った。
【図9】
脂質の基質に対する反応の特異性。本発明に従う反応を、1μgの異なる資質の基質:PI3,4P(レーン1)、PI3,5P2(レーン2)、及びPi4,5P2(レーン3)を使用して、室温で45分間、精製したPI4P−5K(250ng/ml)で行った。脂質の基質に加えて、全ての試料は、膜に加えた10μgのPSを含有する。
【図10】
反応生成物の比較。本発明対従来のリン脂質の抽出処理手順。反応の基質として1μgのPI4P+10μgのPS及び酵素としての精製したPI−5K(2.5ng)を使用して活性を評価した。図1に説明するように従来のリン脂質の抽出の処理手順を使用して(レーン2及び4)、本発明に従って(レーン1及び3)、反応を引き起こした。反応を膜のシートで行ってきたとき、40%の結合反応の生成物を、TLC定量分析用に再抽出した。
【図11A】
ビオチン化した及びビオチン化してない短鎖の脂質並びにビオチン化してない長鎖の脂質を使用するPI4P−5キナーゼの活性の比較。PI4P−5キナーゼの活性を、反応の基質としてPI4P−C6−ビオチン(レーン1)、PI4P−C8(レーン2)、及びPI4P−C16(レーン3)を使用して測定した。反応生成物を、抽出して、TLCを介して定量分析した。
【図11B】
ビオチン化した短鎖の脂質及びビオチン化してない長鎖の脂質を使用するPI−3Kの活性の比較。PI−3Kの活性を、反応の基質としてPI−C6−ビオチン又はPi−C16を使用して、測定した。反応生成物を、ストレプトアビジンでコートした膜へ結合させた。膜を洗浄して未反応の反応物を取り除き、直接、定量分析した(黒棒)、又は脂質の再抽出用にクロロホルム:メタノール:水(10:10:3)の処理に晒した(白棒)。
Claims (53)
- EC 2.7.1、EC 3.1.3、及びEC 3.1.4からなる群から選択される酵素分類内に分類される酵素の存在、活性、又はそれら両方を評価分析する方法であって、
(a)前記酵素を活性にする条件下で、キナーゼを評価分析するときにはリン酸化された生成物、又はホスファターゼを評価分析するときには脱リン酸化された生成物、を生じさせるのに十分な時間、前記酵素を、対応する基質と反応させること、
(b)前記生成物を結合マトリックスと接触させることによって、前記生成物を前記マトリックスへ固定すること、並びに、それから
(c)前記マトリックスへ固定された前記生成物の存在、量、又は前記生成物の前記存在及び前記量の両方に関して前記マトリックスを定量分析することによって、前記酵素の前記存在、前記活性、又は前記酵素の前記存在及び前記活性の両方を決定することができること、
を含む方法。 - 評価分析される前記酵素は、EC 2.7.1.67、EC 2.7.1.68、及びEC 2.7.1.137からなる群から選択される酵素分類内に分類される請求項1記載の方法。
- ステップ(b)において、前記生成物は、アルデヒドで活性化された保持体を含む結合マトリックスと接触する請求項2記載の方法。
- ステップ(b)において、前記生成物は、アルデヒドで活性化された再生セルロースの保持体を含む結合マトリックスと接触する請求項2記載の方法。
- ステップ(a)において、前記酵素は、標識されたリン酸基の存在下で前記対応する基質と反応し、
ステップ(c)において、前記マトリックスは、前記マトリックスへ固定された標識されたリン酸基の前記存在、前記量、又は前記存在及び前記量を決定することによって定量分析される請求項2記載の方法。 - ステップ(a)において、前記酵素は、32P−標識されたリン酸基の存在下で前記対応する基質と反応し、
ステップ(c)において、前記マトリックスは、シンチレーション計数器又はホスホイメージャーを使用して定量分析される請求項5記載の方法。 - 評価分析される前記酵素は、EC 3.1.3.27、EC 3.1.3.36、EC 3.1.3.64、EC 3.1.3.67、EC 3.1.4.10、及びEC 3.1.4.11からなる群から選択される酵素分類内に分類される請求項1記載の方法。
- ステップ(b)において、前記生成物は、アルデヒドで活性化された保持体を含む結合マトリックスと接触する請求項8記載の方法。
- ステップ(b)において、前記生成物は、アルデヒドで活性化された再生セルロースの保持体を含む結合マトリックスと接触する請求項8記載の方法。
- ステップ(a)において、前記酵素は、標識されたリン酸基の存在下で前記対応する基質と反応し、
ステップ(c)において、前記マトリックスは、前記マトリックスへ固定された標識されたリン酸基の前記存在、前記量、又は前記存在及び前記量を決定することによって定量分析される請求項8記載の方法。 - ステップ(a)において、前記酵素は、32P−標識されたリン酸基の存在下で前記対応する基質と反応し、
ステップ(c)において、前記マトリックスは、シンチレーション計数器又はホスホイメージャーを使用して定量分析される請求項11記載の方法。 - EC 2.7.1、EC 3.1.3、及びEC 3.1.4からなる群から選択される酵素分類内に分類される酵素の存在、活性、又はそれら両方を評価分析する方法であって、
(a)前記酵素を活性にする条件下で、キナーゼを評価分析するときにはリン酸化された生成物、又はホスファターゼを評価分析するときには脱リン酸化された生成物、を生じさせるのに十分な時間、前記酵素を、対応する基質と反応させることを含み、
前記基質は、結合部分を含み、
前記生成物もまた、前記結合部分を含み、
(b)前記生成物を、前記結合部分に対して特異的な結合マトリックスと接触させることによって、前記生成物を前記マトリックスへ特異的に固定することを含み、並びに、それから
(c)前記生成物の存在、量、又は前記生成物の前記存在及び前記量の両方に関して前記マトリックスを定量分析することによって、前記酵素の前記存在、前記活性、又は前記酵素の前記存在及び前記活性の両方を決定することができることを含む方法。 - 前記結合部分は、ビオチンであり、
前記結合マトリックスは、固体の保持体に不動にされたアビジン又はストレプトアビジンである請求項14記載の方法。 - 前記結合部分は、抗原決定基であり、
前記結合マトリックスは、前記抗原決定基に対して特異的な抗体であり、
前記抗体は、固体の保持体に不動にされる請求項14記載の方法。 - 前記結合部分は、抗体であり、
前記結合マトリックスは、前記抗体に対して特異的な抗原決定基であり、
前記抗原決定基は、固体の保持体に不動にされる請求項14記載の方法。 - 前記結合部分は、抗体であり、
前記結合マトリックスは、前記抗体に対して特異的な抗−抗体であり、
前記抗−抗体は、固体の保持体に不動にされる請求項14記載の方法。 - 評価分析される前記酵素は、EC 2.7.1.67、EC 2.7.1.68、及びEC 2.7.1.137からなる群から選択される酵素分類内に分類される請求項14記載の方法。
- ステップ(b)において、前記生成物は、アルデヒドで活性化された保持体を含む結合マトリックスと接触する請求項19記載の方法。
- ステップ(b)において、前記生成物は、アルデヒドで活性化された再生セルロースの保持体を含む結合マトリックスと接触する請求項19記載の方法。
- ステップ(a)において、前記酵素は、標識されたリン酸基の存在下で前記対応する基質と反応し、
ステップ(c)において、前記マトリックスは、前記マトリックスへ固定された標識されたリン酸基の前記存在、前記量、又は前記存在及び前記量を決定することによって定量分析される請求項19記載の方法。 - ステップ(a)において、前記酵素は、32P−標識されたリン酸基の存在下で前記対応する基質と反応し、
ステップ(c)において、前記マトリックスは、シンチレーション計数器又はホスホイメージャーを使用して定量分析される請求項22記載の方法。 - 評価分析される前記酵素は、EC 3.1.3.27、EC 3.1.3.36、EC 3.1.3.64、EC 3.1.3.67、EC 3.1.4.10、及びEC 3.1.4.11からなる群から選択される酵素分類内に分類される請求項14記載の方法。
- ステップ(b)において、前記生成物は、アルデヒドで活性化された保持体を含む結合マトリックスと接触する請求項25記載の方法。
- ステップ(b)において、前記生成物は、アルデヒドで活性化された再生セルロースの保持体を含む結合マトリックスと接触する請求項25記載の方法。
- ステップ(a)において、前記酵素は、標識されたリン酸基の存在下で前記対応する基質と反応し、
ステップ(c)において、前記マトリックスは、前記マトリックスへ固定された標識されたリン酸基の前記存在、前記量、又は前記存在及び前記量を決定することによって定量分析される請求項25記載の方法。 - ステップ(a)において、前記酵素は、32P−標識されたリン酸基の存在下で前記対応する基質と反応し、
ステップ(c)において、前記マトリックスは、シンチレーション計数器又はホスホイメージャーを使用して定量分析される請求項28記載の方法。 - EC 2.7.1、EC 3.1.3、及びEC 3.1.4からなる群から選択される酵素分類内に分類される酵素の存在、活性、又はそれら両方を評価分析する方法であって、
(a)EC 2.7.1、EC 3.1.3、及びEC 3.1.4からなる群から選択される分類の酵素と特異的に反応する酵素基質を結合マトリックスと接触させるによって前記酵素基質を前記マトリックスへ固定すること、並びに、それから、
(b)前記マトリックスへ結合した前記基質を酵素と、キナーゼを評価分析するときには前記マトリックスへ固定されたリン酸化された生成物、又はホスファターゼを評価分析するときには前記マトリックスへ固定された脱リン酸化された生成物、を生じさせるのに十分な時間、前記酵素が活性である条件下で、接触させること、並びに、それから
(c)前記マトリックスへ固定された前記生成物の存在、量、又は前記生成物の前記存在及び前記量の両方に関して前記マトリックスを定量分析することによって、前記酵素の前記存在、前記活性、又は前記酵素の前記存在及び前記活性の両方を決定することができること、
を含む方法。 - 評価分析される前記酵素は、EC 2.7.1.67、EC 2.7.1.68、及びEC 2.7.1.137からなる群から選択される酵素分類内に分類される請求項31記載の方法。
- ステップ(a)において、前記酵素基質は、アルデヒドで活性化された保持体を含む結合マトリックスと接触する請求項32記載の方法。
- ステップ(a)において、前記酵素は、アルデヒドで活性化された再生セルロースの保持体を含む結合マトリックスと接触する請求項32記載の方法。
- ステップ(b)において、前記基質は、標識されたリン酸基の存在下で前記酵素と接触し、
ステップ(c)において、前記マトリックスは、前記マトリックスへ固定された標識されたリン酸基の前記存在、前記量、又は前記存在及び前記量を決定することによって定量分析される請求項32記載の方法。 - ステップ(b)において、前記基質は、32P−標識されたリン酸基の存在下で前記酵素と接触し、
ステップ(c)において、前記マトリックスは、シンチレーション計数器又はホスホイメージャーを使用して定量分析される請求項35記載の方法。 - 評価分析される前記酵素は、EC 3.1.3.27、EC 3.1.3.36、EC 3.1.3.64、EC 3.1.3.67、EC 3.1.4.10、及びEC 3.1.4.11からなる群から選択される酵素分類内に分類される請求項31記載の方法。
- ステップ(a)において、前記基質は、アルデヒドで活性化された保持体を含む結合マトリックスに接触する請求項38記載の方法。
- ステップ(a)において、前記基質は、アルデヒドで活性化された再生セルロースの保持体を含む結合マトリックスに接触する請求項38記載の方法。
- ステップ(b)において、前記基質は、標識されたリン酸基の存在下で前記酵素と接触し、
ステップ(c)において、前記マトリックスは、前記マトリックスへ固定された標識されたリン酸基の前記存在、前記量、又は前記存在及び前記量を決定することによって定量分析される請求項38記載の方法。 - ステップ(b)において、前記基質は、32P−標識されたリン酸基の存在下で前記酵素と接触し、
ステップ(c)において、前記マトリックスは、シンチレーション計数器又はホスホイメージャーを使用して定量分析される請求項41記載の方法。 - ステップ(a)において、前記酵素基質は、細胞の溶解産物内に含まれ、
前記細胞の溶解産物は、前記マトリックスと接触する請求項31記載の方法。 - ステップ(a)において、前記酵素基質は、有機相の溶液内に含まれ、
前記有機相の溶液は、前記マトリックスと接触する請求項31記載の方法。 - ステップ(a)において、前記酵素基質は、前記基質を乾燥させることがなく、及び前記基質を、それを前記マトリックスと接触させるより先に、有機相から水相中へ抽出することがなく、前記マトリックスと接触する請求項31記載の方法。
- EC 2.7.1、EC 3.1.3、及びEC 3.1.4からなる群から選択される酵素分類内に分類される酵素の存在、活性、又はそれら両方を評価分析するキットであって、
第一の容器に配分されるある量の反応緩衝剤、
EC 2.7.1、EC 3.1.3、及びEC 3.1.4からなる群から選択される酵素分類内に分類される酵素に対するある量の基質、
ある量の結合マトリックス、並びに
前記キットの使用に関する使用説明書、を含み、
前記基質は、第二の容器に配分されるキット。 - 前記結合マトリックスは、アルデヒドで活性化された再生セルロースである請求項47記載のキット。
- 前記基質は、それに取り付けられた結合部分をさらに含む請求項47記載のキット。
- 前記結合部分は、ビオチンである請求項50記載のキット。
- 前記結合マトリックスは、不活性な保持体において不動にしたアビジン又はストレプトアビジンである請求項50記載のキット。
- EC 2.7.1、EC 3.1.3、及びEC 3.1.4からなる群から選択される酵素分類内に分類されるある量の精製した酵素をさらに含み、
前記酵素は、第三の容器に配分される請求項47記載のキット。
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