JP2004500012A - ラミニン5、13及び14並びにそれらの利用 - Google Patents

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Abstract

本発明は、ラミニンファミリーの2つの新規なメンバー即ちラミニン13及びラミニン14、これらの分子の製造方法、並びにこれらの分子の神経疾患例えば網膜の病気の治療における利用方法を特徴とする。本発明は又、神経疾患特に網膜と関係する疾患の治療のためのラミニン5の利用をも特徴とする。

Description

【0001】
発明の背景
この発明は、2種の新規なラミニン即ちラミニン13及び14並びにこれらの分子の製造方法及び利用に関するものである。この発明は又、神経疾患の治療例えば網膜の接着及び網膜光受容器の生存力を誘導し又は促進するためのラミニン5の利用にも関係する。これらのラミニンは、細胞外マトリクスの大きいヘテロ三量体糖タンパク質である。各ラミニンヘテロ二量体は、α、aβ、及びaγ鎖(これらは、各鎖の多くの可能な同族体から選択する)よりなる。現在、11種類のラミニン鎖:5種類のα鎖、3種類のβ鎖、及び3種類のγ鎖が同定されている([1]に総説されている)。
【0002】
発明の要約
この発明は、部分的に、ラミニンファミリーの2つの新規なメンバー、ラミニン13及びラミニン14,の発見に基づいている。従って、この発明は、ラミニン13の精製された若しくは単離された調製物、組換え調製物、又は組成物(ラミニン鎖α3、β2及びγ3を含む)を特徴とする。好適具体例において、ラミニン13は、α3、β2及びγ3鎖の三量体である。
【0003】
好適具体例において、α3鎖は、分子量約300kD、200kD又は165kDを有し、β2鎖は、分子量約190kD又は170kDを有し、γ3鎖は、分子量約200kD又は170kDを有する。
【0004】
他の好適具体例において、α3鎖は、マウスモノクローナル抗体BM−2又はBM−2エピトープについて競争することのできる他の抗体と反応性又はこれらの抗体に特異的に結合する。他の好適具体例において、β2鎖は、テンジクネズミのポリクローナルGP1[47]、マウスモノクローナルC4[46]、R49、D5、D79、又はGP1若しくはC4エピトープについて競争することのできる他の任意の抗体と反応性又はこれらの抗体に特異的に結合する。
【0005】
他の面において、この発明は、ラミニン14の精製され若しくは単離された調製物、組換え調製物、又は組成物(ラミニン鎖α4、β2及びγ3を含む)を特徴とする。好適具体例において、ラミニン13は、α4、β2及びγ3鎖の三量体である。
【0006】
好適具体例において、α4鎖は、分子量約185kDを有し、β2鎖は、分子量約190kD若しくは170kDを有し、γ3鎖は、分子量約200kD若しくは170kDを有する。
【0007】
他の好適具体例において、α4鎖は、J.Cell Biol 1997,137:685−701に開示されたα4ウサギポリクローナル抗体又はこのα4ウサギポリクローナル抗体のエピトープについて競争することのできる任意の他の抗体と反応性又はこれらの抗体に特異的に結合する。他の好適具体例において、β2鎖は、テンジクネズミポリクローナル抗体GP1[47]、マウスモノクローナルC4[46]、R49、D5、D79又はGP1若しくはC4エピトープについて競争することのできる任意の他の抗体と反応性又はこれらの抗体に特異的に結合する。
【0008】
ここに開示する任意のラミニンのラミニン鎖は、一次翻訳産物であっても分解産物(例えば、ラミニン鎖の天然の分解産物)であってもよい。
【0009】
他の面において、この発明は、精製され、単離され又は組換えにより生成されたラミニン13、14又はこれらの両者を含む組成物を特徴とする。この発明は、医薬製剤例えば製薬上許容し得るキャリアーを含む医薬製剤を包含する。
【0010】
他の面において、この発明は、ラミニン13をコードする単離された核酸、例えばDNA、RNA又はcDNAを特徴とする。この単離された核酸は、一以上のラミニン鎖をそれぞれコードする核酸の組合せであっても単一の核酸であってもよい。この単離された核酸は、ベクター例えば発現ベクターにおいて発現させることも細胞中で直接発現させることもできる。この単離された核酸の配列に対応する配列を含むベクターは、その単離された核酸を適当な細胞又は適当なイン・ビトロ環境中で発現することができる。
【0011】
この発明は又、ラミニン14をコードする単離された核酸例えばDNA、RNA又はcDNAをも特徴とする。この単離された核酸は、一種以上のラミニン鎖をそれぞれコードする核酸の組合せであっても単一の核酸であってもよい。この単離された核酸は、ベクター例えば発現ベクター中で発現させることも細胞中で直接発現させることもできる。この単離された核酸の配列に対応する配列を含むベクターは、その単離された核酸を適当な細胞中で発現させることも適当なイン・ビトロ環境中で発現させることもできる。
【0012】
他の面において、この発明は、例えば、ラミニン13又はラミニン14のラミニン鎖を適当な細胞中でラミニン鎖に適した条件下で発現させてラミニン13又はラミニン14を生成することのできる組換えラミニン13又はラミニン14を特徴とする。
【0013】
好適具体例において、このラミニン13は、天然のラミニン13と少なくとも1アミノ酸残基(但し、5、10又は15アミノ酸残基未満で)異なる。他の具体例において、ラミニンの1の、2の又は各ラミニン鎖は、天然の対応物と少なくとも1アミノ酸残基(但し、5、10又は15アミノ酸残基未満で)異なる。
【0014】
好適具体例において、このラミニン14は、天然のラミニン14と少なくとも1アミノ酸残基(但し、5、10又は15アミノ酸残基未満で)異なる。他の具体例において、ラミニン14の1の、2の又は各ラミニン鎖は、天然の対応物と少なくとも1アミノ酸残基(但し、5、10又は15アミノ酸残基未満で)異なる。
【0015】
他の面において、この発明は、ラミニン13又は14を単離する方法を特徴とする。この方法は:
網膜組織例えば網膜光受容器間マトリクス、網膜外網状層、神経網膜、ミュラー細胞及び網膜ニューロン調製物よりなる群から選択する組織を用意し、ラミニン13、14又は両者の調製物を単離することを含む。これらのラミニンは、ラミニン13又は14のサブユニットに特異的な少なくとも一のmAbを利用するイムノアフィニティーカラムの利用により単離することができる。
【0016】
他の面において、この発明は、ラミニン13の製造方法を特徴とする。この方法は:
ラミニンα3鎖、ラミニンβ2鎖及びラミニンγ3鎖をコードする組換え核酸を用意し、この核酸を発現させて組換えラミニン13を与えることを含む。
【0017】
好適具体例においては、単一細胞が、ラミニンα3鎖、ラミニンβ2鎖及びラミニンγ3鎖をコードする核酸を含む。
【0018】
他の面において、この発明は、ラミニン14の製造方法を特徴とする。この方法は:
ラミニンα4鎖、ラミニンβ2鎖及びラミニンγ3鎖をコードする組換え核酸を用意し、この核酸を発現させて組換えラミニン13を与えることを含む。
【0019】
好適具体例においては、単一細胞が、ラミニンα4鎖、ラミニンβ2鎖及びラミニンγ3鎖をコードする核酸を含む。
【0020】
この発明は、更に、シナプスの異常な機能例えば不十分な安定性、生存力、形成又はシナプスの組織化欠損と関係する疾患を治療する方法を提供する。この方法は、患者に、有効量のラミニン13、ラミニン14、ラミニン5を別々に又は互いに組み合わせて投与することを含む。
【0021】
この発明は、不十分な神経細胞の生長、治癒及び再生(例えば、軸索の伸出)と関係する疾患、異常な網膜下腔又は光受容器間マトリクス(IPM)例えばIPMの不十分な安定性と関係する疾患、網膜の接触、連続及び/又は癒着と関係する疾患、シナプスの異常な又は不十分な形成と関係する疾患、並びに神経細胞例えば光受容器又はその構成要素例えば外節、内節、細胞体及びシナプスの生存力と関係する疾患を治療する方法を提供する。この方法は、患者に、有効量のラミニン13、ラミニン14、ラミニン5を別々に又は互いに組み合わせて投与することを含む。
【0022】
本発明の更に別の特徴は、網膜異常例えば桿状体栄養障害、錐状体栄養障害、黄斑部変性及び網膜剥離と関係する疾患の治療方法を提供する。この方法は、患者に、有効量のラミニン13、ラミニン14、ラミニン5を別々に又は互いに組み合わせて投与することを含む。
【0023】
本発明の他の特徴は、神経細胞の生長又は再生例えば軸索伸出を誘導する方法を提供する。この方法は、患者に、有効量のラミニン13、ラミニン14、ラミニン5を単独で又は互いに組み合わせて投与することを含む。
【0024】
好適具体例において、この方法は、傷に、有効量のラミニン13、ラミニン14、ラミニン5を単独で又は互いに組み合わせて投与することを含む。
【0025】
本発明の更に別の特徴は、状態を促進させる方法例えば網膜光受容器間マトリクス安定性を促進し、網膜光受容器又はその構成要素例えば外節、内節、細胞体及びシナプスの安定性を促進し、網膜の接触、連続性及び/又は接着を促進し、シナプスの安定性を促進し、そしてシナプスの形成を促進する方法を提供する。この方法は、有効量のラミニン13、ラミニン14、ラミニン5を単独で又は互いに組み合わせて投与することを含む。
【0026】
本発明の更に別の特徴は、インプラント例えば移植可能なカテーテル、網膜インプラント、定期的放出装置、神経細胞生長ガイド、人工組織、中枢神経系のインプラント、及び末梢神経系のインプラントの調製方法を提供する。この方法は、インプラントをラミニン5、13、14と単独で又は互いに組み合わせて接触させる(例えば、コートし又はインキュベートする)ことを含む。
【0027】
好適具体例において、このインプラントは、網膜下インプラント例えば網膜下微小フォトダイオード、視覚プロテーゼ、光受容器置換用インプラント又はMPDAインプラント例えばE.Zrenner等により提出された「Can Subretinal Microphotodiodes Successfully Replace Degenerated Photoreceptors?」と題する要約(1998年9月開催のthe Vision Research Conference)に記載されたもの。
【0028】
他の面において、この発明は、患者の疾患を治療する方法を特徴とする。この方法は:その患者に有効量のラミニン13、ラミニン14又は両者を投与することを含む。
【0029】
好適具体例において、この疾患は:ラミニン(例えば、ラミニン5、13又は14)の不十分なレベルを特徴とする疾患;神経疾患;神経組織と関係する疾患;シナプスの異常な機能例えばシナプスの不十分な安定性、生存力、形成又は不完全な組織化と関係する疾患;不十分な神経の生長、治癒又は再生例えば軸索の伸出と関係する疾患;異常な網膜下腔又は光受容器間マトリクス(IPM)例えばIPMの不十分な安定性と関係する疾患;又は神経細胞例えば光受容器の不十分な生存力と関係する疾患である。
【0030】
好適具体例において、この疾患は:2つの構造間の例えば第1の細胞と第2の細胞(例えば、第1の神経細胞と第2の神経細胞)との間の、第1の神経組織と第2の神経組織との間の、第1の神経器官と第2の神経器官(例えば、脳と脊髄)との間の並びに細胞と基体(例えば、膜)及び神経膜又は構造との間の不適当な又は不十分な接触、連続性及び/又は接着に関係する疾患である。
【0031】
好適具体例において、この疾患は、網膜の接着の欠損と関係している。
【0032】
好適具体例において、この疾患は、桿状体栄養障害、錐状体栄養障害、黄斑部変性又は網膜剥離である。
【0033】
好適具体例において、この投与されるラミニンは、ラミニン13である。
【0034】
好適具体例において、この投与されるラミニンは、ラミニン14である。
【0035】
他の面において、この発明は、患者の疾患を治療する方法を特徴とする。この方法は、該患者に、有効量のラミニン5を投与することを含む。
【0036】
好適具体例において、この疾患は:不十分なレベルのラミニン例えばラミニン5、13若しくは14を特徴とする疾患;神経疾患;神経組織と関係する疾患;シナプスの異常な機能例えばシナプスの不十分な安定性、生存力、形成若しくは不完全な組織化と関係する疾患;不適当な神経細胞の生長、治癒若しくは再生例えば軸索伸出と関係する疾患;異常な網膜下腔若しくは光受容器間マトリクス(IPM)例えばIPMの不十分な安定性と関係する疾患;又は神経細胞例えば光受容器の不十分な生存力と関係する疾患である。
【0037】
好適具体例において、この疾患は:2つの構造間の、例えば第1の細胞と第2の細胞(例えば、第1の神経細胞と第2の神経細胞)との間の、第1の神経組織と第2の神経組織の間の、第1の神経器官と第2の神経器官(例えば、脳と脊髄)の間の並びに細胞(例えば、神経細胞)と基体(例えば、膜)及び神経膜との間の不適当な又は不十分な接触、連続性及び/又は接着と関係する疾患である。
【0038】
好適具体例において、この疾患は、網膜の接着と関係している。
【0039】
好適具体例において、この疾患は、桿状体栄養障害、錐状体栄養障害、黄斑部変性又は網膜剥離である。
【0040】
他の面において、この発明は、生物学的構造の安定性を増大させる方法を特徴とする。この方法は、その構造を有効量のラミニン13又は14と接触させることを含む。
【0041】
好適具体例において、この方法は:イン・ビボで、例えばヒト若しくは動物の患者において;イン・ビトロで、例えば培養組織若しくは培養細胞において;エキゾ・ビボで、例えば患者に移植される組織において実施される。
【0042】
好適具体例において、この構造は:網膜若しくはその構成要素例えば網膜光受容器間マトリクス、光受容器若しくはその構成要素例えば外節、内節、細胞体及びシナプス;ニューロン若しくはシナプス、又はニューロン若しくはシナプスを含む組織;神経繊維;及び脊髄を包含する。
【0043】
他の面において、この発明は、シナプスの安定性を増大させる方法を特徴とする。この方法は、シナプス又はシナプスを形成する細胞を十分量のラミニン13、14又はこれらの組合せと接触させることを含む。
【0044】
好適具体例において、このシナプスは、中枢神経系のシナプス又は末梢神経系のシナプスである。
【0045】
好適具体例において、投与されるラミニンは、ラミニン13である。
【0046】
好適具体例において、投与されるラミニンは、ラミニン14である。
【0047】
他の面において、この発明は、生物学的構造の安定性を増大させる方法を特徴とする。この方法は、その構造を有効量のラミニン5と接触させることを含む。
【0048】
好適具体例において、この方法は:イン・ビボで、例えばヒト若しくは動物の患者において;イン・ビトロで、例えば培養組織若しくは培養細胞において;エキゾ・ビボで、例えば患者に移植する組織において実施される。
【0049】
好適具体例において、この構造は:網膜若しくはその構成要素、例えば網膜光受容器間マトリクス、光受容器若しくはその構成要素例えば外節、内節、細胞体及びシナプス;ニューロン若しくはシナプス又はニューロン若しくはシナプスを含む組織;神経繊維;脊髄を包含する。
【0050】
他の面において、この発明は、シナプスの安定性を増大させる方法を特徴とする。この方法は、そのシナプス又はそのシナプスを形成する細胞を有効量のラミニン5と接触させることを含む。
【0051】
好適具体例において、このシナプスは、中枢神経系のシナプスであるか又は、末梢神経系のシナプスである。
【0052】
他の面において、この発明は、第1の構造及び第2の構造の接触、連続性又は接着を促進する方法を特徴とする。この方法は、これらの構造の少なくとも一方を有効量のラミニン13、14又は両者と接触させることを含む。
【0053】
好適具体例において:この第1の構造は、細胞、膜、組織、器官、又は神経繊維の何れであってもよく、第2の構造は、細胞、膜、組織、器官、又は神経繊維の何れであってもよい。
【0054】
好適具体例において、第1の構造は、網膜細胞であり、第2の構造も、網膜細胞である。
【0055】
好適具体例において、この第1の構造は、細胞例えば神経細胞であり且つ第2の構造は基体例えば膜である。
【0056】
好適具体例において、この第1の構造は、細胞、組織又は器官(例えば、神経細胞、神経、脳、脊髄又は膜)であり且つ第2の構造は、基体(例えば、インプラント例えば補綴用デバイズの表面)又はイン・ビボ若しくはエキソ・ビボ基体(例えば、細胞又は組織がその上で培養されている基体)である。
【0057】
好適具体例において、この方法は:イン・ビボで(例えば、ヒト又は動物の患者において);イン・ビトロで(例えば、培養組織又は細胞において);エキソ・ビボで(例えば、患者に移植された組織において)実施される。
【0058】
好適具体例において、この構造は:網膜又はその構成要素(例えば、網膜光受容器間マトリクス、光受容器若しくはその構成要素、又はニューロン若しくはシナプスを含む組織);神経繊維;及び脊髄を含む。
【0059】
他の面において、この発明は、患者における網膜の接触、連続性又は接着を促進する方法を特徴とする。この方法は、有効量のラミニン13、14又は両者を投与することを含む。
【0060】
好適具体例において、このラミニンは、製薬上許容し得るキャリアーと共に与えられる。
【0061】
好適具体例において、インテグリンも又、投与される。
【0062】
他の面において、この発明は、網膜疾患例えば、不十分な網膜の接触、連続性及び/若しくは接着又は網膜変性に関係する疾患を有する患者を治療する方法を特徴とする。この方法は、患者に、有効量のラミニン13、14又は両者を投与することを含む。
【0063】
好適具体例において、この疾患は:桿状体栄養障害、錐状体栄養障害、黄斑部変性、網膜剥離、又は色素性網膜炎である。
【0064】
好適具体例において、この投与されるラミニンは:ラミニン13である。
【0065】
好適具体例において、この投与されるラミニンは:ラミニン14である。
【0066】
他の面において、この発明は、シナプスの形成を刺激する方法を特徴とする。この方法は、シナプス又はそのシナプスを形成する細胞を有効量のラミニン13、14又は両者と接触させることを含む。
【0067】
好適具体例において、このシナプスは、中枢神経系のシナプスであり、又は末梢神経系のシナプスである。
【0068】
他の面において、この発明は、第1の構造と第2の構造との接触、連続性又は接着を促進する方法を特徴とする。この方法は、これらの構造の少なくとも一方を有効量のラミニン5と接触させることを含む。
【0069】
好適具体例において:この第1の構造は、細胞、膜、組織、器官又は神経繊維の何れであってもよく、第2の構造は、細胞、膜、組織、器官又は神経繊維の何れであってもよい。
【0070】
好適具体例において、この第1の構造は、網膜細胞であり且つ第2の構造も網膜細胞である。
【0071】
好適具体例において、この第1の構造は、細胞例えば神経細胞であり、第2の構造は、基体例えば膜である。
【0072】
好適具体例において、この第1の構造は、細胞、組織、又は器官(例えば、神経細胞、神経組織、脳、脊髄、神経)又は膜であり、第2の構造は、基体例えばインプラント例えば補綴デバイスの表面又はイン・ビボ若しくはエキソ・ビボ基体(例えば、その上で細胞又は組織を培養している基体)である。
【0073】
好適具体例において、この方法は:イン・ビボ例えばヒト若しくは動物の患者において;イン・ビトロ例えば培養組織若しくは細胞において;エキソ・ビボ例えば患者に移植された組織において実施される。
【0074】
好適具体例において、この構造は:網膜若しくはその構成要素、例えば網膜光受容器間マトリクス、光受容器;ニューロン若しくはシナプス又はニューロン若しくはシナプスを含む組織;神経繊維;及び脊髄を含む。
【0075】
他の面において、この発明は、患者における網膜の接触、連続性又は接着を促進する方法を特徴とする。この方法は、有効量のラミニン5を投与することを含む。
【0076】
好適具体例において、このラミニンは、製薬上許容し得るキャリアーと共に与えられる。
【0077】
好適具体例において、インテグリンも又、投与される。
【0078】
他の面において、この発明は、網膜疾患例えば不十分な接触、連続性及び/若しくは接着又は網膜変性と関係する疾患を有する患者を治療する方法を特徴とする。この方法は、患者に、有効量のラミニン5を投与することを含む。
【0079】
好適具体例において、この疾患は:桿状体栄養障害、錐状体栄養障害、黄斑部変性、網膜剥離、又は色素性網膜炎である。
【0080】
他の面において、この発明は、シナプスの形成を刺激する方法を特徴とする。この方法は、シナプス又はそのシナプスを形成する細胞を有効量のラミニン5と接触させることを含む。
【0081】
好適具体例において、このシナプスは、中枢神経系のシナプスであり、又は末梢神経系のシナプスである。
【0082】
他の面において、この発明は、網膜光受容器若しくはその構成要素例えば外節、内節、細胞体及びシナプスの生存力を増大させる方法を特徴とする。この方法は、網膜光受容器を有効量のラミニン5、13又は14の少なくとも一つと接触させることを含む。
【0083】
好適具体例において、インテグリンも又、投与される。
【0084】
他の面において、この発明は、神経細胞の生長、治癒又は再生例えば軸索の伸出を促進する方法を特徴とする。この方法は、その神経細胞を有効量のラミニン13、14又は5の少なくとも一つと接触させることを含む。
【0085】
好適具体例において、この方法は:イン・ビボ例えばヒト若しくは動物の患者において;イン・ビトロ例えば培養組織若しくは細胞において;エキソ・ビボ例えば患者に移植される組織において実施される。
【0086】
この発明の他の特徴及び利点は、下記の詳細な説明及び請求の範囲から明らかとなろう。
【0087】
詳細な説明
この発明は、ラミニンファミリーの二つの新規なメンバー即ちラミニン13及びラミニン14並びにこれらの新規なラミニンの製造方法及び利用方法を特徴とする。この発明は、例えば神経関連疾患におけるラミニン5の利用方法を与える。
【0088】
ここで用いる場合、用語「投与」は、ラミニン13、14、5の調製物、組成物、活性部分、又は活性断片の単独での、互いに組み合わせての及び/又は少なくとも一の他の化合物若しくは調製物を伴う送達のことをいう。
【0089】
ラミニン13、14、5の単独での又は互いに組み合わせての投与は、局所投与又は全身投与を包含することができる(注射、経口投与、粒子銃又はカテーテルによる投与及び局所的投与を含む)。様々な方法を用いて、ラミニン13、14、5の治療用組成物を単独で又は互いに組み合わせて身体の特異的部位に直接投与することができる。例えば、小さい神経の傷は、位置を突きとめることができ、この治療用組成物を適用することができる(例えば、傷の範囲内で、数回、幾つかの異なる位置で)。これらの治療用ラミニン組成物は、神経の傷の表面に例えばこの組成物の局所的適用により直接投与することができる。X線イメージングを用いて上記の送達方法を助成することが確かにできる。ラミニン13、14若しくは5のタンパク質若しくはポリペプチド又はサブゲノムラミニンポリヌクレオチド及び他の治療剤を含む組合せ治療剤を同時に又は順次的に投与することができる。
【0090】
ラミニン13、14及び/又は5のサブゲノムポリヌクレオチドを含む治療用組成物のレセプター媒介の特異的組織への標的を定めた送達も又利用することができる。レセプター媒介のDNA送達技術は、例えば、Findeis等(1993), Trends in Biotechnol.11,202−05;Chiou等(1994),GENE THERAPEUTICS: METHODS AND APPLICATIONS OF DIRECT GENE TRANSFER (J.A. Wolff編);Wu及びWu(1988), J.Biol.Chem.263,621−24;Wu等(1994),J.Biol.Chem.269,542−46;Zenke等(1990)Proc.Natl.Acad.Sci. USA 87,3655−59;Wu等(1991),J.Biol.Chem.266,338−42に記載されている。
【0091】
或は、ラミニン治療用組成物をヒト細胞にエキソ・ビボで導入し、次いで、それらの細胞をヒトに戻すことができる。細胞は様々な位置から(例えば、選択した神経組織又は病変した器官から)取り出すことができる。
【0092】
このラミニン組成物の投与量及び投与手段の両者は、治療用組成物の特異的性質、患者の病状、年齢及び体重、病気の進行度及びその他の関連因子に基づいて決定することができる。もしこの組成物がラミニン13、14及び/又はラミニン5タンパク質又はポリペプチドを含むならば、その組成物の有効投与量は、患者の体重1kg当たり、約5〜50μg、約50μg〜5mg、約100〜500μg、及び約200〜250μgである。
【0093】
ラミニン13、14及び/又は5サブゲノムポリヌクレオチドを含む治療用組成物は、約100ng〜200mgのDNAの範囲で投与することができる(遺伝子治療プロトコールにおける局所的投与の場合)。約500ng〜50mg、約1μg〜2mg、約5〜500μg及び約20〜100μgの濃度範囲のDNAも又、遺伝子治療プロトコールにおいて用いることができる。トランスフォーメーション及び発現の作用方法及び効力等の因子は、これらのラミニン13、14及び/又は5サブゲノムポリヌクレオチドの最終的効力に必要な投薬量に影響する問題である。組織の一層広い領域にわたって一層高い発現が望まれる場合には、一層多量のラミニン13、14及び/又は5サブゲノムポリヌクレオチド又は連続投与プロトコールで再投与されたのと同じ量、又は種々の隣接若しくは近接組織部分(例えば、腫瘍部位)への数度の投与が、陽性の治療結果を達成するために必要とされ得る。すべての場合において、臨床試験における日常的実験によって、最適な治療効果のための特異的範囲を決定することができる。
【0094】
用語「有効量」は、少なくとも一つの副作用又は病気の症状を減じ又は緩和させるのに十分な量を意味する。かかる量は、当業者によって、例えば病気のステージ、治療されるべき患者の年齢、性別、体重及び治療条件に基づいて決定され得る。参考として、投与量は、少なくとも約0.1〜500μg/ml、約1〜200μg/ml、約10〜150μg/ml、又は約10〜100μg/mlの濃度であってよい。
【0095】
用語「精製された」又は「実質的に純粋な」又は単離された「調製物」は、自然において共存している他のタンパク質、脂質及び核酸から分離されたポリペプチド又はタンパク質を意味する。好ましくは、このポリペプチド又はタンパク質は、物質例えば抗体又はゲルマトリクス(例えば、ポリアクリルアミド)からも分離される。好ましくは、このポリペプチドは、精製調製物の乾量の10、20、50、70、80又は95%を構成する。
【0096】
用語「患者」は、ここで用いる場合、哺乳動物をいう。哺乳動物の例には、不十分なラミニン(例えば、ラミニン5、13及び/又は14)活性を有するヒト及び非ヒト霊長類(例えば、サル)、ヤギ、又はゲッ歯類例えばラット若しくはマウスが含まれる。この哺乳動物は、好ましくは、霊長類例えばヒトである。
【0097】
用語「安定性」は、任意の適当な手段により試験し又は観察することのできる構造的、解剖学的分子的、及び/又は機能的保全性、完全性、又は完結性を意味する。例えば、網膜光受容器の安定性は、ERGにより試験することができる(例えば、a波及びb波により示される)。
【0098】
用語「製薬上許容し得るキャリアー」は、医薬投与に適合性の溶剤、分散媒、コーティング、抗菌剤及び抗カビ剤、等張剤及び吸収遅延剤等を包含する。医薬的に活性な物質のためのかかる媒質及び剤の利用は、当分野で周知である。かかるキャリアーは、大きい、ゆっくり代謝される巨大分子例えばタンパク質、多糖類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマーアミノ酸、アミノ酸コポリマー及び不活性ウイルス粒子を包含するが、これらに限定されない。製薬上許容し得る塩例えば無機塩(塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩又は硫酸塩等)並びに有機酸の塩(酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩又は安息香酸塩等)も又、この組成物において用いることができる。この組成物は又、水、塩溶液、グリセロール及びエタノール等の液体並びに湿潤剤、乳化剤又はpH緩衝剤等の物質をも含むことができる。リポソーム例えば米国特許第5,422,120号、WO95/13796、WO91/14445又はEP524,968B1に記載されたものも又、キャリアーとして用いることができる。
【0099】
典型的には、この治療用ラミニン組成物は、注射用組成物(溶液又は懸濁液)として製造する;しかしながら、注射前に液体ビヒクル中の溶液又は懸濁液用に適した固体形態も製造することができる。この組成物は、当分野で公知の方法例えば米国特許第4,853,230号、EP225,189号、AU9,224,296号、及びAU9,230,801号により、腸溶性の被覆をした錠剤又はゲルカプセル中に配合することもできる。
【0100】
別途規定しない限り、本明細書中で使用するすべての技術用語及び科学用語は、この発明が属する分野の通常の知識を有する者が普通に理解しているのと同じ意味を有する。本明細書に記載されたものと類似の又は同等の方法及び材料を本発明の実施又は試験において用いることはできるが、適当な方法及び材料は、下記の通りである。本明細書中で言及されるすべての刊行物、特許出願、特許及び他の参考文献を、そっくり、参考として援用する。矛盾する場合には、定義を含む本願明細書が、調整する。加えて、これらの材料、方法及び実施例は、説明するだけのものであり、制限することを意図するものではない。
【0101】
ラミニン13及び14
細胞外マトリクスの成分は、身体中の組織に無数の効果を発揮する。特に、これらのラミニンは、ヘテロ三量体の細胞外糖タンパク質であって、組織の発生及び腎臓、肺、皮膚及び神経系等の多様な器官における保全性に影響を与える。これらの内で、我々は、神経系の分化及び維持においてラミニンが演じている役割に焦点を絞ってきた。以下において、我々は、神経系の構成要素、網膜におけるラミニンの存在を示す。網膜において、我々は、4種のラミニン鎖:α3、α4、β2及びγ3を見出した。これらの4種の鎖は、2つの位置:光受容器を囲むマトリクス及び光受容器が網膜介在ニューロンとシナプス接触する層において同時発現される。こうして、我々は、2種の新規なラミニンヘテロ三量体を神経系において同定したが、ここではそれらをラミニン13(α3β2γ3)及びラミニン14(α4β2γ3)と呼ぶ。これらのラミニンは、光受容器の安定性及びシナプス形成において役割を演じている。
【0102】
中枢神経系の最もよく研究されてきた構成要素の一つは、網膜であり、中枢神経系の残りに対する推測のための理想的モデル系として頻繁に引用される。ここでは、我々は、11種の公知のラミニン鎖に対する試薬を集めて、どの鎖が神経網膜中に存在しているかを同定した(どのラミニン三量体が存在するかを同定するために)。IPM及び網状層内の幾つかのラミニン鎖の我々の同定は、我々が、中枢神経系の成熟及び安定性において重要である少なくとも2種の更なるラミニン(ラミニン13及びラミニン14)の存在を測定することを可能にする。
【0103】
実験材料及び手順
a.免疫組織化学
免疫組織化学を、前に記載された[33、45]ようにして実施した。成体ラットの眼杯を、O.C.T.化合物(Miles,インディアナ、 Elkhart在)中に包埋し、液体窒素で冷却したイソペンタンに浸すことにより凍結した。横向きの10μm厚の切片を、Leicaクリオスタットを用いて切り、スーパーフロストプラススライド(Fisher, ペンシルベニア、 Pittsburgh在)上に置いた。ヒト網膜の未固定横切り切片を、A. Milam (ワシントン大学、ワシントン、 Seattle在)から提供してもらった。スライドを、使用するまで−20℃に保存した。使用に際しては、スライドを室温に戻し、リン酸緩衝塩溶液(PBS;137mM NaCl、2.68mM KCl、10mM NaHPO、1.76mM KHPO、pH7.4)中で洗ってから、一次抗体にて室温で2時間及び4℃で一晩インキュベートした。一次抗体(下記参照)は、2%ヤギ血清、2%ウシ血清アルブミン又は両者を含むPBS中で希釈した。切片を、PBS中で洗い、種に適した、アフィニティー精製した、蛍光標識した二次抗体(PBS中の2%ヤギ血清で希釈)にて室温で1時間インキュベートした。PBS中での洗浄の後に、スライドを、光退色を減少させるパラフェニレンジアミン(1mg/ml;Sigma, ミズーリ、 St.Louis在)を含む90%グリセロール、10%水に入れた。
【0104】
用いた抗体は、次の通りであった:ラミニン1(;ウサギポリクローナル);ラミニンα2(;マウスモノクローナル);ラミニンα3(;マウスモノクローナル);ラミニンα4([2];ウサギポリクローナル)、ラミニンα5([2];ウサギポリクローナル);ラミニンβ1(C21、[46];マウスモノクローナル);ラミニンβ2(GP1、[47];テンジクネズミポリクローナル及びC4、[46];マウスモノクローナル);ラミニンβ3(6F12、[48];マウスモノクローナル);ラミニンγ1(D18、[47];マウスモノクローナル);ラミニンγ2([49];ウサギポリクローナル);ラミニンγ3(ウサギポリクローナル)。
【0105】
b.イン・シトゥーハイブリダイゼーション
成体ラットの眼杯を切開して、PBS(pH7.4)中の4%パラホルムアルデヒドにて一晩4℃で固定し、脱水して、パラフィンに包埋した。15ミクロン厚の切片を切り、プローブオンプラススライド(Fisher)上に置いた。固定された成人のヒト網膜を凍結切片としてA. Milam(ワシントン大学)から得た。再水和したラットの切片又は凍結したヒトの切片を、次いで、前に記載された[45]ようにしてイン・シトゥーハイブリダイゼーションのための処理にかけた。
【0106】
これらのラミニン鎖に対するcRNAプローブを、前に記載された[45]ようにして生成した。ラミニンβ1及びβ2に対するプローブ並びに細胞レチナールデヒド結合性タンパク質に対するプローブは、前に用いられたもの[45]であった。ラミニンα5[50]に対するcRNAプローブは、J. Sanes(ワシントン大学、ミズーリ、 Saint Louis在)から得たプラスミドから生成した。他のすべてのラミニンプローブは、R. Burgeson(ハーバード・メディカル・スクール、マサチューセッツ、 Charlestown在)から得たプラスミド(ヒトラミニンcDNAの断片を含む)から生成した。cRNAを、転写中にジゴキシゲニン−UTP(Boehringer Mannheim, インディアナ、 Indianapolis在)の取込みにより標識し;cRNAのca.1μg/mlをハイブリダイゼーションに用いた。
【0107】
ラミニンタンパク質の発現
11の公知のラミニン鎖を認識する抗体を用いて、成体ラット及びヒトの網膜中のラミニン鎖の目録を作成した。我々は、これらの鎖の各々に対する抗体の反応性をここに記載する。
【0108】
a.ラミニンα鎖
ラミニン1の3つの鎖(α1、β1及びγ1)を認識するポリクローナル抗血清は、ラット及びヒトにおいては、脈管構造とのみ反応し、神経網膜の構成要素とは反応しない。この観察は、ラミニンα1鎖(ラミニン1の構成成分)が神経網膜又はIPMのマトリクスと結合しないことを示唆する。ラミニン1は、網膜の真性基底膜(即ち、内境界膜)及びブルック膜の両者のよく特性決定された成分である(例えば、[33]参照)。
【0109】
ラミニンα2も、網膜脈管構造中に存在する。我々は、神経節細胞体と会合したラミニンα2を検出せず、或は、内境界膜中に検出しなかった(この構造が完全である場合)。
【0110】
ラミニンα3は、光受容器間マトリクス中に存在し;ラミニンα3は、光受容器の内節の外境界膜及び端で顕著である。ラミニンα3の免疫反王制も又、外網状層に存在する。ラミニンα3が神経網膜と結合し、それによりラミニンβ2のパートナーであるということは明らかである。ヒトにおいては、ラミニンα3の弱い免疫反応性が外及び内核層の周囲の細胞体にも存在する。最後に、ヒトにおいては、ラミニンα3は、内網状層と散漫に結合している。
【0111】
ラミニンα1〜3と対照的に、ラミニンα4は、ラット及びヒトの網膜において広い分布を有しているようである。ラミニンα4免疫反応性は、IPM中に存在し、内及び外網状層の両者において散漫に存在する。この両網状層における広範な免疫反応性、及び網膜脈管構造との如何なる結合をも欠いていることは、ラミニンα4が網状層の細胞外マトリクス内に含まれるを示唆する。しかしながら、ラミニンα4についての最も顕著な反応性は、網膜中を走るミュラー細胞繊維にあると見られるものにある。これらの繊維は、ラミニンα4のミュラー細胞マーカー(ビメンチン)との共存に基づいて、ミュラー細胞プロセスとして確認されてきた。ラミニンα4の反応性は又、神経節細胞層中にも存在し;これは、ミュラー細胞の神経繊維末端と結合したラミニンα4を反映し得る。ミュラー細胞内のラミニンα4の存在は、ミュラー細胞が神経網膜におけるラミニンα4の源であることを示唆し、これは、ミュラー細胞が別のラミニン鎖であるβ2の源であることを確認するデータ[45]と合致する。
【0112】
ラミニンα5[2]に対して使用できる抗血清だけは、ヒトのラミニンα5と交差反応しない。しかしながら、ラットにおいては、ラミニンα5は、ラミニンα1及び2と同様に、神経網膜自体と結合しているようには見えず、むしろ網膜の脈管構造と結合しているようである。ラミニンα5免疫反応性は、脈絡膜、硝子体血管、外網状層及び硝子体血管から外網状層まで網膜を通って伸びる脈管構造に存在する。
【0113】
まとめると、これらのデータは、5種のすべてのラミニンα鎖は網膜で発現されるが、3種(ラミニンα1、2及び5)は専ら脈管構造と結合するらしいということを示している。勿論、ラミニンα1は、血管の基底膜に直接結合してはいない;実際、網膜抽出物のタンパク質トランスファーブロットは、α1鎖を検出できない[18]。ラミニンα2の場合には、これらのデータは、以前の幾らかの脊椎動物における発現の報告と多少矛盾する[32](もっとも、それらは、ラミニンα2がヒトの網膜において脈管構造に限られていることを示す他の報告[51]とは一致する)。これらの3種のラミニンα鎖と対照的に、ラミニンα3及び4の二者は、IPMと結合しており、潜在的に、これら両者は、神経網膜と網状層においてシナプスで結合している。これらの各位置のラミニンは、網膜の全厚にわたる細胞、ミュラー細胞から供給され得よう;このミュラー細胞は、少なくとも一の他のラミニン鎖、β2の源でありそうである[45]。
【0114】
b.ラミニンβ鎖
上記の通り、ラミニンβ1を含むラミニン1の3つの鎖のすべてを認識するポリクローナル血清は、ラット及びヒトの網膜において脈管構造とのみ反応する。従って、ラミニンβ1は、IPM又は神経網膜のマトリクスの構成成分ではあり得ない。このβ1鎖に対するラット反応性抗体は、この観察を確認する。しかしながら、網膜中には信頼すべきラミニンα1が殆どなく、ラットの網膜脈管構造中には信頼すべきラミニンβ1が殆どないので、ラミニン1に対するポリクローナル血清がラット及びヒトの両者の脈管構造中にラミニンγ1を検出することはありそうなことである。
【0115】
ラミニンβ2は、光受容器間マトリクス中に存在し、外境界膜と結合しているようである。ここに、我々は、ヒトの網膜における類似の分布をも示す(図2D)。ラミニンβ2(公知の脳の脈管構造の成分[24])も又、網膜の血管に結合した。ヒトにおいて、免疫反応性は、内核層並びに内境界膜の周囲細胞体にも存在する。両種において、ラミニンβ2も又、外網状層とは散漫に結合している。この散漫な免疫反応性のラミニン1又はラミニンα2についてのものとの比較は、ラミニンβ2が外網状層内の脈管構造とだけ結合しているのではないということを示唆する。ラミニンβ2は、末梢神経系におけるように、中枢神経系内のシナプスに局在している[43]。
【0116】
ラミニンβ3免疫反応性は、ラットの網膜には存在せず、ヒトの網膜の脈管構造にだけ存在する。ラミニンβ3は、ゲッ歯類においては「きつく制限された組織分布」を有する[52]ので、網膜内でラミニンβ3が比較的少量であることは驚くべきことではない。
【0117】
まとめると、これらのデータは、ラミニンβ1及び3が網膜の脈管構造の基底膜と結合していても、IPMのマトリクス中では唯一種類のβ鎖(ラミニンβ2)が発現しているということを示している。更には、ラミニンβ2は又、外網状層のマトリクスにおいても発現されている。
【0118】
c.ラミニンγ鎖
上記の通り、ラミニンγ1を含むラミニン1の3つの鎖のすべてを認識するポリクローナル血清は、脈管構造とよく反応する。この観察と一致することであるが、ラミニンγ1に対する抗体は、ラット及びヒトの両者において脈管構造とのみ反応し、これは、抗ラミニン1血清が少なくともγ1鎖と反応することを示唆している。加えて、ヒトにおいては、ラミニンγ1は内部境界膜に存在し;これは、星状細胞、硝子体血管及び網膜神経節細胞による生成を反映し得る([30];[53]参照)。神経節細胞層内のラミニンγ1についての幾つかの点状免疫反応性もある。重要なことには、IPM又は網状層にはラミニンγ1反応性がなく;従って、ラミニンγ1は、網膜の硝子体側に限られている。
【0119】
ラミニンγ2鎖は、IPM、神経網膜又は脈管構造内にはない。この発現の欠如は、ラミニンγ2の制限された分布を示唆した前の報告と一致する[54]。
【0120】
ラミニンγ3は、増大しつつあるラミニンファミリーの最も最近に単離されたものである。RNAハイブリダイゼーション分析(ノーザンブロット)は、ラミニンγ3が、脳、精巣、卵巣及び肺を含む幾つかの組織において発現されるということを示唆している。ここでは、我々は、ラミニンγ3の中枢神経系の一部における存在を報告する。顕著なラミニンγ3免疫反応性が、IPMにおいて見られ;特に、光受容器内節の領域中で見られる。加えて、ラットの外境界膜並びにヒトの外及び内核層内の周囲細胞体と結合したラミニンγ3免疫反応性が著しい。最後に、散漫なラミニンγ3も又、外網状層に存在する(少なくともラットにおいて)。ラミニンα3、α4及びβ2と同様に、我々は、外網状層におけるラミニンγ3免疫反応性が外網状層のシナプス構成成分と結合しているとは決定的にはいえない。しかしながら、ラミニンγ3は、網膜の硝子体側に存在する脈管構造と結合しておらず、その発現パターンは、脈管構造中のラミニン鎖(例えば、γ1)のそれと区別される。それ故、外網状層内のラミニンγ3が網状層のマトリクス内に含まれていることはありそうなことである。まとめると、これらのデータは、ラミニンγ3がIPM内で唯一知られたラミニンγ鎖であるということを示している。その上、ラミニンγ3は、外網状層のシナプス領域と結合して見出された唯一のラミニンγ鎖であるようである。
【0121】
まとめると、我々は、4つのラミニン鎖:α4、α3、β2及びγ3のIPM中の存在を示した。他のβ又はγ鎖のIPMにおける欠如は、IPMには2つの新規なラミニン三量体:α3β2γ3及びα4β2γ3があるということを示す。外網状層のマトリクス中には、これらの同じ三量体が存在するようである。対照的に、内網状層のマトリクスにおいては、唯一種類のラミニン鎖、α4が顕著であり、これは、他の特性決定されてないβ及びγ鎖が網膜中で発現され得るということを示唆している。最近、ラミニンβ4及びγ4の両者に関して予備報告がなされ;したがって、これらの分子が今までに同定されたIPLラミニンの候補であることはありそうなことである。
【0122】
ラミニンRNAの発現
11種類の公知のラミニン鎖をコードするRNAを認識するcRNAプローブを用いてこれらの網膜中のRNAの目録を作成し、それらを特定の細胞型に配置した。ラミニン三量体は分泌前に組み立てられるので(例えば、[15、55])、任意所定の三量体の3つの鎖すべてをコードするRNAが同じ細胞内に存在するはずである。
【0123】
a.ラミニンα鎖
ラミニンα1及びα2鎖をコードするRNAは、ヒト又はラットの網膜で検出されなかったが、これは、これらのRNAの両者が当該網膜において豊富でないことを示唆している。
【0124】
対照的に、ラミニンα3をコードするRNAは、ラット及びヒトの網膜において検出可能である。興味深いことに、ラミニンα3RNAは、核周囲部位に局在化されず;むしろ、このRNAは、内及び外核層並びに外網状層を走る繊維中にある。この局在性は、ミュラー細胞によるラミニンα3RNAの生成と一致する。
【0125】
ラミニンα4をコードするRNAは、ラミニンα3をコードするものと類似のパターンで存在する(明確な核周囲部位はない)が、むしろ、このRNAは、内及び外核層を走る繊維中に局在しているようである。ラミニンα3と異なり、ヒトの網膜の内核層内の幾つかの細胞体の周囲において、核周囲染色があるようであり、これは、ラミニンα4をコードするRNAの起源が内核層内の細胞であることを示唆している。再び、このパターンは、ミュラー細胞によるラミニンα4の生成と一致する。最後に、ヒトにおいては、ラミニンα4RNA転写物が、神経節細胞層内に、我々がミュラー細胞神経繊維末端であると推定するものに存在する。
【0126】
ラミニンα1及び2と同様に、ラミニンα5をコードするRNAは、ラットの網膜においては検出できず;これは、ラミニンα5をコードするRNAがラットの網膜において豊富でないことを示唆する。変異種の例において、我々は、ラミニンα5をコードするRNAをヒトの神経網膜内で検出した。ヒトの網膜におけるラミニンα5をコードするRNAの発現パターンは、たとえかなり強度が弱くても、ラミニンα4に対するプローブを用いて検出されるものに類似している。
【0127】
まとめると、ラミニンα鎖をコードするこれらのRNAの発現パターンは、ラミニンα3及び4が神経網膜において発現されるということを示し、上記のラミニンα3及び4タンパク質の存在と一致する。特に、それらは、ラミニンα3及び4が神経網膜において生成されてIPMのマトリクス及び外網状層 (ラミニンα4の場合には、内網状層) に付着されることを示唆する。控え目の量のラミニンα5をコードするRNAの存在は、これらの実験の時点においてはヒトの反応性ラミニンα5抗体が使用できなかったので、ヒトの網膜におけるラミニンα5タンパク質の存在と相関させ得なかった。しかしながら、ラットにおけるラミニンα5の発現の欠如は、神経網膜と結合したラミニンα5がないことを示唆する。
【0128】
b.ラミニンβ鎖
ラミニンβ1をコードするRNAは、前に報告した[45]ように、神経網膜において、我々の方法により検出され得るレベルでは発現されない。これらのデータは、網膜内の神経構造中のラミニンβ1タンパク質の欠如と一致する。
【0129】
我々は、ラミニンβ2が成体ラットの網膜において発現されるということを前に示した[45]。ここでは、我々は、ラミニンβ2をコードするRNAが核層内の繊維中に存在し、神経網膜においては、おそらくミュラー細胞がラミニンβ2の起源であるということを示す。最後に、本明細書で及び以前[45]にラットについて及び本明細書でヒトについて示したように、このRNAの発現パターンは、細胞レチナールデヒド結合性タンパク質(ミュラー細胞の信頼すべきマーカー[56])についてのものと類似している。最近、我々は、不死化ラットミュラー細胞株を得て、これらの細胞がラミニンβ2をも作ることを示した。
【0130】
ラミニンβ3RNAは、成体ラット網膜において発現されるようであり:ラミニンβ3をコードするRNAは、内及び外核層中を走る繊維、外網状層、並びに外境界膜に局在している。他の変異種の例において、コードするRNAは、ヒトの神経網膜内では検出できなかった。ラミニンβ3をコードするRNAはラットの網膜には存在するようであるが、そのヒトの網膜における不在は、両種におけるラミニンβ3タンパク質の欠如(上記参照)と共に、ラミニンβ3が神経網膜の顕著な成分であるということを示唆する。
【0131】
まとめると、これらのデータは、ラット及びヒトの両者において、ラミニンβ2が神経網膜で発現される顕著なβ鎖であることを示唆する。加えて、ラミニンβ1もラミニンβ3も、脈管構造の外側の網膜において発現されることはありそうにない。
【0132】
c.ラミニンγ鎖
ラミニンγ1RNAもγ2RNAもこの神経網膜においては検出されなかった。これは、内境界膜内のラミニンγ1タンパク質が神経網膜に由来するのではないということを示唆する。それ故、内境界膜中のラミニンγ1は、それに接触する非神経網膜細胞の一つに由来したに違いない。星状細胞及び硝子体血管の両者は、内境界膜と接触し、内境界膜のタンパク質成分の起源として示唆されてきた[30、53]。
【0133】
対照的に、ラミニンγ3をコードするRNAは、ラット及びヒトの網膜の両者に存在する。ラミニンγ3RNAは、外核層を走る繊維、外境界膜及び神経節細胞層内の推定のミュラー細胞神経繊維末端において、ラミニンα3、α4及びβ2と類似のパターンで発現される。それ故、γ3鎖は、IPM及びOPLの両者におけるラミニンのもっともらしいγ成分である。しかしながら、ヒトの網膜位おいてはラミニンγ3が神経節細胞により発現され;中枢神経系の他の部分では、ラミニンγ3は投射ニューロン様神経節細胞により発現される(Brunken、未発表の観察)ということはあり得る。
【0134】
まとめると、この神経網膜で検出されるラミニンRNAの発現パターンは、ラミニンα3、α4、β2及びγ3鎖をコードするRNAがラット及びヒトの網膜で発現されることを示す。僅かに異なっても、これらのRNAのすべての基本的分布は同じであり:内及び外核層を走る繊維に大いに分布する。ラミニンα4及びβ2のRNAは又、内核層内の核周囲部位並びに神経節細胞層にも存在するようである。まとめると、これらのデータは、ミュラー細胞がこれらのラミニンをコードするRNAの起源であることを示し;加えて、それらは、網膜が2種類の新規なラミニン三量体:ラミニン13(α3β2γ3)及びラミニン14(α4β2γ3)を生成することを示す。
【0135】
要約
我々は、ラミニンファミリーのメンバーのラミニンβ2が成体の脊椎動物の網膜に存在することを前に示した[18、33、45]。特に、我々は、ラミニンβ2がIPMの成分であることを示した[18]。ここで、我々は、神経網膜におけるラミニンβ2に対するこれらの潜在的パートナーを同定するために公知のラミニン鎖に対する試薬を組み立てた。我々の発見を種を超えて一般化させるために、我々は、我々の局在化を2種の哺乳動物種(ラット及びヒト)において実施した。これら2種をタンパク質及びRNAの発現の両方について比較することにより、我々は、網膜のラミニンの成分を測定した。
【0136】
まとめると、我々のデータは、少なくとも4種のラミニン鎖(α3、α4、β2及びγ3)が成体哺乳動物の網膜に存在することを示す。この個々のラミニン鎖の補足及びそれらの神経網膜における共存は、少なくとも2種の新規なラミニン三量体の神経網膜における存在を示すが、それらをここでは、我々は、ラミニン13(α3、β2及びγ3鎖よりなる)及びラミニン14(α4、β2及びγ3鎖よりなる)と呼ぶ。これらの新規なラミニンは、少なくとも2つの局在化(光受容器間マトリクス及び外網状層)において発現されるようである。その中に存在するラミニンが、分化の制御(光受容器間マトリクス[18、19])、及び潜在的に、シナプスの安定化(外網状層;[57]原稿準備中;[44]参照)を含むユニークな機能を供することは、ありそうなことである。
【0137】
a.IPM中のラミニン
ヘテロ三量体のラミニンは、生化学的には、未だIPMから特異的に単離されていないが、我々は、前に、ラミニンβ2が脊椎動物のIPMの成分であるという証拠を提供した[18]。組織学的には、ラミニンβ2は、成体の網膜の正面向きの切片において光受容器の間の空間(IPM)を満たす。生化学的に、ラミニンβ2は、成体の網膜のマトリクス画分ときつく結合し、これは、それがIPMの成分であることを示唆している。ここに報告した我々の免疫組織化学的研究は、ラット及びヒトの網膜について、3種の他のラミニン鎖(ラミニンα3、α4及びγ3)が内節を囲んでいることを示す(これは、IPMにおける配置を反映するものと考えられる)。IPMラミニンの補足の変化は、幾つかの網膜退行性疾患に関係し得る。我々は、IPMラミニンは、機械的安定性及びマトリクスの他の不溶性エレメント(例えば、ヘパリン硫酸プロテオグリカン様アグリン)との結合に関して重要であり、それが更に近位IPM内で可溶性成長因子(例えば、bFGF)と結合して濃縮すると考えている。従って、我々は、桿状体栄養障害の進んだステージにおいては、IPMの発現の混乱があり、それが更に、残存光受容器に対する負の意義を有する環境の悪化を生じると考えている。少なくともIPMラミニンの破壊は網膜の接着を減じると考えられ、これも又、光受容器の生存に負の影響を与えるであろう。従って、ラミニン発現の変化は、様々な桿状体栄養障害、桿・錐状体栄養障害及び黄斑変性において管理されるべきである。
【0138】
b.網膜シナプス層のラミニン
幾つかのラミニン鎖が網状層に存在し;特に、ラミニンα3、α4、β2及びγ3は、網膜脈管構造の基底膜の外側の外網状層において発現される。残念ながら、光学顕微鏡では、外網状層内でこれらの鎖がどの構造と結合しているのかを決定的に確定することは不可能である。例えば、外網状層中のシナプス及び脈管構造に加えて、これらのタンパク質を含有し得たであろうミュラー細胞の繊維がある[58]。しかしながら、ラミニンα4の他は(結果参照)、何れのラミニン鎖も、ラット又はヒトのミュラー細胞内に明確ではなく、これは、それらが実際にシナプスと結合していることを示唆している。その上、幾つかのラミニンのシナプスのマーカーとの共存が達成されたが、これらのラミニン鎖の網膜シナプス層中の正確な配置は、電子顕微鏡レベルで行われる免疫組織化学を待っている。しかしながら、これらのデータは、我々に、ラミニンは、中枢神経系のニューロン間のシナプスに、神経筋接合部におけるもの[43]と類似の配置で存在すると考えさせる。我々は、ラミニンは中枢神経系におけるシナプスの安定化に関与すると考えている。
【0139】
c.ミュラー細胞は、網膜のラミニンを生成する
神経網膜で発現されるこれらのラミニン鎖をコードするRNAは、網膜に広がる細胞に局在している。この局在は、ミュラー細胞によるラミニンの生成[45]と一致する。ミュラー細胞の細胞質は、網膜を横切って広がり[59]、RNAはこれらのプロセス中に分布される[60、61]。更に、我々は、CRALBPをコードするRNAの分布がラット及びヒトの両者において網膜中のラミニンのそれに類似していることを示した(網膜細胞層を走る繊維において)。上記の免疫組織化学的データと合わせて、これらのデータは、ミュラー細胞がIPMにおけるラミニンの起源であることを示している。その上、我々の予備研究は、不死化ラットミュラー細胞が培養において少なくともα3、α4、β2及びγ3を生成するということを示している。
【0140】
d.神経系におけるラミニン
末梢神経系においては、幾つかの細胞型が様々なラミニンを生成する。例えば、末梢神経を包む神経膠要素のシュワン細胞は、ラミニンを生成することが知られており[62、63]、少なくも、β2鎖を含むものが含まれる[64]。やはり末梢において、筋細胞は、幾つかの異なるラミニン三量体をそれらの表面に発現しているようである[43、47、68、2、69]。一つのラミニン鎖(α2)は、マウス及びヒトの筋ジストロフィーに関与することが示されており:α2における突然変異が、マウスの筋ジストロフィーで[70、71]及びヒトの先天性筋ジストロフィーの何人かの患者において[72]見出されている。
【0141】
同様に、中枢神経系においては、幾つかのラミニン鎖が様々な領域で特に発生中に見出されている。これらのラミニン鎖の細胞性起源は、中枢神経系の3つの主要な細胞クラス:グリア、ニューロン及び神経膠細胞前駆細胞のすべてを含む。グリア細胞(星状細胞、バーグマングリア及びミュラー細胞を含む)は、成体及び発生中のCNSにおけるラミニンの主要な起源であると考えられている(例えば、[73、17、74、64、75、24、76、45]を参照されたい。
【0142】
CNSの特定の部分である網膜において、我々は、ラミニンは、特定のクラスの細胞、光受容器のための適当な環境の維持において重要であり得ると考えている。我々は、ラミニンは網膜の接着に関与していると考えている。
【0143】
ここで、最初に、中枢神経系の成分を、すべての公知のラミニン鎖の存在について調べた。2つの異なる種の利用並びにタンパク質及びRNAの両方の試験は、我々が、現在知られているすべてのラミニン鎖と一緒に反応する試薬を用いることを可能にした。我々のデータは、中枢神経系の成分、ラミニンが、少なくとも4種のラミニン鎖:α3、α4、β2及びγ3を含むことを示している。ラミニンγ1及びγ2の不足並びに2種のラミニンα鎖の存在は、CNSには少なくとも2種の新規なラミニン三量体があることを示す。我々は、今や、これらの潜在的な新規な三量体をラミニン13(α3β2γ3)及びラミニン14(α4β2γ3)と呼ぶ。我々の鎖特異的抗体を用いる免疫沈降研究は、ラミニン14が網膜中にヘテロ三量体として存在することを示している。
【0144】
興味をそそることに、ラミニン13及び−14は、次の2つの配置にて発現されるようである:(1)光受容器間マトリクス内、及び(2)外網状層内。これらのラミニンの外網状層内での配置は、それらが、神経筋接合部におけるβ2含有ラミニン(おそらくラミニン11を含む)について示唆された[44、2]のと類似の仕方で網膜シナプスを安定化させるのに役立ち得ることを示している。それ故、それらは、中枢神経系内のシナプスの形成又は安定化に関与し得る最初のラミニンである。
【0145】
今や、多くの異なるラミニン鎖があり、更に発見される可能性がある。これらの内で、少なくとも6種が成体の及び発生中の網膜の様々な部分で発現される(α2[32];α3及び4(結果参照);β1[30];β1及びγ1[31];β2[18、33、45];γ3(結果参照))。拡張により、我々は、ラミニンは、脊椎動物の神経系の至る所に存在し得ると考えている。このことについては、神経系と結合しているすべてのラミニン三量体並びにそれらが発生中の及び成体の脳において寄与し得る機能を規定することが重要であろう。
【0146】
ラミニン5
これらの11種の公知のラミニン鎖の空間的及び時間的発現を研究した。ラミニン鎖の発現を、間接的免疫組織化学を用いて測定した。時間的には、ラミニン鎖は、胎児期16日目(E16)程の初期に発現された。ラミニンβ3及びγ2は、E16からP10までだけ発現され、P15又は成体においては発現されなかった。空間的には、ラミニン1のラミニン鎖(α1/β1/γ1)は、網膜脈管構造内で発現された。ラミニン5(α3/β3/γ2)の構成成分鎖は、発生中の光受容器間マトリクス(IPM)において発現された。ラミニン13(α3/β2/γ3)及びラミニン14(α4/β2/γ3)鎖は、発生中のIPM及び外網状層(OPL)において発現された。最後に、ラミニンα5は、ブルック膜において発現された。
【0147】
ラミニン5のβ及びγ鎖のみが初期発生ステージに現れたことは、それらが、桿状体光受容器の成熟までの網膜の発生において重要であることを示唆している。ラミニン13及びラミニン14に由来するそれらの構成成分鎖の発生中及び成体における存在は、これらのラミニンヘテロ三量体が網膜において様々な機能を有していることの証拠を与える。
【0148】
発生中の網膜
網膜は、眼胞(最終的に眼杯を形成する神経管の膨出)から形成される。最外側の層はPREを形成し、最内側の層は肥厚して神経網膜を形成する(Zhao等、1995)。この外層と内層との間には、網膜下腔があり、これは発生の初期には未だ脳の脳室空隙と繋がっている。発生中の網膜で細胞が細胞分裂を受ける領域は、この網膜下腔に隣接している。加えて、網膜の発生の継続中、網膜下腔は、縮み、光受容器の外節で満たされ、RPE細胞が処理される(Libby, 1997b)。網膜下腔のこの領域を調べることは、それが網膜の発生において演じる重要な役割の故に重要であろう。網膜下腔をそれが縮む際に綿密に調べること及びこのプロセスに関与する細胞外成分を調べることは重要であろう。
【0149】
この一様な上皮のシート(これから網膜が生じる)は、有糸分裂的に活性である。これらの有糸分裂的に活性な細胞は、網膜前駆体細胞として知られており、ELM及びILMと接触する。これらの前駆体細胞が分裂する場合、それらは、ILMとの接触を失い、ELMの方へ移動して細胞分裂を受ける(Hinds及びHinds,1974)。誕生順の研究は、細胞型の生成に一つのパターンが存在しても、幾つかの細胞型が、発生中に同時に生成し得るということを示した。多くの種において、神経節細胞が最初に生まれるということが示されている。しかしながら、第2の他の細胞例えば水平細胞又は無軸索細胞も、周囲に生まれることは可能である(但し、神経節細胞より先に生まれることは不可)。これらの誕生順の研究の多くは、網膜前駆体細胞が最後の細胞分裂まで多能性であることを示した(Cepko等、1996)。網膜前駆体細胞の多能性及び同時に2以上の細胞型に生まれる能力は、網膜の発生における外来的因子の役割に対する支持を与える。
【0150】
一般に、ラットの網膜においては、神経網膜の内側ニューロンは、胎児期に生まれるが、外側ニューロンは出生後に生じる。誕生時には、RPEが、水平細胞及び無軸索細胞を含む神経節細胞層及び内核層と共によく発達する(Hinds及びHinds, 1974;Hinds及びHinds, 1978;Hinds及びHinds, 1979;Hinds及びHinds,1983)。更には、外境界膜は、光受容器と接しているだけであるが、可視的である。下記の出生日において、ミュラー細胞は、双極細胞と共に生まれる。他のニューロンと異なり、桿状体光受容器は、特別誕生日の前後に生まれる訳ではない。むしろ、桿状体は、普通、胎児期16日目から生後7〜8日目の間に生まれる。生後3〜5日頃に、内節及び外節の始まりが可視化する。我々がよく発達した内節及び外節を見るのは、生後約8〜10日目までではない(Weidman及びKuwabara;Weidman及びKuwabara)。
【0151】
動物の取り扱い/組織の調製
動物は、眼及び視覚の科学における動物の利用についてのARVO声明に従って取り扱った。胎児、新生児及び成体の網膜をSprague−Dawleyラット(Taconic; ニューヨーク、 Germantown)から得た。一定期間経過(Taconicにより最初の精子陽性日として測定)の妊娠ラットを、COにさらすことにより犠牲にした。呼吸停止から5分以内に子宮を取り出して氷冷PBS上に置き、胎児をその子宮から切り出して氷上に保持した。胎児期16日目のラットの頭部全体を凍結させて、包埋した(下記参照)。新生児ラットをCOにさらすことにより犠牲にし、それらの眼を直ちに取り出した。生後0日目、3日目及び5日目の眼全体を凍結して包埋した(下記参照)。生後8日目、10日目及び15日目のラットの前眼房及びレンズを取り出した。生じた眼杯を包埋して凍結した(下記参照)。
【0152】
組織(頭部全体、眼全体及び眼杯)を次のように包埋した:PBS中で洗い、O.C.T.コンパウンド(Miles Inc. インディアナ、 Elkhart)中に埋めて、液体窒素中で冷却したイソペンタン又はドライアイスで冷却したエタノールに浸すことにより急速に凍結した。切断するまで、ブロックを−20℃に保存した。
【0153】
10μmの横断切片をライカクリオスタットにて切った。切片をスーパーフロスト/プラスマイクロスコープスライド(Fisher Scientific, ペンシルベニア、 Pittsburgh)上に置いた。切った切片を使用時まで−20℃に保存した。
【0154】
免疫染色
免疫組織化学を、切片をリン酸緩衝塩溶液(PBS:137mM NaCl、2.68mM KCl、10mM NaHPO、pH7.35)中で洗うこと(各5分ずつ3回)により行った。PAPペン(Polysciences Inc.ペンシルベニア、 Warrington)を用いて、切片を分離して抗体の混合を防いだ。約30μlの一次抗体を各切片上に置いた。スライドを加湿チャンバー中に室温で90分間又は4℃で一晩置いた。未結合抗体をPBS中で10分間ずつ2回洗うことにより除去した。約35μlの二次抗体を各切片上に置いた。スライドを加湿チャンバー中に室温で1時間置いた。未結合の二次抗体をPBS中で10分間ずつ2回洗うことにより除去した。スライドにプロロングアンチフェード(Molecular Probes; オレゴン、 Eugene)中でカバーガラスをして光漂白を減じた。
【0155】
胎児期16日目(E16)及び生後5日目(P5)のスライドを、ハーバード・メディカル・スクールのCutaneous Biology Research Centerでライカコンフォーカルレーザースキャニングマイクロスコープ(Leica NTS4D)で調べた。イメージをCLSMソフトウェア(Leica NSバージョン11.2)からアドビフォトショップ(バージョン4)に出力した。P0、P3、P8、P10、P15及び成体のスライドを慣用の光学顕微鏡で調べた。イメージを光学顕微鏡で撮ってアドビフォトショップ(バージョン4)にスキャンした。
【0156】
抗体
用いた抗体は:ラミニン1(12116−018、Life Technologies;ウサギポリクローナル);ラミニン5(4101、R.E. Burgesonより寄贈;ウサギポリクローナル);ラミニンα2(12067−014、Life Technologies;マウスモノクローナル);ラミニンα3(BM−2、R.E. Burgesonの寄贈;マウスモノクローナル);ラミニンα4(Miner等、1997;ウサギポリクローナル);ラミニンα5(Miner等、1997;ウサギポリクローナル);ラミニンβ1(C−21、Sanes及びChiu, 1983;マウスモノクローナル);ラミニンβ2(Sanes等、1990);テンジクネズミポリクローナル;Sanes及びChiu, 1983;マウスモノクローナル);ラミニンβ3(6F12、Rousselle等、1991;マウスモノクローナル);ラミニンγ1(D−18、Sanes等、1990;マウスモノクローナル);ラミニンγ2(Sugiyama等、1995;ウサギポリクローナル);ラミニンγ3(R−18、M.F. Champliaudの寄贈;ウサギポリクローナル)であった。一次抗体を、2%ヤギ血清、0.1%トリトン、及び0.05%Naアジドを含むPBS中で希釈した。二次抗体を、2%ヤギ血清及び0.05%Naアジドを含むPBS中で希釈した。
【0157】
胎児期16日目
胎児期16日目(E16)は、桿状体生成の第一日目であるので、ラットの網膜において調べるべき重要な発生ステージである。この時点において、網膜下腔は、縮み始めて、RPEと神経上皮を一カ所に近接させる。更に、神経上皮の硝子体側によく分化した神経節細胞を見ることができる。E16ラットの網膜において、ラミニン1(α1、β1、γ1)と会合した3つの鎖をポリクローナル抗体を用いて調べた。この抗体は、神経上皮の如何なる領域とも反応せず、むしろ脈管構造中にのみ見られる。ラミニンα2に対するモノクローナル抗体は、ラミニン1に対するものと類似の結果を生じた(染色は、脈管構造の基底膜のみにあって、神経上皮にはなかった)。ラミニンα3及びα4の両方に対する免疫反応性が、網膜下腔内の神経上皮の先端表面に見られた。ラミニンα5は、α1及びα2とよく似て、網膜脈管構造とのみ結合する。ラミニンα5免疫反応性は、RPE(ブルック膜としても知られる基底膜)の脳室側で特に顕著である。
【0158】
前に記したように、ラミニンβ1免疫反応性は、網膜脈管構造と結合している。ラミニン1に対するポリクローナル抗体の使用に加えて、β1に対するモノクローナル抗体は、同様の結果を生じた。ラミニンβ2に対する免疫反応性は、RPEと神経上皮の両者において見られる。RPEにおいて、β2は、先端及び基底側の両方と結合している。更に、β2は、神経上皮の硝子体表面に見られる。ラミニンβ3免疫反応性は、神経上皮の先端表面に存在し、網膜下腔を満たしているようである(この領域でβ2で見られた反応性に類似)。網膜下腔内のβ3のこの免疫反応性は、β3免疫反応性を含まない成体の網膜とは異なる。従って、β3の出現は、網膜発生中の短期間に限られている。
【0159】
上記のように、ラミニンγ1は、網膜脈管構造においてのみ見られ、神経上皮では見られない。β1と同様に、γ1に対するモノクローナル抗体をラミニン1ポリクローナル抗体に加えて用いて前の結果を確認した。神経上皮においては、ラミニンβ2は、先端表面に見られる。β3と同様に、発生中の網膜におけるγ2免疫反応性は、新たな発見であり、成体においては前に報告されたことはなく、短い発生時期に限られているようである。ラミニンγ3鎖も又、発生中の網膜に存在する。γ3免疫反応性は、神経上皮の先端表面に現れる。
【0160】
生後0日目
桿状体の生成は、ゲッ歯類では誕生日の頃にピークになり、その後、第一の光色素のオプシンが検出される(Carter, Dawson及びLaVail, 1979;Hicks及びBarnstable, 1987)。このときまでに、RPE細胞は、一層の扁平上皮様細胞になっており(Libby等、1997)、網膜下腔は縮み続けていた。P0ラットにおいては、ラミニンα1及びα2は、網膜脈管構造と結合し続けている。ラミニンα3及びα4免疫反応性は、網膜下腔を満たす網膜の先端表面に明白である。RPEの基底膜であるブルック膜は、ラミニンα5と免疫反応性であり続ける。
【0161】
E16ラットの網膜で見られた結果と同様に、ラミニンβ1は、網膜脈管構造だけを標識する。RPEにおいては、ラミニンβ2は、基底及び先端側の両方と結合しており、網膜下腔を満たし続けてもいる。更には、β2は、神経上皮の硝子体側と反応性である。ラミニンβ3免疫反応性は、E16からの結果に見られるように、網膜下腔に存在し続ける。
【0162】
網膜脈管構造は、α1及びβ1とにおいて見られるのと同様にラミニンγ1と反応性であるように見える。ラミニンγ2免疫反応性は、ラミニンγ3と同様に、減少する網膜下腔と結合し続ける。更には、γ3は、神経上皮の硝子体側に分布されているのが見られる。
【0163】
生後3日目
P3頃に、桿状体の形態形成は明らかであり、桿状体内節は、網膜下腔に突出し始めている(Galbary及びOlson, 1979)。RPEにおいて、ブルック膜は、RPEの基底側によく輪郭が描かれている。この齢では、ラミニンα1及びα2は、RPE又は神経上皮と結合してなく、むしろ網膜脈管構造とだけ結合している。ラミニンα3免疫反応性は、今や、神経上皮の先端側及び硝子体側の両者において見られる。先端側では、α3は、網膜下腔内にあるようである。硝子体側でのα3免疫反応性は、弱く且つ散漫である。ラミニンα4免疫反応性は、α3のそれと、それが神経上皮の先端側及び硝子体側で見られるという点において類似している。ラミニンα5は、α1及びα2とよく似て、網膜脈管構造においてのみ見られる。ラミニンα5は、ブルック膜において反応性であり、RPEの基底側を横切って走るまっすぐな線として見られる。
【0164】
RPE及び神経上皮は、ラミニンβ1との如何なる反応性を示さない。そのラミニン1パートナーと同様に、β1の反応性は、網膜脈管構造内でのみ見られる。ラミニンβ2免疫反応性は、RPEと神経上皮の先端表面間の網膜下腔を満たしている。免疫反応性は又、神経上皮の水晶体側でも見られる。β2と同様に、ラミニンβ3反応性は、網膜下腔を満たす。しかしながら、β3染色は、この領域に限られており、神経上皮の水晶体側表面では見られない。
【0165】
ラミニン1のα及びβ鎖において見られるように、ラミニンγ1は、網膜脈管構造においてのみ見られる。ラミニンγ2免疫反応性は、網膜下腔において見られる。γ2反応性の神経上皮における存在は、β3からの結果及び前の発生ステージからの結果と一致する。ラミニンγ3の反応性は、網膜下腔及び神経上皮の硝子体側と結合し続ける。
【0166】
生後5日目
P5までに、外節が形成し始め、OPLが現れ始める(Weidman及びKuwabara,1968)。外節が発達して網膜下腔に突き出しつつあれば、この領域は、光受容器間マトリクス(IPM)と呼ばれる。ラミニンα1及びα2の反応性は、網膜脈管構造中にのみ現れる。ラミニンα3免疫反応性は、IPM中で見られる。更には、α3は、外網状層と結合して見える。ラミニンα4は、IPMと反応し続け;α3と同様にOPLと結合しているようである。P3においては、ラミニンα5の反応性は、よく輪郭が描かれたブルック膜中に見られる。
【0167】
調べたすべての初期発生ステージで見られたように、ラミニンβ1の反応性は、網膜脈管構造とだけ結合している。ラミニンβ2由来の免疫反応性は、IPM中に散漫に見られ、ある染色はRPEの先端側に見られた。ラミニンβ3免疫反応性は、IPMに限られていて神経網膜の硝子体領域と結合していないようである。
【0168】
ラミニンγ1免疫反応性は、網膜脈管構造にのみ現れ続ける。ラミニンγ2は、β3と類似して、IPMとのみ結合している。ラミニンγ3も又、IPM中に見られるが;しかしながら、それは、更に、OPL中にも見られる。
【0169】
生後8日目
P8までに、桿状体光受容器の内節はよく発達する。更には、外網状層(OPL)がこのステージまでによく形成される(Weidman及びKuwabara, 1969)。ラミニンα1及びα2に対する抗体は、網膜脈管構造と反応し続け、RPE及び神経網膜には存在しないままである。ラミニンα3由来の免疫反応性は、IPM及びOPLの両者で見られ、ラミニンα4は、IPM、OPL及びIPLにおいて明白である。これらの観察は、成体ラット網膜におけるα4免疫反応性(Libby, 1997)と一致する。その上、α4の反応性は、ブルック膜において見られ、この結果は、初期ステージにおいて見られる。ラミニンα5に対する抗体は、ブルック膜を初期発生ステージと同様に染色し続ける。
【0170】
ラミニンβ1に由来する免疫反応性は、網膜脈管構造において見られ続ける。ラミニンβ2の反応性は、IPMに存在し、桿状体光受容器の外節を囲んでいるようである。散漫なβ2反応性は、RPEの先端側及びOPLで見られ続ける。ラミニンβ3免疫反応性は、IPM中で明白である。β3免疫反応性は、P8発生ステージにおいて、前に調べられたステージより明確に弱い。
【0171】
α1及びβ1の場合に見られたように、ラミニンγ1の反応性は、網膜脈管構造において見られただけである。ラミニンγ2由来の免疫反応性は、IPMに現れ、この領域に限られているようである。β3からの結果と同様に、γ2に対する抗体に由来する免疫反応性は、前のステージより弱いようである。ラミニンγ3の反応性は、IPMで見られ、桿状体光受容器の外節を囲んでいるようである。その上、γ3の反応性は、OPLにおいて明白である。
【0172】
生後10日目
P10までに、IPLは、一層コンパクトになり、外節は、明確に網膜下腔に突き出している。更には、ミュラー細胞は、神経網膜中で見ることができる。初期発生ステージで見られたように、ラミニンα1及びα2反応性は、網膜脈管構造にのみ存在する。ラミニンα3免疫反応性は、IPLで明白であり、OPLでは散漫に明らかである。ラミニンα4に由来する免疫反応性は、IPM(光受容器の外節を囲んでいる)並びにOPL及びIPLに存在する。ブルック膜における免疫反応性染色は、P10においては、P8における程には明白でない。しかしながら、ラミニンα5由来の反応性は、ブルック膜において発現されている。
【0173】
ラミニンβ1染色は、網膜脈管構造とだけ結合し続ける。ラミニンβ2免疫反応性は、内節及び外節を囲むIPM中に存在する。加えて、散漫な染色が、OPL中に見られる。ラミニンβ3に由来する免疫反応性は、IPM中で見られ続ける。β3の反応性は、一層初期のステージより弱く現れ続ける。
【0174】
一層初期の発生ステージで見られたように、ラミニンγ1反応性は、P10ステージにおいては、網膜脈管構造中にのみ現れる。弱いラミニンγ2免疫蛍光がIPMにおいて明らかである。ラミニンγ3反応性は、内節及び外節の周囲のIPM中に存在する。更なる反応性が、OPL中に見られる。
【0175】
P8及びP10発生ステージにおいて見られるβ3及びγ2に由来する明らかに一層弱い反応性は、ラミニン5のβ及びγ成分が消えつつあることを示唆している。
【0176】
生後15日目
P15までに、網膜の発生は、ほぼ完成する。神経網膜中の3つの細胞層及び2つのシナプス層を認めることができ、網膜電位の応答がある(Weidman及びKuwabara, 1968)。ラミニンα1及びα2反応性は、網膜脈管構造においてのみ検出される(示してない)。ラミニンα3免疫蛍光は、IPM中に現れ続け、OPLでは散漫に現れ続ける。α3反応性は又、このステージにおいて、外境界膜にも存在する(ELM、示してない)。ラミニンα4免疫反応性は、IPM、OPL及びIPLにおいて見られる。加えて、α4免疫反応性は、放射状繊維(ミュラー細胞と推定)に見られる。ブルック膜は、ラミニンα5で染色され続ける。
【0177】
α1と同様に、ラミニンβ1反応性は、網膜脈管構造において見られ、神経網膜では見られない。ラミニンβ2免疫蛍光は、IPM中の及び更にはOPL中の内節及び外節の回りで明らかに見られる。前の発生ステージと異なって、ラミニンβ3免疫反応性は、IPM中で検出されない。β3反応性は、神経網膜及びRPEの如何なる領域でも見られない。
【0178】
α1及びβ1での観察とよく似て、ラミニンγ1反応性は、網膜脈管構造でのみ検出される。ラミニンγ2に由来する免疫反応性は、もはやIPM中では一層初期のステージにおけるようには見られない。その上、如何なるγ2反応性も、神経網膜中で見られない。ラミニンγ3免疫蛍光は、OPLと共にIPM中に存在し続ける。γ3由来の更なる反応性が、ELMにおいて、散漫に見られる。
【0179】
成体
成体ラットの網膜を、後期発生ステージと成体との間のラミニン発現の任意の変化を検出するために調べた。成体ラットにおける免疫組織化学からの結果は、ここには示さない。まとめると、Richard Libby博士と私は、成体の網膜中に存在するラミニン鎖を特性決定した。ここに提示する結果は、我々の以前の実験からのものと一致する。調べたすべての発生ステージ中で見られたように、ラミニンα1とα2は、網膜脈管構造とのみ反応性である。ラミニンα3免疫蛍光は、IPM及びOPLにおいて見られ続ける。P15ステージで見られたように、α3反応性は、ミュラー細胞プロセスがELMを形成する部位に存在する。一層後期の発生ステージで認められたように、ラミニンα4反応性は、網膜中に広く分布している。α4反応性は、IPM中に並びにOPL及びIPL中においても検出される。P10及びP15ステージで見られたように、α4は、ミュラー細胞と推定される放射状繊維と結合し続ける。ラミニンα5免疫反応性は、神経網膜と結合せず、ブルック膜中で見られるままである。
【0180】
すべての発生ステージにおいて見られたように、ラミニンβ1に由来する反応性は、網膜脈管構造とのみ結合している。ラミニンβ2免疫反応性は、初期の研究でIPM中に存在すると報告されている(Hunter等、1992;Libby等、1997a)。これらの実験で用いた成体ラットの網膜からの結果は、以前のデータと一致する。β2に由来する更なる反応性が、OPLに存在する。ラミニンβ3の反応性は、成体の網膜中では検出されない。これらの結果は、P15の網膜で見られるものと類似している。
【0181】
成体の網膜におけるラミニンγ1の反応性は、前の発生ステージからの結果とコンスタントであり、γ1は、網膜脈管構造においてのみ検出される。ラミニンγ2に由来する免疫反応性は、P15ステージにおける結果と類似して、成体ラットの神経網膜又は網膜脈管構造中には存在しない。ラミニンγ3免疫反応性は、内節及び外節を囲むIPMにおいて顕著である。更なるγ3反応性が、ELM及びOPLと結合している。
【0182】
概観
ラミニンは、多くのプロセス例えば細胞移動、細胞分化及び細胞接着に関与している。網膜においては、RPEと神経網膜との近接接着が光受容器機能にとって重要である。ラミニンの網膜接着における役割は、網膜中のインテグリンの存在により強められる。ラミニンの接着特性は、部分的に、網膜インテグリンにより媒介され得る。一つのかかるインテグリンヘテロ二量体は、α6/β1である。
【0183】
我々は、発生中のラミニン鎖その他を調べて、如何なる発生上の変化が生じているかを見て、網膜におけるそれらの役割に一層の洞察を与えた。
【0184】
我々は、発生中のラミニン鎖の発現に相当の変化が生じることを示した。発生初期に、ラミニン5、ラミニン13及びラミニン14の成分鎖は、神経網膜で発現される。一層後期の発生ステージ特に桿状体生成完了後では、ラミニン5のβ及びγ鎖は消えて、ラミニン13(α3/β2/γ3)及びラミニン14(α4/β2/γ3)だけが網膜で発生され続ける。
【0185】
ラミニン5鎖
ラミニン発現の有意の発生上の変化は、ラミニン5(α3/β3/γ2)のβ鎖及びγ鎖について見られる。ラミニン5のβ及びγ鎖は、E16程の初期には神経網膜の網膜下腔において明らかであるが、成体では明らかでない。β3及びγ2免疫反応性は、P10中存在する(もっとも、P8程の初期でその免疫反応性の強度は減少しつつあり、P15までには完全に消失する)。
【0186】
ラミニン5の成分は発生中のラットの神経系で調べられたことはないが、それらの鎖は、発生中のマウスで調べられた(Aberdam等、1994b;Ryan等、1996で総説されている)。これらの研究において、β3及びγ2鎖は、胎児期16日目程の初期の発生中の脈絡叢に存在すると報告されている。加えて、ラミニン5(α3/β3/γ2)の3つのすべての鎖は、同じ発生ステージにおいて、脳脊髄液中で報告されている(Aberdam等、1994b)。
【0187】
ラミニン5の鎖の免疫反応性の網膜発生のステージにおける空間的発現の試験において、我々は、これらの鎖はPREと神経上皮の接着において重要であると考えている。網膜が発生するにつれて、網膜下腔は、縮み始め、RPEと神経上皮を一カ所に近接させる。この時期に、ラミニン5の3つの鎖は、網膜下腔中に存在する。網膜が分化し続け、外節が先端表面から光受容器細胞層(ONL)になるにつれて、隣接する光受容器の間のマトリクスは、IPMに成熟する。この成熟の間、β3及びγ2ラミニンの両者についての免疫反応性シグナルの見かけの強度は、一層弱くなる。P15において、網膜の発生がほぼ完了した時点で、β3及びγ2ラミニン鎖は、免疫細胞化学技術によっては検出不能である。この見かけのβ3及びγ2の消失は、それらの網膜下腔における存在が、光受容器成熟が完了するまで必要であることを示している。β3及びγ2と異なり、ラミニンα3は、成体期まで神経網膜により発現され続ける。しかしながら、α3が、神経網膜により発現されることが知られている外側ラミニン鎖(即ち、β2及びγ3)と会合していることは、ありそうなことである。
【0188】
我々は又、網膜の発生中のラミニン13及び14鎖をも調べた。これらの鎖に由来する免疫反応性は、網膜発生中存在する。神経上皮の分化前には、α3及びα4、β2並びにγ3免疫反応性は、網膜下腔にのみ存在する。神経上皮の分化の には、これらの鎖に由来する免疫反応性が、OPL中で見られる。その上、α4免疫反応性が、IPL中及び放射状繊維(ミュラー細胞であると思われる)において見られる。ラミニン13及びラミニン14のこれらの鎖は、RPEと発生中の神経上皮との間の接着における重要な成分である。
【0189】
ラミニンβ2欠損マウス
我々は、これらのラミニンβ2の欠損している動物の中枢神経系における混乱を生後14週間特性決定した。
【0190】
実験手順
動物
ラミニンβ2遺伝子におけるヌル変異についてヘテロ接合であるマウス(Noakes等、1995a)は、Joshua Sanes(ワシントン大学、ミズーリ、 Saint Louis)からの寄贈であった。これらのマウスは、ラミニンβ2遺伝子の第2のエキソンを標的とした相同組換えにより造られた。DNAトランスファーブロット分析は、破壊されたラミニンβ2遺伝子の存在を確認し;タンパク質トランスファーブロット分析は、ホモ接合のヌルにおいてラミニンβ2タンパク質が存在しないことを確認した(Noakes等、1995a)。ヘテロ接合の動物(12時間の明/暗サイクルに維持)をボストン大学の我々のコロニー内で繁殖させた。誕生日を生後(P)0日目と規定した。ヘテロ接合体の交配の子孫の遺伝子型を、前に記載された()ようにして測定した(Noakes等、1995a)。すべての面において、ヘテロ接合動物は、ホモ接合の正常マウスと区別できない。従って、ヘテロ接合(+/−)及びホモ接合(+/+)動物は、両方とも遺伝子型は野生型であり、これらを対照として利用した。
【0191】
免疫組織化学及び組織学
ロドプシンを認識するマウスモノクローナル抗体(Ret−P1;Fekete及びBarnstable, 1983)は、C.Barnstable(イェール大学)の寄贈であった。ラミニンを認識する抗体を次のように得た:ポリクローナル抗ラミニン1(ラミニンα1、β1及びγ1を認識する)は、Life Technologies (メリーランド、 Bethesda)から;ポリクローナル抗ラミニンα4は、J.R. Sanes (ワシントン大学)から。シナプスリボンを認識するマウスモノクローナル抗体を、我々の研究室で高めた(B16;Balkema, 1991;Balkema及びRizkalla, 1996)。シナプトフィジンを認識するマウスモノクローナル抗体(Boehringer Mannheim, インディアナ、 Indianapolis)を購入した。二次抗体を、Sigma(ミズーリ、 Saint Louis)及びIncstar(ミネソタ、 Stillwater)から得た。
【0192】
未固定組織を、前に記載された(Libby等、1996)ように調製し、包埋して凍結した。パラホルムアルデヒド固定された組織の調製のために、眼を取り出して、鋸状縁に皮下注射針を用いて穴を開けた。次いで、この組織を氷冷リン酸緩衝塩溶液(PBS;137mM NaCl、2.68mM KCl、10mM NaHPO、1.76mM KHPO、pH7.4)中の4%パラホルムアルデヒド中に置いた。約30分後に、前眼房とレンズを眼から取り出し、その結果の眼杯を再び2時間又は一晩固定した。固定後に、組織をシュークロース溶液の濃度の増すシリーズ(PBS中の5%、10%、15%、20%)中に置いて、20%シュークロース及び80%OCT(Miles, インディアナ、 Elkhart)の混合物中で4℃で一晩インキュベートし、その後、20%シュークロース及び80%OCTの新鮮な溶液に交換した。次いで、前に記載された(Libby等、1996)ように組織を凍結して10μmで切った。幾つかの組織学的試験のために、この組織を3%グルタルアルデヒド及び2%ホルムアルデヒド(PBS中)で固定してから、上記のように処理した。未固定の及びパラホルムアルデヒド固定した組織における免疫組織化学を、前に記載された(Libby等、1996;Libby等、1997)ように行った。
【0193】
アポトーシスによる細胞死のアッセイ
コンシステンシーについては、視神経を含むか又はそれに近接したP15及びP20動物に由来する切片を選択した。これらの切片中のアポトーシスにより死につつある細胞を、イン・シトゥー細胞死検出キット(Boehringer Mannheim, インディアナ、 Indianapolis)を用いて検出した。このキットは、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ媒介のdUTPニックエンドラベリング(TUNEL)法(Gavrieli等、1992)により、死につつある細胞を検出するが、これは断片化DNAの末端を酵素ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼを用いて標識したUTP(ここでは、UTPはフルオレセインと結合されている)で標識する。パラホルムアルデヒドで固定した切片(10μm;上記参照)をスライド上へ4%パラホルムアルデヒド(PBS中)により20分間室温で固定することにより標識用に調製し、次いで、製造業者の指示に従って浸透化して標識した。標識後、切片を、パラフェニレンジアミン(1mg/ml)を含むグリセロールベースの溶液中にマウントして光漂白を減じた。
【0194】
網膜電図
網膜電図(ERG)を、生後20日又は20日頃の動物について行った。すべての調製的手順は、普通のの室内灯の下で行った。動物をトラクタン(約12.5mg/kg)とそれに次ぐネンブタール(約65mg/kg)で麻酔してから、定位ホルダー内に配置した。銀線で作られた照合電極を皮膚と頭蓋骨との間に前頂の近くに配置してシアノアクリレートで固めた。眼を開いた状態で縫合してから、アトロピンの滴(0.54mg/ml)をその眼の上に約1分間置いた。次いで、その動物を光を通さないファラデー箱中に置いた。この動物を光源に対して正しい関係位置をとらせてから、銀−塩化銀半電池にカップルさせた綿芯電極をこの動物の角膜上に、閃光を減衰させない位置に配置した。試験用フラッシュをこの動物に与えて、適当な電極配置をチェックした。21分間の暗順応の後に、動物に、10の別々の50msのフラッシュを2秒間隔で与え(PS22フォトピックスティミュレーター、Grass Instruments);それらの応答をDam50ディファレンシャルアンプリファイヤー(World Precision Instruments)を用いて増幅し、MacLab4S(AdInstruments)を用いて記録して平均した。各動物について、少なくとも1セットの記録を、強度の4.2−log範囲にわたって作成した(最低の明るさで開始)。21分間の暗順応期間を如何なる後続の記録期間にも先行させた。
【0195】
組織学
生後の最初の10又は11日間に、ラミニンβ2欠損のマウスと対照用マウスに由来する網膜は、大きな差はなかった。しかしながら、P13までに、ラミニンβ2欠損マウスと対照用マウスとの間の最初の差異が明白となり;特に、ラミニンβ2欠損マウスの網膜の厚みは、P15までに著しく減少する。この減少は、殆ど完全に光受容器の長さの減少によるものである:ラミニンβ2欠損網膜の核層及び網状(シナプス)層は、十分に正常に見える(幅で判断)が、光受容器外節及びおそらくは内節は、明らかに一層短い。この差異が明らかとなる期間は、外節が最大の伸長を経験する期間(生後第3週の初め;LaVail, 1973)である。
【0196】
野生型(+/?)マウスにおいて、外節及び内節は、生後2週間にわたってそれらの最大長に達する。対照的に、ラミニンβ2欠損マウスにおいては、外節及び内節は、この同じ期間に劇的に増大することができない。P25の野生型(+/?)マウスで、光受容器外節及び内節の長さ(それぞれ、約32及び16μm)は、成体マウスについての正常範囲に達し(LaVail, 1973);対照的に、ラミニンβ2欠損マウスの内節及び外節は、約50%短い。従って、生後第4週(即ち、それらの最大生存期間)までに、ラミニンβ2欠損マウスは、外節及び内節のひどく遅れた発生又は一層短い外節及び内節の傾向を有する(おそらく、ラミニンβ2欠損の結果として)。
【0197】
光受容器の形態は、ラミニンβ2欠損マウスにおいて明らかに変化するが、これらのマウスは、依然として、光色素のロドプシンをそれらの外節で発現している。ロドプシンに対する抗体(Ret−P1、Barnstable, 1980;Fekete及びBarnstable)は、ラミニンβ2欠損マウス中で外節に適当に配置されたロドプシンを示した。免疫組織化学が、ラミニンβ2欠損マウスが野生型(+/?)量のロドプシンを生成するか否かを測定できなくても、我々は、光色素の生成と配置から判断して、これらの光受容器は光に応答することができると予想している。
【0198】
ラミニンβ2欠損網膜のスクリーニングにおいて、我々は、双極細胞(プロテインキナーゼCに対する抗体使用)、水平細胞(カルビンディンに対する抗体使用)、及びミュラー細胞(ビメンチンに対する抗体使用)を含む幾つかの他の細胞型(双極細胞を含む)において、如何なる顕著な混乱も検出しなかった。これらのデータは、ラミニンβ2欠損マウスの網膜の殆ど正常な解剖学的構造(上記参照)と合わせると、光受容器の発生だけがラミニンβ2の除去により変化したことを示している。
【0199】
アポトーシス
マウスの網膜においては、細胞死を受けつつある細胞の数が、一般に、ガウス分布に従い、誕生前に始まり、P9頃にピークとなり、P25頃に止む。又、この分布内において、内側網膜細胞(即ち、神経節細胞及び無軸索細胞)は、外側細胞(即ち、光受容器及び双極細胞)より早く死ぬ。ラミニンβ2欠損マウスがこれらの正常な発生過程を受けているかどうかを調べるために、我々は、プログラムされた細胞死について異なる2つの日、P15とP20においてアッセイした。
【0200】
P15において、正常なマウス網膜では、細胞死は、主として、桿状体光受容器及び桿状体双極細胞集団に限られている(Young, 1984)。野生型マウスにおいて、プログラムされた細胞死を受けつつある細胞の型(位置に基づく)及び数(表1)は、前の報告(Young等、1984)と一致する。ラミニンβ2欠損マウスは、約2倍量のプログラムされた細胞死を有した(表1)。
【0201】
【表1】
Figure 2004500012
P15及びP20の動物由来の視神経を含むか又はそれに近接した切片を選択した。粗数は平均したものであり、平均±平均の標準誤差(SEM)として与えてある。
【0202】
正常なマウスの発生においては、生後20日までに、細胞死を受けつつある細胞の数は、急速に低下して、主として光受容器に限られる。P20においては、野生型の網膜は、P15より少ないアポトーシス中の細胞を含んでおり;ラミニンβ2欠損マウスも又、P20において、アポトーシス中の細胞が減少する(表1)。
【0203】
それ故に、ラミニンβ2欠損マウスは、上昇したプログラムされた細胞死を有する;しかし、それらは、未だ、死ぬ細胞の齢に伴う減少という基本的な発生の方向に従っている。その上、細胞死の減少速度は、同腹子対照における速度のそれと平行しており、これは、ラミニンβ2欠損マウスにおける細胞死が減速していることを示している。加えて、ラミニンβ2欠損マウスにおける死につつある細胞の増加は、網膜細胞の総数と比較した場合には比較的少数であるので、単に細胞が不足することによる網膜機能への影響は殆ど又は全くない。
【0204】
調べた両日齢で、アポトーシス中の細胞の明白な凝集がなく、ネクローシスを示唆している(Vaux, 1993)ということにも注意すべきである(アポトーシス中の細胞は、一般に、生存力のある細胞に囲まれている)。これは、ラミニンβ2欠損マウスの網膜が、その動物中に生じている他の病状(例えば、腎臓障害)により有意に影響されないことを示唆している。
【0205】
ラミニンβ2欠損マウスのIPM中のラミニン
我々は、野生型及びラミニンβ2欠損動物の網膜を、ラミニン12(α3β2γ3)及び13(α4β2γ3)の他の構成成分即ちラミニンα3、α4及びγ3の存在について調べた。我々は、これら3種の鎖をコードするRNAの発現を調べた(イン・シトゥーハイブリダイゼーションにより)。我々は、これらの鎖をコードするRNAの発現において如何なる明白な変化をも検出しておらず、これは、ラミニンβ2タンパク質の排除の結果として、これらの鎖の転写に大きな変化のないことを示している。
【0206】
我々は、これらの3つの構成成分の2つのタンパク質発現をも調べた。ラミニンα4及びγ3は、野生型マウスの網膜中には存在している。3種すべてにおいて、これらのラミニン鎖は、3つの別々の配置で存在している:(1)光受容器間マトリクス;(2)外網状層;及び(3)内網状層(様々な程度に)。ラミニンβ2タンパク質は、定義により、ラミニンβ2欠損の網膜には存在しないが、我々は、その推定のパートナーであるラミニンα4及びγ3のラミニンβ2欠損網膜内の分布に如何なる大きな乱れもこれらの配置の何れにおいても検出できない。これらのデータは、これらの鎖をコードするRNAの発現における見かけの変化の欠如と一致し、ラミニンβ2タンパク質の消失は、ラミニンα4及びγ3の付着の大きな変化を生じないことを示唆する。
【0207】
特に、ラミニンβ2の非存在下で、ラミニンα4及びγ3は、IPM中で発現され続け、そこでそれらは殆ど間違いなく細胞外である。これらのデータは、別の(おそらく未知の)ラミニンβ鎖の代償的発現があることを示す。我々は、これらの動物の網膜におけるラミニンβ1の分布を調べて、それが、網膜のα4及びγ3鎖を含むラミニン三量体中のラミニンβ2の代用となり得るか否かを確認した。ラミニン1(α1、β1及びγ1)の3つの鎖すべてと反応するポリクローナル抗血清を用いて、我々は、網膜脈管構造と結合したラミニン鎖を検出することができただけであり:異所性のラミニンβ1をラミニンβ2欠損の網膜において見出さなかった(ラミニンα1及びγ1も見出さなかった)。我々は、マウス反応性抗ラミニンβ3抗体を有しなかったので、普通成体の神経性網膜と結合していないラミニンβ3がラミニンβ2欠損網膜でラミニンβの代用となり得る可能性は未決定のままとなった。しかしながら、ラミニンβ3をコードするRNAを検出するプローブを用いるイン・シトゥーハイブリダイゼーションは、この鎖をコードするRNAの発現に変化がないことを示す。それ故、新規なラミニンβ鎖が、ラミニンβ2欠損マウスの光受容器間マトリクス及び外網状層においてラミニンβ2の代用となり得ることはありそうなことである。
【0208】
光応答
網膜電位図(ERG)は、網膜の積算電気活性を詳細に記録し、それにより、その全体的生理についての情報を生成する。特に、ERGは、光受容器及び網膜介在ニューロンの光に対する独立した応答を記述することができ:光受容器の応答は、a波(Dowling, 1960;Brown及びWiesel, 1961)として公知の初期下方偏向として存在し、内側網膜介在ニューロンへの伝達は、b波(Brown及びWiesel, 1961;Rager, 1979;Stockton及びSlaughter, 1989)として公知の続く上方偏向として存在する。これらの波の振幅、それらの形状及びそれがピーク電圧に達するのに要する時間(「ピークまでの時間」又は「潜在時間」)は、網膜の生理的健康状態を測定するための診断手段として利用することができる。
【0209】
我々は、ERGを野生型(+/?)及びラミニンβ2欠損マウスについて実施した。最大刺激強度において、野生型(+/?)マウスのERGは、典型的であり、光受容器細胞の電気的活性により引き起こされる初期下方偏向(a波)(これは、続いて、2番目の介在ニューロンから生じるフィールドポテンシャル(b波)により約50ms切り開かれる)を特徴とする。b波は、約100msでそのピークに達し、次いで、ERGは、網膜介在ニューロンによる更なるプロセスのために急速に基線まで落ちる。
ラミニンβ2欠損マウスの全ERGは、異常である。しかしながら、重要なことに、a波は、振幅及びピークまでの時間の両者に関して正常である(表2)。
【0210】
【表2】
Figure 2004500012
ラミニンβ2欠損マウスと正常マウスの最大光度でのERG応答の比較は、ラミニンβ2欠損により引き起こされるERGの混乱を明確に示している。ラミニンβ2欠損マウスは、統計的に(有意性をp値<0.05として規定し;有意の差異を太字で示してある)類似するA波及びb波潜在時間及びa波の振幅を有している。ラミニンβ2欠損マウスのb波は、明らかに、減衰しており;それは、有意に一層小さい。a波のb波を誘出する能力(b波応答をa波応答で除すことにより評価;A/B比)は、ラミニンβ2欠損マウスにおいて有意に一層低い)。
【0211】
これは、光受容器の外節の形態はラミニンβ2の欠如により明らかに影響を受けるが、光受容器の光に応答する全体的能力は影響されないことを示唆している。
【0212】
対照的に、ラミニンβ2欠損動物のERGのb波には顕著な混乱がある。このb波は、正常な潜在時間を有するが、それらの振幅は、正常マウスにおけるように基線まで戻らず;むしろ、それは、一般に、1秒間にわたって基線のずっと上方に留まっている。事実、その後の刺激の時点(第1の刺激の2秒後)で、この網膜の生理は、未だ混乱している(一般に、ラミニンβ2欠損ラミニンは、次の刺激の時点において負のポテンシャルにあるERGを示す)。
【0213】
光受容器(従って、網膜)は、増大する光のレベルに対して、増大する電気的活性で応答する(それらが、飽和した最大応答に達する時点まで)。野生型(+/?)マウスは、光度の増大に対する網膜の正常な応答を示す:(1)低い光のレベルでは、b波は、ERGにおいて観察し得る単なる電気的活性であり;光度が増すにつれてその振幅及び潜在時間が増大し;(2)a波は、最初、b波より高い光レベルで検出可能であり;それらの振幅及び潜在時間は、a波と同様に、増大する光度と共に増大する。
【0214】
ラミニンβ2欠損網膜の光度の増大に対する応答は、基本的に正常である:a波とb波の両者は、増大する光度と共に増大する。しかしながら、最大強度においては、ラミニンβ2欠損網膜のa波は正常な対照のものと類似しているが、b波は、大いに減衰する。幾らかの動物から得られたデータをまとめると、ラミニンβ2欠損網膜は、ほぼ正常なa波を示すが、調べたすべての光度において減衰するb波を示している。正味の結果は、平均において、b波対a波の比が、ラミニンβ2欠損マウスにおいて有意に低いということである(1.99対3.15;表2)。まとめると、これらのデータは、ラミニンβ2欠損網膜は光をほぼ正常に検出できるが、光受容器から2番目の細胞(網膜介在ニューロン)への情報伝達が不十分であることを示している。
【0215】
この見かけの伝達できないことは、光受容器が2番目のニューロンに接触するシナプス層、外網状層の混乱であり得る。実際、ラミニンβ2欠損マウスの外網状層は、桿状体シナプスの野生型のメンバーを含んでいないようであり:光受容器「リボン」シナプスに特異的な抗体(B16;Balkema, 1991;Balkema及びRizkalla, 1996)は、ラミニンβ2欠損マウスの外網状層において一層少ない光受容器シナプスを示す。この外網状層の混乱は、おそらく、ラミニンβ2欠損マウスにおける正常なa波の存在下での正常なb波の欠如を説明する。
【0216】
Figure 2004500012
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Claims (76)

  1. 実質的に純粋なラミニンを含有する調製物であって、ラミニンがラミニン鎖α3、ラミニン鎖β2及びラミニン鎖γ3を含む当該調製物。
  2. ラミニンがラミニン13である、請求項1に記載の調製物。
  3. ラミニン13をコードする単離された核酸。
  4. 請求項3に記載の核酸を含むベクター。
  5. 請求項3に記載の核酸を含む細胞。
  6. 細胞がラミニン13を発現する、請求項5に記載の細胞。
  7. 実質的に純粋なラミニンを含有する調製物であって、ラミニンがラミニン鎖α4、ラミニン鎖β2及びラミニン鎖γ3を含む当該調製物。
  8. ラミニンがラミニン14である、請求項7に記載の調製物。
  9. ラミニン14をコードする単離された核酸。
  10. 請求項9に記載の核酸を含むベクター。
  11. 請求項10に記載の核酸を含む細胞。
  12. 細胞がラミニン14を発現する、請求項11に記載の細胞。
  13. 請求項1に記載のタンパク質調製物及び製薬上許容し得るキャリアーを含む組成物。
  14. 請求項2に記載のタンパク質調製物を含む請求項13に記載の組成物。
  15. 請求項7に記載のタンパク質調製物及び製薬上許容し得るキャリアーを含む組成物。
  16. 請求項8に記載のタンパク質調製物を含む請求項15に記載の組成物。
  17. 請求項1に記載の調製物を単離する方法であって、下記を含む当該方法
    網膜光受容器間マトリクス、網膜外網状層、神経網膜、ミュラー細胞、網膜ニューロンの調製物よりなる群から選択する網膜組織を得、そして
    請求項1に記載の調製物を単離する。
  18. 請求項7に記載の調製物を単離する方法であって、下記を含む当該方法
    網膜光受容器間マトリクス、網膜外網状層、神経網膜、ミュラー細胞及び網膜よりなる群から選択する網膜組織を得、そして請求項7に記載の調製物を単離する。
  19. 網膜光受容器間マトリクスの安定性を増大させる方法であって、請求項1に記載の調製物を含む混合物の有効量を投与することを含む当該方法。
  20. 混合物が請求項13に記載の組成物である、請求項19に記載の方法。
  21. 網膜光受容器間マトリクスの安定性を増大させる方法であって、請求項7に記載の調製物を含む混合物の有効量を投与することを含む当該方法。
  22. 混合物が請求項15に記載の組成物である、請求項19に記載の方法。
  23. 少なくとも一の網膜光受容器構成要素の安定性を増大させる方法であって、請求項1に記載の調製物を含む混合物の有効量を投与することを含む当該方法。
  24. 網膜光受容器構成要素が外節、内節、細胞体及びシナプスである、請求項23に記載の方法。
  25. 網膜光受容器の安定性を増大させる方法であって、請求項7に記載の調製物を含む今後物の有効量を投与することを含む当該方法。
  26. 混合物が請求項15に記載の組成物である、請求項23に記載の方法。
  27. 網膜接着を増大させる方法であって、請求項1に記載の調製物を含む混合物の有効量を投与することを含む当該方法。
  28. 混合物が請求項13に記載の組成物である、請求項27に記載の方法。
  29. 網膜接着を増大させる方法であって、請求項7に記載の調製物を含む混合物の有効量を投与することを含む当該方法。
  30. 混合物が請求項15に記載の組成物である、請求項29に記載の方法。
  31. 網膜の変性と関係する疾患を治療する方法であって、請求項1に記載の調製物を含む混合物の有効量を投与することを含む当該方法。
  32. 混合物が請求項13に記載の組成物である、請求項31に記載の方法。
  33. 疾患を、桿状体栄養障害、桿状体錐体栄養障害、黄斑部変性及び網膜剥離よりなる群から選択する、請求項31に記載の方法。
  34. 網膜の変性と関係する疾患を治療する方法であって、請求項7に記載の調製物を含む混合物の有効量を投与することを含む当該方法。
  35. 混合物が請求項15に記載の組成物である、請求項34に記載の方法。
  36. 疾患を、桿状体栄養障害、桿状体錐体栄養障害、黄斑部変性及び網膜剥離よりなる群から選択する、請求項34に記載の方法。
  37. シナプスの安定性を増大させる方法であって、請求項1に記載の調製物を含む混合物の有効量を投与することを含む当該方法。
  38. 混合物が請求項13に記載の組成物である、請求項37に記載の方法。
  39. シナプスを、中枢神経系のシナプス及び末梢神経系のシナプスよりなる群から選択する、請求項37に記載の方法。
  40. シナプスの安定性を増大させる方法であって、請求項7に記載の調製物を含む混合物の有効量を投与することを含む当該方法。
  41. 混合物が請求項15に記載の組成物である、請求項40に記載の方法。
  42. シナプスを、中枢神経系のシナプス及び末梢神経系のシナプスよりなる群から選択する、請求項40に記載の方法。
  43. 状態を刺激する方法であって、請求項1に記載の調製物を含む混合物の有効量を投与することを含み、条件が、神経の再生、軸索の伸出又はシナプスの形成である当該方法。
  44. 混合物が請求項13に記載の組成物である、請求項43に記載の方法。
  45. シナプスを、中枢神経系のシナプス及び末梢神経系のシナプスよりなる群から選択する、請求項43に記載の方法。
  46. シナプスの形成を刺激する方法であって、請求項7に記載の調製物を含む混合物の有効量を投与することを含む当該方法。
  47. 混合物が請求項15に記載の組成物である、請求項46に記載の方法。
  48. シナプスを、中枢神経系のシナプス及び末梢神経系のシナプスよりなる群から選択する、請求項46に記載の方法。
  49. 請求項1に記載の調製物でインプラントを被覆することを含むインプラントの調製方法。
  50. インプラントを、移植可能なカテーテル、人工関節、網膜インプラント、定期的放出装置、神経細胞生長ガイド及び人工組織よりなる群から選択する、請求項49に記載の方法。
  51. 請求項7に記載のタンパク質調製物でインプラントを被覆することを含むインプラントの調製方法。
  52. インプラントを、移植可能なカテーテル、人工関節、網膜インプラント、定期的放出装置、神経細胞生長ガイド及び人工組織よりなる群から選択する、請求項51に記載の方法。
  53. ラミニンが組換えによるものである、請求項2に記載の調製物。
  54. ラミニンが組換えによるものである、請求項8に記載の調製物。
  55. 網膜接着を誘導する方法であって、ラミニン5を含む組成物の有効量を投与することを含む当該方法。
  56. 組成物が、製薬上許容し得るキャリアーを更に含む、請求項55に記載の方法。
  57. 組成物がインテグリンを更に含む、請求項55に記載の方法。
  58. 網膜光受容器の生存力を増大させる方法であって、網膜光受容器をラミニン5を含む組成物の有効量と接触させることを含む当該方法。
  59. 組成物が製薬上許容し得るキャリアーを更に含む、請求項58に記載の方法。
  60. 組成物がインテグリンを更に含む、請求項58に記載の方法。
  61. インプラントをラミニン5を含む組成物で被覆することを含むインプラントに調製方法。
  62. インプラントを、移植可能なカテーテル、人工関節、網膜インプラント、定期的放出装置、神経細胞生長ガイド及び人工組織よりなる群から選択する、請求項61に記載の方法。
  63. 神経細胞の生長又は再生を誘導する方法であって、ラミニン5を含む組成物の有効量を投与することを含む当該方法。
  64. 不十分な網膜接着と関係する病気を治療する方法であって、かかる治療を必要とする哺乳動物にラミニン5を含む組成物の有効量を投与することを含む当該方法。
  65. 病気を、桿状体栄養障害、桿状体錐体栄養障害、黄斑部変性、網膜剥離及び色素性網膜炎よりなる群から選択する、請求項64に記載の方法。
  66. 第1の神経細胞と第2の神経細胞との接着を誘導する方法であって、第1の神経細胞及び第2の神経細胞をラミニン5を含む組成物の有効量と接触させることを含む当該方法。
  67. 第1の神経細胞がニューロンである、請求項66に記載の方法。
  68. 第1及び第2の神経細胞がニューロンである、請求項66に記載の方法。
  69. シナプスの安定性を増大させる方法であって、シナプスをラミニン5を含む組成物の有効量と接触させることを含む当該方法。
  70. シナプスが中枢神経系にある、請求項69に記載の方法。
  71. ラミニン13を製造する方法であって、下記を含む当該方法
    ラミニン鎖α3、ラミニン鎖β2及びラミニン鎖γ3を発現させ、そして
    ラミニン13を生成する。
  72. ラミニン鎖α3、ラミニン鎖β2及びラミニン鎖γ3を一つの細胞中で同時発現させる、請求項71に記載の方法。
  73. ラミニン鎖α3、ラミニン鎖β2及びラミニン鎖γ3を異なる細胞中で発現させる、請求項71に記載の方法。
  74. ラミニン14を製造する方法であって、下記を含む当該方法
    ラミニン鎖α4、ラミニン鎖β2及びラミニン鎖γ3を発現させ、そして
    ラミニン14を生成する。
  75. ラミニン鎖α4、ラミニン鎖β2及びラミニン鎖γ3を一つの細胞中で同時発現させる、請求項74に記載の方法。
  76. ラミニン鎖α4、ラミニン鎖β2及びラミニン鎖γ3を異なる細胞中で発現させる、請求項74に記載の方法。
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