JP2004356402A - 超電導電磁石及びこれを用いたmri装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】小型で信頼性の高い超電導電磁石を得る。
【解決手段】磁界を発生させる環状の超電導コイル1を収納し、この超電導コイル1を冷却する液体ヘリウム3を貯液する円筒状のヘリウム槽2と、このヘリウム槽2を包囲して配設された真空槽5との間に配置され、冷凍機8により冷却される熱シールド6、7により、ヘリウム槽2への輻射熱侵入を低減し、サービスポート11からヘリウム槽2に液体ヘリウム3を追加注液するように構成され、超電導コイル1の中心位置をヘリウム槽2の断面を形成する外側の円の中心位置から下方向にずらした位置に配置して、従来のものに比べて液体ヘリウム3の下限レベル10より上のヘリウム槽2の容積は同じでありながら、小型の超電導電磁石を得るようにしている。
【選択図】 図1
【解決手段】磁界を発生させる環状の超電導コイル1を収納し、この超電導コイル1を冷却する液体ヘリウム3を貯液する円筒状のヘリウム槽2と、このヘリウム槽2を包囲して配設された真空槽5との間に配置され、冷凍機8により冷却される熱シールド6、7により、ヘリウム槽2への輻射熱侵入を低減し、サービスポート11からヘリウム槽2に液体ヘリウム3を追加注液するように構成され、超電導コイル1の中心位置をヘリウム槽2の断面を形成する外側の円の中心位置から下方向にずらした位置に配置して、従来のものに比べて液体ヘリウム3の下限レベル10より上のヘリウム槽2の容積は同じでありながら、小型の超電導電磁石を得るようにしている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、小さいスペースに設置される超電導電磁石及びこの超電導電磁石を用いたMRI装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の水平型円筒状超電導電磁石では、ヘリウム槽内では超電導状態の超電導コイルが極低温の液体ヘリウムに浸かっている。ヘリウム槽の外側には輻射熱侵入を低減するための熱シールドが配置され、熱シールドの外側にはヘリウム槽を真空断熱するための真空槽が配置されている。真空槽内は真空排気されており、真空断熱により熱侵入を低減している。冷凍機は、熱シールドをそれぞれ約70K(ケルビン)、約20Kに冷却して輻射熱侵入を低減している。液体ヘリウムが減少して液面が下がった場合は、温度が上昇して超電導コイルがクエンチ(超電導状態でなくなる現象)するのを防止するため、サービスポートから液体ヘリウムを追加注液するようになっている。
このヘリウム槽は、円筒状で、この中に複数の環状の超電導コイルが配置されている。この場合に、超電導コイルの中心と、ヘリウム槽の円形断面の中心とは、同心になるように配置されていた。(特許文献1参照)
【0003】
【特許文献1】
特開平9−283322号公報(第4〜6頁、図2)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の超電導電磁石は、以上のように構成されているので、液体ヘリウムが減少して液体ヘリウム液面が下がった場合に超電導コイルの超電導状態を保つため、極低温の液体ヘリウムに超電導コイルの一部が浸かっている必要があり、また、減少した液体ヘリウムを注液する間隔を一定期間以上とするため、一定量以上のヘリウム槽容積が必要となり、このため、超電導コイルの外径に合わせたヘリウム槽外径とすることができなかった。
そのため、超電導コイルの最下部とヘリウム槽の最底面までの間の液体ヘリウムが、実使用上の有効液量としては活用できない問題があった。
また、超電導コイルが発生する磁場の影響で冷凍機の駆動モータが動作しなくなるため、超電導コイルと冷凍機の距離をある程度以上離す必要があり、超電導電磁石が小型化できない問題があった。
また、液体ヘリウムを注液する場合には、注液初期に温度の高いヘリウムガスがヘリウム槽内に流入して超電導コイルがクエンチするのを防止するため、サービスポートと超電導コイルの距離を離す必要があり、超電導電磁石が小型化できなかった。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、小型で信頼性の高い超電導電磁石を得ることを第一の目的とする。
また、小型で信頼性の高い超電導電磁石を用いたMRI装置を得ることを第二の目的にしている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明に係わる超電導電磁石においては、磁界を発生させる環状の超電導コイル、中心線が平行になるように配置された外筒及び内筒を有し、外筒及び内筒の間に形成された環状空間に超電導コイルを収納し、環状空間に超電導コイルを冷却する液体ヘリウムを貯液するヘリウム槽、このヘリウム槽を包囲するように配設され、ヘリウム槽を真空断熱する真空槽、ヘリウム槽への輻射熱侵入を低減するようにヘリウム槽と真空槽との間に配置された熱シールド、この熱シールドを冷却する冷凍機、及びヘリウム槽に液体ヘリウムを追加注液するサービスポートを備え、超電導コイルは、その中心線がヘリウム槽の外筒の中心線に対し、これと平行でかつ下方向に偏位した位置に配置されているものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
この発明の実施の形態1による超電導電磁石について図1を参照して説明する。
図1は、この発明の実施の形態1による超電導電磁石を示す断面図であり、図1(a)は、縦断面図、図1(b)は、側断面図である。
図1において、磁界を発生させる複数の環状の超電導コイル1は、中心線が平行になるように配置された外筒2a及び内筒2bの間に形成される環状空間を有するヘリウム槽2に収納され、ヘリウム槽2内では超電導状態の超電導コイル1が極低温の液体ヘリウム3に浸かっている。ヘリウム槽2は、超電導コイル1を冷却する液体ヘリウム3を貯液すると共に、ヘリウムガス4を収納している。真空槽5が、ヘリウム槽2を真空断熱するようにヘリウム槽2を包囲して配設されている。真空槽5内は、真空排気され、真空断熱によりヘリウム槽2への熱侵入を低減している。このヘリウム槽2と真空槽5との間には、熱シールドとしての第1熱シールド6および第2熱シールド7が配設され、熱シールド6、7は、冷凍機8により冷却される。冷凍機は、熱シールドをそれぞれ約70K(ケルビン)、約20Kに冷却して輻射熱侵入を低減している。ヘリウム槽2は、サービスポート9により外部とつながれる。液体ヘリウム3が減少して液面が下がった場合は、温度が上昇して超電導コイルがクエンチ(超電導状態でなくなる現象)するのを防止するため、サービスポート9から液体ヘリウム3を追加注液するようになっている。下限レベル10は、液体ヘリウム3が減少した場合に超電導コイル1と液体ヘリウム3が接触する最下面である下限レベルである。冷凍機8は、駆動モータ11により駆動される。
【0008】
次に、動作について説明する。
実施の形態1では、図1に示されるように、環状の超電導コイル1の中心線Bを、ヘリウム槽2の外筒の中心線Aと平行に且つ下方向に偏位するように配置して、超電導コイル1の最下部とヘリウム槽2の最底部をほぼ等しい位置としている。これにより、液体ヘリウム3の液面が、ヘリウム槽2のほぼ最底部まで減少しても超電導コイル1の一部が液体ヘリウム3に浸かるようにしたものである。
また、ヘリウム槽2の液体ヘリウム3の下限レベル10より上の容積を、従来の超電導コイルとヘリウム槽が同心である場合の液体ヘリウムの下限レベルより上の容積と、同じになるようにヘリウム槽2、熱シールド6、7、真空槽5を小さくしたものである。
【0009】
実施の形態1によれば、従来のものに比べ、液体ヘリウム3の下限レベル10より上のヘリウム槽の容積は同じでありながら、小型の超電導電磁石を実現することができる。
また、これにより、下限レベル10以下の無駄な容積が小さくなることにより、経済的な超電導電磁石を実現することができる。
【0010】
実施の形態2.
次に、実施の形態2による超電導電磁石について図2、図3を参照して説明する。
図2は、この発明の実施の形態2による超電導電磁石を示す断面図である。
図2において、1〜11は図1におけるものと同一のものである。図1とは、超電導コイル1の配置が異なる。
図3は、この発明の実施の形態2による超電導電磁石を用いたMRI装置を示す図である。
図3において、超電導電磁石設置室12には、超電導電磁石のメンテナンス等に必要な作業スペース13と、超電導電磁石がMRI装置に使用された場合に設置される患者を乗せるベッド14とが配置される。MRI装置の操作室15から操作される。
【0011】
実施の形態2は、図2のとおり、環状の超電導コイル1の中心線を、ヘリウム槽2の外筒の中心線と平行に且つ横方向に偏位するように配置して、超電導コイル1の中心線と真空槽5の最大幅部分までの片側距離を短くしたものである。
実施の形態2を利用すれば、図3のように超電導電磁石を設置する場合に、超電導電磁石の周りにメンテナンス等で必要なスペース13を従来と同じだけ確保しても超電導コイル1の中心位置を超電導電磁石設置室12の片側壁面に近づけることができる。
【0012】
実施の形態2によれば、これにより、例えば超電導電磁石が、MRI装置に使用された場合に、超電導コイル1の中心線を近づけた側にMRI装置の操作室15を配置すると超電導コイル1の中心線と同軸上に設置される患者を乗せるためのベッド14と操作室15の間の距離が短くなり、従来の場合と比べて患者が近くなり、良く見えるという利点がある。
【0013】
実施の形態3.
次に、実施の形態3による超電導電磁石について図4を参照して説明する。
図4は、この発明の実施の形態3による超電導電磁石を示す断面図である。
図4において、1〜11は図1におけるものと同一のものである。図1とは、超電導コイルの配置が異なる。
【0014】
実施の形態3は、環状の超電導コイル1の中心線を、ヘリウム槽2の外筒の中心線と平行に且つ斜め下方向に偏位するように配置して、従来の場合より、超電導コイル1の中心線と冷凍機8の距離を離すようにしたものである。
実施の形態3を利用すれば、冷凍機8が超電導電磁石の中心軸上から偏位した位置に配置されている場合に、超電導コイル1の中心線からより離れた位置に冷凍機8を配置できる。
冷凍機8には駆動モータ11が使用されており、超電導コイル1の発生する磁場の影響で冷凍機8が動作しなくなるため、ある程度以上、超電導コイル1から離れた位置に冷凍機8を設置する必要があった。
【0015】
実施の形態3によれば、超電導コイル1の中心線と冷凍機8の距離を変えずに超電導電磁石を小型化できると共に、超電導電磁石をMRI装置に使用した場合に、超電導コイルの中心線を近づけた側にMRI装置の操作室を配置すると、患者を乗せるためのベッドと操作室の間の距離を短くすることができる。
【0016】
実施の形態4.
次に、実施の形態4による超電導電磁石について図5を参照して説明する。
図5は、この発明の実施の形態4による超電導電磁石を示す断面図である。
図5において、1〜11は図1におけるものと同一のものである。超電導コイル1の最下部とヘリウム槽2の最底部のスペースに非磁性のスペーサ16が配置されている。
【0017】
実施の形態4は、超電導コイル1の最下部とヘリウム槽2の最底部のスペースに非磁性のスペーサ16(例えば発泡ポリスチレン)を配置したものである。
実施の形態4を利用すれば、非磁性の絶縁物であるスペーサ16を超電導コイル1の近傍に配置しても超電導コイル1の性能に影響を与えることはないので、ヘリウム槽2の下限レベル10以下の無駄なスペースにたまる液体ヘリウム3の容積を少なくすることができる。
【0018】
実施の形態4によれば、超電導コイル1の最下部とヘリウム槽2の最底部のスペースに非磁性のスペーサ16を配置することにより、高価な液体ヘリウム3の使用量を少なくでき、経済的な超電導電磁石を実現することができる。
【0019】
実施の形態5.
次に、実施の形態5による超電導電磁石について図6を参照して説明する。
図6は、この発明の実施の形態5による超電導電磁石を示す断面図である。
図6において、1〜11は図1におけるものと同一のものである。非磁性の仕切板17は、ヘリウム槽2内の超電導コイル1の上部の空間に配置される。
【0020】
実施の形態5は、ヘリウム槽2内の超電導コイル1の上部の空間に非磁性の仕切板17を配置したものである。
実施の形態5を利用すれば、液体ヘリウム3をサービスポート9から注液する場合に、流入する温度の高いヘリウムガス4が直接超電導コイル1に当たらないので、超電導コイル1のクエンチ防止となり、サービスポート9と超電導コイル1の距離を狭くすることができる。
【0021】
実施の形態5によれば、ヘリウム槽2内の超電導コイル1の上部の空間に非磁性の仕切板17を配置したので、サービスポート9と超電導コイル1の距離を狭くすることができ、小型で信頼性の高い超電導電磁石を実現することができる。
【0022】
【発明の効果】
この発明は、以上説明したように、磁界を発生させる環状の超電導コイル、中心線が平行になるように配置された外筒及び内筒を有し、外筒及び内筒の間に形成された環状空間に超電導コイルを収納し、環状空間に超電導コイルを冷却する液体ヘリウムを貯液するヘリウム槽、このヘリウム槽を包囲するように配設され、ヘリウム槽を真空断熱する真空槽、ヘリウム槽への輻射熱侵入を低減するようにヘリウム槽と真空槽との間に配置された熱シールド、この熱シールドを冷却する冷凍機、及びヘリウム槽に液体ヘリウムを追加注液するサービスポートを備え、超電導コイルは、その中心線がヘリウム槽の外筒の中心線に対し、これと平行でかつ下方向に偏位した位置に配置されているので、従来のものに比べ、液体ヘリウムの超電導コイルと接触する下限レベルより上のヘリウム槽の容積は同じでありながら、小型にした超電導電磁石を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1による超電導電磁石を示す断面図である。
【図2】この発明の実施の形態2による超電導電磁石を示す断面図である。
【図3】この発明の実施の形態2による超電導電磁石を用いたMRI装置を示す図である。
【図4】この発明の実施の形態3による超電導電磁石を示す断面図である。
【図5】この発明の実施の形態4による超電導電磁石を示す断面図である。
【図6】この発明の実施の形態5による超電導電磁石を示す断面図である。
【符号の説明】
1 超電導コイル
2 ヘリウム槽
3 液体ヘリウム
4 ヘリウムガス
5 真空槽
6 熱シールド
7 熱シールド
8 冷凍機
9 サービスポート
10 下限レベル
11 駆動モータ
12 超電導電磁石設置室
13 作業スペース
14 ベッド
15 MRI装置の操作室
16 スペーサ
17 仕切板
【発明の属する技術分野】
この発明は、小さいスペースに設置される超電導電磁石及びこの超電導電磁石を用いたMRI装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の水平型円筒状超電導電磁石では、ヘリウム槽内では超電導状態の超電導コイルが極低温の液体ヘリウムに浸かっている。ヘリウム槽の外側には輻射熱侵入を低減するための熱シールドが配置され、熱シールドの外側にはヘリウム槽を真空断熱するための真空槽が配置されている。真空槽内は真空排気されており、真空断熱により熱侵入を低減している。冷凍機は、熱シールドをそれぞれ約70K(ケルビン)、約20Kに冷却して輻射熱侵入を低減している。液体ヘリウムが減少して液面が下がった場合は、温度が上昇して超電導コイルがクエンチ(超電導状態でなくなる現象)するのを防止するため、サービスポートから液体ヘリウムを追加注液するようになっている。
このヘリウム槽は、円筒状で、この中に複数の環状の超電導コイルが配置されている。この場合に、超電導コイルの中心と、ヘリウム槽の円形断面の中心とは、同心になるように配置されていた。(特許文献1参照)
【0003】
【特許文献1】
特開平9−283322号公報(第4〜6頁、図2)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の超電導電磁石は、以上のように構成されているので、液体ヘリウムが減少して液体ヘリウム液面が下がった場合に超電導コイルの超電導状態を保つため、極低温の液体ヘリウムに超電導コイルの一部が浸かっている必要があり、また、減少した液体ヘリウムを注液する間隔を一定期間以上とするため、一定量以上のヘリウム槽容積が必要となり、このため、超電導コイルの外径に合わせたヘリウム槽外径とすることができなかった。
そのため、超電導コイルの最下部とヘリウム槽の最底面までの間の液体ヘリウムが、実使用上の有効液量としては活用できない問題があった。
また、超電導コイルが発生する磁場の影響で冷凍機の駆動モータが動作しなくなるため、超電導コイルと冷凍機の距離をある程度以上離す必要があり、超電導電磁石が小型化できない問題があった。
また、液体ヘリウムを注液する場合には、注液初期に温度の高いヘリウムガスがヘリウム槽内に流入して超電導コイルがクエンチするのを防止するため、サービスポートと超電導コイルの距離を離す必要があり、超電導電磁石が小型化できなかった。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、小型で信頼性の高い超電導電磁石を得ることを第一の目的とする。
また、小型で信頼性の高い超電導電磁石を用いたMRI装置を得ることを第二の目的にしている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明に係わる超電導電磁石においては、磁界を発生させる環状の超電導コイル、中心線が平行になるように配置された外筒及び内筒を有し、外筒及び内筒の間に形成された環状空間に超電導コイルを収納し、環状空間に超電導コイルを冷却する液体ヘリウムを貯液するヘリウム槽、このヘリウム槽を包囲するように配設され、ヘリウム槽を真空断熱する真空槽、ヘリウム槽への輻射熱侵入を低減するようにヘリウム槽と真空槽との間に配置された熱シールド、この熱シールドを冷却する冷凍機、及びヘリウム槽に液体ヘリウムを追加注液するサービスポートを備え、超電導コイルは、その中心線がヘリウム槽の外筒の中心線に対し、これと平行でかつ下方向に偏位した位置に配置されているものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
この発明の実施の形態1による超電導電磁石について図1を参照して説明する。
図1は、この発明の実施の形態1による超電導電磁石を示す断面図であり、図1(a)は、縦断面図、図1(b)は、側断面図である。
図1において、磁界を発生させる複数の環状の超電導コイル1は、中心線が平行になるように配置された外筒2a及び内筒2bの間に形成される環状空間を有するヘリウム槽2に収納され、ヘリウム槽2内では超電導状態の超電導コイル1が極低温の液体ヘリウム3に浸かっている。ヘリウム槽2は、超電導コイル1を冷却する液体ヘリウム3を貯液すると共に、ヘリウムガス4を収納している。真空槽5が、ヘリウム槽2を真空断熱するようにヘリウム槽2を包囲して配設されている。真空槽5内は、真空排気され、真空断熱によりヘリウム槽2への熱侵入を低減している。このヘリウム槽2と真空槽5との間には、熱シールドとしての第1熱シールド6および第2熱シールド7が配設され、熱シールド6、7は、冷凍機8により冷却される。冷凍機は、熱シールドをそれぞれ約70K(ケルビン)、約20Kに冷却して輻射熱侵入を低減している。ヘリウム槽2は、サービスポート9により外部とつながれる。液体ヘリウム3が減少して液面が下がった場合は、温度が上昇して超電導コイルがクエンチ(超電導状態でなくなる現象)するのを防止するため、サービスポート9から液体ヘリウム3を追加注液するようになっている。下限レベル10は、液体ヘリウム3が減少した場合に超電導コイル1と液体ヘリウム3が接触する最下面である下限レベルである。冷凍機8は、駆動モータ11により駆動される。
【0008】
次に、動作について説明する。
実施の形態1では、図1に示されるように、環状の超電導コイル1の中心線Bを、ヘリウム槽2の外筒の中心線Aと平行に且つ下方向に偏位するように配置して、超電導コイル1の最下部とヘリウム槽2の最底部をほぼ等しい位置としている。これにより、液体ヘリウム3の液面が、ヘリウム槽2のほぼ最底部まで減少しても超電導コイル1の一部が液体ヘリウム3に浸かるようにしたものである。
また、ヘリウム槽2の液体ヘリウム3の下限レベル10より上の容積を、従来の超電導コイルとヘリウム槽が同心である場合の液体ヘリウムの下限レベルより上の容積と、同じになるようにヘリウム槽2、熱シールド6、7、真空槽5を小さくしたものである。
【0009】
実施の形態1によれば、従来のものに比べ、液体ヘリウム3の下限レベル10より上のヘリウム槽の容積は同じでありながら、小型の超電導電磁石を実現することができる。
また、これにより、下限レベル10以下の無駄な容積が小さくなることにより、経済的な超電導電磁石を実現することができる。
【0010】
実施の形態2.
次に、実施の形態2による超電導電磁石について図2、図3を参照して説明する。
図2は、この発明の実施の形態2による超電導電磁石を示す断面図である。
図2において、1〜11は図1におけるものと同一のものである。図1とは、超電導コイル1の配置が異なる。
図3は、この発明の実施の形態2による超電導電磁石を用いたMRI装置を示す図である。
図3において、超電導電磁石設置室12には、超電導電磁石のメンテナンス等に必要な作業スペース13と、超電導電磁石がMRI装置に使用された場合に設置される患者を乗せるベッド14とが配置される。MRI装置の操作室15から操作される。
【0011】
実施の形態2は、図2のとおり、環状の超電導コイル1の中心線を、ヘリウム槽2の外筒の中心線と平行に且つ横方向に偏位するように配置して、超電導コイル1の中心線と真空槽5の最大幅部分までの片側距離を短くしたものである。
実施の形態2を利用すれば、図3のように超電導電磁石を設置する場合に、超電導電磁石の周りにメンテナンス等で必要なスペース13を従来と同じだけ確保しても超電導コイル1の中心位置を超電導電磁石設置室12の片側壁面に近づけることができる。
【0012】
実施の形態2によれば、これにより、例えば超電導電磁石が、MRI装置に使用された場合に、超電導コイル1の中心線を近づけた側にMRI装置の操作室15を配置すると超電導コイル1の中心線と同軸上に設置される患者を乗せるためのベッド14と操作室15の間の距離が短くなり、従来の場合と比べて患者が近くなり、良く見えるという利点がある。
【0013】
実施の形態3.
次に、実施の形態3による超電導電磁石について図4を参照して説明する。
図4は、この発明の実施の形態3による超電導電磁石を示す断面図である。
図4において、1〜11は図1におけるものと同一のものである。図1とは、超電導コイルの配置が異なる。
【0014】
実施の形態3は、環状の超電導コイル1の中心線を、ヘリウム槽2の外筒の中心線と平行に且つ斜め下方向に偏位するように配置して、従来の場合より、超電導コイル1の中心線と冷凍機8の距離を離すようにしたものである。
実施の形態3を利用すれば、冷凍機8が超電導電磁石の中心軸上から偏位した位置に配置されている場合に、超電導コイル1の中心線からより離れた位置に冷凍機8を配置できる。
冷凍機8には駆動モータ11が使用されており、超電導コイル1の発生する磁場の影響で冷凍機8が動作しなくなるため、ある程度以上、超電導コイル1から離れた位置に冷凍機8を設置する必要があった。
【0015】
実施の形態3によれば、超電導コイル1の中心線と冷凍機8の距離を変えずに超電導電磁石を小型化できると共に、超電導電磁石をMRI装置に使用した場合に、超電導コイルの中心線を近づけた側にMRI装置の操作室を配置すると、患者を乗せるためのベッドと操作室の間の距離を短くすることができる。
【0016】
実施の形態4.
次に、実施の形態4による超電導電磁石について図5を参照して説明する。
図5は、この発明の実施の形態4による超電導電磁石を示す断面図である。
図5において、1〜11は図1におけるものと同一のものである。超電導コイル1の最下部とヘリウム槽2の最底部のスペースに非磁性のスペーサ16が配置されている。
【0017】
実施の形態4は、超電導コイル1の最下部とヘリウム槽2の最底部のスペースに非磁性のスペーサ16(例えば発泡ポリスチレン)を配置したものである。
実施の形態4を利用すれば、非磁性の絶縁物であるスペーサ16を超電導コイル1の近傍に配置しても超電導コイル1の性能に影響を与えることはないので、ヘリウム槽2の下限レベル10以下の無駄なスペースにたまる液体ヘリウム3の容積を少なくすることができる。
【0018】
実施の形態4によれば、超電導コイル1の最下部とヘリウム槽2の最底部のスペースに非磁性のスペーサ16を配置することにより、高価な液体ヘリウム3の使用量を少なくでき、経済的な超電導電磁石を実現することができる。
【0019】
実施の形態5.
次に、実施の形態5による超電導電磁石について図6を参照して説明する。
図6は、この発明の実施の形態5による超電導電磁石を示す断面図である。
図6において、1〜11は図1におけるものと同一のものである。非磁性の仕切板17は、ヘリウム槽2内の超電導コイル1の上部の空間に配置される。
【0020】
実施の形態5は、ヘリウム槽2内の超電導コイル1の上部の空間に非磁性の仕切板17を配置したものである。
実施の形態5を利用すれば、液体ヘリウム3をサービスポート9から注液する場合に、流入する温度の高いヘリウムガス4が直接超電導コイル1に当たらないので、超電導コイル1のクエンチ防止となり、サービスポート9と超電導コイル1の距離を狭くすることができる。
【0021】
実施の形態5によれば、ヘリウム槽2内の超電導コイル1の上部の空間に非磁性の仕切板17を配置したので、サービスポート9と超電導コイル1の距離を狭くすることができ、小型で信頼性の高い超電導電磁石を実現することができる。
【0022】
【発明の効果】
この発明は、以上説明したように、磁界を発生させる環状の超電導コイル、中心線が平行になるように配置された外筒及び内筒を有し、外筒及び内筒の間に形成された環状空間に超電導コイルを収納し、環状空間に超電導コイルを冷却する液体ヘリウムを貯液するヘリウム槽、このヘリウム槽を包囲するように配設され、ヘリウム槽を真空断熱する真空槽、ヘリウム槽への輻射熱侵入を低減するようにヘリウム槽と真空槽との間に配置された熱シールド、この熱シールドを冷却する冷凍機、及びヘリウム槽に液体ヘリウムを追加注液するサービスポートを備え、超電導コイルは、その中心線がヘリウム槽の外筒の中心線に対し、これと平行でかつ下方向に偏位した位置に配置されているので、従来のものに比べ、液体ヘリウムの超電導コイルと接触する下限レベルより上のヘリウム槽の容積は同じでありながら、小型にした超電導電磁石を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1による超電導電磁石を示す断面図である。
【図2】この発明の実施の形態2による超電導電磁石を示す断面図である。
【図3】この発明の実施の形態2による超電導電磁石を用いたMRI装置を示す図である。
【図4】この発明の実施の形態3による超電導電磁石を示す断面図である。
【図5】この発明の実施の形態4による超電導電磁石を示す断面図である。
【図6】この発明の実施の形態5による超電導電磁石を示す断面図である。
【符号の説明】
1 超電導コイル
2 ヘリウム槽
3 液体ヘリウム
4 ヘリウムガス
5 真空槽
6 熱シールド
7 熱シールド
8 冷凍機
9 サービスポート
10 下限レベル
11 駆動モータ
12 超電導電磁石設置室
13 作業スペース
14 ベッド
15 MRI装置の操作室
16 スペーサ
17 仕切板
Claims (6)
- 磁界を発生させる環状の超電導コイル、中心線が平行になるように配置された外筒及び内筒を有し、上記外筒及び内筒の間に形成された環状空間に上記超電導コイルを収納し、上記環状空間に上記超電導コイルを冷却する液体ヘリウムを貯液するヘリウム槽、このヘリウム槽を包囲するように配設され、上記ヘリウム槽を真空断熱する真空槽、上記ヘリウム槽への輻射熱侵入を低減するように上記ヘリウム槽と上記真空槽との間に配置された熱シールド、この熱シールドを冷却する冷凍機、及び上記ヘリウム槽に上記液体ヘリウムを追加注液するサービスポートを備え、上記超電導コイルは、その中心線が上記ヘリウム槽の外筒の中心線に対し、これと平行でかつ下方向に偏位した位置に配置されていることを特徴とする超電導電磁石。
- 磁界を発生させる環状の超電導コイル、中心線が平行になるように配置された外筒及び内筒を有し、上記外筒及び内筒の間に形成された環状空間に上記超電導コイルを収納し、上記環状空間に上記超電導コイルを冷却する液体ヘリウムを貯液するヘリウム槽、このヘリウム槽を包囲するように配設され、上記ヘリウム槽を真空断熱する真空槽、上記ヘリウム槽への輻射熱侵入を低減するように上記ヘリウム槽と上記真空槽との間に配置された熱シールド、この熱シールドを冷却する冷凍機、及び上記ヘリウム槽に上記液体ヘリウムを追加注液するサービスポートを備え、上記超電導コイルは、その中心線が上記ヘリウム槽の外筒の中心線に対し、これと平行でかつ横方向に偏位した位置に配置されていることを特徴とする超電導電磁石。
- 磁界を発生させる環状の超電導コイル、中心線が平行になるように配置された外筒及び内筒を有し、上記外筒及び内筒の間に形成された環状空間に上記超電導コイルを収納し、上記環状空間に上記超電導コイルを冷却する液体ヘリウムを貯液するヘリウム槽、このヘリウム槽を包囲するように配設され、上記ヘリウム槽を真空断熱する真空槽、上記ヘリウム槽への輻射熱侵入を低減するように上記ヘリウム槽と上記真空槽との間に配置された熱シールド、上記真空槽の斜め上方に配置され、上記熱シールドを冷却する冷凍機、及び上記ヘリウム槽に上記液体ヘリウムを追加注液するサービスポートを備え、上記超電導コイルは、その中心線が上記ヘリウム槽の外筒の中心線に対し、これと平行でかつ上記冷凍機から離れるように斜め下方向に偏位した位置に配置されていることを特徴とする超電導電磁石。
- 磁界を発生させる環状の超電導コイル、中心線が平行になるように配置された外筒及び内筒を有し、上記外筒及び内筒の間に形成された環状空間に上記超電導コイルを収納し、上記環状空間に上記超電導コイルを冷却する液体ヘリウムを貯液するヘリウム槽、このヘリウム槽を包囲するように配設され、上記ヘリウム槽を真空断熱する真空槽、上記ヘリウム槽への輻射熱侵入を低減するように上記ヘリウム槽と上記真空槽との間に配置された熱シールド、この熱シールドを冷却する冷凍機、及び上記ヘリウム槽に上記液体ヘリウムを追加注液するサービスポートを備え、上記ヘリウム槽の下部に非磁性のスペーサを設けたことを特徴とする超電導電磁石。
- 磁界を発生させる環状の超電導コイル、中心線が平行になるように配置された外筒及び内筒を有し、上記外筒及び内筒の間に形成された環状空間に上記超電導コイルを収納し、上記環状空間に上記超電導コイルを冷却する液体ヘリウムを貯液するヘリウム槽、このヘリウム槽を包囲するように配設され、上記ヘリウム槽を真空断熱する真空槽、上記ヘリウム槽への輻射熱侵入を低減するように上記ヘリウム槽と上記真空槽との間に配置された熱シールド、この熱シールドを冷却する冷凍機、及び上記真空槽の上方に配置され、上記ヘリウム槽に上記液体ヘリウムを追加注液するサービスポートを備え、上記ヘリウム槽の上部に非磁性の仕切板を設けたことを特徴とする超電導電磁石。
- 請求項1〜請求項5のいずれかに記載の超電導電磁石を用いたことを特徴とするMRI装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003152547A JP2004356402A (ja) | 2003-05-29 | 2003-05-29 | 超電導電磁石及びこれを用いたmri装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003152547A JP2004356402A (ja) | 2003-05-29 | 2003-05-29 | 超電導電磁石及びこれを用いたmri装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2004356402A true JP2004356402A (ja) | 2004-12-16 |
Family
ID=34047737
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2003152547A Pending JP2004356402A (ja) | 2003-05-29 | 2003-05-29 | 超電導電磁石及びこれを用いたmri装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004356402A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007173460A (ja) * | 2005-12-21 | 2007-07-05 | Mitsubishi Electric Corp | 超電導電磁石装置 |
-
2003
- 2003-05-29 JP JP2003152547A patent/JP2004356402A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007173460A (ja) * | 2005-12-21 | 2007-07-05 | Mitsubishi Electric Corp | 超電導電磁石装置 |
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