JP2004353514A - Method and device for reducing nitrogen oxide of two-stroke diesel engine - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、車両や舶用等に使用される2ストロークディーゼル機関において、排気ガス中の窒素酸化物(以下、「NOx」という)を低減させる方法とその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、車両や船舶等の2ストロークディーゼル機関は、爆発、膨張するピストン下死点の前後で排気弁を開放し、同時に掃気ポートを開放することにより、燃焼した排気ガスの排出と空気の給気とを同時に行うような給排気の開閉タイミングで運転されている。
【0003】
また、この種の2ストロークディーゼル機関として、高効率の運転が可能なユニフロー掃気の2ストロークディーゼル機関を採用することがある。このユニフロー掃気は、シリンダヘッドに排気弁を設け、ピストンの下死点に近い位置のシリンダに掃気ポートを設け、ピストンが下がった時にこの掃気ポートからシリンダ内に吸込まれる給気で排気ガスをシリンダヘッドの排気弁から排出するように構成したものである。このユニフロー掃気の場合、ガスの流れが一方通行になるため、迅速な排気と空気の給気で高効率の運転を可能としている。
【0004】
一方、近年、環境保護の観点から、このような2ストロークディーゼル機関の排気ガス中のNOxを低減させようとする技術が多く提案されている。その方法として、例えば、排気ガスの一部をシリンダ内部に残留させ、掃気終了後の排気弁が閉じた状態で、シリンダヘッドに設けた水噴射弁からシリンダ内部に残留する排気ガスに水を噴射するものがある。図5は、このような2ストロークディーゼル機関におけるバルブタイミングと水噴射タイミングとの関係を示すタイムチャートであり、クランクシャフトの1回転毎に爆発して往復運動するピストンが、クランク角180度のピストン下死点からピストン上死点に至る間の排気・給気を行って空気を圧縮している行程の途中で水噴射を行い、残留した排気ガスの温度で水蒸気を発生させている。そのため、この方法によれば、残した排気ガスの温度で水蒸気を発生させて排気ガスを冷却することができ、この排気ガスと水蒸気と新たな空気との混合物は、空気のみと比較して酸素の含有量が少ないので、燃焼過程で発生するNOxを低減することができる、というものである(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
また、他の従来技術として、シリンダヘッドから水噴射する場合の水噴射ノズルの位置を工夫したもの(例えば、特許文献2参照。)や、燃焼・膨張行程における燃焼ガスの熱エネルギーを利用して水を水蒸気化することによりピストン出力に転化しようとするものがある(例えば、特許文献3参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−54843号公報(第4頁、図1)
【特許文献2】
特開平9−112354号公報(第2頁、図1)
【特許文献3】
特開平7−224724号公報(第2頁、図4)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記特許文献1では、シリンダ内に排気ガスが残留しているとはいえ、空気と混合した排気ガス温度は低下しており、水蒸気になりづらい。そのため水噴射量を多くしてNOxの大幅な低減を図ることはできない。
【0008】
また、水噴射装置が、高温・高圧に曝される燃焼室上部に設置されているので、高負荷の場合、常に高温・高圧の燃焼ガス中に曝される水噴射装置の信頼性を確保するのは難しい。前記特許文献2も同様である。しかも、これらは水噴射装置によってピストン上死点の圧力が高い位置で水を噴射するため、ピストン周囲のシリンダライナ上部摺動面に形成された潤滑油膜を水で損なう可能性がある。
【0009】
なお、前記特許文献3では、冷却損失を抑制することはできても、NOxを低減した運転を安定して継続することができるものではない。
【0010】
そこで、本願発明は、高負荷でも、近年の地球的な環境保護の観点から要望されている更なるNOxの低減が可能な、2ストロークディーゼル機関の窒素酸化物低減方法とその装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本願発明に係る2ストロークディーゼル機関の窒素酸化物低減方法は、2ストロークディーゼル機関のシリンダ内で往復運動するピストンが下降して掃気を開始する前又は掃気時に、ピストン上部に存在する膨張した高温の排気ガスに向けて又はピストン頂面に向けてシリンダ側面から水を噴射して、ピストン上部に近い領域の排気ガスを冷却するようにしている。これにより、ピストンが下降して掃気を開始する前又は掃気時に、ピストン上部に存在する膨張した高温の排気ガス中またはピストン頂面に噴射された水が水蒸気となってピストン上部に近い領域の排気ガス温度を下げることができる。また、シリンダ内の排気ガスを外に出さずに中で冷やして再使用することにより、他の構成を要することなく、排気ガス温度の低減と次行程で圧縮する空気中の酸素濃度を下げて、効果的なNOxの低減を図ることができる。
【0012】
前記2ストロークディーゼル機関の窒素酸化物低減方法において、前記水の噴射時期を、ピストン上死点から70度〜180度のクランク角の範囲とすれば、水の噴射はシリンダライナ(シリンダ)の下方となり、シリンダライナ上方に形成された重要性の高い潤滑油膜を水で損なうことなく排気ガスの温度を下げることができる。
【0013】
また、前記2ストロークディーゼル機関の窒素酸化物低減方法において、前記水の噴射で冷却するピストン上部に近い排気ガスの領域を、ピストンの行程容積の1〜50%の範囲とすれば、排気行程終了時のシリンダ内に冷却された排出ガスを安定した量で残すことができる。
【0014】
さらに、2ストロークディーゼル機関のシリンダ内で往復運動するピストンが下降した掃気時に、ピストン上部に存在する膨張した高温の排気ガスに向けて又はピストン頂面に向けて掃気ポートから水を噴射して、ピストン上部に近い領域の排気ガスを冷却するようにすれば、ピストンが下降した掃気時に、ピストン上部に存在する膨張した高温の排気ガス中またはピストン頂面に噴射された水が水蒸気となってピストン上部に近い領域の排気ガス温度を下げることができる。このように、シリンダ内の排気ガスを外に出さずに中で冷やして再使用することにより、排気ガス温度の低減と次行程で圧縮する空気中の酸素濃度を下げて、効果的なNOxの低減を図ることができる。
【0015】
その上、前記いずれかの2ストロークディーゼル機関の窒素酸化物低減方法において、前記掃気行程の全域でピストン上部に向けて水を噴射するようにすれば、水噴射量の調整や十分な水噴射量の供給により更なるNOxの低減を図ることができる。
【0016】
また、前記いずれかの2ストロークディーゼル機関の窒素酸化物低減方法において、前記水に代えて蒸気を噴射するようにすれば、より短時間で気化させる必要がある使用条件において、迅速な排気ガスの冷却を行ってNOxを低減させることができる。
【0017】
一方、本願発明に係る2ストロークディーゼル機関の窒素酸化物低減装置は、シリンダヘッドに設けた排気ガスを排出する排気弁と、シリンダに設けた空気を供給するための掃気ポートと、該シリンダの内部で往復運動するピストンと、前記シリンダの側面にシリンダ内部に向けて設けられた水噴射部材と、該水噴射部材で、前記ピストンが下降して掃気を開始する前又は掃気時のピストン上部に存在する膨張した高温の排気ガスに向けて又はピストン頂面に向けて水を噴射する水供給装置とを備えている。これにより、シリンダに設けた掃気ポートから空気を供給してシリンダヘッドの排気弁から排出するように構成したユニフロー掃気の2ストロークディーゼル機関において、ピストンが下降して掃気を開始する前又は掃気時に、ピストン上部に存在する膨張した高温の排気ガス中またはピストン頂面に噴射された水が水蒸気となってピストン上部に近い領域の排気ガス温度を下げるので、排気ガス温度の低減と、次行程で圧縮する空気の酸素濃度を下げて、効率的なNOxの低減を図ることができる。
【0018】
また、前記2ストロークディーゼル機関の窒素酸化物低減装置において、前記水供給装置を、機械式又は電気式もしくはそれらを組合わせた構成とし、該水供給装置に、ディーゼル機関運転中に前記水噴射部材からの噴射タイミングと噴射量とを調整する機能を具備させれば、ディーゼル機関の運転中に最適な水噴射タイミングと噴射量とに調整することができ、運転効率を維持しながらNOxの低減を図ることができる。
【0019】
さらに、前記2ストロークディーゼル機関の窒素酸化物低減装置において、前記水噴射部材を、前記ピストンの中心軸に向けてシリンダの側面から均等に水を噴射する複数個の水噴射弁又は水噴射ノズルで構成すれば、複数個の水噴射弁又は水噴射ノズルによって、短時間で水を均等に噴射して水蒸気にすることができる。
【0020】
また、シリンダヘッドに設けた排気ガスを排出する排気弁と、シリンダに設けた空気を供給するための掃気ポートと、該シリンダの内部で往復運動するピストンと、前記掃気ポートからシリンダ内部に向けて水を噴射する水噴射部材と、該水噴射部材で、前記ピストンが下降して掃気ポートが開放した時にピストン上部に存在する膨張した高温の排気ガスに向けて又はピストン頂面に向けてに水を噴射する水供給装置とを備え、シリンダに設けた掃気ポートから空気を供給してシリンダヘッドの排気弁から排出するように構成したユニフロー掃気の2ストロークディーゼル機関において、ピストンが下降して掃気を開始する前又は掃気時に、ピストン上部に存在する膨張した高温の排気ガス中またはピストン頂面に噴射された水が水蒸気となってピストン上部に近い領域の排気ガス温度を下げるので、排気ガス温度の低減と、次行程で圧縮する空気の酸素濃度を下げて、効率的なNOxの低減を図ることができる。
【0021】
しかも、前記いずれかの2ストロークディーゼル機関の窒素酸化物低減装置において、前記水供給装置に、前記ピストン上部に存在する膨張した高温の排気ガスに向けて又はピストン頂面に向けて水を噴射する機能に加え、掃気行程の全域でピストン上部に向けて水を噴射する機能を具備させれば、掃気開始前又は掃気時の水噴射に加え、掃気行程の全域で更に微量の水噴射を行うことによって更なるNOxの低減を図ることができる。
【0022】
さらに、前記いずれかの2ストロークディーゼル機関の窒素酸化物低減装置において、前記水供給装置に、水に代えて蒸気を噴射する機能を具備させれば、より短時間で気化させる必要がある使用条件において、迅速な排気ガスの冷却を行ってNOxを低減させることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本願発明の第1実施形態に係る2ストロークディーゼル機関を示す縦断面図であり、図2は同2ストロークディーゼル機関のバルブタイミングと水噴射タイミングとの関係を示すタイムチャートである。なお、図1は模式的に示している。
【0024】
図1に示すように、シリンダ1の上部にシリンダヘッド2が設けられ、このシリンダヘッド2に排気弁4が設けられている。6は排気口である。シリンダ1の下部には掃気ポート3が設けられており、掃気室5に供給された空気が掃気ポート3からシリンダ1の内部に供給されるように構成されている。シリンダ1の内部には、図の上下方向に往復運動するピストン7が設けられている。この2ストロークディーゼル機関11は、排気ガスを排出するための排気弁をシリンダヘッド2に設け、空気を供給するための掃気ポート3をシリンダ1の下部に有するユニフロー掃気の2ストロークディーゼル機関である。なお、実際にはシリンダ1内にシリンダライナが設けられるが、この明細書では、シリンダライナを含む構成をシリンダ1として示す。また、排気弁4の駆動機構、点火機構は省略されている。
【0025】
そして、シリンダ1の側部の掃気ポート3に近い上部位置には、ピストン7が下降して上部が掃気ポート3付近に位置した時に、ピストン上部の排気ガスGに向けて水Wを噴射する水噴射部材8が設けられている。この水噴射部材8は、図示する例では左右対称に設けられている。この水噴射部材8の数は限定されるものではなく、ピストン7が下降して掃気を開始する前又は掃気の時に、ピストン7の上部の排気ガスGに向けて効率良く水Wを噴射できる数と配置であればよい。なお、水噴射部材8の好ましい配置としては、ピストン7の中心部に向けて均等に水Wを噴射できるような配置がよい。また、水噴射部材8の配置として、シリンダ1内では低圧、低温となるピストン7が下降して掃気ポート3が開く前のシリンダ側面としている。図示する例では、ピストン7が下降して掃気が開始される前にピストン上部の排気ガスGに水Wを噴射する例を示しており、二点鎖線で示すピストン上部に近い領域V2の排気ガスGを冷却している。
【0026】
しかも、ピストン7が下降して掃気を開始する前は、シリンダ1内では低圧、低温であるが、大気と比較すれば高圧、高温であるため、噴射された水は瞬間的に蒸発して排気ガスGの温度を下げることができる。
【0027】
また、この実施形態では、水を噴射する時期として、掃気が開始される前に水を噴射する例を示しているが、この水Wを噴射する時期としては、クランク角がピストン上死点から70度〜180度の範囲であれば、水の噴射はシリンダ1の下方となり、シリンダ1の上方に形成された重要性の高い潤滑油膜を水で損なうことなく排気ガスGの温度を下げることができる。この水を噴射する時期としては、クランク角がピストン上死点から90度〜160度の範囲が好ましい。
【0028】
さらに、この例では、水Wの噴射で冷却するピストン上部に近い排気ガスGの領域を、ピストン7の全行程容積V1の約20〜25%の容積V2としている。この水Wの噴射で冷却するピストン上部の排気ガスGの領域としては、ピストン7の行程容積の1〜50%の容積、好ましくは10〜30%の容積とすれば、排気行程終了時のシリンダ1内に冷却された排気ガスGを安定して残すことができる。前記容積V2は、ディーゼル機関の排気量や出力、NOx低減率に応じて決定すればよい。
【0029】
一方、前記水噴射部材8は、供給管9によって水供給装置10と接続されている。この水供給装置10によって水噴射部材8に水が供給される。水供給装置10としては、例えば、機械式(カム駆動式ポンプ)、または電気式(電磁弁付の水噴射弁)、もしくはそれらの組合わせによって構成することができ、運転中に噴射タイミング及び噴射量の調整を行うことが可能なように構成されている。この水供給装置10は、ディーゼル機関11を制御する図示しない制御装置と接続されており、ピストン7の位置や給気弁3、排気弁4の開閉タイミングと連動するように構成されている。
【0030】
したがって、水供給装置10による水Wの噴射タイミング及び噴射量の調整は、変化するディーゼル機関の運転条件に応じた制御装置からの信号により、運転効率を保ちながらNOxの低減を図ることができる最適な噴射タイミングと噴射量とに調整される。このように連動させて制御する機能は、コンピュータ等によって実現することができる。
【0031】
図2に示すように、このような2ストロークディーゼル機関のバルブタイミングと水噴射タイミングとしては、例えば、クランクシャフトの回転角が0度のピストン上死点から爆発・膨張によって下降するピストン7が、ピストン上死点から約100度のクランク角で排気弁4が開き始め、その後、約120度のクランク角で掃気ポート3が開き始め、この掃気ポート3から流入した空気で排気を押出すように構成される。
【0032】
そして、この実施形態における水噴射タイミングは、ピストン7が下降して掃気ポート3が開く前後のクランク角が約90度〜160度の間に、水噴射部材8からピストン上部の領域の排気ガスGに向けて水Wが噴射される。この例では排気ガスGに向けて水Wを噴射しているが、ピストン7の頂面に向けて噴射するようにしてもよい。この場合も水の噴射はシリンダ1の下方となり、シリンダ1の上方に形成された重要性の高い潤滑油膜を水で損なうことなく排気ガスGの温度を下げることができる。しかも、燃焼後の高温の排気ガスGに水Wを噴射するので、噴射した水Wは気化し易く、ピストン上部の排気ガスGを効率良く冷却することができる。
【0033】
また、このように水Wを噴射して冷却する排気ガスGの領域としては、ピストン7の行程容積V1の1〜50%の範囲で、ピストン7の上部に近い排気ガスの領域が冷却されている。この例では、冷却する容積として、ピストン7の行程容積V1の10〜30%が冷却される。
【0034】
その後、水噴射が止められ、ピストン7は下死点を経て上昇しながら掃気ポート3を閉じ、排気弁4が閉じられて、圧縮、点火、燃焼、排気が繰り返される。
【0035】
このようにしてシリンダ内に残される排気ガスGが混ざった空気としては、前記したようにしてピストン7の上部の冷却された排気ガスGが、掃気時に供給される空気と混ざって排気弁4側へと排出されるので、排気弁4からは上部の排気ガスGから排出されて、ピストン7の上部に近い領域V2の冷却された排気ガスGと混ざった空気を効率良くシリンダ1内に残すことができる。つまり、ピストン7の上部の冷却した排気ガスGで排気弁4側の排気ガスGを押出し、冷却した排気ガスGの部分が最後に残るようにしている。
【0036】
そのため、このようにしてシリンダ1内に残した排気ガスGとの混合物は、冷却された排気ガスGが新たな空気に混ざっているので、新たな空気のみに比べて酸素の含有量が少なく、また温度を比較的低くできるため、後の燃焼過程で発生するNOxを大幅に低減することができる。
【0037】
図3は本願発明の第2実施形態に係る2ストロークディーゼル機関を示す縦断面図であり、図4は同2ストロークディーゼル機関のバルブタイミングと水噴射タイミングとの関係を示すタイムチャートである。なお、図3は模式的に示している。また、上述した第1実施形態と同一の構成には、同一符号を付して説明する。
【0038】
図3に示すように、シリンダ1の上部にシリンダヘッド2が設けられ、このシリンダヘッド2に排気弁4が設けられている。6は排気口である。シリンダ1の下部には掃気ポート3が設けられており、掃気室5に供給された空気が掃気ポート3からシリンダ1の内部に供給されるように構成されている。シリンダ1の内部には、図の上下方向に往復運動するピストン7が設けられている。この2ストロークディーゼル機関13は、排気ガスを排出するための排気弁をシリンダヘッド2に有し、空気を供給するための掃気ポート3をシリンダ1の下部に有するユニフロー掃気の2ストロークディーゼル機関である。なお、実際にはシリンダ1内にシリンダライナが設けられるが、この明細書では、シリンダライナを含む構成をシリンダ1として示す。また、排気弁4の駆動機構、点火機構は省略されている。
【0039】
そして、掃気ポート3には、ピストン7が下降して掃気ポート3が開いた時に、ピストン上部の排気ガスGに向けて水Wを噴射する水噴射部材12が設けられている。この水噴射部材12は、図示する例では左右対称に設けられている。この水噴射部材12の数は限定されるものではなく、ピストン7が下降して掃気する時に、ピストン7の上部の排気ガスG又はピストン頂面に向けて効率良く水Wを噴射できる数と配置であればよい。この水噴射部材12の好ましい配置としては、ピストン7の中心軸、すなわちシリンダ1の中心部に向けて均等に水Wを噴射できるような配置にすれば、シリンダ1内にほぼ均等に水噴射して排気ガスGをほぼ均等に冷却できるのでよい。また、水噴射部材12の配置として、シリンダ1内では低圧、低温となるピストン7が下降した掃気時の掃気ポート3としている。図示する例では、ピストン7が下降して掃気が開始された時にピストン上部の排気ガスGに水Wを噴射する例を示しており、二点鎖線で示すピストン上部に近い領域V2の排気ガスGを冷却している。
【0040】
しかも、ピストン7が下降して掃気を開始する時の排気ガスGは、シリンダ1内では低圧、低温であるが、大気と比較すれば高圧、高温であるため、噴射された水は瞬間的に蒸発して排気ガスGの温度を下げることができる。
【0041】
また、この実施形態では、水を噴射する時期として、掃気が開始された時に水を噴射する例を示しているが、クランクシャフトの回転角がピストン上死点から約120度〜180度の範囲であれば、水の噴射はシリンダ1の下方となり、シリンダ1の上方に形成された重要性の高い潤滑油膜を水で損なうことなく排気ガスGの温度を下げることができる。この水Wを噴射する時期としては、ディーゼル機関の排気量や出力、NOx低減率に応じて、掃気ポート3が開いている間で設定すればよい。
【0042】
さらに、この例では、水Wの噴射で冷却するピストン上部に近い排気ガスGの領域を、ピストン7の全行程容積V1の約20〜25%の容積V2としている。この水Wの噴射で冷却するピストン上部の排気ガスGの領域としては、ピストン7の行程容積の1〜50%の容積、好ましくは10〜30%の容積とすれば、排気行程終了時のシリンダ1内に冷却された排気ガスGを安定して残すことができる。前記容積V2は、ディーゼル機関の排気量や出力、NOx低減率に応じて決定すればよい。
【0043】
一方、前記水噴射部材12は、供給管9によって水供給装置10と接続されている。この水供給装置10によって水噴射部材12に水が供給される。水供給装置10としては、例えば、機械式(カム駆動式ポンプ)、または電気式(電磁弁付の水噴射弁)、もしくはそれらの組合わせによって構成することができ、運転中に噴射タイミング及び噴射量の調整を行うことが可能なように構成されている。この水供給装置10は、ディーゼル機関11を制御する図示しない制御装置と接続されており、ピストン7の位置や掃気ポート3、排気弁4の開閉タイミングと連動するように構成されている。
【0044】
したがって、水供給装置10による水Wの噴射タイミング及び噴射量の調整は、変化するディーゼル機関の運転条件に応じた制御装置からの信号により、運転効率を保ちながらNOxの低減を図ることができる最適な噴射タイミングと噴射量とに調整される。このように連動させて制御する機能は、コンピュータ等によって実現することができる。
【0045】
図4に示すように、このような2ストロークディーゼル機関のバルブタイミングと水噴射タイミングとしては、例えば、クランクシャフトの回転角が0度のピストン上死点から爆発・膨張によって下降するピストン7が、ピストン上死点から約100度のクランク角で排気弁4が開き始め、その後、約120度のクランク角で掃気ポート3が開き始め、この掃気ポート3から流入した空気で排気を押出すように構成される。
【0046】
そして、この実施形態における水噴射タイミングは、ピストン7が下降して掃気ポート3が開いた時のクランクシャフト回転角が約120度〜180度の間に、水噴射部材12からピストン上部の領域の排気ガスGに向けて水Wが噴射される。この例では排気ガスGに向けて水Wを噴射しているが、ピストン7の頂面に向けて噴射するようにしてもよい。この水Wの噴射時期は、掃気ポート3が開いている間の好ましいタイミングに設定される。この場合も水の噴射はシリンダ1の下方となり、シリンダ1の上方に形成された重要性の高い潤滑油膜を水で損なうことなく排気ガスGの温度を下げることができる。しかも、燃焼後の高温の排気ガスGに水Wを噴射するので、噴射した水Wは気化し易く、ピストン上部の排気ガスGを効率良く冷却することができる。
【0047】
また、このように水Wを噴射して冷却する排気ガスGの領域としては、ピストン7の行程容積V1の1〜50%の範囲で、ピストン7の上部に近い排気ガスの領域が冷却されている。この例では、冷却する容積として、ピストン7の行程容積V1の10〜30%が冷却される。
【0048】
その後、水噴射が止められ、ピストン7は下死点を経て上昇しながら掃気ポート3を閉じ、排気弁4が閉じられて、圧縮・点火・燃焼、排気が繰り返される。
【0049】
このようにしてシリンダ内に残される排気ガスGが混ざった空気としては、前記したようにしてピストン7の上部の冷却された排気ガスGが、掃気時に供給される空気と混ざって排気弁4側へと排出されるので、排気弁4からは上部の排気ガスGから排出されて、ピストン7の上部に近い領域V2の冷却された排気ガスGと混ざった空気を効率良くシリンダ1内に残すことができる。つまり、ピストン7の上部の冷却した排気ガスGで排気弁4側の排気ガスGを押出し、冷却した排気ガスGの部分が最後に残るようにしている。
【0050】
そのため、このようにしてシリンダ1内に残した排気ガスGとの混合物は、冷却された排気ガスGが新たな空気に混ざっているので、新たな空気のみに比べて酸素の含有量が少なく、また温度を比較的低くできるため、後の燃焼過程で発生するNOxを大幅に低減することができる。
【0051】
このように、本願発明では、多くの構成を要することなく、シリンダ1内の排気ガスを外に出さずに中で冷やして効果的に再使用する、内部クール排気再循環方式で、排気ガス温度の低減と次行程で圧縮する空気中の酸素濃度を下げて、更なるNOxの低減を安定して図ることができる。
【0052】
また、冷却した排気ガスGによって空気との混合物の温度を低くすることができるので、ピストン7等の燃焼室の構成を冷却して燃焼面温度を低くすることもできる。
【0053】
なお、前記いずれの実施形態も、それぞれの実施の形態における水の噴射に加え、掃気ポート3が開いている掃気行程の全域で行うことにより、水噴射量を増加して更なるNOxの低減の増加を図ることもできる。この水噴射量は、水供給装置10によって調整することができ、燃焼条件等に応じて調整される。
【0054】
また、前記水の代わりに蒸気を噴射するようにすれば、より短時間で気化させる必要がある使用条件において、NOxを安定して低減させることができる。この場合、水供給装置10に蒸気供給機能が追加される。
【0055】
さらに、上述した実施形態は一実施形態であり、本願発明の要旨を損なわない範囲での種々の変更は可能であり、本願発明は上述した実施形態に限定されるものではない。
【0056】
【発明の効果】
本願発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載するような効果を奏する。
【0057】
シリンダ内の排気ガスを外に出さずに中で冷やして再使用することにより、高負荷でも排気ガス温度の低減と次行程で圧縮する空気中の酸素濃度を下げて、安定した更なる窒素酸化物の低減を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の第1実施形態に係る2ストロークディーゼル機関を示す縦断面図である。
【図2】図1に示す2ストロークディーゼル機関のバルブタイミングと水噴射タイミングとの関係を示すタイムチャートである。
【図3】本願発明の第2実施形態に係る2ストロークディーゼル機関を示す縦断面図である。
【図4】図3に示す2ストロークディーゼル機関のバルブタイミングと水噴射タイミングとの関係を示すタイムチャートである。
【図5】従来の2ストロークディーゼル機関における、バルブタイミングと水噴射タイミングとの関係を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
1…シリンダ
2…シリンダヘッド
3…掃気ポート
4…排気弁
5…掃気室
6…排気口
7…ピストン
8…水噴射部材
9…供給管
10…水供給装置
11…2ストロークディーゼル機関
12…水噴射部材
13…2ストロークディーゼル機関
G…排気ガス
W…水
V1,V2…容積[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a method and an apparatus for reducing nitrogen oxides (hereinafter, referred to as “NOx”) in exhaust gas in a two-stroke diesel engine used for vehicles and ships.
[0002]
[Prior art]
2. Description of the Related Art Conventionally, a two-stroke diesel engine such as a vehicle and a ship has an exhaust valve opened before and after a bottom dead center of an exploding and expanding piston, and at the same time, a scavenging port is opened to discharge burned exhaust gas and supply air. It is operated at the timing of opening and closing of the supply and exhaust to perform air and air simultaneously.
[0003]
As this type of two-stroke diesel engine, a uniflow scavenging two-stroke diesel engine that can operate with high efficiency may be used. In this uniflow scavenging, an exhaust valve is provided in the cylinder head, a scavenging port is provided in the cylinder near the bottom dead center of the piston, and exhaust gas is supplied from the scavenging port into the cylinder when the piston is lowered. It is configured to discharge from the exhaust valve of the cylinder head. In the case of this uniflow scavenging, the flow of gas is one-way, so that high-efficiency operation is enabled by quick exhaust and air supply.
[0004]
On the other hand, in recent years, from the viewpoint of environmental protection, many technologies for reducing NOx in exhaust gas of such a two-stroke diesel engine have been proposed. As a method, for example, a part of the exhaust gas remains in the cylinder, and water is injected from the water injection valve provided in the cylinder head to the exhaust gas remaining in the cylinder in a state where the exhaust valve is closed after the scavenging is completed. There is something to do. FIG. 5 is a time chart showing the relationship between valve timing and water injection timing in such a two-stroke diesel engine. A piston that explodes and reciprocates every crankshaft rotation has a crank angle of 180 degrees. Water is injected during the process of compressing air by performing exhaust and air supply from the bottom dead center to the piston top dead center, and generates steam at the temperature of the remaining exhaust gas. Therefore, according to this method, the exhaust gas can be cooled by generating steam at the temperature of the remaining exhaust gas, and the mixture of the exhaust gas, the steam, and the new air has a higher oxygen content than the air alone. Is small, so that NOx generated in the combustion process can be reduced (for example, see Patent Document 1).
[0005]
Further, as other conventional techniques, the position of a water injection nozzle when water is injected from a cylinder head is devised (for example, see Patent Document 2), or heat energy of combustion gas in a combustion / expansion process is used. There is one that attempts to convert water into steam by converting it into steam (see, for example, Patent Document 3).
[0006]
[Patent Document 1]
JP-A-2000-54843 (
[Patent Document 2]
JP-A-9-112354 (
[Patent Document 3]
JP-A-7-224724 (
[0007]
[Problems to be solved by the invention]
However, in
[0008]
Also, since the water injection device is installed above the combustion chamber exposed to high temperature and high pressure, the reliability of the water injection device always exposed to high temperature and high pressure combustion gas under high load is ensured. Difficult. The same applies to
[0009]
In
[0010]
Therefore, the present invention provides a method and an apparatus for reducing nitrogen oxides in a two-stroke diesel engine, which are capable of further reducing NOx required from the viewpoint of global environmental protection in recent years even under a high load. With the goal.
[0011]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve the above object, a method for reducing nitrogen oxides in a two-stroke diesel engine according to the present invention is characterized in that a piston reciprocating in a cylinder of the two-stroke diesel engine descends and starts scavenging or during scavenging. Water is injected from the side of the cylinder toward the expanded high-temperature exhaust gas existing in the upper portion or toward the piston top surface to cool the exhaust gas in a region near the upper portion of the piston. Thus, before or at the time of scavenging, when the piston descends, the water injected into the expanded high-temperature exhaust gas existing at the upper part of the piston or the water injected on the piston top surface becomes steam, and the exhaust gas in the area near the upper part of the piston is exhausted. The gas temperature can be reduced. Also, by cooling and reusing the exhaust gas inside the cylinder without leaving it outside, it is possible to reduce the temperature of the exhaust gas and reduce the oxygen concentration in the air to be compressed in the next process without the need for another configuration. In addition, effective reduction of NOx can be achieved.
[0012]
In the method for reducing nitrogen oxides of a two-stroke diesel engine, if the water injection timing is in a range of a crank angle of 70 to 180 degrees from the piston top dead center, the water is injected below the cylinder liner (cylinder). Thus, the temperature of the exhaust gas can be reduced without damaging the highly important lubricating oil film formed above the cylinder liner with water.
[0013]
In the method for reducing nitrogen oxides of a two-stroke diesel engine, the exhaust stroke is terminated if the region of the exhaust gas near the upper part of the piston cooled by the water injection is in a range of 1 to 50% of the stroke volume of the piston. The exhaust gas cooled in the cylinder at the time can be left in a stable amount.
[0014]
Further, at the time of scavenging when the piston reciprocating in the cylinder of the two-stroke diesel engine descends, water is injected from the scavenging port toward the expanded high-temperature exhaust gas existing at the top of the piston or toward the piston top surface, If the exhaust gas in the area near the upper part of the piston is cooled, the water injected into the expanded high-temperature exhaust gas existing at the upper part of the piston or on the top surface of the piston becomes steam when the scavenging of the piston descends. The exhaust gas temperature in the region near the upper part can be reduced. In this way, the exhaust gas in the cylinder is cooled and reused without being exhausted, thereby reducing the temperature of the exhaust gas and lowering the oxygen concentration in the air to be compressed in the next process, thereby effectively reducing NOx. Reduction can be achieved.
[0015]
In addition, in any one of the above-described methods for reducing nitrogen oxides in a two-stroke diesel engine, if water is injected toward the upper part of the piston throughout the scavenging stroke, the water injection amount can be adjusted or a sufficient water injection amount can be obtained. Can further reduce NOx.
[0016]
Further, in any of the above two methods for reducing nitrogen oxides of a two-stroke diesel engine, if steam is injected instead of the water, the exhaust gas can be rapidly exhausted under use conditions that require vaporization in a shorter time. Cooling can be performed to reduce NOx.
[0017]
On the other hand, a nitrogen oxide reducing device for a two-stroke diesel engine according to the present invention includes an exhaust valve provided in a cylinder head for discharging exhaust gas, a scavenging port provided in the cylinder for supplying air, and an inside of the cylinder. A piston that reciprocates at a position, a water injection member provided on the side of the cylinder toward the inside of the cylinder, and the water injection member is present before the piston descends to start scavenging or at the top of the piston during scavenging. A water supply device for injecting water toward the expanding high-temperature exhaust gas or toward the piston top surface. Thereby, in a uniflow scavenging two-stroke diesel engine configured to supply air from a scavenging port provided in the cylinder and discharge from an exhaust valve of the cylinder head, before or at the time of scavenging, the piston descends to start scavenging. Water injected into the expanded high-temperature exhaust gas at the top of the piston or on the top surface of the piston turns into steam and lowers the temperature of the exhaust gas in the area near the top of the piston, reducing the temperature of the exhaust gas and compressing it in the next stroke By reducing the oxygen concentration of the generated air, it is possible to efficiently reduce NOx.
[0018]
Further, in the nitrogen oxide reducing device of the two-stroke diesel engine, the water supply device may be a mechanical or electric type or a combination thereof, and the water supply device may be provided with the water injection member during operation of the diesel engine. If the function of adjusting the injection timing and the injection amount from the engine is provided, it is possible to adjust the water injection timing and the injection amount to the optimum during the operation of the diesel engine, and to reduce the NOx while maintaining the operation efficiency. Can be planned.
[0019]
Further, in the nitrogen oxide reduction device of the two-stroke diesel engine, the water injection member is formed by a plurality of water injection valves or water injection nozzles that inject water evenly from a side surface of a cylinder toward a central axis of the piston. According to this structure, water can be uniformly jetted into steam in a short time by a plurality of water injection valves or water injection nozzles.
[0020]
Further, an exhaust valve provided in the cylinder head for discharging exhaust gas, a scavenging port for supplying air provided in the cylinder, a piston reciprocating inside the cylinder, and a gas flowing from the scavenging port toward the inside of the cylinder. A water injection member for injecting water, wherein the water is injected toward the expanded high-temperature exhaust gas existing above the piston when the piston is lowered and the scavenging port is opened, or toward the top surface of the piston. In a uniflow scavenging two-stroke diesel engine configured to supply air from a scavenging port provided in a cylinder and discharge air from an exhaust valve of a cylinder head, a piston descends to perform scavenging. Before starting or at the time of scavenging, water injected into the expanded high-temperature exhaust gas at the top of the piston or onto the piston top surface becomes steam. Since lowering the exhaust gas temperature region near the piston top Te, reduction of exhaust gas temperature, by lowering the oxygen concentration in the air to be compressed in the next stroke, it is possible to reduce the efficient NOx.
[0021]
Moreover, in any one of the above two-stroke diesel engine nitrogen oxide reduction devices, water is injected into the water supply device toward the expanded high-temperature exhaust gas existing above the piston or toward the piston top surface. In addition to the function, if a function to inject water toward the upper part of the piston in the entire scavenging stroke is provided, in addition to the water injection before or at the time of scavenging, a smaller amount of water is injected throughout the scavenging stroke. Accordingly, it is possible to further reduce NOx.
[0022]
Further, in any one of the above two-stroke diesel engine nitrogen oxide reduction devices, if the water supply device is provided with a function of injecting steam instead of water, it is necessary to vaporize in a shorter time. In this case, NOx can be reduced by rapidly cooling the exhaust gas.
[0023]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, an embodiment of the present invention will be described with reference to the drawings. FIG. 1 is a longitudinal sectional view showing a two-stroke diesel engine according to a first embodiment of the present invention, and FIG. 2 is a time chart showing a relationship between valve timing and water injection timing of the two-stroke diesel engine. FIG. 1 is a schematic diagram.
[0024]
As shown in FIG. 1, a
[0025]
In the upper position near the scavenging
[0026]
Moreover, before the
[0027]
Further, in this embodiment, an example is shown in which water is injected before scavenging is started as a timing for injecting water. However, as a timing for injecting water W, the crank angle is determined from the piston top dead center from the piston top dead center. In the range of 70 degrees to 180 degrees, the injection of water is below the
[0028]
Furthermore, in this example, the region of the exhaust gas G near the upper part of the piston cooled by the injection of the water W is set to a volume V2 of about 20 to 25% of the entire stroke volume V1 of the
[0029]
On the other hand, the
[0030]
Therefore, the adjustment of the injection timing and the injection amount of the water W by the
[0031]
As shown in FIG. 2, the valve timing and the water injection timing of such a two-stroke diesel engine include, for example, a
[0032]
The water injection timing in this embodiment is such that the exhaust gas G in the region above the piston from the
[0033]
Further, as the region of the exhaust gas G to be cooled by injecting the water W, the region of the exhaust gas near the upper part of the
[0034]
Thereafter, the water injection is stopped, the
[0035]
As the air mixed with the exhaust gas G remaining in the cylinder in this way, the cooled exhaust gas G on the upper part of the
[0036]
Therefore, the mixture of the exhaust gas G thus left in the
[0037]
FIG. 3 is a longitudinal sectional view showing a two-stroke diesel engine according to a second embodiment of the present invention, and FIG. 4 is a time chart showing a relationship between valve timing and water injection timing of the two-stroke diesel engine. FIG. 3 is a schematic diagram. Further, the same configurations as those in the above-described first embodiment will be described by assigning the same reference numerals.
[0038]
As shown in FIG. 3, a
[0039]
The scavenging
[0040]
In addition, the exhaust gas G when the
[0041]
Further, in this embodiment, as an example of the timing of water injection, water is injected when scavenging is started. However, the rotation angle of the crankshaft is in a range of about 120 degrees to 180 degrees from the piston top dead center. In this case, the water is injected below the
[0042]
Furthermore, in this example, the region of the exhaust gas G near the upper part of the piston cooled by the injection of the water W is set to a volume V2 of about 20 to 25% of the entire stroke volume V1 of the
[0043]
On the other hand, the
[0044]
Therefore, the adjustment of the injection timing and the injection amount of the water W by the
[0045]
As shown in FIG. 4, the valve timing and the water injection timing of such a two-stroke diesel engine include, for example, a
[0046]
The water injection timing in this embodiment is such that the crankshaft rotation angle when the
[0047]
Further, as the region of the exhaust gas G to be cooled by injecting the water W, the region of the exhaust gas near the upper part of the
[0048]
Thereafter, the water injection is stopped, the
[0049]
As the air mixed with the exhaust gas G remaining in the cylinder in this way, the cooled exhaust gas G on the upper part of the
[0050]
Therefore, the mixture of the exhaust gas G thus left in the
[0051]
As described above, according to the present invention, the exhaust gas temperature in the internal cool exhaust recirculation system, in which the exhaust gas in the
[0052]
Further, since the temperature of the mixture with air can be lowered by the cooled exhaust gas G, the configuration of the combustion chamber such as the
[0053]
In each of the above-described embodiments, in addition to the water injection in each embodiment, the water injection amount is increased over the entire scavenging stroke in which the scavenging
[0054]
In addition, if steam is injected instead of the water, NOx can be stably reduced under use conditions that require vaporization in a shorter time. In this case, a steam supply function is added to the
[0055]
Furthermore, the above-described embodiment is one embodiment, and various changes can be made without departing from the gist of the present invention, and the present invention is not limited to the above-described embodiment.
[0056]
【The invention's effect】
The present invention is embodied in the form described above, and has the following effects.
[0057]
By cooling and reusing the exhaust gas inside the cylinder without letting it go outside, the temperature of the exhaust gas can be reduced even under high load, and the oxygen concentration in the air to be compressed in the next process can be reduced, resulting in more stable nitrogen oxidation. Objects can be reduced.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a longitudinal sectional view showing a two-stroke diesel engine according to a first embodiment of the present invention.
FIG. 2 is a time chart showing a relationship between valve timing and water injection timing of the two-stroke diesel engine shown in FIG.
FIG. 3 is a longitudinal sectional view showing a two-stroke diesel engine according to a second embodiment of the present invention.
FIG. 4 is a time chart showing a relationship between valve timing and water injection timing of the two-stroke diesel engine shown in FIG.
FIG. 5 is a time chart showing a relationship between valve timing and water injection timing in a conventional two-stroke diesel engine.
[Explanation of symbols]
DESCRIPTION OF
Claims (12)
前記水の噴射時期を、ピストン上死点から70度〜180度のクランク角の範囲とした2ストロークディーゼル機関の窒素酸化物低減方法。The method for reducing nitrogen oxides in a two-stroke diesel engine according to claim 1,
A method for reducing nitrogen oxides in a two-stroke diesel engine, wherein the water injection timing is in a range of a crank angle of 70 to 180 degrees from a piston top dead center.
前記水の噴射で冷却するピストン上部に近い排気ガスの領域を、ピストンの行程容積の1〜50%の範囲とした2ストロークディーゼル機関の窒素酸化物低減方法。The method for reducing nitrogen oxides in a two-stroke diesel engine according to claim 1,
A method for reducing nitrogen oxides in a two-stroke diesel engine, wherein an area of exhaust gas near an upper part of a piston cooled by injection of water is set in a range of 1 to 50% of a stroke volume of the piston.
前記掃気行程の全域でピストン上部に向けて水を噴射するようにした2ストロークディーゼル機関の窒素酸化物低減方法。The nitrogen oxide reduction method for a two-stroke diesel engine according to any one of claims 1 to 4,
A method for reducing nitrogen oxides in a two-stroke diesel engine, wherein water is injected toward an upper part of a piston throughout the scavenging stroke.
前記水に代えて蒸気を噴射するようにした2ストロークディーゼル機関の窒素酸化物低減方法。The nitrogen oxide reduction method for a two-stroke diesel engine according to any one of claims 1 to 5,
A method for reducing nitrogen oxides in a two-stroke diesel engine, wherein steam is injected instead of water.
前記水供給装置を、機械式又は電気式もしくはそれらを組合わせた構成とし、該水供給装置に、ディーゼル機関運転中に前記水噴射部材からの噴射タイミングと噴射量とを調整する機能を具備させた2ストロークディーゼル機関の窒素酸化物低減装置。The nitrogen oxide reduction device for a two-stroke diesel engine according to claim 7,
The water supply device is configured to be mechanical or electric or a combination thereof, and the water supply device has a function of adjusting the injection timing and the injection amount from the water injection member during operation of the diesel engine. Nitrogen oxide reduction equipment for a two-stroke diesel engine.
前記水噴射部材を、前記ピストンの中心軸に向けてシリンダの側面から均等に水を噴射する複数個の水噴射弁又は水噴射ノズルで構成した2ストロークディーゼル機関の窒素酸化物低減装置。The nitrogen oxide reduction device for a two-stroke diesel engine according to claim 7,
A nitrogen oxide reducing device for a two-stroke diesel engine, wherein the water injection member includes a plurality of water injection valves or water injection nozzles for uniformly injecting water from a side surface of a cylinder toward a central axis of the piston.
前記水供給装置に、前記ピストン上部に存在する膨張した高温の排気ガスに向けて又はピストン頂面に向けて水を噴射する機能に加え、掃気行程の全域でピストン上部に向けて水を噴射する機能を具備させた2ストロークディーゼル機関の窒素酸化物低減装置。The nitrogen oxide reduction device for a two-stroke diesel engine according to any one of claims 7 to 10,
In addition to the function of injecting water toward the expanded high-temperature exhaust gas existing at the top of the piston or toward the top surface of the piston, the water supply device also injects water toward the top of the piston throughout the scavenging stroke. A nitrogen oxide reduction device for a two-stroke diesel engine equipped with functions.
前記水供給装置に、水に代えて蒸気を噴射する機能を具備させた2ストロークディーゼル機関の窒素酸化物低減装置。The nitrogen oxide reduction device for a two-stroke diesel engine according to any one of claims 7 to 11,
A nitrogen oxide reduction device for a two-stroke diesel engine, wherein the water supply device has a function of injecting steam instead of water.
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JP2003150427A JP2004353514A (en) | 2003-05-28 | 2003-05-28 | Method and device for reducing nitrogen oxide of two-stroke diesel engine |
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2003
- 2003-05-28 JP JP2003150427A patent/JP2004353514A/en active Pending
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