JP2004348541A - 模様描画支援方法/プログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】安価に、しかも、高い精度で、作業者が立体物の表面の所定の位置に模様を描画するのを支援する方法を提供する。
【解決手段】まず、カメラ12によって球10の画像を取得し、この画像から球10の空間位置を特定する。次に、模様を描画する位置がマークされた球10の計算用モデルを、特定した位置においてカメラ12で撮像したときに得られる画像を計算する。次に、取得した球の画像と、計算したモデルの画像を重ねて作業者に提示し、模様の描画を促す。作業者が模様を描画後、別の位置に模様を描画するために球10の姿勢を変えると、その状態で球10の画像を新たに取得し、既に描画済みの模様とそれに対応するマークが一致するようにモデルの姿勢を変え、これをカメラ12によって撮像したときの画像を計算する。次に、新たに取得した球10の画像と新たに計算したモデルの画像を重ねて作業者に提示し、模様の描画を促す。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、模様の描画の支援に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば球の表面に模様を描画する場合、模様を描画する箇所に対応する箇所に孔が開けられた半球状のシェルを製造し、このシェルを模様の描画を行う球に被せて、これをガイドとして模様を描画していた。
【0003】
なお、先行技術には、患者の体内にある手術器具の位置をモニターして画面表示し、手術者の支援を行う技術がある(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特表平11−510423号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようなシェルの製造にはコストがかかるため、描画作業全体としてコストがかかっていた。
【0006】
また、特許文献1に記載の発明は、模様の描画の支援に活用できるかという視点で見た場合、描画用のペンの位置をモニターできるだけにすぎず、人体の内部のような入り組んだ環境で描画を行うような特別な場合以外は、模様の描画の支援には役に立たない。
【0007】
本発明の目的は、安価に、しかも、高い精度で、作業者が任意立体物または球の表面の所定の位置に模様を描画するのを支援する方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の方法は、立体物と同一の形状を有する計算機モデルを所定のカメラによって撮像した場合に得られる画像を計算し、この画像と、カメラによって撮像された立体物の画像が所定の範囲内で一致するように、立体物の空間位置および姿勢を特定する第1のステップと、模様が描画される所定の位置の情報を含む計算機モデルを、第1のステップにおいて特定された空間位置および姿勢に置いたと仮定したときに、カメラによって撮像される画像を計算する第2のステップと、第1のステップで撮像された立体物の画像と、第2のステップで計算された、所定の位置にマークが施された計算機モデルの画像を重ねて作業者に提示し、作業者に立体物の所定の位置に模様を描画するように促す第3のステップと、作業者がまだ描画していない箇所に模様を描画するため、立体物の空間位置または姿勢を変えると、カメラによって立体物の画像を取得するとともに、立体物における既に描画済みの模様の位置と、この模様に対応する、計算機モデルのマークの位置が、所定の範囲内で一致するように空間位置および姿勢を変化させた計算機モデルの、カメラによって撮像される画像を計算する第4のステップと、第4のステップで撮像された立体物の画像と、第4のステップで計算された、所定の位置にマークが施された計算機モデルの画像を重ねて作業者に提示し、作業者に立体物のまだ描画していない箇所に模様を描画するように促す第5のステップを有することを特徴とする。
【0009】
また、立体物が球の場合、カメラによって球の画像を取得し、この画像とカメラの構造パラメータにもとづいて、球の空間位置を特定する第1のステップと、球と同一の半径を有し、模様が描画される所定の位置の情報を含む球の計算機モデルを、第1のステップにおいて特定された空間位置に置いたと仮定したときに、カメラによって撮像される画像を計算する第2のステップと、第1のステップで撮像された球の画像と、第2のステップで計算された、所定の位置にマークが施された計算機モデルの画像を重ねて作業者に提示し、作業者に球の所定の位置に模様を描画するように促す第3のステップと、作業者がまだ描画していない箇所に模様を描画するため、球の姿勢を変えると、カメラによって球の画像を取得するとともに、球における既に描画済みの模様の位置と、この模様に対応する、計算機モデルのマークの位置が、所定の範囲内で一致するように姿勢を変化させた計算機モデルの、カメラによって撮像される画像を計算する第4のステップと、第4のステップで取得された球の画像と、第4のステップで計算された、所定の位置にマークが施された計算機モデルの画像を重ねて作業者に提示し、作業者に球のまだ描画していない箇所に模様を描画するように促す第5のステップを有することを特徴とする。
【0010】
球は点対称であるから、最初に模様を描画するのは球面上のどこでもよいので、第1のステップでは姿勢を特定する必要なない。また、いったん球の中心の空間位置が特定されると、姿勢を変化させても球の表面の空間位置は特定されたままであるので、第4のステップで空間位置を考慮する必要はなくなる。
【0011】
さらに、第5のステップの後、第2のステップで描画した模様の一部または全部と、第5のステップで描画した模様の一部または全部を含む領域を設定し、この領域内の模様とこれに対応するマークの誤差が所定の範囲内にあることを検証するステップを設けるのが望ましい。これは、異なる空間位置または姿勢で描画した模様間では、同じ空間位置または姿勢で描画した模様間よりもずれが大きく、早期に不良を発見するためである。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
(第1の実施形態)
本実施形態では、模様を描画する対象物は球である。本実施形態では、まず、球の画像を取得し、この画像から球の空間位置を特定する(ステップ1)。次に、模様を描画する位置がマークされた球の計算機モデル(模様を描画する球と同一の半径を有する)を、ステップ1で特定された位置において撮像したとしたときの画像を計算する(ステップ2)。次に、ステップ1で取得した球の画像と、ステップ2で計算されたモデルの画像を重ねて作業者に提示して、作業者に模様の描画を促す(ステップ3)。作業者が模様を描画後、別の位置に模様を描画するために球の姿勢を変えると、その状態で球の画像を取得し、既に描画済みの模様とそれに対応するマークが一致するように、球の計算機モデルの姿勢を変え、それを撮像したとしたときの画像を計算する(ステップ4)。次に、ステップ4で取得した球の画像と計算されたモデルの画像を重ねて作業者に提示して、作業者に模様の描画を促す(ステップ5)。以下、ステップごとに、処理の内容を詳細に説明する。
(ステップ1)
図1を参照すると、模様の描画を行う球10と、球10を安定に載置するための治具11と、球10を撮像するカメラ12と、球10に模様を描画するペン13と、治具11が取り付けられる机14が示されている。カメラ12は、十分なキャリブレーションが施されているカメラ、または、ピンホールモデルカメラである。球10の表面はつや消し赤色、治具11と机14の表面はつや消し白色である。カメラ12で撮像した画像において、球10と机14の表面にハイライトが発生しないように、照明を適宜調整する。ペン13は作業者の手により把持されているが、省略されている。以上のようにして、球10の画像を取得する。この画像は、カラー画像と輝度画像(モノクロ)を含む。
【0014】
図2を参照すると、カメラ12によって撮像された球10のカラー画像が示されている。赤色情報に基づいて、図2のカラー画像に2値化処理を施す。この2値化処理は、球10の画像の重心を算出するために行う。各ピクセル(i,j)でのRGB(Red, Green, Blue)輝度をR(i,j)、G(i,j)、B(i,j)としたとき、G(i,j)<TかつB(i,j)<Tを満たすピクセルを「1」とし、それ以外のピクセルを「0」とする処理を行う。ただし、T=R(i,j)×tであり、t=0.25である。なお、tの値については、照明環境に応じて適宜設定する。
【0015】
図3を参照すると、2値化処理された画像が示されている。この画像から赤色領域(すなわち「1」の領域)30を切り出し、その重心31を算出する。
【0016】
図4を参照すると、重心31から延びる半直線40上に、微分経路41が示されている。微分経路41は、球10の画像の輪郭を算出するために行う微分の経路のことである。半直線40は、重心31から15度ごとに放射状に24本延びている。この本数は、必要に応じて適宜増減することが可能である。微分経路41の長さを定めるrとrは、赤色領域30の面積をAとして、(数1)〜(数3)により求まる。
【0017】
【数1】
Figure 2004348541
【0018】
【数2】
Figure 2004348541
【0019】
【数3】
Figure 2004348541
ここで、tの値としては0.1を用いたが、シーンの状況に応じて適宜増減することが望ましい。
【0020】
図5を参照すると、球10の輝度画像に、重心31、半直線40、微分経路41を設定し、微分経路41において輝度のグラディエントの絶対値が最大となるエッジ位置50を求める様子が示されている。なお、微分経路41のうち、球10の画像の外に出る部分はクリッピングする。
【0021】
球を透視投影した際の輪郭は楕円になることから、求められた24個のエッジ位置50を結ぶ曲線に最もよくフィットする楕円を求める。求めるための方法は様々あるが、例えば、Andrew Fitzgibbon、Maurizio Pilu、Robert B.Fisherらの「楕円の直接最小2乗フィッティング(Direct Least Square Fitting of Ellipses)」(IEEE Transactions on Pattern Analysis and Machine Intelligence, Vol.21, No.5, May 1999)などがある。
【0022】
図6を参照すると、24個のエッジ位置50を結ぶ曲線にフィットする楕円が示されている。楕円は、長径a、中心60を有し、楕円中心60と画面中心61との距離はg、画面の水平線と、楕円中心60と画面中心61を結ぶ直線のなす角はψである。ここで、後の処理のために、楕円内における最低輝度を求め、Imin(E)とする。
【0023】
図7を参照すると、実物の球10と、カメラ12のスクリーン74上の球10の像(図6で求めた楕円)との空間的な位置関係が示されている。球10は、中心70、半径rを有する。レンズ面71と、球10の中心70の距離をzとし、レンズ面71とスクリーン74の距離をdとする。また、球10の中心70と、レンズ面71の中心72とスクリーン74の中心(画面中心)61を通る中心軸73の距離をsとする。ここで、a、g、s、zは、(数4)〜(数7)の非線形連立方程式に示す関係にある。
【0024】
【数4】
Figure 2004348541
【0025】
【数5】
Figure 2004348541
【0026】
【数6】
Figure 2004348541
【0027】
【数7】
Figure 2004348541
rは球10の半径であり、既知の値である。また、レンズ面71とスクリーン74の距離dは、カメラ12の構造によって定まる値であり、既知の値である。結局、図6からaとgが求まると、(数4)〜(数7)の非線形連立方程式を解くことができる。ニュートン法によってsとzを求める。また、図6からはψも求まるので、結局、球10の画像とカメラ12の構造から、球10の空間位置が円筒座標(s,ψ,z)の形で求まる。
(ステップ2)
図8を参照すると、球10の計算機モデル80が示されている。球の計算機モデル80は、球10と同一の半径を有し、球10において模様を描画する位置の情報が含まれている。P〜Pが模様を描画する位置を示している。この球の計算機モデル80を球10の現在の空間位置(s,ψ,z)に配置して、カメラ12によって撮像したときの画像を計算する(透視投影変換)。
【0028】
図9を参照すると、球の計算機モデル80の透視投影変換像が示されている。球の計算機モデル80の姿勢は、模様の描画位置P〜Pを透視投影変換した位置Q〜Qが、透視投影変換した球の計算機モデル80の輪郭のほぼ中央となるような姿勢に調節する(Qは見えていない)。ここで、球の表面に描画する模様は、異なる球の姿勢に対しては異なる見え方をするようなデザインに限るとする。
(ステップ3)
上で求めた球の計算機モデル80の透視投影変換像と球10のカラー画像を重ね合わせる。
【0029】
図10を参照すると、球の計算機モデル80の透視投影変換像が重ねられた球10のカラー画像を参照しながら、ペン13によって、十字のマークがされた位置Q〜Qに模様を描画していく様子が示されている。作業者は、ペン13の像の先端がカラー画像において各十字マーカに一致するように実空間でペン13を操作し、その位置において、球10の表面に所定の大きさのドットを描画する。
【0030】
図11を参照すると、球10の位置Q〜Qに対応する位置に模様が全て描画された様子が示されている。
(ステップ4)
以降のステップは、まだ描画していないPの位置に模様を描画するために行う。
【0031】
図12を参照すると、図11のドットが描画された球の画像を、I=Imin(E)×tを基準に2値化処理を施した画像が示されている。ここで、t=0.9であるが、ドットの模様のみが黒になるように、tを適宜調整することが望ましい。
【0032】
球の計算機モデル80における模様の位置Pに対応する球10の位置(まだ模様が描画されていない)、および、位置P〜Pに対応して描かれたドットが、球10の輪郭楕円のほぼ中央に位置するように、実空間において球10の姿勢を調整する。この調整の後、球10を撮像し、I=Imin(E)×tを基準に2値化処理を施す。
【0033】
図13を参照すると、2値化処理後の画像が示されている。ただし、輝度情報は浮動小数点で表現されており、明領域の輝度値は1.0であり、暗領域の輝度値は0.0である。
【0034】
図14を参照すると、図13の画像に対して、(数8)に示すガウシアン分布のテンプレートを用いた正規化相関によるずらしマッチングを施した正規化相関値分布画像が示されている。
【0035】
【数8】
Figure 2004348541
ここでは、5×5のテンプレートを用いたが、描画されたドットの大きさに適合するように、適切なサイズを用いることが望ましい。
【0036】
図15を参照すると、図14の正規化相関値分布画像において、相関値が最大となる位置を求め、その最大相関値がG以上である場合に、その位置をCとして記憶した後、Cの近傍Uにおける正規化相関値分布画像の値を全て0.0とする処理の様子が示されている。この処理を、求められた最大相関値がG未満となるまで繰り返す。ここで、Gは、ドットの検出が正しくなされるように選定する。
【0037】
次に、球10の現在の姿勢を求めるために、球10の計算機モデル80において、所定の範囲で、十分に小さな刻み幅で角度パラメータ(α,β,γ)を変化させ、各角度パラメータ(α,βj,γ)に対して以下の処理を行う。
【0038】
(数9)で示されるマトリックスを算出した後に、球10の計算機モデル80におけるドット模様0〜3の位置P〜Pを、(数10)により変換してから、透視投影変換を施し、位置Q〜Qを求める。
【0039】
【数9】
Figure 2004348541
【0040】
【数10】
Figure 2004348541
図16を参照すると、求められた位置Q〜Qの様子が示されている。位置Q〜Qの近傍V〜Vに、図15に示す位置Cのいずれかが1個ずつ存在する場合に限り、C(C〜C)とQ〜Qの誤差の2乗和をマッチング評価値としてMに保存する。この処理を全ての角度パラメータ(α,β,γ)に対して行い、Mが最小となる角度パラメータを(α,β,γ)とする。Mが1つも得られない場合は、治具11またはカメラ12の位置や環境照明などを調整した後、再度上記の全手順を繰り返す。
【0041】
さらに精度を上げるために、上記で求められた(α,β,γ)を中心に、さらに絞られた所定の範囲において、1/10の刻み幅で角度パラメータ(α,β,γ)を変化させ、同様の処理を行う。
【0042】
以上の処理を刻み幅が所定の値より小さくなるまで繰り返し行い、角度パラメータ(α,β,γ)を求める。最終的に求められた角度パラメータ(α,β,γ)に対応するマトリックスで、球10の計算機モデル80におけるドット模様0〜3の位置P〜Pを変換してから、透視投影変換を施し、位置Q〜Qを求める。
【0043】
図17を参照すると、最終的に得られた透視投影変換像が示されている。
(ステップ5)
図18を参照すると、図17の透視投影変換像が重ねられた球10のカラー画像において、十字マーカが表示された位置Qに、ペン13によって模様を描画する様子が示されている。作業者は、ペン13の像の先端がカラー画像において十字マーカに一致するように実空間でペン13を操作し、その位置において、球10の表面に所定の大きさのドットを描画する。
【0044】
図19を参照すると、すべての模様を描画し終わった後の球10のカラー画像が示されている。
【0045】
なお、さらに描画する箇所があるならば、ステップ4にもどり、描画が完了するまで、ステップ4とステップ5を繰り返す。
【0046】
(第2の実施形態)
本実施形態では、第1の実施形態とは異なり、模様を描画する対象物は、球ではなく任意の立体物である。ここでは、サッカーボールと同様の構造の多面体を用いるが、任意の立体物に適用可能である。
【0047】
対象物を球から任意の立体物とした場合、第1の実施形態は、以下のように修正されなければならない。すなわち、球は点対称であるから、最初に模様を描画する箇所はどこでもよいので、第1の実施形態のステップ1においては、球の空間位置のみを特定すればよかった。しかし、任意の立体物の場合、最初に模様を描画する箇所はどこでもよいというわけにはいかず、立体物の姿勢も決定しなければならない。さらに、球は点対称であるから、一度、中心の空間位置を特定すれば、後は姿勢のみを変化させればよかった(中心が特定されているので、姿勢が特定されれば、球面上の空間位置は特定される)が、任意の立体物の場合、中心を特定したとしても、姿勢が変われば、空間位置の特定はできない。そこで、第1の実施形態のステップ4において、姿勢のみならず、空間位置も変化させたうえで、特定しなければならない。
【0048】
以上のように、模様を描画する対象物を任意の立体物とすることで、空間位置と姿勢を同時に特定しなければならない。以下、第1の実施形態のステップ1および4とは異なる、空間位置および姿勢の特定の点について説明する。
(ステップ1)
第1の実施形態とは異なり、対象物の空間位置のみならず、姿勢も特定する。本実施形態では、ステップ1から計算機モデルを用いる。
【0049】
図20を参照すると、本実施形態で模様を描画するサッカーボール状の多面体の計算機モデル200が示されている。P〜Pは、多面体において模様を描画する箇所に対応する位置を示している。
【0050】
図21を参照すると、計算機モデル200の位置と姿勢の変化量を示す位置姿勢角パラメータが(x,y,z,α,β,γ)のとき、(数9)の変換マトリクスを用いて、(数11)により、計算機モデル200の位置と姿勢を変化後、第1の実施形態と同様に透視投影変換を施し、得られた画像の輪郭を構成する点群をE、重心をGと設定する様子が示されている。
【0051】
【数11】
Figure 2004348541
図22を参照すると、サッカーボール状の多面体の輝度画像から、輪郭を検出するために、GからEを結ぶ半直線220上に、微分経路221を設定する様子が示されている。ここで、微分経路221は、その領域の中央がEに一致するように設定される。また、r=G×tであり、t=0.2であるが、対象物の形状に対応して適宜適切な値とする。
【0052】
図23を参照すると、第1の実施形態のステップ1と同様に、カラー画像の赤色情報にもとづく2値化処理により求められた、サッカーボール状の多面体233の重心230と、レンズ面中心72を結ぶ直線231から半径ρ以内の領域232を設定する様子が示されている。
【0053】
計算機モデル200を領域232に置く全ての位置姿勢角パラメータに対し、取り込んだサッカーボール状の多面体233の輝度画像において、微分経路221上で輝度のグラディエントが最大となるエッジE’を求める。
【0054】
図24を参照すると、この様子が示されている。誤差EE’の2乗和を位置姿勢角パラメータ(x,y,z,α,β,γ)で定まる変換に対応するマッチング評価値としてMに保存する。全ての処理が終了した時点で、Mが最小となる位置姿勢角パラメータを(x,y,z,α,β,γ)とし、対象物の位置および姿勢として確定する。
(ステップ4)
第1の実施形態とは、角度パラメータ(α,βj,γ)を用いる代わりに、位置姿勢角パラメータ(x,y,z,α,β,γ)を用いる点だけが異なる。
【0055】
第1の実施形態のステップ2、3、5については、本実施形態にも共通する。
【0056】
(第3の実施形態)
本実施形態では、第1の実施形態と同様、模様を描画する対象物は球10である。第1の実施形態と異なる点は、第1の実施形態のステップ3とステップ5、すなわち、球10の姿勢を変える前後で描画された模様の間にずれがないかどうかを検証するステップが、ステップ5の後に加わる点である。以下、このステップについて説明する。
【0057】
図25を参照すると、第1の実施形態のステップ5(図18または19)で、球10のQに対応する位置にドットを描画した後、楕円中心60から半径ρ以内の領域250を設定している様子が示されている。この領域250には、第1の実施形態のステップ3で描画したドット(Q〜Qに対応するドット)と、ステップ5で描画したドット(Q)を必ず含めるように設定する。領域250にあるドットに対する最小のマッチング評価値Mを、第1の実施形態のステップ4で説明した方法により算出し、規定値より大きな場合は不良品と判断し、処理を中断する。なお、ρは、輪郭楕円の長径aを用いて、(数12)から算出される。
【0058】
【数12】
Figure 2004348541
ここで、t=0.7としたが、適宜増減可能である。
【0059】
このステップは、球10の異なる姿勢のもとで描画を行った模様間のすべてで行うことが好ましい。
【0060】
(第4の実施形態)
本実施形態では、第2の実施形態と同様、模様を描画する対象物は任意の立体物である。第2の実施形態と異なる点は、第2の実施形態のステップ3とステップ5、すなわち、立体物の位置および姿勢を変える前後で描画された模様の間にずれがないかどうかを検証するステップが、ステップ5の後に加わる点である。以下、このステップについて説明する。このステップは、第3の実施形態で説明されたものと基本的に同じである。
【0061】
第3の実施形態では、楕円中心60から半径ρで領域250を設定したが、本実施形態では、計算機モデル200の透視投影変換像の重心Gを用いる。また、対象領域半径ρについては、(数13)により算出した値を用いる。
【0062】
【数13】
Figure 2004348541
ここで、Eは、計算機モデル200の透視投影変換像の輪郭点群である。tは定数である。
【0063】
図26を参照すると、重心G、輪郭点群E、半径ρ、検証を行う領域260が示されている。
【0064】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、従来技術のように、模様に対応する箇所に孔が開けられた半球状のシェルのようなハードウェアを製造する必要がなくなるので、コストを大幅に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】模様を描画する球10をカメラ12によって撮像するシステムの構成を示した図である。
【図2】カメラ12によって撮像された球10のカラー画像である。
【図3】図2のカラー画像を、赤色情報に基づいて2値化処理した画像である。
【図4】重心31から延びる半直線40上の、球10の輪郭を求めるための微分経路41を示した図である。
【図5】各半直線40上の微分経路41において、輝度のグラディエントの絶対値が最大となるエッジ位置50を示した図である。
【図6】エッジ位置50を結ぶ曲線を近似するために求められた楕円を示した図である。
【図7】実物の球10と、カメラ12のスクリーン74上の、球10の像を近似する楕円との空間的な位置関係を示した図である。
【図8】球の計算機モデルを示した図である。
【図9】図9の球の計算機モデルの透視投影変換像を示した図である。
【図10】球の計算機モデル80の透視投影変換像が重ねられた球10のカラー画像を参照しながら、ペン13によって、十字のマークがなされた位置Q〜Qに対応する位置に模様を描画していく様子を示した図である。
【図11】球10の位置Q〜Qに対応する位置に模様が全て描画された様子を示した図である。
【図12】図11のドットが描画された球の画像に2値化処理を施した画像を示した図である。
【図13】球の計算機モデル80におけるドット模様P〜Pに対応して描かれるドットが、ほぼ中央に位置するように調整された球10の画像に2値化処理を施した画像を示した図である。
【図14】図13の画像に対して、ガウシアン分布のテンプレートを用いた正規化相関によるずらしマッチングを施した正規化相関値分布画像を示した図である。
【図15】図14の正規化相関値分布画像において、相関値が最大となる位置を求め、その最大相関値がG以上である場合に、その位置をCとして記憶した後、Cの近傍Uにおける正規化相関値分布画像の値を全て0.0とする処理の様子を示した図である。
【図16】球の計算機モデル80におけるドット模様0〜3の位置P〜Pを、(数10)の式により変換してから、透視投影変換を施し、求められた位置Q〜Qの様子を示した図である。
【図17】最終的に求められた角度パラメータ(α,β,γ)に対応するマトリックス(数9)で球の計算機モデル80におけるドット模様0〜3の位置P〜Pを変換してから、透視投影変換を施し、位置Q〜Qを求めた透視投影変換像を示した図である。
【図18】図17の透視投影変換像が重ねられた球10のカラー画像において、十字マーカが表示された位置Qに、ペン13によって模様を描画する様子を示した図である。
【図19】すべての模様を描画し終わった後の球10のカラー画像を示した図である。
【図20】サッカーボール状の多面体の計算機モデルを示した図である。
【図21】各位置姿勢角パラメータ(x,y,z,α,β,γ)に対する、輪郭を構成する点群Eと、重心Gを示した図である。
【図22】重心Gから延びる半直線220と、微分経路221を示した図である。
【図23】スクリーン上のサッカーボール状の多面体の像と、直線231から半径ρ以内の領域232との空間的な位置関係を示した図である。
【図24】微分経路221において、エッジE’を求める様子を示した図である。
【図25】楕円中心60から半径ρ以内の領域250にあるドットに対する最小マッチング評価を行う様子を示した図である。
【図26】重心Gから半径ρ以内の領域260にあるドットに対する最小マッチング評価を行う様子を示した図である。
【符号の説明】
10 球
11 治具
12 カメラ
13 ペン
14 机
30 赤色領域
31 赤色領域の重心
40 重心31から延びる半直線
41 微分経路
50 エッジ位置
60 楕円中心
61 スクリーン中心(画面中心)
70 球10の中心
71 レンズ面
72 レンズ面中心
73 中心軸
74 スクリーン
80 球の計算機モデル
200 サッカーボール状の多面体の計算機モデル
220 重心Gから延びる半直線
221 微分経路
230 赤色情報にもとづく2値化処理によって求めた重心
231 重心230とレンズ面中心72を結ぶ直線
232 重心230とレンズ面中心72を結ぶ直線231から半径ρ以内の領域
233 サッカーボール状の多面体
250 楕円中心60から半径ρ以内の領域
260 重心Gから半径ρ以内の領域

Claims (5)

  1. 作業者が立体物の表面の所定の位置に模様を描画するのを支援する方法において、
    前記立体物と同一の形状を有する計算機モデルを所定のカメラによって撮像した場合に得られる画像を計算し、該画像と、前記カメラによって撮像された前記立体物の画像が所定の範囲内で一致するように、前記立体物の空間位置および姿勢を特定する第1のステップと、
    模様が描画される前記所定の位置の情報を含む前記計算機モデルを、前記第1のステップにおいて特定された前記空間位置および前記姿勢に置いたと仮定したときに、前記カメラによって撮像される画像を計算する第2のステップと、
    前記第2のステップで計算された前記計算機モデルの画像中に現れる前記所定の位置にマークを施した画像と、前記第1のステップで撮像された前記立体物の画像を重ねて作業者に提示し、作業者に模様を描画するように促す第3のステップと、
    作業者が、前記第2のステップで計算された前記計算機モデルの画像中に現れなかった前記所定の位置に模様を描画するため、前記立体物の空間位置または姿勢を変えると、前記カメラによって前記立体物の画像を取得するとともに、前記立体物における既に描画済みの模様の位置と、該模様に対応する、前記計算機モデルの前記マークの位置が、所定の範囲内で一致するように空間位置および姿勢を変化させた前記計算機モデルの、前記カメラによって撮像される画像を計算する第4のステップと、
    前記第4のステップで撮像された前記立体物の画像と、前記第4のステップで計算された、前記所定の位置にマークが施された前記計算機モデルの画像を重ねて作業者に提示し、作業者に、前記立体物のまだ描画していない箇所に、模様を描画するように促す第5のステップを有することを特徴とする方法。
  2. 作業者が球の表面の所定の位置に模様を描画するのを支援する方法において、
    カメラによって球の画像を取得し、該画像と前記カメラの構造パラメータにもとづいて、前記球の空間位置を特定する第1のステップと、
    前記球と同一の半径を有し、模様が描画される前記所定の位置の情報を含む前記球の計算機モデルを、前記第1のステップにおいて特定された前記空間位置に置いたと仮定したときに、前記カメラによって撮像される画像を計算する第2のステップと、
    前記第2のステップで計算された前記計算機モデルの画像中に現れる前記所定の位置にマークを施した画像と、前記第1のステップで撮像された前記立体物の画像を重ねて作業者に提示し、作業者に模様を描画するように促す第3のステップと、
    作業者が、前記第2のステップで計算された前記計算機モデルの画像中に現れなかった前記所定の位置に模様を描画するため、前記球の姿勢を変えると、前記カメラによって前記球の画像を取得するとともに、前記球における既に描画済みの模様の位置と、該模様に対応する、前記計算機モデルの前記マークの位置が、所定の範囲内で一致するように姿勢を変化させた前記計算機モデルの、前記カメラによって撮像される画像を計算する第4のステップと、
    前記第4のステップで取得された前記球の画像と、前記第4のステップで計算された、前記所定の位置にマークが施された前記計算機モデルの画像を重ねて作業者に提示し、作業者に、前記球のまだ描画していない箇所に、模様を描画するように促す第5のステップを有することを特徴とする方法。
  3. 前記第5のステップの後、前記第2のステップで描画した模様の一部または全部と、前記第5のステップで描画した模様の一部または全部を含む領域を設定し、該領域内の前記模様とこれに対応する前記マークの誤差が所定の範囲内にあることを検証するステップをさらに有する、請求項1または2に記載の方法。
  4. 請求項1または3に記載の各ステップをコンピュータに実行させるプログラム。
  5. 請求項2または3に記載の各ステップをコンピュータに実行させるプログラム。
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