JP2004346124A - 構造物の洗浄・保護方法および構造物用洗浄液剤・保護液剤キット - Google Patents
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Abstract
【解決手段】構造物を、次亜塩素酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、非イオン系界面活性剤及びグリシンを含有し、pHが8〜12である洗浄液剤など4種の洗浄液剤から選ばれる1種以上の洗浄液剤を用いて洗浄する洗浄工程と、N−ジメチル−N’−フェノール−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)−スルファミド、サイアベンタゾール、撥水剤及び有機溶剤を含有する保護液剤など4種の保護液剤から選ばれる保護液剤を用いて保護する保護工程とを有する構造物の洗浄・保護方法。
【選択図】なし
Description
【発明の技術分野】
本発明は、構造物の洗浄・保護方法および構造物用洗浄液剤・保護液剤キットに関する。詳しくは、本発明は、真菌(カビ)、細菌、油分などによる混合した汚れを有する構造物を効果的に洗浄するとともに、汚れの再付着を防止し構造物を保護する構造物の洗浄・保護方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
壁、塀、柱、タイルなどをはじめとする屋内外の構造物は、長期間の環境条件により、埃や泥の付着などによる汚れのほか、真菌(カビ)類、細菌類、サビ、シミ、エフロ、油分など、複合的な汚れを生じる。また、真菌類、細菌類により生じる構造物の汚れは、通常多種の真菌類、細菌類によって複合的に引き起こされるため、汚れの原因および成分は特に複雑である。
【0003】
建築構造物内外に発生する真菌(カビ)を除去または防止する方法としては、種々の方法が提案されており、たとえば特許文献1には、第四級アンモニウム塩、非イオン系界面活性剤およびグリコール系溶剤からなる殺菌洗浄剤を用いることが記載されている。また、特許文献2には、天然ヒバ油を用いた、防カビ剤が開示されている。さらに、特許文献3には、糸状菌の除去にヒノキチオールとシトロネル酸を用いることが開示されている。また、特許文献4には、除菌・抗菌・防カビ施工法として、殺菌剤による洗浄を行い、アルコールを散布・乾燥し、抗菌ワックスまたは抗菌コートを施す方法が提案されている。
【0004】
しかしながら、これらの開示技術ならびに従来公知の技術では、汚れを形成する一部のカビ類を除去したり、主要な汚れのみを除去したりすることはできても、多種共存する真菌類および細菌類、サビ、シミ、エフロ、油分などによる複合的な構造物の汚れを、総合的に充分に除去することはできず、また、汚れを除去した構造物の防カビなど、汚れの再付着を防止する保護も充分ではなかった。
【0005】
また、従来のカビ取り技術により、多種の真菌や細菌が混在して付着した構造物の汚れのうち、汚れの主要部を構成する一部のカビ類のみを除去した場合には、外観上は充分な洗浄がなされたように見えても、一部のカビ類が除去されたことやその他の汚れの残存に起因して、除去されなかった真菌や細菌が生育しやすい環境となり、結果的により多くの真菌や細菌の繁殖を招く場合があった。
【0006】
そして、気密性の向上やエアコンの使用といった住宅事情の変化、自然環境破壊による土中菌の飛散、不十分なカビ取りによるカビの活性化などにより、真菌および細菌による複合した構造物の汚れが深刻化している。
【0007】
さらに、真菌や細菌による汚れ、日焼け、風化による汚れなどを一因とする構造物の汚れでは、構造物自体の劣化や分解を伴っている場合も多く、このような構造物の汚れを単に除去した場合には、構造物の外観や強度を損なうことがあるという問題があった。
【0008】
このため、屋内外の構造物の複合した汚れを、汚れの状況に応じて的確に除去し、かつ、持続的な保護効果をもたらし、さらに必要に応じて構造物に優れた外観、強度などの特性を付与することができ、安全性にも優れた構造物の洗浄・保護方法の出現が強く求められていた。
【0009】
【特許文献1】
特開平5−311196号公報
【特許文献2】
特開平7−179318号公報
【特許文献3】
特開平8−59419号公報
【特許文献4】
特開2000−45482号公報
【0010】
【発明の目的】
本発明は、屋内外の構造物の複合した汚れを、汚れの状況に応じて的確に除去し、かつ、持続的な保護効果をもたらし、さらに必要に応じて構造物に優れた外観、強度などの特性を付与することができる、構造物の洗浄・保護方法を提供することを目的としている。
【0011】
【発明の概要】
本発明の構造物の洗浄・保護方法は、
(I)構造物を、下記(1)〜(4)よりなる群から選ばれる1種以上の洗浄液剤を用いて洗浄する洗浄工程と、
(II)洗浄工程(I)で洗浄した構造物を、下記(a)〜(d)よりなる群から選ばれる保護液剤を用いて保護する保護工程と
を有することを特徴としている;
(1)次亜塩素酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、非イオン系界面活性剤およびグリシンを含有し、pHが8〜12である洗浄液剤、
(2)フッ化水素ナトリウムおよびキレート剤を含有し、pHが4〜6である洗浄液剤、
(3)次亜塩素酸ナトリウムおよび炭酸ナトリウムを含有し、水酸化ナトリウムを含有せず、pHが8〜12である洗浄液剤、
(4)非イオン界面活性剤、アルカリビルダー、キレート剤および金属封鎖剤(アルカリビルダーを除く)を含有し、pHが8〜12である洗浄液剤、
(a)N−ジメチル−N’−フェノール−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)−スルファミド、サイアベンタゾール、撥水剤および有機溶剤を含有する保護液剤、
(b)N−ジメチル−N’−フェノール−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)−スルファミド、サイアベンタゾール、撥水剤、合成樹脂および有機溶剤を含有する保護液剤、
(c)N−ジメチル−N’−フェノール−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)−スルファミド、サイアベンタゾール、撥水剤、ポリアルキルシロキサンおよび有機溶剤を含有する保護液剤、
(d)N−ジメチル−N’−フェノール−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)−スルファミド、サイアベンタゾール、撥水剤、シラン系シリコーンおよび有機溶剤を含有する保護液剤。
【0012】
このような本発明の構造物の洗浄・保護方法では、前記保護液剤(a)、(b)、(c)または(d)が、有機溶剤として、エタノール、イソプロピルアルコール、キシレン、メタノールおよびフタル酸ジオクチルよりなる群から選ばれる2種以上を含有することが好ましい。
【0013】
本発明の構造物の洗浄・保護方法では、構造物が、真菌および/または細菌による汚れを有する構造物であって、洗浄工程(I)において、前記洗浄液剤(1)を用いることも好ましい。
【0014】
本発明の構造物の洗浄・保護方法では、構造物が、真菌および/または細菌と、サビによる汚れを有する構造物であって、洗浄工程(I)において、前記洗浄液剤(1)および(2)を用いることも好ましい。
【0015】
本発明の構造物の洗浄・保護方法では、構造物が、真菌および/または細菌と、サビおよび油分による汚れを有する構造物であって、洗浄工程(I)において、前記洗浄液剤(1)、(2)および(4)を用いることも好ましい。
【0016】
本発明の構造物の洗浄・保護方法では、構造物が、真菌および/または細菌と、油分による汚れを有する構造物であって、洗浄工程(I)において、前記洗浄液剤(1)および(4)を用いることも好ましい。
【0017】
本発明の構造物の洗浄・保護方法では、構造物が、真菌および/または細菌による汚れを有する木製の構造物であって、洗浄工程(I)において、前記洗浄液剤(3)を用い、かつ、保護工程(II)において、前記保護液剤(b)を用いることも好ましい。
【0018】
本発明の構造物の洗浄・保護方法では、構造物が、真菌および/または細菌、サビおよび日焼けシミによる汚れを有する木製の構造物であって、洗浄工程(I)において、前記洗浄液剤(2)、(3)および(4)を用い、かつ、保護工程(II)において、前記保護液剤(b)を用いることも好ましい。
【0019】
本発明の構造物の洗浄・保護方法では、構造物が、真菌および/または細菌による汚れを有するコンクリート製の構造物であって、洗浄工程(I)において、前記洗浄液剤(1)を用い、かつ、保護工程(II)において、前記保護液剤(c)を用いることも好ましい。
【0020】
本発明の構造物の洗浄・保護方法では、構造物が、真菌および/または細菌、サビおよび油分による汚れを有するコンクリート製の構造物であって、洗浄工程(I)において、前記洗浄液剤(1)、(2)および(4)を用い、かつ、保護工程(II)において、前記保護液剤(c)を用いることも好ましい。
【0021】
本発明の構造物の洗浄・保護方法では、構造物が、真菌および/または細菌による汚れを有する石製またはタイル製の構造物であって、洗浄工程(I)において、前記洗浄液剤(1)および(2)を用い、かつ、保護工程(II)において、前記保護液剤(d)を用いることも好ましい。
【0022】
本発明の構造物の洗浄・保護方法では、構造物が、真菌および/または細菌、サビおよび油分による汚れを有する石製またはタイル製の構造物であって、洗浄工程(I)において、前記洗浄液剤(1)、(2)および(4)を用い、かつ、保護工程(II)において、前記保護液剤(d)を用いることも好ましい。
【0023】
本発明の構造物の洗浄・保護方法では、洗浄工程(I)に先立ち、構造物の汚れを認識する工程を有し、認識された汚れの種類に応じて、洗浄液剤を選択して洗浄工程(I)を行うことも好ましい。
【0024】
本発明の構造物の洗浄・保護方法では、洗浄工程(I)が、構造物に洗浄液剤を接触させ、その後水洗する工程であることも好ましい。
【0025】
本発明の構造物の洗浄・保護方法では、構造物と洗浄液剤との接触時間が20分以上であることも好ましい。
【0026】
本発明の構造物の洗浄・保護方法では、保護工程(II)を、洗浄工程(I)で洗浄した構造物を乾燥した後に行うことも好ましい。
【0027】
本発明の構造物用洗浄液剤・保護液剤キットは、
前記(1)〜(4)よりなる群から選ばれる1種以上の洗浄液剤と、
前記(a)〜(d)よりなる群から選ばれる保護液剤と
からなることを特徴としている。
【0028】
【発明の具体的説明】
以下、本発明について具体的に説明する。
【0029】
本発明の構造物の洗浄・保護方法は、(I)構造物を洗浄液剤を用いて洗浄する洗浄工程と、洗浄工程(I)で洗浄した構造物を保護液剤を用いて保護する保護工程とを有する。
【0030】
( I )洗浄工程
本発明の構造物の洗浄・保護方法における洗浄工程(I)では、構造物を、下記(1)〜(4)よりなる群から選ばれる1種以上の洗浄液剤を用いて洗浄する。
(1)次亜塩素酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、非イオン系界面活性剤およびグリシンを含有し、pHが8〜12である洗浄液剤、
(2)フッ化水素ナトリウムおよびキレート剤を含有し、pHが4〜6である洗浄液剤、
(3)次亜塩素酸ナトリウムおよび炭酸ナトリウムを含有し、水酸化ナトリウムを含有せず、pHが8〜12である洗浄液剤、
(4)非イオン界面活性剤、アルカリビルダー、キレート剤および金属封鎖剤(アルカリビルダーを除く)を含有し、pHが8〜12である洗浄液剤。
【0031】
上記洗浄液剤(1)は、次亜塩素酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、非イオン系界面活性剤およびグリシンを含有し、pHが8〜12、好ましくは8〜10である。このような洗浄液剤(1)は、構成成分の相乗効果により、高い殺菌分解特性を有し、かつ、構造物に付着した汚れを剥離する効果を有するため、構造物の汚れ全般に対して優れた洗浄効果を示す。なお、洗浄液剤(1)の、木材、紙材、皮革加工構造物などの生体由来素材の構造物への長時間または高濃度の使用は、構造物自体の劣化を引き起こす場合があるため避けることが好ましい。
【0032】
このような洗浄液剤(1)は、任意に上記以外の成分を含有していてもよく、たとえば、増粘剤、消泡剤などを好ましく含有することができる。
【0033】
上記洗浄液剤(1)において、非イオン性界面活性剤としては、たとえば、脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルフェノール脂肪酸、多価アルコール脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミドアルキルポリグルコシドなどを用いることができる。
【0034】
また、洗浄液剤(1)が好ましく含有することのできる増粘剤としては、たとえば、アルギニン・カルボマー(カルボキシビニルポリマー)、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコール、エチルセルロース 、カルボキシメチルセルロースナトリウム、グリコール酸ナトリウム、合成ケイ酸ナトリウム・マグネシウム 、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、ポリアクリル酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0035】
本発明に係る洗浄液剤(1)は、所望の作用に応じた割合で各成分を混合した水溶液することにより調製することができ、限定されるものではないが、具体的には、たとえば、次亜塩素酸ナトリウムが2.0〜5.0重量部、水酸化ナトリウムが0.4〜0.6重量部、炭酸ナトリウムが0.4〜0.6重量部、非イオン系界面活性剤が0.4〜1.0重量部、グリシンが0.4〜0.6重量部程度となるような組成比で含有する水溶液であるのが好ましい。また、洗浄液剤(1)が増粘剤、消泡剤を含有する場合には、前記各重量部組成の成分とともに、増粘剤を0.05〜0.15重量部程度、消泡剤を0.05〜0.15重量部程度の割合で好ましく含有することができる。
【0036】
上記洗浄液剤(2)は、フッ化水素ナトリウムおよびキレート剤を含有し、pHが4〜6である。このような洗浄液剤(2)は、高い洗浄特性を示すとともに、錆による汚れあるいはエフロ(白華)などの除去に効果的に作用する。このような洗浄液剤(2)は、その作用を妨げない範囲で、その他の成分を含有することができる。
【0037】
上記洗浄液剤(2)において、キレート剤としては、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、ニトリロ三酢酸(NTA)、クエン酸、エチドロン酸(ヒドロキシエタンジホスホン酸)、L−アスパラギン酸二酢酸(ASDA)、L−グルタミン酸二酢酸(GLDA)などを用いることができる。洗浄液剤(2)では、これらのキレート剤を2種以上組み合わせて用いることも好ましく、特に、EDTAと、それ以外のキレート剤とを組み合わせて用いることが好ましい。
【0038】
本発明に係る洗浄液剤(2)は、所望の作用に応じた割合で各成分を混合した水溶液とすることにより調製することができ、限定されるものではないが、具体的には、たとえば、フッ化水素ナトリウムが2.0〜8.0重量部、EDTAが1.0〜2.0重量%、EDTA以外のキレート剤が0.4〜0.6重量部程度となるような組成比で含有する水溶液であるのが好ましい。
【0039】
上記洗浄液剤(3)は、次亜塩素酸ナトリウムおよび炭酸ナトリウムを含有し、水酸化ナトリウムを含有せず、pHが8〜12、好ましくは8〜10である。このような洗浄液剤(3)は、高い殺菌・洗浄特性を示し、かつ、水酸化ナトリウムを含有しないことにより木材のセルロースなどを分解しないため、木材などの生体由来素材を用いた構造物の洗浄にも好適に用いることができる。このような洗浄液剤(3)は、その作用を妨げない範囲で、その他の成分を含有することができる。
【0040】
本発明にかかる洗浄液剤(3)は、所望の作用に応じた割合で各成分を混合した水溶液することにより調製することができ、限定されるものではないが、具体的には、たとえば、次亜塩素酸ナトリウムが1.0〜4.0重量部、炭酸ナトリウムが0.4〜0.6重量部程度となるような組成比で含有する水溶液であるのが好ましい。
【0041】
上記洗浄液剤(4)は、非イオン界面活性剤、アルカリビルダー、キレート剤および金属封鎖剤(アルカリビルダーを除く)を含有し、pHが8〜12、好ましくは8〜10である。このような洗浄液剤(4)は、高い洗浄特性を示し、油分などの汚れの除去に効果的であるとともに、錆による汚れの除去にも効果的に作用する。このような洗浄液剤(4)は、その作用を妨げない範囲で、その他の成分を含有することができる。
【0042】
上記洗浄液剤(4)において、非イオン界面活性剤としては、たとえば、上記洗浄液剤(1)において例示した非イオン界面活性剤を好ましく用いることができる。また、キレート剤としては、上記洗浄液剤(2)において例示したキレート剤を好ましく用いることができる。
【0043】
また、上記洗浄液剤(4)において、アルカリビルダーとしては、たとえば、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、ケイ酸ナトリウムなどを挙げることができる。また、金属封鎖剤としては、ケイ酸アルミニウムナトリウム、アルミノケイ酸塩、クエン酸、トリポリリン酸塩、ピロリン酸塩などを挙げることができる。
【0044】
本発明にかかる洗浄液剤(4)は、所望の作用に応じた割合で各成分を混合した水溶液することにより調製することができ、限定されるものではないが、具体的には、たとえば、アルカリビルダーが11.0〜13.0重量部、非イオン界面活性剤が10.0〜12.0重量部、キレート剤が0.4〜0.6重量部、金属封鎖剤が0.2〜0.4重量部程度となるような組成比で含有する水溶液であるのが好ましい。
【0045】
このような本発明で用いる洗浄液剤は、いずれも、カドミウム及びその化合物、鉛及びその化合物、六価クロウム化合物、砒素及びその化合物、シアン化合物、水銀及びその他水銀化合物を通常含有しないため、洗浄液を用いた後に水洗浄した際の排水を、排水環境基準以下に保つことができる。
【0046】
本発明に係る洗浄工程(I)では、洗浄・保護の対象となる構造物の汚れの種類および程度などの汚れの状態、構造物の材質、形状などに応じて、上述した洗浄液剤の1種以上を選択して用いる。
【0047】
構造物の汚れは、多くの場合、複数の汚れの複合であり、真菌(カビ)もしくは細菌による汚れを含むことが多い。そして、真菌もしくは細菌による汚れとしては、複数の真菌もしくは細菌が混濁して形成した汚れである場合が多い。
【0048】
本発明者は、構造物に真菌が付着すると、胞子から菌糸が出る際に静電気が生じ、この静電作用により菌糸に不純物が吸着し、複合した汚れを形成しやすいことを見出した。このため、特に真菌を含む複合した汚れを有する構造物では、真菌を除去することによって、菌糸に付着しているその他の汚れを容易に除去することができる。
【0049】
真菌は、好気性の微生物であり、20〜28℃程度の中温、70%以上の高湿度、pH4.0〜6.0程度の微酸性を最適生育条件とするものが多いが、好冷性、好温性のもの、好酸、好アルカリのものなどもあるため、5〜60℃程度、pH2.0〜8.0程度の多様な環境において生育するものが見られる。また、真菌は乾熱殺菌に対してもかなりの抵抗性を有し、たとえば乾熱120℃、30分に対しても胞子が生存する場合がある。
【0050】
建築物などの構造物に発生する真菌としては、代表的には、ペニシリウム属(青色)〈青カビ〉、アルテルナリア属(灰色・黒色)〈ススカビ〉、クラドスポリウム属(黒色・茶色・緑色)〈クロカワカビ〉が挙げられる。このような真菌は、建築構造物の約半数に発生が見られ、発癌性物質も含むものもある。構造物に発生する真菌としては、たとえば、以下に属するものが挙げられる。
【0051】
ペニシリウム属:ペニシリウム・シトリナムは、青カビとも呼ばれ、耐熱性で黄色のシトニリンを生産し、腎毒性の強いカビ毒で黄変米の原因菌としても注目される。
【0052】
アルテルナリア属:食品の腐敗原因菌であるほか、リンゴ、ミカン、白菜等の植物病原菌でもある。種々の食品、土壌空気中などの生活環境に広く存在している。好湿性でカビのアレルゲンになる。ススカビともいう。
【0053】
クラドスポリウム属:黒色・茶色・緑色・湿度の高い条件で、よく発育する。喘息、アレルギーの原因になる菌である。
【0054】
オーレオパシディウム属:黒色の光沢のあるコロニーを作り、元はキュウリなど農作物の病原菌であった。住宅の塗装面、ビニールレザーなどの表面、シャワーカーテンやタイル目地に汚れのように出る。また、エチールアルコールを好み、醤油工場の内外によく発生する。
【0055】
トリコデルマ属:緑色の粒状のコロニーを作る土壌菌の代表的なもので農作物の病原菌である。プラスチック製品の多くのものがこの菌に冒されやすい。農業用ビニールハウスが緑色に汚れていればこの菌が存在する。
【0056】
ムコール属:湿度の高い比較的高温時に発育し、線状となり発育の速さはカビの中でも群を抜く。タンスの裏側等にホコリ状となっていることが多い。
【0057】
リゾーブス属:クモノスカビとも呼ばれ、ムコールに似ているが、くもの巣のような外観をしている。野菜・果物・パン・穀物類及びその加工品など、多くの食品の変質腐敗にかかわりを持ち、特に、サツマイモの軟腐病菌としても知られている。
【0058】
アスペルギルス属:コウジカビ菌である。アスペルギルス・オリーゼとよく似た種にアスペルス・フラバスがあり、農作物病原菌で発癌性毒物アフラトキシンを生産する。この菌による死亡例は、熱帯地方でよく発生しているが、冷凍食品にも汚染される事が報告されている。クロコウジカビといわれるのはアスペルギルス・ニガーであり、焼酎の製造に必要なものである。建物のあらゆる所に発生する。
【0059】
フザリウム属:アカカビともよばれ、住宅や食品工場の塗装面やビニールレザーの表面によく繁殖し、食品の二次感染を引き起こす事がある。また、塩ビ製品やポリウレタン製品を劣化させる。この菌の仲間には、カビ毒・トリコテセンを産生する物があり、食中毒の原因菌となる。麦の中に繁殖するアカカビ病も有名である。
【0060】
フォーマ属:トマトの実腐菌と知られ、穀類その他の農作物、冷凍食品、土壌などによく発生する。
【0061】
ニグロスポラ属:土壌、穀類などから分離される菌であり、ニグロスポラオリザエは、内装材によく発育する。農業用ビニールハウスを汚染する。
【0062】
クルブラリア属:カーブラリアともいい、元は植物病原菌である。穀類、土壌から分離されるが、クロス材などから発生しやすい。
【0063】
このような真菌は、温度、湿度などの環境条件のほか、構造物の材質によっても特異的な発生傾向があり、たとえば材質別では以下のような菌の発生傾向が見られる。
【0064】
塗装面、外壁材:ペニシリウム属:ペニシリウム・シトリナム(青カビ)、アルテルナリア属、クラドポリム属、オーレオパシディウム属、トリコデルマ属、フザリウム属、フォーマ属、パエシロミセス属、セファロポリウム属、スコレコバシディウム属、アスペルギルス・ニガー(クロカビ)、アスペルス・フラバス、ペニシリウム・プルプエオゲノム、リゾーブス(クモノスカビ)、ムコール(ケカビ)などが挙げられる。
【0065】
木部:木部というのは60%のセルロースを含んでいるのでカビやキノコが発生しやすくなる。乾燥していれば発育しないが、低温条件下においてもカビの発生が見られる。発生する真菌類としては、たとえば、ペニシリウム・シトリナム(アオカビ)、アスペルギルス・オリーゼ(コウジカビ)、アスペルギルス・ニガー(クロカビ)、クラドスポリウム属、ケトミウム属、トリコデルマ属など。
【0066】
ビニールクロス等内装材:ビニールクロス等内装材は、一般住宅や工場内でよく使われており、PVCや、DOPや大豆油などの可塑剤が樹脂に対し50%以上使われていることが多く、これが栄養源となる。また、ビニールクロスは表面のカビが多いが、裏面の接着のりの部分がカビの巣になりやすい。そしてボードにもカビの菌糸や胞子が突き抜けている場合も多い。発生する真菌類としては、たとえば、アルテルナリア属、クラドポリム属、トリコデルマ属、フザリウム属、オーレオパシディウム属、ニグロスポラ属、セファロポリウム属、エピコッカム属、ペスタロチア属、ウロクラジゥム属、リゾーブス(クモノスカビ)、ペニシリウム(アオカビ)などが挙げられる。
【0067】
コンクリート・モルタル:従来、真菌の発生はないと考えられていたが、強度向上のために添加される有機物などに起因して発生が見られる。発生する真菌類としては、たとえば、アルテルナリア属、クラドポリム属、オーレオパシディウム属、ニグロスポラ属、フザリウム属、セファロスポリウム属などが挙げられる。
【0068】
浴室:発生する真菌類としては、たとえば、ペニシリウム・シトリナム(青カビ)などのペニシリウム属、アルテルナリア属、クラドポリム属、オーレオパシディウム属、トリコデルマ属、フザリウム属、フォーマ属、パエシロミセス属、セファロポリウム属、スコレコバシディウム属などが挙げられる。
【0069】
タイルの目地:タイル目地の黒変部には、10cm位の発生で30〜40億もの胞子が生存していると言われる。発生する真菌類としては、たとえばクラドポリム属、オーレオパシディウム属、ニグロスポラ属などが挙げられる。
【0070】
シリコーンの目地:シリコーンやシーラントの部分に発生するカビ。発生する真菌類としては、たとえば、クラドポリム属、オーレオパシディウム属、ニグロスポラ属、フザリウム属、トリコデルマ属、アルテルナリア属、アスペルギルス・ニガー(クロカビ)などが挙げられる。
【0071】
アルミサッシ:オーレオパシディウム属、ニグロスポラ属、フザリウム属、クラドポリム属、トリコデルマ属、リゾーブス(クモノスカビ)などが挙げられる。
【0072】
上述のように、構造物の材質によって発生する真菌類の種類に傾向があるものの、通常、多種の真菌類もしくは細菌類が多種混在して発生し、その他の汚れ成分と複合した汚れを形成している。
【0073】
本発明では、洗浄液剤を用いて構造物を洗浄する洗浄工程(I)に先立ち、構造物の汚れを認識する工程を有するのが好ましい。本発明では、洗浄・保護の対象となる構造物の汚れを認識することによって、最適な洗浄液剤の種類、濃度、使用時間、施術方法、洗浄時間、組み合わせなどを判断することができるとともに、最適な保護液剤の種類、濃度、使用量、施術方法などを判断することができ、これによってより適切な洗浄・保護を行うことができる。
【0074】
汚れの認識は、汚れの種類、程度などを認識できる方法であれば、どのような方法で行ってもよく、たとえば、汚れ成分のサンプルからの分析、目視による色調、艶などの認識、匂いや手触りなどによる官能的認識などの方法が挙げられる。官能的認識では、構造物素材から判断される汚れの傾向と、色調、匂い、手触りなどの情報からの総合的判断が有効である。また、真菌または細菌の種類、構成などの状態の認識には、フードスタンプ法が効果的である。
【0075】
洗浄工程(I)では、洗浄・保護の対象である構造物が、どのような汚れを有するかを認識し、これに基づいて洗浄液剤を選択して用いるのが望ましい。すなわち、構造物が真菌および細菌による汚れを有する場合には、前記洗浄液剤(1)または(3)を用いることが好ましく、洗浄液剤(1)を用いた場合にはより洗浄効果が高いため好ましい。
【0076】
また、構造物が真菌、細菌およびサビによる汚れを有する場合には、前記洗浄液剤(1)または(3)と、(2)とを用いることが好ましく、洗浄液剤(1)および(2)を用いることが好ましい。
【0077】
さらに、構造物が真菌、細菌、サビおよび油分による汚れを有する構造物である場合には、前記洗浄液剤(1)または(3)と、(2)と、(4)とを用いることが好ましく、(1)、(2)および(4)を用いることがより好ましい。
【0078】
またさらに、構造物が真菌、細菌および油分による汚れを有する構造物である場合には、前記洗浄液剤(1)または(3)と、(4)とを用いることが好ましく、(1)および(4)を用いることがより好ましい。
【0079】
ただし、これらの洗浄液剤の使用において、構造物が木製である場合には、洗浄液剤(1)に代えて(3)を用いるほうが、構造物素材の劣化を防ぐ意味で好ましい。
【0080】
また、本発明の洗浄工程(I)では、洗浄・保護の対象全体の洗浄に先立ち、洗浄・保護する構造物の一部に対してテスト洗浄を行い、このテスト洗浄の結果から、有効な洗浄液剤の種類、濃度、量および組み合わせなどを選択して、対象部全体の洗浄を行うことも好ましい。
【0081】
このような洗浄工程(I)において、各洗浄液剤は、汚れの種類および程度、構造物の素材や形状、洗浄工程における作業性などに応じて成分組成、濃度を調整して用いることができる。また、洗浄工程(I)は、洗浄液剤の使用量および洗浄時間を汚れの種類および程度に応じて調整して行うことができる。また、2種類以上の洗浄液剤を用いる場合には、洗浄液剤の使用順序は限定されるものではない。さらに、2種以上の洗浄液剤を用いる場合には、それぞれの洗浄液剤を用いた後に水洗の工程を有してもよく、乾燥の工程を有してもよく、水洗および乾燥の工程を有してもよい。また、本発明に係る洗浄工程(I)では、前記4種の洗浄液剤のうち、同種の洗浄液剤に属し、成分組成・濃度などの異なる洗浄液剤を2種以上組み合わせて用いてもよい。さらに本発明に係る洗浄工程(I)では、同一の洗浄処理を複数回行ってもよい。
【0082】
本発明の洗浄工程(I)は、上記洗浄液剤を用いて行うが、具体的には、洗浄・保護の対象である構造物に対して、所望の濃度および組成を有する洗浄液剤の所望量を、塗布、噴霧などの方法により接触させることにより行うことができる。構造物と洗浄液剤との接触は、構造物上の汚れが充分に分解あるいは溶解、分離または剥離される程度の時間行うのが望ましく、構造物の素材、形状、汚れの種類、程度などの条件にもよるが、通常5分以上、好ましくは20分以上、より好ましくは30分以上の接触時間であるのが望ましい。また、本発明に係る洗浄工程(I)では、構造物と接触させた洗浄液剤を、水洗することが好ましい。
【0083】
本発明の洗浄工程(I)では、少なくとも洗浄液剤を用いた最後の洗浄の後で、構造物から洗浄液剤を除去する水洗を行うのが好ましく、水洗および乾燥を行うのがより好ましい。
【0084】
( II )保護工程
本発明の構造物の洗浄・保護方法における保護工程(II)では、構造物を、下記(a)〜(d)よりなる群から選ばれる保護液剤を用いて保護する。
(a)N−ジメチル−N’−フェノール−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)−スルファミド、サイアベンタゾール、撥水剤および有機溶剤を含有する保護液剤、
(b)N−ジメチル−N’−フェノール−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)−スルファミド、サイアベンタゾール、撥水剤、合成樹脂および有機溶剤を含有する保護液剤、
(c)N−ジメチル−N’−フェノール−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)−スルファミド、サイアベンタゾール、撥水剤、ポリアルキルシロキサンおよび有機溶剤を含有する保護液剤、
(d)N−ジメチル−N’−フェノール−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)−スルファミド、サイアベンタゾール、撥水剤、シラン系シリコーンおよび有機溶剤を含有する保護液剤。
【0085】
このような本発明に係る保護液剤(a)〜(d)は、いずれも、N−ジメチル−N’−フェノール−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)−スルファミドと、サイアベンタゾールとを含有しており、この組み合わせにより、多種の真菌、細菌類に対する優れた発生防止効果を示す。
【0086】
また、このような本発明に係る保護液剤(a)〜(d)は、いずれも撥水剤および有機溶剤を含有する。
【0087】
本発明に係る保護液剤の成分として用いることのできる撥水剤としては、撥水性を有しその他の保護液剤成分とともに保護液剤中で溶解し得る撥水剤をいずれも用いることができるが、たとえば、アミノエチル類などが挙げられる。
【0088】
また、本発明に係る保護液剤の成分として用いることのできる有機溶剤としては、少なくともN−ジメチル−N’−フェノール−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)−スルファミドと、サイアベンタゾールとを溶解でき、好ましくは保護液剤を構成する全成分が溶解し得る、公知の有機溶剤をいずれも用いることができるが、複数種の有機溶剤を組み合わせて用いることが好ましい。また、有機溶剤としては、毒性のないまたは少ないものを選択して用いることが好ましい。
【0089】
このような保護液剤の成分として用いることのできる有機溶剤としては、具体的には、エタノール、イソプロピルアルコール、キシレン、メタノールおよびフタルサンジオクチルよりなる群から選ばれる2種以上を用いるのが好ましく、3種以上を用いるのがより好ましい。また、保護液剤の成分として用いることのできる有機溶剤としては、エタノール、イソプロピルアルコール、キシレン、メタノールおよびフタルサンジオクチルよりなる群から選ばれる2種、好ましくは3種以上に加えて、その他の有機溶剤をさらに用いることも好ましい。
【0090】
上記保護液剤(a)は、N−ジメチル−N’−フェノール−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)−スルファミド、サイアベンタゾール、撥水剤および有機溶剤を含有する。
【0091】
このような保護液剤(a)は、所望の作用および作業性に応じた成分組成で溶解したものであればよく、特に限定されるものではないが、たとえば、N−ジメチル−N’−フェノール−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)−スルファミドを0.2〜0.4重量部、サイアベンタゾールを0.2〜0.4重量部、撥水剤を10.0〜15.0重量部の割合で組み合わせた組成であるのが好ましく、より具体的には、たとえば、N−ジメチル−N’−フェノール−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)−スルファミドを0.2〜0.4重量部、サイアベンタゾールを0.2〜0.4重量部、撥水剤を10.0〜15.0重量部、エタノールを14.0〜20.0重量部、イソプロピルアルコールを35.0〜50.0重量部、キシレンを10.0〜15.0重量部、メタノールを10.0〜15.0重量部、フタル酸ジオクチルを0.3〜0.5重量部の割合で組み合わせた組成であることも好ましい。
【0092】
このような保護液剤(a)は、優れた防汚特性および撥水特性を示し、素材にかかわらず構造物全般に対して用いることができ、防汚特性および撥水特性以外の付加特性を必要としない場合に好ましく用いることができる。
【0093】
上記保護液剤(b)は、N−ジメチル−N’−フェノール−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)−スルファミド、サイアベンタゾール、撥水剤、合成樹脂および有機溶剤を含有する。保護液剤(b)において、合成樹脂としては、LDPE、HDPE、L−LDPEなどのポリエチレン系樹脂、GPポリスチレン、HIポリスチレンなどのポリスチレン系樹脂、ABS樹脂、EPS樹脂、ポリプロピレン系樹脂などを好ましく用いることができる。
【0094】
このような保護液剤(b)は、所望の作用および作業性に応じた成分組成で溶解したものであればよく、特に限定されるものではないが、たとえば、N−ジメチル−N’−フェノール−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)−スルファミドを0.2〜0.4重量部、サイアベンタゾールを0.2〜0.4重量部、撥水剤を10.0〜15.0重量部、合成樹脂を11.0〜13.0重量部程度の割合で組み合わせた組成であるのが好ましく、より具体的には、たとえば、N−ジメチル−N’−フェノール−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)−スルファミドを0.2〜0.4重量部、サイアベンタゾールを0.2〜0.4重量部、撥水剤を10.0〜15.0重量部、エタノールを14.0〜20.0重量部、イソプロピルアルコールを35.0〜50.0重量部、キシレンを10.0〜15.0重量部、メタノールを10.0〜15.0重量部、フタル酸ジオクチルを0.3〜0.5重量部、合成樹脂を11.0〜13.0重量部程度の割合で組み合わせた組成であることも好ましい。
【0095】
このような保護液剤(b)は、優れた防汚特性および撥水特性を示すとともに、合成樹脂が充填剤として作用し、かつ、良好な色調を与えるため、洗浄工程後の構造物素材の空隙部に樹脂が充填されることが望ましい場合に好ましく用いることができ、木製の構造物に対して特に好ましく用いることができる。木製の構造物に真菌などによる汚れが付着していた場合には、構造物素材である木材の一部が真菌などにより分解され、低密度化する場合があるとともに、素材本来の色調や艶が損なわれていることがあるが、保護液剤(b)による保護工程を行った場合には、外観が良好になるとともに強度を回復するといった効果を示す。
【0096】
上記保護液剤(c)は、N−ジメチル−N’−フェノール−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)−スルファミド、サイアベンタゾール、撥水剤、ポリアルキルシロキサンおよび有機溶剤を含有する。ポリアルキルシロキサンとしては、常温で固形であるものが好ましく用いられる。
【0097】
このような保護液剤(c)は、所望の作用および作業性に応じた成分組成で溶解したものであればよく、特に限定されるものではないが、たとえば、N−ジメチル−N’−フェノール−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)−スルファミドを0.2〜0.4重量部、サイアベンタゾールを0.2〜0.4重量部、撥水剤を10.0〜15.0重量部、ポリアルキルシロキサンを20.0〜30.0重量部程度の割合で組み合わせた組成であるのが好ましく、より具体的には、たとえば、N−ジメチル−N’−フェノール−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)−スルファミドを0.2〜0.4重量部、サイアベンタゾールを0.2〜0.4重量部、撥水剤を10.0〜15.0重量部、エタノールを14.0〜20.0重量部、イソプロピルアルコールを35.0〜50.0重量部、キシレンを10.0〜15.0重量部、メタノールを10.0〜15.0重量部、フタル酸ジオクチルを0.3〜0.5重量部、ポリアルキルシロキサンを20.0〜30.0重量部、その他の有機溶剤を5.0〜7.0重量部程度の割合で組み合わせた組成であることも好ましい。
【0098】
このような保護液剤(c)は、構造物がコンクリート製または石製である場合に好ましく用いることができ、構造物がコンクリート製である場合により好ましく用いることができ、構造物がエフロ(白華)の発生したコンクリート製である場合に特に好ましく用いることができる。エフロの発生したコンクリートは、コンクリート内部の成分の一部が溶出しているため、本発明の洗浄工程(I)によってエフロが除去され、良好な外観を示す場合であっても、密度および強度が低下している場合がある。このような構造物に対して保護液剤(c)を用いた場合には、構造物に良好な防汚特性および撥水製を付与するとともに、ポリアルキルシロキサンが充填されることにより、構造物素材の密度および強度を回復することができる。
【0099】
上記保護液剤(d)は、N−ジメチル−N’−フェノール−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)−スルファミド、サイアベンタゾール、撥水剤、シラン系シリコーンおよび有機溶剤を含有する。シラン系シリコーンとしては、シリコーンオイルなど、常温で液状であるものが好ましく用いられる。
【0100】
このような保護液剤(d)は、所望の作用および作業性に応じた成分組成で溶解したものであればよく、特に限定されるものではないが、たとえば、N−ジメチル−N’−フェノール−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)−スルファミドを0.2〜0.4重量部、サイアベンタゾールを0.2〜0.4重量部、撥水剤を10.0〜15.0重量部、シラン系シリコーンを30.0〜50.0重量部程度の割合で組み合わせた組成であるのが好ましく、より具体的には、たとえば、N−ジメチル−N’−フェノール−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)−スルファミドを0.2〜0.4重量部、サイアベンタゾールを0.2〜0.4重量部、撥水剤を10.0〜15.0重量部、エタノールを14.0〜20.0重量部、イソプロピルアルコールを35.0〜50.0重量部、キシレンを10.0〜15.0重量部、メタノールを10.0〜15.0重量部、フタル酸ジオクチルを0.3〜0.5重量部、シラン系シリコーンを30.0〜50.0重量部程度の割合で組み合わせた組成であることも好ましい。
【0101】
このような保護液剤(d)は、構造物に良好な防汚特性を付与し、特に良好な撥水製を付与することができる。また、このような保護液剤(d)は、構造物がコンクリート製または石製である場合に好ましく用いることができ、構造物が石製である場合により好ましく用いることができる。
【0102】
本発明に係る保護工程(II)では、上述の洗浄工程(I)を施した構造物を、好ましくは乾燥した後、上記(a)〜(d)より選択される保護液剤と接触し、適宜乾燥することにより行うことができる。構造物と保護液剤との接触は、保護液剤の塗布、噴霧、浸漬などの方法により行うことができる。保護工程(II)では、必要に応じて、(a)〜(d)より選択される保護液剤を2種以上用いてもよく、複数回用いてもよい。また本発明に係る保護工程(II)では、保護液剤を構造物に接触し、必要に応じて表面の保護液剤を除去した後に乾燥を行ってもよい。
【0103】
本発明の洗浄・保護方法で用いる、上記各洗浄液剤および保護液剤は、それぞれの作用を損なわない範囲で、その他の成分を含有してもよく、たとえば、香料、着色料などを含有することができ、また、所望の濃度に調整して用いることができる。また、上記各洗浄液剤および保護液剤は、洗浄・保護する構造物の汚れ状態、材質、形状、所望の付与特性などに応じて、適宜調製、選択の上、必要に応じて組み合わせて用いることができる。
【0104】
このような本発明の構造物の洗浄・保護方法では、単純な工程で高度に構造物を洗浄し、保護することができるため、建物の外壁面など、大型構造物に対して施工する場合でも、洗浄液剤および保護液剤を施工個所に塗布または噴霧することのできる設備のみで経済的に施工することが可能である。たとえば、ホースや噴霧器で洗浄液剤および保護液剤を接触させ、水洗することが可能な2階建て家屋外壁面に対して洗浄・保護を実施する場合には、選択した洗浄液剤をホースまたは噴霧器で壁面にかけることにより接触させ、充分時間接触させた後同様に水を壁面にかけて水洗し、放置乾燥後に同様に保護液剤を壁面にかけ、放置乾燥することにより実施することができ、従来方法による洗浄に不可欠であった足場などの設備の設置が不要であり、設備費を大幅に軽減できるとともに、施工期間も短縮することができる。
【0105】
洗浄液剤・保護液剤キット
本発明の洗浄液剤・保護液剤キットは、洗浄工程(I)において述べた前記(1)〜(4)よりなる群から選ばれる1種以上の洗浄液剤と、保護工程(II)において述べた前記(a)〜(d)よりなる群から選ばれる保護液剤とからなる。
【0106】
このような洗浄液剤・保護液剤キットを構成する洗浄液剤、保護液剤は、そのまま塗布するなどの方法により使用できる形態であってもよく、使用時に希釈して用いることのできる濃縮タイプの濃度であってもよい。
【0107】
本発明の洗浄液剤・保護液剤キットとしては、具体的には、例えば、以下のようなキットが挙げられる。
【0108】
洗浄液剤が、前記洗浄液剤(3)であるか、または、前記洗浄液剤(2)、(3)および(4)の組み合わせであり、かつ、保護液剤が、前記保護液剤(b)である、木製構造物用の洗浄液剤・保護液剤キット;
洗浄液剤が、前記洗浄液剤(1)であるか、または、前記洗浄液剤(1)、(2)および(4)の組み合わせであり、かつ、保護液剤が、前記保護液剤(c)である、コンクリート製構造物用の洗浄液剤・保護液剤キット;
洗浄液剤が、前記洗浄液剤(1)および(2)の組み合わせであるか、または、前記洗浄液剤(1)、(2)および(4)の組み合わせであり、かつ、保護液剤が、前記保護液剤(d)である、石またはタイル製構造物用の洗浄液剤、保護液剤キット。
【0109】
【発明の効果】
本発明によれば、簡素で経済的な方法により、構造物の複合した汚れを高度に除去し、かつ、汚れを除去した構造物への汚れの付着を長期にわたって良好に防止することができる。本発明の洗浄・保護方法では、特に、真菌または細菌による汚れを伴う複合した汚れを有する構造物を高度に洗浄し、洗浄後の構造物への真菌または細菌の発生を長期にわたって防止する保護を行い、しかも必要に応じて構造物に良好な色調、強度、撥水性などを付与することができる。
【0110】
また、本発明によれば、構造物の複合した汚れを高度に除去し、かつ、長期にわたって汚れの付着を防止する洗浄液剤・保護液剤キットを提供することができる。
【0111】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0112】
【調製例1】
洗浄液剤1の調製
純水を溶媒として用い、次亜塩素酸ナトリウムを4.0重量%、水酸化ナトリウムを0.5重量%、炭酸ナトリウムを0.5重量%、非イオン界面活性剤として脂肪酸エステルを0.5重量%、グリシンを0.5重量%、増粘剤を0.1重量%、消泡剤を0.1重量%それぞれ含有する水溶液を調製し、洗浄液剤1とした。
【0113】
【調製例2】
洗浄液剤2の調製
純水を溶媒として用い、フッ化水素ナトリウムを8.0重量%、EDTAを1.5重量%およびクエン酸を0.5重量%それぞれ含有する水溶液を調製し、洗浄液剤2とした。
【0114】
【調製例3】
洗浄液剤3の調製
純水を溶媒として用い、次亜塩素酸ナトリウムを3.0重量%、炭酸ナトリウムを0.5重量%それぞれ含有する水溶液を調製し、洗浄液剤3とした。
【0115】
【調製例4】
洗浄液剤4の調製
純水を溶媒として用い、アルカリビルダーとしてリン酸ナトリウムを12.0重量%、非イオン界面活性剤として脂肪酸エステルを11.0重量%、クエン酸を0.5重量%、ケイ酸アルミニウムナトリウムを0.3重量%それぞれ含有する水溶液を調製し、洗浄液剤4とした。
【0116】
【調製例5】
保護液剤aの調製
サイアベンタゾール0.3重量部、N−ジメチル−N’−フェノール−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)−スルファミド0.3重量部、エタノール15.0重量部、キシレン15.0重量部、メタノールを15.0重量部、および、フタル酸ジオクチル0.4重量部を混合、溶解して、保護液剤aを得た。
【0117】
【調製例6】
保護液剤bの調製
調製例5で得た保護液剤a100重量部に対して、ポリ酢酸ビニル12.5重量部とソルベント(日石三菱(株)製)6.0重量部とを混合して得た溶液を加え、混合、溶解して保護液剤bを得た。
【0118】
【調製例7】
保護液剤cの調製
調製例5で得た保護液剤a100重量部に対して、ポリアルキルシロキサン(固体状)24.0重量部とソルベント(日石三菱(株)製)6.0重量部とを混合して得た溶液を加え、混合、溶解して保護液剤cを得た。
【0119】
【調製例8】
保護液剤dの調製
調製例5で得た保護液剤a100重量部に対して、シラン系シリコーン(三井石化産資(株)製)38.0重量部を加え、混合、溶解して保護液剤dを得た。
【0120】
なお、これらの調製例により調製した洗浄液剤および保護液剤は、必要に応じて1〜5倍程度の範囲で希釈して用いることもできる。
【0121】
【参考例1】
洗浄液剤1の特性試験
調製例1で得た洗浄液剤1に対して、試験菌1:大腸菌、試験菌2:黄色ブドウ球菌、試験菌3:レジオネラ、試験菌4:アオカビ、試験菌5:グラドスポリウムの菌液をそれぞれ添加し、25℃で30分間および60分間作用させた場合の生菌数の測定を行うことにより、洗浄液剤1の、5種の真菌または細菌に対しての殺菌特性を試験する。
【0122】
なお、生菌数の測定方法については、SCDLP培地(日本製薬(株)製)またはGPLP培地(日本製薬(株)製)で、試験液を100倍に希釈することにより、検体の影響を受けずに生菌数が測定できることを予備試験により確認した。
【0123】
試験菌1および2の菌液は、NA培地(栄研化学(株)製)で、35℃±1℃、16〜20時間培養した試験菌の菌体を、滅菌精製水にそれぞれ均一に分散させ、1ml当たりの菌数が108〜109となるように調整して得た。
【0124】
試験菌3の菌液は、B−CYEα培地(栄研化学(株)製)で、35℃±1℃、3日間培養した試験菌の菌体を、滅菌精製水に均一に分散させ、1ml当たりの菌数が109〜1010となるように調整して得た。
【0125】
試験菌4および5の菌液は、PDA培地(栄研化学(株)製)で、25℃±1℃、7日間培養後、形成された試験菌の胞子(分生子)を0.05%ポリソルベート80溶液に浮遊させ、これをガーゼでろ過して菌糸を除外し、1ml当たりの菌数が107〜109となるように調整して得た。
【0126】
調製例1で得た洗浄液剤1を試験液とし、試験液10mlに菌液0.1mlをそれぞれ添加、混合し、25℃±1℃で作用させた。30及び60分間作用後に、試験菌1,2および3はSCDLP培地、試験菌4および5は、GPLP培地を用いて直ちに100倍に希釈した。この希釈液の生菌数を、試験菌1および2はSCDLPA培地を用いた混釈平板培養法(35℃±1℃、2日間培養)、試験菌3はB−CYEα培地を用いた平板塗抹培養法(35℃±1℃、5日間培養)、試験菌4および5はGPLP培地を用いた混釈平板培養法(25℃±1℃、7日間培養)により測定し、試験液1ml当たりに換算した。また、滅菌精製水を対照の試験液とし、同様に試験した。結果を表1に示す。なお表1中、開始時の生菌数とは、菌液添加直後の生菌数の測定値を意味する。
【0127】
【表1】
【0128】
【参考例2】
浴室および厨房の洗浄
病院の浴室および厨房における、大腸菌および真菌(カビ)の付着の有無を、フードスタンプを使いてサンプル採取し、そのフードスタンプを35±1℃の培養器内で36時間培養し、集落数により洗浄前の清潔度を判定した。結果を表2に示す。
【0129】
ここで、判定基準は、培養後の集落数9個以下を清潔度A(清潔)、集落数10〜29個を清潔度B(軽度に汚染)、集落数30〜99個を清潔度C(中程度に汚染)、集落数100個以上を清潔度D(重度に汚染)とした。また、フードスタンプとしては、一般真菌用にはサブロー寒天(日本製薬(株))を、大腸菌群用にはX−GAL寒天(日本製薬(株))をそれぞれ使用した。また、培養器としては、フードスタンプ用ふらん器(日本製薬(株))を使用した。
【0130】
次いで、この浴室の天井、壁面および床、厨房の床、壁および換気扇に対し、それぞれ、調製例1で得た洗浄液剤1を塗布し、30分間放置後、水洗を行い、次いで調製例4で得た洗浄液剤4を塗布し、5分間放置後水洗を行い、乾燥することにより洗浄を行った。洗浄後の浴室および厨房の清潔度を、洗浄前と同様にして判定した。結果を表2にあわせて示す。また、浴室の洗浄前後の状態を示す写真を図1に示す。
【0131】
【表2】
【0132】
【参考例3】
保護液剤の効果の確認
調製例5で得た保護液剤aをタイルに、調製例6で得た保護液剤bを木材に、調製例7で得た保護液剤cをコンクリート片に、調製例8で得た保護液剤dを石板にそれぞれ塗布し、乾燥させる保護処理を行った。保護処理を行った各部材を1年間静置した後、各部材上に水滴を落し、各部材に対する水滴の撥水度合いを目視により観察し、保護効果を確認した。水滴を落とした際の各部材表面の状態写真を図2に示す。これより、いずれの部材においても、保護処理から1年後にも充分な撥水性を有し、また目視で認識される汚れが生じていないことが確認された。
【0133】
用いた各保護液剤は、いずれも適度な粘性を有する液剤であり、保護処理時には各部材の表面を保護するとともに、各部材の内部まで充分に浸透するため、充分な防汚、撥水効果が持続したものと判断される。
【0134】
【実施例1】
建築構造物外壁の洗浄・保護
洗浄前の、建築構造物外壁(サイディングおよびブロック)に混濁して付着している汚れの状況を調べたところ、真菌類として、ペニシリウム・シトリナム、アルテルナリア属、クラドポリム属、オーレオパシディウム属、トリコデルマ属、フザリウム属、フォーマ属、パエシロミセス属、セファロポリウム属、スコレコバシディウム属、アスペルギルス・ニガーアスペルス・フラバス、ペニシリウム・プルプエオゲノムのコロニーの状態と、一部サビが見られた。
【0135】
まずは、テスト洗浄を行った。テスト洗浄では、洗浄・保護対象であるこの建築構造物外壁の一部に胞子菌糸の飛散を抑える為に散水し、その後、調製例1で得た洗浄液剤1を水で3倍に希釈したものを噴霧器で噴霧した。真菌(カビ)は死滅に到るまでの時間が掛かるので、噴霧後30分間放置した。洗浄液剤の噴霧後10分で表面の真菌(カビ)が死滅状態を表す茶色に変色し、25分後には、死滅した真菌(カビ)が建築構造物より剥離されていくのが観察された。放置後は水で洗浄した。
【0136】
次いで、調製例2で得た洗浄液剤2を水で3倍に希釈し刷毛で塗布した。塗布した所からサビの色が、赤茶色から無色透明に変化した。これにより、サビ本質である酸化鉄が、リン酸化鉄に分解されたことが目視で確認できた。
【0137】
さらに、調製例3で得た洗浄液剤4を噴霧したが、目視による変化は見られなかった。
【0138】
このテスト施工結果をふまえて外壁全体の洗浄・保護を行う本施工を行った。
【0139】
まず、胞子菌糸の飛散を抑えるために、建築構造物外壁全体に、洗浄機(水圧20〜25kg)で散水し、その後、調製例1で得た洗浄液剤1を水で3倍に希釈したものを噴霧器で噴霧した。30分放置後、洗浄機(水圧20〜25kg)で散水洗浄した。
【0140】
次いで、調製例2で得た洗浄液剤2を水で3倍に希釈したものを、サビ色を呈する部分を中心に刷毛で塗布し、サビ色を呈する部分が赤褐色から無色に変化したことを確認した後、洗浄機(水圧20〜25kg)で散水洗浄した。
【0141】
洗浄後、よく乾燥させ、調製例5で得た保護液剤aを建築構造物外壁全体に、噴霧器で噴霧した。サイディングの洗浄・保護の施工前後の写真を図3に、ブロックの洗浄・保護の施工前後の写真を図4にそれぞれ示す。
【0142】
サイディング外壁の施工では、2階建て外壁全体への施工であったが、足場などの設備を用いることなく、脚立および噴霧器のみの簡素な設備で施工を好適に行うことができた。また、ブロック外壁の施工では、付近の樹木などを伐採あるいは隔離することなく、施工を好適に行うことができた。
【0143】
また、洗浄・保護施工後24ヶ月経過後に外壁の様子を目視にて観察したが、汚れの付着は見られず、保護効果が持続していることがわかった。また、施工後に、施工個所付近の植物にも枯れや変色などの変化は見受けられず、洗浄液剤および保護液剤による環境破壊がなかったことが確認された。
【0144】
【実施例2】
浴室天井の洗浄・保護
洗浄前の、建築構造物浴室内天井(掻き落とし・スパンドール・塗装アクリル)に混濁して付着している菌の状況を、フードスタンプ(真菌用サブロー寒天:日本製薬株式会社)を使用し、そのフードスタンプを培養機(フードスタンプ用ふらん器:日本製薬株式会社)で、35℃±1℃の条件で36時間培養して調べた。
)した。その結果真菌類として、ペニシリウム属:ペニシリウム・シトリナム(青カビ)、アルテルナリア属、クラドポリム属、オーレオパシディウム属、トリコデルマ属、フザリウム属、フォーマ属、パエシロミセス属、セファロポリウム属、スコレコバシディウム属が検出された。
【0145】
この浴室天井に対して、まずはテスト洗浄を行った。テスト洗浄では、まず、洗浄・保護対象の一部に胞子菌糸の飛散を抑える為に散水し、その後、調製例1で得た洗浄液剤1を水で3倍に希釈したものを噴霧器で噴霧した。その後、真菌(カビ)は死滅に到るまでの時間が掛かるので、30分放置した。放置開始後10分で表面の真菌(カビ)が死滅状態を表す茶色に変色し、25分後には、死滅した真菌(カビ)が剥離されていくのが観察された。放置完了後は水で洗浄した。サビによる汚れは、目視で確認できなかったので、洗浄液剤2は使用せず、さらに調製例4で得た洗浄液剤4を噴霧したが、変化が見られなかった。
【0146】
このテスト結果をふまえて浴室天井全体を洗浄・保護する本施工を行った。
【0147】
本施工では、まず、胞子菌糸の飛散を抑える為に浴室内取り付けシャワーホースで対象物全体に散水し、その後、洗浄液剤1を水で3倍に希釈したものを、噴霧器で噴霧した。30分放置後、浴室内取り付けシャワーホースにて洗浄し、充分に乾燥させた。乾燥後、調製例5で得た保護液剤aを噴霧器で噴霧した。
【0148】
洗浄・保護の施工前後の写真を図5(掻き落とし)、図6(スパンドール)、図7(塗装アクリル)にそれぞれ示す。
【0149】
【実施例3】
浴室タイル目地の洗浄・保護
洗浄前の、建築構造物浴室タイル目地に混濁して付着している菌の状況を実施例2と同様に調べたところ、真菌類として、クラドポリム属、オーレオパシディウム属、ニグロスポラ属が検出された。
【0150】
この浴室タイル目地に対して、まずはテスト洗浄を行った。洗浄・保護対象部位の一部に胞子菌糸の飛散を抑える為に散水し、その後、調製例1で得た洗浄液剤1を水で3倍に希釈したものを噴霧器で噴霧した。真菌(カビ)は死滅に到るまでの時間が掛かるので、30分放置した。放置後10分で表面の真菌(カビ)が死滅状態を表す茶色に変色し、25分後には、死滅した真菌(カビ)が建築構造物より剥離されていくのが観察された。放置終了後は水で洗浄した。サビによる汚れは、目視で確認できなかったので、洗浄液剤2は使用せず、さらに調製例4で得た洗浄液剤4を噴霧したが、変化が見られなかった。
【0151】
このテスト結果をふまえて浴室タイル目地全体を洗浄・保護する本施工を行った。
【0152】
本施工では、まず、胞子菌糸の飛散を抑える為に浴室内取り付けシャワーホースで対象となるタイル全体に散水し、その後、洗浄液剤1を水で3倍に希釈したものを、噴霧器で噴霧した。その後30分放置後、浴室内取り付けシャワーホースで水洗浄した。乾燥後、調製例5で得た保護液剤aを噴霧器で噴霧し、乾燥させた。
【0153】
洗浄・保護の施工前後の写真を図8に示す。
【0154】
【実施例4】
シリコーンコーキング目地の洗浄・保護
洗浄前の、建築構造物シリコーンコーキング目地に混濁して付着している菌の状況を実施例2と同様に調べたところ、真菌類として、クラドポリム属、オーレオパシディウム属、ニグロスポラ属、フザリウム属、トリコデルマ属、アルテルナリア属、アスペルギルス・ニガー・クロカビが検出された。
【0155】
まずはテスト洗浄を行った。テスト洗浄では、この建築構造物シリコーンコーキング目地を含む外壁の一部に、胞子菌糸の飛散を抑える為に散水し、その後、調製例1で得た洗浄液剤1を水で3倍に希釈したものを噴霧器で噴霧した。真菌(カビ)は死滅に到るまでの時間が掛かるので、30分放置した。放置開始後10分で表面の真菌(カビ)が死滅状態を表す茶色に変色し、25分後には、死滅した真菌(カビ)が建築構造物より剥離されていくのが観察された。放置完了後は水で洗浄した。サビによる汚れは、目視で確認できなかったので、洗浄液剤2は使用せず、さらに調製例4で得た洗浄液剤4を噴霧したが、変化が見られなかった。
【0156】
このテスト結果をふまえてシリコーンコーキング目地全体を洗浄・保護する本施工を行った。
【0157】
本施工では、まず、洗浄液剤1を水で3倍に希釈したものを、噴霧器で噴霧した。30分放置後、ホースにて水洗浄し、充分に乾燥させた。乾燥後、調製例5で得た保護液剤aを塗布し、乾燥させた。
【0158】
洗浄・保護の施工前後の写真を図9に示す。
【0159】
【実施例5】
ビニールクロス製壁面の洗浄・保護
洗浄前の、建築構造物ビニールクロス製壁面に混濁して付着している菌の状況を実施例2と同様に調べたところ、真菌類として、アルテルナリア属、クラドポリム属、トリコデルマ属、フザリウム属、オーレオパシディウム属、ニグロスポラ属、セファロポリウム属、エピコッカム属、ペスタロチア属、ウロクラジゥム属、リゾーブス(クモノスカビ)、ペニシリウムが検出された。
【0160】
まずはテスト洗浄を行った。テスト洗浄では、この建築構造物ビニールクロスの一部に、胞子菌糸の飛散を抑える為に散水し、その後、調製例1で得た洗浄液剤1を水で3倍に希釈したものを噴霧器で噴霧した。真菌(カビ)は死滅に到るまでの時間が掛かるので、30分放置した。放置開始後10分で表面の真菌(カビ)が死滅状態を表す茶色に変色し、25分後には、死滅した真菌(カビ)が建築構造物より剥離されていくのが観察された。放置完了後は濡れ雑巾による拭き取りを行った。サビによる汚れは、目視で確認できなかったので、洗浄液剤2は使用せず、さらに調製例4で得た洗浄液剤4を噴霧したが、変化が見られなかった。
【0161】
このテスト洗浄結果をふまえてビニールクロス製壁面全体を洗浄・保護する本施工を行った。
【0162】
本施工では、まず、洗浄液剤1を水で3倍に希釈したものを、噴霧器で噴霧した。30分放置後、死滅した真菌(カビ)がビニールクロスより剥離されたのを確認し、濡れた雑巾を固く絞って拭きとりを行った。乾燥後、調製例5で得た保護液剤aを塗布し、乾燥させた。
【0163】
洗浄・保護の施工前後の写真を図10に示す。
【0164】
【実施例6】
コンクリート外壁の洗浄・保護
洗浄前の、建築構造物コンクリート外壁に混濁して付着している菌の状況を実施例2と同様に調べたところ、真菌類として、アルテルナリア属、クラドポリム属、オーレオパシディウム属、ニグロスポラ属、フザリウム属、セファロスポリウム属が検出された。
【0165】
まずはテスト洗浄を行った。テスト洗浄では、この対象外壁の一部に、胞子菌糸の飛散を抑える為に散水し、その後、調製例1で得た洗浄液剤1を水で3倍に希釈したものを噴霧器で噴霧した。真菌(カビ)は死滅に到るまでの時間が掛かるので、30分放置した。放置開始後10分で表面の真菌(カビ)が死滅状態を表す茶色に変色し、25分後には、死滅した真菌(カビ)が建築構造物より剥離されていくのが観察された。放置完了後は水で洗浄した。サビによる汚れは、目視で確認できなかったので、洗浄液剤2は使用せず、さらに調製例4で得た洗浄液剤4を噴霧したが、変化が見られなかった。
【0166】
このテスト洗浄結果をふまえてコンクリート外壁全体を洗浄・保護する本施工を行った。
【0167】
本施工では、まず、胞子菌糸の飛散を抑えるためにコンクリート外壁全体に洗浄機(水圧20〜25kg)で散水し、その後、洗浄液剤1を水で3倍に希釈したものを、噴霧器で噴霧した。30分放置後、水圧20〜25kgの洗浄機で水洗浄した。
【0168】
洗浄後、充分に乾燥した後、調製例7で得た保護液剤cを噴霧器で噴霧し、乾燥させた。
【0169】
洗浄・保護の施工前後の写真を図11に示す。
【0170】
【実施例7】
木製構造物の洗浄・保護
洗浄前の、木製構造物(木製の門扉)に混濁して付着している菌の状況を実施例2と同様に調べたところ、真菌類として、ペニシリウム・シトリナム(アオカビ)、アスペルギルス・オリーゼ(コウジカビ)、アスペルギルス・ニガー(クロカビ)、クラドスポリウム属、ケトミウム属、トリコデルマ属が検出された。また、混濁して付着しているアク、シミ、黄バミの汚れ状態が目視により確認された。
【0171】
まずはテスト洗浄を行った。テスト洗浄では、この対象木製構造物の一部について、埃をブロアーで飛ばして除去し、調製例3で得た洗浄液剤3を水で3倍に希釈したものを刷毛で塗布した。この場合は、構造物の材質が木材であり、洗浄液剤をすばやく吸収するため、真菌が木部セルロースに入り込んでいても、洗浄液剤3を刷毛で1度塗りするだけで、素早く反応し、真菌(カビ)は5分で死滅した。次いで、調製例2で得た洗浄液剤2を塗布したところ、アク、シミ、黄ばみによる汚れが除去できた。
【0172】
このテスト洗浄結果をふまえて木製構造物全体を洗浄・保護する本施工を行った。
【0173】
本施工では、まず、木製構造物全体の埃をブロアーで飛ばして除去し、洗浄液剤3を水で3倍に希釈したものを、直接刷毛で塗布した。塗布は、ペンキを塗るように全体を一回塗布することにより行った。
【0174】
次いで、洗浄液剤2を水で3倍に希釈したものを、アク、シミ、黄バミの個所を中心に直接刷毛で塗布した。
【0175】
次に全体が乾燥した後、失われたセルロースを補うために、調製例6で得た保護液剤bを塗布し、乾燥させた。この結果、好適に洗浄がなされるとともに、新しい木材が呈するのと同様の色調および艶も回復された。
【0176】
洗浄・保護の施工前後の写真を図12に示す。
【0177】
【実施例8】
洗面所内装材の洗浄・保護
貰いサビの状態が見られる洗面所内装材(FRP)(図13参照)を洗浄・保護するにあたり、まずはテスト洗浄を行った。テスト洗浄では、この対象FRPの一部に、調製例2で得た洗浄液剤2を水で3倍に希釈したものを直接塗布した。塗布した部分では、サビの色が、赤茶色から無色透明に変化した。これにより、サビ本質である、酸化鉄からリン酸化鉄に分解されたことを、目視で確認できた。またFRPの下地を傷めてなかったことを目視で確認した。
【0178】
このテスト洗浄結果をふまえて洗面所内装材(FRP)全体を洗浄・保護する本施工を行った。
【0179】
本施工では、まず、洗浄液剤2を水で3倍に希釈したものを、直接刷毛で塗布した。サビ色を呈する部分が赤褐色から無色に変化したことを確認した後、濡れ雑巾により拭き取りを行った。次いで、調製例5で得た保護液剤aを塗布し、乾燥させた。
【0180】
洗浄・保護の施工前後の写真を図13に示す。
【0181】
【実施例9】
屋外タイルの洗浄・保護
サビ、黄ばみ、日焼けおよび汚れを有する状態が見られる屋外タイル構造物の洗浄・保護を行うにあたり、まずはテスト洗浄を行った。テスト洗浄では、このタイル構造物の一部に、調製例2で得た洗浄液剤2を水で3倍に希釈したものを直接塗布した。塗布した部分では、サビの色が、赤茶色から無色透明に変化した。これにより、サビ本質である、酸化鉄からリン酸化鉄に分解されたことを、目視で確認できた。また、混濁して付着していたアク、シミ、黄ばみも同時に除去された。その後水により洗浄を行った。
【0182】
このテスト洗浄結果をふまえてタイル構造物全体を洗浄・保護する本施工を行った。
【0183】
本施工では、洗浄液剤2を水で3倍に希釈したものを、デッキブラシで塗布しながら軽くブラッシングした。その後、水圧20〜25kgの洗浄機で水洗浄した。次いで、調製例8で得た保護液剤dを塗布し、乾燥させた。
【0184】
洗浄・保護の施工前後の写真を図14に示す。
【0185】
【実施例10】
御影石構造物の洗浄・保護
エフロ(白華)の付着状態が見られる御影石製構造物の、表面にこびりついたエフロ部分を削り取り、次いで、調製例2で得た洗浄液剤2を水で2倍に希釈したものを直接刷毛で塗布し、5分間放置後、水圧20〜25kgの洗浄器で洗浄し、乾燥させた。この結果、エフロの付着が目視では確認できない程度に洗浄を行うことができた。また、下地である御影石の外観が損な割れていないことが確認された。
【0186】
次いで、調製例8で得た保護液剤dを刷毛で塗布し、乾燥させた。
【0187】
洗浄・保護の施工前後の写真を図15に示す。
【0188】
【実施例11】
換気扇の洗浄・保護
油分の付着状態が見られる換気扇および換気扇フード(図16参照)に対して、調製例4で得た洗浄液剤4を水で3倍に希釈した洗浄液剤を噴霧器で噴霧し、5分間放置後、乾いた雑巾(ウエス)で拭き取った。5分放置後には、油分は完全に乳化された状態になっていた。また、油分を拭き取った雑巾(ウエス)をその場で水洗いするだけで、油分のベタベタ感が無くなり、汚れがきれいに落ち、雑巾(ウエス)が真っ白になったことからも油分が完全に乳化されていたことが確認できた。
【0189】
次いで、調製例5で得た保護液剤aを塗布し、乾燥させた。
【0190】
洗浄・保護の施工前後の写真を図16に示す。
【0191】
これらの実施例により、本発明によれば、各種の複合した汚れを有する、各種素材からなるの建築構造物に対して、高い洗浄効果および保護効果を有することが示される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、参考例2における浴室の洗浄前後の状態を示す写真である。
【図2】図2は、参考例3における保護処理の効果を示す写真である。
【図3】図3は、実施例1における建築構造物外壁(サイディング)の洗浄・保護処理前後の状態を示す写真である。
【図4】図4は、実施例1における建築構造物外壁(ブロック)の洗浄・保護処理前後の状態を示す写真である。
【図5】図5は、実施例2における浴室天井(掻き落とし)の洗浄・保護処理前後の状態を示す写真である。
【図6】図6は、実施例2における浴室天井(スパンドール)の洗浄・保護処理前後の状態を示す写真である。
【図7】図7は、実施例2における浴室天井(塗装アクリル)の洗浄・保護処理前後の状態を示す写真である。
【図8】図8は、実施例3における浴室タイル目地の洗浄・保護処理前後の状態を示す写真である。
【図9】図9は、実施例4におけるシリコーンコーキング目地の洗浄・保護処理前後の状態を示す写真である。
【図10】図10は、実施例5におけるビニールクロス製壁面の洗浄・保護処理前後の状態を示す写真である。
【図11】図11は、実施例6におけるコンクリート外壁の洗浄・保護処理前後の状態を示す写真である。
【図12】図12は、実施例7における木製構造物(木製の門扉)の洗浄・保護処理前後の状態を示す写真である。
【図13】図13は、実施例8におけるFRPの洗浄・保護処理前後の状態を示す写真である。
【図14】図14は、実施例9における屋外タイル構造物洗浄・保護処理前後の状態を示す写真である。
【図15】図15は、実施例10における御影石製構造物洗浄・保護処理前後の状態を示す写真である。
【図16】図16は、実施例11における換気扇洗浄・保護処理前後の状態を示す写真である。
Claims (17)
- (I)構造物を、下記(1)〜(4)よりなる群から選ばれる1種以上の洗浄液剤を用いて洗浄する洗浄工程と、
(II)洗浄工程(I)で洗浄した構造物を、下記(a)〜(d)よりなる群から選ばれる保護液剤を用いて保護する保護工程と
を有することを特徴とする構造物の洗浄・保護方法;
(1)次亜塩素酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、非イオン系界面活性剤およびグリシンを含有し、pHが8〜12である洗浄液剤、
(2)フッ化水素ナトリウムおよびキレート剤を含有し、pHが4〜6である洗浄液剤、
(3)次亜塩素酸ナトリウムおよび炭酸ナトリウムを含有し、水酸化ナトリウムを含有せず、pHが8〜12である洗浄液剤、
(4)非イオン界面活性剤、アルカリビルダー、キレート剤および金属封鎖剤(アルカリビルダーを除く)を含有し、pHが8〜12である洗浄液剤、
(a)N−ジメチル−N’−フェノール−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)−スルファミド、サイアベンタゾール、撥水剤および有機溶剤を含有する保護液剤、
(b)N−ジメチル−N’−フェノール−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)−スルファミド、サイアベンタゾール、撥水剤、合成樹脂および有機溶剤を含有する保護液剤、
(c)N−ジメチル−N’−フェノール−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)−スルファミド、サイアベンタゾール、撥水剤、ポリアルキルシロキサンおよび有機溶剤を含有する保護液剤、
(d)N−ジメチル−N’−フェノール−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)−スルファミド、サイアベンタゾール、撥水剤、シラン系シリコーンおよび有機溶剤を含有する保護液剤。 - 前記保護液剤(a)、(b)、(c)または(d)が、有機溶剤として、エタノール、イソプロピルアルコール、キシレン、メタノールおよびフタル酸ジオクチルよりなる群から選ばれる2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の構造物の洗浄・保護方法。
- 構造物が、真菌および/または細菌による汚れを有する構造物であって、
洗浄工程(I)において、前記洗浄液剤(1)を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の構造物の洗浄・保護方法。 - 構造物が、真菌および/または細菌と、サビによる汚れを有する構造物であって、
洗浄工程(I)において、前記洗浄液剤(1)および(2)を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の構造物の洗浄・保護方法。 - 構造物が、真菌および/または細菌、サビおよび油分による汚れを有する構造物であって、
洗浄工程(I)において、前記洗浄液剤(1)、(2)および(4)を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の構造物の洗浄・保護方法。 - 構造物が、真菌および/または細菌と、油分による汚れを有する構造物であって、
洗浄工程(I)において、前記洗浄液剤(1)および(4)を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の構造物の洗浄・保護方法。 - 構造物が、真菌および/または細菌による汚れを有する木製の構造物であって、
洗浄工程(I)において、前記洗浄液剤(3)を用い、かつ、
保護工程(II)において、前記保護液剤(b)を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の構造物の洗浄・保護方法。 - 構造物が、真菌および/または細菌と、サビおよび日焼けシミによる汚れを有する木製の構造物であって、
洗浄工程(I)において、前記洗浄液剤(2)、(3)および(4)を用い、かつ、
保護工程(II)において、前記保護液剤(b)を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の構造物の洗浄・保護方法。 - 構造物が、真菌および/または細菌による汚れを有するコンクリート製の構造物であって、
洗浄工程(I)において、前記洗浄液剤(1)を用い、かつ、
保護工程(II)において、前記保護液剤(c)を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の構造物の洗浄・保護方法。 - 構造物が、真菌および/または細菌、サビおよび油分による汚れを有するコンクリート製の構造物であって、
洗浄工程(I)において、前記洗浄液剤(1)、(2)および(4)を用い、かつ、
保護工程(II)において、前記保護液剤(c)を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の構造物の洗浄・保護方法。 - 構造物が、真菌および/または細菌による汚れを有する石製またはタイル製の構造物であって、
洗浄工程(I)において、前記洗浄液剤(1)および(2)を用い、かつ、
保護工程(II)において、前記保護液剤(d)を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の構造物の洗浄・保護方法。 - 構造物が、真菌および/または細菌、サビおよび油分による汚れを有する石製またはタイル製の構造物であって、
洗浄工程(I)において、前記洗浄液剤(1)、(2)および(4)を用い、かつ、
保護工程(II)において、前記保護液剤(d)を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の構造物の洗浄・保護方法。 - 洗浄工程(I)に先立ち、構造物の汚れを認識する工程を有し、認識された汚れの種類に応じて、洗浄液剤を選択して洗浄工程(I)を行うことを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の構造物の洗浄・保護方法。
- 洗浄工程(I)が、構造物に洗浄液剤を接触させ、その後水洗する工程であることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の構造物の洗浄・保護方法。
- 構造物と洗浄液剤との接触時間が20分以上であることを特徴とする請求項14に記載の構造物の洗浄・保護方法。
- 保護工程(II)を、洗浄工程(I)で洗浄した構造物を乾燥した後に行うことを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の構造物の洗浄・保護方法。
- 下記(1)〜(4)よりなる群から選ばれる1種以上の洗浄液剤と、
下記(a)〜(d)よりなる群から選ばれる保護液剤と
からなることを特徴とする構造物用洗浄液剤・保護液剤キット;
(1)次亜塩素酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、非イオン系界面活性剤およびグリシンを含有し、pHが8〜12である洗浄液剤、
(2)フッ化水素ナトリウムおよびキレート剤を含有し、pHが4〜6である洗浄液剤、
(3)次亜塩素酸ナトリウムおよび炭酸ナトリウムを含有し、水酸化ナトリウムを含有せず、pHが8〜12である洗浄液剤、
(4)非イオン界面活性剤、アルカリビルダー、キレート剤および金属封鎖剤(アルカリビルダーを除く)を含有し、pHが8〜12である洗浄液剤、
(a)N−ジメチル−N’−フェノール−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)−スルファミド、サイアベンタゾール、撥水剤および有機溶剤を含有する保護液剤、
(b)N−ジメチル−N’−フェノール−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)−スルファミド、サイアベンタゾール、撥水剤、合成樹脂および有機溶剤を含有する保護液剤、
(c)N−ジメチル−N’−フェノール−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)−スルファミド、サイアベンタゾール、撥水剤、ポリアルキルシロキサンおよび有機溶剤を含有する保護液剤、
(d)N−ジメチル−N’−フェノール−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)−スルファミド、サイアベンタゾール、撥水剤、シラン系シリコーンおよび有機溶剤を含有する保護液剤。
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