JP2004336199A - 光パス設定装置及び方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ネットワークの総光心線長の最短化を図る。
【解決手段】光パス設定装置1によると、設定すべき各λパスに対して経路と波長を、また各Sパスに対して経路と波長とスロットを割当てるが、これらを同時に最適化問題を用いて解くことは困難であるので、まず暫定的に経路のみを割当て、次に暫定的に波長(Sパスに対してはさらにスロット)を割当てる。こうして得られた光パスの暫定設置状態に対して、次に、経路と波長とスロットの全てを同時に考慮しながら貪欲算法を用いて最適化を図る。
【選択図】 図1
【解決手段】光パス設定装置1によると、設定すべき各λパスに対して経路と波長を、また各Sパスに対して経路と波長とスロットを割当てるが、これらを同時に最適化問題を用いて解くことは困難であるので、まず暫定的に経路のみを割当て、次に暫定的に波長(Sパスに対してはさらにスロット)を割当てる。こうして得られた光パスの暫定設置状態に対して、次に、経路と波長とスロットの全てを同時に考慮しながら貪欲算法を用いて最適化を図る。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、波長もしくはスロットを単位とする光パスを網全体の光心線長が最小化するように設置する光パス設定装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インターネットのバックボーンを流れるトラヒック量は増加し続けているが、リンクとリンクを繋ぐルータでは、各々のパケットのヘッダを解析し、ルーティングテーブルを検索して目的の出リンクを調べるという作業を電気的に行っているため、ルータの処理能力がネットワーク全体のボトルネックとなり、インターネットがトラヒック量の増大に追随し続けることが困難になってきている。また、ルータの規模増大は、ルータのコストと消費電力の増加を招くため、ネットワークの経済的な構築が困難になってきている。そこで、バックボーンネットワークにトラヒックが流入する入ノードと、トラヒックが流出する出ノード間を、光信号のまま伝送する全光ネットワークが注目されている。
【0003】
全光ネットワークは、複数の波長を一本の光心線に多重するWDM技術と、波長を単位に変換処理を行うOXC技術によって可能になった技術であり、入出ノード間に波長を単位とする光パス(以後、λパスと表記)を設置し、経由ノードでは光信号のまま波長を単位に交換処理を行う。その結果、経由ノードでの処理負荷を低減でき、光電変換装置が不要なため網コストを低減することが可能となる。また光透過性は、任意プロトコル、任意ビットレートの伝送を可能とする。
【0004】
ところで、波長の伝送帯域は2.5Gbps 、10Gbps のものが実用化されており、また将来、40Gbps が可能になるものと思われる。全てのノード間に、このような広帯域な伝送資源を使い切れるだけのトラヒック需要は現時点では生じていないことから、全てのノード間にλパスを設置した場合、波長資源の利用効率が悪化する。これはλパスの帯域設定粒度が粗いことから生じる問題であり、一部のノードで光電光変換を行い同一波長に対地の異なるトラヒックを多重すれば解決することが可能となるが、当初の目的であった光透過性が損なわれる。
【0005】
光透過性を維持したまま、設定帯域粒度の問題を解決する方法としては、時間軸上に連続する同一サイズのタイムフレームを設け、各々のタイムフレームを更に同一サイズのタイムスロットに分割し、タイムスロットを単位に光パスを設置することが有効である。タイムスロットを割当てられた光パス(以後、Sパス(Slotted パス)と表記)は、連続するタイムフレーム内の、同一位置のタイムスロットを使用することになる。経由ノードでのタイムスロットの時間交換は、安価な光メモリが実用化されていない現状では困難であり、そのためSパスに対しては同一スロット位置を経由全リンク上で割当てる必要がある。この場合、ノードは単にタイムスロットを単位に経路が切り替わる全光型のOXCで構成可能となる。また、現状では光信号のまま波長を変換する装置は高価であることから、光透過性を維持するためには経由全リンク上で同一波長を用いる必要がある。
【0006】
なお、グラフ彩色問題の解法であるDSATURについては非特許文献1に記載されている。また、光パスの経路は固定で与え、波長の割当て問題のみを考慮したスロット化波長パス網における光パス収容設計法については非特許文献2に記載されている。また、単一光心線を対象としたスロット化波長パス網における光パス収容設計法については非特許文献3に記載されている。
【0007】
【非特許文献1】
D.A.Schupke,and D.Sellier,“Lightpath Configuration of transparent and static WDM Networks for IP Traffic,”IEEE ICC2001.
【0008】
【非特許文献2】
宮本健太郎、原井洋明、村田正幸、宮原秀夫、“WDM/TDMパスネットワークにおける光パス収容設計手法”、信学技報SSE97−142、1997−12
【0009】
【非特許文献3】
N.Huang,G.Liaw,and C.Wang,“A Novel All−Optical Transport Network with Time−Shared Wavelength Channels.”IEEE JSAC,Vol.18,No.10,pp.1863−1875,2000.
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
波長の帯域を越えるトラヒック量が存在する対地に対しては、全てのトラヒックをSパスに収容するのではなく、波長帯域に空きが生じない範囲でλパスを設置し、波長帯域に満たない部分をSパスを設置して収容することが、総光パス数を抑える意味で有効である。そのため、与えられた物理トポロジ(メッシュ)を対象に、与えられた需要マトリクスを満足するよう、λパスとSパスを設置することになるが、λパスに対しては経路と波長を、Sパスに対しては経路と波長とスロットを割当てる必要がある。本発明は、メッシュトポロジにおいて、λパスとSパスが混在した状態で、各々の光パスをネットワーク全体の総光心線長が最小化するように設計する。また光透過なパスを考える際、クロストーク等の影響で、伝送可能な最大距離に制約を受ける。そこで光パスの最大ホップ数に関して、上限値を制約条件として考慮する。
【0011】
そこで本発明は、上記の従来の課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ネットワークにおける総光心線長を短くするための光パス設定装置及びその方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記従来の課題を解決するために、請求項1の本発明は、多数のノードを有するネットワークのノード間に、同一パスにおいては波長が同一な光パスであるλパスと、同一パスにおいては波長とスロット位置が同一な光パスであるSパスとを設定する光パス設定装置であって、必要な伝送帯域をノードペアごとに示した需要行列Tと、同一波長の1本のλパスで伝送可能な帯域幅を示す伝送帯域幅Cλと、1タイムフレームにおけるスロット数を示すスロット数Sとを読み出して、ノードペアごとのλパス数Pλijを要素とするλパス数行列Pλと、ノードペアごとのSパス数PSijを要素とするSパス数行列PSとを演算する光パス数演算手段と、前記演算されたλパス数行列PλとSパス数行列PSと、リンクの可否をノードペアごとに示した物理網トポロジ行列G0と、パスを構成するリンクの重みを1とするダイクストラの最小コスト法を用いることにより、各ノードペアに割り当てられた1つの経路を表す要素Rijを有する経路行列Rを生成する経路行列生成手段と、前記Sパス数行列PSの各要素PSijで示される数分の各Sパスを、グラフ彩色問題の解法を用い、当該要素PSijに対応する要素Rijで表されたパスをなすリンクごとの光心線番号よりなる光心線番号ベクトルfSij、並びに当該パスに1つ割り当てられた波長番号wij及びスロット番号SSijkを演算し記憶させることにより設定するSパス設定手段と、前記λパス数行列Pλの各要素Pλijで示される数分の各λパスを、グラフ彩色問題の解法を用い、当該要素Pλijに対応する要素Rijで表されたパスをなすリンクごとの光心線番号よりなる光心線番号ベクトルfλij、並びに当該パスに1つ割り当てられた波長番号wλijを演算し記憶させることにより設定するλパス設定手段とを備えることを特徴とする光パス設定装置をもって解決手段とする。
【0013】
この請求項1の光パス設定装置によれば、必要な伝送帯域をノードペアごとに示した需要行列Tと、同一波長の1本のλパスで伝送可能な帯域幅を示す伝送帯域幅Cλと、1タイムフレームにおけるスロット数を示すスロット数Sとを読み出して、ノードペアごとのλパス数Pλijを要素とするλパス数行列Pλと、ノードペアごとのSパス数PSijを要素とするSパス数行列PSとを演算する光パス数演算手段と、演算されたλパス数行列PλとSパス数行列PSと、リンクの可否をノードペアごとに示した物理網トポロジ行列G0と、パスを構成するリンクの重みを1とするダイクストラの最小コスト法を用いることにより、各ノードペアに割り当てられた1つの経路を表す要素Rijを有する経路行列Rを生成する経路行列生成手段と、Sパス数行列PSの各要素PSijで示される数分の各Sパスを、グラフ彩色問題の解法を用い、当該要素PSijに対応する要素Rijで表されたパスをなすリンクごとの光心線番号よりなる光心線番号ベクトルfSij、並びに当該パスに1つ割り当てられた波長番号wij及びスロット番号SSijkを演算し記憶させることにより設定するSパス設定手段と、λパス数行列Pλの各要素Pλijで示される数分の各λパスを、グラフ彩色問題の解法を用い、当該要素Pλijに対応する要素Rijで表されたパスをなすリンクごとの光心線番号よりなる光心線番号ベクトルfλij、並びに当該パスに1つ割り当てられた波長番号wλijを演算し記憶させることにより設定するλパス設定手段とを備えるので、ネットワークにおける総光心線長を短くするための光パス設定装置を提供することができる。
【0014】
また、請求項2の本発明は、空きのある光心線が少なくなるようにリンクごとにかつ波長を単位に、前記演算され記憶された光心線番号ベクトルfλijおよび/または光心線番号ベクトルfSijを変更する第1調整手段を備えることを特徴とする請求項1記載の光パス設定装置をもって解決手段とする。
【0015】
この請求項2の光パス設定装置によれば、空きのある光心線が少なくなるようにリンクごとにかつ波長を単位に、演算され記憶された光心線番号ベクトルfλijおよび/または光心線番号ベクトルfSijを変更する第1調整手段を備えるので、ネットワークにおける総光心線長をさらに短くすることができる。
【0016】
また、請求項3の本発明は、ネットワーク全体で空きのある光心線が少なくなるように、前記生成された経路行列Rと貪欲算法とを用いて、前記光心線番号ベクトルfλij及び波長番号wλijで示されるλパスに替わる代替パスについての光心線番号ベクトル及び波長番号、前記光心線番号ベクトルfSij、波長番号wSij及びスロット番号SSijで示されるSパスに替わる代替パスについての光心線番号ベクトル、波長番号及びスロット番号を演算し記憶させる第2調整手段を備えることを特徴とする請求項1または2記載の光パス設定装置をもって解決手段とする。
【0017】
この請求項3の光パス設定装置によれば、ネットワーク全体で空きのある光心線が少なくなるように、経路行列Rと貪欲算法とを用いて、光心線番号ベクトルfλij及び波長番号wλijで示されるλパスに替わる代替パスについての光心線番号ベクトル及び波長番号、光心線番号ベクトルfSij、波長番号wSij及びスロット番号SSijで示されるSパスに替わる代替パスについての光心線番号ベクトル、波長番号及びスロット番号を演算し記憶させる第2調整手段を備えるので、ネットワークにおける総光心線長をさらに短くすることができる。
【0018】
また、請求項4の本発明は、前記Sパス設定手段は、選択されたグラフノードに彩色された色の番号をck、同一光心線内に多重可能な最大の波長数をW、単位時間長におけるスロット数をSとしたときに、光心線番号fk、波長番号wk、スロット番号skを、
【数3】
【外3】
により演算することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の光パス設定装置をもって解決手段とする。
【0019】
この請求項4の光パス設定装置によれば、Sパス設定手段は、選択されたグラフノードに彩色された色の番号をck、同一光心線内に多重可能な最大の波長数をW、単位時間長におけるスロット数をSとしたときに、光心線番号fk、波長番号wk、スロット番号skを、前記式により演算するので、Sパスの光心線番号fk、波長番号wk、スロット番号skを設定することができる。
【0020】
また、請求項5の本発明は、前記λパス設定手段は、選択されたグラフノードに彩色された色の番号をck、同一光心線内に多重可能な最大の波長数をWとしたときに、光心線番号fk、波長番号wkを、
【数4】
【外4】
により演算することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の光パス設定装置をもって解決手段とする。
【0021】
この請求項5の光パス設定装置によれば、λパス設定手段は、選択されたグラフノードに彩色された色の番号をck、同一光心線内に多重可能な最大の波長数をWとしたときに、光心線番号fk、波長番号wkを、前記式により演算するので、λパスの光心線番号fk、波長番号wkを設定することができる。
【0022】
また、請求項6の本発明は、多数のノードを有するネットワークのノード間に、同一パスにおいては波長が同一な光パスであるλパスと、同一パスにおいては波長とスロット位置が同一な光パスであるSパスとを設定するときの光パス設定方法であって、必要な伝送帯域をノードペアごとに示した需要行列Tと、同一波長の1本のλパスで伝送可能な帯域幅を示す伝送帯域幅Cλと、1タイムフレームにおけるスロット数を示すスロット数Sとを読み出して、ノードペアごとのλパス数Pλijを要素とするλパス数行列Pλと、ノードペアごとのSパス数PSijを要素とするSパス数行列PSとを演算する光パス数演算段階と、前記演算されたλパス数行列PλとSパス数行列PSと、リンクの可否をノードペアごとに示した物理網トポロジ行列G0と、パスを構成するリンクの重みを1とするダイクストラの最小コスト法を用いることにより、各ノードペアに割り当てられた1つの経路を表す要素Rijを有する経路行列Rを生成する経路行列生成段階と、前記Sパス数行列PSの各要素PSijで示される数分の各Sパスを、グラフ彩色問題の解法を用い、当該要素PSijに対応する要素Rijで表されたパスをなすリンクごとの光心線番号よりなる光心線番号ベクトルfSij、並びに当該パスに1つ割り当てられた波長番号wij及びスロット番号SSijkを演算し記憶させることにより設定するSパス設定段階と、前記λパス数行列Pλの各要素Pλijで示される数分の各λパスを、グラフ彩色問題の解法を用い、当該要素Pλijに対応する要素Rijで表されたパスをなすリンクごとの光心線番号よりなる光心線番号ベクトルfλij、並びに当該パスに1つ割り当てられた波長番号wλijを演算し記憶させることにより設定するλパス設定段階とを備えることを特徴とする光パス設定方法をもって解決手段とする。
【0023】
この請求項6の光パス設定方法によれば、必要な伝送帯域をノードペアごとに示した需要行列Tと、同一波長の1本のλパスで伝送可能な帯域幅を示す伝送帯域幅Cλと、1タイムフレームにおけるスロット数を示すスロット数Sとを読み出して、ノードペアごとのλパス数Pλijを要素とするλパス数行列Pλと、ノードペアごとのSパス数PSijを要素とするSパス数行列PSとを演算する光パス数演算段階と、演算されたλパス数行列PλとSパス数行列PSと、リンクの可否をノードペアごとに示した物理網トポロジ行列G0と、パスを構成するリンクの重みを1とするダイクストラの最小コスト法を用いることにより、各ノードペアに割り当てられた1つの経路を表す要素Rijを有する経路行列Rを生成する経路行列生成段階と、Sパス数行列PSの各要素PSijで示される数分の各Sパスを、グラフ彩色問題の解法を用い、当該要素PSijに対応する要素Rijで表されたパスをなすリンクごとの光心線番号よりなる光心線番号ベクトルfSij、並びに当該パスに1つ割り当てられた波長番号wij及びスロット番号SSijkを演算し記憶させることにより設定するSパス設定段階と、λパス数行列Pλの各要素Pλijで示される数分の各λパスを、グラフ彩色問題の解法を用い、当該要素Pλijに対応する要素Rijで表されたパスをなすリンクごとの光心線番号よりなる光心線番号ベクトルfλij、並びに当該パスに1つ割り当てられた波長番号wλijを演算し記憶させることにより設定するλパス設定段階とを備えるので、ネットワークにおける総光心線長を短くするための光パス設定方法を提供することができる。
【0024】
また、請求項7の本発明は、多数のノードを有するネットワークのノード間に、同一パスにおいては波長が同一な光パスであるλパスを設定するときの光パス設定方法であって、必要な伝送帯域をノードペアごとに示した需要行列Tと、同一波長の1本のλパスで伝送可能な帯域幅を示す伝送帯域幅Cλと、1タイムフレームにおけるスロット数を示すスロット数Sとを読み出して、ノードペアごとのλパス数Pλijを要素とするλパス数行列Pλを演算する光パス数演算段階と、前記演算されたλパス数行列Pλと、リンクの可否をノードペアごとに示した物理網トポロジ行列G0と、パスを構成するリンクの重みを1とするダイクストラの最小コスト法を用いることにより、各ノードペアに割り当てられた1つの経路を表す要素Rijを有する経路行列Rを生成する経路行列生成段階と、前記λパス数行列Pλの各要素Pλijで示される数分の各λパスを、グラフ彩色問題の解法を用い、当該要素Pλijに対応する要素Rijで表されたパスをなすリンクごとの光心線番号よりなる光心線番号ベクトルfλij、並びに当該パスに1つ割り当てられた波長番号wλijを演算し記憶させることにより設定するλパス設定段階とを備えることを特徴とする光パス設定方法をもって解決手段とする。
【0025】
請求項7の光パス設定方法によれば、必要な伝送帯域をノードペアごとに示した需要行列Tと、同一波長の1本のλパスで伝送可能な帯域幅を示す伝送帯域幅Cλと、1タイムフレームにおけるスロット数を示すスロット数Sとを読み出して、ノードペアごとのλパス数Pλijを要素とするλパス数行列Pλを演算する光パス数演算段階と、前記演算されたλパス数行列Pλと、リンクの可否をノードペアごとに示した物理網トポロジ行列G0と、パスを構成するリンクの重みを1とするダイクストラの最小コスト法を用いることにより、各ノードペアに割り当てられた1つの経路を表す要素Rijを有する経路行列Rを生成する経路行列生成段階と、前記λパス数行列Pλの各要素Pλijで示される数分の各λパスを、グラフ彩色問題の解法を用い、当該要素Pλijに対応する要素Rijで表されたパスをなすリンクごとの光心線番号よりなる光心線番号ベクトルfλij、並びに当該パスに1つ割り当てられた波長番号wλijを演算し記憶させることにより設定するλパス設定段階とを備えるので、波長ルーティング光ネットワークにおける総光心線長の最短化を図ることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明を適用した光パス設定装置の構成を示す図である。図1(a)に示すように、光パス設定装置1は、必要な伝送帯域をノードペアごとに示した需要行列Tの記憶された需要行列記憶部11と、リンクの設定可否をノードペアごとに示した物理網トポロジ行列G0の記憶された物理網トポロジ行列記憶部12と、各種の設計パラメータの記憶された設計パラメータ記憶部13と、これら記憶部に記憶された情報を用いて光パスを設定する光パス設定部14と、設定された光パスを表示する光パス表示部15とを備えるコンピュータシステムである。
【0028】
ここで、光パス設定装置1による光パスの設定手順の概要を説明する。設定すべき各λパスに対して経路と波長を、また各Sパスに対して経路と波長とスロットを割当てるが、これらを同時に最適化問題を用いて解くことは困難である。そこでまず暫定的に経路のみを割当て、次に暫定的に波長(Sパスに対してはさらにスロット)を割当てる。こうして得られた光パスの暫定設置状態に対して、次に、経路と波長とスロットの全てを同時に考慮しながら貪欲算法を用いて最適化を図る。
【0029】
本実施の形態で処理の対象となるネットワーク(以下、単にネットワークという)とは、図2に示すような、多数(ノード数をnとする)のノード(光クロスコネクト装置)を含むメッシュトポロジのバックボーンネットワークである。
【0030】
なお、本実施の形態においては、ノードを経由しない、すなわち直接的なノード間の接続を「リンク」という言葉で表す。リンク数は、ホップ数とも呼ばれる。例えば、図2のノード3からノード11間のリンク数(ホップ数)は2である。
【0031】
一方、「経路」は、起点と終点のノードの間の1つのリンクまたは連続する2以上のリンクにより構成されるものである。また、「ノードペア」とは光パスの起点であるノードと終点であるノードの組を表すときに用いる。
【0032】
また、本実施の形態において設定されるパスは、同一パスにおいては波長が同一な光パスである「λパス」と、同一パスにおいては波長とスロット位置が同一な光パスである「Sパス」に分類される。
【0033】
「λパス」と「Sパス」とだけに分類したのは、ネットワークのノードでは波長の変換、スロット位置の変換いずれも行わないからである。
【0034】
ただし、複数個設定したλパス同士においては波長が互いに異なるようにしてよい。また、複数個設定したSパス同士においては波長、スロット位置の一方または双方が異なるようにしてよい。
【0035】
図1に戻り、光パス設定部14は、光パスの数を演算するパス数演算手段たる光パス数演算部141と、演算された数分の光パスの経路を暫定的に演算する経路行列生成手段たる光経路演算部142と、経路以外の設定情報を暫定的に演算するSパス設定手段及びλパス設定手段たる設定情報演算部143と、リンク毎に光心線数を減少させるための設定値の調整を行う第1調整手段たる第1調整部144と、ネットワーク全体で光心線数を減少させるための設定値の調整を行う第2調整手段たる第2調整部145と、光パスの設定情報等を記憶するデータ記憶部146を備える。
【0036】
需要行列Tの要素Tij(1≦i≦ノード数nを満たす全ての整数、jも同様)は、ノード番号iで示される起点のノードiから、ノード番号jで示される終点のノードjへの伝送に必要とされる伝送帯域であり、本実施の形態では静的なトラヒック量である。
【0037】
物理網トポロジ行列G0の要素G0ij(1≦i≦ノード数nを満たす全ての整数、jも同様)、ノードiとノードj間にリンクが設定可能ならば有効に(例えば「1」に)、設定不可能ならば無効に(例えば「0」に)設定されている。
【0038】
設計パラメータ記憶部13には、1本のλパスで伝送可能な最大の帯域幅を示す伝送帯域幅Cλと、単位時間長(1タイムフレーム)におけるスロット数を示すスロット数Sと、同一光心線内に多重可能な最大の波長数を示す多重波長数Wと、パスを構成するリンク数の上限値Hとが記憶されている。これらパラメータは、ネットワークにおいて共通なので1づつ記憶されている。なお、伝送帯域幅Cλは、スロット数Sの本数分のSパスで伝送可能な最大の帯域幅に等しいものである。すなわち、S本のSパスと1本のλパスは同一の帯域幅(資源)を消費する。
【0039】
次に、図3のフローチャートを参照して、光パス設定装置1の動作を説明する。
【0040】
光パス設定装置1が起動されると、先ず、光パス設定部14の光パス数演算部141は、ノードペアごとのλパス数を要素とするλパス数行列PλとノードペアごとのSパス数を要素とするSパス数行列PSとを演算する(ステップS1)。
【0041】
すなわち、光パス設定部14の光パス数演算部141は、需要行列記憶部11から需要行列Tを読み出し、設計パラメータ記憶部13から、伝送帯域幅Cλ及びスロット数Sを読み出し、需要行列Tの各要素Tij(1≦i≦ノード数nを満たす全ての整数、jも同様)に対し、式(1)及び(2)の演算を行うことで、λパス数行列Pλの各要素Pλijと、Sパス数行列PSの各要素PSijを演算し、データ記憶部146に記憶させる。
【0042】
【数5】
【外5】
最小の整数を表す。Sパスの伝送帯域はλパスの1/S倍となるため、SパスをS本設置してもλパスを1本設置しても同量のトラヒックを収容できるが、上記演算を用いたのは、λパスを1本設置した方が総光パス数が少ないからである。
【0043】
なお、ステップS1は、光パス数演算段階に相当する。
【0044】
次に、光経路演算部142は、光パスの経路を暫定的に演算する(ステップS2)。
【0045】
本実施の形態では、各ノードペア間に設定すべき全ての光パス(λパスとSパス)に対して、経路、波長、スロット(Sパスのみ)を決める必要があるが、まず経路のみを割当てる。設置すべき光パス数が与えられているとき、ネットワーク全体で使用する総波長資源量は各光パスの経由ホップ数(光パス長)に存在するが、光パス長が最小のとき、総使用波長資源量も最小となる(ただし、総使用光心線長が最小となるとは限らないため、後で述べる貪欲算法を用いて光パスの経路を修正することにより、総使用光心線長の最小化を図る)。そこで光パス経路を、リンク重みを1とするダイクストラの最小コスト法を用いて暫定的に設定する。
【0046】
具体的には、経路行列Rを生成する。経路行列Rの要素Rij(1≦i≦ノード数nを満たす全ての整数、jも同様)としては、この要素により示される単一のパスがノードを経由しない場合(リンクの場合)は最初に起点のノード番号が、次に終点のノード番号が設定されるだけであり、一方、当該単一のパスがノードを経由する場合は起点のノード番号が最初に終点のノード番号が最後にそして経由するノードのノード番号がその間において経由の順に、すなわちベクトルとして設定される。
【0047】
換言すれば、経路行列Rの要素Rijは、当該パスを構成するリンク(ノード同士の直接的な接続)を示していることになる。
【0048】
ステップS2をさらに詳述すると、光経路演算部142は、データ記憶部146からλパス数行列Pλ及びSパス数行列PSを読み出し、物理網トポロジ行列記憶部12から物理網トポロジ行列G0を読み出し、パスを構成するリンクの重みを1とするダイクストラの最小コスト法を適用することにより、経路行列Rを生成し、生成した経路行列Rをデータ記憶部146に記憶させる。
【0049】
なお、ステップS2は、経路行列生成段階に相当する。
【0050】
次に、光パス割当て資源の暫定設定を行う。
【0051】
各λパスで用いる波長と、各Sパスで用いる波長・スロットを割当てる。各経由ノードで波長変換とタイムスロットの時間交換が可能であれば、波長やスロットを各リンクで独立に、ランダムに割当てれば十分であるが、各光パスは同一の波長、スロットを用いなければならないという制約を考慮している。
【0052】
このような制約があり、リンクに用意される光心線数が1本である場合には、ネットワーク全体で使用する波長数を最小化する波長資源の割当ては、グラフ彩色問題の解法を用いて行えることが知られている。ただしグラフ彩色問題とは、隣接ノードに同一の色を用いないで、使用する色数が最小となるようにグラフの全てのノードを彩色する問題である。光ネットワークの各光パスを彩色問題中で構成するグラフの各ノードに対応づけることにより、一箇所以上のリンクを共有する光パス間で同一波長を用いないという制約条件を考慮した波長割当てが可能となる。グラフ彩色問題を効率的に解くアルゴリズムとして、DSATUR(Degree of Saturation)が知られている。
【0053】
それに先立ち、光経路演算部142は、リンク(直接的なノード間の接続)の有無をノードペアごとに示した物理網トポロジ行列G1を、経路行列Rを基に生成する(ステップS3)。物理網トポロジ行列G1の要素G1ij(1≦i≦ノード数nを満たす全ての整数、jも同様)は、ノードiとノードj間に1本以上のλパスまたはSパスが設定されたならば、すなわちリンクが設定されたならば有効に(例えば「1」に)、設定されなかったならば無効に(例えば「0」に)設定される。
【0054】
次に、Sパスについての設定情報を格納するための3つの行列を生成し初期化する(ステップS4)。すなわち、1の光心線番号または連続する複数の光心線番号からなる光心線番号ベクトルを要素として有する行列であって、要素をノード番号i及びj(1≦i≦ノード数nを満たす全ての整数、jも同様)ならびにk(k=1〜Sパス数行列PSにおけるi及びjで特定される要素PSijが示す数)で特定できる(光心線番号ベクトルfSijkと表記する)ように構成した光心線番号ベクトル行列fSと、要素として波長番号を有する行列であって、要素を同様にi、j及びkで特定できる(波長番号wSijkと表記する)ように構成した波長番号行列wSと、要素をスロット番号sSijkを有する行列であって、要素を同様にi、j及びkで特定できる(スロット番号sSijkと表記する)ように構成したスロット番号行列sSを生成し、各要素を初期値に設定する。
【0055】
次に、光パス設定部14の設定情報演算部143が、経由するノードのノード番号を求められた光パスの内のSパスについての光心線番号と波長番号とスロット番号とをグラフ彩色問題の解法で演算する(ステップS5)。なお、ステップS5は、Sパス設定段階に相当する。
【0056】
本実施の形態では、リンクに複数の光心線を設定することを想定している。この場合、リンクを共有するλパス間でも、用いる光心線が異なれば、同一の波長を使用することが可能となるため、グラフ彩色問題を適用することができない。そこで便宜上、異なる光心線に属する同一の波長は全て異なる波長として扱う。すなわち、各光パスは経由全リンク上で同一光心線を用いるという制約を設け、光心線・波長の組を一つの色と見なすことにより、グラフ彩色問題の適用を可能とする。このように拡張されたグラフ彩色問題を適用することにより、各λパスに対して同一番号の光心線と同一番号の波長が経路全リンク上で割当てられる。この結果、実際よりも使用する光心線が増加するが、次の使用光心線のパッキング処理により、この問題に対処する。
【0057】
また、Sパスに対しては同時にスロットを割当てる必要があるので、光心線・波長・スロットの組を一つの色と見なし、グラフ彩色問題を適用する。この結果Sパスに対しては、同一番号の光心線、同一番号の波長、同一番号のスロットが経由全リンク上で割当てられる。
【0058】
λパスとSパスに対しては彩色問題中の色の定義が異なることから、同時にグラフ彩色問題を適用することができない。そこで、まずSパスに対する光心線・波長・スロット割当てを行い、次に、λパスに対する光心線・波長割当てを行うものとする。
【0059】
また、同一のノードペア間に設置される複数の光パスについて、グラフGC 上の一つのノードを対応させる。そのため、グラフGC の各ノードには、対応する対地に設置する光パスに等しい数だけの色が彩色される。
【0060】
図4は、ステップS5の詳細フローチャートである。
【0061】
設定情報演算部143は、データ記憶部146に記憶されたSパス数行列PSを読み出し、Sパス数行列PSの要素が0でないノードペアのそれぞれに対応づけてグラフ彩色問題で用いるグラフGC のノード(ネットワークのノードと区別するためにグラフノードという)のグラフノード番号を割り当て、当該すべてのグラフノード番号を集合Gとしてデータ記憶部146に記憶させる(ステップS31)。
【0062】
次に、グラフGC のパスを作成する(ステップS33)。具体的には、経路行列Rを参照し、ステップS31で作成したグラフノードのペアに対応する各要素を読み出し、当該各要素で示されるリンク同士に共通のものが存在すれば、グラフGCにおける当該2つのグラフノード間にパス(ネットワークのパスと区別するためにグラフパスという)を設定する、つまり当該グラフノード番号同士を対応づけるという処理を全てのグラフノードのペアについて行う。
【0063】
次に、ステップS31でグラフノード番号が記憶された全グラフノードの中で既に彩色されたもののグラフノード番号の集合Aとして当初はグラフノード番号のない集合をデータ記憶部146に初期設定する(ステップS35)。
【0064】
次に、ステップS31で設定された各グラフノードに対して彩色できない色の色番号(1または複数)を対応づけた集合Bとして当初はどのグラフノードについても色番号のない集合をデータ記憶部146に初期設定する(ステップS37)。
【0065】
次に、データ記憶部146から経路行列Rを読み出し、該経路行列Rで示されたリンクに対応するリンク番号lと光心線番号fと波長番号wで特定される部分が取り得る未使用(E)、λパスに割り当て済み(L)、Sパスに割り当て済み(S)となる状態値を要素rlfwとする3次元の状態値行列rとして当初は全要素がEの行列をデータ記憶部146に記憶させる(ステップS39)。
【0066】
次に、グラフGC のグラフノードの中から彩色対象のグラフノードn*を選択する(ステップS41)。ここでは、集合Aにグラフノード番号がない、つまり彩色が未完了のグラフノードの中で、集合Bの該当要素にて色数が最多のもの(複数ある場合には、接続されるリンク数が最大のもの)を1つ特定し、当該グラフノードn*のグラフノード番号を選択する。また、当該グラフノードn*に対応する経路行列Rの要素Ri*j*を選択する。
【0067】
次に、選択した彩色対象のグラフノードn*に対する色番号を選択する(ステップS42)。具体的には、集合Bの要素の中から、選択した彩色対象のグラフノードn*に対する要素B*を読み出す。また、Sパス数行列PSの当該彩色対象のグラフノードn*に対応する要素PSi*j*(ただし、i*、j* はノードn* に対応するノードペアの起点側、終点側のノードのノード番号である。)を読み出す。読み出した要素B*に含まれない色番号から、色番号の若い順に、読み出した要素PSi*j*で示される数分の色番号を選択する。かかる色番号は、グラフノードn*に対応するノードペア間に設定される各Sパスに対応するものである。
【0068】
次に、色番号で選択した各Sパスに割当てる光心線番号fk、波長番号wk、スロット番号sk(ただし、1≦k≦PSi*j*を満たす全色番号)を式(3)、(4)及び(5)により演算する(ステップS43)。
【0069】
【数6】
【外6】
設定情報演算部143は、この演算された各光心線番号fk、波長番号wk、スロット番号skを、光心線番号行列fS、波長番号行列wS、スロット番号行列sSそれぞれの該当箇所の光心線番号ベクトル、波長番号、スロット番号として設定する(ステップS44)。なお、光心線番号行列fSの該当光心線番号ベクトルについては、ノードiから出るリンクに対する光心線番号から、ノードjに入るリンクに対する光心線番号までの全て光心線番号を当該光心線番号fkに設定する。
【0070】
次に、ステップS39で選択した経路行列Rの要素Ri*j*で特定される各リンク(リンクlと総称する)に対応する状態値行列rの要素を選択し、その中の当該光心線番号fkと波長番号wkとに対応する各要素rlfkwkの中の状態値Eであるものについては状態値Sに更新する(ステップS45)。
【0071】
次に、集合Aにグラフノードn* をグラフノード番号を追加する(ステップS47)。次に、グラフノードn* に隣接する全てのグラフノード(グラフノードn**と総称する)のグラフノード番号(グラフノード番号n**と総称する)を読み出し、グラフノード番号n**に含まれる各グラフノード番号に対応する集合Bnの各要素にステップS39で彩色されたPS i*j*個の色の色番号を加える(ステップS49)。
【0072】
次に、グラフGCを更新する(ステップS51)。具体的には、グラフノードn* とグラフノードn**のグラフノード番号を集合Gから削除する。
【0073】
次に、集合Gにグラフノード番号が存在する否かを判定する(ステップS53)。ここで、YESと判定されたときは、彩色すべきグラフノードが存在することになるので、ステップS41へ戻り、一方でYESと判定されたときは、すべてのグラフノードが彩色されたことになるので処理を終了させる。
【0074】
図2に戻り、ステップS6では、λパスについての設定情報を格納するための2つの行列を生成し初期化する(ステップS6:)。すなわち、1の光心線番号または連続する複数の光心線番号からなる光心線番号ベクトルを要素として有する行列であって、要素をノード番号i(=1〜n)及びj(=1〜n)ならびにk(k=1〜λパス数行列Pλにおけるi及びjで特定される要素Pλijが示す数)で特定できる(光心線番号ベクトルfλijkと表記する)ように構成した光心線番号行列fλと、要素として波長番号を有する行列であって、要素を同様にi、j及びkで特定できる(波長番号wλijkと表記する)ように構成した波長番号行列wλと生成し、各要素を初期値に設定する。
【0075】
次に、光パス設定部14の設定情報演算部143が、経由するノードのノード番号を求められた光パスの内のλパスについての光心線番号と波長番号とをグラフ彩色問題の解法で演算する(ステップS7)。なお、ステップS7は、λパス設定段階に相当する。
【0076】
図5は、ステップS7の詳細フローチャートである。
【0077】
設定情報演算部143は、データ記憶部146に記憶されたλパス数行列Pλを読み出し、λパス数行列Pλの要素が0でないノードペアのそれぞれに対応づけてグラフ彩色問題で用いるグラフGC のグラフノードのグラフノード番号を割り当て、当該すべてのグラフノード番号を集合Gとしてデータ記憶部146に記憶させる(ステップS61)。
【0078】
次に、グラフGC のパスを作成する(ステップS63)。具体的には、経路行列Rを参照し、ステップS61で作成したグラフノードのペアに対応する各要素を読み出し、当該各要素で示されるリンク同士に共通のものが存在すれば、グラフGCにおける当該2つのグラフノード間にグラフパスを設定する、つまり当該グラフノード番号同士を対応づけるという処理を全てのグラフノードのペアについて行う。
【0079】
次に、ステップS31でグラフノード番号が記憶された全グラフノードの中で既に彩色されたもののグラフノード番号の集合Aとして当初はグラフノード番号のない集合をデータ記憶部146に初期設定する(ステップS65)。
【0080】
次に、ステップS61で設定された各グラフノードに対して彩色できない色の色番号(1または複数)を対応づけた集合Bとして当初はどのグラフノードについても色番号のない集合をデータ記憶部146に初期設定する(ステップS67)。
【0081】
次に、データ記憶部146から経路行列Rを読み出し、該経路行列Rで示されたリンクに対応するリンク番号lと光心線番号fと波長番号wで特定される部分が取り得る未使用(E)、λパスに割り当て済み(L)、Sパスに割り当て済み(S)となる状態値を要素rlfwとする3次元の状態値行列rとして当初は全要素がEの行列をデータ記憶部146に記憶させる(ステップS69)。
【0082】
次に、グラフGC のグラフノードの中から彩色対象のグラフノードn*を選択する(ステップS71)。ここでは、集合Aにグラフノード番号がない、つまり彩色が未完了のグラフノードの中で、集合Bの該当要素にて色数が最多のもの(複数ある場合には、接続されるリンク数が最大のもの)を1つ特定し、当該グラフノードn*のグラフノード番号を選択する。また、当該グラフノードn*に対応する経路行列Rの要素Ri*j*を選択する。
【0083】
次に、選択した彩色対象のグラフノードn*に対する色番号を選択する(ステップS72)。具体的には、集合Bの要素の中から、選択した彩色対象のグラフノードn*に対する要素B*を読み出す。また、λパス数行列Pλの当該彩色対象のグラフノードn*に対応する要素Pλi*j*(ただし、i*、j* はノードn* に対応するノードペアの起点側、終点側のノードのノード番号である。)を読み出す。読み出した要素B*に含まれない色番号から、色番号の若い順に、読み出した要素Pλi*j*で示される数分の色番号を選択する。かかる色番号は、グラフノードn*に対応するノードペア間に設定される各λパスに対応するものである。
【0084】
次に、色番号で選択した各λパスに割当てる光心線番号fk、波長番号wk(ただし、1≦k≦PSi*j*を満たす全色番号)を式(6)及び(7)により演算する(ステップS73)。
【0085】
【数7】
【外7】
設定情報演算部143は、この演算された各光心線番号fk、波長番号wkを、光心線番号行列fλ、波長番号行列wλそれぞれの該当箇所の光心線番号ベクトル、波長番号として設定する(ステップS74)。なお、光心線番号行列fλの該当光心線番号ベクトルについては、ノードiから出るリンクに対する光心線番号から、ノードjに入るリンクに対する光心線番号までの全て光心線番号を当該光心線番号fkに設定する。
【0086】
次に、ステップS49で選択した経路行列Rの要素Ri*j*で特定される各リンク(リンクlと総称する)に対応する状態値行列rの要素を選択し、その中の当該光心線番号fkと波長番号wkとに対応する各要素rlfkwkの中の状態値Eであるものについては状態値Lに更新する(ステップS75)。
【0087】
次に、集合Aにグラフノードn* をグラフノード番号を追加する(ステップS77)。次に、グラフノードn* に隣接する全てのグラフノード(グラフノードn**と総称する)のグラフノード番号(グラフノード番号n**と総称する)を読み出し、グラフノード番号n**に含まれる各グラフノード番号に対応する集合Bnの各要素にステップS79で彩色されたPSi*j*個の色の色番号を加える(ステップS79)。
【0088】
次に、グラフGCを更新する(ステップS81)。具体的には、グラフノードn* とグラフノードn**のグラフノード番号を集合Gから削除する。
【0089】
次に、集合Gにグラフノード番号が存在する否かを判定する(ステップS83)。ここで、YESと判定されたときは、彩色すべきグラフノードが存在することになるので、ステップS71へ戻り、一方でYESと判定されたときは、すべてのグラフノードが彩色されたことになるので処理を終了させる。
【0090】
図2に戻り、続いては、第1調整部144が光心線の適正化(便宜的にパッキングという)を行う(ステップS8)。
【0091】
設定情報演算部143は、グラフ彩色問題の適用を可能にするため、各々の光パスをなす全リンク上で同一の光心線を用いるという制約を加え、λパスに対しては光心線番号と波長番号の、Sパスに対しては光心線番号と波長番号とスロット番号の割当てを行った。
【0092】
しかし実際には、経由リンク上で同一光心線を用いる必要はなく、必要以上に光心線を使用する割当てとなっている。
【0093】
そこで第1調整部144は、光パスの経路、波長番号、スロット番号を変更することなく、各々のリンクで独立に、光心線番号をより若い番号に変更する(パッキング)ことにより、同一経路・波長・スロット上における光パスの適正化を図る。
【0094】
図6(a)に示すように、資源を波長と光心線の二次元で表示した場合、グラフ彩色問題のDSATUR法により資源が光パスに割当てられた状態では、未使用資源が散在した状態となっている。各光パスは経由リンクごとに任意の光心線を使用できることから、図6(a)で光パスが収容されている場所を、縦方向には任意に移動させることができる。使用光心線を適正化し、使用光心線数を最小化するためには、例えば番号の若い光心線に、光パスを集中させればよい。
【0095】
具体的には、第1調整部144は、状態値行列rの1つの要素rlfwを読み出し、これが状態値LもしくはSであるときは、状態値行列rの光心線番号だけが若い(リンク番号と波長番号については同一な)要素rlf * wの(f*<f)を読み出し、これが状態値Eである場合は、要素rlfwに状態値Eを設定し、要素rlf * wには要素rlfwの元の状態値LもしくはSを設定する。
【0096】
そして、第1調整部144は、光心線番号ベクトル行列fλおよび/または光心線番号ベクトル行列fSの該当箇所を更新する。これにより、ノードiから出るリンクに対する光心線番号から、ノードjに入るリンクに対する光心線番号までの全て光心線番号が同一でなくなる。
【0097】
そして、第1調整部144は、リンク番号と波長番号とが同一な状態値行列rの要素について、このような状態値の交換ができなくなるまで当該処理を繰り返す。
【0098】
また、第1調整部144は、上記リンク番号と波長番号で特定される処理を当該リンク番号と他の各波長番号についても行う。その結果、図6(b)に示すように、当該リンク番号で特定されるリンクにおいては、若い光心線番号の光心線に光パスが集約される。
【0099】
そして、第1調整部144は、上記リンク番号で特定されるリンクについての処理を他の全てのリンク番号についても行う。
【0100】
図3に戻り、続いては、第2調整部145が、貪欲算法により総光心線長の最短化を行う(ステップS9)。
【0101】
これまでの処理では、光パスの経路を最短ホップ経路で固定的に設定している。しかし、光パスの経路も含めてパス設計の最適化を図ることにより、総光心線長の更なる短縮が可能となる。
【0102】
そこで、これまでの処理により設定された光パスの設置値を貪欲算法を用いて最適化する。すなわち、使用波長数の少ない光心線を通る光パスに、使用光心線が増加しない範囲で他の経路・資源を割当てることにより、光心線を削減する。
この際、代替経路・資源の探索を再配置対象光パスの各々に対して独立して行うため、同一のノードペア間の光パスであっても異なる経路が割当てられる場合もある。
【0103】
図7は、ステップS9の詳細フローチャートである。
【0104】
先ず、第2調整部145は、物理網トポロジ行列G1の有効要素数をカウントし、その結果をリンク数Lとして記憶させる(ステップS100)。
【0105】
次に、第2調整部145は、状態値行列rの要素の中の同一リンク番号で特定される要素の中の状態値がLまたはSであるもの(要素r1と総称する)を選択し、要素r1のそれぞれを特定する光心線番号の中の最大の光心線番号を選択し、要素r1の中の当該選択した最大の光心線番号で特定されるもの(要素r2と総称する)を選択し、要素r2を特定する波長番号の数(波長番号数)をカウントし、このカウント処理までを全てのリンク番号について行うことにより、各リンク番号と該リンク番号で選択された最大の光心線番号とカウントされた波長番号数とからなる列を有する対応表Kを生成する(ステップS101)。例えば、図5(b)のリンクでは、最大の光心線番号は「3」で、波長番号数は「2」である。
【0106】
次に、対応表Kの列を波長番号数によりソートする(ステップS103)。また、カウンタkをk=1に初期化する。
【0107】
次に、第2調整部145は、前記ソートされた列の中から波長番号数がk番目に少ない列に含まれるリンク番号(リンク番号lという)と光心線番号(光心線番号Flという)とを選択する(ステップS105)。リンク番号lと光心線番号Flで特定される光心線が削除対象である。
【0108】
次に、第2調整部145は、その削除対象の光心線を使用している各λパスを特定する各要素から成る集合Qλと、その削除対象の光心線を使用している各Sパスを特定する各要素から成る集合QS を生成する(ステップS107)。
【0109】
次に、第2調整部145は、集合Qλに波長番号を格納された各λパスを対象に代替経路・波長を探索する(ステップS109)。なお、代替経路・波長の探索は、集合Qλに含まれる全ての要素を対象に、ホップ数の大きな順で行う。
【0110】
具体的には、W本の各波長の各波長番号を対象に、当該リンク番号lのリンクの重みを(Fl−Xlw)− 1としたダイクストラの最小コスト法を用いて最小コスト経路を探索する。
【0111】
ただし、Xlwは、状態値行列rの要素の中のリンク番号lで特定される要素の中の状態値がLまたはSであるものの数とし、経路のホップ数は上限値H以下とする。
【0112】
そして得られた経路の中で、コストが最小となる波長の波長番号と当該得られた経路を記憶する。なお、経路は、起点のノード番号が最初に終点のノード番号が最後にそして経由するノードのノード番号がその間において経由の順に記載されたベクトルとして記憶される。
次に、第2調整部145は、集合QS に含まれるSパスを対象に代替経路・波長・スロットを探索する(ステップS111)。なお、代替経路・波長・スロットの探索は、集合QS に含まれる全ての要素を対象に行う(順序については考慮しない)。
【0113】
具体的には、W本の各波長の各波長番号とS個の各スロットsのスロット番号の組み合わせを対象に、当該リンクlの重みを、Ylw >Zlwsのときは(Ylw−Zlws)− 1とし、Ylw =Zlwsのときは(Fl−Xlw)− 1としたダイクストラの最小コスト法を用いて最小コスト経路を探索する。
【0114】
ただし、Xlwは、状態値行列rの要素の中のリンク番号lで特定される要素の中の状態値がLまたはSであるものの数とし、また、Ylwは、状態値行列rの要素の中のリンク番号lで特定される要素の中の状態値がSであるものの数とし、Zlwsは、状態値行列rの要素の中のリンク番号lで特定される要素の中の状態値がSであるものに対して割り当てられたスロット番号の数とし、経路のホップ数は上限値H以下とする。
【0115】
すなわち代替経路・資源を探索する際、既にスロット化された波長資源を優先して使用することを考え、そのような波長が存在しない場合にのみ、未使用の波長の使用を試みる。
【0116】
そして得られた経路の中で、コストが最小となる波長の波長番号とスロットのスロット番号と当得られた該経路(前述のようにベクトルとして)を記憶する。
【0117】
次に、第2調整部145は、集合QλとQS に含まれる要素に対応する全ての光パスに対して代替経路・資源が発見できたか否かを判定する(ステップS113)。YESと判定されたときは、各種行列を更新する(ステップS115)。
【0118】
具体的には、先ず、経路行列RにステップS109で記憶したλパスについての1つの代替の経路を示す要素を加え、該加えた要素に関連づけて心線番号行列fλに当該記憶した経路に応じた要素を加え、当該加えた要素に関連づけて波長番号行列wλにステップS109で記憶した波長番号を示す要素を加え、これをステップS109で記憶した全て経路について行う。
【0119】
また、経路行列RにステップS111で記憶した1つのSパスについての代替の経路を示す要素を加え、該加えた要素に関連づけて心線番号行列fSに当該記憶した経路に応じた要素を加え、当該加えた要素に関連づけて波長番号行列wSにステップS111で記憶した波長番号を示す要素を加え、当該加えた要素に関連づけてスロット番号行列sSにステップS111で記憶したスロット番号を示す要素を加え、これをステップS111で記憶した全て経路について行う。
【0120】
また、経路行列Rにおいて当該代替経路が見つけられた経路を示す要素を削除し、心線番号行列fλ、波長番号行列wλ、心線番号行列fS、波長番号行列wS、スロット番号行列sSに当該削除した要素に対応するものがあればこれも削除する。
【0121】
次に、ステップS5と同様のパッキングを行い(ステップS117)、ステップS103へ戻る。
【0122】
一方、ステップS113でNOと判定された(一本でも代替経路・資源が確保できない光パスがある場合)には、カウンタkがリンク数Lに達しているなら処理を終了し(ステップS119:NO)、カウンタkがリンク数Lに達していないならば、カウンタk=k+1として、ステップS107へ戻る。
【0123】
そして、最後に光パス設定情報15が、これまで演算されデータ記憶部146に記憶された光パスの設定情報を光パス設定部14から受け取り、所定の表示態様にしたがって表示する(ステップS10)。
【0124】
次に、波長ルーティングネットワークへの光パス設定装置1の適用について説明する。
【0125】
光パス設定装置1では、波長資源の一部をタイムスロット化し、トラヒックを波長を単位として設置するλパスか、タイムスロットを単位に設置するSパスのいずれかに収容することを前提としてきた。しかし、タイムスロット化を図らず、全てのトラヒックを波長単位に設置した波長パスにのみ収容する、波長ルーティングネットワークへも、光パス設定装置1を適用することが可能である。
【0126】
このような波長パスのみにトラヒックを収容する場合を対象とした場合の処理の変更点についてまとめる。
【0127】
ステップS1では、光パス設定部14の光パス数演算部141は、需要行列記憶部11から需要行列Tを読み出し、設計パラメータ記憶部13から、伝送帯域幅Cλ及びスロット数Sを読み出し、需要行列Tの各要素Tij(1≦i≦ノード数nを満たす全ての整数、jも同様)に対し、式(8)の演算を行い、λパス数行列Pλの各要素Pλ ijとを演算し、データ記憶部146に記憶させる。
【0128】
【数8】
【外8】
【0129】
ステップS4及び5を行わずに、ステップS6へ進む。
【0130】
ステップS8等では、第1調整部144は、状態値行列rの1つの要素rlfwを読み出し、これが状態値Lであるときは、状態値行列rの光心線番号だけが若い(リンク番号と波長番号については同一な)要素rlf * wの(f*<f)を読み出し、これが状態値Eである場合は、要素rlfwに状態値Eを設定し、要素rlf * wには状態値Lを設定する。
【0131】
ステップS9の詳細フローチャートのステップS107では、集合Qλのみを生成し、ステップS111を行わず、ステップS113では集合Qλに含まれる要素に対応する全ての光パスに対して代替経路・資源が発見できたか否かを判定する。
【0132】
次に、光パス設定装置1の性能評価の結果を説明する。
【0133】
本発明の有効性を確認するために行った、計算機シミュレーションによる性能評価について述べる。図2に評価で用いた網トポロジ(日本列島のバックボーンNWモデル)を示す。また、各ノードnが収容する人口Un を表1にまとめる。ここでは、ノード間に発生するトラヒック量は、人口の積に比例するものとする。すなわち、図8の表に示したノードnの人口Un を用いて、入出ノードペアi,j間のトラヒック量tijを、式(9)により設定する。ただし、Vをネットワーク全体のトラヒック量とする。
【0134】
【数9】
比較モデルとして、以下の三つを考える。
【0135】
λ−NW 波長ルーティング光ネットワークであり、全てのトラヒックを波長を単位とする光パス(λパス)に収容する。
【0136】
λS−NW タイムスロット化された光ネットワークであり、トラヒックを、λパスもしくはタイムスロットを単位とするパス(Sパス)に収容する。ただし、フレーム内スロット数を32とする。
【0137】
OEO−NW 全てのノードで光電光変換を行い、パケット単位の交換処理を実施する。一本の波長資源上には、複数の対地のトラヒックが統計多重される。ただし、トラヒックの転送経路は、各々の入出ノードペアに対してリンク重みを1とするダイクストラの最小コスト法で算出した最短ホップ経路を固定的に用いるものとする。
【0138】
以下に、シミュレーションを用いたパラメータ設定値をまとめる。
【0139】
・波長の伝送帯域:Cλ=10Gbps
・光パスの許容ホップ数上限値:H=6
・ネットワーク全体のトラヒック量:次の二つの場合を想定
− V=5Tbps :現状モデル(高速(1Mbps )ユーザ800万人、超高速(30Mbps )ユーザ20万人、同時接続率0.4)
− V=70Tbps :普及モデル(高速(5Mbps )ユーザ1000万人、超高速(30Mbps )ユーザ500万人、同時接続率0.4)
図9に、横軸を多重波長数W、縦軸を総光心線長としたシミュレーション結果を示す。Wが小さな場合、波長資源の利用効率が特性に大きな影響を与えるため、Vが小さい時のλS−NWに対する優位性が大きくなる。しかしVが大きくなれば、λパスの設定帯域粒度の問題は緩和されるため、両方式の差異は小さくなる。
【0140】
Wが大きな場合、波長資源よりも光心線の利用効率向上が、総光心線長に与える影響が大きくなるが、本発明は貪欲算法により積極的に使用光心線の削減を図る結果、OEO−NWと比較して良好な特性を示している。現状でも160波多重のWDMが商用化されており、1000波多重までの多重波長数増加の見通しがあることから、貪欲算法により光心線の利用効率を向上させる本発明の有効性が確認された。
【0141】
なお、上記説明した処理を実行させるコンピュータプログラムは、半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、磁気テープなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納したり、インターネットなどの通信網を介して伝送させて、広く流通させることができる。
【0142】
【発明の効果】
本発明によれば、必要な伝送帯域をノードペアごとに示した需要行列Tと、同一波長の1本のλパスで伝送可能な帯域幅を示す伝送帯域幅Cλと、1タイムフレームにおけるスロット数を示すスロット数Sとを読み出して、ノードペアごとのλパス数Pλijを要素とするλパス数行列Pλと、ノードペアごとのSパス数PSijを要素とするSパス数行列PSとを演算する光パス数演算手段と、演算されたλパス数行列PλとSパス数行列PSと、リンクの可否をノードペアごとに示した物理網トポロジ行列G0と、パスを構成するリンクの重みを1とするダイクストラの最小コスト法を用いることにより、各ノードペアに割り当てられた1つの経路を表す要素Rijを有する経路行列Rを生成する経路行列生成手段と、Sパス数行列PSの各要素PSijで示される数分の各Sパスを、グラフ彩色問題の解法を用い、当該要素PSijに対応する要素Rijで表されたパスをなすリンクごとの光心線番号よりなる光心線番号ベクトルfSij、並びに当該パスに1つ割り当てられた波長番号wij及びスロット番号SSijkを演算し記憶させることにより設定するSパス設定手段と、λパス数行列Pλの各要素Pλijで示される数分の各λパスを、グラフ彩色問題の解法を用い、当該要素Pλijに対応する要素Rijで表されたパスをなすリンクごとの光心線番号よりなる光心線番号ベクトルfλij、並びに当該パスに1つ割り当てられた波長番号wλijを演算し記憶させることにより設定するλパス設定手段とを備えるので、ネットワークにおける総光心線長を短くするための光パス設定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した光パス設定装置の構成を示す図である。
【図2】本実施の形態の処理の対象となるネットワークを示す図である。
【図3】図1に示す光パス設定装置1の動作を示すフローチャートである。
【図4】ステップS5の詳細フローチャートである。
【図5】ステップS7の詳細フローチャートである。
【図6】ステップS8の処理を説明するための図である。
【図7】ステップS9の詳細フローチャートである。
【図8】光パス設定装置1の性能評価で用いたトラヒック量を求めるための人口を示す表である。
【図9】光パス設定装置1の性能評価の結果を示す図である。
【符号の説明】
1…光パス設定装置
11…需要行列記憶部
12…物理網トポロジ行列記憶部
13…設計パラメータ記憶部
14…光パス設定部
15…光パス表示部
141…光パス数演算部
142…光経路設定部
143…パラメータ設定部
144…第1調整部
145…第2調整部
146…中間データ記憶部
Cλ…伝送帯域幅
S…スロット数
H…リンク数の上限値
Pλ…λパス数行列
PS…Sパス数行列
T…需要行列
G0,G1…物理網トポロジ行列
R…経路行列
W…多重波長数
fλ,fS…光心線番号ベクトル行列
wλ,wS…波長番号行列
sS…スロット番号行列
r…状態値行列
【発明の属する技術分野】
本発明は、波長もしくはスロットを単位とする光パスを網全体の光心線長が最小化するように設置する光パス設定装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インターネットのバックボーンを流れるトラヒック量は増加し続けているが、リンクとリンクを繋ぐルータでは、各々のパケットのヘッダを解析し、ルーティングテーブルを検索して目的の出リンクを調べるという作業を電気的に行っているため、ルータの処理能力がネットワーク全体のボトルネックとなり、インターネットがトラヒック量の増大に追随し続けることが困難になってきている。また、ルータの規模増大は、ルータのコストと消費電力の増加を招くため、ネットワークの経済的な構築が困難になってきている。そこで、バックボーンネットワークにトラヒックが流入する入ノードと、トラヒックが流出する出ノード間を、光信号のまま伝送する全光ネットワークが注目されている。
【0003】
全光ネットワークは、複数の波長を一本の光心線に多重するWDM技術と、波長を単位に変換処理を行うOXC技術によって可能になった技術であり、入出ノード間に波長を単位とする光パス(以後、λパスと表記)を設置し、経由ノードでは光信号のまま波長を単位に交換処理を行う。その結果、経由ノードでの処理負荷を低減でき、光電変換装置が不要なため網コストを低減することが可能となる。また光透過性は、任意プロトコル、任意ビットレートの伝送を可能とする。
【0004】
ところで、波長の伝送帯域は2.5Gbps 、10Gbps のものが実用化されており、また将来、40Gbps が可能になるものと思われる。全てのノード間に、このような広帯域な伝送資源を使い切れるだけのトラヒック需要は現時点では生じていないことから、全てのノード間にλパスを設置した場合、波長資源の利用効率が悪化する。これはλパスの帯域設定粒度が粗いことから生じる問題であり、一部のノードで光電光変換を行い同一波長に対地の異なるトラヒックを多重すれば解決することが可能となるが、当初の目的であった光透過性が損なわれる。
【0005】
光透過性を維持したまま、設定帯域粒度の問題を解決する方法としては、時間軸上に連続する同一サイズのタイムフレームを設け、各々のタイムフレームを更に同一サイズのタイムスロットに分割し、タイムスロットを単位に光パスを設置することが有効である。タイムスロットを割当てられた光パス(以後、Sパス(Slotted パス)と表記)は、連続するタイムフレーム内の、同一位置のタイムスロットを使用することになる。経由ノードでのタイムスロットの時間交換は、安価な光メモリが実用化されていない現状では困難であり、そのためSパスに対しては同一スロット位置を経由全リンク上で割当てる必要がある。この場合、ノードは単にタイムスロットを単位に経路が切り替わる全光型のOXCで構成可能となる。また、現状では光信号のまま波長を変換する装置は高価であることから、光透過性を維持するためには経由全リンク上で同一波長を用いる必要がある。
【0006】
なお、グラフ彩色問題の解法であるDSATURについては非特許文献1に記載されている。また、光パスの経路は固定で与え、波長の割当て問題のみを考慮したスロット化波長パス網における光パス収容設計法については非特許文献2に記載されている。また、単一光心線を対象としたスロット化波長パス網における光パス収容設計法については非特許文献3に記載されている。
【0007】
【非特許文献1】
D.A.Schupke,and D.Sellier,“Lightpath Configuration of transparent and static WDM Networks for IP Traffic,”IEEE ICC2001.
【0008】
【非特許文献2】
宮本健太郎、原井洋明、村田正幸、宮原秀夫、“WDM/TDMパスネットワークにおける光パス収容設計手法”、信学技報SSE97−142、1997−12
【0009】
【非特許文献3】
N.Huang,G.Liaw,and C.Wang,“A Novel All−Optical Transport Network with Time−Shared Wavelength Channels.”IEEE JSAC,Vol.18,No.10,pp.1863−1875,2000.
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
波長の帯域を越えるトラヒック量が存在する対地に対しては、全てのトラヒックをSパスに収容するのではなく、波長帯域に空きが生じない範囲でλパスを設置し、波長帯域に満たない部分をSパスを設置して収容することが、総光パス数を抑える意味で有効である。そのため、与えられた物理トポロジ(メッシュ)を対象に、与えられた需要マトリクスを満足するよう、λパスとSパスを設置することになるが、λパスに対しては経路と波長を、Sパスに対しては経路と波長とスロットを割当てる必要がある。本発明は、メッシュトポロジにおいて、λパスとSパスが混在した状態で、各々の光パスをネットワーク全体の総光心線長が最小化するように設計する。また光透過なパスを考える際、クロストーク等の影響で、伝送可能な最大距離に制約を受ける。そこで光パスの最大ホップ数に関して、上限値を制約条件として考慮する。
【0011】
そこで本発明は、上記の従来の課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ネットワークにおける総光心線長を短くするための光パス設定装置及びその方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記従来の課題を解決するために、請求項1の本発明は、多数のノードを有するネットワークのノード間に、同一パスにおいては波長が同一な光パスであるλパスと、同一パスにおいては波長とスロット位置が同一な光パスであるSパスとを設定する光パス設定装置であって、必要な伝送帯域をノードペアごとに示した需要行列Tと、同一波長の1本のλパスで伝送可能な帯域幅を示す伝送帯域幅Cλと、1タイムフレームにおけるスロット数を示すスロット数Sとを読み出して、ノードペアごとのλパス数Pλijを要素とするλパス数行列Pλと、ノードペアごとのSパス数PSijを要素とするSパス数行列PSとを演算する光パス数演算手段と、前記演算されたλパス数行列PλとSパス数行列PSと、リンクの可否をノードペアごとに示した物理網トポロジ行列G0と、パスを構成するリンクの重みを1とするダイクストラの最小コスト法を用いることにより、各ノードペアに割り当てられた1つの経路を表す要素Rijを有する経路行列Rを生成する経路行列生成手段と、前記Sパス数行列PSの各要素PSijで示される数分の各Sパスを、グラフ彩色問題の解法を用い、当該要素PSijに対応する要素Rijで表されたパスをなすリンクごとの光心線番号よりなる光心線番号ベクトルfSij、並びに当該パスに1つ割り当てられた波長番号wij及びスロット番号SSijkを演算し記憶させることにより設定するSパス設定手段と、前記λパス数行列Pλの各要素Pλijで示される数分の各λパスを、グラフ彩色問題の解法を用い、当該要素Pλijに対応する要素Rijで表されたパスをなすリンクごとの光心線番号よりなる光心線番号ベクトルfλij、並びに当該パスに1つ割り当てられた波長番号wλijを演算し記憶させることにより設定するλパス設定手段とを備えることを特徴とする光パス設定装置をもって解決手段とする。
【0013】
この請求項1の光パス設定装置によれば、必要な伝送帯域をノードペアごとに示した需要行列Tと、同一波長の1本のλパスで伝送可能な帯域幅を示す伝送帯域幅Cλと、1タイムフレームにおけるスロット数を示すスロット数Sとを読み出して、ノードペアごとのλパス数Pλijを要素とするλパス数行列Pλと、ノードペアごとのSパス数PSijを要素とするSパス数行列PSとを演算する光パス数演算手段と、演算されたλパス数行列PλとSパス数行列PSと、リンクの可否をノードペアごとに示した物理網トポロジ行列G0と、パスを構成するリンクの重みを1とするダイクストラの最小コスト法を用いることにより、各ノードペアに割り当てられた1つの経路を表す要素Rijを有する経路行列Rを生成する経路行列生成手段と、Sパス数行列PSの各要素PSijで示される数分の各Sパスを、グラフ彩色問題の解法を用い、当該要素PSijに対応する要素Rijで表されたパスをなすリンクごとの光心線番号よりなる光心線番号ベクトルfSij、並びに当該パスに1つ割り当てられた波長番号wij及びスロット番号SSijkを演算し記憶させることにより設定するSパス設定手段と、λパス数行列Pλの各要素Pλijで示される数分の各λパスを、グラフ彩色問題の解法を用い、当該要素Pλijに対応する要素Rijで表されたパスをなすリンクごとの光心線番号よりなる光心線番号ベクトルfλij、並びに当該パスに1つ割り当てられた波長番号wλijを演算し記憶させることにより設定するλパス設定手段とを備えるので、ネットワークにおける総光心線長を短くするための光パス設定装置を提供することができる。
【0014】
また、請求項2の本発明は、空きのある光心線が少なくなるようにリンクごとにかつ波長を単位に、前記演算され記憶された光心線番号ベクトルfλijおよび/または光心線番号ベクトルfSijを変更する第1調整手段を備えることを特徴とする請求項1記載の光パス設定装置をもって解決手段とする。
【0015】
この請求項2の光パス設定装置によれば、空きのある光心線が少なくなるようにリンクごとにかつ波長を単位に、演算され記憶された光心線番号ベクトルfλijおよび/または光心線番号ベクトルfSijを変更する第1調整手段を備えるので、ネットワークにおける総光心線長をさらに短くすることができる。
【0016】
また、請求項3の本発明は、ネットワーク全体で空きのある光心線が少なくなるように、前記生成された経路行列Rと貪欲算法とを用いて、前記光心線番号ベクトルfλij及び波長番号wλijで示されるλパスに替わる代替パスについての光心線番号ベクトル及び波長番号、前記光心線番号ベクトルfSij、波長番号wSij及びスロット番号SSijで示されるSパスに替わる代替パスについての光心線番号ベクトル、波長番号及びスロット番号を演算し記憶させる第2調整手段を備えることを特徴とする請求項1または2記載の光パス設定装置をもって解決手段とする。
【0017】
この請求項3の光パス設定装置によれば、ネットワーク全体で空きのある光心線が少なくなるように、経路行列Rと貪欲算法とを用いて、光心線番号ベクトルfλij及び波長番号wλijで示されるλパスに替わる代替パスについての光心線番号ベクトル及び波長番号、光心線番号ベクトルfSij、波長番号wSij及びスロット番号SSijで示されるSパスに替わる代替パスについての光心線番号ベクトル、波長番号及びスロット番号を演算し記憶させる第2調整手段を備えるので、ネットワークにおける総光心線長をさらに短くすることができる。
【0018】
また、請求項4の本発明は、前記Sパス設定手段は、選択されたグラフノードに彩色された色の番号をck、同一光心線内に多重可能な最大の波長数をW、単位時間長におけるスロット数をSとしたときに、光心線番号fk、波長番号wk、スロット番号skを、
【数3】
【外3】
により演算することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の光パス設定装置をもって解決手段とする。
【0019】
この請求項4の光パス設定装置によれば、Sパス設定手段は、選択されたグラフノードに彩色された色の番号をck、同一光心線内に多重可能な最大の波長数をW、単位時間長におけるスロット数をSとしたときに、光心線番号fk、波長番号wk、スロット番号skを、前記式により演算するので、Sパスの光心線番号fk、波長番号wk、スロット番号skを設定することができる。
【0020】
また、請求項5の本発明は、前記λパス設定手段は、選択されたグラフノードに彩色された色の番号をck、同一光心線内に多重可能な最大の波長数をWとしたときに、光心線番号fk、波長番号wkを、
【数4】
【外4】
により演算することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の光パス設定装置をもって解決手段とする。
【0021】
この請求項5の光パス設定装置によれば、λパス設定手段は、選択されたグラフノードに彩色された色の番号をck、同一光心線内に多重可能な最大の波長数をWとしたときに、光心線番号fk、波長番号wkを、前記式により演算するので、λパスの光心線番号fk、波長番号wkを設定することができる。
【0022】
また、請求項6の本発明は、多数のノードを有するネットワークのノード間に、同一パスにおいては波長が同一な光パスであるλパスと、同一パスにおいては波長とスロット位置が同一な光パスであるSパスとを設定するときの光パス設定方法であって、必要な伝送帯域をノードペアごとに示した需要行列Tと、同一波長の1本のλパスで伝送可能な帯域幅を示す伝送帯域幅Cλと、1タイムフレームにおけるスロット数を示すスロット数Sとを読み出して、ノードペアごとのλパス数Pλijを要素とするλパス数行列Pλと、ノードペアごとのSパス数PSijを要素とするSパス数行列PSとを演算する光パス数演算段階と、前記演算されたλパス数行列PλとSパス数行列PSと、リンクの可否をノードペアごとに示した物理網トポロジ行列G0と、パスを構成するリンクの重みを1とするダイクストラの最小コスト法を用いることにより、各ノードペアに割り当てられた1つの経路を表す要素Rijを有する経路行列Rを生成する経路行列生成段階と、前記Sパス数行列PSの各要素PSijで示される数分の各Sパスを、グラフ彩色問題の解法を用い、当該要素PSijに対応する要素Rijで表されたパスをなすリンクごとの光心線番号よりなる光心線番号ベクトルfSij、並びに当該パスに1つ割り当てられた波長番号wij及びスロット番号SSijkを演算し記憶させることにより設定するSパス設定段階と、前記λパス数行列Pλの各要素Pλijで示される数分の各λパスを、グラフ彩色問題の解法を用い、当該要素Pλijに対応する要素Rijで表されたパスをなすリンクごとの光心線番号よりなる光心線番号ベクトルfλij、並びに当該パスに1つ割り当てられた波長番号wλijを演算し記憶させることにより設定するλパス設定段階とを備えることを特徴とする光パス設定方法をもって解決手段とする。
【0023】
この請求項6の光パス設定方法によれば、必要な伝送帯域をノードペアごとに示した需要行列Tと、同一波長の1本のλパスで伝送可能な帯域幅を示す伝送帯域幅Cλと、1タイムフレームにおけるスロット数を示すスロット数Sとを読み出して、ノードペアごとのλパス数Pλijを要素とするλパス数行列Pλと、ノードペアごとのSパス数PSijを要素とするSパス数行列PSとを演算する光パス数演算段階と、演算されたλパス数行列PλとSパス数行列PSと、リンクの可否をノードペアごとに示した物理網トポロジ行列G0と、パスを構成するリンクの重みを1とするダイクストラの最小コスト法を用いることにより、各ノードペアに割り当てられた1つの経路を表す要素Rijを有する経路行列Rを生成する経路行列生成段階と、Sパス数行列PSの各要素PSijで示される数分の各Sパスを、グラフ彩色問題の解法を用い、当該要素PSijに対応する要素Rijで表されたパスをなすリンクごとの光心線番号よりなる光心線番号ベクトルfSij、並びに当該パスに1つ割り当てられた波長番号wij及びスロット番号SSijkを演算し記憶させることにより設定するSパス設定段階と、λパス数行列Pλの各要素Pλijで示される数分の各λパスを、グラフ彩色問題の解法を用い、当該要素Pλijに対応する要素Rijで表されたパスをなすリンクごとの光心線番号よりなる光心線番号ベクトルfλij、並びに当該パスに1つ割り当てられた波長番号wλijを演算し記憶させることにより設定するλパス設定段階とを備えるので、ネットワークにおける総光心線長を短くするための光パス設定方法を提供することができる。
【0024】
また、請求項7の本発明は、多数のノードを有するネットワークのノード間に、同一パスにおいては波長が同一な光パスであるλパスを設定するときの光パス設定方法であって、必要な伝送帯域をノードペアごとに示した需要行列Tと、同一波長の1本のλパスで伝送可能な帯域幅を示す伝送帯域幅Cλと、1タイムフレームにおけるスロット数を示すスロット数Sとを読み出して、ノードペアごとのλパス数Pλijを要素とするλパス数行列Pλを演算する光パス数演算段階と、前記演算されたλパス数行列Pλと、リンクの可否をノードペアごとに示した物理網トポロジ行列G0と、パスを構成するリンクの重みを1とするダイクストラの最小コスト法を用いることにより、各ノードペアに割り当てられた1つの経路を表す要素Rijを有する経路行列Rを生成する経路行列生成段階と、前記λパス数行列Pλの各要素Pλijで示される数分の各λパスを、グラフ彩色問題の解法を用い、当該要素Pλijに対応する要素Rijで表されたパスをなすリンクごとの光心線番号よりなる光心線番号ベクトルfλij、並びに当該パスに1つ割り当てられた波長番号wλijを演算し記憶させることにより設定するλパス設定段階とを備えることを特徴とする光パス設定方法をもって解決手段とする。
【0025】
請求項7の光パス設定方法によれば、必要な伝送帯域をノードペアごとに示した需要行列Tと、同一波長の1本のλパスで伝送可能な帯域幅を示す伝送帯域幅Cλと、1タイムフレームにおけるスロット数を示すスロット数Sとを読み出して、ノードペアごとのλパス数Pλijを要素とするλパス数行列Pλを演算する光パス数演算段階と、前記演算されたλパス数行列Pλと、リンクの可否をノードペアごとに示した物理網トポロジ行列G0と、パスを構成するリンクの重みを1とするダイクストラの最小コスト法を用いることにより、各ノードペアに割り当てられた1つの経路を表す要素Rijを有する経路行列Rを生成する経路行列生成段階と、前記λパス数行列Pλの各要素Pλijで示される数分の各λパスを、グラフ彩色問題の解法を用い、当該要素Pλijに対応する要素Rijで表されたパスをなすリンクごとの光心線番号よりなる光心線番号ベクトルfλij、並びに当該パスに1つ割り当てられた波長番号wλijを演算し記憶させることにより設定するλパス設定段階とを備えるので、波長ルーティング光ネットワークにおける総光心線長の最短化を図ることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明を適用した光パス設定装置の構成を示す図である。図1(a)に示すように、光パス設定装置1は、必要な伝送帯域をノードペアごとに示した需要行列Tの記憶された需要行列記憶部11と、リンクの設定可否をノードペアごとに示した物理網トポロジ行列G0の記憶された物理網トポロジ行列記憶部12と、各種の設計パラメータの記憶された設計パラメータ記憶部13と、これら記憶部に記憶された情報を用いて光パスを設定する光パス設定部14と、設定された光パスを表示する光パス表示部15とを備えるコンピュータシステムである。
【0028】
ここで、光パス設定装置1による光パスの設定手順の概要を説明する。設定すべき各λパスに対して経路と波長を、また各Sパスに対して経路と波長とスロットを割当てるが、これらを同時に最適化問題を用いて解くことは困難である。そこでまず暫定的に経路のみを割当て、次に暫定的に波長(Sパスに対してはさらにスロット)を割当てる。こうして得られた光パスの暫定設置状態に対して、次に、経路と波長とスロットの全てを同時に考慮しながら貪欲算法を用いて最適化を図る。
【0029】
本実施の形態で処理の対象となるネットワーク(以下、単にネットワークという)とは、図2に示すような、多数(ノード数をnとする)のノード(光クロスコネクト装置)を含むメッシュトポロジのバックボーンネットワークである。
【0030】
なお、本実施の形態においては、ノードを経由しない、すなわち直接的なノード間の接続を「リンク」という言葉で表す。リンク数は、ホップ数とも呼ばれる。例えば、図2のノード3からノード11間のリンク数(ホップ数)は2である。
【0031】
一方、「経路」は、起点と終点のノードの間の1つのリンクまたは連続する2以上のリンクにより構成されるものである。また、「ノードペア」とは光パスの起点であるノードと終点であるノードの組を表すときに用いる。
【0032】
また、本実施の形態において設定されるパスは、同一パスにおいては波長が同一な光パスである「λパス」と、同一パスにおいては波長とスロット位置が同一な光パスである「Sパス」に分類される。
【0033】
「λパス」と「Sパス」とだけに分類したのは、ネットワークのノードでは波長の変換、スロット位置の変換いずれも行わないからである。
【0034】
ただし、複数個設定したλパス同士においては波長が互いに異なるようにしてよい。また、複数個設定したSパス同士においては波長、スロット位置の一方または双方が異なるようにしてよい。
【0035】
図1に戻り、光パス設定部14は、光パスの数を演算するパス数演算手段たる光パス数演算部141と、演算された数分の光パスの経路を暫定的に演算する経路行列生成手段たる光経路演算部142と、経路以外の設定情報を暫定的に演算するSパス設定手段及びλパス設定手段たる設定情報演算部143と、リンク毎に光心線数を減少させるための設定値の調整を行う第1調整手段たる第1調整部144と、ネットワーク全体で光心線数を減少させるための設定値の調整を行う第2調整手段たる第2調整部145と、光パスの設定情報等を記憶するデータ記憶部146を備える。
【0036】
需要行列Tの要素Tij(1≦i≦ノード数nを満たす全ての整数、jも同様)は、ノード番号iで示される起点のノードiから、ノード番号jで示される終点のノードjへの伝送に必要とされる伝送帯域であり、本実施の形態では静的なトラヒック量である。
【0037】
物理網トポロジ行列G0の要素G0ij(1≦i≦ノード数nを満たす全ての整数、jも同様)、ノードiとノードj間にリンクが設定可能ならば有効に(例えば「1」に)、設定不可能ならば無効に(例えば「0」に)設定されている。
【0038】
設計パラメータ記憶部13には、1本のλパスで伝送可能な最大の帯域幅を示す伝送帯域幅Cλと、単位時間長(1タイムフレーム)におけるスロット数を示すスロット数Sと、同一光心線内に多重可能な最大の波長数を示す多重波長数Wと、パスを構成するリンク数の上限値Hとが記憶されている。これらパラメータは、ネットワークにおいて共通なので1づつ記憶されている。なお、伝送帯域幅Cλは、スロット数Sの本数分のSパスで伝送可能な最大の帯域幅に等しいものである。すなわち、S本のSパスと1本のλパスは同一の帯域幅(資源)を消費する。
【0039】
次に、図3のフローチャートを参照して、光パス設定装置1の動作を説明する。
【0040】
光パス設定装置1が起動されると、先ず、光パス設定部14の光パス数演算部141は、ノードペアごとのλパス数を要素とするλパス数行列PλとノードペアごとのSパス数を要素とするSパス数行列PSとを演算する(ステップS1)。
【0041】
すなわち、光パス設定部14の光パス数演算部141は、需要行列記憶部11から需要行列Tを読み出し、設計パラメータ記憶部13から、伝送帯域幅Cλ及びスロット数Sを読み出し、需要行列Tの各要素Tij(1≦i≦ノード数nを満たす全ての整数、jも同様)に対し、式(1)及び(2)の演算を行うことで、λパス数行列Pλの各要素Pλijと、Sパス数行列PSの各要素PSijを演算し、データ記憶部146に記憶させる。
【0042】
【数5】
【外5】
最小の整数を表す。Sパスの伝送帯域はλパスの1/S倍となるため、SパスをS本設置してもλパスを1本設置しても同量のトラヒックを収容できるが、上記演算を用いたのは、λパスを1本設置した方が総光パス数が少ないからである。
【0043】
なお、ステップS1は、光パス数演算段階に相当する。
【0044】
次に、光経路演算部142は、光パスの経路を暫定的に演算する(ステップS2)。
【0045】
本実施の形態では、各ノードペア間に設定すべき全ての光パス(λパスとSパス)に対して、経路、波長、スロット(Sパスのみ)を決める必要があるが、まず経路のみを割当てる。設置すべき光パス数が与えられているとき、ネットワーク全体で使用する総波長資源量は各光パスの経由ホップ数(光パス長)に存在するが、光パス長が最小のとき、総使用波長資源量も最小となる(ただし、総使用光心線長が最小となるとは限らないため、後で述べる貪欲算法を用いて光パスの経路を修正することにより、総使用光心線長の最小化を図る)。そこで光パス経路を、リンク重みを1とするダイクストラの最小コスト法を用いて暫定的に設定する。
【0046】
具体的には、経路行列Rを生成する。経路行列Rの要素Rij(1≦i≦ノード数nを満たす全ての整数、jも同様)としては、この要素により示される単一のパスがノードを経由しない場合(リンクの場合)は最初に起点のノード番号が、次に終点のノード番号が設定されるだけであり、一方、当該単一のパスがノードを経由する場合は起点のノード番号が最初に終点のノード番号が最後にそして経由するノードのノード番号がその間において経由の順に、すなわちベクトルとして設定される。
【0047】
換言すれば、経路行列Rの要素Rijは、当該パスを構成するリンク(ノード同士の直接的な接続)を示していることになる。
【0048】
ステップS2をさらに詳述すると、光経路演算部142は、データ記憶部146からλパス数行列Pλ及びSパス数行列PSを読み出し、物理網トポロジ行列記憶部12から物理網トポロジ行列G0を読み出し、パスを構成するリンクの重みを1とするダイクストラの最小コスト法を適用することにより、経路行列Rを生成し、生成した経路行列Rをデータ記憶部146に記憶させる。
【0049】
なお、ステップS2は、経路行列生成段階に相当する。
【0050】
次に、光パス割当て資源の暫定設定を行う。
【0051】
各λパスで用いる波長と、各Sパスで用いる波長・スロットを割当てる。各経由ノードで波長変換とタイムスロットの時間交換が可能であれば、波長やスロットを各リンクで独立に、ランダムに割当てれば十分であるが、各光パスは同一の波長、スロットを用いなければならないという制約を考慮している。
【0052】
このような制約があり、リンクに用意される光心線数が1本である場合には、ネットワーク全体で使用する波長数を最小化する波長資源の割当ては、グラフ彩色問題の解法を用いて行えることが知られている。ただしグラフ彩色問題とは、隣接ノードに同一の色を用いないで、使用する色数が最小となるようにグラフの全てのノードを彩色する問題である。光ネットワークの各光パスを彩色問題中で構成するグラフの各ノードに対応づけることにより、一箇所以上のリンクを共有する光パス間で同一波長を用いないという制約条件を考慮した波長割当てが可能となる。グラフ彩色問題を効率的に解くアルゴリズムとして、DSATUR(Degree of Saturation)が知られている。
【0053】
それに先立ち、光経路演算部142は、リンク(直接的なノード間の接続)の有無をノードペアごとに示した物理網トポロジ行列G1を、経路行列Rを基に生成する(ステップS3)。物理網トポロジ行列G1の要素G1ij(1≦i≦ノード数nを満たす全ての整数、jも同様)は、ノードiとノードj間に1本以上のλパスまたはSパスが設定されたならば、すなわちリンクが設定されたならば有効に(例えば「1」に)、設定されなかったならば無効に(例えば「0」に)設定される。
【0054】
次に、Sパスについての設定情報を格納するための3つの行列を生成し初期化する(ステップS4)。すなわち、1の光心線番号または連続する複数の光心線番号からなる光心線番号ベクトルを要素として有する行列であって、要素をノード番号i及びj(1≦i≦ノード数nを満たす全ての整数、jも同様)ならびにk(k=1〜Sパス数行列PSにおけるi及びjで特定される要素PSijが示す数)で特定できる(光心線番号ベクトルfSijkと表記する)ように構成した光心線番号ベクトル行列fSと、要素として波長番号を有する行列であって、要素を同様にi、j及びkで特定できる(波長番号wSijkと表記する)ように構成した波長番号行列wSと、要素をスロット番号sSijkを有する行列であって、要素を同様にi、j及びkで特定できる(スロット番号sSijkと表記する)ように構成したスロット番号行列sSを生成し、各要素を初期値に設定する。
【0055】
次に、光パス設定部14の設定情報演算部143が、経由するノードのノード番号を求められた光パスの内のSパスについての光心線番号と波長番号とスロット番号とをグラフ彩色問題の解法で演算する(ステップS5)。なお、ステップS5は、Sパス設定段階に相当する。
【0056】
本実施の形態では、リンクに複数の光心線を設定することを想定している。この場合、リンクを共有するλパス間でも、用いる光心線が異なれば、同一の波長を使用することが可能となるため、グラフ彩色問題を適用することができない。そこで便宜上、異なる光心線に属する同一の波長は全て異なる波長として扱う。すなわち、各光パスは経由全リンク上で同一光心線を用いるという制約を設け、光心線・波長の組を一つの色と見なすことにより、グラフ彩色問題の適用を可能とする。このように拡張されたグラフ彩色問題を適用することにより、各λパスに対して同一番号の光心線と同一番号の波長が経路全リンク上で割当てられる。この結果、実際よりも使用する光心線が増加するが、次の使用光心線のパッキング処理により、この問題に対処する。
【0057】
また、Sパスに対しては同時にスロットを割当てる必要があるので、光心線・波長・スロットの組を一つの色と見なし、グラフ彩色問題を適用する。この結果Sパスに対しては、同一番号の光心線、同一番号の波長、同一番号のスロットが経由全リンク上で割当てられる。
【0058】
λパスとSパスに対しては彩色問題中の色の定義が異なることから、同時にグラフ彩色問題を適用することができない。そこで、まずSパスに対する光心線・波長・スロット割当てを行い、次に、λパスに対する光心線・波長割当てを行うものとする。
【0059】
また、同一のノードペア間に設置される複数の光パスについて、グラフGC 上の一つのノードを対応させる。そのため、グラフGC の各ノードには、対応する対地に設置する光パスに等しい数だけの色が彩色される。
【0060】
図4は、ステップS5の詳細フローチャートである。
【0061】
設定情報演算部143は、データ記憶部146に記憶されたSパス数行列PSを読み出し、Sパス数行列PSの要素が0でないノードペアのそれぞれに対応づけてグラフ彩色問題で用いるグラフGC のノード(ネットワークのノードと区別するためにグラフノードという)のグラフノード番号を割り当て、当該すべてのグラフノード番号を集合Gとしてデータ記憶部146に記憶させる(ステップS31)。
【0062】
次に、グラフGC のパスを作成する(ステップS33)。具体的には、経路行列Rを参照し、ステップS31で作成したグラフノードのペアに対応する各要素を読み出し、当該各要素で示されるリンク同士に共通のものが存在すれば、グラフGCにおける当該2つのグラフノード間にパス(ネットワークのパスと区別するためにグラフパスという)を設定する、つまり当該グラフノード番号同士を対応づけるという処理を全てのグラフノードのペアについて行う。
【0063】
次に、ステップS31でグラフノード番号が記憶された全グラフノードの中で既に彩色されたもののグラフノード番号の集合Aとして当初はグラフノード番号のない集合をデータ記憶部146に初期設定する(ステップS35)。
【0064】
次に、ステップS31で設定された各グラフノードに対して彩色できない色の色番号(1または複数)を対応づけた集合Bとして当初はどのグラフノードについても色番号のない集合をデータ記憶部146に初期設定する(ステップS37)。
【0065】
次に、データ記憶部146から経路行列Rを読み出し、該経路行列Rで示されたリンクに対応するリンク番号lと光心線番号fと波長番号wで特定される部分が取り得る未使用(E)、λパスに割り当て済み(L)、Sパスに割り当て済み(S)となる状態値を要素rlfwとする3次元の状態値行列rとして当初は全要素がEの行列をデータ記憶部146に記憶させる(ステップS39)。
【0066】
次に、グラフGC のグラフノードの中から彩色対象のグラフノードn*を選択する(ステップS41)。ここでは、集合Aにグラフノード番号がない、つまり彩色が未完了のグラフノードの中で、集合Bの該当要素にて色数が最多のもの(複数ある場合には、接続されるリンク数が最大のもの)を1つ特定し、当該グラフノードn*のグラフノード番号を選択する。また、当該グラフノードn*に対応する経路行列Rの要素Ri*j*を選択する。
【0067】
次に、選択した彩色対象のグラフノードn*に対する色番号を選択する(ステップS42)。具体的には、集合Bの要素の中から、選択した彩色対象のグラフノードn*に対する要素B*を読み出す。また、Sパス数行列PSの当該彩色対象のグラフノードn*に対応する要素PSi*j*(ただし、i*、j* はノードn* に対応するノードペアの起点側、終点側のノードのノード番号である。)を読み出す。読み出した要素B*に含まれない色番号から、色番号の若い順に、読み出した要素PSi*j*で示される数分の色番号を選択する。かかる色番号は、グラフノードn*に対応するノードペア間に設定される各Sパスに対応するものである。
【0068】
次に、色番号で選択した各Sパスに割当てる光心線番号fk、波長番号wk、スロット番号sk(ただし、1≦k≦PSi*j*を満たす全色番号)を式(3)、(4)及び(5)により演算する(ステップS43)。
【0069】
【数6】
【外6】
設定情報演算部143は、この演算された各光心線番号fk、波長番号wk、スロット番号skを、光心線番号行列fS、波長番号行列wS、スロット番号行列sSそれぞれの該当箇所の光心線番号ベクトル、波長番号、スロット番号として設定する(ステップS44)。なお、光心線番号行列fSの該当光心線番号ベクトルについては、ノードiから出るリンクに対する光心線番号から、ノードjに入るリンクに対する光心線番号までの全て光心線番号を当該光心線番号fkに設定する。
【0070】
次に、ステップS39で選択した経路行列Rの要素Ri*j*で特定される各リンク(リンクlと総称する)に対応する状態値行列rの要素を選択し、その中の当該光心線番号fkと波長番号wkとに対応する各要素rlfkwkの中の状態値Eであるものについては状態値Sに更新する(ステップS45)。
【0071】
次に、集合Aにグラフノードn* をグラフノード番号を追加する(ステップS47)。次に、グラフノードn* に隣接する全てのグラフノード(グラフノードn**と総称する)のグラフノード番号(グラフノード番号n**と総称する)を読み出し、グラフノード番号n**に含まれる各グラフノード番号に対応する集合Bnの各要素にステップS39で彩色されたPS i*j*個の色の色番号を加える(ステップS49)。
【0072】
次に、グラフGCを更新する(ステップS51)。具体的には、グラフノードn* とグラフノードn**のグラフノード番号を集合Gから削除する。
【0073】
次に、集合Gにグラフノード番号が存在する否かを判定する(ステップS53)。ここで、YESと判定されたときは、彩色すべきグラフノードが存在することになるので、ステップS41へ戻り、一方でYESと判定されたときは、すべてのグラフノードが彩色されたことになるので処理を終了させる。
【0074】
図2に戻り、ステップS6では、λパスについての設定情報を格納するための2つの行列を生成し初期化する(ステップS6:)。すなわち、1の光心線番号または連続する複数の光心線番号からなる光心線番号ベクトルを要素として有する行列であって、要素をノード番号i(=1〜n)及びj(=1〜n)ならびにk(k=1〜λパス数行列Pλにおけるi及びjで特定される要素Pλijが示す数)で特定できる(光心線番号ベクトルfλijkと表記する)ように構成した光心線番号行列fλと、要素として波長番号を有する行列であって、要素を同様にi、j及びkで特定できる(波長番号wλijkと表記する)ように構成した波長番号行列wλと生成し、各要素を初期値に設定する。
【0075】
次に、光パス設定部14の設定情報演算部143が、経由するノードのノード番号を求められた光パスの内のλパスについての光心線番号と波長番号とをグラフ彩色問題の解法で演算する(ステップS7)。なお、ステップS7は、λパス設定段階に相当する。
【0076】
図5は、ステップS7の詳細フローチャートである。
【0077】
設定情報演算部143は、データ記憶部146に記憶されたλパス数行列Pλを読み出し、λパス数行列Pλの要素が0でないノードペアのそれぞれに対応づけてグラフ彩色問題で用いるグラフGC のグラフノードのグラフノード番号を割り当て、当該すべてのグラフノード番号を集合Gとしてデータ記憶部146に記憶させる(ステップS61)。
【0078】
次に、グラフGC のパスを作成する(ステップS63)。具体的には、経路行列Rを参照し、ステップS61で作成したグラフノードのペアに対応する各要素を読み出し、当該各要素で示されるリンク同士に共通のものが存在すれば、グラフGCにおける当該2つのグラフノード間にグラフパスを設定する、つまり当該グラフノード番号同士を対応づけるという処理を全てのグラフノードのペアについて行う。
【0079】
次に、ステップS31でグラフノード番号が記憶された全グラフノードの中で既に彩色されたもののグラフノード番号の集合Aとして当初はグラフノード番号のない集合をデータ記憶部146に初期設定する(ステップS65)。
【0080】
次に、ステップS61で設定された各グラフノードに対して彩色できない色の色番号(1または複数)を対応づけた集合Bとして当初はどのグラフノードについても色番号のない集合をデータ記憶部146に初期設定する(ステップS67)。
【0081】
次に、データ記憶部146から経路行列Rを読み出し、該経路行列Rで示されたリンクに対応するリンク番号lと光心線番号fと波長番号wで特定される部分が取り得る未使用(E)、λパスに割り当て済み(L)、Sパスに割り当て済み(S)となる状態値を要素rlfwとする3次元の状態値行列rとして当初は全要素がEの行列をデータ記憶部146に記憶させる(ステップS69)。
【0082】
次に、グラフGC のグラフノードの中から彩色対象のグラフノードn*を選択する(ステップS71)。ここでは、集合Aにグラフノード番号がない、つまり彩色が未完了のグラフノードの中で、集合Bの該当要素にて色数が最多のもの(複数ある場合には、接続されるリンク数が最大のもの)を1つ特定し、当該グラフノードn*のグラフノード番号を選択する。また、当該グラフノードn*に対応する経路行列Rの要素Ri*j*を選択する。
【0083】
次に、選択した彩色対象のグラフノードn*に対する色番号を選択する(ステップS72)。具体的には、集合Bの要素の中から、選択した彩色対象のグラフノードn*に対する要素B*を読み出す。また、λパス数行列Pλの当該彩色対象のグラフノードn*に対応する要素Pλi*j*(ただし、i*、j* はノードn* に対応するノードペアの起点側、終点側のノードのノード番号である。)を読み出す。読み出した要素B*に含まれない色番号から、色番号の若い順に、読み出した要素Pλi*j*で示される数分の色番号を選択する。かかる色番号は、グラフノードn*に対応するノードペア間に設定される各λパスに対応するものである。
【0084】
次に、色番号で選択した各λパスに割当てる光心線番号fk、波長番号wk(ただし、1≦k≦PSi*j*を満たす全色番号)を式(6)及び(7)により演算する(ステップS73)。
【0085】
【数7】
【外7】
設定情報演算部143は、この演算された各光心線番号fk、波長番号wkを、光心線番号行列fλ、波長番号行列wλそれぞれの該当箇所の光心線番号ベクトル、波長番号として設定する(ステップS74)。なお、光心線番号行列fλの該当光心線番号ベクトルについては、ノードiから出るリンクに対する光心線番号から、ノードjに入るリンクに対する光心線番号までの全て光心線番号を当該光心線番号fkに設定する。
【0086】
次に、ステップS49で選択した経路行列Rの要素Ri*j*で特定される各リンク(リンクlと総称する)に対応する状態値行列rの要素を選択し、その中の当該光心線番号fkと波長番号wkとに対応する各要素rlfkwkの中の状態値Eであるものについては状態値Lに更新する(ステップS75)。
【0087】
次に、集合Aにグラフノードn* をグラフノード番号を追加する(ステップS77)。次に、グラフノードn* に隣接する全てのグラフノード(グラフノードn**と総称する)のグラフノード番号(グラフノード番号n**と総称する)を読み出し、グラフノード番号n**に含まれる各グラフノード番号に対応する集合Bnの各要素にステップS79で彩色されたPSi*j*個の色の色番号を加える(ステップS79)。
【0088】
次に、グラフGCを更新する(ステップS81)。具体的には、グラフノードn* とグラフノードn**のグラフノード番号を集合Gから削除する。
【0089】
次に、集合Gにグラフノード番号が存在する否かを判定する(ステップS83)。ここで、YESと判定されたときは、彩色すべきグラフノードが存在することになるので、ステップS71へ戻り、一方でYESと判定されたときは、すべてのグラフノードが彩色されたことになるので処理を終了させる。
【0090】
図2に戻り、続いては、第1調整部144が光心線の適正化(便宜的にパッキングという)を行う(ステップS8)。
【0091】
設定情報演算部143は、グラフ彩色問題の適用を可能にするため、各々の光パスをなす全リンク上で同一の光心線を用いるという制約を加え、λパスに対しては光心線番号と波長番号の、Sパスに対しては光心線番号と波長番号とスロット番号の割当てを行った。
【0092】
しかし実際には、経由リンク上で同一光心線を用いる必要はなく、必要以上に光心線を使用する割当てとなっている。
【0093】
そこで第1調整部144は、光パスの経路、波長番号、スロット番号を変更することなく、各々のリンクで独立に、光心線番号をより若い番号に変更する(パッキング)ことにより、同一経路・波長・スロット上における光パスの適正化を図る。
【0094】
図6(a)に示すように、資源を波長と光心線の二次元で表示した場合、グラフ彩色問題のDSATUR法により資源が光パスに割当てられた状態では、未使用資源が散在した状態となっている。各光パスは経由リンクごとに任意の光心線を使用できることから、図6(a)で光パスが収容されている場所を、縦方向には任意に移動させることができる。使用光心線を適正化し、使用光心線数を最小化するためには、例えば番号の若い光心線に、光パスを集中させればよい。
【0095】
具体的には、第1調整部144は、状態値行列rの1つの要素rlfwを読み出し、これが状態値LもしくはSであるときは、状態値行列rの光心線番号だけが若い(リンク番号と波長番号については同一な)要素rlf * wの(f*<f)を読み出し、これが状態値Eである場合は、要素rlfwに状態値Eを設定し、要素rlf * wには要素rlfwの元の状態値LもしくはSを設定する。
【0096】
そして、第1調整部144は、光心線番号ベクトル行列fλおよび/または光心線番号ベクトル行列fSの該当箇所を更新する。これにより、ノードiから出るリンクに対する光心線番号から、ノードjに入るリンクに対する光心線番号までの全て光心線番号が同一でなくなる。
【0097】
そして、第1調整部144は、リンク番号と波長番号とが同一な状態値行列rの要素について、このような状態値の交換ができなくなるまで当該処理を繰り返す。
【0098】
また、第1調整部144は、上記リンク番号と波長番号で特定される処理を当該リンク番号と他の各波長番号についても行う。その結果、図6(b)に示すように、当該リンク番号で特定されるリンクにおいては、若い光心線番号の光心線に光パスが集約される。
【0099】
そして、第1調整部144は、上記リンク番号で特定されるリンクについての処理を他の全てのリンク番号についても行う。
【0100】
図3に戻り、続いては、第2調整部145が、貪欲算法により総光心線長の最短化を行う(ステップS9)。
【0101】
これまでの処理では、光パスの経路を最短ホップ経路で固定的に設定している。しかし、光パスの経路も含めてパス設計の最適化を図ることにより、総光心線長の更なる短縮が可能となる。
【0102】
そこで、これまでの処理により設定された光パスの設置値を貪欲算法を用いて最適化する。すなわち、使用波長数の少ない光心線を通る光パスに、使用光心線が増加しない範囲で他の経路・資源を割当てることにより、光心線を削減する。
この際、代替経路・資源の探索を再配置対象光パスの各々に対して独立して行うため、同一のノードペア間の光パスであっても異なる経路が割当てられる場合もある。
【0103】
図7は、ステップS9の詳細フローチャートである。
【0104】
先ず、第2調整部145は、物理網トポロジ行列G1の有効要素数をカウントし、その結果をリンク数Lとして記憶させる(ステップS100)。
【0105】
次に、第2調整部145は、状態値行列rの要素の中の同一リンク番号で特定される要素の中の状態値がLまたはSであるもの(要素r1と総称する)を選択し、要素r1のそれぞれを特定する光心線番号の中の最大の光心線番号を選択し、要素r1の中の当該選択した最大の光心線番号で特定されるもの(要素r2と総称する)を選択し、要素r2を特定する波長番号の数(波長番号数)をカウントし、このカウント処理までを全てのリンク番号について行うことにより、各リンク番号と該リンク番号で選択された最大の光心線番号とカウントされた波長番号数とからなる列を有する対応表Kを生成する(ステップS101)。例えば、図5(b)のリンクでは、最大の光心線番号は「3」で、波長番号数は「2」である。
【0106】
次に、対応表Kの列を波長番号数によりソートする(ステップS103)。また、カウンタkをk=1に初期化する。
【0107】
次に、第2調整部145は、前記ソートされた列の中から波長番号数がk番目に少ない列に含まれるリンク番号(リンク番号lという)と光心線番号(光心線番号Flという)とを選択する(ステップS105)。リンク番号lと光心線番号Flで特定される光心線が削除対象である。
【0108】
次に、第2調整部145は、その削除対象の光心線を使用している各λパスを特定する各要素から成る集合Qλと、その削除対象の光心線を使用している各Sパスを特定する各要素から成る集合QS を生成する(ステップS107)。
【0109】
次に、第2調整部145は、集合Qλに波長番号を格納された各λパスを対象に代替経路・波長を探索する(ステップS109)。なお、代替経路・波長の探索は、集合Qλに含まれる全ての要素を対象に、ホップ数の大きな順で行う。
【0110】
具体的には、W本の各波長の各波長番号を対象に、当該リンク番号lのリンクの重みを(Fl−Xlw)− 1としたダイクストラの最小コスト法を用いて最小コスト経路を探索する。
【0111】
ただし、Xlwは、状態値行列rの要素の中のリンク番号lで特定される要素の中の状態値がLまたはSであるものの数とし、経路のホップ数は上限値H以下とする。
【0112】
そして得られた経路の中で、コストが最小となる波長の波長番号と当該得られた経路を記憶する。なお、経路は、起点のノード番号が最初に終点のノード番号が最後にそして経由するノードのノード番号がその間において経由の順に記載されたベクトルとして記憶される。
次に、第2調整部145は、集合QS に含まれるSパスを対象に代替経路・波長・スロットを探索する(ステップS111)。なお、代替経路・波長・スロットの探索は、集合QS に含まれる全ての要素を対象に行う(順序については考慮しない)。
【0113】
具体的には、W本の各波長の各波長番号とS個の各スロットsのスロット番号の組み合わせを対象に、当該リンクlの重みを、Ylw >Zlwsのときは(Ylw−Zlws)− 1とし、Ylw =Zlwsのときは(Fl−Xlw)− 1としたダイクストラの最小コスト法を用いて最小コスト経路を探索する。
【0114】
ただし、Xlwは、状態値行列rの要素の中のリンク番号lで特定される要素の中の状態値がLまたはSであるものの数とし、また、Ylwは、状態値行列rの要素の中のリンク番号lで特定される要素の中の状態値がSであるものの数とし、Zlwsは、状態値行列rの要素の中のリンク番号lで特定される要素の中の状態値がSであるものに対して割り当てられたスロット番号の数とし、経路のホップ数は上限値H以下とする。
【0115】
すなわち代替経路・資源を探索する際、既にスロット化された波長資源を優先して使用することを考え、そのような波長が存在しない場合にのみ、未使用の波長の使用を試みる。
【0116】
そして得られた経路の中で、コストが最小となる波長の波長番号とスロットのスロット番号と当得られた該経路(前述のようにベクトルとして)を記憶する。
【0117】
次に、第2調整部145は、集合QλとQS に含まれる要素に対応する全ての光パスに対して代替経路・資源が発見できたか否かを判定する(ステップS113)。YESと判定されたときは、各種行列を更新する(ステップS115)。
【0118】
具体的には、先ず、経路行列RにステップS109で記憶したλパスについての1つの代替の経路を示す要素を加え、該加えた要素に関連づけて心線番号行列fλに当該記憶した経路に応じた要素を加え、当該加えた要素に関連づけて波長番号行列wλにステップS109で記憶した波長番号を示す要素を加え、これをステップS109で記憶した全て経路について行う。
【0119】
また、経路行列RにステップS111で記憶した1つのSパスについての代替の経路を示す要素を加え、該加えた要素に関連づけて心線番号行列fSに当該記憶した経路に応じた要素を加え、当該加えた要素に関連づけて波長番号行列wSにステップS111で記憶した波長番号を示す要素を加え、当該加えた要素に関連づけてスロット番号行列sSにステップS111で記憶したスロット番号を示す要素を加え、これをステップS111で記憶した全て経路について行う。
【0120】
また、経路行列Rにおいて当該代替経路が見つけられた経路を示す要素を削除し、心線番号行列fλ、波長番号行列wλ、心線番号行列fS、波長番号行列wS、スロット番号行列sSに当該削除した要素に対応するものがあればこれも削除する。
【0121】
次に、ステップS5と同様のパッキングを行い(ステップS117)、ステップS103へ戻る。
【0122】
一方、ステップS113でNOと判定された(一本でも代替経路・資源が確保できない光パスがある場合)には、カウンタkがリンク数Lに達しているなら処理を終了し(ステップS119:NO)、カウンタkがリンク数Lに達していないならば、カウンタk=k+1として、ステップS107へ戻る。
【0123】
そして、最後に光パス設定情報15が、これまで演算されデータ記憶部146に記憶された光パスの設定情報を光パス設定部14から受け取り、所定の表示態様にしたがって表示する(ステップS10)。
【0124】
次に、波長ルーティングネットワークへの光パス設定装置1の適用について説明する。
【0125】
光パス設定装置1では、波長資源の一部をタイムスロット化し、トラヒックを波長を単位として設置するλパスか、タイムスロットを単位に設置するSパスのいずれかに収容することを前提としてきた。しかし、タイムスロット化を図らず、全てのトラヒックを波長単位に設置した波長パスにのみ収容する、波長ルーティングネットワークへも、光パス設定装置1を適用することが可能である。
【0126】
このような波長パスのみにトラヒックを収容する場合を対象とした場合の処理の変更点についてまとめる。
【0127】
ステップS1では、光パス設定部14の光パス数演算部141は、需要行列記憶部11から需要行列Tを読み出し、設計パラメータ記憶部13から、伝送帯域幅Cλ及びスロット数Sを読み出し、需要行列Tの各要素Tij(1≦i≦ノード数nを満たす全ての整数、jも同様)に対し、式(8)の演算を行い、λパス数行列Pλの各要素Pλ ijとを演算し、データ記憶部146に記憶させる。
【0128】
【数8】
【外8】
【0129】
ステップS4及び5を行わずに、ステップS6へ進む。
【0130】
ステップS8等では、第1調整部144は、状態値行列rの1つの要素rlfwを読み出し、これが状態値Lであるときは、状態値行列rの光心線番号だけが若い(リンク番号と波長番号については同一な)要素rlf * wの(f*<f)を読み出し、これが状態値Eである場合は、要素rlfwに状態値Eを設定し、要素rlf * wには状態値Lを設定する。
【0131】
ステップS9の詳細フローチャートのステップS107では、集合Qλのみを生成し、ステップS111を行わず、ステップS113では集合Qλに含まれる要素に対応する全ての光パスに対して代替経路・資源が発見できたか否かを判定する。
【0132】
次に、光パス設定装置1の性能評価の結果を説明する。
【0133】
本発明の有効性を確認するために行った、計算機シミュレーションによる性能評価について述べる。図2に評価で用いた網トポロジ(日本列島のバックボーンNWモデル)を示す。また、各ノードnが収容する人口Un を表1にまとめる。ここでは、ノード間に発生するトラヒック量は、人口の積に比例するものとする。すなわち、図8の表に示したノードnの人口Un を用いて、入出ノードペアi,j間のトラヒック量tijを、式(9)により設定する。ただし、Vをネットワーク全体のトラヒック量とする。
【0134】
【数9】
比較モデルとして、以下の三つを考える。
【0135】
λ−NW 波長ルーティング光ネットワークであり、全てのトラヒックを波長を単位とする光パス(λパス)に収容する。
【0136】
λS−NW タイムスロット化された光ネットワークであり、トラヒックを、λパスもしくはタイムスロットを単位とするパス(Sパス)に収容する。ただし、フレーム内スロット数を32とする。
【0137】
OEO−NW 全てのノードで光電光変換を行い、パケット単位の交換処理を実施する。一本の波長資源上には、複数の対地のトラヒックが統計多重される。ただし、トラヒックの転送経路は、各々の入出ノードペアに対してリンク重みを1とするダイクストラの最小コスト法で算出した最短ホップ経路を固定的に用いるものとする。
【0138】
以下に、シミュレーションを用いたパラメータ設定値をまとめる。
【0139】
・波長の伝送帯域:Cλ=10Gbps
・光パスの許容ホップ数上限値:H=6
・ネットワーク全体のトラヒック量:次の二つの場合を想定
− V=5Tbps :現状モデル(高速(1Mbps )ユーザ800万人、超高速(30Mbps )ユーザ20万人、同時接続率0.4)
− V=70Tbps :普及モデル(高速(5Mbps )ユーザ1000万人、超高速(30Mbps )ユーザ500万人、同時接続率0.4)
図9に、横軸を多重波長数W、縦軸を総光心線長としたシミュレーション結果を示す。Wが小さな場合、波長資源の利用効率が特性に大きな影響を与えるため、Vが小さい時のλS−NWに対する優位性が大きくなる。しかしVが大きくなれば、λパスの設定帯域粒度の問題は緩和されるため、両方式の差異は小さくなる。
【0140】
Wが大きな場合、波長資源よりも光心線の利用効率向上が、総光心線長に与える影響が大きくなるが、本発明は貪欲算法により積極的に使用光心線の削減を図る結果、OEO−NWと比較して良好な特性を示している。現状でも160波多重のWDMが商用化されており、1000波多重までの多重波長数増加の見通しがあることから、貪欲算法により光心線の利用効率を向上させる本発明の有効性が確認された。
【0141】
なお、上記説明した処理を実行させるコンピュータプログラムは、半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、磁気テープなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納したり、インターネットなどの通信網を介して伝送させて、広く流通させることができる。
【0142】
【発明の効果】
本発明によれば、必要な伝送帯域をノードペアごとに示した需要行列Tと、同一波長の1本のλパスで伝送可能な帯域幅を示す伝送帯域幅Cλと、1タイムフレームにおけるスロット数を示すスロット数Sとを読み出して、ノードペアごとのλパス数Pλijを要素とするλパス数行列Pλと、ノードペアごとのSパス数PSijを要素とするSパス数行列PSとを演算する光パス数演算手段と、演算されたλパス数行列PλとSパス数行列PSと、リンクの可否をノードペアごとに示した物理網トポロジ行列G0と、パスを構成するリンクの重みを1とするダイクストラの最小コスト法を用いることにより、各ノードペアに割り当てられた1つの経路を表す要素Rijを有する経路行列Rを生成する経路行列生成手段と、Sパス数行列PSの各要素PSijで示される数分の各Sパスを、グラフ彩色問題の解法を用い、当該要素PSijに対応する要素Rijで表されたパスをなすリンクごとの光心線番号よりなる光心線番号ベクトルfSij、並びに当該パスに1つ割り当てられた波長番号wij及びスロット番号SSijkを演算し記憶させることにより設定するSパス設定手段と、λパス数行列Pλの各要素Pλijで示される数分の各λパスを、グラフ彩色問題の解法を用い、当該要素Pλijに対応する要素Rijで表されたパスをなすリンクごとの光心線番号よりなる光心線番号ベクトルfλij、並びに当該パスに1つ割り当てられた波長番号wλijを演算し記憶させることにより設定するλパス設定手段とを備えるので、ネットワークにおける総光心線長を短くするための光パス設定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した光パス設定装置の構成を示す図である。
【図2】本実施の形態の処理の対象となるネットワークを示す図である。
【図3】図1に示す光パス設定装置1の動作を示すフローチャートである。
【図4】ステップS5の詳細フローチャートである。
【図5】ステップS7の詳細フローチャートである。
【図6】ステップS8の処理を説明するための図である。
【図7】ステップS9の詳細フローチャートである。
【図8】光パス設定装置1の性能評価で用いたトラヒック量を求めるための人口を示す表である。
【図9】光パス設定装置1の性能評価の結果を示す図である。
【符号の説明】
1…光パス設定装置
11…需要行列記憶部
12…物理網トポロジ行列記憶部
13…設計パラメータ記憶部
14…光パス設定部
15…光パス表示部
141…光パス数演算部
142…光経路設定部
143…パラメータ設定部
144…第1調整部
145…第2調整部
146…中間データ記憶部
Cλ…伝送帯域幅
S…スロット数
H…リンク数の上限値
Pλ…λパス数行列
PS…Sパス数行列
T…需要行列
G0,G1…物理網トポロジ行列
R…経路行列
W…多重波長数
fλ,fS…光心線番号ベクトル行列
wλ,wS…波長番号行列
sS…スロット番号行列
r…状態値行列
Claims (7)
- 多数のノードを有するネットワークのノード間に、同一パスにおいては波長が同一な光パスであるλパスと、同一パスにおいては波長とスロット位置が同一な光パスであるSパスとを設定する光パス設定装置であって、
必要な伝送帯域をノードペアごとに示した需要行列Tと、同一波長の1本のλパスで伝送可能な帯域幅を示す伝送帯域幅Cλと、1タイムフレームにおけるスロット数を示すスロット数Sとを読み出して、ノードペアごとのλパス数Pλijを要素とするλパス数行列Pλと、ノードペアごとのSパス数PSijを要素とするSパス数行列PSとを演算する光パス数演算手段と、
前記演算されたλパス数行列PλとSパス数行列PSと、リンクの可否をノードペアごとに示した物理網トポロジ行列G0と、パスを構成するリンクの重みを1とするダイクストラの最小コスト法を用いることにより、各ノードペアに割り当てられた1つの経路を表す要素Rijを有する経路行列Rを生成する経路行列生成手段と、
前記Sパス数行列PSの各要素PSijで示される数分の各Sパスを、グラフ彩色問題の解法を用い、当該要素PSijに対応する要素Rijで表されたパスをなすリンクごとの光心線番号よりなる光心線番号ベクトルfSij、並びに当該パスに1つ割り当てられた波長番号wij及びスロット番号SSijkを演算し記憶させることにより設定するSパス設定手段と、
前記λパス数行列Pλの各要素Pλijで示される数分の各λパスを、グラフ彩色問題の解法を用い、当該要素Pλijに対応する要素Rijで表されたパスをなすリンクごとの光心線番号よりなる光心線番号ベクトルfλij、並びに当該パスに1つ割り当てられた波長番号wλijを演算し記憶させることにより設定するλパス設定手段と
を備えることを特徴とする光パス設定装置。 - 空きのある光心線が少なくなるようにリンクごとにかつ波長を単位に、前記演算され記憶された光心線番号ベクトルfλijおよび/または光心線番号ベクトルfSijを変更する第1調整手段を備えることを特徴とする請求項1記載の光パス設定装置。
- ネットワーク全体で空きのある光心線が少なくなるように、前記生成された経路行列Rと貪欲算法とを用いて、前記光心線番号ベクトルfλij及び波長番号wλijで示されるλパスに替わる代替パスについての光心線番号ベクトル及び波長番号、前記光心線番号ベクトルfSij、波長番号wSij及びスロット番号SSijで示されるSパスに替わる代替パスについての光心線番号ベクトル、波長番号及びスロット番号を演算し記憶させる第2調整手段を備えることを特徴とする請求項1または2記載の光パス設定装置。
- 多数のノードを有するネットワークのノード間に、同一パスにおいては波長が同一な光パスであるλパスと、同一パスにおいては波長とスロット位置が同一な光パスであるSパスとを設定するときの光パス設定方法であって、
必要な伝送帯域をノードペアごとに示した需要行列Tと、同一波長の1本のλパスで伝送可能な帯域幅を示す伝送帯域幅Cλと、1タイムフレームにおけるスロット数を示すスロット数Sとを読み出して、ノードペアごとのλパス数Pλijを要素とするλパス数行列Pλと、ノードペアごとのSパス数PSijを要素とするSパス数行列PSとを演算する光パス数演算段階と、
前記演算されたλパス数行列PλとSパス数行列PSと、リンクの可否をノードペアごとに示した物理網トポロジ行列G0と、パスを構成するリンクの重みを1とするダイクストラの最小コスト法を用いることにより、各ノードペアに割り当てられた1つの経路を表す要素Rijを有する経路行列Rを生成する経路行列生成段階と、
前記Sパス数行列PSの各要素PSijで示される数分の各Sパスを、グラフ彩色問題の解法を用い、当該要素PSijに対応する要素Rijで表されたパスをなすリンクごとの光心線番号よりなる光心線番号ベクトルfSij、並びに当該パスに1つ割り当てられた波長番号wij及びスロット番号SSijkを演算し記憶させることにより設定するSパス設定段階と、
前記λパス数行列Pλの各要素Pλijで示される数分の各λパスを、グラフ彩色問題の解法を用い、当該要素Pλijに対応する要素Rijで表されたパスをなすリンクごとの光心線番号よりなる光心線番号ベクトルfλij、並びに当該パスに1つ割り当てられた波長番号wλijを演算し記憶させることにより設定するλパス設定段階と
を備えることを特徴とする光パス設定方法。 - 多数のノードを有するネットワークのノード間に、同一パスにおいては波長が同一な光パスであるλパスを設定するときの光パス設定方法であって、
必要な伝送帯域をノードペアごとに示した需要行列Tと、同一波長の1本のλパスで伝送可能な帯域幅を示す伝送帯域幅Cλと、1タイムフレームにおけるスロット数を示すスロット数Sとを読み出して、ノードペアごとのλパス数Pλijを要素とするλパス数行列Pλを演算する光パス数演算段階と、
前記演算されたλパス数行列Pλと、リンクの可否をノードペアごとに示した物理網トポロジ行列G0と、パスを構成するリンクの重みを1とするダイクストラの最小コスト法を用いることにより、各ノードペアに割り当てられた1つの経路を表す要素Rijを有する経路行列Rを生成する経路行列生成段階と、
前記λパス数行列Pλの各要素Pλijで示される数分の各λパスを、グラフ彩色問題の解法を用い、当該要素Pλijに対応する要素Rijで表されたパスをなすリンクごとの光心線番号よりなる光心線番号ベクトルfλij、並びに当該パスに1つ割り当てられた波長番号wλijを演算し記憶させることにより設定するλパス設定段階と
を備えることを特徴とする光パス設定方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003126502A JP2004336199A (ja) | 2003-05-01 | 2003-05-01 | 光パス設定装置及び方法 |
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JP2003126502A Pending JP2004336199A (ja) | 2003-05-01 | 2003-05-01 | 光パス設定装置及び方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
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