JP2004331741A - Composite resin material and method for producing the same - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は結晶性樹脂を用いた複合樹脂材およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、結晶性高分子(樹脂)の結晶性を改良するために、結晶性樹脂にタルクやベンジリデンソルビトールなどの添加材を添加していた。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−109657
【特許文献2】
特開平11−029690号
【特許文献3】
特開平10−176084号
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、タルクやベンジリデンソルビトールなどの添加材を結晶性樹脂に添加して結晶性を改良するには、これら添加材を比較的多量に添加しなければならないという課題がある。添加材の添加量が少ない場合には、複合樹脂材の強度の向上がほとんど見られないからである。強度が向上しないのは、添加材と結晶性樹脂との密着性がそれ程よくないためと考えられる。
【0005】
本発明は上記課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、添加材の少量の添加によっても力学的特性を改善できる複合樹脂材およびその製造方法を提供するにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る複合樹脂材は、結晶性樹脂材料中に、底の無いカップ形状をなす炭素網層が積層した気相成長法による炭素繊維が混入され、結晶化処理されることにより、前記炭素繊維周囲の樹脂材料が結晶化され、該炭素繊維と結晶化した樹脂材料とにより内部に網目構造が形成されていることを特徴とする。
【0007】
前記炭素繊維は、表面の堆積層が除去されて炭素網層の端面が露出した炭素繊維であることを特徴とする。
また、前記炭素繊維は節の無い中空状をなすことを特徴とする。
また、前記炭素繊維の、内外表面の炭素網層の端面が露出していることを特徴とする。
また、前記炭素繊維の2%以上の外表面で炭素網層の端面が露出していることを特徴とする。
【0008】
また、前記炭素繊維の炭素網層の端面が露出している表面の部位が、該端面が不揃いで、原子の大きさレベルでの微細な凹凸を呈していることを特徴とする。これにより樹脂材料との密着性が一層良好となる。
前記結晶性樹脂材料に対する前記炭素繊維の配合割合が0.001〜1wt%であると好適である。
また、前記炭素繊維は、直径が80〜150nm、平均長が数百nm〜数十μmのものを用いるとよい。
前記結晶性樹脂材料にはポリエチレンテレフタレートもしくはポリプロピレンなどの汎用樹脂を用いることができる。
【0009】
また本発明に係る複合樹脂材の製造方法は、結晶性樹脂材料と底の無いカップ形状をなす炭素網層が積層した気相成長法による炭素繊維との混合物を加熱溶融し、次いで融点以下の所要温度に保持して結晶性樹脂材料を結晶化させる工程とを含むことを特徴とする。
また、上記結晶性樹脂材料を結晶化させた混合材料を任意の形状に成形する成形工程を含むことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づき詳細に説明する。
本発明に係る気相成長法による炭素繊維は、底の無いカップ形状をなす炭素網層が積層した構造をなす(以下ヘリンボン構造の炭素繊維という)。
製造方法の一例を説明する。
反応器は公知の縦型反応器を用いた。
原料にベンゼンを用い、ほぼ20℃の蒸気圧となる分圧で、水素気流により反応器に、流量0.3l/hでチャンバーに送り込んだ。触媒はフェロセンを用い、185℃で気化させ、ほぼ3×10−7mol/sの濃度でチャンバーに送り込んだ。反応温度は約1100℃、反応時間が約20分で、直径が平均約100nmのヘリンボン構造の炭素繊維が得られた。原料の流量、反応温度を調節する(反応器の大きさによって変更される)ことで、底の無いカップ形状をなす炭素網層が多数積層され、数十nm〜数十μmの範囲に亙って節(ブリッジ)の無い中空の炭素繊維が得られる。
得られる炭素繊維は直径が80〜150nm程度、長さが数十〜数百μm程度のものが得られるが、長さを数μm〜数十μmのものに調整するとよい。この長さの調整は、後記するように、この底の無いカップ形状をなす炭素網層が多数積層された炭素繊維をグラインディングすることによって切断することによって行える。
【0011】
以下、まず、炭素繊維の特性について説明する。
図1は、上記気相成長法によって製造したヘリンボン構造の炭素繊維の透過型電子顕微鏡写真の複写図、図2はその拡大図、図3はその模式図である。
図から明らかなように、傾斜した炭素網層10を覆って、アモルファス状の余剰炭素が堆積した堆積層12が形成されていることがわかる。14は中心孔である。
このような堆積層12が形成されている炭素繊維を、400℃以上、好ましくは500℃以上、一層好ましくは520℃以上530℃以下の温度で、大気中で1〜数時間加熱することにより、堆積層12が酸化されて熱分解し、除去されて炭素網層の端面(六員環端)が一部露出する。
あるいは、超臨界水により炭素繊維を洗浄することによっても堆積層12を除去でき、炭素網層の端面を露出させることができる。
あるいはまた上記炭素繊維を塩酸または硫酸中に浸漬し、スターラーで撹拌しつつ80℃程度に加熱しても堆積層12を除去できる。
【0012】
図4は、上記のように約530℃の温度で、大気中1時間熱処理したヘリンボン構造の炭素繊維の透過型電子顕微鏡写真の複写図、図5はその拡大図、図6はさらにその拡大図、図7はその模式図である。
図5〜図7から明らかなように、上記のように熱処理を行うことによって、堆積層12の一部が除去され、炭素網層10の端面(炭素六員環端)が露出していることがわかる。なお、残留している堆積層12もほとんど分解されていて、単に付着している程度のものと考えられる。熱処理を数時間行い、また超臨界水での洗浄を併用すれば、堆積層12を100%除去することも可能である。
また、図4に明らかなように、炭素繊維10は、底の無いカップ形状をなす炭素網面が多数積層しており、少なくとも数十nm〜数十μmの範囲で中空状をなしている。
中心線に対する炭素網層の傾斜角は20°〜35°位である。
【0013】
また、図6や図7に明確なように、炭素網層10の端面が露出している外表面および内表面の部位が、端面が不揃いで、nm(ナノメーター)、すなわち原子の大きさレベルでの微細な凹凸16を呈していることがわかる。図2に示すように、堆積層12の除去前は明確でないが、上記の熱処理により堆積層12を除去することによって、凹凸16が現れた。
露出している炭素網層10の端面は、他の原子と結びつきやすく、きわめて活性度の高いものである。これは大気中での熱処理により、堆積層12が除去されつつ、露出する炭素網層の端面に、フェノール性水酸基、カルボキシル基、キノン型カルボニル基、ラクトン基などの含酸素官能基が増大し、これら含酸素官能基が親水性、各種物質に対する親和性が高いからと考えられる。
また中空構造をなすこと、および凹凸16によるアンカー効果は大きい。
【0014】
図8は、ヘリンボン構造の炭素繊維(サンプルNO.24PS)を、大気中で、1時間、それぞれ500℃、520℃、530℃、540℃で熱処理した後の、炭素繊維のラマンスペクトルを示す。
上記熱処理を行うことによって、堆積層12が除去されることは図5〜図7で示したが、図8のラマンスペクトルから明らかなように、Dピーク(1360cm−1)およびGピーク(1580cm−1)が存在することから、このものは炭素繊維であるとともに、黒鉛化構造でない炭素繊維であることが示される。
【0015】
すなわち、上記ヘリンボン構造の炭素繊維は、炭素網面のずれた(グラインド)乱層構造(Turbostratic Structure)を有していると考えられる。
この乱層構造炭素繊維では、各炭素六角網面が平行な積層構造は有しているが各六角網面が平面方向にずれた、あるいは回転した積層構造となっていて、結晶学的規則性は有しない。
この乱層構造の特徴は、層間への他の原子等のインターカレーションが生じにくい点である。このことは1つの利点でもある。すなわち、層間へ物質が入りづらいことから、前記のように、露出され、活性度の高い炭素網層の端面に原子等が担持されやすく、したがって、効率的な担持体として機能することが期待される。
【0016】
図9は、上記熱処理を行って炭素網層の端面を露出させた、サンプルNO.19PSと、サンプルNO.24PSの炭素繊維のラマンスペクトルを示す。
また図10は、上記炭素網層の端面を露出させた、サンプルNO.19PSと、サンプルNO.24PSの炭素繊維に3000℃の熱処理(通常の黒鉛化処理)を行った後の炭素繊維のラマンスペクトルを示す。
図10に示すように、炭素網層の端面を露出させた炭素繊維に黒鉛化処理を行っても、Dピークが消失しないことがわかる。これは、黒鉛化処理を行っても黒鉛化していないことを示す。
図示しないが、X線回折を行っても、112面の回折線が出てこないことからも、上記炭素繊維は黒鉛化していないことが判明した。
【0017】
黒鉛化処理を行っても黒鉛化しないということは、黒鉛化しやすい堆積層12が除去されているからと考えられる。また、残ったヘリンボン構造の部位が黒鉛化しないということが明らかとなった。
上記のように、高温雰囲気下でも黒鉛化しないことは、熱的に安定であることを意味する。
【0018】
上記のようにして得られるヘリンボン構造をなす炭素繊維は、底の無いカップ形状、すなわち断面がハの字状をなす単位炭素網層が数万〜数十万個積層している短繊維(長さ数十μm〜数百μm)である。
上記短繊維を分断するには、水あるいは溶媒を適宜量加えて、乳鉢を用いて乳棒により緩やかにすりつぶすことによって行える。
すなわち、上記短繊維(堆積層12が形成されたもの、堆積層12が一部あるいは全部除去されたもの、いずれでもよい)を乳鉢に入れ、乳棒により機械的に緩やかに短繊維をすりつぶすのである。
乳鉢での処理時間を経験的に制御することによって、長さが数百nm〜数十μmの炭素繊維を得ることができる。
【0019】
その際、環状の炭素網層は比較的強度が高く、各炭素網層間は弱いファンデアワールス力によって結合しているにすぎないので、環状炭素網層はつぶれることはなく、特に弱い結合部分の炭素網層間で分離されることとなる。
なお、上記短繊維を液体窒素中で乳鉢によりすりつぶすようにすると好適である。液体窒素が蒸発する際、空気中の水分が吸収され、氷となるので、氷とともに短繊維を乳棒によりすりつぶすことによって、機械的ストレスを軽減し、上記の単位繊維層間での分離が行える。
工業的には、上記炭素繊維をボールミリングによってグラインディング処理するとよい。
【0020】
上記のように露出した炭素網層10の端面は、他の原子と結びつきやすく、きわめて活性度が高く、また大きな表面エネルギーを有するものである。これは、前記したように、大気中での熱処理により、堆積層12が除去されつつ、露出する炭素網層の端面に、フェノール性水酸基、カルボキシル基、キノン型カルボニル基、ラクトン基などの含酸素官能基が増大し、これら含酸素官能基が親水性、各種物質に対する親和性が高いからと考えられる。
【0021】
本発明では上記の炭素繊維を結晶性樹脂材料中に混入させて複合樹脂材を形成するのである。
複合樹脂材の製造工程は、粉末状の結晶性樹脂材料と底の無いカップ形状をなす炭素網層が積層した気相成長法による上記炭素繊維とを溶媒中に混合させる工程と、混合物中から溶媒を揮散させる乾燥工程と、乾燥した混合物を加熱溶融して、所要温度に保持して結晶性樹脂材料を結晶化させる工程とを含むことを特徴とする。
また、この結晶性樹脂材料を結晶化させた混合材料を任意の形状に成形して複合樹脂材とすることができる。
【0022】
上記のように、結晶性樹脂材料中に、上記炭素繊維が混入され、結晶化処理されることにより、炭素繊維周囲の樹脂材料が結晶化され、該炭素繊維と結晶化した樹脂材料とにより網目構造が形成され、これにより機械的強度が向上されることがわかった。
図11、および図12は、上記のように製造した複合樹脂材をキシレンによりエッチングした場合の複合樹脂材の表面の電子顕微鏡写真を示す。キシレンによるエッチング処理により、結晶化していない樹脂材料はエッチングされて除去され、網目構造が残っていることがわかる。
この網目構造が複合樹脂材中に存在することから、複合樹脂材の機械的強度が向上するのである
また炭素繊維が混入されることによって、導電性や熱伝導特性も向上される。
【0023】
この網目構造の形成は、前記のように、上記炭素繊維の表面は、カップ状をなす炭素網層の端面が露出していて極めて活性度が高いことにより、炭素繊維周囲の結晶性樹脂材料の結晶化が促進される結果からと考えられる。
また、上記炭素繊維は、直径がナノメーター単位の極めて細い棒状をなすことから、その排除体積効果により、炭素繊維周囲の結晶性樹脂材料の結晶化を促進させるものとも推測される。
【0024】
高分子の結晶成長には、結晶化前、すなわち結晶化誘導期における結晶化のための核形成が必要と言われる。
高分子の結晶化の過程は、図13に示すように、
1.高分子鎖の配向化(結晶化誘導期)
2.結晶化による最密充填化
を辿る。
1.の高分子鎖の配向化は一種のスピノーダル分解にあたり、スピノーダル分解が生じるためには濃度揺らぎが形成される必要がある。
そこで、排除体積効果の大きい棒状粒子(炭素繊維)を結晶性樹脂材料に配合すると、炭素繊維の周りの樹脂濃度がその他の部位よりも小さくなり、濃度揺らぎが生じ、スピノーダル分解が生じやすくなる。結晶化樹脂材料が融点以下になると、エネルギーの低いトランス型(高分子鎖が波状、直線状に伸びる。すなわち配向する)をとるようになり、次第に配向され、やがて結晶化する(図13)のである。
このように径の小さな棒状粒子はその排除体積効果により結晶性樹脂材料の結晶を促進する核となりうるのである。
因みに、直径50nm、長さ1μmの棒状粒子の排除体積は、同体積で球状をなす粒子の排除体積の約2.5倍とされる。
直径が150nm以下でアスペクト比が2以上の棒状粒子が結晶化の核剤となりうる。
【0025】
本発明では、上記炭素繊維が、その表面の炭素網層のエッジ部が露出していて活性度が非常に高いことと、上記の排除体積効果が大きいこととが相俟って、炭素繊維の周囲の樹脂材料の結晶化を促進し、網目構造を形成するものと考えられる。また結晶化速度も大きくなり、複合樹脂材の生産効率も向上することとなる。
なお、排除体積効果からすれば、炭素繊維は長いほど良好である。しかし、あまり長すぎると、炭素繊維同士が絡まり合い、繭玉状となってしまい、樹脂材料中に配合した際に樹脂が浸透せず、空隙(ボイド)が生じ、強度低下の原因となるので好ましくない。
したがって、炭素繊維は、直径が80〜150nm、平均長が数百nm〜数十μmの炭素繊維(アスペクト比が2以上、特には10〜200程度が好ましい)を用いると好適である。
また、結晶性樹脂材料に対する炭素繊維の配合割合は特に限定されないが、分散性さえよければ、0.001wt%程度の添加量でも強度の向上が認められる。また炭素繊維の添加量が1wt%よりも多くてもよいが、コストの点から添加量を1wt%以下とするのが有利である。このように、結晶性樹脂材料に対する炭素繊維の配合割合は0.001〜1wt%が好ましく、0.01〜0.3wt%程度が最適である。
【0026】
結晶性樹脂材料と上記炭素繊維との混合方法も特には限定されない。
例えば、結晶性樹脂材料のポリマー重合時に上記炭素繊維を添加するようにしてもよい。
あるいは結晶性樹脂材料がフッ素樹脂の場合には、粉末状のフッ素樹脂と上記炭素繊維とをアルコールを溶媒に用いて混合するようにしてもよい。
あるいは、粉末状の結晶性樹脂材料と上記炭素繊維とを押出機を用いて混練し、混合するようにしてもよい。
これら混合物を加熱溶融し、次いで成形型内で融点以下の所要温度に保持して結晶性樹脂材料を結晶化させて所要形状の複合樹脂材に成形するのである。
【0027】
結晶性樹脂材料は特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、フッ素樹脂などの汎用樹脂を好適に用いることができる。
結晶性樹脂材料がポリエチレンテレフタレートの場合、炭素繊維を混入した混合材料を約280℃の温度で溶解した後、融点以下の温度であるほぼ230℃の温度で約10分間保持して結晶化させるようにすると好適である。
結晶性樹脂材料がポリプロピレンの場合、混合材料を約190℃の温度で溶解し、結晶化工程で、混合材料を融点温度よりも低いほぼ140℃の温度で約10分間保持して結晶化させるようにすると好適である。
【0028】
本発明で得られる複合樹脂材は種々の用途に用いることができる。
1)振動板
バイブレータ、スピーカ、マイクなどに組み込まれる振動板に好適に用いることができる。振動板の強度が上がるので薄膜化でき、振動させるエネルギーを少なくできるので有利である。
2)ラッピングフイルム
電車、自動車、スポーツ用品、バス、建築物などの表層を覆うラッピングフイルムとして好適に用いることができる。フイルム強度向上による薄膜化、それによるコストの軽減化が可能で、薄肉化によるハンドリング性が向上する。
3)製品保護フイルム、包装用フイルム、ステッカーシール基材、磁気テープ等の母材等に用いて、薄膜化、それによるコストの軽減化が可能となる。
4)押出し成形品、射出成形品
これら製品の機械的強度の向上、寸法安定性の向上が図れる。
電子機器部品、IT関連商品部品、自動車部品等の部材、マイクロマシン等の部材、時計等精密機器の部材、燃料電池のセパレータ等の部材などに好適に用いることができる。
5)FRTP(ファイバー レインフォースド サーモ プラスティック:繊維強化熱可塑樹脂)
上記炭素繊維を混入させ、樹脂の結晶化を促進させることで、FRTPの機械特性向上、軽量化、構造物の簡略化、寸法安定性、熱膨張係数の安定化が図れる。
6)航空機、空中を飛翔あるいは飛行する物体、宇宙空間にて使用される機器などの構造材料として、また、X線等の放射線を透過させたい医療用機器の部材として、また、軽量化を図りたいパソコンなどの家電機器の筐体などに好適である。
また、つり竿、ゴルフクラブのシャフト、テニスラケットのフレームなどのスポーツ用品の強度部材に好適である。
また、計測機器の部材、自動車オートバイなどの移動体の外装、構造体や住宅、ビルなどの建築物構造体の部材にも好適である。
また、レジャーボート、ヨット等の船舶、潜水艦等の内外装、構造材にも好適である。
7)樹脂糸
強度向上による小線径化が可能となる。
8)コーティング
金属、木材、プラスティック、ゴム、エラストマー、無機物等のコーティング材の膜強度を向上させ、薄膜化や強度付与が可能である。
【0029】
【実施例】
実施例1
あらかじめ90℃の真空オーブン中で8時間乾燥させ、水分を除去した粉状ポリエチレンテレフタレート(PET)とジーエスアイクレオス社製カルベールLongCNT(底のないカップ状をなす炭素網層が多数積層した炭素繊維。直径80〜150μm、アスペクト比が約200に調整したもの)を、PETに対して炭素繊維が0.3wt%となるように計りとった。これに溶媒としてヘキサフルオロプロパノール(HFIP)を加え、固形分が10wt%になるように溶液を調整し、この溶液をガラスシャーレにキャスティングし、室温で乾燥させた。次ぎに、試料の熱履歴を取り、溶媒を完全に除去し、かつ一体化するために、混合材料を約280℃の温度で溶融し、次いで、融点温度よりも低い約230℃の温度で約10分間保持し、結晶化を促進した。また得られた樹脂材料をホットプレスにより任意の形状に成形して複合樹脂材を得た。
【0030】
図14は、炭素繊維の配合量と結晶化時間との関係を示すグラフである。図14から明らかなように、炭素繊維を0.3wt%配合したものは、炭素繊維を配合しないものに比して結晶化時間を約半分に短縮できた。
また、図15は広角X線回折測定曲線を示す。同図から明らかなように、炭素繊維を0.3wt%配合したものは、PETの結晶面間隔が011面、010面、110面、100面共に約0.5%減少した。
表1は、PETに上記炭素繊維を0.15wt%添加したもので、上記方法により、長さ50mm、厚み3mmに作成した試料の降伏点、弾性率を測定した結果を示す。降伏点、弾性率はPETのみの試料に比してそれぞれ209%、251%向上している。
【0031】
【表1】
【0032】
実施例2
あらかじめ90℃の真空オーブン中で8時間乾燥させ、水分を除去した粉状ポリプロピレン(PP)とジーエスアイクレオス社製カルベールLongCNT(底のないカップ状をなす炭素網層が多数積層した炭素繊維。直径80〜150μm、アスペクト比が約200に調整したもの)を、PPに対して炭素繊維が0.3wt%となるように計りとった。これに溶媒としてヘキサンを加え、固形分が10wt%になるように溶液を調整し、この溶液をガラスシャーレにキャスティングし、室温で乾燥させた。次ぎに、試料の熱履歴を取り、溶媒を完全に除去し、かつ一体化するために、混合材料を約190℃の温度で溶融し、次いで、融点温度よりも低い約140℃の温度で約10分間保持し、結晶化を促進した。また得られた樹脂材料をホットプレスにより任意の形状に成形して複合樹脂材を得た。
実施例1と同様に、炭素繊維を0.3wt%配合したものは、炭素繊維を配合しないものに比して結晶化時間を約半分に短縮できた。またPPの結晶単位格子はa、b、c軸共に約0.5%減少した。さらに弾性率も約200%向上した。
また、前記図11、図12の、複合樹脂材をキシレンで約10秒間エッチング処理したサンプルの表面の電子顕微鏡写真から明らかなように、炭素繊維および炭素繊維の周囲に結晶化した樹脂により網目構造が形成されていることがわかる。
【0033】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、気相成長法による炭素繊維を配合して結晶化処理を行うことで、炭素繊維の周囲に結晶性樹脂材料を効率よく短時間で結晶させることができ、高速成形性が得られると同時に、炭素繊維、および炭素繊維の周囲に形成された結晶化した樹脂により網目構造が形成され、機械的強度に優れるとともに、導電性、熱伝導特性も向上する複合樹脂材を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】気相成長法によって製造したヘリンボン構造の炭素繊維の透過型電子顕微鏡写真の複写図である。
【図2】図1の拡大図である。
【図3】図2の模式図である。
【図4】約530℃の温度で、大気中1時間熱処理したヘリンボン構造の炭素繊維の透過型電子顕微鏡写真の複写図である。
【図5】図4の拡大図である。
【図6】図5のさらに拡大図である。
【図7】図6の模式図である。
【図8】ヘリンボン構造の炭素繊維(サンプルNO.24PS)を、大気中で、1時間、それぞれ500℃、520℃、530℃、540℃で熱処理した後の、炭素繊維のラマンスペクトルを示す。
【図9】上記熱処理を行って炭素網層の端面を露出させた、サンプルNO.19PSと、サンプルNO.24PSの炭素繊維のラマンスペクトルを示す。
【図10】上記炭素網層の端面を露出させた、サンプルNO.19PSと、サンプルNO.24PSの炭素繊維に3000℃の熱処理を行った後の炭素繊維のラマンスペクトルを示す。
【図11】複合樹脂材をキシレンでエッチング処理したサンプル表面の電子顕微鏡写真である。
【図12】図11の拡大図である。
【図13】高分子の結晶化の過程を示す説明図である。
【図14】炭素繊維の配合量と結晶化時間との関係を示すグラフである。
【図15】PETの結晶面の広角X線回折測定曲線を示すグラフである。
【符号の説明】
10 炭素網層
12 堆積層
14 中心孔
16 凹凸[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a composite resin material using a crystalline resin and a method for producing the same.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, in order to improve the crystallinity of a crystalline polymer (resin), an additive such as talc or benzylidene sorbitol has been added to the crystalline resin.
[0003]
[Patent Document 1]
JP-A-2000-109657
[Patent Document 2]
JP-A-11-029690 [Patent Document 3]
JP-A-10-176084
[Problems to be solved by the invention]
By the way, in order to improve the crystallinity by adding additives such as talc and benzylidene sorbitol to the crystalline resin, there is a problem that these additives must be added in a relatively large amount. This is because when the amount of the additive is small, the strength of the composite resin material is hardly improved. It is considered that the strength is not improved because the adhesion between the additive and the crystalline resin is not so good.
[0005]
The present invention has been made to solve the above problems, and an object of the present invention is to provide a composite resin material capable of improving mechanical properties even by adding a small amount of an additive, and a method for producing the same.
[0006]
[Means for Solving the Problems]
The composite resin material according to the present invention is characterized in that the crystalline resin material is mixed with a carbon fiber formed by a vapor growth method in which a carbon net layer having a bottomless cup shape is laminated, and is subjected to a crystallization treatment, whereby the carbon The resin material around the fiber is crystallized, and a network structure is formed inside by the carbon fiber and the crystallized resin material.
[0007]
The carbon fiber is a carbon fiber in which the deposited layer on the surface is removed and the end face of the carbon mesh layer is exposed.
Further, the carbon fiber has a hollow shape with no nodes.
Further, the end faces of the carbon mesh layer on the inner and outer surfaces of the carbon fiber are exposed.
Further, the end face of the carbon mesh layer is exposed on the outer surface of 2% or more of the carbon fiber.
[0008]
Further, the surface portion of the carbon fiber where the end face of the carbon netting layer is exposed is characterized in that the end face is irregular and presents fine irregularities on the level of the size of atoms. This further improves the adhesion to the resin material.
It is preferable that the compounding ratio of the carbon fiber with respect to the crystalline resin material is 0.001 to 1 wt%.
The carbon fiber preferably has a diameter of 80 to 150 nm and an average length of several hundred nm to several tens of μm.
A general-purpose resin such as polyethylene terephthalate or polypropylene can be used as the crystalline resin material.
[0009]
Further, the method for producing a composite resin material according to the present invention is a method of heating and melting a mixture of a crystalline resin material and a carbon fiber formed by a vapor growth method in which a carbon network layer having a bottomless cup shape is laminated, and then having a melting point or lower. Holding the required temperature to crystallize the crystalline resin material.
Further, the method includes a molding step of molding a mixed material obtained by crystallizing the crystalline resin material into an arbitrary shape.
[0010]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, preferred embodiments of the present invention will be described in detail with reference to the accompanying drawings.
The carbon fiber formed by the vapor growth method according to the present invention has a structure in which carbon net layers having a bottomless cup shape are laminated (hereinafter referred to as a herringbone structure carbon fiber).
An example of the manufacturing method will be described.
As the reactor, a known vertical reactor was used.
Benzene was used as a raw material, and was fed into the reactor by a hydrogen stream at a partial pressure of approximately 20 ° C. and a flow rate of 0.3 l / h into the chamber. The catalyst was ferrocene, vaporized at 185 ° C., and fed into the chamber at a concentration of approximately 3 × 10 −7 mol / s. The reaction temperature was about 1100 ° C., the reaction time was about 20 minutes, and a herringbone structure carbon fiber having an average diameter of about 100 nm was obtained. By adjusting the flow rate of the raw material and the reaction temperature (changed according to the size of the reactor), a large number of carbon net layers having a bottomless cup shape are stacked, and the carbon net layer ranges from several tens nm to several tens μm. A hollow carbon fiber having no nodes (bridges) can be obtained.
The obtained carbon fiber has a diameter of about 80 to 150 nm and a length of about several tens to several hundreds μm, and the length may be adjusted to several μm to several tens of μm. The adjustment of the length can be performed by cutting the carbon fiber on which a large number of carbon net layers having a cup shape without a bottom are laminated by grinding, as described later.
[0011]
Hereinafter, first, the characteristics of the carbon fiber will be described.
FIG. 1 is a copy of a transmission electron micrograph of a carbon fiber having a herringbone structure produced by the vapor phase growth method, FIG. 2 is an enlarged view thereof, and FIG. 3 is a schematic view thereof.
As is clear from the figure, it can be seen that the deposited
By heating the carbon fiber on which such a deposited
Alternatively, the deposited
Alternatively, the deposited
[0012]
FIG. 4 is a copy of a transmission electron micrograph of a herringbone-structured carbon fiber heat-treated in the air at a temperature of about 530 ° C. for one hour as described above, FIG. 5 is an enlarged view thereof, and FIG. 6 is a further enlarged view thereof. FIG. 7 is a schematic diagram thereof.
As is clear from FIGS. 5 to 7, by performing the heat treatment as described above, a part of the deposited
As is apparent from FIG. 4, the
The inclination angle of the carbon mesh layer with respect to the center line is about 20 ° to 35 °.
[0013]
As is clear from FIGS. 6 and 7, the outer and inner surface portions where the end faces of the
The exposed end face of the
The anchor effect due to the hollow structure and the
[0014]
FIG. 8 shows Raman spectra of a carbon fiber having a herringbone structure (sample No. 24PS) after being heat-treated at 500 ° C., 520 ° C., 530 ° C., and 540 ° C. for 1 hour in the air.
By performing the heat treatment, but the
[0015]
That is, it is considered that the herringbone structure carbon fiber has a (grinded) turbostratic structure in which the carbon network plane is shifted (grind).
This turbostratic carbon fiber has a laminated structure in which each carbon hexagonal mesh plane is parallel, but each hexagonal mesh plane is shifted or rotated in the plane direction and has a crystallographic regularity. Does not have.
The feature of this turbostratic structure is that intercalation of other atoms or the like between layers is unlikely to occur. This is also one advantage. That is, since it is difficult for a substance to enter between the layers, as described above, atoms and the like are likely to be supported on the end face of the exposed and highly active carbon netting layer, and therefore, it is expected to function as an efficient carrier. You.
[0016]
FIG. 9 shows a sample NO. In which the heat treatment was performed to expose the end face of the carbon netting layer. 19PS and sample NO. 3 shows a Raman spectrum of a 24 PS carbon fiber.
FIG. 10 shows a sample No. having the end face of the carbon mesh layer exposed. 19PS and sample NO. 4 shows a Raman spectrum of a carbon fiber after a heat treatment (normal graphitization treatment) of 3000 ° C. is performed on a 24PS carbon fiber.
As shown in FIG. 10, it can be seen that the D peak does not disappear even if the carbon fiber with the end face of the carbon netting layer exposed is subjected to the graphitization treatment. This indicates that no graphitization has occurred even after the graphitization treatment.
Although not shown, even when X-ray diffraction was performed, it was found that the above-mentioned carbon fibers were not graphitized from the fact that no diffraction lines were emitted on the 112 plane.
[0017]
The fact that the graphitization is not performed even when the graphitization treatment is performed is considered to be because the
As described above, the absence of graphitization even in a high-temperature atmosphere means that it is thermally stable.
[0018]
The carbon fiber having a herringbone structure obtained as described above has a cup shape without a bottom, that is, a short fiber (long) in which tens of thousands to hundreds of thousands of unit carbon net layers having a cross-section in a U shape are laminated. (Several tens μm to several hundred μm).
The short fibers can be separated by adding water or a solvent in an appropriate amount and gently grinding with a pestle using a mortar.
That is, the short fibers (either having the deposited
By empirically controlling the processing time in a mortar, a carbon fiber having a length of several hundred nm to several tens μm can be obtained.
[0019]
At that time, the annular carbon network layer has a relatively high strength, and the layers between the carbon network layers are connected only by a weak van der Waals force.Therefore, the annular carbon network layer does not collapse. It will be separated between the carbon netting layers.
It is preferred that the short fibers are ground in a liquid nitrogen with a mortar. When the liquid nitrogen evaporates, the moisture in the air is absorbed and becomes ice, so that the short fibers are crushed with a pestle together with the ice, so that the mechanical stress is reduced and the separation between the unit fiber layers can be performed.
Industrially, the carbon fiber may be subjected to a grinding treatment by ball milling.
[0020]
The end face of the
[0021]
In the present invention, the above-mentioned carbon fibers are mixed into a crystalline resin material to form a composite resin material.
The manufacturing process of the composite resin material is a process in which the powdery crystalline resin material and the carbon fiber formed by the vapor growth method in which a carbon net layer having a bottomless cup shape is laminated in a solvent, and from the mixture, It is characterized by including a drying step of evaporating the solvent, and a step of heating and melting the dried mixture, and maintaining the required temperature to crystallize the crystalline resin material.
Further, a composite material obtained by crystallizing the crystalline resin material can be formed into an arbitrary shape to obtain a composite resin material.
[0022]
As described above, the carbon fiber is mixed into the crystalline resin material, and the crystallization treatment is performed, whereby the resin material around the carbon fiber is crystallized, and the network is formed by the carbon fiber and the crystallized resin material. It has been found that a structure is formed, which increases the mechanical strength.
FIG. 11 and FIG. 12 show electron micrographs of the surface of the composite resin material when the composite resin material manufactured as described above is etched with xylene. It can be seen that the resin material that has not been crystallized is etched away by the xylene etching treatment, leaving a network structure.
Since this network structure is present in the composite resin material, the mechanical strength of the composite resin material is improved, and the conductivity and heat conduction characteristics are also improved by mixing carbon fibers.
[0023]
As described above, the formation of this network structure is based on the fact that the surface of the carbon fiber has an extremely high degree of activity because the end surface of the cup-shaped carbon network layer is exposed, so that the crystalline resin material around the carbon fiber is formed. This is probably because crystallization is promoted.
In addition, since the carbon fiber has an extremely thin rod shape with a diameter of nanometer unit, it is presumed that the exclusion volume effect promotes the crystallization of the crystalline resin material around the carbon fiber.
[0024]
It is said that crystal growth of a polymer requires nucleation for crystallization before crystallization, that is, in a crystallization induction period.
The process of polymer crystallization is shown in FIG.
1. Orientation of polymer chains (crystallization induction period)
2. Follow close packing by crystallization.
1. Is a kind of spinodal decomposition, and a concentration fluctuation needs to be formed in order for spinodal decomposition to occur.
Therefore, when rod-like particles (carbon fibers) having a large excluded volume effect are blended with the crystalline resin material, the resin concentration around the carbon fibers becomes smaller than that of other parts, causing concentration fluctuations and spinodal decomposition. When the crystallized resin material has a melting point or lower, it becomes a trans-type (polymer chains extend in a wavy or straight line, that is, orientate) with low energy, are gradually oriented, and eventually crystallize (FIG. 13). is there.
Such small-diameter rod-like particles can serve as nuclei for promoting crystallization of the crystalline resin material due to the excluded volume effect.
Incidentally, the excluded volume of a rod-shaped particle having a diameter of 50 nm and a length of 1 μm is about 2.5 times the excluded volume of a spherical particle having the same volume.
Rod-like particles having a diameter of 150 nm or less and an aspect ratio of 2 or more can be a nucleating agent for crystallization.
[0025]
In the present invention, the carbon fiber, the edge portion of the carbon mesh layer on the surface thereof is exposed and the activity is very high, and the large volume exclusion effect described above is combined with the carbon fiber. It is considered that the crystallization of the surrounding resin material is promoted to form a network structure. In addition, the crystallization speed is increased, and the production efficiency of the composite resin material is also improved.
In view of the excluded volume effect, the longer the carbon fiber, the better. However, if the length is too long, the carbon fibers become entangled with each other and form a cocoon ball, and when blended in a resin material, the resin does not penetrate, and voids (voids) are generated, which is preferable because strength is reduced. Absent.
Therefore, it is preferable to use a carbon fiber having a diameter of 80 to 150 nm and an average length of several hundred nm to several tens μm (aspect ratio is 2 or more, particularly preferably about 10 to 200).
Further, the mixing ratio of the carbon fiber to the crystalline resin material is not particularly limited, but as long as the dispersibility is good, an improvement in strength is recognized even with an addition amount of about 0.001 wt%. Further, the addition amount of the carbon fiber may be more than 1 wt%, but it is advantageous to make the
[0026]
The method of mixing the crystalline resin material with the carbon fibers is not particularly limited.
For example, the above-mentioned carbon fibers may be added at the time of polymerizing the crystalline resin material.
Alternatively, when the crystalline resin material is a fluororesin, the powdery fluororesin and the carbon fiber may be mixed using alcohol as a solvent.
Alternatively, the powdery crystalline resin material and the carbon fiber may be kneaded using an extruder and mixed.
The mixture is heated and melted, and then maintained at a required temperature equal to or lower than the melting point in a molding die to crystallize the crystalline resin material and to form a composite resin material having a required shape.
[0027]
The crystalline resin material is not particularly limited, but general-purpose resins such as polyethylene terephthalate, polypropylene, and fluororesin can be suitably used.
When the crystalline resin material is polyethylene terephthalate, the mixed material containing the carbon fibers is melted at a temperature of about 280 ° C., and is then crystallized at a temperature of about 230 ° C., which is lower than the melting point, for about 10 minutes. It is preferable to set to.
When the crystalline resin material is polypropylene, the mixed material is melted at a temperature of about 190 ° C., and in the crystallization step, the mixed material is crystallized by holding the mixed material at a temperature of about 140 ° C. lower than the melting point temperature for about 10 minutes. It is preferable to set to.
[0028]
The composite resin material obtained in the present invention can be used for various applications.
1) The diaphragm can be suitably used for a diaphragm incorporated in a vibrator, a speaker, a microphone, or the like. This is advantageous because the strength of the diaphragm can be increased so that the diaphragm can be made thinner and the energy required for vibration can be reduced.
2) Wrapping film Wrapping film can be suitably used as a wrapping film for covering the surface layer of trains, automobiles, sporting goods, buses, buildings and the like. It is possible to make the film thinner by improving the film strength and thereby reduce the cost, and the handleability is improved by making the film thinner.
3) When used as a base material such as a product protection film, a packaging film, a sticker seal base material, a magnetic tape, etc., it is possible to reduce the thickness and thereby reduce the cost.
4) Extrusion molded products, injection molded products The mechanical strength and dimensional stability of these products can be improved.
It can be suitably used for electronic equipment parts, IT-related product parts, members of automobile parts and the like, members of micromachines and the like, members of precision instruments such as watches, members of fuel cell separators and the like.
5) FRTP (Fiber Reinforced Thermoplastic: Fiber Reinforced Thermoplastic)
By mixing the carbon fiber and promoting crystallization of the resin, the mechanical properties of FRTP can be improved, the weight can be reduced, the structure can be simplified, the dimensional stability, and the thermal expansion coefficient can be stabilized.
6) As a structural material for aircraft, objects that fly or fly in the air, equipment used in outer space, and as a member of medical equipment that wants to transmit radiation such as X-rays, and to reduce weight. It is suitable for housings of home electric appliances such as personal computers.
Further, it is suitable for a strength member of sporting goods such as a hanging rod, a shaft of a golf club, and a frame of a tennis racket.
It is also suitable for members of measuring instruments, exteriors of moving objects such as automobile motorcycles, members of structures, buildings and structures such as houses and buildings.
It is also suitable for interior / exterior and structural materials of ships such as leisure boats and yachts, submarines and the like.
7) The wire diameter can be reduced by improving the strength of the resin yarn.
8) It is possible to improve the film strength of a coating material such as a coating metal, wood, plastic, rubber, elastomer, inorganic substance, etc., and to make it thinner and impart strength.
[0029]
【Example】
Example 1
Powdered polyethylene terephthalate (PET) from which water has been removed by previously drying in a vacuum oven at 90 ° C. for 8 hours and carve LongCNT made by GS Icleos Co. (Diameter: 80 to 150 μm, aspect ratio adjusted to about 200) was measured so that the carbon fiber was 0.3 wt% with respect to PET. Hexafluoropropanol (HFIP) was added as a solvent thereto, and the solution was adjusted to have a solid content of 10% by weight. The solution was cast on a glass Petri dish and dried at room temperature. Next, the mixed material is melted at a temperature of about 280 ° C. to take a thermal history of the sample, completely remove the solvent and integrate, and then at a temperature of about 230 ° C. below the melting point temperature. Hold for 10 minutes to promote crystallization. Further, the obtained resin material was molded into an arbitrary shape by hot pressing to obtain a composite resin material.
[0030]
FIG. 14 is a graph showing the relationship between the blending amount of carbon fibers and the crystallization time. As is clear from FIG. 14, the crystallization time of the carbon fiber blended at 0.3 wt% was reduced to about half that of the carbon fiber blended without carbon fiber.
FIG. 15 shows a wide-angle X-ray diffraction measurement curve. As is clear from the figure, in the case where 0.3% by weight of carbon fiber was blended, the crystal plane spacing of PET was reduced by about 0.5% in each of the 011 plane, the 010 plane, the 110 plane, and the 100 plane.
Table 1 shows the results of measuring the yield point and the elastic modulus of a sample prepared by adding the above carbon fiber to PET at 0.15 wt% and preparing a sample having a length of 50 mm and a thickness of 3 mm by the above method. The yield point and the elastic modulus are improved by 209% and 251%, respectively, as compared with the sample of PET alone.
[0031]
[Table 1]
[0032]
Example 2
Powdered polypropylene (PP) which had been dried in a vacuum oven at 90 ° C. for 8 hours in advance to remove water, and carve LongCNT made by GS Icleos Co., Ltd. (80-150 μm, aspect ratio adjusted to about 200) was measured so that the carbon fiber was 0.3 wt% with respect to PP. Hexane was added as a solvent to the solution, and the solution was adjusted so that the solid content became 10 wt%. The solution was cast on a glass petri dish and dried at room temperature. Next, the mixed material is melted at a temperature of about 190 ° C. to take a thermal history of the sample, completely remove the solvent and integrate, and then at a temperature of about 140 ° C. below the melting point temperature. Hold for 10 minutes to promote crystallization. Further, the obtained resin material was molded into an arbitrary shape by hot pressing to obtain a composite resin material.
As in the case of Example 1, the one containing 0.3% by weight of carbon fiber was able to shorten the crystallization time by about half as compared with the one not containing carbon fiber. The crystal unit cell of PP decreased by about 0.5% in all of the a, b, and c axes. Further, the elastic modulus was improved by about 200%.
Further, as is apparent from the electron micrographs of the surface of the sample obtained by etching the composite resin material with xylene for about 10 seconds in FIGS. 11 and 12, the carbon fiber and the resin crystallized around the carbon fiber have a network structure. It can be seen that is formed.
[0033]
【The invention's effect】
As described above, according to the present invention, a crystalline resin material can be efficiently crystallized around carbon fibers in a short time by performing crystallization treatment by blending carbon fibers by a vapor growth method, At the same time as high-speed moldability, a composite resin that forms a network structure with carbon fiber and crystallized resin formed around the carbon fiber, has excellent mechanical strength, and also has improved electrical and thermal conductivity characteristics Material can be provided.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a copy of a transmission electron micrograph of a carbon fiber having a herringbone structure manufactured by a vapor phase growth method.
FIG. 2 is an enlarged view of FIG.
FIG. 3 is a schematic diagram of FIG. 2;
FIG. 4 is a copy of a transmission electron micrograph of a herringbone-structured carbon fiber that has been heat-treated in the air at a temperature of about 530 ° C. for one hour.
FIG. 5 is an enlarged view of FIG. 4;
FIG. 6 is a further enlarged view of FIG. 5;
FIG. 7 is a schematic diagram of FIG. 6;
FIG. 8 shows Raman spectra of a carbon fiber having a herringbone structure (sample No. 24PS) after being heat-treated at 500 ° C., 520 ° C., 530 ° C., and 540 ° C. for 1 hour in the air.
FIG. 9 shows a sample NO. In which an end face of a carbon netting layer was exposed by performing the above heat treatment. 19PS and sample NO. 3 shows a Raman spectrum of a 24 PS carbon fiber.
FIG. 10 shows a sample NO. 19PS and sample NO. 4 shows a Raman spectrum of a carbon fiber after heat treatment of 24 PS carbon fiber at 3000 ° C. FIG.
FIG. 11 is an electron micrograph of a sample surface obtained by etching a composite resin material with xylene.
FIG. 12 is an enlarged view of FIG. 11;
FIG. 13 is an explanatory view showing a process of crystallization of a polymer.
FIG. 14 is a graph showing the relationship between the blending amount of carbon fibers and the crystallization time.
FIG. 15 is a graph showing a wide-angle X-ray diffraction measurement curve of a crystal plane of PET.
[Explanation of symbols]
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