JP2004325236A - 試料分析装置、及び分析用ディスク - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の試料分析用ディスクでは、粉のような固体を分析する際には、溶媒に混ぜる必要があったり、資料が飛散してしまうなど、作業性の面で問題を有していた。固体の試料を取り扱う際の具体的な取扱方法を提案し、試料固定時の作業性を向上させることを可能とする試料分析装置とその分析用ディスクを提供するものである。
【解決手段】分析用ディスク1は試料5を担持する試料シート4と試料シート4を搭載するディスク基板2とで構成され、前記ディスク基板2に対して試料シート4を固定するために試料4全体を覆うように構成された弾性部材を備え、前記弾性部材には試料シート4を脱着するための一部剥離領域を有する構成とした。
【選択図】 図1
【解決手段】分析用ディスク1は試料5を担持する試料シート4と試料シート4を搭載するディスク基板2とで構成され、前記ディスク基板2に対して試料シート4を固定するために試料4全体を覆うように構成された弾性部材を備え、前記弾性部材には試料シート4を脱着するための一部剥離領域を有する構成とした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転するディスク内部に配置された試料、もしくは前記試料と反応した試薬に光ビームを照射し、その反射光もしくは透過光を検出することにより試料の分析を行うための分析装置、および分析用ディスクに関し、特に試料固定時の精度と作業性に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ディスク上に展開した試料の定性・定量分析を行うための分析装置として、図12のような装置が提案されており、血液等の試料を分析することで病気の診断などを行うことができる(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図12は上記従来の分析装置を示す構成図である。装置の構成はいわゆる光ディスク装置に類似しており、ディスク1を回転させるためのスピンドルモータ11、ディスク1内に展開された試料または試料と反応した試薬に光ビームを照射するための光ピックアップ12、光ピックアップ12をディスク1の半径方向に移動させるための送りモータ13等から構成されている。装置に装着されたディスク1は、スピンドルモータ11により回転し、ディスクを回転させながら光ピックアップ12を用いてディスク1内の試料もしくは試薬に光ビームを照射し、その反射光もしくは透過光を検出することで試薬の反応状態を検出して分析を行う。ここで、分析対象となる試料は、血液等の液体であり、従来の試料分析用ディスクでは、粉のような固体を分析する際には、溶媒に混ぜる必要があり、作業性の面で問題を有していた。
【0004】
【特許文献1】
WO0026677号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の問題点を解決し、固体の試料を取り扱う際の具体的な取扱方法を提案し、試料固定時の作業性を向上させることを可能とする試料分析装置とその分析用ディスクを提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載の発明は、回転するディスク内部に配置された試料に光ビームを照射し、その反射光もしくは透過光を検出することにより試料の分析を行うための分析用ディスクにおいて、前記分析用ディスクは試料を担持する試料シートと試料シートを搭載するディスクとで構成され、前記ディスクに対して試料シートを固定するために試料全体を覆うように構成された弾性部材を備え、前記弾性部材には試料シートを脱着するための一部剥離領域を有することを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の試料分析用ディスクにおいて、試料シートを固定するための弾性部材における剥離不可能領域をディスク外周部にてディスクと接着するように構成したことを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の試料分析用ディスクにおいて、試料シートの形状と試料シートを固定するための弾性部材における剥離可能領域の形状の一部、または全部を概略一致させることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項4に記載の発明は、分析用ディスクを分析装置に装着するチャッキング機構において、試料シートを固定するための弾性部材における剥離可能領域の少なくとも一部を押接して分析用ディスクを装着することを特徴とする試料分析用ディスクチャッキング機構を有することを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の試料分析用ディスクにおいて、試料シートが接するディスクの表面に、凸凹の繰り返しパターンを形成したことを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の試料分析用ディスクにおいて、試料シートが接するディスクの表面に形成する凸凹の形状をディスクに対してラジアル方向の複数本の溝形状とすることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項7に記載の発明は、回転するディスク内部に配置された試料に光ビームを照射し、その反射光もしくは透過光を検出することにより試料の分析を行うための分析装置において、前記反射光もしくは透過光を検出によって得られた分析データから、ディスクの表面に形成された凸凹の形状による影響を、あらかじめ保持しているディスクの表面に形成された凸凹の形状情報を元に除去、または低減することを特徴とする
本発明の請求項8に記載の発明は、請求項1に記載の試料分析用ディスクにおいて、前記ディスクの表面に形成された凸凹の形状情報をあらかじめディスクに保持しておくことを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項9に記載の発明は、回転するディスク内部に配置された試料に光ビームを照射し、その反射光もしくは透過光を検出することにより試料の分析を行うための分析装置において、前記反射光もしくは透過光を検出によって得られた分析データから、ディスクの表面に形成された凸凹の形状による影響を分離し、前記分離されたデータを元にスキャンずれを補正することを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項10に記載の発明は、回転するディスク内部に配置された試料に光ビームを照射し、その反射光もしくは透過光を検出することにより試料の分析を行うための分析用ディスクにおいて、前記分析用ディスクは試料を担持する試料シートと試料シートを搭載するディスクとで構成され、前記試料シートの一部にディスク回転中の分析データ取得期間を示すマーカを有することを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の試料分析用ディスクにおいて、前記マーカに試料シートの情報を多重化したことを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項12に記載の発明は、請求項10に記載の試料分析用ディスクにおいて、前記マーカに対応する試料付着範囲を示すマークを試料シートに印刷したことを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施例について説明する。なお、上記従来例と同一の機能を有する箇所には同一の符号を付し、説明を省略する。また、実施の形態で順次説明していく中で、先に説明済みの同一の機能を有する箇所にも同一の符号を付し、説明を省略する。
【0018】
(実施の形態1)
図1(a)は本発明の請求項1に記載の発明に対応する実施例の斜視図である。
【0019】
1は、分析ディスクであり、ディスクの構造は従来の試料分析用ディスクと類似しているが、2枚貼り合わせ構造になっているディスクのうち、試料を固定する部位のカバー部が柔軟な素材を用いてディスク基板に対して剥離可能に構成され、試料が着脱自在となるように構成されている点で異なる。
【0020】
2は、ディスク基板であり、ポリカーボネートやアクリルなどの硬質プラスチックやガラスのように光学的に透明で、かつ比較的硬い素材を用いた円盤状のもので、構造上の基盤となっている。
【0021】
3は、カバーであり、例えばシリコンゴムのように光学的に透明で、かつ柔軟性の高い素材を用いており、そのうち試料を覆う部分に相当する一部が切り欠かれていて、剥離可能となっている。このカバー3の一部を剥離して試料を搭載し、剥離した部分を元に戻すことによって試料はカバーされ、その位置に固定される。ゴムは摩擦係数が高いので、固定するには好都合である。また、合わせて粘着性も持っているので、試料シート、及びディスク基板に密着させれば動かないようにすることができる。
【0022】
4は、試料シートであり、ポリエチレンなどからできている透明なフィルム状のシートであり、分析対象の試料5を載せたものである。試料シート4は平坦であるため、カバー3との接触面積を大きくとることができ、しっかり固定することができる。
【0023】
このように、ディスクと試料を簡単に分離/固定して取り扱うことができ、また、ディスクに固定したまま保存すれば、どこかに飛散する心配も無い。
【0024】
図1(b)、(c)は本発明の請求項1に記載の発明に対応する実施例の断面図であり、試料シート4の構成を拡大して示している。(b)はカバー3を剥離した状態、(c)は試料シートを密着し、固定した状態である。
【0025】
6は、試料シート基材であり、ポリエチレンなどの光学的に透明で薄いフィルムで、試料シート4の基材となる。7は、粘着層であり、試料シート基材6に試料8を粘着力で固定する。試料8は、分析対象物であり、例えば、寄生虫や寄生虫の卵、花粉、などの粒状の固体物を想定している。分析装置の読み取り部分については、従来例と同様に光ピックアップで光ビームをスキャンさせて読み取るため、この光ビームの収束点近傍に試料が薄く、均一に配置することが重要であり、粘着層7で試料8を試料シート基材へ固定する構造により、薄く、均一に試料を固定することができ、かつ、試料をディスク基板2に密着することができる。
【0026】
このように、試料シートとして分析物を取り扱うことによって、容易に固体の試料を取り扱うことができる。
【0027】
ここでは、試料を粒状の固体で説明したが、例えば、メンブレンを用いた免疫クロマトグラフィーによる分析にも適用可能である。通常、メンブレンはフィルムシート上に構成され、メンブレン側をディスク基板2へ、フィルムシート側をカバー3になるように固定すれば、抗体反応を起こしたメンブレン側はディスク基板2へ密着させることができ、分析には都合が良い。もちろん、分離/固定も自由自在であり、そのまま挟んだ状態で保存することもできる。
【0028】
また、図1では、4箇所に試料を搭載するようになっているが、その数は4箇所に限定されるものではない。
【0029】
(実施の形態2)
図2は本発明の請求項2に記載の発明に対応する実施例の断面図である。ディスクの構成は実施の形態1と類似しているが、外周部にストッパを設けて、試料シートの位置を制限するように構成した点で異なる。
【0030】
図2(b)はカバー3を剥離した状態、図2(b)(c)は試料シートを密着し、固定した状態である。図において、9は、ストッパであり、厚みは、試料シート基材6、粘着層7、試料8からなる試料シートとほぼ同じ厚さとし、分析ディスクの外周部に、ディスク基板2とカバー3とで挟み込むようにして接着する。
【0031】
このようにすることにより、カバー3の外周部の浮き上がりを防止することができ、試料シート固定する効果が更に確実となる。また、試料シートをストッパに当てて固定することで、ディスク内外周方向への位置規制を行うことができ、分析する内外周方向の範囲を確定し、無駄なく確実に分析することができる。また、分析ディスクが回転する場合の遠心力による試料シートが外周へのずれを防止することができる。
【0032】
また、図2ではストッパ9を独立して設けているが、カバー3の外周部の厚みを厚くし、一体として構成することも可能であり、ディスク基板2の外周部の厚みを厚くし、一体として構成することも可能である。
【0033】
(実施の形態3)
図3は本発明の請求項3に記載の発明に対応する実施例の説明図である。ディスクの構成は実施の形態2と類似しているが、カバーの剥離可能部と試料シートの幅を揃えて、試料シートの位置を制限するように構成した点で異なる。
【0034】
図3の上側の図はカバー3の剥離可能部を一部剥離した状態で、分析ディスク上方より見た図であり、一部剥離した部分では、試料シート基材6が直接見える状態になっている図である。カバー3の剥離不可能部分はディスク基板2に接着されており、剥離可能部の幅を試料シート基材6と概略等しくすることにより、幅方向にぴったり合わせて配置できるので、幅方向への位置規制を行うことができる。カバー3の剥離可能部の幅を試料シート基材6の幅と全く等しくしても良いが、カバー3の剥離可能部の幅を若干広めにして、試料シートを置く際に余裕があった方が配置しやすい。このようにして、分析する円周方向の範囲を確定でき、ずれることなく確実に分析することができる。
【0035】
図3では、幅方向の規制の他に、合わせてストッパにより外周方向にも位置規制を行っており、より確実に試料シートのずれを防止することができる。
【0036】
(実施の形態4)
図4は本発明の請求項4に記載の発明に対応する実施例の断面図である。ディスクの構成は実施の形態1〜3と類似しているが、内周でのカバーの固定をクランパで行うようにしている。
【0037】
15は、クランパで、スピンドルモータ11へディスクを挟み込むようにして固定するためのものである。通常、光ディスクでは、スピンドルモータ11側に磁石を埋め込み、クランパ側に鉄などの磁性体を埋め込んで、磁力によってディスク基板を挟み込んで固定する。ここでは、クランパを大型化し階段状の形状として、ディスク基板2を押さえると共に、カバー3の内周部も合わせて押さえるようになっており、カバー3との密着性を向上させ確実にシールできる。カバー3はシリコンゴムのため粘着性があり、ディスク基板2に密着させているので比較的外れにくいが、高速で回転した場合など強い遠心力が発生した場合にでも、より確実に試料シートのずれや、試料の飛散を防止することができる。
【0038】
(実施の形態5)
図5は本発明の請求項8に記載の発明に対応する実施例の断面図である。ディスクの構成は実施の形態4と類似しているが、クランパをさらに大型にして直接試料部分を押さえるようにしている。
【0039】
16は、大型クランパで、スピンドルモータ11へディスクを挟み込むようにして固定するためのものである。内周部は実施の形態4と同様に階段状に形成し、カバー3内周部を押さえる部分と試料搭載部分とでは試料シート分の厚みに相当する段差を設けて、ディスク基板2とカバー3の内周部を押さえると共に、試料搭載部分も合わせて押さえるようになっている。これにより、試料8とディスク基板2との密着性を向上させることができ、光ピックアップで光ビームをスキャンさせて読み取るために重要な、光ビームの収束点近傍に確実に試料を配置することができる。もちろん、より確実に試料シートのずれや、試料の飛散を防止することもできる。
【0040】
(実施の形態6)
図6は本発明の請求項6に記載の発明に対応する実施例の説明図である。ディスクの構成は実施の形態1と類似しているが、ディスク基板上に繰り返しパターンが刻まれている。図において、18は、凸凹パターンであり、例えば、2mm角の凸と幅0.2mm×深さ0.5mmの凹の繰り返しパターンを、ディスク基板2の試料を配置する部位に刻んでいる。また、繰り返しパターンの4つの周辺部は、窪みとなっており、凹の繰り返しパターンとつながっている。これによって、試料シートとディスク基板を密着させる際に気泡が発生し、試料がディスク基板より浮き上がった場合にでも、凹部によって気泡を逃がすことができ、周辺部の窪みは凹部を通って出てきた空気の逃げ場とすることができる。
【0041】
このように、試料8とディスク基板2の凸部とを気泡を挟むことなく密着させることができ、光ピックアップで光ビームをスキャンさせて読み取るために重要な、光ビームの収束点近傍に確実に試料を配置することができる。
【0042】
なお、凸凹パターンのサイズについては、これに限定されるものではなく、凸凹パターンの形状も正方形に限定されず、円、三角形、多角形でもかまわない。
【0043】
(実施の形態7)
図7は、本発明の請求項7に記載の発明に対応する実施例の説明図である。全体の構成は上記実施の形態6に類似しているが、内外周方向の溝のみとなっている。
【0044】
19は、凸凹溝であり、例えば、2mmピッチで幅0.1mm×深さ0.5mmの内外周に延びる溝になっている。試料配置部の内周側と外周側には窪みがあり、溝とつながっている。これによって、試料シートとディスク基板を密着させる際に気泡が発生し、試料がディスク基板より浮き上がった場合にでも、溝によって気泡を逃がすことができ、内外周部の窪みは溝を通って出てきた空気の逃げ場とすることができる。内外周方向の溝だけで構成していることにより、CDなどの光ディスク装置と同様に案内溝をトレースする場合には凸凹溝19とは垂直に交差するため、障害を最小限にすることができ、案内溝から外れることなくトレースさせることができる。
【0045】
このように、試料8とディスク基板2とを気泡を挟むことなく密着させることができ、光ピックアップで光ビームをスキャンさせて読み取るために重要な、光ビームの収束点近傍に確実に試料を配置することができる。
【0046】
なお、凸凹溝は等間隔に描いているが、これに限定されるものではない。
【0047】
(実施の形態8)
図8は、本発明の請求項8及び9に記載の発明に対応する実施例の説明図である。ディスクの構成は上記実施の形態6及び7に類似しており、試料搭載部に溝が存在する。試料分析時には、光ピックアップより光ビームを試料に照射し、その透過または反射光を検出し、その信号レベルを試料の濃淡に対応させる。光ビームはCD−Rなどの光ディスク装置と同様にディスク基板に螺旋状に刻まれた案内溝をトレースし、分析ディスクを回転させることによって光ビームを順次スキャンさせて試料の濃淡信号を2次元画像に再構成する。試料部位を示すトリガ信号が別途生成されており、このトリガ信号を垂直同期信号として元に画像を再構成する。図8(a)は、そのまま再構成した画像を示す。20は、溝パターンであり、気泡を逃がすための溝が画像として現れている。21は、粒子であり、ここでは球形の試料を用いておりその試料が粒子として画像として現れている。トリガ信号は時間軸方向にブレているため、画像も左右にブレが生じている。図8(b)は、溝パターン20を元に垂直同期を補正した画像であり、トリガ信号のブレが全く無い場合には、溝パターン20は直線になるはずであるため、溝パターン20が直線に並ぶように、ライン毎に横方向に位置補正を行うことにより、画像のブレを補正することができる。請求項8に示すように、溝パターンの形状、ピッチなどの情報はあらかじめディスク上に記憶しておき、その溝パターン情報に基づいて、画像より溝パターンを抽出し、溝パターン以外のノイズを除去することができるので、溝パターンのみを認識して、ライン毎のズレ量を検出することができる。
【0048】
試料が単純な形状の場合は、溝パターン20が無くても試料の輪郭を抽出して画像処理によりズレ補正を行うことが可能であるが、複雑な形状の場合には補正が難しい。本発明では、明示的な溝パターン20を用いることができるので、より簡単かつ正確にズレ補正を行うことができる。
【0049】
(実施の形態9)
図9は本発明の請求項10に記載の発明に対応する実施例を示す説明図である。図9(a)は試料シートであり、図9(b)は試料シートを分析ディスクに搭載し、分析装置に装着したところを示している。全体の構成は上記実施の形態1に類似しているが、トリガマークを試料シート側に設けている点が特徴である。
【0050】
31は、トリガマークAであり、試料シートの端に黒く印刷されている。試料シートはトリガマークAが外周側になるように、ディスクに固定する。30は、トリガマーク検出器であり、トリガマークAを検出して試料部位を示すトリガ信号を発生する。分析時には分析ディスクを回転させることによって光ビームを順次スキャンさせて試料の濃淡信号を2次元画像に再構成するのであるが、試料部位を示すトリガ信号により、このトリガ信号を垂直同期信号としてライン毎の同期をとる。従来はディスク上にトリガマークを形成しており、試料シートとディスクを別体とする方式では、ディスク上のトリガマークは必ずしも試料位置を示しているとは言えず、試料位置とはズレが生じる恐れがあり、トリガマークを試料シート上に形成することによって、試料位置とトリガマークとのズレをなくすことができる。
【0051】
さらに、分析開始時に、ディスクを回転させてトリガマークの有無をトリガマーク検出器30で検出することによって、試料シートの有無を判別することや、試料シートが複数搭載できる分析ディスクでは、試料シートが何枚セットされているかを検出することもできる。
【0052】
(実施の形態10)
図10は、本発明の請求項11に記載の発明に対応する実施例の説明図である。試料シートの構成は、実施の形態10と類似しており、トリガマークの形状が異なる。図において、32は、トリガマークBであり、トリガマークAのように単一の黒い帯ではなく、バーコードのように、間欠的に黒い部分が途切れている。例えば、途切れている箇所の個数に応じて、2箇所の場合は、測定領域が1つの透明シート、5箇所の場合は測定領域が4つの透明シート、8箇所の場合はメンブレンというように試料シートの種類を割り当てておき、分析前、または分析中にトリガマークBの情報を読み込んで、領域数に応じてスキャン位置を変えたり、メンブレンの時は光ビームのパワーを上げるなどの分析条件を変えたりすることができる。
【0053】
もちろん、バーコードのように、白黒反転を変調信号として多くのコードを割り当てて、製造年月日、塗られている薬品、分析時の補正情報など、より多くの試料シートの情報を載せることも可能である。
【0054】
(実施の形態11)
図12(a)は本発明の請求項12に記載の発明に対応する実施例の説明図であり、図12(b)は同実施例の別のパターンを示す。試料シートの構成は、実施の形態11と類似しており、試料をつける範囲が明示されている点が異なる。図において、33は、認識マークであり、試料をつける範囲を示しており、同時にスキャンされる範囲でもある。トリガマークによってスキャンされる範囲が決定されるので、トリガマークに対応するスキャン領域を認識マークとすることによって、ずれることなく確実にスキャンできる位置に試料をつけることができる。
【0055】
図12(b)では4つの領域に認識マークがついているが、トリガマークBに4つの領域を持つシートのコードが記述されているので、分析装置は分析前にトリガマークを読み取って4つの領域を持つことを認識し、対応するあらかじめ決められた4つ領域のスキャンを行うことができる。
【0056】
また、認識マーク33に色をつけ、トリガマーク33にその色に対応する情報を盛り込むことによって、例えば、4つの試料シートを一つの分析ディスクに搭載し、同時に分析する場合に、4つの試料シートを赤、青、緑、黒の異なる色としておくことで、分析装置はトリガマークを認識し、赤、青、緑、黒の各色の試料シートの分析データを明示的に識別して取り扱うことができ、分析結果出力時に試料シートの色を同時に出力することによって、分析結果のを取り間違いを防止することができる。
【0057】
【発明の効果】
以上のように本発明の試料分析用ディスク、及び分析装置は、試料シートと分析ディスクを別体とし、試料シートに分析対象を搭載し、試料シートを分析ディスクに挟んで固定することによって、試料を取り扱う際の作業性を向上させ、また、試料の絶対位置または相対位置を規制することによって、分析作業の精度と効率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の請求項1に記載の発明に対応する実施例の説明図
【図2】本発明の請求項2に記載の発明に対応する実施例の断面図
【図3】本発明の請求項3に記載の発明に対応する実施例の説明図
【図4】本発明の請求項4に記載の発明に対応する実施例の断面図
【図5】本発明の請求項5に記載の発明に対応する実施例の断面図
【図6】本発明の請求項6に記載の発明に対応する実施例の説明図
【図7】本発明の請求項7に記載の発明に対応する実施例の説明図
【図8】本発明の請求項9に記載の発明に対応する実施例の説明図
【図9】本発明の請求項10に記載の発明に対応する実施例の断面図
【図10】本発明の請求項11に記載の発明に対応する実施例の説明図
【図11】本発明の請求項12に記載の発明に対応する実施例の説明図
【図12】従来の試料分析装置を示す構成図
【符号の説明】
1 分析ディスク
2 ディスク基板
3 カバー
4 試料シート
5 試料
6 試料シート基材
7 粘着層
8 試料
9 ストッパ
11 スピンドルモータ
12 光ピックアップ
13 送りモータ
15 クランパ
16 大型クランパ
18 凸凹パターン
19 凸凹溝
20 溝パターン
21 粒子
30 トリガマーク検出器
31 トリガマークA
32 トリガマークB
33 認識マーク
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転するディスク内部に配置された試料、もしくは前記試料と反応した試薬に光ビームを照射し、その反射光もしくは透過光を検出することにより試料の分析を行うための分析装置、および分析用ディスクに関し、特に試料固定時の精度と作業性に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ディスク上に展開した試料の定性・定量分析を行うための分析装置として、図12のような装置が提案されており、血液等の試料を分析することで病気の診断などを行うことができる(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図12は上記従来の分析装置を示す構成図である。装置の構成はいわゆる光ディスク装置に類似しており、ディスク1を回転させるためのスピンドルモータ11、ディスク1内に展開された試料または試料と反応した試薬に光ビームを照射するための光ピックアップ12、光ピックアップ12をディスク1の半径方向に移動させるための送りモータ13等から構成されている。装置に装着されたディスク1は、スピンドルモータ11により回転し、ディスクを回転させながら光ピックアップ12を用いてディスク1内の試料もしくは試薬に光ビームを照射し、その反射光もしくは透過光を検出することで試薬の反応状態を検出して分析を行う。ここで、分析対象となる試料は、血液等の液体であり、従来の試料分析用ディスクでは、粉のような固体を分析する際には、溶媒に混ぜる必要があり、作業性の面で問題を有していた。
【0004】
【特許文献1】
WO0026677号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の問題点を解決し、固体の試料を取り扱う際の具体的な取扱方法を提案し、試料固定時の作業性を向上させることを可能とする試料分析装置とその分析用ディスクを提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載の発明は、回転するディスク内部に配置された試料に光ビームを照射し、その反射光もしくは透過光を検出することにより試料の分析を行うための分析用ディスクにおいて、前記分析用ディスクは試料を担持する試料シートと試料シートを搭載するディスクとで構成され、前記ディスクに対して試料シートを固定するために試料全体を覆うように構成された弾性部材を備え、前記弾性部材には試料シートを脱着するための一部剥離領域を有することを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の試料分析用ディスクにおいて、試料シートを固定するための弾性部材における剥離不可能領域をディスク外周部にてディスクと接着するように構成したことを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の試料分析用ディスクにおいて、試料シートの形状と試料シートを固定するための弾性部材における剥離可能領域の形状の一部、または全部を概略一致させることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項4に記載の発明は、分析用ディスクを分析装置に装着するチャッキング機構において、試料シートを固定するための弾性部材における剥離可能領域の少なくとも一部を押接して分析用ディスクを装着することを特徴とする試料分析用ディスクチャッキング機構を有することを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の試料分析用ディスクにおいて、試料シートが接するディスクの表面に、凸凹の繰り返しパターンを形成したことを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の試料分析用ディスクにおいて、試料シートが接するディスクの表面に形成する凸凹の形状をディスクに対してラジアル方向の複数本の溝形状とすることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項7に記載の発明は、回転するディスク内部に配置された試料に光ビームを照射し、その反射光もしくは透過光を検出することにより試料の分析を行うための分析装置において、前記反射光もしくは透過光を検出によって得られた分析データから、ディスクの表面に形成された凸凹の形状による影響を、あらかじめ保持しているディスクの表面に形成された凸凹の形状情報を元に除去、または低減することを特徴とする
本発明の請求項8に記載の発明は、請求項1に記載の試料分析用ディスクにおいて、前記ディスクの表面に形成された凸凹の形状情報をあらかじめディスクに保持しておくことを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項9に記載の発明は、回転するディスク内部に配置された試料に光ビームを照射し、その反射光もしくは透過光を検出することにより試料の分析を行うための分析装置において、前記反射光もしくは透過光を検出によって得られた分析データから、ディスクの表面に形成された凸凹の形状による影響を分離し、前記分離されたデータを元にスキャンずれを補正することを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項10に記載の発明は、回転するディスク内部に配置された試料に光ビームを照射し、その反射光もしくは透過光を検出することにより試料の分析を行うための分析用ディスクにおいて、前記分析用ディスクは試料を担持する試料シートと試料シートを搭載するディスクとで構成され、前記試料シートの一部にディスク回転中の分析データ取得期間を示すマーカを有することを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の試料分析用ディスクにおいて、前記マーカに試料シートの情報を多重化したことを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項12に記載の発明は、請求項10に記載の試料分析用ディスクにおいて、前記マーカに対応する試料付着範囲を示すマークを試料シートに印刷したことを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施例について説明する。なお、上記従来例と同一の機能を有する箇所には同一の符号を付し、説明を省略する。また、実施の形態で順次説明していく中で、先に説明済みの同一の機能を有する箇所にも同一の符号を付し、説明を省略する。
【0018】
(実施の形態1)
図1(a)は本発明の請求項1に記載の発明に対応する実施例の斜視図である。
【0019】
1は、分析ディスクであり、ディスクの構造は従来の試料分析用ディスクと類似しているが、2枚貼り合わせ構造になっているディスクのうち、試料を固定する部位のカバー部が柔軟な素材を用いてディスク基板に対して剥離可能に構成され、試料が着脱自在となるように構成されている点で異なる。
【0020】
2は、ディスク基板であり、ポリカーボネートやアクリルなどの硬質プラスチックやガラスのように光学的に透明で、かつ比較的硬い素材を用いた円盤状のもので、構造上の基盤となっている。
【0021】
3は、カバーであり、例えばシリコンゴムのように光学的に透明で、かつ柔軟性の高い素材を用いており、そのうち試料を覆う部分に相当する一部が切り欠かれていて、剥離可能となっている。このカバー3の一部を剥離して試料を搭載し、剥離した部分を元に戻すことによって試料はカバーされ、その位置に固定される。ゴムは摩擦係数が高いので、固定するには好都合である。また、合わせて粘着性も持っているので、試料シート、及びディスク基板に密着させれば動かないようにすることができる。
【0022】
4は、試料シートであり、ポリエチレンなどからできている透明なフィルム状のシートであり、分析対象の試料5を載せたものである。試料シート4は平坦であるため、カバー3との接触面積を大きくとることができ、しっかり固定することができる。
【0023】
このように、ディスクと試料を簡単に分離/固定して取り扱うことができ、また、ディスクに固定したまま保存すれば、どこかに飛散する心配も無い。
【0024】
図1(b)、(c)は本発明の請求項1に記載の発明に対応する実施例の断面図であり、試料シート4の構成を拡大して示している。(b)はカバー3を剥離した状態、(c)は試料シートを密着し、固定した状態である。
【0025】
6は、試料シート基材であり、ポリエチレンなどの光学的に透明で薄いフィルムで、試料シート4の基材となる。7は、粘着層であり、試料シート基材6に試料8を粘着力で固定する。試料8は、分析対象物であり、例えば、寄生虫や寄生虫の卵、花粉、などの粒状の固体物を想定している。分析装置の読み取り部分については、従来例と同様に光ピックアップで光ビームをスキャンさせて読み取るため、この光ビームの収束点近傍に試料が薄く、均一に配置することが重要であり、粘着層7で試料8を試料シート基材へ固定する構造により、薄く、均一に試料を固定することができ、かつ、試料をディスク基板2に密着することができる。
【0026】
このように、試料シートとして分析物を取り扱うことによって、容易に固体の試料を取り扱うことができる。
【0027】
ここでは、試料を粒状の固体で説明したが、例えば、メンブレンを用いた免疫クロマトグラフィーによる分析にも適用可能である。通常、メンブレンはフィルムシート上に構成され、メンブレン側をディスク基板2へ、フィルムシート側をカバー3になるように固定すれば、抗体反応を起こしたメンブレン側はディスク基板2へ密着させることができ、分析には都合が良い。もちろん、分離/固定も自由自在であり、そのまま挟んだ状態で保存することもできる。
【0028】
また、図1では、4箇所に試料を搭載するようになっているが、その数は4箇所に限定されるものではない。
【0029】
(実施の形態2)
図2は本発明の請求項2に記載の発明に対応する実施例の断面図である。ディスクの構成は実施の形態1と類似しているが、外周部にストッパを設けて、試料シートの位置を制限するように構成した点で異なる。
【0030】
図2(b)はカバー3を剥離した状態、図2(b)(c)は試料シートを密着し、固定した状態である。図において、9は、ストッパであり、厚みは、試料シート基材6、粘着層7、試料8からなる試料シートとほぼ同じ厚さとし、分析ディスクの外周部に、ディスク基板2とカバー3とで挟み込むようにして接着する。
【0031】
このようにすることにより、カバー3の外周部の浮き上がりを防止することができ、試料シート固定する効果が更に確実となる。また、試料シートをストッパに当てて固定することで、ディスク内外周方向への位置規制を行うことができ、分析する内外周方向の範囲を確定し、無駄なく確実に分析することができる。また、分析ディスクが回転する場合の遠心力による試料シートが外周へのずれを防止することができる。
【0032】
また、図2ではストッパ9を独立して設けているが、カバー3の外周部の厚みを厚くし、一体として構成することも可能であり、ディスク基板2の外周部の厚みを厚くし、一体として構成することも可能である。
【0033】
(実施の形態3)
図3は本発明の請求項3に記載の発明に対応する実施例の説明図である。ディスクの構成は実施の形態2と類似しているが、カバーの剥離可能部と試料シートの幅を揃えて、試料シートの位置を制限するように構成した点で異なる。
【0034】
図3の上側の図はカバー3の剥離可能部を一部剥離した状態で、分析ディスク上方より見た図であり、一部剥離した部分では、試料シート基材6が直接見える状態になっている図である。カバー3の剥離不可能部分はディスク基板2に接着されており、剥離可能部の幅を試料シート基材6と概略等しくすることにより、幅方向にぴったり合わせて配置できるので、幅方向への位置規制を行うことができる。カバー3の剥離可能部の幅を試料シート基材6の幅と全く等しくしても良いが、カバー3の剥離可能部の幅を若干広めにして、試料シートを置く際に余裕があった方が配置しやすい。このようにして、分析する円周方向の範囲を確定でき、ずれることなく確実に分析することができる。
【0035】
図3では、幅方向の規制の他に、合わせてストッパにより外周方向にも位置規制を行っており、より確実に試料シートのずれを防止することができる。
【0036】
(実施の形態4)
図4は本発明の請求項4に記載の発明に対応する実施例の断面図である。ディスクの構成は実施の形態1〜3と類似しているが、内周でのカバーの固定をクランパで行うようにしている。
【0037】
15は、クランパで、スピンドルモータ11へディスクを挟み込むようにして固定するためのものである。通常、光ディスクでは、スピンドルモータ11側に磁石を埋め込み、クランパ側に鉄などの磁性体を埋め込んで、磁力によってディスク基板を挟み込んで固定する。ここでは、クランパを大型化し階段状の形状として、ディスク基板2を押さえると共に、カバー3の内周部も合わせて押さえるようになっており、カバー3との密着性を向上させ確実にシールできる。カバー3はシリコンゴムのため粘着性があり、ディスク基板2に密着させているので比較的外れにくいが、高速で回転した場合など強い遠心力が発生した場合にでも、より確実に試料シートのずれや、試料の飛散を防止することができる。
【0038】
(実施の形態5)
図5は本発明の請求項8に記載の発明に対応する実施例の断面図である。ディスクの構成は実施の形態4と類似しているが、クランパをさらに大型にして直接試料部分を押さえるようにしている。
【0039】
16は、大型クランパで、スピンドルモータ11へディスクを挟み込むようにして固定するためのものである。内周部は実施の形態4と同様に階段状に形成し、カバー3内周部を押さえる部分と試料搭載部分とでは試料シート分の厚みに相当する段差を設けて、ディスク基板2とカバー3の内周部を押さえると共に、試料搭載部分も合わせて押さえるようになっている。これにより、試料8とディスク基板2との密着性を向上させることができ、光ピックアップで光ビームをスキャンさせて読み取るために重要な、光ビームの収束点近傍に確実に試料を配置することができる。もちろん、より確実に試料シートのずれや、試料の飛散を防止することもできる。
【0040】
(実施の形態6)
図6は本発明の請求項6に記載の発明に対応する実施例の説明図である。ディスクの構成は実施の形態1と類似しているが、ディスク基板上に繰り返しパターンが刻まれている。図において、18は、凸凹パターンであり、例えば、2mm角の凸と幅0.2mm×深さ0.5mmの凹の繰り返しパターンを、ディスク基板2の試料を配置する部位に刻んでいる。また、繰り返しパターンの4つの周辺部は、窪みとなっており、凹の繰り返しパターンとつながっている。これによって、試料シートとディスク基板を密着させる際に気泡が発生し、試料がディスク基板より浮き上がった場合にでも、凹部によって気泡を逃がすことができ、周辺部の窪みは凹部を通って出てきた空気の逃げ場とすることができる。
【0041】
このように、試料8とディスク基板2の凸部とを気泡を挟むことなく密着させることができ、光ピックアップで光ビームをスキャンさせて読み取るために重要な、光ビームの収束点近傍に確実に試料を配置することができる。
【0042】
なお、凸凹パターンのサイズについては、これに限定されるものではなく、凸凹パターンの形状も正方形に限定されず、円、三角形、多角形でもかまわない。
【0043】
(実施の形態7)
図7は、本発明の請求項7に記載の発明に対応する実施例の説明図である。全体の構成は上記実施の形態6に類似しているが、内外周方向の溝のみとなっている。
【0044】
19は、凸凹溝であり、例えば、2mmピッチで幅0.1mm×深さ0.5mmの内外周に延びる溝になっている。試料配置部の内周側と外周側には窪みがあり、溝とつながっている。これによって、試料シートとディスク基板を密着させる際に気泡が発生し、試料がディスク基板より浮き上がった場合にでも、溝によって気泡を逃がすことができ、内外周部の窪みは溝を通って出てきた空気の逃げ場とすることができる。内外周方向の溝だけで構成していることにより、CDなどの光ディスク装置と同様に案内溝をトレースする場合には凸凹溝19とは垂直に交差するため、障害を最小限にすることができ、案内溝から外れることなくトレースさせることができる。
【0045】
このように、試料8とディスク基板2とを気泡を挟むことなく密着させることができ、光ピックアップで光ビームをスキャンさせて読み取るために重要な、光ビームの収束点近傍に確実に試料を配置することができる。
【0046】
なお、凸凹溝は等間隔に描いているが、これに限定されるものではない。
【0047】
(実施の形態8)
図8は、本発明の請求項8及び9に記載の発明に対応する実施例の説明図である。ディスクの構成は上記実施の形態6及び7に類似しており、試料搭載部に溝が存在する。試料分析時には、光ピックアップより光ビームを試料に照射し、その透過または反射光を検出し、その信号レベルを試料の濃淡に対応させる。光ビームはCD−Rなどの光ディスク装置と同様にディスク基板に螺旋状に刻まれた案内溝をトレースし、分析ディスクを回転させることによって光ビームを順次スキャンさせて試料の濃淡信号を2次元画像に再構成する。試料部位を示すトリガ信号が別途生成されており、このトリガ信号を垂直同期信号として元に画像を再構成する。図8(a)は、そのまま再構成した画像を示す。20は、溝パターンであり、気泡を逃がすための溝が画像として現れている。21は、粒子であり、ここでは球形の試料を用いておりその試料が粒子として画像として現れている。トリガ信号は時間軸方向にブレているため、画像も左右にブレが生じている。図8(b)は、溝パターン20を元に垂直同期を補正した画像であり、トリガ信号のブレが全く無い場合には、溝パターン20は直線になるはずであるため、溝パターン20が直線に並ぶように、ライン毎に横方向に位置補正を行うことにより、画像のブレを補正することができる。請求項8に示すように、溝パターンの形状、ピッチなどの情報はあらかじめディスク上に記憶しておき、その溝パターン情報に基づいて、画像より溝パターンを抽出し、溝パターン以外のノイズを除去することができるので、溝パターンのみを認識して、ライン毎のズレ量を検出することができる。
【0048】
試料が単純な形状の場合は、溝パターン20が無くても試料の輪郭を抽出して画像処理によりズレ補正を行うことが可能であるが、複雑な形状の場合には補正が難しい。本発明では、明示的な溝パターン20を用いることができるので、より簡単かつ正確にズレ補正を行うことができる。
【0049】
(実施の形態9)
図9は本発明の請求項10に記載の発明に対応する実施例を示す説明図である。図9(a)は試料シートであり、図9(b)は試料シートを分析ディスクに搭載し、分析装置に装着したところを示している。全体の構成は上記実施の形態1に類似しているが、トリガマークを試料シート側に設けている点が特徴である。
【0050】
31は、トリガマークAであり、試料シートの端に黒く印刷されている。試料シートはトリガマークAが外周側になるように、ディスクに固定する。30は、トリガマーク検出器であり、トリガマークAを検出して試料部位を示すトリガ信号を発生する。分析時には分析ディスクを回転させることによって光ビームを順次スキャンさせて試料の濃淡信号を2次元画像に再構成するのであるが、試料部位を示すトリガ信号により、このトリガ信号を垂直同期信号としてライン毎の同期をとる。従来はディスク上にトリガマークを形成しており、試料シートとディスクを別体とする方式では、ディスク上のトリガマークは必ずしも試料位置を示しているとは言えず、試料位置とはズレが生じる恐れがあり、トリガマークを試料シート上に形成することによって、試料位置とトリガマークとのズレをなくすことができる。
【0051】
さらに、分析開始時に、ディスクを回転させてトリガマークの有無をトリガマーク検出器30で検出することによって、試料シートの有無を判別することや、試料シートが複数搭載できる分析ディスクでは、試料シートが何枚セットされているかを検出することもできる。
【0052】
(実施の形態10)
図10は、本発明の請求項11に記載の発明に対応する実施例の説明図である。試料シートの構成は、実施の形態10と類似しており、トリガマークの形状が異なる。図において、32は、トリガマークBであり、トリガマークAのように単一の黒い帯ではなく、バーコードのように、間欠的に黒い部分が途切れている。例えば、途切れている箇所の個数に応じて、2箇所の場合は、測定領域が1つの透明シート、5箇所の場合は測定領域が4つの透明シート、8箇所の場合はメンブレンというように試料シートの種類を割り当てておき、分析前、または分析中にトリガマークBの情報を読み込んで、領域数に応じてスキャン位置を変えたり、メンブレンの時は光ビームのパワーを上げるなどの分析条件を変えたりすることができる。
【0053】
もちろん、バーコードのように、白黒反転を変調信号として多くのコードを割り当てて、製造年月日、塗られている薬品、分析時の補正情報など、より多くの試料シートの情報を載せることも可能である。
【0054】
(実施の形態11)
図12(a)は本発明の請求項12に記載の発明に対応する実施例の説明図であり、図12(b)は同実施例の別のパターンを示す。試料シートの構成は、実施の形態11と類似しており、試料をつける範囲が明示されている点が異なる。図において、33は、認識マークであり、試料をつける範囲を示しており、同時にスキャンされる範囲でもある。トリガマークによってスキャンされる範囲が決定されるので、トリガマークに対応するスキャン領域を認識マークとすることによって、ずれることなく確実にスキャンできる位置に試料をつけることができる。
【0055】
図12(b)では4つの領域に認識マークがついているが、トリガマークBに4つの領域を持つシートのコードが記述されているので、分析装置は分析前にトリガマークを読み取って4つの領域を持つことを認識し、対応するあらかじめ決められた4つ領域のスキャンを行うことができる。
【0056】
また、認識マーク33に色をつけ、トリガマーク33にその色に対応する情報を盛り込むことによって、例えば、4つの試料シートを一つの分析ディスクに搭載し、同時に分析する場合に、4つの試料シートを赤、青、緑、黒の異なる色としておくことで、分析装置はトリガマークを認識し、赤、青、緑、黒の各色の試料シートの分析データを明示的に識別して取り扱うことができ、分析結果出力時に試料シートの色を同時に出力することによって、分析結果のを取り間違いを防止することができる。
【0057】
【発明の効果】
以上のように本発明の試料分析用ディスク、及び分析装置は、試料シートと分析ディスクを別体とし、試料シートに分析対象を搭載し、試料シートを分析ディスクに挟んで固定することによって、試料を取り扱う際の作業性を向上させ、また、試料の絶対位置または相対位置を規制することによって、分析作業の精度と効率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の請求項1に記載の発明に対応する実施例の説明図
【図2】本発明の請求項2に記載の発明に対応する実施例の断面図
【図3】本発明の請求項3に記載の発明に対応する実施例の説明図
【図4】本発明の請求項4に記載の発明に対応する実施例の断面図
【図5】本発明の請求項5に記載の発明に対応する実施例の断面図
【図6】本発明の請求項6に記載の発明に対応する実施例の説明図
【図7】本発明の請求項7に記載の発明に対応する実施例の説明図
【図8】本発明の請求項9に記載の発明に対応する実施例の説明図
【図9】本発明の請求項10に記載の発明に対応する実施例の断面図
【図10】本発明の請求項11に記載の発明に対応する実施例の説明図
【図11】本発明の請求項12に記載の発明に対応する実施例の説明図
【図12】従来の試料分析装置を示す構成図
【符号の説明】
1 分析ディスク
2 ディスク基板
3 カバー
4 試料シート
5 試料
6 試料シート基材
7 粘着層
8 試料
9 ストッパ
11 スピンドルモータ
12 光ピックアップ
13 送りモータ
15 クランパ
16 大型クランパ
18 凸凹パターン
19 凸凹溝
20 溝パターン
21 粒子
30 トリガマーク検出器
31 トリガマークA
32 トリガマークB
33 認識マーク
Claims (12)
- 回転するディスク内部に配置された試料に光ビームを照射し、その反射光もしくは透過光を検出することにより試料の分析を行うための分析用ディスクにおいて、前記分析用ディスクは試料を担持する試料シートと試料シートを搭載するディスクとで構成され、前記ディスクに対して試料シートを固定するために試料全体を覆うように構成された弾性部材を備え、前記弾性部材には試料シートを脱着するための一部剥離領域を有することを特徴とする試料分析用ディスク。
- 試料シートを固定するための弾性部材における剥離不可能領域をディスク外周部にてディスクと接着するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の試料分析用ディスク。
- 試料シートの形状と試料シートを固定するための弾性部材における剥離可能領域の形状の一部、または全部を概略一致させることを特徴とする請求項1に記載の試料分析用ディスク。
- 分析用ディスクを分析装置に装着するチャッキング機構において、試料シートを固定するための弾性部材における剥離可能領域の少なくとも一部を押接して分析用ディスクを装着することを特徴とする試料分析用ディスクチャッキング機構をもつことを特徴とする試料分析装置。
- 試料シートが接するディスクの表面に、凸凹の繰り返しパターンを形成していることを特徴とする請求項1に記載の試料分析用ディスク。
- 試料シートが接するディスクの表面に形成する凸凹の形状をディスクに対してラジアル方向の複数本の溝形状とすることを特徴とする請求項5に記載の試料分析用ディスク。
- 回転するディスク内部に配置された試料に光ビームを照射し、その反射光もしくは透過光を検出することにより試料の分析を行うための分析装置において、前記反射光もしくは透過光を検出によって得られた分析データから、ディスクの表面に形成された凸凹の形状による影響を、あらかじめ保持しているディスクの表面に形成された凸凹の形状情報を元に除去、または低減することを特徴とする試料分析装置。
- 前記ディスクの表面に形成された凸凹の形状情報をあらかじめディスクに保持しておくことを特徴とする請求項5に記載の試料分析用ディスク。
- 回転するディスク内部に配置された試料に光ビームを照射し、その反射光もしくは透過光を検出することにより試料の分析を行うための分析装置において、前記反射光もしくは透過光を検出によって得られた分析データから、ディスクの表面に形成された凸凹の形状による影響を分離し、前記分離されたデータを元にスキャンずれを補正することを特徴とする試料分析装置。
- 回転するディスク内部に配置された試料に光ビームを照射し、その反射光もしくは透過光を検出することにより試料の分析を行うための分析用ディスクにおいて、前記分析用ディスクは試料を担持する試料シートと試料シートを搭載するディスクとで構成され、前記試料シートの一部にディスク回転中の分析データ取得期間を示すマーカを有することを特徴とする試料分析用ディスク。
- 前記マーカに試料シートの情報を多重化したことを特徴とする請求項10に記載の試料分析用ディスク。
- 前記マーカに対応する試料付着範囲を示すマークを試料シートに印刷したことを特徴とする請求項10に記載の試料分析用ディスク。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2011519071A (ja) * | 2008-04-29 | 2011-06-30 | コンセホ・スペリオール・デ・インベスティガシオネス・シエンティフィカス | 回折格子カプラー、システムおよび方法 |
JP2016173329A (ja) * | 2015-03-18 | 2016-09-29 | シャープ株式会社 | 分析容器とその分析装置 |
-
2003
- 2003-04-24 JP JP2003120004A patent/JP2004325236A/ja active Pending
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