JP2004323395A - 土壌の消毒方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】下層土まで消毒効果が及び、下層土に存在する土壌病害菌をも有効に防除できる土壌の消毒方法を提供すること。
【解決手段】糖蜜水溶液を土壌に潅注し、土壌温度を25〜40℃の範囲に保持し、土壌を還元化させることを特徴とする、土壌の消毒方法。
【選択図】 なし
【解決手段】糖蜜水溶液を土壌に潅注し、土壌温度を25〜40℃の範囲に保持し、土壌を還元化させることを特徴とする、土壌の消毒方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、土壌の消毒方法、詳しくは下層土まで消毒効果が及び、下層土に存在する土壌病害菌をも有効に防除できる土壌の消毒方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
圃場や施設において単一の作物の栽培を繰り返すと土壌中の病原菌が増加し、生育が悪くなって枯れてしまうことが多い。このような連作障害は、土壌病害や線虫による場合が殆どであり、対策としては抵抗性品種の利用や土壌消毒が有効である。土壌消毒法にはクロルピクリン、ダゾメット、メチルチオイソシアネートなどの化学薬剤による消毒法、太陽熱・熱水・蒸気による消毒法などがある。一方、本発明者は、フスマおよび米糠を用いる還元消毒法を開発し、ネギの根腐萎凋病菌(Fusarium redolens)に対する防除効果を確認した(非特許文献1、2参照)。還元消毒法は、土壌を十分な水分と有機物がある状態におき、土壌中の微生物の活動を活発することによって土壌を嫌気的条件とし、病原菌を死滅させるるという方法である。この技術は、農薬や特別な消毒装置が要らず、また太陽熱消毒よりも低い温度で土壌消毒ができることから北海道などの寒冷地においても利用できるという利点を有する。しかし、この還元消毒法を含め、従来の土壌消毒法では消毒の効果は耕起した深さまでであり、根の深い作物には効果がないという問題がある。
【0003】
【非特許文献1】
新村昭憲・坂本宣崇・阿部秀夫(1999). 還元消毒法によるネギ根腐萎ちょう病の防除. 日本植物病理学会報 65: 352.
【非特許文献2】
新村昭憲(2000). ネギ根腐萎凋病の病因と対策. 日本植物病理学会 土壌伝染病談話会レポート20: 133−143
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、下層土まで消毒効果が及び、下層土に存在する土壌病害菌をも有効に防除できる土壌の消毒方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記課題を解決すべき鋭意研究を重ねた結果、従来の還元消毒法におけるフスマ・米糠に代えて糖蜜を用いることによって下層土まで消毒効果が及び、その結果、防除対象となる土壌病害菌の適用範囲も広がることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)糖蜜水溶液を土壌に潅注し、土壌温度を25〜40℃の範囲に保持し、土壌を還元化させることを特徴とする、土壌の消毒方法。
(2)糖蜜水溶液を圃場容水量以上に潅注することを特徴とする、上記(1)の方法。
(3)0.4〜0.8%(w/w)の糖蜜水溶液を100〜150mm潅注することを特徴とする、上記(1)の方法。
(4)糖蜜を土壌に対して0.4〜1.2t/10a施用することを特徴とする、上記(1)の方法。
(5)潅注後に土壌を透明フィルムで覆いマルチングを行うことを特徴とする、上記(1)から(4)の方法。
(6)土壌の還元化を3〜30日間行う、上記(1)から(5)のいずれかの方法。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の土壌の消毒方法は、糖蜜水溶液を土壌に潅注し、土壌温度を25〜40℃の範囲に保持し、土壌を還元化させることを特徴とする。
【0007】
本発明において使用する糖蜜の種類としては、甘しゃ糖蜜 (Cane molasses または Black strap molasses)、てん菜糖蜜 (Beet molasses)、精糖蜜又は精製糖蜜 (Refiner’s molasses)等のいずれの種類であってもよく特に限定はされない。例えば、発酵工業の原料や家畜の飼料として利用されている市販品を用いることができる。
【0008】
糖蜜の土壌への施用は、十分な消毒効果を得る上で糖蜜水溶液を土壌に潅注する方法が好ましい。具体的には、予め水で2倍に希釈した糖蜜を液肥混入器を用いて一定の濃度に希釈することによって調製した糖蜜水溶液を、液肥混入器に接続した潅水チューブから散布することにより行う(図1参照)。潅水チューブは、圃場内に均一に散布できるように設置することが好ましい。
【0009】
糖蜜水溶液は圃場容水量以上に潅注することを好ましい。具体的には、0.4〜0.8%(w/w)、好ましくは0.6〜0.8%(w/w)の糖蜜水溶液を100〜150mm、好ましく130〜150mm潅注することが例示される。
上記の潅注は、0.4〜1.2t/10a、好ましくは0.9〜1.2t/10a施用することに相当する。
【0010】
潅注後、土壌温度を25〜40℃、さらに好ましくは30〜35℃に保持する。
ハウス内においては、土壌表面を透明フィルムで覆いマルチングを行い、ハウスを密閉して地温を上昇させ上記温度範囲に調整することが好ましい。透明フィルムは、通常の農業用塩化ビニルフィルム又は農業用ポリオレフィンフィルムなどを用いればよい。
一方、露地においては、糖蜜水溶液を土壌に潅注し還元化させる期間が、土壌温度が上記の温度範囲になる時期にあたるように潅注処理時期を設定すればよい。
【0011】
土壌温度の上昇は外気温と密接に関連し、またハウスの方が露地よりも上昇幅が大きいが、例えば、アメダスデータから平均気温 18℃、日照時間4時間/日以上、または平均気温25℃、日照時間3時間/日以上で地温が30℃に達すると考えられる。従って、土壌温度の保持にあたっては、上記データを目安とし、経時的に測定し、確認することが好ましい。
【0012】
潅注後、土壌を還元化させるための期間は、外気温の条件により適宜変更しうるが、3〜30日間、好ましくは7〜28日間、さらに好ましくは14〜21日間行うのが適当である。より具体的には、40℃で3日、35℃で7日、30℃で14日、25℃で28日間行うことが例示される。
【0013】
本発明において、「土壌の還元化」とは、未処理土壌(畑地の酸化的条件にある土壌)に比較して、酸化還元電位が300mV以上低下した状態をいう。
上記の方法によれば、耕起せずに地下30cmから50cmまでの下層土を消毒することが可能である。ここで、「下層土」とは、耕起し作物を栽培する土壌層である「作土」の下にある土壌をいう。
【0014】
本発明の土壌消毒方法による防除されうる対象は、果樹・野菜に対する植物病害、例えば、萎凋病、半身萎凋病、青枯病、つる割れ病、半枯病、萎黄病、乾腐病、根腐病、疫病、苗立枯病、黄化病等の原因となる糸状菌、細菌である。具体的には、トマト青枯病菌・ナス青枯病菌・バレイショ青枯病菌・ダイコン青枯病菌(Ralstonia solanacearum)、トマト萎凋病菌(Fusarium oxysporum f.sp.lycopersici)、イチゴ萎凋病菌(Fusarium oxysporum)、ナス半身萎凋病菌(Varticillium dahliae)、ナス立枯病菌・タバコ腰折病菌(Rhizoctonia solani)、ウリつる割病菌(Fusarium oxysporum)、カンショつる割病菌(Fusarium oxysporumf.sp.batatas)、メロン斑点細菌病(Pseudomonas syringae pv.lachrymans)、メロン軟腐病(Erwinia carotovora subsp.carotovora)、ウリ腰折病菌(Fusarium f.sp.cucumerinum、Pythium cucurbitacearum)、バレイショ黒あざ病菌・テンサイ苗立枯病菌(Rhizoctonia solani)、ダイコン黒腐病菌(Xanthomonas campestris pv.campestris)等の植物病害菌が挙げられるが、これらに限定はされない。これらのうち、根の深い作物、トマト、ナス、メロン等の農作物に対する植物病害菌の防除に有効であり、特にトマト青枯病菌(Ralstonia solanacearum)、トマト萎凋病菌(Fusarium oxysporum f.sp.lycopersici)、ナス半身萎凋病菌(Varticillium dahliae)に対して有効である。
【0015】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0016】
(実施例1) 糖蜜を用いた還元消毒による酸化還元電位の変化
(1)方法
地表面に糖蜜(製造元:株式会社メルシャン(ビート糖蜜 固形分:80% 全糖分55.7%))を1t/10a散布し、直ちに潅水チューブの設置、被覆、潅水(150mm)を行った。また、対照としてフスマ1t/10aおよび2t/10aの作土(0−15cm)混和区にも同様に潅水し、還元消毒を行った。処理は平成14年7月15日に行い、同年8月5日に地表面から50cmまでの土壌を採取し、酸化還元電位を測定した。試験は2反復行いその平均値を示した。
【0017】
(2)結果
結果を図2に示す。無混和区(潅水のみ)およびフスマ混和区に比較し、糖蜜混和区では深い土層まで酸化還元電位の低下が認められた。このことから、散布した糖蜜は潅水によって土壌深くに浸透したと考えられ、糖蜜を利用することで下層土の消毒が可能になると判断した。
【0018】
(実施例2) 糖蜜を用いた還元消毒の各種土壌病原菌に対する効果
(1) 方法
▲1▼試験1(消毒期間:平成14年7月24日〜8月15日)
道南農業試験場内のハウス圃場を用いて試験を行った。ビニルハウス内の圃場を予め耕起し、1区画(2.5m×4m)を1処理として糖蜜(ビート糖蜜 固形分:80% 全糖分55.7%)水溶液の潅注を行った。区画内の耕起された作土部分(地表下15cm)および下層土(耕起されない部分、地表下30cmおよび50cm)にトマト萎凋病菌(Fusarium oxysporum f.sp. lycopersici)、ナス半身萎凋病菌(Varticillium dahliae)、トマト青枯病菌(Ralstonia solanacearum)の接種土壌を詰めた袋(目開き20μmのナイロンメッシュ)を各深さに1つ埋設した(図3参照)。その穴にもとの土壌を埋め戻し、十分に鎮圧した。穴は3ヶ所開け3反復とし、同様の処理を各処理区画で行った。
【0019】
糖蜜水溶液の潅注は、糖蜜は粘性が高く、そのまま水に混入しても溶解しないため、予め水で2倍に希釈した糖蜜水溶液を液肥混入器(商品名:ドサトロン)を用いて希釈し、潅水チューブで土壌中に150mm(150L/m2)潅注した。糖蜜濃度は0.8%、0.6%、0.4%(w/w)に設定した。消毒開始9日後又は21日後に袋を掘り出し、トマト萎凋病菌(以下、Fusarium oxysporumと記す)、ナス半身萎凋病菌(以下、Varticillium dahliaeと記す)は風乾後、トマト青枯病菌(以下、Ralstonia solanacearumと記す)は直ちに菌数を測定した。尚、測定は、Fusarium oxysporumについては駒田培地、Varticillium dahliaeについてはショ糖遠沈・篩い分け法及び角野培地、Ralstonia solanacearum については原・小野培地による希釈平板法を用いて行った。なお、駒田培地、角野培地、原・小野培地の組成は以下の通りである。
【0020】
(駒田培地組成)
K2HPO4 1.0g、KCl 0.5g、MgSO4・7H2O 0.5g、Fe−EDTA 10mg、L−アスパラギン 2.0g、D−ガラクトース 20.0g、PCNB(75%水和剤) 1.0g、コール酸ナトリウム 0.5g、Na2BO7・10H2O 1.0g、硫酸ストレプトマイシン 0.3g、寒天 15.0g、水 1000ml、pH 3.8〜4.0
(角野培地組成)
MgSO4・7H2O 0.5g、NaNO3 2.0g、Fe(SO4)3 0.01g、K2HPO4 1.0g、KCl 0.5g、ショ糖 7.5g、PCNB(75%水和剤) 37,5mg、硫酸ストレプトマイシン 100mg、ポリオキシン(10%水和剤) 500mg、ブラストサイジンS(1%)乳剤 0.5ml、カスガマイシン塩酸塩液剤 1ml、クロラムフェニコール 250mg、寒天 15.0g、水 1000ml、pH 6.8〜7.0
(原・小野培地組成)
ジャガイモ(300g煎汁) 1000ml、Ca(NO3)2・4H2O 0.5g、Na2HPO4・12H2O 2.0g、ペプトン 5.0g、ショ糖 20g、クリスタルバイオレッド 5mg、シクロヘキシミド 50mg、ポリミキシンB硫酸塩 50mg、クロラムフェニコール 10mg、トリフェニルテトラゾリウムクロライド 25mg、寒天 15.0g、水 1000ml、pH 6.8〜7.0
【0021】
▲2▼試験2(消毒期間:平成14年8月9日〜8月30日)
Fusarium oxysporum、Verticillium dahliaeについて、時期を変えて試験1と同様の処理をし、消毒開始21日後に袋を掘り出し、菌数を測定した。
【0022】
(2) 結果
▲1▼結果1(試験1の結果)
a. Fusarium oxysporumに対する消毒効果
糖蜜濃度が0.6%以上の場合、地表下30cmまでFusarium oxysporum菌数は検出限界以下となり、高い還元消毒効果が認められた。しかし、地表下50cmにおいては、糖蜜濃度が0.6%ではほぼ死滅しているが、0.8%では反復による振れが認められ、効果が低い部分があった。この原因は、土地条件による水の浸透性の違いと考えられ、効果が低い部分の土壌を調査すると、消毒できなかった0.8%処理区の周辺土壌に透水性の悪い局部的な粘土層が認められた。
【0023】
b. Verticillium dahliaeに対する消毒効果
土壌中の微少菌核の数を調査したところ、糖蜜濃度が0.6%以上の場合、50cmまでほぼ死滅していた。0.8%の21日目で検出されているのはFusarium oxysporumで消毒が不完全であった土壌と同一であることから、透水性の低い土壌の存在による糖蜜の浸透不良と考えられる。
【0024】
c. Ralstonia solanacearumに対する消毒効果
Ralstonia solanacearumに対しては糖蜜濃度が0.4%以上で50cmまで死滅した。本病菌はFusarium oxysporumやVerticillium dahliaeよりも還元消毒に対する感受性が高いといえる。
【0025】
▲2▼ 結果2(試験2の結果)
a. Fusarium oxysporumに対する消毒効果
試験1と同様に糖蜜濃度が0.6%以上であれば糖蜜潅注による還元消毒の効果は高く、地表下15cmから50cmまでFusarium oxysporumの密度は大きく低下した。
b. Verticillium dahliaeに対する消毒効果
試験1と同様に糖蜜濃度0.6%以上で50cmまでほぼ死滅していた。僅かに残った部分があるが消毒効果としては問題ないと考えられる。
上記の結果1を表1に、結果2を表2にまとめる。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
以上の結果から、濃度0.6%の糖蜜水溶液を150mmの水量で土壌中に浸透させる還元消毒によって、地表下50cmまでの下層土を消毒することが可能であると考えられる。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、地表下50cmの下層土まで消毒できる土壌消毒方法が提供される。本発明の土壌消毒方法によれば、トマトなどの深根性の農作物に対する植物病害菌の防除が可能となり、太陽熱消毒のように実施時期や地域の気象条件に制限がなく、安定した消毒効果が低温で達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】潅水チューブによる糖蜜水溶液の土壌への潅注方法を示す。
【図2】糖蜜混和区、フスマ混和区、無混和区(潅水のみ)における酸化還元電位を示す。
【図3】病原菌接種土壌を埋設させた様子を示す。
【発明の属する技術分野】
本発明は、土壌の消毒方法、詳しくは下層土まで消毒効果が及び、下層土に存在する土壌病害菌をも有効に防除できる土壌の消毒方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
圃場や施設において単一の作物の栽培を繰り返すと土壌中の病原菌が増加し、生育が悪くなって枯れてしまうことが多い。このような連作障害は、土壌病害や線虫による場合が殆どであり、対策としては抵抗性品種の利用や土壌消毒が有効である。土壌消毒法にはクロルピクリン、ダゾメット、メチルチオイソシアネートなどの化学薬剤による消毒法、太陽熱・熱水・蒸気による消毒法などがある。一方、本発明者は、フスマおよび米糠を用いる還元消毒法を開発し、ネギの根腐萎凋病菌(Fusarium redolens)に対する防除効果を確認した(非特許文献1、2参照)。還元消毒法は、土壌を十分な水分と有機物がある状態におき、土壌中の微生物の活動を活発することによって土壌を嫌気的条件とし、病原菌を死滅させるるという方法である。この技術は、農薬や特別な消毒装置が要らず、また太陽熱消毒よりも低い温度で土壌消毒ができることから北海道などの寒冷地においても利用できるという利点を有する。しかし、この還元消毒法を含め、従来の土壌消毒法では消毒の効果は耕起した深さまでであり、根の深い作物には効果がないという問題がある。
【0003】
【非特許文献1】
新村昭憲・坂本宣崇・阿部秀夫(1999). 還元消毒法によるネギ根腐萎ちょう病の防除. 日本植物病理学会報 65: 352.
【非特許文献2】
新村昭憲(2000). ネギ根腐萎凋病の病因と対策. 日本植物病理学会 土壌伝染病談話会レポート20: 133−143
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、下層土まで消毒効果が及び、下層土に存在する土壌病害菌をも有効に防除できる土壌の消毒方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記課題を解決すべき鋭意研究を重ねた結果、従来の還元消毒法におけるフスマ・米糠に代えて糖蜜を用いることによって下層土まで消毒効果が及び、その結果、防除対象となる土壌病害菌の適用範囲も広がることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)糖蜜水溶液を土壌に潅注し、土壌温度を25〜40℃の範囲に保持し、土壌を還元化させることを特徴とする、土壌の消毒方法。
(2)糖蜜水溶液を圃場容水量以上に潅注することを特徴とする、上記(1)の方法。
(3)0.4〜0.8%(w/w)の糖蜜水溶液を100〜150mm潅注することを特徴とする、上記(1)の方法。
(4)糖蜜を土壌に対して0.4〜1.2t/10a施用することを特徴とする、上記(1)の方法。
(5)潅注後に土壌を透明フィルムで覆いマルチングを行うことを特徴とする、上記(1)から(4)の方法。
(6)土壌の還元化を3〜30日間行う、上記(1)から(5)のいずれかの方法。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の土壌の消毒方法は、糖蜜水溶液を土壌に潅注し、土壌温度を25〜40℃の範囲に保持し、土壌を還元化させることを特徴とする。
【0007】
本発明において使用する糖蜜の種類としては、甘しゃ糖蜜 (Cane molasses または Black strap molasses)、てん菜糖蜜 (Beet molasses)、精糖蜜又は精製糖蜜 (Refiner’s molasses)等のいずれの種類であってもよく特に限定はされない。例えば、発酵工業の原料や家畜の飼料として利用されている市販品を用いることができる。
【0008】
糖蜜の土壌への施用は、十分な消毒効果を得る上で糖蜜水溶液を土壌に潅注する方法が好ましい。具体的には、予め水で2倍に希釈した糖蜜を液肥混入器を用いて一定の濃度に希釈することによって調製した糖蜜水溶液を、液肥混入器に接続した潅水チューブから散布することにより行う(図1参照)。潅水チューブは、圃場内に均一に散布できるように設置することが好ましい。
【0009】
糖蜜水溶液は圃場容水量以上に潅注することを好ましい。具体的には、0.4〜0.8%(w/w)、好ましくは0.6〜0.8%(w/w)の糖蜜水溶液を100〜150mm、好ましく130〜150mm潅注することが例示される。
上記の潅注は、0.4〜1.2t/10a、好ましくは0.9〜1.2t/10a施用することに相当する。
【0010】
潅注後、土壌温度を25〜40℃、さらに好ましくは30〜35℃に保持する。
ハウス内においては、土壌表面を透明フィルムで覆いマルチングを行い、ハウスを密閉して地温を上昇させ上記温度範囲に調整することが好ましい。透明フィルムは、通常の農業用塩化ビニルフィルム又は農業用ポリオレフィンフィルムなどを用いればよい。
一方、露地においては、糖蜜水溶液を土壌に潅注し還元化させる期間が、土壌温度が上記の温度範囲になる時期にあたるように潅注処理時期を設定すればよい。
【0011】
土壌温度の上昇は外気温と密接に関連し、またハウスの方が露地よりも上昇幅が大きいが、例えば、アメダスデータから平均気温 18℃、日照時間4時間/日以上、または平均気温25℃、日照時間3時間/日以上で地温が30℃に達すると考えられる。従って、土壌温度の保持にあたっては、上記データを目安とし、経時的に測定し、確認することが好ましい。
【0012】
潅注後、土壌を還元化させるための期間は、外気温の条件により適宜変更しうるが、3〜30日間、好ましくは7〜28日間、さらに好ましくは14〜21日間行うのが適当である。より具体的には、40℃で3日、35℃で7日、30℃で14日、25℃で28日間行うことが例示される。
【0013】
本発明において、「土壌の還元化」とは、未処理土壌(畑地の酸化的条件にある土壌)に比較して、酸化還元電位が300mV以上低下した状態をいう。
上記の方法によれば、耕起せずに地下30cmから50cmまでの下層土を消毒することが可能である。ここで、「下層土」とは、耕起し作物を栽培する土壌層である「作土」の下にある土壌をいう。
【0014】
本発明の土壌消毒方法による防除されうる対象は、果樹・野菜に対する植物病害、例えば、萎凋病、半身萎凋病、青枯病、つる割れ病、半枯病、萎黄病、乾腐病、根腐病、疫病、苗立枯病、黄化病等の原因となる糸状菌、細菌である。具体的には、トマト青枯病菌・ナス青枯病菌・バレイショ青枯病菌・ダイコン青枯病菌(Ralstonia solanacearum)、トマト萎凋病菌(Fusarium oxysporum f.sp.lycopersici)、イチゴ萎凋病菌(Fusarium oxysporum)、ナス半身萎凋病菌(Varticillium dahliae)、ナス立枯病菌・タバコ腰折病菌(Rhizoctonia solani)、ウリつる割病菌(Fusarium oxysporum)、カンショつる割病菌(Fusarium oxysporumf.sp.batatas)、メロン斑点細菌病(Pseudomonas syringae pv.lachrymans)、メロン軟腐病(Erwinia carotovora subsp.carotovora)、ウリ腰折病菌(Fusarium f.sp.cucumerinum、Pythium cucurbitacearum)、バレイショ黒あざ病菌・テンサイ苗立枯病菌(Rhizoctonia solani)、ダイコン黒腐病菌(Xanthomonas campestris pv.campestris)等の植物病害菌が挙げられるが、これらに限定はされない。これらのうち、根の深い作物、トマト、ナス、メロン等の農作物に対する植物病害菌の防除に有効であり、特にトマト青枯病菌(Ralstonia solanacearum)、トマト萎凋病菌(Fusarium oxysporum f.sp.lycopersici)、ナス半身萎凋病菌(Varticillium dahliae)に対して有効である。
【0015】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0016】
(実施例1) 糖蜜を用いた還元消毒による酸化還元電位の変化
(1)方法
地表面に糖蜜(製造元:株式会社メルシャン(ビート糖蜜 固形分:80% 全糖分55.7%))を1t/10a散布し、直ちに潅水チューブの設置、被覆、潅水(150mm)を行った。また、対照としてフスマ1t/10aおよび2t/10aの作土(0−15cm)混和区にも同様に潅水し、還元消毒を行った。処理は平成14年7月15日に行い、同年8月5日に地表面から50cmまでの土壌を採取し、酸化還元電位を測定した。試験は2反復行いその平均値を示した。
【0017】
(2)結果
結果を図2に示す。無混和区(潅水のみ)およびフスマ混和区に比較し、糖蜜混和区では深い土層まで酸化還元電位の低下が認められた。このことから、散布した糖蜜は潅水によって土壌深くに浸透したと考えられ、糖蜜を利用することで下層土の消毒が可能になると判断した。
【0018】
(実施例2) 糖蜜を用いた還元消毒の各種土壌病原菌に対する効果
(1) 方法
▲1▼試験1(消毒期間:平成14年7月24日〜8月15日)
道南農業試験場内のハウス圃場を用いて試験を行った。ビニルハウス内の圃場を予め耕起し、1区画(2.5m×4m)を1処理として糖蜜(ビート糖蜜 固形分:80% 全糖分55.7%)水溶液の潅注を行った。区画内の耕起された作土部分(地表下15cm)および下層土(耕起されない部分、地表下30cmおよび50cm)にトマト萎凋病菌(Fusarium oxysporum f.sp. lycopersici)、ナス半身萎凋病菌(Varticillium dahliae)、トマト青枯病菌(Ralstonia solanacearum)の接種土壌を詰めた袋(目開き20μmのナイロンメッシュ)を各深さに1つ埋設した(図3参照)。その穴にもとの土壌を埋め戻し、十分に鎮圧した。穴は3ヶ所開け3反復とし、同様の処理を各処理区画で行った。
【0019】
糖蜜水溶液の潅注は、糖蜜は粘性が高く、そのまま水に混入しても溶解しないため、予め水で2倍に希釈した糖蜜水溶液を液肥混入器(商品名:ドサトロン)を用いて希釈し、潅水チューブで土壌中に150mm(150L/m2)潅注した。糖蜜濃度は0.8%、0.6%、0.4%(w/w)に設定した。消毒開始9日後又は21日後に袋を掘り出し、トマト萎凋病菌(以下、Fusarium oxysporumと記す)、ナス半身萎凋病菌(以下、Varticillium dahliaeと記す)は風乾後、トマト青枯病菌(以下、Ralstonia solanacearumと記す)は直ちに菌数を測定した。尚、測定は、Fusarium oxysporumについては駒田培地、Varticillium dahliaeについてはショ糖遠沈・篩い分け法及び角野培地、Ralstonia solanacearum については原・小野培地による希釈平板法を用いて行った。なお、駒田培地、角野培地、原・小野培地の組成は以下の通りである。
【0020】
(駒田培地組成)
K2HPO4 1.0g、KCl 0.5g、MgSO4・7H2O 0.5g、Fe−EDTA 10mg、L−アスパラギン 2.0g、D−ガラクトース 20.0g、PCNB(75%水和剤) 1.0g、コール酸ナトリウム 0.5g、Na2BO7・10H2O 1.0g、硫酸ストレプトマイシン 0.3g、寒天 15.0g、水 1000ml、pH 3.8〜4.0
(角野培地組成)
MgSO4・7H2O 0.5g、NaNO3 2.0g、Fe(SO4)3 0.01g、K2HPO4 1.0g、KCl 0.5g、ショ糖 7.5g、PCNB(75%水和剤) 37,5mg、硫酸ストレプトマイシン 100mg、ポリオキシン(10%水和剤) 500mg、ブラストサイジンS(1%)乳剤 0.5ml、カスガマイシン塩酸塩液剤 1ml、クロラムフェニコール 250mg、寒天 15.0g、水 1000ml、pH 6.8〜7.0
(原・小野培地組成)
ジャガイモ(300g煎汁) 1000ml、Ca(NO3)2・4H2O 0.5g、Na2HPO4・12H2O 2.0g、ペプトン 5.0g、ショ糖 20g、クリスタルバイオレッド 5mg、シクロヘキシミド 50mg、ポリミキシンB硫酸塩 50mg、クロラムフェニコール 10mg、トリフェニルテトラゾリウムクロライド 25mg、寒天 15.0g、水 1000ml、pH 6.8〜7.0
【0021】
▲2▼試験2(消毒期間:平成14年8月9日〜8月30日)
Fusarium oxysporum、Verticillium dahliaeについて、時期を変えて試験1と同様の処理をし、消毒開始21日後に袋を掘り出し、菌数を測定した。
【0022】
(2) 結果
▲1▼結果1(試験1の結果)
a. Fusarium oxysporumに対する消毒効果
糖蜜濃度が0.6%以上の場合、地表下30cmまでFusarium oxysporum菌数は検出限界以下となり、高い還元消毒効果が認められた。しかし、地表下50cmにおいては、糖蜜濃度が0.6%ではほぼ死滅しているが、0.8%では反復による振れが認められ、効果が低い部分があった。この原因は、土地条件による水の浸透性の違いと考えられ、効果が低い部分の土壌を調査すると、消毒できなかった0.8%処理区の周辺土壌に透水性の悪い局部的な粘土層が認められた。
【0023】
b. Verticillium dahliaeに対する消毒効果
土壌中の微少菌核の数を調査したところ、糖蜜濃度が0.6%以上の場合、50cmまでほぼ死滅していた。0.8%の21日目で検出されているのはFusarium oxysporumで消毒が不完全であった土壌と同一であることから、透水性の低い土壌の存在による糖蜜の浸透不良と考えられる。
【0024】
c. Ralstonia solanacearumに対する消毒効果
Ralstonia solanacearumに対しては糖蜜濃度が0.4%以上で50cmまで死滅した。本病菌はFusarium oxysporumやVerticillium dahliaeよりも還元消毒に対する感受性が高いといえる。
【0025】
▲2▼ 結果2(試験2の結果)
a. Fusarium oxysporumに対する消毒効果
試験1と同様に糖蜜濃度が0.6%以上であれば糖蜜潅注による還元消毒の効果は高く、地表下15cmから50cmまでFusarium oxysporumの密度は大きく低下した。
b. Verticillium dahliaeに対する消毒効果
試験1と同様に糖蜜濃度0.6%以上で50cmまでほぼ死滅していた。僅かに残った部分があるが消毒効果としては問題ないと考えられる。
上記の結果1を表1に、結果2を表2にまとめる。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
以上の結果から、濃度0.6%の糖蜜水溶液を150mmの水量で土壌中に浸透させる還元消毒によって、地表下50cmまでの下層土を消毒することが可能であると考えられる。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、地表下50cmの下層土まで消毒できる土壌消毒方法が提供される。本発明の土壌消毒方法によれば、トマトなどの深根性の農作物に対する植物病害菌の防除が可能となり、太陽熱消毒のように実施時期や地域の気象条件に制限がなく、安定した消毒効果が低温で達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】潅水チューブによる糖蜜水溶液の土壌への潅注方法を示す。
【図2】糖蜜混和区、フスマ混和区、無混和区(潅水のみ)における酸化還元電位を示す。
【図3】病原菌接種土壌を埋設させた様子を示す。
Claims (6)
- 糖蜜水溶液を土壌に潅注し、土壌温度を25〜40℃の範囲に保持し、土壌を還元化させることを特徴とする、土壌の消毒方法。
- 糖蜜水溶液を圃場容水量以上に潅注することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 0.4〜0.8%(w/w)の糖蜜水溶液を100〜150mm潅注することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 糖蜜を土壌に対して0.4〜1.2t/10a施用することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 糖蜜水溶液の潅注後に土壌を透明フィルムで覆いマルチングを行うことを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
- 土壌の還元化を3〜30日間行う、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
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