JP2004322017A - 多層覆土の排水システム - Google Patents

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正人 鈴木
Atsushi Imai
淳 今井
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Abstract

【課題】多層覆土の浸透水を効率よく排水でき、また、多層覆土における排水効率を向上できるようにする。
【解決手段】埋立て廃棄物の上表面に粗粒層18とその上層に積層した細粒層20からなる勾配が付された浸透水キャピラリーバリア層を形成し、前記キャピラリーバリア層17による勾配に沿った移動で浸透水が粗粒層18へ浸透する箇所に複数の排水溝24を形成する。また、前記浸透水キャピラリーバリア層を多段に設けて、キャピラリーバリア層17による勾配の側方移動で浸透水が粗粒層34へ落ちる箇所を先延ばし、浸透水を下流側へ排水すればよい。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は多層覆土の排水システムに係り、廃棄物埋立て地において降雨等が廃棄物中へ浸透するのを防止するための排水システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
廃棄物の最終処分において、これまで多くの試みがなされており、なかでも放射性廃棄物あるいはダイオキシン類を含む廃棄物については最終的な処分として、地中に埋め立てるケースがある。こうした埋め立てによる廃棄物については降雨等が地中の廃棄物を通過して汚水となり、近隣の地下水に流れ込み地下水を汚染してしまう可能性があるため、降雨等による浸透水の廃棄物への様々な浸水防止策が行われている。
【0003】
このような浸水防止策のひとつに引用文献1で示す、多層覆土を利用した廃棄物埋立て構造がある。図4にその縦断面図を示す。図4において廃棄物表面を覆う多層覆土は、廃棄物1の表面部に導水勾配を付して現地発生土2で覆った後、粗粒層3とこれに引き続いて細粒層4を敷設し、最後に全体を遮水性の良い現地発生土および表土5で覆う構成としている。ここで細粒層と粗粒層との層境界には勾配をつけている。これは、多層覆土を構成する粒度の大きい磔・砕石などからなる粗粒層の上層に、粒度の小さい細砂などからなる保水性の大きい細粒層を設けることにより、降雨等による浸透水を細粒層で保水させて止まらせるとともに、境界部分に導水勾配を付して粗粒層と細粒層の境界面に沿って自然流下させる仕組みとなっている。
【0004】
これにより多層覆土表面を通過して細粒層に浸透して下方に移動した浸透水は、粗粒材との境界面付近で流れの方向を勾配に沿って変え、細粒材中を通って側方へ除去される。このため、廃棄物層への浸透水量は減少する。
【0005】
この多層覆土に侵入した浸透水が境界面に沿って流下する土槽実験例を図5に示す。二次元試験槽6内部に下層に粗粒層、上層に細粒層で多層覆土を構成する。二次元試験槽6底面の浸透水が浸水する下流側の端部の一部を残して粗粒材7を詰め、残された下端部の一部に細粒材8を詰めた後、全体の表面に細粒材8を詰める。二次元試験槽全体を傾斜させて二次元試験槽の上端から給水設備9により一定流量の水を供給する。
【0006】
二次元試験槽6の上端より供給された水は粗粒層と細粒層の層境界に到達し、図5の(b)〜(c)に示すように、境界面に沿いながら導水勾配に沿って流下・浸透し、二次元試験槽の下辺に設けられた排水孔より放出される。このとき、浸透水の細砂表面からの侵入口から浸透水が粗粒層に落ち込む箇所までの距離を排水距離という。この浸透水の挙動は粗粒層と細粒層の物性の差や導水勾配の大きさや、時間あたりの給水量などのパラメータに依存し変化するものである。
【0007】
このような細粒層の毛管力の働きにより形成される遮水層をキャピラリーバリアという。このキャピラリーバリアは、いわばスポンジを空中に浮かせた状態で水が落ちない量まで水を含め、この水を含んだスポンジを傾斜配置することにより水が落水することなくスポンジ下面に沿って流れる現象にたとえることができる。ここでスポンジ部分に相当する細粒層と下層との接着面はできるだけ少なくすれば水が伝わりやすいので、下層を構成する層には空間の多い粗粒層が用いられる。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−17933号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の廃棄物埋立て地における多層覆土によれば次のような問題点がある。埋立て廃棄物に浸透水キャピラリーバリア層を形成するのに、側方の排水溝までの距離が長く、前記キャピラリーバリア層による勾配に沿った移動で浸透水が粗粒層へ落ちる距離が短くなってしまい、排水溝に到達する前に下方に浸透してしまうケースがある。
【0010】
また、多層覆土構造を施す設置場所によっては、適正勾配を付けたとしても地盤沈下等により勾配がゆるく、あるいは平坦地になってしまい、勾配が得られず排水ができなくなってしまい、キャピラリーバリアを期待した多層覆土の適用が困難となってしまう。
【0011】
そこで、本発明は上記多層覆土における課題を解決するためになされたもので、多層覆土の浸透水を効率よく排水できるようにすることを目的とした。
また、多層覆土を形成する材料は低コストを考慮して品質の低い(保水性の悪い)材料を用いるケースがある。しかし、材料の種類によっては浸透水がキャピラリーバリア層の勾配を移動する排水距離が短くなってしまう場合があり、排水距離が短い場合は、効果的な排水が期待できない場合がある。
本発明は多層覆土における排水距離を延長できるようにすることを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る多層覆土の排水システムは、埋立て廃棄物保護層の上表面に粗粒層とその上層に積層した細粒層からなる勾配が付された浸透水キャピラリーバリア層を形成するとともに、当該キャピラリーバリア層上に表層覆土を形成してなる多層覆土の排水システムであって、前記埋立て廃棄物保護層の勾配に係らず前記キャピラリーバリア層を少なくとも保水限度距離以内に一定勾配を付して形成するとともに、勾配下流側に排水溝を設置して埋立て地の遮水と集水を行うことを特徴とする構成とした。この場合において、前記キャピラリーバリア層を階段状または山形状に勾配を形成し、表層覆土の平坦化をするように構成できる。
【0013】
また、本発明は、埋立て廃棄物保護層の上表面に粗粒層とその上層に積層した細粒層からなる勾配が付された浸透水キャピラリーバリア層を形成するとともに、当該キャピラリーバリア層上に表層覆土を形成してなる多層覆土の排水システムであって、前記キャピラリーバリア層の勾配側に設置される排水溝を溝部材の底部に高空隙粗粒材を敷き詰め、当該高空隙粗粒材上に前記キャピラリーバリア層の粗粒層に連接される細粒層を積層したことを特徴とする。前記排水溝は、その底部から順に敷き詰めた粗粒石層と粗粒層と、浸透水が浸入する溝側面に溝上部の粗粒層と溝底部の粗粒層をつなぐ粗粒石からなる壁面と、溝内部に細粒層と接続した細粒砂を敷き詰めた細粒層とから構成すればよい。前記高空隙粗粒材には排水路を形成する有孔管を埋立てすることができ、また、前記排水溝の上部コーナには遮水シートを配置することができる。
【0014】
また、本発明は、埋立て廃棄物保護層の上表面に粗粒層とその上層に積層した細粒層からなる勾配が付された浸透水キャピラリーバリア層を形成するとともに、当該キャピラリーバリア層上に表層覆土を形成してなる多層覆土の排水システムであって、前記キャピラリーバリア層を少なくとも保水限度距離以内の箇所で多層に形成することにより、上層キャピラリーバリア層からの落水を下層キャピラリーバリアで受けて保水限度距離を延長させて埋立て地の遮水と集水を行うように構成することができる。
【0015】
これらの場合において、前記キャピラリーバリア層を形成する細粒層と粗粒層の間に不織布を敷き、あるいは前記細粒層または粗粒層は固形物を粉砕して粒度を調整した粉砕物から構成するようにしてもよい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る多層覆土の排水システムの実施形態を図面に基づき詳細に説明する。
図3はキャピラリーバリア層を用いた多層覆土による廃棄物の埋立て領域の断面構成を示している。廃棄物10を埋め立てる場所は、例えば、緩傾斜地を利用して凹陥地を造成することにより埋立て領域とする。もちろん平坦地に造成しても良い。この凹陥地の山側法面、底部、および左右の法面に遮水層12を敷設する。この遮水層12は水の透過を防止できるものであればその材質は特に限定しない。例えば、凹陥地の掘削によって生じた土と、水と接すると膨潤して水が非常に浸透しにくくなる性質を持つ粘土鉱物のベントナイトを混合して生成した有害物質の拡散遅延性能を持つ遮水土を層状に敷設すればよい。この遮水層12は凹陥地の底部に敷設されるとともに、その周縁部から山側及び左右の法面に沿って上方に立ち上げるように敷設する。これにより、凹陥地周辺の地下水が凹陥地内部に侵入するのを防止できる。
【0017】
次いで、遮水層12が敷設されている領域に廃棄物10を投入する。廃棄物10が満杯になった時点で、今度は廃棄物10の上面部の処理を行う。投入された廃棄物10の上表面部に導水勾配を付し、廃棄物10の表面を降雨浸透水が自然流下しやすい条件に設定する。この勾配は、凹陥地が形成される緩傾斜地の傾斜方向に設定すると共に、凹陥地のセンターラインに沿う稜線部から左右方向への傾斜が付けられるように設定すればよい。この導水勾配を付した廃棄物10の上表面を保護層16で覆う。この保護層16は必要に応じて浸透性を抑制できるものとする。さらに、この保護層16の上表面にいわゆるキャピラリーバリア層17を敷設するのである。これは、まず下層側に保水性の小さい粗粒層18を敷設する。この粗粒層18は礫、砂利、砕石などにより形成すればよい。ついで、当該粗粒層18の上表面に保水性の大きい細粒層20を敷設する。この細粒層20は浸透した水が表面張力作用で保水状態を維持できるようなサイズの砂などを用いればよい。このようにキャピラリーバリア層17は粒子の大きい粗粒層18の上層に、小さい粒で構成した保水性の大きい細粒層20を設けて勾配が付されているので、降雨等による浸透水は細粒層20に保水されながら、粗粒層18と細粒層20の境界面に沿って勾配にしたがって流下することになる。このように廃棄物10の上表面に保護層16、粗粒層18、細粒層20を順に積層させた後、覆土22層で表面を覆う構成としている。この覆土22層は、完全遮水を行うと埋立てされた廃棄物に水分が供給されないこととなり、安定化するまでの時間が莫大に必要となる可能性があるので、浸透水を制御できるものであることが必要である。
【0018】
このような基本構成において、キャピラリーバリア層17を有する多層覆土の施工においては、雨が多層覆土に均等に降り注いで勾配を流れるとき、ある一定値を超えるとオーバーフローして下層の粗粒層18に落下して下層に浸透してしまうため、いかに集水が効率よく行われるかが最重要課題となっている。
【0019】
図5における多層覆土の遮水性能評価方法によれば多層覆土に用いる細粒材の排水挙動及び能力を確認し、そのシミュレーションを通じて浸透水がキャピラリーバリア層17の勾配に沿って移動する排水距離(保水限度距離)を求めることが可能である。このことから、この評価試験に基づき、多層覆土に利用する細粒材および粗粒材を評価して、得られた測定値結果より排水距離及び排水量を予測することが可能である。
【0020】
そこで、キャピラリーバリア層17における浸透水の粗粒層18への落水地点に対して排水溝24を作って集水すればよい。あるいは浸透水が落水してしまう場所の手前で排水溝24をつくり下層への浸透を防止すればよい。これを連続で、直線状に多層覆土中に複数設置すれば、分割して効果的に降雨等を集水することができる。
【0021】
図1に多層覆土の排水システムの設置断面図を示す。図1において、(a)は勾配のある多層覆土の排水システムを示す。(b)は(a)よりも勾配のゆるい多層覆土の排水システムを示す。(c)は勾配のない平面地での多層覆土の排水システムを示す。
【0022】
図1(a)の勾配のある多層覆土の排水システムにおいて、多層覆土は図示しない廃棄物の上に保護層16を敷き、その上層に下層側から粗粒石18aと細粒砂20aからなるキャピラリーバリア層17a、並びに表層覆土22の順で敷設する。遮水性能評価試験に基づき表層からの浸透水の排水距離に応じて、その排水距離毎に排水溝24を設置する。この排水溝24は遮水性のU字型溝部材でその底部に空隙率が高い粒度の大きい砕石から構成される高空隙粗粒材23が敷かれる。そして、その上に前記粗粒石層18aを順に敷き詰めている。浸透水が侵入する溝側面には、キャピラリーバリア層17a側の粗粒石18a層と溝底部の粗粒石18a層をつなぐ壁面を形成するように、粗粒石18a層の縦層が設けられている。さらに、溝内部には細粒砂20a層が埋め込まれている。
【0023】
これにより、多層覆土表面より浸透した降雨等は表層覆土22を通過し、細粒砂20a層および粗粒石18a層から形成されるキャピラリーバリア層17aの境界面を勾配に従い移動し、排水溝24の浸透上流側の側面から排水溝24内部の細粒砂20a層に流れ込む。また、排水溝24の片側の側面上部における粗粒石18a層には傾斜が付けられており、浸透水の下層への浸透を減少させている。排水溝24の内部には水が滞留しないように、溝底部には高空隙粗粒材23を設置し必要に応じて排水断面を確保するために有孔管を溝底に設置し、下流側への排水を可能としている。なお、この排水溝24の材質は遮水効果があればコンクリートまたは樹脂のような剛体を用いてもよい。また、排水溝24の側面突出部と、保護層とで形成するフランジ部の境界面には必要に応じて遮水シート26を配置している。これは浸透水の流末端部において水が下層に浸透しやすい箇所の浸水を防止するためのものであり、遮水効果があればその材質は特に限定しない。図中の矢印は降雨等の水の流れ方向を示すものである。
【0024】
図1(b)は(a)よりも勾配がゆるい多層覆土の排水システムであり、覆土の構成は前述と同様である。多層覆土の勾配がゆるい場合はキャピラリー効果が期待できない。よってキャピラリーバリア層17aによる浸透水を排水するために、キャピラリーバリア層17aに階段型の勾配をつけ、表層覆土22の平坦化を図るようにしたものである。より具体的にはキャピラリーバリア層17aの特に粗粒石18a層と細粒砂20a層の境界面に階段型の勾配を付けている。この勾配は上流側の排水落とし込み口よりも高い位置に配置し、浸透水がキャピラリーバリア層17aを勾配にそって下流側へ移動して排水溝24内に流れ込む構造としている。さらに排水溝24は遮水性能評価試験に基づき浸透水の排水距離を考慮した位置に設置している。すなわち、キャピラリーバリア層17aを少なくとも排水距離(保水限度距離)以内に一定勾配を付して形成しているのである。溝内部は前述と同様の構成としており、排水溝24の側面突出部と保護層とで形成するフランジ部の境界面には必要に応じて遮水シート26を設けている。
【0025】
前述の排水システムは緩勾配のある箇所では有効に機能するが、廃棄物の埋立て場所によっては勾配形成が困難な場合がある。図1(c)は平坦地における多層覆土の排水システムであり、覆土の構成は前述と同様である。この平面地の場合、キャピラリー効果を期待した集水ができない。よって、多層覆土に勾配をつけるために排水溝24と排水溝24の間にキャピラリーバリア層17aの山を形成する。この山の谷部分および端部に排水溝24を設置するものである。排水溝24は浸透水がキャピラリーバリア層17aを移動する排水距離を考慮した位置に設置している。溝内部は前述と同様の構成としており、排水溝24の側面突出部と保護層16とで形成するフランジ部の境界面には必要に応じて遮水シート26を設けている。
【0026】
これにより、埋立て廃棄物の上表面に粗粒層とその上層に積層した細粒層からなる勾配が付された浸透水キャピラリーバリア層以外の、勾配がゆるく、あるいは平坦地のようなキャピラリー効果が期待できない場合でも、階段型またはW字型に勾配を形成することにより、浸透水の集水を効果的に行える。また、浸透水がキャピラリーバリア層を移動する排水距離を考慮して排水溝を設置しているのでキャピラリーバリア層内で浸透水が下層に浸透することを防止することができる。
【0027】
なお、本実施形態では排水溝24の内部に水が帯流しないように、溝底部には高空隙粗粒材23を設置したが、この他、この高空隙粗粒材23を用いずに、粗粒石18a層をそのまま敷き詰めてもよい。
また、この構成により表層からでる浸透水は廃棄物に接触しないで排水されるため、汚染の危険がほとんどないと考えられる。従って、表面排水と同様にそのまま排水することができる。
【0028】
一方、粗粒層18を下層とし細粒層20を上層とする多層覆土において、降雨等がキャピラリーバリア層17に沿って流下しても、排水距離に到達すると保水力が限界になってしまうので、浸透水が下層側の粗粒層18に落水してしまう。粗粒層18に落ちた降雨等は空隙があるのでさらに下方へ浸透しやすい。廃棄物埋立地によっては、この落水箇所に前述の排水溝24を設置できないケースがある。
【0029】
また、多層覆土を形成させる上では低コストや地域性の面から良質な材料が得られない場合がある。この材料の種類によっては排水距離を稼げないケースがある。排水距離の変化要因にはこの砂の種類によって影響を及ぼす場合がある。
そこで、排水距離に応じて粗粒層を下層とし細粒層を上層とするキャピラリーバリア層をさらに下段に設けることで二重構造とすれば、排水距離の先延ばしあるいは延長が可能となる。浸透水の粗粒層への落水を軽減するための多重型多層覆土構造について図2の断面図を用いて説明する。廃棄物層30の上に保護層32を敷く、その上層に下層側から粗粒層34、細粒層36、さらに粗粒層34、細粒層36、覆土層38の順で敷設する。この保護層32および覆土層38は必要に応じて浸透性を制御することができるもので構成し、ベントナイト混合土やシートを適切に組み合わせて浸透性を制御するものである。また粗粒層34と細粒層36との境界部分には必要に応じて不織布40を設置してもよい。これは細粒層と粗粒層の施行時の混合を防止するためであり、これにより、細粒層と粗粒層が境界面で混合することなく保持されて、キャピラリーバリア層の排水機能を適当に維持することができる。
【0030】
従って、降雨等が覆土表面から浸透して、細粒層36および粗粒層34で構成された第1のキャピラリーバリア層により勾配に沿って下流側へ移動し、排水距離を越えて下層に沈下しても、さらに下層に敷設された第2のキャピラリーバリア層により勾配に沿って下流側へ移動する。よってこのキャピラリーバリア層を2層構造とすることにより、粗粒層に浸水した降雨等を側方へ先送りさせることが可能となる。
【0031】
なお、この多層覆土は埋立て廃棄物の設営する箇所に応じて、排水距離の切れる場所で設置してもよいし、設置箇所全体を多層としてもよい。また、本実施形態では多層覆土を2層とした場合について説明したが、多層覆土の遮水性能評価方法に基づき排水距離、粗粒層および細粒層の種類、キャピラリーバリア層の勾配に応じて多層覆土を2層以上に構成してもよい。
【0032】
さらに、細粒層36に用いる砂は粒度の細かい砂であれば好ましいが、それ以外にもコスト削減のため、良質な材料が得られない場合でも、前述の遮水性評価方法に基づいて、キャピラリーバリア層に適した粉砕物であればよい。例えば適用性のある砕砂や粉砕製品などの2次製品や、綿状不織布、海綿などの多孔質、またはスラグ粉砕製品、人工物の粉砕物、繊維製品、プラスチックの多孔体、セラミック、焼結体、多孔質材料の成形体若しくは粉体、粉体物の集積体、ポーラス材の粉砕物、ポーラス材の粉流体の集積体、ポーラス材料の生形体の粉体、でも代用できる。しかし、多層を構成する層を厚くしてしまうとキャピラリーバリアに影響を及ぼすのでできるだけ薄い層にできる材料を用いることが望ましい。
【0033】
【発明の効果】
以上、本発明に係る排水距離による多層覆土の排水システムによれば、埋立て廃棄物の上表面に粗粒層とその上層に積層した細粒層からなる勾配が付された浸透水キャピラリーバリア層を形成して、前記キャピラリーバリア層による勾配に沿った移動で浸透水が粗粒層へ落水する箇所に配置する複数の排水溝を設置する。これにより、廃棄物埋立て地の勾配がゆるく、あるいは平坦地のようなキャピラリー効果が期待しにくい場合でも、勾配を階段型またはW字型にキャピラリーバリア層を形成することにより、浸透水の集水を効果的に行える。また、浸透水がキャピラリーバリア層を移動する排水距離を考慮して排水溝を設置しているのでキャピラリーバリア層内で浸透水が下層に浸透することを防止することが可能である。
【0034】
また、浸透水キャピラリーバリア層を多段に設けて、キャピラリーバリアによる勾配の側方移動で浸透水が粗粒層へ落ちる箇所を先延ばしする構成とした。これにより、キャピラリーバリア層を構成する砂の種類により排水距離が短くなってしまう場合でも、浸透水がキャピラリーバリア層を形成する粗粒層に浸透する距離を伸ばすことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】多層覆土の排水システムの設置断面図を示す。
【図2】多段型キャピラリーバリア層を示す断面図である。
【図3】埋立て廃棄物の多層覆土による遮水システムの断面図を示す。
【図4】多層覆土を利用した廃棄物埋立て構造の縦断面図である。
【図5】土層内における浸透水の流動状況を示す説明図である。
【符号の説明】
10………廃棄物、12………遮水層、16………保護層、17、17a………キャピラリーバリア層、18………粗粒層、18a………粗粒石、20………細粒層、20a………細粒砂、22………覆土、23………高空隙粗粒材、24………排水溝、26………遮水シート、30………廃棄物層、32………保護層、34………粗粒層、36………細粒層、38………覆土層、40………不織布。

Claims (9)

  1. 埋立て廃棄物保護層の上表面に粗粒層とその上層に積層した細粒層からなる勾配が付された浸透水キャピラリーバリア層を形成するとともに、当該キャピラリーバリア層上に表層覆土を形成してなる多層覆土の排水システムであって、前記埋立て廃棄物保護層の勾配に係らず前記キャピラリーバリア層を少なくとも保水限度距離以内に一定勾配を付して形成するとともに、勾配下流側に排水溝を設置して埋立て地の遮水と集水を行うことを特徴とする多層覆土の排水システム。
  2. 前記キャピラリーバリア層を階段状または山形状に勾配を形成し、表層覆土の平坦化してなることを特徴とする請求項1に記載の多層覆土の排水システム。
  3. 埋立て廃棄物保護層の上表面に粗粒層とその上層に積層した細粒層からなる勾配が付された浸透水キャピラリーバリア層を形成するとともに、当該キャピラリーバリア層上に表層覆土を形成してなる多層覆土の排水システムであって、前記キャピラリーバリア層の勾配側に設置される排水溝を溝部材の底部に高空隙粗粒材を敷き詰め、当該高空隙粗粒材上に前記キャピラリーバリア層の粗粒層に連接される細粒層を積層したことを特徴とする多層覆土の排水システム。
  4. 前記排水溝は、その底部から順に敷き詰めた粗粒石層と粗粒層と、浸透水が浸入する溝側面に溝上部の粗粒層と溝底部の粗粒層をつなぐ粗粒石からなる壁面と、溝内部に細粒層と接続した細粒砂を敷き詰めた細粒層とからなる請求項3に記載の多層覆土の排水システム。
  5. 前記高空隙粗粒材に排水路を形成する有孔管を埋立てしてなることを特徴とする請求項3に記載の多層覆土の排水システム。
  6. 前記排水溝の上部コーナには遮水シートを配置したことを特徴とする請求項1または3に記載の多層覆土の排水システム。
  7. 埋立て廃棄物保護層の上表面に粗粒層とその上層に積層した細粒層からなる勾配が付された浸透水キャピラリーバリア層を形成するとともに、当該キャピラリーバリア層上に表層覆土を形成してなる多層覆土の排水システムであって、前記キャピラリーバリア層を少なくとも保水限度距離以内の箇所で多層に形成することにより、上層キャピラリーバリア層からの落水を下層キャピラリーバリアで受けて保水限度距離を延長させて埋立て地の遮水と集水を行うことを特徴とする多層覆土の排水システム。
  8. 前記キャピラリーバリア層を形成する細粒層と粗粒層の間に不織布を敷いたことを特徴とする請求項1、3、または7記載の多層覆土の排水システム。
  9. 前記細粒層または粗粒層は固形物を粉砕して粒度を調整した粉砕物からなる請求項1、3、または7に記載の多層覆土の排水システム。
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