【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明はパン製造分野において、煩雑な工程が不要でかつパンに独特のすっきりした香りを付与した風味に特徴のあるパン生地、及び該パン生地を焼成してなるパンに関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、基本的なパンの配合は、小麦粉とパン酵母、食塩、糖類、油脂類と水であったが、近年は食生活の多様化に伴い、基本的な配合のパンだけでは消費者に飽きられ、売れ行きが伸び悩むという状況が続いており、特に食パンで風味や食感の差別化されたパンが要求されている。
【０００３】
風味や食感の差別化の手段としては、（１）配合を変えて、種（たね）を用いるなど特殊な配合による方法、（２）配合は一般的な配合で、低温長時間中種法や湯種法などの特殊な製法を用いる方法、の大きく２つの手段があった。
【０００４】
このうち、種については、酒種、ホップス種など主にパン以外の食品に用いられる素材をパンに応用するタイプ（非特許文献１、非特許文献２）と、パネトーネ種、サンフランシスコサワー種や老麺など、小麦粉と水で生地をつくり、発酵させて生地状態での種として用いるタイプなどがある。形態としても液状のもの、固体状のものなどいろいろな形態が知られているが、基本的には、米粉や小麦粉、糖類などの食品素材に、酵母を加えてあるいは自然に存在する酵母によって発酵させたものである。一般的に、種はそのまま生地のミキシング時に添加したり、ある程度予備発酵させて植え継いだりしてからミキシング時に添加して用いる。
【０００５】
従来、パン製造に用いられる酵母含有物、例えば酒種等の製造については特許文献１、特許文献２などに例示されるように、麹と清酒酵母とを基本にしてさらに酒種、麹の消化処理物や小麦もしくは米と小麦の混合物などを添加する組成物が知られている。前者は酒種の製造に４日以上の時間がかかるという組成物の生産性の問題があり、後者はさらに組成物を発酵させるのに５日以上を要するという製パン時の生産性の問題があった。さらに、両者ともパン類の中の酒種パン類に用途が限定されるという欠点も有していた。
【０００６】
また、パン酵母の場合、保存性を高めるため酵母菌体を乾燥したいわゆるドライイーストも見受けられるが、保存性は良くなるものの乾燥の手間が掛かると同時に、加熱による酵母の菌数減少が認められ発酵能が低下するという問題があった。
【０００７】
本願組成物と類似した組成物の例として特許文献３及び特許文献４があげられるが、前者は組成物として酵母とα化穀類粉末以外にベーカリー食品が必須であり、また酵母とベーカリー食品の粒状物をα化穀類粉末を介して結着することにより、健康食品としての酵母を多量に摂取するにあたり、多量の酵母を含有させても酵母臭を感じさせないことを主目的としており、本願目的とは大きく異なる。後者は微生物菌体の水分活性を低下させる化合物と微生物菌体とを含む組成物に関するものであるが、目的が微生物菌体の保存性の向上であり、本願の風味の改良と異なること、及び微生物菌体の水分活性を低下させる化合物として、多糖類、特にデンプンが例示されているが、後の実施例で示すごとくデンプンと酵母だけであれば、パンにスッキリとした香りを付与できず、風味の改良効果がないという問題があった。
【０００８】
特許文献５には乾燥オカラ等と酵母との混合物が開示されているが、乾燥オカラはパンの食感を大きく変えるという問題があった。特許文献６にはα化デンプン類、ホップ、酵母、アミラーゼ及び麹の消化処理物の混合物が開示されているが、本願の酵母含有物を用いれば、ホップを加えなくてもパンにスッキリとした風味を付与できる点で本願特許とは異なる。特許文献７に例示されるように、酵母にワイン酵母を用い、α化米粉との組み合わせにより短時間で甘みのある風味をだす種の製造法があるが、本発明は、すっきりとした風味をえるため、ホップス酵母を用い、さらに風味を増す目的で、乳酸菌をα化米粉と組み合わせていて、本願特許とは異なる。
【０００９】
風味や食感の差別化の手段として、配合は一般的な配合で、低温長時間中種法や湯種法などの特殊な製法を用いる方法については、前者は時間がかかると同時に低温で保持するスペースを通常工程とは別に確保する必要があり、生産性を低下させる。後者はやはり特殊な設備が必要となる上に、熱湯を使用するので安全性にも十分配慮する必要があるなどの欠点があった。
【００１０】
【特許文献１】
特開昭６２−２３９９４０号公報
【００１１】
【特許文献２】
特開昭６３−３０９１３３号公報
【００１２】
【特許文献３】
特開平１０−１３６８７５号公報
【００１３】
【特許文献４】
特開２０００−６０５３５号公報
【００１４】
【特許文献５】
特開２００１−１１２４０６号公報
【００１５】
【特許文献６】
特開平１−９１７４０号公報
【００１６】
【特許文献７】
特開２００３−４７３９３号公報
【００１７】
【非特許文献１】
ベーカリー技術百科，第１巻，新しいパンづくり［基礎技術］，大日本印刷株式会社ＣＤＣ事業部企画制作，金子光男１９９０年６月１日発行
【００１８】
【非特許文献２】
ベーカリー技術百科，第３巻，新しいパンづくり［特殊パン］，大日本印刷株式会社ＣＤＣ事業部企画制作，金子光男１９９０年６月１日発行
【００１９】
【発明が解決しようとする課題】
短時間の発酵で効率的にパンを生産でき、かつパンに独特のすっきりとした香りを付与して、差別化できる風味の良いパン・菓子用酵母含有物を提供することを課題とする。
【００２０】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは酵母と穀類の粉末の混合に注目し、さらに、香りに注目し乳酸菌の添加効果の研究を重ねた結果、ホップス酵母、及び香りから選別された乳酸菌を用い、これを穀物粉に混合することにより、短時間発酵で効率的にパンを生産でき、かつパンに独特のすっきりした香りを付与して風味が差別化できるパン・菓子用酵母含有物を容易に製造できることを見出し、本発明を完成させた。
【００２１】
即ち、本発明の第１は、ホップス酵母と穀物粉とを混合してなることを特徴とするパン・菓子用酵母含有物に関する。好ましい実施態様は、更に乳酸菌を含有することを特徴とする上記記載のパン・菓子用酵母含有物に関する。より好ましくは穀物粉が、小麦粉、米粉、ライ麦粉からなる群より選ばれる少なくとも１種であることを特徴とする上記記載のパン・菓子用酵母含有物、更に好ましくは米粉がα化米粉であることを特徴とする上記記載のパン・菓子用酵母含有物、特に好ましくはパン・菓子用酵母含有物の粒径が０．１〜３ｍｍの粉粒状であることを特徴とする上記記載のパン・菓子用酵母含有物、更にもっと好ましくはホップス酵母がサッカロミセス・セレビシエＫＮＫ−８１４株であることを特徴とする上記記載のパン・菓子用酵母含有物、最も好ましくは乳酸菌がＫＮＫ−Ａ１株であることを特徴とする上記記載のパン・菓子用酵母含有物、に関する。本発明の第２は、上記記載のパン・菓子用酵母含有物を液発酵した液体予備発酵物に関する。好ましい実施態様は、上記記載のパン・菓子用酵母含有物に糖含有物、乳製品及び水を加えてから、液発酵した液体予備発酵物、に関する。本発明の第３は、上記記載のパン・菓子用酵母含有物を含有してなることを特徴とするパン生地に関する。好ましい実施態様は、上記記載の液体予備発酵物を含有することを特徴とするパン生地に関する。より好ましくは、上記記載の液体予備発酵物を含有することを特徴とするパン生地に関する。本発明の第４は、上記記載のパン生地を焼成してなることを特徴とする焼成パンに関する。
【００２２】
【発明の実施の形態】
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。穀物粉は、一般に市販されているものでよく、穀類を粉砕した状態のものをいい、特に制限はないが、食材に用いられる穀物粉である小麦粉、米粉、ライ麦粉、大麦粉、粟粉、稗粉が好ましい。また、その中でもα化した米粉が特に好ましい。α化米粉とは、米を蒸煮などでα化したものであり、一部またはすべてα化されているものを使用することが出来る。
【００２３】
ホップス酵母とはホップス種より分離した酵母を意味し、一般にサッカロミセス・セレビシエ（Ｓａｃｃｈａｒｏｍｙｃｅｓ ｃｅｒｅｖｉｓｉａｅ）に属し、有機酸による低ｐＨ領域や高濃度のアルコール下でも優れた発酵能を示す酵母として知られている。菌株としてはホップス酵母であれば特に限定はないが、本発明の目的のように、パン又は菓子に独特のすっきりとした香りを付与して、風味を差別化する為には、サッカロミセス・セレビシエＫＮＫ−８１４株が好ましい例としてあげられる。このＫＮＫ−８１４株はサッカロミセス・セレビシエと同定され、本菌株は２００３年４月２１日にＦＥＲＭ Ｐ−１９３２１として独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター（日本国茨城県つくば市東１丁目１番地中央第６）に寄託されている。
【００２４】
乳酸菌とは、糖より乳酸を発酵する一群の菌群を意味し、一般に球菌のストレプトコッカス（Ｓｔｒｅｐｔｏｃｏｃｃｕｓなど）と桿菌のラクトバチルス（Ｌａｃｔｏｂａｃｉｌｌｕｓ）とがある．原則的に酸性に対する耐性が強く（ｐＨ＝３〜４），グラム染色陽性に属する。菌株としては乳酸菌であれば特に限定はないが、本発明の目的のように、パン又は菓子に独特のすっきりとした香りを付与して、風味を差別化する為には、たとえば、ラクトバチルスＫＮＫ−Ａ１株が好ましい例としてあげられる。このＫＮＫ−Ａ１株はラクトバチルスと同定され、本菌株は２００３年４月２２日にＦＥＲＭ Ｐ−１９３２２として独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター（日本国茨城県つくば市東１丁目１番地中央第６）に寄託されている。
【００２５】
酵母には様々な種類があるが、酒種製造に用いられる清酒酵母、ビール酵母、ワイン酵母、汎用のパン酵母（例えば、商品名：カネカイーストレッド、鐘淵化学工業株式会社製があげられる）など、従来食用に用いられてきた酵母を限定せずに穀物粉と混合して製パンに用いても、パンに独特のすっきりとした香りを付与することができない。また、乳酸菌類と穀物類との混合物を製パンに用いてもパンに独特のすっきりとした香りを付与することはできない。従って、本願の主目的である独特のすっきりとした香りをパン又は菓子に付与するためには、ホップス酵母と穀物粉が必須であり、更にスッキリした香りを増すためには、ホップス酵母と穀物粉に更に乳酸菌の添加が効果的である。
【００２６】
ホップス酵母の培養方法は特に限定はなく、液体培養または固体培養を行うことが可能である。培養基としては、液体培養の場合はモルトエキスやグルコース液、糖蜜などが用いられ、固体培養の場合は麹と米や、小麦粉などがそれぞれ用いられる。同様に、乳酸菌の培養法も特に限定はない。
【００２７】
上記のホップス酵母と穀物粉は、後述のような方法により混合され、該混合物を必要に応じて所望の粒径に粉砕し、パン・菓子用酵母含有物を得る。そして、所望の方法で該粉砕物をパンや菓子の生地に配合し、パンや菓子を製造する。更にスッキリした香りを増すために乳酸菌を添加する場合も同様である。
【００２８】
上記パン・菓子用酵母含有物の粒度については、粒径で０．１〜３ｍｍのものが好ましい。粒径が０．１ｍｍ未満では、例えばパン・菓子用酵母含有物に液体を加えて混合するときにダマができて均一に混合しにくくい場合があり、また粒径が３ｍｍを超えると本発明のパン・菓子用酵母含有物を用いてパンにしたとき、穀物粉のかたまりが生地中で局在してパンの食感に悪影響を与えたり、該酵母含有物が生地中に均一に分散せず発酵不良となる場合がある。ここで、好ましい粒径０．１〜３ｍｍであるパン・菓子用酵母含有物は、特に粒径の測定はしておらず、６．５メッシュの篩を透過し、１４９メッシュを透過せずに残ったものを意味する。
【００２９】
本発明のパン・菓子用酵母含有物中のホップス酵母の割合は特に限定されないが、本発明のパン・菓子用酵母含有物全体中に０．１〜４０重量％含有されることが好ましい。０．１重量％より含有率が低いと後の製パン性が損なわれる場合があるし、４０重量％を超えて含有させるには、例えば水に懸濁して混合させる場合など均一に混合させることが困難になる場合があるためである。
【００３０】
このようにして生産されたパン・菓子用酵母含有物は、袋に充填される。このとき、一般にドライイーストなどで用いられる真空包装や窒素充填などの方法を用いることも可能である。
【００３１】
パン・菓子用酵母含有物の製造方法としては、次のような手順を例として示すことができる。まず、α化米粉、ホップス酵母を含んだ液体又はホップス酵母と乳酸菌を水に懸濁した液体を準備する。そして、混合機にα化米粉を投入した後に、撹拌しながら、ホップス酵母を含んだ液体又はホップス酵母と乳酸菌を含んだ液体を加える。均一になるまで一定時間以上混合した後、払い出し、粉砕機にて粉砕した後、必要に応じて篩で粒径が０．１〜３ｍｍになるように調整する。
【００３２】
α化米粉の製造は、米粉１００重量部に対して１０〜３０重量部の任意の水を出来るだけ均等になるように添加し、蒸気によって蒸煮した後に乾燥機で水分５％以下になるまで乾燥する。この場合、例えば流動床乾燥機、通風乾燥機などを使用することが出来る。得られたものをα化米粉とする。
【００３３】
以上の工程を経て製造されたパン・菓子用酵母含有物を所定量秤量しビニール袋などで包装した後、通常冷蔵（０〜１０℃）で保管され、２ヶ月間保存が可能である。
【００３４】
通常の製パン工程において風味を意図して付与する場合、（１）発酵風味液（発酵済みの液体などを殺菌したもの）、（２）一度発酵させた生地の一部を生地作製時に混合する老麺法などの発酵生地添加法、（３）生地ではなく液体の状態で予備発酵させたものを添加する方法などがある。前２者は風味に乏しく、取り扱い、管理が大変であり、安定性に欠けるなど問題点があるが、（３）の場合は調整しやすく、取り扱いも液体のため容易であり、一度調製すれば冷蔵庫で保管が可能である。また、加熱工程を経ていないため、生成した風味成分の減少も無く、菌も生きており、生地に混合してから焼成するまでに、更に発酵が進み、風味成分を増加させるので、風味付与方法としては優れている。
【００３５】
上記パン・菓子用酵母含有物を用いて、上記（３）の液体予備発酵物を作製する場合、特に組成は限定されないが、パン・菓子用酵母含有物と水に加えて砂糖などの糖含有物又は小麦粉などの穀物粉、及び脱脂粉乳などの乳製品を含有することが風味を良くする上で好ましい。特に、パン・菓子用酵母含有物１００重量部あたり水を１００〜５００重量部添加することが好ましく、糖含有物又は穀物粉と乳製品はともに各々１〜３０重量部添加することが好ましい。水が１００重量部よりも少なければ酵母が充分に他基質（糖など）との接触ができず、発酵が不十分になり風味が劣る場合がある。また、水が５００重量部よりも多い場合、水により発酵液の粘度が低下し、菌が下部に沈殿してしまい発酵が充分に行われず、風味が乏しくなってしまう場合がある。さらに上記物質（糖含有物又は穀物粉と乳製品など）を含まない場合は、酵母、乳酸菌の発酵が基質律速となり制限される場合があり、発酵風味が乏しくなってしまうためである。上記液種組成物を混合後、一例として１０℃で４８時間あるいは２７℃で２４時間発酵させるか、あるいは２７℃で６時間発酵後に、さらに１０℃で２４時間発酵させても良い。
【００３６】
こうして得られたパン・菓子用酵母含有物の液体予備発酵物（以下液種とする）は通常冷蔵保管が可能であり、一度作製すれば、必要な時に必要な量を加えて生地を作製する。さらには得られた生地からパンを製造することが可能である。パン・菓子用酵母含有物をパン種として使用する場合（別途イーストを添加しない場合）、小麦粉１００重量部に対して２〜２０重量部、液種として使用する場合、０．５〜５重量部使用すればよい。
【００３７】
上記のパン・菓子用酵母含有物及び液種を使用するパン生地の配合、工程には特に限定はなく、通常用いられる製法（直捏製法、中種製法、冷蔵生地製法、冷凍生地製法など）すべてに適用可能である。
【００３８】
また本発明は、クラッカー、クッキー、ビスケット、プリッツェル、ケーキ、ホットケーキなどの菓子に用いることにより、これらの菓子にも独特のすっきりした香りを付与することができる。
【００３９】
【実施例】
次に発明の実施例を示すが、本発明が実施例のみに限定されないことは言うまでもない。
【００４０】
＜菌体の取得方法＞
酵母は、各酵母菌株のスラントから１白金耳、モルト培地に植菌し３０℃で培養したものを、糖蜜培地に接種し通気条件下で培養した。培養終了後、培養液を分離、水洗、濾過して酵母菌体を得た。乳酸菌は、凍結乾燥したバイヤルより菌体を復水させ、１０％還元脱脂乳培地で静置培養したものを種とし、ＭＲＳ液体培養で菌液を調製した。
【００４１】
＜液種の風味評価＞
表１の配合で、表２の行程を経て作製した液種を、発酵修了後直ちに攪拌しながら官能評価を行った。すっきり感の評価基準は以下の通りである。○：非常にすっきりしていて、鼻に抜ける感じ、△：すっきりしているが、やや鼻に抜ける感じが薄い、×：全くすっきり感が感じられない。芳香感の評価基準は以下の通りである。○：甘い香りなど心地の良い香りが感じられる、△：特に不快な悪臭はない、×：不快な悪臭が感じられる。
【００４２】
＜焼成パンの風味評価＞
表１の配合で、表２の行程を経て作製した液種を、所定の方法で焼成したパンを、焼成翌日に２センチの厚さにスライスし、クラム部分の官能評価を行った。評価基準は液種の評価と同様である。更にいくつかのパンについては、更に、パンのクラム部位を１ｇ、あるいは０．５ｇとり、所定の方法を用い、風味分析装置ＡｉｒＳｅｎｓｅ（ＡｉｒＳｅｎｓｅ Ａｎａｌｙｓｅｎｔｅｃｈｎｉｋ社製）にて分析した。
【００４３】
（実施例１〜８）
ホップス酵母 ＫＮＫ−８１４又はＫＮＫ−８２６と乳酸菌無添加又は乳酸菌３種類を組み合わせ、α化米粉を混合し、パン・菓子用酵母含有物を作製した。すなわち、ホップス酵母 ＫＮＫ−８１４の湿菌体１重量部と、乳酸菌３種の菌溶液０．０２５重量部又は乳酸菌無添加で、水３重量部と共に、α化米粉２５重量部に対して添加し、混合機で混合し、パン・菓子用酵母含有物を得た。
【００４４】
（実施例９〜１６）
実施例１〜８で得られたパン・菓子用酵母含有物を用いて、表１の配合、表２の工程で液種を作製し、液種の風味を評価した（表３）。
【００４５】
【表１】
【００４６】
【表２】
【００４７】
【表３】
【００４８】
（比較例１〜２４）
酵母菌株としてホップス酵母以外の６種と、乳酸菌無添加又は乳酸菌３種類を組み合わせ、α化米粉を混合し、パン・菓子用酵母含有物を作製した。すなわち、パネトーネ種由来の酵母を２種類、果実種由来の酵母を２種類、ワイン酵母を１種類、清酒酵母を１種類から選ばれる各湿菌体１重量部と、乳酸菌３種の菌溶液０．０２５重量部または乳酸菌無添加で、水３重量部と共に、α化米粉２５重量部に対して添加し、混合機で混合し、パン・菓子用酵母含有物を得た。
【００４９】
（比較例２５〜４８）
得られたパン・菓子用酵母含有物を用いて、表１の配合、表２の工程で液種を作製し、液種の風味を評価した（表３）。
【００５０】
その結果は表３に示したように、風味はホップス酵母が好ましく、中でもホップス酵母 ＫＮＫ−８１４が最もすっきり感があり、且つ良い芳香を持った液種となった。次いで、ホップス酵母 ＫＮＫ−８２６がすっきり感があり、且つ良い芳香を持った液種となった。酵母と乳酸菌の組み合わせでは、ホップス酵母 ＫＮＫ−８１４と乳酸菌 ＫＮＫ−Ａ１の組み合わせからなる液種が最もスッキリとした芳香感が強く、他と差別化されていて良好であった。
【００５１】
（実施例１７〜１９）
ホップス酵母 ＫＮＫ−８１４と乳酸菌 ＫＮＫ−Ａ１を、α化米粉又は小麦粉又はデンプンと混合し、パン・菓子用酵母含有物を作製した。すなわち、ホップス酵母 ＫＮＫ−８１４の湿菌体４重量部と、乳酸菌 ＫＮＫ−Ａ１の菌溶液０．１重量部を、水１２重量部と共に、α化米粉１００重量部又は、小麦粉（カメリヤ）１００重量部、又はデンプン（コーンスターチ）１００重量部に添加し、混合機で混合し、パン・菓子用酵母含有物を各々得た。
【００５２】
（実施例２０〜２２）
実施例１７〜１９で得られたパン・菓子用酵母含有物を用いて、表１の配合、表２の工程で液種を作製し、液種の風味を評価した（表６）。
【００５３】
（実施例２３〜２５）
さらに、実施例２０〜２２の液種を用いて、表４の配合、表５の工程で製パンを実施しパンの風味を評価した（表６）。
【００５４】
液種の風味の結果は、α化米粉の風味が最も優れて良好であった。パンの風味の結果は、表６に示したように、α化米粉を用いたものが発酵時間が通常通りでも最もスッキリとした香りあり、他と差別化されていて良好であった。更に、パンのクラム部位を風味分析装置ＡｉｒＳｅｎｓｅ（ＡｉｒＳｅｎｓｅ Ａｎａｌｙｓｅｎｔｅｃｈｎｉｋ社製）にて分析した結果を図１に示す。４種類の試験サンプルは、図中のポイント４群に分かれて表され、各群中のポイントは同一サンプルの複数測定ポイントであることを示している。４種類のサンプルのうち、α化米粉を配合した酵母種のパンのクラム部分１ｇと０．５ｇを解析した結果、２元配置グラフ上で横軸方向に分離できたことより、グラフ左側方向に芳香の香りの強さを表すと解釈できる。同様にα化米粉を配合した酵母種は、小麦粉及びデンプンを配合した酵母種よりグラフ左側に表されたことより、より強い方向を持つことが示され、α化米粉が他の分析値と差別化され製パン風味に有効であることが示された。
【００５５】
【表４】
【００５６】
【表５】
【００５７】
【表６】
【００５８】
（実施例２６）
α化米粉１００重量部に対し、ホップス酵母 ＫＮＫ−８１４を４重量部と乳酸菌 ＫＮＫ−Ａ１を０．１重量部とを混合し作製したパン・菓子用酵母含有物を使用して、表１の配合、表２の工程で液種を作製し、さらに、表７の配合、表８の工程で冷凍イギリスパンの製パンを実施しパンの風味を評価した。
【００５９】
（比較例４９）
パン・菓子用酵母含有物を使用しなかった以外は、実施例２６と同様にして冷凍イギリスパンの製パンを実施しパンの風味を評価した。
【００６０】
パンの風味の結果は、表９に示したように、パン・菓子用酵母含有物を配合した冷凍イギリスパンは、比較例４９の酵母含有物を配合しないイギリスパンと同等の比容積をもち、冷凍保存中の酵母の発酵力に液種が影響を与えていなかった。冷凍保存後のパンの香りに関しては、比較例４９の酵母含有物を配合しないパンが粉臭くこもった冷凍臭だったのに対して、酵母含有物を配合したパンは、発酵時間が通常通りでもスッキリとした香りをもち良好であった。
【００６１】
【表７】
【００６２】
【表８】
【００６３】
【表９】
【００６４】
【発明の効果】
パン又は菓子の生産において、本発明の酵母含有物をパン又は菓子の生地に添加し、発酵時間を長くすることなくそれを焼成するだけでパン又は菓子に独特の甘い香りを付与して、風味の差別化が可能になる。また、本発明の酵母含有物は冷蔵による長期保管が可能であり、それによるパン又は菓子への風味の付与が安定的且つ簡便に実施できるので、製パン・製菓子業界に多いに貢献できるものである。
【００６５】
【図面の簡単な説明】
【図１】パンのクラム部位を風味分析装置ＡｉｒＳｅｎｓｅ（ＡｉｒＳｅｎｓｅ Ａｎａｌｙｓｅｎｔｅｃｈｎｉｋ社製）にて分析した結果を示す。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
TECHNICAL FIELD The present invention relates to a bread dough which does not require a complicated process in the field of bread production and which is characterized by a flavor imparted with a unique and clear aroma to bread, and a bread obtained by baking the bread dough.
[0002]
[Prior art]
Traditionally, the basic bread mix was flour and baker's yeast, salt, sugar, oils and fats, and water.In recent years, with the diversification of dietary habits, consumers have become tired of using the basic bread mix alone. As a result, sales have continued to be sluggish, and there has been a demand for bread that has a distinctive flavor and texture in bread.
[0003]
As a means of differentiating flavor and texture, (1) a method using a special composition such as changing seeds and using seeds (seed), (2) a general method, a low-temperature long-time medium seed method There are two main methods: a method using a special production method such as a hot water method.
[0004]
Among these, as for the types of seeds, types mainly used for foods other than bread, such as sake varieties and hops varieties, are applied to bread (Non-Patent Documents 1 and 2), and Panettone, San Francisco sour and aging. For example, there is a type such as noodles in which a dough is made from flour and water, fermented and used as a seed in a dough state. Various forms are known, such as liquid and solid forms.However, basically, yeast is added to food materials such as rice flour, flour, and sugars, or fermented by naturally occurring yeast. It was made. In general, seeds are added as they are at the time of mixing the dough, or after being preliminarily fermented to some extent and then succeeded, they are added at the time of mixing.
[0005]
Conventionally, for the production of yeast-containing materials used in bread production, for example, sake varieties and the like, as exemplified in Patent Documents 1 and 2, the digestion of sake varieties and koji on the basis of koji and sake yeast A composition to which a processed product, wheat or a mixture of rice and wheat is added is known. The former has the problem of productivity of the composition that it takes more than 4 days to produce the liquor, and the latter has the problem of productivity at the time of baking that requires more than 5 days to ferment the composition. there were. In addition, both of them have a drawback that the use is limited to sake varieties of bread.
[0006]
Also, in the case of baker's yeast, so-called dry yeast in which yeast cells are dried to enhance the preservability is also observed, but the preservability is improved, but it takes time to dry, and at the same time, the number of yeast cells decreased by heating is observed. There was a problem that the fermentability was reduced.
[0007]
Patent Document 3 and Patent Document 4 are examples of compositions similar to the composition of the present application, but the former requires a bakery food in addition to yeast and pregelatinized cereal powder as a composition, and the granularity of yeast and bakery food. By binding the product through pregelatinized cereal powder, the main purpose of ingesting a large amount of yeast as a health food is not to feel yeast odor even if a large amount of yeast is contained. Are very different. The latter relates to a composition containing a compound that reduces the water activity of microbial cells and a microbial cell, but the purpose is to improve the preservability of the microbial cell, which is different from the flavor improvement of the present application, and Polysaccharides, particularly starch, are exemplified as compounds that reduce the water activity of microbial cells, but if only starch and yeast are used as shown in Examples below, a refreshing scent cannot be imparted to bread, There was a problem that the flavor was not improved.
[0008]
Patent Document 5 discloses a mixture of dried okara and the like and yeast, but has a problem that dried okara greatly changes the texture of bread. Patent Document 6 discloses a mixture of digested products of pregelatinized starches, hops, yeast, amylase and koji, but using the yeast-containing material of the present application makes the bread refreshing without adding hops. It differs from the present patent application in that it can impart flavor. As exemplified in Patent Literature 7, there is a method for producing a seed that gives a sweet flavor in a short time by using wine yeast as a yeast and combining it with pregelatinized rice flour. For this reason, hops yeast is used and lactic acid bacteria are combined with pregelatinized rice flour for the purpose of further enhancing the flavor, which is different from the patent of the present application.
[0009]
As a means of differentiating flavor and texture, the formulation is a general formulation, and the method using special manufacturing methods such as low-temperature long-time sponge method and hot water method requires the former to take time and to be kept at low temperature It is necessary to secure a space to be used separately from the normal process, which lowers productivity. The latter still has the drawbacks that special equipment is required and that hot water is used, so that safety must be sufficiently considered.
[0010]
[Patent Document 1]
JP-A-62-239940.
[Patent Document 2]
JP-A-63-309133
[Patent Document 3]
JP 10-136875 A
[Patent Document 4]
Japanese Patent Application Laid-Open No. 2000-60535
[Patent Document 5]
JP 2001-112406 A
[Patent Document 6]
JP-A-1-91740
[Patent Document 7]
JP 2003-47393 A
[Non-patent document 1]
Bakery Technology Encyclopedia, Volume 1, New Bread Making [Basic Technology], Planning and Production, CDN Division, Dai Nippon Printing Co., Ltd., Mitsuo Kaneko Published June 1, 1990
[Non-patent document 2]
Bakery Technology Encyclopedia, Volume 3, New Bread Making [Special Bread], Planning and Production of Dai Nippon Printing Co., Ltd. CDC Division, Mitsuo Kaneko Published June 1, 1990
[Problems to be solved by the invention]
An object of the present invention is to provide a flavorful yeast product for bread and confectionery which can efficiently produce bread by short-time fermentation and impart a distinctive refreshing aroma to bread so that it can be differentiated.
[0020]
[Means for Solving the Problems]
The present inventors have focused on the mixing of yeast and cereal powder, and further studied the effect of adding lactic acid bacteria by focusing on fragrance, using hops yeast, and lactic acid bacteria selected from fragrance, By blending in, it is possible to efficiently produce bread in a short time fermentation, and found that it is possible to easily produce a yeast product for bread and confectionery that can impart distinctive aroma to bread and differentiate its flavor, The present invention has been completed.
[0021]
That is, a first aspect of the present invention relates to a yeast product for bread and confectionery, which is obtained by mixing hops yeast and cereal flour. A preferred embodiment relates to the above-described yeast for bread and confectionery, which further contains lactic acid bacteria. More preferably, the cereal flour is at least one selected from the group consisting of wheat flour, rice flour, and rye flour, wherein the yeast-containing material for bread and confectionery described above is furthermore preferably rice flour is pregelatinized rice flour. The above-described bread / confectionery yeast-containing material, particularly preferably the bread / confectionery yeast-containing material, wherein the particle size of the bread / confectionery yeast-containing material is 0.1 to 3 mm. The yeast-containing material for confectionery, even more preferably the Hopps yeast is Saccharomyces cerevisiae strain KNK-814, and the yeast-containing material for bakery / confectionery described above, most preferably the lactic acid bacterium is KNK-A1 strain. A yeast-containing material for bread and confectionery as described above, which is characterized in that: The second aspect of the present invention relates to a liquid pre-fermented product obtained by subjecting the above-described yeast for bread and confectionery to liquid fermentation. A preferred embodiment relates to a liquid pre-fermented product obtained by adding a sugar-containing substance, a dairy product and water to the above-described yeast for bread and confectionery, followed by liquid fermentation. A third aspect of the present invention relates to a dough containing the yeast-containing material for bread and confectionery described above. A preferred embodiment relates to a dough, characterized in that it contains a liquid preferment as described above. More preferably, the present invention relates to a dough comprising the liquid preliminary fermented product described above. A fourth aspect of the present invention relates to a baked bread obtained by baking the above-mentioned bread dough.
[0022]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, the present invention will be described in more detail. Grain flour may be generally commercially available, and refers to a state in which cereals are pulverized, and is not particularly limited, but flour, rice flour, rye flour, barley flour, millet flour, which are cereal flours used for foodstuffs. Wheat flour is preferred. Among them, pregelatinized rice flour is particularly preferred. The pregelatinized rice flour is obtained by pregelatinizing rice by steaming or the like, and may be partially or entirely pregelatinized.
[0023]
Hops yeast means yeast isolated from Hops species, generally belongs to Saccharomyces cerevisiae, and is known as a yeast which shows excellent fermentation ability even in a low pH region or under a high concentration of alcohol by an organic acid. . The strain is not particularly limited as long as it is a hops yeast, but as in the present invention, in order to impart a unique and clear aroma to bread or confectionery to differentiate the flavor, Saccharomyces cerevisiae KNK is used. The -814 strain is a preferred example. This KNK-814 strain was identified as Saccharomyces cerevisiae, and the strain was identified as FERM P-19321 on April 21, 2003 by the National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, Patent Organism Depositary (1-1-1 Higashi, Tsukuba, Ibaraki, Japan). It has been deposited at Address Central No. 6).
[0024]
A lactic acid bacterium refers to a group of bacteria that ferment lactic acid from sugar, and generally includes streptococci (Streptococcus and the like) and bacilli Lactobacillus. In principle, it has strong resistance to acidity (pH = 3-4) and belongs to Gram staining positive. The strain is not particularly limited as long as it is a lactic acid bacterium. For the purpose of the present invention, in order to differentiate the flavor by imparting a unique refreshing aroma to bread or confectionery, for example, Lactobacillus KNK is used. -A1 strain is a preferred example. This KNK-A1 strain was identified as Lactobacillus, and this strain was identified as FERM P-19322 on April 22, 2003 by the National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, Patent Organism Depositary (1-1-1, Higashi, Tsukuba, Ibaraki, Japan). Deposited at Central No. 6).
[0025]
There are various types of yeast, but sake yeast, brewer's yeast, wine yeast, and general-purpose baker's yeast used in the production of sake varieties (for example, trade name: Kaneka East Red, manufactured by Kaneka Chemical Industry Co., Ltd.) For example, even if yeasts conventionally used for edible use are mixed with cereal flour without limitation, and used for bread making, it is not possible to impart unique refreshing aroma to bread. Further, even if a mixture of lactic acid bacteria and cereals is used for bread making, it is not possible to impart a unique refreshing aroma to bread. Therefore, in order to impart a unique and clear aroma to bread or confectionery, which is the main purpose of the present application, Hopps yeast and cereal flour are essential, and in order to further increase the refreshing aroma, Hopps yeast and cereal flour are required. Furthermore, the addition of lactic acid bacteria is effective.
[0026]
The method of culturing Hopps yeast is not particularly limited, and liquid culture or solid culture can be performed. As a culture medium, malt extract, glucose solution, molasses and the like are used in the case of liquid culture, and koji and rice, flour and the like are used in the case of solid culture. Similarly, the method for culturing lactic acid bacteria is not particularly limited.
[0027]
The above-mentioned hops yeast and cereal flour are mixed by a method as described below, and the mixture is pulverized to a desired particle size if necessary, to obtain a yeast content for bread and confectionery. Then, the pulverized material is mixed with bread or confectionery dough by a desired method to produce bread or confectionery. The same applies to the case where lactic acid bacteria are added in order to increase the refreshing aroma.
[0028]
Regarding the particle size of the yeast-containing material for bread and confectionery, a particle size of 0.1 to 3 mm is preferable. If the particle size is less than 0.1 mm, for example, when a liquid is added to and mixed with the yeast content for bread and confectionery, lumps may be formed and it may be difficult to mix uniformly, and if the particle size exceeds 3 mm, the present invention may be used. When made into bread using the yeast-containing material for bread and confectionery, a lump of grain flour is localized in the dough and adversely affects the texture of the bread, or the yeast-containing material is uniformly dispersed in the dough. Fermentation may be poor. Here, the yeast content for bread and confectionery having a preferred particle size of 0.1 to 3 mm is not particularly measured for particle size, passes through a 6.5-mesh sieve, and does not pass through a 149-mesh. Means what remains.
[0029]
The proportion of the hops yeast in the yeast product for bread and confectionery of the present invention is not particularly limited, but is preferably 0.1 to 40% by weight in the whole yeast product for bread and confectionery of the present invention. If the content is lower than 0.1% by weight, the baking quality afterwards may be impaired, and if the content exceeds 40% by weight, it must be uniformly mixed, for example, when suspended and mixed in water. This may be difficult.
[0030]
The thus-produced yeast content for bread and confectionery is filled in a bag. At this time, it is also possible to use a method such as vacuum packaging or nitrogen filling generally used for dry yeast or the like.
[0031]
As a method for producing the yeast content for bread and confectionery, the following procedure can be exemplified. First, a liquid containing pregelatinized rice flour, Hopps yeast or a liquid in which Hopps yeast and lactic acid bacteria are suspended in water is prepared. Then, after the gelatinized rice flour is put into the mixer, a liquid containing Hopps yeast or a liquid containing Hopps yeast and lactic acid bacteria is added with stirring. After mixing for a certain period of time or more until the mixture becomes uniform, the mixture is discharged, crushed by a crusher, and then adjusted to a particle size of 0.1 to 3 mm with a sieve as necessary.
[0032]
In the production of pregelatinized rice flour, 10 to 30 parts by weight of arbitrary water is added to 100 parts by weight of rice flour so as to be as uniform as possible, steamed by steam, and dried by a dryer until the water content becomes 5% or less. I do. In this case, for example, a fluidized bed dryer, a ventilation dryer, or the like can be used. The resulting product is referred to as pregelatinized rice flour.
[0033]
After weighing a predetermined amount of the yeast-containing material for bread and confectionery produced through the above steps and packing it in a plastic bag or the like, it is usually stored in a refrigerator (0 to 10 ° C.) and can be stored for 2 months.
[0034]
When flavor is intentionally imparted in a normal baking process, (1) fermented flavor liquid (sterilized liquid or the like that has been fermented) and (2) a part of the dough once fermented is mixed at the time of dough production. There is a fermented dough addition method such as the old noodle method, and (3) a method of adding a pre-fermented liquid instead of a dough. The former two have poor flavor, are difficult to handle and manage, and have problems such as lack of stability. However, in the case of (3), they are easy to adjust and the liquid is easy to handle. It can be stored in a refrigerator. In addition, since the heating process has not been performed, there is no decrease in the generated flavor components, the bacteria are alive, and the fermentation further proceeds and increases the flavor components before mixing with the dough and firing, so the flavor imparting method As excellent.
[0035]
When the liquid preliminary fermented product of the above (3) is prepared using the above-mentioned yeast for bread and confectionery, the composition is not particularly limited. In order to improve the flavor, it is preferable to contain a dairy product or a cereal flour such as flour and a dairy product such as skim milk powder. In particular, it is preferable to add 100 to 500 parts by weight of water per 100 parts by weight of the yeast-containing material for bread and confectionery, and it is preferable to add 1 to 30 parts by weight of each of the sugar-containing or cereal flour and the dairy product. If the amount of water is less than 100 parts by weight, the yeast may not be able to sufficiently contact with other substrates (such as sugars), resulting in insufficient fermentation and poor flavor. When the amount of water is more than 500 parts by weight, the viscosity of the fermented liquid is reduced by the water, and the bacteria may precipitate at the lower portion, fermentation may not be sufficiently performed, and the flavor may be poor. Further, when the above-mentioned substances (such as sugar-containing substances or cereal flour and dairy products) are not contained, the fermentation of yeast and lactic acid bacteria is limited by the substrate and may be restricted, resulting in poor fermented flavor. After mixing the liquid composition, for example, fermentation may be performed at 10 ° C. for 48 hours or 27 ° C. for 24 hours, or may be fermented at 27 ° C. for 6 hours and further fermented at 10 ° C. for 24 hours.
[0036]
The liquid pre-fermented product (hereinafter referred to as liquid type) of the yeast-containing material for bread and confectionery thus obtained can be usually stored in a refrigerator, and once prepared, the dough is prepared by adding the required amount when needed. . Furthermore, it is possible to produce bread from the obtained dough. When using yeast for bread and confectionery as a bread seed (when yeast is not separately added), use 2 to 20 parts by weight with respect to 100 parts by weight of flour, and when using as a liquid seed, use 0.5 to 5 parts by weight. do it.
[0037]
There is no particular limitation on the composition and process of the dough using the yeast-containing material and liquid type for bread and confectionery described above, and all commonly used manufacturing methods (such as a direct kneading method, a medium-type manufacturing method, a refrigerated dough manufacturing method, and a frozen dough manufacturing method) are used. Applicable to
[0038]
The present invention can also be used for confectionery such as crackers, cookies, biscuits, pretzels, cakes, hot cakes, etc., so that these confections can also be given a unique and refreshing aroma.
[0039]
【Example】
Next, examples of the present invention will be described, but it goes without saying that the present invention is not limited to only the examples.
[0040]
<Method for obtaining cells>
As for yeast, one platinum loop from the slant of each yeast strain was inoculated on a malt medium and cultured at 30 ° C., inoculated on a molasses medium, and cultured under aeration conditions. After completion of the culture, the culture was separated, washed with water, and filtered to obtain yeast cells. Lactic acid bacteria were prepared by reconstituting the cells from freeze-dried vials and culturing them in a 10% reduced skim milk medium as a seed. MRS liquid culture was used to prepare a bacterial solution.
[0041]
<Flavor evaluation of liquid type>
After the fermentation was completed, the sensory evaluation was performed on the liquid species prepared through the steps in Table 2 with the formulations shown in Table 1 while stirring. The evaluation criteria for the refreshing feeling are as follows. ：: very clear, feeling through the nose; Δ: clear, but slightly weak in the nose; x: no clear feeling. The evaluation criteria for the aroma are as follows. ：: a pleasant scent such as a sweet scent is felt; △: no particularly unpleasant odor; x: an unpleasant odor is felt.
[0042]
<Flavor evaluation of baked bread>
The bread prepared by baking the liquid type prepared in the manner shown in Table 1 through the process shown in Table 2 by a predetermined method was sliced into a thickness of 2 cm on the day following the baking, and the crumb portion was subjected to sensory evaluation. The evaluation criteria are the same as for the evaluation of the liquid type. Further, for some breads, 1 g or 0.5 g of the crumb part of the bread was further analyzed using a flavor analyzer AirSense (manufactured by AirSense Analysistechnik) using a predetermined method.
[0043]
(Examples 1 to 8)
Hopps yeast KNK-814 or KNK-826 was added to lactic acid bacteria-free or three kinds of lactic acid bacteria were combined, and gelatinized rice flour was mixed to prepare a yeast product for bread and confectionery. That is, 1 part by weight of wet cells of Hopps yeast KNK-814 and 0.025 parts by weight of a bacterial solution of three kinds of lactic acid bacteria or 3 parts by weight of water without lactic acid bacteria were added to 25 parts by weight of pregelatinized rice flour. The mixture was mixed with a mixer to obtain a yeast product for bread and confectionery.
[0044]
(Examples 9 to 16)
Using the yeast-containing material for bread and confectionery obtained in Examples 1 to 8, liquid types were prepared according to the formulations in Table 1 and the steps in Table 2, and the flavors of the liquid types were evaluated (Table 3).
[0045]
[Table 1]
[0046]
[Table 2]
[0047]
[Table 3]
[0048]
(Comparative Examples 1 to 24)
Six kinds of yeast strains other than Hops yeast were combined with no lactic acid bacteria or three kinds of lactic acid bacteria, and gelatinized rice flour was mixed to prepare a yeast product for bread and confectionery. That is, 1 part by weight of each wet bacterial cell selected from two types of yeast derived from Panettone species, two types of yeast derived from fruit species, one type of wine yeast, and one type of sake yeast, and a bacterial solution of three types of lactic acid bacteria. 0.025 parts by weight or without lactic acid bacteria was added to 25 parts by weight of pregelatinized rice flour together with 3 parts by weight of water and mixed with a mixer to obtain a yeast product for bread and confectionery.
[0049]
(Comparative Examples 25 to 48)
Using the obtained yeast-containing product for bread and confectionery, a liquid type was prepared according to the formulation in Table 1 and the steps in Table 2, and the flavor of the liquid type was evaluated (Table 3).
[0050]
As a result, as shown in Table 3, the flavor was preferably Hops yeast, and among them, Hopps yeast KNK-814 was the liquid type having the clearest feeling and good aroma. Next, Hopps yeast KNK-826 had a neat feeling and became a liquid having a good aroma. In the combination of yeast and lactic acid bacteria, the liquid type composed of the combination of Hops yeast KNK-814 and lactic acid bacteria KNK-A1 had the strongest aromatic sensation, was distinguished from the others, and was favorable.
[0051]
(Examples 17 to 19)
Hops yeast KNK-814 and lactic acid bacteria KNK-A1 were mixed with pregelatinized rice flour, flour, or starch to prepare a yeast product for bread and confectionery. That is, 4 parts by weight of wet cells of the Hopps yeast KNK-814 and 0.1 part by weight of a bacterial solution of the lactic acid bacterium KNK-A1 were mixed with 12 parts by weight of water and 100 parts by weight of pregelatinized rice flour or 100 parts of flour (camellia). Parts or 100 parts by weight of starch (corn starch) and mixed with a mixer to obtain a yeast content for bread and confectionery.
[0052]
(Examples 20 to 22)
Using the yeast-containing material for bread and confectionery obtained in Examples 17 to 19, a liquid type was prepared according to the formulation in Table 1 and the steps in Table 2, and the flavor of the liquid type was evaluated (Table 6).
[0053]
(Examples 23 to 25)
Furthermore, using the liquid types of Examples 20 to 22, bread was made in the steps shown in Table 4 and the formulations shown in Table 4, and the flavor of the bread was evaluated (Table 6).
[0054]
As a result of the flavor of the liquid type, the flavor of pregelatinized rice flour was the most excellent and good. As shown in Table 6, the results of the flavor of the bread showed that the one using the pregelatinized rice flour had the clearest scent even when the fermentation time was normal, and was differentiated from the others and was good. Further, FIG. 1 shows the result of analyzing the crumb portion of bread with a flavor analyzer AirSense (manufactured by AirSense Analysistechnik). The four types of test samples are shown divided into four groups of points in the figure, and the points in each group indicate a plurality of measurement points of the same sample. As a result of analyzing 1 g and 0.5 g of the crumb portion of the yeast-type bread containing the gelatinized rice flour among the four types of samples, the breadcrumbs could be separated in the horizontal axis direction on the two-way graph. It can be interpreted as representing the intensity of the fragrance of the fragrance. Similarly, yeast strains containing pregelatinized rice flour are shown on the left side of the graph with respect to those of yeast containing flour and starch, indicating that they have a stronger direction, and the pregelatinized rice flour is discriminated from other analytical values. And it was shown to be effective for baking flavor.
[0055]
[Table 4]
[0056]
[Table 5]
[0057]
[Table 6]
[0058]
(Example 26)
Using 100 parts by weight of pregelatinized rice flour, 4 parts by weight of Hopps yeast KNK-814 and 0.1 part by weight of lactic acid bacterium KNK-A1 were mixed, and the yeast content for bread and confectionery prepared using Table 1 was used. A liquid type was prepared in accordance with the formulation and the steps shown in Table 2, and further, frozen British bread was made in accordance with the formulations shown in Table 7 and the steps shown in Table 8, and the flavor of the bread was evaluated.
[0059]
(Comparative Example 49)
A frozen British bread was made in the same manner as in Example 26 except that the yeast content for bread and confectionery was not used, and the flavor of the bread was evaluated.
[0060]
The results of the flavor of the bread, as shown in Table 9, the frozen British bread blended with yeast for bread and confectionery had a specific volume equivalent to that of the British bread without blended yeast-containing material of Comparative Example 49, The type of liquid did not affect the fermentation power of yeast during frozen storage. Regarding the aroma of the bread after frozen storage, the bread containing no yeast-containing material of Comparative Example 49 had a frozen smell of powdery smell, whereas the bread containing the yeast-containing material had a normal fermentation time. It had a refreshing aroma and was good.
[0061]
[Table 7]
[0062]
[Table 8]
[0063]
[Table 9]
[0064]
【The invention's effect】
In the production of bread or confectionery, the yeast-containing substance of the present invention is added to bread or confectionery dough, and a unique sweet scent is imparted to bread or confectionery simply by baking it without prolonging the fermentation time. Can be differentiated. In addition, the yeast-containing material of the present invention can be stored for a long period of time by refrigeration, thereby imparting a flavor to bread or confectionery stably and easily, and can greatly contribute to the bread and confectionery industry. It is.
[0065]
[Brief description of the drawings]
BRIEF DESCRIPTION OF DRAWINGS FIG. 1 shows the results of analysis of a crumb portion of bread using a flavor analyzer AirSense (manufactured by AirSense Analysistechnik).
