JP2004318454A - Wwwシステムの限界性能測定方法および装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】実運用環境下において、WWWサーバに対するエンドユーザのアクセスパターンを記録し、アクセス頻度が少ない時間帯に、記録されたアクセスパターンに基づく負荷を再生する。このとき、アクセス頻度を増加させながら負荷を再生し、同時に性能値を測定する。ここで、予め決められたWWWサーバの要求性能を超えるときのアクセス頻度を、WWWサーバの限界性能値として提示する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インターネットに接続されたWWWサーバの限界性能測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インターネットを利用したクライアント−サーバシステムを、WWWシステムと呼ぶ。WWWシステムのサーバ(WWWサーバ)には、インターネットに接続している世界中のコンピュータからアクセスできる。近年は、このようなインターネットの利便性に着目した、WWWシステムを利用した電子商取引などのサービスが広がってきている。
【0003】
しかし、特定のWWWサーバに対する、不特定多数のクライアントの挙動を予測することは、非常に困難である。世界中のコンピュータからアクセスできるWWWシステムでは、WWWサーバへのエンドユーザのアクセスが予想以上に集中して、サーバをダウンさせてしまう危険性がある。WWWサーバをダウンさせてしまうと、WWWサーバを利用する顧客を逃すことになるので、WWWサーバの管理者は、WWWサーバをダウンさせないために、サーバの状態(サーバが危険な状態なのか、そうでないのか)を常に把握しておく必要がある。
【0004】
WWWサーバの状態を把握するためには、管理するWWWサーバの性能がどの程度であるのかを見積もる必要がある。そこで、WWWサーバの高可用性を維持するために、WWWサーバの性能測定を高い精度で行うことが重要視されてきている。
【0005】
従来、WWWサーバの性能測定は、WWWサーバに対して、実運用環境下でエンドユーザがアクセスすることにより発生する負荷をシミュレートすることで、性能測定を行っていた(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、多数の負荷生成器を用いた、Webアプリケーションの限界性能測定方法を挙げている。この方法は、WWWサーバに対して負荷をかけ、単位時間あたりのトランザクション数と、アプリケーションの応答時間を測定する。ここで、負荷を増やしたときに、応答時間は増えるが、単位時間あたりのトランザクション数は増えない時点で、Webアプリケーションの性能が限界に達していると判断している。これらの製品の、性能測定方法の手順は、主に以下の流れとなっている。
【0006】
1)シナリオ作成、2)テスト環境設定、3)負荷生成、4)分析
まず、シナリオ作成フェーズにおいて、負荷シミュレーションのシナリオを作成する。シナリオとは、エンドユーザが実際にWWWサーバを利用するときのWWWブラウザの画面操作を定義したものである。
【0007】
次に、テスト環境設定フェーズにおいて、テストを行うネットワーク環境の設定を行う。ここでは、負荷をシミュレートする上での仮想エンドユーザ数の設定や、実際に負荷を発生するホストマシンの割り当てなどを行う。
【0008】
次に、負荷生成フェーズで、実際に負荷を発生し、性能測定テストを実行する。テスト実行中に、WWWサーバの性能値(例:応答時間)を測定する。
【0009】
次に、分析フェーズで、前フェーズで測定した性能値を分析し、性能評価を行う。以上が、従来の、WWWサーバ性能測定の主な流れであった。
【0010】
【特許文献1】
米国特許第6434513号明細書
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この従来の性能測定方法には、手順1のシナリオ作成フェーズにおいて、WWWブラウザの画面操作の具体的な内容を定義する際に、以下のような問題があった。
【0012】
まず、エンドユーザが実際にWWWブラウザで閲覧したページ遷移(例:ログイン→商品検索→購入)を定義する際、ここで定義するページ遷移は、性能測定者が、経験に基づいて想定したものであり、現実のものとは異なる場合が多かった。例えば、1度の検索ではユーザのニーズを満たす商品が探し出せるとは限らず、複数回検索を行う場合が考えられる。
【0013】
次に、エンドユーザのページ遷移を定義しても、エンドユーザがあるページから別のページへの移動を、どれくらいのスピードで実行するかは定義できなかった。例えば、あるユーザは、商品検索後、5秒で購入するかもしれないが、別のユーザは、商品検索後、10秒で購入するかもしれない。従来は、このようなエンドユーザの思考時間の最大値と最小値を性能測定者が定義して、その間の値を測定装置がランダムに発生させたものを、思考時間として用いていた。そのため、現実とは異なる場合が多かった。
【0014】
また、エンドユーザが複数のページにアクセスする際の各ページのアクセス数の割合も、性能測定者の想定に基づいており、そのために実運用環境下におけるWWWサーバの挙動を正確にシミュレートできない場合が多かった。例えば、普段は、商品検索ページへのアクセスと購入ページのアクセスとの割合が8:2であるのに、ボーナスの時期は、普段よりも実際に商品を購入するユーザが増加して、検索ページと購入ページのアクセスの割合が、5:5になる場合などがある。
【0015】
上記で挙げた、ページ遷移、思考時間、アクセスページ割合等を総称して、アクセスパターンと呼ぶ。アクセスパターンが異なると、WWWサーバが動作するマシンのリソース配分などが異なり、測定される性能値(応答時間など)が変わってくる。アクセスパターンは、不特定多数のエンドユーザ一人一人の挙動によって決まるものであり、これらを事前に予測することは、現実的に不可能である。
【0016】
そこで、性能測定者は、性能測定の際に、経験、または、乱数などによって、アクセスパターンの各項目の値を決定していたが、このような従来のアクセスパターンの決定方法では、現実に近いWWWサーバの挙動をシミュレートすることはできず、その結果、測定される性能値も、実運用環境下の性能とは誤差の大きいものとなってしまい、性能測定装置として信頼性の低いものであった。
【0017】
一方、WWWサーバの運用の分野においては、高性能かつ高可用性のWWWサーバを運用したいという顧客の要求が高まっている。高性能かつ高可用性のシステムを構築し、運用するためには、WWWサーバの性能値を監視し、性能値が危険域に達する時期を予測して、WWWサーバがダウンする前に、何らかの予防策を講じる必要がある。
【0018】
この「WWWサーバの性能値が危険域に達する時期の予測」は、予測した時期が遅いと、予防策を講じる前にWWWサーバがダウンすることになり、予測した時期が早いと、WWWサーバを構成する機器を不必要に増強するなど、予防策に余分なコストをかけることになる。
【0019】
従って、できるだけ低いコストで、高性能かつ高可用性のWWWサーバを構築するためには、高精度の性能予測技術が必要である。高精度で性能予測を行うためには、測定の対象となるWWWサーバの性能を高精度で見積もることが前提となる。しかしながら、WWWサーバ性能測定技術は、前述のとおり、現実に近いエンドユーザのWWWブラウザ操作を再現できるに至っていないのが現状である。
【0020】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、現実に近いWWWブラウザ操作手順を再生する方法を提供して、信頼性の高い性能測定装置を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は、実際にWWWサーバを運用している環境において、実際のエンドユーザのアクセスパターンを記憶するアクセスパターン記録部を備える。
【0022】
また、アクセスパターン記録部の動作の制御を行う、アクセスパターン記録制御部を備える。また、アクセスパターン記録部が測定したエンドユーザのアクセスパターンに基づいた負荷を発生する、アクセスパターン再生部を備えることを特徴とする。
【0023】
また、WWWサーバに対するアクセス頻度(WWWサーバに対する、同時利用ユーザ数)および、WWWサーバの性能値(例:応答時間)を測定する、状態測定部を備える。また、アクセスパターン記録部が記憶したアクセスパターンを、アクセスパターン再生部が、負荷を増加させながら発生させたときに、性能測定部が測定する性能値が、予め設定された要求性能を超えるときのアクセス頻度を測定し、そのアクセス頻度を、測定対象のWWWサーバの限界性能値として求める、限界性能測定部を備える。
【0024】
また、アクセスパターン記録部が新しくアクセスパターンを記録したとき、そのアクセスパターンに近いアクセスパターンが存在する場合は、その近いアクセスパターンの識別子を割振り、存在しない場合には、新しい識別子を自動的に割り振る、アクセスパターン判断部を備える。
【0025】
また、アクセスパターン記録部が記録したアクセスパターンを保持する、アクセスパターンテーブルを備える。また、状態測定部が記録したアクセス頻度および性能値を保持する、状態記録テーブルを備える。また、限界性能測定部が測定した、WWWサーバの限界性能を保持する、限界性能テーブルを備える。
【0026】
上記構成により、実運用環境においてエンドユーザがWWWブラウザを操作した手順を記憶し、その手順をWWWサーバの性能測定に生かすことができる。このことにより、高精度のWWWサーバの性能見積もりができ、かつ、信頼性の高い性能予測を行うこともできる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0028】
図1は、本発明を利用したWWWサーバの性能測定装置の一構成例である。
【0029】
性能測定装置101は、WWWサーバ102の限界性能を測定して求める装置であり、アクセスパターン記録部201、アクセスパターン記録制御部202、アクセスパターン再生部203、状態測定部204、限界性能測定部205、アクセスパターンテーブル301、状態テーブル302、限界性能テーブル303から構成される。
【0030】
また、限界性能測定装置101は、測定対象となるWWWサーバ102およびインターネット103に接続されている。エンドユーザ104は、インターネット103を経由して、WWWサーバ102にアクセスする。
【0031】
アクセスパターン記録部201は、エンドユーザ104が、WWWサーバ102にアクセスした際のアクセスパターンを記録し、アクセスパターンテーブル301に保存する。アクセスパターンには、エンドユーザ104が閲覧したWWWページの遷移、エンドユーザ104があるページを閲覧してから別のページへ移動する操作を実行するまでの思考時間、複数のエンドユーザ104が同時にWWWサーバ102にアクセスしたときに閲覧されたWWWページの割合を含む。さらに、アクセスパターンに、エンドユーザ104がWWWサーバ102へ接続する接続速度、エンドユーザ104が使用するキャッシュサイズ、エンドユーザ104の反復数を含めても、本発明を適用できる。
【0032】
アクセスパターン記録制御部202は、アクセスパターン記録部201の動作の制御を、WWWサーバ102の管理者が行うためのものである。具体的には、記録するアクセスパターンの項目の設定、アクセスパターンの記録の開始と停止、アクセスパターン識別子401の割振りを行う。アクセスパターン識別子401は、エンドユーザが各WWWページにアクセスした記録の集まりを表す識別子である。識別子の割り振り方は、定期的に割り振る(例:1ヶ月単位に別の識別子を割り振る)、1日の時間帯で割り振る(例:昼と夜で、別の識別子を割り振る)、などがある。
【0033】
アクセスパターン再生部203は、アクセスパターン記録部201がアクセスパターンテーブル301に記録したアクセスパターンを再現して、WWWサーバ102に負荷を発生する。そうすることにより、現実のエンドユーザ104のアクセスパターンを性能測定に利用できる。
【0034】
状態測定部204は、WWWサーバ102の状態を、状態テーブル302に記録する。記録される状態は、アクセス頻度502(WWWサーバ102に対する同時利用ユーザ数)、性能値503(例えば応答時間)を含む。
【0035】
限界性能測定部205は、状態テーブル302に記録されたアクセス頻度が少ない時間帯に、アクセスパターン記録部201が測定したアクセスパターンに基づいた負荷を、アクセス頻度を増加させながらアクセスパターン再生部203に再生させる。この際、状態測定部204が状態テーブル302に記録するアクセス頻度502と性能値503を監視し、WWWサーバ102の管理者が要求する性能値(要求性能)を、状態測定部204が測定する性能値503が超えたときに、そのときの負荷の基となるアクセスパターン識別子401と、アクセス頻度502を限界性能テーブル303に記録する。記録された性能値は、負荷の基となるアクセスパターンにおけるWWWサーバ102の限界性能値602となる。
【0036】
ここで記録された限界性能値602は、現実のエンドユーザ104のアクセスパターンに基づいて測定されたものであり、従来の性能測定方法で測定されたものよりも信頼性の高いものである。この限界性能値を利用することで、WWWサーバ102の管理者は、高可用性のWWWサーバ運用を行うことできる。
【0037】
アクセスパターンテーブル301の詳細を図2に示す。
【0038】
アクセスパターンテーブルは、アクセスパターン識別子401、ページ識別子402、ページ名403、ページアクセス数404を持ち、さらに、1つ以上のアクセスパターン項目405を持つ。図2は、アクセスパターン項目に思考時間を適用した例である。
【0039】
アクセスパターン識別子401は、エンドユーザ104が各WWWページ102にアクセスした記録(アクセスパターンテーブル301の1行)の集まりを表す識別子である。この識別子は、WWWサーバの管理者がアクセスパターン記録制御部202に設定を行うことで割り振られる。アクセスパターン識別子401の割り振りによって、特定の時期のアクセスパターンの記録を作成したり、定期的にアクセスパターンを区別したりできる。(例:1ヶ月ごとのアクセスパターンを作成する、昼だけのアクセスパターンと夜だけのアクセスパターンを作成する。)
ページ識別子402は、各WWWページの識別子である。このページ識別子402を利用して、アクセスパターンに、ページ遷移を定義することも可能である。具体的には、次のページを表す項目を、アクセスパターンに追加し、次のページのページ識別子402をテーブルに書き込む。
【0040】
ページ名403は、エンドユーザがアクセスしたページのURLである。このURLは、アクセスパターン再生部203が負荷を再生するときに使用される。
【0041】
ページアクセス数404は、エンドユーザ104が各WWWページにアクセスした数の統計値である。この値は、他のページのページアクセス数404と比較することで、各ページにアクセスしたエンドユーザ104の割合を算出できるので、アクセスパターンが負荷を再生する際に、各ページのアクセス割合が必要なときに使用される。
【0042】
アクセスパターン項目405は、アクセスパターンを構成する1つ以上のパラメータであり、再生部が負荷を再生する際に使用される。ここでは、思考時間をあげているが、さらに、ページ遷移、エンドユーザの各ページの反復処理数を加えても本発明を適用できる。
【0043】
状態記録テーブル301の詳細を図3に示す。
【0044】
記録時間501は、状態記録部204が、状態記録テーブル302に、アクセス頻度502と性能値503を記録したときの時間である。この記録時間501は、アクセスパターン再生部203が、アクセスパターンに基づく負荷を再生する時間帯を見積もるために使用される。アクセス頻度502は、WWWサーバ102に同時にアクセスしているエンドユーザ104の数である。性能値503は、WWWサーバ102の性能を表す1つの指標である。ここでは、性能値として応答時間を適用している。
【0045】
図4は、本実施例における、限界性能テーブル303の例である。
【0046】
アクセスパターン識別子601は、限界性能測定時にアクセスパターン再生部203が負荷を再生する基となったアクセスパターンの識別子であり、アクセスパターンテーブル301のアクセスパターン識別子401と同じものである。限界性能値602は、限界性能測定部205が測定した、WWWサーバ102の限界性能である。
【0047】
図5は、本発明を用いたWWWサーバ102の性能測定方法の基本的な部分となるフローチャートである。
【0048】
ステップ701では、WWWサーバ102の管理者が、アクセスパターン記録制御部202で、記録するアクセスパターン項目405および、アクセスパターン識別子401の割振り方法の設定を行い、アクセスパターンの記録を開始する。ステップ702では、アクセスパターン記録部201が、実際にエンドユーザ104がWWWサーバ102にアクセスしたときのアクセスパターンを記録する。ステップ703では、状態記録部204が、アクセスパターンの状態(アクセス頻度502、性能値503)を記録する。ステップ704では、アクセスパターン再生部203が、状態記録テーブル302に記録された情報を参照し、アクセス頻度の少ない時間帯を統計的手法により見積もる。
【0049】
ステップ705では、状態測定部204が、現在の時間はステップ704で見積もった、アクセス頻度の少ない時間帯であるかどうかを判断する。アクセス頻度が少ない時間帯である場合は、ステップ706に進む。アクセス頻度が少ない時間帯ではない場合には、ステップ702に進む。ステップ706では、アクセスパターン再生部203が、アクセスパターン記録制御部202によって割り振られている識別子のアクセスパターンに基づいて、アクセス頻度を増加させながら、WWWサーバ102に対して負荷を再生する。ステップ707では、状態記録部204がWWWサーバ102の状態(アクセス頻度502、性能値503)を記録する。ステップ708では、限界性能測定部205が、ステップ707で記録した性能値503が予めWWWサーバ102の管理者によって定められた要求性能を超える時のアクセス頻度を、WWWサーバ102の限界性能値として、限界性能テーブル303に記録する。この時の限界性能値の求め方を図6に示す。
【0050】
ステップ708で求められた限界性能値は、実際の運用環境に基づくアクセスパターンを用いて測定した限界性能値であり、従来の手法で求めた性能値よりも高精度のものである。従って、WWWサーバの性能値が危険域に達する時期の予測を、より高精度に見積もることができる。その結果、より適切なタイミングで運用上の対策を講じることができ、運用にかかるコストを低く抑えられる。
【0051】
次に、上記で説明した、本発明の基本的な限界性能測定方法を発展させた実施例を示す。
【0052】
図7は、限界性能測定装置101に、アクセスパターン判断部206を追加し、新しく記録されたアクセスパターンのアクセスパターン識別子401を割り振る時、および、アクセスパターン再生部203が負荷を再生するときの基となるアクセスパターンを決定する時、新しく記録されたアクセスパターンに基づいて自動的に判断するようにした実施例である。ここで、この実施例は、一定期間、エンドユーザ104のWWWサーバ102へのアクセス記録を、アクセスパターン識別子=「新パターン」として記録する。この一定期間の長さは、アクセスパターン記録制御部で設定する。
【0053】
アクセスパターン判断部206は、新しくアクセスパターンが記録されたときに、そのアクセスパターンに最も近いアクセスパターンを、過去にアクセスパターンテーブル301に記録されたアクセスパターンの中から選択し、新しく記録されたアクセスパターンに、選択されたアクセスパターンの識別子を割り振る。最も近いと判断されるアクセスパターンがアクセスパターンテーブル301の中に存在しない場合は、新たな識別子が割り振られる。
【0054】
新たなアクセスパターンが記録されたときに、最も近いアクセスパターンを選択する方法を、以下に述べる。
【0055】
まず、過去に記録されたアクセスパターンのフィルタリングを行い、新しく記録されたアクセスパターンと近いものの絞込みを行う。ここでは、アクセスパターンテーブル301に記録されているアクセスパターンの中から、各WWWページのページアクセス数の割合の、新しいアクセスパターンとの差(絶対値)が一定数以内であるものを抽出する。
【0056】
図8に、上記の抽出の概要を示す。ここでは、上記一定数を0.2とする。アクセスパターン識別子Aのパターンは、上記の条件を満たすので、フィルタリングを通過し、抽出される。アクセスパターン識別子Bのパターンは、ページ2のページアクセス数の割合の差が0.2以上であるので、抽出されない。
【0057】
次に、フィルタリングされた過去のアクセスパターンと、新しく記録されたアクセスパターンとの距離を計算する。距離の計算方法の概要を図9に示す。
【0058】
まず、過去に記録されたアクセスパターンと、新しいアクセスパターンとを比較し、ページアクセス数の割合の差(絶対値)(902)と、各アクセスパターン項目(ここでは思考時間)の差(絶対値)(903)を求める。
【0059】
次に、各アクセスパターン項目(ここでは思考時間)の差(903)に、それぞれ重みをかける。重みはアクセスパターンごとに違う値になる。ここでは、思考時間の重みをwとする。
【0060】
次に、ページアクセス数の割合の差(902)と、アクセスパターン項目の差(903)を加算する(904)。加算したら、それぞれに対し、そのページのページアクセス数の割合(901)をかけて、その総和をとる(905)。この総和がアクセスパターン同士の距離となる。新しいアクセスパターンとの距離が最も小さいアクセスパターンを最も近いものと判断する。図9では、Dが最も近いパターンと判断される。
【0061】
なお、実際のパターンには、ページアクセス数の割合(901)の少ないページがノイズとして多数含まれるが、アクセスパターンの距離計算では、(905)の算出の際に、各ページのページアクセス数の割合(901)をかけているので、ノイズの影響は低減される。また、アクセスパターン項目が複数ある場合でも、(904)の算出の際に、それぞれの項目値の、新しく記録されたアクセスパターンとの差と、項目の重み(項目ごとに定義)をかけたものを加算すれば距離を算出できる。
【0062】
この実施例は、WWWサーバ102に対するエンドユーザ104のアクセスパターンが、ある時期から突然変化したような場合でも、自動的にWWWサーバ102の限界性能を再測定し、常に適切な限界性能を見積もることができる。
【0063】
また、この実施例は、実際のアクセスパターンの変化に合わせて、さまざまなパターンをテーブルに蓄積していくことになるので、別のWWWサーバを新しく構築した際にも、性能測定時の、実運用環境を基にしたアクセスパターンのサンプルとして使用できる。
【0064】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、エンドユーザのアクセスパターンを利用して、WWWサーバの性能測定を行うことができる。このことにより、WWWサーバの性能見積もりを高精度で行なえる。その結果、WWWサーバの性能値が危険域に達する時期の予測も高精度で行えることになり、WWWサーバの管理者は、低コストで高可用性のWWWサーバ運用を行なえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本的な実施例におけるWWWサーバおよび限界性能測定装置の全体構成図である。
【図2】本発明の実施例における、アクセスパターンテーブルの詳細である。
【図3】本発明の実施例における、状態記録テーブルの詳細である。
【図4】本発明の実施例における、限界性能テーブルの詳細である。
【図5】本発明を用いた、WWWサーバ性能測定方法のフローチャートである。
【図6】本発明で提案した手法を用いて、限界性能測定部がWWWサーバの限界性能を求める方法の概略である。
【図7】本発明の基本的な実施例に、アクセスパターン判断部を追加した実施例である。
【図8】本発明の、アクセスパターン判断部を用いた実施例において、新しく測定されたアクセスパターンに近い過去のアクセスパターンを選択する際の、フィルタリングの概略である。
【図9】本発明の、アクセスパターン判断部を用いた実施例において、新しく測定されたアクセスパターンに近い過去のアクセスパターンを選択する際の、距離計算の概略である。
【符号の説明】
101:限界性能測定装置、102:WWWサーバ、103:インターネット、104:エンドユーザ、201:アクセスパターン記録部、202:アクセスパターン記録制御部、203:アクセスパターン再生部、204:状態測定部、205:限界性能測定部、206:アクセスパターン判断部、301:アクセスパターンテーブル、302:状態記録テーブル、303:限界性能テーブル
Claims (3)
- インターネットに接続されたWWWサーバの限界性能を測定する測定装置は、
前記WWWサーバへのエンドユーザのアクセスパターンを記録するアクセスパターン記録部と、
前記アクセスパターン記録部の動作の制御を行うアクセスパターン記録制御部と、
WWWサーバに対して、前記アクセスパターン記録部が記憶したパターンに基づいた負荷を発生するアクセスパターン再生部と、
前記WWWサーバに対するエンドユーザのアクセス頻度と前記WWWサーバの性能値を測定する状態測定部と、
前記アクセス頻度測定部が測定するアクセス頻度を増加させるように、前記アクセスパターン再生部で負荷を再生し、前記性能測定部が測定する性能値が、前記WWWサーバの管理者が要求する性能を超えるときの、前記アクセス頻度計測部が計測したアクセス頻度を、前記WWWサーバの限界性能値として求める、限界性能測定部と、
前記アクセスパターン記録部が測定したアクセスパターンを記録するアクセスパターンテーブルと、前記状態測定部が測定したアクセス頻度および性能値を記録する状態記録テーブルと、前記限界性能測定部が測定した限界性能を記録する限界性能テーブルから構成されることを特徴とするWWWサーバの限界性能測定装置。 - 前記アクセスパターン記録制御部において実行されるアクセスパターン識別子の割振り時に、前記アクセスパターンテーブルから、前記アクセスパターン記録部が現在記録したアクセスパターンに最も近い、過去のアクセスパターンを、自動的に選択して、アクセスパターンの割振りを行う、アクセスパターン判断部を有することを特徴とする請求項1記載のWWWサーバの限界性能測定装置。
- 前記限界性能測定部において実効される限界性能測定時に、前記アクセスパターン再生部が負荷を再生するもととなるアクセスパターンを、前記アクセスパターンテーブルから自動的に選択するアクセスパターン判断部を有することを特徴とする請求項1及び2記載のWWWサーバの限界性能測定装置。
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