JP2004317349A - 故障点探査装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】対地静電容量が大きい故障区間線路であっても、対地静電容量に対して流れる充電電流により故障区間を誤標定しない故障点探査装置を提供する。
【解決手段】パルス電圧値を表示する電圧表示手段と、故障点に流れる電流の大きさに比例した指示値を表示する地絡表示手段を備え、高圧配電線路の停電区間に高電圧のパルスを注入して故障点で放電を起こさせて、故障点に流れる電流によって故障点を探査する故障点探査装置において、
パルス注入後から所定時間経過後の上記パルス電圧或いは上記電流の値又は変化率を求めて設定値と比較する判別回路と上記地絡表示手段部に開閉接点機構を設け、該判別回路の判定結果により該開閉接点機構を開閉動作させるようにした故障点探査装置。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はパルス方式を用いた高圧配電線路の故障点探査装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高圧配電線路において、地絡故障発生時に速やかな故障復旧を図るために停電区間の配電線路に高電圧パルスを注入し、注入点と故障点の間に流れる電流をアンテナ式の電流検出器あるいは電線に引っ掛けて検出する携帯式の電流検出器を用いて高電圧パルス注入箇所から故障点に至るまで順番に検知を繰り返す故障点探査方法が従来から行われている。(例えば、特許文献1参照。)
上記故障点探査のために使用される故障点探査装置には、図2に示すようにパルス電圧値を表示する出力電圧表示メータ9と、上記注入点と故障点の間に流れる地絡電流の大きさに比例した指示値を表示する地絡表示メータ10が設けられている。
【0003】
また上記高圧配電線路には、線路内を前もって定められた区間毎に切り分けることができるように区分開閉器が設置されており、故障発生時には区分開閉器にて故障区間のみを他の健全区間より自動的に切り離すようになっている。
さらにまた上記区間内には、区間内を更に細かく区分できるように手動で開閉操作できる手動開閉器が複数台設置されている。
【0004】
上記故障点探査装置は普段は電力会社の営業所或いは電力会社より委託を受けた工事会社等の営業所等に常備されていて、上記作業の際に工事用車両に積載して、上記故障区間(作業現場)まで運搬され、作業現場内の任意の電柱等に仮設されて故障区間内の高圧配電線路に接続される。
【0005】
故障点探査時間を短縮させるために、前記手動開閉器を1台ずつ順番に開閉操作させて探査を行い、故障点探査装置に設けられている地絡表示メータ10の振れ具合から故障区間を手動開閉器で区切られた小さな範囲に絞り込む作業を行い、故障区間の範囲をより小さく限定してから、注入点と故障点の間に流れる電流をアンテナ式の電流検出器あるいは電線へ引っ掛けて検出する携帯式の電流検出器を用いて順番に検知を繰り返して、故障点を探査することが行われている。
なお故障区間の判断は地絡表示メータの振れ具合が大きいところを故障区間と判断している。
【0006】
【特許文献1】
特公平6−105279号公報(第1−2頁、第1図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら高圧配電線路には対地静電容量があるために、上記パルス電圧の注入により、線路の対地静電容量へ充電電流が流れるため、充電電流により上記故障点探査装置の地絡表示メータが振れることになる。
特に故障区間にケーブル敷設などの理由により高圧配電線路の対地静電容量が大きい線路の場合には、対地静電容量に比例して大きな充電電流が流れるため、故障点が存在しなくても上記地絡表示メータの指針が大きく振れてしまい、あたかも故障点があるかのように誤認されてしまうという問題点がある。
【0008】
本発明の目的は対地静電容量に対する充電電流による誤認が無い故障点探査装置を提供することにある。
【0009】
【発明が解決するための手段】
本発明は前記課題を解決するためになされたもので、
パルス電圧値を表示する電圧表示手段と、故障点に流れる地絡電流の大きさに比例した指示値を表示する地絡表示手段を備え、
高圧配電線路の停電区間の一部から故障点に高電圧のパルスを注入して故障点で放電を起こさせて、故障点に流れる地絡電流によって故障点を探査する故障点探査装置において、
パルス注入後から所定時間経過後の上記パルス電圧或いは上記地絡電流の値又は変化率を求めて設定値と比較する判別回路と、上記地絡表示手段部に開閉接点機構を設け、該判別回路の判定結果により該開閉接点機構を開閉動作させるようにしたことを特徴とする故障点探査装置である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例について図を用いて説明する。
図1は本発明の故障点探査装置1の説明図である。
故障点探査装置1の高電圧パルス発生部25には、
電源端子21に接続された直流電源20の直流電圧を昇圧する高電圧発生回路2と、高電圧発生回路2で昇圧された電圧を整流する整流回路3と、整流された高電圧を蓄えるコンデンサ4が設けられている。
【0011】
そして、コンデンサ4に蓄えられた高電圧は、送信スイッチ7の開閉によって制限抵抗5を通って、高圧出力端子12にパルス状の電圧として送出される構成になっている。
【0012】
なお、高電圧発生回路2では制御回路6からの制御により、例えば、5kV、10kV、15kVのように任意の電圧を発生できるようになっている。
また直流電源20として、車載バッテリーなどの直流電源を利用できるようになっており、電源端子21と高電圧発生回路2との間には電源スイッチ18が設けられている。
【0013】
更に、送信スイッチ7では制御回路6からの制御により、例えば2秒周期、6秒周期のように任意の時間間隔でパルス電圧を繰り返し送出させることができるようになっている。
【0014】
そして送信スイッチ7の両側には、コンデンサ4及び高圧配電線路34の残留電荷を放電させるために、制御回路6により開閉制御されている接地スイッチ19が設けられている。
【0015】
次に電圧表示手段26と電流表示手段27について説明する。
電圧表示手段26は、分圧器8と出力電圧表示メータ9によって構成されており、
分圧器8は送信スイッチ7のコンデンサ4側に接続されており、コンデンサ4の充電電圧或いは送出動作時の印加電圧を出力電圧表示メータ9に表示させることができるようになっている。
【0016】
更に、分圧器8の信号は後述する電圧判別回路16へも送られるようになっている。
【0017】
なお分圧器8としては、抵抗やコンデンサの受動素子を組み合わせた分圧器や公知の電圧センサなどを使用することができる。
【0018】
電流表示手段27は、検出器22と電流表示回路11と地絡表示メータ10によって構成されている。
【0019】
高圧配電線路34に印加されたパルス電圧によって地絡故障点に流れる地絡電流は、主接地ケーブル40を介して主接地端子13より本装置内に流入し、
主接地端子13とコンデンサ4の間に設けられている検出器22により地絡電流が検出される。
そして検出器22からの出力が電流表示回路11に送られ、地絡表示メータ10に地絡電流の大きさに比例した値を表示させる構成となっている。
【0020】
更にまた検出器22の信号は後述するトリガー回路15へも送られるようになっている。
【0021】
なお検出器22としては、シャント、貫通CT等の公知の電流センサを使用することができる。
また電流表示回路11では地絡電流のピーク値を保持させて、ピーク値の大きさに比例した信号を地絡表示メータ10に送るようになっている。
【0022】
そして電流表示回路11と地絡表示メータ10の間には、後述する判別回路28によって開閉制御されている開閉機構17が設けられており、開閉機構17の接点17aによって地絡表示メータ10へ電流表示回路11からの信号を伝達できないようになっている。
【0023】
開閉機構17としては、接点を有する電磁開閉器等の有接点リレーや、サイリスタ等の無接点リレーなどを使用することができる。
【0024】
次に判別回路28について説明する。
判別回路28はトリガー回路15と電圧判別回路16とで構成されている。
【0025】
トリガー回路15では検出器22からの信号を使用して、パルス注入開始時点と、パルス注入後から予め設定された時間経過後にパルス注入開始信号と時間経過信号の2つの信号を電圧判別回路16へ送るようになっている。
【0026】
電圧判別回路16では、トリガー回路15から最初に送られてくるパルス注入開始信号により、開閉機構17を開放動作させる。
そして次にトリガー回路15から送られてくる時間経過信号により、分圧器8から送出動作後の印加電圧を取り込み、予め設定されている判別値と比較し、
送出動作後の印加電圧が判別値以下である場合には、「故障点有り」として開閉機構17を閉路動作させて、地絡表示メータ10に電流表示回路11からの信号を表示させる。
【0027】
逆に送出動作後の印加電圧が判別値を超えている場合には、「故障点無し」として引き続き開閉機構17の開放状態を維持させて、地絡表示メータ10の指針を振らさないようにさせる。
【0028】
なお判別回路28は制御回路6からの信号により、開閉機構17をパルス送出周期に併せて毎回リセットさせるようになっている。
【0029】
検出器22からの信号により動作させることにより、誤認識を起こさせる大きな電流が流れた場合のみ判別回路28が動作するようにできるため、これにより、誤認識が生じない小さな電流値の場合には判別回路28を動作させなくすることができ、不必要な動作を無くすることができる。
【0030】
しかし、トリガー回路15を送信スイッチ7を動作させる制御回路6の信号により動作させることも可能であり、この場合は電流の大小に関係せず判別回路28が動作することになる。
【0031】
また電圧判別回路16に時間変化を検出するために微分回路等で構成させた回路を設け、パルス注入直後からの線路電圧の変化を求め、その変化が小さい場合には、「故障点無し」として引き続き開閉機構17の開放状態を維持させるようにし、地絡表示メータ10の指針を振らさないようにさせることもできる。
【0032】
これは、故障点が無い場合には線路電圧が緩やかに低下する為、変化が小さい場合には「故障点無し」と判断することができるためである。
【0033】
本実施例では線路電圧を使用した例を説明したが、図3に示すように電圧判別回路16と同じ機能を有する電流判別回路29をトリガー回路15内に設けて、検出器22からの地絡電流を利用しても同様に行うことができる。
【0034】
更に、送信スイッチ7の閉路により高圧配電線路34の対地静電容量を充電させる指数関数的に減少する充電電流について、開閉機構17を電流表示回路11と検出器22の間に設けて、そのパルス注入直後の大きな電流が流れる期間の電流を地絡表示メータ10に表示させないようにさせることもできる。
【0035】
また電流表示回路11と検出器22の間に高周波成分を除去させるフィルタ回路を設けて、フィルタにより急激に変化する高周波成分を除去することにより対地静電容量への充電電流を除去するようにさせても良く、該フィルタ回路を開閉機構17により挿入/切離しさせるようにしてもよい。
このように、本目的を達成できる方法であれば、本実施例に限定されるものではない。
【0036】
使用方法について説明する。
故障発生時に、故障区間の線路に運ばれた本装置1は図2に示すように、
故障点探査装置1の電源端子21に車載されているDC12Vのバッテリー20を接続し、
次に高圧出力端子12、主接地端子13、外箱接地端子14にそれぞれ課電ケーブル30、主接地ケーブル40、外箱接地ケーブル50を接続する。
課電ケーブル30の他方端を故障区間の高圧配電線路34と電気的に接続し、
主接地ケーブル40の他方端側、外箱接地ケーブル50の他方端側はそれぞれ別の接地電極に接続する。
【0037】
なお課電ケーブル30を高圧配電線路34に接続する方法としては、線路の絶縁電線或いはカットアウトスイッチ、避雷器、変圧器等への引き下げ線の被覆を剥ぎ取って芯線と直接接続させる方法、針電極を用いて絶縁被覆の外部より電線の芯線と針電極とが接続するまで針電極を挿入させる方法、線路に接続されているカットアウトスイッチ、避雷器、変圧器のリード線接続端子或いは電極等に接続させる方法などの方法が利用できる。
【0038】
次に、電源スイッチ18をONさせて、図示されていないコントロールパネルを操作して、高電圧パルス電圧値を指示した後、コントロールパネルの送出スイッチを動作させて、指示した高電圧パルスを定期的に線路へ印加する。
【0039】
この操作を高圧配電線路34に設けられている図示されていない手動開閉器の開閉操作を順番に行いながら行い、その時々の地絡表示メータ10の指針の振れを目視監視する。
【0040】
故障点60より故障点探査装置1側に設けられている手動開閉器を開放操作すると、故障点60が高圧配電線路34より切り離されるため、地絡表示メータ10の指針が振れなくなる。
このため、今操作した手動開閉器の故障点探査装置1側と反対側に故障点60があることがわかる。
【0041】
そしてその区間を目視巡視や、アンテナ式の電流検出器或いは電線へ引っ掛けて検出する携帯式の電流検出器を用いて故障点60を発見し、故障点の修復を行う。
【0042】
この時、対地静電容量が大きい線路であっても、対地静電容量への充電電流か故障電流かを判別して、充電電流の場合には地絡表示メータに表示させないため、地絡表示メータの振れにより故障区間の絞込みを精度良く行うことができる。
【0043】
また本発明の故障点探査装置1には、主接地或いは外箱接地が確実に接続されているかを抵抗値、発生電圧、模擬信号等を用いて検知する手段を付加させるなどして、主接地或いは外箱接地の接続忘れ、ケーブルの断線、使用中の接地線外れなどの場合に、送信動作を停止させる或いは送信動作をできなくするような安全装置を設けることもできる。
更に高圧出力端子12の課電ケーブル30シールド線側端子12aにCT等を設けて課電ケーブル30の漏れ電流を検出する手段を付加させるなどして、課電ケーブル30の劣化状況を判断し、課電ケーブル30が劣化している場合に送信動作を停止させる或いは送信動作をできなくするような安全装置を設けることもできる。
【0044】
【発明の効果】
本発明により、対地静電容量への充電電流か地絡電流かを判別して、充電電流の場合には地絡表示メータに表示させないため、
対地静電容量が大きい線路であっても、地絡表示メータの振れにより故障区間の絞込みを精度良く行える。
このため、故障箇所の探査作業を短時間に行うことができ、お客さまの停電時間を短くすることができるとともに、作業時間の短縮もできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す説明図である。
【図2】本装置の使用状態の説明図である。
【図3】本発明の別の実施例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 故障点探査装置
2 高電圧発生回路
3 整流回路
4 コンデンサ
6 制御回路
7 送信スイッチ
8 分圧器
9 出力電圧表示メータ
10 地絡表示メータ
11 電流表示回路
15 トリガー回路
16 電圧判別回路
17 開閉機構
22 検出器
26 電圧表示手段
27 電流表示手段
28 判別回路
34 高圧配電線路
60 故障点

Claims (1)

  1. パルス電圧値を表示する電圧表示手段と、故障点に流れる地絡電流の大きさに比例した指示値を表示する地絡表示手段を備え、
    高圧配電線路の停電区間の一部から故障点に高電圧のパルスを注入して故障点で放電を起こさせて、故障点に流れる地絡電流によって故障点を探査する故障点探査装置において、
    パルス注入後から所定時間経過後の上記パルス電圧或いは上記地絡電流の値又は変化率を求めて設定値と比較する判別回路と、上記地絡表示手段部に開閉接点機構を設けて、該判別回路の判定結果により該開閉接点機構を開閉動作させるようにしたことを特徴とする故障点探査装置。
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