JP2004316780A - オイルシール装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】オイルシール装置は、回転軸(2,3)を軸受部(16)で軸受けするケーシング(4)と、軸受部から流れ出たドレン油の漏れを防止するシール部(17)とを備え、軸受部とシール部との間の空間の流体がバキュームポンプ(36)で吸引される。そして、シール部が、回転軸から径方向に突出するリング状の鍔部(57)と、鍔部の側面に対向するケーシングのフランジ部(4a)と、フランジ部の側面に設けられたシール材(53)とを具備している。また、シール材は、フランジ部に取り付けられるリング状のシール本体(53a)と、シール本体から突出するヒレ部(53b)とを具備している。さらに、シール材と鍔部との間に空気を導入する空気導入路(61)が設けられている。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、軸受部から流れ出たドレン油の漏れを防止するオイルシール装置に関し、特に、回転型油圧アクチュエータのオイルシール装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のオイルシール装置(たとえば、特許文献1参照)を、図7を用いて説明する。図7は従来のオイルシール装置を備えた回転型油圧アクチュエータの要部断面図である。
回転型油圧アクチュエータの回転軸01は、ケーシング02に軸受部04で回転可能に取り付けられている。そして、ケーシング02にはシール材03が取り付けられ、このシール材03が、軸受部04から流れ出たドレン油の外部への漏れを防止している。シール材03は断面コの字状をしており、ケーシング02の内周面に取り付けられる円筒状の取付板部06、この取付板部06の端部から略垂直に折れ曲がり内側に延在するリング板部07、このリング板部07の内側端部から略垂直に折れ曲がって回転軸01の周面に沿って延在するリップ08を具備している。このリップ08の内周面(回転軸01側の面)には突条09が設けられている。そして、リップ08の外周面に取り付けられたスプリング011が、リップ08を回転軸01側に付勢し、リップ08の突条09を回転軸01の周面に強力に押し当てて、シール性能を高めている。また、軸受部04から流れ出たドレン油は重力により自然落下して図示しない油圧源へ戻っている。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−4903号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、回転型油圧アクチュエータである回転型電動油圧サーボアクチュエータは、その応答性や操作性から、車両の駆動軸、クラッチやトランスミッションなどの疲労耐久試験機などに利用される。この様な疲労耐久試験機では、その性質状過酷でかつ長時間の連続使用となる。そのため、回転軸01付近からの油漏れは、その量が僅かでも問題となることがある。したがって、シール材03の耐久性は非常に重要視される。そして、図7に図示する従来のオイルシール装置では、油漏れを防止するために、スプリング011でシール材03のリップ08が回転軸01に強力に押し当てられている。この様に、シール性を高めるために、シール材03の接触圧を高めると、シール材03が早く磨耗するとともに、回転軸01に傷が付くことがある。そして、この回転軸01の傷によりさらにシール材03の磨耗が促進される。その結果、シール材03の交換回数や回転軸01のメンテナンスの回数が増大するという問題点が発生する。逆に、シール材03の接触圧を低くすると、シール材03や回転軸01の耐久性は高まるが、油漏れが発生しやすくなるという問題点が発生する。また、軸受部04からのドレン油が回転軸01の表面に沿って流れ、外部に流れだすことがあるという問題点がある。
【0005】
本発明は、以上のような課題を解決するためのもので、油漏れが極力減少するとともに、シール材や回転軸の耐久性が向上するオイルシール装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のオイルシール装置は、回転軸(2,3)を軸受部(16)で軸受けするケーシング(4)と、前記軸受部から流れ出たドレン油の漏れを防止するシール部(17)とを備え、前記軸受部とシール部との間の空間の流体がバキュームポンプ(36)で吸引される。そして、前記シール部が、回転軸から径方向に突出して回転軸と一体に回転するリング状の鍔部(57)と、この鍔部の側面に対向すべくケーシングに設けられたフランジ部(4a)と、このフランジ部の鍔部側の側面に設けられたシール材(53)とを具備しており、前記鍔部は前記フランジ部と軸受部との間に配置され、前記シール材は、フランジ部に取り付けられるリング状のシール本体(53a)と、このシール本体から突出するヒレ部(53b)とを具備しており、このシール材のヒレ部の先端が、バキュームポンプ停止時には鍔部の側面に接触しており、かつ、シール材と鍔部との間に空気を導入する空気導入路(61)が設けられている。
【0007】
また、前記鍔部が前記回転軸に着脱可能に設けられていることがある。
さらに、前記ケーシングには、前記鍔部の外周面に対向するリング状の庇部(66)が設けられていることがある。
【0008】
そして、前記ヒレ部とシール本体とが、外側に開いたV字形状を形成していることがある。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に、本発明におけるオイルシール装置の実施の一形態を説明する。図1は本発明のオイルシール装置が用いられる回転型油圧アクチュエータのドレン油回収装置の概略の油圧回路図である。図2はオイルシール装置の断面図である。図3は油回収用制御装置の入出力図である。図4は油回収のフローチャートである。図5は隔離弁が閉じた状態でのドレン油回収装置の概略の油圧回路図である。図6はドレン油溜室の油量の変化を示すグラフである。
【0010】
ロータリーアクチュエータとも呼ばれる回転型電動油圧サーボアクチュエータ1(以下「油圧アクチュエータ」)は、回転軸(ローター)である入力軸2と出力軸3を具備している。入力軸2および出力軸3はケーシング4に回転可能に支持されている。そして、サーボコントローラー6は、制御信号をサーボ弁7に入力して、入力軸2の回転と出力軸3の回転との位相差を制御する。サーボ弁7には、油圧源11が油圧配管14a,14bで接続されている。油圧源11は油圧ポンプ12および油タンク13を具備しており、油圧ポンプ12が稼働すると、油タンク13の油をサーボ弁7に供給する。また、入力軸2には図示しない電動モータが連結される。この油圧アクチュエータ1は、車両の駆動軸、クラッチやトランスミッションなどの疲労耐久試験機に利用される。
【0011】
油圧アクチュエータ1の軸2,3は、図2に図示するように、ケーシング4の軸受部16で回転可能に支持されており、この軸受部16には油が供給され潤滑している。この軸受部16の外側(外気側)にはシール部17(詳細は後述する)が配置されている。このシール部17は、軸受部16から流れ出たドレン油が外側に漏れることを防止している。そして、軸受部16とシール部17との間の空間には、ドレン油流入路21が接続されている。このドレン油流入路21にドレン油が流入する。
【0012】
このドレン油流入路21は軸受部16毎に複数独立して設けられ、その各先端はドレン油槽22に接続されている。ドレン油槽22はその内部が隔壁23で上下に分けられており、上側に排気室26が、また、下側にドレン油溜室27が形成されている。なお、ドレン油流入路21は排気室26に接続されている。また、隔壁23には、排気室26とドレン油溜室27とを連通させる連通部としての連通開口28が形成されている。この連通開口28を隔離弁31が開閉する。隔離弁31は隔離用油圧シリンダ32で駆動される。油圧シリンダ32は、油圧源11からの高圧側の油圧配管14aに隔離用電磁弁33を介して接続されている。そして、隔離用電磁弁33がONされると、油圧源11からの油圧が油圧シリンダ32に供給され隔離弁31が下降し連通開口28を閉じ、図5に図示する状態となる。一方、隔離用電磁弁33がOFFされると、油圧源11からの油圧が遮断され、油圧シリンダ32の内部の付勢手段としてのスプリング(図示しない)により隔離弁31が上昇し、連通開口28が開き、図1に図示する状態に戻る。
さらに、排気室26には、真空ポンプなどのバキュームポンプ36が接続され、バキュームポンプ36が稼働すると、排気室26内の空気をフィルター37を介して排気し、排気室26内の気圧を低下させて真空状態にする。
【0013】
ドレン油溜室27には、溜まったドレン油の油量を検出する上側レベルスイッチ41および下側レベルスイッチ42が設けられている。このレベルスイッチ41,42はフロートスイッチなどで構成されている。また、ドレン油溜室27には、給気弁としての給気用電磁弁43が接続されている。この給気用電磁弁43はON信号が入力されると開き、フィルター44を介して外気がドレン油溜室27内に流入することができる。一方、OFF信号が入力されると給気用電磁弁43は閉じ、外気の流入が遮断される。
【0014】
さらに、ドレン油溜室27の下部には逆止機能付きの回収ポンプ46が接続されている。この回収ポンプ46の吐出側はフィルター47を介して油圧源11に接続されている。この油圧源11への接続は、より具体的には、油タンク13または、油圧ポンプ12への低圧側回路(たとえば、低圧側の油圧配管14b)などになされる。
【0015】
また、シール部17は、図2に図示するように、回転軸3に着脱可能に嵌合する嵌合体51と、ケーシング4の端部に設けられたフランジ部4aと、フランジ部4aに取り付けられているシール材としてのオイルシール53を具備している。嵌合体51は、回転軸3に嵌合する円筒状の筒体56および、この筒体56の軸受部16配置側の端部から略直角に折れ曲がって形成されている鍔部57を具備している。この様にして鍔部57はリング状をしているとともに回転軸3から径方向に突出している。また、筒体56の内周面にはOリング58が設けられ、このOリング58により筒体56と回転軸3との隙間から油が漏れることを防止している。この様に構成されている嵌合体51は回転軸3と一体となって回転する。
【0016】
ケーシング4のフランジ部4aはリング状をしているとともに、ケーシング4の本体4bにネジなどで取り付けられている。フランジ部4aの内周面(ただし、後述の空気導入路61を除いて)は、嵌合体51の筒体56の外周面に略隙間無く対向している。また、フランジ部4aの内側の側面は、鍔部57の側面に間隔を有して対向しており、このフランジ部4aの内側の側面にオイルシール53が取り付けられている。そして、フランジ部4aには、オイルシール53に向かって外気を導入する空気導入路61が設けられている。この空気導入路61は、フランジ部4aの外面からフランジ部4aの内周面に向かって延在する垂直流路61aおよび、この垂直流路61aの端部からフランジ部4aの内周面に沿って延在する溝状の水平流路61bを具備している。この空気導入路61には、フィルター62を介して外気が導入される。
【0017】
フランジ部4aの内側の側面には、庇部66がリング状に突出しており、この庇部66の内周面が鍔部57の外周面に対向している。そして、庇部66と鍔部57との間に形成される隙間は1mm未満で小さく、空気をオイルシール53側から軸受部16側へ流すとともに、軸受部16からの油は極力オイルシール53側に流れないようにしている。
【0018】
ゴムなどの弾性体で形成されているオイルシール53は、フランジ部4aの側面に取り付けられるリング状のシール本体53aと、このシール本体53aから突出するヒレ部53bとを具備しており、バキュームポンプ36が停止している状態ではヒレ部53bの先端が鍔部57の側面に接触する。ヒレ部53bとシール本体53aとは、外側に開いたV字形状を形成している(すなわち、外側に開いたV字形状の空間を形成するように配置されている)。また、回転軸2側も回転軸3と同様なシール部17およびドレン油流入路21が設けられている。
【0019】
この様に構成されているシール部17は、回転軸3およびバキュームポンプ36が停止している状態では、オイルシール53のヒレ部53bの先端が鍔部57の側面に接触しており、ドレン油が外部に流出することを防止している。また、回転軸3およびバキュームポンプ36が稼働している状態では、外気がフィルター62および空気導入路61を介してオイルシール53に向かって流入し、オイルシール53のヒレ部53bと鍔部57との間を通ってドレン油流入路21に流れ込む。この空気の流れにより、ヒレ部53bを冷却してオイルシール53の耐久性を向上させるとともに、ドレン油が空気導入路61側に流入することを防止している。また、軸受部16からのドレン油は、バキュームポンプ36が稼働している状態では、ドレン油流入路21に吸い込まれており、この吸い込みによりドレン油がオイルシール53に向かって流れることを防止している。さらに、ドレン油が回転軸3の表面に沿って外部に流れ出すことを、鍔部57が防止している。かつ、ドレン油が鍔部57の外周面を乗り越えてオイルシール53側へ流れることを、庇部66が防止している。しかも、鍔部57と庇部66との隙間から油がオイルシール53に向かって垂れ落ちてきても、オイルシール53の上側部分では、シール本体53aとヒレ部53bとで形成されるVが上向きであり、油はこのV溝に溜まるので、ヒレ部53bの先端と鍔部57との間を通って外部に流れ出すことが減少する。
【0020】
そして、ドレン油流入路21、ドレン油槽22、隔離弁31、バキュームポンプ36、隔離用電磁弁33、給気用電磁弁43、レベルスイッチ41,42、回収ポンプ46などで構成されるドレン油回収装置は、油回収用制御装置71で制御される。油回収用制御装置71はマイコンなどで構成され、その入力側にはレベルスイッチ41,42が、また、出力側にはバキュームポンプ36、隔離用電磁弁33、給気用電磁弁43および回収ポンプ46などが接続されている。また、油回収用制御装置71には、回収開始油量である上側レベルおよび、回収停止油量である下側レベルが予め設定される。
【0021】
油回収用制御装置71によるドレン油回収のフローを図4のフローチャートに基づいて説明する。
初期状態として、ドレン油回収装置は新設で、ドレン油槽22内にはドレン油が溜まっていないものとする。
【0022】
ステップ1において、油回収用制御装置71は、バキュームポンプ36に稼働信号を出力してバキュームポンプ36を稼働させ、隔離用電磁弁33にOFF信号を出力して閉じて隔離弁31を開け、給気用電磁弁43にOFF信号を出力して閉じ、かつ、回収ポンプ46にOFF信号を出力して停止させる。この様にして、ドレン油槽22内の空気をバキュームポンプ36で排出して、ドレン油槽22内(すなわち、排気室26およびドレン油溜室27)の気圧を低下させる。この気圧の低下にともなって、ドレン油流入路21および軸受部16付近の流体(ドレン油および空気)がドレン油槽22に吸引される。そして、シール部17では、外気がフィルター62、空気導入路61などを介して導入され、ドレン油流入路21側に吸い込まれる。また、軸受部16からのドレン油もドレン油流入路21側に吸い込まれる。この様にしてドレン油流入路21内に流入した流体は、ドレン油槽22内に流れ込み、空気はバキュームポンプ36でドレン油槽22の外に排出され、ドレン油は連通開口28を通ってドレン油溜室27に溜まっていく。
【0023】
ドレン油溜室27の油量は漸次増えていき、油面のレベルは上昇する。そして、ドレン油溜室27の油量が回収開始油量になると、上側レベルスイッチ41がOFFからONに変化し、このON信号が油回収用制御装置71に入力される。この様に、上側レベルスイッチ41は回収開始油量を検出する手段である。ところで、ステップ2において、油回収用制御装置71は上側レベルスイッチ41からの信号がONになったか否か(すなわち、ドレン油溜室27の油量が回収開始油量になったか否か)を判断しており、OFF(すなわち、回収開始油量になっていない)の場合には待機し、ON(すなわち、回収開始油量になる)の場合には、ステップ3に行く。
【0024】
ステップ3において、油回収用制御装置71は隔離用電磁弁33にON信号を出力して隔離弁31を下降させて連通開口28を閉じ、ドレン油溜室27と排気室26とを互いに隔離する。このステップ3に相前後してステップ4において、油回収用制御装置71は給気用電磁弁43にON信号を出力して開け、外気をドレン油溜室27内に給気する。このステップ4に相前後してステップ5において、油回収用制御装置71は回収ポンプ46にON信号(すなわち稼働信号)を出力して稼働させ、ドレン油溜室27に溜まった油を油圧源11に排出して回収する。
【0025】
ところで、ステップ3からステップ5が実行された状態では、ドレン油槽22の排気室26内の空気は、依然としてバキュームポンプ36で排出されており、空気導入路61からの外気および、軸受部16からのドレン油は排気室26内に流れ込み続ける。そして、排気室26内の空気はバキュームポンプ36によりドレン油槽22の外に排出される。また、排気室26に流れ込んだドレン油は、隔離弁31が閉じているため、排気室26内に溜まっていく。
【0026】
一方、ドレン油溜室27においては、給気用電磁弁43が開いて、外気がドレン油溜室27内に流入して気圧が上昇するとともに、ドレン油溜室27内の油が回収ポンプ46により油圧源11に回収される。この様に、給気用電磁弁43を開けてドレン油溜室27の気圧を上昇させることにより、ドレン油溜室27の油が円滑に油圧源11に流れることができる。
【0027】
ドレン油溜室27の油量は漸次減少していき、油面のレベルは低下する。そして、ドレン油溜室27の油量が回収停止油量になると、下側レベルスイッチ42がONからOFFに変化し、このOFF信号が油回収用制御装置71に入力される。この様に、下側レベルスイッチ42は回収停止油量を検出する手段である。ところで、ステップ6において、油回収用制御装置71は下側レベルスイッチ42からの信号がOFFになったか否か(すなわち、ドレン油溜室27の油量が回収停止油量になったか否か)を判断しており、ON(すなわち、回収停止油量になっていない)の場合には待機し、OFF(すなわち、回収停止油量になる)の場合には、ステップ7に行く。
【0028】
ステップ7において、油回収用制御装置71は回収ポンプ46にOFF信号(すなわち停止信号)を出力して停止させ、油圧源11への回収を停止させる。このステップ7に相前後してステップ8において、油回収用制御装置71は給気用電磁弁43にOFF信号を出力して閉じ、ドレン油溜室27内への給気を停止する。このステップ8に相前後してステップ9において、油回収用制御装置71は隔離用電磁弁33にOFF信号を出力して隔離弁31を上昇させて連通開口28を開け、ドレン油溜室27と排気室26とを連通させる。この様にして、再び、ドレン油溜室27にドレン油を溜め始める。ついで、ステップ2に戻る。
【0029】
この油回収用制御装置71の制御により、ドレン油溜室27の油量は、図6に図示するように変化する。なお、下側レベルスイッチ42のOFF後、油量が急増するのは、隔離弁31が開くことにより、排気室26に溜まっていた油がドレン油溜室27に落下するためである。
【0030】
この様にして、制御手段である油回収用制御装置(71)は、ドレン油溜室(27)の油量を検出する手段(41,42)からの信号により、ドレン油溜室の油量が予め設定されている回収開始油量になったか否かを判断する回収開始油量判断手段と、回収開始油量になった際に隔離弁(31)を作動して連通部(28)を閉じるとともに給気弁(43)を開けてドレン油溜室に空気を供給しドレン油溜室のドレン油を回収流路を介して油圧源(11)に排出する油回収手段と、ドレン油溜室の油量を検出する手段からの信号により、ドレン油溜室の油量が予め設定されている回収停止油量になったか否かを判断する回収停止油量判断手段と、回収停止油量になった際に給気弁を閉じるとともに隔離弁を作動して連通部を開ける油回収停止手段などを具備している。
この様に、油回収用制御装置は、上記手段以外にも、実行される各作用に対応して各々作用を実行する手段を具備している。また、上記に記載された手段の全てを具備している必要は必ずしもない。
【0031】
前述のように、この実施の形態では、軸受部16とシール部17との間の空間にドレン油流入路21が接続され、このドレン油流入路21の流体をバキュームポンプ36が吸引している。したがって、軸受部16から流れ出したドレン油はバキュームポンプ36により強制的に吸引され、シール材としてのオイルシール53にかかる油圧は低くなる。そのため、従来の様にスプリング011などでオイルシール53を軸2,3に強く接触させる必要がなくなる。その結果、オイルシール53の耐久性や、密封性能(ドレン油の外部への漏れを防止する性能)は向上する。
【0032】
また、バキュームポンプ36で吸引されたドレン油は、ドレン油槽22で空気と分離され、ドレン油のみが油圧源11に回収され、空気は外に排出される。したがって、ドレン油を回収することができるとともに、空気が油圧源11に流入することを防止することができる。
【0033】
なお、軸受部16からのドレン油およびオイルシール53からの空気をバキュームポンプ36が吸引していればよく、ドレン油槽22などのドレン油の回収構造は適宜変更可能である。
また、軸受部の構造は、油が供給されている構造であれば、適宜変更可能である。
【0034】
そして、オイルシール装置は回転型油圧アクチュエータに用いられることが最適であるが、回転軸を油潤滑で軸受けする他の装置に採用することも可能である。
さらに、回転型油圧アクチュエータは、疲労耐久試験機以外の用途に使用されることも可能である。
また、軸受部で軸受けされる軸を二重軸とすることも可能である。
そして、鍔部を回転軸と一体に形成することも可能である。ただし、鍔部を回転軸とは別体に形成した方が、シール材のヒレ部が接触する鍔部の表面に傷などが付いた際に、回転軸を交換せずに、鍔部のみを交換することができるので好ましい。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、軸受部からのドレン油をバキュームポンプが吸引しており、油が外部へ漏れることを防止するシール材などにかかる油圧を低くすることができる。したがって、図7に図示するような従来のスプリング011でシール材を強く接触させる必要がなくなり、シール材のヒレ部の先端が軽く接触することにより油漏れを防止することができる。その結果、シール材の耐久性が向上するとともに、シール材の接触する鍔部の表面が損傷することを極力防止することができる。そして、回転軸の表面に沿って流れるドレン油は、鍔部で阻止され、外部に流れだすことが極力防止される。しかも、空気導入路が鍔部とシール材との間に空気を供給しており、この空気でシール材を冷却することができてシール材の耐久性が向上するとともに、シール材のヒレ部と鍔部との間に空気が流れ、この空気の流れで油の漏れを防止することができる。
【0036】
また、鍔部が回転軸に着脱可能に設けられている場合には、鍔部が損傷した際にも、回転軸から取り外して簡単に交換することができる。その結果、回転軸自体が傷つくことがなくなり、回転軸の交換頻度が低くなってメンテナンスが容易となる。
【0037】
さらに、鍔部の外周面に対向するリング状の庇部がケーシングに設けられている場合には、油が鍔部を乗り越えてシール材側に流れ込むことを庇部で極力防止することができる。
【0038】
そして、ヒレ部とシール本体とが、外側に開いたV字形状を形成している場合には、鍔部を乗り越えてシール材に落下してきた油は、ヒレ部とシール本体との間のV溝に溜まるため、ヒレ部の先端を乗り越えて、ヒレ部の先端と鍔部の側面との間から空気導入路側に流れ出すことが減少する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明のオイルシール装置が用いられる回転型油圧アクチュエータのドレン油回収装置の概略の油圧回路図である。
【図2】図2はオイルシール装置の断面図である。
【図3】図3は油回収用制御装置の入出力図である。
【図4】図4は油回収のフローチャートである。
【図5】図5は隔離弁が閉じた状態でのドレン油回収装置の概略の油圧回路図である。
【図6】図6はドレン油溜室の油量の変化を示すグラフである。
【図7】図7は従来のオイルシール装置を備えた回転型油圧アクチュエータの要部断面図である。
【符号の説明】
2 回転軸
3 回転軸
4 ケーシング
4a ケーシングのフランジ部
4b ケーシング本体
16 軸受部
17 シール部
36 バキュームポンプ
53 オイルシール(シール材)
53a シール本体
53b ヒレ部
57 嵌合体の鍔部
61 空気導入路
66 庇部
Claims (4)
- 回転軸を軸受部で軸受けするケーシングと、
前記軸受部から流れ出たドレン油の漏れを防止するシール部とを備え、
前記軸受部とシール部との間の空間の流体がバキュームポンプで吸引されるオイルシール装置であって、
前記シール部が、回転軸から径方向に突出して回転軸と一体に回転するリング状の鍔部と、この鍔部の側面に対向すべくケーシングに設けられたフランジ部と、このフランジ部の前記鍔部側の側面に設けられたシール材とを具備しており、
前記鍔部は前記フランジ部と軸受部との間に配置され、
前記シール材は、フランジ部に取り付けられるリング状のシール本体と、このシール本体から突出するヒレ部とを具備しており、
このシール材のヒレ部の先端が、バキュームポンプ停止時には鍔部の側面に接触しており、
かつ、シール材と鍔部との間に空気を導入する空気導入路が設けられていることを特徴とするオイルシール装置。 - 前記鍔部が前記回転軸に着脱可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載のオイルシール装置。
- 前記ケーシングには、前記鍔部の外周面に対向するリング状の庇部が設けられていることを特徴とする請求項1または2記載のオイルシール装置。
- 前記ヒレ部とシール本体とが、外側に開いたV字形状を形成していることを特徴とする請求項1,2または3記載のオイルシール装置。
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---|---|---|---|
JP2003111851A JP2004316780A (ja) | 2003-04-16 | 2003-04-16 | オイルシール装置 |
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