JP2004311168A - Power generation method by fuel cell and fuel cell power generation system - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池による発電方法およびシステムに関する。さらに詳述すると、本発明は、炭化水素系燃料を原料とし、固体酸化物型燃料電池により発電する方法およびシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
固体高分子型燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell,以下、PEFCと略記する)は、充分実用化に耐え得る技術を確立しつつあり、自動車用動力や定置用電源への応用が活発になされている(例えば非特許文献1参照)。PEFCは、電解質に高分子イオン交換膜を用い、電極(触媒とも呼ばれる)に白金を用いる燃料電池で、動作温度が低い(例えば60〜100℃程度)などの特徴がある。また、PEFCは、高純度の水素を燃料として用いる。このため、都市ガスなどの炭化水素系燃料を原料とするPEFC発電システムは、炭化水素系燃料から電池反応に必要な高純度水素を製造するための改質器などを、付属設備として備えている。家庭用の電源容量としては例えば5人家族で4〜5kWが目安になっているが、現在試作されている定置(家庭)用のPEFCは、家庭で使用する熱量に合わせて設計されており、発電容量はかなり低い値(例えば0.8kW程度)に設定されている。
【0003】
一方、PEFCと比較して技術的レベルには未熟であるが、高温(例えば500〜1000℃程度)で作動する燃料電池として、固体酸化物型燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell,固体電解質型燃料電池とも呼ばれる。以下、SOFCと略記する)がある(例えば非特許文献2参照)。SOFCは、高温(例えば500〜1000℃程度)で作動するため高価な触媒を必要とせず、炭化水素系燃料も直接使用できるので高純度水素を製造する改質器は不要であり、高効率かつ高出力発電の実現性の魅力も相まって、技術確立時には普及しやすいと考えられる。
【0004】
【非特許文献1】
「固体高分子形燃料電池/水素エネルギー利用成果報告会予稿集」、新エネルギー・産業技術総合開発機構、水素エネルギー技術開発室、平成15年3月12日
【非特許文献2】
「固体酸化物燃料電池と地球環境」:田川博章、アグネ承風社、1998年
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
PEFCは、2020年には自動車用約500万台、定置用約1000kWの導入を目指して研究開発が進められているが、電極に資源的制約がある白金を用いているため、燃料電池自動車や定置用燃料電池の導入量には限界があるとも言われている。さらに、PEFCは、極めて高い純度の水素しか燃料として用いることができないので、高純度の水素製造技術や水素供給インフラの社会的環境整備などが必須となる。炭化水素系燃料を原料とするPEFC発電システムの場合は、高純度水素を製造するための改質器などを付属設備として必要とし、コスト高となってしまう。また、改質器と燃料電池の特徴として次のことが挙げられる。改質器の反応は熱化学反応プロセスであり、メタンなどが主成分である都市ガスを改質して水素を製造する。当該製造された水素を利用して、燃料電池では電気化学プロセスにより発電する。即ち、改質器における水素製造プロセスは熱化学反応であり、燃料電池における水素の消費は電気化学反応であるため、改質器と燃料電池との反応速度は異なっている。熱化学反応プロセスは瞬時の負荷応答性に劣っているとともに、燃料電池の低負荷時には水素の使用量が少ないので、熱化学反応プロセスによる燃料改質効率(水素製造効率)は悪くなる。一方、燃料電池は電気化学プロセスであるので、負荷変動時にはその応答性が優れており、低負荷時は逆に燃料電池の効率(燃料のもつ化学エネルギーを電気エネルギーに変換する効率)が良くなる傾向にある。このように、燃料電池と改質器とでは負荷変動や低負荷特性が相反する性質があり、高純度の水素しか燃料として用いることができないPEFCでは、エネルギーの損失が大きく、エネルギー効率の面では飛躍的な効率向上は期待できないとの見方もある。
【0006】
一方、SOFCは、高温で作動するため高価な触媒を必要とせず、炭化水素系燃料も直接使用できるので高純度水素を製造する改質器は不要である利点があるが、高温で作動するSOFCは、PEFCよりも得られる熱量が多いと考えられ、家庭で使用する熱量に合わせて設計する場合、発電容量がPEFCよりも更に低くなる(家庭用の熱需要に合わせて燃料電池を設計しているので、例えばPEFCの発電容量が0.8kWであるところSOFCでは0.4kWの発電容量で充分に熱需要を満足する場合、SOFCシステムでは0.4kW余分に電力会社からより高額な電気を購入する必要が生じる)と思われる。そのため、PEFCよりも安価に製造できたとしても、発電によるコスト低減のメリットが薄くなり、設備費のコスト高の感が否めない。
【0007】
さらに、全ての形の燃料電池に共通して、燃料電池には燃料利用率を100%にすることができないという制限がある。燃料利用率とは、例えば水素を燃料として燃料電池に供給した場合、燃料電池内において水素を電気化学的に使用して電流に変換した率であり、燃料利用率が高い程、供給した燃料の化学エネルギーを効率良く電気エネルギーに変換したことを示す指標となる。燃料電池に水素ガスを流す場合、水素ガスの入口側の発電部では水素濃度が高く、水素ガスの出口側では水素濃度が低くなる。燃料電池の電圧は水素の濃度と酸素の濃度によって決まるため、一枚あるいは一本の燃料電池で水素ガスの入口と出口の発電部では電圧の差が生じ、この差が大きいと電気は電圧が高い方から電圧が低い方に流れ(迷走電流)、エネルギー的にロスする結果となる。水素ガスの出口側の発電部の水素濃度が0という極端な場合では、当該出口側の発電部では発電が行なわれない。また、水素濃度が低い場合、濃度拡散抵抗が高くなることにより、燃料極の過電圧が増加し、発電効率を低下させることにもなる。そのため、水素ガスの出口側において水素をある程度(供給した水素の大体20〜40%程度)残す必要がある。結局、供給した水素の20〜40%は熱としてしか利用できなくなり、熱が余っている極端な場合には、燃料を捨てているのと同じことを意味する。つまり、燃料利用率が高い場合には、燃料電池外部に排出する燃料が少なくなるためエネルギー変換効率は高くなるが、燃料極の過電圧増加や迷走電流が現れるため出力密度は低下する、燃料利用率が低い場合には、燃料極の過電圧減少や迷走電流が生じないため出力密度は高くなるが、燃料電池外部に排出する燃料が多くなるためエネルギー変換効率は低下する、という相反する結果となってしまう。このため、一般的な燃料電池の燃料利用率は60〜70%に抑えられている。
【0008】
電池反応に使用されず排出された水素を燃焼させて、その燃焼熱を供給燃料の予熱や炭化水素系燃料の水蒸気改質用の熱源として利用することも考えられるが、水素を製造するためには多くのエネルギーを必要とすることから、総合的なエネルギー効率を考えた場合、電池反応に使用されなかった水素を発電に用いず燃焼させてしまうことは、燃料電池発電システム全体の熱効率を大きく低下させる結果となる。
【0009】
そこで本発明は、燃料利用率を100%にできる燃料電池による発電方法および燃料電池発電システムを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するため、請求項1記載の燃料電池による発電方法は、炭化水素系燃料と水蒸気とを改質反応器で反応させて水素を含有した燃料ガスを生成し、且つ当該燃料ガスを循環させ、電解質が酸化物イオン導電体である第1燃料電池の燃料極と、電解質がプロトン導電体である第2燃料電池の燃料極とを、上記循環する燃料ガスに触れるように配置し、前記第1燃料電池の空気極と、前記第2燃料電池の空気極とを、前記改質反応器の外部を流れる酸化剤ガスに触れるように配置し、前記第1燃料電池による発電により前記改質反応器で生成された水素を消費するとともに前記改質反応器内に水蒸気を供給し、且つ前記第2燃料電池による発電により前記改質反応器で生成された水素を消費するとともに前記改質反応器の外側に水蒸気を排出するようにしている。
【0011】
また、請求項2記載の燃料電池発電システムは、炭化水素系燃料と水蒸気とを反応させて主として水素を生成する改質反応器と、第1燃料電池と、第2燃料電池とを備え、前記第1燃料電池は、前記改質反応器の外側に存在する酸化剤ガスを酸素イオン化する空気極と、当該酸素イオンが移動する電解質としての酸化物イオン導電体と、前記酸化物イオン導電体を移動してきた酸素イオンと前記改質反応器で生成された水素とを反応させて水を生成する燃料極とを備え、前記第2燃料電池は、前記改質反応器で生成された水素を水素イオン化する燃料極と、当該水素イオンが移動する電解質としてのプロトン導電体と、前記プロトン導電体を移動してきた水素イオンと前記改質反応器の外側に存在する酸化剤ガスとを反応させて水を生成する空気極とを備えるようにしている。
【0012】
したがって、改質反応器において生成された水素は、第1燃料電池と第2燃料電池における発電に使用される。第1燃料電池の発電によって、改質反応器内の水素が消費され、且つ改質反応器内に水蒸気と熱が供給される。一方、水蒸気改質による水素生成量は第1燃料電池の発電による水素消費量よりも多く、改質反応器内に過剰な水素が発生するが、当該過剰な水素は、第2燃料電池の発電によって消費され、且つ改質反応器の外部に水蒸気の形で放出される。これにより、改質反応器内の水素に関する物質収支を、第1燃料電池の発電量と第2燃料電池の発電量によって制御することができる。また、炭化水素系燃料を以上の反応に関与するまで循環させることで、供給する炭化水素系燃料および生成される水素を、第1燃料電池および第2燃料電池の発電に100%利用することができる。
【0013】
また、請求項3記載の発明は、請求項2記載の燃料電池発電システムにおいて、前記改質反応器内の二酸化炭素を前記改質反応器の外側に選択的に移動させる二酸化炭素分離手段を更に備えるようにしている。
【0014】
したがって、改質反応器内の炭素成分に関する物質収支も制御することができる。また、改質反応器内の水素が第1燃料電池および第2燃料電池により消費されると同時に、改質反応器内の二酸化炭素が二酸化炭素分離手段により改質反応器の外側に放出されるので、改質反応器内における水素生成反応を速やかに進行させることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成を図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0016】
図1から図10に本発明の燃料電池による発電方法および燃料電池発電システムの実施の一形態を示す。この燃料電池による発電方法は、炭化水素系燃料と水蒸気とを改質反応器2で反応させて水素を含有した燃料ガスを生成し、且つ当該燃料ガスを循環させ、電解質が酸化物イオン導電体30である第1燃料電池3の燃料極31と、電解質がプロトン導電体40である第2燃料電池4の燃料極41とを、循環する燃料ガスに触れるように配置し、第1燃料電池3の空気極32と、第2燃料電池4の空気極42とを、改質反応器2の外部を流れる酸化剤ガスに触れるように配置し、第1燃料電池3による発電により改質反応器2で生成された水素を消費するとともに改質反応器2内に水蒸気を供給し、且つ第2燃料電池4による発電により改質反応器2で生成された水素を消費するとともに改質反応器2の外側に水蒸気を排出するようにしている。
【0017】
また、燃料電池発電システム1は、炭化水素系燃料と水蒸気とを反応させて主として水素を生成する改質反応器2と、第1燃料電池3と、第2燃料電池4とを備え、第1燃料電池3は、改質反応器2の外側に存在する酸化剤ガスを酸素イオン化する空気極32と、当該酸素イオンが移動する電解質としての酸化物イオン導電体30と、酸化物イオン導電体30を移動してきた酸素イオンと改質反応器2で生成された水素とを反応させて水を生成する燃料極31とを備え、第2燃料電池4は、改質反応器2で生成された水素を水素イオン化する燃料極41と、当該水素イオンが移動する電解質としてのプロトン導電体40と、プロトン導電体40を移動してきた水素イオンと改質反応器2の外側に存在する酸化剤ガスとを反応させて水を生成する空気極42とを備えるようにしている。さらに、例えば本実施形態の燃料電池発電システム1は、改質反応器2内の二酸化炭素を改質反応器2の外側に選択的に移動させる二酸化炭素分離手段としての二酸化炭素分離膜5を備えるようにしている。
【0018】
本実施形態の第1燃料電池3および第2燃料電池4は、例えば500〜1000℃程度の温度域で作動する固体酸化物型燃料電池(SOFC)である。SOFCは、固体高分子型燃料電池(PEFC)などと比較して、白金を用いた高価な触媒を必要としない、燃料ガスが高純度水素ガスである必要がない、等の利点がある。第1燃料電池3および第2燃料電池4は、例えば平板型と円筒型のいずれであっても良いが、例えば本実施形態では図1,図2または図5,図6に示すように、円筒型としている。
【0019】
第1燃料電池3、第2燃料電池4、二酸化炭素分離膜5の個数もしくは大きさなどは、目的とする発電容量の大きさや原料となる炭化水素系燃料の種類などに応じて、改質反応器2における物質収支が一致するように、適宜決定され、特に限定されるものではない。図1および図2は、第1燃料電池3および第2燃料電池4を単セルである例を示している。一方、第1燃料電池3または第2燃料電池4を複数備える場合には、隣接する単セル同士が、例えば図5および図6に示すようにインターコネクタ7によって電気的に直列に接続される。
【0020】
例えば本実施形態では、第1燃料電池3および第2燃料電池4の空気極32,42を、酸化剤ガス供給手段(例えば空気導入部)8が供給する酸化剤ガス(例えば空気)に触れるように、改質反応器2の外側に配置し、第1燃料電池3および第2燃料電池4の燃料極31,41を、改質反応器2中の水素を含む燃料ガスに触れるように、改質反応器2の内部に配置するようにしている。電解質としての酸化物イオン導電体30は空気極32と燃料極31に、電解質としてのプロトン導電体40は空気極42と燃料極41に、それぞれ挟まれるように配置される。そして、水素を含む燃料ガスを改質反応器2中で循環させるようにしている。図1,図2,図5,図6中のハッチングを施した矢印が改質反応器2内の燃料ガス(炭化水素系燃料、水蒸気、水素、二酸化炭素などを含む混合ガスとなる)の流れを示し、点線の矢印が水素ガスの流れを示し、一点鎖線の矢印が水蒸気の流れを示し、二点鎖線の矢印が二酸化炭素の流れを示している。また、図2および図6中の二重線の矢印が酸化剤ガス(例えば空気)の流れを示している。
【0021】
燃料極31,41を改質反応器2の内部に設置する場合、第1燃料電池3および第2燃料電池4が改質反応器2と一体化され、燃料電池発電システム1をコンパクトに構成できる。改質反応器2内におけるガス循環は、例えば流体の密度差による自然対流により実現しても良く(この場合、改質反応器2内の流体の流れを定めるように改質反応器2内に部分的な仕切りなどを設けても良い)、或いは改質反応器2内に羽根車などを設けて当該羽根車などの回転運動による強制対流により実現しても良い。
【0022】
但し、燃料極31,41を必ずしも改質反応器2の内部に設置する構成には限定されない。例えば、改質反応器2内の燃料ガスを一旦改質反応器2の外に出させてから再び改質反応器2内に戻す循環路(図示省略)を設けて、この循環路の中に燃料極31,41を設置するようにしても良い。この場合、例えば当該循環路の途中に平板型SOFCのセルスタックの燃料流通路を形成するようにしても良い。
【0023】
酸化物イオン(酸素イオンO2−)導電体30を電解質に用いた第1燃料電池3の原理を図3を用いて説明する。この第1燃料電池3では、燃料極31に水素を含有した燃料ガスを供給し(図3中の符号11は水素分子を示す)、空気極32に酸化剤ガス(例えば空気)を供給することにより(図3中の符号12は酸素分子を示し、符号13は窒素分子を示す)、空気中の酸素が酸素イオンに変化して、酸化物イオン導電体30を通って燃料極31側に移動する。燃料極31側では、燃料ガス中の水素が水素イオン(プロトン)に変化しており、この水素イオンが電解質30中を移動してきた酸素イオンと結合し、燃料極31側に水を発生させる(図3中の符号14は水分子を示す)。換言すれば、第1燃料電池3では、改質反応器2の外側に存在する酸素を改質反応器2内に移動させ、改質反応器2内の水素と反応させて水に変化させる。このときの空気極32および燃料極31における電気化学的な反応により第1燃料電池3に電圧が発生する。空気極32と燃料極31とを電子を流す導体で接続して外部回路を組めば燃料極31から空気極32へ外部回路を通って電子が流れ、外部回路の中で負荷15をとれば電子流はその電位差によって仕事をする(即ち発電が行われる)。尚、第1燃料電池3の部材に電子が流れることでジュール熱が発生する。このジュール熱は、例えば燃料極31側で発生した水を媒体として、改質反応器2に供給することができる。即ち、水と熱を同時に改質反応器2に供給することができる。尚、空気極32における化学反応式は数式1で表され、燃料極31における化学反応式は数式2で表され、全体の反応は数式3で表される。
【0024】
【数1】
【数2】
【数3】
【0025】
以下に、第1燃料電池3に用いる材料の好適例について説明する。第1燃料電池3の電解質30に用いる材料としては、例えばイットリア安定化ジルコニア(Zr0.9Y0.1O1.95)、ガドリアドープセリア(Ce0.8Gd0.2O1.9)、ランタンガレート(La0.8Sr0.2Ga0.85Mg0.15O2.825)などが、500〜1000℃付近の温度域で使用可能であり、酸化物イオン導電性を良好に示すことから、好適例として挙げられる。
【0026】
また、第1燃料電池3の空気極32に用いる材料としては、例えばLa1−xAExCo1−yFeyO3やLa1−xAExMn1−yCoyO3など(AE=Ca,Sr等のアルカリ土類金属元素)のペロブスカイト酸化物が、好適例として挙げられる。尚、La1−xAExCo1−yFeyO3の場合、一般に0.1≦x≦0.4、0.1≦y≦0.4の組成範囲が、酸素を酸素イオン化する触媒反応を良好に示すので好ましい。また、La1−xAExMn1−yCoyO3の場合は、0.1≦x≦0.4、0≦y≦0.4の組成範囲が一般に好ましい。特に、Mn系ペロブスカイト酸化物は、(La1−xAEx)1−aMn1−yCoyO3も、化学的に安定な電極材料として存在でき、0≦a≦0.1が好ましい組成範囲として考えられる。空気極32の作製法は特に限定されず、例えば固相反応法、クエン酸法、共沈法などの既知の方法によって作製して良い。出発物質としては、例えば酸化ランタン(La2O3)、アルカリ土類金属炭酸塩(CaCO3、SrCO3等)、酸化マンガン(Mn2O3)、酸化コバルト(Co3O4)、酸化鉄(Fe2O3)等を用いることができる。一例としてLa0.8Sr0.2Mn0.9Co0.1O3よりなる空気極32を固相反応法により作製する場合について説明すると、出発物質である酸化ランタン、炭酸ストロンチウム、酸化マンガン、酸化コバルトのモル比が、0.8:0.2:0.9:0.1となるように秤量して混合し、1200℃で10時間程度仮焼した後、もう一度粉砕し混合し焼成を行って、ペロブスカイト形構造を有する酸化物の粉体とする。当該粉体をテレピン油などの有機溶剤を用いて電解質30上にコーティングし、乾燥後、1200℃程度かつ4時間程度で焼結させて、空気極32とする。
【0027】
また、第1燃料電池3の燃料極31に用いる材料としては、TE(TE=Ni,Fe,Co,Cu)金属とセラミックスの混合物(TE系セリアサーメットやTE系ジルコニアサーメットなど)が、好適例として挙げられる。尚、TE金属とセラミックスのサーメットは多くの実験結果とpercolation理論から、一般的に、TE金属が約40体積%程度含まれると充分な導電率が得られ、40体積%のTE金属と60体積%のセラミックスから構成されるサーメットの電極特性が特に優れたものが多いことが知られている。燃料極31の作製法は特に限定されず、例えば固相混合法、噴霧熱分解法、燃焼合成法などの既知の方法によって作製して良い。一例として、ニッケルジルコニアサーメットよりなる燃料極31を固相混合法により作製する場合について説明すると、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)の粗い粒子と細かい粒子、および酸化ニッケルを混合し、その後、テレピン油などの有機溶剤を用いて電解質30上にコーティングし、乾燥後、1400℃程度かつ5時間程度で焼結させて、燃料極31とする。この燃料極31は、燃料(水素)が供給されると酸化ニッケルが還元され、ニッケルジルコニアサーメットとなる。
【0028】
プロトン導電体40を電解質に用いた第2燃料電池4の原理を図4を用いて説明する。この第2燃料電池4では、燃料極41に水素を含有した燃料ガスを供給し(図4中の符号11は水素分子を示す)、空気極42に酸化剤ガス(例えば空気)を供給することにより(図4中の符号12は酸素分子を示し、符号13は窒素分子を示す)、燃料ガス中の水素が水素イオン(プロトン)に変化して、プロトン導電体40を通って空気極42側に移動する。空気極42側では、空気中の酸素が酸素イオンに変化しており、この酸素イオンが電解質40を移動してきたプロトンと結合し、空気極42側に水を発生させる。換言すれば、第2燃料電池4では、改質反応器2内の水素を改質反応器2の外側に移動させ、改質反応器2の外側の酸素と反応させて水に変化させる。このときの空気極42および燃料極41における電気化学的な反応により第2燃料電池4に電圧が発生する。空気極42と燃料極41とを電子を流す導体で接続して外部回路を組めば、燃料極41から空気極42へ外部回路を通って電子が流れ、外部回路の中で負荷15をとれば、電子流はその電位差によって仕事をする(即ち発電が行われる)。尚、第2燃料電池4の部材に電子が流れることでジュール熱が発生する。このジュール熱は、例えば空気極42側で発生した水を媒体とし、熱交換器などを利用して、供給する炭化水素系燃料の予熱や炭化水素系燃料の水蒸気改質用の熱源として利用することができる。また、空気極42側で発生する高温水蒸気をコジェネレーション用熱源として再利用することができる。尚、燃料極41における化学反応式は数式4で表され、空気極42における化学反応式は数式5で表され、全体の反応は数式6で表される。
【0029】
【数4】
【数5】
【数6】
【0030】
以下に、第2燃料電池4に用いる材料の好適例について説明する。第2燃料電池4の電解質40に用いる材料としては、例えば希土類元素をドープしたバリウム系セレート酸化物(例えばBaCe1−xNdxO3−z、BaCe0.9Nd0.1O2.95)、希土類元素をドープしたストロンチウムジルコネート(例えばSrZr1−xYxO3−z、SrZr0.9Y0.1O2.95)、希土類元素をドープしたストロンチウム系セレート酸化物(例えばSrCe1−xYbxO3−z、SrCe0.95Yb0.05O2.975)などが、500〜1000℃付近の温度域で使用可能であり、プロトン導電性を良好に示すことから、好適例として挙げられる。尚、zは置換される元素の原子価に合わせて生成される酸素空孔量を示している。電解質40の作製法は特に限定されず、例えば固相反応法、クエン酸法、共沈法などの既知の方法によって作製して良い。出発物質としては、例えば酸化セリウム(CeO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、アルカリ土類金属炭酸塩(SrCO3、BaCO3等)、希土類酸化物(Nd2O3、Y2O3、Yb2O3等)などを用いることができる。一例としてBaCe0.9Nd0.1O3よりなる電解質40を固相反応法により作製する場合について説明すると、出発物質である炭酸バリウム、酸化セリウム、酸化ネオジムのモル比が、1:0.9:0.1となるように秤量して混合し、1200℃で10時間程度仮焼きした後、もう一度粉砕し混合し加圧成形して、1500〜1600℃で10時間程度焼成を行って電解質40とする。
【0031】
第2燃料電池4の空気極42に用いる材料としては、La1−xAExCo1−yFeyO3やLa1−xAExMn1−yCoyO3など(AE=Ca,Sr等のアルカリ土類金属元素)のペロブスカイト酸化物が、好適例として挙げられる。尚、La1−xAExCo1−yFeyO3の場合、一般に0.1≦x≦0.4、0.1≦y≦0.4の組成範囲が、酸素を酸素イオン化する触媒反応を良好に示すので好ましい。また、La1−xAExMn1−yCoyO3の場合は、0.1≦x≦0.4、0≦y≦0.4の組成範囲が一般に好ましい。特に、Mn系ペロブスカイト酸化物は、(La1−xAEx)1−aMn1−yCoyO3も、化学的に安定な電極材料として存在でき、0≦a≦0.1が好ましい組成範囲として考えられる。空気極42の作製法は特に限定されず、例えば固相反応法、クエン酸法、共沈法などの既知の方法によって作製して良い。出発物質としては、例えば酸化ランタン(La2O3)、アルカリ土類金属炭酸塩(CaCO3、SrCO3等)、酸化マンガン(Mn2O3)、酸化コバルト(Co3O4)、酸化鉄(Fe2O3)等を用いることができる。一例としてLa0.8Sr0.2Mn0.9Co0.1O3よりなる空気極42を固相反応法により作製する場合について説明すると、出発物質である酸化ランタン、炭酸ストロンチウム、酸化マンガン、酸化コバルトのモル比が、0.8:0.2:0.9:0.1となるように秤量して混合し、1200℃で10時間程度仮焼した後、もう一度粉砕し混合し焼成を行って、ペロブスカイト形構造を有する酸化物の粉体とする。当該粉体をテレピン油などの有機溶剤を用いて電解質40上にコーティングし、乾燥後、1200℃程度かつ4時間程度で焼結させて、空気極42とする。
【0032】
第2燃料電池4の燃料極41に用いる材料としては、TE(TE=Ni(ニッケル),Fe(鉄),Co(コバルト),Cu(銅))金属とセラミックス(例えばプロトン導電体酸化物)の混合物(サーメット)が、好適例として挙げられる。尚、TE金属とセラミックスのサーメットは多くの実験結果とpercolation理論から、一般的に、TE金属が約40体積%程度含まれると充分な導電率が得られ、40体積%のTE金属と60体積%のセラミックスから構成されるサーメットの電極特性が特に優れたものが多いことが知られている。燃料極41の作製法は特に限定されず、例えば固相混合法、噴霧熱分解法、燃焼合成法などの既知の方法によって作製して良い。一例として、ニッケル−ストロンチウムセレートサーメットよりなる燃料極41を固相混合法により作製する場合について説明すると、SrCe0.95Yb0.05O2.975の粗い粒子と細かい粒子、および酸化ニッケルを混合し、その後、テレピン油などの有機溶剤を用いて電解質40上にコーティングし、乾燥後、1400℃程度かつ5時間程度で焼結させて、燃料極41とする。この燃料極41は、燃料(水素)が供給されると酸化ニッケルが還元されて、ニッケル−ストロンチウムセレートサーメットとなる。
【0033】
本実施形態の改質反応器2は、炭化水素系燃料(例えばメタン(CH4)を主成分とする天然ガス)と水蒸気(H2O)とを反応させて、主として水素(H2)と二酸化炭素(CO2)を生成する下記の数式7の反応を起こさせるものとしている。
【0034】
【数7】
【0035】
尚、改質反応器2内のガスは、実際には、水蒸気(H2O)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、水素(H2)等の混合気体となるため、「主として水素を生成する」と表現している。改質反応器2には、数式7の反応を起こさせるための改質触媒9が設けられている。この改質触媒9としては、例えば金属ニッケルのようなニッケル系触媒、あるいはニッケル系触媒におけるガス流方向の後部に酸化鉄や鉄−クロム複合酸化物のような鉄系酸化物を混合したものなど、数式7の反応を起こさせる場合に用いられる既知の触媒を利用して良い。
【0036】
反応速度論から、数式7の平衡反応定数(K)は、次式で表すことができる。
【0037】
【数8】
但し、
K:平衡反応定数
PCO2:二酸化炭素の分圧
PH2:水素の分圧
PCH4:メタンの分圧
PH2O:水蒸気の分圧
【0038】
平衡反応定数(K)は各温度に対して一定の値をとる。ル・シャトリエ−ブラウンの法則で知られているように、数式7の平衡反応では、改質反応器2内の圧力が高圧になるに従い、式の左側方向に反応が進行するため、発生する水素の分圧が小さくなる。
【0039】
水蒸気改質が進む場合の反応、即ち数式7の平衡反応が右側方向に進行する場合の反応は、次式で表すことができる。
【0040】
【数9】
【0041】
数式9から明らかなように、改質反応器2における水蒸気改質反応ではメタン分子1モルと水分子2モルとから4モルの水素分子が生成される。一方、酸化物イオン導電体30を電解質に用いた第1燃料電池3では、数式3に示したように、水素分子1モルに対して水分子1モルを生成する原理となっている。従って、第1燃料電池3のみで発電を行い、尚且つ当該発電により生じた水蒸気を用いて数式7の水蒸気改質を行う場合、水蒸気改質による水素生成量が第1燃料電池3の発電による水素消費量と比較して2倍も多く、改質反応器2内の物質収支が一致せず、改質反応器2内の圧力が増加し続けてしまうといった問題が生じる。改質反応器2内の圧力を低下させるために、改質反応器2内のガスを排気ガスとして抜いてしまうと、燃料電池発電システム1の燃料利用率が低下し、排気ガスを燃焼させて当該燃焼により生じた熱を供給する炭化水素系燃料の予熱や炭化水素系燃料の水蒸気改質用の熱源として利用したとしても、燃料電池発電システム1の熱効率は大きく低下してしまう。
【0042】
これに対し、本実施形態の燃料電池発電システム1では第1燃料電池3と第2燃料電池4を併用するようにしている。従って、改質反応器2における水蒸気改質で得られる水素は、第1燃料電池3と第2燃料電池4における発電に使用される。第1燃料電池3では、改質反応器2内の水素を消費して改質反応器2内に水蒸気を供給するが、第2燃料電池4では、改質反応器2内の水素を消費し且つ改質反応器2の外側に水蒸気を排出する。つまり、改質反応器2内における水蒸気改質と第1燃料電池3の発電との相互作用によって改質反応器2内に発生する過剰な水素が、第2燃料電池4の発電によって、改質反応器2の外部に水蒸気の形で放出される。このため、改質反応器2における水素および水蒸気に関する物質収支は、第1燃料電池3における発電量と、第2燃料電池4における発電量によって、制御することが可能となる。
【0043】
ここで、本実施形態の改質反応器2では、炭化水素系燃料と水蒸気との反応により、水素と二酸化炭素とが生成されるが(数式7参照)、改質反応器2内に二酸化炭素が残留し続けると、数式7の平衡反応が右側方向へ進行し難くなってしまう。そこで、例えば本実施形態の燃料電池発電システム1では、二酸化炭素分離手段としての二酸化炭素分離膜5を改質反応器2に備えるようにしている。
【0044】
二酸化炭素分離膜5は、改質反応器2と二酸化炭素分離室6との仕切り(隔壁)となる。例えば本実施形態では、二酸化炭素分離膜5の材料に、アルカリ金属系複合酸化物A2BO3(A=Li,Na,K等のアルカリ金属元素、B=Ti,Zr等のチタン族元素、但し、AまたはBに該当する元素は一種類だけでなく複数種の元素であっても良く、例えば、LiKZrO3、Li2Zr0.5Ti0.5O3でも良い。)またはアルカリ金属系オルソシリケートA4SiO4(A=Li,Na,K等のアルカリ金属元素、但し、Aに該当する元素は一種類だけでなく複数種の元素であっても良く、例えば、Li2K2SiO4でも良い。)の一方または双方を少なくとも用いるようにしている。そして、二酸化炭素分離室6の二酸化炭素分圧を、改質反応器2内の二酸化炭素分圧よりも低くなるように、圧力差を設けるようにしている。このため、例えば吸気装置などを用いて二酸化炭素分離室6の二酸化炭素分圧を負圧(例えば大気圧以下)の状態となるようにしている。
【0045】
二酸化炭素分離膜5の作用を、A2BO3を例に挙げ、図8を用いて説明する。改質反応器2側の二酸化炭素分離膜5の表面では、A2BO3が二酸化炭素(CO2)と反応してA2CO3とBO2となる(即ち、数式10の反応が進む)。
【0046】
【数10】
【数11】
【数12】
【0047】
当該反応により生じたA2CO3またはCO3 2−は溶融状態となり、二酸化炭素分離膜5中を二酸化炭素分離室6側に拡散する。そして、二酸化炭素分離室6側の二酸化炭素分離膜5の表面では、A2CO3が解離して二酸化炭素(CO2)を二酸化炭素分離室6に放出する(即ち、数式11の反応が進む)。またはCO3 2−が解離して二酸化炭素(CO2)を二酸化炭素分離室6に放出する。当該解離により生じたA2Oは二酸化炭素分離膜5中を改質反応器2側に逆拡散する。当該逆拡散したA2Oは、BO2と反応してA2BO3に戻り(即ち、数式12の反応が進む)、改質反応器2側の二酸化炭素分離膜5の表面で二酸化炭素(CO2)と反応して、再び溶融状態のA2CO3またはCO3 2−となって、二酸化炭素分離膜5中を二酸化炭素分離室6側に拡散する。これにより、物質移動のサイクルが実現され、改質反応器2側での二酸化炭素の吸収および二酸化炭素分離室6側での二酸化炭素の放出が連続的に行なわれる。
【0048】
A4SiO4の場合も同様の原理で改質反応器2から二酸化炭素分離室6へ二酸化炭素を分離できる。即ち、改質反応器2側の二酸化炭素分離膜5の表面では、A4SiO4が二酸化炭素(CO2)と反応してA2CO3とA2SiO3となる(即ち、数式13の反応が進む)。
【0049】
【数13】
【数14】
【数15】
【0050】
当該反応により生じたA2CO3またはCO3 2−は溶融状態となり、二酸化炭素分離膜5中を二酸化炭素分離室6側に拡散する。そして、二酸化炭素分離室6側の二酸化炭素分離膜5の表面では、A2CO3が解離して二酸化炭素(CO2)を二酸化炭素分離室6に放出する(即ち、数式14の反応が進む)。またはCO3 2−が解離して二酸化炭素(CO2)を二酸化炭素分離室6に放出する。当該解離により生じたA2Oは二酸化炭素分離膜5中を改質反応器2側に逆拡散する。当該逆拡散したA2Oは、A2SiO3と反応してA4SiO4に戻り(即ち、数式15の反応が進む)、改質反応器2側の二酸化炭素分離膜5の表面で二酸化炭素(CO2)と反応して、再び溶融状態のA2CO3またはCO3 2−となって、二酸化炭素分離膜5中を二酸化炭素分離室6側に拡散する。これにより、物質移動のサイクルが実現され、改質反応器2側での二酸化炭素の吸収および二酸化炭素分離室6側での二酸化炭素の放出が連続的に行なわれる。
【0051】
Li2ZrO3を例に挙げて、二酸化炭素分離膜5の作用を更に詳細に説明する。図9にLi2ZrO3のCO2吸収および放出特性を示す。図9の縦軸は、CO2雰囲気下にあるLi2ZrO3のCO2吸収による重量変化率(100×(同図中横軸の各温度で測定した重量−測定前の初期重量)/(測定前の初期重量)[%])、つまりLi2ZrO3のCO2吸収量を示す。同図中の符号Aで示すグラフは二酸化炭素分圧が0.7MPaの場合を、図中の符号Bで示すグラフは二酸化炭素分圧が0.5MPaの場合を、図中の符号Cで示すグラフは二酸化炭素分圧が0.3MPaの場合を 、図中の符号Dで示すグラフは二酸化炭素分圧が0.1MPaの場合を示す。CO2雰囲気下、約460℃程度以上となると、Li2ZrO3はCO2を吸収して、Li2CO3とZrO2に変化する(即ち、数式16の反応が進む)。さらに高温(例えば約900℃程度)となると、Li2CO3はCO2を放出して、Li2ZrO3に戻る(即ち、数式17および数式18の反応が進む)。
【0052】
【数16】
【数17】
【数18】
【0053】
図9に示すように、二酸化炭素分圧が高い方が、二酸化炭素分圧が低い場合と比べて、CO2の吸収量が多く、また吸収したCO2を放出するようになるまでの温度が高くなる。このため、ある一定の温度範囲(図9の例では600℃〜800℃程度、より好ましくは750℃付近)において、二酸化炭素分離膜5を挟んで二酸化炭素の分圧差を設ければ、二酸化炭素分離膜5は高圧側でCO2を吸収し低圧側でCO2を放出するようになる。上記一定の温度範囲は、二酸化炭素分離膜5の作動温度となる。
【0054】
従って、高圧側(改質反応器2側)では、数式16の反応が進行し、Li2ZrO3がCO2と反応して、溶融状態のLi2CO3と固体のZrO2が生じる。溶融状態のLi2CO3またはCO3 2−は二酸化炭素分離膜5中を低圧側(二酸化炭素分離室6側)に拡散する。低圧側では、数式17の反応が進行し、Li2CO3またはCO3 2−がCO2を放出して、Li2Oとなり、逆に高圧側に拡散する。高圧側に拡散したLi2Oは、ZrO2と反応してLi2ZrO3に戻り、再びCO2と反応して溶融状態のLi2CO3またはCO3 2−となり、二酸化炭素分離膜5中を低圧側に拡散する。これにより、CO2を連続的に改質反応器2から二酸化炭素分離室6へと分離することが可能となる。
【0055】
尚、例えば本実施形態では、薄膜状の二酸化炭素分離膜5を多孔質膜19で支持するようにしている。この多孔質膜19の材料としては、例えばアルミナやイットリアなどの希土類元素で安定化したジルコニアなどが好適である。また、例えば本実施形態では、A2BO3やBO2などの粒成長を妨げる粒子であって粒径がナノオーダの粒子(不活性ナノ粒子)18を、二酸化炭素分離膜5の材料に添加するようにしている。不活性ナノ粒子18としては、例えばアルミナなどが好適である。尚、図8中の符号17はA2BO3(例えばLi2ZrO3)粒子を示し、符号16はBO2(例えばZrO2)粒子を示し、符号20は溶融状態のA2CO3(例えばLi2CO3)を示す。
【0056】
ここで、CO2分離を連続的に行なうためには、二酸化炭素分離膜5中の円滑な物質移動が必要となるため、高圧側のCO2吸収反応により生成されて低圧側でCO2を放出する機能を担う物質(例えばLi2CO3など)は、溶融状態であることが望ましい。そこで、上記物質の融点を調整することで、二酸化炭素分離膜5の作動温度(即ち、高圧側でCO2を吸収し尚且つ低圧側でCO2を放出する温度)を制御できると考えられる。例えばアルカリ金属系炭酸塩を膜材料にドープ(添加)することで、上記物質の融点を下げることができる。
【0057】
Li2CO3の融点は732℃であるが、Li2CO3とK2CO3の混合物の融点は500℃以下となることが知られている(例えば図10(A)参照)。さらに、Li2CO3とK2CO3とNa2CO3の混合物の融点は400℃以下となることが知られている(例えば図10(B)参照)。従って、例えばK2CO3とNa2CO3の一方または双方を膜材料Li2ZrO3に添加し且つその添加量を調整することで、二酸化炭素分離膜5の作動温度を約400〜700℃の範囲内で制御することが可能となる。例えばK2CO3とNa2CO3の一方または双方を、膜材料Li2ZrO3に添加し、Li2−xNaxZrO3またはLi2−xKxZrO3あるいはLi2−x−yNaxKyZrO3とする。CO2吸収反応によりLi2CO3またはLi2−xNaxCO3またはLi2−xKxCO3またはLi2−x−yNaxKyCO3が生成されるが、これら生成物が目的とする温度域で溶融状態となるようにする。これにより、これらの物質が二酸化炭素分離膜5中で良好に拡散し、CO2分離が連続的に行なわれる。
【0058】
二酸化炭素分離膜5の作動温度は、燃料電池発電システム1における温度調整を容易とする観点から、改質触媒9、第1燃料電池3、第2燃料電池4の作動温度に合わせることが好ましい。また、改質反応器2内の温度は、例えば500℃〜1000℃程度であることが好ましい。これは、本実施形態の第1燃料電池3および第2燃料電池4の作動温度が500℃〜1000℃程度であること、1000℃を超えるとLi2ZrO3が二酸化炭素を吸収しなくなることから、二酸化炭素分離膜5の作動が困難と考えられること、等の理由によるものである。
【0059】
この二酸化炭素分離膜5は、数式7の反応場のような高温で機能するので、改質反応器2内の混合ガスを冷却する工程は不要である。さらに、この二酸化炭素分離膜5では、二酸化炭素の吸収と放出が連続的に行なわれるので、吸収剤などの再生工程は不要である。このため、多くのエネルギーが消費される冷却工程や再生工程が不要となり、エネルギー効率を大幅に向上させることができる。また、原理としては、二酸化炭素しか二酸化炭素分離膜5を透過できないため、純度の高い二酸化炭素が回収でき、二酸化炭素の回収により地球温暖化防止にも寄与できる。
【0060】
また、改質反応器2から分離された二酸化炭素は高い熱を有している。そこで、当該二酸化炭素の有する熱を有効に利用することで、燃料電池発電システム1の熱効率をさらに高めることができる。例えば、本実施形態では、熱交換器21を用いて二酸化炭素が有する熱を炭化水素系燃料および水の供給管22に伝えて、炭化水素系燃料や水などの予熱に利用するようにしている(図7参照)。その他、熱交換器などを用いて二酸化炭素が有する熱を改質反応器2や予備水蒸気改質用の反応器等に伝えて、水蒸気改質の吸熱反応に利用しても良い。また、改質反応器2から分離された高温の二酸化炭素をコジェネレーション用熱源として再利用することができる。
【0061】
以上のように構成される燃料電池発電システム1の動作の一例について、主に図7を用いて説明する。数式7の反応に必要な炭化水素系燃料は燃料供給手段(例えばメタンを主成分とする天然ガスが充填されたタンク)23より供給される。運転初期段階に必要な水は水供給手段(例えば給水タンク)24より供給され、運転初期段階に必要な熱は熱供給手段(例えば熱交換器や加熱装置)25により供給される。例えば、燃料供給手段23より供給される高圧の天然ガスと水供給手段24より供給される水とは、混合され、共に熱供給手段25により例えば500℃〜1000℃の高温とされた後に、改質反応器2に供給される。
【0062】
改質反応器2では、改質触媒9のもとで炭化水素系燃料と水蒸気が反応し主として水素と二酸化炭素が生成される。生成された水素は、第1燃料電池3と第2燃料電池4における発電に使用される。第1燃料電池3の発電によって、改質反応器2内の水素が消費され、且つ改質反応器2内に水蒸気と熱が供給される。数式7で示される水蒸気改質を進行させるためには水が必要であり、また同改質反応は吸熱反応であるため熱も必要とするが、これら必要な水と熱が第1燃料電池3の発電によって得ることができる。一方、水蒸気改質による水素生成量は第1燃料電池3の発電による水素消費量よりも多く、改質反応器2内に過剰な水素が発生するが、当該過剰な水素は、第2燃料電池4の発電によって消費され、且つ改質反応器2の外部に水蒸気の形で放出される。即ち、改質反応器2内の水素に関する物質収支が、第1燃料電池3の発電量と第2燃料電池4の発電量によって制御される。さらに、本実施形態の燃料電池発電システム1では、二酸化炭素分離膜5により改質反応器2内で生成された二酸化炭素が改質反応器2の外側に放出される。即ち、改質反応器2内の炭素成分に関する物質収支が二酸化炭素分離膜5によって制御される。改質反応器2内の水素が第1燃料電池3および第2燃料電池4により消費されると同時に、改質反応器2内の二酸化炭素が二酸化炭素分離膜5により改質反応器2の外側に放出されるので、改質反応器2内における数式7の平衡反応を右側方向へ速やかに進行させることができる。炭化水素系燃料は、以上の反応に関与するまで、改質反応器2の中を循環する。尚、第2燃料電池4の発電によって改質反応器2の外部に放出された高温水蒸気は、熱交換器などを用いて、供給する炭化水素系燃料の予熱や水蒸気改質用の熱源として利用することができる。また、改質反応器2から分離された高温の二酸化炭素は、熱交換器21を用いて、供給する炭化水素系燃料の予熱用の熱源として利用することができる。
【0063】
この燃料電池発電システム1によれば、2種類の燃料電池3,4と二酸化炭素分離膜5を組み合わせることで、燃料電池発電システム1の内外を出入りする物質収支を一致させ(換言すれば物質移動のバランスを取り)、供給する炭化水素系燃料および生成される水素を、第1燃料電池3および第2燃料電池4の発電に100%利用することができる。そして、当初必要な水と熱を水供給手段24や熱供給手段25により改質反応器2に供給しておけば、以後、水については第1燃料電池3の発電によって自然に供給され、熱については第1燃料電池3および第2燃料電池4の発電並びに改質反応器2から分離された高温二酸化炭素によって自然に供給されるので、改質反応器2には燃料供給手段23により炭化水素系燃料のみを供給すれば良い。従って、水および熱についてのクローズドサイクルが実現され、燃料電池発電システム1のエネルギー効率、省エネルギー性を高めることができる。また、本発明によって燃料利用率100%を実現する技術が確立されることで、SOFCに関するコスト的な問題も解決できる。また、本発明では、燃料電池発電システム1の内外を出入りする物質収支を一致させることで、燃料利用率100%を達成するので、燃料ガスの出口側の水素濃度を0とするような必要はなく、燃料ガス出口側の水素濃度が極端に低いために起きる過電圧増加や迷走電流発生といった現象は起きない。この燃料電池発電システム1によれば、燃料電池本体で70%以上の熱効率を達成できると考えられる。
【0064】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、運転条件等によって改質反応器2内の水や熱が不足する場合には、水供給手段24や熱供給手段25によって不足分の水や熱を適宜供給しても良いのは勿論である。
【0065】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1記載の燃料電池による発電方法および請求項2記載の燃料電池発電システムによれば、改質反応器における物質収支を一致させ、換言すれば物質移動のバランスを取り、供給する炭化水素系燃料および生成される水素を、第1燃料電池および第2燃料電池の発電に100%利用することができる。そして、当初必要な水と熱を改質反応器に供給しておけば、以後、必要な水や熱が第1燃料電池および第2燃料電池の発電によって自然に供給されるので、改質反応器には炭化水素系燃料のみを供給すれば良い。従って、水および熱についてのクローズドサイクルが実現され、燃料電池発電システムのエネルギー効率、省エネルギー性を高めることができる。また、本発明により燃料利用率100%を実現する技術が確立されることで、SOFCに関するコスト的な問題も解決できる。また、本発明では、物質収支を一致させることで燃料利用率100%を達成し、燃料ガスの出口側の水素濃度を0とするような必要はないので、過電圧の増加や迷走電流の発生といった弊害は生じない。
【0066】
さらに、請求項3記載の燃料電池発電システムによれば、改質反応器内の炭素成分に関する物質収支も制御することが可能となり、改質反応器内の水素が第1燃料電池および第2燃料電池により消費されると同時に、改質反応器内の二酸化炭素が二酸化炭素分離手段により改質反応器の外側に放出されるので、改質反応器内における水素生成反応を速やかに進行させることができ、燃料電池発電を効率的に行なうことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の燃料電池発電システムの実施の一形態を示す概略構成図である。
【図2】図1のII−II線で切った断面を示す概略構成図である。
【図3】電解質が酸化物イオン導電体である第1燃料電池の原理を示す概念図である。
【図4】電解質がプロトン導電体である第2燃料電池の原理を示す概念図である。
【図5】本発明の燃料電池発電システムの他の構成例(燃料電池の単セルを複数スタックした場合)を示す概略構成図である。
【図6】図5のVI−VI線で切った断面を示す概略構成図である。
【図7】本発明の燃料電池発電システムの実施の一形態を示す概略構成図である。
【図8】本発明の二酸化炭素分離手段の原理を示す概念図である。
【図9】Li2ZrO3のCO2吸収および放出特性を示すグラフであり、横軸は温度[℃]を、縦軸はCO2吸収によるLi2ZrO3の重量変化率(100×(横軸の各温度で測定した重量−測定前の初期重量)/(測定前の初期重量)[%])を示す。
【図10】(A)はLi2CO3とK2CO3の相図を示し、(B)はLi2CO3とK2CO3とNa2CO3の相図を示す。
【符号の説明】
1 燃料電池発電システム
2 改質反応器
3 第1燃料電池
4 第2燃料電池
5 二酸化炭素分離膜(二酸化炭素分離手段)
30 酸化物イオン導電体
31 第1燃料電池の燃料極
32 第1燃料電池の空気極
40 プロトン導電体
41 第2燃料電池の燃料極
42 第2燃料電池の空気極[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a power generation method and system using a fuel cell. More specifically, the present invention relates to a method and a system for generating power from a solid oxide fuel cell using a hydrocarbon-based fuel as a raw material.
[0002]
[Prior art]
2. Description of the Related Art Polymer Electrolyte Fuel Cells (hereinafter abbreviated as PEFCs) are establishing technologies that can sufficiently withstand practical use, and applications to automotive power sources and stationary power sources are being actively made. (For example, see Non-Patent Document 1). PEFC is a fuel cell using a polymer ion exchange membrane as an electrolyte and platinum as an electrode (also referred to as a catalyst), and has features such as a low operating temperature (for example, about 60 to 100 ° C.). PEFC uses high-purity hydrogen as fuel. For this reason, PEFC power generation systems that use hydrocarbon fuels such as city gas as raw materials are equipped with auxiliary equipment such as a reformer for producing high-purity hydrogen required for cell reactions from hydrocarbon fuels. . As a standard power supply capacity for home use, for example, 4 to 5 kW for a family of five, PEFC for stationary (home) currently being prototyped is designed according to the amount of heat used at home. The power generation capacity is set to a considerably low value (for example, about 0.8 kW).
[0003]
On the other hand, as a fuel cell which is less mature than a PEFC at a technical level, it operates at a high temperature (for example, about 500 to 1000 ° C.) as a solid oxide fuel cell (Solid Oxide Fuel Cell, a solid electrolyte fuel cell). (Hereinafter abbreviated as SOFC) (see Non-Patent
[0004]
[Non-patent document 1]
"Polymer Fuel Cell / Hydrogen Energy Utilization Achievement Proceedings", New Energy and Industrial Technology Development Organization, Hydrogen Energy Technology Development Office, March 12, 2003
[Non-patent document 2]
"Solid oxide fuel cells and the global environment": Hiroaki Tagawa, Agune Shofusha, 1998
[0005]
[Problems to be solved by the invention]
The research and development of PEFC is aiming at introduction of about 5 million vehicles and about 1000 kW for stationary in 2020. It is said that there is a limit to the amount of stationary fuel cells that can be introduced. Furthermore, since PEFC can use only extremely high-purity hydrogen as fuel, high-purity hydrogen production technology and improvement of the social environment of hydrogen supply infrastructure are essential. In the case of a PEFC power generation system using a hydrocarbon-based fuel as a raw material, a reformer or the like for producing high-purity hydrogen is required as an accessory facility, which increases costs. Further, the features of the reformer and the fuel cell include the following. The reaction of the reformer is a thermochemical reaction process in which hydrogen is produced by reforming city gas containing methane or the like as a main component. Utilizing the produced hydrogen, the fuel cell generates power by an electrochemical process. That is, the hydrogen production process in the reformer is a thermochemical reaction, and the consumption of hydrogen in the fuel cell is an electrochemical reaction, so that the reaction speed between the reformer and the fuel cell is different. The thermochemical reaction process is inferior in instantaneous load response, and the amount of hydrogen used is small when the fuel cell is under low load, so that the fuel reforming efficiency (hydrogen production efficiency) by the thermochemical reaction process deteriorates. On the other hand, since the fuel cell is an electrochemical process, its responsiveness is excellent when the load fluctuates, and the efficiency of the fuel cell (the efficiency of converting the chemical energy of the fuel into electric energy) is improved when the load is low. There is a tendency. As described above, the load fluctuation and the low load characteristic of the fuel cell and the reformer are contradictory, and the PEFC that can use only high-purity hydrogen as a fuel has a large energy loss, and the energy efficiency is low. Some observers do not expect a dramatic increase in efficiency.
[0006]
On the other hand, SOFCs operate at high temperatures, so that they do not require expensive catalysts and can directly use hydrocarbon fuels, so there is no need for a reformer that produces high-purity hydrogen. Is considered to provide more heat than PEFC, and when designed according to the amount of heat used at home, the power generation capacity becomes even lower than PEFC (the fuel cell is designed to meet the heat demand for home use). For example, if the power generation capacity of PEFC is 0.8 kW and the power generation capacity of 0.4 kW in SOFC satisfies the heat demand sufficiently, the SOFC system purchases extra 0.4 kW more expensive electricity from the power company. Need to be done). Therefore, even if it can be manufactured at a lower cost than PEFC, the merit of cost reduction by power generation becomes thin, and the feeling of high equipment cost cannot be denied.
[0007]
Further, common to all types of fuel cells, fuel cells have the limitation that the fuel utilization cannot be 100%. The fuel utilization rate is, for example, when hydrogen is supplied to a fuel cell as fuel, the hydrogen is electrochemically used in the fuel cell to be converted into a current, and the higher the fuel utilization rate, the more the supplied fuel becomes. It is an index indicating that chemical energy has been efficiently converted to electric energy. When flowing hydrogen gas into the fuel cell, the hydrogen concentration is high at the power generation section on the inlet side of the hydrogen gas, and low at the outlet side of the hydrogen gas. Since the voltage of the fuel cell is determined by the concentration of hydrogen and the concentration of oxygen, a voltage difference occurs between the power generation unit at the inlet and the outlet of the hydrogen gas in one or one fuel cell. The voltage flows from the higher side to the lower side (stray current), resulting in energy loss. In an extreme case where the hydrogen concentration in the power generation unit on the outlet side of the hydrogen gas is 0, power generation is not performed in the power generation unit on the outlet side. In addition, when the hydrogen concentration is low, the concentration diffusion resistance is increased, so that the overvoltage of the fuel electrode is increased and the power generation efficiency is reduced. Therefore, it is necessary to leave some hydrogen (about 20 to 40% of the supplied hydrogen) at the outlet side of the hydrogen gas. Eventually, 20-40% of the supplied hydrogen is only available as heat, and in the extreme case of excess heat, it is the same as throwing away fuel. In other words, when the fuel utilization rate is high, the amount of fuel discharged to the outside of the fuel cell is reduced, so that the energy conversion efficiency is increased. When the fuel cell is low, the output density is high because overvoltage of the fuel electrode is not reduced and the stray current does not occur. I will. For this reason, the fuel utilization of a general fuel cell is suppressed to 60 to 70%.
[0008]
It is conceivable to burn the hydrogen that is not used in the cell reaction and discharged, and use the heat of combustion as a heat source for preheating the supplied fuel or as a heat source for steam reforming of hydrocarbon fuels. Requires a lot of energy, and considering the overall energy efficiency, burning hydrogen that was not used for the battery reaction without using it for power generation would greatly increase the thermal efficiency of the entire fuel cell power generation system. This results in a decrease.
[0009]
Therefore, an object of the present invention is to provide a fuel cell power generation method and a fuel cell power generation system that can make the fuel utilization rate 100%.
[0010]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve this object, a fuel cell power generation method according to claim 1 generates a fuel gas containing hydrogen by reacting a hydrocarbon-based fuel and steam in a reforming reactor, and generates the fuel gas. Circulating, the fuel electrode of the first fuel cell in which the electrolyte is an oxide ion conductor, and the fuel electrode of the second fuel cell in which the electrolyte is a proton conductor, disposed so as to contact the circulating fuel gas, An air electrode of the first fuel cell and an air electrode of the second fuel cell are arranged so as to be in contact with an oxidizing gas flowing outside the reforming reactor, and the reforming is performed by power generation by the first fuel cell. While consuming the hydrogen generated in the reforming reactor and supplying steam into the reforming reactor, and consuming the hydrogen generated in the reforming reactor by the power generation by the second fuel cell and performing the reforming. Water outside the reactor It is to discharge care.
[0011]
Further, the fuel cell power generation system according to
[0012]
Therefore, the hydrogen generated in the reforming reactor is used for power generation in the first fuel cell and the second fuel cell. By the power generation of the first fuel cell, hydrogen in the reforming reactor is consumed, and steam and heat are supplied into the reforming reactor. On the other hand, the amount of hydrogen generated by the steam reforming is larger than the amount of hydrogen consumed by the power generation of the first fuel cell, and excessive hydrogen is generated in the reforming reactor. And discharged in the form of steam outside the reforming reactor. Thereby, the mass balance of hydrogen in the reforming reactor can be controlled by the power generation amount of the first fuel cell and the power generation amount of the second fuel cell. Further, by circulating the hydrocarbon-based fuel until it participates in the above reaction, it is possible to use 100% of the supplied hydrocarbon-based fuel and the generated hydrogen for the power generation of the first fuel cell and the second fuel cell. it can.
[0013]
According to a third aspect of the present invention, in the fuel cell power generation system according to the second aspect, a carbon dioxide separating means for selectively moving carbon dioxide in the reforming reactor to outside the reforming reactor is further provided. I am preparing for it.
[0014]
Therefore, the material balance of the carbon component in the reforming reactor can also be controlled. Also, at the same time that the hydrogen in the reforming reactor is consumed by the first fuel cell and the second fuel cell, the carbon dioxide in the reforming reactor is released to the outside of the reforming reactor by the carbon dioxide separating means. Therefore, the hydrogen generation reaction in the reforming reactor can be promptly advanced.
[0015]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, the configuration of the present invention will be described in detail based on an embodiment shown in the drawings.
[0016]
1 to 10 show an embodiment of a power generation method and a fuel cell power generation system using a fuel cell according to the present invention. In this power generation method using a fuel cell, a hydrocarbon-based fuel and steam are reacted in a reforming
[0017]
Further, the fuel cell power generation system 1 includes a reforming
[0018]
The
[0019]
The number or size of the
[0020]
For example, in the present embodiment, the
[0021]
When the
[0022]
However, the configuration is not limited to the configuration in which the
[0023]
Oxide ion (oxygen ion O2-The principle of the
[0024]
(Equation 1)
(Equation 2)
(Equation 3)
[0025]
Hereinafter, preferred examples of the material used for the
[0026]
The material used for the
[0027]
As a material used for the
[0028]
The principle of the
[0029]
(Equation 4)
(Equation 5)
(Equation 6)
[0030]
Hereinafter, preferred examples of the material used for the
[0031]
The material used for the
[0032]
Materials used for the
[0033]
The reforming
[0034]
(Equation 7)
[0035]
The gas in the reforming
[0036]
From the reaction kinetics, the equilibrium reaction constant (K) in
[0037]
(Equation 8)
However,
K: equilibrium reaction constant
PCO2: Partial pressure of carbon dioxide
PH2: Partial pressure of hydrogen
PCH4: Partial pressure of methane
PH2O: Partial pressure of water vapor
[0038]
The equilibrium reaction constant (K) takes a constant value for each temperature. As is known by Le Chatelier-Brown's law, in the equilibrium reaction of
[0039]
The reaction in the case where the steam reforming proceeds, that is, the reaction in the case where the equilibrium reaction of
[0040]
(Equation 9)
[0041]
As is apparent from
[0042]
On the other hand, in the fuel cell power generation system 1 of the present embodiment, the
[0043]
Here, in the reforming
[0044]
The carbon
[0045]
The action of the carbon
[0046]
(Equation 10)
(Equation 11)
(Equation 12)
[0047]
A generated by the reaction2CO3Or CO3 2-Is in a molten state and diffuses in the carbon
[0048]
A4SiO4In the case of the above, carbon dioxide can be separated from the reforming
[0049]
(Equation 13)
[Equation 14]
[Equation 15]
[0050]
A generated by the reaction2CO3Or CO3 2-Is in a molten state and diffuses in the carbon
[0051]
Li2ZrO3As an example, the operation of the carbon
[0052]
(Equation 16)
[Equation 17]
(Equation 18)
[0053]
As shown in FIG. 9, the higher the carbon dioxide partial pressure is,2Absorption of CO and absorption of CO2Temperature until it releases. Therefore, if a partial pressure difference of carbon dioxide is provided across the carbon
[0054]
Therefore, on the high pressure side (the reforming
[0055]
In this embodiment, for example, the carbon
[0056]
Where CO2In order to perform continuous separation, smooth mass transfer in the carbon
[0057]
Li2CO3Has a melting point of 732 ° C., but Li2CO3And K2CO3Is known to have a melting point of 500 ° C. or lower (for example, see FIG. 10A). Furthermore, Li2CO3And K2CO3And Na2CO3Is known to have a melting point of 400 ° C. or lower (for example, see FIG. 10B). Thus, for example, K2CO3And Na2CO3One or both of the film materials Li2ZrO3, And by adjusting the amount thereof, the operating temperature of the carbon
[0058]
The operating temperature of the carbon
[0059]
Since the carbon
[0060]
The carbon dioxide separated from the reforming
[0061]
An example of the operation of the fuel cell power generation system 1 configured as described above will be described mainly with reference to FIG. The hydrocarbon fuel required for the reaction of
[0062]
In the reforming
[0063]
According to this fuel cell power generation system 1, by combining the two types of
[0064]
The above embodiment is an example of a preferred embodiment of the present invention, but the present invention is not limited to this, and various modifications can be made without departing from the gist of the present invention. For example, when water or heat in the reforming
[0065]
【The invention's effect】
As is clear from the above description, according to the power generation method by the fuel cell according to the first aspect and the fuel cell power generation system according to the second aspect, the material balance in the reforming reactor is matched, in other words, the mass transfer of the mass transfer is performed. The hydrocarbon-based fuel to be balanced and supplied and the generated hydrogen can be used 100% for the power generation of the first fuel cell and the second fuel cell. If the initially required water and heat are supplied to the reforming reactor, the required water and heat are naturally supplied by the power generation of the first fuel cell and the second fuel cell. The vessel only needs to be supplied with hydrocarbon fuel. Therefore, a closed cycle for water and heat is realized, and the energy efficiency and energy saving of the fuel cell power generation system can be improved. Further, by establishing a technology for realizing a fuel utilization rate of 100% according to the present invention, it is possible to solve the cost problem relating to the SOFC. Further, in the present invention, a fuel utilization rate of 100% is achieved by matching the material balances, and it is not necessary to set the hydrogen concentration on the fuel gas outlet side to 0. No harm occurs.
[0066]
Furthermore, according to the fuel cell power generation system of the third aspect, it is also possible to control the mass balance of the carbon component in the reforming reactor, and the hydrogen in the reforming reactor is charged with the first fuel cell and the second fuel. Simultaneously with the consumption of the battery, the carbon dioxide in the reforming reactor is released to the outside of the reforming reactor by the carbon dioxide separating means, so that the hydrogen generation reaction in the reforming reactor can proceed promptly. It is possible to efficiently perform fuel cell power generation.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a schematic configuration diagram showing one embodiment of a fuel cell power generation system of the present invention.
FIG. 2 is a schematic configuration diagram showing a cross section taken along line II-II of FIG.
FIG. 3 is a conceptual diagram showing the principle of a first fuel cell in which an electrolyte is an oxide ion conductor.
FIG. 4 is a conceptual diagram showing the principle of a second fuel cell in which the electrolyte is a proton conductor.
FIG. 5 is a schematic configuration diagram showing another configuration example of the fuel cell power generation system of the present invention (when a plurality of single cells of a fuel cell are stacked).
FIG. 6 is a schematic configuration diagram showing a cross section taken along line VI-VI of FIG. 5;
FIG. 7 is a schematic configuration diagram showing one embodiment of a fuel cell power generation system of the present invention.
FIG. 8 is a conceptual diagram showing the principle of the carbon dioxide separation means of the present invention.
FIG. 9: Li2ZrO3CO25 is a graph showing absorption and emission characteristics, in which the horizontal axis represents temperature [° C.] and the vertical axis represents CO.2Li by absorption2ZrO3(100 × (weight measured at each temperature on the horizontal axis−initial weight before measurement) / (initial weight before measurement) [%]).
FIG. 10 (A) shows Li2CO3And K2CO3(B) shows the phase diagram of Li2CO3And K2CO3And Na2CO3FIG.
[Explanation of symbols]
1 fuel cell power generation system
2 Reforming reactor
3 First fuel cell
4 Second fuel cell
5 Carbon dioxide separation membrane (carbon dioxide separation means)
30 Oxide ion conductor
31 Fuel electrode of the first fuel cell
32 Air electrode of the first fuel cell
40 Proton conductor
41 Fuel electrode of the second fuel cell
42 Air electrode of the second fuel cell
Claims (3)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003101908A JP2004311168A (en) | 2003-04-04 | 2003-04-04 | Power generation method by fuel cell and fuel cell power generation system |
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