JP2004307778A - 環境改善機能を有する建材用組成物、及び、壁紙 - Google Patents
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Abstract
【課題】環境改善機能を有する建材用組成物と壁紙の提供。
【解決手段】比表面積が大きく超微細多孔質構造体や層状構造体の高含水セラミック材を主成分とし、廃棄天然材料から抽出され有害化学物質の吸着・除去作用を有する抽出物、廃棄天然材料から抽出され消臭作用を有する抽出物、廃棄天然材料から抽出され抗菌作用を有する抽出物、廃棄天然材料から抽出され健康促進作用を有する抽出物のいずれか1又は2以上を含有し、廃材の再利用による産業の活性化と共に、室内吸放湿の調湿を可能とし、且つ、室内の空気中に拡散されている有害化学物質の吸着・除去作用,消臭作用,抗菌作用,健康促進作用などを健康によい自然の天然材料で行わしめる。
【選択図】 図1
【解決手段】比表面積が大きく超微細多孔質構造体や層状構造体の高含水セラミック材を主成分とし、廃棄天然材料から抽出され有害化学物質の吸着・除去作用を有する抽出物、廃棄天然材料から抽出され消臭作用を有する抽出物、廃棄天然材料から抽出され抗菌作用を有する抽出物、廃棄天然材料から抽出され健康促進作用を有する抽出物のいずれか1又は2以上を含有し、廃材の再利用による産業の活性化と共に、室内吸放湿の調湿を可能とし、且つ、室内の空気中に拡散されている有害化学物質の吸着・除去作用,消臭作用,抗菌作用,健康促進作用などを健康によい自然の天然材料で行わしめる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、廃材の再利用による産業の活性化と共に、室内吸放湿の調湿を可能とし、且つ、室内の空気中に拡散されている有害化学物質の吸着・除去作用,消臭作用,抗菌作用,健康促進作用などを健康によい自然の天然材料で行わしめることが可能な環境改善機能を有する建材用組成物、及び、壁紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、湿気の吸放出を行い結露防止を積極的に図る壁紙などの建築用材料が好まれている。この背景には、石油を原料とする建築用材料は主として経済性などの観点から多く活用されるようになってきたが、漆喰,土,木材などの天然の建築用材料と比べ湿気の吸放出など調湿性の面で劣り結露防止作用が乏しいため、カビを発生させやすいと共に、発生されたカビに対する何らの対処機能も有しないため健康面に悪いという問題が認識されてきたという背景がある。
【0003】
また、建築用材料より発するホルムアルデヒドなどのような揮発性有害化学物質が室内空気中に多数浮遊することにより、健康面に悪影響を与えることが認識をされるようになってきたが、従来の建築用材料はやはりそれらの事態に何らの対処機能も有しないという問題が認識されてきたという背景もある。
【0004】
このため、本願出願人は、先に「湿気の吸放出を良好に行う調湿性を有すると共に、結露防止やカビ発生の防止などの機能に優れ、しかも室内の空気中に拡散されているホルムアルデヒドなどの揮発性有害化学物質を吸着・分解することが可能な壁紙(特許第3358026号:製品名「ケイソウくん」(登録商標))を提案し販売し好評を得ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような壁紙は、可撓性を有し裏面側(建材側)に接着剤を塗布する裏打ち紙と、室内側及び建材側との間の湿気の通過を遮断するための遮湿層と、この遮湿層の表面側に積層され室内側からの湿気の吸収と放出が可能な吸放湿層と、この吸放湿層の表面側に積層される粉末状の多孔質無機鉱物を主成分とする塗料層とより構成されている。これにより、塗料層は装飾性を有すると共に、湿気(水分)の吸収を行うことができるようになり、壁紙自体に湿気の吸収性を持たせることができる。
【0006】
このように、本願出願人が先に提案した壁紙は、室内の湿気の吸放出を良好に行う調湿性を有し、結露防止やカビ発生の防止などの機能に優れ、しかも室内の空気中に拡散されているホルムアルデヒドなど揮発性有害化学物質を吸着・分解することが可能な壁紙、換言すれば、呼吸する環境改善用の壁紙とも言える。
【0007】
一方、最近の健康管理研究の結果では、近似の建築物における高気密下,高断熱下において相対湿度が40%未満であれば風邪の菌が繁殖しやすくなるといわれており、特に相対湿度が30%未満となると風邪の菌は大いに繁殖し、人体側も喉,鼻の粘膜が乾燥して繊毛がフラットになり、風邪の菌を捕まえ排出することが困難になるため、風邪を引きやすくなると指摘されている。
【0008】
さらに、最近の研究により、お茶に多く含まれるカテキンやテアフラビンなどの成分には、ホルムアルデヒドの吸着・減少作用や、風邪の菌などに対する有効な作用があることが証明されてきている。図5,図6にその実験データの1例のグラフを示す。図5におけるグラフ(a)(b)は、お茶のカテキンEGCg及びテアフラビンTF3のインフルエンザ・ウイルスの感染阻止作用を示す(Nakayama,et al.,Antiviral Research,21,292,1993より改変)。また、図6におけるグラフ(a)(b)は、お茶のカテキンEGCg及びテアフラビンTF3の百日咳菌に対する抗菌作用を示す(堀内義信ら,感染症詩,66,599,1992)。
【0009】
また、近年は急速な高齢化社会の到来と共に、産業構造の変化に伴なう大量のリストラなどにより、働く意欲も体力もあるが定職につけない者が増加している。しかも、そのような社会現象がある一方で、多量な消費型社会化により、生ゴミを始めとする産業/生活廃棄物の廃棄処理が問題化され、そのリサイクル処理が模索されてきている。
【0010】
本願の発明者は、上記したように室内の湿気の吸放出,揮発性有害化学物質の吸着・分解に加え、天然材料の持つ有害化学物質の吸着・除去作用・消臭作用・抗菌作用・健康促進作用と共に、リサイクル処理による産業の活性化など、現今提起されている各課題に着目し、それぞれの課題を有機的に結合した効果を有する建材用組成物を鋭意研究し、課題解決を図ったものである。
【0011】
この発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、廃材の再利用による産業の活性化と共に、室内吸放湿の調湿を可能とし、且つ、室内の空気中に拡散されている有害化学物質の吸着・除去作用,消臭作用,抗菌作用,健康促進作用などを健康によい自然の天然材料で行わしめることを可能とする環境改善機能を有する建材用組成物、及び、壁紙を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記のような目的を違成するために、環境改善機能を有する建材用組成物として、請求項1記載のように、比表面積が大きく超微細多孔質構造体や層状構造体の高含水セラミック材を主成分とした組成物であって、上記組成物中には、廃棄天然材料から抽出され有害化学物質の吸着・除去作用を有する抽出物、廃棄天然材料から抽出され消臭作用を有する抽出物、廃棄天然材料から抽出され抗菌作用を有する抽出物、廃棄天然材料から抽出され健康促進作用を有する抽出物のいずれか1又は2以上を含有し、室内湿気の吸放湿を行うと共に、室内空気に対する上記各作用の1又は2以上を有することを特徴とする。また、請求項2記載のように、廃棄天然材料は、茶殼,珈琲殼,紅茶殼,ハーブ殼,竹粉などのような廃棄植物材料であることを特徴とし、請求項3記載のように、高含水セラミック材を主成分とした組成物中には、助剤として微粉末化された卵殼,牡蠣殼,帆立殼などのように廃棄された天然無機材料が混入されることを特徴とし、請求項4記載のように、組成物中に含有される廃棄天然材料により調色が図られることを特徴とし、請求項5記載のように、廃棄天然材料の乾燥処理は生石灰と水との反応熱を活用して行うことを特徴とする。
【0013】
一方、環境改善機能を有する壁紙として、請求項6記載のように、可撓性を有する裏打ち紙の建材側となる裏面側を接着剤の塗布面とすると共に、裏打ち紙の室内側となる表面側に遮湿層を積層し、上記遮湿層の室内側に比表面積が大きく超微細多孔質構造体や層状構造体の高含水セラミック材を主成分とした塗料層を設け、且つ、上記塗料層には、廃棄天然材料から抽出され有害化学物質の吸着・除去作用を有する抽出物、廃棄天然材料から抽出され消臭作用を有する抽出物、廃棄天然材料から抽出され抗菌作用を有する抽出物、廃棄天然材料から抽出され健康促進作用を有する抽出物のいずれか1又は2以上を含有し、室内湿気の吸放湿を行うと共に、室内空気に対する上記各作用の1又は2以上を有することを特徴とする。また、請求項7記載のように、廃棄天然材料は、茶殼,珈琲殼,紅茶殼,ハーブ殼などのような廃棄植物材料であることを特徴とし、請求項8記載のように、高含水セラミック材を主成分とした組成物中には、助剤として微粉末化された卵殼,牡蠣殼,帆立殼などのように廃棄された天然無機材料が混入されることを特徴とし、請求項9記載のように、組成物中に含有される廃棄天然材料により調色が図られることを特徴とし、請求項10記載のように、廃棄天然材料の乾燥処理は生石灰と水との反応熱を活用して行うことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施例の詳細を説明する。説明の都合上、始めに図1に示した壁紙より説明をする。
【0015】
図1は、この発明に係る壁紙の説明用断面図であるが、この壁紙は原反層1とその表面側に塗布される塗料層2とから構成される。原反層1は、可撓性を有するシート状の裏打ち紙1a、例えば「商品名:NN75HB(紀州製紙社製)」などが基材として用いられ、この裏打ち紙1aの表面側には、ポリエチレン樹脂からなるポリコート層であり裏打ち紙1aを通過しようとする湿気の遮断を図る遮湿層1bが設けられ、また、遮湿層1bの表面側に湿気の吸収と放出を図ると共に、柔軟性とボリューム化を図るパルプ不織布、例えば「商品名:JS60HD(Jソフト社製)」などよりなる吸放湿層1cを積層させて構成されている。
【0016】
さらに、原反層1を形成するパルプ不織布の吸放湿層1cの表面側には、高含水率で水分の吸放出を行う多孔質無機鉱物、例えば超微細多孔質構造体である粉末状焼成珪藻土や、層状構造体であるモンモリロナイト,バーミキュライトなどのセラミック材を主成分とする塗料層2が設けられる。
具体的には、この塗料層2は粉末状焼成珪藻土と、EVA(エチレン酢酸ビニール共重合体),アクリル,発泡剤などの混合された水性樹脂、顔料(酸化チタン)、その他必要に応じて添加剤などの混合塗料材が用いられる。
【0017】
また、塗料層2には、廃棄天然材料から抽出され有害化学物質の吸着・除去作用を有する抽出物、廃棄天然材料から抽出され消臭作用を有する抽出物、廃棄天然材料から抽出され抗菌作用を有する抽出物、廃棄天然材料から抽出され健康促進作用を有する抽出物のいずれか1又は2以上が含有される。
廃棄天然材料は、廃棄植物材料と廃棄された天然無機材料とがあり、廃棄植物材料としては茶殼,珈琲殼,紅茶殼,ハーブ殼,竹粉などが好適であり、廃棄された天然無機材料としては卵殼,牡蠣殼,帆立殼などが好適である。この場合には、廃棄天然材料は30〜40ミクロン以下の微粉に処理することが好ましい。
【0018】
以下に、各廃棄天然材料から主として得られる作用を列記する。
茶殼・・・・ホルムアルデヒドの減少,ポツリヌス菌の死滅,インフルエンザや百日咳など風邪菌に対する抗菌作用,調色作用
珈琲殼・・・消臭作用,調色作用
紅茶殼・・・ホルムアルデヒドの減少,抗菌作用,調色作用,
ハーブ殼・・消臭・芳香作用,調色作用,健康促進作用
竹粉・・・・ホルムアルデヒドの減少,抗菌作用,調色作用
卵殼・・・・調湿作用,ホルムアルデヒドの減少
牡蠣殼・・・ホルムアルデヒドの減少
帆立殼・・・ホルムアルデヒドの減少
図2の表1により、植物材料におけるホルムアルデヒドの減少率の実験データの1例を示し、図3のグラフにより、お茶のカテキンのホルマリン吸着作用の1例を示す(高垣晶子ら:第49回日本木材学会大会研究発表要旨集,557,1999)。
また、図4のグラフにより、各種茶飲料に加えられたポツリヌス菌の胞子が自然に死滅することの1例を示す(原征彦,渡辺真由美,日食工誌のカテキンのホルマリン吸着作用を示す,36,375,1989)。
【0019】
また、廃棄天然材料の乾燥処理に際しては、簡素で余分なエネルギーを使用しないために、主として生石灰+水から反応熱を発生させ、殺菌効果も高く、省エネ的なシステムである。なお、上記の壁紙における加工方法は、原反層はTダイによるポリラミネート加工により、塗料層はコンマコーターによるコーティングによる。
【0020】
以下に、この発明に係る壁紙の好適な構成1例を示す。
−壁紙構成1例−
原紙(裏打ち紙) 75g/m2
ポリコート層(ポリエチレン) 15μ(15g/m2)
不織布(パルプ100%) 60g/m 2
原反層 150g/m2
珪藻土(二酸化ケイ素) 40g/m2
水性樹脂(EVA,アクリル,発泡剤) 60g/m2
顔料(酸化チタン) 18g/m2
茶殼 20g/m2
その他(添加剤) 2g/m 2
塗料層 140g/m2
合 計 290g/m2
【0021】
このように構成された壁紙によれば、次のような作用が得られる。
壁紙の表面側(主として室内側)の湿気が塗料層2を通過して吸放湿層1cに吸収され、遮湿層1bにおいて遮断され裏打ち紙1aに至らず建材側を湿らさない。吸放湿層1cに吸収された湿気は室内の湿度が低下すると放出され、遮湿層1bは、接着剤水分の揮発抑制により接着剤付け置き時間を長時間確保し、壁紙寸法安定性も確保する。塗料層2は、比表面積が大きく超微細多孔質構造体や層状構造体の高含水セラミック材を主成分としているので、装飾作用の他に湿気の吸収,保留,放出作用を行い、且つ、ホルムアルデヒドなど有害化学物質を吸着・分解する。
【0022】
顔料としての酸化チタンは、空気に触れて二酸化チタンとなり、光触媒の強力な酸化還元反応効果により、大気中の有害汚染物質を分解する。
【0023】
廃棄天然材料の廃棄植物材料として茶殼,珈琲殼,紅茶殼,ハーブ殼,竹粉、廃棄された天然無機材料として卵殼,牡蠣殼,帆立殼などが適宜混入されるので、上記した調湿作用や有害化学物質の吸着・分解作用に加え、さらにホルムアルデヒドの減少,ポツリヌス菌の死滅,インフルエンザや百日咳など風邪菌に対する抗菌作用,消臭作用,調湿作用,調色作用などを協働して得ることができる。しかも、それらは廃棄天然材料の回収・再利用により行うので、エコリサイクル効果と共に、産業の新たな活性化に著しく寄与する。
【0024】
次に、この発明に係る建材用組成物の好適な構成例の一つを示す。
粉末状消石灰100重量部に対して、白セメントを80〜90重量部、粉末状焼成白色珪藻土を50〜60重量部配合すると共に、粉末状粘土質材料を11〜67重量部配合し、助剤として、下地材に対する接着性を促進する粉末状アクリル剤を6〜7重量部、保水性増粘剤である水溶性非イオンセルロースエーテルを4〜6重量部、消泡剤を1〜2重量部配合し、壁紙で説明をした廃棄天然材料を平均粒度30ミクロン程度として50〜30重量部含有する。
【0025】
なお、粉末状粘土質材料は微粒の鉱物であり、水を加えた場合には可塑性の性質を示すものを指し、主成分は粘土鉱物であるがセピオライト粉末,ベントナイト等々でもよい。粘土鉱物はダレ防止の働きをするため、圧力を余りかけない吹き付け,ローラー,刷毛での施工を可能とする。
粉末状アクリル樹脂は、下地材への接着性を確保するためであり、6〜7重量部配合するのが望ましい。メトローズは、夏場の高湿時の塗装作業における渇きを意図的に遅くして表面の割れを防止し、また、刷毛,ローラーへの付着性の向上を図る。消泡剤は、塗装の際に生ずる塗装面の泡を消す。
【0026】
このように構成された建材用組成物によれば、次のような作用が得られる。
従来の建材用組成物のように、耐久性,消音性,耐火性,耐熱性,保温性,消臭性,経済性等を有すると共に、特に圧力をかけずに塗る場合でも、作業中材料のダレ現象や作業者着衣への付着はほとんどなく、乾燥後仕上り面上にも微粉がほとんど残らず、微粉の周囲環境への飛散による生活者着衣等への付着もない。
【0027】
粉末状消石灰は、周知の通り石灰岩やカキその他の貝殼等を900〜1200℃に焼いて得た生石灰に水をかけて得たもので、ホルムアルデヒドの吸着・分解、吸放湿材並びに気硬性固化材として機能する。白色セメントは水硬性固化材としての機能をなす。焼成白色珪薄土は、結露防止作用にも勝れており、この多孔質の組織が水分を高含水率で吸収し放出し最適湿度を提供する。
【0028】
廃棄天然材料の廃棄植物材料として茶殼,珈琲殼,紅茶殼,ハーブ殼,竹殼、廃棄された天然無機材料として卵殼,牡蠣殼,帆立殼などが適宜混入されるので、上記した調湿作用や有害化学物質の吸着・分解作用に加え、さらにホルムアルデヒドの減少,ポツリヌス菌の死滅,インフルエンザや百日咳など風邪菌に対する抗菌作用,消臭作用,調湿作用,調色作用などを得ることができる。
しかも、それらは廃棄天然材料の回収・再利用により行うので、エコリサイクル効果と共に、産業の新たな活性化に著しく寄与する。なお、廃棄天然材料についての説明は上記した壁紙の箇所の説明を援用する。
【0029】
【発明の効果】
以上のように、請求項1乃至請求項4記載の発明によれば、耐久性,消音性,耐火性,耐熱性,消臭性,密閉性,経済性等を有する建材用組成物であると共に、調湿性の向上を図り、且つ、圧力をかけない刷毛,ローラー,吹き付けガンによる吹き付け塗装でも、塗装作業中のダレを生じさせず、下地材への良好な接着性を確保し、塗装作業における乾燥状態時や塗装面に泡を生じさせることがない。
加えて、比表面積が大きく超微細多孔質構造体や層状構造体の高含水セラミック材を主成分としているので、より高い吸放湿性を確保することができ調湿性の向上を図ることができる。
廃棄天然材料の廃棄植物材料としては、茶殼,珈琲殼,紅茶殼,ハーブ殼,竹粉などが、また、廃棄された天然無機材料としては、卵殼,牡蠣殼,帆立殻などが適宜混入されるので、上記した調湿作用や有害化学物質の吸着・分解作用に加え、さらにホルムアルデヒドの減少,ポツリヌス菌の死滅,インフルエンザや百日咳など風邪菌に対する抗菌作用,消臭作用,調湿作用,調色作用などを得ることができる。
また、カルシウムは従来主として使用されているような工業用カルシウムではなく、卵殼,牡蠣殼,帆立殼など生物が創ったポーラスな有機質のカルシウムとされるので、調湿性の向上に寄与すると共に、廃棄物のさらなる有効再利用を図ることができる。
また、廃棄植物材料は繊維質のため、製品強度を高める効果も有している。
しかも、それらは廃棄天然材料の回収・再利用により行うので、エコリサイクル効果と共に、産業の新たな活性化に著しく寄与する。
【0030】
請求項6乃至請求項9記載の発明によれば、壁紙の表面側(主として室内側)の湿気が塗料層を通過して吸放湿層に吸収され、遮湿層において遮断され裏打ち紙に至らず建材側を湿らさないと共に、吸放湿層に吸収された湿気は室内の湿度が低下すると放出され、遮湿層は、接着剤水分の揮発抑制により接着剤付け置き時間を長時間確保し、壁紙寸法安定性も確保する。
塗料層は、比表面積が大きく超微細多孔質構造体や層状構造体の高含水セラミック材を主成分としているので、装飾作用の他に湿気の吸収,保留,放出作用を行い、且つ、ホルムアルデヒドなど有害化学物質を吸着・分解し、より高い吸放湿性を確保することができ調湿性の向上を図ることができる。
顔料としての酸化チタンは、空気に触れて二酸化チタンとなり、光触媒の強力な酸化還元反応効果により、大気中の有害汚染物質を分解する。
廃棄天然材料の廃棄植物材料として茶殼,珈琲殼,紅茶殼,ハーブ殼、竹粉などが、また、廃棄された天然無機材料として卵殼,牡蠣殼,帆立殼などが適宜混入されるので、上記した調湿作用や有害化学物質の吸着・分解作用に加え、さらにホルムアルデヒドの減少,ポツリヌス菌の死滅,インフルエンザや百日咳など風邪菌に対する抗菌作用,消臭作用,調湿作用,調色作用などを得ることができる。
また、カルシウムは従来主として使用されているような工業用カルシウムではなく、卵殼,牡蠣殼,帆立殼など生物が創ったポーラスな有機質のカルシウムとされるので、調湿性の向上に寄与すると共に、廃棄物のさらなる有効再利用を図ることができる。
また、廃棄植物材料は繊維質のため、製品強度を高める効果も有している。
しかも、それらは廃棄天然材料の回収・再利用により行うので、エコリサイクル効果と共に、産業の新たな活性化に著しく寄与する。
【0031】
請求項5及び請求項10記載の発明によれば、生石灰は水と反応して高熱を発生するので、その高熱と強アルカリによる殺菌効果も高く、廃棄天然材料を清潔に保存することができ、省エネルギーの乾燥処理を行うことができる。さらに、水との反応で乾燥処理に使用した生石灰は、水酸化カルシウムの消石灰となるのでこの消石灰を再利用することができ、廃棄天然材料の乾燥処理を簡便且つ低コストに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る壁紙の説明用断面図である。
【図2】植物材料におけるホルムアルデヒドの減少率の実験データを示す表である。
【図3】お茶のカテキンのホルマリン吸着作用を示す表である。
【図4】各種茶飲料に加えられたポツリヌス菌の胞子が自然に死滅することを示すグラフである。
【図5】お茶のカテキンEGCg及びテアフラビンTF3のインフルエンザ・ウイルスの感染阻止作用を示すグラフである。
【図6】お茶のカテキンEGCg及びテアフラビンTF3の百日咳菌に対する抗菌作用を示すグラフである。
【符号の説明】
1 原反層
1a 裏打ち紙
1b 吸放湿層
1c 遮湿層
2 塗料層
【発明の属する技術分野】
この発明は、廃材の再利用による産業の活性化と共に、室内吸放湿の調湿を可能とし、且つ、室内の空気中に拡散されている有害化学物質の吸着・除去作用,消臭作用,抗菌作用,健康促進作用などを健康によい自然の天然材料で行わしめることが可能な環境改善機能を有する建材用組成物、及び、壁紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、湿気の吸放出を行い結露防止を積極的に図る壁紙などの建築用材料が好まれている。この背景には、石油を原料とする建築用材料は主として経済性などの観点から多く活用されるようになってきたが、漆喰,土,木材などの天然の建築用材料と比べ湿気の吸放出など調湿性の面で劣り結露防止作用が乏しいため、カビを発生させやすいと共に、発生されたカビに対する何らの対処機能も有しないため健康面に悪いという問題が認識されてきたという背景がある。
【0003】
また、建築用材料より発するホルムアルデヒドなどのような揮発性有害化学物質が室内空気中に多数浮遊することにより、健康面に悪影響を与えることが認識をされるようになってきたが、従来の建築用材料はやはりそれらの事態に何らの対処機能も有しないという問題が認識されてきたという背景もある。
【0004】
このため、本願出願人は、先に「湿気の吸放出を良好に行う調湿性を有すると共に、結露防止やカビ発生の防止などの機能に優れ、しかも室内の空気中に拡散されているホルムアルデヒドなどの揮発性有害化学物質を吸着・分解することが可能な壁紙(特許第3358026号:製品名「ケイソウくん」(登録商標))を提案し販売し好評を得ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような壁紙は、可撓性を有し裏面側(建材側)に接着剤を塗布する裏打ち紙と、室内側及び建材側との間の湿気の通過を遮断するための遮湿層と、この遮湿層の表面側に積層され室内側からの湿気の吸収と放出が可能な吸放湿層と、この吸放湿層の表面側に積層される粉末状の多孔質無機鉱物を主成分とする塗料層とより構成されている。これにより、塗料層は装飾性を有すると共に、湿気(水分)の吸収を行うことができるようになり、壁紙自体に湿気の吸収性を持たせることができる。
【0006】
このように、本願出願人が先に提案した壁紙は、室内の湿気の吸放出を良好に行う調湿性を有し、結露防止やカビ発生の防止などの機能に優れ、しかも室内の空気中に拡散されているホルムアルデヒドなど揮発性有害化学物質を吸着・分解することが可能な壁紙、換言すれば、呼吸する環境改善用の壁紙とも言える。
【0007】
一方、最近の健康管理研究の結果では、近似の建築物における高気密下,高断熱下において相対湿度が40%未満であれば風邪の菌が繁殖しやすくなるといわれており、特に相対湿度が30%未満となると風邪の菌は大いに繁殖し、人体側も喉,鼻の粘膜が乾燥して繊毛がフラットになり、風邪の菌を捕まえ排出することが困難になるため、風邪を引きやすくなると指摘されている。
【0008】
さらに、最近の研究により、お茶に多く含まれるカテキンやテアフラビンなどの成分には、ホルムアルデヒドの吸着・減少作用や、風邪の菌などに対する有効な作用があることが証明されてきている。図5,図6にその実験データの1例のグラフを示す。図5におけるグラフ(a)(b)は、お茶のカテキンEGCg及びテアフラビンTF3のインフルエンザ・ウイルスの感染阻止作用を示す(Nakayama,et al.,Antiviral Research,21,292,1993より改変)。また、図6におけるグラフ(a)(b)は、お茶のカテキンEGCg及びテアフラビンTF3の百日咳菌に対する抗菌作用を示す(堀内義信ら,感染症詩,66,599,1992)。
【0009】
また、近年は急速な高齢化社会の到来と共に、産業構造の変化に伴なう大量のリストラなどにより、働く意欲も体力もあるが定職につけない者が増加している。しかも、そのような社会現象がある一方で、多量な消費型社会化により、生ゴミを始めとする産業/生活廃棄物の廃棄処理が問題化され、そのリサイクル処理が模索されてきている。
【0010】
本願の発明者は、上記したように室内の湿気の吸放出,揮発性有害化学物質の吸着・分解に加え、天然材料の持つ有害化学物質の吸着・除去作用・消臭作用・抗菌作用・健康促進作用と共に、リサイクル処理による産業の活性化など、現今提起されている各課題に着目し、それぞれの課題を有機的に結合した効果を有する建材用組成物を鋭意研究し、課題解決を図ったものである。
【0011】
この発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、廃材の再利用による産業の活性化と共に、室内吸放湿の調湿を可能とし、且つ、室内の空気中に拡散されている有害化学物質の吸着・除去作用,消臭作用,抗菌作用,健康促進作用などを健康によい自然の天然材料で行わしめることを可能とする環境改善機能を有する建材用組成物、及び、壁紙を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記のような目的を違成するために、環境改善機能を有する建材用組成物として、請求項1記載のように、比表面積が大きく超微細多孔質構造体や層状構造体の高含水セラミック材を主成分とした組成物であって、上記組成物中には、廃棄天然材料から抽出され有害化学物質の吸着・除去作用を有する抽出物、廃棄天然材料から抽出され消臭作用を有する抽出物、廃棄天然材料から抽出され抗菌作用を有する抽出物、廃棄天然材料から抽出され健康促進作用を有する抽出物のいずれか1又は2以上を含有し、室内湿気の吸放湿を行うと共に、室内空気に対する上記各作用の1又は2以上を有することを特徴とする。また、請求項2記載のように、廃棄天然材料は、茶殼,珈琲殼,紅茶殼,ハーブ殼,竹粉などのような廃棄植物材料であることを特徴とし、請求項3記載のように、高含水セラミック材を主成分とした組成物中には、助剤として微粉末化された卵殼,牡蠣殼,帆立殼などのように廃棄された天然無機材料が混入されることを特徴とし、請求項4記載のように、組成物中に含有される廃棄天然材料により調色が図られることを特徴とし、請求項5記載のように、廃棄天然材料の乾燥処理は生石灰と水との反応熱を活用して行うことを特徴とする。
【0013】
一方、環境改善機能を有する壁紙として、請求項6記載のように、可撓性を有する裏打ち紙の建材側となる裏面側を接着剤の塗布面とすると共に、裏打ち紙の室内側となる表面側に遮湿層を積層し、上記遮湿層の室内側に比表面積が大きく超微細多孔質構造体や層状構造体の高含水セラミック材を主成分とした塗料層を設け、且つ、上記塗料層には、廃棄天然材料から抽出され有害化学物質の吸着・除去作用を有する抽出物、廃棄天然材料から抽出され消臭作用を有する抽出物、廃棄天然材料から抽出され抗菌作用を有する抽出物、廃棄天然材料から抽出され健康促進作用を有する抽出物のいずれか1又は2以上を含有し、室内湿気の吸放湿を行うと共に、室内空気に対する上記各作用の1又は2以上を有することを特徴とする。また、請求項7記載のように、廃棄天然材料は、茶殼,珈琲殼,紅茶殼,ハーブ殼などのような廃棄植物材料であることを特徴とし、請求項8記載のように、高含水セラミック材を主成分とした組成物中には、助剤として微粉末化された卵殼,牡蠣殼,帆立殼などのように廃棄された天然無機材料が混入されることを特徴とし、請求項9記載のように、組成物中に含有される廃棄天然材料により調色が図られることを特徴とし、請求項10記載のように、廃棄天然材料の乾燥処理は生石灰と水との反応熱を活用して行うことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施例の詳細を説明する。説明の都合上、始めに図1に示した壁紙より説明をする。
【0015】
図1は、この発明に係る壁紙の説明用断面図であるが、この壁紙は原反層1とその表面側に塗布される塗料層2とから構成される。原反層1は、可撓性を有するシート状の裏打ち紙1a、例えば「商品名:NN75HB(紀州製紙社製)」などが基材として用いられ、この裏打ち紙1aの表面側には、ポリエチレン樹脂からなるポリコート層であり裏打ち紙1aを通過しようとする湿気の遮断を図る遮湿層1bが設けられ、また、遮湿層1bの表面側に湿気の吸収と放出を図ると共に、柔軟性とボリューム化を図るパルプ不織布、例えば「商品名:JS60HD(Jソフト社製)」などよりなる吸放湿層1cを積層させて構成されている。
【0016】
さらに、原反層1を形成するパルプ不織布の吸放湿層1cの表面側には、高含水率で水分の吸放出を行う多孔質無機鉱物、例えば超微細多孔質構造体である粉末状焼成珪藻土や、層状構造体であるモンモリロナイト,バーミキュライトなどのセラミック材を主成分とする塗料層2が設けられる。
具体的には、この塗料層2は粉末状焼成珪藻土と、EVA(エチレン酢酸ビニール共重合体),アクリル,発泡剤などの混合された水性樹脂、顔料(酸化チタン)、その他必要に応じて添加剤などの混合塗料材が用いられる。
【0017】
また、塗料層2には、廃棄天然材料から抽出され有害化学物質の吸着・除去作用を有する抽出物、廃棄天然材料から抽出され消臭作用を有する抽出物、廃棄天然材料から抽出され抗菌作用を有する抽出物、廃棄天然材料から抽出され健康促進作用を有する抽出物のいずれか1又は2以上が含有される。
廃棄天然材料は、廃棄植物材料と廃棄された天然無機材料とがあり、廃棄植物材料としては茶殼,珈琲殼,紅茶殼,ハーブ殼,竹粉などが好適であり、廃棄された天然無機材料としては卵殼,牡蠣殼,帆立殼などが好適である。この場合には、廃棄天然材料は30〜40ミクロン以下の微粉に処理することが好ましい。
【0018】
以下に、各廃棄天然材料から主として得られる作用を列記する。
茶殼・・・・ホルムアルデヒドの減少,ポツリヌス菌の死滅,インフルエンザや百日咳など風邪菌に対する抗菌作用,調色作用
珈琲殼・・・消臭作用,調色作用
紅茶殼・・・ホルムアルデヒドの減少,抗菌作用,調色作用,
ハーブ殼・・消臭・芳香作用,調色作用,健康促進作用
竹粉・・・・ホルムアルデヒドの減少,抗菌作用,調色作用
卵殼・・・・調湿作用,ホルムアルデヒドの減少
牡蠣殼・・・ホルムアルデヒドの減少
帆立殼・・・ホルムアルデヒドの減少
図2の表1により、植物材料におけるホルムアルデヒドの減少率の実験データの1例を示し、図3のグラフにより、お茶のカテキンのホルマリン吸着作用の1例を示す(高垣晶子ら:第49回日本木材学会大会研究発表要旨集,557,1999)。
また、図4のグラフにより、各種茶飲料に加えられたポツリヌス菌の胞子が自然に死滅することの1例を示す(原征彦,渡辺真由美,日食工誌のカテキンのホルマリン吸着作用を示す,36,375,1989)。
【0019】
また、廃棄天然材料の乾燥処理に際しては、簡素で余分なエネルギーを使用しないために、主として生石灰+水から反応熱を発生させ、殺菌効果も高く、省エネ的なシステムである。なお、上記の壁紙における加工方法は、原反層はTダイによるポリラミネート加工により、塗料層はコンマコーターによるコーティングによる。
【0020】
以下に、この発明に係る壁紙の好適な構成1例を示す。
−壁紙構成1例−
原紙(裏打ち紙) 75g/m2
ポリコート層(ポリエチレン) 15μ(15g/m2)
不織布(パルプ100%) 60g/m 2
原反層 150g/m2
珪藻土(二酸化ケイ素) 40g/m2
水性樹脂(EVA,アクリル,発泡剤) 60g/m2
顔料(酸化チタン) 18g/m2
茶殼 20g/m2
その他(添加剤) 2g/m 2
塗料層 140g/m2
合 計 290g/m2
【0021】
このように構成された壁紙によれば、次のような作用が得られる。
壁紙の表面側(主として室内側)の湿気が塗料層2を通過して吸放湿層1cに吸収され、遮湿層1bにおいて遮断され裏打ち紙1aに至らず建材側を湿らさない。吸放湿層1cに吸収された湿気は室内の湿度が低下すると放出され、遮湿層1bは、接着剤水分の揮発抑制により接着剤付け置き時間を長時間確保し、壁紙寸法安定性も確保する。塗料層2は、比表面積が大きく超微細多孔質構造体や層状構造体の高含水セラミック材を主成分としているので、装飾作用の他に湿気の吸収,保留,放出作用を行い、且つ、ホルムアルデヒドなど有害化学物質を吸着・分解する。
【0022】
顔料としての酸化チタンは、空気に触れて二酸化チタンとなり、光触媒の強力な酸化還元反応効果により、大気中の有害汚染物質を分解する。
【0023】
廃棄天然材料の廃棄植物材料として茶殼,珈琲殼,紅茶殼,ハーブ殼,竹粉、廃棄された天然無機材料として卵殼,牡蠣殼,帆立殼などが適宜混入されるので、上記した調湿作用や有害化学物質の吸着・分解作用に加え、さらにホルムアルデヒドの減少,ポツリヌス菌の死滅,インフルエンザや百日咳など風邪菌に対する抗菌作用,消臭作用,調湿作用,調色作用などを協働して得ることができる。しかも、それらは廃棄天然材料の回収・再利用により行うので、エコリサイクル効果と共に、産業の新たな活性化に著しく寄与する。
【0024】
次に、この発明に係る建材用組成物の好適な構成例の一つを示す。
粉末状消石灰100重量部に対して、白セメントを80〜90重量部、粉末状焼成白色珪藻土を50〜60重量部配合すると共に、粉末状粘土質材料を11〜67重量部配合し、助剤として、下地材に対する接着性を促進する粉末状アクリル剤を6〜7重量部、保水性増粘剤である水溶性非イオンセルロースエーテルを4〜6重量部、消泡剤を1〜2重量部配合し、壁紙で説明をした廃棄天然材料を平均粒度30ミクロン程度として50〜30重量部含有する。
【0025】
なお、粉末状粘土質材料は微粒の鉱物であり、水を加えた場合には可塑性の性質を示すものを指し、主成分は粘土鉱物であるがセピオライト粉末,ベントナイト等々でもよい。粘土鉱物はダレ防止の働きをするため、圧力を余りかけない吹き付け,ローラー,刷毛での施工を可能とする。
粉末状アクリル樹脂は、下地材への接着性を確保するためであり、6〜7重量部配合するのが望ましい。メトローズは、夏場の高湿時の塗装作業における渇きを意図的に遅くして表面の割れを防止し、また、刷毛,ローラーへの付着性の向上を図る。消泡剤は、塗装の際に生ずる塗装面の泡を消す。
【0026】
このように構成された建材用組成物によれば、次のような作用が得られる。
従来の建材用組成物のように、耐久性,消音性,耐火性,耐熱性,保温性,消臭性,経済性等を有すると共に、特に圧力をかけずに塗る場合でも、作業中材料のダレ現象や作業者着衣への付着はほとんどなく、乾燥後仕上り面上にも微粉がほとんど残らず、微粉の周囲環境への飛散による生活者着衣等への付着もない。
【0027】
粉末状消石灰は、周知の通り石灰岩やカキその他の貝殼等を900〜1200℃に焼いて得た生石灰に水をかけて得たもので、ホルムアルデヒドの吸着・分解、吸放湿材並びに気硬性固化材として機能する。白色セメントは水硬性固化材としての機能をなす。焼成白色珪薄土は、結露防止作用にも勝れており、この多孔質の組織が水分を高含水率で吸収し放出し最適湿度を提供する。
【0028】
廃棄天然材料の廃棄植物材料として茶殼,珈琲殼,紅茶殼,ハーブ殼,竹殼、廃棄された天然無機材料として卵殼,牡蠣殼,帆立殼などが適宜混入されるので、上記した調湿作用や有害化学物質の吸着・分解作用に加え、さらにホルムアルデヒドの減少,ポツリヌス菌の死滅,インフルエンザや百日咳など風邪菌に対する抗菌作用,消臭作用,調湿作用,調色作用などを得ることができる。
しかも、それらは廃棄天然材料の回収・再利用により行うので、エコリサイクル効果と共に、産業の新たな活性化に著しく寄与する。なお、廃棄天然材料についての説明は上記した壁紙の箇所の説明を援用する。
【0029】
【発明の効果】
以上のように、請求項1乃至請求項4記載の発明によれば、耐久性,消音性,耐火性,耐熱性,消臭性,密閉性,経済性等を有する建材用組成物であると共に、調湿性の向上を図り、且つ、圧力をかけない刷毛,ローラー,吹き付けガンによる吹き付け塗装でも、塗装作業中のダレを生じさせず、下地材への良好な接着性を確保し、塗装作業における乾燥状態時や塗装面に泡を生じさせることがない。
加えて、比表面積が大きく超微細多孔質構造体や層状構造体の高含水セラミック材を主成分としているので、より高い吸放湿性を確保することができ調湿性の向上を図ることができる。
廃棄天然材料の廃棄植物材料としては、茶殼,珈琲殼,紅茶殼,ハーブ殼,竹粉などが、また、廃棄された天然無機材料としては、卵殼,牡蠣殼,帆立殻などが適宜混入されるので、上記した調湿作用や有害化学物質の吸着・分解作用に加え、さらにホルムアルデヒドの減少,ポツリヌス菌の死滅,インフルエンザや百日咳など風邪菌に対する抗菌作用,消臭作用,調湿作用,調色作用などを得ることができる。
また、カルシウムは従来主として使用されているような工業用カルシウムではなく、卵殼,牡蠣殼,帆立殼など生物が創ったポーラスな有機質のカルシウムとされるので、調湿性の向上に寄与すると共に、廃棄物のさらなる有効再利用を図ることができる。
また、廃棄植物材料は繊維質のため、製品強度を高める効果も有している。
しかも、それらは廃棄天然材料の回収・再利用により行うので、エコリサイクル効果と共に、産業の新たな活性化に著しく寄与する。
【0030】
請求項6乃至請求項9記載の発明によれば、壁紙の表面側(主として室内側)の湿気が塗料層を通過して吸放湿層に吸収され、遮湿層において遮断され裏打ち紙に至らず建材側を湿らさないと共に、吸放湿層に吸収された湿気は室内の湿度が低下すると放出され、遮湿層は、接着剤水分の揮発抑制により接着剤付け置き時間を長時間確保し、壁紙寸法安定性も確保する。
塗料層は、比表面積が大きく超微細多孔質構造体や層状構造体の高含水セラミック材を主成分としているので、装飾作用の他に湿気の吸収,保留,放出作用を行い、且つ、ホルムアルデヒドなど有害化学物質を吸着・分解し、より高い吸放湿性を確保することができ調湿性の向上を図ることができる。
顔料としての酸化チタンは、空気に触れて二酸化チタンとなり、光触媒の強力な酸化還元反応効果により、大気中の有害汚染物質を分解する。
廃棄天然材料の廃棄植物材料として茶殼,珈琲殼,紅茶殼,ハーブ殼、竹粉などが、また、廃棄された天然無機材料として卵殼,牡蠣殼,帆立殼などが適宜混入されるので、上記した調湿作用や有害化学物質の吸着・分解作用に加え、さらにホルムアルデヒドの減少,ポツリヌス菌の死滅,インフルエンザや百日咳など風邪菌に対する抗菌作用,消臭作用,調湿作用,調色作用などを得ることができる。
また、カルシウムは従来主として使用されているような工業用カルシウムではなく、卵殼,牡蠣殼,帆立殼など生物が創ったポーラスな有機質のカルシウムとされるので、調湿性の向上に寄与すると共に、廃棄物のさらなる有効再利用を図ることができる。
また、廃棄植物材料は繊維質のため、製品強度を高める効果も有している。
しかも、それらは廃棄天然材料の回収・再利用により行うので、エコリサイクル効果と共に、産業の新たな活性化に著しく寄与する。
【0031】
請求項5及び請求項10記載の発明によれば、生石灰は水と反応して高熱を発生するので、その高熱と強アルカリによる殺菌効果も高く、廃棄天然材料を清潔に保存することができ、省エネルギーの乾燥処理を行うことができる。さらに、水との反応で乾燥処理に使用した生石灰は、水酸化カルシウムの消石灰となるのでこの消石灰を再利用することができ、廃棄天然材料の乾燥処理を簡便且つ低コストに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る壁紙の説明用断面図である。
【図2】植物材料におけるホルムアルデヒドの減少率の実験データを示す表である。
【図3】お茶のカテキンのホルマリン吸着作用を示す表である。
【図4】各種茶飲料に加えられたポツリヌス菌の胞子が自然に死滅することを示すグラフである。
【図5】お茶のカテキンEGCg及びテアフラビンTF3のインフルエンザ・ウイルスの感染阻止作用を示すグラフである。
【図6】お茶のカテキンEGCg及びテアフラビンTF3の百日咳菌に対する抗菌作用を示すグラフである。
【符号の説明】
1 原反層
1a 裏打ち紙
1b 吸放湿層
1c 遮湿層
2 塗料層
Claims (10)
- 比表面積が大きく超微細多孔質構造体や層状構造体の高含水セラミック材を主成分とした組成物であって、
上記組成物中には、廃棄天然材料から抽出され有害化学物質の吸着・除去作用を有する抽出物、廃棄天然材料から抽出され消臭作用を有する抽出物、廃棄天然材料から抽出され抗菌作用を有する抽出物、廃棄天然材料から抽出され健康促進作用を有する抽出物のいずれか1又は2以上を含有し、室内湿気の吸放湿を行うと共に、室内空気に対する上記各作用の1又は2以上を有することを特徴とする環境改善機能を有する建材用組成物。 - 廃棄天然材料は、茶殼,珈琲殼,紅茶殼,ハーブ殼,竹粉などのような廃棄植物材料であることを特徴とする請求項1記載の環境改善機能を有する建材用組成物。
- 高含水セラミック材を主成分とした組成物中には、助剤として微粉末化された卵殼,牡蠣殼,帆立殼などのように廃棄された天然無機材料が混入されることを特徴とする請求項2又は3、4記載の環境改善機能を有する建材用組成物。
- 組成物中に含有される廃棄天然材料により、調色が図られることを特徴とする請求項1,2又は3記載の環境改善機能を有する建材用組成物。
- 請求項1乃至請求項4において、廃棄天然材料の乾燥処理は生石灰と水との反応熱を活用して行うことを特徴とする環境改善機能を有する建材用組成物。
- 可撓性を有する裏打ち紙の建材側となる裏面側を接着剤の塗布面とすると共に、裏打ち紙の室内側となる表面側に遮湿層を積層し、上記遮湿層の室内側に比表面積が大きく超微細多孔質構造体や層状構造体の高含水セラミック材を主成分とした塗料層を設け、且つ、上記塗料層には、廃棄天然材料から抽出され有害化学物質の吸着・除去作用を有する抽出物、廃棄天然材料から抽出され消臭作用を有する抽出物、廃棄天然材料から抽出され抗菌作用を有する抽出物、廃棄天然材料から抽出され健康促進作用を有する抽出物のいずれか1又は2以上を含有し、室内湿気の吸放湿を行うと共に、室内空気に対する上記各作用の1又は2以上を有することを特徴とする環境改善機能を有する壁紙。
- 廃棄天然材料は、茶殼,珈琲殼,紅茶殼,ハーブ殼、竹粉などのような廃棄植物材料であることを特徴とする請求項6記載の環境改善機能を有する壁紙。
- 高含水セラミック材を主成分とした組成物中には、助剤として微粉末化された卵殼,牡蠣殼,帆立殼などのように廃棄された天然無機材料が混入されることを特徴とする請求項6又は7記載の環境改善機能を有する壁紙。
- 組成物中に含有される廃棄天然材料により、調色が図られることを特徴とする請求項6,7又は8記載の環境改善機能を有する壁紙。
- 請求項6乃至請求項9において、廃棄天然材料の乾燥処理は生石灰と水との反応熱を活用して行うことを特徴とする環境改善機能を有する壁紙。
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