JP2004300044A - ジフェニレンスルフィド系化合物、組成物および有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ジフェニレンスルフィド系化合物、該化合物を含有する組成物および該ジフェニレンスルフィド系化合物を用いて作製された有機エレクトロルミネッセンス(以下「EL」と略す)素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機EL素子は、有機蛍光層を一対の対向電極に挟んで構成されており、一方の電極から注入された電子と、もう一方の電極から注入された正孔が、発光層内で再結合したときに、発光層が発光する。このような素子は、1963年に、M.Pope、H.P.Kallmannなどによりアントラセンの単結晶に直流電圧を印加すると発光が生じることが見出されたことから、研究開発が本格的に始まり、1987年には、KODAK社のT.W.Tangらにより、有機薄膜積層構造を利用した有機EL素子が初めて発表された。
【0003】
その後、この発表モデルをもとに、材料、層構成、層構成方法、素子化方法など、様々な面から、機能向上を目指したEL素子の研究開発が進められている。一般的なEL素子の層構成を図1に示す。これらの各層の中で、発光特性および色特性に大きく影響する、電子輸送層、正孔輸送層、発光層の各有機層には、例えば、電子輸送層に、アントラキノジメタンなどが使用され、正孔輸送層には、フタロシアニンなどが使用され、発光層にはピレンなどが使用されている。
【0004】
このように、各層を形成するための、多種多様の有機材料が開発されている(特許文献1および2参照)が、その殆どが、トルエン、キシレンなどの汎用有機溶剤に難溶なうえに、結晶性(凝集力)が高く、化合物種によっては昇華性を有しているため、成膜方法としては、溶液を用いる簡便な湿式方式ではなく、真空系を用いた乾式方式によるものが殆どである。そのため、高プロセスコストとなるうえに、真空装置を用いる関係上、大基板サイズの成膜は困難であるという問題があり、今後、有機EL素子、有機ELディスプレイの大画面化対応やコストメリットを考える上で大きな課題の一つである。
【0005】
現在のところ、上記の課題に対し、例えば、発光層であれば、ポリビニルカルバゾールと色素ドーピングによる湿式成膜が検討および提案されているが、ドーピングする色素は、溶剤に難溶であり、やはり一般的に蒸着によりドーピングされており、上記の課題は解決されていない。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−214334号公報
【特許文献2】
特開平6−136360号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の目的は、結晶性や昇華性を低減し、溶剤溶解性を向上させた新規な有機蛍光性材料や新規ドーピング材料を開発し、発光層などの製膜を乾式方式ではなく、湿式方式によって行うことができる有機蛍光性材料を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表されることを特徴とするジフェニレンスルフィド系化合物、該化合物を含有していることを特徴とする組成物、および該ジフェニレンスルフィド系化合物を用いた有機EL素子を提供する。
(上記一般式(1)において、置換基Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキルエーテル基、アルコキシ基、アミノ基、スルホンアミド基、アリール基またはアリールオキシ基を示し、Rが複数の場合はそれぞれ同一でも異なっていても構わない。)
【0009】
【発明の実施の形態】
次に好ましい実施の形態を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。本発明で原料として用いるカルバゾールは、合成が比較的容易で、古くから導電性、蛍光性を有する物質として知られており、電荷輸送性、色特性の観点から興味深い低分子化合物である。しかしながら、これらの化合物は一般に昇華性を有し、結晶性が高いことから、塗布型有機EL素子の発光層などとして使用するには、何らかの方法によって溶剤溶解性を確保しつつ、昇華性や結晶性を抑制する必要があった。
【0010】
そこで、本発明では、電荷輸送性も期待できるジフェニレンスルフィドにより、複数のカルバゾールを連結させ、カルバゾールの安定性を損なわない程度の高分子量化、塗布適性付与および電荷輸送性、発光特性(濃度)の向上を図ったものである。
【0011】
本発明のジフェニレンスルフィド系化合物の好ましい製造方法の1例を以下に説明する。上記一般式(1)で表されるジフェニレンスルフィド系化合物は、公知のカルバゾールまたはその置換誘導体2モル当たり約1モルのジブロモジベンゾチオフェンなどを用い、有機溶剤中において水素化ナトリウム、水素化リチウムなど塩基の存在下に反応させることによって得られる。このようにして得られる上記一般式(1)で表されるジフェニレンスルフィド系化合物は、昇華性や結晶性を抑制しつつ、汎用の有機溶剤に溶解性があり、十分に精製することができ、殆ど純品として得られる。
【0012】
この場合には、置換基Rは好ましくは1〜2個が導入される。置換基Rがさらに反応性である場合には、該反応性を利用して他の化合物と反応させて別の置換基とすることができる。例えば、置換基が、水酸基やアミノ基などである場合には、該水酸基やアミノ基などに種々の化合物を反応させることができる。
【0013】
他の例としては、カルバゾールとジブロモジベンゾチオフェンとを上記と同様に反応させたRが水素原子である前記一般式(1)の化合物に置換基(R)を導入する方法である。例えば、前記一般式(1)の化合物をクロロスルホン化、クロロメチル化、ハロゲン化、ニトロ化・還元によるアミノ化、水酸基などの導入を行い、これらの反応性基に各種の化合物を反応させることにより所望の置換基を導入することができる。この場合に得られる前記一般式(1)の化合物の置換基数は整数にならない場合(置換基数の異なる混合物)もあり、この場合に置換基数は1〜4の範囲が好ましい。以上は置換基導入の幾つかの例であり、本発明はこれらの例示に限定されない。このようにして得られる上記一般式(1)で表されるジフェニレンスルフィド系化合物は、昇華性や結晶性を抑制しつつ、汎用の有機溶剤に溶解性があり、十分に精製することができ、殆ど純品として得られる。
【0014】
また、上記一般式(1)において、置換基Rは1個でも複数個でもよく、例えば、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキルエーテル基、アルコキシ基、アミノ基、スルホンアミド基、アリール基またはアリールオキシ基を示し、Rが複数の場合はそれぞれ同一でも異なっていても構わない。
【0015】
さらに具体的には、置換基Rとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、イソへキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、1−クロロエチル基、2−クロロエチル基、2−クロロイソブチル基、1,2−ジクロロエチル基、1,2−ジクロロイソブチル基、1,3−ジクロロイソプロピル基、2,3−ジクロロ−t−ブチル基、1,2,3−トリクロロプロピル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、1−ブロモエチル基、2−ブロモエチル基、2−ブロモイソブチル基、1,2−ジブロモエチル基、1,2−ジブロモイソブチル基、1,3−ジブロモイソプロピル基、2,3−ジブロモ−t−ブチル基、1,2,3−トリブロモプロピル基、ヨードメチル基、ジヨードメチル基、トリヨードメチル基、1−ヨードエチル基、2−ヨードエチル基、2−ヨードイソブチル基、1,2−ジヨードエチル基、1,2−ジヨードイソブチル基、1,3−ジヨードイソプロピル基、2,3−ジヨード−t−ブチル基、1,2,3−トリヨードプロピル基、アミノメチル基、1−アミノエチル基、2−アミノエチル基、2−アミノイソブチル基、1,2−ジアミノエチル基、1,2−ジアミノイソブチル基、1,3−ジアミノイソプロピル基、2,3−ジアミノ−t−ブチル基、シアノメチル基、ジシアノメチル基、トリシアノメチル基、1−シアノエチル基、2−シアノエチル基、2−シアノイソブチル基、1,2−ジシアノエチル基、1,2−ジシアノイソブチル基、1,3−ジシアノイソプロピル基、2,3−ジシアノ−t−ブチル基、1,2,3−トリシアノプロピル基、ニトロメチル基、1−ニトロエチル基、2−ニトロエチル基、2−ニトロイソブチル基、1,2−ジニトロエチル基、1,2−ジニトロイソブチル基、1,3−ジニトロイソプロピル基、2,3−ジニトロ−t−ブチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシイソブチル基、1,2−ジヒドロキシエチル基、1,2−ジヒドロキシイソブチル基、1,3−ジヒドロキシイソプロピル基、2,3−ジヒドロキシ−t−ブチル基などの官能基である各置換基や、クラウンエーテル基、アザクラウンエーテル基、クラウンチオエーテル基などが挙げられる。以上の置換基はスルホニル基(−SO2−)またはメチレン基(−CH2−)を介して芳香環に結合していてもよい。
【0016】
無置換または置換アミノ基としては、−NR1R2において、R1およびR2がそれぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、イソへキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、1−クロロエチル基、2−クロロエチル基、2−クロロイソブチル基、1,2−ジクロロエチル基、1,2−ジクロロイソブチル基、1,3−ジクロロイソプロピル基、2,3−ジクロロ−t−ブチル基、1,2,3−トリクロロプロピル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、1−ブロモエチル基、2−ブロモエチル基、2−ブロモイソブチル基、1,2−ジブロモエチル基、1,2−ジブロモイソブチル基、1,3−ジブロモイソプロピル基、2,3−ジブロモ−t−ブチル基、1,2,3−トリブロモプロピル基、ヨードメチル基、ジヨードメチル基、トリヨードメチル基、1−ヨードエチル基、2−ヨードエチル基、2−ヨードイソブチル基、1,2−ジヨードエチル基、1,2−ジヨードイソブチル基、1,3−ジヨードイソプロピル基、2,3−ジヨード−t−ブチル基、1,2,3−トリヨードプロピル基、アミノメチル基、1−アミノエチル基、2−アミノエチル基、2−アミノイソブチル基、1,2−ジアミノエチル基、1,2−ジアミノイソブチル基、1,3−ジアミノイソプロピル基、2,3−ジアミノ−t−ブチル基、シアノメチル基、ジシアノメチル基、トリシアノメチル基、1−シアノエチル基、2−シアノエチル基、2−シアノイソブチル基、1,2−ジシアノエチル基、1,2−ジシアノイソブチル基、1,3−ジシアノイソプロピル基、2,3−ジシアノ−t−ブチル基、1,2,3−トリシアノプロピル基、ニトロメチル基、1−ニトロエチル基、2−ニトロエチル基、2−ニトロイソブチル基、1,2−ジニトロエチル基、1,2−ジニトロイソブチル基、1,3−ジニトロイソプロピル基、2,3−ジニトロ−t−ブチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシイソブチル基、1,2−ジヒドロキシエチル基、1,2−ジヒドロキシイソブチル基、1,3−ジヒドロキシイソプロピル基、2,3−ジヒドロキシ−t−ブチル基などの官能基である各置換基が挙げられる。
【0017】
無置換または置換スルホンアミド基としては、−SO2NHR1R2において、R1およびR2がそれぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、イソへキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、1−クロロエチル基、2−クロロエチル基、2−クロロイソブチル基、1,2−ジクロロエチル基、1,2−ジクロロイソブチル基、1,3−ジクロロイソプロピル基、2,3−ジクロロ−t−ブチル基、1,2,3−トリクロロプロピル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、1−ブロモエチル基、2−ブロモエチル基、2−ブロモイソブチル基、1,2−ジブロモエチル基、1,2−ジブロモイソブチル基、1,3−ジブロモイソプロピル基、2,3−ジブロモ−t−ブチル基、1,2,3−トリブロモプロピル基、ヨードメチル基、ジヨードメチル基、トリヨードメチル基、1−ヨードエチル基、2−ヨードエチル基、2−ヨードイソブチル基、1,2−ジヨードエチル基、1,2−ジヨードイソブチル基、1,3−ジヨードイソプロピル基、2,3−ジヨード−t−ブチル基、1,2,3−トリヨードプロピル基、アミノメチル基、1−アミノエチル基、2−アミノエチル基、2−アミノイソブチル基、1,2−ジアミノエチル基、1,2−ジアミノイソブチル基、1,3−ジアミノイソプロピル基、2,3−ジアミノ−t−ブチル基、シアノメチル基、ジシアノメチル基、トリシアノメチル基、1−シアノエチル基、2−シアノエチル基、2−シアノイソブチル基、1,2−ジシアノエチル基、1,2−ジシアノイソブチル基、1,3−ジシアノイソプロピル基、2,3−ジシアノ−t−ブチル基、1,2,3−トリシアノプロピル基、ニトロメチル基、1−ニトロエチル基、2−ニトロエチル基、2−ニトロイソブチル基、1,2−ジニトロエチル基、1,2−ジニトロイソブチル基、1,3−ジニトロイソプロピル基、2,3−ジニトロ−t−ブチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシイソブチル基、1,2−ジヒドロキシエチル基、1,2−ジヒドロキシイソブチル基、1,3−ジヒドロキシイソプロピル基、2,3−ジヒドロキシ−t−ブチル基などの官能基である各置換基が挙げられる。
【0018】
無置換または置換アルコキシ基としては、−ORにおいてRがメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、イソへキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、1−クロロエチル基、2−クロロエチル基、2−クロロイソブチル基、1,2−ジクロロエチル基、1,2−ジクロロイソブチル基、1,3−ジクロロイソプロピル基、2,3−ジクロロ−t−ブチル基、1,2,3−トリクロロプロピル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、1−ブロモエチル基、2−ブロモエチル基、2−ブロモイソブチル基、1,2−ジブロモエチル基、1,2−ジブロモイソブチル基、1,3−ジブロモイソプロピル基、2,3−ジブロモ−t−ブチル基、1,2,3−トリブロモプロピル基、ヨードメチル基、ジヨードメチル基、トリヨードメチル基、1−ヨードエチル基、2−ヨードエチル基、2−ヨードイソブチル基、1,2−ジヨードエチル基、1,2−ジヨードイソブチル基、1,3−ジヨードイソプロピル基、2,3−ジヨード−t−ブチル基、1,2,3−トリヨードプロピル基、アミノメチル基、1−アミノエチル基、2−アミノエチル基、2−アミノイソブチル基、1,2−ジアミノエチル基、1,2−ジアミノイソブチル基、1,3−ジアミノイソプロピル基、2,3−ジアミノ−t−ブチル基、シアノメチル基、ジシアノメチル基、トリシアノメチル基、1−シアノエチル基、2−シアノエチル基、2−シアノイソブチル基、1,2−ジシアノエチル基、1,2−ジシアノイソブチル基、1,3−ジシアノイソプロピル基、2,3−ジシアノ−t−ブチル基、1,2,3−トリシアノプロピル基、ニトロメチル基、1−ニトロエチル基、2−ニトロエチル基、2−ニトロイソブチル基、1,2−ジニトロエチル基、1,2−ジニトロイソブチル基、1,3−ジニトロイソプロピル基、2,3−ジニトロ−t−ブチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシイソブチル基、1,2−ジヒドロキシエチル基、1,2−ジヒドロキシイソブチル基、1,3−ジヒドロキシイソプロピル基、2,3−ジヒドロキシ−t−ブチル基などの官能基である各置換基が挙げられる。
【0019】
無置換または置換アリールオキシ基としては、−ORにおいてRがフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、3−メチル−2−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、1−ナフタセニル基、2−ナフタセニル基、1−アントリル基、2−アントリル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、2−ビフェニル基、3−ビフェニル基、3−ターフェニル基、4−ターフェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2−ピリジニル基、3−ピリジニル基、4−ピリジニル基、インドリル基、イソインドリル基、ベンゾフラン基、キノリル基、7−イソキノリル基、8−イソキノリル基、2−キノキサリル基、5−キノキサリル基、6−キノキサリル基、アクリジル基、カルバゾリル基、フェナンシルジル基、1,7−フェナントロリン基、1,8−フェナントロリン基、1,9−フェナントロリン基、1,10−フェナントロリン基、2,7−フェナントロリン基、2,8−フェナントロリン基、2,9−フェナントロリン基、フェノチアジル基、フェノキサジル基、2−オキサゾリル基、4−オキサゾリル基、5−オキサゾリル基、2−オキサジアゾジル基、5−オキサジアゾリル基、2−チエニル基、3−チエニル基、1−ピロリル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基などの官能基である各置換基が挙げられる。
【0020】
以上の如くして得られる本発明のジフェニレンスルフィド系化合物は、各種用途に有用である。例えば、各種印刷インキのワニス中に溶解または分散させて蛍光性印刷インキとして美麗な印刷物を与える。また、各種塗料のベヒクル中に溶解または分散させて蛍光性塗料として美麗な塗膜を与える。その他合成樹脂の着色剤としても有用である。
【0021】
本発明のジフェニレンスルフィド系化合物は特に塗布型EL素子の発光層形成材料として有用である。以下EL素子に応用する例を詳しく説明する。本発明のジフェニレンスルフィド系化合物は、溶剤に溶解させてEL素子の発光層を成膜することができる。本発明のジフェニレンスルフィド系化合物に対する良溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレンなどが例示される。ジフェニレンスルフィド系化合物の構造や分子量にもよるが、通常はこれらの溶媒に0.1質量%以上溶解させることができる。EL素子作成の際にこれらの有機溶媒可溶性のジフェニレンスルフィド系化合物を用いることにより、溶液から成膜する場合、この溶液を塗布後乾燥により溶媒を除去するだけでよく、製造上非常に有利である。
【0022】
本発明の有機EL素子の構造については、少なくとも一方が透明または半透明である一対の対向電極と、これらによって挟持された単層あるいは多層の有機化合物層に前記本発明のジフェニレンスルフィド系化合物を少なくとも1種類を含有する層を有してさえいれば特に制限はなく、公知の構造を採用することができる。例えば、本発明のジフェニレンスルフィド系化合物からなる発光層、もしくは本発明のジフェニレンスルフィド系化合物と電荷輸送材料(電子輸送材料と正孔輸送材料の総称を意味する)との混合物からなる発光層、もしくは本発明のジフェニレンスルフィド系化合物と発光性ドーピング材料(蛍光発光性ドーピング材料と燐光発光性ドーピング材料の総称を意味する)とからなる発光層の両面に一対の電極を有する構造のもの、さらに陰極と発光層の間に電子輸送材料を含む電子輸送層、または陽極と発光層の間に正孔輸送材料を含む正孔輸送層を積層したものが例示される。また、発光層や電荷輸送層は、一層の場合と複数の層を組み合わせる場合も本発明に含まれる。また、本発明のジフェニレンスルフィド系化合物または電荷輸送材料を高分子化合物に分散させた層とすることもできる。
【0023】
本発明のジフェニレンスルフィド系化合物を発光材料として使用する場合に用いられる電荷輸送材料、すなわち、電子輸送材料または正孔輸送材料としては公知のものが使用でき、特に限定されないが、正孔輸送材料としてはピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体などが例示され、電子輸送材料としてはオキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタンもしくはその誘導体、ベンゾキノンもしくはその誘導体、ナフトキノンもしくはその誘導体、アントラキノンもしくはその誘導体、テトラシアノアンスラジノキメタンもしくはその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレンもしくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、または8−ヒドロキシキノリンもしくはその誘導体の金属錯体などが例示される。これらのうち、電子輸送性の化合物と正孔輸送性の化合物のいずれか一方、または両方を同時に使用すればよい。これらは単独で用いてもよいし、二種類以上を混合して用いてもよい。発光層と電極の間に電荷輸送層(電子輸送層と正孔輸送層の総称を意味する)を設ける場合、これらの電荷輸送材料を使用して電荷輸送層を形成すればよい。
【0024】
本発明のジフェニレンスルフィド系化合物を電荷輸送性材料として使用する場合に用いられる発光材料または発光性ドーピング材料としては特に限定されないが、例えば、ナフタレン誘導体、アントラセンもしくはその誘導体、ペリレンもしくはその誘導体、キナクリドン系、ポリメチン系、キサンテン系、クマリン系、シアニン系などの色素類、芳香族アミン、ルブレン、テトラフェニルシクロペンタジエンもしくはその誘導体、またはテトラフェニルブタジエンもしくはその誘導体、キノリン金属錯体、有機イリジウム錯体、CdSeやCdSなどの可視域にバンドギャップの値を持つ半導体のナノ結晶などを用いることができる。
【0025】
次に、本発明のジフェニレンスルフィド系化合物を用いた有機EL素子の代表的な作製方法について述べる。陽極および陰極からなる一対の電極は、平面発光の有機EL素子を得るためには、電極の少なくとも一方が透明または半透明であって、この透明または半透明な電極側から発光を取り出すことが望ましいが、素子の端面から発光を取り出す形態を取る場合にはこの限りではない。
【0026】
有機EL素子の発光取り出し方向を基板側としたときには、基板および有機EL素子の電極のうち基板上に設けられる電極が透明または半透明であることが望ましい。基板には石英、ソーダガラスなどのガラス板、金属板や金属箔、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂などのプラスチックなどが用いられる。
【0027】
電極には導電性の金属酸化物膜や金属薄膜などが用いられる。具体的には、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)などの導電性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケルなどの金属、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料、これらの混合物または積層物などが挙げられ、特に、高導電性や透明性などの点からITOを好ましく陽極として用いることができる。
【0028】
次いで、電極上に発光材料として上記ジフェニレンスルフィド系化合物、またはジフェニレンスルフィド系化合物と電荷輸送材料、またはジフェニレンスルフィド系化合物及び発光性ドーピング材料とを含む発光層を形成する。形成方法としては、これら材料の溶融液、溶液、分散液、または混合液を使用するスピンコート法、キャストコート法、ディップコート法、ダイコート法、ビードコート法、バーコート法、ロールコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法などの塗布方法により成膜することが特に好ましい。
【0029】
発光層の膜厚としては、1nm〜1μm、好ましくは2nm〜500nm、さらに好ましくは5nm〜200nmである。なお、塗布法により成膜した場合には、溶媒を除去するために、好ましくは減圧下または不活性雰囲気下で、30〜300℃、好ましくは60〜200℃の温度で加熱乾燥することが望ましい。
【0030】
また、この発光層と電荷輸送材料とを積層する場合には、上記の成膜方法で発光層を設ける前に陽極上に正孔輸送層を形成する、または、発光層を設けた後に電子輸送層を形成することが望ましい。電荷輸送層の形成方法としては、特に限定されないが、固体状態からの真空蒸着法、または溶融状態、溶液状態、分散液状態、混合液状態からのスピンコート法、キャストコート法、ディップコート法、ダイコート法、ビードコート法、バーコート法、ロールコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法を用いることができる。電荷輸送層の膜厚としては、1nm〜1μm、好ましくは2nm〜500nm、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
【0031】
次いで発光層または電荷輸送層の上に電極を設ける。この電極は陰極となる。陰極としては電子を注入しやすいように4eVより小さい仕事関数を持つものが好ましく、アルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム、セシウムなど)およびそのハロゲン化物(例えば、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化セシウムなど)、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウムなど)およびそのハロゲン化物(フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムなど)、アルミニウム、銀などの金属、導電性金属酸化物およびこれらの合金または混合物などが挙げられる。
【0032】
陰極の作製方法としては真空蒸着法、スパッタリング法、金属薄膜を圧着するラミネート法などが用いられる。陰極作製後、有機EL素子を保護する保護層を装着してもよい。有機EL素子を長期間安定的に用いるためには、素子を外部から保護するために、保護層または保護カバーを装着することが望ましい。この保護層としては、高分子化合物、金属酸化物、金属フッ化物、金属ホウ化物、珪素酸化物、珪素窒化物などを用いることができる。また、保護カバーとしては、ガラス板、表面に低透水率処理を施したプラスチック板などを用いることができ、このカバーを熱硬化樹脂や光硬化樹脂で素子基板と張り合わせて密閉する方法が好適に用いられる。
【0033】
本発明の有機EL素子を用いて面状の素子を得るためには、面状の陽極と陰極が重なり合うように配置すればよい。また、パターン状の発光を得るためには、前記面状の発光素子の表面にパターン状の窓を設けたマスクを設置する方法、非発光部の有機層を極端に厚く形成して実質的に非発光とする方法、陽極または陰極のいずれか一方、または両方の電極をパターン状に形成する方法が挙げられる。
【0034】
さらに、ドットマトリクス素子とするためには、陽極と陰極をともにストライプ状に形成して直交するように配置する方法、片方の電極をTFTで選択駆動できるようにする方法などが挙げられる。また、同一面状に発光色の異なる有機EL素子を複数配置することにより部分カラー表示、マルチカラー表示、フルカラー表示が可能となる。
【0035】
【実施例】
次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
<実施例1>
カルバゾール(東京化成工業(株)製)3.5gと2,8−ジブロモベンゾチオフェン(東京化成工業(株)製)3.0gとを、脱水したテトラヒドロフラン100ml中において水素化ナトリウムの存在下に80℃で15時間還流加熱し、反応させた後、減圧乾燥して残留溶剤を取り除いた結果、素粉末4.3gを得た。この素粉末の融点を測定したところ、254〜256℃付近で分解した(カルバゾールの融点は245℃)。さらに、本素粉末を過剰のクロロスルホン酸(純正化学(株)製)に溶解させクロロスルホン化した上で、過剰のメタノール(東京化成工業(株)製)と反応させ、未反応不純物や副生成物を分離除去した後、減圧乾燥した結果、粉末1.8gを得た。この粉末の赤外吸収スペクトルを測定した結果を図2に示す。測定結果より、この粉末が、求める下記式の化合物であることを確認した(なお、元素分析の結果、式中のnは平均値で4であった)。また、この材料の、蛍光スペクトルを測定した結果、良好な蛍光発光を示すことが分かった(図3参照)。
【0036】
【0037】
<実施例2〜6>
実施例1におけるメタノールに代えて、他のアルコールを用いた以外は実施例1と同様にして本発明のジフェニレンスルフィド系化合物を得た。なお、元素分析、赤外吸収スペクトルおよび蛍光スペクトルは実施例1の場合と同様に測定した。その結果を下記表1に示す。
【0038】
【0039】
<実施例7〜11>
実施例1におけるメタノールに代えて、脂肪族低級アミンを用いた以外は実施例1と同様にして本発明のジフェニレンスルフィド系化合物を得た。なお、元素分析、赤外吸収スペクトルおよび蛍光スペクトルは実施例1の場合と同様に測定した。その結果を下記表2に示す。
【0040】
【0041】
<実施例12〜16>
実施例1におけるクロロスルホン化に代えてクロロメチル化を行い、該クロロメチル基に脂肪族低級アミンを反応させた以外は実施例1と同様にして本発明のジフェニレンスルフィド系化合物を得た。なお、元素分析、赤外吸収スペクトルおよび蛍光スペクトルは実施例1の場合と同様に測定した。その結果を下記表3に示す。
【0042】
【0043】
<実施例17>
(発光材料として使用した有機EL素子の作製および評価)
ガラス基板上にITOの透明導電性膜が成膜された基板を所望の形状にパターニングした後、洗浄およびUV/オゾン処理を施した。次いで、ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォネート水分散液(略称PEDOT/PSS、商品名Baytron PTP AI 4083、バイエル社)を洗浄基板上に滴下し、スピンコートした。その後140℃のホットプレート上で10分間加熱乾燥することにより、80nmの正孔輸送層を形成した。
【0044】
続いて、前記実施例1のジフェニレンスルフィド系化合物の7質量部と電子輸送材料であるオキサジアゾール(日本シイベルヘグナー社製)3質量部とを1,1,2−トリクロロエタン(東京化成工業(株)製)に溶解させた塗布液を滴下し、スピンコートした。その後100℃のホットプレート上で減圧加熱乾燥することにより、100nmの電子輸送兼発光層を形成した。さらに、1.0×10−6Torrの真空条件下で、金属カルシウムを0.2nm/sの成膜速度で100Å真空蒸着し、さらにその上に銀を2nm/sの成膜速度で1,000Å真空蒸着して電極を形成した。
【0045】
このようにして得られた有機EL素子に外部電源(ケースレー社製ソースメーター2400)を接続し、ITOを陽極、そして金属電極を陰極として直流電圧を印加すると、カルバゾール系化合物の蛍光に相当するスペクトルを有する青色の発光を得た。この素子の輝度はトプコン社製輝度計BM−8を用いて測定した。また、発光スペクトルはトプコン社製分光放射計SR−2を用いて測定した。印加電圧10Vのとき150cd/m2で発光した。このときの発光効率は約0.7Lm/Wであった。
【0046】
<実施例18>
(電荷輸送性材料として使用した有機EL素子の作製及び評価)
実施例17において使用した電子輸送兼発光層用塗布液を、前記実施例2のジフェニレンスルフィド系化合物の7質量部と電子輸送材料であるオキサジアゾール(日本シイベルヘグナー社製)3質量部、及び発光性ドーピング材料であるクマリン6(東京化成工業(株)製)0.1質量部とを1,1,2−トリクロロエタン(東京化成工業(株)製)に溶解させた塗布液に代えて同様にEL素子を作製し、発光特性を評価した結果、ドーピング材料に由来する良好な緑色発光を確認した。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、結晶性や昇華性を低減し、EL素子発光層などの成膜を乾式方式ではなく、湿式方式によって行うことができる有機蛍光性材料、該材料を含む組成物および該材料を使用する有機EL素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】有機EL素子の構造例を示す図。
【図2】実施例1で得られたジフェニレンスルフィド系化合物の赤外吸収スペクトルを示す図。
【図3】実施例1で得られたジフェニレンスルフィド系化合物の蛍光スペクトルを示す図。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ジフェニレンスルフィド系化合物、該化合物を含有する組成物および該ジフェニレンスルフィド系化合物を用いて作製された有機エレクトロルミネッセンス(以下「EL」と略す)素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機EL素子は、有機蛍光層を一対の対向電極に挟んで構成されており、一方の電極から注入された電子と、もう一方の電極から注入された正孔が、発光層内で再結合したときに、発光層が発光する。このような素子は、1963年に、M.Pope、H.P.Kallmannなどによりアントラセンの単結晶に直流電圧を印加すると発光が生じることが見出されたことから、研究開発が本格的に始まり、1987年には、KODAK社のT.W.Tangらにより、有機薄膜積層構造を利用した有機EL素子が初めて発表された。
【0003】
その後、この発表モデルをもとに、材料、層構成、層構成方法、素子化方法など、様々な面から、機能向上を目指したEL素子の研究開発が進められている。一般的なEL素子の層構成を図1に示す。これらの各層の中で、発光特性および色特性に大きく影響する、電子輸送層、正孔輸送層、発光層の各有機層には、例えば、電子輸送層に、アントラキノジメタンなどが使用され、正孔輸送層には、フタロシアニンなどが使用され、発光層にはピレンなどが使用されている。
【0004】
このように、各層を形成するための、多種多様の有機材料が開発されている(特許文献1および2参照)が、その殆どが、トルエン、キシレンなどの汎用有機溶剤に難溶なうえに、結晶性(凝集力)が高く、化合物種によっては昇華性を有しているため、成膜方法としては、溶液を用いる簡便な湿式方式ではなく、真空系を用いた乾式方式によるものが殆どである。そのため、高プロセスコストとなるうえに、真空装置を用いる関係上、大基板サイズの成膜は困難であるという問題があり、今後、有機EL素子、有機ELディスプレイの大画面化対応やコストメリットを考える上で大きな課題の一つである。
【0005】
現在のところ、上記の課題に対し、例えば、発光層であれば、ポリビニルカルバゾールと色素ドーピングによる湿式成膜が検討および提案されているが、ドーピングする色素は、溶剤に難溶であり、やはり一般的に蒸着によりドーピングされており、上記の課題は解決されていない。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−214334号公報
【特許文献2】
特開平6−136360号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の目的は、結晶性や昇華性を低減し、溶剤溶解性を向上させた新規な有機蛍光性材料や新規ドーピング材料を開発し、発光層などの製膜を乾式方式ではなく、湿式方式によって行うことができる有機蛍光性材料を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表されることを特徴とするジフェニレンスルフィド系化合物、該化合物を含有していることを特徴とする組成物、および該ジフェニレンスルフィド系化合物を用いた有機EL素子を提供する。
(上記一般式(1)において、置換基Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキルエーテル基、アルコキシ基、アミノ基、スルホンアミド基、アリール基またはアリールオキシ基を示し、Rが複数の場合はそれぞれ同一でも異なっていても構わない。)
【0009】
【発明の実施の形態】
次に好ましい実施の形態を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。本発明で原料として用いるカルバゾールは、合成が比較的容易で、古くから導電性、蛍光性を有する物質として知られており、電荷輸送性、色特性の観点から興味深い低分子化合物である。しかしながら、これらの化合物は一般に昇華性を有し、結晶性が高いことから、塗布型有機EL素子の発光層などとして使用するには、何らかの方法によって溶剤溶解性を確保しつつ、昇華性や結晶性を抑制する必要があった。
【0010】
そこで、本発明では、電荷輸送性も期待できるジフェニレンスルフィドにより、複数のカルバゾールを連結させ、カルバゾールの安定性を損なわない程度の高分子量化、塗布適性付与および電荷輸送性、発光特性(濃度)の向上を図ったものである。
【0011】
本発明のジフェニレンスルフィド系化合物の好ましい製造方法の1例を以下に説明する。上記一般式(1)で表されるジフェニレンスルフィド系化合物は、公知のカルバゾールまたはその置換誘導体2モル当たり約1モルのジブロモジベンゾチオフェンなどを用い、有機溶剤中において水素化ナトリウム、水素化リチウムなど塩基の存在下に反応させることによって得られる。このようにして得られる上記一般式(1)で表されるジフェニレンスルフィド系化合物は、昇華性や結晶性を抑制しつつ、汎用の有機溶剤に溶解性があり、十分に精製することができ、殆ど純品として得られる。
【0012】
この場合には、置換基Rは好ましくは1〜2個が導入される。置換基Rがさらに反応性である場合には、該反応性を利用して他の化合物と反応させて別の置換基とすることができる。例えば、置換基が、水酸基やアミノ基などである場合には、該水酸基やアミノ基などに種々の化合物を反応させることができる。
【0013】
他の例としては、カルバゾールとジブロモジベンゾチオフェンとを上記と同様に反応させたRが水素原子である前記一般式(1)の化合物に置換基(R)を導入する方法である。例えば、前記一般式(1)の化合物をクロロスルホン化、クロロメチル化、ハロゲン化、ニトロ化・還元によるアミノ化、水酸基などの導入を行い、これらの反応性基に各種の化合物を反応させることにより所望の置換基を導入することができる。この場合に得られる前記一般式(1)の化合物の置換基数は整数にならない場合(置換基数の異なる混合物)もあり、この場合に置換基数は1〜4の範囲が好ましい。以上は置換基導入の幾つかの例であり、本発明はこれらの例示に限定されない。このようにして得られる上記一般式(1)で表されるジフェニレンスルフィド系化合物は、昇華性や結晶性を抑制しつつ、汎用の有機溶剤に溶解性があり、十分に精製することができ、殆ど純品として得られる。
【0014】
また、上記一般式(1)において、置換基Rは1個でも複数個でもよく、例えば、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキルエーテル基、アルコキシ基、アミノ基、スルホンアミド基、アリール基またはアリールオキシ基を示し、Rが複数の場合はそれぞれ同一でも異なっていても構わない。
【0015】
さらに具体的には、置換基Rとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、イソへキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、1−クロロエチル基、2−クロロエチル基、2−クロロイソブチル基、1,2−ジクロロエチル基、1,2−ジクロロイソブチル基、1,3−ジクロロイソプロピル基、2,3−ジクロロ−t−ブチル基、1,2,3−トリクロロプロピル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、1−ブロモエチル基、2−ブロモエチル基、2−ブロモイソブチル基、1,2−ジブロモエチル基、1,2−ジブロモイソブチル基、1,3−ジブロモイソプロピル基、2,3−ジブロモ−t−ブチル基、1,2,3−トリブロモプロピル基、ヨードメチル基、ジヨードメチル基、トリヨードメチル基、1−ヨードエチル基、2−ヨードエチル基、2−ヨードイソブチル基、1,2−ジヨードエチル基、1,2−ジヨードイソブチル基、1,3−ジヨードイソプロピル基、2,3−ジヨード−t−ブチル基、1,2,3−トリヨードプロピル基、アミノメチル基、1−アミノエチル基、2−アミノエチル基、2−アミノイソブチル基、1,2−ジアミノエチル基、1,2−ジアミノイソブチル基、1,3−ジアミノイソプロピル基、2,3−ジアミノ−t−ブチル基、シアノメチル基、ジシアノメチル基、トリシアノメチル基、1−シアノエチル基、2−シアノエチル基、2−シアノイソブチル基、1,2−ジシアノエチル基、1,2−ジシアノイソブチル基、1,3−ジシアノイソプロピル基、2,3−ジシアノ−t−ブチル基、1,2,3−トリシアノプロピル基、ニトロメチル基、1−ニトロエチル基、2−ニトロエチル基、2−ニトロイソブチル基、1,2−ジニトロエチル基、1,2−ジニトロイソブチル基、1,3−ジニトロイソプロピル基、2,3−ジニトロ−t−ブチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシイソブチル基、1,2−ジヒドロキシエチル基、1,2−ジヒドロキシイソブチル基、1,3−ジヒドロキシイソプロピル基、2,3−ジヒドロキシ−t−ブチル基などの官能基である各置換基や、クラウンエーテル基、アザクラウンエーテル基、クラウンチオエーテル基などが挙げられる。以上の置換基はスルホニル基(−SO2−)またはメチレン基(−CH2−)を介して芳香環に結合していてもよい。
【0016】
無置換または置換アミノ基としては、−NR1R2において、R1およびR2がそれぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、イソへキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、1−クロロエチル基、2−クロロエチル基、2−クロロイソブチル基、1,2−ジクロロエチル基、1,2−ジクロロイソブチル基、1,3−ジクロロイソプロピル基、2,3−ジクロロ−t−ブチル基、1,2,3−トリクロロプロピル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、1−ブロモエチル基、2−ブロモエチル基、2−ブロモイソブチル基、1,2−ジブロモエチル基、1,2−ジブロモイソブチル基、1,3−ジブロモイソプロピル基、2,3−ジブロモ−t−ブチル基、1,2,3−トリブロモプロピル基、ヨードメチル基、ジヨードメチル基、トリヨードメチル基、1−ヨードエチル基、2−ヨードエチル基、2−ヨードイソブチル基、1,2−ジヨードエチル基、1,2−ジヨードイソブチル基、1,3−ジヨードイソプロピル基、2,3−ジヨード−t−ブチル基、1,2,3−トリヨードプロピル基、アミノメチル基、1−アミノエチル基、2−アミノエチル基、2−アミノイソブチル基、1,2−ジアミノエチル基、1,2−ジアミノイソブチル基、1,3−ジアミノイソプロピル基、2,3−ジアミノ−t−ブチル基、シアノメチル基、ジシアノメチル基、トリシアノメチル基、1−シアノエチル基、2−シアノエチル基、2−シアノイソブチル基、1,2−ジシアノエチル基、1,2−ジシアノイソブチル基、1,3−ジシアノイソプロピル基、2,3−ジシアノ−t−ブチル基、1,2,3−トリシアノプロピル基、ニトロメチル基、1−ニトロエチル基、2−ニトロエチル基、2−ニトロイソブチル基、1,2−ジニトロエチル基、1,2−ジニトロイソブチル基、1,3−ジニトロイソプロピル基、2,3−ジニトロ−t−ブチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシイソブチル基、1,2−ジヒドロキシエチル基、1,2−ジヒドロキシイソブチル基、1,3−ジヒドロキシイソプロピル基、2,3−ジヒドロキシ−t−ブチル基などの官能基である各置換基が挙げられる。
【0017】
無置換または置換スルホンアミド基としては、−SO2NHR1R2において、R1およびR2がそれぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、イソへキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、1−クロロエチル基、2−クロロエチル基、2−クロロイソブチル基、1,2−ジクロロエチル基、1,2−ジクロロイソブチル基、1,3−ジクロロイソプロピル基、2,3−ジクロロ−t−ブチル基、1,2,3−トリクロロプロピル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、1−ブロモエチル基、2−ブロモエチル基、2−ブロモイソブチル基、1,2−ジブロモエチル基、1,2−ジブロモイソブチル基、1,3−ジブロモイソプロピル基、2,3−ジブロモ−t−ブチル基、1,2,3−トリブロモプロピル基、ヨードメチル基、ジヨードメチル基、トリヨードメチル基、1−ヨードエチル基、2−ヨードエチル基、2−ヨードイソブチル基、1,2−ジヨードエチル基、1,2−ジヨードイソブチル基、1,3−ジヨードイソプロピル基、2,3−ジヨード−t−ブチル基、1,2,3−トリヨードプロピル基、アミノメチル基、1−アミノエチル基、2−アミノエチル基、2−アミノイソブチル基、1,2−ジアミノエチル基、1,2−ジアミノイソブチル基、1,3−ジアミノイソプロピル基、2,3−ジアミノ−t−ブチル基、シアノメチル基、ジシアノメチル基、トリシアノメチル基、1−シアノエチル基、2−シアノエチル基、2−シアノイソブチル基、1,2−ジシアノエチル基、1,2−ジシアノイソブチル基、1,3−ジシアノイソプロピル基、2,3−ジシアノ−t−ブチル基、1,2,3−トリシアノプロピル基、ニトロメチル基、1−ニトロエチル基、2−ニトロエチル基、2−ニトロイソブチル基、1,2−ジニトロエチル基、1,2−ジニトロイソブチル基、1,3−ジニトロイソプロピル基、2,3−ジニトロ−t−ブチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシイソブチル基、1,2−ジヒドロキシエチル基、1,2−ジヒドロキシイソブチル基、1,3−ジヒドロキシイソプロピル基、2,3−ジヒドロキシ−t−ブチル基などの官能基である各置換基が挙げられる。
【0018】
無置換または置換アルコキシ基としては、−ORにおいてRがメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、イソへキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、1−クロロエチル基、2−クロロエチル基、2−クロロイソブチル基、1,2−ジクロロエチル基、1,2−ジクロロイソブチル基、1,3−ジクロロイソプロピル基、2,3−ジクロロ−t−ブチル基、1,2,3−トリクロロプロピル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、1−ブロモエチル基、2−ブロモエチル基、2−ブロモイソブチル基、1,2−ジブロモエチル基、1,2−ジブロモイソブチル基、1,3−ジブロモイソプロピル基、2,3−ジブロモ−t−ブチル基、1,2,3−トリブロモプロピル基、ヨードメチル基、ジヨードメチル基、トリヨードメチル基、1−ヨードエチル基、2−ヨードエチル基、2−ヨードイソブチル基、1,2−ジヨードエチル基、1,2−ジヨードイソブチル基、1,3−ジヨードイソプロピル基、2,3−ジヨード−t−ブチル基、1,2,3−トリヨードプロピル基、アミノメチル基、1−アミノエチル基、2−アミノエチル基、2−アミノイソブチル基、1,2−ジアミノエチル基、1,2−ジアミノイソブチル基、1,3−ジアミノイソプロピル基、2,3−ジアミノ−t−ブチル基、シアノメチル基、ジシアノメチル基、トリシアノメチル基、1−シアノエチル基、2−シアノエチル基、2−シアノイソブチル基、1,2−ジシアノエチル基、1,2−ジシアノイソブチル基、1,3−ジシアノイソプロピル基、2,3−ジシアノ−t−ブチル基、1,2,3−トリシアノプロピル基、ニトロメチル基、1−ニトロエチル基、2−ニトロエチル基、2−ニトロイソブチル基、1,2−ジニトロエチル基、1,2−ジニトロイソブチル基、1,3−ジニトロイソプロピル基、2,3−ジニトロ−t−ブチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシイソブチル基、1,2−ジヒドロキシエチル基、1,2−ジヒドロキシイソブチル基、1,3−ジヒドロキシイソプロピル基、2,3−ジヒドロキシ−t−ブチル基などの官能基である各置換基が挙げられる。
【0019】
無置換または置換アリールオキシ基としては、−ORにおいてRがフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、3−メチル−2−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、1−ナフタセニル基、2−ナフタセニル基、1−アントリル基、2−アントリル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、2−ビフェニル基、3−ビフェニル基、3−ターフェニル基、4−ターフェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2−ピリジニル基、3−ピリジニル基、4−ピリジニル基、インドリル基、イソインドリル基、ベンゾフラン基、キノリル基、7−イソキノリル基、8−イソキノリル基、2−キノキサリル基、5−キノキサリル基、6−キノキサリル基、アクリジル基、カルバゾリル基、フェナンシルジル基、1,7−フェナントロリン基、1,8−フェナントロリン基、1,9−フェナントロリン基、1,10−フェナントロリン基、2,7−フェナントロリン基、2,8−フェナントロリン基、2,9−フェナントロリン基、フェノチアジル基、フェノキサジル基、2−オキサゾリル基、4−オキサゾリル基、5−オキサゾリル基、2−オキサジアゾジル基、5−オキサジアゾリル基、2−チエニル基、3−チエニル基、1−ピロリル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基などの官能基である各置換基が挙げられる。
【0020】
以上の如くして得られる本発明のジフェニレンスルフィド系化合物は、各種用途に有用である。例えば、各種印刷インキのワニス中に溶解または分散させて蛍光性印刷インキとして美麗な印刷物を与える。また、各種塗料のベヒクル中に溶解または分散させて蛍光性塗料として美麗な塗膜を与える。その他合成樹脂の着色剤としても有用である。
【0021】
本発明のジフェニレンスルフィド系化合物は特に塗布型EL素子の発光層形成材料として有用である。以下EL素子に応用する例を詳しく説明する。本発明のジフェニレンスルフィド系化合物は、溶剤に溶解させてEL素子の発光層を成膜することができる。本発明のジフェニレンスルフィド系化合物に対する良溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレンなどが例示される。ジフェニレンスルフィド系化合物の構造や分子量にもよるが、通常はこれらの溶媒に0.1質量%以上溶解させることができる。EL素子作成の際にこれらの有機溶媒可溶性のジフェニレンスルフィド系化合物を用いることにより、溶液から成膜する場合、この溶液を塗布後乾燥により溶媒を除去するだけでよく、製造上非常に有利である。
【0022】
本発明の有機EL素子の構造については、少なくとも一方が透明または半透明である一対の対向電極と、これらによって挟持された単層あるいは多層の有機化合物層に前記本発明のジフェニレンスルフィド系化合物を少なくとも1種類を含有する層を有してさえいれば特に制限はなく、公知の構造を採用することができる。例えば、本発明のジフェニレンスルフィド系化合物からなる発光層、もしくは本発明のジフェニレンスルフィド系化合物と電荷輸送材料(電子輸送材料と正孔輸送材料の総称を意味する)との混合物からなる発光層、もしくは本発明のジフェニレンスルフィド系化合物と発光性ドーピング材料(蛍光発光性ドーピング材料と燐光発光性ドーピング材料の総称を意味する)とからなる発光層の両面に一対の電極を有する構造のもの、さらに陰極と発光層の間に電子輸送材料を含む電子輸送層、または陽極と発光層の間に正孔輸送材料を含む正孔輸送層を積層したものが例示される。また、発光層や電荷輸送層は、一層の場合と複数の層を組み合わせる場合も本発明に含まれる。また、本発明のジフェニレンスルフィド系化合物または電荷輸送材料を高分子化合物に分散させた層とすることもできる。
【0023】
本発明のジフェニレンスルフィド系化合物を発光材料として使用する場合に用いられる電荷輸送材料、すなわち、電子輸送材料または正孔輸送材料としては公知のものが使用でき、特に限定されないが、正孔輸送材料としてはピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体などが例示され、電子輸送材料としてはオキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタンもしくはその誘導体、ベンゾキノンもしくはその誘導体、ナフトキノンもしくはその誘導体、アントラキノンもしくはその誘導体、テトラシアノアンスラジノキメタンもしくはその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレンもしくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、または8−ヒドロキシキノリンもしくはその誘導体の金属錯体などが例示される。これらのうち、電子輸送性の化合物と正孔輸送性の化合物のいずれか一方、または両方を同時に使用すればよい。これらは単独で用いてもよいし、二種類以上を混合して用いてもよい。発光層と電極の間に電荷輸送層(電子輸送層と正孔輸送層の総称を意味する)を設ける場合、これらの電荷輸送材料を使用して電荷輸送層を形成すればよい。
【0024】
本発明のジフェニレンスルフィド系化合物を電荷輸送性材料として使用する場合に用いられる発光材料または発光性ドーピング材料としては特に限定されないが、例えば、ナフタレン誘導体、アントラセンもしくはその誘導体、ペリレンもしくはその誘導体、キナクリドン系、ポリメチン系、キサンテン系、クマリン系、シアニン系などの色素類、芳香族アミン、ルブレン、テトラフェニルシクロペンタジエンもしくはその誘導体、またはテトラフェニルブタジエンもしくはその誘導体、キノリン金属錯体、有機イリジウム錯体、CdSeやCdSなどの可視域にバンドギャップの値を持つ半導体のナノ結晶などを用いることができる。
【0025】
次に、本発明のジフェニレンスルフィド系化合物を用いた有機EL素子の代表的な作製方法について述べる。陽極および陰極からなる一対の電極は、平面発光の有機EL素子を得るためには、電極の少なくとも一方が透明または半透明であって、この透明または半透明な電極側から発光を取り出すことが望ましいが、素子の端面から発光を取り出す形態を取る場合にはこの限りではない。
【0026】
有機EL素子の発光取り出し方向を基板側としたときには、基板および有機EL素子の電極のうち基板上に設けられる電極が透明または半透明であることが望ましい。基板には石英、ソーダガラスなどのガラス板、金属板や金属箔、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂などのプラスチックなどが用いられる。
【0027】
電極には導電性の金属酸化物膜や金属薄膜などが用いられる。具体的には、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)などの導電性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケルなどの金属、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料、これらの混合物または積層物などが挙げられ、特に、高導電性や透明性などの点からITOを好ましく陽極として用いることができる。
【0028】
次いで、電極上に発光材料として上記ジフェニレンスルフィド系化合物、またはジフェニレンスルフィド系化合物と電荷輸送材料、またはジフェニレンスルフィド系化合物及び発光性ドーピング材料とを含む発光層を形成する。形成方法としては、これら材料の溶融液、溶液、分散液、または混合液を使用するスピンコート法、キャストコート法、ディップコート法、ダイコート法、ビードコート法、バーコート法、ロールコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法などの塗布方法により成膜することが特に好ましい。
【0029】
発光層の膜厚としては、1nm〜1μm、好ましくは2nm〜500nm、さらに好ましくは5nm〜200nmである。なお、塗布法により成膜した場合には、溶媒を除去するために、好ましくは減圧下または不活性雰囲気下で、30〜300℃、好ましくは60〜200℃の温度で加熱乾燥することが望ましい。
【0030】
また、この発光層と電荷輸送材料とを積層する場合には、上記の成膜方法で発光層を設ける前に陽極上に正孔輸送層を形成する、または、発光層を設けた後に電子輸送層を形成することが望ましい。電荷輸送層の形成方法としては、特に限定されないが、固体状態からの真空蒸着法、または溶融状態、溶液状態、分散液状態、混合液状態からのスピンコート法、キャストコート法、ディップコート法、ダイコート法、ビードコート法、バーコート法、ロールコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法を用いることができる。電荷輸送層の膜厚としては、1nm〜1μm、好ましくは2nm〜500nm、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
【0031】
次いで発光層または電荷輸送層の上に電極を設ける。この電極は陰極となる。陰極としては電子を注入しやすいように4eVより小さい仕事関数を持つものが好ましく、アルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム、セシウムなど)およびそのハロゲン化物(例えば、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化セシウムなど)、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウムなど)およびそのハロゲン化物(フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムなど)、アルミニウム、銀などの金属、導電性金属酸化物およびこれらの合金または混合物などが挙げられる。
【0032】
陰極の作製方法としては真空蒸着法、スパッタリング法、金属薄膜を圧着するラミネート法などが用いられる。陰極作製後、有機EL素子を保護する保護層を装着してもよい。有機EL素子を長期間安定的に用いるためには、素子を外部から保護するために、保護層または保護カバーを装着することが望ましい。この保護層としては、高分子化合物、金属酸化物、金属フッ化物、金属ホウ化物、珪素酸化物、珪素窒化物などを用いることができる。また、保護カバーとしては、ガラス板、表面に低透水率処理を施したプラスチック板などを用いることができ、このカバーを熱硬化樹脂や光硬化樹脂で素子基板と張り合わせて密閉する方法が好適に用いられる。
【0033】
本発明の有機EL素子を用いて面状の素子を得るためには、面状の陽極と陰極が重なり合うように配置すればよい。また、パターン状の発光を得るためには、前記面状の発光素子の表面にパターン状の窓を設けたマスクを設置する方法、非発光部の有機層を極端に厚く形成して実質的に非発光とする方法、陽極または陰極のいずれか一方、または両方の電極をパターン状に形成する方法が挙げられる。
【0034】
さらに、ドットマトリクス素子とするためには、陽極と陰極をともにストライプ状に形成して直交するように配置する方法、片方の電極をTFTで選択駆動できるようにする方法などが挙げられる。また、同一面状に発光色の異なる有機EL素子を複数配置することにより部分カラー表示、マルチカラー表示、フルカラー表示が可能となる。
【0035】
【実施例】
次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
<実施例1>
カルバゾール(東京化成工業(株)製)3.5gと2,8−ジブロモベンゾチオフェン(東京化成工業(株)製)3.0gとを、脱水したテトラヒドロフラン100ml中において水素化ナトリウムの存在下に80℃で15時間還流加熱し、反応させた後、減圧乾燥して残留溶剤を取り除いた結果、素粉末4.3gを得た。この素粉末の融点を測定したところ、254〜256℃付近で分解した(カルバゾールの融点は245℃)。さらに、本素粉末を過剰のクロロスルホン酸(純正化学(株)製)に溶解させクロロスルホン化した上で、過剰のメタノール(東京化成工業(株)製)と反応させ、未反応不純物や副生成物を分離除去した後、減圧乾燥した結果、粉末1.8gを得た。この粉末の赤外吸収スペクトルを測定した結果を図2に示す。測定結果より、この粉末が、求める下記式の化合物であることを確認した(なお、元素分析の結果、式中のnは平均値で4であった)。また、この材料の、蛍光スペクトルを測定した結果、良好な蛍光発光を示すことが分かった(図3参照)。
【0036】
【0037】
<実施例2〜6>
実施例1におけるメタノールに代えて、他のアルコールを用いた以外は実施例1と同様にして本発明のジフェニレンスルフィド系化合物を得た。なお、元素分析、赤外吸収スペクトルおよび蛍光スペクトルは実施例1の場合と同様に測定した。その結果を下記表1に示す。
【0038】
【0039】
<実施例7〜11>
実施例1におけるメタノールに代えて、脂肪族低級アミンを用いた以外は実施例1と同様にして本発明のジフェニレンスルフィド系化合物を得た。なお、元素分析、赤外吸収スペクトルおよび蛍光スペクトルは実施例1の場合と同様に測定した。その結果を下記表2に示す。
【0040】
【0041】
<実施例12〜16>
実施例1におけるクロロスルホン化に代えてクロロメチル化を行い、該クロロメチル基に脂肪族低級アミンを反応させた以外は実施例1と同様にして本発明のジフェニレンスルフィド系化合物を得た。なお、元素分析、赤外吸収スペクトルおよび蛍光スペクトルは実施例1の場合と同様に測定した。その結果を下記表3に示す。
【0042】
【0043】
<実施例17>
(発光材料として使用した有機EL素子の作製および評価)
ガラス基板上にITOの透明導電性膜が成膜された基板を所望の形状にパターニングした後、洗浄およびUV/オゾン処理を施した。次いで、ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォネート水分散液(略称PEDOT/PSS、商品名Baytron PTP AI 4083、バイエル社)を洗浄基板上に滴下し、スピンコートした。その後140℃のホットプレート上で10分間加熱乾燥することにより、80nmの正孔輸送層を形成した。
【0044】
続いて、前記実施例1のジフェニレンスルフィド系化合物の7質量部と電子輸送材料であるオキサジアゾール(日本シイベルヘグナー社製)3質量部とを1,1,2−トリクロロエタン(東京化成工業(株)製)に溶解させた塗布液を滴下し、スピンコートした。その後100℃のホットプレート上で減圧加熱乾燥することにより、100nmの電子輸送兼発光層を形成した。さらに、1.0×10−6Torrの真空条件下で、金属カルシウムを0.2nm/sの成膜速度で100Å真空蒸着し、さらにその上に銀を2nm/sの成膜速度で1,000Å真空蒸着して電極を形成した。
【0045】
このようにして得られた有機EL素子に外部電源(ケースレー社製ソースメーター2400)を接続し、ITOを陽極、そして金属電極を陰極として直流電圧を印加すると、カルバゾール系化合物の蛍光に相当するスペクトルを有する青色の発光を得た。この素子の輝度はトプコン社製輝度計BM−8を用いて測定した。また、発光スペクトルはトプコン社製分光放射計SR−2を用いて測定した。印加電圧10Vのとき150cd/m2で発光した。このときの発光効率は約0.7Lm/Wであった。
【0046】
<実施例18>
(電荷輸送性材料として使用した有機EL素子の作製及び評価)
実施例17において使用した電子輸送兼発光層用塗布液を、前記実施例2のジフェニレンスルフィド系化合物の7質量部と電子輸送材料であるオキサジアゾール(日本シイベルヘグナー社製)3質量部、及び発光性ドーピング材料であるクマリン6(東京化成工業(株)製)0.1質量部とを1,1,2−トリクロロエタン(東京化成工業(株)製)に溶解させた塗布液に代えて同様にEL素子を作製し、発光特性を評価した結果、ドーピング材料に由来する良好な緑色発光を確認した。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、結晶性や昇華性を低減し、EL素子発光層などの成膜を乾式方式ではなく、湿式方式によって行うことができる有機蛍光性材料、該材料を含む組成物および該材料を使用する有機EL素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】有機EL素子の構造例を示す図。
【図2】実施例1で得られたジフェニレンスルフィド系化合物の赤外吸収スペクトルを示す図。
【図3】実施例1で得られたジフェニレンスルフィド系化合物の蛍光スペクトルを示す図。
Claims (6)
- 請求項1に記載のジフェニレンスルフィド系化合物を含有することを特徴とする組成物。
- 一対の対向電極と、これらによって挟持された単層あるいは多層の有機化合物層から構成されている有機エレクトロルミネッセンス素子において、請求項1に記載のジフェニレンスルフィド系化合物の少なくとも1種類を含有する層を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 陰極と発光層の間に隣接して電子輸送性化合物を含む層を設けた請求項3に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 陽極と発光層の間に隣接して正孔輸送性化合物を含む層を設けた請求項3に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 陰極と発光層の間に隣接して電子輸送性化合物を含む層を設け、かつ陽極と発光層の間に隣接して正孔輸送性化合物を含む層を設けた請求項3に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
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