【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、直径が微小に制御されたカーボンナノチューブを効率良く製造することができるカーボンナノチューブの製造方法、及び該カーボンナノチューブの製造方法により得られ、均一かつ微小な直径を有する高品質なカーボンナノチューブ、並びに、該カーボンナノチューブの製造に好適なカーボンナノチューブ製造用触媒に関する。
【0002】
【従来の技術】
カーボンナノチューブは、化学的安定性、金属的、半導体的な電気伝導性、高い電子放出能、高い機械的強度(高い弾性率)、高い熱伝導性等の種々の優れた物性を有している。該カーボンナノチューブのこのような物性を利用して電界放出型電子放出素子、走査型プローブ顕微鏡(SPM)プローブ、触媒、構造強化材料、電池電極、センサー材料など各種応用の可能性が期待されている。
【0003】
前記カーボンナノチューブの製造方法としては、アーク放電法、レーザー蒸発法、熱CVD法、プラズマCVD法などが知られており、これらの方法によりグラフェンシート(単原子層の二次元六員環ネット)が一層のみの単層カーボンナノチューブ(SWNT:Single Wall Nanotube)と、複数のグラフェンシートからなる多層カーボンナノチューブ(MWNT:Maluti Wall Nanotube)とが製造される。
【0004】
前記単層カーボンナノチューブは、炭素原子同士がSP2結合と呼ばれる最も強い結合により6角形状につながったグラフェンシート一枚が筒状に巻かれた構造を有し、その直径は最小0.4nm、長さは数100μmに達する。該単層カーボンナノチューブは、直径、カイラル角(螺旋の角度)及び螺旋方向(右巻きか左巻きか)の三つのパラメーターにより規定される。該三つのパラメータの中でも、特に前記直径及び前記カイラル角によって金属相と半導体相とが入れ替わる特異な物性を持つことが知られており、前記直径と前記カイラル角とを制御することが重要である。
【0005】
従来、前記熱CVD法や前記プラズマCVD法においては、前記カーボンナノチューブの前記直径を以下のようにして制御していた。即ち、該熱CVD法や該プラズマCVD法において、前記カーボンナノチューブを触媒金属膜上で成長させた場合、該カーボンナノチューブの直径は前記触媒金属膜の粒界、膜厚等に影響を受けるため、前記触媒金属膜における触媒金属に対しアニール処理を行って微粒子化させることによって前記カーボンナノチューブの直径を制御していた。しかし、この場合、前記触媒金属の直径を数nm程度までしか微小化できず、また、前記触媒金属膜を薄くすると前記カーボンナノチューブの成長中に前記触媒金属の微粒子が凝集して該微粒子径が大きくなってしまい、成長するカーボンナノチューブの直径も大きくなってしまうという問題がある。
【0006】
一方、前記カーボンナノチューブの前記直径を制御する方法として、耐熱性の多孔性担体であるゼオライトの孔に触媒微粒子を担持させた触媒を用いて気相合成を行うことにより単層カーボンナノチューブの直径を2nm以下に制御する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、この場合、カーボンナノチューブを成長させた後に前記ゼオライトを除去する必要があり、そのための手間と経費がかかる上に、基板上の所望の位置に制御してカーボンナノチューブを配列することが極めて困難であるという問題がある。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−255519号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、直径が微小に制御されたカーボンナノチューブを効率良く製造することができるカーボンナノチューブの製造方法、及び該カーボンナノチューブの製造方法により得られ、均一かつ微小な直径を有する高品質なカーボンナノチューブ、並びに、該カーボンナノチューブの製造に好適なカーボンナノチューブ製造用触媒を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段としては、後述する付記1から35に記載した通りである。
本発明のカーボンナノチューブ製造用触媒は、触媒金属イオンに配位子が配位結合してなる金属錯体を含む。該カーボンナノチューブ製造用触媒は、カーボンナノチューブの製造の際に触媒となる触媒金属イオンを、凝集等させることなく前記金属錯体中に保持されているので、均一で微小な直径に制御された高品質なカーボンナノチューブを製造するための触媒として好適である。該カーボンナノチューブ製造用触媒においては、前記金属錯体の層数を任意に制御等することにより、単位面積当たりの触媒金属の量が所望に調整される。このため、該カーボンナノチューブ製造用触媒を用いてカーボンナノチューブを製造すると、得られるカーボンナノチューブの直径を任意に制御可能である。
【0010】
本発明のカーボンナノチューブの製造方法は、触媒金属イオンに配位子が配位結合してなる金属錯体を含むカーボンナノチューブ製造用触媒を用いてカーボンナノチューブを合成する。該カーボンナノチューブの製造方法によると、前記金属錯体を触媒として用いることによって、触媒金属の凝集が抑制されるので、均一かつ微小な直径を有する高品質なカーボンナノチューブが効率良く製造される。
【0011】
本発明のカーボンナノチューブは、前記本発明のカーボンナノチューブの製造方法により得られる。該カーボンナノチューブは、直径が微細で均一であり、電気的特性が均一であるため、電解放出型ディスプレイ、蛍光表示ランプ等の電子材料、燃料電池、リチウムイオン電池等のエネルギー材料、強化プラスチック、帯電防止材、強化プラスチック等の複合材料、ナノデバイス、走査型プローブ顕微鏡の探針、DNAチップ等のナノテクノロジー材料として各種分野において幅広く好適に用いられる。
【0012】
【発明の実施の形態】
(カーボンナノチューブ製造用触媒)
本発明のカーボンナノチューブ製造用触媒は、金属錯体を含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の成分を含む。
【0013】
前記金属錯体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができるが、触媒金属イオンに配位子が配位結合してなるものなどが挙げられる。該金属錯体は、必要に応じて適宜選択した公知の置換基等を有していてもよい。該金属錯体は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0014】
前記金属錯体の形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、得ようとするカーボンナノチューブ等に応じて適宜選択することができるが、カーボンナノチューブが成長し易い形状乃至構造を有していることが好ましい。
前記金属錯体の中でも、自己組織的に均一な薄膜を形成することができる点で、金属錯体が積層されてなる積層型構造を有する積層型金属錯体が好ましい。
【0015】
前記積層型金属錯体における金属錯体の積層数としては、特に制限はなく、目的に応じて選択することができるが、1〜10層が好ましい。前記積層数を変化させることによって、単位面積当たりの触媒金属の量を変化させることができ、これによりカーボンナノチューブの直径を任意に制御することができる。
なお、前記積層型金属錯体における金属錯体は、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
【0016】
前記積層型金属錯体における金属錯体間の結合力としては、特に制限はなく、弱い結合力であってもよいし、強い結合力であってもよい。
前記弱い結合力としては、例えば、分子間力、水素結合、などが挙げられる。前記積層型金属錯体における金属錯体間の結合力が前記弱い結合力である場合、該積層型金属錯体としては、例えば、図3及び図4に示すような、ジメチルグリオキシム等の配位子と触媒金属イオンとを有する金属錯体が分子間力により交互に積層した平面型4配位構造金属錯体、などが挙げられる。
【0017】
前記平面型4配位構造金属錯体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、下記構造式(1)で表される金属錯体、などが好適に挙げられる。
【0018】
【化1】
【0019】
前記構造式(1)において、Mは、触媒金属イオンを表す。なお、該触媒金属イオンについては、後述する。
前記構造式(1)で表される金属錯体の具体例としては、下記構造式(2−1)で表されるニッケルジメチルグリオキシム[Ni(C4H7N2O2)2]、下記構造式(2−2)で表される鉄ジメチルグリオキシム[Fe(C4H7N2O2)2]、などが挙げられる。
【0020】
【化2】
【0021】
【化3】
【0022】
前記構造式(2−1)で表されるニッケルジメチルグリオキシム[Ni(C4H7N2O2)2]は、例えば、ジメチルグリオキシムのアルコール溶液にニッケルイオン水溶液を加えることにより合成することができる。前記構造式(2−2)で表される鉄ジメチルグリオキシム[Fe(C4H7N2O2)2]は、例えば、ジメチルグリオキシムのアルコール溶液に鉄イオン水溶液を加えることにより合成することができる。
【0023】
前記強い結合力としては、例えば、共有結合、イオン結合、配位結合、架橋結合、などが挙げられる。
前記積層型金属錯体における金属錯体間の結合力が前記強い結合力である場合、該積層型金属錯体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、一次元積層構造金属錯体及びスピンラダー系梯子型積層構造金属錯体から選択される少なくとも1種などが好適に挙げられる。
【0024】
前記一次元積層構造金属錯体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、図1(A)及び(B)に示すような、エチレンジアミン、シクロヘキサンジアミン、グリオキシム等の配位子と触媒金属イオンとを有してなる金属錯体(一次元積層構造形成用金属錯体)が、架橋配位子を介して交互に積層されたもの、などが挙げられ、具体的には、ハロゲン架橋ビス(シクロヘキサンジアミナト)ニッケル錯体及びハロゲン架橋ビス(エチレンジアミナト)パラジウム錯体の少なくともいずれかを含むもの、などが挙げられる。
【0025】
前記架橋配位子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ハロゲンイオン、並びに、ピラジン、ビピリジン及びその類縁化合物から選択される少なくとも1種が好ましい。
【0026】
前記金属錯体(一次元積層構造形成用金属錯体)としては、例えば、六配位八面体型金属錯体(積層する前は平面四配位構造金属錯体)、ポルフィリン錯体、などが好適に挙げられる。
【0027】
前記六配位八面体型金属錯体としては、積層する前は平面四配位構造金属錯体であり、M(chxn)2(X)aで表される六配位八面体型金属錯体、などが好適に挙げられる。ただし、前記式中、Mは、触媒金属元素を表す。該触媒金属元素については、後述する。chxnは、シクロヘキサンジアミン基を表す。Xは、ハロゲン、ピラジン、ビピリジン等の架橋配位子を表す。aは、整数を表す。前記M(chxn)2(X)aで表される金属錯体は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、Ni(chxn)2ClnBrm(ただし、chxnは、シクロヘキサンジアミン基を表す。n及びmは、整数を表す。)、Ni(chxn)2Cl(NO3)2、Ni(chxn)2Br(NO3)2、Ni1−xPolx(chxn)2Br3、などが好ましい。
【0028】
なお、前記Ni(chxn)2ClnBrm(ただし、chxnは、シクロヘキサンジアミン基を表す。n及びmは、整数を表す。)は、積層型金属錯体中で、下記構造式(3)で表される六配位八面体型結晶構造を有する。
【0029】
【化4】
【0030】
前記構造式(3)で表されるNi(chxn)2ClnBrm(ただし、chxnは、シクロヘキサンジアミン基を表す。n及びmは、整数を表す。)の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の方法の中から適宜選択することができ、例えば、(H.Okamoto,Y.Shimada,Y.Oka,
【0031】
A.Chainani,T.Takahashi,H.Kitagawa,T.Mitani,K.Toriumi,K.Inoue,T.Manabe and M.Yamashita,Phys.Rev.,B54,8438(1996))などに記載の方法が挙げられる。具体的には、ニッケル錯体は、主に平面四配位構造又は六配位八面体構造をとり、面内配位子を反応させた平面錯体は、上下に水が付加して一次元化を阻害され易いため、まず、配位子が3個八面体型に配位したtris体を合成する。これを十分乾燥させた後、結晶化の前に2分の1当量の無水ハロゲン化ニッケルと反応させて、下記構造式(6)で表される平面四配位型の[Ni(chxn)2]2+bis体を合成する。このbis体溶液を酸化して、一次元化を行うことにより、前記構造式(3)で表される六配位八面体型の結晶構造のNi(chxn)2ClnBrm(ただし、chxnは、シクロヘキサンジアミン基を表す。n及びmは、整数を表す。)を合成することができる。
【0032】
【化5】
【0033】
前記ポルフィリン錯体としては、例えば、下記構造式(4)で表されるポルフィリン錯体などが好適に挙げられる。
【0034】
【化6】
【0035】
前記構造式(4)において、Mは、触媒金属イオンを表す。なお、該触媒金属イオンについては後述する。
【0036】
前記ポルフィリン錯体は、ポルフィリンを有し、該ポルフィリンは、4つのピロール環がα位置で4つのメチン基と交互に結合した大環状化合物及びその誘導体を総称したものであり、該ポルフィリンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プロトポルフィリン、エチオポルフィリン、メソポルフィリン、テトラフェニルポルフィリン、シトポルフィリン、ウロポルフィリン、コプロポルフィリン、などが挙げられる。
【0037】
前記ポルフィリン錯体は、前記ポルフィリンを配位子(por)とする金属錯体の総称を意味する。前記ポルフィリン錯体は、周期律表1〜15族の各金属元素と錯体を形成し、ほとんどの場合、平面四配位構造をとるが、Sn4+は六配位となり、ピラミッド型となる。
【0038】
前記構造式(4)で表されるポルフィリン錯体の具体例としては、下記構造式(5)で表されるもの、などが挙げられる。
【0039】
【化7】
【0040】
前記スピンラダー系梯子型積層構造金属錯体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、図2(B)に示す構造を有する配位子を架橋配位子を介して交互に積層してなる金属錯体(図2(A))、などが好適に挙げられる。該スピンラダー系梯子型積層構造金属錯体は、一次元鎖及び二次元鎖の中間状態の構造を示し、前記架橋配位子の超交換相互作用によりその金属錯体鎖方向(金属錯体の集積方向)及び金属錯体鎖間方向(該集積方向と略直交方向)の少なくともいずれかの方向に反強磁性的な相互作用を有し、キャリアドーピングによって導電性乃至超伝導性を示し得る。
【0041】
前記触媒金属イオンとしては、カーボンナノチューブの製造の際に触媒として機能するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、その金属元素としては、例えば、鉄族金属、白金族金属、希土類金属、これらの混合などが挙げられ、具体的には、Al、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Co、Cu、Zn、Zr、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、W、Re、Os、Ir、Ptなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、高触媒活性を有する点からは、Fe、Co、Al、Ni、Mn、Pd、Cr及びPtが好ましく、また、単層カーボンナノチューブを製造する観点からは、Fe、Co、Ni、Y、Rh、Pd、Pt、La、Ce、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Luなどが好ましい。
【0042】
前記触媒金属イオンの価数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、遷移元素のイオンである場合には、2価又は3価が好ましい。
【0043】
前記配位子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記触媒金属イオンに単座から六座のいずれかで配位結合可能なものが好ましい。これらの中でも、単座配位子、二座配位子、六座配位子が好ましく、具体的には、エチレンジアミン、シクロヘキサンジアミン、グリオキシムがより好ましい。
【0044】
前記単座配位子としては、例えば、ハロゲンイオン(Br−、Cl−、F−、I−等)、チオシアネートイオン(SCN−)、シアンイオン(CN−)、HS−、NO2 −、アンモニア、トリフェニルホスフィン(PPh3)、キノリン(quinoline)、ピリジン(pyridine)、ピロール、イミダゾール、CO、ホスフィンPR3(例えば、PH3、PF3、P(OR)3、Rはアルキル基を表す)、アルジン類ArR3、(ただし、Arはアリール基を表す)、スチビン類、などが挙げられる。
【0045】
前記二座配位子としては、2,2’−ビピリジン、エチレンジアミン、ジエタノールアミン、ジエチレントリアミン、ジメチルグリオキシム、シクロヘキサンジアミン、などが挙げられる。
前記六座配位子としては、例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸イオン、ピリジン−2−チオール及びその誘導体、などが挙げられる。
これらの配位子は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよいが、その配列が規則的になるように選択するのが好ましい。
【0046】
前記配位子は、水酸基やカルボキシル基等の公知の置換基を有していてもよい。該配位子がこれらの置換基を有していると、該配位子を有する金属錯体が隣接している場合において、該隣接する金属錯体における該配位子間で水素結合等の相互作用を生じさせることができる。
【0047】
前記本発明のカーボンナノチューブ製造用触媒には、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、必要に応じて置換基を導入することができる。
【0048】
前記置換基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アルキル基、アリール基などが挙げられ、これらは更に置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができる。
【0049】
前記アルキル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、炭素数が1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基が好適に挙げられ、具体的には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ターシャリーブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、オクチル、イソオクチル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、シクロペンチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、などが好適に挙げられる。
【0050】
前記アリール基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、単環芳香族環の基、芳香族環が4環以下結合してなる基、5環以下の縮合芳香族環を有し、炭素、酸素、窒素及び硫黄の原子数の合計が50以下である基、などが好適に挙げられる。
【0051】
前記単環芳香族環の基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、フェニル、トリル、キシリル、クメニル、スチリル、メシチル、シンナミル、フェネチル、ベンズヒドリル、などが挙げられ、これらは置換基で置換されていてもよい。
【0052】
前記芳香族環が4環以下結合してなる基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ナフチル、アントリル、フェナントリル、インデニル、アズレニル、ベンズアントラセニル、などが挙げられ、これらは置換基で置換されていてもよい。
【0053】
前記5環以下の縮合芳香族環を有し、炭素、酸素、窒素及び硫黄の原子数の合計が30以下である基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ピロリリル、フリル、チエニル、ピリジル、キノリル、イソキノリル、イミダゾイル、ピリジニル、ピロロピリジニル、チアゾイル、ピリミジニル、チオフェニル、インドリル、キノリニル、ピリニル、アデニル、などが挙げられ、これらは置換基で置換されていてもよい。
【0054】
本発明のカーボンナノチューブ製造用触媒は、そのまま単品として得てもよいし、基板上に形成したものとして得てもよい。後者の場合、これをそのまま用いてカーボンナノチューブの製造を行うことができる。
【0055】
前記基板としては、特に制限はなく、通常使用されているものから適宜選択して用いることができ、例えば、Si基板、ガラス基板、石英基板、アルミナ基板、ポーラスシリカ基板、アルミナの陽極酸化板、などが挙げられる。
【0056】
なお、前記基板の表面は、カーボンナノチューブの製造の観点からは、十分にクリーニングしておくことが好ましい。前記クリーニングの方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、溶剤洗浄の他、コロナ処理、プラズマ処理、プラズマ灰化などの放電処理などが好適に挙げられ、これらの方法は、単独で採用してもよいし、2以上を併用してもよい。
【0057】
前記カーボンナノチューブ製造用触媒を前記基板上に形成する場合、その方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、(1)前記カーボンナノチューブ製造用触媒を含む塗布液を前記基板上に塗布し、フォトリソグラフィー法によりパターニングして、該基板上の任意の位置に本発明の前記カーボンナノチューブ製造用触媒を配置する方法、(2)前記基板上に金属パターンを形成し、該金属パターン上で電界をかけて本発明の前記カーボンナノチューブ製造用触媒の結晶を析出形成する方法、(3)電解反応(電解合成)及びラングミュア・ブロジェット(Langmuir Blodgett法)の少なくともいずれかの方法により基板(電極)上に本発明の前記カーボンナノチューブ製造用触媒を結晶化乃至製膜化する方法、などが好適に挙げられる。
【0058】
前記(1)の方法の場合、前記塗布液に用いる溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、テトラヒドロフラン,トルエン,キシレン,オクタン、などが挙げられる。これらの中でも、テトラヒドロフラン(THF)を用いることが好ましい。前記塗布液の塗布の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スピンコート法、ディップコート法、ニーダーコート法、カーテンコート法、ブレードコート法、などが挙げられる。これらの中でも、塗布効率等の点で、スピンコート法、ディップコート法等が好ましい。前記パターニングの際の条件等については、特に制限はなく、公知の条件等を採用することができる。
【0059】
なお、前記(1)の方法の場合、本発明の前記カーボンナノチューブ製造用触媒の塗布量を適宜調整することによって、本発明の前記カーボンナノチューブ製造用触媒における金属錯体の前記基板上における積層数を制御することができる。また、該(1)の方法の場合、カーボンナノチューブを前記基板上の所定の場所にのみ形成することができる点で有利である。
【0060】
前記(2)の方法の場合、前記金属パターンの形成の際に用いる金属としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Al、Cu、Ti、などが挙げられる。前記金属パターンの形成の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、基板上に金属薄膜を蒸着等により形成しエッチングを行う方法、などが挙げられる。前記電界を印加するための手段、条件等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。該(2)の方法の場合、カーボンナノチューブを前記基板上の所定の場所にのみ形成することができる点で有利である。
【0061】
前記(3)の方法の場合、前記電解反応(電解合成)においては、前記カーボンナノチューブ製造用触媒をアルコール等の溶媒に溶解させ、電気分解により所定の基板(電極)上に本発明の前記カーボンナノチューブ製造用触媒の結晶を析出形成することができる。該基板(電極)としては、例えば、白金線、白金板、ITOを蒸着させたガラス板、などが挙げられる。前記電界反応(電界合成)の際に用いる支持電解質としては、例えば、テトラブチルアンモニウムなどが挙げられる。前記結晶化乃至製膜化においては、本発明の前記カーボンナノチューブ製造用触媒が自己集積化される。該結晶化乃至製膜化は、複数回繰り返して行ってもよく、この場合、本発明の前記カーボンナノチューブ製造用触媒における金属錯体の前記基板(電極)上の積層数を制御することができる。
【0062】
本発明のカーボンナノチューブ製造用触媒は、各種分野において好適に使用することができるが、以下の本発明のカーボンナノチューブ及びその製造方法に特に好適に使用することができる。なお、本発明のカーボンナノチューブ製造用触媒においては、カーボンナノチューブの製造時に触媒となる触媒金属が、該カーボンナノチューブ製造触媒における前記金属錯体中の所定の位置に取り込まれており、凝集した状態ではなく、適度に分散した状態で存在している。このため、該カーボンナノチューブ製造用触媒をカーボンナノチューブの製造に使用すると、カーボンナノチューブを、前記触媒金属の位置に選択的に成長させることができ、また、1本1本を独立に成長させることができ、更に、高密度にしかも前記基板等に対し略垂直に成長させることができ、また、前記金属錯体の積層数等を適宜調整することにより、その直径を微小にかつ均一に制御することができる。その結果、得られるカーボンナノチューブは、品質が高く、しかも安定で一定であり、物理的特性、電気的特性等も一定であり、各種用途に好適に使用することができる。
【0063】
(カーボンナノチューブ及びその製造方法)
本発明のカーボンナノチューブは、本発明のカーボンナノチューブの製造方法により得られる。
本発明のカーボンナノチューブの製造方法においては、本発明の前記カーボンナノチューブ製造用触媒を触媒として用いてカーボンナノチューブを合成する。以下、本発明のカーボンナノチューブの製造方法の説明を通じて、本発明のカーボンナノチューブの詳細も明らかにする。
【0064】
前記カーボンナノチューブ製造用触媒を触媒として使用する場合、該カーボンナノチューブ製造用触媒を基板上の所望の位置に配置させておくのが好ましく、この場合、該該カーボンナノチューブ製造用触媒として前記基板上に形成したものを使用してもよい。なお、前記基板としては、上述したものなどが挙げられる。これらの場合、カーボンナノチューブを選択成長させることができ、また、該カーボンナノチューブを1本1本独立成長させることもできる点で有利である。
【0065】
前記合成の方法としては、本発明の前記カーボンナノチューブ製造用触媒を触媒として用いること以外は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、CVD法(化学的気相成長法)、アーク放電法、レーザー蒸着法、熱分解法、などが挙げられる。これらの方法は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、カーボンナノチューブを前記基板に対して垂直に選択成長させることができる点で、CVD法(化学的気相成長法)が好ましい。
【0066】
前記CVD法(化学的気相成長法)としては、特に制限はなく、公知の方法の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱CVD法(単にCVD法とも呼ばれる)、ホットフィラメントCVD法、プラズマエンハンストCVD法(プラズマアシステッドCVD法、プラズマCVD法とも呼ばれる)、プラズマエンハンストホットフィラメントCVD法、レーザーエンハンストCVD法(レーザーCVD法とも呼ばれる)、などが挙げられる。これらの中でも、熱CVD法、プラズマCVD法が好ましい。
【0067】
前記熱CVD法においては、フィラメント温度が500〜2000℃程度であり、フィラメントの熱により原料ガスを分解させ、カーボンナノチューブを成長させる。
【0068】
前記プラズマCVDにおいては、プラズマにより原料ガスを分解させ、カーボンナノチューブを成長させる。前記プラズマの励起には、通常、高周波(RF)が好適に用いられるが、低周波、マイクロ波(MW)、直流(DC)などを使用してもよく、前記高周波(RF)の出力としては、0.1〜1000W/cm3程度である。
【0069】
前記CVD法の条件としては、特に制限はなく、通常のCVD法によるカーボンナノチューブの製造と同様の条件が挙げられる。
前記CVD法の場合、原料ガスの流量を制御するのが好ましい。該原料ガスとしては、炭素供給ガスと導入ガスとの混合ガスが好適に用いられる。
【0070】
前記炭素供給ガスとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタン、エチレン、アセチレン、ベンゼン、ブタン、イソプロパノール、C10H16、CS2、C60、などが挙げられる。
前記導入ガスとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水素、NH3、などが挙げられる。
前記混合ガスにおける混合の割合としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記炭素供給ガスとしてメタンガスを用い、前記導入ガスとして水素ガスを用いた場合には、流量比でメタンガス:水素ガス=1〜5:9〜5が好ましい。
前記CVD法の場合、真空チャンバの圧力を制御するのが好ましい。該真空チャンバの圧力としては、例えば、1〜10Torr(0.133kPa〜1.33kPa)が好ましい。
【0071】
ここで、本発明のカーボンナノチューブの製造方法の一具体的態様について説明する。前記カーボンナノチューブ製造用触媒として、下記構造式(2−1)で表されるニッケルジメチルグリオキシムを用い、これをアルコールに溶解した塗布液を前記基板上に塗布し、乾燥した後、リソグラフィー法によりパターニングして該基板上の任意の位置に、前記ニッケルジメチルグリオキシムを積層した状態で配置させた。この基板における前記ニッケルジメチルグリオキシム上に、プラズマCVD法によりカーボンナノチューブを成長させる。すると、カーボンナノチューブが前記ニッケルジメチルグリオキシム上に選択的に成長する。このとき、前記基板に対し、電界を印加しておくと、該基板に対し略垂直方向に前記カーボンナノチューブを成長させることができる。
【0072】
【化8】
【0073】
前記プラズマCVD法は、例えば、図6に示すようなプラズマCVD装置10を用いて、励起源として2.45GHzのマイクロ波電源7を用い、真空チャンバ3内に基板8を配置し、圧力2Torr、H2流量/CH4流量=80sccm/20sccmの条件で、直流バイアス160Vを基板8に印加し、5〜30分間成長させて行うことができる。
【0074】
得られたカーボンナノチューブの形成状態を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、前記基板上の前記ニッケルジメチルグリオキシムの配置位置に単層カーボンナノチューブが該基板に対して略垂直に均一な直径で立設していることが認められる。
【0075】
なお、本発明のカーボンナノチューブの製造方法においては、カーボンナノチューブを得た後で、該カーボンナノチューブの精製を行ってもよい。
該カーボンナノチューブの精製の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記カーボンナノチューブが前記単層カーボンナノチューブの場合、ソックスレー抽出、水熱法、遠心分離法、限外ろ過法などが好適に挙げられ、前記カーボンナノチューブが前記多層カーボンナノチューブの場合、酸化法、遠心分離法などが好適に挙げられる。
【0076】
上述した本発明のカーボンナノチューブの製造方法により製造された該カーボンナノチューブが、本発明のカーボンナノチューブである。
本発明のカーボンナノチューブの形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
本発明のカーボンナノチューブとしては、例えば、単層カーボンナノチューブ(SWNT)であってもよいし、多層カーボンナノチューブ(MWNT)であってもよい。
前記単層カーボンナノチューブ(SWNT)としては、例えば、その直径が0.4〜3nm程度であり、その長さが10nm〜10μm程度である。
前記単層カーボンナノチューブの具体例としては、アームチェアー型カーボンナノチューブ、ジグザグ型カーボンナノチューブ及びカイラル型カーボンナノチューブから選択されるものが好適に挙げられる。
前記多層カーボンナノチューブ(MWNT)としては、例えば、その直径が3〜100nm程度であり、その長さが10nm〜10μm程度であり、その層数が2〜100層程度である。
【0077】
本発明のカーボンナノチューブの製造方法によると、カーボンナノチューブを、前記触媒金属の位置に選択的に成長させることができ、また、1本1本を独立に成長させることができ、更に、高密度にしかも前記基板等に対し略垂直に成長させることができ、また、前記金属錯体の積層数等を適宜調整することにより、その直径を微小にかつ均一に制御することができる。
【0078】
その結果、得られる本発明のカーボンナノチューブは、直径が微小に制御され、高精度に配列しており、品質が高く、しかも安定で一定であり、物理的特性、電気的特性等も一定であり、各種用途、例えば、電解放出型ディスプレイ、蛍光表示ランプ等の電子材料、燃料電池、リチウムイオン電池等のエネルギー材料、強化プラスチック、帯電防止材、強化プラスチック等の複合材料、ナノデバイス、走査型プローブ顕微鏡(SPM)の探針、DNAチップ等のナノテクノロジー材料などとして、幅広く好適に用いることができる。
【0079】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0080】
(実施例1)
前記カーボンナノチューブ製造用触媒として、下記構造式(2−1)で表されるニッケルジメチルグリオキシムを用いて、プラズマCVD法によりカーボンナノチューブを成長させた。
【0081】
【化9】
【0082】
まず、常法により上記構造式(2−1)で表されるニッケルジメチルグリオキシムを合成した。なお、ニッケルジメチルグリオキシムは、図3に示すように平面型4配位型構造をとっており、図4に示すように弱い分子間力により積層された積層型金属錯体である。
【0083】
次に、前記基板としてのSi基板(縦10mm×横10mm×厚み0.5mm)上に、前記ニッケルジメチルグリオキシムをエチルアルコールに溶解して得た塗布液を塗布(塗布量:15μl)し、乾燥し後、リソグラフィー法によりパターニングすることにより、該基板上の所望の位置に、図5に示したように、基板8上にニッケルジメチルグリオキシム20を3層に積層して配置させた。
次に、該基板上でプラズマCVD法によりカーボンナノチューブを成長させた。該プラズマCVD法は、図6に示すようなプラズマCVD装置10を用いて、励起源として2.45GHzのマイクロ波電源7を用い、真空チャンバ3内に基板8を配置し、圧力2Torr(0.27kPa)、H2流量/CH4流量=80sccm/20sccmの条件で、直流バイアス160Vを基板8に印加し、5〜30分間成長させることにより行った。
【0084】
得られたカーボンナノチューブを、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、前記基板上のニッケルジメチルグリオキシムの位置に対応して単層カーボンナノチューブが該基板に対して略垂直に均一な直径(0.9nm)で立設形成されていることが観察された。
【0085】
(実施例2)
実施例1において、前記ニッケルジメチルグリオキシムの塗布液の塗布量を25mlとし、該ニッケルジメチルグリオキシムを5層に積層した以外は、実施例1と同様にしてカーボンナノチューブの成長を行った。
得られたカーボンナノチューブの形成状態を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、基板上のニッケルジメチルグリオキシム位置に対応して単層のカーボンナノチューブが基板に対して垂直に均一な直径(1.1nm)で立設していることが認められた。
【0086】
(実施例3)
ビス(シクロヘキサンジアミナト)ニッケル錯体、及び臭化テトラブチルアンモニウムをアルコールに溶解し、電解合成(電解酸化)させることにより、図1(B)に示す一次元の積層型金属錯体(前記架橋配位子としての前記ビス(シクロヘキサンジアミナト)ニッケル錯体が交互に積層されてなるもの)を白金基板上に単結晶の状態で得た。
該積層型金属錯体が形成された基板を用いて実施例1と同様にプラズマCVD法によりカーボンナノチューブを成長させた。
得られたカーボンナノチューブを、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、前記基板上のニッケル錯体位置に対応して単層カーボンナノチューブが該基板に対して略垂直に均一な直径(0.9nm)で立設形成されていることが観察された。
【0087】
(比較例1)
実施例1において、図7に示すようなNi多結晶基板を触媒として用いたこと以外は、実施例1と同様にしてプラズマCVD法によりカーボンナノチューブを成長させた。なお、プラズマCVD法の条件は実施例1と同様である。
得られたカーボンナノチューブをSEMで観察したところ、図7に示すように、Ni多結晶基板の結晶粒界の大きさに応じて高さ、直径の異なる不均一な単層カーボンナノチューブが形成されていることが観察された。
【0088】
実施例1〜3及び比較例1の結果から、カーボンナノチューブの製造時の触媒として本発明の前記カーボンナノチューブ製造用触媒を用いた本発明のカーボンナノチューブの製造方法によると、直径が微小に制御された本発明の前記カーボンナノチューブが得られ、また、前記カーボンナノチューブ製造用触媒における前記金属錯体の層数を制御することによって、得られるカーボンナノチューブの直径を制御することができた。
【0089】
ここで、本発明の好ましい態様を付記すると、以下の通りである。
(付記1) 触媒金属イオンに配位子が配位結合してなる金属錯体を触媒として用いてカーボンナノチューブを合成することを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
(付記2) 触媒金属イオンが、2価及び3価のいずれかである付記1に記載のカーボンナノチューブの製造方法。
(付記3) 触媒金属イオンが、Fe、Co、Al、Ni、Mn、Pd、Cr、Pt及びこれらの合金から選択される少なくとも1種のイオンである付記1から2のいずれかに記載のカーボンナノチューブの製造方法。
(付記4) 配位子が、触媒金属イオンに単座から六座のいずれかで配位結合可能である付記1から3のいずれかに記載のカーボンナノチューブの製造方法。
(付記5) 配位子が、エチレンジアミン、シクロヘキサンジアミン及びグリオキシムから選択される付記1から4のいずれかに記載のカーボンナノチューブ製造用方法。
(付記6) 金属錯体が積層型構造を有する付記1から5のいずれかに記載のカーボンナノチューブの製造方法。
(付記7) 積層型構造が一次元積層構造及びスピンラダー系梯子型積層構造から選択される付記6に記載のカーボンナノチューブの製造方法。
(付記8) 金属錯体が一次元積層構造を有し、ハロゲン架橋ビス(シクロヘキサンジアナミド)ニッケル錯体及びハロゲン架橋ビス(エチレンジアナミド)パラジウム錯体から選択される少なくとも1種を含む付記6に記載のカーボンナノチューブの製造方法。
(付記9) 金属錯体が、平面四配位構造及び六配位八面体構造のいずれかの結晶構造を有する付記1から8のいずれかに記載のカーボンナノチューブの製造方法。
(付記10) 金属錯体が、下記構造式(1)で表される付記1から9のいずれかに記載のカーボンナノチューブの製造方法。
ただし、前記構造式(1)において、Mは、触媒金属元素を表す。
(付記11) 金属錯体が、構造式(1)におけるMがニッケルであり、下記構造式(2−1)で表されるニッケルジメチルグリオキシム[Ni(C4H7N2O2)2]である付記10に記載のカーボンナノチューブの製造方法。
(付記12) 金属錯体が、M(chxn)2(X)a(ただし、Mは、触媒金属元素を表す。chxnは、シクロヘキサンジアミン基を表す。Xは、架橋配位子を表す。aは、整数を表す。)で表される付記1から9のいずれかに記載のカーボンナノチューブの製造方法。
(付記13) 金属錯体が、Ni(chxn)2ClnBrm(ただし、chxnは、シクロヘキサンジアミン基を表す。n及びmは、整数を表す。)で表され、六配位結晶構造を有する付記1から9いずれかに記載のカーボンナノチューブの製造方法。
(付記14) 金属錯体が、下記構造式(4)で表されるポルフィリン錯体である付記1から9のいずれかに記載のカーボンナノチューブの製造方法。
ただし、前記構造式(4)において、Mは、触媒金属元素を表す。
(付記15) 金属錯体が基板上に略垂直に成長された付記1から14のいずれかに記載のカーボンナノチューブの製造方法。
(付記16) 金属錯体が積層型構造を有し、該金属錯体の積層数を制御することにより、得られるカーボンナノチューブの直径を制御する付記1から15のいずれかに記載のカーボンナノチューブの製造方法。
(付記17) CVD法によりカーボンナノチューブを成長させる付記1から16のいずれかに記載のカーボンナノチューブの製造方法。
(付記18) CVD法が、プラズマCVD法及び熱CVD法から選択される付記17に記載のカーボンナノチューブの製造方法。
(付記19) 付記1から18のいずれかに記載のカーボンナノチューブの製造方法により得られることを特徴とするカーボンナノチューブ。
(付記20) 単層カーボンナノチューブ及び多層カーボンナノチューブのいずれかである付記19に記載のカーボンナノチューブ。
(付記21) アームチェアー型カーボンナノチューブ、ジグザグ型カーボンナノチューブ及びカイラル型カーボンナノチューブから選択される付記19から20のいずれかに記載のカーボンナノチューブ。
(付記22) 触媒金属イオンに配位子が配位結合してなる金属錯体を含むことを特徴とするカーボンナノチューブ製造用触媒。
(付記23) 触媒金属イオンが、2価及び3価のいずれかである付記22に記載のカーボンナノチューブ製造用触媒。
(付記24) 触媒金属イオンが、Fe、Co、Al、Ni、Mn、Pd、Cr、Pt及びこれらの合金から選択される少なくとも1種のイオンである付記22から23のいずれかに記載のカーボンナノチューブ製造用触媒。
(付記25) 配位子が、触媒金属イオンに単座から六座のいずれかで配位結合可能である付記22から24のいずれかに記載のカーボンナノチューブ製造用触媒。
(付記26) 配位子が、エチレンジアミン、シクロヘキサンジアミン及びグリオキシムから選択される付記22から25のいずれかに記載のカーボンナノチューブ製造用触媒。
(付記27) 金属錯体が積層型構造を有する付記22から26のいずれかに記載のカーボンナノチューブ製造用触媒。
(付記28) 積層型構造が一次元積層構造及びスピンラダー系梯子型積層構造から選択される付記27に記載のカーボンナノチューブ製造用触媒。
(付記29) 金属錯体が一次元積層構造を有し、ハロゲン架橋ビス(シクロヘキサンジアナミド)ニッケル錯体及びハロゲン架橋ビス(エチレンジアナミド)パラジウム錯体から選択される少なくとも1種を含む付記22から27に記載のカーボンナノチューブ製造用触媒。
(付記30) 金属錯体が、平面四配位構造及び六配位八面体構造のいずれかの結晶構造を有する付記22から29のいずれかに記載のカーボンナノチューブ製造用触媒。
(付記31) 金属錯体が、下記構造式(1)で表される付記22から30のいずれかに記載のカーボンナノチューブ製造用触媒。
ただし、前記構造式(1)において、Mは、触媒金属元素を表す。
(付記32) 金属錯体が、構造式(1)におけるMがニッケルであり、下記構造式(2−1)で表されるニッケルジメチルグリオキシム[Ni(C4H7N2O2)2]である付記31に記載のカーボンナノチューブ製造用触媒。
(付記33) 金属錯体が、M(chxn)2(X)a(ただし、Mは、触媒金属元素を表す。chxnは、シクロヘキサンジアミン基を表す。Xは、架橋配位子を表す。aは、整数を表す。)で表される付記22から30のいずれかに記載のカーボンナノチューブ製造用触媒。
(付記34) 金属錯体が、Ni(chxn)2ClnBrm(ただし、chxnは、シクロヘキサンジアミン基を表す。n及びmは、整数を表す。)で表され、六配位結晶構造を有する付記33に記載のカーボンナノチューブ製造用触媒。
(付記35) 金属錯体が、下記構造式(4)で表されるポルフィリン錯体である付記22から30のいずれかに記載のカーボンナノチューブ製造用触媒。
ただし、前記構造式(4)において、Mは、触媒金属元素を表す。
【0090】
【発明の効果】
本発明によると、従来における諸問題を解決し、直径が微小に制御されたカーボンナノチューブを効率良く製造することができるカーボンナノチューブの製造方法、及び該カーボンナノチューブの製造方法により得られ、均一かつ微小な直径を有する高品質なカーボンナノチューブ、並びに、該カーボンナノチューブの製造に好適なカーボンナノチューブ製造用触媒を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A)は、エチレンジアミンを配位子とし、パラジウムを中心金属イオンに有する金属錯体を、架橋配位子としてのハロゲン(X)を介して積層させた積層型金属錯体の一例を示す概念図であり、図1(B)は、シクロヘキサンジアミンを配位子とし、ニッケルを中心金属イオンに有する金属錯体を、架橋配位子としてのハロゲン(X)を介して積層させた積層型金属錯体の一例を示す概念図である。
【図2】図2(A)は、梯子型構造の金属錯体であって、架橋配位子としてのハロゲン(X)を介して積層されたニッケル(III)(Mで表す。)錯体の一例を示す概念図であり、図2(B)は、スピンラダー系梯子型積層構造の金属錯体を形成する配位子の構造式の一例を示す図である。
【図3】図3は、本発明の平面四配位構造の金属錯体の一例を示す模式図である。
【図4】図4は、図1の金属錯体が積層した状態の結晶構造を示す模式図である。
【図5】図5は、本発明のカーボンナノチューブの製造方法における基板上に形成された金属錯体の積層状態の一例を示す概略説明図である。
【図6】図6は、実施例で用いたプラズマCVD装置の一例を示す概略図である。
【図7】図7は、従来のカーボンナノチューブの製造方法を示す概略説明図である。
【符号の説明】
3・・・真空チャンバ
7・・・マイクロ波電源
8・・・基板
10・・・プラズマCVD装置
20・・・ニッケルジメチルグリオキシム[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a method for producing carbon nanotubes capable of efficiently producing carbon nanotubes whose diameter is minutely controlled, and a high-quality carbon nanotube having a uniform and minute diameter obtained by the method for producing carbon nanotubes. And a catalyst suitable for producing the carbon nanotube.
[0002]
[Prior art]
Carbon nanotubes have various excellent physical properties such as chemical stability, metallic and semiconductive electrical conductivity, high electron emission ability, high mechanical strength (high elastic modulus), and high thermal conductivity. . Utilizing such physical properties of the carbon nanotube, various applications such as a field emission electron-emitting device, a scanning probe microscope (SPM) probe, a catalyst, a structural reinforcing material, a battery electrode, and a sensor material are expected. .
[0003]
As a method for producing the carbon nanotube, an arc discharge method, a laser evaporation method, a thermal CVD method, a plasma CVD method, and the like are known, and a graphene sheet (a two-dimensional six-membered ring net of a monoatomic layer) is formed by these methods. A single-walled carbon nanotube (SWNT: Single Wall Nanotube) having only one layer and a multi-walled carbon nanotube (MWNT: Multiwall Nanotube) composed of a plurality of graphene sheets are manufactured.
[0004]
The single-walled carbon nanotube has a structure in which one graphene sheet in which carbon atoms are connected to each other in a hexagonal shape by the strongest bond called SP2 bond is wound in a cylindrical shape, and has a minimum diameter of 0.4 nm and a long length. The height reaches several hundred μm. The single-walled carbon nanotube is defined by three parameters: diameter, chiral angle (helix angle), and helix direction (right-handed or left-handed). Among the three parameters, it is known that the metal phase and the semiconductor phase have unique physical properties that are interchanged depending on the diameter and the chiral angle, and it is important to control the diameter and the chiral angle. .
[0005]
Conventionally, in the thermal CVD method and the plasma CVD method, the diameter of the carbon nanotube has been controlled as follows. That is, in the thermal CVD method or the plasma CVD method, when the carbon nanotubes are grown on a catalyst metal film, the diameter of the carbon nanotubes is affected by the grain boundary of the catalyst metal film, the film thickness, etc. The diameter of the carbon nanotube has been controlled by performing an annealing treatment on the catalyst metal in the catalyst metal film to form fine particles. However, in this case, the diameter of the catalyst metal can be reduced to only about several nm, and when the catalyst metal film is thinned, the catalyst metal fine particles aggregate during the growth of the carbon nanotubes, and the particle diameter decreases. However, there is a problem that the diameter of the growing carbon nanotube increases.
[0006]
On the other hand, as a method for controlling the diameter of the carbon nanotubes, the diameter of the single-walled carbon nanotubes is controlled by performing a gas phase synthesis using a catalyst in which catalyst fine particles are supported in pores of zeolite which is a heat-resistant porous carrier. A method of controlling the wavelength to 2 nm or less has been proposed (for example, see Patent Document 1). However, in this case, it is necessary to remove the zeolite after growing the carbon nanotubes, which is troublesome and expensive, and it is extremely difficult to arrange the carbon nanotubes at a desired position on the substrate. There is a problem that is.
[0007]
[Patent Document 1]
JP-A-2002-255519
[0008]
[Problems to be solved by the invention]
An object of the present invention is to solve the conventional problems and achieve the following objects. That is, the present invention provides a method for producing carbon nanotubes, which can efficiently produce carbon nanotubes whose diameter is minutely controlled, and a high-quality carbon nanotube having a uniform and minute diameter obtained by the method for producing carbon nanotubes. It is an object of the present invention to provide a carbon nanotube and a catalyst for producing the carbon nanotube suitable for producing the carbon nanotube.
[0009]
[Means for Solving the Problems]
Means for solving the above problems are as described in Supplementary Notes 1 to 35 described later.
The catalyst for producing carbon nanotubes of the present invention contains a metal complex in which a ligand is coordinated to a catalyst metal ion. The catalyst for producing carbon nanotubes has a high quality that is controlled to a uniform and minute diameter because the catalyst metal ions serving as a catalyst during the production of carbon nanotubes are held in the metal complex without aggregating or the like. It is suitable as a catalyst for producing a suitable carbon nanotube. In the catalyst for producing carbon nanotubes, the amount of catalyst metal per unit area is desirably adjusted by arbitrarily controlling the number of layers of the metal complex. Therefore, when carbon nanotubes are produced using the catalyst for producing carbon nanotubes, the diameter of the obtained carbon nanotubes can be arbitrarily controlled.
[0010]
In the method for producing carbon nanotubes of the present invention, carbon nanotubes are synthesized using a carbon nanotube production catalyst containing a metal complex in which a ligand is coordinated to a catalyst metal ion. According to the method for producing a carbon nanotube, the use of the metal complex as a catalyst suppresses the aggregation of the catalytic metal, so that a high-quality carbon nanotube having a uniform and fine diameter is efficiently produced.
[0011]
The carbon nanotube of the present invention is obtained by the method for producing a carbon nanotube of the present invention. Since the carbon nanotubes are fine and uniform in diameter and uniform in electrical characteristics, they are used for electronic materials such as field emission displays and fluorescent display lamps, energy materials such as fuel cells and lithium ion batteries, reinforced plastics, and charged materials. It is widely and suitably used in various fields as a nanotechnology material such as a composite material such as an inhibitor, a reinforced plastic, a nanodevice, a probe of a scanning probe microscope, and a DNA chip.
[0012]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
(Catalyst for carbon nanotube production)
The catalyst for producing carbon nanotubes of the present invention contains a metal complex and further contains other components appropriately selected as necessary.
[0013]
The metal complex is not particularly limited and may be appropriately selected from known ones according to the purpose. Examples thereof include those in which a ligand is coordinated to a catalytic metal ion. The metal complex may have a known substituent appropriately selected as necessary. The metal complex may be used alone or in combination of two or more.
[0014]
The shape, structure, size, and the like of the metal complex are not particularly limited and can be appropriately selected depending on the carbon nanotube to be obtained and the like. Is preferred.
Among the metal complexes, a stacked metal complex having a stacked structure in which metal complexes are stacked is preferable in that a uniform thin film can be formed in a self-organizing manner.
[0015]
The number of stacked metal complexes in the stacked metal complex is not particularly limited and can be selected according to the purpose, but is preferably 1 to 10 layers. By changing the number of layers, the amount of the catalyst metal per unit area can be changed, whereby the diameter of the carbon nanotube can be arbitrarily controlled.
The metal complex in the stacked metal complex may be one kind or two or more kinds.
[0016]
The bonding force between metal complexes in the stacked metal complex is not particularly limited, and may be a weak bonding force or a strong bonding force.
Examples of the weak binding force include an intermolecular force, a hydrogen bond, and the like. When the bonding force between the metal complexes in the stacked metal complex is the weak bonding force, the stacked metal complex includes, for example, a ligand such as dimethylglyoxime as shown in FIGS. 3 and 4. And a planar four-coordinated metal complex in which metal complexes having a catalytic metal ion are alternately stacked by intermolecular force.
[0017]
The planar four-coordinate metal complex is not particularly limited and may be appropriately selected depending on the purpose. For example, a metal complex represented by the following structural formula (1) is preferably exemplified. .
[0018]
Embedded image
[0019]
In the structural formula (1), M represents a catalytic metal ion. The catalyst metal ion will be described later.
Specific examples of the metal complex represented by the structural formula (1) include nickel dimethylglyoxime [Ni (C4H7N2O2)2], Iron dimethylglyoxime represented by the following structural formula (2-2) [Fe (C4H7N2O2)2], And the like.
[0020]
Embedded image
[0021]
Embedded image
[0022]
Nickel dimethylglyoxime represented by the structural formula (2-1) [Ni (C4H7N2O2)2] Can be synthesized, for example, by adding an aqueous solution of nickel ions to an alcohol solution of dimethylglyoxime. Iron dimethylglyoxime represented by the structural formula (2-2) [Fe (C4H7N2O2)2] Can be synthesized, for example, by adding an aqueous solution of iron ions to an alcohol solution of dimethylglyoxime.
[0023]
Examples of the strong binding force include a covalent bond, an ionic bond, a coordination bond, a cross-linking bond, and the like.
When the bonding force between the metal complexes in the stacked metal complex is the strong bonding force, the stacked metal complex is not particularly limited and may be appropriately selected depending on the intended purpose. Preferable examples include at least one selected from a laminated structure metal complex and a spin ladder ladder type laminated structure metal complex.
[0024]
The one-dimensional laminated structure metal complex is not particularly limited and may be appropriately selected depending on the purpose. Examples thereof include ethylenediamine, cyclohexanediamine, and glyoxime as shown in FIGS. 1 (A) and 1 (B). And a metal complex (metal complex for forming a one-dimensional laminated structure) having a ligand of the formula (1) and a catalytic metal ion, which are alternately laminated via a cross-linking ligand. Examples thereof include those containing at least one of a halogen-bridged bis (cyclohexanediaminato) nickel complex and a halogen-bridged bis (ethylenediaminato) palladium complex.
[0025]
The cross-linking ligand is not particularly limited and may be appropriately selected depending on the intended purpose; however, a halogen ion and at least one selected from pyrazine, bipyridine and analogs thereof are preferable.
[0026]
Preferable examples of the metal complex (metal complex for forming a one-dimensional stacked structure) include a six-coordinate octahedral metal complex (a metal complex having a plane four-coordinate structure before stacking) and a porphyrin complex.
[0027]
The six-coordinate octahedral metal complex is a metal complex having a planar four-coordinate structure before stacking, and M (chxn)2(X)aAnd a hexacoordinate octahedral metal complex represented by the following formula: Here, in the above formula, M represents a catalytic metal element. The catalytic metal element will be described later. chxn represents a cyclohexanediamine group. X represents a bridging ligand such as halogen, pyrazine and bipyridine. a represents an integer. M (chxn)2(X)aMay be used alone or in combination of two or more. Among them, Ni (chxn)2ClnBrm(However, chxn represents a cyclohexanediamine group. N and m represent integers.), Ni (chxn)2Cl (NO3)2, Ni (chxn)2Br (NO3)2, Ni1-xPolx(Chxn)2Br3Are preferred.
[0028]
Note that the Ni (chxn)2ClnBrm(However, chxn represents a cyclohexanediamine group; n and m represent integers.) In the laminated metal complex, a six-coordinate octahedral crystal structure represented by the following structural formula (3) is formed. Have.
[0029]
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[0030]
Ni (chxn) represented by the structural formula (3)2ClnBrm(However, chxn represents a cyclohexanediamine group; n and m each represent an integer.) The production method is not particularly limited, and can be appropriately selected from known methods depending on the purpose. For example, (H. Okamoto, Y. Shimada, Y. Oka,
[0031]
A. Chainani, T .; Takahashi, H .; Kitagawa, T .; Mitani, K .; Toriumi, K .; Inoue, T .; Manabe and M.S. Yamashita, Phys. Rev .. , B54, 8438 (1996)). Specifically, a nickel complex mainly has a planar four-coordinate structure or a six-coordinate octahedral structure. First, a tris form in which three ligands are coordinated in an octahedral form is synthesized because it is easily inhibited. After being sufficiently dried, it is reacted with a half equivalent of anhydrous nickel halide before crystallization to obtain a planar four-coordinate [Ni (chxn)] represented by the following structural formula (6).2]2+Synthesize bis-isomer. The bis-body solution is oxidized to be one-dimensional, thereby obtaining a hexacoordinate octahedral crystal structure of Ni (chxn) represented by the structural formula (3).2ClnBrm(However, chxn represents a cyclohexanediamine group. N and m represent an integer.).
[0032]
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[0033]
Preferable examples of the porphyrin complex include a porphyrin complex represented by the following structural formula (4).
[0034]
Embedded image
[0035]
In the structural formula (4), M represents a catalytic metal ion. The catalyst metal ion will be described later.
[0036]
The porphyrin complex has a porphyrin, and the porphyrin is a generic term for a macrocyclic compound and a derivative thereof in which four pyrrole rings are alternately bonded to four methine groups at an α position, and as the porphyrin, There is no limitation, and it can be appropriately selected according to the purpose. Examples thereof include protoporphyrin, ethioporphyrin, mesoporphyrin, tetraphenylporphyrin, cytoporphyrin, uroporphyrin, and coproporphyrin.
[0037]
The porphyrin complex is a general term for metal complexes having the porphyrin as a ligand (por). The porphyrin complex forms a complex with each of the metal elements of Groups 1 to 15 of the periodic table, and in most cases has a planar four-coordinate structure.4+Is hexacoordinated and pyramidal.
[0038]
Specific examples of the porphyrin complex represented by the structural formula (4) include those represented by the following structural formula (5).
[0039]
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[0040]
The spin-ladder ladder-type laminated metal complex is not particularly limited and may be appropriately selected depending on the intended purpose. For example, a ligand having a structure shown in FIG. And a metal complex (FIG. 2 (A)) alternately laminated via the above. The spin-ladder-type ladder-type laminated metal complex exhibits a structure in an intermediate state between a one-dimensional chain and a two-dimensional chain, and the metal complex chain direction (the metal complex accumulation direction) due to the superexchange interaction of the bridging ligand. And an antiferromagnetic interaction in at least one of the directions between the metal complex chains (direction substantially perpendicular to the integration direction), and can exhibit conductivity or superconductivity by carrier doping.
[0041]
The catalyst metal ion is not particularly limited as long as it functions as a catalyst during the production of carbon nanotubes, and can be appropriately selected depending on the purpose. Examples of the metal element include an iron group metal and a platinum group metal. Metals, rare earth metals, mixtures thereof, and the like, specifically, Al, Ti, V, Cr, Mn, Fe, Ni, Co, Cu, Zn, Zr, Mo, Ru, Rh, Pd, Ag, Cd, In, Sn, Sb, W, Re, Os, Ir, Pt and the like can be mentioned. These may be used alone or in combination of two or more. Among them, Fe, Co, Al, Ni, Mn, Pd, Cr and Pt are preferable from the viewpoint of having high catalytic activity, and from the viewpoint of producing single-walled carbon nanotubes, Fe, Co, Ni, Y, Rh, Pd, Pt, La, Ce, Pr, Nd, Gd, Tb, Dy, Ho, Er, Lu and the like are preferable.
[0042]
The valence of the catalytic metal ion is not particularly limited and may be appropriately selected depending on the intended purpose. For example, when the ion is a transition element, divalent or trivalent is preferable.
[0043]
The ligand is not particularly limited and may be appropriately selected depending on the intended purpose. For example, a ligand capable of coordinating with the catalytic metal ion in any of monodentate to hexadentate is preferable. Among these, monodentate ligands, bidentate ligands, and hexadentate ligands are preferable, and specifically, ethylenediamine, cyclohexanediamine, and glyoxime are more preferable.
[0044]
Examples of the monodentate ligand include a halogen ion (Br−, Cl−, F−, I−Thiocyanate ion (SCN)−), Cyanide ion (CN−), HS−, NO2 −, Ammonia, triphenylphosphine (PPh3), Quinoline, pyridine, pyrrole, imidazole, CO, phosphine PR3(For example, PH3, PF3, P (OR)3, R represents an alkyl group), argines ArR3, (Where Ar represents an aryl group), stibines, and the like.
[0045]
Examples of the bidentate ligand include 2,2'-bipyridine, ethylenediamine, diethanolamine, diethylenetriamine, dimethylglyoxime, and cyclohexanediamine.
Examples of the hexadentate ligand include ethylenediaminetetraacetate ion, pyridine-2-thiol and derivatives thereof.
These ligands may be used alone or in combination of two or more, but are preferably selected so that their sequences are regular.
[0046]
The ligand may have a known substituent such as a hydroxyl group or a carboxyl group. When the ligand has these substituents, when a metal complex having the ligand is adjacent, an interaction such as a hydrogen bond between the ligands in the adjacent metal complex Can be caused.
[0047]
The catalyst for producing carbon nanotubes of the present invention is not particularly limited and may be appropriately selected depending on the intended purpose. A substituent may be introduced as necessary.
[0048]
The substituent is not particularly limited and may be appropriately selected depending on the intended purpose. Examples thereof include an alkyl group and an aryl group, and these may be further substituted with a substituent. The substituent is not particularly limited, and can be appropriately selected from known ones according to the purpose.
[0049]
The alkyl group is not particularly limited and may be appropriately selected depending on the intended purpose. Examples thereof include a linear, branched or cyclic alkyl group having 1 to 10 carbon atoms. Specifically, methyl, ethyl, propyl, isopropyl, butyl, isobutyl, tert-butyl, pentyl, isopentyl, hexyl, isohexyl, heptyl, isoheptyl, octyl, isooctyl, nonyl, isononyl, decyl, isodecyl, cyclopentyl, cyclobutyl, cyclopentyl, Preferred examples include cyclohexyl, cycloheptyl, cyclooctyl, cyclononyl, cyclodecyl, and the like.
[0050]
The aryl group is not particularly limited and can be appropriately selected depending on the intended purpose. Examples thereof include a monocyclic aromatic ring group, a group in which four or less aromatic rings are bonded, and five or less rings. A group having a condensed aromatic ring and having a total of 50 or less atoms of carbon, oxygen, nitrogen, and sulfur is preferably exemplified.
[0051]
The group of the monocyclic aromatic ring is not particularly limited and may be appropriately selected depending on the intended purpose.Examples include phenyl, tolyl, xylyl, cumenyl, styryl, mesityl, cinnamyl, phenethyl, and benzhydryl. And these may be substituted with a substituent.
[0052]
The group in which the aromatic ring is bonded to four or less rings is not particularly limited and may be appropriately selected depending on the purpose. Examples thereof include naphthyl, anthryl, phenanthryl, indenyl, azulenyl, benzanthracenyl, And the like, which may be substituted with a substituent.
[0053]
The group having 5 or less condensed aromatic rings and having a total of 30 or less atoms of carbon, oxygen, nitrogen and sulfur is not particularly limited and may be appropriately selected depending on the purpose. For example, pyrrolyl, furyl, thienyl, pyridyl, quinolyl, isoquinolyl, imidazoyl, pyridinyl, pyrrolopyridinyl, thiazoyl, pyrimidinyl, thiophenyl, indolyl, quinolinyl, pyrinyl, adenyl, and the like, even if these are substituted with a substituent Good.
[0054]
The catalyst for producing carbon nanotubes of the present invention may be obtained as a single product as it is, or may be obtained as a product formed on a substrate. In the latter case, it can be used as it is to produce carbon nanotubes.
[0055]
The substrate is not particularly limited and can be appropriately selected and used from those usually used. For example, a Si substrate, a glass substrate, a quartz substrate, an alumina substrate, a porous silica substrate, an alumina anodic oxide plate, And the like.
[0056]
The surface of the substrate is preferably sufficiently cleaned from the viewpoint of the production of carbon nanotubes. The cleaning method is not particularly limited and may be appropriately selected depending on the intended purpose.For example, in addition to solvent cleaning, a corona treatment, a plasma treatment, a discharge treatment such as a plasma ashing, and the like are preferably exemplified. These methods may be employed alone or in combination of two or more.
[0057]
When the catalyst for producing carbon nanotubes is formed on the substrate, the method is not particularly limited and may be appropriately selected depending on the intended purpose. Examples thereof include (1) the catalyst for producing carbon nanotubes. A method of applying a coating solution on the substrate, patterning the coating solution by photolithography, and arranging the carbon nanotube production catalyst of the present invention at an arbitrary position on the substrate; (2) forming a metal pattern on the substrate; At least one of (3) electrolytic reaction (electrosynthesis) and Langmuir-Blodgett method) by applying an electric field on the metal pattern to precipitate and form the crystals of the catalyst for producing carbon nanotubes of the present invention. The method for producing a carbon nanotube according to the present invention is provided on a substrate (electrode) by any method. The crystallization method or manufacturing form a film a, and the like.
[0058]
In the case of the method (1), the solvent used for the coating solution is not particularly limited and may be appropriately selected depending on the purpose. Examples thereof include tetrahydrofuran, toluene, xylene, and octane. Among these, it is preferable to use tetrahydrofuran (THF). The method of applying the coating solution is not particularly limited and may be appropriately selected depending on the intended purpose.Examples include spin coating, dip coating, kneader coating, curtain coating, and blade coating. No. Among these, a spin coating method, a dip coating method, and the like are preferable in terms of coating efficiency and the like. The conditions and the like for the patterning are not particularly limited, and known conditions and the like can be adopted.
[0059]
In the case of the method (1), the number of the metal complexes in the carbon nanotube production catalyst of the present invention on the substrate is adjusted by appropriately adjusting the coating amount of the carbon nanotube production catalyst of the present invention. Can be controlled. Further, the method (1) is advantageous in that carbon nanotubes can be formed only at predetermined locations on the substrate.
[0060]
In the case of the method (2), the metal used for forming the metal pattern is not particularly limited and can be appropriately selected depending on the purpose. Examples thereof include Al, Cu, and Ti. . The method for forming the metal pattern is not particularly limited and can be appropriately selected depending on the purpose. Examples thereof include a method of forming a metal thin film on a substrate by vapor deposition and etching. The means and conditions for applying the electric field are not particularly limited and can be appropriately selected depending on the purpose. The method (2) is advantageous in that carbon nanotubes can be formed only at predetermined locations on the substrate.
[0061]
In the case of the method (3), in the electrolytic reaction (electrosynthesis), the carbon nanotube production catalyst is dissolved in a solvent such as alcohol, and the carbon nanotube of the present invention is electrolyzed on a predetermined substrate (electrode). Crystals of the catalyst for producing nanotubes can be deposited and formed. Examples of the substrate (electrode) include a platinum wire, a platinum plate, a glass plate on which ITO is deposited, and the like. Examples of the supporting electrolyte used in the electric field reaction (electric field synthesis) include tetrabutylammonium. In the crystallization or film formation, the carbon nanotube production catalyst of the present invention is self-integrated. The crystallization or film formation may be repeated a plurality of times, and in this case, the number of metal complexes on the substrate (electrode) in the carbon nanotube production catalyst of the present invention can be controlled.
[0062]
Although the catalyst for producing carbon nanotubes of the present invention can be suitably used in various fields, it can be particularly preferably used in the following carbon nanotubes of the present invention and the production method thereof. In the catalyst for producing carbon nanotubes of the present invention, the catalyst metal serving as a catalyst during the production of carbon nanotubes is incorporated at a predetermined position in the metal complex in the catalyst for producing carbon nanotubes. , Exist in a moderately dispersed state. For this reason, when the catalyst for producing carbon nanotubes is used for the production of carbon nanotubes, carbon nanotubes can be selectively grown at the position of the catalyst metal, and each can be grown independently. It can be grown at a high density and substantially perpendicular to the substrate or the like, and its diameter can be finely and uniformly controlled by appropriately adjusting the number of layers of the metal complex. it can. As a result, the obtained carbon nanotubes have high quality, are stable and constant, and have constant physical and electrical characteristics, and can be suitably used for various applications.
[0063]
(Carbon nanotube and method for producing the same)
The carbon nanotube of the present invention is obtained by the method for producing a carbon nanotube of the present invention.
In the method for producing carbon nanotubes of the present invention, carbon nanotubes are synthesized using the catalyst for producing carbon nanotubes of the present invention as a catalyst. Hereinafter, the details of the carbon nanotube of the present invention will be clarified through the description of the method for producing the carbon nanotube of the present invention.
[0064]
When the carbon nanotube production catalyst is used as a catalyst, it is preferable to arrange the carbon nanotube production catalyst at a desired position on the substrate. In this case, the carbon nanotube production catalyst is placed on the substrate as the carbon nanotube production catalyst. The formed one may be used. In addition, as the substrate, those described above and the like can be mentioned. In these cases, it is advantageous in that the carbon nanotubes can be selectively grown, and the carbon nanotubes can be grown individually one by one.
[0065]
The method for the synthesis is not particularly limited except that the catalyst for producing carbon nanotubes of the present invention is used as a catalyst, and can be appropriately selected according to the purpose. ), An arc discharge method, a laser deposition method, a thermal decomposition method, and the like. These methods may be used alone or in combination of two or more. Among them, CVD (chemical vapor deposition) is preferable because carbon nanotubes can be selectively grown perpendicular to the substrate.
[0066]
The CVD method (chemical vapor deposition method) is not particularly limited and can be appropriately selected from known methods according to the purpose. Examples thereof include a thermal CVD method (also simply referred to as a CVD method) and a hot CVD method. Examples thereof include a filament CVD method, a plasma enhanced CVD method (also called a plasma assisted CVD method and a plasma CVD method), a plasma enhanced hot filament CVD method, and a laser enhanced CVD method (also called a laser CVD method). Among these, a thermal CVD method and a plasma CVD method are preferable.
[0067]
In the thermal CVD method, the filament temperature is about 500 to 2000 ° C., and the raw material gas is decomposed by the heat of the filament to grow carbon nanotubes.
[0068]
In the plasma CVD, a raw material gas is decomposed by plasma to grow carbon nanotubes. In general, a high frequency (RF) is preferably used for exciting the plasma, but a low frequency, a microwave (MW), a direct current (DC), or the like may be used, and the output of the high frequency (RF) may be used. , 0.1-1000 W / cm3It is about.
[0069]
The conditions of the CVD method are not particularly limited, and include the same conditions as in the production of carbon nanotubes by a normal CVD method.
In the case of the CVD method, it is preferable to control the flow rate of the source gas. As the source gas, a mixed gas of a carbon supply gas and an introduction gas is suitably used.
[0070]
The carbon supply gas is not particularly limited and may be appropriately selected depending on the intended purpose. For example, methane, ethylene, acetylene, benzene, butane, isopropanol, C10H16, CS2, C60, And the like.
The introduced gas is not particularly limited and can be appropriately selected depending on the purpose. Examples thereof include hydrogen and NH.3, And the like.
The mixing ratio in the mixed gas is not particularly limited and can be appropriately selected depending on the intended purpose.For example, when methane gas is used as the carbon supply gas and hydrogen gas is used as the introduction gas, The flow rate ratio is preferably methane gas: hydrogen gas = 1-5: 9-5.
In the case of the CVD method, it is preferable to control the pressure of the vacuum chamber. The pressure in the vacuum chamber is preferably, for example, 1 to 10 Torr (0.133 kPa to 1.33 kPa).
[0071]
Here, a specific embodiment of the method for producing a carbon nanotube of the present invention will be described. A nickel dimethylglyoxime represented by the following structural formula (2-1) was used as the carbon nanotube production catalyst, and a coating solution obtained by dissolving this in alcohol was applied onto the substrate, dried, and then subjected to lithography. The nickel dimethylglyoxime was arranged in a laminated state at an arbitrary position on the substrate by patterning. Carbon nanotubes are grown on the nickel dimethylglyoxime on this substrate by a plasma CVD method. Then, carbon nanotubes selectively grow on the nickel dimethylglyoxime. At this time, if an electric field is applied to the substrate, the carbon nanotubes can be grown in a direction substantially perpendicular to the substrate.
[0072]
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[0073]
In the plasma CVD method, for example, using a plasma CVD apparatus 10 as shown in FIG. 6, a microwave power source 7 of 2.45 GHz is used as an excitation source, a substrate 8 is placed in a vacuum chamber 3, and a pressure of 2 Torr is applied. H2Flow rate / CH4Under a condition of a flow rate of 80 sccm / 20 sccm, a DC bias of 160 V is applied to the substrate 8, and the growth can be performed for 5 to 30 minutes.
[0074]
Observation of the state of formation of the obtained carbon nanotubes with a scanning electron microscope (SEM) revealed that single-walled carbon nanotubes had a uniform diameter substantially perpendicular to the substrate at the position of the nickel dimethylglyoxime on the substrate. It is recognized that it is standing.
[0075]
In the method for producing carbon nanotubes of the present invention, after obtaining carbon nanotubes, the carbon nanotubes may be purified.
The method for purifying the carbon nanotubes is not particularly limited and can be appropriately selected depending on the purpose. For example, when the carbon nanotubes are the single-walled carbon nanotubes, Soxhlet extraction, hydrothermal method, centrifugation method And the ultrafiltration method. When the carbon nanotube is the multi-walled carbon nanotube, an oxidation method, a centrifugation method and the like are preferably mentioned.
[0076]
The carbon nanotube produced by the above-described method for producing a carbon nanotube of the present invention is the carbon nanotube of the present invention.
The shape, structure, size, and the like of the carbon nanotube of the present invention are not particularly limited, and can be appropriately selected depending on the purpose.
The carbon nanotube of the present invention may be, for example, a single-walled carbon nanotube (SWNT) or a multi-walled carbon nanotube (MWNT).
The single-walled carbon nanotube (SWNT) has, for example, a diameter of about 0.4 to 3 nm and a length of about 10 nm to 10 μm.
Specific examples of the single-walled carbon nanotube preferably include those selected from armchair-type carbon nanotubes, zigzag-type carbon nanotubes, and chiral-type carbon nanotubes.
The multi-walled carbon nanotube (MWNT) has, for example, a diameter of about 3 to 100 nm, a length of about 10 nm to 10 μm, and a number of layers of about 2 to 100.
[0077]
According to the method for producing carbon nanotubes of the present invention, carbon nanotubes can be selectively grown at the position of the catalyst metal, and one by one can be independently grown, and furthermore, a high density can be obtained. In addition, the metal complex can be grown substantially perpendicular to the substrate or the like, and the diameter can be finely and uniformly controlled by appropriately adjusting the number of layers of the metal complex.
[0078]
As a result, the obtained carbon nanotubes of the present invention have a diameter that is minutely controlled, are arranged with high precision, are high in quality, are stable and constant, and have constant physical and electrical characteristics. , Various uses, for example, electronic materials such as field emission displays and fluorescent display lamps, energy materials such as fuel cells and lithium ion batteries, reinforced plastics, antistatic materials, composite materials such as reinforced plastics, nanodevices, scanning probes It can be widely and suitably used as a probe of a microscope (SPM), a nanotechnology material such as a DNA chip, and the like.
[0079]
【Example】
Hereinafter, examples of the present invention will be described, but the present invention is not limited to these examples.
[0080]
(Example 1)
Carbon nanotubes were grown by a plasma CVD method using nickel dimethylglyoxime represented by the following structural formula (2-1) as the catalyst for producing carbon nanotubes.
[0081]
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[0082]
First, nickel dimethylglyoxime represented by the above structural formula (2-1) was synthesized by a conventional method. Nickel dimethylglyoxime has a planar four-coordinate structure as shown in FIG. 3, and is a laminated metal complex laminated by weak intermolecular force as shown in FIG.
[0083]
Next, a coating liquid obtained by dissolving the nickel dimethylglyoxime in ethyl alcohol was applied onto a Si substrate (10 mm long × 10 mm wide × 0.5 mm thick) as the substrate (coating amount: 15 μl), After drying, by patterning by lithography, nickel dimethylglyoxime 20 was laminated in three layers on the substrate 8 at a desired position on the substrate as shown in FIG.
Next, carbon nanotubes were grown on the substrate by a plasma CVD method. In the plasma CVD method, using a plasma CVD apparatus 10 as shown in FIG. 6, a microwave power supply 7 of 2.45 GHz is used as an excitation source, a substrate 8 is placed in a vacuum chamber 3, and a pressure of 2 Torr (0. 27 kPa), H2Flow rate / CH4This was performed by applying a DC bias of 160 V to the substrate 8 under the conditions of a flow rate of 80 sccm / 20 sccm and growing the substrate 8 for 5 to 30 minutes.
[0084]
Observation of the obtained carbon nanotubes with a scanning electron microscope (SEM) revealed that the single-walled carbon nanotubes had a uniform diameter substantially perpendicular to the substrate corresponding to the position of nickel dimethylglyoxime on the substrate. 0.9 nm).
[0085]
(Example 2)
Carbon nanotubes were grown in the same manner as in Example 1 except that the coating amount of the nickel dimethylglyoxime coating solution was 25 ml and the nickel dimethylglyoxime was laminated in five layers.
Observation of the formation state of the obtained carbon nanotubes with a scanning electron microscope (SEM) revealed that a single-walled carbon nanotube had a uniform diameter (1) perpendicular to the substrate corresponding to the position of nickel dimethylglyoxime on the substrate. .1 nm).
[0086]
(Example 3)
By dissolving a bis (cyclohexanediaminato) nickel complex and tetrabutylammonium bromide in an alcohol and performing electrolytic synthesis (electrolytic oxidation), a one-dimensional stacked metal complex shown in FIG. The above-mentioned bis (cyclohexanediaminato) nickel complex was alternately laminated on a platinum substrate in the form of a single crystal.
Using the substrate on which the laminated metal complex was formed, carbon nanotubes were grown by plasma CVD in the same manner as in Example 1.
Observation of the obtained carbon nanotubes with a scanning electron microscope (SEM) revealed that the single-walled carbon nanotubes had a uniform diameter (0.9 nm) substantially perpendicular to the substrate corresponding to the position of the nickel complex on the substrate. ) Was observed.
[0087]
(Comparative Example 1)
In Example 1, carbon nanotubes were grown by a plasma CVD method in the same manner as in Example 1 except that a Ni polycrystalline substrate as shown in FIG. 7 was used as a catalyst. The conditions of the plasma CVD method are the same as in the first embodiment.
When the obtained carbon nanotubes were observed by SEM, as shown in FIG. 7, non-uniform single-walled carbon nanotubes having different heights and diameters depending on the size of the crystal grain boundaries of the Ni polycrystalline substrate were formed. Was observed.
[0088]
From the results of Examples 1 to 3 and Comparative Example 1, according to the method for producing carbon nanotubes of the present invention using the catalyst for producing carbon nanotubes of the present invention as a catalyst at the time of producing carbon nanotubes, the diameter was finely controlled. Further, the carbon nanotube of the present invention was obtained, and the diameter of the obtained carbon nanotube could be controlled by controlling the number of layers of the metal complex in the catalyst for producing a carbon nanotube.
[0089]
Here, the preferred embodiments of the present invention are as follows.
(Supplementary Note 1) A method for producing carbon nanotubes, which comprises synthesizing carbon nanotubes using a metal complex in which a ligand is coordinated to a catalytic metal ion as a catalyst.
(Supplementary note 2) The method for producing a carbon nanotube according to supplementary note 1, wherein the catalytic metal ion is divalent or trivalent.
(Supplementary note 3) The carbon according to any one of Supplementary notes 1 and 2, wherein the catalytic metal ion is at least one ion selected from Fe, Co, Al, Ni, Mn, Pd, Cr, Pt, and an alloy thereof. A method for producing nanotubes.
(Supplementary Note 4) The method for producing a carbon nanotube according to any one of Supplementary Notes 1 to 3, wherein the ligand is capable of coordinating to the catalyst metal ion in any of monodentate to hexadentate.
(Supplementary Note 5) The method for producing a carbon nanotube according to any one of Supplementary Notes 1 to 4, wherein the ligand is selected from ethylenediamine, cyclohexanediamine, and glyoxime.
(Supplementary Note 6) The method for producing a carbon nanotube according to any one of Supplementary Notes 1 to 5, wherein the metal complex has a laminated structure.
(Supplementary note 7) The method for producing a carbon nanotube according to Supplementary note 6, wherein the stacked structure is selected from a one-dimensional stacked structure and a spin ladder-based ladder-shaped stacked structure.
(Supplementary Note 8) The metal complex according to Supplementary Note 6, wherein the metal complex has a one-dimensional stacked structure, and includes at least one selected from a halogen-bridged bis (cyclohexanedianamide) nickel complex and a halogen-bridged bis (ethylenedianamide) palladium complex. A method for producing carbon nanotubes.
(Supplementary Note 9) The method for producing a carbon nanotube according to any one of Supplementary Notes 1 to 8, wherein the metal complex has any one of a planar four-coordinate structure and a six-coordinate octahedral crystal structure.
(Supplementary Note 10) The method for producing a carbon nanotube according to any one of Supplementary Notes 1 to 9, wherein the metal complex is represented by the following structural formula (1).
However, in the structural formula (1), M represents a catalytic metal element.
(Supplementary Note 11) In the metal complex, M in the structural formula (1) is nickel, and nickel dimethylglyoxime [Ni (C4H7N2O2)2], The method for producing a carbon nanotube according to supplementary note 10.
(Supplementary Note 12) When the metal complex is M (chxn)2(X)a(Where M represents a catalytic metal element; chxn represents a cyclohexanediamine group; X represents a bridging ligand; and a represents an integer). 3. The method for producing a carbon nanotube according to item 2.
(Supplementary Note 13) When the metal complex is Ni (chxn)2ClnBrm(However, chxn represents a cyclohexanediamine group; n and m represent integers), and the method for producing a carbon nanotube according to any one of supplementary notes 1 to 9, having a six-coordinated crystal structure.
(Supplementary Note 14) The method for producing a carbon nanotube according to any one of Supplementary Notes 1 to 9, wherein the metal complex is a porphyrin complex represented by the following structural formula (4).
However, in the structural formula (4), M represents a catalytic metal element.
(Supplementary Note 15) The method for producing a carbon nanotube according to any one of Supplementary Notes 1 to 14, wherein the metal complex is grown substantially vertically on the substrate.
(Supplementary note 16) The method for producing a carbon nanotube according to any one of Supplementary notes 1 to 15, wherein the metal complex has a stacked structure, and the diameter of the obtained carbon nanotube is controlled by controlling the number of stacked metal complexes. .
(Supplementary note 17) The method for producing a carbon nanotube according to any one of supplementary notes 1 to 16, wherein the carbon nanotubes are grown by a CVD method.
(Supplementary note 18) The method for producing carbon nanotubes according to supplementary note 17, wherein the CVD method is selected from a plasma CVD method and a thermal CVD method.
(Supplementary Note 19) A carbon nanotube obtained by the method for producing a carbon nanotube according to any one of Supplementary Notes 1 to 18.
(Supplementary Note 20) The carbon nanotube according to supplementary note 19, which is one of a single-walled carbon nanotube and a multi-walled carbon nanotube.
(Supplementary Note 21) The carbon nanotube according to any one of Supplementary Notes 19 to 20, which is selected from an armchair type carbon nanotube, a zigzag type carbon nanotube, and a chiral type carbon nanotube.
(Supplementary Note 22) A catalyst for producing a carbon nanotube, comprising a metal complex in which a ligand is coordinated to a catalyst metal ion.
(Supplementary Note 23) The catalyst for producing a carbon nanotube according to supplementary note 22, wherein the catalytic metal ion is one of divalent and trivalent.
(Supplementary note 24) The carbon according to any one of supplementary notes 22 to 23, wherein the catalytic metal ion is at least one ion selected from Fe, Co, Al, Ni, Mn, Pd, Cr, Pt, and an alloy thereof. Catalyst for nanotube production.
(Supplementary note 25) The carbon nanotube production catalyst according to any one of Supplementary notes 22 to 24, wherein the ligand is capable of coordinating to the catalyst metal ion in any of monodentate to hexadentate.
(Supplementary Note 26) The catalyst for producing a carbon nanotube according to any one of Supplementary Notes 22 to 25, wherein the ligand is selected from ethylenediamine, cyclohexanediamine, and glyoxime.
(Supplementary Note 27) The catalyst for producing a carbon nanotube according to any one of Supplementary Notes 22 to 26, wherein the metal complex has a laminated structure.
(Supplementary note 28) The catalyst for producing carbon nanotube according to Supplementary note 27, wherein the stacked structure is selected from a one-dimensional stacked structure and a spin ladder-based ladder-shaped stacked structure.
(Supplementary note 29) Supplementary notes 22 to 27, wherein the metal complex has a one-dimensional stacked structure and includes at least one selected from a halogen-bridged bis (cyclohexanedianamide) nickel complex and a halogen-bridged bis (ethylenedianamide) palladium complex. The catalyst for producing a carbon nanotube according to the above.
(Supplementary Note 30) The catalyst for producing a carbon nanotube according to any one of Supplementary Notes 22 to 29, wherein the metal complex has any one of a planar four-coordinate structure and a six-coordinate octahedral crystal structure.
(Supplementary Note 31) The catalyst for producing a carbon nanotube according to any one of Supplementary Notes 22 to 30, wherein the metal complex is represented by the following structural formula (1).
However, in the structural formula (1), M represents a catalytic metal element.
(Supplementary Note 32) In the metal complex, M in the structural formula (1) is nickel, and nickel dimethylglyoxime [Ni (C4H7N2O2)2] The catalyst for producing carbon nanotube according to Supplementary Note 31.
(Supplementary Note 33) When the metal complex is M (chxn)2(X)a(However, M represents a catalytic metal element. Chxn represents a cyclohexanediamine group. X represents a bridging ligand. A represents an integer.). The catalyst for producing a carbon nanotube according to the above.
(Supplementary Note 34) When the metal complex is Ni (chxn)2ClnBrm(Where chxn represents a cyclohexanediamine group; n and m represent integers), and the catalyst for producing carbon nanotubes according to attachment 33, which has a six-coordinated crystal structure.
(Supplementary Note 35) The catalyst for producing a carbon nanotube according to any one of Supplementary Notes 22 to 30, wherein the metal complex is a porphyrin complex represented by the following structural formula (4).
However, in the structural formula (4), M represents a catalytic metal element.
[0090]
【The invention's effect】
According to the present invention, a method of manufacturing a carbon nanotube capable of efficiently manufacturing carbon nanotubes whose diameters are controlled to be small by solving the conventional problems and a method of manufacturing a carbon nanotube which is uniform and fine can be obtained. It is possible to provide a high-quality carbon nanotube having a suitable diameter and a catalyst for producing the carbon nanotube suitable for producing the carbon nanotube.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 (A) shows a laminated metal complex obtained by laminating a metal complex having ethylenediamine as a ligand and palladium as a central metal ion via halogen (X) as a bridging ligand. FIG. 1B is a conceptual diagram showing an example, and FIG. 1B shows a metal complex having cyclohexanediamine as a ligand and nickel as a central metal ion stacked via a halogen (X) as a cross-linking ligand. It is a conceptual diagram which shows an example of a lamination type metal complex.
FIG. 2A shows an example of a metal complex having a ladder structure, which is a nickel (III) (represented by M) complex stacked via a halogen (X) as a bridging ligand. FIG. 2B is a diagram illustrating an example of a structural formula of a ligand forming a metal complex having a spin ladder-based ladder-type laminated structure.
FIG. 3 is a schematic view showing an example of a metal complex having a planar four-coordinate structure of the present invention.
FIG. 4 is a schematic diagram showing a crystal structure in a state where the metal complexes of FIG. 1 are stacked.
FIG. 5 is a schematic explanatory view showing an example of a laminated state of a metal complex formed on a substrate in the method for producing a carbon nanotube of the present invention.
FIG. 6 is a schematic view showing an example of a plasma CVD apparatus used in the embodiment.
FIG. 7 is a schematic explanatory view showing a conventional method for producing a carbon nanotube.
[Explanation of symbols]
3 ... vacuum chamber
7 ... Microwave power supply
8 ... substrate
10 ... plasma CVD equipment
20: Nickel dimethylglyoxime