JP2004298712A - 尿汚水浄化装置、尿汚水浄化処理ユニットおよび尿汚水処理方法 - Google Patents
尿汚水浄化装置、尿汚水浄化処理ユニットおよび尿汚水処理方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】豚等の動物の尿汚水について、その有機物濃度が高濃度であっても、アンモニア態窒素から硝酸態窒素への変換および浄化を円滑にするとともに、過剰なカリウム対策をはかり、その処理水を植物栽培に利用できるようにする。
【解決手段】散気管(7)と活性汚泥(6)とを有する曝気水槽(9)の内部で、ゼオライト(1)、ホタテ貝殻(2)、籾殻薫炭(3)の三物質を含む浄化処理部に尿汚水を接触させて、好気的条件下で浄化する、尿汚水浄化装置を構成する。
【選択図】 図3
【解決手段】散気管(7)と活性汚泥(6)とを有する曝気水槽(9)の内部で、ゼオライト(1)、ホタテ貝殻(2)、籾殻薫炭(3)の三物質を含む浄化処理部に尿汚水を接触させて、好気的条件下で浄化する、尿汚水浄化装置を構成する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は尿汚水浄化装置、尿汚水浄化処理ユニットおよび尿汚水処理方法に係り、特に、動物の尿汚水の資源化すなわち植物栽培にも利用可能な、活性汚泥法に基づく尿汚水浄化装置、尿汚水浄化処理ユニットおよび尿汚水処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、動物の尿汚水の浄化方法は、河川放流あるいは農場内散布を目的として、活性汚泥法や生物膜法などの好気性微生物による生物処理法がすでに実施されている。また、有機物廃水の生物処理法の一種であるが、腐植物および珪酸物を含む浄化剤による浄化方法が提案されている(たとえば、後記特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】
特公平5−66199号公報「有機性物質を含む廃水の処理方法」。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
動物の尿汚水は有機物、ミネラル、ビタミンに富み、とりわけ多量に存在する有機物であるアンモニア態窒素(NH4−N)を硝酸態窒素(NO3−N)に効率よく化学変化させ、かつその濃度を低下できれば、植物栽培への有用な液体肥料として資源化が可能である。しかし、尿汚水は、有機物濃度(BOD)が5000mg/lを越える高濃度となりやすく、アンモニア態窒素を硝酸態窒素に容易に化学変化させ、濃度低下できない問題があった。また、尿汚水は多量のカリウム(K)を含むため、植物の他の三大栄養素である窒素(N)やリン(P)との濃度バランスが悪く、その処理水の植物栽培への利用に大きな問題が残されていた。
【0005】
本発明の課題は、上記従来技術の問題点を踏まえ、動物の尿汚水を植物栽培に利用するため、活性汚泥法による動物の尿汚水の浄化に際しアンモニア態窒素(NH4−N)を硝酸態窒素(NO3−N)に効率よく変換し、かつその濃度を低下させ、さらに過剰に含有されるカリウム(K)の影響を低減することのできる、動物の尿汚水の資源化すなわち植物栽培にも利用可能な尿汚水浄化装置、尿汚水浄化処理ユニットおよび尿汚水処理方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本願発明者らは上記課題につき鋭意検討した結果、カルシウム集積バイオマス、多孔質性鉱物材料等を浄化処理材に用いることによって、アンモニア態窒素(NH4−N)を硝酸態窒素(NO3−N)に効率よく変換し、かつその濃度を低下させ、さらに過剰に含有されるカリウム(K)の影響を低減可能であることを見出し、本発明に至った。すなわち、上記課題を解決するための手段として、本願で特許請求される発明は以下のとおりである。
【0007】
(1) 動物またはその飼育空間から排出される、尿を含む汚水(以下、「尿汚水」という。)を浄化処理するための尿汚水浄化装置であって、該尿汚水浄化装置は、尿汚水の流入口と、処理後の浄化水の流出口と、散気管を含む送気手段と、および活性汚泥とを備えた曝気水槽の内部に浄化処理部を備えてなり、該浄化処理部は、多孔質性鉱物材料と、カルシウム集積バイオマス材料と、およびケイ素集積バイオマス材料とが、浄化処理材として含まれてなることを特徴とする、尿汚水浄化装置。
【0008】
(2) 前記カルシウム集積バイオマス材料はホタテ貝等の貝殻であり、前記ケイ素集積バイオマス材料は籾殻等の植物系バイオマスであることを特徴とする、(1)に記載の尿汚水浄化装置。
【0009】
(3) 前記多孔質製鉱物材料は、破砕されたゼオライトであることを特徴とする、(2)に記載の尿汚水浄化装置。
【0010】
(4) 前記カルシウム集積バイオマス材料は、塩分除去処理および破砕処理されたホタテ貝の貝殻であることを特徴とする、(2)または(3)に記載の尿汚水浄化装置。
【0011】
(5) 前記ケイ素集積バイオマス材料は、炭化した籾殻燻炭であることを特徴とする、(2)ないし(4)のいずれかに記載の尿汚水浄化装置。
【0012】
(6) 前記浄化処理部は、前記各浄化処理材がそれぞれ別個に設けられた通水性透孔を有する網袋等の容器に収容され、各容器が集合してなることを特徴とする、(1)ないし(5)のいずれかに記載の尿汚水浄化装置。
【0013】
(7) 前記浄化処理部は、前記各処理材がそれぞれ別個に収容された容器が梁部材に吊り下げられてなることを特徴とする、(6)に記載の尿汚水浄化装置。
【0014】
(8) 前記浄化処理部は、ゼオライト、ホタテ貝殻、籾殻薫炭の三物質がそれぞれ、多数の通水性透孔を有する網袋に収容され、これらの網袋を互いに適度な間隔で離間させ、前記曝気水槽の下半部に設置した散気管の上部に梁と紐とを用いて吊り下げる方式、あるいは、多数の通水性透孔を有する網籠を用いて散気管を取り囲み、その上部に少なくとも一つの網袋を載置する方式により構成されることを特徴とする、(6)に記載の尿汚水浄化装置。
【0015】
(9) 前記ゼオライトは最大幅20mm以下に破砕したものであり、前記ホタテ貝殻は水により塩分除去処理した後最大幅20mm以下に破砕したものであり、前記籾殻燻炭は稲の実を包む外皮を400℃以上で加温し、炭化したものであることを特徴とする、(5)ないし(8)のいずれかに記載の尿汚水浄化装置。
【0016】
(10) 尿汚水に対する浄化処理材として、リン除去作用を有するゼオライト等の多孔質性鉱物材料、アンモニア態窒素除去作用ならびにカルシウム添加作用を有するホタテ貝殻等のカルシウム集積バイオマス材料、および、有機物濃度低下作用ならびに脱色作用を有する籾殻燻炭等のケイ素集積バイオマス材料を有し、これらがそれぞれ別個の形態、または任意の組み合わせにより同伴した形態で、一または複数の通水性透孔を有する容器に収容されてなり、活性汚泥を備えた曝気水槽において用いられることを特徴とする、尿汚水浄化処理ユニット。
【0017】
(11) (1)ないし(9)のいずれかに記載の尿汚水浄化装置を用いて行う尿汚水処理方法であって、該方法は、
(I)前記浄化処理部のうち多孔質性鉱物材料を浄化処理材とする部位において流入した尿汚水に対するリン除去処理がなされ、
(II)該浄化処理部のうちカルシウム集積バイオマス材料を浄化処理材とする部位において該尿汚水に対するアンモニア態窒素除去処理ならびにカルシウム添加処理がなされ、
(III)該浄化処理部のうちケイ素集積バイオマス材料を浄化処理材とする部位において該尿汚水に対する有機物濃度低下処理ならびに脱色処理がなされ、
(IV)前記曝気水槽において活性汚泥法による水質浄化処理がなされ、
該尿汚水はこれら各処理を経て、浄化処理および資源化処理のなされた浄化水として排出されることを特徴とする、尿汚水処理方法。
【0018】
つまり本発明は、尿汚水に対する浄化処理手段として、リン除去作用を有するゼオライト等の多孔質性鉱物材料(後述するようにマグネシウム(Mg)添加作用もある。)、アンモニア態窒素除去作用ならびにカルシウム添加作用を有するホタテ貝殻等のカルシウム集積バイオマス材料(後述するように、水質中性化作用もある。)、および、有機物濃度低下作用ならびに脱色作用を有する籾殻燻炭等のケイ素集積バイオマス材料を用いることを基礎として、尿汚水浄化処理ユニット、尿汚水浄化装置、および尿汚水処理方法を構成するものである。
【0019】
本発明において多孔質性鉱物材料とは、たとえばゼオライトのような、多孔質の鉱物材料をいう。また、カルシウム集積バイオマス材料とは、たとえば貝殻のような、カルシウム分が高濃度に蓄積されているバイオマス材料をいう。また、ケイ素集積バイオマス材料とは、たとえば籾殻のような、ケイ素が高濃度に蓄積されているバイオマス材料をいう。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面により詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
図1は、本発明の尿汚水浄化装置の構成を示す説明図である。図において本装置100は、該尿汚水浄化装置は、尿汚水の流入口14と、処理後の浄化水の流出口15と、散気管17ならびに空気ポンプ18を備えてなる送気手段80と、および活性汚泥16とを備えた曝気水槽90の内部に浄化処理部10を備えてなり、該浄化処理部10は、多孔質性鉱物材料11と、カルシウム集積バイオマス材料12と、およびケイ素集積バイオマス材料13とが、浄化処理材として含まれてなることを、主たる構成とする(請求項1)。ここで尿汚水とは、豚、牛、馬、羊、犬、魚類等の動物から、もしくはその飼育空間から排出された固液分離された糞を一部含む尿、またはこれに加えて洗浄水からなる汚水をいう。本装置では、好気的条件下で尿汚水が浄化処理される。
【0021】
前記浄化処理部10に用いる各浄化処理材は、多孔質性鉱物材料11としては少なくとも尿汚水中のリン除去機能を有する構成のものを、カルシウム集積バイオマス材料12としては少なくともアンモニア態窒素除去機能ならびにカルシウム添加機能を有する構成のものを、およびケイ素集積バイオマス材料13としては少なくとも有機物濃度(BODまたはCOD)低下機能ならびに脱色機能を有する構成のものを、用いることができる。
【0022】
図において本装置100は、前記カルシウム集積バイオマス材料12がホタテ貝等の貝殻であり、前記ケイ素集積バイオマス材料13が籾殻等の植物系バイオマスである構成とすることができる(請求項2)。また、前記多孔質製鉱物材料11は、破砕されたゼオライトである構成とすることができる(請求項3)。さらに、該カルシウム集積バイオマス材料12としては、塩分除去処理および破砕処理されたホタテ貝の貝殻を用いることができ(請求項4)、また、該ケイ素集積バイオマス材料13としては、炭化した籾殻燻炭を用いることができる(請求項5)。特にホタテ貝殻や籾殻はともに廃棄物系のバイオマス材料であり、本発明装置は、これらを用いて畜産系の廃棄物を再利用可能に浄化処理することができる。
【0023】
【作用】
図において本発明の尿汚水浄化装置100は上述のように構成されるため、流入口14から流入した尿汚水は、散気管17を含む送気手段80と活性汚泥16とを備えた曝気水槽90の内部において通常の活性汚泥法による浄化処理が好気的条件下でなされるのと併せて、多孔質性鉱物材料11と、カルシウム集積バイオマス材料12と、およびケイ素集積バイオマス材料13とが浄化処理材として含まれてなる浄化処理部10において、それぞれの機能を生かした浄化処理がなされ、かかる浄化処理を受けて浄化水となって、流出口15から曝気水槽90外へ排出される。
【0024】
特に、前記浄化処理部10においては、多孔質性鉱物材料11では少なくとも尿汚水中のリンが除去され、カルシウム集積バイオマス材料12では少なくともアンモニア態窒素が除去されかつカルシウムが添加されてカルシウム願油量が増加し、ケイ素集積バイオマス材料13では少なくとも有機物濃度(BODまたはCOD)が低下させられかつ脱色がなされることによって、水質が浄化されるとともに、後に詳述する尿汚水の資源化のための処理が施される。
【0025】
図1において、本尿汚水浄化装置100に係る前記浄化処理部10は、前記各浄化処理材11、12、13がそれぞれ別個に設けられた通水性透孔を有する網袋等の容器に収容され、各容器が集合してなる構成とすることができる(請求項6)。また、図2および3を用いて後述するように、該浄化処理部10は、前記各処理材がそれぞれ別個に収容された容器が梁部材に吊り下げられてなる構成とすることができる(請求項7)。
【0026】
つまり前記浄化処理部10は、ゼオライト、ホタテ貝殻、籾殻薫炭の三物質がそれぞれ、多数の通水性透孔を有する網袋に収容され、これらの網袋を互いに適度な間隔で離間させ、前記曝気水槽90の下半部に設置した散気管17の上部に梁と紐とを用いて吊り下げる方式をとれるが、その他に、多数の通水性透孔を有する網籠を用いて散気管17を取り囲み、その上部に少なくとも一つの網袋を載置する方式(請求項8)、その他適宜の方法をとることができる。
【0027】
前記ゼオライトを浄化処理材として用いるには、最大幅20mm以下に破砕したものを用いることにより、浄化処理効果を高めることができる。また、前記ホタテ貝殻は水をかけることにより塩分除去処理した後、最大幅20mm以下に破砕したものを用いることにより、浄化処理効果を高めることができる。また、前記籾殻燻炭は稲の実を包む外皮を400℃以上で加温し、炭化したものを用いることにより、浄化処理効果を高めることができる(請求項9)。
【0028】
図において、本装置100を構成する浄化処理部10は、上述の各浄化処理材(11、12、13)がそれぞれ単独で別個の形態で通水性透孔を有する容器に収容されるか、または任意の組み合わせにより同伴した形態で、一または複数の通水性透孔を有する容器に収容されてなる、尿汚水浄化処理ユニットとして機能する(請求項10)。ここで、任意の組み合わせによる同伴の形態としては、多孔質性鉱物材料11、カルシウム集積バイオマス材料12およびケイ素集積バイオマス材料13の中から任意の二者を同一の容器内に収容する形態、全三者を同一の容器内に収容する形態がある。
【0029】
図1において本尿汚水浄化装置100は上述のように構成されるため、これを用いて、
(I)前記浄化処理部10のうち多孔質性鉱物材料を浄化処理材とする部位(11)において流入した尿汚水に対するリン除去処理をし、
(II)該浄化処理部10のうちカルシウム集積バイオマス材料を浄化処理材とする部位(12)において該尿汚水に対するアンモニア態窒素除去処理ならびにカルシウム添加処理をし、
(III)該浄化処理部10のうちケイ素集積バイオマス材料を浄化処理材とする部位(13)において該尿汚水に対する有機物濃度低下処理ならびに脱色処理をし、
(IV)前記曝気水槽90において活性汚泥法による水質浄化処理をし、
該尿汚水をこれら各処理によって、浄化処理および資源化処理のなされた浄化水とすることができる(請求項11)。
【0030】
本発明に係る尿汚水浄化装置の典型的な実施形態は、ゼオライト、ホタテ貝殻、籾殻薫炭の三物質をそれぞれ多数の通水性透孔を有する網袋に入れて浄化処理部を構成し、これを、尿汚水の流入と流出とができ、散気管と活性汚泥とを有し、活性汚泥法を実現できる曝気水槽の内部に取り付けたものである。以下、かかる実施形態を主として説明する。
【0031】
上記浄化装置の取り付け位置は、上述の通り、曝気水槽内の下部に設置された散気管の上部に、網袋を互いに適度な間隔を保ち、梁と紐とを用いて吊り下げる方式をとれるが、少なくとも一つの網袋がかさ張るか重い場合はその網袋を、多数の通水性透孔を有する網籠を用いて散気管を取り囲みその上部に放置する方式であってもよい。
【0032】
ゼオライトは、二酸化珪素(SiO2)を主成分とする珪酸物で、多孔質構造を有する鉱物である。本発明に用いるゼオライトは天然、合成、いずれのものであってもよく、上述の通り最大幅20mm以下になるように破砕したものを用いることが望ましい。
【0033】
ホタテ貝殻は、イタヤガイ科のホタテ貝の殻で、酸化カルシウム(CaO)を主成分とする。本発明に用いるホタテ貝殻は天然、養殖、いずれのものであってもよく、たとえば、雨水に長時間さらすことをもって塩分除去処理としてもよい。これもゼオライト同様、最大幅20mm以下に破砕したものを用いることが望ましい。
【0034】
籾殻薫炭は、二酸化珪素(SiO2)を主成分とする。稲の実を包む外皮を400℃以上で加温し、炭化させたものを用いることが望ましい。
【0035】
上記のように構成した浄化装置を機能させると、尿汚水の浄化過程で、ホタテ貝殻のカルシウム(Ca)成分が尿汚水中に溶出し、硝酸態窒素の生成による水質の過度の酸性化を中和し、アンモニア態窒素の除去と硝酸態窒素の濃度低減とを実現でき、また、ゼオライトおよび籾殻薫炭によりアンモニア態窒素を吸収させることができる。
【0036】
さらに、本発明の尿汚水浄化装置を複数の曝気水槽に設置し、連続して尿汚水の浄化処理をすれば、高濃度になりやすい動物の尿汚水であっても、低窒素かつ高カルシウムの浄化水を得ることができ、これは容易に植物栽培に利用することができる。
【0037】
すなわち本発明の尿汚水浄化装置は、尿汚水中に含有される過剰のカリウムの影響を低減させる手段として、作物学および畜産学でその拮抗作用が知られているカルシウムを浄化水に付加することを、ねらいとしたものである。
【0038】
なお、本発明には少なくとも一台の曝気水槽が必要で、かつ曝気水槽内には少なくとも一台の散気管6のほか、活性汚泥7が予め培養されていることが必要であることは、いうまでもない。
【0039】
図2および図3は、本発明の実施の一形態を示す図であり、図2は前記浄化処理部の構成例、図3は曝気水槽に該浄化処理部が設けられた本発明の尿汚水浄化装置全体の構成例を示す説明図である。すなわちこれらの図において、本装置は、尿汚水の流入と流出とができ、かつ散気管6と活性汚泥7とを有する曝気水槽9の内部において、ゼオライト1、ホタテ貝殻2、籾殻薫炭3の三物質を含み、それぞれを多数の通水性透孔を有する網袋に入れて、これらの網袋を互いに適度な間隔を保ち、梁4と紐5とを用いて吊り下げた方式の本発明の浄化装置を、曝気水槽9の下半部に設置された散気管6の上部に設置し、尿汚水と十分に接触させ、好気的条件下で浄化するものである。
【0040】
さらに、尿汚水の有機物濃度(BOD)が5000mg/lを越える高濃度であれば、複数の曝気水槽9を使用し、それぞれに本発明の浄化装置を設置し、連続して尿汚水の浄化をする。
【0041】
散気管6からの曝気量は、曝気水槽内の尿汚水の有機物濃度に応じて、定法にしたがい公知の計算式から求める。
【0042】
原尿汚水の投入量および投入間隔、および処理水の移動量および移動間隔は、曝気水槽内の尿汚水の水素イオン濃度(pH)の変化、あるいは気泡量によって判断できるが、通例、三個の曝気水槽を使用する場合、一週間毎に曝気水槽の容積の約10%に相当する尿汚水量を投入または移動するとよい。
【0043】
浄化処理された浄化水(以下、「処理水」ともいう。)はまだ多量の硝酸態窒素を含むため、貯水槽でさらに約一箇月以上留め、嫌気状態で処理水の脱窒を促し、その後、処理水を植物栽培に利用することが望ましい。
【0044】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いて説明する。
<実施例1>
図4ないし図7に示される実施例1では、本発明の尿汚水浄化装置の浄化機能を、他の二つの従来技術による浄化装置と比較実験したものである。
【0045】
実験では60l(リットル)の曝気水槽を三個一組とし、三組の方法を設定した。方法1は「対照区」とし、例えば特公平5−66199号公報等を参考に、花崗岩(1250g)、軽石(250g)、腐植土壌(1000g)の三物質を含む浄化装置を作製し、三個の曝気水槽に設置した。
【0046】
方法2は「本発明」とし、ゼオライト(1000g)、ホタテ貝殻(1000g)、籾殻薫炭(500g)の三物質を含む浄化装置を作製し、三個の曝気水槽に設置した。さらに方法3は「曝気のみ」とし、浄化装置を設置しなかった。
【0047】
供試物質の花崗岩、軽石、ゼオライト、ホタテ貝殻はいずれも最大幅10mm以下に破砕した後、腐植土壌および籾殻薫炭を含め全ての供試物質をそれぞれ通水性のあるポリエステル製の布袋に入れて用いた。
【0048】
方法1「対照区」および方法2「本発明」の供試物質の総重量ならびに総体積は、ともにそれぞれ2500g、約6000 cm3と等しくなるように設定した。また、曝気量はいずれも3.5l/minに固定し、さらに、豚の原尿汚水を一週間に一回、8l(リットル)を各組の第一曝気水槽に投入した。
【0049】
各曝気水槽の水温を20℃に維持し、実験は三箇月間行い、一週間毎に水素イオン濃度(pH)、アンモニア態窒素(NH4−N)濃度、硝酸態窒素(NO3−N)濃度、さらに一箇月毎にカルシウムイオン(Ca2+)濃度、供試物質の重量変化、および色変化を、それぞれ測定した。
【0050】
図4は、水質が安定したときの水素イオン濃度の変化を示すグラフ図である。原尿汚水がpH8を超えるアルカリ性であるのに対し、三方法とも第一曝気水槽ではpH5〜6の弱酸性を示した。これは硝酸態窒素の増加が原因である。
【0051】
しかし、方法1「対照区」および方法3「曝気のみ」の第二、第三曝気水槽ではpH4の酸性を示したのに対し、方法2「本発明」の第二、第三曝気水槽のみpH6〜6.7の中性に近い弱酸性を示した。曝気水槽中の微生物や、処理水を利用する植物にとって中性に近い弱酸性は好ましい値といえる。他方、方法1「対照区」および方法3「曝気のみ」の第二、第三曝気水槽のpH4の酸性は、微生物の活動を弱め、かつアンモニア態窒素の硝酸態窒素への変換を抑制する恐れがあることを意味する。
【0052】
図5は、曝気水槽内の供試水のカルシウムイオン(Ca2+)濃度の変化を示したグラフ図である。図に示すように、方法2「本発明」の第二、第三曝気水槽の中性化の原因は、ホタテ貝殻の主成分であるカルシウムイオン(Ca2+)が硝酸態窒素の増加よって溶出し、その酸と中和反応した結果と推定される。第一〜第三の曝気水槽におけるpHの増加と、逆にCa2+の減少がうまく対応している。
【0053】
図6は、曝気水槽内の供試水のアンモニア態窒素(NH4−N)濃度の変化を示したグラフ図である。図に示すように、原尿汚水に比し、いずれの方法も5分の1以下と著しい減少を示した。とりわけ、方法2「本発明」の第二、第三曝気水槽ではアンモニア態窒素はほぼ消滅し、本発明の浄化装置は、有機物の硝酸態窒素への変換効率が著しく高いことを示している。
【0054】
図7は、曝気水槽内の供試水の硝酸態態窒素(NO3−N)濃度の変化を示したグラフ図である。図に示すように、方法1「対照区」および方法3「曝気のみ」が、第二曝気水槽で硝酸態窒素の最も高い値を示したのに対し、方法2「本発明」では第一〜第三曝気水槽の順になだらかに減少していた。これは、曝気水槽内の上下部分で好気性微生物と嫌気性微生物とがうまく共存しており、他の二方法に比し有機物の浄化が順調に進んでいることを示唆している。
【0055】
供試材料の三箇月後の重量減少率は、第三曝気水槽で最も減少が激しく、方法1「対照区」の軽石が7%、花崗岩が0%、方法2「本発明」のホタテ貝殻が18%、ゼオライト8%となった。とりわけホタテ貝殻の減少は著しく、カルシウムの多量の溶出を裏付ける結果となった。なお、腐植土壌と籾殻薫炭の重量変化は、乾燥が難しく、正確な測定には至らなかった。
【0056】
脱色変化を肉眼で観察したところ、方法2「本発明」の第三、第二槽、方法1「対照区」の第三槽の順に脱色が著しかった。
【0057】
<実施例2>
実施例2では、本発明の浄化装置に使われるゼオライト、ホタテ貝殻、籾殻薫炭の三物質のそれぞれの浄化機能およびそれらの交互作用を3因子3水準の実験計画法によって調べるとともに、本発明の浄化装置によって作出された豚の浄化処理水の長いも栽培への影響を調べた。
【0058】
ゼオライトは、リンの除去およびマグネシム(Mg)の増加にそれぞれ効果があった。
【0059】
ホタテ貝殻は、アンモニア態窒素およびリンの除去、カルシウムの増加、さらに水質の中性化にそれぞれ効果が認められた。
【0060】
籾殻薫炭は、有機物濃度の減少に効果があり、また脱色に大きな効果があることがわかった。
【0061】
ゼオライト、ホタテ貝殻、籾殻薫炭の三物質の浄化機能に交互作用はなく、それぞれが単独に機能していることが判明した。よって供試量を増やすことによって目的とする効果をより多く得ることが可能である。しかし、供試量を過剰に増やすことによって、曝気効果の低下を招く恐れがあり、最適な量の判定には総合的判断が必要である。すなわち本発明の尿汚水浄化装置および処理方法によれば、曝気効果の低下を招かない限度においては、各浄化処理材の供試量を増やすほど、目的とする効果をより多く得ることが可能である。
【0062】
図8は、本発明を用いて作出した豚の尿汚水の処理水を、種付け前の長いも土壌に3t/10a散布したとき、散布区(左:通常施肥+処理水散布)と対照区(右:通常施肥のみ)との長いも収量の比較写真図である。図に示す通り、明らかに散布区が規格品数および総重量ともに優っていた。したがって、動物の尿汚水の資源化として植物栽培に充分利用できることが示された。他の作物に対しても、本発明に係る処理水は充分に植物栽培上の有利な効果を示す可能性が高い。
【0063】
【発明の効果】
本発明の尿汚水浄化装置、尿汚水浄化処理ユニットおよび尿汚水処理方法は上述のように構成されるため、高濃度になりやすい動物の尿汚水の活性汚泥法による浄化処理に際し、アンモニア態窒素(NH4−N)を硝酸態窒素(NO3−N)に効率よく変換し、かつその濃度を低下させ、さらに過剰に含有されるカリウム(K)の影響を低減し、効率的な浄化を行うことができる。その結果、低窒素で高カルシウムの浄化水を得ることができる。これを植物栽培に利用することは充分可能であり、農業分野で最も難しいとされる尿汚水の資源化に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の尿汚水浄化装置の構成を示す説明図である。
【図2】図2は前記浄化処理部の構成例を示す説明図である。
【図3】図3は曝気水槽に該浄化処理部が設けられた本発明の尿汚水浄化装置全体の構成例を示す説明図である。
【図4】実施例1において本発明を含む三種の方法で豚の尿汚水を浄化したとき、曝気水槽内の供試水の水素イオン濃度(pH)の変化を示したグラフ図である。
【図5】実施例1において本発明を含む三種の方法で豚の尿汚水を浄化したとき、曝気水槽内の供試水のカルシウムイオン(Ca2+)濃度の変化を示したグラフ図である。
【図6】実施例1において本発明を含む三種の方法で豚の尿汚水を浄化したとき、曝気水槽内の供試水のアンモニア態窒素(NH4−N)濃度の変化を示したグラフ図である。
【図7】実施例1において本発明を含む三種の方法で豚の尿汚水を浄化したとき、曝気水槽内の供試水の硝酸態態窒素(NO3−N)濃度の変化を示したグラフ図である。
【図8】本発明を用いて作出した豚の尿汚水の処理水を種付け前の長いも土壌に散布したとき、散布区(左)と対照区(右)との長いも収量の比較写真図である。
【符号の説明】
1…破砕したゼオライトを入れた網袋、 2…破砕したホタテ貝殻を入れた網袋、 3…籾殻薫炭を入れた網袋、 4…梁、 5…紐、 6、16…活性汚泥、7、17…散気管、 8、18…空気ポンプ、 9、90…曝気水槽、 10…浄化処理部、 11…多孔質性鉱物材料(浄化処理材)、 12…カルシウム集積バイオマス材料(浄化処理材)、 13…ケイ素集積バイオマス材料(浄化処理材)、 14…流入口、 15…流出口、 80…送気手段、 100…尿汚水浄化装置、 S…曝気水槽水面、 W…曝気水槽内部
【発明の属する技術分野】
本発明は尿汚水浄化装置、尿汚水浄化処理ユニットおよび尿汚水処理方法に係り、特に、動物の尿汚水の資源化すなわち植物栽培にも利用可能な、活性汚泥法に基づく尿汚水浄化装置、尿汚水浄化処理ユニットおよび尿汚水処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、動物の尿汚水の浄化方法は、河川放流あるいは農場内散布を目的として、活性汚泥法や生物膜法などの好気性微生物による生物処理法がすでに実施されている。また、有機物廃水の生物処理法の一種であるが、腐植物および珪酸物を含む浄化剤による浄化方法が提案されている(たとえば、後記特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】
特公平5−66199号公報「有機性物質を含む廃水の処理方法」。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
動物の尿汚水は有機物、ミネラル、ビタミンに富み、とりわけ多量に存在する有機物であるアンモニア態窒素(NH4−N)を硝酸態窒素(NO3−N)に効率よく化学変化させ、かつその濃度を低下できれば、植物栽培への有用な液体肥料として資源化が可能である。しかし、尿汚水は、有機物濃度(BOD)が5000mg/lを越える高濃度となりやすく、アンモニア態窒素を硝酸態窒素に容易に化学変化させ、濃度低下できない問題があった。また、尿汚水は多量のカリウム(K)を含むため、植物の他の三大栄養素である窒素(N)やリン(P)との濃度バランスが悪く、その処理水の植物栽培への利用に大きな問題が残されていた。
【0005】
本発明の課題は、上記従来技術の問題点を踏まえ、動物の尿汚水を植物栽培に利用するため、活性汚泥法による動物の尿汚水の浄化に際しアンモニア態窒素(NH4−N)を硝酸態窒素(NO3−N)に効率よく変換し、かつその濃度を低下させ、さらに過剰に含有されるカリウム(K)の影響を低減することのできる、動物の尿汚水の資源化すなわち植物栽培にも利用可能な尿汚水浄化装置、尿汚水浄化処理ユニットおよび尿汚水処理方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本願発明者らは上記課題につき鋭意検討した結果、カルシウム集積バイオマス、多孔質性鉱物材料等を浄化処理材に用いることによって、アンモニア態窒素(NH4−N)を硝酸態窒素(NO3−N)に効率よく変換し、かつその濃度を低下させ、さらに過剰に含有されるカリウム(K)の影響を低減可能であることを見出し、本発明に至った。すなわち、上記課題を解決するための手段として、本願で特許請求される発明は以下のとおりである。
【0007】
(1) 動物またはその飼育空間から排出される、尿を含む汚水(以下、「尿汚水」という。)を浄化処理するための尿汚水浄化装置であって、該尿汚水浄化装置は、尿汚水の流入口と、処理後の浄化水の流出口と、散気管を含む送気手段と、および活性汚泥とを備えた曝気水槽の内部に浄化処理部を備えてなり、該浄化処理部は、多孔質性鉱物材料と、カルシウム集積バイオマス材料と、およびケイ素集積バイオマス材料とが、浄化処理材として含まれてなることを特徴とする、尿汚水浄化装置。
【0008】
(2) 前記カルシウム集積バイオマス材料はホタテ貝等の貝殻であり、前記ケイ素集積バイオマス材料は籾殻等の植物系バイオマスであることを特徴とする、(1)に記載の尿汚水浄化装置。
【0009】
(3) 前記多孔質製鉱物材料は、破砕されたゼオライトであることを特徴とする、(2)に記載の尿汚水浄化装置。
【0010】
(4) 前記カルシウム集積バイオマス材料は、塩分除去処理および破砕処理されたホタテ貝の貝殻であることを特徴とする、(2)または(3)に記載の尿汚水浄化装置。
【0011】
(5) 前記ケイ素集積バイオマス材料は、炭化した籾殻燻炭であることを特徴とする、(2)ないし(4)のいずれかに記載の尿汚水浄化装置。
【0012】
(6) 前記浄化処理部は、前記各浄化処理材がそれぞれ別個に設けられた通水性透孔を有する網袋等の容器に収容され、各容器が集合してなることを特徴とする、(1)ないし(5)のいずれかに記載の尿汚水浄化装置。
【0013】
(7) 前記浄化処理部は、前記各処理材がそれぞれ別個に収容された容器が梁部材に吊り下げられてなることを特徴とする、(6)に記載の尿汚水浄化装置。
【0014】
(8) 前記浄化処理部は、ゼオライト、ホタテ貝殻、籾殻薫炭の三物質がそれぞれ、多数の通水性透孔を有する網袋に収容され、これらの網袋を互いに適度な間隔で離間させ、前記曝気水槽の下半部に設置した散気管の上部に梁と紐とを用いて吊り下げる方式、あるいは、多数の通水性透孔を有する網籠を用いて散気管を取り囲み、その上部に少なくとも一つの網袋を載置する方式により構成されることを特徴とする、(6)に記載の尿汚水浄化装置。
【0015】
(9) 前記ゼオライトは最大幅20mm以下に破砕したものであり、前記ホタテ貝殻は水により塩分除去処理した後最大幅20mm以下に破砕したものであり、前記籾殻燻炭は稲の実を包む外皮を400℃以上で加温し、炭化したものであることを特徴とする、(5)ないし(8)のいずれかに記載の尿汚水浄化装置。
【0016】
(10) 尿汚水に対する浄化処理材として、リン除去作用を有するゼオライト等の多孔質性鉱物材料、アンモニア態窒素除去作用ならびにカルシウム添加作用を有するホタテ貝殻等のカルシウム集積バイオマス材料、および、有機物濃度低下作用ならびに脱色作用を有する籾殻燻炭等のケイ素集積バイオマス材料を有し、これらがそれぞれ別個の形態、または任意の組み合わせにより同伴した形態で、一または複数の通水性透孔を有する容器に収容されてなり、活性汚泥を備えた曝気水槽において用いられることを特徴とする、尿汚水浄化処理ユニット。
【0017】
(11) (1)ないし(9)のいずれかに記載の尿汚水浄化装置を用いて行う尿汚水処理方法であって、該方法は、
(I)前記浄化処理部のうち多孔質性鉱物材料を浄化処理材とする部位において流入した尿汚水に対するリン除去処理がなされ、
(II)該浄化処理部のうちカルシウム集積バイオマス材料を浄化処理材とする部位において該尿汚水に対するアンモニア態窒素除去処理ならびにカルシウム添加処理がなされ、
(III)該浄化処理部のうちケイ素集積バイオマス材料を浄化処理材とする部位において該尿汚水に対する有機物濃度低下処理ならびに脱色処理がなされ、
(IV)前記曝気水槽において活性汚泥法による水質浄化処理がなされ、
該尿汚水はこれら各処理を経て、浄化処理および資源化処理のなされた浄化水として排出されることを特徴とする、尿汚水処理方法。
【0018】
つまり本発明は、尿汚水に対する浄化処理手段として、リン除去作用を有するゼオライト等の多孔質性鉱物材料(後述するようにマグネシウム(Mg)添加作用もある。)、アンモニア態窒素除去作用ならびにカルシウム添加作用を有するホタテ貝殻等のカルシウム集積バイオマス材料(後述するように、水質中性化作用もある。)、および、有機物濃度低下作用ならびに脱色作用を有する籾殻燻炭等のケイ素集積バイオマス材料を用いることを基礎として、尿汚水浄化処理ユニット、尿汚水浄化装置、および尿汚水処理方法を構成するものである。
【0019】
本発明において多孔質性鉱物材料とは、たとえばゼオライトのような、多孔質の鉱物材料をいう。また、カルシウム集積バイオマス材料とは、たとえば貝殻のような、カルシウム分が高濃度に蓄積されているバイオマス材料をいう。また、ケイ素集積バイオマス材料とは、たとえば籾殻のような、ケイ素が高濃度に蓄積されているバイオマス材料をいう。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面により詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
図1は、本発明の尿汚水浄化装置の構成を示す説明図である。図において本装置100は、該尿汚水浄化装置は、尿汚水の流入口14と、処理後の浄化水の流出口15と、散気管17ならびに空気ポンプ18を備えてなる送気手段80と、および活性汚泥16とを備えた曝気水槽90の内部に浄化処理部10を備えてなり、該浄化処理部10は、多孔質性鉱物材料11と、カルシウム集積バイオマス材料12と、およびケイ素集積バイオマス材料13とが、浄化処理材として含まれてなることを、主たる構成とする(請求項1)。ここで尿汚水とは、豚、牛、馬、羊、犬、魚類等の動物から、もしくはその飼育空間から排出された固液分離された糞を一部含む尿、またはこれに加えて洗浄水からなる汚水をいう。本装置では、好気的条件下で尿汚水が浄化処理される。
【0021】
前記浄化処理部10に用いる各浄化処理材は、多孔質性鉱物材料11としては少なくとも尿汚水中のリン除去機能を有する構成のものを、カルシウム集積バイオマス材料12としては少なくともアンモニア態窒素除去機能ならびにカルシウム添加機能を有する構成のものを、およびケイ素集積バイオマス材料13としては少なくとも有機物濃度(BODまたはCOD)低下機能ならびに脱色機能を有する構成のものを、用いることができる。
【0022】
図において本装置100は、前記カルシウム集積バイオマス材料12がホタテ貝等の貝殻であり、前記ケイ素集積バイオマス材料13が籾殻等の植物系バイオマスである構成とすることができる(請求項2)。また、前記多孔質製鉱物材料11は、破砕されたゼオライトである構成とすることができる(請求項3)。さらに、該カルシウム集積バイオマス材料12としては、塩分除去処理および破砕処理されたホタテ貝の貝殻を用いることができ(請求項4)、また、該ケイ素集積バイオマス材料13としては、炭化した籾殻燻炭を用いることができる(請求項5)。特にホタテ貝殻や籾殻はともに廃棄物系のバイオマス材料であり、本発明装置は、これらを用いて畜産系の廃棄物を再利用可能に浄化処理することができる。
【0023】
【作用】
図において本発明の尿汚水浄化装置100は上述のように構成されるため、流入口14から流入した尿汚水は、散気管17を含む送気手段80と活性汚泥16とを備えた曝気水槽90の内部において通常の活性汚泥法による浄化処理が好気的条件下でなされるのと併せて、多孔質性鉱物材料11と、カルシウム集積バイオマス材料12と、およびケイ素集積バイオマス材料13とが浄化処理材として含まれてなる浄化処理部10において、それぞれの機能を生かした浄化処理がなされ、かかる浄化処理を受けて浄化水となって、流出口15から曝気水槽90外へ排出される。
【0024】
特に、前記浄化処理部10においては、多孔質性鉱物材料11では少なくとも尿汚水中のリンが除去され、カルシウム集積バイオマス材料12では少なくともアンモニア態窒素が除去されかつカルシウムが添加されてカルシウム願油量が増加し、ケイ素集積バイオマス材料13では少なくとも有機物濃度(BODまたはCOD)が低下させられかつ脱色がなされることによって、水質が浄化されるとともに、後に詳述する尿汚水の資源化のための処理が施される。
【0025】
図1において、本尿汚水浄化装置100に係る前記浄化処理部10は、前記各浄化処理材11、12、13がそれぞれ別個に設けられた通水性透孔を有する網袋等の容器に収容され、各容器が集合してなる構成とすることができる(請求項6)。また、図2および3を用いて後述するように、該浄化処理部10は、前記各処理材がそれぞれ別個に収容された容器が梁部材に吊り下げられてなる構成とすることができる(請求項7)。
【0026】
つまり前記浄化処理部10は、ゼオライト、ホタテ貝殻、籾殻薫炭の三物質がそれぞれ、多数の通水性透孔を有する網袋に収容され、これらの網袋を互いに適度な間隔で離間させ、前記曝気水槽90の下半部に設置した散気管17の上部に梁と紐とを用いて吊り下げる方式をとれるが、その他に、多数の通水性透孔を有する網籠を用いて散気管17を取り囲み、その上部に少なくとも一つの網袋を載置する方式(請求項8)、その他適宜の方法をとることができる。
【0027】
前記ゼオライトを浄化処理材として用いるには、最大幅20mm以下に破砕したものを用いることにより、浄化処理効果を高めることができる。また、前記ホタテ貝殻は水をかけることにより塩分除去処理した後、最大幅20mm以下に破砕したものを用いることにより、浄化処理効果を高めることができる。また、前記籾殻燻炭は稲の実を包む外皮を400℃以上で加温し、炭化したものを用いることにより、浄化処理効果を高めることができる(請求項9)。
【0028】
図において、本装置100を構成する浄化処理部10は、上述の各浄化処理材(11、12、13)がそれぞれ単独で別個の形態で通水性透孔を有する容器に収容されるか、または任意の組み合わせにより同伴した形態で、一または複数の通水性透孔を有する容器に収容されてなる、尿汚水浄化処理ユニットとして機能する(請求項10)。ここで、任意の組み合わせによる同伴の形態としては、多孔質性鉱物材料11、カルシウム集積バイオマス材料12およびケイ素集積バイオマス材料13の中から任意の二者を同一の容器内に収容する形態、全三者を同一の容器内に収容する形態がある。
【0029】
図1において本尿汚水浄化装置100は上述のように構成されるため、これを用いて、
(I)前記浄化処理部10のうち多孔質性鉱物材料を浄化処理材とする部位(11)において流入した尿汚水に対するリン除去処理をし、
(II)該浄化処理部10のうちカルシウム集積バイオマス材料を浄化処理材とする部位(12)において該尿汚水に対するアンモニア態窒素除去処理ならびにカルシウム添加処理をし、
(III)該浄化処理部10のうちケイ素集積バイオマス材料を浄化処理材とする部位(13)において該尿汚水に対する有機物濃度低下処理ならびに脱色処理をし、
(IV)前記曝気水槽90において活性汚泥法による水質浄化処理をし、
該尿汚水をこれら各処理によって、浄化処理および資源化処理のなされた浄化水とすることができる(請求項11)。
【0030】
本発明に係る尿汚水浄化装置の典型的な実施形態は、ゼオライト、ホタテ貝殻、籾殻薫炭の三物質をそれぞれ多数の通水性透孔を有する網袋に入れて浄化処理部を構成し、これを、尿汚水の流入と流出とができ、散気管と活性汚泥とを有し、活性汚泥法を実現できる曝気水槽の内部に取り付けたものである。以下、かかる実施形態を主として説明する。
【0031】
上記浄化装置の取り付け位置は、上述の通り、曝気水槽内の下部に設置された散気管の上部に、網袋を互いに適度な間隔を保ち、梁と紐とを用いて吊り下げる方式をとれるが、少なくとも一つの網袋がかさ張るか重い場合はその網袋を、多数の通水性透孔を有する網籠を用いて散気管を取り囲みその上部に放置する方式であってもよい。
【0032】
ゼオライトは、二酸化珪素(SiO2)を主成分とする珪酸物で、多孔質構造を有する鉱物である。本発明に用いるゼオライトは天然、合成、いずれのものであってもよく、上述の通り最大幅20mm以下になるように破砕したものを用いることが望ましい。
【0033】
ホタテ貝殻は、イタヤガイ科のホタテ貝の殻で、酸化カルシウム(CaO)を主成分とする。本発明に用いるホタテ貝殻は天然、養殖、いずれのものであってもよく、たとえば、雨水に長時間さらすことをもって塩分除去処理としてもよい。これもゼオライト同様、最大幅20mm以下に破砕したものを用いることが望ましい。
【0034】
籾殻薫炭は、二酸化珪素(SiO2)を主成分とする。稲の実を包む外皮を400℃以上で加温し、炭化させたものを用いることが望ましい。
【0035】
上記のように構成した浄化装置を機能させると、尿汚水の浄化過程で、ホタテ貝殻のカルシウム(Ca)成分が尿汚水中に溶出し、硝酸態窒素の生成による水質の過度の酸性化を中和し、アンモニア態窒素の除去と硝酸態窒素の濃度低減とを実現でき、また、ゼオライトおよび籾殻薫炭によりアンモニア態窒素を吸収させることができる。
【0036】
さらに、本発明の尿汚水浄化装置を複数の曝気水槽に設置し、連続して尿汚水の浄化処理をすれば、高濃度になりやすい動物の尿汚水であっても、低窒素かつ高カルシウムの浄化水を得ることができ、これは容易に植物栽培に利用することができる。
【0037】
すなわち本発明の尿汚水浄化装置は、尿汚水中に含有される過剰のカリウムの影響を低減させる手段として、作物学および畜産学でその拮抗作用が知られているカルシウムを浄化水に付加することを、ねらいとしたものである。
【0038】
なお、本発明には少なくとも一台の曝気水槽が必要で、かつ曝気水槽内には少なくとも一台の散気管6のほか、活性汚泥7が予め培養されていることが必要であることは、いうまでもない。
【0039】
図2および図3は、本発明の実施の一形態を示す図であり、図2は前記浄化処理部の構成例、図3は曝気水槽に該浄化処理部が設けられた本発明の尿汚水浄化装置全体の構成例を示す説明図である。すなわちこれらの図において、本装置は、尿汚水の流入と流出とができ、かつ散気管6と活性汚泥7とを有する曝気水槽9の内部において、ゼオライト1、ホタテ貝殻2、籾殻薫炭3の三物質を含み、それぞれを多数の通水性透孔を有する網袋に入れて、これらの網袋を互いに適度な間隔を保ち、梁4と紐5とを用いて吊り下げた方式の本発明の浄化装置を、曝気水槽9の下半部に設置された散気管6の上部に設置し、尿汚水と十分に接触させ、好気的条件下で浄化するものである。
【0040】
さらに、尿汚水の有機物濃度(BOD)が5000mg/lを越える高濃度であれば、複数の曝気水槽9を使用し、それぞれに本発明の浄化装置を設置し、連続して尿汚水の浄化をする。
【0041】
散気管6からの曝気量は、曝気水槽内の尿汚水の有機物濃度に応じて、定法にしたがい公知の計算式から求める。
【0042】
原尿汚水の投入量および投入間隔、および処理水の移動量および移動間隔は、曝気水槽内の尿汚水の水素イオン濃度(pH)の変化、あるいは気泡量によって判断できるが、通例、三個の曝気水槽を使用する場合、一週間毎に曝気水槽の容積の約10%に相当する尿汚水量を投入または移動するとよい。
【0043】
浄化処理された浄化水(以下、「処理水」ともいう。)はまだ多量の硝酸態窒素を含むため、貯水槽でさらに約一箇月以上留め、嫌気状態で処理水の脱窒を促し、その後、処理水を植物栽培に利用することが望ましい。
【0044】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いて説明する。
<実施例1>
図4ないし図7に示される実施例1では、本発明の尿汚水浄化装置の浄化機能を、他の二つの従来技術による浄化装置と比較実験したものである。
【0045】
実験では60l(リットル)の曝気水槽を三個一組とし、三組の方法を設定した。方法1は「対照区」とし、例えば特公平5−66199号公報等を参考に、花崗岩(1250g)、軽石(250g)、腐植土壌(1000g)の三物質を含む浄化装置を作製し、三個の曝気水槽に設置した。
【0046】
方法2は「本発明」とし、ゼオライト(1000g)、ホタテ貝殻(1000g)、籾殻薫炭(500g)の三物質を含む浄化装置を作製し、三個の曝気水槽に設置した。さらに方法3は「曝気のみ」とし、浄化装置を設置しなかった。
【0047】
供試物質の花崗岩、軽石、ゼオライト、ホタテ貝殻はいずれも最大幅10mm以下に破砕した後、腐植土壌および籾殻薫炭を含め全ての供試物質をそれぞれ通水性のあるポリエステル製の布袋に入れて用いた。
【0048】
方法1「対照区」および方法2「本発明」の供試物質の総重量ならびに総体積は、ともにそれぞれ2500g、約6000 cm3と等しくなるように設定した。また、曝気量はいずれも3.5l/minに固定し、さらに、豚の原尿汚水を一週間に一回、8l(リットル)を各組の第一曝気水槽に投入した。
【0049】
各曝気水槽の水温を20℃に維持し、実験は三箇月間行い、一週間毎に水素イオン濃度(pH)、アンモニア態窒素(NH4−N)濃度、硝酸態窒素(NO3−N)濃度、さらに一箇月毎にカルシウムイオン(Ca2+)濃度、供試物質の重量変化、および色変化を、それぞれ測定した。
【0050】
図4は、水質が安定したときの水素イオン濃度の変化を示すグラフ図である。原尿汚水がpH8を超えるアルカリ性であるのに対し、三方法とも第一曝気水槽ではpH5〜6の弱酸性を示した。これは硝酸態窒素の増加が原因である。
【0051】
しかし、方法1「対照区」および方法3「曝気のみ」の第二、第三曝気水槽ではpH4の酸性を示したのに対し、方法2「本発明」の第二、第三曝気水槽のみpH6〜6.7の中性に近い弱酸性を示した。曝気水槽中の微生物や、処理水を利用する植物にとって中性に近い弱酸性は好ましい値といえる。他方、方法1「対照区」および方法3「曝気のみ」の第二、第三曝気水槽のpH4の酸性は、微生物の活動を弱め、かつアンモニア態窒素の硝酸態窒素への変換を抑制する恐れがあることを意味する。
【0052】
図5は、曝気水槽内の供試水のカルシウムイオン(Ca2+)濃度の変化を示したグラフ図である。図に示すように、方法2「本発明」の第二、第三曝気水槽の中性化の原因は、ホタテ貝殻の主成分であるカルシウムイオン(Ca2+)が硝酸態窒素の増加よって溶出し、その酸と中和反応した結果と推定される。第一〜第三の曝気水槽におけるpHの増加と、逆にCa2+の減少がうまく対応している。
【0053】
図6は、曝気水槽内の供試水のアンモニア態窒素(NH4−N)濃度の変化を示したグラフ図である。図に示すように、原尿汚水に比し、いずれの方法も5分の1以下と著しい減少を示した。とりわけ、方法2「本発明」の第二、第三曝気水槽ではアンモニア態窒素はほぼ消滅し、本発明の浄化装置は、有機物の硝酸態窒素への変換効率が著しく高いことを示している。
【0054】
図7は、曝気水槽内の供試水の硝酸態態窒素(NO3−N)濃度の変化を示したグラフ図である。図に示すように、方法1「対照区」および方法3「曝気のみ」が、第二曝気水槽で硝酸態窒素の最も高い値を示したのに対し、方法2「本発明」では第一〜第三曝気水槽の順になだらかに減少していた。これは、曝気水槽内の上下部分で好気性微生物と嫌気性微生物とがうまく共存しており、他の二方法に比し有機物の浄化が順調に進んでいることを示唆している。
【0055】
供試材料の三箇月後の重量減少率は、第三曝気水槽で最も減少が激しく、方法1「対照区」の軽石が7%、花崗岩が0%、方法2「本発明」のホタテ貝殻が18%、ゼオライト8%となった。とりわけホタテ貝殻の減少は著しく、カルシウムの多量の溶出を裏付ける結果となった。なお、腐植土壌と籾殻薫炭の重量変化は、乾燥が難しく、正確な測定には至らなかった。
【0056】
脱色変化を肉眼で観察したところ、方法2「本発明」の第三、第二槽、方法1「対照区」の第三槽の順に脱色が著しかった。
【0057】
<実施例2>
実施例2では、本発明の浄化装置に使われるゼオライト、ホタテ貝殻、籾殻薫炭の三物質のそれぞれの浄化機能およびそれらの交互作用を3因子3水準の実験計画法によって調べるとともに、本発明の浄化装置によって作出された豚の浄化処理水の長いも栽培への影響を調べた。
【0058】
ゼオライトは、リンの除去およびマグネシム(Mg)の増加にそれぞれ効果があった。
【0059】
ホタテ貝殻は、アンモニア態窒素およびリンの除去、カルシウムの増加、さらに水質の中性化にそれぞれ効果が認められた。
【0060】
籾殻薫炭は、有機物濃度の減少に効果があり、また脱色に大きな効果があることがわかった。
【0061】
ゼオライト、ホタテ貝殻、籾殻薫炭の三物質の浄化機能に交互作用はなく、それぞれが単独に機能していることが判明した。よって供試量を増やすことによって目的とする効果をより多く得ることが可能である。しかし、供試量を過剰に増やすことによって、曝気効果の低下を招く恐れがあり、最適な量の判定には総合的判断が必要である。すなわち本発明の尿汚水浄化装置および処理方法によれば、曝気効果の低下を招かない限度においては、各浄化処理材の供試量を増やすほど、目的とする効果をより多く得ることが可能である。
【0062】
図8は、本発明を用いて作出した豚の尿汚水の処理水を、種付け前の長いも土壌に3t/10a散布したとき、散布区(左:通常施肥+処理水散布)と対照区(右:通常施肥のみ)との長いも収量の比較写真図である。図に示す通り、明らかに散布区が規格品数および総重量ともに優っていた。したがって、動物の尿汚水の資源化として植物栽培に充分利用できることが示された。他の作物に対しても、本発明に係る処理水は充分に植物栽培上の有利な効果を示す可能性が高い。
【0063】
【発明の効果】
本発明の尿汚水浄化装置、尿汚水浄化処理ユニットおよび尿汚水処理方法は上述のように構成されるため、高濃度になりやすい動物の尿汚水の活性汚泥法による浄化処理に際し、アンモニア態窒素(NH4−N)を硝酸態窒素(NO3−N)に効率よく変換し、かつその濃度を低下させ、さらに過剰に含有されるカリウム(K)の影響を低減し、効率的な浄化を行うことができる。その結果、低窒素で高カルシウムの浄化水を得ることができる。これを植物栽培に利用することは充分可能であり、農業分野で最も難しいとされる尿汚水の資源化に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の尿汚水浄化装置の構成を示す説明図である。
【図2】図2は前記浄化処理部の構成例を示す説明図である。
【図3】図3は曝気水槽に該浄化処理部が設けられた本発明の尿汚水浄化装置全体の構成例を示す説明図である。
【図4】実施例1において本発明を含む三種の方法で豚の尿汚水を浄化したとき、曝気水槽内の供試水の水素イオン濃度(pH)の変化を示したグラフ図である。
【図5】実施例1において本発明を含む三種の方法で豚の尿汚水を浄化したとき、曝気水槽内の供試水のカルシウムイオン(Ca2+)濃度の変化を示したグラフ図である。
【図6】実施例1において本発明を含む三種の方法で豚の尿汚水を浄化したとき、曝気水槽内の供試水のアンモニア態窒素(NH4−N)濃度の変化を示したグラフ図である。
【図7】実施例1において本発明を含む三種の方法で豚の尿汚水を浄化したとき、曝気水槽内の供試水の硝酸態態窒素(NO3−N)濃度の変化を示したグラフ図である。
【図8】本発明を用いて作出した豚の尿汚水の処理水を種付け前の長いも土壌に散布したとき、散布区(左)と対照区(右)との長いも収量の比較写真図である。
【符号の説明】
1…破砕したゼオライトを入れた網袋、 2…破砕したホタテ貝殻を入れた網袋、 3…籾殻薫炭を入れた網袋、 4…梁、 5…紐、 6、16…活性汚泥、7、17…散気管、 8、18…空気ポンプ、 9、90…曝気水槽、 10…浄化処理部、 11…多孔質性鉱物材料(浄化処理材)、 12…カルシウム集積バイオマス材料(浄化処理材)、 13…ケイ素集積バイオマス材料(浄化処理材)、 14…流入口、 15…流出口、 80…送気手段、 100…尿汚水浄化装置、 S…曝気水槽水面、 W…曝気水槽内部
Claims (11)
- 動物またはその飼育空間から排出される、尿を含む汚水(以下、「尿汚水」という。)を浄化処理するための尿汚水浄化装置であって、該尿汚水浄化装置は、尿汚水の流入口と、処理後の浄化水の流出口と、散気管を含む送気手段と、および活性汚泥とを備えた曝気水槽の内部に浄化処理部を備えてなり、該浄化処理部は、多孔質性鉱物材料と、カルシウム集積バイオマス材料と、およびケイ素集積バイオマス材料とが、浄化処理材として含まれてなることを特徴とする、尿汚水浄化装置。
- 前記カルシウム集積バイオマス材料はホタテ貝等の貝殻であり、前記ケイ素集積バイオマス材料は籾殻等の植物系バイオマスであることを特徴とする、請求項1に記載の尿汚水浄化装置。
- 前記多孔質製鉱物材料は、破砕されたゼオライトであることを特徴とする、請求項2に記載の尿汚水浄化装置。
- 前記カルシウム集積バイオマス材料は、塩分除去処理および破砕処理されたホタテ貝の貝殻であることを特徴とする、請求項2または3に記載の尿汚水浄化装置。
- 前記ケイ素集積バイオマス材料は、炭化した籾殻燻炭であることを特徴とする、請求項2ないし4のいずれかに記載の尿汚水浄化装置。
- 前記浄化処理部は、前記各浄化処理材がそれぞれ別個に設けられた通水性透孔を有する網袋等の容器に収容され、各容器が集合してなることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記載の尿汚水浄化装置。
- 前記浄化処理部は、前記各処理材がそれぞれ別個に収容された容器が梁部材に吊り下げられてなることを特徴とする、請求項6に記載の尿汚水浄化装置。
- 前記浄化処理部は、ゼオライト、ホタテ貝殻、籾殻薫炭の三物質がそれぞれ、多数の通水性透孔を有する網袋に収容され、これらの網袋を互いに適度な間隔で離間させ、前記曝気水槽の下半部に設置した散気管の上部に梁と紐とを用いて吊り下げる方式、あるいは、多数の通水性透孔を有する網籠を用いて散気管を取り囲み、その上部に少なくとも一つの網袋を載置する方式により構成されることを特徴とする、請求項6に記載の尿汚水浄化装置。
- 前記ゼオライトは最大幅20mm以下に破砕したものであり、前記ホタテ貝殻は水により塩分除去処理した後最大幅20mm以下に破砕したものであり、前記籾殻燻炭は稲の実を包む外皮を400℃以上で加温し、炭化したものであることを特徴とする、請求項5ないし8のいずれかに記載の尿汚水浄化装置。
- 尿汚水に対する浄化処理材として、リン除去作用を有するゼオライト等の多孔質性鉱物材料、アンモニア態窒素除去作用ならびにカルシウム添加作用を有するホタテ貝殻等のカルシウム集積バイオマス材料、および、有機物濃度低下作用ならびに脱色作用を有する籾殻燻炭等のケイ素集積バイオマス材料を有し、これらがそれぞれ別個の形態、または任意の組み合わせにより同伴した形態で、一または複数の通水性透孔を有する容器に収容されてなり、活性汚泥を備えた曝気水槽において用いられることを特徴とする、尿汚水浄化処理ユニット。
- 請求項1ないし9のいずれかに記載の尿汚水浄化装置を用いて行う尿汚水処理方法であって、該方法は、
(I)前記浄化処理部のうち多孔質性鉱物材料を浄化処理材とする部位において流入した尿汚水に対するリン除去処理がなされ、
(II)該浄化処理部のうちカルシウム集積バイオマス材料を浄化処理材とする部位において該尿汚水に対するアンモニア態窒素除去処理ならびにカルシウム添加処理がなされ、
(III)該浄化処理部のうちケイ素集積バイオマス材料を浄化処理材とする部位において該尿汚水に対する有機物濃度低下処理ならびに脱色処理がなされ、
(IV)前記曝気水槽において活性汚泥法による水質浄化処理がなされ、
該尿汚水はこれら各処理を経て、浄化処理および資源化処理のなされた浄化水として排出されることを特徴とする、尿汚水処理方法。
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JP2003093600A JP2004298712A (ja) | 2003-03-31 | 2003-03-31 | 尿汚水浄化装置、尿汚水浄化処理ユニットおよび尿汚水処理方法 |
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JPWO2006057287A1 (ja) * | 2004-11-25 | 2008-06-05 | 楠 敏明 | 活性汚泥生成抑制剤 |
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2003
- 2003-03-31 JP JP2003093600A patent/JP2004298712A/ja active Pending
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