JP2004292497A - レーザ材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】有機結晶を含んでなり、狭線化されたスペクトル幅のレーザ発振を示すレーザ材料を提供する。
【解決手段】π共役系分子1の分子鎖が互いに平行となるように分子配列が制御された結晶構造を有する有機結晶2・3を用いてなり、π共役系分子1に固有の共鳴ラマン効果に基づく発光現象を利用して、単色性に優れたレーザ発振を得ている。具体的には、有機結晶2・3は、π共役系分子1を含んでなる結晶面が、基板10に対して平行又は垂直に形成された結晶構造を有している。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機結晶を用いたレーザ材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
情報通信デバイスの大容量化や高速化、高集積化への要求に伴い、光ネットワークや光配線に利用される光回路の微細化が進められている。現在の光回路の微細化は、光ビーム径の微小化が制限される光の回折限界により、サブマイクロメートル領域からマイクロメートル領域(以下、マイクロ領域と総称する)に留まっている。一方、電子回路の微細化は、現在、ナノメートル領域(以下、ナノ領域)にまで達しており、上記光回路に比べるとはるかに微細化が進んでいる。
【0003】
近年、ナノフォトニクス(ナノオプティクス)の発展に伴って、電子系の量子力学的性質が顕著になるナノ領域と、光が波として伝播するマイクロ領域との間のメゾスコピック領域にて、電子系と光とが結合してなる励起子ポラリトンのデバイスへの展開が進められている(例えば、非特許文献1)。また、光回路のさらなる微細化を実現するために、低次元光波を用いて光ビーム径をナノメートルオーダーとすることにより、ナノ領域にまで光回路を微細化することが提唱されている(例えば、非特許文献2)。
【0004】
このような光回路の微細化に伴う光回路の高集積化とともに、該光回路に設けられる光学スイッチング素子、レーザ光源、波長変換素子等の微細化も重要となってくる。例えば、特許文献1・2には、基板上にπ共役系分子からなる有機半導体結晶を自己組織化し、この自己組織化された有機半導体結晶を有機レーザ素子として用いることによって、レーザ光源の微細化を可能とすることが記載されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−270621号公報(公開日:2002年9月20日)
【0006】
【特許文献2】
特開2002−329931号公報(公開日:2002年11月15日)
【0007】
【非特許文献1】
勝山俊夫等、「励起子ポラリトンの素子応用−極微細光・電子融合デバイス実現をめざして−」、応用物理、第71巻、第6号、p.664−670、2002年
【0008】
【非特許文献2】
高原淳一等、「低次元光波の励起と制御」、応用物理、第71巻、第6号、p.685−689、2002年
【0009】
【非特許文献3】
Shkunov,M.N.等、「Amplified resonant Raman scattering in conducting polymer thin films」、Appl.Phys.Lett.、第73巻、第20号、p.2878−2880、1998年
【0010】
【非特許文献4】
Tartakovskii,A.I.等、「Raman scattering in strongly coupled organic semiconducter microcavities」、Phys.Rev.B、第63巻、121302、2001年
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の有機レーザ素子から得られる発光増幅現象は、基板上に自己組織化されたπ共役系分子の結晶構造に依存する。そのため、上記特許文献1・2に記載の共役系分子を用いた場合、所望する発光増幅が効率よく得られるように、基板上で自己組織化するπ共役系分子の分子配列や結晶サイズを制御しなければならない。
【0012】
一方、非特許文献3・4には、結晶構造に依存しない発光現象として、ラマン散乱過程の関与した発光現象が報告されている。例えば、非特許文献3には、ガラス基板上に、ポリ(2,5−ジオクチルオキシ−p−フェニレンビニレン)(poly(2,5−dioctyloxy−p−phenylenvinylene);DOO−PPV)のスピンコーティングを行って形成された薄膜フィルムが、ラマン散乱過程の関与した発光現象を示すことが報告されている。また、非特許文献4には、誘電体多層膜からなる共振器(dielectric Bragg mirror)が形成された石英基板上に、スピンコーティングを行って形成された有機半導体の薄膜層が、ラマン散乱過程の関与した発光現象を示すことが報告されている。
【0013】
しかしながら、上記非特許文献3に記載の薄膜フィルムは、スピンコーティング法によって形成されたものであるため、分子配列が制御された結晶構造となっていない。これに対し、上記非特許文献4では、石英基板上に共振器を設けているが、この共振器は薄膜層とは別に設けられた外部共振器となっている。そのため、上記したように、微細化された光回路にて、上記非特許文献3・4に記載の薄膜フィルムや薄膜層をレーザ光源として用いる場合、レーザ光源の微小化が困難となる可能性がある。
【0014】
本発明は、上記従来の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、結晶構造の形状に依存しないラマン散乱過程が関与した発光現象を示すとともに、該発光現象が外部共振器を必要とすることなく狭線化されたスペクトル幅のレーザ発振となって現れ得る、レーザ材料を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、π共役系分子の分子鎖が互いに平行となるように分子配列が制御された結晶構造を有する有機結晶を、光励起することによって得られる発光現象が、上記π共役系分子に固有の共鳴ラマン効果に基づくものであることを確認するとともに、該発光現象を利用することによって、発光スペクトルにおけるスペクトルピークの線幅が1nm以下に狭線化されたレーザ発振が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0016】
すなわち、本発明のレーザ材料は、π共役系分子の分子配列を制御した有機結晶を含んでなるレーザ材料において、上記有機結晶は、各π共役系分子の分子鎖が互いに平行となるように配列した結晶構造を有し、共鳴ラマン効果に基づく発光を示すことを特徴としている。
【0017】
具体的には、上記有機結晶は、基板上に設けられているとともに、上記分子鎖が上記基板に対して平行となる方向に配向し、かつ、上記π共役系分子を含んでなる結晶面が上記基板に対して平行となる結晶構造を有していることが好ましい。
【0018】
あるいは、上記有機結晶は、基板上に設けられているとともに、上記分子鎖が上記基板に対して垂直となる方向に配向し、かつ、上記π共役系分子を含んでなる結晶面が上記基板に対して垂直となる結晶構造を有していることが好ましい。
【0019】
上記の構成によれば、共鳴ラマン効果は、π共役系分子の分子構造に依存するため、共鳴ラマン効果に基づく発光(以下、レーザ発振と記載する)は、π共役系分子の分子構造に応じた固有の波長を有する。そのため、本発明のレーザ材料によって得られるレーザ発振は、上記有機結晶の結晶構造に依存することなく、有機結晶をなすπ共役系分子に応じた固有の波長を有する。
【0020】
従って、π共役系分子に固有の共鳴ラマン効果を利用しているので、用いるπ共役系分子を適宜選択して有機結晶を形成すれば、所望する波長のレーザ発振を発するレーザ材料を提供することができる。また、基板上に形成される有機結晶の結晶構造を厳密に制御しなくても、所望する波長のレーザ発振を容易に得ることができる。
【0021】
さらに、本発明のレーザ材料にて得られるレーザ発振は、発光スペクトルにおける発光ピークの線幅が1nm以下に狭線化された、単色性に優れたレーザ材料を、有機結晶を用いて提供することができる。
【0022】
また、上記レーザ材料は、共役系分子の分子鎖が互いに平行となるように配列してなる有機結晶を含んでいる。そのため、上記有機結晶に対する光照射により、励起されたπ共役系分子(以下、励起子と記載する)が有機結晶内に高密度に閉じ込められる。その結果、有機結晶内に閉じ込められた励起子は、上記共鳴ラマン効果に基づく発光と強い相互作用によって結合し、励起子ポラリトンが生成される可能性がある。つまり、上記レーザ発振が、該励起子ポラリトンによって媒介された現象として現れている可能性がある。
【0023】
上記励起子ポラリトンは光の回折限界に制限されることがないので、光の回折限界よりも小さいナノメートル領域から、該ナノメートル領域とマイクロメートル領域との間のメゾスコピック領域で、伝播することができるレーザ発振が得られると考えられる。それゆえ、上記励起子ポラリトンを用いることにより、電子素子と光素子との両方を融合してなる、新規な光・電子融合素子を実現することが期待される。これにより、情報通信デバイスのさらなる大容量化や高速化、高集積化を、有機結晶を用いて実現することができる可能性がある。
【0024】
さらに、有機結晶内に励起子が高密度にて閉じ込められることにより、レーザ発振の閾値を低下させることができる。また、上記有機結晶は、共役系分子を含んでなる結晶面が、基板に対して平行又は垂直に形成された結晶構造を有しているので、該結晶構造を自己導波路や微小共振器として利用することによって、レーザ光の偏向や放射方向を制御することができる。
【0025】
また、本発明のレーザ材料は、上記のレーザ材料において、上記π共役系分子は、上記π共役系分子は、ベンゼン環及びチオフェン環のうちの少なくとも一方を構造単位として含んでいることを特徴としている。
【0026】
上記の構成によれば、構造単位であるベンゼン環及び/又はチオフェン環の数の異なるπ共役系分子を用いることにより、青色から赤色までの可視光領域での種々の色のレーザ発振を示すレーザ材料を提供することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について図1に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0028】
本発明のレーザ材料は、光回路の微細化に伴って該光回路に設けられるレーザ光源に対して要求される微細化を実現するために、分子鎖長の揃ったπ共役系分子を用い、該π共役系分子の分子鎖が互いに平行となるように分子配列が制御された結晶構造を有する有機結晶を用いるとともに、上記π共役系分子に固有の共鳴ラマン効果に基づく発光現象を利用することによって、発光スペクトルにおけるスペクトルピークの線幅が1nm以下に狭線化された単色性に優れたレーザ発振を示すものである。
【0029】
すなわち、本発明のレーザ材料の上記有機結晶は、各π共役系分子の分子鎖を互いに平行に配列するために、π共役系分子の分子鎖を同一の方向に配向させるように、各π共役系分子が配置されてなる結晶面を有している。具体的には、図1(a)(b)に示すように、π共役系分子の分子鎖に平行であって該π共役系分子を含んでなる結晶面が、基板10に対して平行又は垂直に形成された結晶構造を有している。
【0030】
なお、以下では、説明の便宜上、π共役系分子を含んでなる結晶面が基板10に対して平行な結晶構造を有する有機結晶を、ニードル状結晶2(図1(a))と記載し、π共役系分子を含んでなる結晶面が基板10に対して垂直な結晶構造を有する有機結晶を、薄板状結晶3(図1(b))と記載する。
【0031】
上記ニードル状結晶2は、図1(a)に示すように、基板10上にて、π共役系分子1の分子鎖が該基板10に対して平行となる方向に配向するとともに、π共役系分子1が同一平面をなすように配置された該π共役系分子1を含む結晶面が、基板10に対して平行となる結晶構造を有する有機結晶をいう。また、ニードル状結晶2は、π共役系分子1の分子鎖が、該ニードル状結晶の長軸(ニードル軸)に対して垂直となる方向に配向していることが好ましい。
【0032】
本発明のニードル状結晶は、例えば、長軸方向の長さが数10μm〜数100μm、該長軸方向に垂直な方向であるπ共役系分子の各分子鎖の配向方向の長さが数100nm〜数μmとなっている。なお、詳細は後述するが、ニードル状結晶が形成される基板10は、アルカリハライド単結晶基板であることが好ましい。
【0033】
また、上記薄板状結晶3は、図1(b)に示すように、基板10上にて、π共役系分子1の分子鎖が、該基板10に対して垂直となる方向に配向するとともに、π共役系分子1が同一平面をなすように配置された該π共役系分子1を含む結晶面が、基板10に対して垂直となる結晶構造を有する有機結晶をいう。薄板状結晶3は、基板10に対して垂直となるπ共役系分子1が形成する結晶面に取り囲まれてなり、該結晶面に取り囲まれた空間は空洞となっている結晶構造を有している。本発明の薄板状結晶3は、例えば、結晶サイズが数10μmとなっている。
【0034】
上記ニードル状結晶2又は薄板状結晶3等の有機結晶は、波長可変パルスレーザ等による光照射によって光励起されると、発光する。この光励起によって生じた発光は、有機結晶内に閉じ込められて増幅し、誘導放射を生じさせる。つまり、上記有機結晶にて生じた発光は、増幅された自然放出発光(ASE(Amplified Spontaneous Emission)発光)現象を引き起こし、該ASE発光現象に基づくレーザ発振(以下、ASEレーザ発振と記載する)となって現れる。
【0035】
上記有機結晶は、π共役系分子1の分子配列が制御された結晶構造を有するので、上記ASEレーザ発振は、有機結晶自体が量子井戸のような励起子閉じ込め構造となって、該有機結晶内に閉じ込められた発光が効率的に誘導放射を引き起こすことによって生じる。すなわち、有機結晶自体が、導波路や共振器としての役割を果たす自己導波路効果及び自己空洞共振器効果によって、ASE発光現象が得られる。
【0036】
また、上記ニードル状結晶2又は薄板状結晶3等の有機結晶は、上記ASEレーザ発振に加えて、さらに、共鳴ラマン効果に基づいた発光現象によるレーザ発振(以下、共鳴ラマンレーザ発振と記載する)を示す。共鳴ラマン効果は、π共役系分子1の分子構造に依存するため、π共役系分子1のラマン散乱光は、分子構造に応じた固有の波長を有する。そのため、共鳴ラマンレーザ発振は、励起用のレーザ光のエネルギーからπ共役系分子の振動エネルギーを差し引いたエネルギーに対応する波長に現れることになる。また、共鳴ラマンレーザ発振は、ASEレーザ発振が現れる波長域で強く現れる。
【0037】
なお、上記共鳴ラマンレーザ発振の波長は、有機結晶の結晶構造には依存しないが、図1(a)に示すニードル状結晶2の発光スペクトルを測定した場合には、それぞれのラマン線は1本の発光ピークとして現れ、図1(b)に示す薄板状結晶3の発光スペクトルを測定した場合には、それぞれのラマン線が2本に分裂した発光ピークとなって現れる。このような発光ピークの形状の違いが生じるのは、薄板状結晶3では、図1(b)に示すように、基板10に対して垂直となるπ共役系分子1が形成する結晶面に取り囲まれた結晶構造を有するためである。つまり、上記結晶面に取り囲まれた空間は空洞となっているため、上記結晶面が互いに平行に配置されていれば、該結晶面がミラー共振器の役割を果たすので、発光ピークが分裂することになる。
【0038】
また、有機結晶の光照射によって得られたレーザ発振が、ASEレーザ発振ではなく共鳴ラマンレーザ発振であることは、有機結晶に照射した励起光の励起波長を変化させながら、発光波長を測定することによって確認することができる。つまり、共鳴ラマンレーザ発振であれば、励起波長の変化に伴って、発光ピークの波長が平行移動するように変化する。言い換えれば、励起光のエネルギーと発光ピークでのエネルギーとの差が、励起光の励起波長を変化させても一定となっていれば、共鳴ラマンレーザ発振であると考えることができる。一方、ASEレーザ発振であれば、励起光の励起波長の変化に伴って、発光ピークの波長が変化することはない。それゆえ、有機結晶の光照射によって得られたレーザ発振が、ASEレーザ発振又は共鳴ラマンレーザ発振のいずれであるかを確認することは容易に行うことができる。
【0039】
さらに、本発明のレーザ材料は、図1(a)(b)に基づいて説明したように、共役系分子1の分子鎖が互いに平行となるように配列してなる有機結晶を含んでいる。そのため、上記有機結晶は、π共役系分子の分子鎖に沿った一次元遷移双極子を有し、光照射により、π共役系分子が一挙に励起した集団励起状態となる。このように励起されたπ共役系分子(以下、励起子と記載する)は、上記したように、励起子閉じ込め構造となっている有機結晶内に閉じ込められる。
【0040】
それゆえ、有機結晶内に閉じ込められた励起子は、上記共鳴ラマン効果による発光現象との強い相互作用によって結合し、励起子ポラリトンが生成される可能性がある。この励起子ポラリトンが生成されていれば、上記共鳴ラマンレーザ発振が、該励起子ポラリトンによって媒介された現象として現れている可能性がある。励起子ポラリトンは、励起子(電子)と光とが結合してなる連成波であり、励起子としての性質及び光としての性質の両者を併せ持つ。従って、励起子ポラリトンによって媒介された共鳴ラマンレーザ発振は、光の回折限界よりも小さいナノメートル領域から、該ナノメートル領域とマイクロメートル領域との間のメゾスコピック領域で、伝播することができる。また、励起子ポラリトンは、励起子の位相と光の位相とが保存されるのでコヒーレンスに優れているため、発光スペクトルにおける発光ピークの線幅が1nm以下に狭線化された、単色性に優れた共鳴ラマンレーザ発振が得られると考えられる。
【0041】
それゆえ、上記励起子ポラリトンを用いれば、電子素子と光素子との両方を融合してなる、新規な光・電子融合素子を実現することが期待される。すなわち、励起子ポラリトンは、光の回折限界に制限されることがないため、ナノメートル領域からメゾスコピック領域での伝播が必要とされる光・電子融合素子に適用することができる可能性がある。
【0042】
上記励起子ポラリトンは、文献(前記した非特許文献1・2;Ogawa,K.等、Phys.Rev.Lett.、第64巻、第7号、p.796−799、1990年;小川憲介等、固体物理、第25巻、第7号、1990年等)に記載のように、ガリウム砒素(GaAs)量子井戸光導波路で確認されているが、有機結晶では確認されていない。
【0043】
従って、本発明のレーザ材料から得られるレーザ発振が、励起子ポラリトンに媒介されるものであれば、光の伝播では実現することができなかった、ナノメートルスケールやメゾスコピックスケールでの光・電子融合素子を、有機結晶を用いて実現することが期待される。これにより、情報通信デバイスのさらなる微細化とともに、該情報通信デバイスのさらなる大容量化や高速化、高集積化を、有機結晶を用いて実現することができる可能性がある。
【0044】
本発明のレーザ材料では、上記のように励起子ポラリトンに媒介されていると考えられる共鳴ラマンレーザ発振を得るために、図1(a)(b)に示すように、π共役系分子1を用いて、分子鎖の配列が高度に制御された低次元の有機結晶を形成している。上記有機結晶をなすπ共役系分子1としては、上記有機結晶に対する光照射により、共鳴ラマン効果を確認することができるものを用いている。従って、上記π共役系分子1は、共鳴ラマン効果を確認することがものであれば特に限定されない。
【0045】
例えば、可視光領域での共鳴ラマンレーザ発振を得るためには、π共役系分子を構成する構造単位(ユニット)に、ベンゼン環及びチオフェン環のうちの少なくとも一方を含んでなるものであることが好ましい。この場合、上記ベンゼン環及び/又はチオフェン環と共役するものであれば、ベンゼン環及びチオフェン環以外の二重結合を有する構造単位が含まれていてもよい。なお、π共役系分子を構成する各構造単位数は特に限定されず、2種以上の構造単位を含む場合には、それぞれの構造単位数も特に限定されない。また、各構造単位の結合順序についても特に限定されない。
【0046】
上記π共役系分子としては、具体的には、チオフェン環を構造単位とするチオフェン共役分子、ベンゼン環を構造単位とするp−フェニレン共役分子、チオフェン環とベンゼン環とを構造単位とする(チオフェン/フェニレン)共役分子、ベンゼン環とビニル系二重結合とを構造単位とする(フェニレン/ビニレン)共役分子、チオフェン環とキノリン環を構造単位とする(チオフェン/キノリン)共役分子等を挙げることができる。
【0047】
上記の各π共役系分子を構成する構造単位数は限定されないが、構造単位の総数が3以上10以下であることが好ましく、5以上8以下であることが特に好ましい。また、2種以上の構造単位を含むπ共役系分子の場合、それぞれの構造単位数や各構造単位の結合順序は、特に限定されないが、各構造単位数に応じて、共鳴ラマンレーザ発振の波長が変化するので、所望する波長の共鳴ラマンレーザ発振が得られるように、所定の構造単位数を有するπ共役系分子を選択することが好ましい。
【0048】
上記π共役系分子のうち、(チオフェン/フェニレン)共役分子としては、例えば、下記化学式(a)〜(h)にて表される構造を有する分子を挙げることができる。
【0049】
【化1】
Figure 2004292497
【0050】
上記化学式(a)〜(h)にて表される構造を有する(チオフェン/フェニレン)共役分子は、可視光領域の波長の発光を示す。また、(チオフェン/フェニレン)共役分子に含まれる構造単位であるチオフェン環の数に依存して、共鳴ラマンレーザ発振の波長が変化する。具体的には、(チオフェン/フェニレン)共役分子に含まれるチオフェン環の数が増加すると、発光波長が長波長側にシフトする。そのため、(チオフェン/フェニレン)共役分子に含まれるチオフェン環の数を適宜変化させることによって、青色から赤色までの種々の発光色を得ることができる。
【0051】
次に、本発明のレーザ材料の製造方法について説明する。本発明のレーザ材料は、図1(a)(b)に示すように、基板10上に、π共役系分子を含む有機結晶を形成してなるものである。
【0052】
図1(a)に示すニードル状結晶2は、従来公知のホット・ウォール・エピタキシー法又は真空蒸着法を用いて、基板10上に、π共役系分子1の結晶を成長させればよい。このとき、π共役系分子1の分子鎖を所定方向に配列させるために、基板10としてアルカリハラリド単結晶基板を用い、該アルカリハラリド単結晶基板の劈開面にて、π共役系分子1の結晶を成長させることが好ましい。アルカリハラリド単結晶基板としては、例えば、塩化カリウム(KCl)単結晶基板、臭化カリウム(KBr)単結晶基板、塩化ナトリウム(NaCl)単結晶基板等を挙げることができる。
【0053】
具体的には、上記ホット・ウォール・エピタキシー法では、真空雰囲気下にて、π共役系分子1を加熱昇華させ、加熱されたホット・ウォール中に設置された基板10上に蒸着させればよい。上記ホット・ウォール・エピタキシー法による結晶の成長条件は、特に限定されないが、好ましくは、真空度が、1×10−3Pa以下であることがより好ましい。また、ホット・ウォールの加熱温度は、100℃以上250℃以下であることが好ましく、130℃以上200℃以下であることがより好ましい。さらに、ホット・ウォール中に設置された基板10の温度は、100℃以上250℃以下であることが好ましく、130℃以上200℃以下であることがより好ましい。
【0054】
また、真空蒸着法では、真空雰囲気下にて、π共役系分子1を加熱昇華させて、加熱された基板10上に蒸着させればよい。該真空蒸着法による結晶の成長条件は、特に限定されないが、好ましくは、真空度が、1×10−3Pa以下であることがより好ましい。また、加熱された基板10の温度は、100℃以上250℃以下であることが好ましく、130℃以上200℃以下であることがより好ましい。
【0055】
なお、基板10上に形成される結晶構造、結晶サイズ、π共役系分子の配向方向は、π共役系分子1の分子構造、ホット・ウォール温度、基板温度、基板材料の種類、蒸着速度、蒸着量に応じて制御することができるため、所望する結晶構造が得られるように、適宜、結晶の成長条件を設定すればよい。
【0056】
また、図1(b)に示す薄板状結晶3は、π共役系分子を溶解した溶液からの再結晶によって析出させればよい。その後、再結晶によって得られた結晶を水等の非溶媒中に分散し、この分散液を基板10上に滴下し、分散液中の非溶媒を蒸発させることにより、基板10上にπ共役系分子の薄板状結晶が固定化されたレーザ材料を得ることができる。基板10上に形成される結晶構造、結晶サイズ、π共役系分子の配向方向は、上記再結晶法に用いた、溶液濃度や析出温度等、再結晶を行う条件を適宜設定することによって制御することができるため、上記条件は特に限定されない。
【0057】
具体的には、π共役系分子を溶解させるための溶媒としては、π共役系分子を溶解することができるものであれば特に限定されないが、例えば、ニトロベンゼン、メタノール、酢酸エチル、アセトン、テトラヒドロフラン、トルエン、クロロホルム、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン等を挙げることができる。また、π共役系分子を溶解した溶液の濃度は、用いる溶媒及び該溶媒に対するπ共役系分子の溶解度に応じて適宜設定すればよいが、例えば、1×10−5mol/L以上1×10−1mol/L以下の範囲内とすることが好ましく、1×10−4mol/L以上1×10−2mol/L以下であることがより好ましい。さらに、基板10上に薄板状結晶を析出させる際の析出温度は、用いる溶媒及び該溶媒に対するπ共役系分子の溶解度に応じて適宜設定すればよいが、20℃以上150℃以下であることが好ましく、50℃以上100℃以下であることがより好ましい。なお、再結晶法にて用いる基板10としては、ガラス基板、石英基板、マイカ基板等、特に限定されない。
【0058】
【実施例】
次に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。なお、本実施例においても、前記発明の実施の形態にて説明したように、π共役系分子がなす有機結晶を、その形状に応じて、ニードル状結晶又は薄板状結晶と記載する。
【0059】
〔実施例1〕
本発明の一実施例について図2ないし図4に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0060】
チオフェン/フェニレン共役分子として、下記化学式(a)
【0061】
【化2】
Figure 2004292497
【0062】
にて表される構造を有するBP1Tを用い、ホット・ウォール・エピタキシー法によって、KCl単結晶基板上に、BP1Tのニードル状結晶を成長させた。すなわち、5×10−4Paの真空度にて、ホット・ウォールの温度を130℃〜200℃の範囲内に調整し、かつ、KCl単結晶基板を130℃〜200℃の範囲内に調整して、抵抗加熱した石英ルツボから上記BP1Tを昇華させて、KCl単結晶基板の(001)劈開面上に蒸着させ、BP1T結晶(A)を得た。
【0063】
得られたBP1T結晶(A)を蛍光顕微鏡にて観察した結果を図2に示す。図2に示すように、KCl単結晶基板の(001)劈開面に直交した方向に、結晶がエピタキシャル成長したニードル状結晶が得られたことがわかる。また、該ニードル状結晶は、長軸方向の長さが数10μm、該長軸方向に垂直な方向の長さが数μm〜10μmを有していることがわかる。
【0064】
さらに、上記BP1T結晶(A)を透過電子顕微鏡にて観察した結果を図3(a)に示し、図3(a)中の丸印にて囲んだ位置にて電子線回折を行った結果を図3(b)に示す。図3(b)に示すように、2.219nmの回折点が見られる。この回折点の大きさは、BP1T結晶(A)を構成するBP1Tの分子長に対応するため、KCl単結晶基板の(001)劈開面に平行に、かつ、BP1T結晶(A)の長軸(ニードル軸)方向に垂直に、BP1Tが配向していることがわかる。
【0065】
また、KCl単結晶基板上に形成されたBP1T結晶(A)に、励起光としてOPOパルスレーザ光(λ=430nm〜700nm、5ns、10Hz)をシリンドリカルレンズで線状に絞って照射し、該KCl単結晶基板に平行な方向に放射した発光スペクトルをCCDマルチチャンネル分光器で検出した。その結果を図4に示す。図4に示すように、上記BP1T結晶(A)は、465nm、466.5nm、470nm付近に、半値幅が0.5nm程度に狭線化した発光ピークが見られる。これらの発光ピークは、後述する実施例2にて得られた薄板状結晶であるBP1T結晶(B)の発光ピークと一致しており、結晶構造に依存しない共鳴ラマン効果による発光現象が得られていることがわかる。
【0066】
さらに、BP1T結晶(A)は、ニードル状結晶であるため、共振器構造を有していないが、465nm、466.5nm、470nm付近に現れる発光ピークは、半値幅が0.5nm程度のシャープな発光ピークとなっている。それゆえ、これらの発光ピークは、共鳴ラマン効果による発光と、励起されたBP1T結晶(A)との間に強い相互作用が存在する励起子ポラリトンが媒介する発光現象に起因する可能性が示唆される。
【0067】
〔実施例2〕
本発明の他の実施例について図5及び図6に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0068】
チオフェン/フェニレン共役分子として、上記化学式(a)にて表される構造を有するBP1Tをニトロベンゼンに溶解したニトロベンゼン溶液(1×10−3ol/L)から再結晶を行ってBP1Tを析出させ、ガラス基板上に固定させ、BP1T結晶(B)を得た。
【0069】
得られたBP1T結晶(B)を蛍光顕微鏡にて観察した結果を図5に示す。図5に示すように、ガラス基板上に、結晶サイズが数10μmとなる薄板状結晶が得られたことがわかる。
【0070】
また、上記BP1T結晶(B)の電子線回折を行った結果を図6に示す。図6に示すように、BP1T結晶(B)を構成するBP1Tの分子鎖が、薄板状結晶の結晶面に対して、直立するように配向していることがわかる。
【0071】
さらに、前記実施例1と同様の手法にて、BP1T結晶(B)の発光スペクトルを測定した結果を図4に示す。図4に示すように、上記BP1T結晶(B)は、前記実施例1で観測された発光ピークと同様に、465nm、466.5nm、470nm付近に、狭線化した発光ピークが見られる。
【0072】
しかしながら、BP1T結晶(B)の発光スペクトルで観測された465nm、466.5nmの発光ピークは、分裂幅が約1nmの2本に分裂した発光ピークとなっている。この発光ピークの分裂幅から見積もった共振器長は約50μmであり、BP1T結晶(B)の結晶サイズとよく一致する。従って、上記発光ピークの分裂は、BP1T結晶(B)の分子鎖がガラス基板に対して垂直な方向に配向して形成された結晶面が、互いに平行に配置されていることによって、ミラー共振器として作用するためであると考えられる。
【0073】
〔実施例3〕
チオフェン/フェニレン共役分子として、下記化学式(h)
【0074】
【化3】
Figure 2004292497
【0075】
にて表される構造を有するAC’7をニトロベンゼンに溶解したニトロベンゼン溶液(5×10−5mol/L)から再結晶をAC’7を析出させ、ガラス基板上に固定することにより、AC’7結晶(C)を得た。
【0076】
得られたAC’7結晶(C)を蛍光顕微鏡にて観察した結果を図7に示す。図7に示すように、ガラス基板上に、結晶サイズが数10μmとなる薄板状結晶が得られたことがわかる。
【0077】
また、前記実施例1と同様の手法にて、AC’7結晶(C)の発光スペクトルを測定した結果を図8に示す。
【0078】
さらに、図8に示す発光スペクトルに基づいて、励起波長λexに対して、発光強度(任意単位)、発光ピークの半値幅(nm)をプロットした結果を図9に示す。図8及び図9に示すように、励起波長λexが495nm〜513nmの範囲である場合に現れているブロードな発光ピークは、半値幅が数nm〜数10nmとなっていることがわかる。これに対し、励起波長λexが515nm以上には、半値幅が0.5nm程度のシャープな発光ピークが2本現れていることがわかる。
【0079】
また、図8に示す発光スペクトルに基づいて、励起波長λexに対して、発光波長λemをプロットした結果を図10に示す。図10に示すように、励起波長λexが515nm以上である場合に現れる2本の発光ピークの発光波長λemは、励起波長λexに比例して変化している。つまり、この2本の発光ピークは、励起光のエネルギーが変化すると、この変化に伴って一定の割合で、発光のエネルギーが変化する。従って、励起波長λexが515nm以上である場合に現れる2本の発光ピークは、共鳴ラマン効果による発光現象であることがわかる。
【0080】
従って、図8に示す励起波長λexが515nm未満であるときに現れているブロードな発光ピークは、ASE発光現象であり、励起波長λexが515nm以上であるときに現れているシャープな発光ピークは、共鳴ラマン効果による発光現象であることがわかる。それゆえ、励起波長λexが515nm以上である場合に現れる2本のシャープな発光ピークは、AC’7結晶(C)の構成単位であるAC’7分子の全対称振動モード(振動波数JA1:1602cm−1)とAC’7分子の逆対称振動モード(振動波数JB1:1451cm−1)との分子振動により、ストークスシフトしていると考えられる。
【0081】
【発明の効果】
本発明のレーザ材料は、以上のように、π共役系分子の分子鎖が互いに平行となるように分子配列が制御された結晶構造を有する有機結晶を用いてなり、上記π共役系分子に固有の共鳴ラマン効果に基づく発光現象を利用することによって、発光スペクトルにおけるスペクトルピークの線幅が1nm以下に狭線化された単色性に優れたレーザ発振を示すものである。
【0082】
具体的には、上記有機結晶は、基板上に設けられているとともに、上記分子鎖が上記基板に対して平行となる方向に配向し、かつ、上記π共役系分子を含んでなる結晶面が上記基板に対して平行となる結晶構造を有していることが好ましい。
【0083】
あるいは、上記有機結晶は、基板上に設けられているとともに、上記分子鎖が上記基板に対して垂直となる方向に配向し、かつ、上記π共役系分子を含んでなる結晶面が上記基板に対して垂直となる結晶構造を有していることが好ましい。
【0084】
それゆえ、共鳴ラマン効果に基づく発光(以下、レーザ発振と記載する)は、π共役系分子の分子構造に応じた固有の波長を有する。従って、本発明のレーザ材料は、上記有機結晶の結晶構造に依存することなく、有機結晶をなすπ共役系分子に応じた固有の波長のレーザ発振を発する。
【0085】
従って、用いるπ共役系分子を適宜選択して有機結晶を形成すれば、所望する波長のレーザ発振を発するレーザ材料を提供することができるという効果を奏する。また、基板上に形成される有機結晶の結晶構造を厳密に制御しなくても、所望する波長のレーザ発振を容易に得ることができるという効果を奏する。
【0086】
また、本発明のレーザ材料のレーザ発振は、励起子ポラリトンによって媒介されている可能性がある。従って、本発明のレーザ材料は、上記励起子ポラリトンを用いることにより、電子素子と光素子との両方を融合してなる、新規な光・電子融合素子を実現するために利用することができる可能性がある。これにより、情報通信デバイスのさらなる微細化とともに、大容量化や高速化、高集積化を、有機結晶を用いて実現することが期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるレーザ材料の実施の一形態を示し、(a)はニードル状の有機結晶を有するレーザ材料の斜視図であり、(b)は薄板状の有機結晶を有する斜視図である。
【図2】KCl単結晶基板上に形成されたBP1T結晶(A)の蛍光顕微鏡像である。
【図3】(a)は、KCl単結晶基板上に形成されたBP1T結晶(A)の透過電子顕微鏡像であり、(b)は、KCl単結晶基板上に形成されたBP1T結晶(A)の電子線回折パターンである。
【図4】BP1T結晶(A)及びBP1T結晶(B)の発光スペクトルである。
【図5】ガラス基板上に形成されたBP1T結晶(B)の蛍光顕微鏡像である。
【図6】ガラス基板上に形成されたBP1T結晶(B)の電子線回折パターンである。
【図7】ガラス基板上に形成されたAC’7結晶(C)の蛍光顕微鏡像である。
【図8】AC’7結晶(C)の発光スペクトルである。
【図9】図8に示す発光スペクトルに基づいて、励起波長λexに対して、発光強度及び発光ピークの半値幅をプロットしたグラフである。
【図10】図8に示す発光スペクトルに基づいて、励起波長λexに対して、発光波長λemをプロットしたグラフである。
【符号の説明】
1 π共役系分子
2 有機結晶(ニードル状結晶)
3 有機結晶(薄板状結晶)
10 基板

Claims (4)

  1. π共役系分子の分子配列を制御した有機結晶を含んでなるレーザ材料において、
    上記有機結晶は、各π共役系分子の分子鎖が互いに平行となるように配列している結晶構造を有し、
    共鳴ラマン効果に基づく発光を示すことを特徴とするレーザ材料。
  2. 上記有機結晶は、基板上に設けられているとともに、上記分子鎖が上記基板に対して平行となる方向に配向し、かつ、上記π共役系分子を含んでなる結晶面が上記基板に対して平行となる結晶構造を有していることを特徴とする請求項1記載のレーザ材料。
  3. 上記有機結晶は、基板上に設けられているとともに、上記分子鎖が上記基板に対して垂直となる方向に配向し、かつ、上記π共役系分子を含んでなる結晶面が上記基板に対して垂直となる結晶構造を有していることを特徴とする請求項1記載のレーザ材料。
  4. 上記π共役系分子は、ベンゼン環及びチオフェン環のうちの少なくとも一方を構造単位として含んでいることを特徴とする請求項1、2又は3記載のレーザ材料。
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