JP2004285459A - 高周波熱処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】被熱処理材の寸法のばらつきによる加熱範囲の変化を低減し、もって、必要な部位に所期の部品強度を付与し得る高周波熱処理装置を提供する。
【解決手段】高周波熱処理装置は、誘導加熱コイル32と、誘導加熱コイルのコイル軸Oc方向に連接部14を沿わせて保持したコンロッド10を、誘導加熱コイルに対して相対的に、コイル軸方向に沿って移動させる位置決め機構41と、位置決め機構41を制御するための制御部と、を有する。制御部は、位置決め機構41を制御することで、コンロッドのピッチ寸法と当該ピッチ寸法の設計上の基準長さとの間の寸法誤差がコイル軸方向に沿う両側に均等に振り分けられる平衡位置に、コンロッドを位置決めする。
【選択図】 図7
【解決手段】高周波熱処理装置は、誘導加熱コイル32と、誘導加熱コイルのコイル軸Oc方向に連接部14を沿わせて保持したコンロッド10を、誘導加熱コイルに対して相対的に、コイル軸方向に沿って移動させる位置決め機構41と、位置決め機構41を制御するための制御部と、を有する。制御部は、位置決め機構41を制御することで、コンロッドのピッチ寸法と当該ピッチ寸法の設計上の基準長さとの間の寸法誤差がコイル軸方向に沿う両側に均等に振り分けられる平衡位置に、コンロッドを位置決めする。
【選択図】 図7
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高周波熱処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車エンジンなどの内燃機関におけるピストンとクランクシャフトとを連結し、ピストンの往復運動をクランクシャフトに伝達するために、コンロッドが使用されている。コンロッドに十分な部品強度を付与するために、高周波焼き入れが施されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
高周波焼き入れを施す従来の高周波熱処理装置は、コンロッドなどの被熱処理材の周りにコイルを配置し、当該コイルに電流を流すことにより高周波誘導加熱を引き起こし、被熱処理材を昇温させている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開昭59−89720号公報
【特許文献2】
特開平8−73927号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
鍛造部品にあっては、機械加工が施されていない粗材の状態では、粗材におけるある部位間の実際の長さには、若干ながらもばらつきが存在し、当該部位間の設計上の基準長さとの間には寸法誤差がある。例えば、一の方向に沿って伸びた軸部を有する鍛造部品であるコンロッドにあっては、大端部側の孔中心と小端部側の孔中心との間の距離であるピッチ寸法には、元々ばらつきがある。
【0006】
被熱処理材の寸法のばらつきによって加熱範囲が変化すると、焼き入れ範囲も変化してしまい、その結果、必要な部位に所期の部品強度を付与することができなくなるという問題を招来する。
【0007】
本発明は、上記従来技術に伴う課題を解決するためになされたものであり、被熱処理材の寸法のばらつきによる加熱範囲の変化を低減し、もって、必要な部位に所期の部品強度を付与し得る高周波熱処理装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記する手段により達成される。
【0009】
一の方向に沿って伸びた軸部を有する被熱処理材を熱処理するための高周波熱処理装置であって、
前記被熱処理材を誘導加熱するための誘導加熱コイルと、
前記誘導加熱コイルのコイル軸方向に前記軸部を沿わせて保持した前記被熱処理材を、前記誘導加熱コイルに対して相対的に、前記コイル軸方向に沿って移動させる位置決め機構と、
前記位置決め機構を制御するための制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記位置決め機構を制御することで、前記被熱処理材における前記一の方向に沿って位置する部位間の長さと当該部位間の設計上の基準長さとの間の寸法誤差が前記コイル軸方向に沿う両側に均等に振り分けられる平衡位置に、前記被熱処理材を位置決めすることを特徴とする高周波熱処理装置である。
【0010】
【発明の効果】
本発明に係る高周波熱処理装置によれば、寸法誤差による加熱範囲の変化が低減し、被熱処理材を、所期の加熱範囲に可及的に等しい範囲で、均一に加熱することが可能である。したがって、焼き入れ範囲の変化が低減する結果、必要な部位に所期の部品強度を付与することができるという効果を奏する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0012】
図1(A)(B)は、本発明の実施の形態に係る被熱処理材の平面図および側面図である。
【0013】
被熱処理材は、例えば、炭素鋼からなる鍛造部品であるコンロッド10(連接棒)であり、内燃機関におけるピストンとクランクシャフトとを連結し、ピストンの往復運動をクランクシャフトに伝達するために使用される。
【0014】
コンロッド10は、一の方向に沿って伸びる軸部をなす連接部14と、連接部14の一端側に位置する大端部11と、連接部14の他端側に位置する小端部16とを有する。連接部14は、Iセクションとも称され、断面形状が略同一のI型断面を有する。
【0015】
大端部11は、分割式であり、半円状部12を有し、例えば、ボルトを使用してコンロッド10キャップが組み合わされ、クランクシャフトのピンに連結される。小端部16は、ピストンピンを連結するための開口部17を有する。
【0016】
大端部11と連接部14との間および連接部14と小端部16との間には、つなぎ部13、15が形成されている。つなぎ部13、15の断面積は、連接部14に向かって連続的に減少している。大端部11、つなぎ部13、15、小端部16は、連接部14の両端から延長する拡径部となっている。
【0017】
半円状部12の中心と開口部17の中心との間の距離が、大端部11と小端部16との間のピッチ寸法pである。
【0018】
図2は、本発明の実施の形態に係る被熱処理材の製造方法を説明するための工程図、図3(A)(B)(C)は、図2に示される鍛造工程を経たコンロッド10の粗材のピッチ寸法pの寸法誤差Dを説明するための側面図、図4(A)(B)(C)は、図2に示される焼き入れ工程を説明するための側面図である。なお、図3(A)および図4(A)においては、ピッチ寸法pの設計上の基準長さに対する寸法誤差Dが±ゼロである粗材10aが示され、図3(B)および図4(B)においては、寸法誤差Dが−2dである粗材10bが示され、図3(C)および図4(C)においては、寸法誤差Dが+2dである粗材10cが示されている。また、理解の容易のために、寸法誤差Dを誇張して示してある。
【0019】
図2を参照して、コンロッド10の製造方法は、鍛造工程、焼き入れ工程、ショットブラスト工程、コイニング工程、および機械加工工程を有する。
【0020】
鍛造工程においては、素材鋼が熱間鍛造によって成形される。素材鋼は、例えば、炭素鋼(S40C〜S50C)である。鍛造されたコンロッド10の粗材10aは、図3(A)に示すように、ピッチ寸法pの設計上の基準長さに対する寸法誤差Dは±ゼロである。しかしながら、粗材10bは、図3(B)に示すように、寸法誤差D(=−2d)を有し、粗材10cは、図3(C)に示すように、寸法誤差D(=+2d)を有する。各素材10a〜10cは、上記のような寸法のばらつきを有したまま、次の焼き入れ工程に投入される。
【0021】
焼き入れ工程においては、粗材10a〜10cに対して、高周波熱処理が適用される。高周波熱処理では、被熱処理材を誘導加熱するための誘導加熱コイル32が用いられる。誘導加熱コイル32は、コイル軸Ocを中心にコイル素材を螺旋状に巻回して形成され、コイル軸Oc方向に沿って作用する力によりコイル軸Oc方向に沿うコイル長さが弾性的に可変自在に構成されている。図4(A)〜(C)に示すように、粗材10a〜10cは、誘導加熱コイル32のコイル軸Oc方向に連接部14を沿わせて保持した状態で、誘導加熱コイル32内に装入されている。
【0022】
この際、寸法誤差Dのない粗材10aは、図4(A)に示すように、位置固定の誘導加熱コイル32に対して、所定の位置に位置決めされる。この所定の位置を、説明の便宜上、基準位置と称する。寸法誤差D(=−2d)を有する粗材10bは、図4(B)に示すように、誘導加熱コイル32に対して、基準位置から寸法誤差D分だけ図中上側または下側のいずれか一方に寄せた状態で位置決めされるのではなく、基準位置から中央側に寸法dだけ均等にずらした状態で位置決めされる。同様に、寸法誤差D(=+2d)を有する粗材10cは、図4(C)に示すように、基準位置から図中上側および下側の両方に寸法dだけ均等にずらした状態で位置決めされる。すなわち、寸法誤差Dを有する粗材10b、10cは、当該寸法誤差Dがコイル軸Oc方向に沿う両側(大端部11側および小端部16側)に均等に振り分けられる最適化された平衡位置に、位置決めされる。
【0023】
このため、粗材10b、10cの長手方向(連接部14が伸びる一の方向)に関し、誘導加熱による加熱範囲は、寸法誤差Dの分だけ大端部11側または小端部16側のいずれか一方に偏って変化せず、大端部11側および小端部16側の両側に均等に変化することになる。したがって、寸法誤差Dによる加熱範囲の変化が低減し、粗材10b、10cは、所期の加熱範囲に可及的に等しい範囲で、均一に加熱される。
【0024】
ここで、寸法誤差Dによる加熱範囲の変化をより一層低減するためには、寸法誤差Dに応じて、誘導加熱コイル32のコイル長さを伸縮させるのが好ましい。すなわち、粗材10bにあっては、図4(B)に2点鎖線で示すように、寸法誤差Dに応じて、誘導加熱コイル32をコイル軸Oc方向の両側から均等に圧縮し、コイル長さを弾性的に縮めるのが好ましい。また、粗材10cにあっては、図4(C)に2点鎖線で示すように、寸法誤差Dに応じて、誘導加熱コイル32をコイル軸Oc方向の両側から均等に引っ張って、コイル長さを弾性的に伸ばすのが好ましい。
【0025】
なお、焼き入れ工程には、粗材10a〜10cの検査工程が組み込まれており、粗材10a〜10cのピッチ寸法pの品質検査が、一体的に実行される。
【0026】
ショットブラスト工程においては、コンロッド10の表面の酸化スケールが除去される。コイニング工程においては、軽度の冷間鍛造によって、例えば、コンロッド10の厚さが修正される。
【0027】
機械加工工程においては、例えば、大端部11および小端部16の摺動面の仕上げや、大端部11および小端部16に油穴を形成するために、機械加工が施され、製品部品としてのコンロッド10が得られる。なお、コイニング工程と機械加工工程の間に、ショットピーニングを施すことによって、疲労強度を向上させることも可能である。
【0028】
以上のように製造されたコンロッド10は、熱処理による硬度ばらつきが小さく、連接部14の強度が全体として向上する。したがって、コンロッド10の重量を削減することにより、エンジンの軽量化を図り、自動車の燃費を向上させることが可能になる。
【0029】
図5は、本発明の実施の形態に係る高周波熱処理装置20を説明するための概略図、図6は、高周波熱処理装置20の構成を示すブロック図である。
【0030】
高周波熱処理装置20は、コンロッド10を昇温および冷却するための熱処理部30、コンロッド10を移動および位置決めするための駆動部40、コンロッド10を搬入および搬出するための運搬部60、規格外品の検出を通知するための通知部80、各部30、40、60、80を制御するための制御部90(制御手段に相当する)を有する。
【0031】
熱処理部30は、コンロッド10の連接部14が装入される誘導加熱コイル32を有する高周波発生装置31と、冷却液が保管されているタンク36および冷却液を噴射するためのノズル37を有する冷却装置35とを備えている。
【0032】
高周波発生装置31は、誘導加熱コイル32に電流を流すことによって、誘導加熱コイル32に装入されるコンロッド10を誘導加熱する。冷却装置35は、所定の焼き入れ温度に達したコンロッド10の連接部14に対し、タンク36から供給される冷却液を、ノズル37から噴射することで、コンロッド10を冷却する。
【0033】
駆動部40は、前述した平衡位置にコンロッド10を位置決めするための位置決め機構41を有する。位置決め機構41については、後に詳述する。
【0034】
運搬部60は、搬入コンベア61、搬出コンベア62、分別ボックス65、ロボットアーム70を有する。
【0035】
搬入コンベア61は、鍛造工程から供給されるコンロッド10をロボットアーム70に受け渡すために使用される。搬出コンベア62は、ロボットアーム70が載置する熱処理後のコンロッド10を、ショットブラスト工程に送り出すために使用される。分別ボックス65は、コンロッド10のピッチ寸法pの品質検査による不良品である規格外品を、収容するために使用される。
【0036】
ロボットアーム70は、数値制御マニピュレータであり、搬入コンベア61に載置されるコンロッド10を持ち上げて、位置決め機構41にセットするために使用される。ロボットアーム70はまた、熱処理完了後のコンロッド10を位置決め機構41から取外し、搬出コンベア62に載置するためにも使用される。ロボットアーム70は、熱処理前において、コンロッド10のピッチ寸法pが規格外品であると判断される場合、当該コンロッド10を取り除き、分別ボックス65に投入するために使用される除去手段として機能する。
【0037】
通知部80は、例えば、ランプを内蔵する表示装置を有し、ランプを点滅させることにより、規格外品が検出され、取り除かれたことを視覚的に通知する。なお、通知部80は、規格外品を検出したことを音声で通知するためのスピーカを有することも可能である。
【0038】
制御部90は、マイクロプロセッサなどから構成される制御回路、各種データやプログラムが保存されている記憶装置、各部30、40、60、80を制御するために使用されるインターフェースを有する。
【0039】
データは、例えば、コンロッド10の標準形状データや公差データ(規格外品を規定するデータ)、ロボットアーム70の数値制御用データ、誘導加熱出力や誘導加熱時間などの操業条件データである。プログラムは、例えば、各部30、40、60、80の制御プログラムである。
【0040】
次に、図7を参照して、高周波熱処理装置20の位置決め機構41について説明する。
【0041】
図7(A)(B)は、高周波熱処理装置20における位置決め機構41の要部を示す正面図および側面図である。なお、説明の便宜上、図7(A)において、左右方向をX軸、紙面に直交する方向をY軸、上下方向をZ軸とする。また、Y軸方向に関し、図7(B)において右側を「前」、左側を「後」とする。
【0042】
高周波熱処理装置20は、概説すれば、誘導加熱コイル32と、誘導加熱コイル32のコイル軸Oc方向に連接部14を沿わせて保持したコンロッド10を、誘導加熱コイル32に対して相対的に、コイル軸Oc方向に沿って移動させる位置決め機構41と、位置決め機構41を制御するための制御部90(図6参照)と、を有する。この制御部90は、位置決め機構41を制御することで、コンロッド10におけるピッチ寸法pの実際の長さとピッチ寸法pの設計上の基準長さとの間の寸法誤差Dがコイル軸Oc方向に沿う両側に均等に振り分けられる平衡位置に、コンロッド10を位置決めする。
【0043】
本実施形態では、位置決め機構41は、連接部14の大端部11側(一方の端部側に相当する)でコンロッド10に当接自在な第1治具部材110と、連接部14の小端部16側(他方の端部側に相当する)でコンロッド10に当接自在な第2治具部材120と、第1と第2の治具部材110、120のそれぞれをコイル軸Oc方向に沿って反対側に均等に移動させる第1と第2のサーボモータ111、121(移動手段に相当する)と、を有する。そして、コイル軸Oc方向に沿って反対側に均等に移動した第1と第2の治具部材110、120のそれぞれがコンロッド10に当接することにより、コンロッド10が前述した平衡位置に位置決めされる。
【0044】
詳述すると、前記第1治具部材110は、誘導加熱コイル32の上方位置に配置されている。第1治具部材110は、Z軸方向に沿って移動自在に設けられる第1スライダ112と、当該第1スライダ112に固定されX−Y平面で拡がる第1当接プレート113と、を有する。第1スライダ112は、第1サーボモータ111に接続され、当該第1サーボモータ111の回転動が伝達されて、Z軸方向に移動される。
【0045】
第1当接プレート113の中央部には、誘導加熱コイル32内に上方から装入されるコンロッド10の連接部14が通過する開口114が形成されている。第1当接プレート113の上面に、コンロッド10に当接する第1当接面115が形成されている。第1当接面115は、連接部14から大端部11に向けて延長する拡径部の下面の円弧形状に合致する円弧面に形成されている。
【0046】
コンロッド10は、その大端部11が第1当接面115に当接することにより、第1治具部材110に仮置きされ、保持される。この状態で第1スライダ112がZ軸方向に沿って昇降移動すると、保持したコンロッド10が昇降移動する。
【0047】
前記第2治具部材120は、誘導加熱コイル32の下方位置に配置されている。第2治具部材120は、Z軸方向に沿って移動自在に設けられる第2スライダ122と、X−Y平面で拡がりY軸方向に沿ってスライド移動自在に設けられる第2当接プレート123と、第2スライダ122に対向する押し付けプレート124と、を有する。押し付けプレート124は、Y軸方向に沿ってスライド移動自在に第2当接プレート123に接続されている。第2スライダ122は、第2サーボモータ121に接続され、当該第2サーボモータ121の回転動が伝達されて、Z軸方向に移動される。第2当接プレート123および押し付けプレート124は、油圧シリンダ125、126などにより移動される。なお、図7(A)では、押し付けプレート124は図示されず、第2当接プレート123の断面が示されている。
【0048】
第2当接プレート123の中央部には、前面からY軸方向に伸びる切り欠き部127が形成されている。第2当接プレート123を小端部16から離間した初期位置から前進移動すると、連接部14が切り欠き部127内に嵌まり込み、第2当接プレート123は、小端部16の上方に達する。第2当接プレート123の切り欠き部127に連続する下面に、コンロッド10に当接する第2当接面128が形成されている。第2当接面128は、小端部16の外周面の円弧形状に合致する円弧面に形成されている。第2当接プレート123が前進移動して小端部16の上方に達した際には、第2当接面128と小端部16の外周面との間には所定の隙間が存在する。つまり、第2当接プレート123は、小端部16に当接しておらず、浮いた状態にある。前記隙間は、コンロッド10におけるピッチ寸法pの実際の長さが設計上の基準長さよりも短い場合でも、前記浮いた状態を維持し得る寸法に定められている。
【0049】
第2当接プレート123の前端には、第2スライダ122に係合自在な係合凸部123aが設けられている。第2当接プレート123は、前進限位置まで移動されると、係合凸部123aが第2スライダ122に係合し、第2スライダ122と一体となる。この状態で第2スライダ122がZ軸方向に沿って下降移動すると、第2当接面128が小端部16の外周面に当接する。
【0050】
押し付けプレート124は、前進移動されると、小端部16の後面に当接し、小端部16の前面を第2スライダ122の後面に押し付ける。この動きにより、大端部11の前面も第1スライダ112の後面に押し付けられる。小端部16が押し付けプレート124と第2スライダ122との間に挟持されることにより、コンロッド10のY軸方向の位置が規制され、連接部14がコイル軸Oc上に位置する。なお、押し付けプレート124を移動して小端部16を挟持する動作は、第2当接面128が小端部16の外周面に当接した後に行われる。また、連接部14をコイル軸Oc上に位置させるため、第1スライダ112および第2スライダ122は、図示しない調整機構により、X軸方向位置およびY軸方向位置を調節自在である。
【0051】
第1と第2のサーボモータ111、121の回転駆動は、第1サーボモータ111による第1治具部材110のZ軸上方への移動量と、第2サーボモータ121による第2治具部材120のZ軸下方への移動量とが均等となるように、制御される。
【0052】
第1と第2の治具部材110、120とコンロッド10との当接を検出するために、第1当接プレート113には第1検出手段140が設けられ、第2当接プレート123には第2検出手段150が設けられている。第1と第2の検出手段140、150は、例えば、空気圧を利用した着座センサから構成される。第1当接プレート113には、第1当接面115に開口された検出孔141にエアーを案内するエアー供給路142が設けられている。同様に、第2当接プレート123には、検出孔151およびエアー供給路152が設けられている。各エアー供給路142、152には図示しないエアー供給源が接続され、所定圧力のエアーを検出孔141、151から噴出させている。また、エアー供給路142、152には圧力計143、153が接続されている。第1当接面115に大端部11が当接すると、検出孔141での通気抵抗が増し、エアー供給路142内の圧力上昇が圧力計143により検出される。同様に、第2当接面128に小端部16が当接すると、圧力上昇が圧力計153により検出される。そして、第1と第2の治具部材110、120がZ軸方向に沿って反対側に移動すると、各検出孔141、151がほぼ完全に塞がれて、圧力値がしきい値以上に上昇する。これにより、第1と第2の治具部材110、120とコンロッド10との当接が検出される。
【0053】
前記誘導加熱コイル32は、コイル軸Ocを中心にコイル素材を螺旋状に巻回して形成され、コイル軸Oc方向に沿って作用する力によりコイル軸Oc方向に沿うコイル長さが弾性的に可変自在に構成されている。この誘導加熱コイル32は、第1と第2の治具部材110、120のそれぞれに、電気的絶縁状態で接続されている。つまり、図7(B)に示すように、誘導加熱コイル32のコイル部分は、電気絶縁部材からなる接続具161を介して第1スライダ112の下端に接続され、電気絶縁部材からなる接続具162を介して第2スライダ122の上端に接続されている。したがって、第1と第2のサーボモータ111、121により、第1と第2の治具部材110、120のそれぞれがコイル軸Oc方向に沿って反対側に均等に移動すると、誘導加熱コイル32にはコイル軸Oc方向の両側から均等な引っ張り力が作用し、コイル長さがコイル軸Oc方向の両側に均等に伸びる。
【0054】
次に、コンロッド10を平衡位置に位置決めする手順について説明する。
【0055】
図8(A)(B)(C)は、コンロッド10が平衡位置に位置決めされる作用を説明するための概念図である。この図では、誘導加熱コイル32のコイル軸Oc方向に沿うコイル長の中心位置Scに、ピッチ寸法pの中心位置Spを一致させる場合を概念的に示してある。なお、図8(A)においては、ピッチ寸法pの設計上の基準長さに対する寸法誤差Dが±ゼロである粗材10aが示され、図8(B)においては、寸法誤差Dが−2dである粗材10bが示され、図8(C)においては、寸法誤差Dが+2dである粗材10cが示されている。図8(A)(B)(C)のそれぞれにおいて、左側の状態は、粗材10a、10b、10cを第1治具部材110に仮置きし、第2当接プレート123を小端部16の上方に移動した初期状態を示している。また、理解の容易のために、寸法誤差Dを誇張して示すとともに、第2当接面128と小端部16の外周面との間の隙間を誇張して示してある。
【0056】
コンロッド10の粗材10a、10b、10cを、小端部16側を下にして、誘導加熱コイル32内に上方から装入する。粗材10a、10b、10cは、大端部11が第1当接面115に当接することにより、第1治具部材110に仮置きされ、保持される。寸法誤差Dが±ゼロである粗材10aの場合を基準にして、初期状態での前記隙間は、寸法誤差Dが−2dである粗材10bでは小さく、寸法誤差Dが+2dである粗材10cでは大きい。
【0057】
次いで、第1と第2のサーボモータ111、121を回転駆動し、第1治具部材110を上方へ、第2治具部材120を下方へ、均等な移動量で移動する。第1治具部材110が上方へ移動することにより、保持された粗材10a、10b、10cは初期状態から上方へ移動する。
【0058】
図8(A)に示すように、粗材10aの場合には、第1治具部材110が初期状態から上方へ寸法mだけ移動し、第2治具部材120が初期状態から下方へ寸法mだけ移動すると、第1と第2の治具部材110、120のそれぞれが粗材10aに当接する。圧力計143、153により検出したエアー供給路142、152内の圧力がしきい値以上に上昇すると、第1と第2の治具部材110、120と粗材10aとが正常に当接したと判断される。初期状態から反対側に均等に移動した第1と第2の治具部材110、120のそれぞれが粗材10aに当接することにより、ピッチ寸法pの中心位置Spは、コイル長の中心位置Scに、一致する。したがって、粗材10aは、所期の位置に位置決めされる。また、第1と第2の治具部材110、120のそれぞれが反対側に均等に移動するのに伴い、コイル長さは、上方へ寸法mだけ、下方へ寸法mだけ均等に伸びる。
【0059】
図8(B)に示すように、粗材10bの場合には、第1治具部材110が初期状態から上方へ寸法m−dだけ移動し、第2治具部材120が初期状態から下方へ寸法m−dだけ移動すると、第1と第2の治具部材110、120のそれぞれが粗材10bに当接する。エアー供給路142、152内の圧力がしきい値以上に上昇すると、第1と第2の治具部材110、120と粗材10bとが正常に当接したと判断される。この場合においても、初期状態から反対側に均等に移動した第1と第2の治具部材110、120のそれぞれが粗材10bに当接することにより、ピッチ寸法pの中心位置Spは、コイル長の中心位置Scに、一致する。したがって、粗材10bは、寸法誤差D(=−2d)がコイル軸Oc方向に沿う両側に均等に振り分けられる平衡位置に、位置決めされる。また、コイル長さは、上方へ寸法m−dだけ、下方へ寸法m−dだけ均等に伸びる。
【0060】
図8(C)に示すように、粗材10cの場合には、第1治具部材110が初期状態から上方へ寸法m+dだけ移動し、第2治具部材120が初期状態から下方へ寸法m+dだけ移動すると、第1と第2の治具部材110、120のそれぞれが粗材10cに当接する。エアー供給路142、152内の圧力がしきい値以上に上昇すると、第1と第2の治具部材110、120と粗材10cとが正常に当接したと判断される。この場合においても、初期状態から反対側に均等に移動した第1と第2の治具部材110、120のそれぞれが粗材10cに当接することにより、ピッチ寸法pの中心位置Spは、コイル長の中心位置Scに、一致する。したがって、粗材10cは、寸法誤差D(=+2d)がコイル軸Oc方向に沿う両側に均等に振り分けられる平衡位置に、位置決めされる。また、コイル長さは、上方へ寸法m+dだけ、下方へ寸法m+dだけ均等に伸びる。
【0061】
粗材10a、10b、10cを位置決めした後においても、第1と第2のサーボモータ111、121の回転を継続すると、第1と第2の治具部材110、120のそれぞれには、反対側に均等に移動させる力が作用し続ける。誘導加熱中においては、常時、上記の力を作用し続けておくことが好ましい。
【0062】
このように、粗材10b、10cは、ピッチ寸法pに寸法誤差Dを有していても、当該寸法誤差Dがコイル軸Oc方向に沿う両側(大端部11側および小端部16側)に均等に振り分けられる最適化された平衡位置に、位置決めされる。このため、粗材10b、10cの長手方向(連接部14が伸びる一の方向)に関し、誘導加熱による加熱範囲は、寸法誤差Dの分だけ大端部11側または小端部16側のいずれか一方に偏って変化せず、大端部11側および小端部16側の両側に均等に変化することになる。したがって、寸法誤差Dによる加熱範囲の変化が低減し、粗材10b、10cを、所期の加熱範囲に可及的に等しい範囲で、均一に加熱することが可能である。したがって、焼き入れ範囲の変化が低減する結果、必要な部位に所期の部品強度を付与し得る高周波熱処理装置を提供することができる。
【0063】
また、粗材10a、10b、10cの位置決めにあわせて、誘導加熱コイル32のコイル長さが両側に均等に弾性的に伸びるため、ピッチ寸法pの寸法誤差Dの有無に拘らず、つなぎ部13、15と誘導加熱コイル32との位置関係がほぼ一定となる。これにより、寸法誤差Dによる加熱範囲の変化をより一層低減することが可能である。したがって、断面積が連続的に変化し、適正な強度分布を持たせる必要があるつなぎ部13、15に、所期の部品強度を適正に付与することができる。
【0064】
また、誘導加熱中に、第1と第2の治具部材110、120のそれぞれに反対側に均等に移動させる力を作用し続けておけば、誘導加熱による温度上昇に応じて粗材10a、10b、10cのピッチ寸法pが多少伸びた場合であっても、粗材10a、10b、10cは、常に、当該伸びがコイル軸Oc方向に沿う両側に均等に振り分けられる最適化された平衡位置に、維持される。また、ピッチ寸法pの伸びに応じて、コイル長さも伸びる。したがって、加熱範囲が温度上昇に応じてずれることがなく、この点からも、必要な部位に、所期の部品強度を適正に付与することができる。
【0065】
一方、ピッチ寸法pの寸法誤差Dは、熱処理の効果に大きな影響を及ぼす。したがって、ピッチ寸法pの寸法誤差Dに応じて、熱処理条件を変更することが望ましい。熱処理条件は、例えば、誘導加熱時間あるいは誘導加熱出力である。寸法誤差Dの大きさに対応する誘導加熱時間あるいは誘導加熱出力の調整量は、例えば、実験的に求めることが可能である。
【0066】
第1と第2の治具部材110、120の移動量は、第1と第2のサーボモータ111、121の回転数から算出できる。第1と第2の治具部材110、120の移動量を使用して、粗材10a、10b、10cのピッチ寸法pが算出できる。そして、ピッチ寸法pの算出値と、設計上の基準長さとを比較して、寸法誤差Dが所定の許容範囲(公差データ)内に収まっているか否かを判断する。
【0067】
所定の範囲を越えていると判断された粗材は、規格外品とされ、熱処理が施されることなく、ロボットアーム70によって第1と第2の治具部材110、120から取外され、分別ボックス65に投入される。また、通知部80は、規格外品が検出され、規格外品が取り除かれたことを視覚的に通知する。高周波熱処理装置20は、粗材の品質検査を一体的に実行することが可能であり、焼き入れ工程に、コンロッド10の検査工程が組み込まれている。したがって、生産コストを低減することができる。
【0068】
以上説明したように、本実施形態に係る高周波熱処理装置は、一の方向に沿って伸びた連接部14を有するコンロッド10を熱処理するためのであって、コンロッド10を誘導加熱するための誘導加熱コイル32と、誘導加熱コイル32のコイル軸Oc方向に連接部14を沿わせて保持したコンロッド10を、誘導加熱コイル32に対して相対的に、コイル軸Oc方向に沿って移動させる位置決め機構41と、位置決め機構41を制御するための制御部90と、を有し、制御部90は、位置決め機構41を制御することで、コンロッド10における前記一の方向に沿って位置する部位間の長さ(ピッチ寸法p)と当該部位間の設計上の基準長さとの間の寸法誤差Dがコイル軸Oc方向に沿う両側に均等に振り分けられる平衡位置に、コンロッド10を位置決めするので、寸法誤差Dによる加熱範囲の変化が低減し、コンロッド10を、所期の加熱範囲に可及的に等しい範囲で、均一に加熱することが可能である。したがって、焼き入れ範囲の変化が低減する結果、必要な部位に所期の部品強度を付与することができる。
【0069】
また、位置決め機構41は、連接部14の大端部11側でコンロッド10に当接自在な第1治具部材110と、小端部16側でコンロッド10に当接自在な第2治具部材120と、第1と第2の治具部材110、120のそれぞれをコイル軸Oc方向に沿って反対側に均等に移動させる第1と第2のサーボモータ111、121と、を有し、コイル軸Oc方向に沿って反対側に均等に移動した第1と第2の治具部材110、120のそれぞれがコンロッド10に当接することにより、コンロッド10が前記平衡位置に位置決めされるようにしたので、簡単な構成の位置決め機構41で、コンロッド10を前記平衡位置に正確に位置決めすることができる。
【0070】
また、誘導加熱コイル32は、コイル軸Ocを中心にコイル素材を螺旋状に巻回して形成され、コイル軸Oc方向に沿って作用する力によりコイル軸Oc方向に沿うコイル長さが弾性的に可変自在に構成され、第1と第2の治具部材110、120のそれぞれに、誘導加熱コイル32を電気的絶縁状態で接続したので、コンロッド10の位置決めと同時に、誘導加熱コイル32のコイル長さが両側に均等に弾性的に伸縮し、寸法誤差Dの有無に拘らず、連接部14の両端部分と誘導加熱コイル32との位置関係がほぼ一定となる。これにより、寸法誤差Dによる加熱範囲の変化をより一層低減することができ、焼き入れ範囲の変化がより低減する結果、必要な部位に所期の部品強度を確実に付与することができる。
【0071】
また、誘導加熱時に粗材10a、10b、10cの熱膨張が生じても、粗材10a、10b、10cは、熱膨張がコイル軸Oc方向に沿う両側に均等に振り分けられる最適化された平衡位置に、維持され、コイル長さも伸びる。したがって、加熱範囲が熱膨張に応じてずれることがなく、この点からも、必要な部位に、所期の部品強度を適正に付与することができる。
【0072】
また、制御部90は、寸法誤差Dに応じて、熱処理条件、例えば、誘導加熱コイル32による誘導加熱時間あるいは誘導加熱出力を変更するため、得られる熱処理の効果が寸法誤差Dの違いによって大きく異なることを防止できる。
【0073】
また、高周波熱処理装置は、コンロッド10を取り除くためのロボットアーム70をさらに有し、制御部90は、寸法誤差Dが所定の範囲を越えている場合、ロボットアーム70を制御することで当該コンロッド10を取り除くため、焼き入れ工程にコンロッド10の検査工程を組み込んで、焼き入れ前の段階でピッチ寸法pの検査を行うことができ、生産コストを低減することができる。
【0074】
また、コンロッド10が取り除かれたことを通知するための通知部80をさらに有するので、作業者は、コンロッド10が取り除かれたことを容易に把握できる。
【0075】
また、必要な部位に所期の部品強度が付与された、鍛造部品であるコンロッド10を得ることができる。
【0076】
図9(A)(B)は、他の実施形態に係る位置決め機構41の要部を示す正面図および側面図である。なお、図7(A)(B)に示される部材と共通する部材には同一の符号を付し、その説明は一部省略する。
【0077】
他の実施形態は、位置決め機構41の第1と第2の治具部材210、220の構成に関して、前述した実施形態と相違する。
【0078】
コンロッド10は、熱処理後に機械加工を施す被機械加工部位を含んでいる。この被機械加工部位は、例えば、大端部11および小端部16の摺動面である。図9(A)に2点鎖線で囲まれて示されるように、第1と第2の治具部材210、220には、被機械加工部位の近傍に位置する部位が含まれる。そして、第1と第2の治具部材210、220のうち、少なくとも、被機械加工部位の近傍に位置する部位は、コンロッド10の素材である炭素鋼よりも透磁率の高い材料から形成してある。透磁率の高い材料としては、磁路を形成するために用いられるコアの材料として一般的な、例えば、けい素鋼板を例示することができる。この他の実施形態においては、第1と第2の治具部材210、220の全体は、けい素鋼板から形成されている。
【0079】
前記第1治具部材210は、Y軸方向に沿って移動自在に設けられるとともに相互に向かい合って配置される一対の第1当接プレート213を有する。一対の第1当接プレート213は、第1サーボモータ211に接続され、当該第1サーボモータ211の回転動が伝達されて、Z軸方向に移動される。また、一対の第1当接プレート213は、油圧シリンダ214、215などによりY軸方向に移動される。
【0080】
一対の第1当接プレート213は、誘導加熱コイル32内に上方から装入されるコンロッド10の通過を許容する退避位置と、コンロッド10を保持する保持位置との間で進退移動する。第1当接プレート213の先端上面に、コンロッド10に当接する第1当接面215が形成されている。第1当接面215は、連接部14から大端部11に向けて延長する拡径部の下面の円弧形状に合致する円弧面に形成されている。
【0081】
コンロッド10は、保持位置に移動した一対の第1当接プレート213の第1当接面215に大端部11が当接することにより、第1治具部材210に仮置きされ、保持される。この状態で一対の第1当接プレート213がZ軸方向に沿って昇降移動すると、保持したコンロッド10が昇降移動する。
【0082】
前記第2治具部材220は、Y軸方向に沿って移動自在に設けられるとともに相互に向かい合って配置される一対の第2当接プレート223を有する。一対の第2当接プレート223は、第2サーボモータ221に接続され、当該第2サーボモータ221の回転動が伝達されて、Z軸方向に移動される。また、一対の第2当接プレート223は、油圧シリンダ224、225などによりY軸方向に移動される。
【0083】
一対の第2当接プレート223は、小端部16の通過を許容する退避位置と、小端部16の上方に達する保持位置との間で進退移動する。第2当接プレート223の先端下面に、コンロッド10に当接する第2当接面228が形成されている。第2当接面228は、小端部16の外周面の円弧形状に合致する円弧面に形成されている。第2当接プレート223が保持位置に達した際には、第2当接面228と小端部16の外周面との間には所定の隙間が存在する。
【0084】
保持位置に移動した一対の第2当接プレート223がZ軸方向に沿って下降移動すると、第2当接面228が小端部16の外周面に当接する。
【0085】
一対の第1当接プレート213をさらに押し付けることにより大端部11が挟持され、一対の第2当接プレート223をさらに押し付けることにより小端部16が挟持される。大端部11および小端部16が挟持されることにより、コンロッド10のY軸方向の位置が規制され、連接部14がコイル軸Oc上に位置する。なお、第2当接プレート223により小端部16を挟持する動作は、第2当接面228が小端部16の外周面に当接した後に行われる。また、連接部14をコイル軸Oc上に位置させるため、一対の第1当接プレート213および一対の第2当接プレート223は、図示しない調整機構により、X軸方向位置およびY軸方向位置を調節自在である。
【0086】
第1と第2のサーボモータ211、221の回転駆動は、第1サーボモータ211による第1治具部材210のZ軸上方への移動量と、第2サーボモータ221による第2治具部材220のZ軸下方への移動量とが均等となるように、制御される。
【0087】
先の実施形態と同様に、第1と第2の治具部材210、220とコンロッド10との当接を検出するために、第1当接面215には第1検出手段が設けられ、第2当接面228には第2検出手段が設けられている。なお、各検出手段の図示は省略してある。
【0088】
誘導加熱コイル32は、第1と第2の治具部材210、220のそれぞれに、電気的絶縁状態で接続されている。つまり、図9(B)に示すように、誘導加熱コイル32のコイル部分は、電気絶縁部材からなる接続具261を介して第1当接プレート213の下面に接続され、電気絶縁部材からなる接続具262を介して第2当接プレート223の上面に接続されている。但し、第1と第2の当接プレート213、223のY軸方向への移動を阻害しないように、接続具261、262は、各当接プレート213、223に対してスライド可能に接続されている。
【0089】
他の実施形態に係る位置決め機構41も、先の実施形態と同様に、粗材10b、10cは、ピッチ寸法pに寸法誤差Dを有していても、当該寸法誤差Dがコイル軸Oc方向に沿う両側(大端部11側および小端部16側)に均等に振り分けられる最適化された平衡位置に、位置決めされる(図8を参照)。このため、寸法誤差Dによる加熱範囲の変化が低減し、粗材10b、10cを、所期の加熱範囲に可及的に等しい範囲で、均一に加熱することが可能である。したがって、焼き入れ範囲の変化が低減する結果、必要な部位に所期の部品強度を付与し得る高周波熱処理装置を提供することができる。
【0090】
また、粗材10a、10b、10cの位置決めにあわせて、誘導加熱コイル32のコイル長さが両側に均等に弾性的に伸びるため、断面積が連続的に変化し、適正な強度分布を持たせる必要があるつなぎ部13、15に、所期の部品強度を適正に付与することができる。
【0091】
さらに、第1と第2の治具部材210、220は、コンロッド10よりも透磁率の高い材料であるけい素鋼板から形成されているので、磁束は、コンロッド10の被機械加工部位よりも第1と第2の治具部材210、220側を通過しやすくなる。このため、被機械加工部位は、誘導加熱され難くなり、焼き入れ後の硬度が必要以上に高くならない。したがって、焼き入れ工程後の機械加工工程において、大端部11および小端部16の摺動面に対する仕上げ加工を容易に行うことができる。
【0092】
以上説明したように、他の実施形態では、コンロッド10は、熱処理後に機械加工を施す被機械加工部位を含み、第1と第2の治具部材210、220のうち、少なくとも、コンロッド10における被機械加工部位の近傍に位置する部位は、コンロッド10よりも透磁率の高い材料から形成されているので、被機械加工部位は焼き入れ後の硬度が必要以上に高くならず、焼き入れ工程後の機械加工工程において、所期の機械加工を容易に行うことができる。
【0093】
(改変例)
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の範囲内で種々改変することができる。
【0094】
例えば、誘導加熱コイル32を固定側、コンロッド10を可動側の実施形態について説明したが、これとは逆に、誘導加熱コイル32を可動側、コンロッド10を固定側としても、被熱処理材を平衡位置に位置決めすることができる。
【0095】
また、第1と第2の治具部材110、120のそれぞれをコイル軸Oc方向に沿って反対側に均等に移動させる第1と第2のサーボモータ111、121を用いた場合を示したが、被熱処理材を平衡位置に位置決めする機構はこの場合に限定されるものではない。例えば、リンク機構やボールネジを用いて、1つのモータで、第1と第2の治具部材110、120のそれぞれを反対側に均等に移動させることができる。また、第1と第2の治具部材110、120を被熱処理材に当接させ、第1と第2の治具部材110、120間の距離に基づいて、一の方向に沿って位置する部位間の実際の長さと、寸法誤差Dとを算出する。その後に、被熱処理材を保持した第1と第2の治具部材110、120の全体を、算出した寸法誤差Dに基づいて移動することで、被熱処理材を平衡位置に位置決めすることもできる。
【0096】
また、他の実施形態では、第1と第2の治具部材210、220の全体を被熱処理材よりも透磁率の高い材料から形成した場合を示したが、この場合に限定されるものではない。第1と第2の治具部材210、220のうち、少なくとも、被熱処理材における被機械加工部位の近傍に位置する部位のみを被熱処理材よりも透磁率の高い材料から形成しておけば、焼き入れ工程後の機械加工を容易に行うことができるという本発明の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A)(B)は、本発明の実施の形態に係る被熱処理材の平面図および側面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る被熱処理材の製造方法を説明するための工程図である。
【図3】図3(A)(B)(C)は、図2に示される鍛造工程を経たコンロッドの粗材のピッチ寸法の寸法誤差を説明するための側面図である。
【図4】図4(A)(B)(C)は、図2に示される焼き入れ工程を説明するための側面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る高周波熱処理装置を説明するための概略図である。
【図6】高周波熱処理装置の構成を示すブロック図である。
【図7】図7(A)(B)は、高周波熱処理装置における位置決め機構の要部を示す正面図および側面図である。
【図8】図8(A)(B)(C)は、コンロッドが平衡位置に位置決めされる作用を説明するための概念図である。
【図9】図9(A)(B)は、他の実施形態に係る位置決め機構の要部を示す正面図および側面図である。
【符号の説明】
10…コンロッド(被熱処理材)
11…大端部
13、15…つなぎ部
14…連接部
16…小端部
20…高周波熱処理装置
32…誘導加熱コイル
41…位置決め機構
70…ロボットアーム(除去手段)
80…通知部(通知手段)
90…制御部(制御手段)
110、210…第1治具部材
120、220…第2治具部材
111、211…第1サーボモータ(移動手段)
121、221…第2サーボモータ(移動手段)
D…寸法誤差
Oc…コイル軸
p…ピッチ寸法(被熱処理材における一の方向に沿って位置する部位間の長さ)
【発明の属する技術分野】
本発明は、高周波熱処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車エンジンなどの内燃機関におけるピストンとクランクシャフトとを連結し、ピストンの往復運動をクランクシャフトに伝達するために、コンロッドが使用されている。コンロッドに十分な部品強度を付与するために、高周波焼き入れが施されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
高周波焼き入れを施す従来の高周波熱処理装置は、コンロッドなどの被熱処理材の周りにコイルを配置し、当該コイルに電流を流すことにより高周波誘導加熱を引き起こし、被熱処理材を昇温させている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開昭59−89720号公報
【特許文献2】
特開平8−73927号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
鍛造部品にあっては、機械加工が施されていない粗材の状態では、粗材におけるある部位間の実際の長さには、若干ながらもばらつきが存在し、当該部位間の設計上の基準長さとの間には寸法誤差がある。例えば、一の方向に沿って伸びた軸部を有する鍛造部品であるコンロッドにあっては、大端部側の孔中心と小端部側の孔中心との間の距離であるピッチ寸法には、元々ばらつきがある。
【0006】
被熱処理材の寸法のばらつきによって加熱範囲が変化すると、焼き入れ範囲も変化してしまい、その結果、必要な部位に所期の部品強度を付与することができなくなるという問題を招来する。
【0007】
本発明は、上記従来技術に伴う課題を解決するためになされたものであり、被熱処理材の寸法のばらつきによる加熱範囲の変化を低減し、もって、必要な部位に所期の部品強度を付与し得る高周波熱処理装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記する手段により達成される。
【0009】
一の方向に沿って伸びた軸部を有する被熱処理材を熱処理するための高周波熱処理装置であって、
前記被熱処理材を誘導加熱するための誘導加熱コイルと、
前記誘導加熱コイルのコイル軸方向に前記軸部を沿わせて保持した前記被熱処理材を、前記誘導加熱コイルに対して相対的に、前記コイル軸方向に沿って移動させる位置決め機構と、
前記位置決め機構を制御するための制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記位置決め機構を制御することで、前記被熱処理材における前記一の方向に沿って位置する部位間の長さと当該部位間の設計上の基準長さとの間の寸法誤差が前記コイル軸方向に沿う両側に均等に振り分けられる平衡位置に、前記被熱処理材を位置決めすることを特徴とする高周波熱処理装置である。
【0010】
【発明の効果】
本発明に係る高周波熱処理装置によれば、寸法誤差による加熱範囲の変化が低減し、被熱処理材を、所期の加熱範囲に可及的に等しい範囲で、均一に加熱することが可能である。したがって、焼き入れ範囲の変化が低減する結果、必要な部位に所期の部品強度を付与することができるという効果を奏する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0012】
図1(A)(B)は、本発明の実施の形態に係る被熱処理材の平面図および側面図である。
【0013】
被熱処理材は、例えば、炭素鋼からなる鍛造部品であるコンロッド10(連接棒)であり、内燃機関におけるピストンとクランクシャフトとを連結し、ピストンの往復運動をクランクシャフトに伝達するために使用される。
【0014】
コンロッド10は、一の方向に沿って伸びる軸部をなす連接部14と、連接部14の一端側に位置する大端部11と、連接部14の他端側に位置する小端部16とを有する。連接部14は、Iセクションとも称され、断面形状が略同一のI型断面を有する。
【0015】
大端部11は、分割式であり、半円状部12を有し、例えば、ボルトを使用してコンロッド10キャップが組み合わされ、クランクシャフトのピンに連結される。小端部16は、ピストンピンを連結するための開口部17を有する。
【0016】
大端部11と連接部14との間および連接部14と小端部16との間には、つなぎ部13、15が形成されている。つなぎ部13、15の断面積は、連接部14に向かって連続的に減少している。大端部11、つなぎ部13、15、小端部16は、連接部14の両端から延長する拡径部となっている。
【0017】
半円状部12の中心と開口部17の中心との間の距離が、大端部11と小端部16との間のピッチ寸法pである。
【0018】
図2は、本発明の実施の形態に係る被熱処理材の製造方法を説明するための工程図、図3(A)(B)(C)は、図2に示される鍛造工程を経たコンロッド10の粗材のピッチ寸法pの寸法誤差Dを説明するための側面図、図4(A)(B)(C)は、図2に示される焼き入れ工程を説明するための側面図である。なお、図3(A)および図4(A)においては、ピッチ寸法pの設計上の基準長さに対する寸法誤差Dが±ゼロである粗材10aが示され、図3(B)および図4(B)においては、寸法誤差Dが−2dである粗材10bが示され、図3(C)および図4(C)においては、寸法誤差Dが+2dである粗材10cが示されている。また、理解の容易のために、寸法誤差Dを誇張して示してある。
【0019】
図2を参照して、コンロッド10の製造方法は、鍛造工程、焼き入れ工程、ショットブラスト工程、コイニング工程、および機械加工工程を有する。
【0020】
鍛造工程においては、素材鋼が熱間鍛造によって成形される。素材鋼は、例えば、炭素鋼(S40C〜S50C)である。鍛造されたコンロッド10の粗材10aは、図3(A)に示すように、ピッチ寸法pの設計上の基準長さに対する寸法誤差Dは±ゼロである。しかしながら、粗材10bは、図3(B)に示すように、寸法誤差D(=−2d)を有し、粗材10cは、図3(C)に示すように、寸法誤差D(=+2d)を有する。各素材10a〜10cは、上記のような寸法のばらつきを有したまま、次の焼き入れ工程に投入される。
【0021】
焼き入れ工程においては、粗材10a〜10cに対して、高周波熱処理が適用される。高周波熱処理では、被熱処理材を誘導加熱するための誘導加熱コイル32が用いられる。誘導加熱コイル32は、コイル軸Ocを中心にコイル素材を螺旋状に巻回して形成され、コイル軸Oc方向に沿って作用する力によりコイル軸Oc方向に沿うコイル長さが弾性的に可変自在に構成されている。図4(A)〜(C)に示すように、粗材10a〜10cは、誘導加熱コイル32のコイル軸Oc方向に連接部14を沿わせて保持した状態で、誘導加熱コイル32内に装入されている。
【0022】
この際、寸法誤差Dのない粗材10aは、図4(A)に示すように、位置固定の誘導加熱コイル32に対して、所定の位置に位置決めされる。この所定の位置を、説明の便宜上、基準位置と称する。寸法誤差D(=−2d)を有する粗材10bは、図4(B)に示すように、誘導加熱コイル32に対して、基準位置から寸法誤差D分だけ図中上側または下側のいずれか一方に寄せた状態で位置決めされるのではなく、基準位置から中央側に寸法dだけ均等にずらした状態で位置決めされる。同様に、寸法誤差D(=+2d)を有する粗材10cは、図4(C)に示すように、基準位置から図中上側および下側の両方に寸法dだけ均等にずらした状態で位置決めされる。すなわち、寸法誤差Dを有する粗材10b、10cは、当該寸法誤差Dがコイル軸Oc方向に沿う両側(大端部11側および小端部16側)に均等に振り分けられる最適化された平衡位置に、位置決めされる。
【0023】
このため、粗材10b、10cの長手方向(連接部14が伸びる一の方向)に関し、誘導加熱による加熱範囲は、寸法誤差Dの分だけ大端部11側または小端部16側のいずれか一方に偏って変化せず、大端部11側および小端部16側の両側に均等に変化することになる。したがって、寸法誤差Dによる加熱範囲の変化が低減し、粗材10b、10cは、所期の加熱範囲に可及的に等しい範囲で、均一に加熱される。
【0024】
ここで、寸法誤差Dによる加熱範囲の変化をより一層低減するためには、寸法誤差Dに応じて、誘導加熱コイル32のコイル長さを伸縮させるのが好ましい。すなわち、粗材10bにあっては、図4(B)に2点鎖線で示すように、寸法誤差Dに応じて、誘導加熱コイル32をコイル軸Oc方向の両側から均等に圧縮し、コイル長さを弾性的に縮めるのが好ましい。また、粗材10cにあっては、図4(C)に2点鎖線で示すように、寸法誤差Dに応じて、誘導加熱コイル32をコイル軸Oc方向の両側から均等に引っ張って、コイル長さを弾性的に伸ばすのが好ましい。
【0025】
なお、焼き入れ工程には、粗材10a〜10cの検査工程が組み込まれており、粗材10a〜10cのピッチ寸法pの品質検査が、一体的に実行される。
【0026】
ショットブラスト工程においては、コンロッド10の表面の酸化スケールが除去される。コイニング工程においては、軽度の冷間鍛造によって、例えば、コンロッド10の厚さが修正される。
【0027】
機械加工工程においては、例えば、大端部11および小端部16の摺動面の仕上げや、大端部11および小端部16に油穴を形成するために、機械加工が施され、製品部品としてのコンロッド10が得られる。なお、コイニング工程と機械加工工程の間に、ショットピーニングを施すことによって、疲労強度を向上させることも可能である。
【0028】
以上のように製造されたコンロッド10は、熱処理による硬度ばらつきが小さく、連接部14の強度が全体として向上する。したがって、コンロッド10の重量を削減することにより、エンジンの軽量化を図り、自動車の燃費を向上させることが可能になる。
【0029】
図5は、本発明の実施の形態に係る高周波熱処理装置20を説明するための概略図、図6は、高周波熱処理装置20の構成を示すブロック図である。
【0030】
高周波熱処理装置20は、コンロッド10を昇温および冷却するための熱処理部30、コンロッド10を移動および位置決めするための駆動部40、コンロッド10を搬入および搬出するための運搬部60、規格外品の検出を通知するための通知部80、各部30、40、60、80を制御するための制御部90(制御手段に相当する)を有する。
【0031】
熱処理部30は、コンロッド10の連接部14が装入される誘導加熱コイル32を有する高周波発生装置31と、冷却液が保管されているタンク36および冷却液を噴射するためのノズル37を有する冷却装置35とを備えている。
【0032】
高周波発生装置31は、誘導加熱コイル32に電流を流すことによって、誘導加熱コイル32に装入されるコンロッド10を誘導加熱する。冷却装置35は、所定の焼き入れ温度に達したコンロッド10の連接部14に対し、タンク36から供給される冷却液を、ノズル37から噴射することで、コンロッド10を冷却する。
【0033】
駆動部40は、前述した平衡位置にコンロッド10を位置決めするための位置決め機構41を有する。位置決め機構41については、後に詳述する。
【0034】
運搬部60は、搬入コンベア61、搬出コンベア62、分別ボックス65、ロボットアーム70を有する。
【0035】
搬入コンベア61は、鍛造工程から供給されるコンロッド10をロボットアーム70に受け渡すために使用される。搬出コンベア62は、ロボットアーム70が載置する熱処理後のコンロッド10を、ショットブラスト工程に送り出すために使用される。分別ボックス65は、コンロッド10のピッチ寸法pの品質検査による不良品である規格外品を、収容するために使用される。
【0036】
ロボットアーム70は、数値制御マニピュレータであり、搬入コンベア61に載置されるコンロッド10を持ち上げて、位置決め機構41にセットするために使用される。ロボットアーム70はまた、熱処理完了後のコンロッド10を位置決め機構41から取外し、搬出コンベア62に載置するためにも使用される。ロボットアーム70は、熱処理前において、コンロッド10のピッチ寸法pが規格外品であると判断される場合、当該コンロッド10を取り除き、分別ボックス65に投入するために使用される除去手段として機能する。
【0037】
通知部80は、例えば、ランプを内蔵する表示装置を有し、ランプを点滅させることにより、規格外品が検出され、取り除かれたことを視覚的に通知する。なお、通知部80は、規格外品を検出したことを音声で通知するためのスピーカを有することも可能である。
【0038】
制御部90は、マイクロプロセッサなどから構成される制御回路、各種データやプログラムが保存されている記憶装置、各部30、40、60、80を制御するために使用されるインターフェースを有する。
【0039】
データは、例えば、コンロッド10の標準形状データや公差データ(規格外品を規定するデータ)、ロボットアーム70の数値制御用データ、誘導加熱出力や誘導加熱時間などの操業条件データである。プログラムは、例えば、各部30、40、60、80の制御プログラムである。
【0040】
次に、図7を参照して、高周波熱処理装置20の位置決め機構41について説明する。
【0041】
図7(A)(B)は、高周波熱処理装置20における位置決め機構41の要部を示す正面図および側面図である。なお、説明の便宜上、図7(A)において、左右方向をX軸、紙面に直交する方向をY軸、上下方向をZ軸とする。また、Y軸方向に関し、図7(B)において右側を「前」、左側を「後」とする。
【0042】
高周波熱処理装置20は、概説すれば、誘導加熱コイル32と、誘導加熱コイル32のコイル軸Oc方向に連接部14を沿わせて保持したコンロッド10を、誘導加熱コイル32に対して相対的に、コイル軸Oc方向に沿って移動させる位置決め機構41と、位置決め機構41を制御するための制御部90(図6参照)と、を有する。この制御部90は、位置決め機構41を制御することで、コンロッド10におけるピッチ寸法pの実際の長さとピッチ寸法pの設計上の基準長さとの間の寸法誤差Dがコイル軸Oc方向に沿う両側に均等に振り分けられる平衡位置に、コンロッド10を位置決めする。
【0043】
本実施形態では、位置決め機構41は、連接部14の大端部11側(一方の端部側に相当する)でコンロッド10に当接自在な第1治具部材110と、連接部14の小端部16側(他方の端部側に相当する)でコンロッド10に当接自在な第2治具部材120と、第1と第2の治具部材110、120のそれぞれをコイル軸Oc方向に沿って反対側に均等に移動させる第1と第2のサーボモータ111、121(移動手段に相当する)と、を有する。そして、コイル軸Oc方向に沿って反対側に均等に移動した第1と第2の治具部材110、120のそれぞれがコンロッド10に当接することにより、コンロッド10が前述した平衡位置に位置決めされる。
【0044】
詳述すると、前記第1治具部材110は、誘導加熱コイル32の上方位置に配置されている。第1治具部材110は、Z軸方向に沿って移動自在に設けられる第1スライダ112と、当該第1スライダ112に固定されX−Y平面で拡がる第1当接プレート113と、を有する。第1スライダ112は、第1サーボモータ111に接続され、当該第1サーボモータ111の回転動が伝達されて、Z軸方向に移動される。
【0045】
第1当接プレート113の中央部には、誘導加熱コイル32内に上方から装入されるコンロッド10の連接部14が通過する開口114が形成されている。第1当接プレート113の上面に、コンロッド10に当接する第1当接面115が形成されている。第1当接面115は、連接部14から大端部11に向けて延長する拡径部の下面の円弧形状に合致する円弧面に形成されている。
【0046】
コンロッド10は、その大端部11が第1当接面115に当接することにより、第1治具部材110に仮置きされ、保持される。この状態で第1スライダ112がZ軸方向に沿って昇降移動すると、保持したコンロッド10が昇降移動する。
【0047】
前記第2治具部材120は、誘導加熱コイル32の下方位置に配置されている。第2治具部材120は、Z軸方向に沿って移動自在に設けられる第2スライダ122と、X−Y平面で拡がりY軸方向に沿ってスライド移動自在に設けられる第2当接プレート123と、第2スライダ122に対向する押し付けプレート124と、を有する。押し付けプレート124は、Y軸方向に沿ってスライド移動自在に第2当接プレート123に接続されている。第2スライダ122は、第2サーボモータ121に接続され、当該第2サーボモータ121の回転動が伝達されて、Z軸方向に移動される。第2当接プレート123および押し付けプレート124は、油圧シリンダ125、126などにより移動される。なお、図7(A)では、押し付けプレート124は図示されず、第2当接プレート123の断面が示されている。
【0048】
第2当接プレート123の中央部には、前面からY軸方向に伸びる切り欠き部127が形成されている。第2当接プレート123を小端部16から離間した初期位置から前進移動すると、連接部14が切り欠き部127内に嵌まり込み、第2当接プレート123は、小端部16の上方に達する。第2当接プレート123の切り欠き部127に連続する下面に、コンロッド10に当接する第2当接面128が形成されている。第2当接面128は、小端部16の外周面の円弧形状に合致する円弧面に形成されている。第2当接プレート123が前進移動して小端部16の上方に達した際には、第2当接面128と小端部16の外周面との間には所定の隙間が存在する。つまり、第2当接プレート123は、小端部16に当接しておらず、浮いた状態にある。前記隙間は、コンロッド10におけるピッチ寸法pの実際の長さが設計上の基準長さよりも短い場合でも、前記浮いた状態を維持し得る寸法に定められている。
【0049】
第2当接プレート123の前端には、第2スライダ122に係合自在な係合凸部123aが設けられている。第2当接プレート123は、前進限位置まで移動されると、係合凸部123aが第2スライダ122に係合し、第2スライダ122と一体となる。この状態で第2スライダ122がZ軸方向に沿って下降移動すると、第2当接面128が小端部16の外周面に当接する。
【0050】
押し付けプレート124は、前進移動されると、小端部16の後面に当接し、小端部16の前面を第2スライダ122の後面に押し付ける。この動きにより、大端部11の前面も第1スライダ112の後面に押し付けられる。小端部16が押し付けプレート124と第2スライダ122との間に挟持されることにより、コンロッド10のY軸方向の位置が規制され、連接部14がコイル軸Oc上に位置する。なお、押し付けプレート124を移動して小端部16を挟持する動作は、第2当接面128が小端部16の外周面に当接した後に行われる。また、連接部14をコイル軸Oc上に位置させるため、第1スライダ112および第2スライダ122は、図示しない調整機構により、X軸方向位置およびY軸方向位置を調節自在である。
【0051】
第1と第2のサーボモータ111、121の回転駆動は、第1サーボモータ111による第1治具部材110のZ軸上方への移動量と、第2サーボモータ121による第2治具部材120のZ軸下方への移動量とが均等となるように、制御される。
【0052】
第1と第2の治具部材110、120とコンロッド10との当接を検出するために、第1当接プレート113には第1検出手段140が設けられ、第2当接プレート123には第2検出手段150が設けられている。第1と第2の検出手段140、150は、例えば、空気圧を利用した着座センサから構成される。第1当接プレート113には、第1当接面115に開口された検出孔141にエアーを案内するエアー供給路142が設けられている。同様に、第2当接プレート123には、検出孔151およびエアー供給路152が設けられている。各エアー供給路142、152には図示しないエアー供給源が接続され、所定圧力のエアーを検出孔141、151から噴出させている。また、エアー供給路142、152には圧力計143、153が接続されている。第1当接面115に大端部11が当接すると、検出孔141での通気抵抗が増し、エアー供給路142内の圧力上昇が圧力計143により検出される。同様に、第2当接面128に小端部16が当接すると、圧力上昇が圧力計153により検出される。そして、第1と第2の治具部材110、120がZ軸方向に沿って反対側に移動すると、各検出孔141、151がほぼ完全に塞がれて、圧力値がしきい値以上に上昇する。これにより、第1と第2の治具部材110、120とコンロッド10との当接が検出される。
【0053】
前記誘導加熱コイル32は、コイル軸Ocを中心にコイル素材を螺旋状に巻回して形成され、コイル軸Oc方向に沿って作用する力によりコイル軸Oc方向に沿うコイル長さが弾性的に可変自在に構成されている。この誘導加熱コイル32は、第1と第2の治具部材110、120のそれぞれに、電気的絶縁状態で接続されている。つまり、図7(B)に示すように、誘導加熱コイル32のコイル部分は、電気絶縁部材からなる接続具161を介して第1スライダ112の下端に接続され、電気絶縁部材からなる接続具162を介して第2スライダ122の上端に接続されている。したがって、第1と第2のサーボモータ111、121により、第1と第2の治具部材110、120のそれぞれがコイル軸Oc方向に沿って反対側に均等に移動すると、誘導加熱コイル32にはコイル軸Oc方向の両側から均等な引っ張り力が作用し、コイル長さがコイル軸Oc方向の両側に均等に伸びる。
【0054】
次に、コンロッド10を平衡位置に位置決めする手順について説明する。
【0055】
図8(A)(B)(C)は、コンロッド10が平衡位置に位置決めされる作用を説明するための概念図である。この図では、誘導加熱コイル32のコイル軸Oc方向に沿うコイル長の中心位置Scに、ピッチ寸法pの中心位置Spを一致させる場合を概念的に示してある。なお、図8(A)においては、ピッチ寸法pの設計上の基準長さに対する寸法誤差Dが±ゼロである粗材10aが示され、図8(B)においては、寸法誤差Dが−2dである粗材10bが示され、図8(C)においては、寸法誤差Dが+2dである粗材10cが示されている。図8(A)(B)(C)のそれぞれにおいて、左側の状態は、粗材10a、10b、10cを第1治具部材110に仮置きし、第2当接プレート123を小端部16の上方に移動した初期状態を示している。また、理解の容易のために、寸法誤差Dを誇張して示すとともに、第2当接面128と小端部16の外周面との間の隙間を誇張して示してある。
【0056】
コンロッド10の粗材10a、10b、10cを、小端部16側を下にして、誘導加熱コイル32内に上方から装入する。粗材10a、10b、10cは、大端部11が第1当接面115に当接することにより、第1治具部材110に仮置きされ、保持される。寸法誤差Dが±ゼロである粗材10aの場合を基準にして、初期状態での前記隙間は、寸法誤差Dが−2dである粗材10bでは小さく、寸法誤差Dが+2dである粗材10cでは大きい。
【0057】
次いで、第1と第2のサーボモータ111、121を回転駆動し、第1治具部材110を上方へ、第2治具部材120を下方へ、均等な移動量で移動する。第1治具部材110が上方へ移動することにより、保持された粗材10a、10b、10cは初期状態から上方へ移動する。
【0058】
図8(A)に示すように、粗材10aの場合には、第1治具部材110が初期状態から上方へ寸法mだけ移動し、第2治具部材120が初期状態から下方へ寸法mだけ移動すると、第1と第2の治具部材110、120のそれぞれが粗材10aに当接する。圧力計143、153により検出したエアー供給路142、152内の圧力がしきい値以上に上昇すると、第1と第2の治具部材110、120と粗材10aとが正常に当接したと判断される。初期状態から反対側に均等に移動した第1と第2の治具部材110、120のそれぞれが粗材10aに当接することにより、ピッチ寸法pの中心位置Spは、コイル長の中心位置Scに、一致する。したがって、粗材10aは、所期の位置に位置決めされる。また、第1と第2の治具部材110、120のそれぞれが反対側に均等に移動するのに伴い、コイル長さは、上方へ寸法mだけ、下方へ寸法mだけ均等に伸びる。
【0059】
図8(B)に示すように、粗材10bの場合には、第1治具部材110が初期状態から上方へ寸法m−dだけ移動し、第2治具部材120が初期状態から下方へ寸法m−dだけ移動すると、第1と第2の治具部材110、120のそれぞれが粗材10bに当接する。エアー供給路142、152内の圧力がしきい値以上に上昇すると、第1と第2の治具部材110、120と粗材10bとが正常に当接したと判断される。この場合においても、初期状態から反対側に均等に移動した第1と第2の治具部材110、120のそれぞれが粗材10bに当接することにより、ピッチ寸法pの中心位置Spは、コイル長の中心位置Scに、一致する。したがって、粗材10bは、寸法誤差D(=−2d)がコイル軸Oc方向に沿う両側に均等に振り分けられる平衡位置に、位置決めされる。また、コイル長さは、上方へ寸法m−dだけ、下方へ寸法m−dだけ均等に伸びる。
【0060】
図8(C)に示すように、粗材10cの場合には、第1治具部材110が初期状態から上方へ寸法m+dだけ移動し、第2治具部材120が初期状態から下方へ寸法m+dだけ移動すると、第1と第2の治具部材110、120のそれぞれが粗材10cに当接する。エアー供給路142、152内の圧力がしきい値以上に上昇すると、第1と第2の治具部材110、120と粗材10cとが正常に当接したと判断される。この場合においても、初期状態から反対側に均等に移動した第1と第2の治具部材110、120のそれぞれが粗材10cに当接することにより、ピッチ寸法pの中心位置Spは、コイル長の中心位置Scに、一致する。したがって、粗材10cは、寸法誤差D(=+2d)がコイル軸Oc方向に沿う両側に均等に振り分けられる平衡位置に、位置決めされる。また、コイル長さは、上方へ寸法m+dだけ、下方へ寸法m+dだけ均等に伸びる。
【0061】
粗材10a、10b、10cを位置決めした後においても、第1と第2のサーボモータ111、121の回転を継続すると、第1と第2の治具部材110、120のそれぞれには、反対側に均等に移動させる力が作用し続ける。誘導加熱中においては、常時、上記の力を作用し続けておくことが好ましい。
【0062】
このように、粗材10b、10cは、ピッチ寸法pに寸法誤差Dを有していても、当該寸法誤差Dがコイル軸Oc方向に沿う両側(大端部11側および小端部16側)に均等に振り分けられる最適化された平衡位置に、位置決めされる。このため、粗材10b、10cの長手方向(連接部14が伸びる一の方向)に関し、誘導加熱による加熱範囲は、寸法誤差Dの分だけ大端部11側または小端部16側のいずれか一方に偏って変化せず、大端部11側および小端部16側の両側に均等に変化することになる。したがって、寸法誤差Dによる加熱範囲の変化が低減し、粗材10b、10cを、所期の加熱範囲に可及的に等しい範囲で、均一に加熱することが可能である。したがって、焼き入れ範囲の変化が低減する結果、必要な部位に所期の部品強度を付与し得る高周波熱処理装置を提供することができる。
【0063】
また、粗材10a、10b、10cの位置決めにあわせて、誘導加熱コイル32のコイル長さが両側に均等に弾性的に伸びるため、ピッチ寸法pの寸法誤差Dの有無に拘らず、つなぎ部13、15と誘導加熱コイル32との位置関係がほぼ一定となる。これにより、寸法誤差Dによる加熱範囲の変化をより一層低減することが可能である。したがって、断面積が連続的に変化し、適正な強度分布を持たせる必要があるつなぎ部13、15に、所期の部品強度を適正に付与することができる。
【0064】
また、誘導加熱中に、第1と第2の治具部材110、120のそれぞれに反対側に均等に移動させる力を作用し続けておけば、誘導加熱による温度上昇に応じて粗材10a、10b、10cのピッチ寸法pが多少伸びた場合であっても、粗材10a、10b、10cは、常に、当該伸びがコイル軸Oc方向に沿う両側に均等に振り分けられる最適化された平衡位置に、維持される。また、ピッチ寸法pの伸びに応じて、コイル長さも伸びる。したがって、加熱範囲が温度上昇に応じてずれることがなく、この点からも、必要な部位に、所期の部品強度を適正に付与することができる。
【0065】
一方、ピッチ寸法pの寸法誤差Dは、熱処理の効果に大きな影響を及ぼす。したがって、ピッチ寸法pの寸法誤差Dに応じて、熱処理条件を変更することが望ましい。熱処理条件は、例えば、誘導加熱時間あるいは誘導加熱出力である。寸法誤差Dの大きさに対応する誘導加熱時間あるいは誘導加熱出力の調整量は、例えば、実験的に求めることが可能である。
【0066】
第1と第2の治具部材110、120の移動量は、第1と第2のサーボモータ111、121の回転数から算出できる。第1と第2の治具部材110、120の移動量を使用して、粗材10a、10b、10cのピッチ寸法pが算出できる。そして、ピッチ寸法pの算出値と、設計上の基準長さとを比較して、寸法誤差Dが所定の許容範囲(公差データ)内に収まっているか否かを判断する。
【0067】
所定の範囲を越えていると判断された粗材は、規格外品とされ、熱処理が施されることなく、ロボットアーム70によって第1と第2の治具部材110、120から取外され、分別ボックス65に投入される。また、通知部80は、規格外品が検出され、規格外品が取り除かれたことを視覚的に通知する。高周波熱処理装置20は、粗材の品質検査を一体的に実行することが可能であり、焼き入れ工程に、コンロッド10の検査工程が組み込まれている。したがって、生産コストを低減することができる。
【0068】
以上説明したように、本実施形態に係る高周波熱処理装置は、一の方向に沿って伸びた連接部14を有するコンロッド10を熱処理するためのであって、コンロッド10を誘導加熱するための誘導加熱コイル32と、誘導加熱コイル32のコイル軸Oc方向に連接部14を沿わせて保持したコンロッド10を、誘導加熱コイル32に対して相対的に、コイル軸Oc方向に沿って移動させる位置決め機構41と、位置決め機構41を制御するための制御部90と、を有し、制御部90は、位置決め機構41を制御することで、コンロッド10における前記一の方向に沿って位置する部位間の長さ(ピッチ寸法p)と当該部位間の設計上の基準長さとの間の寸法誤差Dがコイル軸Oc方向に沿う両側に均等に振り分けられる平衡位置に、コンロッド10を位置決めするので、寸法誤差Dによる加熱範囲の変化が低減し、コンロッド10を、所期の加熱範囲に可及的に等しい範囲で、均一に加熱することが可能である。したがって、焼き入れ範囲の変化が低減する結果、必要な部位に所期の部品強度を付与することができる。
【0069】
また、位置決め機構41は、連接部14の大端部11側でコンロッド10に当接自在な第1治具部材110と、小端部16側でコンロッド10に当接自在な第2治具部材120と、第1と第2の治具部材110、120のそれぞれをコイル軸Oc方向に沿って反対側に均等に移動させる第1と第2のサーボモータ111、121と、を有し、コイル軸Oc方向に沿って反対側に均等に移動した第1と第2の治具部材110、120のそれぞれがコンロッド10に当接することにより、コンロッド10が前記平衡位置に位置決めされるようにしたので、簡単な構成の位置決め機構41で、コンロッド10を前記平衡位置に正確に位置決めすることができる。
【0070】
また、誘導加熱コイル32は、コイル軸Ocを中心にコイル素材を螺旋状に巻回して形成され、コイル軸Oc方向に沿って作用する力によりコイル軸Oc方向に沿うコイル長さが弾性的に可変自在に構成され、第1と第2の治具部材110、120のそれぞれに、誘導加熱コイル32を電気的絶縁状態で接続したので、コンロッド10の位置決めと同時に、誘導加熱コイル32のコイル長さが両側に均等に弾性的に伸縮し、寸法誤差Dの有無に拘らず、連接部14の両端部分と誘導加熱コイル32との位置関係がほぼ一定となる。これにより、寸法誤差Dによる加熱範囲の変化をより一層低減することができ、焼き入れ範囲の変化がより低減する結果、必要な部位に所期の部品強度を確実に付与することができる。
【0071】
また、誘導加熱時に粗材10a、10b、10cの熱膨張が生じても、粗材10a、10b、10cは、熱膨張がコイル軸Oc方向に沿う両側に均等に振り分けられる最適化された平衡位置に、維持され、コイル長さも伸びる。したがって、加熱範囲が熱膨張に応じてずれることがなく、この点からも、必要な部位に、所期の部品強度を適正に付与することができる。
【0072】
また、制御部90は、寸法誤差Dに応じて、熱処理条件、例えば、誘導加熱コイル32による誘導加熱時間あるいは誘導加熱出力を変更するため、得られる熱処理の効果が寸法誤差Dの違いによって大きく異なることを防止できる。
【0073】
また、高周波熱処理装置は、コンロッド10を取り除くためのロボットアーム70をさらに有し、制御部90は、寸法誤差Dが所定の範囲を越えている場合、ロボットアーム70を制御することで当該コンロッド10を取り除くため、焼き入れ工程にコンロッド10の検査工程を組み込んで、焼き入れ前の段階でピッチ寸法pの検査を行うことができ、生産コストを低減することができる。
【0074】
また、コンロッド10が取り除かれたことを通知するための通知部80をさらに有するので、作業者は、コンロッド10が取り除かれたことを容易に把握できる。
【0075】
また、必要な部位に所期の部品強度が付与された、鍛造部品であるコンロッド10を得ることができる。
【0076】
図9(A)(B)は、他の実施形態に係る位置決め機構41の要部を示す正面図および側面図である。なお、図7(A)(B)に示される部材と共通する部材には同一の符号を付し、その説明は一部省略する。
【0077】
他の実施形態は、位置決め機構41の第1と第2の治具部材210、220の構成に関して、前述した実施形態と相違する。
【0078】
コンロッド10は、熱処理後に機械加工を施す被機械加工部位を含んでいる。この被機械加工部位は、例えば、大端部11および小端部16の摺動面である。図9(A)に2点鎖線で囲まれて示されるように、第1と第2の治具部材210、220には、被機械加工部位の近傍に位置する部位が含まれる。そして、第1と第2の治具部材210、220のうち、少なくとも、被機械加工部位の近傍に位置する部位は、コンロッド10の素材である炭素鋼よりも透磁率の高い材料から形成してある。透磁率の高い材料としては、磁路を形成するために用いられるコアの材料として一般的な、例えば、けい素鋼板を例示することができる。この他の実施形態においては、第1と第2の治具部材210、220の全体は、けい素鋼板から形成されている。
【0079】
前記第1治具部材210は、Y軸方向に沿って移動自在に設けられるとともに相互に向かい合って配置される一対の第1当接プレート213を有する。一対の第1当接プレート213は、第1サーボモータ211に接続され、当該第1サーボモータ211の回転動が伝達されて、Z軸方向に移動される。また、一対の第1当接プレート213は、油圧シリンダ214、215などによりY軸方向に移動される。
【0080】
一対の第1当接プレート213は、誘導加熱コイル32内に上方から装入されるコンロッド10の通過を許容する退避位置と、コンロッド10を保持する保持位置との間で進退移動する。第1当接プレート213の先端上面に、コンロッド10に当接する第1当接面215が形成されている。第1当接面215は、連接部14から大端部11に向けて延長する拡径部の下面の円弧形状に合致する円弧面に形成されている。
【0081】
コンロッド10は、保持位置に移動した一対の第1当接プレート213の第1当接面215に大端部11が当接することにより、第1治具部材210に仮置きされ、保持される。この状態で一対の第1当接プレート213がZ軸方向に沿って昇降移動すると、保持したコンロッド10が昇降移動する。
【0082】
前記第2治具部材220は、Y軸方向に沿って移動自在に設けられるとともに相互に向かい合って配置される一対の第2当接プレート223を有する。一対の第2当接プレート223は、第2サーボモータ221に接続され、当該第2サーボモータ221の回転動が伝達されて、Z軸方向に移動される。また、一対の第2当接プレート223は、油圧シリンダ224、225などによりY軸方向に移動される。
【0083】
一対の第2当接プレート223は、小端部16の通過を許容する退避位置と、小端部16の上方に達する保持位置との間で進退移動する。第2当接プレート223の先端下面に、コンロッド10に当接する第2当接面228が形成されている。第2当接面228は、小端部16の外周面の円弧形状に合致する円弧面に形成されている。第2当接プレート223が保持位置に達した際には、第2当接面228と小端部16の外周面との間には所定の隙間が存在する。
【0084】
保持位置に移動した一対の第2当接プレート223がZ軸方向に沿って下降移動すると、第2当接面228が小端部16の外周面に当接する。
【0085】
一対の第1当接プレート213をさらに押し付けることにより大端部11が挟持され、一対の第2当接プレート223をさらに押し付けることにより小端部16が挟持される。大端部11および小端部16が挟持されることにより、コンロッド10のY軸方向の位置が規制され、連接部14がコイル軸Oc上に位置する。なお、第2当接プレート223により小端部16を挟持する動作は、第2当接面228が小端部16の外周面に当接した後に行われる。また、連接部14をコイル軸Oc上に位置させるため、一対の第1当接プレート213および一対の第2当接プレート223は、図示しない調整機構により、X軸方向位置およびY軸方向位置を調節自在である。
【0086】
第1と第2のサーボモータ211、221の回転駆動は、第1サーボモータ211による第1治具部材210のZ軸上方への移動量と、第2サーボモータ221による第2治具部材220のZ軸下方への移動量とが均等となるように、制御される。
【0087】
先の実施形態と同様に、第1と第2の治具部材210、220とコンロッド10との当接を検出するために、第1当接面215には第1検出手段が設けられ、第2当接面228には第2検出手段が設けられている。なお、各検出手段の図示は省略してある。
【0088】
誘導加熱コイル32は、第1と第2の治具部材210、220のそれぞれに、電気的絶縁状態で接続されている。つまり、図9(B)に示すように、誘導加熱コイル32のコイル部分は、電気絶縁部材からなる接続具261を介して第1当接プレート213の下面に接続され、電気絶縁部材からなる接続具262を介して第2当接プレート223の上面に接続されている。但し、第1と第2の当接プレート213、223のY軸方向への移動を阻害しないように、接続具261、262は、各当接プレート213、223に対してスライド可能に接続されている。
【0089】
他の実施形態に係る位置決め機構41も、先の実施形態と同様に、粗材10b、10cは、ピッチ寸法pに寸法誤差Dを有していても、当該寸法誤差Dがコイル軸Oc方向に沿う両側(大端部11側および小端部16側)に均等に振り分けられる最適化された平衡位置に、位置決めされる(図8を参照)。このため、寸法誤差Dによる加熱範囲の変化が低減し、粗材10b、10cを、所期の加熱範囲に可及的に等しい範囲で、均一に加熱することが可能である。したがって、焼き入れ範囲の変化が低減する結果、必要な部位に所期の部品強度を付与し得る高周波熱処理装置を提供することができる。
【0090】
また、粗材10a、10b、10cの位置決めにあわせて、誘導加熱コイル32のコイル長さが両側に均等に弾性的に伸びるため、断面積が連続的に変化し、適正な強度分布を持たせる必要があるつなぎ部13、15に、所期の部品強度を適正に付与することができる。
【0091】
さらに、第1と第2の治具部材210、220は、コンロッド10よりも透磁率の高い材料であるけい素鋼板から形成されているので、磁束は、コンロッド10の被機械加工部位よりも第1と第2の治具部材210、220側を通過しやすくなる。このため、被機械加工部位は、誘導加熱され難くなり、焼き入れ後の硬度が必要以上に高くならない。したがって、焼き入れ工程後の機械加工工程において、大端部11および小端部16の摺動面に対する仕上げ加工を容易に行うことができる。
【0092】
以上説明したように、他の実施形態では、コンロッド10は、熱処理後に機械加工を施す被機械加工部位を含み、第1と第2の治具部材210、220のうち、少なくとも、コンロッド10における被機械加工部位の近傍に位置する部位は、コンロッド10よりも透磁率の高い材料から形成されているので、被機械加工部位は焼き入れ後の硬度が必要以上に高くならず、焼き入れ工程後の機械加工工程において、所期の機械加工を容易に行うことができる。
【0093】
(改変例)
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の範囲内で種々改変することができる。
【0094】
例えば、誘導加熱コイル32を固定側、コンロッド10を可動側の実施形態について説明したが、これとは逆に、誘導加熱コイル32を可動側、コンロッド10を固定側としても、被熱処理材を平衡位置に位置決めすることができる。
【0095】
また、第1と第2の治具部材110、120のそれぞれをコイル軸Oc方向に沿って反対側に均等に移動させる第1と第2のサーボモータ111、121を用いた場合を示したが、被熱処理材を平衡位置に位置決めする機構はこの場合に限定されるものではない。例えば、リンク機構やボールネジを用いて、1つのモータで、第1と第2の治具部材110、120のそれぞれを反対側に均等に移動させることができる。また、第1と第2の治具部材110、120を被熱処理材に当接させ、第1と第2の治具部材110、120間の距離に基づいて、一の方向に沿って位置する部位間の実際の長さと、寸法誤差Dとを算出する。その後に、被熱処理材を保持した第1と第2の治具部材110、120の全体を、算出した寸法誤差Dに基づいて移動することで、被熱処理材を平衡位置に位置決めすることもできる。
【0096】
また、他の実施形態では、第1と第2の治具部材210、220の全体を被熱処理材よりも透磁率の高い材料から形成した場合を示したが、この場合に限定されるものではない。第1と第2の治具部材210、220のうち、少なくとも、被熱処理材における被機械加工部位の近傍に位置する部位のみを被熱処理材よりも透磁率の高い材料から形成しておけば、焼き入れ工程後の機械加工を容易に行うことができるという本発明の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A)(B)は、本発明の実施の形態に係る被熱処理材の平面図および側面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る被熱処理材の製造方法を説明するための工程図である。
【図3】図3(A)(B)(C)は、図2に示される鍛造工程を経たコンロッドの粗材のピッチ寸法の寸法誤差を説明するための側面図である。
【図4】図4(A)(B)(C)は、図2に示される焼き入れ工程を説明するための側面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る高周波熱処理装置を説明するための概略図である。
【図6】高周波熱処理装置の構成を示すブロック図である。
【図7】図7(A)(B)は、高周波熱処理装置における位置決め機構の要部を示す正面図および側面図である。
【図8】図8(A)(B)(C)は、コンロッドが平衡位置に位置決めされる作用を説明するための概念図である。
【図9】図9(A)(B)は、他の実施形態に係る位置決め機構の要部を示す正面図および側面図である。
【符号の説明】
10…コンロッド(被熱処理材)
11…大端部
13、15…つなぎ部
14…連接部
16…小端部
20…高周波熱処理装置
32…誘導加熱コイル
41…位置決め機構
70…ロボットアーム(除去手段)
80…通知部(通知手段)
90…制御部(制御手段)
110、210…第1治具部材
120、220…第2治具部材
111、211…第1サーボモータ(移動手段)
121、221…第2サーボモータ(移動手段)
D…寸法誤差
Oc…コイル軸
p…ピッチ寸法(被熱処理材における一の方向に沿って位置する部位間の長さ)
Claims (10)
- 一の方向に沿って伸びた軸部を有する被熱処理材を熱処理するための高周波熱処理装置であって、
前記被熱処理材を誘導加熱するための誘導加熱コイルと、
前記誘導加熱コイルのコイル軸方向に前記軸部を沿わせて保持した前記被熱処理材を、前記誘導加熱コイルに対して相対的に、前記コイル軸方向に沿って移動させる位置決め機構と、
前記位置決め機構を制御するための制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記位置決め機構を制御することで、前記被熱処理材における前記一の方向に沿って位置する部位間の長さと当該部位間の設計上の基準長さとの間の寸法誤差が前記コイル軸方向に沿う両側に均等に振り分けられる平衡位置に、前記被熱処理材を位置決めすることを特徴とする高周波熱処理装置。 - 前記位置決め機構は、
前記軸部の一方の端部側で前記被熱処理材に当接自在な第1治具部材と、
前記軸部の他方の端部側で前記被熱処理材に当接自在な第2治具部材と、
前記第1と第2の治具部材のそれぞれを前記コイル軸方向に沿って反対側に均等に移動させる移動手段と、を有し、
前記コイル軸方向に沿って反対側に均等に移動した前記第1と第2の治具部材のそれぞれが前記被熱処理材に当接することにより、前記被熱処理材が前記平衡位置に位置決めされることを特徴とする請求項1に記載の高周波熱処理装置。 - 前記誘導加熱コイルは、コイル軸を中心にコイル素材を螺旋状に巻回して形成され、前記コイル軸方向に沿って作用する力により前記コイル軸方向に沿うコイル長さが弾性的に可変自在に構成され、
前記第1と第2の治具部材のそれぞれに、前記誘導加熱コイルを電気的絶縁状態で接続したことを特徴とする請求項2に記載の高周波熱処理装置。 - 前記被熱処理材は、熱処理後に機械加工を施す被機械加工部位を含み、
前記第1と第2の治具部材のうち、少なくとも、前記被熱処理材における前記被機械加工部位の近傍に位置する部位は、前記被熱処理材よりも透磁率の高い材料から形成されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の高周波熱処理装置。 - 前記制御手段は、前記寸法誤差に応じて、熱処理条件を変更することを特徴とする請求項1に記載の高周波熱処理装置。
- 前記熱処理条件は、前記誘導加熱コイルによる誘導加熱時間あるいは誘導加熱出力であることを特徴とする請求項5に記載の高周波熱処理装置。
- 前記被熱処理材を取り除くための除去手段をさらに有し、
前記制御手段は、前記寸法誤差が所定の範囲を越えている場合、前記除去手段を制御することで、前記被熱処理材を取り除くことを特徴とする請求項1に記載の高周波熱処理装置。 - 前記被熱処理材が取り除かれたことを通知するための通知手段をさらに有することを特徴とする請求項7に記載の高周波熱処理装置。
- 前記被熱処理材は、鍛造部品であることを特徴とする請求項1に記載の高周波熱処理装置。
- 前記鍛造部品は、内燃機関におけるピストンとクランクシャフトとを連結し、ピストンの往復運動をクランクシャフトに伝達するために使用されるコンロッドであることを特徴とする請求項9に記載の高周波熱処理装置。
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JP2003082292A JP2004285459A (ja) | 2003-03-25 | 2003-03-25 | 高周波熱処理装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2006318889A (ja) * | 2005-04-14 | 2006-11-24 | Nissan Motor Co Ltd | 高周波焼入れ装置および高周波焼入れ方法 |
CN100439518C (zh) * | 2006-05-11 | 2008-12-03 | 镇江中船设备有限公司 | 活塞环槽高频淬火工艺 |
CN109929975A (zh) * | 2017-12-18 | 2019-06-25 | 上海北特科技股份有限公司 | 堵料监测与剔除系统和堵料监测与剔除的方法 |
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2003
- 2003-03-25 JP JP2003082292A patent/JP2004285459A/ja not_active Withdrawn
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