【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、石膏を主原料にした水酸アパタイトの製造方法に係わるものである。
【0002】
【従来の技術】
水酸アパタイト{Ca10(PO4 )6 (OH)2 }は、生体材料として商品化が進んでいるが、その一方で重金属の除去、有機物の吸着などさまざまな特性を有しており、工業的用途も広がっている。水酸アパタイトにはさまざまな製造方法があり、(1)炭酸カルシウムや硝酸カルシウムなどのカルシウム源とリン酸、リン酸塩などのリン源を化学的に反応させて合成する方法(特許文献1、2)、(2)第二リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウムなどのリン酸カルシウム化合物を加水分解する方法(特許文献3、4)、(3)生体内の環境を模倣した溶液中に基材を浸漬してその表面にアパタイトを生成させる擬似体液法(特許文献5)、(4)牛骨のような天然骨から有機成分を除去して精製する方法(特許文献6)等数多くの方法が提案されている。これらのうち、カルシウム源とリン酸またはリン酸塩を化学的に反応させる方法は最も一般的で、そのカルシウム源としては炭酸カルシウムや硝酸カルシウム、水酸化カルシウムなど様々なカルシウム化合物が使用されている。
【0003】
一方、脱粒石膏や石膏ボード、陶磁器用型材としての使用済み石膏型など、各方面で未利用のまま残っている石膏資源は多いが、カルシウム源として石膏(硫酸カルシウム)を考える場合、難溶性であり、ほとんど使用されていないのが現状である。これらの未利用石膏を水酸アパタイトの原料として有効に利用できれば、工業用に安価な水酸アパタイトを提供できるものと期待される。
【0004】
二水石膏とリン酸水素二アンモニウムまたはリン酸水素二ナトリウムから水酸アパタイトを合成する際の反応式を以下に示す。
【0005】
反応式からも分かるように、従来、石膏が水酸アパタイトの原料としてほとんど使用されなかった理由の一つは、石膏とリン酸塩を水酸アパタイトのCa:P(モル比)の理論比である10:6で調合した場合、石膏が硫酸根を含むために合成後の反応液が硫酸根を多量に含有し、廃液処理が困難になることである。また、反応の進行に伴い硫酸が生成することで反応溶液が酸性側にシフトし、水酸アパタイトの安定生成領域である中性〜アルカリ性という条件からずれてくるため、大過剰のリン酸水素二アンモニウムを使用するか、または、pH調整のために余分なアルカリを添加して水酸アパタイトの安定生成領域である中性〜アルカリ性という条件を維持する必要がある。しかしながら、大過剰のリン酸水素二アンモニウムを投入した場合は投入リン源に対する水酸アパタイトの収率が低くなってコスト的に不利となり、また、pH調整のためアルカリを加えた場合には反応後の廃液組成がより複雑化するなどの問題がある。さらに、原料溶液の組成が水酸アパタイトの理論的なCa/P比より大きくCa不足に傾くため、生成した水酸アパタイトのCa/P比も1.50前後のものしか得られないという欠点があった。
【0006】
【特許文献1】
特開昭53−110999号公報
【0007】
【特許文献2】
特開昭59−107912号公報
【0008】
【特許文献3】
特開平07−002506号公報
【0009】
【特許文献4】
特開平11−255507号公報
【0010】
【特許文献5】
特開平06−335520号公報
【0011】
【特許文献6】
特開平08−048589号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、石膏を主原料とする水酸アパタイトの製造方法であって、廃液処理の問題がなく、Ca/P比の理論比に近い水酸アパタイトを容易に製造することができる水酸アパタイトの製造方法の提供を課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の水酸アパタイトの製造方法は、石膏と塩基性カルシウム化合物とをカルシウム源とし、該カルシウム源をリン酸アンモニウム水溶液中にCa/P(モル比)が水酸アパタイトの理論比となるように投入した後、室温〜100℃で攪拌し、反応させることを特徴とする。
【0014】
また、塩基性カルシウム化合物が、水酸化カルシウムまたは酸化カルシウムであることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
石膏が硫酸塩である以上、硫酸根が反応溶液中に生成するのは避けられないが、副生成物としての硫酸根が硫酸アンモニウムのみになれば、農業用の肥料のような有用資源として再利用することが可能となる。そこで、本発明は、下記の反応式のように主原料の石膏に同じカルシウム源である水酸化カルシウム、酸化カルシウムなどの塩基性カルシウム化合物を加えてカルシウム源とし、リン酸塩にはリン酸アンモニウムを用い、全カルシウム:リン比が水酸アパタイトの理論比になるように調合し、反応させることにより、生成物が水酸アパタイトと硫酸アンモニウムだけの単純な系になるようにすることができ、上記課題を解決することができることを見いだした。
【0016】
以下、石膏として二水石膏、リン酸アンモニウムとしてリン酸水素二アンモニウムを用いた場合の反応式を示す。
【0017】
原料中の石膏と塩基性カルシウム化合物との調合比は、6:4(モル比)であり、また、原料中の全カルシウム量とリンの調合比は、水酸アパタイトの理論比となるように10:6(モル比)である。水酸化カルシウムと酸化カルシウムは強塩基性であることから、反応後の溶液のpH値は水酸アパタイトが安定的に生成する弱アルカリ領域に保たれる。また、生成物は水酸アパタイトと硫酸アンモニウムのみとすることができる。また、反応溶液内のカルシウムとリンの比が水酸アパタイトの理論比であることから、生成物のカルシウムとリンの比も向上させることができる。
【0018】
本発明の実施形態について詳細に説明する。水酸アパタイトを製造するにあたっては、密閉可能な容器に石膏粉末および塩基性カルシウム化合物粉末を反応式(3)または(4)にしたがって6:4のモル比で投入し、リン酸アンモニウム溶液を注いで蓋をする。
【0019】
主原料とする石膏としては、二水、半水、無水等いずれの形態であっても使用できる。石膏は、脱粒石膏や市販石膏粉末のほか、使用済み石膏ボードや陶磁器用型材としての石膏型の粉砕物などいずれの石膏でも使用できる。
【0020】
また、塩基性カルシウム化合物の添加の目的は、反応系を中性以上に保ったまま原料中のカルシウムとリンの比を水酸アパタイトの理論比にすることであるが、水酸化カルシウムの溶解度は石膏よりも高いために反応初期により多くの結晶核が生成し、結果としてアパタイト化時間の短縮に繋がるという効果がある。
【0021】
リン酸源としてはリン酸アンモニウムを使用するとよく、例えば、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウムが挙げられ、副生成物として利用しやすい硫酸アンモニウムを得ることができるが、他のリン酸塩原料として、反応後に水溶液中に可溶性であるリン酸ナトリウムなどを使用してもよい。原料溶液中のリン酸塩溶液の濃度は0.1mol/dm3 (リットル)〜飽和溶液まで利用することができるが、反応効率と作業性の面からは0.5〜1.0mol/dm3 程度が望ましい。
【0022】
また、反応温度としては、室温〜100℃の範囲で攪拌し、反応させることにより、水酸アパタイトを微粒子状に形成することができる。水酸アパタイト化が完了した後、吸引濾過し、乾燥することにより水酸アパタイト粉末が得られる。水酸アパタイト生成に要する時間は反応温度によって大きく異なるが、室温〜50℃以下では水酸アパタイト化時間が極端に長くなり、数日〜2週間程度が費やされるので、実用的には50℃〜100℃の範囲が好ましい。
【0023】
このようにして得られる水酸アパタイトは、長さ5〜50μmの針状結晶で、C/P(モル比)は1.59〜1.63のものとでき、水酸アパタイトにおけるC/P(モル比)理論比に近いものを容易に製造することができる。また、副生物である硫酸アンモニウムは易溶性であり、反応終了後は完全に溶解したまま液相中に存在しているので、ろ過によって容易に水酸アパタイトと分離でき、濃縮または溶媒留去後、肥料などとして再利用することが可能である。
【0024】
【実施例】
以下、実施例により、本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0025】
(実施例1)
陶磁器用の使用済み石膏型をジョークラッシャーで粗粉砕したのち、乳鉢で十分に磨り潰して粒径を20μm以下にした。この石膏粉末43.07g(0.25mol)と水酸化カルシウム粉末12.42g(0.18mol)を500cm3 のテフロン(登録商標)製密閉容器に入れ、1mol/dm3 のリン酸水素二アンモニウム溶液(pH8.0)250cm3 を注いだ。このとき原料混合物中の石膏と水酸化カルシウムのモル比は6:4、全カルシウムとリンのモル比は10:6である。
【0026】
このテフロン(登録商標)容器をあらかじめ100℃に加熱しておいた乾燥器に入れ、スターラーで110〜240分間攪拌した。撹拌とともに溶液のpHは低下し、pH7.5でほぼ一定となった。反応生成物は減圧濾過により固液分離し、固体分は洗浄後、乾燥してX線回折により水酸アパタイト化を確認するとともにICP{「ICP発光分光分析装置」島津製作所(株)製}を使用してCa/P比を算出した。なお、一方の液体分は天日乾燥により硫酸アンモニウム32.25gを得た。
【0027】
実施例1で、使用原料を石膏とリン酸アンモニウムのみとし、水酸化カルシウムを添加しない以外は同様にし、比較試験1とした。
【0028】
図1は、実施例1と比較試験1において、X線回折のピーク強度比から算出した石膏から水酸アパタイトヘの相対的な転化率の経時変化を比較したものである。比較試験1では水酸アパタイト化に30分を要しているが、実施例の試験では10分で完全に水酸アパタイトに転化していることがわかる。
【0029】
また比較試験1で合成した水酸アパタイトのCa/P比は1.51であるのに対し、実施例1で合成した水酸アパタイトではCa/P比は1.60であり、水酸アパタイトの理論比10:6により近いものであった。
【0030】
(実施例2)
市販の半水石膏36.29g(0.25mol)と水酸化カルシウム粉末12.42g(0.18mol)を500cm3 のテフロン(登録商標)製密閉容器に入れ、1mol/dm3 のリン酸水素二アンモニウム溶液(pH8.0)250cm3 を注いだ。このとき原料混合物中の石膏と水酸化カルシウムのモル比は6:4、全カルシウムとリンのモル比は10:6になっている。このテフロン(登録商標)容器を、あらかじめ100℃に加熱しておいた乾燥器に入れ、スターラーで10〜120分間攪拌した。撹拌とともに溶液のpHは低下し、約7.5でほぼ一定となった。反応生成物は減圧濾過により固液分離し、固体分は洗浄後、乾燥してX線回折により水酸アパタイト化を確認するとともにICPでCa/P比を算出した。
【0031】
実施例2で、使用原料を石膏粉末とリン酸アンモニウムのみとし、水酸化カルシウムを添加しない以外は同様にし、比較試験2とした。
【0032】
図2は、実施例2と比較試験2において、X線回折のピーク強度比から算出した石膏から水酸アパタイトヘの相対的な転化率の経時変化を比較したものである。比較試験2では水酸アパタイト化に60分を要しているが、実施例の試験では20分で完全に水酸アパタイトに転化している。また、比較試験2で合成した水酸アパタイトのCa/P比が1.49であるのに対し、実施例2で合成した水酸アパタイトではCa/P比が1.59であり、水酸アパタイトの理論比により近いものであった。
【0033】
(実施例3)
陶磁器用の使用済み石膏型をジョークラッシャーで粗粉砕したのち、乳鉢で十分に磨り潰して粒径を20μm以下にした。この石膏粉末43.07g(0.25mol)と水酸化カルシウム粉末12.42g(0.18mo1)を500cm3 のテフロン(登録商標)製密閉容器に入れ、1mol/dm3 のリン酸水素二アンモニウム溶液(pH8.0)250cm3 を注いだ。このとき原料混合物中の石膏と水酸化カルシウムのモル比は6:4、全カルシウムとリンのモル比は10:6となっている。このテフロン(登録商標)容器を、あらかじめ50℃に加熱しておいた恒温振とう器に入れ、120回/分の回転速度で10〜240分間回転振とうした。反応の経過とともに溶液のpHは低下し、約7.5でほぼ一定となった。反応生成物は減圧濾過により固液分離し、固体分は洗浄後、乾燥してX線回折により水酸アパタイト化を確認するとともにICPでCa/P比を算出した。
【0034】
実施例3で、使用原料を石膏粉末とリン酸アンモニウムのみとし、水酸化カルシウムを添加しない以外は同様にし、比較試験3とした。
【0035】
図3は、実施例3と比較試験3において、X線回折のピーク強度比から算出した石膏から水酸アパタイトヘの相対的な転化率の経時変化を比較したものである。比較試験では水酸アパタイト化に240分を要しているが、実施例の試験では120分で完全に水酸アパタイトに転化している。また、比較試験で合成した水酸アパタイトのCa/P比が1.50であるのに対し、実施例で合成した水酸アパタイトではCa/P比が1.60であり、水酸アパタイトの理論比により近いものであった。
【0036】
【発明の効果】
脱粒石膏や石膏ボード、陶磁器用型材としての使用済み石膏型、各方面で未利用のまま残っている石膏資源を有効利用して、Ca/P比が水酸アパタイトの理論比により近い水酸アパタイトを容易に合成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施例1と比較試験1において、X線回折のピーク強度比から算出した石膏から水酸アパタイトヘの相対的な転化率の経時変化を比較したものである。
【図2】図2は実施例2と比較試験2において、X線回折のピーク強度比から算出した石膏から水酸アパタイトヘの相対的な転化率の経時変化を比較したものである。
【図3】図3は実施例3と比較試験3において、X線回折のピーク強度比から算出した石膏から水酸アパタイトヘの相対的な転化率の経時変化を比較したものである。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a method for producing hydroxyapatite using gypsum as a main raw material.
[0002]
[Prior art]
Hydroxyapatite {Ca 10 (PO 4 ) 6 (OH) 2 } is being commercialized as a biomaterial, but has various properties such as removal of heavy metals and adsorption of organic substances. Its purpose is expanding. There are various production methods for hydroxyapatite, and (1) a method of chemically reacting a calcium source such as calcium carbonate or calcium nitrate with a phosphorus source such as phosphoric acid or phosphate to synthesize (Patent Document 1, 2), (2) a method of hydrolyzing a calcium phosphate compound such as dibasic calcium phosphate and tribasic calcium phosphate (Patent Documents 3 and 4), and (3) immersing a substrate in a solution imitating the environment in a living body, Numerous methods have been proposed, including a simulated body fluid method for generating apatite on the surface (Patent Document 5), and a method for removing and purifying organic components from natural bone such as bovine bone (Patent Document 6). Of these, the most common method is to chemically react a phosphoric acid or phosphate with a calcium source, and various calcium compounds such as calcium carbonate, calcium nitrate, and calcium hydroxide are used as the calcium source. .
[0003]
On the other hand, there are many gypsum resources that remain unused in various directions, such as degranulated gypsum, gypsum board, and used gypsum molds as ceramic molds. However, when considering gypsum (calcium sulfate) as a calcium source, it is hardly soluble. Yes, they are rarely used. If these unused gypsum can be effectively used as a raw material for hydroxyapatite, it is expected that inexpensive hydroxyapatite for industrial use can be provided.
[0004]
The reaction formula for synthesizing hydroxyapatite from gypsum and diammonium hydrogen phosphate or disodium hydrogen phosphate is shown below.
[0005]
As can be seen from the reaction formula, one of the reasons why gypsum was rarely used as a raw material for hydroxyapatite in the past was that gypsum and phosphate were converted by the theoretical ratio of Ca: P (molar ratio) of hydroxyapatite. In the case of mixing at a certain ratio of 10: 6, the reaction solution after synthesis contains a large amount of sulfate groups because gypsum contains sulfate groups, and it is difficult to treat waste liquid. In addition, the reaction solution shifts to the acidic side due to the formation of sulfuric acid with the progress of the reaction, and deviates from the neutral to alkaline condition, which is a stable production region of hydroxyapatite. It is necessary to use ammonium or add an extra alkali for pH adjustment to maintain the neutral to alkaline condition, which is a stable generation region of hydroxyapatite. However, if a large excess of diammonium hydrogen phosphate is added, the yield of hydroxyapatite relative to the added phosphorus source becomes low, which is disadvantageous in terms of cost. There is a problem that the waste liquid composition becomes more complicated. Further, since the composition of the raw material solution is larger than the theoretical Ca / P ratio of hydroxyapatite and tends toward Ca deficiency, there is a disadvantage that the Ca / P ratio of the generated hydroxyapatite is only about 1.50. there were.
[0006]
[Patent Document 1]
JP-A-53-110999
[Patent Document 2]
JP-A-59-107912
[Patent Document 3]
JP 07-002506 A
[Patent Document 4]
JP-A-11-255507
[Patent Document 5]
JP 06-335520 A
[Patent Document 6]
JP-A-08-048589
[Problems to be solved by the invention]
The present invention relates to a method for producing hydroxyapatite using gypsum as a main raw material, wherein there is no problem of waste liquid treatment, and hydroxyapatite close to the theoretical ratio of Ca / P ratio can be easily produced. It is an object of the present invention to provide a method for manufacturing the same.
[0013]
[Means for Solving the Problems]
In the method for producing hydroxyapatite of the present invention, gypsum and a basic calcium compound are used as a calcium source, and the calcium source is adjusted so that Ca / P (molar ratio) becomes the theoretical ratio of hydroxyapatite in an aqueous solution of ammonium phosphate. And then stirred at room temperature to 100 ° C. to cause a reaction.
[0014]
Further, the basic calcium compound is calcium hydroxide or calcium oxide.
[0015]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Since gypsum is a sulfate, it is inevitable that sulfate is generated in the reaction solution, but if ammonium sulfate is the only by-product, it can be reused as a useful resource such as fertilizer for agriculture. It is possible to do. Therefore, the present invention provides a calcium source by adding a basic calcium compound such as calcium hydroxide or calcium oxide, which is the same calcium source, to gypsum as a main raw material as shown in the following reaction formula, and a phosphate to ammonium phosphate. By using and mixing so that the total calcium: phosphorus ratio becomes the theoretical ratio of hydroxyapatite and reacting, the product can be made into a simple system of only hydroxyapatite and ammonium sulfate. We found that we could solve the problem.
[0016]
The following shows a reaction formula in the case of using gypsum dihydrate as gypsum and diammonium hydrogen phosphate as ammonium phosphate.
[0017]
The mixing ratio between the gypsum and the basic calcium compound in the raw material is 6: 4 (molar ratio), and the mixing ratio between the total calcium in the raw material and phosphorus is the theoretical ratio of hydroxyapatite. 10: 6 (molar ratio). Since calcium hydroxide and calcium oxide are strongly basic, the pH value of the solution after the reaction is kept in a weakly alkaline region where hydroxyapatite is stably generated. Further, the product can be only hydroxyapatite and ammonium sulfate. Further, since the ratio of calcium to phosphorus in the reaction solution is the theoretical ratio of hydroxyapatite, the ratio of calcium to phosphorus in the product can be improved.
[0018]
An embodiment of the present invention will be described in detail. In producing hydroxyapatite, gypsum powder and basic calcium compound powder are charged into a sealable container at a molar ratio of 6: 4 according to the reaction formula (3) or (4), and an ammonium phosphate solution is poured. Cover with.
[0019]
Gypsum as a main raw material can be used in any form such as dihydrate, hemihydrate, and anhydrous. The gypsum can be any gypsum, such as degranulated gypsum or commercially available gypsum powder, as well as used gypsum board or crushed gypsum mold as a porcelain mold.
[0020]
The purpose of adding the basic calcium compound is to make the ratio of calcium and phosphorus in the raw material the theoretical ratio of hydroxyapatite while keeping the reaction system neutral or more, but the solubility of calcium hydroxide is Since it is higher than gypsum, more crystal nuclei are generated in the initial stage of the reaction, and as a result, there is an effect that the apatitization time is reduced.
[0021]
Ammonium phosphate is preferably used as the phosphate source. Examples thereof include diammonium hydrogen phosphate and ammonium dihydrogen phosphate, and ammonium sulfate which can be easily used as a by-product can be obtained. As a raw material, sodium phosphate or the like which is soluble in an aqueous solution after the reaction may be used. The concentration of the phosphate solution in the raw material solution can be from 0.1 mol / dm 3 (liter) to a saturated solution, but from the viewpoint of reaction efficiency and workability, it is 0.5 to 1.0 mol / dm 3. A degree is desirable.
[0022]
The reaction temperature is within a range from room temperature to 100 ° C., and the reaction is carried out to form hydroxyapatite into fine particles. After the completion of the hydroxyapatite conversion, suction filtration and drying are performed to obtain a hydroxyapatite powder. The time required for the production of hydroxyapatite varies greatly depending on the reaction temperature, but when the temperature is from room temperature to 50 ° C. or less, the hydroxyapatite conversion time becomes extremely long, and several days to two weeks are spent. A range of 100 ° C. is preferred.
[0023]
The hydroxyapatite thus obtained is a needle-like crystal having a length of 5 to 50 μm and a C / P (molar ratio) of 1.59 to 1.63. (Mole ratio) A product close to the theoretical ratio can be easily produced. In addition, since ammonium sulfate as a by-product is easily soluble and is present in the liquid phase while being completely dissolved after the reaction, it can be easily separated from hydroxyapatite by filtration, and after concentration or evaporation of the solvent, It can be reused as fertilizer.
[0024]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described with reference to examples, but the present invention is not limited to the following examples.
[0025]
(Example 1)
The used gypsum mold for ceramics was roughly pulverized with a jaw crusher, and then sufficiently ground with a mortar to reduce the particle size to 20 μm or less. 43.07 g (0.25 mol) of the gypsum powder and 12.42 g (0.18 mol) of the calcium hydroxide powder were placed in a 500 cm 3 Teflon (registered trademark) airtight container, and a 1 mol / dm 3 diammonium hydrogen phosphate solution was added. (PH 8.0) 250 cm 3 was poured. At this time, the molar ratio of gypsum to calcium hydroxide in the raw material mixture is 6: 4, and the molar ratio of total calcium to phosphorus is 10: 6.
[0026]
This Teflon (registered trademark) container was placed in a dryer previously heated to 100 ° C., and stirred for 110 to 240 minutes with a stirrer. The pH of the solution decreased with stirring, and became almost constant at pH 7.5. The reaction product was separated into solid and liquid by filtration under reduced pressure, and the solid was washed, dried, and confirmed to be hydroxyapatite by X-ray diffraction. ICP (“ICP emission spectrometer” manufactured by Shimadzu Corporation) was used. Used to calculate the Ca / P ratio. One liquid was dried in the sun to obtain 32.25 g of ammonium sulfate.
[0027]
Comparative Example 1 was performed in the same manner as in Example 1 except that only gypsum and ammonium phosphate were used as raw materials and no calcium hydroxide was added.
[0028]
FIG. 1 is a graph comparing the change with time of the relative conversion rate from gypsum to hydroxyapatite calculated from the peak intensity ratio of X-ray diffraction in Example 1 and Comparative Test 1. In Comparative Test 1, it took 30 minutes to convert to hydroxyapatite, but in the test of the example, it was found that it was completely converted to hydroxyapatite in 10 minutes.
[0029]
The Ca / P ratio of the hydroxyapatite synthesized in Comparative Test 1 was 1.51, whereas the Ca / P ratio of the hydroxyapatite synthesized in Example 1 was 1.60, It was closer to the theoretical ratio of 10: 6.
[0030]
(Example 2)
36.29 g (0.25 mol) of commercially available hemihydrate gypsum and 12.42 g (0.18 mol) of calcium hydroxide powder were placed in a 500 cm 3 Teflon (registered trademark) closed container, and 1 mol / dm 3 of hydrogen phosphate was added. 250 cm 3 of ammonium solution (pH 8.0) was poured. At this time, the molar ratio of gypsum to calcium hydroxide in the raw material mixture was 6: 4, and the molar ratio of total calcium to phosphorus was 10: 6. This Teflon (registered trademark) container was placed in a dryer previously heated to 100 ° C., and stirred with a stirrer for 10 to 120 minutes. The pH of the solution decreased with stirring and became almost constant at about 7.5. The reaction product was subjected to solid-liquid separation by filtration under reduced pressure, and the solid content was washed, dried and confirmed to be hydroxyapatite by X-ray diffraction, and the Ca / P ratio was calculated by ICP.
[0031]
Comparative Example 2 was performed in the same manner as in Example 2 except that the raw materials used were only gypsum powder and ammonium phosphate, and calcium hydroxide was not added.
[0032]
FIG. 2 is a graph comparing the change over time in the relative conversion from gypsum to hydroxyapatite calculated from the peak intensity ratio of X-ray diffraction in Example 2 and Comparative Test 2. In Comparative Test 2, it took 60 minutes to convert to hydroxyapatite, but in the test of the example, it was completely converted to hydroxyapatite in 20 minutes. The Ca / P ratio of the hydroxyapatite synthesized in Comparative Test 2 was 1.49, whereas the Ca / P ratio of the hydroxyapatite synthesized in Example 2 was 1.59, Was closer to the theoretical ratio of
[0033]
(Example 3)
The used gypsum mold for ceramics was roughly pulverized with a jaw crusher, and then sufficiently ground with a mortar to reduce the particle size to 20 μm or less. 43.07 g (0.25 mol) of this gypsum powder and 12.42 g (0.18 mol) of calcium hydroxide powder were placed in a 500 cm 3 Teflon (registered trademark) airtight container, and a 1 mol / dm 3 diammonium hydrogen phosphate solution was added. (PH 8.0) 250 cm 3 was poured. At this time, the molar ratio of gypsum to calcium hydroxide in the raw material mixture was 6: 4, and the molar ratio of total calcium to phosphorus was 10: 6. This Teflon (registered trademark) container was placed in a constant temperature shaker that had been heated to 50 ° C. in advance, and was rotationally shaken at a rotation speed of 120 times / min for 10 to 240 minutes. As the reaction progressed, the pH of the solution decreased and became almost constant at about 7.5. The reaction product was subjected to solid-liquid separation by filtration under reduced pressure, and the solid content was washed, dried and confirmed to be hydroxyapatite by X-ray diffraction, and the Ca / P ratio was calculated by ICP.
[0034]
Comparative test 3 was performed in the same manner as in Example 3 except that the raw materials used were only gypsum powder and ammonium phosphate, and calcium hydroxide was not added.
[0035]
FIG. 3 is a comparison of the change over time in the relative conversion from gypsum to hydroxyapatite calculated from the peak intensity ratio of X-ray diffraction in Example 3 and Comparative Test 3. In the comparative test, it took 240 minutes to convert to hydroxyapatite, but in the test of the example, it was completely converted to hydroxyapatite in 120 minutes. The Ca / P ratio of the hydroxyapatite synthesized in the comparative test was 1.50, whereas the Ca / P ratio of the hydroxyapatite synthesized in the example was 1.60. It was closer to the ratio.
[0036]
【The invention's effect】
Granulated gypsum, gypsum board, used gypsum mold as a ceramic material, and gypsum resources that are left unused in various directions, making Ca / P ratio closer to the theoretical ratio of hydroxyapatite Can be easily synthesized.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a graph comparing the change with time of the relative conversion rate of gypsum to hydroxyapatite calculated from the peak intensity ratio of X-ray diffraction in Example 1 and Comparative Test 1.
FIG. 2 is a graph comparing the change over time in the relative conversion from gypsum to hydroxyapatite calculated from the peak intensity ratio of X-ray diffraction in Example 2 and Comparative Test 2.
FIG. 3 is a graph comparing the change over time in the relative conversion from gypsum to hydroxyapatite calculated from the peak intensity ratio of X-ray diffraction in Example 3 and Comparative Test 3.