JP2004281300A - 燃料電池発電システム - Google Patents

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Takeshi Saito
健 斎藤
Susumu Aikawa
進 相川
Masahiro Kuroishi
正宏 黒石
Toshiya Abe
俊哉 阿部
Kosaku Fujinaga
幸作 藤永
Kentaro Suzuki
賢太郎 鈴木
Hiroaki Takeuchi
弘明 竹内
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Abstract

【課題】本発明の目的は、燃料電池システムが定格出力以下の運転状態でも少ない燃料消費で運転温度維持が可能な燃料電池発電システムを提供することである。
【解決手段】本発明では、燃料極と空気極と電解質を有する燃料電池セルと、前記燃料極に燃料ガスを供給する燃料ガスラインと、前記空気極に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガスラインとを有する燃料電池発電システムにおいて、前記燃料電池セルの酸化剤ガス流路内を燃焼室として利用し電池の運転温度を維持する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は燃料電池発電システムに関し、さらに詳細には高温型の燃料電池発電システムの発電反応温度維持装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池セルの種類として固体酸化物形燃料電池、溶融炭酸塩形燃料電池、リン酸形燃料電池、固体高分子形燃料電池がある。このうち固体酸化物形燃料電池および溶融炭酸塩形燃料電池は反応温度が高いことから高温形燃料電池と言われることもある。これに対してリン酸形燃料電池および固体高分子形燃料電池は低温形燃料電池と言われる。
まず、ここでは高温形燃料電池の一つである固体酸化物形燃料電池を例にとって、従来の燃料電池発電システムの説明をする。図5に従来の筒状固体酸化物形燃料電池発電システムの一般的な構成図を示す。
【0003】
燃料電池セル1は筒状固体酸化物形燃料電池であり、多孔質支持管−空気極−固体酸化物−燃料極−インターコネクタで構成される筒状セルである。なお、空気極が多孔質支持管を兼用する場合もある。燃料電池セル1は燃料電池容器5に収納されている。燃料電池セル1の外側の燃料極には燃料ガスライン6から燃料ガスが供給される。燃料電池セル1の内側には空気導入管2が挿入されており、空気分配器3を介して酸化剤ガスが供給される。
【0004】
燃料ガスには、水素ガスを用いることがもっとも好適であるが、天然ガス、プロパンガスなどの炭化水素系燃料ガスを改質器(図示しない)などによって水素リッチガスに転換して導入されることが多い。一方酸化剤ガスとしては、酸素ガスを用いることがもっとも好適であるが、入手性の問題などから一般的には空気が用いられる。図5は酸化剤ガスとして空気を用いる場合を示す。このようにして燃料極側に燃料ガスが、空気極側に酸化剤ガスが供給されると、電解質の両側において電気化学反応が起こり電力と熱と水を発生する。この反応は水の電気分解の逆反応である。
【0005】
図5には、1つの燃料電池セル1を示しているが、実際のシステムにおいては複数の燃料電池セル1が電気的に接続された燃料電池スタックもしくは燃料電池モジュールを構成して、必要な電力量を発生させている。また、燃料電池の発電反応温度を維持するために、燃料電池容器や周辺装置は断熱材によって保温され放熱を防いでいる。
【0006】
次に、従来の燃料電池発電システムの発電反応温度維持方法の説明をする。燃料電池発電システムが定格運転されている場合は電池本体部分での発熱と、燃料極側と空気極側の排ガスにより持ち去られる熱量と放熱のバランスが保たれ運転温度が維持される。しかし、発電出力を下げていった場合は電池本体での発熱量が不足し、発電反応温度が維持できなくなる。
【0007】
そこでこの温度を維持するため、空気ライン7に設けた加熱装置4で高温に加熱した空気を供給する方法などが採用されていた(例えば、特許文献1参照)。図5においては、空気ラインに設けた加熱装置の一例を示す。
【0008】
【特許文献1】
特開平9−293525号公報(第4頁、第1図)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の、途中で不足する熱を考慮した加熱能力を有する加熱手段を設ける方法では、燃料電池セルに到達する前に熱が放散するため、全体の効率が低下するという問題があった。また、設備が過大となり、設備コストアップやランニングコストアップおよび設備サイズアップの要因となっていた。
【0010】
本発明は、これらの従来技術の問題点を解決するためになされたものであって、燃料電池システムが定格出力以下の運転状態でも少ない燃料消費で発電反応温度維持が可能な燃料電池発電システムを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1は、燃料極と空気極と電解質を有する燃料電池セルと、前記燃料極に燃料ガスを供給する燃料ガスラインと、前記空気極に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガスラインとを有する燃料電池発電システムにおいて、燃料電池セルの酸化剤ガス流路内に、燃焼を支援するための触媒燃焼手段を設け、燃焼室として利用することを特徴とする。従って、本発明によって電池内で燃焼を起こし、電池反応による発熱が不十分な場合でも電池内部から直接加熱することができる。
【0012】
請求項2は、前記燃料電池セルが筒状固体酸化物形燃料電池であって、前記酸化剤ガス流路が空気導入管である燃料電池発電システムにおいて、前記触媒燃焼手段が前記空気導入管の内表面および/または外表面に設けられた燃焼触媒層であることを特徴とする。
ここで、燃焼触媒とは、触媒表面で燃料を空気中の酸素と反応させ熱エネルギーを発生させる機能を有するものである。燃焼触媒を用いることにより、炎を発生せずに燃焼させることができる。
従って、本発明によって空気と燃料を供給して空気流路内で燃焼させることができ、セルに効率よく熱を伝えることができる。
【0013】
請求項3は、前記触媒燃焼手段が、燃焼触媒作用を有する材料で作製された空気導入管であることにより、空気と燃料を供給して空気流路内で燃焼させることができ、セルに効率よく熱を伝えることができる。
【0014】
請求項4は、前記燃料電池セルが平板型燃料電池であって、前記酸化剤ガス流路がセパレータに形成された燃料電池発電システムにおいて、前記触媒燃焼手段が前記セパレータの酸化剤ガス流路の表面に設けられた燃焼触媒層であることにより、空気と燃料を供給して空気流路内で燃焼させることができ、セルに効率よく熱を伝えることができる。
【0015】
請求項5は、前記触媒燃焼手段が前記空気極の表面に設けられた燃焼触媒層であることにより、空気と燃料を供給して空気流路内で燃焼させることができ、セルに効率よく熱を伝えることができる。
【0016】
請求項6は、前記触媒燃焼手段が前記空気極に混合された燃焼触媒であることにより、 空気と燃料を供給して空気流路内で燃焼させることができ、セルに効率よく熱を伝えることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して本発明をより具体的に説明する。
図1は本発明の燃料電池発電システムの一実施例を略示する図である。燃料電池セル1は筒状固体酸化物形燃料電池であり、多孔質支持管−空気極−固体酸化物−燃料極−インターコネクタで構成される筒状セルである。なお、空気極が多孔質支持管を兼用する場合もある。燃料電池セル1は図1においては1本であるが、通常は複数の燃料電池セル1が電気的に接続されて燃料電池容器5に収納されている。燃料電池容器5には燃料ガスライン6が接続されており、燃料電池セル1の外側の燃料極に燃料ガスが供給される。燃料電池セル1の内側には空気導入管2が挿入されており、空気分配器3を介して空気ライン7と接続されている。本実施例では酸化剤ガスとして空気を用いた例を示す。空気分配器3には複数の空気導入管2が接続されており、それぞれの燃料電池セル1の内側の空気極に空気が供給される。空気ライン7の下流には燃焼用燃料ガスライン8が接続されている。空気導入管2の内表面と外表面に燃焼触媒層10が形成されている。
【0018】
図2は、図1の要部拡大図である。燃料電池セル1の内側に空気導入管2が挿入されており、空気導入管2の内表面と外表面に燃焼触媒層10が形成されている。
【0019】
次にこのように構成された燃料電池発電システムにおいて、反応温度を維持しつつ発電出力を下げる場合の動作について説明する。定格運転時からわずかに発電出力を下げる場合には空気極側へ供給する空気量を減らすなどの操作で対応する。さらに発電出力を下げる場合には、発電による発熱量の低下を補償する燃焼熱を得られる量の燃料を燃焼用ガスラインから空気極側へ供給しつつ行う。空気導入管2の内表面と外表面には燃焼触媒層10が形成されているため、各表面で触媒燃焼反応が起こり、燃焼熱が発生する。空気導入管2は燃料電池セル1に内挿されて近接して設置されているため、発生した燃焼熱のほとんどが効率良く燃料電池セル1に伝達される。セル内温度が高温の場合、供給された燃料はセル内で自然に燃焼するが、燃焼をセル部分で安定に持続させるためには、このような燃焼触媒の使用が望ましい。また、燃焼触媒の使用によりより低温で運転される燃料電池システムにも対応可能となる。このようにして、少ない燃料で発電可能温度を維持することができる。
【0020】
また、発電を短時間(例えば数時間)の間停止し、発電を再開する運転を行う場合は次のような操作を行なう。上記の操作に続き、発電出力を下げ、供給する燃焼用燃料の量を調整し、発電は困難であるが燃焼は維持できる温度まで、セル内温度を下げる。再び発電が必要になった時には、燃焼用燃料の量を徐々に増やし、発電が可能な温度になったところで発電を開始する。このようにして、短時間で発電が可能になる状態を少ない燃料で維持することができる。
【0021】
なお、燃焼触媒層10は空気導入管2の内表面と外表面のいずれか一方に設けても良い。また、図3に示すように空気極の表面に燃焼触媒層10を設けることも可能である。この場合燃焼触媒層での燃焼熱は、さらに効率良く燃料電池セル1の発電反応部に伝達される。なお、前述のように空気極が多孔質支持管の外側に設けられている場合は、多孔質支持管の表面に燃焼触媒層10を設けたり、多孔質支持管の多孔質部に燃焼触媒を担持させたりすることもできる。
【0022】
空気導入管2の内表面と外表面に形成される燃焼触媒層としては、Pt、Pd等の白金系金属やペロブスカイト等の金属酸化物が好適である。
他の触媒燃焼手段を設ける方法としては、図4に示すようなビーズ状の触媒粒子を充填する方法でもよい。
また、空気導入管自体を燃焼触媒で形成したり、空気極自体に燃焼触媒を混合したりすれば新たに燃焼触媒層を設ける必要はない。
さらに、燃料電池が平板型燃料電池の場合であっても、セパレータに形成された酸化剤ガス流路の表面や空気極表面に燃焼触媒層を設けることができる。同様に、空気極自体に燃焼触媒を混合することもできる。
【0023】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の燃料電池発電システムによれば、燃料電池の空気流路内を燃焼室として使用し、空気と燃料を供給して空気流路内で燃焼させることができ、発電出力が低く、発電による発熱が少ない場合でも発電反応温度を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の燃料電池発電システムの一実施例を略示する図である。
【図2】本発明の燃料電池発電システムの一実施例の要部拡大図である。
【図3】本発明の燃料電池発電システムの他の実施例の要部拡大図である。
【図4】本発明の燃料電池発電システムの他の実施例の要部拡大図である。
【図5】従来の筒状固体酸化物形燃料電池発電システムの一般的な構成図である。
【符号の説明】
1 燃料電池セル
2 空気導入管
3 空気分配器
4 空気加熱器
5 燃料電池容器
6 燃料ガスライン
7 空気ライン
8 燃焼用燃料ガスライン
9 排ガスライン
10 燃焼触媒層

Claims (6)

  1. 燃料極と空気極と電解質を有する燃料電池セルと、前記燃料極に燃料ガスを供給する燃料ガスラインと、前記空気極に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガスラインとを有する燃料電池発電システムにおいて、前記燃料電池セルの酸化剤ガス流路内に、燃焼を支援するための触媒燃焼手段を設け、燃焼室として利用することを特徴とする燃料電池発電システム。
  2. 前記燃料電池セルが筒状固体酸化物形燃料電池セルであって、前記酸化剤ガス流路が空気導入管である燃料電池発電システムにおいて、前記触媒燃焼手段が前記空気導入管の内表面および/または外表面に設けられた燃焼触媒層であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池発電システム。
  3. 前記触媒燃焼手段が、燃焼触媒作用を有する材料で作製された空気導入管であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池発電システム。
  4. 前記燃料電池セルが平板型燃料電池であって、前記酸化剤ガス流路がセパレータに形成された燃料電池発電システムにおいて、前記触媒燃焼手段が前記セパレータの酸化剤ガス流路の表面に設けられた燃焼触媒層であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池発電システム。
  5. 前記触媒燃焼手段が前記空気極の表面に設けられた燃焼触媒層であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池発電システム。
  6. 前記触媒燃焼手段が前記空気極に混合された燃焼触媒であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の燃料電池発電システム。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007273252A (ja) * 2006-03-31 2007-10-18 Osaka Gas Co Ltd 固体酸化物型燃料電池システム
JP2012227065A (ja) * 2011-04-21 2012-11-15 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 燃料電池システム

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