JP2004277292A - ダイオキシン類、pcbの処理方法 - Google Patents

ダイオキシン類、pcbの処理方法 Download PDF

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真 冷水
Sukeyuki Takada
祐之 高田
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元宣 若尾
Keiji Nishimura
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Abstract

【課題】ダイオキシン類、PCBを含有する汚染物を、容易かつ安全に、しかも、低コストで確実に無害化処理することができ、その上、有害物質を副生しないので、環境保全の点でも優れた、実用性の高いダイオキシン類、PCBの処理方法の提供を課題とする。
【解決手段】ダイオキシン類、PCBを含有する汚染物を溶媒で抽出し、得られた抽出液をスポンジニッケル触媒及びアルカリの存在下、水素と反応させて、抽出液中のダイオキシン類、PCBを脱塩素化分解する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダイオキシン類、PCBで汚染された底質汚泥、焼却灰等の汚染物質を無害化するための処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ヒトをはじめとする様々な動物の内分泌系、神経系等に異常を引き起こす内分泌撹乱化学物質、いわゆる環境ホルモンは、ヒトの健康と自然環境に対して危険性が非常に高く、そのため、環境ホルモン対策は、社会的に深刻な問題となっている。現在、環境ホルモンとしては、100種類以上の化合物が報告されているが、その中でも、環境及び人体への影響が特に大きいとされるダイオキシン類、PCBは、最も高い関心を集めている。
ダイオキシン類は、ポリ塩化ジベンゾ−パラ−ジオキシン(PCDDs)、ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDFs)、及びコプラナ−ポリ塩化ビフェニルの総称であり、塩素原子の置換した位置及び数により、合計して419種の異性体が存在する。
ダイオキシン類は、非意図的生成物質であり、一般廃棄物(都市ゴミ)や産業廃棄物の焼却、金属精錬の過程等において副生物として生成される。ヒトがダイオキシン類を摂取すると、急性毒性の症状である皮膚炎、多発性神経症、肝機能不全等、及び慢性毒性の症状である体重の減少、性ホルモンや甲状腺ホルモンへの影響、肝臓の代謝障害、中枢神経症状等を引き起こすことが指摘されている。
我が国においては、1997年7月に「ダイオキシン類対策特別措置法」が制定され、ダイオキシン類に対して、厳しい規制を行う環境保全対策が実施されている。
【0003】
一方、PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、ビフェニルの基本骨格上の水素原子が1〜10個の塩素原子に置換した分子の総称であり、塩素原子の置換した位置及び数により、合計して209種の異性体が存在する。PCBは、以前、電気絶縁油、機械油、可塑剤、塗料等の用途に使用されていたが、1970年代に製造・使用が禁止されている。しかし、PCBは化学的に安定であることから、過去に製造され、環境中に放出されたPCBは、現在でも広く地球環境中に分布、蓄積している。PCBによって引き起こされる症状としては、食欲不振、性欲減退、発汗過多、頭痛等の神経症状、及び発癌等が確認されている。
我が国においては、1992年に、廃PCB、PCBを含有する廃油、PCB汚染物を廃棄物処理法に基づく特別管理産業廃棄物に指定するなどして、生活環境の保全、公衆衛生の向上を図っている。
【0004】
これらのダイオキシン類、PCBは、大気や土壌等の環境中のあらゆるものを汚染していき、最終的には人体に取り込まれて、人体に対して様々な悪影響を及ぼす。そのため、地球規模で、ダイオキシン類、PCBを含んだ汚染物を無害化する有効な処理対策を講じることが、今日大きな課題となっている。
ダイオキシン類、PCBの汚染物を無害化する処理技術については、いくつもの処理方法が検討されており、具体的には、例えば、溶融法、高温焼却法、気相還元法、還元加熱脱塩素法、超臨界水酸化分解法が提案されている。
しかしながら、溶融法は1300℃付近、高温焼却法は1100℃付近、気相還元法は850℃付近、還元加熱脱塩素法は400℃付近と、いずれも高温下の処理方法であり、また、超臨界水酸化分解法は374℃、22.1MPaと高温高圧下の処理方法であるので、いずれも処理設備の建設・維持に負担がかかり、しかも安全面においても問題が生じやすい。
また、上記の処理方法は、処理に要するエネルギーが大量となり、高濃度で少量の汚染物を処理するには適していても、低濃度で大量の汚染物を処理する場合は、実用上、コスト面で不利な方法である。したがって、上記の処理方法を、ダイオキシン類、PCBの汚染物を無害化する処理技術として、実際に使用することは、経済性を考慮すると困難である。
さらに、溶融法等の熱分解処理技術は、無害化反応に由来する二酸化炭素等の排気ガスが二次的に生成するため、環境保全の立場からも好ましくない。
【0005】
その他、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては次のものがある。
【特許文献1】
特開2001−276806号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ダイオキシン類、PCBを含有する汚染物を、容易かつ安全に、しかも、低コストで確実に無害化処理することができ、その上、有害物質を副生しないので、環境保全の点でも優れた、実用性の高いダイオキシン類、PCBの処理方法の提供を課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、ダイオキシン類、PCBを含有する汚染物を有機溶媒・水で抽出処理した後、適切に選択した触媒を用いて、穏和な条件下で水素と反応させると、ダイオキシン類、PCBが脱塩素化分解して、無害化される技術を見出し、かかる知見をもとにして、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、ダイオキシン類、PCBを含有する汚染物を溶媒で抽出し、得られた抽出液をスポンジニッケル触媒及びアルカリの存在下、水素と反応させて、抽出液中のダイオキシン類、PCBを脱塩素化分解することを特徴とするダイオキシン類、PCBの処理方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
前述したように、本発明の処理方法は、ダイオキシン類、PCBを含有する汚染物を溶媒で抽出する工程と、この工程で得られた抽出液をスポンジニッケル触媒及びアルカリの存在下、水素と反応させて、抽出液中のダイオキシン類、PCBを脱塩素化分解する工程から構成される。
本発明において対象となる上記汚染物は、ダイオキシン類、PCBを含有するものであれば特に限定されず、具体的には、底質汚泥、焼却灰、飛灰、汚水が挙げられる。ダイオキシン類、PCBを含有する汚染物が、工場廃水、地下水、下水等の汚水である場合は、溶媒による抽出処理を行わず、汚水の状態のままで、スポンジニッケル触媒及びアルカリの存在下、水素と反応させて、脱塩素化分解することができる。
【0009】
本発明において、ダイオキシン類、PCBを含有する汚染物を抽出する溶媒は、スポンジニッケル触媒表面でのダイオキシン類、PCBと水素分子との会合性、アルカリ及び脱塩素化で生じる無機塩の溶解度等に大きな影響を及ぼす。
本発明では、上記溶媒として、ダイオキシン類、PCBを可溶化することができる炭化水素系溶媒、アルコール類、水、又はこれらの混合溶媒を用いる。いずれの溶媒を選択するかは、ダイオキシン類、PCBの汚染濃度に応じて決定することができる。すなわち、ダイオキシン類、PCBの汚染濃度が100ng−TEQ/g以上の場合は、炭化水素系溶媒、あるいはアルコール類を選択し、ダイオキシン類、PCBの汚染濃度が100ng−TEQ/g未満の低濃度の場合は、メタノールと水の混合溶媒、あるいは水を選択するのが、抽出率、経済性等を考慮すると好ましい。メタノールと水の混合溶媒におけるそれぞれの比率は、水に対してメタノールが80重量%以下、好ましくは20〜80重量%である。
【0010】
前記炭化水素系溶媒としては、n−ヘキサン、n−ヘプタン、デカリン、シクロヘキサン、灯油、電気絶縁油等が例示される。
前記アルコール類としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、1−ペンタノール、3−ペンタノール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、3−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール等が例示される。
【0011】
ダイオキシン類、PCBを含有する汚染物を、上記溶媒を用いて抽出処理する方法は、特に限定されず、汚染物と上記溶媒を混合するミキサーセトラー、汚染物をカラムに充填し、溶媒を加熱還流させるソックスレー抽出器等の種々の抽出装置を用いて行えばよい。
本発明において、ダイオキシン類、PCBを含有する汚染物を抽出処理する際の条件は、特に限定されるものではないが、温度は10〜70℃、時間は10〜120分間が、抽出率を高める上で好ましい。また、汚染物を抽出する溶媒の使用量は、ダイオキシン類、PCBを含有する汚染物の1〜100倍容量とするのが、抽出率を高める上で好ましい。抽出する際の圧力は、減圧、常圧、加圧のいずれでもよい。
【0012】
上記した抽出処理を施すことによって、ダイオキシン類、PCBを含有する汚染物からダイオキシン類、PCBが容易に溶媒側に移行する。抽出処理後は、遠心分離・濾過等により、被抽出物とダイオキシン類、PCBを含んだ抽出液を分離する。被抽出物は、再度、土壌等として使用することができる。
なお、抽出処理するに際しては、ダイオキシン類、PCBを含有する汚染物に、粉砕、超音波照射等の処理を予め施して、溶媒との接触面積を多くすることにより、一層抽出率を高めることができる。
【0013】
次に、ダイオキシン類、PCBを含有する抽出液あるいは汚水を、スポンジニッケル触媒及びアルカリの存在下、水素と反応させて、ダイオキシン類、PCBを脱塩素化分解させる。これにより、ダイオキシン類、PCBは、NaCl等の無機塩類とジベンゾ−パラ−ジオキシン、ジベンゾフラン、ビフェニル類に無害化分解処理される。水素との反応方式は、回分式、連続式のいずれの形式でも使用可能である。
【0014】
以下、ダイオキシン類、PCBを抽出した溶媒の無害化処理(脱塩素化分解)について、回分式の例で説明する。
攪拌機付反応装置(オートクレーブ)に、ダイオキシン類、PCBの抽出液あるいは汚水、苛性ソーダ等のアルカリ、及びスポンジニッケル触媒を仕込み、水素ガスを0.1〜10MPaの圧力で封入し、50〜200℃に加熱攪拌して、1〜5時間反応させる。
脱塩素化分解する際の反応温度、反応圧力は、ダイオキシン類、PCBの抽出に用いた溶媒の種類に応じて適宜決定される。抽出するのに用いた溶媒が、メタノール、エタノール等のアルコール類である場合は、反応温度50〜120℃、反応圧力0.1〜1.0MPaの低温低圧下で無害化処理し、汚水等の水系溶媒、及びn−ヘキサン、n−ヘプタン、電気絶縁油等の炭化水素系溶媒である場合は、反応温度100〜200℃、反応圧力0.5〜10MPaの高温高圧下で無害化処理するのが、溶媒に対する触媒の最適活性を保持するなどの理由から好ましい。
【0015】
脱塩素化分解の進行状態は、抽出液中に残存するダイオキシン類、PCB濃度を、GC/MS法(ガスクロマトグラフ質量分析法/選択イオン検出)で測定・検知することによって確認することができる。また、脱塩素化分解で生成するNaCl等の無機塩類は、イオンクロマトグラフ法により、ジベンゾ−パラ−ジオキシン、ジベンゾフラン及びビフェニル類は、GC/MS法により、測定・検知することによって確認することができる。
【0016】
本発明でスポンジニッケル触媒と共に使用されるアルカリは、ダイオキシン類、PCBの脱塩素化分解により発生する塩化水素を中和して無機塩類を形成するものであればよく、通常、苛性ソーダ、苛性カリ、水酸化カルシウム等が有効である。使用するアルカリの量は、ダイオキシン類、PCB中に含まれる塩素に対して1.0モル倍以上であればよく、添加量の上限に制限はない。
【0017】
本発明で用いるスポンジニッケル触媒は、別称ラネー触媒と言われるもので、触媒的に活性な金属成分と触媒的に不活性な金属成分の合金から不活性成分を取り除くことによって得られる、表面積の大きい多孔性の金属触媒である。本発明において、このスポンジニッケル触媒は、ダイオキシン類、PCBを水素化・脱塩素化するダイオキシン類、PCB処理用触媒として機能し、低温でも高い触媒活性を示すので、ダイオキシン類、PCBを穏和な条件下で無害化処理することを可能にする。
触媒的に活性な金属成分としては、ニッケル単独又はモリブデン、クロム、鉄、コバルト、マンガン、白金、パラジウムから選択される少なくとも1種の金属を、ニッケルに対して10重量%以下の割合で添加したニッケル多元合金が挙げられる。触媒的に不活性な金属成分としては、アルミニウム及びシリコンが挙げられる。
触媒的に活性な金属成分と触媒的に不活性な金属成分の合金としては、通常、アルミニウム50〜60重量%、ニッケル40〜50重量%の合金が製造・市販されているが、これにモリブデン、クロム、鉄、マンガン等を微量添加することにより、触媒活性に選択性、耐久性を付与することができる。本発明において好適なスポンジニッケル触媒の具体例としては、例えば、触媒メーカーである日興リカ社製のニッケル50重量%、アルミニウム50重量%の合金より調製したR−200(商品名)が挙げられる。
【0018】
スポンジニッケル触媒は、触媒的に活性な金属成分とアルミニウムの合金を鋳造し、機械粉砕又はガスアトマイズ法、遠心アトマイズ法等により適当な粒度の粉末に成形し、この合金の粉末を約20重量%の苛性ソーダ水溶液中に投じて、アルミニウムを溶出(展開)させることにより、調製することができる。展開する際の温度は、40〜100℃とし、また、スポンジニッケル触媒中におけるアルミニウムの残存度は全体に対し、1〜30重量%とするのが、触媒活性の点で好ましい。アルミニウムの代わりにシリコンを用いて合金を鋳造する場合も同様である。
【0019】
前記したダイオキシン類、PCBの脱塩素化分解は、アルカリ存在下での反応であり、分解によって生成する塩化水素は、直ちに中和されるため、反応器等の材質としては、ステンレス鋼程度の比較的低価格の素材を選択できる。
脱塩素化分解終了後、スポンジニッケル触媒を濾別して濾液を蒸留機にかけ、抽出する際に使用した溶媒を回収する。回収された溶媒は、そのまま再利用が可能である。
【0020】
【実施例】
次に、本発明の実施例、比較例を挙げるが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0021】
(実施例1)
ダイオキシン類、及びPCBで汚染されている廃水(ダイオキシン類濃度210pg−TEQ/L、PCB濃度0.011mg/kg)200g、苛性ソーダ1.0g、スポンジニッケル触媒として、R−200(商品名、日興リカ社製)10gを電磁攪拌機付500ml容ステンレス製オートクレーブ(SUS316、栗原製作所社製)に仕込み、該オートクレーブ内の上部空間部を水素ガスで完全に置換した後、水素ガス圧10MPa、反応温度200℃に保って、3時間、良く攪拌しながら反応を行った。反応終了後、オートクレーブから反応液を取り出し、上記触媒を濾別した後、反応液中のダイオキシン類、及びPCB濃度をGC/MSで測定した。
その結果、ダイオキシン類濃度0.000033pg−TEQ/L、PCB濃度0.000074mg/kgであり、反応前のダイオキシン類濃度210pg−TEQ/L、PCB濃度0.011mg/kgに対して、ダイオキシン類、PCBのいずれも、ほぼ完全に除去されていることが確認された。
【0022】
(実施例2)
ダイオキシン類、及びPCBで汚染されている汚泥300g(ダイオキシン類濃度1000pg−TEQ/g、PCB濃度10mg/kg)をn−ヘキサン300gで、70℃、120分間、ソックスレー抽出を行った。その後、遠心分離して抽出液を回収した。この回収した抽出液のダイオキシン類濃度は、1100pg−TEQ/g、PCB濃度は12mg/kgであった。
次に、この抽出液200g、苛性ソーダ1.0g、スポンジニッケル触媒として、
R−200(商品名、日興リカ社製)10gを電磁攪拌機付500ml容ステンレス製オートクレーブ(SUS316、栗原製作所社製)に仕込み、該オートクレーブ内の上部空間部を水素ガスで完全に置換した後、水素ガス圧10MPa、反応温度200℃に保って、3時間、良く攪拌しながら反応を行った。反応終了後、オートクレーブから反応液を取り出し、上記触媒を濾別した後、反応液中のダイオキシン類濃度、及びPCB濃度をGC/MSで測定した。
その結果、ダイオキシン類濃度0.000067pg−TEQ/g、PCB濃度0.00028mg/kgであり、反応前のダイオキシン類濃度1100pg−TEQ/g、PCB濃度12mg/kgに対して、ダイオキシン類、PCBのいずれも、ほぼ完全に除去されていることが確認された。
また、ソックスレー抽出後の汚泥に含有されるダイオキシン類、及びPCBの濃度をGC/MSで測定した結果、ダイオキシン類濃度5.1pg−TEQ/g、PCB濃度0.0012mg/kgであった。抽出前のダイオキシン類濃度1000pg−TEQ/g、PCB濃度10mg/kgに対し、ダイオキシン類、及びPCBのいずれも、ほぼ完全に除去されていることが確認された。
【0023】
(実施例3)
ダイオキシン類で汚染されている焼却灰30g(ダイオキシン類濃度1800pg−TEQ/g)をn−ヘキサン300gで、70℃、120分間、ソックスレー抽出を行った。その後、遠心分離して抽出液を回収した。この回収した抽出液のダイオキシン類濃度は、170pg−TEQ/gであった。
次に、この抽出液200g、苛性ソーダ1.0g、スポンジニッケル触媒として、R−200(商品名、日興リカ社製)10gを500ml容ステンレス製オートクレーブ(SUS316、栗原製作所社製)に仕込み、該オートクレーブ内の上部空間部を水素ガスで完全に置換した後、水素ガス圧10MPa、反応温度200℃に保って、3時間、良く攪拌しながら反応を行った。反応終了後、オートクレーブから反応液を取り出し、上記触媒を濾別した後、反応液中のダイオキシン類濃度をGC/MSで測定した。
その結果、反応液中のダイオキシン類濃度は0.000028pg−TEQ/gであり、反応前の170pg−TEQ/gに対して、ほぼ完全に除去されていることが確認された。
また、ソックスレー抽出後の汚泥に含有されるダイオキシン類濃度をGC/MSで測定した結果は、3.3pg−TEQ/gであった。抽出前の1800pg−TEQ/gに対し、ダイオキシン類は、ほぼ完全に除去されていることが確認された。
【0024】
(実施例4)
ダイオキシン類標準試薬(AccuStandard社製)をメタノールで希釈して16ng−TEQ/gに調製したメタノール溶液200g、苛性ソーダ1.0g、スポンジニッケル触媒として、R−200(商品名、日興リカ社製)10gを500ml容ステンレス製オートクレーブ(SUS316、栗原製作所社製)に仕込み、該オートクレーブ内の上部空間部を水素ガスで完全に置換した後、水素ガス圧0.9MPa、内部温度80℃に保って、3時間、良く攪拌しながら反応を行った。反応終了後、オートクレーブから反応液を取り出し、上記触媒を濾別した後、反応液中のダイオキシン類濃度をGC/MSで測定した。
その結果、反応液中のダイオキシン類濃度は0.000011pg−TEQ/gであり、反応前のダイオキシン類濃度16ng−TEQ/gに対し、ほぼ完全に除去されていることが確認された。
また、反応より生成されるNaClの回収率は、回収されるべき理論量(100%)に対して90%であり、ジベンゾ−パラ−ジオキシン及びジベンゾフランの回収率は共に80%であった。分析精度等を考慮すると、ほぼ全量回収されているものと思われた。
【0025】
(実施例5)
実施例4において使用したスポンジニッケル触媒の代わりに、該スポンジニッケル触媒に、該触媒中のニッケル量に対してモリブデン元素を5重量%添加した触媒、及びクロム元素を5重量%添加した触媒を使用した以外は、それぞれ実施例4と同一条件下で脱塩素化分解を行い、モリブデン元素、クロム元素を添加したスポンジニッケル触媒の触媒活性を比較した。各触媒を使用した場合(ニッケル単独の場合も含む)における残存ダイオキシン類濃度を表1に示す。
表1から明らかであるように、いずれの触媒においても、ダイオキシン類は、ほぼ完全に分解除去され、有効であることが確認された。特にモリブデン元素5重量%添加のスポンジニッケル触媒が優れた活性を示した。
ダイオキシン類の脱塩素化分解に対するモリブデンの作用機序は不明であるが、反応が強アルカリ性の溶液で行われているため、モリブデンの添加によりスポンジニッケル触媒の耐久性が向上するためと推測される。
【0026】
【表1】
Figure 2004277292
【0027】
(実施例6)
実施例4において使用したメタノール単独溶媒の代わりに、メタノールにエタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、1−オクタノール、1,4−ブタンジオールをそれぞれ添加した混合溶媒(メタノールと他のアルコールの混合割合は2:1)を使用した以外は、実施例4と同一条件下で脱塩素化分解を行った。各溶媒を使用した場合(メタノール単独の場合も含む)における残存ダイオキシン類濃度を表2に示す。
表2から明らかであるように、いずれの溶媒でも有効であることが確認された。本発明の方法ではメタノール単独が最も良く、アルコールの分子量が大きくなるに従って反応性が低下する傾向がみられた。
【0028】
【表2】
Figure 2004277292
【0029】
【発明の効果】
本発明は、ダイオキシン類、PCBを含有する汚染物を、穏和な条件で、容易かつ安全に、しかも、低コストで確実に無害化処理することができ、また、排気ガス等の二次的な廃棄物がほとんど発生しないため、環境保全の点でも優れており、産業上優れた実用性を有する。

Claims (6)

  1. ダイオキシン類、PCBを含有する汚染物を溶媒で抽出し、得られた抽出液をスポンジニッケル触媒及びアルカリの存在下、水素と反応させて、抽出液中のダイオキシン類、PCBを脱塩素化分解することを特徴とするダイオキシン類、PCBの処理方法。
  2. ダイオキシン類、PCBを含有する汚水を、スポンジニッケル触媒及びアルカリの存在下、水素と反応させて、汚水中のダイオキシン類、PCBを脱塩素化分解することを特徴とするダイオキシン類、PCBの処理方法。
  3. 溶媒として、炭化水素系溶媒、アルコール類、水、又はこれらの混合溶媒を用いる請求項1記載の処理方法。
  4. 汚染物が、底質汚泥、焼却灰、又は飛灰である請求項1又は3記載の処理方法。
  5. 活性成分としてニッケル単独又はモリブデン、クロム、鉄、コバルト、マンガン、白金、パラジウムから選択される少なくとも1種の金属を、ニッケルに対して10重量%以下の割合で添加したニッケル多元合金を含有するスポンジニッケル触媒を使用する請求項1〜4のいずれか1項記載の処理方法。
  6. 活性成分としてニッケル単独又はモリブデン、クロム、鉄、コバルト、マンガン、白金、パラジウムから選択される少なくとも1種の金属を、ニッケルに対して10重量%以下の割合で添加したニッケル多元合金を含有するスポンジニッケル触媒からなる、ダイオキシン類、PCBの処理用触媒。
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