JP2004275856A - 触媒反応装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】反応器全体をコンパクト化して触媒充填率を向上させ、信頼性の高い触媒反応装置を提供すること。
【解決手段】触媒ブロック1が充填された触媒支持架構2と、これを囲む反応器ケーシング4と、反応器ケーシングをガスの入口側および出口側でそれぞれ幅方向に間隔を隔てて支持する二組の反応器柱脚3a、3bと、被処理ガスの入口側および出口側の反応器柱脚相互をそれぞれ連絡する上部連絡梁7a、7bおよび下部連絡梁15a、15bを有する触媒反応装置において、ガス入口側の反応器柱脚3aと出口側の反応器柱脚3bとの間隔を触媒支持架構2の前後幅と略等しくし、ガス入口側の上部連絡梁7a、7bを対応する反応器柱脚3a、3bの柱心から反応器外側へ所定寸法だけずらして取付けること。
【選択図】図2
【解決手段】触媒ブロック1が充填された触媒支持架構2と、これを囲む反応器ケーシング4と、反応器ケーシングをガスの入口側および出口側でそれぞれ幅方向に間隔を隔てて支持する二組の反応器柱脚3a、3bと、被処理ガスの入口側および出口側の反応器柱脚相互をそれぞれ連絡する上部連絡梁7a、7bおよび下部連絡梁15a、15bを有する触媒反応装置において、ガス入口側の反応器柱脚3aと出口側の反応器柱脚3bとの間隔を触媒支持架構2の前後幅と略等しくし、ガス入口側の上部連絡梁7a、7bを対応する反応器柱脚3a、3bの柱心から反応器外側へ所定寸法だけずらして取付けること。
【選択図】図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、触媒反応装置に係り、特に、排ガス中の窒素酸化物を処理する水平流型の触媒反応装置であって、装置のコンパクト化により触媒充填率を高め、触媒支持架構と触媒反応器ケーシングとの熱延び差を吸収して長期間安定に排ガス処理を行うことがてきる触媒反応装置を提供することにある。
【0002】
【従来の技術】
図8〜図11は、従来技術に基づく触媒反応装置の説明図であり、図8は、その一部切欠斜視図、図9は、反応器と触媒支持架構との関係を示す平面図、図10は、図9のガスシール装置部分を示す部分拡大図、図11は、図8の触媒支持架構受け梁部分を示す部分断面図である。
【0003】
図において、この触媒反応装置は、触媒支持架構2と、該触媒支持架構2に数段〜数十段積み上げた状態で充填された、例えば脱硝用の触媒ブロック1と、前記触媒支持架構2をその下部で支持する受け梁19(図9、図11参照)と、前記触媒支持架構2を囲む反応器ケーシング4および該反応器ケーシング4の内側に設けられた内部保温材10と、前記反応器ケーシング4と触媒支持架構2との隙間をシールするシール装置9と、前記反応器ケーシング4の入口ダクト5および出口ダクト6と、前記反応器ケーシング4を被処理ガス30の入口側および出口側でそれぞれ幅方向に間隔を隔てて支持する二組の反応器柱脚3a、3aおよび3b、3bと、前記被処理ガス30の入口側の反応器柱脚3a、3a相互および出口側反応器柱脚3b、3b相互をそれぞれ連絡する上部連絡梁7a、7bおよび下部連絡梁15a、15b(図9、図10参照)とから主として構成されている。8は、触媒支持架構の仕切板、21は、触媒支持架構の柱脚、22は、触媒支持架構の水平梁である。
【0004】
図10において、触媒支持架構2と反応器ケーシング4との隙間をシールするシール装置は、触媒支持架構2および反応器ケーシング4にそれぞれ取付けられたガスシールプレート26と、その間の隙間をシールするマルチリーフシール27とを有している。
なお、触媒ブロック1が充填された触媒支持架構2は、反応器上部の上部連絡梁7a、7b相互間の空間部から反応器内に搬入され、その底部に設けられた受け梁19上に載置される。
【0005】
このような脱硝用の触媒反応装置は、被処理ガスが流通する排ガス煙道内に配置され、排ガス脱硝用の触媒反応装置として使用される。このとき、被処理ガス30は、水平流として入口ダクト5から触媒反応装置に流入し、触媒支持架構2に充填された脱硝用の触媒ブロック1の各触媒ユニットと接触し、ここで、有害成分である窒素酸化物が分解、除去されたのち、出口ダクト6から処理ガスとして流出する。
【特許文献1】特開昭62−191026号公報
【特許文献2】特開平07−275660号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の触媒反応装置は、その奥行き寸法(前後の反応器柱脚3a、3bの間隔)が、触媒充填部(触媒支持架構2)の奥行き寸法に比べて大きすぎるという問題があった。すなわち、例えば排熱回収ボイラ(HRSG)の中間に配置される、HRSG用の脱硝反応装置は、柱脚の上部連絡梁が、反応器柱脚の上端部に乗せるように配置されていること、および反応器柱脚のフランジ幅寸法が比較的大きいことから、触媒反応器の上方から触媒支持架構を搬入する際の搬入スペースを確保するために、ガス入口側の反応器柱脚とガス出口側の反応器柱脚との間隔を、例えばガス入口側と出口側とでそれぞれ上部連絡梁の寸法幅分だけ広げる必要があった。このため、反応器柱脚と触媒支持架構柱脚の柱心が一致しなくなり、反応器内で触媒支持架構を支持する受け梁が必要となるばかりか、反応器容積が、前記触媒支持架構の2倍以上の容積となり、設置スペース等において不経済な面が多く、そのコンパクト化が求められていた。
【0007】
また、反応器ケーシングは内部保温材により断熱されて内部流体(ガス)温度の影響を受け難い構造となっていることから、反応器ケーシングと触媒支持架構との間に熱伸び差(上下方向伸び:約40〜90mm、左右水平方向伸び:10〜30mm)が生じるので、この熱延び差を吸収するガスシール装置が必要となるが、従来のガスシール装置は必ずしも満足できるものではなかった。
【0008】
さらに、地震時に触媒支持架構に作用する水平方向の力や起動、停止時に生じる触媒層前後の昇温速度差に起因する支持架構の変形(前後方向で約20〜50mm程度)等を抑制するために、例えば天井部または中間部に比較的大型の水平力支持金具を設けたものがあるが、1点支持の場合、支持架構の構成部材のサイズアップが必要となるなど、多くの問題があった。
【0009】
本発明の課題は、上記従来技術の問題点を解決し、反応器全体をコンパクト化して触媒充填率を向上させ、触媒支持架構と反応器ケーシングとの隙間を十分にシールすることができ、しかも触媒を充填した触媒支持架構の水平方向への作用力および触媒の昇温速度差に起因する変形等を防止して効率よく排ガスを処理することができる、信頼性の高い触媒反応装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本願で特許請求する発明は、以下のとおりである。
(1)触媒支持架構と、該触媒支持架構に充填された触媒ブロックと、前記触媒支持架構を囲む反応器ケーシングと、前記反応器ケーシングを被処理ガスの入口側および出口側でそれぞれ幅方向に間隔を隔てて支持する二組の反応器柱脚と、被処理ガスの入口側の反応器柱脚相互および出口側反応器柱脚相互をそれぞれ連絡する上部連絡梁および下部連絡梁を有する触媒反応装置において、前記ガス入口側の反応器柱脚と出口側の反応器柱脚との間隔を前記触媒支持架構の前後幅と略等しくし、かつ前記被処理ガスの入口側の上部連絡梁を対応する反応器柱脚の柱心からガス流れ方向上流側へ、出口側の上部連絡梁を対応する反応器柱脚の柱心からガス流れ方向下流側へそれぞれ所定寸法だけずらして取付け、前記二つの上部連絡梁相互間の間隔を前記触媒支持架構の前後幅よりも所定寸法だけ大きくしたことを特徴とする触媒反応装置。
【0011】
(2)前記反応器柱脚の高さ方向に沿って、前記触媒支持架構に作用する水平力を分散支持する複数の水平力支持手段を設けたことを特徴とする上記(1)記載の触媒反応装置。
(3)前記触媒支持架構を、前記反応器柱脚に設けられた水平力支持手段の取付け位置に対応して複数のブロックに分割し、各ブロック間をピンを用いて連結したことを特徴とする上記(1)または(2)に記載の触媒反応装置。
(4)前記反応器ケーシングと触媒支持架構との間に、前記触媒支持架構に一端が固定され、放射状に延びるシールプレートと、該シールプレートの他方端を挟持するように前記反応器ケーシングに設けられたシール溝板とを有するガスシール装置を設け、前記シールプレートおよびシール溝板の被処理ガスとの接触面に触媒成分を塗布したことを特徴とする上記(1)〜(3)の何れかに記載の触媒反応装置。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
図1〜6は、本発明の一実施例である触媒反応装置の説明図であり、図1は、ガス流れ方向に垂直な断面図、図2は、ガス流れ方向に沿った断面とその前後方向の変形量を示す図、図3は、反応器と触媒支持架構との関係を示す平面図、図4は、上下のガスシール装置部分を示す部分断面図、図5は、水平力支持手段を示す水平方向に沿った部分拡大断面図、図6は、図5に対応する垂直方向に沿った部分拡大断面図である。
【0013】
図1において、この触媒反応器は、触媒支持架構2と、該触媒支持架構2に充填された触媒ブロック1としての、例えば脱硝触媒と、前記触媒支持架構2を囲む反応器ケーシング4と、前記反応器ケーシング4を被処理ガス30の入口側および出口側でそれぞれ幅方向に間隔を隔てて支持する二組の反応器柱脚3a、3aおよび3b、3b(図3参照)と、前記被処理ガス30の入口側の反応器柱脚3a、3a相互および出口側反応器柱脚3b、3b相互をそれぞれ連絡する上部連絡梁7a、7bおよび下部連絡梁15a、15bを有し(図2参照)、前記ガス入口側の反応器柱脚3aと出口側の反応器柱脚3bの間隔を前記触媒支持架構2の前後幅と略等しくし(図2参照)、かつ前記被処理ガス30の入口側上部連絡梁7aを対応する反応器柱脚3aの柱心からガス流れ方向上流側へ、出口側上部連絡梁7bを対応する反応器柱脚3bの柱心からガス流れ方向下流側へそれぞれ所定寸法34だけずらし(図2〜4参照)、前記二つの上部連絡梁7a、7b相互間の間隔を前記触媒支持架構2の前後幅よりも所定寸法だけ大きくしたものである。
【0014】
なお、8は、触媒支持架構2の仕切板、9は、反応器ケーシング4と触媒支持架構2との隙間をシールするシール装置(図4、図5参照)、10は、内部保温材、11は、反応器柱脚3aの高さ方向に沿って設けられた、触媒支持架構2に作用する水平力を分散支持する水平力支持手段、12は、前後の反応器柱脚3aと3bを連結する側部連絡梁、14は、触媒支持架構の下梁、16は、触媒支持架構用の架台、22は、触媒支持架構の水平梁である。
【0015】
図2において、この触媒反応装置は、触媒支持架構2が反応器柱脚3aに設けられた水平力支持手段11の取付け位置に対応して複数のブロックに分割されており、各ブロック間はピン(触媒支持架構接続ボルト25(図6参照))を用いて連結されている。
【0016】
図3において、この触媒反応装置は、反応器前後の柱脚3a、3bの上端部を連絡する側部連絡梁12を設け、該側部連絡梁12の長さを、前記反応器柱脚3aと3bとの間隔よりも前記反応柱脚の梁幅寸法の約2倍分だけ長くし、これを用いて前記上部連絡梁7aおよび7bを、反応器柱脚3aおよび3bの柱心を外すように取付けられている。これによって、触媒反応器の上部連絡梁7a、7bの間隔は下部連絡梁15a、15bの間隔よりも広くなり、この上部連絡梁7a、7bで挟まれた空間部が触媒支持架構2の搬入スペースとなる。搬入された触媒支持架構2は柱脚下部連絡梁15上に載置される。
【0017】
また、図4において、この触媒反応装置のガスシール装置9は、ガス入口側の触媒支持架構2に一端が支持され、他方端が反応器ケーシング4に対してほぼ直角に、かつ放射状に広がるガスシールプレート18と、該ガスシールプレート18の前記他方端が対向する反応ケーシング4上に設けられ、前記ガスシールプレート18の他方端を挟持する2枚の平板からなるガスシール溝板17とを有している。
【0018】
図5および図6において、この触媒反応装置の水平力支持手段は、触媒支持架構柱脚21に取り付けられた水平力支持金具20と該水平力支持金具20に対向する反応器ケーシング4上に設けられ、前記水平力支持金具20の先端部を挟持し、その左右方向への熱延び量を吸収する空間部を有するとともに前後方向の変形を拘束する水平力受け具23とを有している。また、分割された触媒支持架構2は一の分割触媒支持架構の触媒支持架構柱脚21および触媒支持架構水平梁22上に隣接する分割触媒支持架構の触媒支持架構柱脚21および触媒支持架構水平梁22が当接するように載置され、前記一の触媒支持架構の柱脚21の上方端に設けられた触媒支持架構接続プレート24とその上部に位置する別の触媒支持架構の柱脚21の下方端に設けられた触媒支持架構接続プレート24とが触媒支持架構接続ボルト25によって接続固定されている。なお、ボルトとボルト孔間には適当な空隙が設けられている。
このような構成において、この触媒反応装置は、例えば火力発電所のボイラ排ガスが流通する排ガス煙道に配置され、脱硝触媒反応装置として使用される。
【0019】
本実施例によれば、反応器ケーシング4の被処理ガス入口側および出口側の反応器柱脚3aと3bの上部を連結する左右一対の側部連結梁12を設け、かつこの側部連結梁12の長さを前記反応器柱脚3aと3bとの間隔よりも梁幅寸法の約2倍に相当する分だけ長くし、これを用いて上部連絡梁7aおよび7bをそれぞれ対応する柱脚の柱心を外して固定するようにしたことにより、上部連絡梁7a、7bの幅寸法の約2倍に相当する分だけ搬入スペースが広がり、このスペースを利用して触媒支持架構2が反応器内へ搬入、または装置外へ搬出される。また、触媒支持架構2の前後幅と反応器柱脚の下部連結梁15a、15b間の間隔は略等しいので、触媒支持架構2を前記下部連絡梁15a、15b上へ直接載置して支持することができるので、より質量の大きい触媒を充填した触媒支持架構であっても安定に支持することができるうえ、従来技術で必要であった触媒支持架構専用の支持部材としての受け梁19が不要となる。また、これによって、反応器の奥行き方向寸法が触媒支持架構2の奥行き寸法とほぼ等しくなり、触媒反応器の実質容積を限りなく触媒支持架構2の容積に近づけてコンパクト化を図ることができる。
【0020】
なお本実施例において、上部連絡梁(天井梁)の部材幅は、例えば300mm程度であり、反応器の前後方向の長さで約600mmの縮少が可能となる。従って、触媒ブロック長さにも拠るが、反応器柱脚間で25〜45%の縮少が可能となる。これによって、前後柱脚の側部連結梁12が新たに必要となるもののトータル的にはメリットが増大する。
【0021】
また、本実施例によれば、被処理ガス30の入口側の反応器柱脚3aと出口側の反応器柱脚3bの間隔を触媒支持架構2の前後幅とほぼ等しくしたことにより、反応器柱脚3と触媒支持架構2の前流側柱位置がほぼ同一面となるので、図1に示したように、反応器柱脚3aに複数個の水平力支持手段11を設けることにより、触媒支持架構2に作用する、特に前後方向の水平力を複数に分散して反応器柱脚3で支持することができるので、触媒支持架構2への影響が少ない状態で、前後方向への変形を押さえることができ、これによってシール部の動きを押さえ、単純な動きとすることにより、簡略なガスシール装置の適用が可能となり信頼性の高い装置となる。また、触媒支持架構2の前後方向の変形を押さえることにより、反応器柱脚3と触媒支持架構2との隙間をシールするシール装置の機能として、反応器ケーシング4への直角方向の動き(伸び)のみが要求されるようになるので、ガスシール装置をよりシンプルなものとすることができる。
【0022】
本実施例によれば、水平力支持手段11によって支持架構の前後方向の変形(動き)を押さえたことによりシール溝の間隙を小さく抑えることができシール性が向上すると共に、ガスシールプレート18の長さを短くすることができる。この結果、触媒層周囲のデッドスペースの低減が可能になる。なお、触媒支持架構2が部材間の温度差により、高さ方向で前後にずれることは、シールプレートに無理な変形を生じさせることになる。
【0023】
また、本実施例によれば、触媒支持架構2を、複数個の水平力支持手段の取付け位置に対応させて、小ブロックに分割したことにより、起動、停止時における触媒支持架構2の前後部材の温度差に伴う前後方向への変形作用を図2に示したように、複数に分割・分散させることができるので、前後方向の変動抑制に伴って熱応力の発生を小さく押さえることができる。これによって触媒支持架構の変形の少ない信頼性の高い触媒反応装置となる。なお、一般に部材間の温度差による歪みは、熱伸び差を曲がり(円弧の長さの違い)により吸収するため、長さが大きいほど歪み(変形)量が大きくなる。長さを短くし、分散することで小さい変形だけを考慮すれば良いことになる(水平力支持手段の遊び幅を小さくできる)。
【0024】
本発明において、上部連絡梁を反応器柱脚の柱心からガス流れ方向上流側または下流側にずらす際の所定寸法とは、例えば前記上部連絡梁の材料寸法幅程度であり、それぞれ通常約300mm程度である。
また、本発明において、二つの上部連絡梁相互間の間隔を触媒支持架構の前後幅よりも大きくする際の所定寸法とは、例えば前記二つの上部連絡梁で挟まれた空間部から触媒支持架構を搬入または搬出するのに不都合を生じない範囲でなるべく狭い寸法をいう。
【0025】
図7は、本発明の他の実施例を示す、シール装置部分の拡大断面図である。図において、この装置は、ガスシール装置としてのガスシールプレート18と、その一端を挟むガスシール溝板17の被処理ガスとの接触面に触媒成分として、例えば脱硝触媒33を塗布したものである。
【0026】
本実施例によれば、ガスシール装置のガスシールプレート18およびシールプレートを受けるガスシール溝板17に脱硝触媒成分を塗布したことにより、シール装置からリークするリークガス中の有害成分を除去することができるので、万一熱歪み等によってガスシール性が低下しても、所定の触媒反応効率が維持され、有害成分の系外への流出を防止することができる。
【0027】
なお、図中w寸法は10mm以下とするが、触媒層のガス流路の相当径以下とすることが望ましい。また、h寸法はガスシールプレート先端部の最大熱伸び量とし、L、H寸法はほぼ同一長さとし、触媒層長さの50%以上とすることが望ましい。また、シールプレートの先端部または溝部の奥にシールプレートの移動に支障の生じないような伸縮性を有する触媒体を装着または充填することもできる。
【0028】
【発明の効果】
本願の請求項1に記載の発明によれば、触媒反応器全体がコンパクトとなり、これによって実質的な触媒充填率が向上する。また必要設置スペースが狭くて済み、経済的にも優れた装置となる。
【0029】
本願の請求項2に記載の発明によれば、上記発明の効果に加え、水平方向への作用力および触媒の昇温速度差に起因する触媒支持架構の変形を防止してガスシール性および信頼性の高い触媒反応器が得られる。
【0030】
本願の請求項3に記載の発明によれば、上記発明の効果に加え、起動、停止時における触媒支持架構の前後部材の温度差に伴う前後方向への変形作用を複数に分割・分散させることができるので、前後方向の熱応力の発生を小さく押さえることができる。
【0031】
本願の請求項4に記載の発明によれば、上記発明の効果に加え、被処理ガスのリークを防止できるとともに、ガスシール性が低下してガスがリークした場合であっても、リークガス中の有害成分を効率よく分解、除去して所定の触媒反応効率を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である触媒反応装置のガス流れ方向に垂直な断面図。
【図2】本発明の一実施例である触媒反応装置のガス流れ方向に沿った断面図。
【図3】本発明の一実施例における反応器と触媒支持架構との関係を示す平面図。
【図4】本発明の一実施例における上下のガスシール装置部分を示す部分断面図。
【図5】本発明の一実施例における水平力支持手段を示す水平方向に沿った部分断面図。
【図6】図5に対応する垂直方向に沿った部分断面図である。
【図7】本発明の他の実施例の説明図。
【図8】従来技術の反応器と触媒支持架構との関係を示す平面図。
【図9】従来技術の一部切欠平面図。
【図10】図9のガスシール装置部分を示す部分拡大図。
【図11】図8の触媒支持架構受け梁部分を示す部分断面図。
【符号の説明】
1…触媒ブロック、2…触媒支持架構、3a、3b…反応器柱脚、4…反応器ケーシング、5…入口ダクト、6…出口ダクト、7a、7b…柱脚上部連絡梁、8…触媒支持架構の仕切板、9…ガスシール装置、10…内部保温材、11…水平力支持手段、12…反応器柱脚側部連絡梁、14…触媒支持架構下梁、15…柱脚下部連絡梁、16…触媒支持架構用架台、17…ガスシール溝板、18…ガスシールプレート、19…触媒支持架構受け梁、20…水平力支持金具、21…触媒支持架構柱脚、22…触媒支持架構水平梁、23…水平力受け金具、24…触媒支持架構接続プレート、25…触媒支持架構接続ボルト、26…ガスシールプレート、27…マルチリーフシール、30…被処理ガス、31…触媒支持架構の固定点、32…反応器柱脚中心線、33…脱硝触媒、34…上部連絡梁と反応器柱脚とのずれ幅。
【発明の属する技術分野】
本発明は、触媒反応装置に係り、特に、排ガス中の窒素酸化物を処理する水平流型の触媒反応装置であって、装置のコンパクト化により触媒充填率を高め、触媒支持架構と触媒反応器ケーシングとの熱延び差を吸収して長期間安定に排ガス処理を行うことがてきる触媒反応装置を提供することにある。
【0002】
【従来の技術】
図8〜図11は、従来技術に基づく触媒反応装置の説明図であり、図8は、その一部切欠斜視図、図9は、反応器と触媒支持架構との関係を示す平面図、図10は、図9のガスシール装置部分を示す部分拡大図、図11は、図8の触媒支持架構受け梁部分を示す部分断面図である。
【0003】
図において、この触媒反応装置は、触媒支持架構2と、該触媒支持架構2に数段〜数十段積み上げた状態で充填された、例えば脱硝用の触媒ブロック1と、前記触媒支持架構2をその下部で支持する受け梁19(図9、図11参照)と、前記触媒支持架構2を囲む反応器ケーシング4および該反応器ケーシング4の内側に設けられた内部保温材10と、前記反応器ケーシング4と触媒支持架構2との隙間をシールするシール装置9と、前記反応器ケーシング4の入口ダクト5および出口ダクト6と、前記反応器ケーシング4を被処理ガス30の入口側および出口側でそれぞれ幅方向に間隔を隔てて支持する二組の反応器柱脚3a、3aおよび3b、3bと、前記被処理ガス30の入口側の反応器柱脚3a、3a相互および出口側反応器柱脚3b、3b相互をそれぞれ連絡する上部連絡梁7a、7bおよび下部連絡梁15a、15b(図9、図10参照)とから主として構成されている。8は、触媒支持架構の仕切板、21は、触媒支持架構の柱脚、22は、触媒支持架構の水平梁である。
【0004】
図10において、触媒支持架構2と反応器ケーシング4との隙間をシールするシール装置は、触媒支持架構2および反応器ケーシング4にそれぞれ取付けられたガスシールプレート26と、その間の隙間をシールするマルチリーフシール27とを有している。
なお、触媒ブロック1が充填された触媒支持架構2は、反応器上部の上部連絡梁7a、7b相互間の空間部から反応器内に搬入され、その底部に設けられた受け梁19上に載置される。
【0005】
このような脱硝用の触媒反応装置は、被処理ガスが流通する排ガス煙道内に配置され、排ガス脱硝用の触媒反応装置として使用される。このとき、被処理ガス30は、水平流として入口ダクト5から触媒反応装置に流入し、触媒支持架構2に充填された脱硝用の触媒ブロック1の各触媒ユニットと接触し、ここで、有害成分である窒素酸化物が分解、除去されたのち、出口ダクト6から処理ガスとして流出する。
【特許文献1】特開昭62−191026号公報
【特許文献2】特開平07−275660号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の触媒反応装置は、その奥行き寸法(前後の反応器柱脚3a、3bの間隔)が、触媒充填部(触媒支持架構2)の奥行き寸法に比べて大きすぎるという問題があった。すなわち、例えば排熱回収ボイラ(HRSG)の中間に配置される、HRSG用の脱硝反応装置は、柱脚の上部連絡梁が、反応器柱脚の上端部に乗せるように配置されていること、および反応器柱脚のフランジ幅寸法が比較的大きいことから、触媒反応器の上方から触媒支持架構を搬入する際の搬入スペースを確保するために、ガス入口側の反応器柱脚とガス出口側の反応器柱脚との間隔を、例えばガス入口側と出口側とでそれぞれ上部連絡梁の寸法幅分だけ広げる必要があった。このため、反応器柱脚と触媒支持架構柱脚の柱心が一致しなくなり、反応器内で触媒支持架構を支持する受け梁が必要となるばかりか、反応器容積が、前記触媒支持架構の2倍以上の容積となり、設置スペース等において不経済な面が多く、そのコンパクト化が求められていた。
【0007】
また、反応器ケーシングは内部保温材により断熱されて内部流体(ガス)温度の影響を受け難い構造となっていることから、反応器ケーシングと触媒支持架構との間に熱伸び差(上下方向伸び:約40〜90mm、左右水平方向伸び:10〜30mm)が生じるので、この熱延び差を吸収するガスシール装置が必要となるが、従来のガスシール装置は必ずしも満足できるものではなかった。
【0008】
さらに、地震時に触媒支持架構に作用する水平方向の力や起動、停止時に生じる触媒層前後の昇温速度差に起因する支持架構の変形(前後方向で約20〜50mm程度)等を抑制するために、例えば天井部または中間部に比較的大型の水平力支持金具を設けたものがあるが、1点支持の場合、支持架構の構成部材のサイズアップが必要となるなど、多くの問題があった。
【0009】
本発明の課題は、上記従来技術の問題点を解決し、反応器全体をコンパクト化して触媒充填率を向上させ、触媒支持架構と反応器ケーシングとの隙間を十分にシールすることができ、しかも触媒を充填した触媒支持架構の水平方向への作用力および触媒の昇温速度差に起因する変形等を防止して効率よく排ガスを処理することができる、信頼性の高い触媒反応装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本願で特許請求する発明は、以下のとおりである。
(1)触媒支持架構と、該触媒支持架構に充填された触媒ブロックと、前記触媒支持架構を囲む反応器ケーシングと、前記反応器ケーシングを被処理ガスの入口側および出口側でそれぞれ幅方向に間隔を隔てて支持する二組の反応器柱脚と、被処理ガスの入口側の反応器柱脚相互および出口側反応器柱脚相互をそれぞれ連絡する上部連絡梁および下部連絡梁を有する触媒反応装置において、前記ガス入口側の反応器柱脚と出口側の反応器柱脚との間隔を前記触媒支持架構の前後幅と略等しくし、かつ前記被処理ガスの入口側の上部連絡梁を対応する反応器柱脚の柱心からガス流れ方向上流側へ、出口側の上部連絡梁を対応する反応器柱脚の柱心からガス流れ方向下流側へそれぞれ所定寸法だけずらして取付け、前記二つの上部連絡梁相互間の間隔を前記触媒支持架構の前後幅よりも所定寸法だけ大きくしたことを特徴とする触媒反応装置。
【0011】
(2)前記反応器柱脚の高さ方向に沿って、前記触媒支持架構に作用する水平力を分散支持する複数の水平力支持手段を設けたことを特徴とする上記(1)記載の触媒反応装置。
(3)前記触媒支持架構を、前記反応器柱脚に設けられた水平力支持手段の取付け位置に対応して複数のブロックに分割し、各ブロック間をピンを用いて連結したことを特徴とする上記(1)または(2)に記載の触媒反応装置。
(4)前記反応器ケーシングと触媒支持架構との間に、前記触媒支持架構に一端が固定され、放射状に延びるシールプレートと、該シールプレートの他方端を挟持するように前記反応器ケーシングに設けられたシール溝板とを有するガスシール装置を設け、前記シールプレートおよびシール溝板の被処理ガスとの接触面に触媒成分を塗布したことを特徴とする上記(1)〜(3)の何れかに記載の触媒反応装置。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
図1〜6は、本発明の一実施例である触媒反応装置の説明図であり、図1は、ガス流れ方向に垂直な断面図、図2は、ガス流れ方向に沿った断面とその前後方向の変形量を示す図、図3は、反応器と触媒支持架構との関係を示す平面図、図4は、上下のガスシール装置部分を示す部分断面図、図5は、水平力支持手段を示す水平方向に沿った部分拡大断面図、図6は、図5に対応する垂直方向に沿った部分拡大断面図である。
【0013】
図1において、この触媒反応器は、触媒支持架構2と、該触媒支持架構2に充填された触媒ブロック1としての、例えば脱硝触媒と、前記触媒支持架構2を囲む反応器ケーシング4と、前記反応器ケーシング4を被処理ガス30の入口側および出口側でそれぞれ幅方向に間隔を隔てて支持する二組の反応器柱脚3a、3aおよび3b、3b(図3参照)と、前記被処理ガス30の入口側の反応器柱脚3a、3a相互および出口側反応器柱脚3b、3b相互をそれぞれ連絡する上部連絡梁7a、7bおよび下部連絡梁15a、15bを有し(図2参照)、前記ガス入口側の反応器柱脚3aと出口側の反応器柱脚3bの間隔を前記触媒支持架構2の前後幅と略等しくし(図2参照)、かつ前記被処理ガス30の入口側上部連絡梁7aを対応する反応器柱脚3aの柱心からガス流れ方向上流側へ、出口側上部連絡梁7bを対応する反応器柱脚3bの柱心からガス流れ方向下流側へそれぞれ所定寸法34だけずらし(図2〜4参照)、前記二つの上部連絡梁7a、7b相互間の間隔を前記触媒支持架構2の前後幅よりも所定寸法だけ大きくしたものである。
【0014】
なお、8は、触媒支持架構2の仕切板、9は、反応器ケーシング4と触媒支持架構2との隙間をシールするシール装置(図4、図5参照)、10は、内部保温材、11は、反応器柱脚3aの高さ方向に沿って設けられた、触媒支持架構2に作用する水平力を分散支持する水平力支持手段、12は、前後の反応器柱脚3aと3bを連結する側部連絡梁、14は、触媒支持架構の下梁、16は、触媒支持架構用の架台、22は、触媒支持架構の水平梁である。
【0015】
図2において、この触媒反応装置は、触媒支持架構2が反応器柱脚3aに設けられた水平力支持手段11の取付け位置に対応して複数のブロックに分割されており、各ブロック間はピン(触媒支持架構接続ボルト25(図6参照))を用いて連結されている。
【0016】
図3において、この触媒反応装置は、反応器前後の柱脚3a、3bの上端部を連絡する側部連絡梁12を設け、該側部連絡梁12の長さを、前記反応器柱脚3aと3bとの間隔よりも前記反応柱脚の梁幅寸法の約2倍分だけ長くし、これを用いて前記上部連絡梁7aおよび7bを、反応器柱脚3aおよび3bの柱心を外すように取付けられている。これによって、触媒反応器の上部連絡梁7a、7bの間隔は下部連絡梁15a、15bの間隔よりも広くなり、この上部連絡梁7a、7bで挟まれた空間部が触媒支持架構2の搬入スペースとなる。搬入された触媒支持架構2は柱脚下部連絡梁15上に載置される。
【0017】
また、図4において、この触媒反応装置のガスシール装置9は、ガス入口側の触媒支持架構2に一端が支持され、他方端が反応器ケーシング4に対してほぼ直角に、かつ放射状に広がるガスシールプレート18と、該ガスシールプレート18の前記他方端が対向する反応ケーシング4上に設けられ、前記ガスシールプレート18の他方端を挟持する2枚の平板からなるガスシール溝板17とを有している。
【0018】
図5および図6において、この触媒反応装置の水平力支持手段は、触媒支持架構柱脚21に取り付けられた水平力支持金具20と該水平力支持金具20に対向する反応器ケーシング4上に設けられ、前記水平力支持金具20の先端部を挟持し、その左右方向への熱延び量を吸収する空間部を有するとともに前後方向の変形を拘束する水平力受け具23とを有している。また、分割された触媒支持架構2は一の分割触媒支持架構の触媒支持架構柱脚21および触媒支持架構水平梁22上に隣接する分割触媒支持架構の触媒支持架構柱脚21および触媒支持架構水平梁22が当接するように載置され、前記一の触媒支持架構の柱脚21の上方端に設けられた触媒支持架構接続プレート24とその上部に位置する別の触媒支持架構の柱脚21の下方端に設けられた触媒支持架構接続プレート24とが触媒支持架構接続ボルト25によって接続固定されている。なお、ボルトとボルト孔間には適当な空隙が設けられている。
このような構成において、この触媒反応装置は、例えば火力発電所のボイラ排ガスが流通する排ガス煙道に配置され、脱硝触媒反応装置として使用される。
【0019】
本実施例によれば、反応器ケーシング4の被処理ガス入口側および出口側の反応器柱脚3aと3bの上部を連結する左右一対の側部連結梁12を設け、かつこの側部連結梁12の長さを前記反応器柱脚3aと3bとの間隔よりも梁幅寸法の約2倍に相当する分だけ長くし、これを用いて上部連絡梁7aおよび7bをそれぞれ対応する柱脚の柱心を外して固定するようにしたことにより、上部連絡梁7a、7bの幅寸法の約2倍に相当する分だけ搬入スペースが広がり、このスペースを利用して触媒支持架構2が反応器内へ搬入、または装置外へ搬出される。また、触媒支持架構2の前後幅と反応器柱脚の下部連結梁15a、15b間の間隔は略等しいので、触媒支持架構2を前記下部連絡梁15a、15b上へ直接載置して支持することができるので、より質量の大きい触媒を充填した触媒支持架構であっても安定に支持することができるうえ、従来技術で必要であった触媒支持架構専用の支持部材としての受け梁19が不要となる。また、これによって、反応器の奥行き方向寸法が触媒支持架構2の奥行き寸法とほぼ等しくなり、触媒反応器の実質容積を限りなく触媒支持架構2の容積に近づけてコンパクト化を図ることができる。
【0020】
なお本実施例において、上部連絡梁(天井梁)の部材幅は、例えば300mm程度であり、反応器の前後方向の長さで約600mmの縮少が可能となる。従って、触媒ブロック長さにも拠るが、反応器柱脚間で25〜45%の縮少が可能となる。これによって、前後柱脚の側部連結梁12が新たに必要となるもののトータル的にはメリットが増大する。
【0021】
また、本実施例によれば、被処理ガス30の入口側の反応器柱脚3aと出口側の反応器柱脚3bの間隔を触媒支持架構2の前後幅とほぼ等しくしたことにより、反応器柱脚3と触媒支持架構2の前流側柱位置がほぼ同一面となるので、図1に示したように、反応器柱脚3aに複数個の水平力支持手段11を設けることにより、触媒支持架構2に作用する、特に前後方向の水平力を複数に分散して反応器柱脚3で支持することができるので、触媒支持架構2への影響が少ない状態で、前後方向への変形を押さえることができ、これによってシール部の動きを押さえ、単純な動きとすることにより、簡略なガスシール装置の適用が可能となり信頼性の高い装置となる。また、触媒支持架構2の前後方向の変形を押さえることにより、反応器柱脚3と触媒支持架構2との隙間をシールするシール装置の機能として、反応器ケーシング4への直角方向の動き(伸び)のみが要求されるようになるので、ガスシール装置をよりシンプルなものとすることができる。
【0022】
本実施例によれば、水平力支持手段11によって支持架構の前後方向の変形(動き)を押さえたことによりシール溝の間隙を小さく抑えることができシール性が向上すると共に、ガスシールプレート18の長さを短くすることができる。この結果、触媒層周囲のデッドスペースの低減が可能になる。なお、触媒支持架構2が部材間の温度差により、高さ方向で前後にずれることは、シールプレートに無理な変形を生じさせることになる。
【0023】
また、本実施例によれば、触媒支持架構2を、複数個の水平力支持手段の取付け位置に対応させて、小ブロックに分割したことにより、起動、停止時における触媒支持架構2の前後部材の温度差に伴う前後方向への変形作用を図2に示したように、複数に分割・分散させることができるので、前後方向の変動抑制に伴って熱応力の発生を小さく押さえることができる。これによって触媒支持架構の変形の少ない信頼性の高い触媒反応装置となる。なお、一般に部材間の温度差による歪みは、熱伸び差を曲がり(円弧の長さの違い)により吸収するため、長さが大きいほど歪み(変形)量が大きくなる。長さを短くし、分散することで小さい変形だけを考慮すれば良いことになる(水平力支持手段の遊び幅を小さくできる)。
【0024】
本発明において、上部連絡梁を反応器柱脚の柱心からガス流れ方向上流側または下流側にずらす際の所定寸法とは、例えば前記上部連絡梁の材料寸法幅程度であり、それぞれ通常約300mm程度である。
また、本発明において、二つの上部連絡梁相互間の間隔を触媒支持架構の前後幅よりも大きくする際の所定寸法とは、例えば前記二つの上部連絡梁で挟まれた空間部から触媒支持架構を搬入または搬出するのに不都合を生じない範囲でなるべく狭い寸法をいう。
【0025】
図7は、本発明の他の実施例を示す、シール装置部分の拡大断面図である。図において、この装置は、ガスシール装置としてのガスシールプレート18と、その一端を挟むガスシール溝板17の被処理ガスとの接触面に触媒成分として、例えば脱硝触媒33を塗布したものである。
【0026】
本実施例によれば、ガスシール装置のガスシールプレート18およびシールプレートを受けるガスシール溝板17に脱硝触媒成分を塗布したことにより、シール装置からリークするリークガス中の有害成分を除去することができるので、万一熱歪み等によってガスシール性が低下しても、所定の触媒反応効率が維持され、有害成分の系外への流出を防止することができる。
【0027】
なお、図中w寸法は10mm以下とするが、触媒層のガス流路の相当径以下とすることが望ましい。また、h寸法はガスシールプレート先端部の最大熱伸び量とし、L、H寸法はほぼ同一長さとし、触媒層長さの50%以上とすることが望ましい。また、シールプレートの先端部または溝部の奥にシールプレートの移動に支障の生じないような伸縮性を有する触媒体を装着または充填することもできる。
【0028】
【発明の効果】
本願の請求項1に記載の発明によれば、触媒反応器全体がコンパクトとなり、これによって実質的な触媒充填率が向上する。また必要設置スペースが狭くて済み、経済的にも優れた装置となる。
【0029】
本願の請求項2に記載の発明によれば、上記発明の効果に加え、水平方向への作用力および触媒の昇温速度差に起因する触媒支持架構の変形を防止してガスシール性および信頼性の高い触媒反応器が得られる。
【0030】
本願の請求項3に記載の発明によれば、上記発明の効果に加え、起動、停止時における触媒支持架構の前後部材の温度差に伴う前後方向への変形作用を複数に分割・分散させることができるので、前後方向の熱応力の発生を小さく押さえることができる。
【0031】
本願の請求項4に記載の発明によれば、上記発明の効果に加え、被処理ガスのリークを防止できるとともに、ガスシール性が低下してガスがリークした場合であっても、リークガス中の有害成分を効率よく分解、除去して所定の触媒反応効率を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である触媒反応装置のガス流れ方向に垂直な断面図。
【図2】本発明の一実施例である触媒反応装置のガス流れ方向に沿った断面図。
【図3】本発明の一実施例における反応器と触媒支持架構との関係を示す平面図。
【図4】本発明の一実施例における上下のガスシール装置部分を示す部分断面図。
【図5】本発明の一実施例における水平力支持手段を示す水平方向に沿った部分断面図。
【図6】図5に対応する垂直方向に沿った部分断面図である。
【図7】本発明の他の実施例の説明図。
【図8】従来技術の反応器と触媒支持架構との関係を示す平面図。
【図9】従来技術の一部切欠平面図。
【図10】図9のガスシール装置部分を示す部分拡大図。
【図11】図8の触媒支持架構受け梁部分を示す部分断面図。
【符号の説明】
1…触媒ブロック、2…触媒支持架構、3a、3b…反応器柱脚、4…反応器ケーシング、5…入口ダクト、6…出口ダクト、7a、7b…柱脚上部連絡梁、8…触媒支持架構の仕切板、9…ガスシール装置、10…内部保温材、11…水平力支持手段、12…反応器柱脚側部連絡梁、14…触媒支持架構下梁、15…柱脚下部連絡梁、16…触媒支持架構用架台、17…ガスシール溝板、18…ガスシールプレート、19…触媒支持架構受け梁、20…水平力支持金具、21…触媒支持架構柱脚、22…触媒支持架構水平梁、23…水平力受け金具、24…触媒支持架構接続プレート、25…触媒支持架構接続ボルト、26…ガスシールプレート、27…マルチリーフシール、30…被処理ガス、31…触媒支持架構の固定点、32…反応器柱脚中心線、33…脱硝触媒、34…上部連絡梁と反応器柱脚とのずれ幅。
Claims (4)
- 触媒支持架構と、該触媒支持架構に充填された触媒ブロックと、前記触媒支持架構を囲む反応器ケーシングと、前記反応器ケーシングを被処理ガスの入口側および出口側でそれぞれ幅方向に間隔を隔てて支持する二組の反応器柱脚と、被処理ガスの入口側の反応器柱脚相互および出口側反応器柱脚相互をそれぞれ連絡する上部連絡梁および下部連絡梁を有する触媒反応装置において、前記ガス入口側の反応器柱脚と出口側の反応器柱脚との間隔を前記触媒支持架構の前後幅と略等しくし、かつ前記被処理ガスの入口側の上部連絡梁を対応する反応器柱脚の柱心からガス流れ方向上流側へ、出口側の上部連絡梁を対応する反応器柱脚の柱心からガス流れ方向下流側へそれぞれ所定寸法だけずらして取付け、前記二つの上部連絡梁相互間の間隔を前記触媒支持架構の前後幅よりも所定寸法だけ大きくしたことを特徴とする触媒反応装置。
- 前記反応器柱脚の高さ方向に沿って、前記触媒支持架構に作用する水平力を分散支持する複数の水平力支持手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の触媒反応装置。
- 前記触媒支持架構を、前記反応器柱脚に設けられた水平力支持手段の取付け位置に対応して複数のブロックに分割し、各ブロック間をピンを用いて連結したことを特徴とする請求項1または2に記載の触媒反応装置。
- 前記反応器ケーシングと触媒支持架構との間に、前記触媒支持架構に一端が固定され、放射状に延びるシールプレートと、該シールプレートの他方端を挟持するように前記反応器ケーシングに設けられたシール溝板とを有するガスシール装置を設け、前記シールプレートおよびシール溝板の被処理ガスとの接触面に触媒成分を塗布したことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の触媒反応装置。
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JP2011224456A (ja) * | 2010-04-19 | 2011-11-10 | Babcock Hitachi Kk | 脱硝装置 |
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-
2003
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