JP2004272866A - 情報管理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】情報システムのインターオペラビリティを、インタフェイス数を線形に保ちながら保証する。
【解決手段】参照部12はふたつのプログラムを参照する。同値関係選択部44によって選択された同値関係をもとに、ふたつのプログラムのモジュール間の対応関係が抽出部20において特定される。対応関係から第1取得部22が接着写像f、第2取得部24が等化関数gを特定する。一連の処理の結果、最終情報が記録部28へ記録される。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は情報管理技術、とくに、複数のデータ構造体間でデータの一貫性維持、インタフェイスの確定その他の処理をなす情報管理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
情報システム構築は、たとえば大手銀行の統合に伴う統合システムに典型的にみられるように、単一大規模サイト向けから、複数分散大規模サイト向けに加速度的に移行しつつある。ところが、その基盤技術となっている現在のソフトウェア工学、リエンジニアリング技術において、これに対応するための基本的枠組みとしてのエンジニアリングモデルが欠落している。その理由は、統合方法がモデルレベルで欠如しているために、各サイト構築担当のエンジニアが個々にモジュール群を工夫して設計・構築している点にある。このために、モジュール群仕様がサイト毎に自ずと異なる。モジュール群の仕様が相互に開示されれば、再構築も可能であるが、モジュールの数の組み合わせにより指数関数的に再構築システム数が増え、いわゆる「開発工数爆発」が生じる。しかも、実際には、企業機密保持上モジュール群の仕様が開示されない場合のほうが多い。この場合、モジュール間のインタフェイス作成情報が開示されるものの、インタフェイス数も組合せ関数で指数関数的に増加するので、一層「開発工数爆発」の様相が顕著となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
国内外には、リレーショナル・データベ−ス(RDB)モデル、Entity Relationship (ER)モデル、タグによるXML、グラフによるUMLなどが研究され応用されているが、大規模分散情報システムを構築する理論的基礎としてはモデル的に完全とはいえず、例えばモジュール間のインタフェイス仕様が、異なるサイト間で統一的に取り扱える理論体系になっていない。したがって、前述の「開発工数爆発」は解決できない。
【0004】
開発工数爆発の問題を含め、異なる情報システム間で整合性をもった情報処理を自在に行うことの可能な性質、すなわち、情報システムのインターオペラビリティの確保は、IT最大の社会的テーマといっても過言ではない。各国において昨今の経済状況もあり、会社統合も増加の一途をたどっており、このテーマに対する期待は非常な高まりを見せている。しかし、既存の方法では、インタフェイスの数は、よくてもせいぜいn(log n)のオーダ、悪くするとnの指数関数のオーダになる。
【0005】
本発明はこうした背景からなされたものであり、その目的は、上記のインターオペラビリティを線形モデルとして保証する情報管理技術を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の情報管理装置は、それぞれが位相空間であり、その排他的論理和として扱われる複数のデータ構造体を参照する参照部と、参照された複数のデータ構造体のそれぞれについて、注目すべき構成要素を所定の同値関係をもとに当該データ構造体の部分位相空間として抽出する抽出部と、抽出された部分位相空間を前記複数のデータ構造体にそれぞれ対応する複数の位相空間の間で対応づける接着写像を特定する第1取得部と、特定された接着写像および前記複数のデータ構造体にそれぞれ対応する複数の位相空間をもとに、当該複数の位相空間から、前記特定された接着写像によって定まる付加空間への対応を示す等化関数を特定する第2取得部と、前記特定された等化関数、特定された接着写像、および付加空間を関連づけて記録する記録部とを備える。
【0007】
「データ構造体」は情報システムで扱われるデータの集合体であり、「情報システム」はなんらかの形で情報を管理、加工その他処理する任意の体系である。したがって、情報システムの例に、サイト、プログラム、データベース、デジタルデータ化された任意の管理情報、たとえば経営、財務、人事などが含まれる。
【0008】
本装置において、情報システムの各要素のインタフェイスは、後述の付加空間モデルに一回変換するだけでとることができる。したがって、n要素でn回の変換でインターオペラビリティが保証され、インタフェイスの数は線形である。付加空間モデルは、同値関係による等化空間を理論的基礎にしており、情報システム間で不変量を定義できるため、この不変量をもとに情報の処理を最適化および客観化できる。したがって、前述の課題が解決される。
【0009】
この情報管理装置において、前記データ構造体はプログラムであり、前記構成要素はプログラムを構成するモジュールであってもよい。「プログラム」と「モジュール」は、通常の意味に加え、例えばサイトとその構成ページのように、データの集合体として機能する全体とその一部を含む概念である。
【0010】
このとき、同値関係保持部は、前記モジュールの実質的な機能に基づいて同値類を分別する同値関係を格納していてもよい。たとえば、「モジュールとして、入力データを圧縮する機能をもつものであるか」という同値関係を設定すれば、その機能をもつモジュールをひとつの同値類として抽出することができる。
【0011】
この例では、同値類の数は2だが、一般的にはある整数kである。例えば、プログラムXという位相空間は、データ処理機能という部分位相空間Xをもち、この「データ処理機能」という観点で同値関係を準備していれば、例えば以下の4個の同値類の排他的論理和xからxに分かれる。
.データ圧縮機能
.データ解凍機能
.データ伝送機能
.xからxまで以外の機能
いま対応関係を定義しようとしている一方のプログラムについてこれら4つの同値類が判明し、他方のプログラムYについても同様に4つの同値類y〜yが以下の式により判明する。
【数1】
Figure 2004272866
したがって、この例では接着写像も等化関数も4個ずつ定まる。
【0012】
ここでは、モジュールの機能に基づいて同値関係を準備したが、モジュールの特徴に基づいて同値関係を準備してもよい。「特徴」の例は、モジュールのサイズ、そのモジュールの処理時間、そのモジュールが依拠するOS、そのモジュールの拡張性の度合いなどである。これらは、複数のプログラムを統合して上位プログラムを開発したり、複数のプログラム間の機能の対応を把握する際に利用できる。
【0013】
データ構造体がデータベースの場合、構成要素は例えばデータベースに記述される属性である。この場合、同値関係としては、「社員のデータ」という部分位相空間について、「年齢」「所属部署」「入社年度」など、社員を特徴づける属性について定めればよい。ただしこの際、いわゆる属性のタプル名ではなく、属性の実質的な意味に基づいて同値類を分別する同値関係を格納することが望ましい。例えば、「所属部署」と「配属先」は同じであろうから、それらを同等にあつかう同値関係を格納すべきである。これを実現する簡単な方法は、同値関係として、「所属部署または配属先が営業課であるか」などを準備すればよい。
【0014】
データ構造体が商品リストの場合、構成要素は例えば商品である。このとき、同値関係保持部は、商品の購入行為に注目して同値類を分別する同値関係を格納していればよい。例えば、一般にオンラインブックストアYでは、そのサイトは販売中の本のリストYを部分位相空間として持っている。Yは、「購入」という行為に着目する同値関係により、以下の4個の同値類の排他的論理和yからyに分かれる。
【0015】
.購入検討で閲覧中の本
.購入希望する本
.購入を決定した本
.yからyまで以外の本
購買者Xもそれに対応する同値類を4個もっており、前述同様、接着写像も等化関数も4個ずつ定まる。
【0016】
データ構造体が組織表の場合、構成要素は例えば組織を構成する部門である。このとき、同値関係保持部は、部門の実質的な機能に基づいて同値類を分別する同値関係を格納していればよい。これにより、ふたつの会社を統合する場合、実質的に同じ機能の部署を特定して関連づけておけば、それらふたつの部署の統合方針画定に利用できる。
【0017】
なお、本発明の表現を方法、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどへ変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下本発明を好適な実施の形態をもとに説明する。まず、実施の形態の基礎として本発明者が提唱する付加空間(Adjunction Space)モデルおよびセル構造空間モデル(以下単にセル情報モデルともいう)の基礎理論を前提技術として述べ、しかるのち具体的な実施の形態を説明する。なお、セル情報モデルは、付加空間モデルにセルの次元という概念を加えたモデルである。
【0019】
[前提技術]
セル情報モデルは、情報モデルとしては不規則データモデルの分野に適用できるもので、時空におよぶ諸元を状況(situation)というかたちでとらえる。数学的にいえば、セル情報モデルはホモトピーに関する理論的なフレームワークに位置づけられたセル空間構造理論にもとづき、グラフ理論の拡張理論にあたる。
【0020】
[1]サイバーワールドのモデリング
不変量を根拠に理論構築を行う。サイバーワールドを不可逆な空間としての時間を含む空間の1タイプと考え、その表現に、自由度としての次元と、異なる次元の空間がいかに接続されているかを示す接続性とを含む不変量が適切であることを示す。
【0021】
一般論として、サイバーワールドをモデリングするためには以下の4つのステップが必要である。
第1に、サイバーワールドと現実世界との相違点および共通点を明確化しなければならない。もっとも明白な違いは成長速度にあり、したがってその複雑さにある。ローカルな世界を同時に世界規模のウェブの世界にリンクする性質はきわめて特殊であり、かつそのスピードも光速に匹敵する。現実に、人類の歴史において、ウェブ上に実現される高速性は、かつてもったことのない能力を人類に与えた。ウェブ上で働くすべての人はサイバーワールドの構築と破壊を同時に行っているのである。
【0022】
第2に、明確化された相違点と共通点を特徴づけるための適切なモデリングの方法論を見いだす必要がある。極端な複雑度および変化の高速性により、モデリングの規模を最小化するための方法は、階層化された概念のうえに構築されるべきである。さらにその階層は、絶え間なく変化するサイバーワールドの中から普遍的な特性を特定するために、不変量の階層であり、後に概念の付加がモジュラーな形でつぎつぎに可能な形式にすべきである。
【0023】
第3に、そうして構築されたモデリングの方法論を、現実の設計(design)に落とし込む必要がある。一般に設計は、不変量の適切な選択と特定の情報構造および演算を必要とする。たとえば不変量の概念階層は、不変量を相続する階層として設計される。これまでの研究により、ふたつの不変量、すなわち自由度としての次元およびそれらの接続性の重要性を認識した。すなわち、情報構造としてセル空間構造を考え、演算としてセルの構築(コンポジション)および分解(デコンポジション)を考えるに至った。
【0024】
第4に、そうして得られた設計をセル情報モデルと名付けた情報モデルとして実装する。セル情報モデルは、既存の種々のデータモデルの能力を強化するものであり、セルの境界、セルの次元およびセルの接続性のすべてを保証することができる。セル情報モデルは、サイバーワールドを一貫性のある形で表現でき、その正当性を証明できる。
【0025】
[2]不変量の概念階層
科学的な研究において、モデリングは非常に重要なステップである。とくに自然科学では、現実世界をモデリングするために、不変量の概念を中心として理論構築がなされる。オブジェクトおよび現象は不変量をもとに分類され、モデリングされる。物理では、相対性理論が発表されるまでエネルギーと質量は不変量であった。数学では、オブジェクトをモデリングするために以下の手順がとられる。すなわち、同値関係により、数学的なオブジェクトをその部分集合の排他的論理和として表現できる同値類へ分類する。同値関係にもとづく概念階層のレベルは以下のとおりである。
【0026】
1.拡張されたレベル、その特別な場合としてホモトピーレベル
2.集合レベル
3.位相幾何学レベル、その特別な場合としてグラフ理論上のレベル
4.付加空間レベル
5.セル構造空間レベル
6.表現(プレゼンテーション)レベル
7.可視化レベル
これらの階層は、モジュラー、かつのちにインクリメンタルに付加していくことが可能な設計、すなわちサイバーワールドの不変量の継承的な階層を実現するために有力である。
【0027】
[3]セル情報モデル
サイバーワールドをモデリングするためには、CW空間などのセル空間構造にもとづくアプローチが、グラフ理論に基づくそれに比べ、はるかに適している。セル構造空間レベルによれば、オブジェクトを境界の存在する、または存在しないセルとして、認識可能かつ計算可能な空間内に位置づけることができるためである。境界をもつセルは「閉」(closed)であり、境界のないセルは「開」(open)である。n次元のセル、すなわち「nセル」は、n次元球と同相の空間である(nは整数)。ここで、オープンなnセルをeと表記し、クローズなnセルを
【数2】
Figure 2004272866
と表記する。また、クローズなnセルの内部を
【数3】
Figure 2004272866
と表記する。したがって、
【数4】
Figure 2004272866
はクローズなnセルの境界にあたり、これは(n−1)次元の球Sn−1に等しい。セルモデリングによれば、セルの構築と分解はセルの次元と接続性を不変量に保ったまま実現できる。したがって、オブジェクトの等化(アイデンティフィケーション)は、等化のための写像をとおして体系的に実施される。後述するように、データベーススキーマの構築およびスキーマの分解は、セル構築およびセル分解の特別な場合に相当する。
【0028】
ここで次元の例を述べる。たとえばサイバーワールドにおいて、ひとつの属性をもつオブジェクトは、ひとつの属性から他の属性へ移行することができないため、その自由度は0であり、したがってその次元も0である。そのため、これを表現レベルでは「点」で表することができる。属性とは、オブジェクトが本来有する特質や特徴を同定するための互いに独立な集合をいう。属性をふたつ有するオブジェクトでは、一方の属性から他方の属性への移行が可能なため、その自由度も次元も「1」である。したがって、表現レベルにおいて直線として表すことができる。同様に、属性が3および4のオブジェクトは、それぞれ2次元および3次元に相当し、曲面および球として表現できる。一般に、n個の属性を有するオブジェクトは(n−1)の自由度を有し、その次元はn−1である。これは、(n−1)次元の球として表現できる。リレーショナルモデルでは、n個の属性をもつオブジェクトはリレーショナルスキーマとして表され、n列のテーブルとして実体化される。リレーショナルモデルは集合の直積にもとづき、したがってそれは集合理論レベルにおける表現といえる。
【0029】
一方、接続性は連続かつ全射な写像である接着写像(アタッチングマップ)によって定義される。ある写像f:X→Yが全射であるとは、
【数5】
(∀y∈Y)(∃x∈X)[f(x)=y]
を意味する。「写像f:X→Yが連続である」とは、「{f−1(y)|y∈A}がXにおいてオープンであり、かつその場合にかぎり、Yの部分集合であるAがYにおいてオープンになる」ことを意味する。
【0030】
共通部分をもたない位相空間XおよびYについて、
【数6】
Figure 2004272866
は、接着写像f:X→YによってXをYに接着することにより得られる付加空間(接着空間ともいう)である。XとYの単なる排他的論理和の空間から、接着関数fによって定まる付加空間への写像gが等化写像であり、この写像は付加空間モデルにおいて中心的な役割を果たす。付加空間を利用するモデルを付加空間モデルという。付加空間モデルは、接着関数と等化写像の組合せで表現される。一方、セル情報モデルは、付加空間モデルにセルの次元という概念を追加したものである。ここで、
【数7】
Figure 2004272866
は、排他的論理和を表し、しばしば+であらわされる。〜は同値関係を示す。同値関係とは、反射律「x〜x」、対称律「x〜yならy〜x」、推移律「x〜yかつy〜zならx〜z」がすべて成り立つ関係であり、集合論的な同値関係、ホモトピー同値関係、トポロジー同値関係などがある。推移律は、空間を、共通部分をもたない同値類と呼ばれる部分空間へ分割する。
【0031】
サイバースペースをより明確にモデリングするための基礎として、同値関係および同値類について述べる。x/〜={y∈X:x〜y}によって定義されるXの部分集合は、xの同値類と呼ばれる。ここで、「類(クラス)」は実際には集合のことであるが、昔から類(クラス)と呼ばれているため、その表記にしたがう。すべての同値類からなる集合X/〜は、Xの商空間または等化空間と呼ばれ、以下のように表記される。
【0032】
【数8】
X/〜={x/〜∈2|x∈X}⊆2
推移律から、x∈X,x/〜≠φを満たすそれぞれのxについて、以下の式が成り立つ。
【数9】
Figure 2004272866
これは、集合Xが、空ではなく、共通部分をもたない同値類へ分割または分解されたことを意味する。ここで同値類をx/〜と表記し、これは以下の意味である。
【数10】
x/〜={y∈X|x〜y}
簡単な例で説明する。「濃度(cardinality)」は、集合理論上の同値関係であり、もとの集合を同じ濃度を有する、共通部分をもたない部分集合へ分割する。別な例として、グラフ理論において「同型」は同値関係であり、グラフの集合も、共通部分をもたない同型のグラフの部分集合へ分解できる。
【0033】
ユークリッド幾何学において、「合同」はひとつの同値関係を形成し、すべての図形を互いに合同な図形からなる部分集合へ分解できる。これらの部分集合は共通部分をもたず、その和集合がもとの集合、すなわちすべての図形の集合に一致する。この和集合が付加空間に当たる。「相似」もひとつの同値関係である。「合同」および「相似」はともにアフィン変換の例である。一方、「対称」という関係は、群理論における同値関係の例であり、対称な図形からなる互いに共通部分をもたない部分集合の和集合へ分解する。
【0034】
以上が接着写像の実例である。ここで、接着写像の一般的な定義に触れる。すべての同値類の集合はX/〜と表記され、以下の式で示される。
【数11】
X/〜={x/〜∈2|x∈X}⊆2
これはXの等価空間(商空間)とも呼ばれる。接着写像fは全射かつ連続な以下の写像である。
【数12】
f:Y→X(Y⊂Y)
【数13】
Figure 2004272866
は付加空間であり、以下の関係をもつ。
【数14】
Figure 2004272866
ここでは、後述するように、情報スキーマの統合およびウェブ上の情報マイニングによる情報の統合のための特別な場合を考える。いまSn−1は、クローズなnセルの境界であり、
【数15】
Figure 2004272866
と表記できる。ここで全射かつ連続な接着写像fを
【数16】
f:Sn−1→X
と定義する。このとき、付加空間Yは以下のように定義される。
【0035】
【数17】
Figure 2004272866
いま、ホモトピックな写像fおよびg、
【数18】
f,g:Sn−1→X
を考える。すると、
【数19】
Figure 2004272866
というホモトピー同値関係が生じる。
【0036】
J. H. C. Whiteheadの指摘によれば、位相空間として任意のサイバーワールドXが与えられたとき、このXから整数Zによってインデックスが与えられたXの部分空間であるXセルの有限または無限の配列を帰納的に構成することができる。すなわちフィルトレーションと呼ばれる空間{X|X⊆X,p∈Z}が以下のように形成できる。ここでXはXの被覆とよばれ、以下の関係がなりたつ。
【数20】
X=∪p∈Z
さらに、Xp−1はXの部分空間であり、すなわち、
【数21】
⊆X⊆X⊆・・・⊆Xp−1⊆X⊆・・・⊆X
と表記できる。フィルトレーションはスケルトンとも呼ばれる。最大でp次元のスケルトンはp−スケルトンと呼ばれる。X、X、X・・・Xp−1およびXはサイバーワールドXの部分サイバーワールドである。フィルトレーションと位相的に同値な空間はフィルトレーション空間と呼ばれる。
【0037】
実用上、重要なセル空間がある。それらはCW複体および多様体である。フィルトレーション空間が有限であるとき、これはCW空間と同値である。さらに、CW空間が微分同相性を有するとき、これは多様体と同値である。
【0038】
[4]セル情報モデルによる情報マイニングをとおしたウェブ情報のモデリング、帰納的なウェブ情報スキーマの統合およびウェブ情報の統合
ウェブ情報をモデリングするための第一歩として、サイバーワールドがいかに出現し、その実体がなにであるかを見きわめるために、ウェブ上の共有情報世界であるサイバーワールド形成の本質の特徴づけを行う。サイバーワールドXは、しばしば多くのウェブサイトにおけるローカルかつ多岐にわたる活動の結果ウェブ上に形成される。企業内の情報とは異なり、開始点となるスキーマの集合を与えてくれる情報管理者の存在を仮定することはできない。情報マイニングのプロセスをとおし、ローカルに存在する複数のウェブサイトにおける特別な情報を発見してサイバースペースXを知ることができる。もちろん情報マイニングは手当たりしだいすべきものではない。ウェブサイトをブラウザでながめたのち、複数のウェブサイトに分散して存在する情報およびその統合からなにをマイニングすべきか、およびいかなるものが出現すると予測されるかについてアイデアを抽出しなければならない。この種の情報マイニングは一般に「設計に基づく情報マイニング」と呼ばれる。なぜなら、マイニングすべき対象に関し、「統合指針」として適用すべき所定の規則が存在するためである。この統合指針は、なにをどのように統合するかについて設計指針として働く。
【0039】
上述のWhiteheadの帰納的スキームに基づくウェブ上の情報マイニングによれば、ローカルなウェブの世界の全世界規模のサイバーワールドへの統合は完全な形で実現される。帰納的な統合によってn次元のサイバーワールドXが取得される具体的な方法を、以下ウェブ上のサーチおよび統合のプロセスによって説明する。
【0040】
帰納的な統合はふたつのフェイズからなる。すなわち情報のスキーマ統合フェイズおよび情報統合フェイズである。第1のフェイズである情報スキーマの統合フェイズは以下の手順で進行する。
1.興味の対象である属性である
【数22】
Figure 2004272866
をすべて読み出し、以下の0次元のサイバーワールドXを形成する。
【数23】
Figure 2004272866
2.1次元のサイバーワールドXを生成するために、ウェブサイトにおける興味の対象であるふたつの属性のすべての組合せ
【数24】
Figure 2004272866
を読み出す。そののち、それらの共通部分のない和集合、
【数25】
Figure 2004272866
を接着写像FによってXへ接着する。こうして、以下の1次元サイバーワールドXを得ることができる。
【数26】
Figure 2004272866
ただしここで、i=1、2、・・・kであり、接着写像Fは、
【数27】
Figure 2004272866
である。
【0041】
3.属性の読み出しおよび統合を繰り返すことにより、情報マイニングを経て(n−1)次元のサイバーワールドXn−1を構築したとする。ここでXn−1はn個の属性を有する。(n+1)個の属性を有するn次元のサイバーワールドXを統合的に生成するために、いままでと同様の方法でウェブサイトにおいて興味の対象である(n+1)個の属性
【数28】
Figure 2004272866
のすべての組み合わせを読み出す。つづいてそれらの共通部分のない和集合、
【数29】
Figure 2004272866
をすでに構築された(n−1)次元のサイバーワールドXn−1へ接着写像Gをとおして接着する。この結果、以下のようにn次元のサイバーワールドXを生成することができる。
【数30】
Figure 2004272866
ただし、i=1、2、・・・kであり、接着写像Gは、
【数31】
Figure 2004272866
である。以上のプロセスにより、情報スキーマの統合が完了する。
【0042】
一方、第2のフェイズである情報統合フェイズは、きわめて単純であるが計算量は多い。このフェイズは、設計指針に基づき、セル接着によって生成されるサイバーワールドに含まれるべきインスタンスを判断および決定するために、スキーマ統合の際に行われるセル接着のすべてのステップにおいて、すべてのインスタンスを検査する。
【0043】
Whiteheadの帰納的な方法論に基づいて構築したサイバーワールドは、以下の関係式を満たす。
【数32】
⊆X⊆X⊆・・・⊆Xn−1⊆X⊆・・・⊆X
サイバーワールドの有効性の観点からいえば、この式は任意の有効なサイバーワールドがそれ以下の次元のサイバーワールドを含み、かつそれらのサイバーワールドが有効であることを意味する。
【0044】
上述の例において、等化は同値関係に基づく同値類によって行われる。「同値類による等化」はリレーショナルモデルにおける統合(join)演算の一般化である。この点は、セル情報モデルの実用上の能力の一部を示している。ウェブ上のサイバーワールドの高度に複雑かつきわめて速い変化に鑑みれば、セル情報モデルのこの統合能力は、ウェブ情報モデルとして真の理論的基礎を提供するものである。
【0045】
なお、設計指針を実行するために「興味の対象である属性」というとき、「興味」とは、すくなくとも部分的な意味において、等化のための同値関係の選択を意味する。すなわち、「等化のための同値関係の選択」は設計指針の主要部分を占めている。ウェブに関連する情報システムにおいて、設計指針は、イントラネットまたはコミュニティネットとしてのローカルなサイトを統治するためにローカルに存在するか、または国境のないサイバーワールドにおいて作用すべくグローバルに存在する。設計指針は、ウェブに基づく情報システムにおいて再利用可能なリソースである。
【0046】
[5]帰納的でない情報スキーマの統合としてのウェブ情報の状況モデリング、およびセル情報モデルに基づく情報の統合
ウェブ上において、しばしば、任意のサイバーワールドから新たなサイバーワールドを創造する必要が生じる。これは、前章で述べた帰納的手法をつうじた情報マイニングよりも一般的であり、ウェブ上の電子商取引を含むe−ビジネスにおいてよく見られる要請である。たとえば、時空の両面で変化するウェブの状況をモデリングするために電子商取引の状況を考える。電子商取引の情報システムを構築するために、情報スキーマの観点からウェブ上の商取引の構造を見いだすことが一般に必要である。典型的な電子商取引における状況は以下のものを含む。
【0047】
状況1.ある商品を購買するe−カスタマは、その商品をもっとも安い値段で販売するe−ショップを探すためにウェブをブラウズする。
状況2.ウェブ上で商品を販売するe−ショップは、セールスを拡大するためにe−カスタマのリストをブラウズする。
【0048】
この状況において、ウェブ上でわれわれはe−ショップ、e−カスタマおよびe−商品に関するすべての詳細情報を見いだすことに興味をもつわけではない。ここで、e−ショップ、e−カスタマおよびe−商品をそれぞれs、cおよびm次元のサイバーワールドとし、したがってそれぞれsセル
【数33】
Figure 2004272866
と、cセル
【数34】
Figure 2004272866
およびmセル
【数35】
Figure 2004272866
と表記する。
【0049】
状況1において、e−カスタマは、あるe−ショップにおいて所望のe−商品がもっとも安い価格で売られているとき、購入者としての興味をもって、そのe−ショップにおける商品名を特定する。この状況は、セル分解演算およびそのあとに行われる等化演算によって特徴づけることができる。セル分解演算は、下に示す写像fであらわされる。この写像fは、接着写像gが保存されるかたちで、任意のn次元セル
【数36】
Figure 2004272866
をつぎの2つの共通部分をもたないセルの和集合へ射影する。
【数37】
Figure 2004272866
【数38】
Figure 2004272866
後述するように、各セル分解において接着写像を保存することにより、セル分解をホモトピックにすることができる。状況1に関する結論は、それを以下の状況モデルで理解することである。
【0050】
1.セル分解
e−ショップとしてのsセル
【数39】
Figure 2004272866
と、e−カスタマとしてのcセル
【数40】
Figure 2004272866
およびe−商品としてのmセル
【数41】
Figure 2004272866
をセル分解する。このとき、電子商取引に関連する属性を特定すべく、同値セル
【数42】
Figure 2004272866
をそれ以外の部分から分離する。属性の例として、たとえば
【数43】
Figure 2004272866

【数44】
Figure 2004272866
へ簡単化して示せば、商品名、商品の識別情報および商品の価格がある。
【0051】
2.セル接着によるセル構築
同値セル
【数45】
Figure 2004272866
を接着写像によってアイデンティファイする。すなわち、e−商品としてのmセル
【数46】
Figure 2004272866
と、およびe−ショップとしてのsセル
【数47】
Figure 2004272866
をe−カスタマとしてのcセル
【数48】
Figure 2004272866
へ接着する。
【0052】
状況2も同様に、以下の状況モデルとして具体化される。
1.セル分解
状況1同様である。
2.セル接着によるセル構築
同値セル
【数49】
Figure 2004272866
を接着写像をとおしてアイデンティファイする。すなわち、e−商品としてのmセル
【数50】
Figure 2004272866
およびe−カスタマとしてのcセル
【数51】
Figure 2004272866
をe−ショップとしてのsセル
【数52】
Figure 2004272866
へ接着する。
【0053】
[6]空間/時間情報および空間/時間演算のためのセル情報モデルの理論的フレームワークとしてのホモトピー
新世紀が幕を開けたいま、われわれは、現実の世界に対し、非常に根幹的な方法で影響を与えることができる時代になった。そのような瞬間に立ち会えることはきわめて幸運なことと言わねばならない。21世紀に大きな役割を果たすと期待されるウェブおよびサイバーワールドに関する科学を構築することは、ウェブを基礎とする情報テクノロジーの構築に最大の貢献をするであろう。サイバーワールドは情報の世界であり、その意味においてウェブおよびサイバーワールドの情報モデルはキーエレメントである。同様に幸運なことに、われわれはセル空間構造として述べた科学を創造するために必要な数学的フレームワークをもっている。以下述べるホモトピー理論もそうである。
【0054】
ホモトピー理論は、セル空間構造の基礎理論として働く。すなわち、サイバーワールドの時間および空間における変化を扱うとき、空間/時間情報および空間/時間演算を収容するためにホモトピー理論が利用される。いまたとえば、ひとつの位相空間Xから別の位相空間Yへの写像関数fの変化を考える。変化ののち、fは別の写像関数gになる。したがって、以下のfからgへの連続変形を設計する。
【数53】
f,g:X→Y
この変形を正規化された区間[0,1]について考える。この区間は時間的、空間的とを問わない。いま、位相空間Xのうち変化のない部分AをXの部分空間AとしてA⊂Xと表記する。設計すべきホモトピーHは以下のとおりである。
【0055】
【数54】
H:X×I→Y ただし、
(∀x∈)(H(x,1)=f(x)and H(x,1)=g(x))
および
(∀a∈A,∀t∈I)(H(a,t)=f(a)=g(a))
このときfはAに関してgとホモトピックとよばれ、以下のように表記される。
【数55】
Figure 2004272866
ここで新たな設計上の問題が生じる。すなわち、2つの位相空間XおよびYをホモトピー同値、
【数56】
Figure 2004272866
として設計する方法、つまりこれらを同じホモトピー型をもつよう設計する方法である。これは以下の手順で解決される。すなわち、f:X→Yおよびh:Y→Xが以下の条件を満たせばよい。
【数57】
Figure 2004272866
ここで1および1は恒等写像であり、以下の式をみたす。
【数58】
:X→X かつ 1:Y→Y
以上の手法で、セルの次元をホモトピックに変化させることができる。ホモトピー同値はトポロジー同値よりも広い概念である。ホモトピー同値は、変化の前後において、位相幾何学的にはもはや同値といえないサイバーワールドのいかなる変化をもアイデンティファイすることができる。サイバーワールドは種々の演算および処理によって変遷を重ねてゆくが、その変化のプロセスはホモトピーによって特定され、またホモトピー同値によって有効性が保障される。たとえば、それぞれのセル分解を実行する際、なぜ接着写像が保存されるかが理解できる。それはセル分解をホモトピックに保ち、したがってセル分解のプロセスを逆向きにたどることができるためである。
【0056】
ホモトピックな情報モデルの研究は、情報モデルの科学を探求するために、今後取り組まれていくべき分野である。いかなる情報演算がホモトピー同値になるかを検討することは非常に興味深い研究テーマになる。
【0057】
[具体例]
以下示す情報管理装置において、情報システムの各要素のインタフェイスは、付加空間モデルに一回変換するだけでとることができる。したがって、n要素でn回の変換でインターオペラビリティが保証され、インタフェイスの数は線形である。付加空間モデルは、同値関係による等化空間を理論的基礎にしており、情報システム間で不変量を定義できるため、この不変量をもとに情報の処理を最適化および客観化できる。この情報管理装置は、付加空間モデルからセル構造空間モデルへ進むとき、次元の違うセル構造空間をひとつの付加空間モデルで扱えるので、異なる情報システムの統合ができる。これもインターオペラビリティを保証できる理由のひとつである。
【0058】
リレーショナルモデルでは、同値関係はモデルに入っておらず、情報の統一的な扱いができない。せいぜい、テーブル間の関係を示す別テーブルを、パッチを当てる要領で設けてインタフェイスをとろうとしているが、これではインタフェイスの数が指数関数的に増える。
【0059】
一方、ER(Entity Relation)モデルを基本とするSAP、UML(Unified Modeling Language)なども、これらはすべてグラフ理論モデルであるため、同値関係はモデルに入っておらず、同様の問題が起きる。これが社会基盤情報システムの現状である。以下の情報管理装置は、この問題を解決する。
【0060】
図1は、情報管理装置10の構成を示す。参照部12は、いろいろな情報システムのいろいろなデータ構造体を参照する。以下、実施の形態ではふたつの情報システムからそれぞれひとつずつデータ構造体を参照し、それらの間に所定の対応関係またはインタフェイスを定義するとする。参照されたデータ構造体(以下、「対象データ」ともいう)または対象データを示すID等はメモリ14に一時的に保管される。いま、ふたつの対象データが参照されたとき、これらはそれぞれ位相空間X、Yに相当し、この時点でこれらの位相空間の排他的論理和である
【数59】
Figure 2004272866
が確定する。なお、位相空間とは、ここでは部分空間が定義できるような空間をいう。
【0061】
解析部16は、抽出部20、第1取得部22、第2取得部24、手順取得部26、判定部30、記録部28を含む。GUI(グラフィカル・ユーザ・インタフェイス)40は、要素指定部42、同値関係選択部44、分野選択部46を含む。GUI40は、ハードウエアとしてはキーボードやマウス、ソフトウエアとしてユーザの指示を情報管理装置10へ伝達する各種プログラムを備える。ただし、解析部16やGUI40にいずれの構成を内蔵せしめるかは自由度が大きく、たとえば抽出部20、第1取得部22、第2取得部24だけでも解析部16の機能は果たす。どのような構成を採用するかは、設計目的に依存する。GUI40は、分野保持部50、同値関係保持部52に対して処理をなし、また、抽出部20に作用する。
【0062】
GUI40はその一般的な機能として、参照部12に対してユーザの指示を伝え、対象データを指定する。要素指定部42は、ユーザから、対象データのうちいずれの要素を処理すべきかに関する指示を取得し、これを抽出部20へ伝える。分野選択部46は、分野保持部50を参照して、ユーザの選択指示にしたがい、対象データの属する分野を特定する。分野保持部50には、「プログラム開発エリア」「データベース管理エリア」等、対象データの分野が具体的に記録されている。ユーザは、たとえばいまプログラムの開発において情報管理装置10を使用するなら、分野選択部46によって「プログラム開発エリア」を選択する。選択結果は同値関係保持部52へ伝えられる。
【0063】
図2は同値関係保持部52の内部構成を示す。同値関係保持部52は、プログラム開発エリア60、データベース管理エリア62、商品取引エリア64、経営分析エリア66など、分野に応じて予め多数の同値関係を保持している。いま、「プログラム開発エリア」が選択されていれば、同値関係保持部52の内部で図示しないスイッチによりプログラム開発エリア60が選択される。プログラム開発エリア60は、その内部に「プログラム開発」においてユーザが利用しうる同値関係を記述している。同値関係の実例は後述するが、ユーザは同値関係選択部44によって、実際に利用したい同値関係を特定する。特定された同値関係(以下、目的同値関係ともいう)は、抽出部20へ伝えられる。
【0064】
抽出部20は、ふたつの対象データにおいて対応関係を定義すべき要素(以下、対象要素ともいう)を、目的同値関係をもとに抽出する。その際、ユーザは対象要素の一方を要素指定部42によって指定し、抽出部20が目的同値関係をもとに他方の対象データから対応する対象要素を抽出する。こうして対応しあうことが判明した対象要素は、ひとつの部分位相空間、すなわち同値類を形成し、付加空間モデルの理論的保証により、他の同値類との間で要素の重複は一切ない。同値類は同値関係で規定される不変量をもとに分類されるため、対象データを客観的に分類でき、分類の結果にはオペレータの個人差が含まれず、有用性の高いシステムとなる。また、一方の対象要素を決めると、他方の対象要素が決まるため、前述のごとく、対応関係またはインタフェイスの数が線形になる。こうしてインターオペラビリティが保証され、従来の課題が解決される。
【0065】
後述の実例で示すごとく、目的同値関係が決まると、対象要素間がどのような意味において対応するか、その関係も一意に決まる。そのため、第1取得部22は対象要素間の対応を示す接着写像を特定することができる。接着写像fが決まると、付加空間も、
【数60】
Figure 2004272866
と定まる。付加空間は、もとは共通部分をもたない位相空間XとYの間に、接着写像fを媒介として対応関係を持たせた位相空間である。
【0066】
等化関数gは、位相空間XとYの単なる排他的論理和の空間から、接着関数fによって定まる付加空間への写像であり、付加空間が決まったとき、第2取得部24が等化関数gを特定する。等化関数gは、現実には、その定義から位相空間X、Yおよび接着関数fによって記述できる。図1では、第1取得部22で取得された接着写像fが第2取得部24へ送られ、第2取得部24から接着写像fと等化関数gが出力され、これらが記録部28へ記録される。以上で、ふたつの対象データの関連づけの主な処理が完了する。処理の結果や記録部28にすでに格納されている情報は、必要に応じて表示処理部32を介して整形および表示され、ユーザに利用される。
【0067】
手順取得部26は、抽出部20における一連の処理手順、すなわちユーザが最初に指定した対象要素および目的同値関係(以下、これらを「注目手順」ともいう)を取得し、注目手順をホモトピーとして、一連の処理の結果で特定される、・位相空間X、Y
・目的同値関係
・接着写像f
・等化関数g
と関連づけて記録部28へ記録する。以下、処理の結果である位相空間X、Y、目的同値関係、接着写像f、等化関数gを併せて「最終情報」ともいう。
【0068】
判定部30は、ユーザが新たに処理を行うとき、抽出部20における注目手順を検出し、注目手順がすでに記録部28に記録されていれば、それに対応する最終情報を記録部28から読み出して表示処理部32へ提供する。これにより、第1取得部22と第2取得部24による処理をスキップすることができる。
【0069】
以上の構成による処理動作を具体的に説明する。いま、ユーザは別々に開発されたふたつのプログラムの間の関係を解析してモジュール間の対応関係を把握し、記録するとする。ただし、ここでいうプログラムはサイトであってもよく、モジュールはサイトの構成ページであってもよく、前述のように、複数分散大規模サイトを設計する際、それらサイト間で同等の機能を有する部分を統合したり、インタフェイスを設計する際に有用である。ただし、ここではそうした場合も含め、「プログラム」と「モジュール」で代表させる。
【0070】
ユーザはまず、対応関係を解析すべきふたつのプログラムをGUI40で指定する。参照部12はその指示にしたがって外部の図示しないプログラム記録場所へアクセスしてこれらを取得する。つづいてユーザは、要素指定部42により、ふたつのプログラムの一方について、注目しようとするモジュールを指定する。このモジュールは抽出部20へ伝えられる。
【0071】
ユーザはまた、プログラムの指定と前後して、いま解析しようとする分野を分野選択部46によって選択する。ここでは、「プログラム開発エリア」が選択され、それに対応するプログラム開発エリア60が同値関係保持部52においてアクティブになり、プログラム開発エリア60に含まれる同値関係が選択可能になる。ユーザはここで同値関係選択部44によって所望の同値関係、すなわち目的同値関係を選択する。
【0072】
いま、ユーザがプログラムの機能に着目して同値関係を選択したとする。同値関係は前述のようにふたつの同値類を導出するようなもの、たとえば「このモジュールが積和演算機能を有する」というようなものでもよいし、3以上の同値類を導出するようなものでもよい。いずれにしても、プログラム開発エリア60にはユーザがプログラム開発または解析の場面において注目することが想定される機能に関する同値関係が予め多数記録されている。
【0073】
図3は、プログラム開発エリア60に含まれる同値関係によってふたつのプログラムのモジュール間で接着写像fを特定する概念図である。ここでは、プログラムXとYの間で、前者のモジュールa2と後者のモジュールb0が同じ機能をもつとして対応づけられている。第1取得部22において取得される接着写像fはa2→b0の対応関係である。
【0074】
以下、第2取得部24によって等化関数gが取得され、最終情報がプログラムX、Y、目的同値関係、接着関数f、等化関数gとして記録部28へ記録される。この最終情報をもとに、ユーザはプログラムの解析を実行できる。一方のプログラムがモジュールをn個もてば、そのn個のそれぞれについて、他方のプログラムのいずれかのモジュールとの対応関係が特定されるため、インタフェイス数は線形であり、工数爆発も問題が解決する。
【0075】
以上、プログラム間の対応関係特定を説明したが、分野として「データベース管理エリア」を選択した場合、複数のデータベースの要素、すなわち属性間で対応づけができる。このとき、同値関係として実質的に同じ属性であることを設定すれば、複数のデータベース間で同じ属性を常に情報としてもつことができる。リレーショナルデータベースでは、ジョイン演算として属性の統合が可能であるが、ジョインをしてしまうと、もはやもとの複数の属性へ戻すことができず、データの再利用性がない。しかし、実施の形態の情報管理装置10であれば、複数の属性をそのまま残しつつ、「同じ機能」という不変量を切り口に属性を分類および対応づけできるので、データ利用性が格段に向上する。
【0076】
別の分野として、「商品取引エリア」を選択した場合、たとえばふたつの商品リストの間で対応づけをすることができる。ふたつの商品リストの一方が商品を売る側のリスト、他方が商品を買う側のリストとし、目的同値関係として「同一商品」を選択すれば、瞬時に売買の成立しうる商品が特定できる。また、目的同値関係として、「1000円以下」を選択すれば、実際に売買が成立するかどうかまで特定することができる。すなわち、買う側が「この商品は1000円以下なら購入する」という条件を設けていたとき、売る側がその商品を1000円以下で売っていれば、売買が成立する。成立する売買について接着写像fが存在するため、その写像にしたがい、売り手と買い手に売買可能な商品を通知すればよい。情報管理装置10は接着写像fが存在したとき、その旨をユーザへ通知する通知部を備えてもよい。なお、実際の取引においては、さらにいろいろな条件があるであろうから、同値関係として、例えば「色」「産地」「大きさ」「重さ」などを準備しておけばよい。
【0077】
さらに別の分野として、「経営分析エリア」を選択し、社内の改組を図る場合、たとえばふたつの事業部X、Yの組織表を参照する。それらの組織表の一方について要素指定部42から要素、すなわち部や課を指定し、同値関係として「規模」「収益体質」「実質的機能」「所在地」その他の属性を選択すれば、それらの観点で同値である部や課が他方の事業部Yから浮かび上がる。このため、改組の方針決定支援に貢献することができる。
【0078】
以上、実施の形態を説明した。実施の形態は例示であり、さまざまな変形例が可能であり、そうした変形例も本発明に含まれることは当業者に理解されるところである。
一例として、実施の形態の情報管理装置10において、同値関係を同値関係保持部52へ新たに登録する同値関係登録部を設けてもよい。同様に、新たな分野を分野保持部50へ登録する分野登録部を設けてもよい。その場合、ユーザは同値関係登録部により、分野ごとの同値関係を登録すればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態に係る情報管理装置の構成図である。
【図2】図1の同値関係保持部の内部構成図である。
【図3】実施の形態において同値関係の選択により接着写像が決まる様子を概念的に示す図である。
【符号の説明】
10 情報管理装置、 12 参照部、 20 抽出部、 22 第1取得部、24 第2取得部、 26 手順取得部、 28 記録部、 30 判定部、44 同値関係選択部、 46 分野選択部、 50 分野保持部、 52 同値関係保持部。

Claims (15)

  1. それぞれが位相空間であり、その排他的論理和として扱われる複数のデータ構造体を参照する参照部と、
    参照された複数のデータ構造体のそれぞれについて、注目すべき構成要素を所定の同値関係をもとに当該データ構造体の部分位相空間として抽出する抽出部と、
    抽出された部分位相空間を前記複数のデータ構造体にそれぞれ対応する複数の位相空間の間で対応づける接着写像を特定する第1取得部と、
    特定された接着写像および前記複数のデータ構造体にそれぞれ対応する複数の位相空間をもとに、当該複数の位相空間から、前記特定された接着写像によって定まる付加空間への対応を示す等化関数を特定する第2取得部と、
    前記特定された等化関数、特定された接着写像、および付加空間を関連づけて記録する記録部と、
    を備えることを特徴とする情報管理装置。
  2. 請求項1に記載の情報管理装置において、
    前記データ構造体に適用されるべき複数の同値関係を予め保持する同値関係保持部と、
    ユーザから前記複数の同値関係のうちひとつを選択せしめる同値関係選択部と、
    をさらに備えることを特徴とする装置。
  3. 請求項2に記載の情報管理装置において、
    前記データ構造体はプログラムであり、前記構成要素はプログラムを構成するモジュールであることを特徴とする装置。
  4. 請求項3に記載の情報管理装置において、
    前記同値関係保持部は、前記モジュールの実質的な機能に基づいて同値類を分別する同値関係を格納していることを特徴とする装置。
  5. 請求項3に記載の情報管理装置において、
    前記同値関係保持部は、前記モジュールの特徴に基づいて同値類を分別する同値関係を格納していることを特徴とする装置。
  6. 請求項2に記載の情報管理装置において、
    前記データ構造体はデータベースであり、前記構成要素はデータベースに記述される属性であることを特徴とする装置。
  7. 請求項6に記載の情報管理装置において、
    前記同値関係保持部は、前記属性の実質的な意味に基づいて同値類を分別する同値関係を格納していることを特徴とする装置。
  8. 請求項2に記載の情報管理装置において、
    前記データ構造体は商品リストであり、前記構成要素は商品であることを特徴とする装置。
  9. 請求項8に記載の情報管理装置において、
    前記同値関係保持部は、前記商品の購入行為に注目して同値類を分別する同値関係を格納していることを特徴とする装置。
  10. 請求項2に記載の情報管理装置において、
    前記データ構造体は組織表であり、前記構成要素は組織を構成する部門であることを特徴とする装置。
  11. 請求項10に記載の情報管理装置において、
    前記同値関係保持部は、前記部門の実質的な機能に基づいて同値類を分別する同値関係を格納していることを特徴とする装置。
  12. 請求項1から11のいずれかに記載の情報管理装置において、
    前記接着写像の特定手順をホモトピーとして取得する手順取得部をさらに備えることを特徴とする装置。
  13. 請求項12に記載の情報管理装置において、
    新たに特定しようとする接着写像の取得手順に関するホモトピーがすでに取得されているかどうかを判定する判定部をさらに備えることを特徴とする装置。
  14. 請求項1に記載の情報管理装置において、
    前記データ構造体の属する分野を予め複数準備する分野保持部と、
    準備された複数の分野から前記データ構造体として処理すべき分野を選択する分野選択部と、
    準備された分野ごとに同値関係を区分して予め準備する同値関係保持部と、
    をさらに備え、前記同値関係保持部は、前記分野選択部にて選択された分野に対応する同値関係を提供することを特徴とする装置。
  15. 付加空間モデルに基づき、不変量に注目して複数のデータ構造体の間に関係を定義する解析部と、
    前記不変量を特定する同値関係を予め保持する同値関係保持部と、
    保持された同値関係から、ユーザの指示に基づいて所定の同値関係を選択せしめる同値関係選択部と、
    を含むことを特徴とする情報管理装置。
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