JP2004271621A - 液晶装置及び電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】光源の色再現性や色ムラを低減することができると同時に、液晶セルの色再現性や色均一性の向上が液晶装置の最終的な表示色のばらつきの低減や色ムラの低減に結び付くように構成された液晶装置及びこれを備えた電子機器を提供する。
【解決手段】本発明の液晶装置200は、液晶層LC及びこの液晶層に電界を印加する電極212,225を備えた液晶セルと、液晶セルの照明を行う照明手段230とを有し、照明手段は、発光素子231と、発光素子から放出される光を液晶セルに導く導光板232とを備え、導光板から照射された照明光の少なくとも一部を色変換して白色光に近づける色変換手段227を設けたことを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明の液晶装置200は、液晶層LC及びこの液晶層に電界を印加する電極212,225を備えた液晶セルと、液晶セルの照明を行う照明手段230とを有し、照明手段は、発光素子231と、発光素子から放出される光を液晶セルに導く導光板232とを備え、導光板から照射された照明光の少なくとも一部を色変換して白色光に近づける色変換手段227を設けたことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶装置及び電子機器に係り、特に、液晶層及び該液晶層に電界を印加する電極を備えた液晶セルと、該液晶セルの照明を行う照明手段とを有する液晶装置の全体構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、液晶装置は、液晶層及び該液晶層に電界を印加する電極を備えた液晶セルを備えているが、液晶セル自体は自己発光しないため、液晶セルの照明を行う照明手段を設けて、この照明手段により照射される照明光を液晶セルによって制御することによって所望の画像を形成するように構成されている。
【0003】
照明手段としては、冷陰極管やLED(発光ダイオード)などからなる光源と、この光源から放出される光を液晶セルに導くための導光板とを備えたものが知られている。また、照明手段における光源及び導光板の配置態様としては、光源及び導光板を液晶セルと平面的に重なるように配置するもの、導光板を液晶セルと平面的に重なるように配置し、この導光板の側方に光源を配置するものなどがある。また、導光板の位置としては、液晶セルの背後に配置するもの(バックライト)、液晶セルの前面側に配置するもの(フロントライト)などが知られている。
【0004】
図8は、照明手段としてサイドライト型のバックライトを備えた液晶表示装置100の構成を模式的に示す概略断面図である。この液晶表示装置100においては、第1基板111の内面上に透明電極112が形成され、この透明電極112の上に配向膜113が形成されている。また、第2基板121の内面上には遮光層122が形成される。また、主として遮光層122によって遮光されていない領域にフィルタ要素123が形成される。たとえばR(赤)、G(緑)及びB(青)の各フィルタ要素123が所定の配列パターンにて配列される。フィルタ要素123の上には、保護膜124が形成され、この保護膜124の上に透明電極125が形成され、さらにその上に配向膜126が形成されている。
【0005】
上記第1基板111と第2基板121とは図示しないシール材などを介して貼り合わされ、両基板間に液晶層LCが配置されることによって液晶セルが構成される。この液晶セルの背面側及び前面側には必要に応じてそれぞれ偏光板P1,P2が配置される。
【0006】
また、上記液晶セルの背後には、照明手段130が配置される。この照明手段130は、光源131と、導光板132とで構成される。導光板132は液晶セルと平面的に重なるように配置され、光源131は導光板132の側方に配置される。光源131は白色発光ダイオードが用いられる。白色発光ダイオードは、たとえば、窒化物半導体によって構成される青色発光ダイオード131Aの光放出側に蛍光体131B(たとえば特許文献1参照)を有し、青色発光ダイオード131Aの青色光の一部をそれよりも波長の長い可視光(たとえば黄色)に変換することによって全体として白色光とみなし得る照明光を放出するように構成されている。
【0007】
この照明光は、導光板132の端面から内部に導入され、光学的な公知の光偏向手段によって液晶セル側に放出される。通常、導光板132は平面光源とみなし得る光照射分布を有するように構成される。このようなバックライトを備えた液晶表示装置は、たとえば特許文献2に記載されている。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−199781号公報
【特許文献2】
特開2002−287131号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記白色ダイオードを光源として用いたバックライトにおいては、白色ダイオード内に配置された蛍光体の濃度のばらつきや分布の偏りなどによって、光の色再現性が必ずしも良好でなく、また、色ムラも発生しやすいため、導光板から放出される照明光の色再現性の低下や色ムラに起因して、液晶表示装置の表示色のばらつきや色ムラが生じやすいという問題点があった。
【0010】
特に、白色ダイオードのばらつきに応じて個々に液晶セルのカラーフィルタの光学濃度を調整することは不可能であるため、液晶セルの色再現性や色均一性をいくら向上させても液晶表示装置の表示品位の向上に結びつかないという問題点があった。
【0011】
そこで本発明は上記問題点を解決するものであり、その課題は、光源の色再現性や色ムラを低減することができると同時に、液晶セルの色再現性や色均一性の向上が液晶装置の最終的な表示色のばらつきの低減や色ムラの低減に結び付くように構成された液晶装置及びこれを備えた電子機器を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の液晶装置は、液晶層及び該液晶層に電界を印加する電極を備えた液晶セルと、該液晶セルの照明を行う照明手段とを有し、前記照明手段は、発光素子と、該発光素子から放出された光を前記液晶セルに導く導光板とを備え、前記導光板から照射される照明光の少なくとも一部を色変換して白色光に近づける色変換手段を設けたことを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、発光素子から放出された光は導光板を介して液晶セルに照射されるが、導光板から照射される照明光は色変換手段によって白色光に近づけられる。したがって、仮に発光素子が白色光に対して偏った波長分布を備えた光を放出するものであっても、導光板から照射される照明光を白色光に近づけて表示に利用することができるため、発光素子に色変換手段を設ける必要がなくなり、その結果、発光素子の色変換手段による色再現性の低下や色ムラの発生を抑制できる。また、色変換手段は照明手段から液晶セルに照射される照明光に対して作用するように設けられるため、液晶セルの構成に合わせて色変換手段の色変換の再現性や均一性を高めることが容易になり、これによって液晶装置の表示色のばらつきや色ムラの低減を図ることができる。ここで、色変換手段は、液晶セルの内部に配置されても、外部に配置されてもよい。
【0014】
なお、白色光に対して偏った波長分布を有する光としては、可視光領域において偏ったスペクトル分布を有する例として後述する青色光のほかに、赤色光や緑色光などを挙げることができる。また、可視光領域以外に強い発光スペクトルを有する例として、紫外線を発するもの、赤外線を発するものなどが挙げられる。
【0015】
本発明において、前記発光素子の放出する前記光は短波長成分を含み、前記色変換手段は、前記短波長成分による光励起により、前記短波長成分よりも長波長側の可視光成分を放出する蛍光体であることが好ましい。本発明の色変換手段としては、導光板から照射される照明光の少なくとも一部を色変換することができ、しかも、照明光を白色光に近づけることができるものであればよい。したがって、蛍光、燐光、光電効果などの各種効果を用いた(介在させた)光の波長変換手段を用いることができ、また、単なる光学フィルタを利用できる場合も包含される。しかしながら、色変換手段として蛍光体を用いることにより、エネルギー供給や条件設定なしで短波長成分による光励起により長波長側の可視光成分をきわめて簡単に取り出すことができ、また、材料の入手も容易である。蛍光体としては、珪酸亜鉛(ZnSiO3)、珪酸カドミウム(CdSiO3)、硼酸カドミウム(Cd2B2O5)などがあるが、セリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)系蛍光体が最も好ましい。YAG系蛍光体は組成によって簡単に蛍光波長域などを調整でき、たとえば、紫外線を可視光に変換することによって表示光量を高めることができ、また、青色光を黄色光に変換して青色光と黄色光との混色によって青色光を白色光に近づけることができる。また、硬度及び耐摩耗性の高い塊や粉体として容易に入手できる。
【0016】
本発明において、前記液晶セルには複数色のフィルタ要素が配列されてなるカラーフィルタが形成され、前記色変換手段は、前記カラーフィルタよりも前記導光板側に配置されていることが好ましい。カラーフィルタを備えた液晶装置である場合には、色変換手段をカラーフィルタよりも導光板側(手前)に配置することによって、カラーフィルタによる多色化(たとえばフルカラー化)を達成することができる。
【0017】
本発明において、前記発光素子の放出する前記光は青色光であり、前記色変換手段は、前記青色光により光励起されることが好ましい。青色光を発生する発光素子としては、窒化物半導体を用いた発光ダイオードを用いることができる。また、この場合には、色変換手段として青色光の一部を黄色光に変換するものを用いることができる。これによって、青色光と黄色光との混色によって白色光に近い光を得ることができる。
【0018】
本発明において、前記カラーフィルタは、前記照明光に対する視感透過率が最も高い前記フィルタ要素に対応する領域の開口面積が他の前記フィルタ要素に対応する領域の開口面積よりも小さく形成されていることが好ましい。色変換手段の色変換の効率は通常それほど高くないので、照明光に対する視感透過率が最も高いフィルタ要素を透過する透過光は、他のフィルタ要素を透過する透過光よりも明るくなる傾向にある。このため、上記のように構成することにより、表示色のバランスを確保できる。たとえば、発光素子が青色光を放出する場合において、カラーフィルタが、主として青色光を透過する青色フィルタ要素と、主として青色以外の光を透過する他色フィルタ要素とを含む場合には、前記青色フィルタ要素に対応する領域の開口面積が前記他色フィルタ要素に対応する領域の開口面積よりも小さく形成されていることが好ましい。青色光を発生する発光素子を用いる場合、色変換手段により青色光の一部を他の光に変換しても、青色光成分の光強度が強くなる傾向があるため、青色フィルタ要素に対応する領域の開口面積を他色フィルタに対応する領域の開口面積よりも小さく構成することにより、バランスの取れた表示色を得ることができる。
【0019】
本発明において、前記液晶層の前記導光板側に前記フィルタ要素に対応する領域毎に開口部を備えた反射層を有し、前記照明光に対する視感透過率が最も高い前記フィルタ要素に対応する前記開口部の開口面積が他の前記フィルタ要素に対応する前記開口部の開口面積よりも小さく形成されていることが好ましい。液晶層の導光板側にフィルタ要素に対応する領域毎に開口部を備えた反射層を配置することによって、半透過反射型の液晶装置を構成できる。この場合、照明光に対する視感透過率が最も高いフィルタ要素に対応する領域の開口部の開口面積を他のフィルタ要素に対応する領域の開口部の開口面積よりも小さくすることによって、透過表示における表示色のバランスを向上させることができる。また、当該フィルタ要素(青色フィルタ要素)に対応する領域の開口部の開口面積を小さく構成することにより、このフィルタ要素に対応する領域の反射面積が大きくなる場合には、反射表示における当該フィルタ要素に対応する反射光量を他の色よりも相対的に多く確保することが可能になるため、透過表示に影響する当該フィルタ要素の透過率をある程度低く設定しても、反射表示における当該フィルタ要素に起因する表示色(たとえば青色)の明るさをある程度確保することが可能になるなど、透過表示と反射表示の表示色のバランスを取ることが容易になる。
【0020】
本発明において、光を拡散させて表示光を構成する光拡散層を有し、前記色変換手段は、前記光拡散層に含まれていることが好ましい。通常、液晶装置においては、照明手段から照射される照明光のうち表示に寄与する光の割合を高めて光の利用効率を向上させたり、照明手段による照明光の輝度のばらつきなどを低減したりするために、光拡散層を設ける場合があるが、この場合、色変換手段を光拡散層に含めることによって液晶装置の構成をほとんど変更することなく構成できる。たとえば、色変換手段として蛍光体の粉末(微粒子)を光拡散層の内部に分散配置することにより、光の拡散作用と、色変換作用とを同時に実現できるようになる。
【0021】
本発明において、前記液晶層の前記導光板側に光散乱性反射面を備えた半透過反射層と、該半透過反射層に光散乱性を付与するための微細な凹凸表面を備えた下地層とを有し、前記色変換手段は、前記下地層に含まれることが好ましい。これによれば、下地層に形成した微細な凹凸表面により反射層に光散乱性反射面を与えて幻惑や背景の写り込みといった表示品位の低下を抑制できるとともに、下地層に含まれる色変換手段により色変換作用を得ることができるので、液晶装置の構成をほとんど変更することなく構成できる。たとえば、下地層を透明に構成し、蛍光体の粉末(微粒子)を分散配置することにより、色変換作用を実現できる。
【0022】
また、本発明の電子機器は、上記のいずれかに記載の液晶装置と、該液晶装置を制御する制御手段とを有することを特徴とする。これによれば、上記の液晶装置を用いることによって表示色の再現性が得られ、また、色ムラが低減された高い表示品位を得ることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
次に、添付図面を参照して本発明に係る液晶装置及び電子機器の実施形態について詳細に説明する。
【0024】
[第1実施形態]
図1は、本発明に係る第1実施形態の液晶装置200の概略構成を模式的に示す概略分解斜視図、図2は、液晶装置200の概略拡大断面図である。液晶装置200は、第1基板211と第2基板221とを図示しないシール材などを用いて貼り合わせ、その間に液晶層LCを配置してなる液晶セルを備えている。第1基板211の内面上にはITO(インジウムスズ酸化物)などの透明導電体で構成された透明電極212が形成されている。透明電極212の上には配向膜213が形成されている。また、第2基板221の内面上には黒色樹脂や金属などで構成された遮光層222が形成されている。また、この遮光層222によって遮光されていない領域に主として形成されたフィルタ要素223が設けられている。
【0025】
フィルタ要素223は、たとえばR(赤),G(緑),B(青)、或いは、C(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー)などの複数色が形成され、これらの複数色のフィルタ要素223がストライプ配列、デルタ配列、斜めストライプ配列などの適宜の配列パターンにより配列されている。本発明においてフィルタ要素223の色の組み合せは何ら限定されるものではないが、図示及び以下の説明においては、RGBのフィルタ要素を含むカラーフィルタを構成する場合について例示する。
【0026】
上記フィルタ要素223の上には透明なアクリル樹脂などの有機膜、SiO2やTiO2などの無機膜などで構成される保護膜224が形成されている。上記のフィルタ要素223と保護膜224はカラーフィルタを構成する。また、カラーフィルタの上には色変換層227が形成されている。この色変換層227は、透明樹脂基材中に蛍光体を分散させたものである。
【0027】
透明樹脂基材としては、熱可塑性樹脂、たとえば、ポリアリレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンメタクリレート(PMMA)樹脂などが挙げられる。特に、紫外線による光酸化による劣化を防止するためには、透明樹脂基材にベンゾトリアゾール系、トリアジン系などの紫外線吸収剤を添加することが好ましい。
【0028】
また、蛍光体としては、上述の各種の蛍光体を用いることができるが、特にセリウム(Ce)で賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)系蛍光体が挙げられる。ここで、YAG系蛍光体としては、イットリウム(Y)の少なくとも一部をLu,Sc,La,Gd,Smからなる群から選ばれる少なくとも一つの元素で置換したもの、或いは、アルミニウム(Al)の少なくとも一部をGa,Inからなる群から選ばれる少なくとも一つの元素で置換したものを含む。たとえば、[A1−bSmb]3[AlcGa1−c]5O12:Ce(ここで、AはY又はGdのうち少なくとも一つ、bは0≦b<1、cは0≦c≦1)が好ましい。
【0029】
上記YAG系蛍光体は、Y2O3、Al2O3、Gd2O3、Ce2O3などを粉砕してフラックスなどと共に固め、1350〜1,600℃程度で焼結することによって形成することができる。上記のYAG系蛍光体としては、励起波長が400〜450nmの波長域にあり、蛍光スペクトルが500〜700nm程度の範囲内にある蛍光特性を有するものを作成できる。
【0030】
上記色変換層227の上には、ITO等の透明導電体で構成される透明電極225が形成される。また、透明電極225の上には配向膜226が形成される。
【0031】
液晶セルの背面側及び前面側に配置される偏光板P1,P2は液晶モードにより必要に応じて設けられる。また、偏光板P1とP2の配置(姿勢)関係は、液晶層LCの材質や液晶セルの構成によって様々に設定されるが、TNモードの液晶セルであればクロスニコル配置(偏光透過軸が直交する配置)とされ、また、STNモードの液晶セルであれば、偏光透過軸が相互に180〜270度の範囲内で適宜に設定された角度をもって交差する配置とされる。
【0032】
照明手段230は、本実施形態では液晶セルの背後に配置されるバックライトである。照明手段230は、光源231と、この光源231から放出される光を端面から導入する導光板232とを有する。光源231はたとえば青色発光ダイオードである。図示では、光源231は表面実装タイプの発光ダイオードチップとなっている。青色発光ダイオードとしては、MOCVD法などで形成したInGaNなどの窒化物半導体を発光層としたものを用いることができる。半導体構造としては、MIS接合、pn接合、PIN構造などが挙げられる。より具体的には、サファイア基板上にGaN、AlNなどのバッファ層を形成し、特定の窒化物半導体で構成される発光構造、たとえばpn接合を形成する。
【0033】
導光板232は、透明なアクリル樹脂などの透明樹脂基材で構成できる。特に、紫外線による光酸化による劣化を防止するためには、この透明樹脂基材にベンゾトリアゾール系、トリアジン系などの紫外線吸収剤を添加することが好ましい。導光板232は、液晶セルと平面的に重なるように配置される。そして、光源231から放出された光は導光板232の端面から内部に導入され、その内部にて伝播しながら、少しずつ液晶セル側の表面から放出される。ここで、液晶セル側の表面全体に亘って均一に光が放出されるように、導光板の表面や裏面上に凹凸構造を設けたり、光散乱層を形成したりすることは周知である。
【0034】
本実施形態では、光源231から図3に実線で示すような発光スペクトルを有する光(青色光)が放出され、この光は、導光板232を経ることにより、液晶セルの全面に対してほぼ均一な光分布を有する態様で照明光として照射される。この照明光(青色光)は、偏光板P1、第1基板211、透明電極212などを経て液晶層LCに入射し、さらに、透明電極225を透過して色変換層227に入射する。この色変換層227では、内部に分散配置された蛍光体によって青色光の一部が色変換される。具体的には、青色光によって蛍光体が光励起され、その蛍光としてより長波長の可視光が放出される。たとえば、図3に点線で示すような波長500〜700nmに主な光強度分布を有する光(黄色光)が放出される。なお、図3において点線で示す蛍光スペクトルは、そのピーク値が上記発光スペクトルのピーク値と同様に100%となる態様で示してあるが、実際には発光スペクトルのピーク値よりも蛍光スペクトルのピーク値は小さい。これによって、色変換層227を通過した光は、青色光と黄色光との混合により、白色光により近づけられたスペクトル分布を有するものとなる。このようにして白色化された光はR,G,Bなどのフィルタ要素223を通過して所定の色相に色づき、第2基板221を通過し、最終的に偏光板P2を透過した光成分が外部から視認される表示画像を構成することになる。
【0035】
この実施形態では、光源231から放出された青色光がそのまま導光板232を通過して液晶セルに向けて照射される照明光となっているため、光源231ではその放出光を白色化する必要がなくなり、結果として、照明光の色変換による光の色相のばらつきや色ムラを低減することができる。また、光源231から放出される光は、図3に示すように白色光のスペクトルに較べて大きく偏ったスペクトル分布を有するものであるが、最終的にカラーフィルタの手前に配置される色変換層227を透過することにより、白色光に近づけられる。このようにすると、最終的には従来のように白色の発光ダイオードを用いた場合と同様にカラーフィルタによってカラー化を図ることができる。このとき、色変換層を光源231内に設けると、僅かな蛍光体の濃度のばらつきや不均一性が、導光板232によって拡大された形で液晶セルに照射されることとなるため、表示色の再現性の大幅な低下や大きな不均一性(色ムラ)を生ずる。これに対して、本実施形態の色変換層227は、導光板232から平面照明とみなされ得る態様で照射される照明光に対して作用するように構成(配置)されるため、色変換作用の再現性や均一性を容易に得ることができるようになり、結果として、液晶装置としての表示色の再現性の向上や色ムラの低減を図ることができる。
【0036】
本実施形態では、色変換層227は液晶層LCよりも観察側(照明手段230とは反対側)に配置されているが、色変換層227は、導光板232と液晶セルとの間、偏光板P1と第1基板211との間、第1基板211の内面上など、カラーフィルタよりも照明手段230側であれば如何なる場所に配置されても構わない。
【0037】
本実施形態の場合には、光源231から強い青色光が放出されるため、また、上記の蛍光体などを含む色変換層227の変換効率はそれほど高くないため、色変換層227を通過しても青色光(可視光領域における短波長側部分の光成分)がスペクトル分布上最も強くなりやすい。このため、通常の白色光を照明光として照射する照明手段を用いる場合に較べて、青色フィルタ要素が明るくなり、カラーフィルタにより形成されるべき表示色のバランスが崩れる場合が考えられる。そこで、導光板232から照射される照明光に対する視感透過率の最も高いフィルタ要素、すなわち、本実施形態では可視光領域の最も短波長側の光を主として透過するフィルタ要素である青色フィルタ要素、に対応する画素領域Bの開口面積を、それ以外の、より長波長側の光を主として透過する他色フィルタ要素R,Gに対応する画素領域の開口面積よりも小さくすることが好ましい。これによって、青色フィルタ要素を透過する光量を低減することができるため、従来と同様のカラーフィルタを用いても、青色フィルタ要素に対応する画素領域Bが明るくなりすぎるといった表示色のバランスの崩れを低減できる。なお、開口面積を小さくするには、たとえば、図2に示す遮光層222を画素領域の内側により広く張り出すように構成すればよい。
【0038】
[第2実施形態]
次に、図4を参照して、本発明に係る第2実施形態の液晶装置300について説明する。この実施形態においては、第1実施形態と同様の第1基板311、透明電極312、配向膜313、第2基板321、遮光層322、フィルタ要素323、保護膜324、透明電極325、配向膜326、液晶層LC、偏光板P1,P2、並びに、光源331及び導光板332を備えた照明手段330を有しているので、これらの説明は省略する。
【0039】
本実施形態では、色変換層317が液晶層LCよりも照明手段330側に配置されている。より具体的には、色変換層317は第1基板311上に形成されている。さらに、この色変換層317は、上記と同様に照明手段330から照射される照明光の少なくとも一部を色変換する機能を有する他に、当該照明光を拡散させ、照明光の表示への利用効率を高めるとともに、導光板332の輝度ムラを低減する機能を有している。すなわち、この色変換層317は、光拡散層としても作用するように構成されている。
【0040】
この色変換層317には、アクリル樹脂などの透明樹脂基材中に上記と同様の色変換手段としての蛍光体を分散させてある。また、透明樹脂基材とは屈折率の異なる微粒子(たとえば異なる種類のアクリル樹脂)を分散させた構成としたり、光散乱性の微粒子(たとえば白色粉など)を分散させた構成としたり、或いは、透明樹脂基材の表面又は裏面を微細な凹凸表面(粗面)形状に構成(プロキシミティ露光などを利用したフォトリソグラフィ法によって形成できる。)したりすることによって、光拡散機能を発揮することができるように構成されている。
【0041】
この光拡散層としても機能する色変換層317を、その光拡散機能の少なくとも一部が蛍光体によって実現されるように構成することも可能である。色変換層317が光拡散機能を有することにより、照明手段330から照射された照明光の照射方向の偏りや照度分布の偏りを低減することができるとともに、色変換層317自身の色変換機能の均一性を高めることも可能になる。
【0042】
[第3実施形態]
次に、図5を参照して、本発明に係る第3実施形態の液晶装置400について説明する。この実施形態においても、第1実施形態と同様の第1基板411、透明電極412、配向膜413、第2基板421、遮光層422、フィルタ要素423、保護膜424、透明電極425、配向膜426、液晶層LC、偏光板P1,P2、並びに、光源431及び導光板432を備えた照明手段430を有するので、これらの説明は省略する。
【0043】
本実施形態では、第1基板411上に色変換層417が形成され、この色変換層417の上に半透過反射層418が形成されている。半透過反射層418は、アルミニウムや銀合金などの金属を蒸着法やスパッタリング法などによって成膜することにより形成される。半透過反射層418としては、一般に金属薄膜を薄く形成することによって反射性と透過性の双方を実質的に有するように構成したものであってもよい。ただし、本実施形態では、画素領域R,G,B毎に開口部418aを形成することによって半透過反射層418に半透過反射性を与えている。
【0044】
色変換層417は、第1実施形態と同様に構成される。この色変換層417は、たとえばプロキシミティ露光などを利用したフォトリソグラフィ法を用いることによって表面(少なくとも半透過反射層418の開口部418a以外の形成領域に相当する表面部分)に微細な表面凹凸を形成してある。そして、この表面凹凸の上に上記半透過反射層418を被着、形成することにより、半透過反射層418の反射面には、下地層である色変換層417の表面を反映して微細な表面凹凸が形成され、これによって反射表示における幻惑や背景の写り込みを防止することができるようになっている。
【0045】
本実施形態の色変換層417は、第2実施形態と同様に光拡散層としても機能するように構成することができる。この場合、半透過反射層418の開口部418aに臨む部分にも上記の表面凹凸を形成することによって光拡散性をもたせてもよく、或いは、色変換層417内に光散乱性の微粒子或いは基材と異なる屈折率を有する微粒子を分散させても構わない。
【0046】
本実施形態においては、半透過反射層418によって透過表示と反射表示の双方を実現することができるように構成されている。たとえば、照明手段430を点灯して導光板432から照明光を照射した場合には、開口部418aを通過する透過光によって透過表示が実現される。また、照明手段430を消灯した場合や周囲が明るい場合には、外光が液晶セル内に入射して、半透過反射層418により反射されることによって、反射表示が実現される。
【0047】
この場合、本実施形態においても、色変換層417を透過した光のスペクトル分布は、短波長域の光強度が長波長域に較べて強くなる傾向にあるため、青色フィルタ要素に対応する画素領域Bの上記開口部418aの開口面積Ap(B)を、他色フィルタ要素に対応する画素領域R,Gの上記開口部418aの開口面積Ap(R),Ap(G)よりも小さくすることが好ましい。これによって、透過表示に寄与する青色フィルタ要素を通過した青色光の強度を抑制することができるため、透過表示の表示色のバランスを取ることができる。また、上記の開口部418aの開口面積を小さくした分、当該画素領域B内の反射面積を増加させることにより、反射表示に寄与する青色光の明るさを増大させることもできる。反射表示では、光源431の発光スペクトルは無関係であるので、透過表示に較べて青色光の相対強度が低くなりがちであるが、上記のようにすることにより、青色フィルタ要素に対応する画素領域の反射面積を増加させることができるので、反射表示においても青色光の相対強度を高めることができる。したがって、透過表示と反射表示の間の表示色の差異を低減することが可能になる。
【0048】
[その他の構成例]
本発明においては、光源から導光板を介して平面光源化された照明手段から照射された照明光に対して色変換手段を適用することに特徴を有する。したがって、色変換手段は、カラーフィルタを有しない構成であれば、照明手段よりも観察側であれば、如何なる位置に配置されていてもよい。また、また、液晶層LCのような電気光学層の背後に配置されている必要もない。さらに、上記実施形態ではパッシブマトリクス型パネル構造を備えた液晶セルを示したが、TFD素子(MIM素子)を備えたアクティブマトリクス型パネルや、TFT(薄膜トランジスタ)を備えたアクティブマトリクス型パネルとすることもできる。
【0049】
[電子機器]
最後に、図6及び図7を参照して、本発明に係る電子機器の実施形態について説明する。この実施形態では、上記表示装置(液晶表示装置200)を表示手段として備えた電子機器について説明する。図6は、本実施形態の電子機器における液晶表示装置200に対する制御系(表示制御系)の全体構成を示す概略構成図である。ここに示す電子機器は、表示情報出力源291と、表示情報処理回路292と、電源回路293と、タイミングジェネレータ294とを含む表示制御回路290を有する。また、上記と同様の液晶表示装置200には、表示領域200Aを駆動する駆動回路200Bが設けられている。この駆動回路200Bは、通常、液晶パネルに直接実装されている半導体ICチップ、パネル表面上に形成された回路パターン、或いは、液晶パネルに導電接続された回路基板に実装された半導体ICチップ若しくは回路パターンなどによって構成される。
【0050】
表示情報出力源291は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等からなるメモリと、磁気記録ディスクや光記録ディスク等からなるストレージユニットと、デジタル画像信号を同調出力する同調回路とを備え、タイミングジェネレータ294によって生成された各種のクロック信号に基づいて、所定フォーマットの画像信号等の形で表示情報を表示情報処理回路292に供給するように構成されている。
【0051】
表示情報処理回路292は、シリアル−パラレル変換回路、増幅・反転回路、ローテーション回路、ガンマ補正回路、クランプ回路等の周知の各種回路を備え、入力した表示情報の処理を実行して、その画像情報をクロック信号CLKと共に駆動回路200Bへ供給する。駆動回路200Bは、走査線駆動回路、信号線駆動回路及び検査回路を含む。また、電源回路293は、上述の各構成要素にそれぞれ所定の電圧を供給する。
【0052】
図7は、本発明に係る電子機器の一実施形態である携帯電話の外観を示す。この電子機器1000は、操作部1001と、表示部1002とを有し、表示部1002の内部に回路基板1100が配置されている。回路基板1100上には上記の液晶表示装置200が実装されている。そして、表示部1002の表面において上記表示領域200Aを視認できるように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の液晶装置の概略分解斜視図。
【図2】第1実施形態の液晶装置の拡大部分断面図。
【図3】第1実施形態の発光スペクトル及び蛍光スペクトルを示すグラフ。
【図4】第2実施形態の液晶装置の拡大部分断面図。
【図5】第3実施形態の液晶装置の拡大部分断面図。
【図6】電子機器の表示制御系の構成を示す概略構成ブロック図。
【図7】電子機器の外観を示す概略斜視図。
【図8】従来の液晶装置の拡大部分断面図。
【符号の説明】
200…液晶装置、211…第1基板、212…透明電極、221…第2基板、222…遮光層、223…フィルタ要素、224…保護膜、225…透明電極、227,317,417…色変換層、418…半透過反射層、418a…開口部、画素領域R,G,B
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶装置及び電子機器に係り、特に、液晶層及び該液晶層に電界を印加する電極を備えた液晶セルと、該液晶セルの照明を行う照明手段とを有する液晶装置の全体構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、液晶装置は、液晶層及び該液晶層に電界を印加する電極を備えた液晶セルを備えているが、液晶セル自体は自己発光しないため、液晶セルの照明を行う照明手段を設けて、この照明手段により照射される照明光を液晶セルによって制御することによって所望の画像を形成するように構成されている。
【0003】
照明手段としては、冷陰極管やLED(発光ダイオード)などからなる光源と、この光源から放出される光を液晶セルに導くための導光板とを備えたものが知られている。また、照明手段における光源及び導光板の配置態様としては、光源及び導光板を液晶セルと平面的に重なるように配置するもの、導光板を液晶セルと平面的に重なるように配置し、この導光板の側方に光源を配置するものなどがある。また、導光板の位置としては、液晶セルの背後に配置するもの(バックライト)、液晶セルの前面側に配置するもの(フロントライト)などが知られている。
【0004】
図8は、照明手段としてサイドライト型のバックライトを備えた液晶表示装置100の構成を模式的に示す概略断面図である。この液晶表示装置100においては、第1基板111の内面上に透明電極112が形成され、この透明電極112の上に配向膜113が形成されている。また、第2基板121の内面上には遮光層122が形成される。また、主として遮光層122によって遮光されていない領域にフィルタ要素123が形成される。たとえばR(赤)、G(緑)及びB(青)の各フィルタ要素123が所定の配列パターンにて配列される。フィルタ要素123の上には、保護膜124が形成され、この保護膜124の上に透明電極125が形成され、さらにその上に配向膜126が形成されている。
【0005】
上記第1基板111と第2基板121とは図示しないシール材などを介して貼り合わされ、両基板間に液晶層LCが配置されることによって液晶セルが構成される。この液晶セルの背面側及び前面側には必要に応じてそれぞれ偏光板P1,P2が配置される。
【0006】
また、上記液晶セルの背後には、照明手段130が配置される。この照明手段130は、光源131と、導光板132とで構成される。導光板132は液晶セルと平面的に重なるように配置され、光源131は導光板132の側方に配置される。光源131は白色発光ダイオードが用いられる。白色発光ダイオードは、たとえば、窒化物半導体によって構成される青色発光ダイオード131Aの光放出側に蛍光体131B(たとえば特許文献1参照)を有し、青色発光ダイオード131Aの青色光の一部をそれよりも波長の長い可視光(たとえば黄色)に変換することによって全体として白色光とみなし得る照明光を放出するように構成されている。
【0007】
この照明光は、導光板132の端面から内部に導入され、光学的な公知の光偏向手段によって液晶セル側に放出される。通常、導光板132は平面光源とみなし得る光照射分布を有するように構成される。このようなバックライトを備えた液晶表示装置は、たとえば特許文献2に記載されている。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−199781号公報
【特許文献2】
特開2002−287131号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記白色ダイオードを光源として用いたバックライトにおいては、白色ダイオード内に配置された蛍光体の濃度のばらつきや分布の偏りなどによって、光の色再現性が必ずしも良好でなく、また、色ムラも発生しやすいため、導光板から放出される照明光の色再現性の低下や色ムラに起因して、液晶表示装置の表示色のばらつきや色ムラが生じやすいという問題点があった。
【0010】
特に、白色ダイオードのばらつきに応じて個々に液晶セルのカラーフィルタの光学濃度を調整することは不可能であるため、液晶セルの色再現性や色均一性をいくら向上させても液晶表示装置の表示品位の向上に結びつかないという問題点があった。
【0011】
そこで本発明は上記問題点を解決するものであり、その課題は、光源の色再現性や色ムラを低減することができると同時に、液晶セルの色再現性や色均一性の向上が液晶装置の最終的な表示色のばらつきの低減や色ムラの低減に結び付くように構成された液晶装置及びこれを備えた電子機器を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の液晶装置は、液晶層及び該液晶層に電界を印加する電極を備えた液晶セルと、該液晶セルの照明を行う照明手段とを有し、前記照明手段は、発光素子と、該発光素子から放出された光を前記液晶セルに導く導光板とを備え、前記導光板から照射される照明光の少なくとも一部を色変換して白色光に近づける色変換手段を設けたことを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、発光素子から放出された光は導光板を介して液晶セルに照射されるが、導光板から照射される照明光は色変換手段によって白色光に近づけられる。したがって、仮に発光素子が白色光に対して偏った波長分布を備えた光を放出するものであっても、導光板から照射される照明光を白色光に近づけて表示に利用することができるため、発光素子に色変換手段を設ける必要がなくなり、その結果、発光素子の色変換手段による色再現性の低下や色ムラの発生を抑制できる。また、色変換手段は照明手段から液晶セルに照射される照明光に対して作用するように設けられるため、液晶セルの構成に合わせて色変換手段の色変換の再現性や均一性を高めることが容易になり、これによって液晶装置の表示色のばらつきや色ムラの低減を図ることができる。ここで、色変換手段は、液晶セルの内部に配置されても、外部に配置されてもよい。
【0014】
なお、白色光に対して偏った波長分布を有する光としては、可視光領域において偏ったスペクトル分布を有する例として後述する青色光のほかに、赤色光や緑色光などを挙げることができる。また、可視光領域以外に強い発光スペクトルを有する例として、紫外線を発するもの、赤外線を発するものなどが挙げられる。
【0015】
本発明において、前記発光素子の放出する前記光は短波長成分を含み、前記色変換手段は、前記短波長成分による光励起により、前記短波長成分よりも長波長側の可視光成分を放出する蛍光体であることが好ましい。本発明の色変換手段としては、導光板から照射される照明光の少なくとも一部を色変換することができ、しかも、照明光を白色光に近づけることができるものであればよい。したがって、蛍光、燐光、光電効果などの各種効果を用いた(介在させた)光の波長変換手段を用いることができ、また、単なる光学フィルタを利用できる場合も包含される。しかしながら、色変換手段として蛍光体を用いることにより、エネルギー供給や条件設定なしで短波長成分による光励起により長波長側の可視光成分をきわめて簡単に取り出すことができ、また、材料の入手も容易である。蛍光体としては、珪酸亜鉛(ZnSiO3)、珪酸カドミウム(CdSiO3)、硼酸カドミウム(Cd2B2O5)などがあるが、セリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)系蛍光体が最も好ましい。YAG系蛍光体は組成によって簡単に蛍光波長域などを調整でき、たとえば、紫外線を可視光に変換することによって表示光量を高めることができ、また、青色光を黄色光に変換して青色光と黄色光との混色によって青色光を白色光に近づけることができる。また、硬度及び耐摩耗性の高い塊や粉体として容易に入手できる。
【0016】
本発明において、前記液晶セルには複数色のフィルタ要素が配列されてなるカラーフィルタが形成され、前記色変換手段は、前記カラーフィルタよりも前記導光板側に配置されていることが好ましい。カラーフィルタを備えた液晶装置である場合には、色変換手段をカラーフィルタよりも導光板側(手前)に配置することによって、カラーフィルタによる多色化(たとえばフルカラー化)を達成することができる。
【0017】
本発明において、前記発光素子の放出する前記光は青色光であり、前記色変換手段は、前記青色光により光励起されることが好ましい。青色光を発生する発光素子としては、窒化物半導体を用いた発光ダイオードを用いることができる。また、この場合には、色変換手段として青色光の一部を黄色光に変換するものを用いることができる。これによって、青色光と黄色光との混色によって白色光に近い光を得ることができる。
【0018】
本発明において、前記カラーフィルタは、前記照明光に対する視感透過率が最も高い前記フィルタ要素に対応する領域の開口面積が他の前記フィルタ要素に対応する領域の開口面積よりも小さく形成されていることが好ましい。色変換手段の色変換の効率は通常それほど高くないので、照明光に対する視感透過率が最も高いフィルタ要素を透過する透過光は、他のフィルタ要素を透過する透過光よりも明るくなる傾向にある。このため、上記のように構成することにより、表示色のバランスを確保できる。たとえば、発光素子が青色光を放出する場合において、カラーフィルタが、主として青色光を透過する青色フィルタ要素と、主として青色以外の光を透過する他色フィルタ要素とを含む場合には、前記青色フィルタ要素に対応する領域の開口面積が前記他色フィルタ要素に対応する領域の開口面積よりも小さく形成されていることが好ましい。青色光を発生する発光素子を用いる場合、色変換手段により青色光の一部を他の光に変換しても、青色光成分の光強度が強くなる傾向があるため、青色フィルタ要素に対応する領域の開口面積を他色フィルタに対応する領域の開口面積よりも小さく構成することにより、バランスの取れた表示色を得ることができる。
【0019】
本発明において、前記液晶層の前記導光板側に前記フィルタ要素に対応する領域毎に開口部を備えた反射層を有し、前記照明光に対する視感透過率が最も高い前記フィルタ要素に対応する前記開口部の開口面積が他の前記フィルタ要素に対応する前記開口部の開口面積よりも小さく形成されていることが好ましい。液晶層の導光板側にフィルタ要素に対応する領域毎に開口部を備えた反射層を配置することによって、半透過反射型の液晶装置を構成できる。この場合、照明光に対する視感透過率が最も高いフィルタ要素に対応する領域の開口部の開口面積を他のフィルタ要素に対応する領域の開口部の開口面積よりも小さくすることによって、透過表示における表示色のバランスを向上させることができる。また、当該フィルタ要素(青色フィルタ要素)に対応する領域の開口部の開口面積を小さく構成することにより、このフィルタ要素に対応する領域の反射面積が大きくなる場合には、反射表示における当該フィルタ要素に対応する反射光量を他の色よりも相対的に多く確保することが可能になるため、透過表示に影響する当該フィルタ要素の透過率をある程度低く設定しても、反射表示における当該フィルタ要素に起因する表示色(たとえば青色)の明るさをある程度確保することが可能になるなど、透過表示と反射表示の表示色のバランスを取ることが容易になる。
【0020】
本発明において、光を拡散させて表示光を構成する光拡散層を有し、前記色変換手段は、前記光拡散層に含まれていることが好ましい。通常、液晶装置においては、照明手段から照射される照明光のうち表示に寄与する光の割合を高めて光の利用効率を向上させたり、照明手段による照明光の輝度のばらつきなどを低減したりするために、光拡散層を設ける場合があるが、この場合、色変換手段を光拡散層に含めることによって液晶装置の構成をほとんど変更することなく構成できる。たとえば、色変換手段として蛍光体の粉末(微粒子)を光拡散層の内部に分散配置することにより、光の拡散作用と、色変換作用とを同時に実現できるようになる。
【0021】
本発明において、前記液晶層の前記導光板側に光散乱性反射面を備えた半透過反射層と、該半透過反射層に光散乱性を付与するための微細な凹凸表面を備えた下地層とを有し、前記色変換手段は、前記下地層に含まれることが好ましい。これによれば、下地層に形成した微細な凹凸表面により反射層に光散乱性反射面を与えて幻惑や背景の写り込みといった表示品位の低下を抑制できるとともに、下地層に含まれる色変換手段により色変換作用を得ることができるので、液晶装置の構成をほとんど変更することなく構成できる。たとえば、下地層を透明に構成し、蛍光体の粉末(微粒子)を分散配置することにより、色変換作用を実現できる。
【0022】
また、本発明の電子機器は、上記のいずれかに記載の液晶装置と、該液晶装置を制御する制御手段とを有することを特徴とする。これによれば、上記の液晶装置を用いることによって表示色の再現性が得られ、また、色ムラが低減された高い表示品位を得ることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
次に、添付図面を参照して本発明に係る液晶装置及び電子機器の実施形態について詳細に説明する。
【0024】
[第1実施形態]
図1は、本発明に係る第1実施形態の液晶装置200の概略構成を模式的に示す概略分解斜視図、図2は、液晶装置200の概略拡大断面図である。液晶装置200は、第1基板211と第2基板221とを図示しないシール材などを用いて貼り合わせ、その間に液晶層LCを配置してなる液晶セルを備えている。第1基板211の内面上にはITO(インジウムスズ酸化物)などの透明導電体で構成された透明電極212が形成されている。透明電極212の上には配向膜213が形成されている。また、第2基板221の内面上には黒色樹脂や金属などで構成された遮光層222が形成されている。また、この遮光層222によって遮光されていない領域に主として形成されたフィルタ要素223が設けられている。
【0025】
フィルタ要素223は、たとえばR(赤),G(緑),B(青)、或いは、C(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー)などの複数色が形成され、これらの複数色のフィルタ要素223がストライプ配列、デルタ配列、斜めストライプ配列などの適宜の配列パターンにより配列されている。本発明においてフィルタ要素223の色の組み合せは何ら限定されるものではないが、図示及び以下の説明においては、RGBのフィルタ要素を含むカラーフィルタを構成する場合について例示する。
【0026】
上記フィルタ要素223の上には透明なアクリル樹脂などの有機膜、SiO2やTiO2などの無機膜などで構成される保護膜224が形成されている。上記のフィルタ要素223と保護膜224はカラーフィルタを構成する。また、カラーフィルタの上には色変換層227が形成されている。この色変換層227は、透明樹脂基材中に蛍光体を分散させたものである。
【0027】
透明樹脂基材としては、熱可塑性樹脂、たとえば、ポリアリレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンメタクリレート(PMMA)樹脂などが挙げられる。特に、紫外線による光酸化による劣化を防止するためには、透明樹脂基材にベンゾトリアゾール系、トリアジン系などの紫外線吸収剤を添加することが好ましい。
【0028】
また、蛍光体としては、上述の各種の蛍光体を用いることができるが、特にセリウム(Ce)で賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)系蛍光体が挙げられる。ここで、YAG系蛍光体としては、イットリウム(Y)の少なくとも一部をLu,Sc,La,Gd,Smからなる群から選ばれる少なくとも一つの元素で置換したもの、或いは、アルミニウム(Al)の少なくとも一部をGa,Inからなる群から選ばれる少なくとも一つの元素で置換したものを含む。たとえば、[A1−bSmb]3[AlcGa1−c]5O12:Ce(ここで、AはY又はGdのうち少なくとも一つ、bは0≦b<1、cは0≦c≦1)が好ましい。
【0029】
上記YAG系蛍光体は、Y2O3、Al2O3、Gd2O3、Ce2O3などを粉砕してフラックスなどと共に固め、1350〜1,600℃程度で焼結することによって形成することができる。上記のYAG系蛍光体としては、励起波長が400〜450nmの波長域にあり、蛍光スペクトルが500〜700nm程度の範囲内にある蛍光特性を有するものを作成できる。
【0030】
上記色変換層227の上には、ITO等の透明導電体で構成される透明電極225が形成される。また、透明電極225の上には配向膜226が形成される。
【0031】
液晶セルの背面側及び前面側に配置される偏光板P1,P2は液晶モードにより必要に応じて設けられる。また、偏光板P1とP2の配置(姿勢)関係は、液晶層LCの材質や液晶セルの構成によって様々に設定されるが、TNモードの液晶セルであればクロスニコル配置(偏光透過軸が直交する配置)とされ、また、STNモードの液晶セルであれば、偏光透過軸が相互に180〜270度の範囲内で適宜に設定された角度をもって交差する配置とされる。
【0032】
照明手段230は、本実施形態では液晶セルの背後に配置されるバックライトである。照明手段230は、光源231と、この光源231から放出される光を端面から導入する導光板232とを有する。光源231はたとえば青色発光ダイオードである。図示では、光源231は表面実装タイプの発光ダイオードチップとなっている。青色発光ダイオードとしては、MOCVD法などで形成したInGaNなどの窒化物半導体を発光層としたものを用いることができる。半導体構造としては、MIS接合、pn接合、PIN構造などが挙げられる。より具体的には、サファイア基板上にGaN、AlNなどのバッファ層を形成し、特定の窒化物半導体で構成される発光構造、たとえばpn接合を形成する。
【0033】
導光板232は、透明なアクリル樹脂などの透明樹脂基材で構成できる。特に、紫外線による光酸化による劣化を防止するためには、この透明樹脂基材にベンゾトリアゾール系、トリアジン系などの紫外線吸収剤を添加することが好ましい。導光板232は、液晶セルと平面的に重なるように配置される。そして、光源231から放出された光は導光板232の端面から内部に導入され、その内部にて伝播しながら、少しずつ液晶セル側の表面から放出される。ここで、液晶セル側の表面全体に亘って均一に光が放出されるように、導光板の表面や裏面上に凹凸構造を設けたり、光散乱層を形成したりすることは周知である。
【0034】
本実施形態では、光源231から図3に実線で示すような発光スペクトルを有する光(青色光)が放出され、この光は、導光板232を経ることにより、液晶セルの全面に対してほぼ均一な光分布を有する態様で照明光として照射される。この照明光(青色光)は、偏光板P1、第1基板211、透明電極212などを経て液晶層LCに入射し、さらに、透明電極225を透過して色変換層227に入射する。この色変換層227では、内部に分散配置された蛍光体によって青色光の一部が色変換される。具体的には、青色光によって蛍光体が光励起され、その蛍光としてより長波長の可視光が放出される。たとえば、図3に点線で示すような波長500〜700nmに主な光強度分布を有する光(黄色光)が放出される。なお、図3において点線で示す蛍光スペクトルは、そのピーク値が上記発光スペクトルのピーク値と同様に100%となる態様で示してあるが、実際には発光スペクトルのピーク値よりも蛍光スペクトルのピーク値は小さい。これによって、色変換層227を通過した光は、青色光と黄色光との混合により、白色光により近づけられたスペクトル分布を有するものとなる。このようにして白色化された光はR,G,Bなどのフィルタ要素223を通過して所定の色相に色づき、第2基板221を通過し、最終的に偏光板P2を透過した光成分が外部から視認される表示画像を構成することになる。
【0035】
この実施形態では、光源231から放出された青色光がそのまま導光板232を通過して液晶セルに向けて照射される照明光となっているため、光源231ではその放出光を白色化する必要がなくなり、結果として、照明光の色変換による光の色相のばらつきや色ムラを低減することができる。また、光源231から放出される光は、図3に示すように白色光のスペクトルに較べて大きく偏ったスペクトル分布を有するものであるが、最終的にカラーフィルタの手前に配置される色変換層227を透過することにより、白色光に近づけられる。このようにすると、最終的には従来のように白色の発光ダイオードを用いた場合と同様にカラーフィルタによってカラー化を図ることができる。このとき、色変換層を光源231内に設けると、僅かな蛍光体の濃度のばらつきや不均一性が、導光板232によって拡大された形で液晶セルに照射されることとなるため、表示色の再現性の大幅な低下や大きな不均一性(色ムラ)を生ずる。これに対して、本実施形態の色変換層227は、導光板232から平面照明とみなされ得る態様で照射される照明光に対して作用するように構成(配置)されるため、色変換作用の再現性や均一性を容易に得ることができるようになり、結果として、液晶装置としての表示色の再現性の向上や色ムラの低減を図ることができる。
【0036】
本実施形態では、色変換層227は液晶層LCよりも観察側(照明手段230とは反対側)に配置されているが、色変換層227は、導光板232と液晶セルとの間、偏光板P1と第1基板211との間、第1基板211の内面上など、カラーフィルタよりも照明手段230側であれば如何なる場所に配置されても構わない。
【0037】
本実施形態の場合には、光源231から強い青色光が放出されるため、また、上記の蛍光体などを含む色変換層227の変換効率はそれほど高くないため、色変換層227を通過しても青色光(可視光領域における短波長側部分の光成分)がスペクトル分布上最も強くなりやすい。このため、通常の白色光を照明光として照射する照明手段を用いる場合に較べて、青色フィルタ要素が明るくなり、カラーフィルタにより形成されるべき表示色のバランスが崩れる場合が考えられる。そこで、導光板232から照射される照明光に対する視感透過率の最も高いフィルタ要素、すなわち、本実施形態では可視光領域の最も短波長側の光を主として透過するフィルタ要素である青色フィルタ要素、に対応する画素領域Bの開口面積を、それ以外の、より長波長側の光を主として透過する他色フィルタ要素R,Gに対応する画素領域の開口面積よりも小さくすることが好ましい。これによって、青色フィルタ要素を透過する光量を低減することができるため、従来と同様のカラーフィルタを用いても、青色フィルタ要素に対応する画素領域Bが明るくなりすぎるといった表示色のバランスの崩れを低減できる。なお、開口面積を小さくするには、たとえば、図2に示す遮光層222を画素領域の内側により広く張り出すように構成すればよい。
【0038】
[第2実施形態]
次に、図4を参照して、本発明に係る第2実施形態の液晶装置300について説明する。この実施形態においては、第1実施形態と同様の第1基板311、透明電極312、配向膜313、第2基板321、遮光層322、フィルタ要素323、保護膜324、透明電極325、配向膜326、液晶層LC、偏光板P1,P2、並びに、光源331及び導光板332を備えた照明手段330を有しているので、これらの説明は省略する。
【0039】
本実施形態では、色変換層317が液晶層LCよりも照明手段330側に配置されている。より具体的には、色変換層317は第1基板311上に形成されている。さらに、この色変換層317は、上記と同様に照明手段330から照射される照明光の少なくとも一部を色変換する機能を有する他に、当該照明光を拡散させ、照明光の表示への利用効率を高めるとともに、導光板332の輝度ムラを低減する機能を有している。すなわち、この色変換層317は、光拡散層としても作用するように構成されている。
【0040】
この色変換層317には、アクリル樹脂などの透明樹脂基材中に上記と同様の色変換手段としての蛍光体を分散させてある。また、透明樹脂基材とは屈折率の異なる微粒子(たとえば異なる種類のアクリル樹脂)を分散させた構成としたり、光散乱性の微粒子(たとえば白色粉など)を分散させた構成としたり、或いは、透明樹脂基材の表面又は裏面を微細な凹凸表面(粗面)形状に構成(プロキシミティ露光などを利用したフォトリソグラフィ法によって形成できる。)したりすることによって、光拡散機能を発揮することができるように構成されている。
【0041】
この光拡散層としても機能する色変換層317を、その光拡散機能の少なくとも一部が蛍光体によって実現されるように構成することも可能である。色変換層317が光拡散機能を有することにより、照明手段330から照射された照明光の照射方向の偏りや照度分布の偏りを低減することができるとともに、色変換層317自身の色変換機能の均一性を高めることも可能になる。
【0042】
[第3実施形態]
次に、図5を参照して、本発明に係る第3実施形態の液晶装置400について説明する。この実施形態においても、第1実施形態と同様の第1基板411、透明電極412、配向膜413、第2基板421、遮光層422、フィルタ要素423、保護膜424、透明電極425、配向膜426、液晶層LC、偏光板P1,P2、並びに、光源431及び導光板432を備えた照明手段430を有するので、これらの説明は省略する。
【0043】
本実施形態では、第1基板411上に色変換層417が形成され、この色変換層417の上に半透過反射層418が形成されている。半透過反射層418は、アルミニウムや銀合金などの金属を蒸着法やスパッタリング法などによって成膜することにより形成される。半透過反射層418としては、一般に金属薄膜を薄く形成することによって反射性と透過性の双方を実質的に有するように構成したものであってもよい。ただし、本実施形態では、画素領域R,G,B毎に開口部418aを形成することによって半透過反射層418に半透過反射性を与えている。
【0044】
色変換層417は、第1実施形態と同様に構成される。この色変換層417は、たとえばプロキシミティ露光などを利用したフォトリソグラフィ法を用いることによって表面(少なくとも半透過反射層418の開口部418a以外の形成領域に相当する表面部分)に微細な表面凹凸を形成してある。そして、この表面凹凸の上に上記半透過反射層418を被着、形成することにより、半透過反射層418の反射面には、下地層である色変換層417の表面を反映して微細な表面凹凸が形成され、これによって反射表示における幻惑や背景の写り込みを防止することができるようになっている。
【0045】
本実施形態の色変換層417は、第2実施形態と同様に光拡散層としても機能するように構成することができる。この場合、半透過反射層418の開口部418aに臨む部分にも上記の表面凹凸を形成することによって光拡散性をもたせてもよく、或いは、色変換層417内に光散乱性の微粒子或いは基材と異なる屈折率を有する微粒子を分散させても構わない。
【0046】
本実施形態においては、半透過反射層418によって透過表示と反射表示の双方を実現することができるように構成されている。たとえば、照明手段430を点灯して導光板432から照明光を照射した場合には、開口部418aを通過する透過光によって透過表示が実現される。また、照明手段430を消灯した場合や周囲が明るい場合には、外光が液晶セル内に入射して、半透過反射層418により反射されることによって、反射表示が実現される。
【0047】
この場合、本実施形態においても、色変換層417を透過した光のスペクトル分布は、短波長域の光強度が長波長域に較べて強くなる傾向にあるため、青色フィルタ要素に対応する画素領域Bの上記開口部418aの開口面積Ap(B)を、他色フィルタ要素に対応する画素領域R,Gの上記開口部418aの開口面積Ap(R),Ap(G)よりも小さくすることが好ましい。これによって、透過表示に寄与する青色フィルタ要素を通過した青色光の強度を抑制することができるため、透過表示の表示色のバランスを取ることができる。また、上記の開口部418aの開口面積を小さくした分、当該画素領域B内の反射面積を増加させることにより、反射表示に寄与する青色光の明るさを増大させることもできる。反射表示では、光源431の発光スペクトルは無関係であるので、透過表示に較べて青色光の相対強度が低くなりがちであるが、上記のようにすることにより、青色フィルタ要素に対応する画素領域の反射面積を増加させることができるので、反射表示においても青色光の相対強度を高めることができる。したがって、透過表示と反射表示の間の表示色の差異を低減することが可能になる。
【0048】
[その他の構成例]
本発明においては、光源から導光板を介して平面光源化された照明手段から照射された照明光に対して色変換手段を適用することに特徴を有する。したがって、色変換手段は、カラーフィルタを有しない構成であれば、照明手段よりも観察側であれば、如何なる位置に配置されていてもよい。また、また、液晶層LCのような電気光学層の背後に配置されている必要もない。さらに、上記実施形態ではパッシブマトリクス型パネル構造を備えた液晶セルを示したが、TFD素子(MIM素子)を備えたアクティブマトリクス型パネルや、TFT(薄膜トランジスタ)を備えたアクティブマトリクス型パネルとすることもできる。
【0049】
[電子機器]
最後に、図6及び図7を参照して、本発明に係る電子機器の実施形態について説明する。この実施形態では、上記表示装置(液晶表示装置200)を表示手段として備えた電子機器について説明する。図6は、本実施形態の電子機器における液晶表示装置200に対する制御系(表示制御系)の全体構成を示す概略構成図である。ここに示す電子機器は、表示情報出力源291と、表示情報処理回路292と、電源回路293と、タイミングジェネレータ294とを含む表示制御回路290を有する。また、上記と同様の液晶表示装置200には、表示領域200Aを駆動する駆動回路200Bが設けられている。この駆動回路200Bは、通常、液晶パネルに直接実装されている半導体ICチップ、パネル表面上に形成された回路パターン、或いは、液晶パネルに導電接続された回路基板に実装された半導体ICチップ若しくは回路パターンなどによって構成される。
【0050】
表示情報出力源291は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等からなるメモリと、磁気記録ディスクや光記録ディスク等からなるストレージユニットと、デジタル画像信号を同調出力する同調回路とを備え、タイミングジェネレータ294によって生成された各種のクロック信号に基づいて、所定フォーマットの画像信号等の形で表示情報を表示情報処理回路292に供給するように構成されている。
【0051】
表示情報処理回路292は、シリアル−パラレル変換回路、増幅・反転回路、ローテーション回路、ガンマ補正回路、クランプ回路等の周知の各種回路を備え、入力した表示情報の処理を実行して、その画像情報をクロック信号CLKと共に駆動回路200Bへ供給する。駆動回路200Bは、走査線駆動回路、信号線駆動回路及び検査回路を含む。また、電源回路293は、上述の各構成要素にそれぞれ所定の電圧を供給する。
【0052】
図7は、本発明に係る電子機器の一実施形態である携帯電話の外観を示す。この電子機器1000は、操作部1001と、表示部1002とを有し、表示部1002の内部に回路基板1100が配置されている。回路基板1100上には上記の液晶表示装置200が実装されている。そして、表示部1002の表面において上記表示領域200Aを視認できるように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の液晶装置の概略分解斜視図。
【図2】第1実施形態の液晶装置の拡大部分断面図。
【図3】第1実施形態の発光スペクトル及び蛍光スペクトルを示すグラフ。
【図4】第2実施形態の液晶装置の拡大部分断面図。
【図5】第3実施形態の液晶装置の拡大部分断面図。
【図6】電子機器の表示制御系の構成を示す概略構成ブロック図。
【図7】電子機器の外観を示す概略斜視図。
【図8】従来の液晶装置の拡大部分断面図。
【符号の説明】
200…液晶装置、211…第1基板、212…透明電極、221…第2基板、222…遮光層、223…フィルタ要素、224…保護膜、225…透明電極、227,317,417…色変換層、418…半透過反射層、418a…開口部、画素領域R,G,B
Claims (9)
- 液晶層及び該液晶層に電界を印加する電極を備えた液晶セルと、該液晶セルの照明を行う照明手段とを有し、
前記照明手段は、発光素子と、該発光素子から放出される光を前記液晶セルに導く導光板とを備え、
前記導光板から照射された照明光の少なくとも一部を色変換して白色光に近づける色変換手段を設けたことを特徴とする液晶装置。 - 前記発光素子の放出する前記光は短波長成分を含み、前記色変換手段は、前記短波長成分による光励起により、前記短波長成分よりも長波長側の可視光成分を放出する蛍光体であることを特徴とする請求項1に記載の液晶装置。
- 前記液晶セルには複数色のフィルタ要素が配列されてなるカラーフィルタが形成され、前記色変換手段は、前記カラーフィルタよりも前記導光板側に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶装置。
- 前記発光素子の放出する前記光は青色光であり、前記色変換手段は、前記青色光により光励起されることを特徴とする請求項3に記載の液晶装置。
- 前記カラーフィルタは、前記照明光に対する視感透過率が最も高い前記フィルタ要素に対応する領域の開口面積が他の前記フィルタ要素に対応する領域の開口面積よりも小さく形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の液晶装置。
- 前記液晶層の前記導光板側に前記フィルタ要素に対応する領域毎に開口部を備えた反射層を有し、前記照明光に対する視感透過率が最も高い前記フィルタ要素に対応する前記開口部の開口面積が他の前記フィルタ要素に対応する前記開口部の開口面積よりも小さく形成されていることを特徴とする請求項5に記載の液晶装置。
- 光を拡散させて表示光を構成する光拡散層を有し、前記色変換手段は、前記光拡散層に含まれていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の液晶装置。
- 前記液晶層の前記導光板側に光散乱性反射面を備えた半透過反射層と、該半透過反射層に光散乱性を付与するための微細な凹凸表面を備えた下地層とを有し、前記色変換手段は、前記下地層に含まれることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の液晶装置。
- 請求項1乃至8のいずれか一項に記載の液晶装置と、該液晶装置を制御する制御手段とを有することを特徴とする電子機器。
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-
2003
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