JP2004271600A - 散乱体がランダムに分布した光学材料とその製造方法 - Google Patents

散乱体がランダムに分布した光学材料とその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】光導波路、光共振器、レーザなどに応用可能な、散乱体の大きさの不均一や散乱体の位置のずれに強くエネルギー幅の広い等方的フォトニックギャップを持ち任意の形状の光導波路やキャビティが作製できる、散乱体がランダムに分布した光学材料を提供する。
【解決手段】屈折率がnである固体、液体、気体または真空からなり光進行方向の最大長が光の波長の1/10以上10倍以下である複数の微小な散乱体(1)が、屈折率nの媒質(4)内にランダムに配置されており、n/nが2.2以上もしくはn/nが2.2以上でありかつ光学材料(3)全体における散乱体(1)の体積分率が10%以上90%以下である散乱体がランダムに分布した光学材料(3)とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、散乱体がランダムに分布した光学材料に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、光導波路、光共振器、レーザなどに応用可能な、散乱体の大きさの不均一や散乱体の位置のずれに強くエネルギー幅の広い等方的フォトニックギャップを持ち、任意の形状の光導波路やキャビティが作製できる、散乱体がランダムに分布した光学材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】
従来より、散乱体を並べて作製する屈折率に光の波長程度の周期性を持たせた構造体はフォトニック結晶と呼ばれている。たとえば、空気中または真空中で2次元正方格子や三角格子の格子点上に固体の柱(散乱体)を垂直に配置させたものはフォトニック結晶の例であり、フォトニック結晶では、その屈折率の大きさや周期性に応じてフォトニックギャップと呼ばれる光が伝搬できない波長帯が現れる。
【0003】
またフォトニック結晶中の一部の柱を取り除くことによって欠陥を導入すると、フォトニックギャップ内のある波長の光のみを、その欠陥部分にだけ通すことが可能となることから、フォトニック結晶は微小光回路、高性能発光デバイスなどの材料として幅広い分野への応用が期待されている(特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、フォトニックギャップが散乱体の大きさの不均一や散乱体の位置のずれに強いことは生産上重要であり、またフォトニックギャップが等方的で、任意の光導波路やキャビティが作れることは応用上重要なことであるが、フォトニック結晶においては、散乱体の大きさが不均一であったり、散乱体の位置が目的の位置からずれたりすると、フォトニックギャップが壊れやすいという欠点がある。また、フォトニック結晶のフォトニックギャップは光の入射角度によってフォトニックギャップの位置と幅が変化するといった具合に異方的であるため、フォトニック結晶内に光導波路を作る場合、その光導波路を通す光の波長がその進む全ての方向においてフォトニックギャップ内でなければならず、この性質により光導波路の設計が制限され、また、任意の形状の光導波路やキャビティを作り難いという欠点を有する。
【0005】
たとえば2次元正方格子の格子点上に柱を垂直に配置させたフォトニック結晶において、一部の柱を取り除いて光導波路を作ることを考える。この場合、光導波路は複数の線分を組み合わせることで作製される。90°曲げは互いに垂直な2つの線分を組み合わせれば容易に作製できる。一方、任意の角度に光を曲げたい場合、より多くの線分を組み合わせることになり、つなぎ目部分で光の散乱が起こって透過率を下げてしまう。したがって、多くのつなぎ目や分岐を持つ光導波路は実質的には作製不可能なのである。
【0006】
また多くのつなぎ目や分岐を持つ光導波路やキャビティの周りをフォトニック結晶で埋めようとした場合、余分な隙間ができてしまい、この隙間部分で光散乱や局在が生じてしまい、透過率が減少するといった欠点を有してしまっていた。
【0007】
このため、等方的フォトニックギャップを持つ、複雑な光導波路やキャビティの作製が可能な光学材料が強く望まれていた。
【0008】
なお、これまでに光の波長程度の大きさを持つ散乱体がランダムに分布した材料の研究はなされているが(非特許文献1)、その材料を用いることによってフォトニックギャップを持たせることには成功していない。
【0009】
また銅などの金属の直径が数nm程度の微粒子をガラス内に分散させ、非線形光学特性を持たせた光学材料も知られているが(非特許文献2)、この光学材料内の微粒子の大きさは光の波長よりもずっと小さく、またこの光学材料はフォトニックギャップを持たない。
【0010】
【特許文献1】
特許第3376411号
【非特許文献1】
Isaac Freund, Michael Rosenbluh, Richard BerkovitsおよびMoshe Kaveh ”Coherent Backscattering of Light in a Quasi−Two−Dimensional System”, Physical Review Letters, 61巻, 10号, p.1214−1217, 1988年
【非特許文献2】
Y. Takeda, V. T. Grisyna, N. Umeda, C. G. LeeおよびN. Kishimoto ”Linear and nonlinear optical properties of Cu nanoparticles fabricated by high−current Cu implantation in silica glass”, Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 148巻 p.1029−1033, 1999年
【0011】
そこで、この出願の発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、従来技術の問題点を解消し、光導波路、光共振器、レーザなどに応用が可能な、散乱体の大きさの不均一や散乱体の位置のずれに強くエネルギー幅の広い等方的フォトニックギャップを持ち任意の形状の光導波路やキャビティが作製できる、散乱体がランダムに分布した光学材料を提供することを課題としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、まず第1には、特定の波長帯の光を遮断する光学材料であって、屈折率がnである固体、液体、気体または真空からなり光進行方向の最大長が光の波長の1/10以上10倍以下である複数の微小な散乱体が、屈折率nの媒質内にランダムに配置されており、n/nが2.2以上10以下もしくはn/nが2.2以上10以下でありかつ光学材料全体における散乱体の体積分率が10%以上90%以下であることを特徴とする散乱体がランダムに分布した光学材料を提供する。
【0013】
第2には、この出願の発明は、第1の発明において、媒質が空気であることを特徴とする散乱体がランダムに分布した光学材料を提供する。
【0014】
第3には、この出願の発明は、第1または2の発明の散乱体がランダムに分布した光学材料において、屈折率nの複数の微小な散乱体が、直径が光の波長の1/10以上10倍以下である円柱状の微小な散乱体であり、その複数の円柱状の微小な散乱体が屈折率nの媒質内に並列かつ軸直角方向においてランダムに配置されていることを特徴とする散乱体がランダムに分布した光学材料を提供する。
【0015】
さらに、第4には、第1ないし3いずれかの発明の散乱体がランダムに分布した光学材料において、特定の波長帯の光を通す直線状または曲線状の光導波路が形成されていることを特徴とする散乱体がランダムに分布した光学材料を提供する。
【0016】
また、第5には、第1ないし3いずれかの発明の散乱体がランダムに分布した光学材料において、内部で光の電界強度が増強されるキャビティが形成されていることを特徴とする散乱体がランダムに分布した光学材料を提供する。
【0017】
第6には、第4の発明において、一部の散乱体および媒質を直線状または曲線状に取り除き、散乱体および媒質を取り除いた部分に特定の波長帯の光を通す光導波路を形成することを特徴とする散乱体がランダムに分布した光学材料の製造方法を提供する。
【0018】
第7には、第4の発明において、光導波路とされる一定幅を有する直線状または曲線状部分を設定し、その直線状または曲線状部分の両縁部分に散乱体を側壁として規則的に並べて光導波路を形成し、その光導波路の周りを前記散乱体と媒質とで埋めることを特徴とする散乱体がランダムに分布した光学材料の製造方法を提供する。
【0019】
第8には、第5の発明において、一部の散乱体および媒質を取り除き、取り除かれた部分を円形、球形、多角形または多面体形の形状になるようにして、その取り除いた部分をキャビティとすることを特徴とする散乱体がランダムに分布した光学材料の製造方法を提供する。
【0020】
第9には、第5の発明において、キャビティとなる円形、球形、多角形または多面体形の部分を設定し、散乱体をそのキャビティの側壁として規則的に並べキャビティを形成し、そのキャビティの周りを、前記散乱体と媒質とで埋め、キャビティ内部での光の電界強度が増強されるようにすることを特徴とする散乱体がランダムに分布した光学材料の製造方法を提供する。
【0021】
【発明の実施の形態】
この出願の発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
【0022】
この出願の発明の散乱体がランダムに分布した光学材料は、特定の波長帯の光を遮断する光学材料であって、屈折率がnである固体、液体、気体または真空からなり光進行方向の最大長が光学材料に入射する光の波長の1/10以上10倍以下である複数の微小な散乱体が、屈折率nの媒質内にランダムに配置されており、n/nが2.2以上10以下もしくはn/nが2.2以上10以下でありかつ光学材料全体における散乱体の体積分率が10%以上90%以下であることを大きな特徴としている。
【0023】
たとえば、媒質をnが1である空気や真空とし、その空気や真空中に固体の散乱体を配置する場合、その散乱体の屈折率nを2.2以上10以下にしなければフォトニックギャップが現れない。また固体媒質に孔を開けてその孔を散乱体とするといったことも可能であるが、その場合、たとえば散乱体が空気や真空であれば散乱体の屈折率nが1であるので、媒質の屈折率nは2.2以上10以下でなければフォトニックギャップが現れないのである。またさらに、上記のような屈折率の条件に加えて光学材料全体における散乱体の体積分率が10%以上90%以下でなければフォトニックギャップは現れない。それというのも、散乱体の体積分率が10%よりも小さい場合には光学材料内に光が抜ける隙間が生じてしまい、フォトニックギャップがつぶれてしまうからであり、また全て同じ半径である円柱状の散乱体の場合、最密充填した場合に90%の体積分率で充填されるからである。
【0024】
なお散乱体に適したものとしては、半導体や絶縁体が挙げられ、とくにSi、Si化合物、GaAs、InP、TiOに適当に不純物をまぜ、伝導率などを調整した半導体が挙げられるが、もちろんその他の物質であっても上記の条件を満たすものであれば散乱体として用いることができ、また媒質として適したものとしては空気が挙げられるが、もちろんその他の物質であっても上記の条件を満たすものであれば媒質として用いることができる。
【0025】
またこの出願の発明の散乱体がランダムに分布した光学材料は、とくに屈折率nの複数の微小な散乱体を円柱状のものとし、それら円柱状の微小な散乱体を屈折率nの媒質内に並列かつ軸直角方向においてランダムに配置させることで、好適に光学材料に入射する特定の波長帯の光を遮断することができる。
【0026】
さらにこの出願の発明の散乱体がランダムに分布した光学材料は、特定の波長帯の光を通す直線状または曲線状の光導波路を形成することが可能であるが、その際、一部の散乱体および媒質を直線状または曲線状に取り除き、散乱体および媒質を取り除いた部分に特定の波長帯の光を通す光導波路を形成することができる。なおその場合、散乱体と媒質を取り除いた後、光導波路の側壁として散乱体をその直線状または曲線状部分の両縁部分に規則的に並べるのが望ましい。
【0027】
あるいは光導波路とされる一定幅を有する直線状または曲線状部分を設定し、その直線状または曲線状部分の両縁部分に散乱体を側壁として規則的に並べて光導波路を形成し、その光導波路の周りに散乱体と媒質とを埋め、散乱体がランダムに分布した光学材料とすることもできる。
【0028】
これらの方法により、散乱体の大きさの不均一や散乱体の位置のずれに強い、エネルギー幅の広い等方的フォトニックギャップを持つ任意の形状の光導波路を形成することができるのである。
【0029】
また、この出願の発明の散乱体がランダムに分布した光学材料においては、内部での光の電界強度が増強されるキャビティを形成することもでき、その際、一部の散乱体および媒質を取り除き、取り除かれた部分を円形、球形、多角形または多面体形の形状になるようにして、その取り除いた部分をキャビティとしてその内部での光の電界強度が増強されるようにすることができる。なおその場合、散乱体と媒質を取り除いた後、キャビティの側壁として散乱体をその円形、球形、多角形または多面体形の形状の周縁部分に規則的に並べるのが望ましい。
【0030】
あるいは、キャビティとなる円形、球形、多角形または多面体形の部分を設定し、散乱体をそのキャビティの周縁部分に側壁として規則的に並べ、キャビティを形成し、そのキャビティの周りを散乱体と媒質とで埋めることによって、光の電界強度が増強されるキャビティを有する散乱体がランダムに分布した光学材料とすることもでき、これにより、散乱体の大きさの不均一や散乱体の位置のずれに強い、エネルギー幅の広い等方的フォトニックギャップを持つ任意の形状のキャビティを得ることができる。
【0031】
なお、この出願の発明の散乱体がランダムに分布した光学材料の設計は以下のように行う。
【0032】
まず、最初に全体の大きさと形状、散乱体の大きさと個数と屈折率n、媒質の屈折率nを決め、そして散乱体の中心がその光学材料内に収まるという条件のもとで、中心座標を決めるための乱数を作って散乱体を媒質の中に配置していく。このような設計によって、この出願の発明の散乱体がランダムに分布した光学材料を製造することができる。
【0033】
次に光導波路やキャビティを含んだ散乱体がランダムに分布した光学材料の設計は以下のようにして行う。
【0034】
最初に散乱体がランダムに分布した光学材料の全体の大きさと形状を決め、次にその中に作る光導波路やキャビティとなる部分の形状を決め、その側壁に散乱体を規則的に並べる。規則的に並べる理由は側壁部分からの余分な光の散乱を避けるためである。そして光導波路やキャビティとなる部分以外のランダム光学材料の内部に散乱体を配置するが、その配置方法は最初に記したランダム光学材料の方法と同じである。このようにすることによって光導波路やキャビティを含んだ散乱体がランダムに分布した光学材料を製造することができるのである。
【0035】
以下、添付した図面に沿って実施例を示し、この出願の発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、この発明は以下の例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることは言うまでもない。
【0036】
【実施例】
<実施例1>
図1にこの出願の発明の散乱体がランダムに分布した光学材料の一実施形態を上から見た場合の図を示す。
【0037】
(1)は円柱状の散乱体であって、この散乱体(1)の半径をaとして、縦の長さdが53.7a、横の長さwが84.7aの領域(2)に200本の散乱体(1)をランダムに面に垂直に立てている。
【0038】
この場合の散乱体(1)の散乱体がランダムに分布した光学材料(3)全体における体積分率は14%である。散乱体(1)と媒質(4)の屈折率をそれぞれ3.46、1とした場合の光透過スペクトルの計算結果を図2の上部曲線として示す。横軸のΩはΩ=2πa/λ(λは入射光の波長)で定義されるものである。なお下部曲線との重なりを防ぐために、光透過率を10倍して示した。計算においては図1で光(5)を上方から入射させ、横線(6)で光強度を計算することで光透過率を決定した。Ω=0.4付近に光透過率の非常に小さな周波数領域(フォトニックギャップ)が存在するのがわかる。また光の入射角度を変えても、このフォトニックギャップの位置と幅は変わらなかった。
【0039】
つまりフォトニックギャップは等方的であることがわかった。また図1の散乱体がランダムに分布した光学材料(3)と同じようにして作った円柱の散乱体(1)の位置だけが異なる他の散乱体がランダムに分布した光学材料(3)のフォトニックギャップの位置と幅も同じであり、このことは散乱体がランダムに分布した光学材料(3)のフォトニックギャップは散乱体(1)の位置ずれに対して強いことを示している。
【0040】
さらに各散乱体(1)の半径を独立にかつランダムに±20%の範囲内で変化させた場合の光透過スペクトルの計算結果を図2の下部曲線として示す。上部曲線と同様なフォトニックギャップが見られ、円柱状の散乱体(1)の半径の不均一に強いことが分かる。なお、これらの計算では光の電界が散乱体(1)に平行であるような偏光(TMモード)を用いた。nが4以上であれば、光の電界が散乱体(1)に垂直であるような偏光(TEモード)でもフォトニックギャップが現れる。
【0041】
また固体媒質に孔を開けて散乱体としたような散乱体がランダムに分布した光学材料を用いてもTEモードでフォトニックギャップが現れる。光通信で広く用いられている光の波長1.55μmがフォトニックギャップの中心に来るようにするためには、散乱体の半径は0.11μmであれば良い。
<実施例2>
次に図3にこの出願の発明の散乱体がランダムに分布した光学材料の実施例1とは異なる実施形態を上から見た場合の図を示す。
【0042】
(7)は円柱状の散乱体であって、この散乱体(7)の半径をaとして、縦の長さdが33.3a、横の長さwが37.5aの領域(8)に200本の円柱状の散乱体(7)をランダムに面に垂直に立てている。この場合の散乱体(7)の散乱体がランダムに分布した光学材料(9)全体における体積分率は50%であり、散乱体(7)と媒質(10)の屈折率をそれぞれ3.46と1とした場合の光透過スペクトルの計算結果を図4に示す。計算において図3で光(11)を上方から入射させ、横線(12)での光強度を計算することで光透過率を決定した。Ω=0.54、0.93、1.34付近にフォトニックギャップが存在するのがわかる。円柱状の散乱体(7)が周期的に並んでいるフォトニック結晶においても高エネルギー領域にフォトニックギャップが現れることがあるが、通常は最も低エネルギーのフォトニックギャップと比べると幅は狭くなる。一方この散乱体がランダムに分布した光学材料(9)では3番目のフォトニックギャップの幅は1番目のフォトニックギャップの幅と同程度である。このことは応用上大変重要である。光通信で広く用いられている光の波長1.55μmが3番目のフォトニックギャップの中心にくるためには、円柱状の散乱体(7)の半径は0.33μmであればよい。実施例1での0.11μmよりも3倍大きいのでより作製が容易になる。なおこの計算では光の電界が散乱体(7)に平行であるような偏光(TMモード)を用いた。
<実施例3>
図5にL時型光導波路(13)を含む散乱体がランダムに分布した光学材料(14)の円柱状の散乱体(15)の配置図を示す。
【0043】
この配置は以下のように決めた。最初に散乱体がランダムに分布した光学材料(14)の領域(16)を決める。次にその中に作る光導波路となる部分の形状を決め、その側壁に散乱体(15)を規則的に並べ、そして光導波路(13)となる部分以外に散乱体(15)をランダムに配置する。光導波路(13)部分以外の散乱体(15)の散乱体がランダムに分布した光学材料(14)全体における体積分率は14%、散乱体(15)と媒質(17)の屈折率をそれぞれ3.46、1とした。また散乱体(15)の半径は独立にかつランダムに±20%の範囲内で変化させてある。光(18)を上方から入射させた場合の線(19)の位置での光透過率を図6に示す。なお、この計算では光の電界が散乱体(15)に平行であるような偏光(TMモード)を用いた。点線で囲った周波数領域はフォトニックギャップで、光導波路(13)以外の部分では光(18)は通らない。一方フォトニックギャップ内の広い範囲で線(19)の位置での光透過率は大きく、光(18)は光導波路(13)内のみを通っていることが分かる。このように光の90°曲げに成功しており、また90°以外の角度の曲げも可能としている。
<実施例4>
次に図7に分岐型光導波路(20)を含む散乱体がランダムに分布した光学材料(21)の円柱状の散乱体(22)の配置図を示す。光導波路となる部分の形状の違いを除けば、配置の決定法は図5と同様である。光導波路(20)部分以外の散乱体(22)の散乱体がランダムに分布した光学材料(21)全体における体積分率は14%、散乱体(22)と媒質(23)の屈折率をそれぞれ3.46、1とした。また、散乱体(22)の半径は独立にかつランダムに±20%の範囲内で変化させてある。
【0044】
光(24)を上方から入射させた場合の、線(25)と(26)の位置での光透過率を図8の上部曲線と下部曲線として示す。なお下部曲線との重なりを防ぐために、上部曲線の光透過率を10倍して示した。なおこの計算では光の電界が散乱体(22)に平行であるような偏光(TMモード)を用いた。点線で囲った周波数領域はフォトニックギャップであり、光導波路(20)以外の部分では光は通らない。一方フォトニックギャップ内の広い範囲で、線(25)や(26)の位置での光透過率は大きく、光(24)は光導波路(20)内のみを通っていることがわかる。このように光(24)の分岐に成功している。また他の角度での分岐も可能である。また上部曲線と下部曲線では光透過率が大きい周波数領域が若干異なる。これは波長を選択すれば片方の光導波路のみに光を通すことも可能であることを示している。
<実施例5>
図9にS字型光導波路(27)を含む散乱体がランダムに分布した光学材料(28)の円柱状の散乱体(29)の配置図を示す。光導波路となる部分の形状の違いを除けば、配置の決定法は図5と同じである。
【0045】
光導波路(27)部分以外の散乱体(29)の散乱体がランダムに分布した光学材料(28)全体における体積分率は14%、散乱体(29)と媒質(30)の屈折率をそれぞれ3.46、1とした。また散乱体(29)の半径は独立にかつランダムに±20%の範囲内で変化させてある。
【0046】
光(31)を上方から入射させた場合の線(32)の位置での光透過率を図10に示す。なおこの計算では光の電界が柱に平行であるような偏光(TMモード)を用いた。点線で困った周波数領域はフォトニックギャップで光導波路(27)以外の部分では光は通らない。一方フォトニックギャップ内の広い範囲で線(32)の位置での光透過率は大きく、光は光導波路(27)のみを通っていることが分かる。このように曲線状の光導波路の作製にも成功した。
<実施例6>
図11にロート型光導波路(33)を含む散乱体がランダムに分布した光学材料(34)の円柱状の散乱体(35)の配置図を示す。光導波路となる部分の形状の違いを除けば、配置の決定法は図5と同じである。光導波路(33)部分以外の散乱体(35)の散乱体がランダムに分布した光学材料(34)全体における体積分率は14%であり、散乱体(35)と媒質(36)の屈折率をそれぞれ3.46、1とした。また、散乱体(35)の半径は独立にかつランダムに±20%の範囲内で変化させてある。
【0047】
光(37)を上方から入射させた場合の、線(38)の位置での光透過率を図12に示す。この計算では光の電界が柱に平行であるような偏光(TMモード)を用いた。点線で囲った周波数領域はフォトニックギャップで、光導波路(33)以外の部分では光は通らない。一方、フォトニックギャップ内の広い範囲で線(38)の位置での光透過率は大きく、光は光導波路(33)のみを通っていることが分かる。このように幅を変化させた光導波路の作製にも成功した。また光透過率が1よりかなり大きい周波数領域がある。これは光の集光が可能であることを示している。
<実施例7>
図13に1つの大きな円(39A)と2つの小さな円(39B)と(39C)から成るキャビティ(39)を含む散乱体がランダムに分布した光学材料(40)の円柱状の散乱体(41)の配置図を示す。形状の違いを除けば、配置の決定方法は図5と同じである。キャビティ(39)部分以外の散乱体(41)の散乱体がランダムに分布した光学材料(40)全体における体積分率は14%、散乱体(41)と媒質(42)の屈折率をそれぞれ3.46、1とした。フォトニックギャップ内の波長を持つ光(43)を上方から入射させた場合の光の電界強度を等高線で示す。この計算では光の電界が柱に平行であるような偏光(TMモード)を用いた。大きな円内では6箇所、小さな円内では各1箇所、電界強度の強い部分が同時に現れる。このことはキャビティ(39)内での光の電界強度の増強に成功したことを意味しており、この性質は光共振器やレーザに応用できる。一方キャビティ以外での電解強度は非常に弱いが、これはフォトニックギャップの存在のため、内部に光が進入できないためである。
【0048】
【発明の効果】
以上詳しく説明したとおり、この出願の発明によって、光導波路、光共振器、レーザなどに応用可能な、散乱体の大きさの不均一や散乱体の位置のずれに強くエネルギー幅の広い等方的フォトニックギャップを持ち任意の形状の光導波路やキャビティが作製できる、散乱体がランダムに分布した光学材料が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この出願の発明の散乱体がランダムに分布した光学材料の一実施形態を例示した概念図である。
【図2】図1の散乱体がランダムに分布した光学材料の光透過率を示したグラフである。
【図3】この出願の発明の散乱体がランダムに分布した光学材料の他の実施形態を例示した概念図である。
【図4】図3の散乱体がランダムに分布した光学材料の光透過率を示したグラフである。
【図5】この出願の発明の散乱体がランダムに分布した光学材料の他の実施形態を例示した概念図である。
【図6】図5の散乱体がランダムに分布した光学材料の光透過率を示したグラフである。
【図7】この出願の発明の散乱体がランダムに分布した光学材料のさらに他の実施形態を例示した概念図である。
【図8】図7の散乱体がランダムに分布した光学材料の光透過率を示したグラフである。
【図9】この出願の発明の散乱体がランダムに分布した光学材料の他の実施形態を例示した概念図である。
【図10】図9の散乱体がランダムに分布した光学材料の光透過率を示したグラフである。
【図11】この出願の発明の散乱体がランダムに分布した光学材料の他の実施形態を例示した概念図である。
【図12】図11の散乱体がランダムに分布した光学材料の光透過率を示したグラフである。
【図13】この出願の発明の散乱体がランダムに分布した光学材料の他の実施形態を例示した概念図である。
【符号の説明】
1、7、15、22、29、35、41 (円柱状の)散乱体
2、8、16 領域
3、9、14、21、28、34、40 散乱体がランダムに分布した光学材料
4、10、17、23、30、36、42 媒質
5、11、18、24、31、37、43 光
6、12、19、25、26、32、38 線
13、20、27、33 光導波路
39 キャビティ

Claims (9)

  1. 特定の波長帯の光を遮断する光学材料であって、屈折率がnである固体、液体、気体または真空からなり光進行方向の最大長が光の波長の1/10以上10倍以下である複数の微小な散乱体が、屈折率nの媒質内にランダムに配置されており、n/nが2.2以上10以下もしくはn/nが2.2以上10以下でありかつ光学材料全体における散乱体の体積分率が10%以上90%以下であることを特徴とする散乱体がランダムに分布した光学材料。
  2. 媒質が空気であることを特徴とする請求項1記載の散乱体がランダムに分布した光学材料。
  3. 請求項1または2記載の散乱体がランダムに分布した光学材料において、屈折率nの複数の微小な散乱体が、直径が光の波長の1/10以上10倍以下である円柱状の微小な散乱体であり、その複数の円柱状の微小な散乱体が屈折率nの媒質内に並列かつ軸直角方向においてランダムに配置されていることを特徴とする散乱体がランダムに分布した光学材料。
  4. 請求項1ないし3いずれかに記載の散乱体がランダムに分布した光学材料において、特定の波長帯の光を通す直線状または曲線状の光導波路が形成されていることを特徴とする散乱体がランダムに分布した光学材料。
  5. 請求項1ないし3いずれかに記載の散乱体がランダムに分布した光学材料において、内部で光の電界強度が増強されるキャビティが形成されていることを特徴とする散乱体がランダムに分布した光学材料。
  6. 一部の散乱体および媒質を直線状または曲線状に取り除き、散乱体および媒質を取り除いた部分に特定の波長帯の光を通す光導波路を形成することを特徴とする請求項4記載の散乱体がランダムに分布した光学材料の製造方法。
  7. 光導波路とされる一定幅を有する直線状または曲線状部分を設定し、その直線状または曲線状部分の両縁部分に散乱体を側壁として規則的に並べて光導波路を形成し、その光導波路の周りを前記散乱体と媒質とで埋めることを特徴とする請求項4記載の散乱体がランダムに分布した光学材料の製造方法。
  8. 一部の散乱体および媒質を取り除き、取り除かれた部分を円形、球形、多角形または多面体形の形状になるようにして、その取り除いた部分をキャビティとすることを特徴とする請求項5記載の散乱体がランダムに分布した光学材料の製造方法。
  9. キャビティとなる円形、球形、多角形または多面体形の部分を設定し、散乱体をそのキャビティの側壁として規則的に並べキャビティを形成し、そのキャビティの周りを、前記散乱体と媒質とで埋め、キャビティ内部での光の電界強度が増強されるようにすることを特徴とする請求項5記載の散乱体がランダムに分布した光学材料の製造方法。
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