JP2004271394A - 構造物外力検知装置、及び構造物の外力検知方法 - Google Patents

構造物外力検知装置、及び構造物の外力検知方法 Download PDF

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Hidetoshi Nishioka
英俊 西岡
Masato Saito
正人 齊藤
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Railway Technical Research Institute
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Abstract

【課題】実施方法が容易で、かつ構造物の損傷の箇所等の検知が可能な構造物外力検知装置、及び構造物の外力検知方法を提供する。
【解決手段】応力を付加すると圧電作用により電圧を発生する圧電材料からななり略螺旋状に形成される第1部材11と、可撓性と電気絶縁性を有し第1部材11を被覆する第2部材12を有し、構造物の外力検知箇所に配置される外力応答体1と、第1部材11に電気的に接続された第1導体部材22aと、第1部材11に電気的に接続された第2導体部材22bと、第1導体部材22aと第2導体部材22bの他端に取り付けられ電気を検出する電流計41を備える。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、構造物の外力が作用した場合に電気を導通させることにより検知する構造物外力検知装置と、その装置を用いて構造物の外力を検知する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、構造物に外力が作用した場合に、損傷を生じたか否かを検知するための方法としては、破壊試験(破壊検査)と、非破壊試験(非破壊検査)とがある。
破壊試験(破壊検査)は、実際の材料を用いて作製した供試体に荷重を加えて破壊し、供試体における損傷の箇所やその状況等を観察又は計測し、実際の構造物の場合に当てはめて判定する方法であり、直接的な方法ということができる。
【0003】
一方、非破壊試験(非破壊検査)は、構造物や供試体等を破壊せず、何らかの物理量を利用して構造物等の内部の状況を推定しようとする方法であり、破壊試験に比べると間接的な方法といえる。非破壊試験において利用する物理量としては、振動、超音波、放射線、磁気、材料破壊時に内部で発生する音(AE:Acoustic Emission)などがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−105665号公報(第6−7頁、図1−3)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の方法においては、以下に述べるような各種の問題点があった。
【0006】
破壊試験(破壊検査)の場合は、構造物ごとに供試体作製とその破壊試験を行うとすると、そのための時間、供試体作製の手間、費用がかかり、効率的ではない、という問題がある。また、破壊は、作製された供試体の形状、あるいはその寸法の影響が大きく、供試体の形状等が異なると、破壊時の挙動も異なってくる。このため、実際の構造物の場合に当てはめる場合には、破壊試験結果に人間の判断や考察等を加えることになる。このことから、実際の構造物の損傷の状況等を精度よく判定することは困難で、かつ熟練を要する、という問題もあった。
【0007】
また、非破壊試験(非破壊検査)の場合は、構造物の内部で何らかの破壊が発生した事実、あるいは構造物の内部に何らかの損傷が存在する事実までは、検出できること多いが、その損傷の具体的な箇所、損傷の形状や寸法の明確な把握は困難であることが多い、という問題があった。
【0008】
また、場所打ちコンクリート杭のような地下構造物は、地中に構築されるため、地震等の外力により地下構造物の内部で何らかの破壊が発生、又は何らかの損傷が存在する事実は、人間の目視による直接的な確認が非常に困難である。このため、構造物の検査は容易ではない、という問題があった。このような地下構造物の検査については、行った例はあるが、この場合には、場所打ちコンクリート杭等の地下構造物の周囲の掘り返し作業等が伴うため、多大な費用等がかかる、という問題もあった。
【0009】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、本発明の解決しようとする課題は、実施方法が容易で、かつ構造物の損傷の箇所等の検知が可能な構造物外力検知装置、及び構造物の外力検知方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明に係る構造物外力検知装置は、
応力を付加すると表面である分極面が電気的に分極し電圧を発生する圧電材料からなり略螺旋状に形成される第1部材と、可撓性と電気絶縁性を有する可撓・電気絶縁材料からなり前記第1部材の周囲に配置される第2部材を有し、構造物の外力検知箇所に配置される外力応答手段と、
導電体からなり一端が前記第1部材の一方の電極となる側に電気的に接続された第1導体部材と、
導電体からなり一端が前記第1部材の他方の電極となる側に電気的に接続された第2導体部材と、
前記第1導体部材の他端と前記第2導体部材の他端に取り付けられるとともに電気を検出する電気検出手段を備え、
前記構造物の外力検知箇所に所定値を越える外力が付加された場合には、前記第1部材に応力が作用して電気的に分極し前記第1部材に電圧が発生したこと、あるいは前記第1導体部材及び前記第2導体部材を経て電流が流れることが前記電気検出手段により検出され、前記構造物の外力検知箇所に所定値を越える外力が作用した旨を検知すること
を特徴とする。
【0011】
上記の構造物外力検知装置において、好ましくは、前記第1部材のなす螺旋は全体として略円筒状に形成される。
【0012】
また、上記の構造物外力検知装置において、好ましくは、前記圧電材料は可撓性を有する高分子系圧電材料であり、前記第1部材は前記分極面として第1分極面と第2分極面を有する薄膜状部材に形成され、前記第1分極面に前記第1導体部材が電気的に接続されるとともに前記第2分極面に前記第2導体部材が電気的に接続され、前記外力の付加により前記第1分極面に正電荷が発生するとともに前記第2分極面に負電荷が発生する。
【0013】
また、上記の構造物外力検知装置において、好ましくは、前記第1部材は、前記薄膜状部材が細長い帯状に形成された後に前記略螺旋状に形成される。
【0014】
また、上記の構造物外力検知装置において、好ましくは、前記第2部材は略円柱状に形成され、前記第1部材の長手方向中心線は前記第2部材の軸中心線と略平行となるように配置される。
【0015】
また、上記の構造物外力検知装置において、好ましくは、前記外力応答手段は、略円柱状の第3部材を有し、前記第3部材の長手方向中心線は前記第2部材の軸中心線と略平行となるように配置され、前記第3部材の外周側面に前記第1部材が略螺旋状に巻き付けられ、前記巻き付けられた第1部材を被覆するように前記第2部材が配置される。
【0016】
また、上記の構造物外力検知装置において、好ましくは、前記第1部材は、互いに重複するようにして、前記第3部材の外周側面に略螺旋状に巻き付けられる。
【0017】
また、上記の構造物外力検知装置において、好ましくは、前記第1部材は、互いに接するようにして、前記第3部材の外周側面に略螺旋状に巻き付けられる。
【0018】
また、上記の構造物外力検知装置において、好ましくは、前記第1部材は、相互間に間隙を配して前記第3部材の外周側面に略螺旋状に巻き付けられる。
【0019】
また、上記の構造物外力検知装置において、好ましくは、前記第1部材は前記第2部材内に複数個配置され、前記第1部材からの電気出力の値に応じて前記第1部材に作用している応力の種類、又はその組み合わせ、又はその極性、若しくはその絶対値を検知する。
【0020】
また、上記の構造物外力検知装置において、好ましくは、前記第1部材は前記第2部材内に複数個配置され、前記第2部材内のすべての第1部材からの電気出力の値が略等しい場合には、前記応力は軸方向応力である旨を検知する。
【0021】
また、上記の構造物外力検知装置において、好ましくは、前記第1部材は前記第2部材内に複数個配置され、前記第2部材内の第1部材からの電気出力の値に基づいて算出される応力が、ある中立面を境界として一方が正値で前記中立面からの距離に比例して前記正値の絶対値が増大し、前記中立面を境界とする他方が負値で前記中立面からの距離に比例して前記負値の絶対値が増大する場合には、前記応力は曲げ応力である旨を検知する。
【0022】
また、上記の構造物外力検知装置において、好ましくは、前記第1部材は前記第2部材内に複数個配置され、前記第2部材内の第1部材からの電気出力の値に基づいて算出される応力が、あるせん断面と略平行に作用し当該せん断面をずらすように作用する場合には、前記応力はせん断応力である旨を検知する。
【0023】
また、本発明に係る構造物の外力検知方法は、
応力を付加すると表面である分極面が電気的に分極し電圧を発生する圧電材料からなり略螺旋状に形成される第1部材と、可撓性と電気絶縁性を有する可撓・電気絶縁材料からなり前記第1部材の周囲に配置される第2部材を有し、構造物の外力検知箇所に配置される外力応答手段と、
導電体からなり一端が前記第1部材の一方の電極となる側に電気的に接続された第1導体部材と、
導電体からなり一端が前記第1部材の他方の電極となる側に電気的に接続された第2導体部材と、
前記第1導体部材の他端と前記第2導体部材の他端に取り付けられるとともに電気を検出する電気検出手段を用い、
前記構造物の外力検知箇所に所定値を越える外力が付加された場合には、前記第1部材に応力が作用して電気的に分極し前記第1部材に電圧が発生したこと、あるいは前記第1導体部材及び前記第2導体部材を経て電流が流れることが前記電気検出手段により検出され、前記構造物の外力検知箇所に所定値を越える外力が作用した旨を検知すること
を特徴とする。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0025】
(1)第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態である構造物損傷検出システムの構成を示す図である。また、図2は、図1に示す構造物損傷検出システムにおける外力応答体のさらに詳細な構成を示す断面図である。
【0026】
図1(A)に示すように、この構造物損傷検出システム101は、鉄道線路300を支持する高架橋200の基礎である場所打ちコンクリート杭203のコンクリート内部に設置されている外力応答体1と、接続部材2と、外力検出・送信部4と、通信ケーブル5と、構造物管理部6を備えて構成されている。
【0027】
接続部材2は、その一部が場所打ちコンクリート杭203のコンクリート内部や、高架橋200のフーチング202等の内部に設置され、その残部が高架橋200の外部に配置されている。
【0028】
また、図1及び図2に示すように、接続部材2は、その内部にリード線22を有しており、リード線22の外側が保護部材21によって包囲された構造となっている。また、図2(A)ないし図2(C)に示すように、リード線22は、第1導体部材22aと、第2導体部材22bと、絶縁部材22cを有して構成されている。第1導体部材22a及び第2導体部材22bは、電気の導体(導電体)、例えば銅(Cu)等により形成された線状部材である。また、絶縁部材22cは、電気の不導体、例えば合成樹脂材料又はゴム系材料等により形成され、第1導体部材22aと第2導体部材22bの間に所定間隔を配するとともにこれらを取り囲むように配置され、第1導体部材22aと第2導体部材22b、第1導体部材22aとその周囲、及び第2導体部材22bとその周囲を電気的に絶縁している。
【0029】
また、リード線22の第1導体部材22a及び第2導体部材22bの一端は、外力応答体1に接続され、また、リード線22の第1導体部材22a及び第2導体部材22bの他端は、外力検出・送信部4の電流計41(後述)に接続されている。また、外力検出・送信部4と構造物管理部6は、通信ケーブル5によって接続されている。なお、外力応答体1と、接続部材2の一部は、場所打ちコンクリート杭203やフーチング202のコンクリート打設前に所定箇所に配置され、コンクリート中に埋設されて設置される。
【0030】
次に、上記した外力応答体1のさらに詳細な構成について、図2を参照しながら説明する。図2は、図1に示す構造物損傷検出システムにおける外力応答体のさらに詳細な構成を示す断面図であり、図2(A)は全体の縦断面図を、図2(B)は接続部材2の縦断面図を、図2(C)は接続部材2の接続箇所付近の拡大縦断面図を、図2(D)は図2(C)におけるA−A方向に見た横断面図を、それぞれ示している。図2(A)に示すように、外力応答体1は、第1部材11と、第2部材12と、第3部材13と、充填固定材14を有して構成されている。
【0031】
第1部材11は、例えば、薄膜(フィルム)状でかつ面形状が細長い長方形状の帯状体に形成されている。また、第3部材13は、可撓性と電気絶縁性を有する可撓・電気絶縁材料からなり、略円柱状に形成されている。第1部材11は、略円柱状の第3部材13の外周側面に略螺旋状に巻き付けられ、接着剤15によって接着されている。これにより、第1部材11は、全体として、第3部材13の長手方向中心線の回りを巻回する略螺旋状となり、また、第1部材11のなす螺旋は、全体として略円筒状となるように形成されている。
【0032】
第1部材11は、応力を付加すると表面(帯状体を構成する2つの略平行な広い表面。以下、「分極面」という。)が電気的に正の極と負の極に分極し電圧を発生する材料(以下、「圧電材料」という。)からなり、第1分極面11aと第2面分極11bを有している。
【0033】
また、第2部材12は、可撓性と電気絶縁性を有する可撓・電気絶縁材料からなり、略円柱状に形成されている。第2部材12の上端中央部から下端に向けて略円柱状の盲孔である挿入孔12aが形成されている。この挿入孔12aの内部に、第3部材13に巻回された第1部材11が挿入され、第1部材11の周囲の挿入孔12aの空間には、流動状態の充填固定材14が充填され、時間経過により充填固定材14が硬化することにより第1部材11が第2部材12に固定される。この状態では、第3部材13の長手方向中心線は、第2部材12の軸中心線(長手方向中心線)と略平行となっている。また、この状態においては、第1部材11は、第2部材12の略円柱状の部分の中心軸線の回りを巻回する略螺旋状態となるように配置されている。また、この状態では、第2部材12は、第1部材11の周囲を被覆し、あるいは第1部材11の周囲に配置された状態となっている。
【0034】
また、上記した第1部材11の第1分極面11aには、接着又はハンダ付け等により、第1導体部材22aが電気的に接続された状態で固定され、第1部材11の第2分極面11bには、接着又はハンダ付け等により、第2導体部材22bが電気的に接続された状態で固定される。
【0035】
また、第2部材12の略円筒状の外側部には、外側部を環状に取り巻く溝状の凹部12eが複数形成されている。これらの複数の環状凹部12eにより、場所打ちコンクリート杭203の内部に埋設される外力応答体1の表面部に凹凸が形成され、コンクリートに対する外力応答体1の付着性を向上させ、杭内の応力が外力応答体1に伝達される性能を向上させる効果を有している。
【0036】
ここに、圧電材料としては、セラミックス系圧電材料と、高分子系圧電材料と、単結晶系圧電材料と、複合系圧電材料が使用可能である。セラミックス系圧電材料としては、チタン酸バリウム(BaTiO)、チタン酸鉛(PbTiO)、ジルコン・チタン酸鉛(PZT)等が使用可能である。また、高分子系圧電材料としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニリデンとトリフルオロエチレンの共重合体(P(VDF−TrFE))、フッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンの共重合体(P(VDF−TeFE))、シアノビニリデンと酢酸ビニルの共重合体(P(VDCN−VAc))等が使用可能である。また、単結晶系圧電材料としては、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、タンタル酸リチウム(LiTaO)、ニオブ酸バリウムナトリウム(BaNaLiNb15)、ニオブ酸鉛カリウム(PbKNb15)等が使用可能である。また、複合系圧電材料としては、2種類以上の材料を混合して形成した圧電材料であり、ポリビニリデンタスフロライトとセラミックスを複合させた材料が使用可能である。これらの圧電材料のうち、高分子系圧電材料は、他の圧電材料よりも大きな可撓性を有する。このため、略螺旋状に形成される第2部材12の材料としては、高分子系圧電材料が好適である。
【0037】
これらの圧電材料においては、形成された帯状体のいずれかの表面(帯状体を構成する2つの略平行な広い表面。以下、「分極面」という。)に垂直な方向(分極面を貫通する方向)に直流高電界を印加した後に、この直流高電界を除去することにより、両法の分極面に残留分極(一方の分極に正の電荷が帯電し、他方の分極面に負の電荷が帯電すること)が生じた状態となる。この状態で、帯状体の展開方向(分極面に略平行な方向)に引張り力、又は圧縮力を加えると、分極の電気分極(正電荷が帯電している側の分極面にさらに正電荷が帯電し、負電荷が帯電している側の他の分極面にさらに負電荷が帯電すること)がさらに増大し、両方の分極面の間に電圧が生じる。以下、上記の作用を「圧電作用」という。
この場合に、両方の分極面を電気的導体で接続すると電流が流れる。本実施形態においては、圧電作用により第1分極面11aに正電荷が帯電し(正電極となり)、第2分極面11bに負電荷が帯電する(負電極となる)ように設定されているものとする。
【0038】
また、可撓・電気絶縁材料としては、プラスチックス系材料と、ゴム系材料が含まれる。プラスチックス系材料としては、いわゆる合成樹脂材料のほか、FRP(Fiber Reinforced Plastics:繊維強化プラスチックス)等のプラスチックを用いた複合材料を含む。また、ゴム系材料としては、天然ゴム、人造ゴムのほか、ゴムを用いた複合材料も含む。
【0039】
また、充填固定材14としては、エポキシ系樹脂、シアノアクリレート系樹脂、その他の有機系接着剤、無機系接着剤などが使用可能である。
【0040】
また、接着剤15としては、エポキシ樹脂系接着剤、シアノアクリレート系樹脂接着剤、その他の有機系接着剤、無機系接着剤などが使用可能である。
【0041】
また、上記した充填固定材14の上端付近においては、接続部材2は、接着剤等の接合部材16によって接合されている。
【0042】
次に、上記した場所打ちコンクリート杭203に、大きな外力、例えば地震動による力が作用し、場所打ちコンクリート杭203の内部にき裂等の損傷が発生した場合を例にとって、この第1実施形態の構造物損傷検出システム101の詳細な構成とその作用を説明する。
【0043】
上記のように、場所打ちコンクリート杭203の内部にき裂等の損傷が発生するような大きな外力が場所打ちコンクリート杭203に作用すると、そのコンクリートの内部のいずれかの箇所に埋設されている外力応答体1の第2部材12は、可撓性を有する材料により形成されているため、例えば、第2部材12の全体が伸びたり、縮んだり、弓状に曲がるように変形する。一方、第2部材12の内部に収容されている第1部材11は、圧電材料で形成されているため、第2部材12の変形に伴って変形させられると、帯状の第1部材11の第1分極面11aと第2分極面11bに略平行な方向に引張り応力、又は圧縮応力が付加され、電気的な分極が生じ、第1分極面11aと第2分極面11bの間に電圧が発生する。
【0044】
この場合、第1部材11は、帯状体が巻回されて全体として略螺旋状に形成されている。このため、帯状の第1部材11の第1分極面11aと第2分極面11bに略平行な方向に作用する引張り応力、又は圧縮応力は、帯状体の長手方向への成分と、帯状体の長手方向に直角な方向への成分の両者を含む。したがって本実施形態の外力応答体1においては、圧電材料を帯状に形成した場合に、この帯状体に、帯状体の長手方向に応力が作用した場合の分極の程度と、帯状体の長手方向に直角な方向に応力が作用した場合の分極の程度が異なる「異方性」が生じても、上記した螺旋の特性により、この異方性を緩和又は除去することができる、という利点がある。
【0045】
図3は、図1に示す構造物損傷検出システムにおける外力検出・送信部4のさらに詳細な構成を示すブロック図である。
【0046】
図3に示すように、外力検出・送信部4は、きょう体40と、電流計41と、増幅器42と、A/Dコンバータ43と、入出力インタフェース44a及び44bと、CPU45と、ROM46と、RAM47と、送信機49を有して構成されている。また、きょう体40は、例えば、図1(A)に示すように、高架橋200の柱201に取り付けられている。
【0047】
図3に示すように、電流計41の陽電極(正電極)端子に第1導体部材22aが電気的に接続されている。また、電流計41の陰電極(負電極)端子に第2導体部材22bが電気的に接続されている。
【0048】
上記のような構成により、外力応答体1に外力が作用し、第2部材12の変形に伴って第1部材11が変形させられると、帯状の第1部材11の第1分極面11aと第2分極面11bに略平行な方向に引張り応力、又は圧縮応力が付加され、電気的な分極が生じ、第1分極面11aに正電荷が帯電するとともに第2分極面11bに負電荷が帯電し、第1分極面11aと第2分極面11bの間に電圧が発生する。したがって、図3において波線で示すように、第1導体部材22aと第2導体部材22bに電流iが流れる。
【0049】
この電流iは、第1導体部材22a及び第2導体部材22bを通って電流計41bに到達して検出される。電流iが検出されると、電流計41bは、電流を検出したことを電気信号(例えば電流)として出力する。電流計41から出力された電流は、増幅器42により増幅される。増幅後の電流は、A/Dコンバータ43により、アナログ量からディジタル量に変換され、入出力インタフェース44aを経てCPU45に送られる。
【0050】
CPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)45は、図示はしていないが、CPU45の内部での電流(信号)の授受を行うための信号線である内部バスを有しており、この内部バスに、演算部と、レジスタと、クロック生成部と、命令処理部等を有している。CPU45内の演算部は、一般に、レジスタに記憶されている各種データに対して、四則演算(加算、減算、乗算、及び除算)を行い、又は論理演算(論理積、論理和、否定、排他的論理和など)を行い、又はデータ比較、若しくはデータシフトなどの処理を実行する部分である。処理の結果は、レジスタに格納されるのが一般的である。
【0051】
レジスタは、一般に、1語のデータを記憶する部分である。通常、CPU45内には、複数のレジスタが設けられている。クロック生成部は、CPU45の各部分の時間の同期をとるための刻時信号(クロック信号)を生成する部分である。CPU45は、このクロック信号に基づいて動作する。命令処理部は、演算部等が実行すべき命令の取り出し、その解読、及びその実行などを制御し処理する部分である。
【0052】
ROM(Read Only Memory:読出し専用メモリ)46は、CPUを制御するための制御プログラムや、CPUが用いる各種データ等を格納している部分である。ROMとしては、半導体チップにより構成されるものと、ハードディスク装置等が用いられる。ハードディスク装置は、図示はしていないが、その内部に、円盤状の磁気ディスクを有しており、この磁気ディスクをディスク駆動機構により回転駆動し、磁気ヘッドをヘッド駆動機構によって磁気ディスクの任意位置に移動させ、磁気ディスク表面の磁性膜を磁気ヘッドからの書込電流によって磁化することによりデータを記録し、磁化された磁性膜の上を磁気ヘッドが移動する際に磁気ヘッドのコイル等に流れる電流を検出することにより記録データを読み出す装置である。
【0053】
上記した制御プログラムは、OS(Operating System)等のCPU45の基本ソフトウェアのほか、各種の処理や分析演算等をCPU45に実行させるための命令等の処理手順が、所定のプログラム用言語で記述された文字や記号の集合である。
【0054】
また、RAM(Random Access Memory:随時書込み読出しメモリ)47は、CPU45により演算された途中のデータ等を一時記憶する部分である。RAMは、半導体チップにより構成されるものが主である。
【0055】
上記のような構成により、CPU45は、電流計41からの電気信号を検出すると、「電流を発生した外力応答体1の箇所の杭コンクリートに損傷が発生した」と判断し、「杭に損傷発生」を表現するフラグ等のデータに、杭の位置等を特定するための情報(例えば、杭の位置の位置座標等のデータ)を付加してディジタル出力信号を生成する。
【0056】
CPU45によって生成されたディジタル電気信号は、入出力インタフェース44bを経て送信機49に送られる。送信機49は、ディジタル電気信号をそのまま、または他の信号形態(例えば光信号)に変換し、通信ケーブル5によって構造物管理部6へ送信する。通信ケーブル5としては、電流を導通させる導線、光ファイバー等が用いられる。
【0057】
構造物管理部6は、図1(A)に示すような構成を有している。すなわち、構造物管理部6は、ある鉄道線区(例えば、「山手線」や「埼京線」等。)の鉄道線路に関連する構造物を統括して管理する施設であり、中央コンピュータ61と、構造物状態表示盤62と、記憶・出力装置63を有して構成されている。
【0058】
中央コンピュータ61には、この線区の各構造物、例えば高架橋の各杭の外力検出・送信部からの通信ケーブル5a〜5dなどが接続しており、その構造物からのデータが集中するようになっている。構造物状態表示盤62は、図1(B)に示すように、表示パネル部62aと、操作卓62bを有している。表示パネル部62aには、この線区全体が表示され、杭等の構造物がランプ等によって表現されている。このような構成により、損傷が発生した箇所は、図1(B)において62cで図示されるように、操作者(構造物管理者)が視認できる状態、例えばランプの点灯や点滅の状態となる。記憶・出力装置63は、損傷の履歴等を記録媒体に記憶させたり、印字等を行う装置である。
【0059】
上記した第1実施形態の構造物損傷検出システム101によれば、以下のような利点がある。
【0060】
a)鉄道の構造物等に大きな外力(例えば地震動等)が付加されて損傷が発生した場合に、損傷した部分の位置等を、容易に、かつリアルタイムで検出することができる。
【0061】
b)杭等の地下構造物のように、地盤Gの内部に構築されているため、そのままでは目視が不可能な箇所の損傷についても、支障なく検出することができる。
【0062】
c)鉄道や道路のように、線状に長い範囲にわたる施設において、各構造物の損傷の有無を集中的に監視することができる。
【0063】
d)圧電材料から形成した帯状体に圧電特性の異方性がある場合であっても、第1部材11が螺旋状に形成されているため、圧電特性の異方性を緩和又は除去することができる。
【0064】
上記した第1実施形態において、構造物外力検知システム101は、特許請求の範囲における構造物外力検知装置に相当している。また、外力応答体1は、特許請求の範囲における外力応答手段に相当している。また、外力検出・送信部4の電流計41とCPU45は、特許請求の範囲における電気検出手段に相当している。
【0065】
なお、上記した第2部材12の可撓性を調整して所定可撓性値に設定したり、第2部材12の厚み又は表面積又は長さ若しくは電気分極性能等の程度を所定値に設定することにより、外力応答体1からの電流が生じた場合には、CPU45が、「場所打ちコンクリート杭203の当該外力応答体設置箇所に所定外力値が付加された」と定量的に算定し、その旨を構造物管理部6に送信するように構成することもできる。
【0066】
また、外力応答体1の配置状態を適宜に工夫することにより、例えば、杭203における鉛直方向の高さ位置が異なる複数の位置に外力応答体1を配置したり、杭の中心付近とその周囲の異なる位置に外力応答体1を配置することにより、杭203の内部の損傷状態から逆算することにより、CPU45が、杭203に作用した所定外力値を定量的に算定することも可能である。
【0067】
(2)第2実施形態
本発明は、上記した第1実施形態以外の構成によっても実現可能である。図4は、本発明の第2実施形態である構造物損傷検出システムの構成を示す図である。また、図5は、図4に示す構造物損傷検出システムにおける構造物内挿入部材のさらに詳細な構成を示す断面図である。
【0068】
図4(A)に示すように、第2実施形態の構造物損傷検出システム102は、鉄道線路300を支持する高架橋200の基礎である場所打ちコンクリート杭203のコンクリート内部に設置された構造物内挿入部材3と、この構造物内挿入部材3の内部に設置されている外力応答体1Aと、接続部材2と、外力検出・送信部4と、通信ケーブル5と、構造物管理部6を備えて構成されている。
【0069】
この第2実施形態の構造物損傷検出システム102が、第1実施形態の構造物損傷検出システム101と異なる点は、場所打ちコンクリート杭203のコンクリート内部に外部から構造物内挿入部材3が挿入され、この構造物内挿入部材3の内部に外力応答体1Aが配置されている点である。したがって、第2実施形態の構造物損傷検出システム102は、すでに構築されている場所打ちコンクリート杭203の内部に、後から外力応答体1Aを設置する場合に好適である。なお、接続部材2と、外力検出・送信部4と、通信ケーブル5と、構造物管理部6の構成と作用については、第1実施形態の場合と同様であるので、その説明は省略する。
【0070】
次に、第2実施形態の場合の、構造物内挿入部材3と、外力応答体1Aの設置方法について、図4及び図5を参照しつつ詳細に説明する。
【0071】
まず、削孔機等(図示せず)により、地上から場所打ちコンクリート杭203に向けて、削孔を行い、円柱状の挿入孔204を形成する。次に、挿入孔204の中に挿入管31を挿入する。挿入管31は、プラスチックス系材料やゴム系材料などの可撓性を有する可撓性材料からなり、内部が中空状となった円筒形状に形成されている。これは、場所打ちコンクリート杭203に大きな外力が付加されても、挿入管31を形成する材料の強度や剛性が大きいと、挿入管31の内部の外力応答体1Aに作用する力が減殺され、外力応答体1Aを構成する第2部材12があまり変形せず、第1部材11へ付加される応力が非常に小さくなり、圧電作用により発生する電流値が極小となって検出されない場合があるからである。
【0072】
また、挿入管31の外径は挿入孔204の内径よりもわずかに小さい値に設定されている。この場合、挿入孔204と挿入管31とを接着剤等により接着すれば、挿入孔204と挿入管31との間で「滑り」が生じることが防止され、場所打ちコンクリート杭203に加わった外力に応じた変形が支障なく挿入管31に作用する。
【0073】
次に、挿入管31の内部における外力応答体1Aの位置を所定箇所に設定するため、挿入管31の内部の空洞部に、位置決め部材32aを挿入し、先端までの長さがあらかじめ計測された所定長さの棒状の定規部材等(図示せず)によって背後から押し込む等の方法で所定箇所まで挿入し、その後、接着剤等により挿入管31の内部に固定する。位置決め部材32aは、挿入管31の強度や剛性をあまり増加させない材料、例えば、発泡性合成樹脂材料などが用いられる。
【0074】
次に、外力応答体1Aを地上の外部から挿入管31内に挿入し、棒状部材等(図示せず)により背後から押し込むことにより、あらかじめ位置決め部材32aが設置された箇所まで移動させる。その後、接着剤等により、外力応答体1Aを挿入管31の内部に固定する。次に、挿入管31内の外力応答体1Aの背後に、上記と同様にして、他の位置決め部材32bを挿入する。この場合、外力応答体1Aの外表面には、外力応答体1に設けられていたような環状凹部(11e)は設けられていない。これは、第2実施形態においては、外力応答体1Aの外表面には、杭のコンクリートとの付着性は必要ないからである。なお、外力応答体1Aの背後(地上に近い方)の位置決め部材32bについては、後述するように、現存の外力応答体を引き抜いて新たな外力応答体と交換し、再度挿入する作業が予想されるため、接着剤等による挿入管31への固定は行わない。これにより、外力応答体1Aが挿入管31の内部の所定箇所に位置決めされて設置される。
【0075】
第2実施形態の構造物損傷検出システム102によれば、上記した第1実施形態の場合と同様の利点に加え、以下のような利点がある。
【0076】
e)すでに構築された構造物の内部に、外部(例えば地上)から外力応答体1Aを設置し、その後に構造物に大きな外力(例えば地震動等)が付加されて損傷が発生した場合に、損傷した部分の位置等を、容易に、かつリアルタイムで検出することができる。
【0077】
f)地震等の大きな外力により、外力応答体1Aの内部の第1部材が破断してしまった場合や、外力応答体1Aの設置後に外力が作用せずに長期間が経過し外力応答体1A内の第1部材又は第2部材の性能劣化が予想される場合などに、外力応答体1Aの新品との交換を容易に行うことが可能である。
【0078】
なお、挿入管31内の既存の外力応答体1Aを新品と交換する時には、既存の外力応答体1Aに取り付けられている接続部材2を引っ張って地上まで引き上げることになる。このため、接続部材2のうち、リード線22の外側に配置される保護部材21としては、アラミド樹脂(例えばケブラー繊維)等の引張り強度の高い材料を用いることが望ましい。また、図2(D)に示すように、接続部材2の保護部材21の端部は、接着剤等の接合部材16によって、外力応答体1Aと接合している。このため、この接合部材16も、引張り強度の高い材料を用いることが望ましい。
【0079】
また、挿入管31の内部の空洞は、外力、変形、挿入管自体の経年変化等により、当初の大きさよりも縮小する可能性がある。このように、挿入管31の内部の空洞が縮小すると、接続部材2の保護部材21を引っ張っても、外力応答体1Aを外部に引き出すことができなくなるおそれがある。このため、図5に示すように、挿入管31の内部空洞に、内部空洞保持部材33を挿入し、内部空洞のつぶれを防止する。
【0080】
内部空洞保持部材33の材料としては、プラスチックス系材料やゴム系材料などの可撓性を有する可撓性材料が望ましい。また、挿入管31内の既存の外力応答体1Aを新品と交換する時には、まず内部空洞保持部材33を引き出す必要があるから、内部空洞保持部材33と挿入管31との間の摩擦は小さいことが望ましい。このため、挿入管31と内部空洞保持部材33との間には、油脂やグリース等の潤滑材を配置するとよい。
【0081】
上記した第2実施形態において、構造物外力検知システム102は、特許請求の範囲における構造物外力検知装置に相当している。
【0082】
なお、本発明は、上記した各実施形態に限定されるものではない。上記各実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0083】
例えば、上記した実施形態においては、第1部材(例えば11)は、互いの間に隙間が生じるように、第1部材相互間に間隙を配して、第3部材(例えば13)の外周側面に略螺旋状に巻き付けられる例について説明したが、本発明は、この例には限定されず、他の構成、例えば、第1部材のなす螺旋は、隙間が生じないように、帯状体どうしが接触するような状態で略螺旋状に巻き付け、あるいは、帯状体どうしが互いに重複(オーバーラップ)するような状態で略螺旋状に巻き付け、全体として略円筒状に形成してもよい。また、第3部材(例えば13)の長手方向の単位長さ当たりの螺旋の巻き回数についても、適宜の値に設定可能である。
【0084】
また、上記した実施形態では、外力応答手段(例えば外力応答体1)の内部の第1部材(例えば11)が、軸方向の引張り応力や、軸方向の圧縮応力により圧電作用を発揮して電流を発生する例について説明したが、本発明はこの例には限定されず、他の構成であってもよい。上記実施形態で説明した例のほかに、分極面同士の接続方式を適宜に変えることにより、曲げ応力に反応するセンサーを作製することができる。
【0085】
あるいは、外力応答手段(例えば外力応答体1)の配置方向(例えば外力応答体1の軸の方向)を適宜に調整することにより、軸方向応力、曲げ応力、せん断応力を検出することも可能である。
【0086】
また、上記した実施形態においては、第2部材の中に1個の第1部材が配置される例について説明したが、本発明はこの例には限定されず、他の構成であってもよい。例えば、第1部材が第2部材内に複数個配置され、第1部材からの電気出力の値に応じて第1部材に作用している応力の種類、又はその組み合わせ、又はその極性、若しくはその絶対値を検知するように構成してもよい。
【0087】
上記の例としては、第1部材を第2部材内に複数個配置し、第2部材内のすべての第1部材からの電気出力(例えば電流)の値が略等しい場合には、「この応力は軸方向応力である」と、電気検出手段(例えばCPU45)が検知するように構成するものが挙げられる。
【0088】
あるいは、第1部材を第2部材内に複数個配置し、第2部材内の第1部材からの電気出力(例えば電流)に基づいて算出される応力が、ある中立面を境界として一方が正値で中立面からの距離に比例して正値の絶対値が増大し、中立面を境界とする他方が負値で中立面からの距離に比例して負値の絶対値が増大する場合には、「この応力は曲げ応力である」と、電気検出手段(例えばCPU45)が検知するように構成してもよい。
【0089】
あるいは、第1部材を第2部材内に複数個配置し、第2部材内の第1部材からの電気出力(例えば電流)に基づいて算出される応力が、あるせん断面と略平行に作用し当該せん断面をずらすように作用する場合には、「この応力はせん断応力である」と、電気検出手段(例えばCPU45)が検知するように構成してもよい。
【0090】
また、第2部材の形状は、上記した略円柱形状には限定されず、他の形状、例えば、楕円断面の柱状、多角形断面の柱状などであってもよい。また、第2部材の外表面に形成される凹凸の形状は、環状凹部以外に、環状凸部、略螺旋状の凸部又は凹部、多数のイボ状の凸部、多数の穴状の凹部等であってもよい。
【0091】
また、第2部材の可撓性の程度、第1部材の可撓性の程度は、適宜に設定可能である。これらの値をどのように設定するかにより、検出しようとする構造物の外力、損傷の程度を調整することができる。
【0092】
また、外力を検出する対象である構造物は、杭に限定されず、他の基礎構造物であってもよい。あるいは基礎構造物以外の構造物であってもよい。
【0093】
また、外力応答手段である外力応答体の配置位置、配置状態は、上記した第1実施形態の例、すなわち外力応答体の長手方向が鉛直上下方向に略平行となる状態、あるいは、第2実施形態の例、すなわち外力応答体の長手方向が鉛直上下方向に対して傾斜した状態には限定されない。その他の状態、例えば、外力応答体の長手方向が水平方向に略平行となる状態、あるいは外力応答体の長手方向が杭の断面における円の接線の方向となる状態などであってもよい。
【0094】
また、電気検出手段としては、上記した電流計のかわりに、検流計、電圧計(電位計)を用いてもよい。要は、第1部材と第2部材の間に電圧が発生したこと、あるいは、第1導体部材及び第2導体部材を経て流れる電流が存在することを検出できる手段であれば、どのような構成のものであってもよいのである。
【0095】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、応力を付加すると表面である分極面が電気的に分極し電圧を発生する圧電材料からなり略螺旋状に形成される第1部材と、可撓性と電気絶縁性を有する可撓・電気絶縁材料からなり第1部材の周囲に配置される第2部材を有し、構造物の外力検知箇所に配置される外力応答手段と、導電体からなり一端が第1部材の一方の電極となる側に電気的に接続された第1導体部材と、導電体からなり一端が第1部材の他方の電極となる側に電気的に接続された第2導体部材と、第1導体部材の他端と第2導体部材の他端に取り付けられるとともに電気を検出する電気検出手段を備えるように構成したので、構造物の外力検知箇所に所定値を越える外力が付加された場合には、第1部材に応力が作用して電気的に分極し第1部材と第2部材の間に電圧が発生したこと、あるいは第1導体部材及び第2導体部材を経て電流が流れることが電気検出手段により検出され、構造物の外力検知箇所に所定値を越える外力が作用した旨を検知することができる、という利点を有し、かつ、圧電材料から形成した第1部材に圧電特性の異方性がある場合であっても、第1部材が螺旋状に形成されているため、圧電特性の異方性を緩和又は除去することができる、という利点を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態である構造物損傷検出システムの構成を示す図である。
【図2】図1に示す構造物損傷検出システムにおける外力応答体のさらに詳細な構成を示す断面図である。
【図3】図1に示す構造物損傷検出システムにおける外力検出・送信部のさらに詳細な構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第2実施形態である構造物損傷検出システムの構成を示す図である。
【図5】図4に示す構造物損傷検出システムにおける構造物内挿入部材のさらに詳細な構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1、1A 外力応答体
2 接続部材
3 構造物内挿入部材
4 外力検出・送信部
5〜5d 通信ケーブル
6 構造物管理部
11 第1部材
11a 第1分極面
11b 第2分極面
12 第2部材
12a 挿通孔
12e 環状凹部
13 第3部材
14 充填固定材
15 接着剤
16 接合部材
21 保護部材
22 リード線
22a 第1導体部材
22a1 導体接続部
22b 第2導体部材
22b1 導体接続部
22c 絶縁部材
31 挿入管
32a、32b 位置決め部材
33 内部空洞保持部材
40 きょう体
41 電流計
42 増幅器
43 A/Dコンバータ
44a、44b 入出力インタフェース
45 CPU
46 ROM
47 RAM
49 送信機
61 中央コンピュータ
62 構造物状態表示盤
62a 表示パネル部
62b 操作卓
62c 損傷発生箇所
63 記憶・出力装置
101、102 構造物損傷検出システム
200 高架橋
201 柱
202 フーチング
203 場所打ちコンクリート杭
204 挿入孔
300 鉄道線路
G 地盤
i 電流

Claims (14)

  1. 応力を付加すると表面である分極面が電気的に分極し電圧を発生する圧電材料からなり略螺旋状に形成される第1部材と、可撓性と電気絶縁性を有する可撓・電気絶縁材料からなり前記第1部材の周囲に配置される第2部材を有し、構造物の外力検知箇所に配置される外力応答手段と、
    導電体からなり一端が前記第1部材の一方の電極となる側に電気的に接続された第1導体部材と、
    導電体からなり一端が前記第1部材の他方の電極となる側に電気的に接続された第2導体部材と、
    前記第1導体部材の他端と前記第2導体部材の他端に取り付けられるとともに電気を検出する電気検出手段を備え、
    前記構造物の外力検知箇所に所定値を越える外力が付加された場合には、前記第1部材に応力が作用して電気的に分極し前記第1部材に電圧が発生したこと、あるいは前記第1導体部材及び前記第2導体部材を経て電流が流れることが前記電気検出手段により検出され、前記構造物の外力検知箇所に所定値を越える外力が作用した旨を検知することを特徴とする構造物外力検知装置。
  2. 請求項1記載の構造物外力検知装置において、
    前記第1部材のなす螺旋は全体として略円筒状に形成されることを特徴とする構造物外力検知装置。
  3. 請求項1記載の構造物外力検知装置において、
    前記圧電材料は可撓性を有する高分子系圧電材料であり、前記第1部材は前記分極面として第1分極面と第2分極面を有する薄膜状部材に形成され、前記第1分極面に前記第1導体部材が電気的に接続されるとともに前記第2分極面に前記第2導体部材が電気的に接続され、前記外力の付加により前記第1分極面に正電荷が発生するとともに前記第2分極面に負電荷が発生することを特徴とする構造物外力検知装置。
  4. 請求項3記載の構造物外力検知装置において、
    前記第1部材は、前記薄膜状部材が細長い帯状に形成された後に前記略螺旋状に形成されることを特徴とする構造物外力検知装置。
  5. 請求項4記載の構造物外力検知装置において、
    前記第2部材は略円柱状に形成され、前記第1部材の長手方向中心線は前記第2部材の軸中心線と略平行となるように配置されることを特徴とする構造物外力検知装置。
  6. 請求項5記載の構造物外力検知装置において、
    前記外力応答手段は、略円柱状の第3部材を有し、前記第3部材の長手方向中心線は前記第2部材の軸中心線と略平行となるように配置され、前記第3部材の外周側面に前記第1部材が略螺旋状に巻き付けられ、前記巻き付けられた第1部材を被覆するように前記第2部材が配置されることを特徴とする構造物外力検知装置。
  7. 請求項6記載の構造物外力検知装置において、
    前記第1部材は、互いに重複するようにして、前記第3部材の外周側面に略螺旋状に巻き付けられることを特徴とする構造物外力検知装置。
  8. 請求項6記載の構造物外力検知装置において、
    前記第1部材は、互いに接するようにして、前記第3部材の外周側面に略螺旋状に巻き付けられることを特徴とする構造物外力検知装置。
  9. 請求項6記載の構造物外力検知装置において、
    前記第1部材は、相互間に間隙を配して前記第3部材の外周側面に略螺旋状に巻き付けられることを特徴とする構造物外力検知装置。
  10. 請求項6記載の構造物外力検知装置において、
    前記第1部材は前記第2部材内に複数個配置され、前記第1部材からの電気出力の値に応じて前記第1部材に作用している応力の種類、又はその組み合わせ、又はその極性、若しくはその絶対値を検知することを特徴とする構造物外力検知装置。
  11. 請求項10記載の構造物外力検知装置において、
    前記第1部材は前記第2部材内に複数個配置され、前記第2部材内のすべての第1部材からの電気出力の値が略等しい場合には、前記応力は軸方向応力である旨を検知することを特徴とする構造物外力検知装置。
  12. 請求項10記載の構造物外力検知装置において、
    前記第1部材は前記第2部材内に複数個配置され、前記第2部材内の第1部材からの電気出力の値に基づいて算出される応力が、ある中立面を境界として一方が正値で前記中立面からの距離に比例して前記正値の絶対値が増大し、前記中立面を境界とする他方が負値で前記中立面からの距離に比例して前記負値の絶対値が増大する場合には、前記応力は曲げ応力である旨を検知することを特徴とする構造物外力検知装置。
  13. 請求項10記載の構造物外力検知装置において、
    前記第1部材は前記第2部材内に複数個配置され、前記第2部材内の第1部材からの電気出力の値に基づいて算出される応力が、あるせん断面と略平行に作用し当該せん断面をずらすように作用する場合には、前記応力はせん断応力である旨を検知することを特徴とする構造物外力検知装置。
  14. 応力を付加すると表面である分極面が電気的に分極し電圧を発生する圧電材料からなり略螺旋状に形成される第1部材と、可撓性と電気絶縁性を有する可撓・電気絶縁材料からなり前記第1部材の周囲に配置される第2部材を有し、構造物の外力検知箇所に配置される外力応答手段と、
    導電体からなり一端が前記第1部材の一方の電極となる側に電気的に接続された第1導体部材と、
    導電体からなり一端が前記第1部材の他方の電極となる側に電気的に接続された第2導体部材と、
    前記第1導体部材の他端と前記第2導体部材の他端に取り付けられるとともに電気を検出する電気検出手段を用い、
    前記構造物の外力検知箇所に所定値を越える外力が付加された場合には、前記第1部材に応力が作用して電気的に分極し前記第1部材に電圧が発生したこと、あるいは前記第1導体部材及び前記第2導体部材を経て電流が流れることが前記電気検出手段により検出され、前記構造物の外力検知箇所に所定値を越える外力が作用した旨を検知することを特徴とする構造物の外力検知方法。
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