【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は磁気記録媒体に記録された信号を検知する磁気ヘッド、ならびにそれを用いた磁気ヘッドアセンブリおよび磁気記録再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ハードディスク装置などの磁気記録装置は、急速に小型・高密度化が進んでおり、今後さらに高密度化されることが見込まれている。磁気記録において高密度化を行うには、記録トラック幅を狭くして記録トラック密度を高めるとともに、長手方向の記録密度すなわち線記録密度を高める必要がある。
【0003】
図1は一般的な巨大磁気抵抗効果膜(GMR膜)を用いた再生磁気ヘッドの一部を破断して示す斜視図である。この図は磁気記録媒体の上方に配置された再生磁気ヘッドを示している。図1には磁気記録媒体のトラックTを示す。下部磁気シールド1と上部磁気シールド2との間のギャップの媒体対向面(ABS)側には、磁気抵抗効果膜3が設けられる。磁気抵抗効果膜3は、反強磁性層、磁化固着層(ピン層)、非磁性中間層および磁化自由層(フリー層)の積層構造を含む。磁気抵抗効果膜3のトラック幅方向に沿う両端にはハードバイアス膜(および電極)4a、4bが設けられる。
【0004】
線記録密度を高めるにはギャップ長Gを小さくする必要がある。記録トラック密度を高めるためにはトラック幅Wを小さくする必要がある。しかし、高記録密度のためにこうした設計を行うと、磁気抵抗効果膜3に流入する媒体信号磁化からの磁束が小さくなり、結果的に再生磁気ヘッドの出力が小さくなる。再生出力低下を補償するためには、磁気抵抗効果膜の性能を向上させるか、磁気ヘッド全体の再生効率を上げる必要がある。
【0005】
磁気ヘッドの再生効率を上げるための対策として、フラックスガイドを設ける技術が知られている(たとえば特許文献1参照)。図2にフラックスガイドを有する磁気ヘッドの一例の断面図を示す。下部磁気シールド1と上部磁気シールド2との間のギャップの媒体対向面(ABS)側には、フリー層3fを含む磁気抵抗効果膜(磁気抵抗効果膜に含まれる他の層は図示せず)が設けられる。媒体対向面から見てフリー層3fより奥側には、間隔dを隔てて、NiFeなどの軟磁性材料からなるフラックスガイド5が形成されている。図2のようにフラックスガイド5を設けることによって、フリー層3fの奥側まで磁束を導くことができ、感度を確保するのに有利になる。
【0006】
図3を参照してフラックスガイドを設けたことによる効果を説明する。この図は、フリー層内部の媒体対向面からの距離と、磁束が流入したときのフリー層の磁化変化との関係を示す図である。フラックスガイドがない場合には、媒体対向面から見てフリー層の奥側の端部より奥へは磁束が流れないため、この部分の磁束流入時の磁化変化はゼロ、つまり感度はゼロとなる。一方、図2のようにフラックスガイドを設けると、磁束がフリー層からフラックスガイドへ流れるのでフリー層の奥側の端部でも感度が得られる。このように、フリー層全体に磁束が流れやすくなり、全体的な再生感度が向上する。
【0007】
次に、図4を参照して、フリー層とフラックスガイドとの間の間隔dに対する再生感度の依存性を説明する。この図は膜厚5nmのNiFeからなるフリー層と所定の膜厚のフラックスガイドとを有する磁気ヘッドにおいて、フリー層とフラックスガイドとの間の間隔dと規格化出力(再生感度に相当)との関係をシミュレーションした結果を示している。
【0008】
フラックスガイドの厚みtgがフリー層の厚みtfと等しい(tg=tf)場合、規格化出力の上昇率はd=0のとき約60%であるのがd=2nmで約30%となり、フラックスガイドの効果が約半分になる。このため、間隔dは2nmより狭いことが好ましい。しかし、間隔dを2nm以下に制御して形成するのは非常に困難である。なお、間隔dをゼロにすると、フリー層に流すセンス電流がフラックスガイドに流入するため、実際にはかえって再生感度が低くなる。
【0009】
上記の問題は、フラックスガイドの厚みtgをフリー層の厚みtfに比べて厚くすることによって緩和できる。図4には、フラックスガイドの厚みtgをフリー層の厚みtfの3倍にした(tg=3tf)場合の規格化出力を示している。この場合、フラックスガイドの効果が約半分になるのは、フリー層とフラックスガイドとの間の間隔dが約6nmのときであり、十分制御可能な距離になる。
【0010】
しかし、フラックスガイドもフリー層と同様にバイアス膜からのバイアス磁場で磁区制御する必要があり、フラックスガイドの厚みが厚いと磁区制御が困難になる。フラックスガイドの磁区を良好に制御できない場合、図5の再生波形に示すように、ベースラインシフトが起こり、再生誤り率に重大な影響を与える。
【0011】
これらの困難があるため、フラックスガイドを組み込んだ磁気ヘッドの実用化が阻まれている。
【0012】
【特許文献1】
特開平8−339514号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、再生波形のベースラインシフトを起こすことなく、再生感度を向上できる磁気ヘッドを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る磁気ヘッドは、外部磁場に対応して磁化方向が変化するフリー層を含む磁気抵抗効果膜と、磁気抵抗効果膜を安定化させるためのバイアス膜と、磁気抵抗効果膜に電流を供給するための電極と、磁気抵抗効果膜の上下に設けられた上部磁気シールドおよび下部磁気シールドとを有する磁気ヘッドであって、媒体対向面から見て前記フリー層よりも奥側で、前記上部磁気シールドまたは下部磁気シールドの一部に他方の磁気シールドへ向かって突出した突出部が形成され、その突出部の端面と前記フリー層の端面との間の間隔が1nm以上でかつフリー層厚みの2倍以下であることを特徴とする。
【0015】
本発明の磁気ヘッドでは、媒体対向面から見て前記フリー層よりも奥側で、前記上部磁気シールドまたは下部磁気シールドの突出部と他方の磁気シールドとが接続されていてもよい。
【0016】
本発明に係る磁気ヘッドアセンブリは上記の磁気ヘッドを搭載したことを特徴とする。
【0017】
本発明に係る磁気記録再生装置は上記の磁気ヘッドを搭載したことを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
図6に本発明の一実施形態に係る磁気ヘッドの断面図を示す。下部磁気シールド1と上部磁気シールド2との間のギャップの媒体対向面(ABS)側には、フリー層3fを含む磁気抵抗効果膜(磁気抵抗効果膜に含まれる他の層は図示せず)が設けられる。この図では、媒体対向面から見てフリー層3fよりも奥側で、上部磁気シールド2の一部に下部磁気シールド1へ向かって突出した突出部2pが形成されており、その突出部2pの端面とフリー層3fの端面との間は間隔dだけ隔たっている。この磁気ヘッドでは、上部磁気シールド2の突出部2pがフラックスガイドとしての役割を果し、再生感度を向上させる作用を示す。なお、下部磁気シールド1の一部に上部磁気シールド2へ向かって突出した突出部を形成してもよいことはもちろんである。
【0019】
図4に、本発明に係る磁気ヘッドの効果を示す。この図に示されるように、本発明の磁気ヘッドでは、上部磁気シールド2の突出部2pの端面とフリー層3fの端面との間の間隔dが大きくなっても、規格化出力(再生感度に相当する)の低下の度合が従来よりも小さい。これは、以下のような理由による。
【0020】
すなわち、図6の磁気ヘッドでは、フリー層端部からの磁束が、従来のフラックスガイドより体積の大きい磁気シールドの突出部へ流入するため、フラックスガイドを設けた場合と比較して再生感度が向上する。このため、再生感度の磁気シールド突出部−フリー層間の間隔dへの依存性が小さくなる。しかも、磁束がフリー層端部から流入する磁気シールドの突出部の体積が大きく、従来のフラックスガイドのように磁区制御を行わなくても磁区が乱されることがないため、ベースラインシフトなどの悪影響もない。
【0021】
図6には図示しないが、図1と同様に、磁気抵抗効果膜のトラック幅方向に沿う両端にはハードバイアス膜が設けられる。ハードバイアス膜と電極とを積層して設けた場合、センス電流は磁気抵抗効果膜の膜面に平行に通電される(CIPタイプ)。一方、磁気抵抗効果膜の上下に電極を設けた場合、センス電流は磁気抵抗効果膜の膜面に垂直に通電される(CPPタイプ)。図6の構造はCIPおよびCPPのいずれの磁気抵抗効果膜でも適用できる。
【0022】
図7に示すように、上部磁気シールド2の突出部2pの突出量pについては、突出部2pの突出面がフリー層3fの中央を超えて下部磁気シールド1側へ突出していれば十分である。
【0023】
図8に示すように、上部磁気シールド2の突出部2pは、フリー層3fよりも奥側の上部磁気シールド2の全領域ではなく一部の領域にのみ形成されていてもよい。
【0024】
図9に示すように、上部磁気シールド2の突出部2pと下部磁気シールド1とが接続されていてもよい。ただし、この場合には、上下の磁気シールドが短絡するので、適用できる磁気抵抗効果素子はセンス電流を膜面に平行に通電するCIPタイプに限られる。
【0025】
次に、本発明に係る磁気ヘッドにおける磁気シールド突出部−フリー層間の間隔dについて説明する。まず、磁気シールド突出部とフリー層との間で絶縁性を確保しなければならないため、両者の間隔dは1nm程度以上にする必要がある。一方、図4に示されるように、磁気シールド突出部−フリー層間の間隔dが大きくなると、再生感度向上の効果は小さくなる。ただし、厚み5nmのフリー層を用いた場合、再生感度向上の効果が約半分になるのは間隔dが約10nmになったときである。したがって、磁気シールド突出部−フリー層間の間隔dがフリー層厚みの2倍以下、より好ましくは1倍以下であれば、再生感度向上の効果が得られる。
【0026】
【実施例】
以下、図面を参照しながら本発明の実施例を説明する。以下の実施例においては、磁気シールド突出部−フリー層間の間隔を良好に制御できる方法を用いて磁気ヘッドを製造している。
【0027】
実施例1
図10(a)〜(d)に示す断面図を参照して、本実施例における磁気ヘッドの製造方法を説明する。
【0028】
図示しない基板上に、下部磁気シールド11および絶縁層12を成膜し、その上に反強磁性層、ピン層、非磁性中間層およびフリー層を含む磁気抵抗効果膜13を成膜する。その上にレジストを塗布し、リソグラフィ技術を用いてパターニングすることによりレジストパターン14を形成する(図10(a))。
【0029】
レジストパターン14をマスクとして、ミリングにより磁気抵抗効果膜13および絶縁層12にパターンを転写する。このとき、ミリング角度(θ1)やレジストパターン14の形状に応じて、磁気抵抗効果膜13の端面の角度(θ2)が決定される。その後、レジストパターン14を剥離する(図10(b))。
【0030】
次に、絶縁層15を成膜する。このとき、成膜条件と磁気抵抗効果膜13の端面角度(θ2)に応じて、磁気抵抗効果膜13の端面に形成される絶縁層15の厚み(t1)と平坦部に形成される絶縁層15の厚み(t2)が決定される(図10(c))。
【0031】
絶縁層15上に上部磁気シールド16を成膜する。この結果、絶縁層12、磁気抵抗効果膜13および絶縁層15の段差部に、上部磁気シールド16の突出部が形成される。その後、媒体対向面をラッピングする(図10(d))。
【0032】
このように、レジスト形状、ミリング角度(θ1)などのミリング条件、磁気抵抗効果膜の端面角度(θ2)、磁気抵抗効果膜と上部磁気シールドを絶縁する絶縁層の成膜条件を制御することにより、上部磁気シールドの突出部の端面とフリー層の端面との間の間隔d(=距離t1)を良好に制御することができる。
【0033】
実施例2
図11(a)〜(d)に示す断面図を参照して、本実施例における磁気ヘッドの製造方法を説明する。
【0034】
実施例1と同様に、図示しない基板上に、下部磁気シールド11および絶縁層12を成膜し、その上に反強磁性層、ピン層、非磁性中間層およびフリー層を含む磁気抵抗効果膜13を成膜する。その上にレジストを塗布し、リソグラフィ技術を用いてパターニングすることによりレジストパターン14を形成する。レジストパターン14をマスクとして、ミリングにより磁気抵抗効果膜13および絶縁層12にパターンを転写する(図11(a))。
【0035】
次に、レジストパターン14を除去せずに、厚みt3の絶縁層21を成膜し、さらに磁気抵抗効果膜13の上面より高くなるように軟磁性層22を成膜する(図11(b))。
【0036】
レジストパターン14を除去し、磁気抵抗効果膜13および軟磁性層22の上に絶縁層23を成膜する(図11(c))。
【0037】
図11(c)の破線位置まで絶縁層23および軟磁性層22をラッピングして平坦化する。さらに、絶縁層23および軟磁性層22上に上部磁気シールド24を成膜する。この結果、軟磁性膜22が上部磁気シールド24の突出部となる。その後、媒体対向面をラッピングする(図11(d))。
【0038】
本実施例では磁気抵抗効果膜13の端面に成膜される絶縁層21の厚み(t3)が、上部磁気シールドの突出部の端面とフリー層の端面との間の間隔dに相当する。このため、実施例1より製造方法は煩雑になるものの、間隔dの制御性が向上して出力特性などのパフォーマンスが安定する。
【0039】
次に、本発明に係る磁気ヘッドを搭載した磁気ヘッドアセンブリおよび磁気記録再生装置について説明する。
【0040】
図12は本発明に係る磁気ヘッドを搭載した磁気ヘッドアセンブリをディスク側から見た斜視図である。アクチュエータアーム201には、磁気ディスク装置内のピボットに装着するための穴が設けられ、図示しない駆動コイルを保持するボビン部を有する。アクチュエータアーム201の一端にはサスペンション202が固定されている。サスペンション202の先端には上述した磁気ヘッドを搭載したヘッドスライダ203が取り付けられている。また、サスペンション202には信号の書き込みおよび読み取り用のリード線204が配線され、このリード線204の一端はヘッドスライダ203に組み込まれた磁気ヘッドの各電極に接続され、リード線204の他端は電極パッド205に接続されている。
【0041】
図13は図12に示す磁気ヘッドアセンブリを搭載した磁気記録再生装置(磁気ディスク装置)の内部構造を示す斜視図である。磁気ディスク211はスピンドル212に装着され、図示しない駆動装置制御部からの制御信号に応答して回転する。図12のアクチュエータアーム201はピボット213に装着され、ピボット213の上下2個所に設けられた図示しないボールベアリングによって保持され、サスペンション202およびその先端のヘッドスライダ203を支持している。アクチュエータアーム201の基端にはリニアモータの1種であるボイスコイルモータ214が設けられている。ボイスコイルモータ214はアクチュエータアーム201のボビン部に巻き上げられた図示しない駆動コイルとこのコイルを挟み込むように対向して配置された永久磁石および対向ヨークからなる磁気回路とから構成される。アクチュエータアーム201はボイスコイルモータ214により回転摺動が自在にできるようになっている。磁気ディスク211が回転すると、ヘッドスライダ203に搭載された磁気ヘッドはその媒体対向面が磁気ディスク211の表面から所定量浮上した状態で保持され、情報を記録再生できるようになっている。
【0042】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、再生波形のベースラインシフトを起こすことなく、再生感度を向上できる磁気ヘッド、ならびにそれを用いた磁気ヘッドアセンブリおよび磁気記録再生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】GMR膜を用いた再生磁気ヘッドの一部を破断して示す斜視図。
【図2】フラックスガイドを有する従来の磁気ヘッドの断面図。
【図3】フリー層内部の媒体対向面からの距離と、磁束が流入したときのフリー層の磁化変化との関係を示す図。
【図4】フリー層−フラックスガイド間の間隔dに対する再生感度の依存性を示す図。
【図5】ベースラインシフトを説明する図。
【図6】本発明の一実施形態に係る磁気ヘッドの断面図。
【図7】本発明の他の実施形態に係る磁気ヘッドの断面図。
【図8】本発明の他の実施形態に係る磁気ヘッドの断面図。
【図9】本発明の他の実施形態に係る磁気ヘッドの断面図。
【図10】実施例1の磁気ヘッドの製造工程を示す断面図。
【図11】実施例2の磁気ヘッドの製造工程を示す断面図。
【図12】本発明に係る磁気ヘッドを搭載した磁気ヘッドアセンブリの斜視図。
【図13】本発明に係る磁気ヘッドを搭載した磁気記録再生装置の斜視図。
【符号の説明】
1…下部磁気シールド、2…上部磁気シールド、2p…突出部、3…磁気抵抗効果膜、3f…フリー層、4a、4b…ハードバイアス膜(および電極)、5…フラックスガイド、11…下部磁気シールド、12…絶縁層、13…磁気抵抗効果膜、14…レジストパターン、15…絶縁層、16…上部磁気シールド、21…絶縁層、22…軟磁性層、23…絶縁層、24…上部磁気シールド。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a magnetic head for detecting a signal recorded on a magnetic recording medium, and a magnetic head assembly and a magnetic recording / reproducing apparatus using the same.
[0002]
[Prior art]
2. Description of the Related Art In recent years, magnetic recording devices such as hard disk devices have rapidly become smaller and higher in density, and are expected to have even higher densities in the future. In order to increase the density in magnetic recording, it is necessary to increase the recording density in the longitudinal direction, that is, to increase the recording density in the longitudinal direction, that is, to increase the recording density in the longitudinal direction.
[0003]
FIG. 1 is a partially cutaway perspective view showing a reproducing magnetic head using a general giant magnetoresistive film (GMR film). This figure shows a reproducing magnetic head arranged above a magnetic recording medium. FIG. 1 shows a track T of a magnetic recording medium. A magnetoresistive film 3 is provided on the medium facing surface (ABS) side of the gap between the lower magnetic shield 1 and the upper magnetic shield 2. The magnetoresistive film 3 has a laminated structure of an antiferromagnetic layer, a pinned layer (pinned layer), a nonmagnetic intermediate layer, and a free layer (free layer). Hard bias films (and electrodes) 4a and 4b are provided at both ends of the magnetoresistive film 3 along the track width direction.
[0004]
To increase the linear recording density, it is necessary to reduce the gap length G. To increase the recording track density, it is necessary to reduce the track width W. However, when such a design is performed for a high recording density, the magnetic flux from the medium signal magnetization flowing into the magnetoresistive effect film 3 decreases, and as a result, the output of the reproducing magnetic head decreases. In order to compensate for the decrease in the reproduction output, it is necessary to improve the performance of the magnetoresistive film or to increase the reproduction efficiency of the entire magnetic head.
[0005]
As a measure for increasing the reproduction efficiency of a magnetic head, a technique of providing a flux guide is known (for example, see Patent Document 1). FIG. 2 shows a sectional view of an example of a magnetic head having a flux guide. On the medium facing surface (ABS) side of the gap between the lower magnetic shield 1 and the upper magnetic shield 2, a magnetoresistive film including a free layer 3f (other layers included in the magnetoresistive film are not shown). Is provided. A flux guide 5 made of a soft magnetic material such as NiFe is formed at a distance d away from the free layer 3f when viewed from the medium facing surface. By providing the flux guide 5 as shown in FIG. 2, the magnetic flux can be guided to the deep side of the free layer 3f, which is advantageous for securing the sensitivity.
[0006]
The effect of providing the flux guide will be described with reference to FIG. This diagram shows the relationship between the distance from the medium facing surface inside the free layer and the change in magnetization of the free layer when a magnetic flux flows. Without the flux guide, the magnetic flux does not flow deeper than the far end of the free layer when viewed from the medium facing surface, so that there is no change in magnetization when the magnetic flux flows in this part, that is, the sensitivity is zero. . On the other hand, when the flux guide is provided as shown in FIG. 2, the magnetic flux flows from the free layer to the flux guide, so that sensitivity can be obtained even at the end on the deep side of the free layer. As described above, the magnetic flux easily flows through the entire free layer, and the overall reproduction sensitivity is improved.
[0007]
Next, the dependence of the reproduction sensitivity on the distance d between the free layer and the flux guide will be described with reference to FIG. This figure shows the relationship between the distance d between the free layer and the flux guide and the normalized output (corresponding to the reproduction sensitivity) in a magnetic head having a free layer made of NiFe having a thickness of 5 nm and a flux guide having a predetermined thickness. The result of simulating the relationship is shown.
[0008]
When the thickness t g of the flux guide is equal to the thickness t f of the free layer (t g = t f ), the rise rate of the normalized output is about 60% when d = 0, but is about 30% when d = 2 nm. And the effect of the flux guide is reduced by about half. For this reason, the interval d is preferably smaller than 2 nm. However, it is very difficult to control the distance d to 2 nm or less. When the interval d is set to zero, the sense current flowing through the free layer flows into the flux guide, and the read sensitivity is actually lowered.
[0009]
The above problem can be alleviated by thickening than the thickness t g of the flux guide to the thickness t f of the free layer. FIG 4 shows the normalized output if the thickness t g of the flux guide to three times the thickness t f of the free layer (t g = 3t f). In this case, the effect of the flux guide becomes about half when the distance d between the free layer and the flux guide is about 6 nm, which is a sufficiently controllable distance.
[0010]
However, similarly to the free layer, it is necessary to control the magnetic domain by the bias magnetic field from the bias film, and when the flux guide is thick, the magnetic domain control becomes difficult. If the magnetic domain of the flux guide cannot be controlled well, a baseline shift occurs as shown in the reproduction waveform of FIG. 5, which has a significant effect on the reproduction error rate.
[0011]
These difficulties have hindered the practical use of magnetic heads incorporating flux guides.
[0012]
[Patent Document 1]
JP-A-8-339514
[Problems to be solved by the invention]
An object of the present invention is to provide a magnetic head capable of improving the reproduction sensitivity without causing a base line shift of a reproduction waveform.
[0014]
[Means for Solving the Problems]
The magnetic head according to the present invention includes a magnetoresistive film including a free layer whose magnetization direction changes in response to an external magnetic field, a bias film for stabilizing the magnetoresistive film, and a current flowing through the magnetoresistive film. And a lower magnetic shield provided above and below the magnetoresistive film, wherein the upper and lower magnetic shields are viewed from a medium facing surface. A protruding portion protruding toward the other magnetic shield is formed on a part of the magnetic shield or the lower magnetic shield, and a distance between an end surface of the protruding portion and an end surface of the free layer is 1 nm or more and a thickness of the free layer is smaller than 1 nm. It is characterized by being less than twice.
[0015]
In the magnetic head of the present invention, the projection of the upper magnetic shield or the lower magnetic shield may be connected to the other magnetic shield at a position deeper than the free layer when viewed from the medium facing surface.
[0016]
A magnetic head assembly according to the present invention includes the above magnetic head.
[0017]
A magnetic recording / reproducing apparatus according to the present invention includes the above magnetic head.
[0018]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
FIG. 6 is a sectional view of a magnetic head according to an embodiment of the present invention. On the medium facing surface (ABS) side of the gap between the lower magnetic shield 1 and the upper magnetic shield 2, a magnetoresistive film including a free layer 3f (other layers included in the magnetoresistive film are not shown). Is provided. In this figure, a protruding portion 2p protruding toward the lower magnetic shield 1 is formed in a part of the upper magnetic shield 2 on the back side of the free layer 3f when viewed from the medium facing surface, and the protruding portion 2p The end face and the end face of the free layer 3f are separated by a distance d. In this magnetic head, the protruding portion 2p of the upper magnetic shield 2 functions as a flux guide, and has an effect of improving the reproduction sensitivity. In addition, it goes without saying that a projecting portion projecting toward the upper magnetic shield 2 may be formed in a part of the lower magnetic shield 1.
[0019]
FIG. 4 shows the effect of the magnetic head according to the present invention. As shown in this figure, in the magnetic head of the present invention, even if the distance d between the end face of the protruding portion 2p of the upper magnetic shield 2 and the end face of the free layer 3f becomes large, the normalized output (reproduction sensitivity) is not improved. (Equivalent) is smaller than before. This is for the following reasons.
[0020]
That is, in the magnetic head of FIG. 6, since the magnetic flux from the end of the free layer flows into the protrusion of the magnetic shield having a larger volume than the conventional flux guide, the read sensitivity is improved as compared with the case where the flux guide is provided. I do. For this reason, the dependence of the reproduction sensitivity on the distance d between the protrusion of the magnetic shield and the free layer is reduced. In addition, the volume of the projecting portion of the magnetic shield into which the magnetic flux flows in from the free layer end is large, and the magnetic domain is not disturbed without performing the magnetic domain control unlike the conventional flux guide. No adverse effects.
[0021]
Although not shown in FIG. 6, similarly to FIG. 1, hard bias films are provided on both ends of the magnetoresistive film along the track width direction. When a hard bias film and an electrode are stacked, a sense current is applied in parallel to the surface of the magnetoresistive film (CIP type). On the other hand, when electrodes are provided above and below the magnetoresistive film, a sense current is applied perpendicularly to the film surface of the magnetoresistive film (CPP type). The structure shown in FIG. 6 can be applied to both CIP and CPP magnetoresistive films.
[0022]
As shown in FIG. 7, the protrusion amount p of the protrusion 2p of the upper magnetic shield 2 is sufficient if the protrusion surface of the protrusion 2p protrudes beyond the center of the free layer 3f toward the lower magnetic shield 1. .
[0023]
As shown in FIG. 8, the protruding portion 2p of the upper magnetic shield 2 may be formed not in the entire region of the upper magnetic shield 2 behind the free layer 3f but in only a part of the region.
[0024]
As shown in FIG. 9, the protrusion 2p of the upper magnetic shield 2 and the lower magnetic shield 1 may be connected. However, in this case, since the upper and lower magnetic shields are short-circuited, applicable magnetoresistive elements are limited to the CIP type in which a sense current flows in parallel to the film surface.
[0025]
Next, the distance d between the magnetic shield protrusion and the free layer in the magnetic head according to the present invention will be described. First, since it is necessary to ensure insulation between the magnetic shield protruding portion and the free layer, the distance d between them must be about 1 nm or more. On the other hand, as shown in FIG. 4, when the distance d between the magnetic shield protrusion and the free layer increases, the effect of improving the reproduction sensitivity decreases. However, when a free layer having a thickness of 5 nm is used, the effect of improving the reproduction sensitivity is reduced to about half when the distance d is reduced to about 10 nm. Therefore, if the distance d between the magnetic shield protruding portion and the free layer is not more than twice the thickness of the free layer, and more preferably not more than one time, the effect of improving the read sensitivity can be obtained.
[0026]
【Example】
Hereinafter, embodiments of the present invention will be described with reference to the drawings. In the following embodiments, a magnetic head is manufactured using a method capable of controlling the distance between the magnetic shield protrusion and the free layer well.
[0027]
Example 1
With reference to the cross-sectional views shown in FIGS. 10A to 10D, a method of manufacturing a magnetic head according to the present embodiment will be described.
[0028]
A lower magnetic shield 11 and an insulating layer 12 are formed on a substrate (not shown), and a magnetoresistive film 13 including an antiferromagnetic layer, a pinned layer, a nonmagnetic intermediate layer, and a free layer is formed thereon. A resist is applied thereon, and is patterned by using a lithography technique to form a resist pattern 14 (FIG. 10A).
[0029]
Using the resist pattern 14 as a mask, the pattern is transferred to the magnetoresistive film 13 and the insulating layer 12 by milling. At this time, the angle (θ2) of the end face of the magnetoresistive film 13 is determined according to the milling angle (θ1) and the shape of the resist pattern 14. After that, the resist pattern 14 is peeled off (FIG. 10B).
[0030]
Next, the insulating layer 15 is formed. At this time, the thickness (t1) of the insulating layer 15 formed on the end surface of the magnetoresistive film 13 and the insulating layer formed on the flat portion are determined according to the film forming conditions and the end surface angle (θ2) of the magnetoresistive film 13. The thickness (t2) of No. 15 is determined (FIG. 10C).
[0031]
An upper magnetic shield 16 is formed on the insulating layer 15. As a result, a protrusion of the upper magnetic shield 16 is formed at a step between the insulating layer 12, the magnetoresistive film 13, and the insulating layer 15. Thereafter, the medium facing surface is wrapped (FIG. 10D).
[0032]
Thus, by controlling the milling conditions such as the resist shape and the milling angle (θ1), the end face angle (θ2) of the magnetoresistive effect film, and the film forming conditions of the insulating layer that insulates the magnetoresistive effect film from the upper magnetic shield, are controlled. The distance d (= distance t1) between the end face of the protrusion of the upper magnetic shield and the end face of the free layer can be controlled well.
[0033]
Example 2
With reference to the sectional views shown in FIGS. 11A to 11D, a method of manufacturing the magnetic head according to the present embodiment will be described.
[0034]
As in the first embodiment, a lower magnetic shield 11 and an insulating layer 12 are formed on a substrate (not shown), and a magnetoresistive film including an antiferromagnetic layer, a pinned layer, a nonmagnetic intermediate layer, and a free layer is formed thereon. 13 is formed. A resist is applied thereon and patterned by using a lithography technique to form a resist pattern 14. Using the resist pattern 14 as a mask, the pattern is transferred to the magnetoresistive film 13 and the insulating layer 12 by milling (FIG. 11A).
[0035]
Next, without removing the resist pattern 14, an insulating layer 21 having a thickness t3 is formed, and a soft magnetic layer 22 is formed so as to be higher than the upper surface of the magnetoresistive effect film 13 (FIG. 11B). ).
[0036]
The resist pattern 14 is removed, and an insulating layer 23 is formed on the magnetoresistive film 13 and the soft magnetic layer 22 (FIG. 11C).
[0037]
The insulating layer 23 and the soft magnetic layer 22 are lapped and flattened to the position indicated by the broken line in FIG. Further, an upper magnetic shield 24 is formed on the insulating layer 23 and the soft magnetic layer 22. As a result, the soft magnetic film 22 becomes a protrusion of the upper magnetic shield 24. Thereafter, the medium facing surface is wrapped (FIG. 11D).
[0038]
In this embodiment, the thickness (t3) of the insulating layer 21 formed on the end face of the magnetoresistive film 13 corresponds to the distance d between the end face of the protrusion of the upper magnetic shield and the end face of the free layer. For this reason, although the manufacturing method is more complicated than in the first embodiment, the controllability of the interval d is improved and the performance such as output characteristics is stabilized.
[0039]
Next, a magnetic head assembly equipped with the magnetic head according to the present invention and a magnetic recording / reproducing apparatus will be described.
[0040]
FIG. 12 is a perspective view of a magnetic head assembly equipped with the magnetic head according to the present invention as viewed from the disk side. The actuator arm 201 is provided with a hole for mounting on a pivot in the magnetic disk device, and has a bobbin for holding a drive coil (not shown). A suspension 202 is fixed to one end of the actuator arm 201. At the tip of the suspension 202, a head slider 203 on which the above-described magnetic head is mounted is attached. A lead wire 204 for writing and reading signals is wired to the suspension 202. One end of the lead wire 204 is connected to each electrode of the magnetic head incorporated in the head slider 203, and the other end of the lead wire 204 is connected to the suspension 202. It is connected to the electrode pad 205.
[0041]
FIG. 13 is a perspective view showing the internal structure of a magnetic recording / reproducing device (magnetic disk device) equipped with the magnetic head assembly shown in FIG. The magnetic disk 211 is mounted on a spindle 212 and rotates in response to a control signal from a drive controller (not shown). The actuator arm 201 shown in FIG. 12 is mounted on a pivot 213, is held by ball bearings (not shown) provided at two positions above and below the pivot 213, and supports the suspension 202 and the head slider 203 at the tip thereof. At the base end of the actuator arm 201, a voice coil motor 214, which is a kind of linear motor, is provided. The voice coil motor 214 includes a drive coil (not shown) wound around a bobbin portion of the actuator arm 201, and a magnetic circuit including a permanent magnet and an opposing yoke, which are opposed to each other so as to sandwich the coil. The actuator arm 201 can be freely rotated and slid by the voice coil motor 214. When the magnetic disk 211 rotates, the magnetic head mounted on the head slider 203 is held with its medium facing surface floating above the surface of the magnetic disk 211 by a predetermined amount, so that information can be recorded and reproduced.
[0042]
【The invention's effect】
As described in detail above, according to the present invention, it is possible to provide a magnetic head capable of improving the reproduction sensitivity without causing a baseline shift of a reproduction waveform, and a magnetic head assembly and a magnetic recording / reproducing apparatus using the same. .
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a partially cutaway perspective view of a reproducing magnetic head using a GMR film.
FIG. 2 is a cross-sectional view of a conventional magnetic head having a flux guide.
FIG. 3 is a diagram showing a relationship between a distance from a medium facing surface inside a free layer and a change in magnetization of the free layer when a magnetic flux flows.
FIG. 4 is a diagram showing the dependence of the reproduction sensitivity on the distance d between the free layer and the flux guide.
FIG. 5 is a diagram illustrating a baseline shift.
FIG. 6 is a sectional view of a magnetic head according to an embodiment of the present invention.
FIG. 7 is a sectional view of a magnetic head according to another embodiment of the present invention.
FIG. 8 is a sectional view of a magnetic head according to another embodiment of the present invention.
FIG. 9 is a sectional view of a magnetic head according to another embodiment of the present invention.
FIG. 10 is a sectional view showing the manufacturing process of the magnetic head of the first embodiment.
FIG. 11 is a sectional view showing a manufacturing step of the magnetic head of the second embodiment.
FIG. 12 is a perspective view of a magnetic head assembly equipped with the magnetic head according to the present invention.
FIG. 13 is a perspective view of a magnetic recording / reproducing apparatus equipped with the magnetic head according to the present invention.
[Explanation of symbols]
DESCRIPTION OF SYMBOLS 1 ... Lower magnetic shield, 2 ... Upper magnetic shield, 2p ... Projection, 3 ... Magnetoresistance effect film, 3f ... Free layer, 4a, 4b ... Hard bias film (and electrode), 5 ... Flux guide, 11 ... Lower magnetism Shield, 12 insulating layer, 13 magnetoresistive film, 14 resist pattern, 15 insulating layer, 16 upper magnetic shield, 21 insulating layer, 22 soft magnetic layer, 23 insulating layer, 24 upper magnetic shield.