JP2004262799A - 新規抗腫瘍剤ソブリドチンの三次元立体構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】チューブリン重合阻害作用機序の解明のための化合物及びNMRデータの提供。
【解決手段】特定の三次元立体構造を有するソブリドチン及びそのNMRデータを、ソブリドチンとチューブリンとの相互作用機序の解明に使用する。
【選択図】 なし
【解決手段】特定の三次元立体構造を有するソブリドチン及びそのNMRデータを、ソブリドチンとチューブリンとの相互作用機序の解明に使用する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ソブリドチンのNMRデータによって同定される三次元立体構造を有する化合物に関する。また、本発明は、ソブリドチンの生体内及び生体外における作用機序の解明、特に、ソブリドチンのチューブリンに対する重合阻害作用の機序の解明に有用なNMRデータに関する。
【0002】
【従来の技術】
ソブリドチン(Soblidotin、化学名:N2−(N,N−dimethyl−L−val yl)−N1−[(1S,2R)−2−methoxy−4−[(2S)−2−[(1R,2R)−1−methoxy−2−methyl−3−oxo−3−[(2−phenylethyl)amino]propyl]−1−pyrrolidinyl]−1−[(1S)−1−methylpropyl]−4−oxobutyl]−N1−methyl−L−valinamideはDolabella auricularia(タツナミガイ)から単離されたDolastatin 10の誘導体であり、式(I)の化学構造を有する新規な抗悪性腫瘍剤である(非特許文献1及び2参照)。ソブリドチンは細胞の分裂期(G2/M期)においてチューブリンに作用し、その重合を阻害してDNAの断片化や核の断片化を伴うアポトーシスを誘導することにより抗悪性腫瘍活性を示す。
【0003】
ソブリドチンの他に、チューブリンに作用してアポトーシスを誘導する抗悪性腫瘍剤としては、チューブリン重合阻害剤として、酒石酸ビノレルビン(本邦では「ナベルビン」で協和醗酵工業株式会社により販売)、硫酸ビンクリスチン(本邦では「オンコビン」で塩野義製薬株式会社により販売)、硫酸ビンデシン(本邦では「フィルデシン」で塩野義製薬株式会社により販売)及び硫酸ビンブラスチン(本邦では「エクザール」で塩野義製薬株式会社により販売)などのビンカアルカロイド系抗悪性腫瘍剤が、また、チューブリン重合促進剤として、ドセタキセル水和物(本邦では「タキソテール」でアベンティス ファーマ株式会社により販売)及びパクリタキセル(本邦では「タキソール」でブリストル製薬株式会社により販売)などのタキソイド系抗悪性腫瘍剤が知られている。
【0004】
Dolantatin 10を含む、これらチューブリン作用化合物のチューブリンに対する作用機序の解明については、Dolastatin 10の立体構造(非特許文献3及び4参照)及びタキソールを結合させた状態で単離したチューブリンの結晶(非特許文献5参照)が報告されている。しかしながら、ソブリドチンについては、そのチューブリンに対する作用機序の分子的解明は殆んどなされていない。
【0005】
一方、薬物と受容体等の薬物作用対象物質との相互作用機序の解明には、薬物自身の三次元立体構造も大きな意味をもつが、これについても、Dolastatin 10に結合した状態のタキソールの三次元立体構造が示されている(非特許文献3及び4参照)のみで、チューブリン重合阻害作用を有するその他のドラスタチン誘導体についての三次元立体構造は、これまで全く示されていない。
【0006】
化合物の三次元立体構造を決定する方法の中で最も頻繁に用いられる方法の一つにX線結晶構造解析がある。しかしながら、この方法は、化合物を結晶として取り出す必要があるため、結晶化しない化合物の三次元立体構造の決定には使用することができない。また、その結晶が、たとえ化合物とその作用対象物質との結合物であったとしても、その結晶状態が実際の薬物作用の状況 を表す状態であるとは限らないため、その結晶状態をもって、分子間相互作用のような、いわば分子の動的な状態を解析することには適していない。
【0007】
NMRも、化合物の三次元立体構造を決定するために用いられる方法の一つとして挙げることができる。NMRは、主として、溶液や生体中における分子の化学構造を決定するものであるが、分子内原子間の相互作用の状況をも観察することで、分子の三次元立体構造に関する情報を得ることができる。しかしながら、分子によっては、分子を構成する各原子の帰属ができなかったり、分子内原子間相互作用が観察されないこともある。そのような場合は、NMRから分子の三次元立体構造を決定することは非常に困難となる。
【0008】
【非特許文献1】
Jpn. J. Cancer Res., 88, 316−327(1997)
【0009】
【非特許文献2】
Jpn. J. Cancer Res., 91, 737−747(2000)
【0010】
【非特許文献3】
Tetrahedron, Vol. 51, No. 9, pp. 2593−2604, 1995
【0011】
【非特許文献4】
Biopolymers, Vol. 36, 525−538(1995)
【0012】
【非特許文献5】
Nature, 391, 199−203(1998)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、特定の三次元立体構造を有するソブリドチンを提供することである。また、本発明の別の目的は、ソブリドチンの作用機序、特に、ソブリドチンとチューブリンとの相互作用機序の解明に有用となるソブリドチンのNMRデータを提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ソブリドチンのNMRを従来より行われていた測定方法にて測定していたところ、ソブリドチンが特定の三次元立体構造を有することを示唆する知見を得た。そこで、NMR測定条件をさらに鋭意検討して精密に測定したところ、ソブリドチンが特定の三次元立体構造を有することを示す詳細なNMRデータを得ることができた。さらに、この詳細なNMRデータを基にしてソブリドチンを三次元立体構造化し、本発明を完成させた。
【0015】
しかして、本発明によれば、表1乃至表8に記載のNMRデータによって同定される三次元立体構造を有する式(I)
【0016】
【化2】
【0017】
の化合物が提供される。
【0018】
また、本発明によれば、表9又は表10の三次元座標によって特定される三次元立体構造を有する式(I)の化合物が提供される。
【0019】
さらに、本発明によれば、式(I)の化合物の作用機序、特に、式(I)の化合物のチューブリンに対する重合阻害作用の機序の解明に使用するための、表1乃至表8に記載のNMRデータが提供される。
【0020】
本発明の三次元立体構造を有する化合物には、表1乃至表8のNMRデータによって同定される三次元立体構造を有する全ての化合物が包含され、典型的には、表9又は表10の三次元座標によって特定される三次元立体構造を有する化合物が挙げられる。
【0021】
また、本明細書において、conformerI及びconformerIIはそれぞれ表9及び表10の三次元座標によって特定される三次元立体構造を意味し、それぞれをコンピューターディスプレイ上に示したものが図1及び図2である。conformerI及びconformerIIは、下記の化学構造式において番号11で示される窒素原子と番号12で示される炭素原子とのアミド結合がトランソイドか若しくはシソイドかによって大まかに区別される回転異性体であると見ることもできる。
【0022】
本明細書において、ソブリドチンは化学名:N2−(N,N−dimethyl−L−valyl)−N1−[(1S,2R)−2−methoxy−4−[(2S)−2−[(1R,2R)−1−methoxy−2−methyl−3−oxo−3−[(2−phenylethyl)amino]propyl]−1−pyrrolidinyl]−1−[(1S)−1−methylpropyl]−4−oxobutyl]−N1−methyl−L−valinamideで表される式(I)の化合物を表す。ソブリドチンは生体内及び生体外において種々の作用を奏する化合物であって、ソブリドチンの好ましい作用としては、抗悪性腫瘍作用を挙げることができる。また、ソブリドチンの特に好ましい作用は、チューブリン重合阻害作用である。
【0023】
しかして、本明細書において、「式(I)の化合物のチューブリンに対する重合阻害作用」とは、細胞の分裂期(G2/M期)におけるチューブリンの重合を阻害する作用を表し、「式(I)の化合物のチューブリンに対する重合阻害作用の機序の解明」とは、ソブリドチンが細胞の分裂期(G2/M期)においてチューブリンに作用する様子を観察し、その作用機序を解明すること を表す。
以下の表1乃至表8に本発明のNMRデータを記載し、表9及び表10に本発明の典型的な三次元立体構造を有する化合物の三次元座標を記載する。なお、表1乃至表10において、Atomsの欄の番号は下記構造上の原子に付した番号を表す。
【0024】
【化3】
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
【表3】
【0028】
【表4】
【0029】
【表5】
【0030】
【表6】
【0031】
【表7】
【0032】
【表8】
【0033】
【表9】
【0034】
【表10】
【0035】
本発明の三次元立体構造を有する化合物の三次元立体構造は、本発明のNMRデータによって同定することができる。また、本発明の三次元立体構造は、SYBYL(登録商標)等の分子設計支援ソフト等を用いてコンピューターディスプレイ上に可視化することができる。
【0036】
さらに、本発明のNMRデータ及び三次元立体構造は、ソブリドチンの作用機序、特にソブリド チンとチューブリンとの相互作用の機序の解明に用いることができる。
【0037】
さらに加えて、本発明のNMRデータ及び三次元立体構造は、チューブリンに作用する新規活性化合物の創製に有益なファーマコフォアの知見を得るために用いることができる。
【0038】
【発明の効果】
本発明により、本発明の三次元立体構造を有する化合物、特にconformerI及びconformerIIの三次元立体構造を有する化合物を得ることができる。これらの化合物から得られる情報により、ソブリドチンの作用機序、特にソブリドチンとチューブリンとの相互作用の機序の解明について更なる研究、例えば、チューブリンに作用する新規活性化合物の創製に有益なファーマコフォアに関する研究を行うことが可能となる。
【0039】
以下、測定例及び実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
【0040】
【測定例】
測定例−1:DMSO溶液中でのソブリドチンの 1 Hに関するNMR測定
測定例−1−1:NMR測定試料の調製
NMR用試料管並びにパスツールピペットは、使用前に予め乾熱乾燥を行った。
ソブリドチン20mgをDMSO−d6 0.75mLに溶解し、これに内部標準物質として10% TMS/CCl4を一滴加えて試料用液とし、試料溶液をNMR試料管に移した。NMR試料管を、真空下、液体窒素による凍結及びアセトンによる溶解を5回繰り返して脱気した後、先端をガスバーナーにより溶封した。
測定例−1−2: 1 H一次元測定
NMR測定機器は、日本電子製400MHz FT−NMR;JNM−ECP400を用いた。また、データ処理は、JNM−ECP 400にインストールされている処理ソフトDelta Software Vr.3.1.2により行った。また、以下の測定例においても、同じ測定機器及び処理ソフトを用いた。
【0041】
測定条件については、測定温度を30℃、測定範囲は6,000Hz、データポイントは16K、積算回数は8回、データ取り込み時間(x acquisition time + relaxation delay time)は7.2秒、90度パルス幅は10.2μsとした。
【0042】
上記の測定条件にて、測定例−1−1で調製したソブリドチンのNMR測定試料を測定し、表1の左側の欄に記載の1H chemical shifts値の帰属をするための1H chemical shiftsのNMRデータを得た。
測定例−1−3: 1 H同種核DQF−COSY測定
測定条件については、測定温度を30℃、測定範囲はF1及びF2とも3,400Hz、データポイントはF1を0.25K、F2を0.5Kとし、積算回数は64回、データ取り込み時間は1.7秒、90度パルス幅は10.2μsとした。
【0043】
上記の測定条件にて、測定例−1−1で調製したソブリドチンのNMR測定試料を測定し、表1の左側の欄に記載の1H chemical shifts値の帰属をするための1H同種核二次元相関のNMRデータを得た。
測定例−1−4: 位相検出型 1 H同種核Exclusive COSY測定
測定条件については、測定温度を30℃、測定範囲はF1及びF2とも2,000Hz、データポイントはF1を1K、F2を2Kとし、積算回数は48回、データ取り込み時間は2.2秒、90度パルス幅は10.2μsとした。
【0044】
上記の測定条件にて、測定例−1−1で調製したソブリドチンのNMR測定試料を測定し、表3に記載の3JHH値のNMRデータを得た。
測定例−1−5:位相検出型 1 H同種核ROESY測定
測定条件については、測定温度を30℃、測定範囲はF1及びF2とも3,400Hz、データポイントはF1を0.25K F2を4Kとし、積算回数は40回、データ取り込み時間は1.65秒、スピンロッキング時間は0.5秒、90度パルス幅は10.2μsとした。
【0045】
上記の測定条件にて、測定例−1−1で調製したソブリドチンのNMR測定試料を測定し、表7に記載の1H同種核二次元NOE相関のNMRデータを得た。
測定例−2:DMSO溶液中でのソブリドチンの 13 Cに関するNMR測定
測定例−2−1: 13 C一次元測定
測定条件については、測定温度を30℃、測定範囲は22,000Hz、データポイントは32K、積算回数は4,096回、データ取り込み時間は11.3秒、90度パルス幅は9.8μsとした。
【0046】
上記の測定条件にて、測定例−1−1で調製したソブリドチンのNMR測定試料を測定し、表1の右側の欄に記載の13C chemical shifts値の帰属をするための13C chemical shiftsのNMRデータを得た。
測定例−2−2:DEPT測定
測定条件については、測定温度を30℃、測定範囲は15,000Hz、データポイントは32K、積算回数は2,048回、データ取り込み時間は3.3秒、90度パルス幅は9.8μsとした。
【0047】
上記の測定条件にて、測定例−1−1で調製したソブリドチンのNMR測定試料を測定し、表1の右側の欄に記載の13C chemical shifts値の帰属をするための13C chemical shiftsのNMRデータを得た。
測定例−2−3:位相検出型 13 C− 1 H COSY測定
測定条件については、測定温度を30℃、測定範囲はF1を3,400Hz、F2を15,000Hzとし、データポイントはF1を0.2K、F2を2Kとした。積算回数は256回、データ取り込み時間は1.7秒、x domainの90度パルス幅は9.8μsとし、y domainの90度パルス幅は10.2μsとした。
【0048】
上記の測定条件にて、測定例−1−1で調製したソブリドチンのNMR測定試料を測定し、表1に記載の chemical shifts値の帰属をするための位相検出型13C−1H異種核二次元相関のNMRデータを得た。
測定例−2−4:HMBC測定
測定条件については、測定温度を30℃、測定範囲はF1を22,000Hz、F2を3,400Hzとし、データポイントはF1を0.5K、F2を1Kとした。積算回数は256回、データ取り込み時間は3.3秒、x domainの90度パルス幅は10.2μsとし、y domainの90度パルス幅は9.8μsとした。
【0049】
上記の測定条件にて、測定例−1−1で調製したソブリドチンのNMR測定試料を測定し、表1に記載の chemical shifts値の帰属をするための1H−13C異種核ロングレンジ二次元相関のNMRデータを得た。
測定例−2−5:J−HMBC 2D測定
測定条件については、測定温度を30℃、測定範囲はF1を22,000Hz、F2を3,400Hzとし、データポイントはF1を1K、F2を4Kとした。積算回数は50回、データ取り込み時間は3.3秒、Constant timeは0.2秒、variable timeは30,50,70,90,110,120,150及び170秒とした。x domainの90度パルス幅は10.2μsとし、y domainの90度パルス幅は9.8μsとした。
【0050】
上記の測定条件にて、測定例−1−1で調製したソブリドチンのNMR測定試料を測定し、表5に記載の3JCH値のNMRデータを得た。
測定例−3:ピリジン溶液中でのソブリドチンの 1 H及び 13 Cに関する NMR 測定
測定例−1と同様にして、ソブリドチンのピリジン−d6試料用液についてNMR測定を行い、表2に記載のchemical shifts値の帰属をするためのデータ並びに表4、表6及び表8に記載のデータを得た。
【0051】
【実施例】
実施例−1:NMRデータから導かれる三次元立体構造の構築
表1乃至表8のNMRデータより、そのスピン結合定数に対応する4原子のなす二面角に基づき、分子設計支援ソフトプログラム:SYBYLを用いて、三次元立体構造を構築した。
【0052】
また、本実施例において構築した立体構造は、本願発明のNOEデータによって示される空間的配置と矛盾しないことを確認した。すなわち、例えば、表7におけるAtom13とAtom10の間に観測されたNOEはTZT−1027がconformerIの立体構造であることを支持しており、Atom13とAtom6及び7の間に観測されたNOEはTZT−1027がconformerIIの立体構造であることを支持している。
実施例−2:三次元座標によって定義される立体構造の構築
表9の三次元座標に基づき、分子設計支援ソフトプログラム:SYBYLを用いて、三次元立体構造を構築した。この立体構造をコンピューターディスプレイ上で可視化し、図1にconformerIとして示した。
【0053】
また、同様にして、表10の三次元座標に基づき三次元立体構造を構築し、図2にconformerIIとして示した。
実施例−3:重合阻害作用機序の解明
チューブリンの立体構造を、非特許文献5の記載等を参考にして、分子設計支援ソフトプログラム:SYBYLを用いてコンピューターディスプレイ上に可視化した。そして、同じ画面上にconformerIの立体構造も可視化した。コンピューター上において、2つの化合物の相互作用状況を種々検討し、ソブリドチンのチューブリンに対する重合阻害作用に関するいくつかの知見を得た。また、conformerIIについても同様に検討して知見を得た。
【0054】
これらの知見をもとに、ソブリドチンの作用機序に関する更なる研究を行っている。
【図面の簡単な説明】
【図1】表9の三次元座標によって特定される三次元立体構造を有する化合物の三次元立体構造をconformerIとしてコンピューターディスプレイ上に可視化させた図。
【図2】表10の三次元座標によって特定される三次元立体構造を有する化合物の三次元立体構造をconformerIIとしてコンピューターディスプレイ上に可視化させた図。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ソブリドチンのNMRデータによって同定される三次元立体構造を有する化合物に関する。また、本発明は、ソブリドチンの生体内及び生体外における作用機序の解明、特に、ソブリドチンのチューブリンに対する重合阻害作用の機序の解明に有用なNMRデータに関する。
【0002】
【従来の技術】
ソブリドチン(Soblidotin、化学名:N2−(N,N−dimethyl−L−val yl)−N1−[(1S,2R)−2−methoxy−4−[(2S)−2−[(1R,2R)−1−methoxy−2−methyl−3−oxo−3−[(2−phenylethyl)amino]propyl]−1−pyrrolidinyl]−1−[(1S)−1−methylpropyl]−4−oxobutyl]−N1−methyl−L−valinamideはDolabella auricularia(タツナミガイ)から単離されたDolastatin 10の誘導体であり、式(I)の化学構造を有する新規な抗悪性腫瘍剤である(非特許文献1及び2参照)。ソブリドチンは細胞の分裂期(G2/M期)においてチューブリンに作用し、その重合を阻害してDNAの断片化や核の断片化を伴うアポトーシスを誘導することにより抗悪性腫瘍活性を示す。
【0003】
ソブリドチンの他に、チューブリンに作用してアポトーシスを誘導する抗悪性腫瘍剤としては、チューブリン重合阻害剤として、酒石酸ビノレルビン(本邦では「ナベルビン」で協和醗酵工業株式会社により販売)、硫酸ビンクリスチン(本邦では「オンコビン」で塩野義製薬株式会社により販売)、硫酸ビンデシン(本邦では「フィルデシン」で塩野義製薬株式会社により販売)及び硫酸ビンブラスチン(本邦では「エクザール」で塩野義製薬株式会社により販売)などのビンカアルカロイド系抗悪性腫瘍剤が、また、チューブリン重合促進剤として、ドセタキセル水和物(本邦では「タキソテール」でアベンティス ファーマ株式会社により販売)及びパクリタキセル(本邦では「タキソール」でブリストル製薬株式会社により販売)などのタキソイド系抗悪性腫瘍剤が知られている。
【0004】
Dolantatin 10を含む、これらチューブリン作用化合物のチューブリンに対する作用機序の解明については、Dolastatin 10の立体構造(非特許文献3及び4参照)及びタキソールを結合させた状態で単離したチューブリンの結晶(非特許文献5参照)が報告されている。しかしながら、ソブリドチンについては、そのチューブリンに対する作用機序の分子的解明は殆んどなされていない。
【0005】
一方、薬物と受容体等の薬物作用対象物質との相互作用機序の解明には、薬物自身の三次元立体構造も大きな意味をもつが、これについても、Dolastatin 10に結合した状態のタキソールの三次元立体構造が示されている(非特許文献3及び4参照)のみで、チューブリン重合阻害作用を有するその他のドラスタチン誘導体についての三次元立体構造は、これまで全く示されていない。
【0006】
化合物の三次元立体構造を決定する方法の中で最も頻繁に用いられる方法の一つにX線結晶構造解析がある。しかしながら、この方法は、化合物を結晶として取り出す必要があるため、結晶化しない化合物の三次元立体構造の決定には使用することができない。また、その結晶が、たとえ化合物とその作用対象物質との結合物であったとしても、その結晶状態が実際の薬物作用の状況 を表す状態であるとは限らないため、その結晶状態をもって、分子間相互作用のような、いわば分子の動的な状態を解析することには適していない。
【0007】
NMRも、化合物の三次元立体構造を決定するために用いられる方法の一つとして挙げることができる。NMRは、主として、溶液や生体中における分子の化学構造を決定するものであるが、分子内原子間の相互作用の状況をも観察することで、分子の三次元立体構造に関する情報を得ることができる。しかしながら、分子によっては、分子を構成する各原子の帰属ができなかったり、分子内原子間相互作用が観察されないこともある。そのような場合は、NMRから分子の三次元立体構造を決定することは非常に困難となる。
【0008】
【非特許文献1】
Jpn. J. Cancer Res., 88, 316−327(1997)
【0009】
【非特許文献2】
Jpn. J. Cancer Res., 91, 737−747(2000)
【0010】
【非特許文献3】
Tetrahedron, Vol. 51, No. 9, pp. 2593−2604, 1995
【0011】
【非特許文献4】
Biopolymers, Vol. 36, 525−538(1995)
【0012】
【非特許文献5】
Nature, 391, 199−203(1998)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、特定の三次元立体構造を有するソブリドチンを提供することである。また、本発明の別の目的は、ソブリドチンの作用機序、特に、ソブリドチンとチューブリンとの相互作用機序の解明に有用となるソブリドチンのNMRデータを提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ソブリドチンのNMRを従来より行われていた測定方法にて測定していたところ、ソブリドチンが特定の三次元立体構造を有することを示唆する知見を得た。そこで、NMR測定条件をさらに鋭意検討して精密に測定したところ、ソブリドチンが特定の三次元立体構造を有することを示す詳細なNMRデータを得ることができた。さらに、この詳細なNMRデータを基にしてソブリドチンを三次元立体構造化し、本発明を完成させた。
【0015】
しかして、本発明によれば、表1乃至表8に記載のNMRデータによって同定される三次元立体構造を有する式(I)
【0016】
【化2】
【0017】
の化合物が提供される。
【0018】
また、本発明によれば、表9又は表10の三次元座標によって特定される三次元立体構造を有する式(I)の化合物が提供される。
【0019】
さらに、本発明によれば、式(I)の化合物の作用機序、特に、式(I)の化合物のチューブリンに対する重合阻害作用の機序の解明に使用するための、表1乃至表8に記載のNMRデータが提供される。
【0020】
本発明の三次元立体構造を有する化合物には、表1乃至表8のNMRデータによって同定される三次元立体構造を有する全ての化合物が包含され、典型的には、表9又は表10の三次元座標によって特定される三次元立体構造を有する化合物が挙げられる。
【0021】
また、本明細書において、conformerI及びconformerIIはそれぞれ表9及び表10の三次元座標によって特定される三次元立体構造を意味し、それぞれをコンピューターディスプレイ上に示したものが図1及び図2である。conformerI及びconformerIIは、下記の化学構造式において番号11で示される窒素原子と番号12で示される炭素原子とのアミド結合がトランソイドか若しくはシソイドかによって大まかに区別される回転異性体であると見ることもできる。
【0022】
本明細書において、ソブリドチンは化学名:N2−(N,N−dimethyl−L−valyl)−N1−[(1S,2R)−2−methoxy−4−[(2S)−2−[(1R,2R)−1−methoxy−2−methyl−3−oxo−3−[(2−phenylethyl)amino]propyl]−1−pyrrolidinyl]−1−[(1S)−1−methylpropyl]−4−oxobutyl]−N1−methyl−L−valinamideで表される式(I)の化合物を表す。ソブリドチンは生体内及び生体外において種々の作用を奏する化合物であって、ソブリドチンの好ましい作用としては、抗悪性腫瘍作用を挙げることができる。また、ソブリドチンの特に好ましい作用は、チューブリン重合阻害作用である。
【0023】
しかして、本明細書において、「式(I)の化合物のチューブリンに対する重合阻害作用」とは、細胞の分裂期(G2/M期)におけるチューブリンの重合を阻害する作用を表し、「式(I)の化合物のチューブリンに対する重合阻害作用の機序の解明」とは、ソブリドチンが細胞の分裂期(G2/M期)においてチューブリンに作用する様子を観察し、その作用機序を解明すること を表す。
以下の表1乃至表8に本発明のNMRデータを記載し、表9及び表10に本発明の典型的な三次元立体構造を有する化合物の三次元座標を記載する。なお、表1乃至表10において、Atomsの欄の番号は下記構造上の原子に付した番号を表す。
【0024】
【化3】
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
【表3】
【0028】
【表4】
【0029】
【表5】
【0030】
【表6】
【0031】
【表7】
【0032】
【表8】
【0033】
【表9】
【0034】
【表10】
【0035】
本発明の三次元立体構造を有する化合物の三次元立体構造は、本発明のNMRデータによって同定することができる。また、本発明の三次元立体構造は、SYBYL(登録商標)等の分子設計支援ソフト等を用いてコンピューターディスプレイ上に可視化することができる。
【0036】
さらに、本発明のNMRデータ及び三次元立体構造は、ソブリドチンの作用機序、特にソブリド チンとチューブリンとの相互作用の機序の解明に用いることができる。
【0037】
さらに加えて、本発明のNMRデータ及び三次元立体構造は、チューブリンに作用する新規活性化合物の創製に有益なファーマコフォアの知見を得るために用いることができる。
【0038】
【発明の効果】
本発明により、本発明の三次元立体構造を有する化合物、特にconformerI及びconformerIIの三次元立体構造を有する化合物を得ることができる。これらの化合物から得られる情報により、ソブリドチンの作用機序、特にソブリドチンとチューブリンとの相互作用の機序の解明について更なる研究、例えば、チューブリンに作用する新規活性化合物の創製に有益なファーマコフォアに関する研究を行うことが可能となる。
【0039】
以下、測定例及び実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
【0040】
【測定例】
測定例−1:DMSO溶液中でのソブリドチンの 1 Hに関するNMR測定
測定例−1−1:NMR測定試料の調製
NMR用試料管並びにパスツールピペットは、使用前に予め乾熱乾燥を行った。
ソブリドチン20mgをDMSO−d6 0.75mLに溶解し、これに内部標準物質として10% TMS/CCl4を一滴加えて試料用液とし、試料溶液をNMR試料管に移した。NMR試料管を、真空下、液体窒素による凍結及びアセトンによる溶解を5回繰り返して脱気した後、先端をガスバーナーにより溶封した。
測定例−1−2: 1 H一次元測定
NMR測定機器は、日本電子製400MHz FT−NMR;JNM−ECP400を用いた。また、データ処理は、JNM−ECP 400にインストールされている処理ソフトDelta Software Vr.3.1.2により行った。また、以下の測定例においても、同じ測定機器及び処理ソフトを用いた。
【0041】
測定条件については、測定温度を30℃、測定範囲は6,000Hz、データポイントは16K、積算回数は8回、データ取り込み時間(x acquisition time + relaxation delay time)は7.2秒、90度パルス幅は10.2μsとした。
【0042】
上記の測定条件にて、測定例−1−1で調製したソブリドチンのNMR測定試料を測定し、表1の左側の欄に記載の1H chemical shifts値の帰属をするための1H chemical shiftsのNMRデータを得た。
測定例−1−3: 1 H同種核DQF−COSY測定
測定条件については、測定温度を30℃、測定範囲はF1及びF2とも3,400Hz、データポイントはF1を0.25K、F2を0.5Kとし、積算回数は64回、データ取り込み時間は1.7秒、90度パルス幅は10.2μsとした。
【0043】
上記の測定条件にて、測定例−1−1で調製したソブリドチンのNMR測定試料を測定し、表1の左側の欄に記載の1H chemical shifts値の帰属をするための1H同種核二次元相関のNMRデータを得た。
測定例−1−4: 位相検出型 1 H同種核Exclusive COSY測定
測定条件については、測定温度を30℃、測定範囲はF1及びF2とも2,000Hz、データポイントはF1を1K、F2を2Kとし、積算回数は48回、データ取り込み時間は2.2秒、90度パルス幅は10.2μsとした。
【0044】
上記の測定条件にて、測定例−1−1で調製したソブリドチンのNMR測定試料を測定し、表3に記載の3JHH値のNMRデータを得た。
測定例−1−5:位相検出型 1 H同種核ROESY測定
測定条件については、測定温度を30℃、測定範囲はF1及びF2とも3,400Hz、データポイントはF1を0.25K F2を4Kとし、積算回数は40回、データ取り込み時間は1.65秒、スピンロッキング時間は0.5秒、90度パルス幅は10.2μsとした。
【0045】
上記の測定条件にて、測定例−1−1で調製したソブリドチンのNMR測定試料を測定し、表7に記載の1H同種核二次元NOE相関のNMRデータを得た。
測定例−2:DMSO溶液中でのソブリドチンの 13 Cに関するNMR測定
測定例−2−1: 13 C一次元測定
測定条件については、測定温度を30℃、測定範囲は22,000Hz、データポイントは32K、積算回数は4,096回、データ取り込み時間は11.3秒、90度パルス幅は9.8μsとした。
【0046】
上記の測定条件にて、測定例−1−1で調製したソブリドチンのNMR測定試料を測定し、表1の右側の欄に記載の13C chemical shifts値の帰属をするための13C chemical shiftsのNMRデータを得た。
測定例−2−2:DEPT測定
測定条件については、測定温度を30℃、測定範囲は15,000Hz、データポイントは32K、積算回数は2,048回、データ取り込み時間は3.3秒、90度パルス幅は9.8μsとした。
【0047】
上記の測定条件にて、測定例−1−1で調製したソブリドチンのNMR測定試料を測定し、表1の右側の欄に記載の13C chemical shifts値の帰属をするための13C chemical shiftsのNMRデータを得た。
測定例−2−3:位相検出型 13 C− 1 H COSY測定
測定条件については、測定温度を30℃、測定範囲はF1を3,400Hz、F2を15,000Hzとし、データポイントはF1を0.2K、F2を2Kとした。積算回数は256回、データ取り込み時間は1.7秒、x domainの90度パルス幅は9.8μsとし、y domainの90度パルス幅は10.2μsとした。
【0048】
上記の測定条件にて、測定例−1−1で調製したソブリドチンのNMR測定試料を測定し、表1に記載の chemical shifts値の帰属をするための位相検出型13C−1H異種核二次元相関のNMRデータを得た。
測定例−2−4:HMBC測定
測定条件については、測定温度を30℃、測定範囲はF1を22,000Hz、F2を3,400Hzとし、データポイントはF1を0.5K、F2を1Kとした。積算回数は256回、データ取り込み時間は3.3秒、x domainの90度パルス幅は10.2μsとし、y domainの90度パルス幅は9.8μsとした。
【0049】
上記の測定条件にて、測定例−1−1で調製したソブリドチンのNMR測定試料を測定し、表1に記載の chemical shifts値の帰属をするための1H−13C異種核ロングレンジ二次元相関のNMRデータを得た。
測定例−2−5:J−HMBC 2D測定
測定条件については、測定温度を30℃、測定範囲はF1を22,000Hz、F2を3,400Hzとし、データポイントはF1を1K、F2を4Kとした。積算回数は50回、データ取り込み時間は3.3秒、Constant timeは0.2秒、variable timeは30,50,70,90,110,120,150及び170秒とした。x domainの90度パルス幅は10.2μsとし、y domainの90度パルス幅は9.8μsとした。
【0050】
上記の測定条件にて、測定例−1−1で調製したソブリドチンのNMR測定試料を測定し、表5に記載の3JCH値のNMRデータを得た。
測定例−3:ピリジン溶液中でのソブリドチンの 1 H及び 13 Cに関する NMR 測定
測定例−1と同様にして、ソブリドチンのピリジン−d6試料用液についてNMR測定を行い、表2に記載のchemical shifts値の帰属をするためのデータ並びに表4、表6及び表8に記載のデータを得た。
【0051】
【実施例】
実施例−1:NMRデータから導かれる三次元立体構造の構築
表1乃至表8のNMRデータより、そのスピン結合定数に対応する4原子のなす二面角に基づき、分子設計支援ソフトプログラム:SYBYLを用いて、三次元立体構造を構築した。
【0052】
また、本実施例において構築した立体構造は、本願発明のNOEデータによって示される空間的配置と矛盾しないことを確認した。すなわち、例えば、表7におけるAtom13とAtom10の間に観測されたNOEはTZT−1027がconformerIの立体構造であることを支持しており、Atom13とAtom6及び7の間に観測されたNOEはTZT−1027がconformerIIの立体構造であることを支持している。
実施例−2:三次元座標によって定義される立体構造の構築
表9の三次元座標に基づき、分子設計支援ソフトプログラム:SYBYLを用いて、三次元立体構造を構築した。この立体構造をコンピューターディスプレイ上で可視化し、図1にconformerIとして示した。
【0053】
また、同様にして、表10の三次元座標に基づき三次元立体構造を構築し、図2にconformerIIとして示した。
実施例−3:重合阻害作用機序の解明
チューブリンの立体構造を、非特許文献5の記載等を参考にして、分子設計支援ソフトプログラム:SYBYLを用いてコンピューターディスプレイ上に可視化した。そして、同じ画面上にconformerIの立体構造も可視化した。コンピューター上において、2つの化合物の相互作用状況を種々検討し、ソブリドチンのチューブリンに対する重合阻害作用に関するいくつかの知見を得た。また、conformerIIについても同様に検討して知見を得た。
【0054】
これらの知見をもとに、ソブリドチンの作用機序に関する更なる研究を行っている。
【図面の簡単な説明】
【図1】表9の三次元座標によって特定される三次元立体構造を有する化合物の三次元立体構造をconformerIとしてコンピューターディスプレイ上に可視化させた図。
【図2】表10の三次元座標によって特定される三次元立体構造を有する化合物の三次元立体構造をconformerIIとしてコンピューターディスプレイ上に可視化させた図。
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2003
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