【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被服膜の耐衝撃性、密着性が優れたプラスチックレンズまたはフォトクロミックプラスチックレンズ等の光学材料として好適な積層体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
フォトクロミック眼鏡とは、太陽光のような紫外線を含む光が照射される屋外ではレンズが速やかに着色してサングラスとして機能し、そのような光の照射がない屋内においては退色して透明な通常の眼鏡として機能する眼鏡であり、近年その需要は増大している。
【0003】
フォトクロミック性を有するプラスチックレンズの製造方法としては、フォトクロミック性を有しないレンズの表面にフォトクロミック化合物を含浸させる方法(以下、含浸法という)、あるいはプラスチックレンズの表面にフォトクロミック性を有する層(フォトクロミックコート層)を設ける方法(以下、コーティング法という)、あるいはモノマーにフォトクロミック化合物を溶解させそれを重合させることにより直接フォトクロミックレンズを得る方法(以下、練り混み法という)が知られている。これらの方法の中でもコーティング法は、他の2つの方法と比べて、原理的にはどのようなレンズ基材に対しても簡単にフォトクロミック性を付与できるという利点を有している。たとえば、含浸法においては基材レンズとしてフォトクロミック化合物が拡散し易い柔らかい基材を用いる必要があり、また練りこみ法においても良好なフォトクロミック性を発現させるためには特殊なモノマー組成物を使用する必要があるのに対し、コーティング法においては、このような基材に対する制約はない。
【0004】
このようにコーティング法はフォトクロミックプラスチックレンズの製法として優れた方法であるといえるが、基材さらには必要に応じてフォトクロミックコート層上に形成されるハードコート層に対して十分な密着性を有し、且つ良好なフォトクロミック特性を発現するフォトクロミックコート層を形成する技術は未だ確立されていない。
【0005】
従来、コーティング方法としては、(i)ウレタンオリゴマー中にフォトクロミック化合物を溶解させたものをレンズ表面に塗布し、それを硬化する方法(特許文献1参照)、(ii)単官能、2官能および多官能ラジカル重合性単量体を組み合わせた重合性単量体組成物にフォトクロミック化合物を溶解し、それをレンズ表面に塗布し、硬化する方法(特許文献2参照)、(iii)2種類以上の2官能(メタ)アクリルモノマーのみの組み合わせからなるモノマー組成物にフォトクロミック化合物を溶解し、それをレンズ表面に塗布、硬化する方法(特許文献3参照)、(iv)N―アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド、触媒(好ましくは酸性触媒)及びフォトクロミック化合物等からなる組成物をレンズ表面に塗布、熱硬化する方法(特許文献4参照)等が知られている。しかしながら、上記(i)の方法には、得られるフォトクロミックコート層の架橋密度が低いためにフォトクロミック特性の温度依存性が大きくなるばかりでなく、フォトクロミックコート層上にハードコートを施用する際にハードコート液中にフォトクロミック化合物が溶出するなどといった問題がある。また(ii)、(iii)及び(iv)の方法には、眼鏡レンズ基材とフォトクロミックコート層との密着性が十分でないという問題がある。
【0006】
そこで、本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、基材に対して高い密着性を有するコート層を与えるコーティング剤として、「シラノール基または加水分解によりシラノール基を生成する基を有するラジカル重合性単量体を含有するラジカル重合性単量体、アミン化合物およびフォトクロミック化合物を夫々特定量含有してなる硬化性組成物」からなるフォトクロミックコーティング剤を見出すことに成功し(特願2001−227374号)、さらに上記接着性フォトクロミックコーティング剤中にマレイミド基を含むラジカル重合性単量体を配合することによりさらなる改良にも成功したが(特願2002−372835号、以下、これらコーティング剤を総称して接着性フォトクロミックコーティング剤ともいう)、高温高湿条件下での使用を想定した煮沸促進試験を行った結果、膜の密着性が低下しコート層が剥離する場合があることが判明した。
【0007】
【特許文献1】
国際公開第98/37115号パンフレット
【特許文献2】
米国特許第5914174号公報
【特許文献3】
国際公開第01/02449号パンフレット
【特許文献4】
国際公開第00/36047号パンフレット
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、プラスチックレンズ等の基材に施用して、該基材表面上にフォトクロミック特性が良好で且つ基材との密着性に優れるフォトクロミックコート層を形成したレンズを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
接着性を改善する技術としては、被接着体間にプライマーを用いてプライマー層を設けることが古くから検討されている。例えば、ハードコート層とレンズ基材との密着性を向上させるためのプライマーとして、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂またはポリアセタール樹脂等が提案されている。しかしながら、プラスチックレンズ基材と上記したようなフォトクロミックコート層との接着性の改良についてこれらプライマーの効果について検討された例はない。
そこで本発明者らは、これらプライマーを用い、プラスチックレンズ基材とフォトクロミックコート層との接着性改良効果について種々検討したところ、ポリウレタン樹脂プライマー用いた場合、密着性が改良される場合があるという知見を得るに至った。しかしながら、市販されているウレタン系プライマーを使用した場合には、密着性の改良は得られたものの、塗膜性、塗膜の光学物性またはフォトクロミックレンズとした場合のフォトクロミック特性などの点で問題があり、すべてを実用的範囲で満足しているわけではなかった。
【0010】
即ち、プラスチックレンズ用に使用されているウレタン系プライマーとしては、下記1)〜3)のようなものが知られているが、それぞれ次のような問題があった。
【0011】
1)予めポリイソシアネートと活性水素化合物を反応させてポリウレタンを合成し、そのポリウレタンを溶媒に溶かして得た塗料をレンズ基材に塗布した後、溶媒を揮発させることにより得るもの。このタイプのプライマーは、架橋構造を有していないために、プライマー層のポリウレタンが、フォトクロコーティング液に溶出してフォトクロコーティング液を汚染し、所望のフォトクロミック性が得られない。例えば、特開昭63−87223号公報に記載のジオールとジイソシアネートの反応により生成させたポリウレタン樹脂を溶媒に溶かした溶液をレンズ基材に塗布した後、加熱処理して溶媒を揮発させることにより熱可塑性のポリウレタン膜を形成させその上にフォトクロコーティング液を塗布した場合には、前記フォトクロミックコート層のフォトクロミック特性が低下してしまった。
【0012】
2)ポリイソシアネートと活性水素化合物、必要に応じて硬化触媒を混合し、塗布後、必要に応じて加熱硬化することにより得るもの。このタイプのプライマーは、保護基で保護されていないポリイソシアネートを用いているために活性水素化合物の反応が速く、混合液の保存安定性が悪いためプライマーの塗膜性あるいは塗膜後の光学特性の再現性に問題がある。
【0013】
3)ポリイソアネートのイソシネート基をメチルエチルケトン等の保護基によりブロックし常温で不活性化したブロック型ポリイソシアネートと活性水素化合物、必要に応じて硬化触媒を混合し、塗布後に加熱することにより、保護基をはずしながら架橋させることによって得るもの。このタイプのプライマーは、上述の保存安定性は改良されているものの、保護基をはずすために高温を必要とし、さらにフォトクロ層との密着性を強めるためには、140℃以上の高温をかける必要があり、プラスチックレンズ基材が熱変形を起したり黄変色を生じたりするという問題がある。
【0014】
また、同じウレタン系プライマーとして、分子量を比較的高くし、分子中のイソシアネート基含有量の少なく調整した湿気硬化型ポリウレタン樹脂のプラーマー(該プライマーはその名の通り、大気中の水分と反応してカルバミン酸を生じ、脱炭酸してアミンを生成し、そのアミンと残存イソシアネート基が尿素結合を生じることで架橋硬化する。)があるが、水分と反応し硬化するという機構から、液を大気中で開放して使用することはできず、さらに粘度が高いため薄いコート膜を形成するのが難しいばかりでなく、硬化過程で炭酸ガスを発生するために硬化膜に気泡が残る問題があるためレンズ基材等の光学用途に用いら例は知られておらず、もっぱっら建築用等このような現象が問題とならない用途に用いられているものである。
本発明者等は、接着性の向上についてはウレタン系プライマーを用いた場合に効果があること、上記湿気硬化型ポリウレタン樹脂プライマーは一液である上、架橋硬化に高温を必要としないため、レンズ基材の熱による変形や変色を起すことがないという利点に着目し、工夫次第ではレンズ用プラーマーとして使用できるのではないかと考え更に検討を行なった。
その結果、ある特定の溶媒および/またはレベリング剤を併用し、さらに塗布方法としてスピンコート法を使用し、薄膜化することで、施用性や硬化膜中に気泡が残るといった前述の問題点を克服し、密着性が高く実用的に十分な光学特性およびフォトクロミック特性を示す、フォトクロ薄膜層を有するレンズを得ることに成功し、本発明を完成するに至った。
【0015】
即ち、第一の本発明は、光学材料基材の少なくとも一方の表面上に湿気硬化性ポリウレタン樹脂及び/又はその前駆体の硬化体からなる層が形成されてなることを特徴とする積層体である。
【0016】
該積層体、特に前記湿気硬化性ポリウレタン樹脂及び/又はその前駆体の硬化体からなる層の厚さが0.1〜10μmであり、該層中に気泡が実質的に存在しないものは、該層による光学特性の悪化がないばかりでなく該層により耐衝撃性が大幅に改良されることから、それ自体が耐衝撃性の高いプラスチックレンズとして有用であるばかりでなく、前記接着性フォトクロミックコーティング剤の硬化膜との密着性(接着性)が高いため該コーティング剤を施用してフォトクロミックプラスチックレンズを製造する際の半製品(中間材料)として特に有用である。
また、第二の本発明は、光学材料基材の少なくとも一方の表面上に、湿気硬化性ポリウレタン樹脂及び/又はその前駆体並びに沸点が70℃以上で且つ溶解度パラメーターが8以上である溶媒、更に必要に応じてレべリング剤を含む溶液(以下、該溶液を光学用湿気硬化型ウレタン系プライマーともいう。)を塗布した後に、溶媒を除去し、湿気硬化性ポリウレタン樹脂及び/又はその前駆体を硬化させることを特徴とする上記本発明の積層体の製造方法である。該方法を採用することにより、分子量の高い湿気硬化性ポリウレタン樹脂を用いているにもかかわらず、スピンコートによる施用が可能になり薄い均一な厚さの塗膜形成が可能になるばかりでなく、塗膜中に気泡が残存するのを防止することが可能となり、良好な光学特性を有する本発明の積層体を製造することが可能となる。
更に第三の本発明は、前記本発明の積層体の湿気硬化性ポリウレタン樹脂及び/又はその前駆体の硬化体からなる層上にフォトクロミック化合物を含有する樹脂層が形成されてなることを特徴とする積層体である。該積層体は、フォトクロミックプラスチックレンズとして有用であり、前記したような多くのメリットを有するコーティング法で製造でき、しかもコーティング層の密着性が良好で且つフォトクロミック特性を含めた光学特性が良好であるという特徴を有する。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の積層体は、プラスチックレンズ基材等の光学材料基材の少なくとも一方の表面上に湿気硬化性ポリウレタン樹脂及び/又はその前駆体の硬化体からなる層が形成されてなる。ここで、光学材料基材としては、特に限定されず、ガラス及びプラスチック眼鏡レンズ、家屋や自動車の窓ガラス等公知の光学材料が挙げられるが、プラスチック眼鏡レンズを用いるのが特に好適である。
【0018】
プラスチックレンズとしては、(メタ)アクリル樹脂系、ポリカーボネート系樹脂等の熱可塑性樹脂レンズ;多官能(メタ)アクリル樹脂、アリル系樹脂、チオウレタン系樹脂、ウレタン系樹脂およびチオエポキシ系樹脂等の架橋性樹脂レンズ等、現在プラスチックレンズとして使用されている公知のものが使用できるが、本発明の製造方法により製造する場合には、光学用湿気硬化型ウレタン系プライマーの溶媒の選択幅が広がる(基材を侵さない溶媒の範囲が広い)ため、該光学用湿気硬化型ウレタン系プライマーが施用される表面は三次元架橋体で構成されているのが好ましい。即ち、プラスチック材料が架橋樹脂である場合にはそのまま使用できるが、ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂からなる場合には、その表面に三次元架橋体層を形成するのが好ましい。この三次元架橋体層は特に限定されないが、好適な例としては所謂ハードコート層を挙げることができる。
本発明の積層体は、上記光学基材の表面に光学用湿気硬化型ウレタン系プライマーの硬化体からなる層が形成されていることを最大の特徴とする。該層が形成されることにより、光学基材の耐衝撃性を改良でき、更に前記したような接着性フォトクロミックコーティング剤を施用してフォトクロミックコート層を形成したときの該コート層の基材への密着性(接着性)を高くすることが可能となる。)
ここで上記硬化体層を形成する硬化体は、光学用湿気硬化型ウレタン系プライマーの成分である湿気硬化型ポリウレタン樹脂及び/又はその前駆体が硬化して得られるポリウレタン樹脂である。前記したようにプラスチックレンズ基材上にウレタン樹脂層が形成されたものは知られているが、湿気硬化型ポリウレタン樹脂及び/又はその前駆体を光学材料用のプライマーとして使用した例は知られておらず、したがって、これらの硬化体であるウレタン樹脂(その構造は、硬化前の化合物の構造に対応するものであるから、該ウレタン樹脂は従来の光学用途に使用されていたウレタン系プライマーによるものとは当然異なるものである)からなる層を有する光学基材は新規である。
本発明で使用する湿気硬化型ポリウレタン樹脂及び/又はその前駆体とは、分子中に複数存在するイソシアネート基の一部が例えば大気中の水分と反応してカルバミン酸を生じた後に脱炭酸してアミンを生成し、該アミンと残存イソシアネート基が反応して尿素結合を生じることにより架橋硬化する含イソシアネート基含有化合物またはこのような化合物の前駆体となる化合物又は化合物の組合せを意味し、例えば、分子量を比較的高く、好適には数平均分子量で300〜5000、特に500〜3000とし、1分子中において末端に存在するイソシアネート基含有量を0.001モル%〜50モル%調整された(ここでいうイソシアネート基の含有量とは、残存するイソシアネート基を化学的に定量し、1分子中に含まれるイソシアネート基のモル数を意味する。)ポリウレタンオリゴマー或いはポリウレタンポリマー;これらポリウレタンオリゴマーやポリウレタンポリマーの前駆体となる“イソシアネート化合物或いはその誘導体”又は“これら「イソシアネート化合物或いはその誘導体」及び活性水素含有化合物”を使用することができる。これら、これら湿気硬化型ポリウレタン樹脂及び/又はその前駆体は、例えば建築用途用のプライマーとして市販されており、工業的に或いは試薬として入手可能である。
本発明で好適に使用できる気硬化型ポリウレタン樹脂及び/又はその前駆体を例示すれば、▲1▼トリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニール)チオホスフェート、テトラメチルキシレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート化合物;トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジエソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシナネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイイソシアネート等の脂肪族イソシアネート化合物など、および/または▲2▼これらイソシアネート化合物と活性水素を有する化合物とをイソシアネート基が残るような仕込み比で種々の方法で結合させたポリイソシアネート化合物またはポリイソシアネートオリゴマー化合物、▲3▼イオウ若しくはハロゲン基を1種または2種以上含むポリイソシアネート、およびその変性体などが挙げられる。変性体の例としてはビュウレット、イソシアヌレート、アロファネート、カルボジイミドなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせてもよい。
【0019】
これらの中でも、比較的低温で優れた密着性を発現できる観点から、脂肪族イソシアネート化合物及び/又は該脂肪族イソシアネート化合物と活性水素を有するような化合物とをイソシアネート基が残るような仕込み比で種々の方法で結合させたポリイソシアネート化合物またはポリイソシアネートオリゴマー化合物、特に塗膜性の点から環状脂肪族イソシアネート化合物及び/又は該環状脂肪族イソシアネート化合物と活性水素を有する化合物とをイソシアネート基が残るような仕込み比で種々の方法で結合させたポリイソシアネート化合物またはポリイソシアネートオリゴマー化合物が好ましい。
【0020】
なお、上記活性水素を有する化合物としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコールなどのアルキレングリコール類;ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリアルキレングリコール類;ポリ(ジエチレンアジペート)、ポリ(テトラメチレンアジペート)、ポリ(ヘキサメチレンアジペート)、ポリ(ネオペンチレンアジペート)などのポリ(アルキレンアジペート)類;ポリ−ε−カプロラクトン;ポリ(1,4−ブタンジエン)グリコール、ポリ(1,2−ブタンジエン)グリコールなどのポリブタジエングリコール類;ポリ(ヘキサメチレンカーボネート)などのポリ(アルキレンカーボネート)類;ポリエステルポリオール類;シリコーンポリオール等が挙げられるが、その他の公知の活性水素含有化合物の使用も可能である。これらの中でもポリアルキレンアジペート類、ポリアルキレンカーボネート類、ポリ−ε−カプロラクトン類、ポリエステルポリオール類を用いた場合には、硬化させる際の加熱温度をより低くすることができ、基材の熱変形や変色をより確実に防止することができる。
前記光学用湿気硬化型ウレタン系プライマーの硬化体からなる層は、該硬化体のみから成っていてもよいが、一般的に表面硬度の向上を目的としてよく使用される微粒子状無機物を含んでいてもよい。ここで、微粒子状無機物とは、平均粒子形が約1〜300μmのものが好ましく、さらに好ましくは約5〜200μmのものが用いられる。
【0021】
微粒子状無機物の具体例としては、二酸化ケイ素などの酸化ケイ素化合物、三酸化アルミニウムなどのアルミニウム化合物、二酸化チタンなどの酸化チタン化合物、二酸化ジルコニウムなどの酸化ジルコニウム化合物、二酸化スズなどの酸化スズ化合物、三酸化アンチモン、五酸化アンチモンなどの酸化アンチモン化合物等が挙げられる。
【0022】
また、前記光学用湿気硬化型ウレタン系プライマーの硬化体からなる層の厚さは特に限定されないが、良好な光学特性および必要に応じて該層上に形成されるフォトクロミックコート層との密着性(接着性)の観点から、0.1〜10μm、特に0.3〜5μmさらには0.5〜2μmであるのが好適である。また、光学特性の観点から、該層中に気泡が実質的に存在しないことが好適である。このような特徴(厚さ及び気泡のなさ)を有するウレタン樹脂層は、例えば建材用に市販されている湿気硬化型ポリウレタン樹脂プライマーをそのまま用いた場合には得ることができず、前記した本発明の製造方法を採用することによって初めて得ることができたものである。
本発明の積層体を製造する方法は特に限定されないが、前記した本発明の製造方法を採用する、即ち、光学材料基材の少なくとも一方の表面上に、光学用湿気硬化型ウレタン系プライマーを塗布した後に、溶媒を除去し、湿気硬化性ポリウレタン樹脂及び/又はその前駆体を硬化させることにより製造するのが好適である。
本発明の製造方法で使用する光学用湿気硬化型ウレタン系プライマーは、湿気硬化性ポリウレタン樹脂及び/又はその前駆体並びに沸点が70℃以上で且つ溶解度パラメーターが8以上である溶媒を含む溶液であれば特に限定されない。ここで、湿気硬化性ポリウレタン樹脂及び/又はその前駆体とは本発明の積層体についての説明で説明した通りのものである。
上記光学用湿気硬化型ウレタン系プライマーで使用する沸点が70℃以上で且つ溶解度パラメーターが8以上である溶媒は、湿気硬化型ポリウレタン樹脂等の希釈溶媒であり、このような希釈溶媒を使用することにより前記のような優れた特徴を有する硬化体層を得ることが可能になる。本発明で好適に使用される上記希釈溶媒を具体的に例示すると、酢酸ブチル、アセチルアセトン、メチルイソブチルケトン、エチレングリコールジメチルエーテル、キシレン、メチルエチルケトン、アセト酢酸メチル等を挙げることができる。
【0023】
これら溶媒中の湿気硬化型ポリウレタン樹脂及び/又はその前駆体の含有量としては、湿気硬化型ポリウレタン樹脂及び/又はその前駆体並びに上記希釈溶媒の合計重量を基準として5〜80重量%が好ましく、密着性を確保しながら、炭酸ガスの痕跡を低減するには、10〜50重量%の範囲がさらに好ましい。
【0024】
さらに、本発明で使用する光学用湿気硬化型ウレタン系プライマーは、塗膜の平滑性を向上させるという理由からレベリング剤を含有するのが好適である。レベリング剤としては、公知のものが何ら制限なく使用できるが、好適なものを例示すれば、シリコーン系、フッ素系、アクリル系、ビニル系等を挙げることができる。該レべリング剤の使用量は湿気硬化型ポリウレタン樹脂及び/又はその前駆体の合計重量(樹脂成分の重量)を基準として、0.05〜15重量%、特に0.1〜10重量%であるのが好適である。
さらにまた、本発明で使用する光学用湿気硬化型ウレタン系プライマーは、前記したような微粒子状無機物を含むこともできる。該微粒子状無機物の含有量は特に限定されないが、湿気硬化型ポリウレタン樹脂及び/又はその前駆体の合計重量(樹脂成分の重量)を基準として、30重量%以下、特に10重量%以下であるのが好適である。また、硬化に際して、硬化促進、低温硬化等を可能とする目的で各種の硬化剤が含まれていても何ら問題はない。よく使用される硬化剤としては、各種エポキシ樹脂硬化剤、あるいは、各種有機ケイ素樹脂硬化剤等が知られている。これらの硬化剤の具体例としては、各種の有機酸及びそれらの酸無水物、三級アミン化合物などの窒素含有有機化合物、有機錫化合物、有機亜鉛化合物などの各種金属錯化合物あるいは金属アルコキシド、さらにアルカリ金属の有機カルボン酸塩、炭酸塩等の各種塩が挙げられる。その際の添加量としては、湿気硬化型ポリウレタン樹脂及び/又はその前駆体の合計重量(樹脂成分の重量)を基準として0.1〜5重量%、特に0.5〜2重量%であるのが好適である。
【0025】
光学基材の表面上に光学用湿気硬化型ウレタン系プライマーを塗布する方法は特に限定されず、ディッピング、スピンコーティング、ディップスピンコーティングなどの方法が挙げられるが、光学用湿気硬化型ウレタン系プライマーを、水分を含む大気と接触するような状態(該プライマーの硬化が始まってしまうような状態)で保存することを避けることができるという理由からスピンコートによる塗布法を採用するのが好ましい。即ち、光学用湿気硬化型ウレタン系プライマーを密封できる容器に入れておき、必要時に必要量を取り出して、レンズ表面に塗布すれば上記のような硬化をさけることが可能であるが、それにはスピンコートによる塗布方法が最も適している。さらに、塗膜の膜厚を薄膜化することで、生成する炭酸ガスを速やかに系外に放出することで、塗膜上に光学的に問題となる炭酸ガスの抜けた跡を低減することが可能である。このときの膜厚としては0.1〜10μmの範囲が好適であるが、密着性および光学特性を考慮すると0.3〜5μmさらには0.5〜2μmの範囲が好ましい。10μm以上の時は、炭酸ガスの抜け跡が顕著に残るため好ましくない。また0.1μm以下では、膜の均一性が低下するため、密着性が著しく低下し好ましくない。
【0026】
なお、光学用湿気硬化型ウレタン系プライマーをプラスチックレンズ基材等の光学基材に施用するに際しては、その施用前に、密着性を向上させる目的で基材の前処理を行なうことが好ましい。前処理としては、有機溶剤による脱脂処理、塩基性水溶液又は酸性水溶液による化学的処理、研磨剤を用いた研磨処理、大気圧プラズマ及び低圧プラズマ等を用いたプラズマ処理、コロナ放電処理、火炎処理またはUVオゾン処理等を挙げることができるが、プラスチックレンズとプライマー層の密着性の観点から、有機溶剤による脱脂処理、アルカリ処理、プラズマ処理、又はコロナ放電処理、或いはこれらを組合た処理を行なうのが好適である。
【0027】
本発明の製造方法では、上記のようにして光学用湿気硬化型ウレタン系プライマーを塗布した後に、前記希釈溶媒を除去した後に該プライマー層を硬化すればよい。上記したような厚さで塗布された光学用湿気硬化型ウレタン系プライマーは、大気中の水分との接触によって速やかに硬化が可能な状態(即ち、脱炭酸前の状態)となっていると考えられるので、塗布終了後直ちに加熱して溶媒を除去するとともに脱炭酸反応および尿素結合形成を行うことにより、硬化させることができる。このときの加熱温度は特に限定されないが、過熱による基材の変形や変色を防止するという観点から、室温〜130℃、特に80〜120℃の範囲であるのが好適である。本発明の方法では、湿気硬化型ポリウレタン樹脂及び/又はその前駆体を用いているので、このような比較的低温でも十分に硬化させることができる。硬化時間は特に限定されないが通常10分〜3時間の範囲である。
このようにして製造された本発明の積層体は、それ自体をレンズ等の光学物品として使用することもできるが、更に上記プライマー層上にフォトクロミックコート層を積層することによりフォトクロミック性レンズ等のフォトクロミック性光学物品とすることもできる。
フォトクロミックコート層を積層する方法としては、前記従来技術の項で説明したあらゆる公知技術が適応可能であるが、フォトクロミック特性、光学特性およびフォトクロミック層の耐溶剤性、耐擦傷性および密着性の観点から、特願2001−227374号あるいは特願2002−372835号で本発明者等が提案している「シラノール基または加水分解によりシラノール基を生成する基を有するラジカル重合性単量体を含有するラジカル重合性単量体、アミン化合物およびフォトクロミック化合物を夫々特定量含有してなる硬化性組成物からなるフォトクロミックコーティング剤又はこれに更にマレイミド基を含むラジカル重合性単量体を配合したコーティング剤(接着性フォトクロミックコーティング剤)」を塗布し、硬化させる方法が好適に採用される。
上記接着性フォトクロミックコーティング剤で使用されるシラノール基または加水分解によりシラノール基を生成する基を有するラジカル重合性単量体としては、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、(3−アクリロイルオキシプロピル)ジメチルメトキシシラン、(3−アクリロイルオキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−アクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタクリロイルオキシメチル)ジメチルエトキシシラン、メタクリロイルオキシメチルトリエトキシシラン、メタクリロイルオキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロイルオキシプロピルジメチルエトキシシラン、メタクリロイルオキシプロピルジメチルメトキシシラン等を挙げることができる。該単量体の使用量は特に限定されないが全コーティング剤重量を基準として0.5〜20重量%、特に1〜10重量%であるのが好適である。
【0028】
また、マレイミド基を含むラジカル重合性単量体としては4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート等が使用できる。該ラジカル重合性単量体の使用量は特に限定されないが、全コーティング剤重量を基準として0.05〜15重量%、特に0.1〜10重量%であるのが好適である。
【0029】
また、シラノール基または加水分解によりシラノール基を生成する基を有するラジカル重合性単量体及び必要に応じて使用されるマレイミド基を含むラジカル重合性単量と共に使用できるこれら以外の他のラジカル重合性単量体としては、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリエチレングリコールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ウレタンオリゴマーテトラアクリレート、ウレタンオリゴマーヘキサメタクリレート、ウレタンオリゴマーヘキサアクリレート、ポリエステルオリゴマーヘキサアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、グリシジルメタクリレート、平均分子量776の2,2−ビス(4−アクリロイルオキシポリエチレングリコールフェニル)プロパン、平均分子量475のメチルエーテルポリエチレングリコールメタアクリレート等を挙げることができる。これら他のラジカル重合性単量体の使用量は特に限定されないが、全コーティング剤重量を基準として20〜90重量%、特に40〜80重量%であるのが好適である。
【0030】
また、アミン化合物としては、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N,N―ジメチルアミノエチルメタアクリレート、N,N―ジエチルアミノエチルメタアクリレート等が使用できる。アミン化合物の使用量は特に限定されないが、全コーティング剤重量を基準として0.01〜15重量%、特に0.1〜10重量%であるのが好適である。
【0031】
また、フォトクロミック化合物として、ナフトピラン誘導体、クロメン誘導体、スピロオキサジン誘導体、スピロピラン誘導体、フルギミド誘導体等が使用できる。フォトクロミック化合物の使用量は特に限定されないが、全コーティング剤重量を基準として0.1〜30重量%、特に1〜10重量%であるのが好適である。
【0032】
本発明の積層体の前記プライマー層上に接着性フォトクロミックコーティング剤を施用する場合、必要に応じて前述したような前処理を行った後に該組成物を塗布し、これを硬化させればよいが、この際の塗布方法は特に限定されず公知の被覆(コーティング)方法がなんら制限なく適用できる。具体的には、該組成物をスピンコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、ディップ−スピンコーティング等の方法で塗布する方法が例示される。このような方法により塗布されるコーティング剤層の厚さ(硬化後のコート層の厚さに対応する)は特に限定されないが、特にフォトクロミック化合物を添加した場合には、フォトクロミック化合物濃度が低くても充分な発色濃度が得られ、またフォトクロミック特性の耐久性も良好なため、該厚さは比較的厚い方が好ましい。しかしながら一方で、コーティング層の厚さが厚い方が初期の黄色さも増加するため、硬化後のコート層厚さが10〜100μm、特に20〜50μmとなるような厚さであるのが好ましい。このような厚めのコーティング厚さとするには、該組成物の25℃における粘度を20〜1000cP、特に50〜800cP、さらには70〜500cPとするのが好適である。因みに、プラスチックレンズに汎用的に施用されているハードコート用コーティング剤等のコーティング組成物は均一な塗膜を得るために溶媒等が含まれているため、その25℃における粘度は通常5cP以下であり、またそれにより得られるコーティング層の厚さも数μm以下であり、このような厚さと比較すると上記10〜100μmという厚さは非常に厚いものである。
【0033】
また、硬化方法としては使用するラジカル重合開始剤の種類に応じて光硬化法、あるいは熱硬化法が適宜採用される。得られるコート膜の物性及び外観等の観点からは、光重合開始剤を用いて光照射により硬化させた後、加熱して重合を完結させる方法を採用するのが好適である。この際に、熱重合開始剤を併用しておいても構わない。このとき、光硬化に使用される光源としては、メタルハライドランプ、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、殺菌ランプ、キセノンランプ、カーボンアーク、タングステンランプ等の有電極ランプ、または無電極ランプ等を用いることができる。また、光源として電子線を用いてもよく、この場合には光重合開始剤を添加せずにコーティング層を硬化させることもできる。また、熱硬化法としては、重合炉中で熱を施して熱重合させる方法、または重合炉中で赤外線を照射して重合硬化させる方法等を挙げることができる。
【0034】
このようにして該組成物の硬化体からなるフォトクロコート層が形成されたレンズ材料はそのままでも使用することが可能であるが、より好ましくはさらにハードコート材で被覆することが好ましい。ハードコート層で被覆することにより、該光学材料の耐擦傷性を向上させることができる。当該ハードコート層としては公知のものがなんら制限なく使用でき、シランカップリング剤やケイ素、ジルコニウム、アンチモン、アルミニウム等の酸化物のゾルを主成分とするハードコート用コーティング剤を塗布後硬化させたものや、有機高分子体を主成分とするハードコート用コーティング剤を塗布後硬化させたものが挙げられる。該組成物中にシリルモノマーを採用することにより、より強固にまた簡便に十分な密着性を得ることができる。
【0035】
また、さらに必要に応じてハードコート層上に、SiO2、TiO2、ZrO2等の金属酸化物から成る薄膜の蒸着や有機高分子体の薄膜の塗布等による反射防止処理、帯電防止処理等の加工及び2次処理を施すことも勿論可能である。
【0036】
【実施例】
以下、実施例および比較例を掲げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0037】
実施例1
レンズ基材としてCR39(アリル樹脂プラスチックレンズ;屈折率=1.50)を用いた。このレンズ基材をアセトンで十分に脱脂し、プライマーとして三井武田ケミカル社製湿気硬化型プライマー『タケネートM−605N』と酢酸ブチルを重量比で1:1となるように調合し、窒素雰囲気下で均一になるまで充分に撹拌して用いたものをMIKASA製スピンコーター1H−DX2を用いて、スピンコートした。これを恒温器を用いて110℃、1時間で硬化してプライマー層を有するレンズ基材を作成した。フォトクロミック硬化膜を作成するために、レンズ基材の前処理として、ナビタス社製コロナ処理装置マルチダインを用いて表面に処理を施した。フォトクロミック重合性組成物としては、ラジカル重合性単量体である2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)プロパン/ポリエチレングリコールジアクリレート(平均分子量532)/トリメチロールプロパントリメタクリレート/ポリエステルオリゴマーヘキサアクリレート(ダイセルユーシービー社、EB−1830)/グリシジルメタクリレートをそれぞれ50重量部/15重量部/15重量部/10重量部/10重量部の配合割合で配合した。このラジカル重合性単量体の混合物100重量部に対して下記式
【0038】
【化1】
【0039】
で示される構造を持つフォトクロミック化合物を2.35重量部
【0040】
【化2】
【0041】
で示される構造を持つフォトクロミック化合物を0.6重量部
【0042】
【化3】
【0043】
で示される構造を持つフォトクロミック化合物を0.4重量部加え、十分に混合した後に、重合開始剤である1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを0.5重量部、安定剤であるビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートを5重量部、シランカップリング剤であるγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランを7重量部、およびN−メチルジエタノールアミンを3重量部添加し、十分に混合した。
【0044】
続いて上記方法で得られた混合液の約2gをMIKASA製スピンコーター1H−DX2を用いて、レンズ基材の表面にスピンコートした。この表面がコートされたレンズを窒素ガス雰囲気中で出力120/cmのメタルハライドランプを用いて、3分間照射し、塗膜を硬化させた後にさらに120℃の恒温器にて加熱処理を行うことでフォトクロミック硬化薄膜を得た。得られる薄膜の膜厚はスピンコートの条件によって調整が可能である。本発明においてフォトクロミック硬化薄膜の膜厚を40±1μmとなるように調整した。こうして作成したフォトクロミック硬化膜を有するレンズ基材の外観の評価は硬化膜を有するレンズ基材に投影機を照射して、その投影面を観察評価した。評価基準を以下に示す。
◎:平坦であり凹凸は全く見られない
○:ごくわずかに微細な凹凸が見られる
△:部分的に凹凸が見える
×:均一に凹凸が見える、または基材に影響が見える
上述した方法で作成したレンズ基材の外観の評価は◎であった。
【0045】
続いて密着性の評価を行った。評価方法してはフォトクロミック硬化膜を有するレンズ基材を100℃の沸騰水に1時間浸し、その後室温まで冷却し30分以内にクロスハッチ試験を行った。評価基準を以下に示す。
◎:剥がれなし
○:5%未満の剥がれ
△:5%以上15%未満の剥がれ
×:15%以上の剥がれ
上述した方法で作成したレンズ基材の密着性は◎であった。
【0046】
実施例2
プライマーとして三井武田ケミカル社製湿気硬化型プライマー『タケネートM−402P』を用いた以外は実施例1と同様の方法でフォトクロミック硬化膜を作成し、外観と密着性の評価を行った。結果を表1にまとめた。
【0047】
【表1】
【0048】
実施例3
プライマーとして三井武田ケミカル社製湿気硬化型プライマー『タケネートM−631N』と酢酸ブチルを重量比で1:2となるように調合し、窒素雰囲気下で均一になるまで充分に撹拌し、レベリング剤として日本ユニカー(株)社シリコーン系界面活性剤『L−7001』を1重量部添加し、窒素雰囲気下で均一になるまで十分に撹拌した。それ以外は実施例1と同様の方法でフォトクロミック硬化膜を作成し、外観と密着性の評価を行った。結果を表1にまとめた。
【0049】
実施例4
プライマーとして竹林化学工業株式会社製湿気硬化型プライマー『タケシールNo.400プライマー』とキシレンを重量比で1:3となるように調合し、窒素雰囲気下で均一になるまで充分に撹拌して用いた以外は実施例1と同様の方法でフォトクロミック硬化膜を作成し、外観と密着性の評価を行った。結果を表1にまとめた。
【0050】
実施例5
プライマーとして竹林化学工業株式会社製湿気硬化型プライマー『プライマーPFR』と酢酸ブチルを重量比で2:1となるように調合し、窒素雰囲気下で均一になるまで充分に撹拌したものを用いた。また、レベリング剤として住友スリーエム社製レベリング剤『フローラッドFC−470』を1重量部添加し、窒素雰囲気下で均一になるまで十分に撹拌した。それ以外は実施例1と同様の方法でフォトクロミック硬化膜を作成し、外観と密着性の評価を行った。結果を表1にまとめた。
【0051】
実施例6
プライマーとしてアルプス化学社製湿気硬化型プライマー『ウレタンプライマー06』を用いた以外は実施例1と同様の方法でフォトクロミック硬化膜を作成し、外観と密着性の評価を行った。結果を表1にまとめた。
【0052】
実施例7
レンズ基材としてポリカーボネートレンズ基材に日本精化社製熱硬化ハードコート剤『NSC1274』を膜厚2μmで塗布した後に110℃、1時間の条件で硬化させたものを用い、プライマーとして三井武田ケミカル社製湿気硬化型プライマー『タケネートM−402P』を用いた以外は実施例1と同様の方法でフォトクロミック硬化膜を作成し、外観と密着性の評価を行った。結果を表1にまとめた。
【0053】
実施例8
レンズ基材としてポリカーボネートレンズ基材の表面にGE東芝シリコーン株式会社製光硬化型ハードコート剤『UVHC1105』を膜厚2μmで塗布後、120Wのメタルハライドランプを窒素雰囲気下で2分間照射して硬化させたものを用い、プライマーとしてアルプス化学社製湿気硬化型プライマー『ウレタンプライマー06』を用いた以外は実施例1と同様の方法でフォトクロミック硬化膜を作成し、外観と密着性の評価を行った。結果を表1にまとめた。
【0054】
比較例1
プライマーとして大日本インキ社製ブロック型ポリイソシアネート『バーノックD−500』と酢酸ブチルを重量比で1:1となるように調合し、窒素雰囲気下で均一になるまで充分に撹拌したものを用い、プライマーの硬化温度を130℃とした以外は実施例1と同様の方法でフォトクロミック硬化膜を作成し、外観と密着性の評価を行った。結果を表2にまとめた。
【0055】
比較例2
プライマーとして三井武田ケミカル社製ブロック型ポリイソシアネート『タケネートB−883BS』とキシレンを重量比で1:1となるように調合し、窒素雰囲気下で均一になるまで充分に撹拌して用い、プライマーの硬化温度を130℃とした以外は実施例1と同様の方法でフォトクロミック硬化膜を作成し、外観と密着性の評価を行った。結果を表2にまとめた。
【0056】
比較例3
レンズ基材としてポリカーボネートレンズ基材を用い、脱脂溶媒としてイソプロピルアルコールを用いた以外は実施例1と同様の方法でフォトクロミック硬化膜を作成し、外観と密着性の評価を行った。結果を表2にまとめた。
【0057】
【表2】
【0058】
【発明の効果】
本発明の積層体は、基材の高い光学特性を保ったまま耐衝撃性を改良するものであり、それ自体が眼鏡レンズ等の光学物品として有用なものである。さらに本発明の積層体は、その表面にフォトクロミックコート層を形成したときに該フォトクロミックコート層と強固に密着するという優れた効果を有する。
【0059】
また、本発明の製造方法は、従来光学用途には用いられていない湿気硬化型ポリウレタン樹脂系プライマーを光学用途に適用可能にしたものであり、光学用途に用いられて来た従来のウレタン系プライマーの持つ様々な問題を解決するものである。さらに、本発明の製造方法は、プラスチックレンズの分野において、基材の種類によらずフォトクロミック性を付与することが可能なコーティング法により実用に耐え得るフォトクロミックプラスチックレンズを製造するための方法としても有用性は高い。
【0060】
さらに、フォトクロミックコート層を有する本発明の積層体は、優れた光学特性及びフォトクロミック特性を有するばかりでなく、煮沸といった高湿度の過酷な条件下でもフォトクロミックコート層が剥離することがない強固な密着性を示した。従って長期間使用した場合でも、コーティング膜の剥離が生じるようなことがない、信頼性の高いフォトクロミック性光学物品(例えばフォトクロミックプラスチックレンズ)となるものである。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a laminate suitable as an optical material such as a plastic lens or a photochromic plastic lens having excellent impact resistance and adhesion of a coating film, and a method for producing the same.
[0002]
[Prior art]
With photochromic glasses, the lens is colored quickly and functions as sunglasses outdoors when light containing ultraviolet rays such as sunlight is irradiated, and it fades and clears indoors without such light irradiation. The eyeglasses function as eyeglasses, and their demand has been increasing in recent years.
[0003]
As a method for producing a plastic lens having photochromic properties, a method of impregnating the surface of a lens having no photochromic properties with a photochromic compound (hereinafter referred to as an impregnation method), or a layer having photochromic properties on the surface of a plastic lens (photochromic coat layer) ) Or a method of directly dissolving a photochromic compound in a monomer and polymerizing the same to obtain a photochromic lens (hereinafter referred to as a kneading method). Among these methods, the coating method has an advantage that it can easily impart photochromic properties to any lens substrate in principle, as compared with the other two methods. For example, in the impregnation method, it is necessary to use a soft substrate in which the photochromic compound is easily diffused as the substrate lens, and in the kneading method, it is necessary to use a special monomer composition in order to exhibit good photochromic properties. In contrast, in the coating method, there is no restriction on such a substrate.
[0004]
Thus, the coating method can be said to be an excellent method as a method for producing a photochromic plastic lens, but has sufficient adhesion to the substrate and, if necessary, to the hard coat layer formed on the photochromic coat layer. A technique for forming a photochromic coat layer exhibiting good photochromic properties has not yet been established.
[0005]
Conventionally, as a coating method, (i) a method in which a photochromic compound dissolved in a urethane oligomer is applied to the lens surface and cured (see Patent Document 1), (ii) monofunctional, bifunctional and multifunctional A method in which a photochromic compound is dissolved in a polymerizable monomer composition in which a functional radical polymerizable monomer is combined, the solution is applied to a lens surface, and cured (see Patent Document 2). A method of dissolving a photochromic compound in a monomer composition composed of a combination of only functional (meth) acrylic monomers, applying the solution to the lens surface, and curing (see Patent Document 3); (iv) N-alkoxymethyl (meth) acrylamide; A composition comprising a catalyst (preferably an acidic catalyst) and a photochromic compound is applied to the lens surface and cured by heat. Law (see Patent Document 4), and the like. However, the method (i) not only increases the temperature dependence of the photochromic properties due to the low crosslinking density of the resulting photochromic coat layer, but also causes a hard coat when the hard coat is applied on the photochromic coat layer. There is a problem that the photochromic compound elutes in the liquid. Further, the methods (ii), (iii) and (iv) have a problem that the adhesion between the eyeglass lens substrate and the photochromic coat layer is not sufficient.
[0006]
Then, the present inventors conducted intensive studies in order to solve the above-mentioned problems. As a result, as a coating agent that provides a coat layer having high adhesion to a substrate, a radical polymerizable monomer containing a radical polymerizable monomer having a silanol group or a group that forms a silanol group by hydrolysis is used. Curable composition containing a specific amount of a solid, an amine compound and a photochromic compound, respectively "(Japanese Patent Application No. 2001-227374), and furthermore, a maleimide is contained in the adhesive photochromic coating agent. Further improvement was achieved by blending a radical polymerizable monomer containing a group (Japanese Patent Application No. 2002-372835; hereinafter, these coating agents are collectively referred to as an adhesive photochromic coating agent). Conducted a boiling acceleration test assuming use under conditions Result, adhesion of the film it was found that sometimes peeling reduced coating layer.
[0007]
[Patent Document 1]
International Publication No. 98/37115 pamphlet
[Patent Document 2]
U.S. Pat. No. 5,914,174
[Patent Document 3]
International Publication No. 01/02449 pamphlet
[Patent Document 4]
WO 00/36047 pamphlet
[0008]
[Problems to be solved by the invention]
Therefore, an object of the present invention is to provide a lens in which a photochromic coat layer having good photochromic properties and excellent adhesion to a substrate is formed on the surface of the substrate, which is applied to a substrate such as a plastic lens. And
[0009]
[Means for Solving the Problems]
As a technique for improving the adhesiveness, providing a primer layer between the adherends using a primer has long been studied. For example, polyurethane resins, epoxy resins, polyacetal resins, and the like have been proposed as primers for improving the adhesion between the hard coat layer and the lens substrate. However, there is no example in which the effect of these primers has been studied for improving the adhesion between the plastic lens substrate and the photochromic coat layer as described above.
The present inventors have conducted various studies on the effect of improving the adhesion between the plastic lens substrate and the photochromic coat layer using these primers, and found that the adhesion may be improved when a polyurethane resin primer is used. I came to. However, when a commercially available urethane-based primer was used, although the adhesion was improved, there was a problem in terms of coating properties, optical properties of the coating or photochromic properties when a photochromic lens was used. Yes, not all were practically satisfactory.
[0010]
That is, as urethane-based primers used for plastic lenses, the following primers 1) to 3) are known, but each has the following problems.
[0011]
1) A polyurethane obtained by previously reacting a polyisocyanate with an active hydrogen compound to synthesize a polyurethane, applying a coating obtained by dissolving the polyurethane in a solvent to a lens substrate, and then volatilizing the solvent. Since this type of primer does not have a cross-linked structure, the polyurethane of the primer layer elutes into the photochromic coating solution and contaminates the photochromic coating solution, so that desired photochromic properties cannot be obtained. For example, a solution obtained by dissolving a polyurethane resin produced by the reaction of a diol and a diisocyanate described in JP-A-63-87223 in a solvent is applied to a lens substrate, and then heated to evaporate the solvent by heating. When a plastic film was formed and a photochromic coating solution was applied thereon, the photochromic properties of the photochromic coat layer were deteriorated.
[0012]
2) A product obtained by mixing a polyisocyanate, an active hydrogen compound, and, if necessary, a curing catalyst, applying the mixture, and then, if necessary, heating and curing. This type of primer uses a polyisocyanate that is not protected with a protecting group, so the reaction of the active hydrogen compound is fast, and the storage stability of the mixture is poor, so that the primer coating properties or optical properties after coating are low. There is a problem with reproducibility.
[0013]
3) A blocking type polyisocyanate in which the isocyanate group of the polyisoanate is blocked with a protecting group such as methyl ethyl ketone and inactivated at room temperature, an active hydrogen compound and, if necessary, a curing catalyst are mixed. Obtained by crosslinking while removing. Although this type of primer has improved storage stability as described above, it requires a high temperature to remove the protecting group, and furthermore, a high temperature of 140 ° C. or more is applied to enhance the adhesion with the photochromic layer. Therefore, there is a problem that the plastic lens substrate causes thermal deformation or yellow discoloration.
[0014]
Further, as the same urethane-based primer, a primer of a moisture-curable polyurethane resin whose molecular weight is relatively high and the content of isocyanate groups in the molecule is adjusted to be small (as the name implies, the primer reacts with atmospheric moisture). Carbamic acid is produced, decarboxylation produces amines, and the amine and the remaining isocyanate groups form a urea bond, which causes cross-linking and curing.) In addition, it is difficult to form a thin coat film due to high viscosity, and there is a problem that bubbles remain in the cured film due to the generation of carbon dioxide gas during the curing process. No example is known for use in optical applications such as a substrate, and it is used exclusively for applications in which such a phenomenon does not pose a problem, such as for construction.
The present inventors have found that the use of a urethane-based primer is effective for improving the adhesiveness, and that the moisture-curable polyurethane resin primer is a one-part solution and does not require a high temperature for crosslinking and curing. Focusing on the advantage of not causing deformation or discoloration of the base material due to heat, further investigation was made on the assumption that it could be used as a lens plummer depending on the device.
As a result, by using a specific solvent and / or a leveling agent in combination and using a spin coating method as a coating method to form a thin film, the above-described problems such as application properties and bubbles remaining in the cured film are overcome. Then, the inventors succeeded in obtaining a lens having a photochromic thin film layer having high adhesion and exhibiting practically sufficient optical characteristics and photochromic characteristics, and completed the present invention.
[0015]
That is, a first aspect of the present invention is a laminate characterized in that a layer comprising a cured product of a moisture-curable polyurethane resin and / or a precursor thereof is formed on at least one surface of an optical material substrate. is there.
[0016]
The layer of the laminate, in particular, the layer comprising the cured product of the moisture-curable polyurethane resin and / or the precursor thereof has a thickness of 0.1 to 10 μm, and substantially no bubbles are present in the layer. Not only does the layer not deteriorate the optical properties, but also the impact resistance is greatly improved by the layer, so that it is not only useful as a high impact-resistant plastic lens itself, but also the adhesive photochromic coating agent Is highly useful as a semi-finished product (intermediate material) when producing a photochromic plastic lens by applying the coating agent because of its high adhesion to the cured film.
Further, the second present invention provides a moisture-curable polyurethane resin and / or a precursor thereof and a solvent having a boiling point of 70 ° C. or more and a solubility parameter of 8 or more on at least one surface of the optical material substrate. After applying a solution containing a leveling agent as required (hereinafter, this solution is also referred to as a moisture-curable urethane-based primer for optics), the solvent is removed, and the moisture-curable polyurethane resin and / or a precursor thereof are removed. And curing the laminate of the present invention. By employing this method, it is possible not only to use a moisture-curable polyurethane resin having a high molecular weight but to apply by spin coating and to form a thin and uniform thickness coating film, It is possible to prevent bubbles from remaining in the coating film, and it is possible to produce a laminate of the present invention having good optical characteristics.
A third aspect of the present invention is characterized in that a resin layer containing a photochromic compound is formed on a layer of a cured product of the moisture-curable polyurethane resin and / or a precursor thereof of the laminate of the present invention. It is a laminated body. The laminate is useful as a photochromic plastic lens, can be manufactured by the coating method having many advantages as described above, and has good adhesion of the coating layer and good optical properties including photochromic properties. Has features.
[0017]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
The laminate of the present invention is obtained by forming a layer made of a cured product of a moisture-curable polyurethane resin and / or a precursor thereof on at least one surface of an optical material substrate such as a plastic lens substrate. Here, the optical material substrate is not particularly limited, and includes known optical materials such as glass and plastic spectacle lenses, window glasses of houses and automobiles, and it is particularly preferable to use plastic spectacle lenses.
[0018]
Examples of plastic lenses include thermoplastic resin lenses such as (meth) acrylic resin and polycarbonate resin; crosslinkable polyfunctional (meth) acrylic resin, allyl resin, thiourethane resin, urethane resin and thioepoxy resin. Known lenses currently used as plastic lenses, such as resin lenses, can be used. However, in the case of manufacturing by the manufacturing method of the present invention, the solvent for optical moisture-curable urethane-based primers has a wider selection range (base material). Therefore, the surface to which the moisture-curable urethane primer for optics is applied is preferably composed of a three-dimensionally crosslinked body. That is, when the plastic material is a crosslinked resin, it can be used as it is, but when it is made of a thermoplastic resin such as a polycarbonate resin, it is preferable to form a three-dimensional crosslinked layer on the surface thereof. The three-dimensional crosslinked layer is not particularly limited, but a preferred example is a so-called hard coat layer.
The most important feature of the laminate of the present invention is that a layer made of a cured product of an optical moisture-curable urethane-based primer is formed on the surface of the optical substrate. By forming the layer, the impact resistance of the optical substrate can be improved, and further, when the photochromic coat layer is formed by applying the adhesive photochromic coating agent as described above, Adhesion (adhesion) can be increased. )
Here, the cured body forming the cured body layer is a moisture-curable polyurethane resin which is a component of the moisture-curable urethane-based primer for optical use and / or a polyurethane resin obtained by curing a precursor thereof. Although a urethane resin layer formed on a plastic lens substrate as described above is known, an example using a moisture-curable polyurethane resin and / or a precursor thereof as a primer for an optical material is known. Therefore, these cured urethane resins (since the structure thereof corresponds to the structure of the compound before curing, the urethane resin is based on the urethane-based primer used in conventional optical applications. The optical substrate having a layer consisting of
The moisture-curable polyurethane resin and / or a precursor thereof used in the present invention is obtained by decarboxylation after a part of a plurality of isocyanate groups present in a molecule reacts with, for example, atmospheric moisture to generate carbamic acid. Means a compound containing an isocyanate group-containing compound or a compound or a compound that is a precursor of such a compound, which forms an amine, and the amine and a residual isocyanate group react with each other to form a urea bond to crosslink and cure, for example, The molecular weight was relatively high, preferably 300 to 5,000, more preferably 500 to 3,000 in number average molecular weight, and the content of terminal isocyanate groups in one molecule was adjusted to 0.001 mol% to 50 mol% (here, The content of isocyanate groups referred to in the above means that the remaining isocyanate groups are chemically quantified and the isocyanate groups contained in one molecule are determined. Means the number of moles of the group.) Polyurethane oligomer or polyurethane polymer; "isocyanate compound or derivative thereof" or "these isocyanate compound or derivative and active hydrogen-containing compound" which is a precursor of these polyurethane oligomer or polyurethane polymer These moisture-curable polyurethane resins and / or precursors thereof are commercially available, for example, as primers for architectural applications, and are available industrially or as reagents.
Examples of gas-curable polyurethane resins and / or precursors thereof that can be suitably used in the present invention are as follows: (1) Tolylene diisocyanate, 4,4-diphenylmethane diisocyanate, xylylene diisocyanate, 1,5-naphthalenedi isocyanate, tolidine diisocyanate Aromatic isocyanate compounds such as triphenylmethane triisocyanate, tris (isocyanate phenyl) thiophosphate and tetramethyl xylene diisocyanate; trimethyl hexamethylene diisocyanate, hexamethylene diesocyanate, isophorone diisocyanate, hydrogenated 4,4-diphenylmethane diisocyanate, water Xylene diisocyanate, lysine diisocyanate, lysine ester triisocyanate, 1,6,11-undecant Aliphatic isocyanate compounds such as isocyanate, 1,8-diisocyanate-4-isocyanate methyloctane, 1,3,6-hexamethylene triisocyanate, bicycloheptane triisocyanate, and / or (2) activity with these isocyanate compounds A polyisocyanate compound or a polyisocyanate oligomer compound obtained by combining a compound having hydrogen with a charge ratio such that an isocyanate group remains in various ways, (3) a polyisocyanate containing one or more sulfur or halogen groups, and Modified products and the like can be mentioned. Examples of the modified form include buret, isocyanurate, allophanate, carbodiimide and the like. These may be used alone or in combination of two or more.
[0019]
Among these, aliphatic isocyanate compounds and / or a compound having an active hydrogen and / or an aliphatic isocyanate compound are mixed at a charge ratio such that an isocyanate group remains from the viewpoint of exhibiting excellent adhesion at a relatively low temperature. A polyisocyanate compound or a polyisocyanate oligomer compound, particularly a cycloaliphatic isocyanate compound and / or a compound having an active hydrogen and a cycloaliphatic isocyanate compound from the viewpoint of coating properties, in which isocyanate groups remain. Polyisocyanate compounds or polyisocyanate oligomer compounds bonded by various methods at a charge ratio are preferred.
[0020]
The compounds having active hydrogen include ethylene glycol, 1,2-propylene glycol, 1,3-butanediol, 1,4-butanediol, 1,6-hexanediol, neopentyl glycol, dipropylene glycol, Alkylene glycols such as diethylene glycol; polyalkylene glycols such as polypropylene glycol, polyethylene glycol and polytetramethylene glycol; poly (diethylene adipate), poly (tetramethylene adipate), poly (hexamethylene adipate), poly (neopenthylene adipate) ) And the like; poly-ε-caprolactone; polybutadie such as poly (1,4-butanediene) glycol and poly (1,2-butanediene) glycol Glycols; poly (hexamethylene carbonate) poly (alkylene carbonate) such as ethers; polyester polyols; Silicone polyols and the like, the use of other known active hydrogen-containing compounds are also possible. Among these, polyalkylene adipates, polyalkylene carbonates, poly-ε-caprolactones, when using polyester polyols, it is possible to lower the heating temperature at the time of curing, thermal deformation of the substrate and Discoloration can be more reliably prevented.
The layer made of the cured product of the optical moisture-curable urethane-based primer may be composed of only the cured product, but generally contains a particulate inorganic material often used for the purpose of improving the surface hardness. Is also good. Here, the particulate inorganic substance preferably has an average particle shape of about 1 to 300 μm, more preferably about 5 to 200 μm.
[0021]
Specific examples of the particulate inorganic material include silicon oxide compounds such as silicon dioxide, aluminum compounds such as aluminum trioxide, titanium oxide compounds such as titanium dioxide, zirconium oxide compounds such as zirconium dioxide, tin oxide compounds such as tin dioxide, and trioxide. Examples include antimony oxide compounds such as antimony oxide and antimony pentoxide.
[0022]
The thickness of the layer made of the cured product of the moisture-curable urethane-based primer for optical use is not particularly limited, but has good optical properties and, if necessary, adhesion to a photochromic coat layer formed on the layer. From the viewpoint of adhesiveness, the thickness is preferably 0.1 to 10 μm, particularly 0.3 to 5 μm, and more preferably 0.5 to 2 μm. Further, from the viewpoint of optical characteristics, it is preferable that substantially no bubbles exist in the layer. A urethane resin layer having such characteristics (thickness and absence of bubbles) cannot be obtained, for example, when a moisture-curable polyurethane resin primer commercially available for building materials is used as it is, and the present invention described above. Can be obtained for the first time by adopting the manufacturing method.
The method for producing the laminate of the present invention is not particularly limited, but employs the above-described production method of the present invention, that is, applying an optical moisture-curable urethane-based primer on at least one surface of the optical material substrate. After the removal, the solvent is preferably removed, and the moisture-curable polyurethane resin and / or a precursor thereof are preferably cured to be produced.
The moisture-curable urethane primer for optics used in the production method of the present invention is a solution containing a moisture-curable polyurethane resin and / or a precursor thereof and a solvent having a boiling point of 70 ° C. or more and a solubility parameter of 8 or more. It is not particularly limited. Here, the moisture-curable polyurethane resin and / or its precursor are as described in the description of the laminate of the present invention.
The solvent having a boiling point of 70 ° C. or higher and a solubility parameter of 8 or higher used in the optical moisture-curable urethane-based primer is a diluting solvent for a moisture-curable polyurethane resin or the like. This makes it possible to obtain a cured body layer having the above-mentioned excellent characteristics. Specific examples of the diluting solvent suitably used in the present invention include butyl acetate, acetylacetone, methyl isobutyl ketone, ethylene glycol dimethyl ether, xylene, methyl ethyl ketone, and methyl acetoacetate.
[0023]
The content of the moisture-curable polyurethane resin and / or its precursor in these solvents is preferably from 5 to 80% by weight based on the total weight of the moisture-curable polyurethane resin and / or its precursor and the diluent solvent. In order to reduce the trace of carbon dioxide gas while ensuring the adhesion, the range of 10 to 50% by weight is more preferable.
[0024]
Further, the moisture-curable optical primer for optical use used in the present invention preferably contains a leveling agent from the viewpoint of improving the smoothness of the coating film. As the leveling agent, known ones can be used without any limitation, and examples of suitable ones include silicone-based, fluorine-based, acrylic-based, and vinyl-based agents. The amount of the leveling agent used is 0.05 to 15% by weight, particularly 0.1 to 10% by weight, based on the total weight of the moisture-curable polyurethane resin and / or its precursor (the weight of the resin component). Preferably, there is.
Furthermore, the moisture-curable urethane-based primer for optics used in the present invention can also contain the particulate inorganic material as described above. The content of the particulate inorganic substance is not particularly limited, but is not more than 30% by weight, especially not more than 10% by weight, based on the total weight of the moisture-curable polyurethane resin and / or its precursor (the weight of the resin component). Is preferred. In addition, at the time of curing, there is no problem even if various curing agents are included for the purpose of accelerating curing, curing at low temperature, and the like. Various epoxy resin curing agents, various organosilicon resin curing agents, and the like are known as curing agents that are frequently used. Specific examples of these curing agents include various organic acids and their acid anhydrides, nitrogen-containing organic compounds such as tertiary amine compounds, organic tin compounds, various metal complex compounds such as organic zinc compounds or metal alkoxides, and Various salts such as organic carboxylate and carbonate of an alkali metal are exemplified. The amount added at that time is 0.1 to 5% by weight, especially 0.5 to 2% by weight based on the total weight (weight of the resin component) of the moisture-curable polyurethane resin and / or its precursor. Is preferred.
[0025]
The method of applying the optical moisture-curable urethane-based primer on the surface of the optical substrate is not particularly limited, and includes methods such as dipping, spin coating, and dip-spin coating. It is preferable to adopt a coating method by spin coating because it is possible to avoid storing the primer in a state where it comes into contact with an atmosphere containing moisture (a state where the primer starts to cure). That is, if the moisture-curable urethane primer for optical use is placed in a container that can be sealed, and the necessary amount is taken out when necessary and applied to the lens surface, it is possible to avoid such curing as described above. A coating method using a coat is most suitable. Furthermore, by reducing the thickness of the coating film, the generated carbon dioxide gas is rapidly released to the outside of the system, thereby reducing traces of carbon dioxide gas which is optically problematic on the coating film. It is possible. The film thickness at this time is preferably in the range of 0.1 to 10 μm, but is preferably in the range of 0.3 to 5 μm, more preferably 0.5 to 2 μm in consideration of the adhesion and the optical characteristics. When the thickness is 10 μm or more, traces of carbon dioxide gas are notably left, which is not preferable. On the other hand, if the thickness is 0.1 μm or less, the uniformity of the film is reduced, and the adhesion is significantly reduced, which is not preferable.
[0026]
When applying the moisture-curable urethane primer for optical use to an optical substrate such as a plastic lens substrate, it is preferable to perform a pretreatment of the substrate before application in order to improve adhesion. The pretreatment includes a degreasing treatment with an organic solvent, a chemical treatment with a basic aqueous solution or an acidic aqueous solution, a polishing treatment with an abrasive, a plasma treatment using atmospheric pressure plasma and low pressure plasma, a corona discharge treatment, a flame treatment or UV ozone treatment and the like can be mentioned, but from the viewpoint of adhesion between the plastic lens and the primer layer, it is preferable to perform a degreasing treatment with an organic solvent, an alkali treatment, a plasma treatment, or a corona discharge treatment, or a combination thereof. It is suitable.
[0027]
In the production method of the present invention, after applying the moisture-curable urethane primer for optics as described above, the primer layer may be cured after removing the diluting solvent. It is considered that the optical moisture-curable urethane-based primer applied in the above-described thickness is in a state where it can be rapidly cured by contact with atmospheric moisture (that is, a state before decarboxylation). Therefore, it is possible to cure by heating immediately after the completion of the coating to remove the solvent and to carry out a decarboxylation reaction and urea bond formation. The heating temperature at this time is not particularly limited, but is preferably in the range of room temperature to 130 ° C, particularly preferably 80 to 120 ° C, from the viewpoint of preventing deformation and discoloration of the substrate due to overheating. In the method of the present invention, since a moisture-curable polyurethane resin and / or a precursor thereof are used, it can be sufficiently cured even at such a relatively low temperature. The curing time is not particularly limited, but is usually in the range of 10 minutes to 3 hours.
The thus-produced laminate of the present invention can itself be used as an optical article such as a lens, but can be further used as a photochromic lens such as a photochromic lens by laminating a photochromic coat layer on the primer layer. Optical article.
As the method of laminating the photochromic coat layer, any known technology described in the section of the related art can be applied, but from the viewpoint of photochromic properties, optical properties and solvent resistance of the photochromic layer, scratch resistance and adhesion. In Japanese Patent Application No. 2001-227374 or Japanese Patent Application No. 2002-372835, “radical polymerization containing a radical polymerizable monomer having a silanol group or a group that forms a silanol group by hydrolysis” proposed by the present inventors. Coating agent consisting of a curable composition containing a specific amount of a reactive monomer, an amine compound and a photochromic compound, respectively, or a coating agent further containing a radical polymerizable monomer containing a maleimide group (adhesive photochromic Coating agent) " Method is preferably employed.
Examples of the radical polymerizable monomer having a silanol group or a group that generates a silanol group by hydrolysis used in the adhesive photochromic coating agent include γ-methacryloyloxypropyltrimethoxysilane and γ-methacryloyloxypropyltriethoxysilane. Γ-methacryloyloxypropylmethyldimethoxysilane, (3-acryloyloxypropyl) dimethylmethoxysilane, (3-acryloyloxypropyl) methyldimethoxysilane, (3-acryloyloxypropyl) trimethoxysilane, (methacryloyloxymethyl) dimethylethoxy Silane, methacryloyloxymethyltriethoxysilane, methacryloyloxymethyltrimethoxysilane, methacryloyloxypropyldimethylethoxy Down, it can be mentioned methacryloyloxy dimethyl methoxy silane. The amount of the monomer used is not particularly limited, but is preferably 0.5 to 20% by weight, especially 1 to 10% by weight based on the total weight of the coating agent.
[0028]
In addition, examples of the radical polymerizable monomer containing a maleimide group include 4,4′-diphenylmethanebismaleimide, bis (3-ethyl-5-methyl-4-maleimidophenyl) methane, and 2,2-bis [4- (4 -Maleimidophenoxy) phenyl] propane, m-maleimidobenzoyl-N-hydroxysuccinimide ester, succinimidyl-4- (N-maleimidomethyl) cyclohexane-1-carboxylate and the like can be used. The amount of the radical polymerizable monomer used is not particularly limited, but is preferably 0.05 to 15% by weight, particularly preferably 0.1 to 10% by weight based on the total weight of the coating agent.
[0029]
In addition, other radical polymerizable monomers that can be used together with a radical polymerizable monomer having a silanol group or a group that forms a silanol group by hydrolysis and a radical polymerizable monomer containing a maleimide group used as required As monomers, trimethylolpropane trimethacrylate, trimethylolpropane triacrylate, tetramethylolmethane trimethacrylate, tetramethylolmethane triacrylate, trimethylolpropane triethylene glycol triacrylate, pentaerythritol tetramethacrylate, dipentaerythritol hexaacrylate, Urethane oligomer tetraacrylate, urethane oligomer hexamethacrylate, urethane oligomer hexaacrylate, polyester oligomer hex Acrylate, diethylene glycol dimethacrylate, triethylene glycol dimethacrylate, tetraethylene glycol dimethacrylate, tripropylene glycol dimethacrylate, bisphenol A dimethacrylate, 2,2-bis (4-methacryloyloxyethoxyphenyl) propane, glycidyl methacrylate, average molecular weight 776 2,2-bis (4-acryloyloxy polyethylene glycol phenyl) propane, methyl ether polyethylene glycol methacrylate having an average molecular weight of 475, and the like. The use amount of these other radical polymerizable monomers is not particularly limited, but is preferably 20 to 90% by weight, particularly preferably 40 to 80% by weight based on the total weight of the coating agent.
[0030]
As the amine compound, triethanolamine, N-methyldiethanolamine, triisopropanolamine, N, N-dimethylaminoethyl methacrylate, N, N-diethylaminoethyl methacrylate and the like can be used. The use amount of the amine compound is not particularly limited, but is preferably 0.01 to 15% by weight, particularly preferably 0.1 to 10% by weight based on the total weight of the coating agent.
[0031]
Further, as the photochromic compound, a naphthopyran derivative, a chromene derivative, a spirooxazine derivative, a spiropyran derivative, a fulgimide derivative, or the like can be used. The amount of the photochromic compound used is not particularly limited, but is preferably 0.1 to 30% by weight, particularly preferably 1 to 10% by weight based on the total weight of the coating agent.
[0032]
When applying an adhesive photochromic coating agent on the primer layer of the laminate of the present invention, the composition may be applied after performing the pretreatment as described above, if necessary, and then cured. The coating method at this time is not particularly limited, and a known coating method can be applied without any limitation. Specifically, a method of applying the composition by a method such as spin coating, spray coating, dip coating, and dip-spin coating is exemplified. The thickness of the coating agent layer applied by such a method (corresponding to the thickness of the coated layer after curing) is not particularly limited, but especially when a photochromic compound is added, even if the photochromic compound concentration is low. The thickness is preferably relatively thick because sufficient color density can be obtained and the durability of the photochromic property is good. However, on the other hand, as the thickness of the coating layer increases, the initial yellowness also increases. Therefore, the thickness of the coating layer after curing is preferably 10 to 100 μm, particularly preferably 20 to 50 μm. In order to obtain such a thick coating thickness, the viscosity of the composition at 25 ° C. is preferably 20 to 1000 cP, particularly preferably 50 to 800 cP, and more preferably 70 to 500 cP. Incidentally, a coating composition such as a hard coating agent generally applied to a plastic lens contains a solvent or the like in order to obtain a uniform coating film. Therefore, the viscosity at 25 ° C. is usually 5 cP or less. In addition, the thickness of the coating layer obtained therefrom is also several μm or less, and the thickness of 10 to 100 μm is very large in comparison with such a thickness.
[0033]
As a curing method, a photocuring method or a thermosetting method is appropriately employed depending on the type of the radical polymerization initiator used. From the viewpoint of the physical properties and appearance of the obtained coat film, it is preferable to employ a method of curing by light irradiation using a photopolymerization initiator and then heating to complete the polymerization. At this time, a thermal polymerization initiator may be used in combination. At this time, as a light source used for photo-curing, an electrode lamp such as a metal halide lamp, an ultra-high pressure mercury lamp, a high pressure mercury lamp, a medium pressure mercury lamp, a germicidal lamp, a xenon lamp, a carbon arc, a tungsten lamp, or an electrodeless lamp A lamp or the like can be used. An electron beam may be used as a light source. In this case, the coating layer can be cured without adding a photopolymerization initiator. Examples of the thermosetting method include a method of applying heat in a polymerization furnace to perform thermal polymerization, and a method of irradiating infrared rays in a polymerization furnace to perform polymerization and curing.
[0034]
The lens material having the photochromic layer formed of the cured product of the composition can be used as it is, but is more preferably covered with a hard coat material. By covering with a hard coat layer, the scratch resistance of the optical material can be improved. As the hard coat layer, known ones can be used without any limitation, and a silane coupling agent or a hard coat coating agent mainly containing a sol of an oxide such as silicon, zirconium, antimony and aluminum is cured after application. And those obtained by applying and hardening a coating agent for a hard coat containing an organic polymer as a main component. By employing a silyl monomer in the composition, sufficient adhesion can be obtained more firmly and easily.
[0035]
Further, if necessary, a SiO 2 , TiO 2 , ZrO 2 Of course, it is also possible to carry out processing such as antireflection treatment and antistatic treatment by vapor deposition of a thin film made of a metal oxide such as the above, coating of a thin film of an organic polymer, and secondary treatment.
[0036]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described with reference to Examples and Comparative Examples, but the present invention is not limited to these Examples.
[0037]
Example 1
CR39 (allyl resin plastic lens; refractive index = 1.50) was used as a lens substrate. This lens base material is sufficiently degreased with acetone, and a moisture-curable primer “Takenate M-605N” manufactured by Mitsui Takeda Chemical Co., Ltd. and butyl acetate are mixed at a weight ratio of 1: 1 as primers, and the mixture is mixed under a nitrogen atmosphere. The material used after being sufficiently stirred until it became uniform was spin-coated using a spin coater 1H-DX2 manufactured by MIKASA. This was cured at 110 ° C. for 1 hour using a thermostat to prepare a lens substrate having a primer layer. In order to prepare a photochromic cured film, as a pretreatment of the lens substrate, the surface was treated using a multi-dyne corona treatment device manufactured by Navitas. Examples of the photochromic polymerizable composition include radical polymerizable monomers such as 2,2-bis (4-methacryloyloxypentaethoxyphenyl) propane / polyethylene glycol diacrylate (average molecular weight 532) / trimethylolpropane trimethacrylate / polyester oligomer. Hexaacrylate (Daicel UCB Co., Ltd., EB-1830) / glycidyl methacrylate was blended at a blending ratio of 50 parts by weight / 15 parts by weight / 15 parts by weight / 10 parts by weight / 10 parts by weight, respectively. With respect to 100 parts by weight of the mixture of the radical polymerizable monomers, the following formula
[0038]
Embedded image
[0039]
2.35 parts by weight of a photochromic compound having a structure represented by
[0040]
Embedded image
[0041]
0.6 parts by weight of a photochromic compound having a structure represented by
[0042]
Embedded image
[0043]
After adding 0.4 part by weight of a photochromic compound having a structure represented by the following formula, and thoroughly mixing the mixture, 0.5 part by weight of 1-hydroxycyclohexylphenyl ketone as a polymerization initiator and bis (1,2,2) as a stabilizer were added. 5 parts by weight of 2,6,6-pentamethyl-4-piperidyl) sebacate, 7 parts by weight of silane coupling agent γ-methacryloyloxypropyltrimethoxysilane, and 3 parts by weight of N-methyldiethanolamine were added. Was mixed.
[0044]
Subsequently, about 2 g of the mixed solution obtained by the above method was spin-coated on the surface of the lens substrate using a spin coater 1H-DX2 manufactured by MIKASA. The lens coated with this surface is irradiated for 3 minutes in a nitrogen gas atmosphere using a metal halide lamp having an output of 120 / cm, and after the coating film is cured, it is further subjected to a heat treatment in a thermostat at 120 ° C. A photochromic cured thin film was obtained. The thickness of the obtained thin film can be adjusted by the conditions of spin coating. In the present invention, the thickness of the photochromic cured thin film was adjusted to be 40 ± 1 μm. The evaluation of the appearance of the lens substrate having the photochromic cured film thus formed was performed by irradiating the lens substrate having the cured film with a projector and observing and evaluating the projection surface. The evaluation criteria are shown below.
:: Flat and no irregularities are seen
:: Very slight unevenness is observed
Δ: Irregularities are partially visible
×: Irregularities are seen uniformly or the substrate is affected
The evaluation of the appearance of the lens substrate produced by the method described above was ◎.
[0045]
Subsequently, the adhesion was evaluated. As an evaluation method, a lens substrate having a photochromic cured film was immersed in boiling water at 100 ° C. for 1 hour, cooled to room temperature, and subjected to a crosshatch test within 30 minutes. The evaluation criteria are shown below.
◎: No peeling
:: less than 5% peeling
Δ: Peeling of 5% or more and less than 15%
×: peeling of 15% or more
The adhesion of the lens substrate produced by the method described above was ◎.
[0046]
Example 2
A photochromic cured film was prepared in the same manner as in Example 1 except that a moisture-curable primer “Takenate M-402P” manufactured by Mitsui Takeda Chemical Co., Ltd. was used as a primer, and the appearance and adhesion were evaluated. The results are summarized in Table 1.
[0047]
[Table 1]
[0048]
Example 3
As a primer, a moisture-curable primer "Takenate M-631N" manufactured by Mitsui Takeda Chemical Co., Ltd. and butyl acetate were mixed in a weight ratio of 1: 2, and sufficiently stirred under a nitrogen atmosphere until uniform to obtain a leveling agent. One part by weight of a silicone surfactant "L-7001" manufactured by Nippon Unicar Co., Ltd. was added, and the mixture was sufficiently stirred under a nitrogen atmosphere until the mixture became uniform. Otherwise, a photochromic cured film was prepared in the same manner as in Example 1, and the appearance and adhesion were evaluated. The results are summarized in Table 1.
[0049]
Example 4
As a primer, a moisture-curing primer [Takeseal No. manufactured by Takebayashi Chemical Industry Co., Ltd.] 400 primer "and xylene were mixed at a weight ratio of 1: 3, and a photochromic cured film was prepared in the same manner as in Example 1 except that the mixture was sufficiently stirred under a nitrogen atmosphere until the mixture became uniform. , Appearance and adhesion were evaluated. The results are summarized in Table 1.
[0050]
Example 5
As a primer, a moisture-curable primer "Primer PFR" manufactured by Takebayashi Chemical Industry Co., Ltd. and butyl acetate were prepared in a weight ratio of 2: 1 and sufficiently stirred under a nitrogen atmosphere until uniform. Also, 1 part by weight of a leveling agent "Florad FC-470" manufactured by Sumitomo 3M Ltd. was added as a leveling agent, and the mixture was sufficiently stirred under a nitrogen atmosphere until the mixture became uniform. Otherwise, a photochromic cured film was prepared in the same manner as in Example 1, and the appearance and adhesion were evaluated. The results are summarized in Table 1.
[0051]
Example 6
A photochromic cured film was prepared in the same manner as in Example 1 except that a moisture-curable primer "Urethane Primer 06" manufactured by Alps Chemical Co., Ltd. was used as a primer, and the appearance and adhesion were evaluated. The results are summarized in Table 1.
[0052]
Example 7
As a lens substrate, a thermosetting hard coating agent “NSC1274” manufactured by Nippon Seika Co., Ltd. was applied to a polycarbonate lens substrate at a thickness of 2 μm and then cured at 110 ° C. for 1 hour. As a primer, Takeda Mitsui Chemicals A photochromic cured film was prepared in the same manner as in Example 1 except that the moisture-curable primer “Takenate M-402P” manufactured by KK was used, and the appearance and adhesion were evaluated. The results are summarized in Table 1.
[0053]
Example 8
As a lens substrate, a photocurable hard coat agent “UVHC1105” manufactured by GE Toshiba Silicone Co., Ltd. with a thickness of 2 μm is applied to the surface of a polycarbonate lens substrate, and then cured by irradiating a 120 W metal halide lamp under a nitrogen atmosphere for 2 minutes. A photochromic cured film was prepared in the same manner as in Example 1 except that a moisture-curable primer “Urethane Primer 06” manufactured by Alps Chemical Co., Ltd. was used as a primer, and the appearance and adhesion were evaluated. The results are summarized in Table 1.
[0054]
Comparative Example 1
A primer prepared by mixing a block type polyisocyanate “Varnock D-500” manufactured by Dainippon Ink and butyl acetate at a weight ratio of 1: 1 and sufficiently stirred until uniform under a nitrogen atmosphere, A photochromic cured film was prepared in the same manner as in Example 1 except that the curing temperature of the primer was set to 130 ° C., and the appearance and adhesion were evaluated. The results are summarized in Table 2.
[0055]
Comparative Example 2
As a primer, a block type polyisocyanate “Takenate B-883BS” manufactured by Mitsui Takeda Chemical Co., Ltd. and xylene were prepared so as to have a weight ratio of 1: 1 and sufficiently stirred under a nitrogen atmosphere until uniform to be used. A photochromic cured film was prepared in the same manner as in Example 1 except that the curing temperature was changed to 130 ° C., and the appearance and adhesion were evaluated. The results are summarized in Table 2.
[0056]
Comparative Example 3
A photochromic cured film was prepared in the same manner as in Example 1 except that a polycarbonate lens substrate was used as the lens substrate and isopropyl alcohol was used as the degreasing solvent, and the appearance and adhesion were evaluated. The results are summarized in Table 2.
[0057]
[Table 2]
[0058]
【The invention's effect】
The laminate of the present invention improves impact resistance while maintaining high optical properties of the substrate, and is itself useful as an optical article such as an eyeglass lens. Further, the laminate of the present invention has an excellent effect that when a photochromic coat layer is formed on the surface thereof, the laminate adheres firmly to the photochromic coat layer.
[0059]
Further, the production method of the present invention is such that a moisture-curable polyurethane resin-based primer not conventionally used in optical applications is applicable to optical applications, and a conventional urethane-based primer used in optical applications It is to solve various problems that have. Furthermore, the production method of the present invention is also useful in the field of plastic lenses as a method for producing a photochromic plastic lens that can withstand practical use by a coating method capable of imparting photochromic properties regardless of the type of substrate. The nature is high.
[0060]
Furthermore, the laminate of the present invention having a photochromic coat layer has not only excellent optical properties and photochromic properties, but also strong adhesion in which the photochromic coat layer does not peel off under severe conditions of high humidity such as boiling. showed that. Therefore, even when used for a long period of time, a highly reliable photochromic optical article (for example, a photochromic plastic lens) without peeling of the coating film is obtained.