【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は注型によるポリアミド樹脂成形体の製造方法および製造装置に関するものであり、詳しくは板状成形体を成形する際のモールドの底部に発生するボイドや表面のヒケの発生を防止したポリアミド樹脂成形体の製造方法及び製造装置にかかわる。
【０００２】
【従来の技術】
ポリアミド樹脂にて板状の成形体を製造する際のモールドとしては、図１に示すようにアルミ、鉄などからなる一対の側板の間に、スペーサを介在してキャビティを形成していた。そして、このモールドを熱風炉や熱媒として油などを用いた熱盤で１８０〜１９０℃になるまで加熱し、所定温度になったモールドに重合性ラクタム液をこれに注入し、再びモールドを加熱して重合していた。
【０００３】
【特許文献１】
特開平９−２０１８３２号公報
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
重合性ラクタム液を注型し、重合が進み始めると、粘度が上昇すると共に重合、結晶化に伴う収縮が起きる。モールドの上部においては重合性ラクタム液の液面が下がることによって収縮した分が補われるので問題はないが、モールドの底部においては減圧状態となり、真空ボイド、モールドの隙間からの空気の吸い込みによる気泡、板表面のヒケ（厚み不足）などが発生する。このようなボイド、気泡、ヒケが発生すると所定のサイズの製品が得られず不良となってしまう。
【０００５】
そこで本発明ではこのような問題点を解決し、モールドの底部においても真空ボイドや気泡、表面のヒケといった不具合が発生するのを防止できるようなポリアミド樹脂成形体の製造方法および製造装置の提供を目的とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の目的を達成するために請求項１ではポリアミド樹脂からなる成形体の製造方法において、上部が開放されたキャビティを有するモールドであって、モールド中の少なくとも１箇所に下部においてキャビティと連通し上部において大気中に開口する空洞部を設けたモールドを用い、実質上無水のラクタムに少なくともアニオン重合触媒とアニオン重合開始剤とを加えた重合性ラクタム液をキャビティ内に注型するとともに前記空洞部内にも流入させ、空洞部内の重合性ラクタム液は低温に保ったままキャビティ内の重合性ラクタム液を加熱して重合させ、重合が完了した後に脱型することを特徴とする。
【０００７】
キャビティの底部において開口する空洞部を設けて重合性ラクタム液を流入させ、重合中も空洞部を低温に保つことによってラクタム液は未重合のまま残り、重合の進行中に収縮が起こって減圧状態になっても空洞部から重合性ラクタム液が逆流してキャビティ内に戻り、収縮した分を補うことができるので真空ボイドや気泡の発生、表面にヒケが生ずるといった問題を解消することができる。
【０００８】
請求項２ではモールドは複数のモールド材からなっており、重合中には空洞部を設けたモールド材を熱盤にて他のモールド材よりも低温に保つポリアミド樹脂成形体の製造方法。
【０００９】
熱盤にて空洞部を低温に保つことによってより確実に安定して空洞部の温度を低温に保つことができ、空洞部内でラクタム液が重合してしまうといったことも防止することができる。
【００１０】
請求項３ではモールドは、一対の側板の間にスペーサを介してキャビティを形成したものであるポリアミド樹脂成形体の製造方法であり、請求項４ではポリアミド樹脂成形体が板材であるポリアミド樹脂成形体の製造方法。さらに請求項５ではスペーサにおいて空洞部を設けたポリアミド樹脂成形体の製造方法としている。
【００１１】
板材を成形するような場合において、高さに対して厚みが薄いモールドになりがちであり、特に底部において収縮によるヒケやボイドの問題が発生しやすいが、本発明のような構成とすることによる効果が顕著である。また、本発明では空洞部分を設けたモールド材を重合中に低温に保つ必要があるが、本来ならば重合の際にモールド材を低温とすることは好ましくない。そこで本発明の請求項３では、モールドを構成するものの中でも最も成形体と接する部分の少ないスペーサに空洞部を設けており、低温に保つことによる重合への影響をできるだけ少なくすることができる。
【００１２】
請求項６では上部が開放されたキャビティを有するモールド内に重合性ラクタム液を注型し重合することにより成形を行うポリアミド樹脂成形体の製造装置において、モールド中の少なくとも１箇所に下部においてキャビティと連通し上部において大気中に開口する空洞部を設けたモールドを用いてなることを特徴とするポリアミド樹脂成形体の製造装置。
【００１３】
請求項１と同様にキャビティの底部において開口する空洞部を設けて重合性ラクタム液を流入させ、重合中も空洞部を低温に保つことによってラクタム液は未重合のまま残り、重合の進行中に収縮が起こって減圧状態になっても空洞部から重合性ラクタム液が逆流してキャビティ内に戻り、収縮した分を補うことができるので真空ボイドや気泡の発生、表面にヒケが生ずるといった問題を解消することができる。
【００１４】
【発明の実施の形態】
図１は本発明に係るポリアミド樹脂成形体の製造装置の側面図、図２は図１において成形時の状態を示す図、図３は図１に示す製造装置に使用する側板の一部切欠き正面図、図４はスペーサの正面図、図５はスペーサの上面図である。
【００１５】
本発明のポリアミド成形体の製造方法では、上部が開放されたキャビティ７を有するモールドであって、モールド中の少なくとも１箇所に下部においてキャビティ７内に開口３０しており、上部において大気中に開口３１する空洞部３２を設けたモールドを用いており、キャビティ７中に重合性ラクタム液を注型するとともに、前記空洞部にも重合性ラクタム液を流入させ、空洞部内の重合性ラクタム液は１３０〜１６０℃の範囲の低温に保ったままキャビティ７内の重合性ラクタム液を２０〜１００分程度加熱して重合する。
【００１６】
前記のような空洞部３２を設けておくことにより、注型時に空洞部３２にも重合性ラクタム液が流れ込み、しかも重合中においては空洞部３２を低温に保っていることから空洞部３２内のラクタム液は重合が進まずモノマーの液の状態に保たれる。一方、キャビティ７内において重合が進行する際に、粘度が上昇すると共に重合、結晶化に伴う収縮が起き、キャビティ７内が減圧状態になることで、前記空洞部内の重合性ラクタム液が逆流してキャビティ７内に流れ込み収縮した分を補うことができる。
【００１７】
そして、ボイドやヒケといった問題が解消された良好な成形体を製造することができるものである。
【００１８】
本発明のポリアミド樹脂成形体の製造方法で用いられる製造装置１において、モールドはモールド材となる側板４とスペーサから構成され、また、側板４を装着した固定部材２と、同様に側板４を装着した移動部材３と、上記固定部材２と移動部材３の間に介在してキャビティ７を形成するスペーサ５と、熱媒油循環装置６から製造装置１が構成されている。
【００１９】
上記固定部材２では、脚部９に水平に配置された支持板１０に断熱板１１が垂直に固定され、この断熱板１１の背面にロックウール等の断熱材１２が全面に装着され、また断熱板１１の前面に側板４が突出したフレーム１３に保持されて機械的に固定されている。
【００２０】
側板４は、図３に示すようにアルミ、鉄等の金属製の板から形成された中空体であり、密閉された内部には幅方向に延びた桟１５が一定間隔で設けられ、熱媒油を流動させる連通した油路１６を有している。熱媒油は側板４の下側に設けた油口１７から入ると、連通した油路１６を流れて側板４内をまんべんなく加熱しながら上側に設けた油出口１８から排出し、配管１９を経由して熱媒油循環装置６へ向かい、この間を循環する。
【００２１】
上記移動部材３では、固定部材２と同様に水平に配置された支持板１０に断熱板１１が垂直に固定され、この断熱板１１の背面に断熱材１２が全面に装着されているとともに断熱板１１の前面に側板４が突出したフレーム１３に保持され機械的に固定されている。ただ、該移動部材３は支持板１０に台車２０を具備し、基板２１に設けたレール２２上を手動または自動的に固定モールド体２側へ向かって移動し、また離れることができる。尚、上記側板４は、固定部材２に装着したものと同様の構造を有している。
【００２２】
スペーサ５は、図４、図５に示すように一辺を開放したコ字状の枠体であり、枠体の内部には熱媒油を通す油路（図示せず）があり、熱媒油は下辺に設けた油口から油路を通り、側辺の上部に設けた油出口を出て、スペーサ５を加熱する。上記スペーサ５は固定部材２あるいは移動部材３に設けたフレーム１３に設置され、機械的に固定される。しかし、スペーサ５と側板４とのシール効果を高めるために、ポリテトラフルオロエチレン、シリコンゴム等のゴム弾性体からなるパッキン２３をスペーサ５の枠体の両面に付着することもできる。この場合には、スペーサ５を固定モールド体２あるいは移動部材３に機械的に固定する必要はない。
【００２３】
また、本発明においては図４、図５に示すようにスペーサ５に下部においてキャビティ５内に開口３０するとともに反対側は上部で大気中に開口３１している空洞部３２を設けている。空洞部３２を設ける方法としては、特に限定されるものではないがスペーサ５の側板４と接する面において溝を設けておくことにより、重合性性ラクタム液が流れ込む空洞部３２を形成することができる。
【００２４】
空洞部３２のサイズは例えば、１０００ｍｍ高さ×２０００ｍｍ幅×３０ｍｍ厚さのキャビティ７を有するモールドにて側板４の温度を１５０℃に保って重合性ラクタム液を注型成形する場合、スペーサ５に設ける溝が深さ１５ｍｍ×幅２０ｍｍ程度のものであって、空洞部３２の容積が重合性ラクタム液全注型量の０．５〜５％の範囲であることが好ましい。０．５％未満であるとラクタム液の量が少なすぎて収縮した部分を十分に補うことができず、５％を超えると収縮を補うために使用されない無駄になる重合性ラクタム液の量が多くなりすぎるので経済的な面から好ましくない。
【００２５】
熱媒油循環装置６は、タンク内に入れた熱媒油を加熱する加熱装置と熱媒油を循環させるポンプを備えており、配管１９を介して固定部材２および移動部材３に装着した側板４およびスペーサ５に連結されている。
【００２６】
また、本発明の装置においては、一対の側板４、４が固定され、この間にスペーサ５を介在してキャビティ７を形成した場合でもよい。無論、各側板４、４とスペーサ５を熱媒油循環装置６によって温度調節が可能になる。更に、温度調節可能にした一対の側板４、４の間に、温度調節を可能にした少なくとも１枚以上の中盤（図示せず）を配置し、一対の側板４と中盤からなる各盤の間にスペーサを介在し、一方の側板４を他方の側板４へ移動して、各盤とスペーサ５を一体的に挟持固定して複数のキャビティ７を形成したものであってもよい。更に側板４、４自身に熱媒の通路を設けて加熱できるようにしたものでも構わない。
【００２７】
また重合性ラクタム液は、ω−ラクタムにアニオン重合触媒、そしてアニオン重合用開始剤を添加したものであり、上記ω−ラクタムは実質上無水のα−ピペリドン、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタム、あるいはこれらの２種以上の混合物であり、工業的に有利なラクタムはε−カプロラクタムとω−ラウロラクタムである。
【００２８】
アニオン重合触媒は、水素化ナトリウム、水素化リチウム、ナトリウム、カリウム等の公知のω−ラクタムの重合触媒を使用することができ、その添加量はω−ラクタムに対して０．１〜２．０モル％である。そして、アニオン重合用開始剤としては、例えばＮ−アセチル−ε−カプロラクタム、イソシアネート、ジイソシアネート、尿素誘導体、ウレタン、イソシアヌレート誘導体であり、その添加量はω−ラクタムに対して０．０５〜１．０モル％の範囲が好ましい。
【００２９】
また、アニオン重合触媒をω−ラクタムに添加し溶解した後、アニオン重合用開始剤を注型時に添加混合する方法、またはアニオン重合触媒を含むω−ラクタムとアニオン重合用開始剤を含むω−ラクタムとを注型時に添加混合する方法によって調整する。
【００３０】
尚、本発明方法を実施するに際して、上記成分以外に重合を阻害しない油類、ワックス、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の滑剤や、カーボン繊維、ガラス繊維等の補強材を添加することも可能である。
【００３１】
【実施例】
次に、本発明に係る製造装置を用いて板状のポリアミド樹脂成形体を製造してみた実施例と本発明でない比較例とで成形体の出来栄えを比較してみた。
【００３２】
（実施例）
実施例では図４、図５に示すような溝を設けたスペーサ５を使った製造装置を用いて幅２０００ｍｍ×高さ１０００ｍｍ×厚さ３０ｍｍの板状のポリアミド成形体を注型成形した。具体的な操作としては所定厚みのスペーサ５を、固定部材２に装着した側板４に接するよう設置した後、移動部材３を移動して、上記スペーサ５を２つの側板４、４に挟持して重合性ラクタム液を注型するキャビティ７を形成した。このときスペーサ５および２つの側板４、４は、クランプ装置によって機械的に固定し、また熱媒油循環装置６から熱媒油を導入して１５０°Ｃに温度調節し、予備加熱した。
【００３３】
その後、重合性ラクタム液をキャビティ７に注型するとともに空洞部３２にも流入させ、閉鎖した状態でアニオン重合する。重合時間は６０分であり、これが完了するとスペーサ５および２つの側板４、４を機械的に開放した後、移動部材３を元の位置まで移動する。得られたポリアミド樹脂成形体は容易に型から取り出すことができた。脱型した成形体を調べると気泡やヒケなどの問題のない成形体が得られていることがわかった。
【００３４】
（比較例）
次に、空洞部のための溝のないスペーサを用いた以外は上記実施例と全く同じ装置を用いて同じ手順で、同様のサイズのポリアミド樹脂成形体を成形した。脱型した成形体を調べるとモールドの底部に位置する箇所において気泡が３箇所みつかり、更に板厚方向に最大深さ５ｍｍのヒケが発生していた。
【００３５】
このように、本発明の製造方法によると成形体の収縮に伴って空洞部から重合性ラクタム液が逆流して供給され、収縮を補うことができるのでボイドやヒケの発生を防止することができるということが確認された。
【００３６】
【発明の効果】
本発明は上記の目的を達成するために請求項１ではポリアミド樹脂からなる成形体の製造方法において、上部が開放されたキャビティを有するモールドであって、モールド中の少なくとも１箇所に下部においてキャビティと連通し上部において大気中に開口する空洞部を設けたモールドを用い、実質上無水のラクタムに少なくともアニオン重合触媒とアニオン重合開始剤とを加えた重合性ラクタム液をキャビティ内に注型するとともに前記空洞部内にも流入させ、空洞部内の重合性ラクタム液は低温に保ったままキャビティ内の重合性ラクタム液を加熱して重合させ、重合が完了した後に脱型することを特徴とする。
【００３７】
キャビティの底部において開口する空洞部を設けて重合性ラクタム液を流入させ、重合中も空洞部を低温に保つことによってラクタム液は未重合のまま残り、重合の進行中に収縮が起こって減圧状態になっても空洞部から重合性ラクタム液が逆流してキャビティ内に戻り、収縮した分を補うことができるので真空ボイドや気泡の発生、表面にヒケが生ずるといった問題を解消することができる。
【００３８】
請求項２ではモールドは複数のモールド材からなっており、重合中には空洞部を設けたモールド材を熱盤にて他のモールド材よりも低温に保つポリアミド樹脂成形体の製造方法。
【００３９】
熱盤にて空洞部を低温に保つことによってより確実に安定して空洞部の温度を低温に保つことができ、空洞部内でラクタム液が重合してしまうといったことも防止することができる。
【００４０】
請求項３ではモールドは、一対の側板の間にスペーサを介してキャビティを形成したものであるポリアミド樹脂成形体の製造方法であり、請求項４ではポリアミド樹脂成形体が板材であるポリアミド樹脂成形体の製造方法。さらに請求項５ではスペーサにおいて空洞部を設けたポリアミド樹脂成形体の製造方法としている。
【００４１】
板材を成形するような場合において、高さに対して厚みが薄いモールドになりがちであり、特に底部において収縮によるヒケやボイドの問題が発生しやすいが、本発明のような構成とすることによる効果が顕著である。また、本発明では空洞部分を設けたモールド材を重合中に低温に保つ必要があるが、本来ならば重合の際にモールド材を低温とすることは好ましくない。そこで本発明の請求項３では、モールドを構成するものの中でも最も成形体と接する部分の少ないスペーサに空洞部を設けており、低温に保つことによる重合への影響をできるだけ少なくすることができる。
【００４２】
請求項６では上部が開放されたキャビティを有するモールド内に重合性ラクタム液を注型し重合することにより成形を行うポリアミド樹脂成形体の製造装置において、モールド中の少なくとも１箇所に下部においてキャビティと連通し上部において大気中に開口する空洞部を設けたモールドを用いてなることを特徴とするポリアミド樹脂成形体の製造装置。
【００４３】
請求項１と同様にキャビティの底部において開口する空洞部を設けて重合性ラクタム液を流入させ、重合中も空洞部を低温に保つことによってラクタム液は未重合のまま残り、重合の進行中に収縮が起こって減圧状態になっても空洞部から重合性ラクタム液が逆流してキャビティ内に戻り、収縮した分を補うことができるので真空ボイドや気泡の発生、表面にヒケが生ずるといった問題を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の製造方法で用いられるポリアミド樹脂成形体の製造装置の側面図である。
【図２】図１において成形時の状態を示す図である。
【図３】図１に示す製造装置に使用する側板の一部切欠き正面図である。
【図４】スペーサの正面図である。
【図５】スペーサの上面図である。
【符号の説明】
１ ポリアミド樹脂成形体の製造装置
２ 固定部材
３ 移動部材
４ 側板
５ スペーサ
７ キャビティ
３０ 開口
３１ 開口
３２ 空洞部[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a method and an apparatus for producing a polyamide resin molded article by casting, and more particularly, to a polyamide resin in which generation of voids and sink marks on the surface of a mold at the time of molding a plate-like molded article is prevented. The present invention relates to a method and an apparatus for manufacturing a molded article.
[0002]
[Prior art]
As a mold for producing a plate-shaped molded body from a polyamide resin, as shown in FIG. 1, a cavity was formed between a pair of side plates made of aluminum, iron, or the like with a spacer interposed therebetween. Then, the mold is heated to 180 to 190 ° C. with a hot blast stove or a hot plate using oil or the like as a heat medium, a polymerizable lactam liquid is poured into the mold at a predetermined temperature, and the mold is heated again. Was polymerized.
[0003]
[Patent Document 1]
JP-A-9-201832
[Problems to be solved by the invention]
When the polymerizable lactam liquid is cast and the polymerization starts to proceed, the viscosity increases and shrinkage occurs due to polymerization and crystallization. At the top of the mold, there is no problem because the level of the polymerizable lactam liquid is reduced by lowering the level of the polymerizable lactam liquid, but there is no problem. And sinks (insufficient thickness) on the plate surface occur. If such voids, bubbles, and sinks occur, a product of a predetermined size cannot be obtained, resulting in a defect.
[0005]
Therefore, the present invention solves such a problem, and provides a method and apparatus for manufacturing a polyamide resin molded body that can prevent the occurrence of problems such as vacuum voids, bubbles, and sink marks on the bottom of a mold. Aim.
[0006]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve the above object, the present invention provides a method for manufacturing a molded article made of a polyamide resin according to claim 1, wherein the mold has a cavity whose upper part is open, and the mold has a cavity at least at one place in the mold. Using a mold provided with a cavity that opens to the atmosphere at the top of the communication, and casting a polymerizable lactam liquid obtained by adding at least an anionic polymerization catalyst and an anionic polymerization initiator to a substantially anhydrous lactam into the cavity. The polymerizable lactam liquid in the cavity is heated and polymerized while the polymerizable lactam liquid in the cavity is kept at a low temperature, and the mold is released after the polymerization is completed.
[0007]
A cavity is opened at the bottom of the cavity to allow the polymerizable lactam liquid to flow in, and the cavity is kept at a low temperature during polymerization so that the lactam liquid remains unpolymerized. Even in such a case, the polymerizable lactam liquid flows backward from the cavity and returns into the cavity to compensate for the shrinkage, so that problems such as generation of vacuum voids and bubbles and generation of sink on the surface can be solved.
[0008]
3. The method for producing a polyamide resin molded body according to claim 2, wherein the mold comprises a plurality of mold materials, and the mold material provided with the cavity is kept at a lower temperature than another mold material by a hot plate during polymerization.
[0009]
By maintaining the cavity at a low temperature with the hot plate, the temperature of the cavity can be more reliably and stably maintained at a low temperature, and polymerization of the lactam liquid in the cavity can be prevented.
[0010]
A third aspect of the present invention is a method for manufacturing a polyamide resin molded body in which a cavity is formed between a pair of side plates via a spacer, and a fourth aspect of the present invention relates to a method of manufacturing a polyamide resin molded body in which the polyamide resin molded body is a plate material. Production method. Further, a fifth aspect of the present invention relates to a method of manufacturing a polyamide resin molded article having a cavity in a spacer.
[0011]
In the case of molding a plate material, the thickness tends to be thinner with respect to the height, and the problem of sink marks and voids due to shrinkage tends to occur particularly at the bottom portion. The effect is remarkable. Further, in the present invention, it is necessary to keep the temperature of the molding material provided with the hollow portion at a low temperature during the polymerization, but it is originally not preferable to lower the temperature of the molding material at the time of the polymerization. In view of this, in claim 3 of the present invention, the cavity is provided in the spacer having the least contact with the molded body among the constituents of the mold, so that the effect of polymerization at low temperature can be minimized.
[0012]
In the apparatus for producing a polyamide resin molded product according to claim 6, wherein a polymerizable lactam liquid is cast into a mold having a cavity having an open top and molded by polymerization, a cavity is formed at least at one position in the mold. An apparatus for producing a polyamide resin molded article, characterized by using a mold provided with a cavity that opens to the atmosphere at an upper part of the communication.
[0013]
The lactam liquid is left unpolymerized by providing a cavity opening at the bottom of the cavity and allowing the polymerizable lactam liquid to flow therein, and maintaining the cavity at a low temperature during the polymerization, as in claim 1. Even if shrinkage occurs and the pressure is reduced, the polymerizable lactam liquid flows back from the cavity and returns into the cavity, making up for the shrinkage, causing problems such as the generation of vacuum voids and bubbles and sink marks on the surface. Can be eliminated.
[0014]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
1 is a side view of an apparatus for producing a polyamide resin molded body according to the present invention, FIG. 2 is a view showing a state at the time of molding in FIG. 1, and FIG. 3 is a partially cutaway side plate used in the production apparatus shown in FIG. FIG. 4 is a front view of the spacer, and FIG. 5 is a top view of the spacer.
[0015]
In the method for producing a polyamide molded article of the present invention, a mold having a cavity 7 whose upper part is open, has an opening 30 in the cavity 7 at a lower part in at least one place in the mold, and an opening to the atmosphere at an upper part. The mold is provided with a cavity 32 for forming the lactam 31. The polymerizable lactam liquid is poured into the cavity 7, and the polymerizable lactam liquid flows into the cavity. The polymerizable lactam liquid in the cavity 7 is heated for about 20 to 100 minutes while keeping the temperature at a low temperature in the range of up to 160 ° C. to polymerize.
[0016]
By providing the cavity 32 as described above, the polymerizable lactam liquid flows into the cavity 32 at the time of casting, and since the cavity 32 is kept at a low temperature during polymerization, the inside of the cavity 32 is The lactam liquid is kept in a monomer liquid state without polymerization proceeding. On the other hand, when the polymerization proceeds in the cavity 7, the viscosity increases and the polymerization and shrinkage due to crystallization occur, and the pressure in the cavity 7 is reduced, so that the polymerizable lactam liquid in the cavity flows backward. As a result, it is possible to compensate for the shrinkage caused by flowing into the cavity 7.
[0017]
Then, it is possible to produce a good molded body in which problems such as voids and sinks have been solved.
[0018]
In the manufacturing apparatus 1 used in the method for manufacturing a polyamide resin molded article of the present invention, the mold is composed of a side plate 4 serving as a molding material and a spacer, and the fixing member 2 to which the side plate 4 is mounted and the side plate 4 are mounted similarly. The manufacturing apparatus 1 is composed of the moving member 3 described above, the spacer 5 interposed between the fixed member 2 and the moving member 3 to form the cavity 7, and the heat medium oil circulation device 6.
[0019]
In the fixing member 2, a heat insulating plate 11 is vertically fixed to a support plate 10 horizontally arranged on the leg 9, and a heat insulating material 12 such as rock wool is mounted on the entire back surface of the heat insulating plate 11. The side plate 4 is held and mechanically fixed to a frame 13 projecting from the front surface of the plate 11.
[0020]
The side plate 4 is a hollow body formed of a metal plate such as aluminum or iron as shown in FIG. 3, and a bar 15 extending in the width direction is provided at regular intervals in a closed interior. It has a communicating oil passage 16 for flowing oil. When the heat medium oil enters from an oil port 17 provided on the lower side of the side plate 4, it flows through a communicating oil passage 16, discharges from an oil outlet 18 provided on the upper side while uniformly heating the inside of the side plate 4, and passes through a pipe 19. Then, it goes to the heat medium oil circulation device 6 and circulates through it.
[0021]
In the moving member 3, a heat insulating plate 11 is vertically fixed to a horizontally arranged support plate 10 like the fixing member 2, and a heat insulating material 12 is mounted on the entire back surface of the heat insulating plate 11 and the heat insulating plate 11 is provided. 11 is held and mechanically fixed to a frame 13 from which a side plate 4 projects. However, the moving member 3 is provided with the carriage 20 on the support plate 10, and can be moved manually or automatically on the rail 22 provided on the substrate 21 toward the fixed mold body 2 and can be separated therefrom. The side plate 4 has the same structure as that attached to the fixing member 2.
[0022]
The spacer 5 is a U-shaped frame body having one side open as shown in FIGS. 4 and 5, and an oil passage (not shown) through which the heat medium oil passes inside the frame body. Heats the spacer 5 through an oil passage provided from an oil port provided on a lower side and an oil outlet provided on an upper side of the side. The spacer 5 is installed on a frame 13 provided on the fixing member 2 or the moving member 3 and is mechanically fixed. However, in order to enhance the sealing effect between the spacer 5 and the side plate 4, a packing 23 made of a rubber elastic material such as polytetrafluoroethylene or silicon rubber may be attached to both sides of the frame of the spacer 5. In this case, it is not necessary to mechanically fix the spacer 5 to the fixed mold body 2 or the moving member 3.
[0023]
In the present invention, as shown in FIGS. 4 and 5, the spacer 5 is provided with a cavity 32 having an opening 30 in the cavity 5 at the lower part and an opening 31 in the atmosphere at the upper part on the opposite side. The method for providing the cavity 32 is not particularly limited, but by providing a groove on the surface of the spacer 5 that is in contact with the side plate 4, the cavity 32 into which the polymerizable lactam liquid flows can be formed. .
[0024]
The size of the cavity 32 is, for example, when the polymerizable lactam liquid is cast-molded while maintaining the temperature of the side plate 4 at 150 ° C. with a mold having a cavity 7 of 1000 mm height × 2000 mm width × 30 mm thickness. It is preferable that the groove to be provided has a depth of about 15 mm and a width of about 20 mm, and the volume of the cavity 32 is in the range of 0.5 to 5% of the total casting amount of the polymerizable lactam liquid. If it is less than 0.5%, the amount of the lactam solution is too small to sufficiently compensate for the shrunk portion, and if it exceeds 5%, the amount of the polymerizable lactam solution that is not used to compensate for the shrinkage is wasted. It is not preferable from an economical point of view because it is too large.
[0025]
The heat medium oil circulating device 6 includes a heating device for heating the heat medium oil put in the tank and a pump for circulating the heat medium oil, and the side plate attached to the fixed member 2 and the moving member 3 via the pipe 19. 4 and spacer 5.
[0026]
In the device of the present invention, a pair of side plates 4 and 4 may be fixed, and a cavity 7 may be formed with a spacer 5 interposed therebetween. Needless to say, the temperature of each side plate 4, 4 and the spacer 5 can be adjusted by the heat medium oil circulation device 6. Further, at least one or more middle panels (not shown) whose temperature can be adjusted are arranged between the pair of side panels 4 and 4 whose temperature can be adjusted. A plurality of cavities 7 may be formed by moving one side plate 4 to the other side plate 4 and interposing and fixing each panel and the spacer 5 integrally. Further, the side plates 4 and 4 themselves may be provided with a passage for the heat medium so that heating can be performed.
[0027]
The polymerizable lactam liquid is obtained by adding an anionic polymerization catalyst and an anionic polymerization initiator to ω-lactam, and the ω-lactam is substantially anhydrous α-piperidone, ε-caprolactam, ω-laurolactam, Alternatively, a mixture of two or more of these, and industrially advantageous lactams are ε-caprolactam and ω-laurolactam.
[0028]
As the anionic polymerization catalyst, known ω-lactam polymerization catalysts such as sodium hydride, lithium hydride, sodium, and potassium can be used, and the amount thereof is 0.1 to 2.0 with respect to ω-lactam. Mol%. Examples of the initiator for anionic polymerization include N-acetyl-ε-caprolactam, isocyanate, diisocyanate, urea derivative, urethane, and isocyanurate derivative. A range of 0 mol% is preferred.
[0029]
Also, a method of adding and dissolving an anionic polymerization catalyst to ω-lactam and then adding and mixing an initiator for anionic polymerization at the time of casting, or ω-lactam containing anionic polymerization catalyst and ω-lactam containing anionic polymerization initiator Are adjusted by adding and mixing at the time of casting.
[0030]
In carrying out the method of the present invention, other than the above-mentioned components, oils that do not inhibit polymerization, waxes, lubricants such as zinc stearate and calcium stearate, and reinforcing materials such as carbon fiber and glass fiber can be added. is there.
[0031]
【Example】
Next, the performance of the molded article was compared between an example in which a plate-like polyamide resin molded article was produced using the production apparatus according to the present invention and a comparative example which is not the present invention.
[0032]
(Example)
In the example, a plate-like polyamide molded body having a width of 2,000 mm, a height of 1,000 mm, and a thickness of 30 mm was cast-formed using a manufacturing apparatus using a spacer 5 provided with grooves as shown in FIGS. As a specific operation, after a spacer 5 having a predetermined thickness is installed so as to be in contact with the side plate 4 attached to the fixed member 2, the moving member 3 is moved to sandwich the spacer 5 between the two side plates 4, 4. The cavity 7 for casting the polymerizable lactam liquid was formed. At this time, the spacer 5 and the two side plates 4 and 4 were mechanically fixed by a clamp device, and a heating medium oil was introduced from a heating medium oil circulation device 6 to adjust the temperature to 150 ° C. and preheated.
[0033]
Thereafter, the polymerizable lactam liquid is poured into the cavity 7 and also flows into the cavity 32, where anion polymerization is performed in a closed state. The polymerization time is 60 minutes. When this is completed, the moving member 3 is moved to the original position after the spacer 5 and the two side plates 4 and 4 are mechanically opened. The obtained polyamide resin molded body could be easily removed from the mold. Examination of the demolded molded body revealed that a molded body free from problems such as bubbles and sink marks was obtained.
[0034]
(Comparative example)
Next, a polyamide resin molded article of the same size was molded by the same procedure and using the same apparatus as in the above example except that a spacer having no groove for the cavity was used. Examination of the demolded molded product revealed that three bubbles were found at the position located at the bottom of the mold, and that sink marks having a maximum depth of 5 mm were generated in the thickness direction.
[0035]
As described above, according to the production method of the present invention, the polymerizable lactam liquid is supplied in a backward flow from the cavity along with the shrinkage of the molded body, and the shrinkage can be compensated for, so that generation of voids and sink marks can be prevented. It was confirmed that.
[0036]
【The invention's effect】
In order to achieve the above object, the present invention provides a method for manufacturing a molded article made of a polyamide resin according to claim 1, wherein the mold has a cavity whose upper part is open, and the mold has a cavity at least at one place in the mold. Using a mold provided with a cavity that opens to the atmosphere at the top of the communication, and casting a polymerizable lactam liquid obtained by adding at least an anionic polymerization catalyst and an anionic polymerization initiator to a substantially anhydrous lactam into the cavity. The polymerizable lactam liquid in the cavity is heated and polymerized while the polymerizable lactam liquid in the cavity is kept at a low temperature, and the mold is released after the polymerization is completed.
[0037]
A cavity is opened at the bottom of the cavity to allow the polymerizable lactam liquid to flow in, and the cavity is kept at a low temperature during polymerization so that the lactam liquid remains unpolymerized. Even in such a case, the polymerizable lactam liquid flows backward from the cavity and returns into the cavity to compensate for the shrinkage, so that problems such as generation of vacuum voids and bubbles and generation of sink on the surface can be solved.
[0038]
3. The method for producing a polyamide resin molded body according to claim 2, wherein the mold comprises a plurality of mold materials, and the mold material provided with the cavity is kept at a lower temperature than another mold material by a hot plate during polymerization.
[0039]
By maintaining the cavity at a low temperature with the hot plate, the temperature of the cavity can be more reliably and stably maintained at a low temperature, and polymerization of the lactam liquid in the cavity can be prevented.
[0040]
A third aspect of the present invention is a method for manufacturing a polyamide resin molded article in which a mold is formed by forming a cavity between a pair of side plates with a spacer interposed therebetween. Production method. Further, a fifth aspect of the present invention relates to a method of manufacturing a polyamide resin molded article having a cavity in a spacer.
[0041]
In the case of molding a plate material, the thickness tends to be thinner with respect to the height, and the problem of sink marks and voids due to shrinkage tends to occur particularly at the bottom portion. The effect is remarkable. Further, in the present invention, it is necessary to keep the temperature of the molding material provided with the hollow portion at a low temperature during the polymerization, but it is originally not preferable to lower the temperature of the molding material at the time of the polymerization. In view of this, in claim 3 of the present invention, the cavity is provided in the spacer having the least contact with the molded body among the constituents of the mold, and the effect on polymerization by keeping the temperature low can be minimized.
[0042]
Claim 6 is a manufacturing apparatus of a polyamide resin molded body for molding by pouring and polymerizing a polymerizable lactam liquid into a mold having a cavity having an open top, wherein at least one portion in the mold has a cavity at a lower portion. An apparatus for producing a polyamide resin molded article, characterized by using a mold provided with a cavity that opens to the atmosphere at an upper part of the communication.
[0043]
The lactam liquid is left unpolymerized by providing a cavity opening at the bottom of the cavity and allowing the polymerizable lactam liquid to flow therein, and maintaining the cavity at a low temperature during the polymerization, as in the case of claim 1. Even if shrinkage occurs and the pressure is reduced, the polymerizable lactam liquid flows back from the cavity and returns into the cavity, which can compensate for the shrinkage, causing problems such as the generation of vacuum voids and bubbles, and the occurrence of sink marks on the surface. Can be eliminated.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a side view of an apparatus for producing a polyamide resin molded article used in the production method of the present invention.
FIG. 2 is a diagram showing a state at the time of molding in FIG. 1;
FIG. 3 is a partially cutaway front view of a side plate used in the manufacturing apparatus shown in FIG. 1;
FIG. 4 is a front view of a spacer.
FIG. 5 is a top view of the spacer.
[Explanation of symbols]
DESCRIPTION OF SYMBOLS 1 Manufacturing apparatus of polyamide resin molded body 2 Fixed member 3 Moving member 4 Side plate 5 Spacer 7 Cavity 30 Opening 31 Opening 32 Cavity
