JP2004253831A - 無線装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】復調器42は、受信した信号に対して復調処理する。復号器46は、復調した信号をスペクトル逆拡散処理する。さらに、CIR値204を計算してCPU26と予測器48へ出力する。予測器48は、CIR値204から次の受信のスロットタイミングでの次期CIR値208を導出する。CIR−DRC変換テーブル50により、次期CIR値208がDRCに変換される。CPU26は、受信データ200を内部処理するか、あるいは外部IF部34を経由して外部に接続されたPC20へ送信する。CIR値204をもとにユーザに通知するための通信品質指標を任意の方法でもとめ、表示部30にアンテナマーク等の形で表示する。また、この指標は外部IF部34により外部のPC20へ送る。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は可変の通信速度を制御可能な無線装置に関する。特に、環境の変動に応じて通信速度も変動するように制御する無線装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、次世代の高速無線通信方式としてcdma2000 1x−EV DO(以下、「EV−DO」という)方式が開発されている。EV−DO方式とは、cdmaOne方式を拡張し第3世代方式に対応させたcdma2000 1x方式を、さらにデータ通信に特化して伝送レートを高速化させた方式である。ここで、「EV」はEvolution、「DO」はData Onlyを意味する。
【0003】
EV−DO方式において、無線通信端末から基地局への上り回線の無線インターフェースの構成はcdma2000 1X方式とほぼ同様である。基地局から無線通信端末への下り回線の無線インターフェース構成については、1.23MHzに規定された帯域幅がcdma2000 1x方式と同一である一方、変調方式、多重化方法等がcdma2000 1x方式と大きく異なる。変調方式は、cdma2000 1x方式において使用されているQPSK、HPSKに対し、EV−DO方式において、QPSK、8−PSK、16QAMが無線通信端末における下り回線の受信状態に応じて切り替えられる。その結果、受信状態が良好な場合は、誤り耐性が低くかつ高速な伝送レートを使用し、受信状態が悪い場合は、低速であるが誤り耐性の高い伝送レートを使用する。
【0004】
また、ひとつの基地局から複数の無線通信端末への通信を同時に行うための多重化方法には、cdmaOne方式やcdma2000 1x方式で使用される符号分割多重アクセス(CDMA:Code Division Multiple Access)ではなく、時間を1/600秒単位で分割し、その時間内ではひとつの無線通信端末だけと通信を行い、さらに通信対象となる無線通信端末を単位時間ごとに切り替えて複数の無線通信端末と通信を行う時分割多重アクセス(TDMA:Time Division Multiple Access)を使用する。
【0005】
無線通信端末は、通信対象となる基地局からの下り回線の受信状態としてパイロット信号の搬送波対干渉波比(以下、「CIR:Carrier to Interference power Ratio」という)を測定し、その変動から次の受信タイミングの受信状態を予測し、それから期待される「所定の誤り率以下で受信可能な最高伝送速度」をデータレートコントロールビット(以下、「DRC:Data Rate Control bit」という)として基地局に通知する。ここで、所定の誤り率は、システム設計に依存するが通常1%程度とされる。基地局は複数の無線通信端末からのDRCを受信し、基地局内のスケジューラ機能が各時分割単位にどの無線通信端末と通信するかを決定するが、各無線通信端末との通信には、基本的に無線通信端末からのDRCをもとに可能な限り高い伝送レートを使用する。
【0006】
EV−DO方式は上記のような構成により下り回線において、セクタあたり最大2.4Mbps(Mega−bit per second)の伝送レートを可能にする。ただし、この伝送レートは、ひとつの周波数帯域と、通常複数有するセクタのうちのひとつにおいて、ひとつの基地局が接続している複数の無線通信端末とのデータ通信量の合計であり、複数の周波数帯域を使用すれば伝送レートも増加する。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−300644号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
EV−DO方式の下り回線における伝送レートは、前述のとおり、無線通信端末の受信状態に依存し、静止状態のもっとも受信状態がよい場合では、2.4Mbpsとなるが、車両で中・高速移動する場合には平均して500〜700kbps程度、静止状態の受信状態がよくない場合では数十kbps程度にまで低下する。そのため、無線通信端末を使用するユーザが歩行している低速移動状態または、ほぼ静止の状態において、場所により著しい伝送レートの低下が起こりうる。この状態をユーザの運用によって回避可能なように、従来の携帯電話では、受信状態をユーザに通知するいわゆるアンテナマークの表示や警告音等が使用されている。例えば、cdmaOne方式携帯電話では、、Ec/Io(総入力電力対チップあたりのエネルギー)をもとにした受信状態を通知している。
【0009】
しかし、EV−DO方式の下り回線における伝送レートは、CIRの瞬時値のみでなく、予測や過去の下り回線におけるデータ伝送の誤り率等の統計データによる補正等によっても影響を受けるので、CIRをもとにした受信状態だけでは誤差を含む可能性がある。さらに、受信状態の変動による伝送レートの変動が、PDC方式携帯電話やcdmaOne方式携帯電話よりも大きいため、受信状態の測定はより高い精度を必要とする。
【0010】
一方、上り回線における無線通信端末の送信電力は、cdma2000 1x方式と同様に基地局によって制御されるが、最大送信電力は、法規制等により例えば+23dBm(200mW)ないし+24dBm(約250mW)程度に制限される。基地局は各無線通信端末からの受信電力がほぼ一定の値になるように、あるいは所要の品質を満たすように、各無線通信端末に対し送信電力の増減を随時指示する。当該指示に従って、各無線通信端末は前記最大送信電力以下の範囲で送信電力を調整する。無線通信端末が基地局から遠距離に位置する場合、上り回線の信号が基地局に届きにくくなると、基地局は無線通信端末に送信電力の増加を指示する。しかし、無線通信端末の送信電力が最大送信電力に達すると、無線通信端末はそれ以上送信電力を増加できないため、上り回線のDRCが基地局に到達しなくなり、結果として下り回線のデータ伝送も行えなくなる。
【0011】
また、無線通信端末において復調器はAGC(Automatic GainControl)を有しているため、AGCの動作範囲において伝送レートはCIRのみに依存し、一般に受信信号電力の影響を受けない。一方、受信信号電力がAGCの動作範囲以下になるとCIRが急速に劣化し、下り回線の信号を受信できなくなる。
【0012】
本発明者はこうした状況を認識して、本発明をなしたものであり、その目的は、通信品質に関する指標を通知する無線装置を提供することである。また、通信品質に関する指標を出力する無線装置を提供することである。また、信号の受信状態に応じてデータ通信速度が大きく変化するとともに、それ以外の要因によっても通信が切断される可能性のある通信システムに適した通信品質に関する指標を導出する無線装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明のある態様は、無線装置である。この装置は、基地局装置から送信される信号を受信する受信手段と、受信した信号の信号対干渉波比を測定する測定手段と、受信した信号から、所定の電力値を検出する検出手段と、予め設定した基準値と検出した電力値に基づいて、補正値を計算する計算手段と、測定した信号対干渉波比を計算した補正値で補正する補正手段とを含む。
【0014】
基地局装置から送信される信号には、基地局装置へ所定の信号を送信する際の送信電力に関する指示情報が含まれ、検出手段は、所定の電力値として、受信した信号に含まれた送信電力に関する指示情報から送信すべき信号の送信電力値を検出し、計算手段は、基準値として最大送信可能電力値を設定し、最大送信可能電力値と送信すべき信号の送信電力値に基づいて、補正値を計算してもよい。また、検出手段は、所定の電力値として、受信した信号の受信電力値を検出し、計算手段は、基準値として最小受信可能電力値を設定し、最小受信可能電力値と受信した信号の受信電力値に基づいて、補正値を計算してもよい。また、計算手段は、検出した電力値が予め定めた範囲の値でない場合、補正値をゼロにしてもよい。
【0015】
「送信電力に関する指示情報」は、送信電力値を指示する直接的な情報や現在の送信電力値からの増減を指示する間接的な情報を含み、最終的に送信電力値が決定できるような情報であればよいものとする。
【0016】
基地局装置から送信される信号の通信速度は可変であり、本無線装置はさらに、補正した信号対干渉波比から、基地局装置によって将来的に送信される信号の通信速度の予測値を導出する推定手段と、将来的に送信される信号の通信速度の予測値をユーザに通知する通知手段とを含んでもよい。また、基地局装置から送信される信号の通信速度は可変であり、本無線装置はさらに、補正した信号対干渉波比から、基地局装置によって将来的に送信される信号の通信速度の予測値を導出する推定手段と、将来的に送信される信号の通信速度の予測値を出力する出力手段とを含んでもよい。
【0017】
以上の装置により、送信電力値や受信電力値をもとにした補正値によって、実際に測定した信号対干渉比を補正してから通信速度の予測値を導出するため、通信速度の予測値の精度を高くすることが可能である。
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【0018】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
実施の形態1は、前述したcdma2000 1x−EV DO方式における端末装置について、ユーザに通信の状況を通知するために通信品質指標を表示する技術に関する。本実施の形態では、通信品質指標として、DRCに対応した下り回線のCIRを補正値にて補正した後、補正したCIRから通信速度を示す指標を導出する。また当該補正値は、端末装置が送信可能な最大送信可能電力値と、端末装置が現在送信している送信電力値の差をもとに導出する。この差は、端末装置の送信電力値が最大送信可能電力値に達している場合、基地局装置に送信電力の増加を指示されても送信電力を上げることができず、基地局装置で必要とされる受信電力が得られない結果、より上り回線が切断されやすくなることを反映している。これより、現在のCIRをもとにすれば高速な通信速度での通信が可能であるが、上り回線の切断の可能性が高いために、将来的な通信速度の低下を考慮した通信速度を示す指標を通知する。その結果、ユーザによる通信の状況の認識をより確実なものにする。
【0019】
図1は、実施の形態1に係る通信システム100を示す。通信システム100は、ネットワーク10、基地局装置12、基地局用アンテナ14、端末用アンテナ16、端末装置18、PC20を含む。
【0020】
端末装置18は、PC20と接続されて、あるいは単体でユーザに使用される。また、端末用アンテナ16を有する。
基地局装置12は、ネットワーク10に接続され、また端末装置18を接続する。図1では、基地局装置12と接続した端末装置18を1台としているが、複数であってもかまわない。また、基地局用アンテナ14を有する。
【0021】
基地局装置12から端末装置18へは、下り回線60によって信号が伝送され、端末装置18から基地局装置12へは、上り回線62によって信号が伝送される。下り回線60には、パイロット信号や送信電力指示信号等を含む制御信号、データ信号が存在し、上り回線62には、DRC、データ信号等が存在する。
【0022】
図2は、端末装置18の構成を示す。端末装置18は、RF部22、ベースバンド処理部24、CPU26、メモリ28、表示部30、操作部32、外部IF部34を含み、RF部22は、共用器40、復調器42、変調器44を含み、ベースバンド処理部24は、復号器46、予測器48、CIR−DRC変換テーブル50、符号化器52、MUX54を含む。。
【0023】
復調器42は、端末用アンテナ16、共用器40を介して受信した信号を復調処理する。ここで、受信した信号は、QPSK、8PSK、16QAMのいずれで変調されているものとする。また、受信した信号から受信電力値206を計算して、CPU26へ出力する。
【0024】
復号器46は、復調した信号をスペクトル逆拡散処理する。ここで、当該端末装置18に割当てられた受信データ200が存在する場合は、受信データ200をCPU26へ出力する。基地局装置12によって指示された送信電力を示すための送信電力指示信号を制御信号から抽出し、それをもとに電力制御情報202を導出して、CPU26へ出力する。さらに、制御信号からパイロット信号を抽出し、それをもとにCIR値204を計算してCPU26と予測器48へ出力する。
【0025】
予測器48は、CIR値204から次の受信のスロットタイミングでの次期CIR値208を導出する。予測の方法についてはスタンダード中に明確に記述されたものはないが、例としては線形予測等の方法が挙げられる。
【0026】
CIR−DRC変換テーブル50により、次期CIR値208がDRC210に変換される。図3は、CIR−DRC変換テーブルの一例を示すが、これはQualcomm社の文献、IEEE Communications Magazine・July 2000「CDMA/HDR:A Bandwidth−Efficient High−Speed Wireless Data Service for Nomadic Users」より引用したものである。なお、DRCは図3のような通信速度ではなく、それに対応した値であってもよい。
【0027】
CPU26は、受信データ200を内部処理するか、あるいは外部IF部34を経由して外部に接続されたPC20へ受信データ200を送信する。DRC210やその他のデータをもとにユーザに通知するための通信品質指標を導出し、表示部30にアンテナマーク等の形で表示する。また、この指標は外部IF部34により外部のPC20へ送り、PC20における動画伝送やVoIPなどのアプリケーションが指標を元にQoS制御を行うように構成することもできる。例えば、通信速度が低下してきたらDRCで要求する要求通信速度を下げる、通信速度の信頼性が低下してきたら通信データバッファを大きくしてデータ信号を先読みするなどである。また、電力制御情報202を処理し、現在の送信電力値を修正して新たな送信電力値212を決定する。CPU26で生成されたあるいはPC20から外部IF部34を介して入力されたデータ信号は送信データ214として出力する。
【0028】
MUX54は、送信データ214とDRC210をマルチプレクスする。
符号化器52は、マルチプレクスした信号をスペクトル拡散処理する。
変調器44は、スペクトル拡散した信号を変調し、さらにその信号は、共用器40と端末用アンテナ16経由で基地局装置12へ送信される。
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリのロードされた予約管理機能のあるプログラムなどによって実現されるが、ここではCPU26、ベースバンド処理部24、RF部22等による構成を描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0029】
図4は、通信品質指標として、通信速度指標の導出の処理フローを示す。図2の復調器42、さらに復号器46に信号が入力される(S10)。復号器46でCIR値204が、さらに予測器48で次期CIR値208が導出される(S12)。つまり、予測器48では、CIR値204から次に受信するタイミングでのCIRを予測して次期CIR値208を計算する。なお、CIR−DRC変換テーブル50は、次期CIR値208をDRC210に変換する。復号器46は、電力制御情報202を検出する(S14)。さらに、CPU26では、現在の送信電力値を送電力制御情報202で補正して送信電力値を導出する。CPU26は、送信電力値(単位dBm)と最大送信可能電力値(単位dBm)の差(単位dB)や、差を元にした換算値から補正値を計算する(S16)。具体的には、送信電力値と最大送信可能電力値の差が10dB以上であれば補正値を0とする。一方、差が10dB以下の場合、以下の通りに補正値を計算する。
【0030】
【数1】
補正値=(−2)×(10−(送信電力値−最大送信可能電力値))
ここで、補正値の単位はdBである。また、補正値は計算ではなく、図5に示すテーブルを使用して、送信電力値から導出してもよい。補正値の計算後、CPU26は、次期CIR値208を補正値で補正する(S18)。これは、以下の通りに実行される。
【0031】
【数2】
補正CIR値=次期CIR値+補正値
ここで、補正CIR値の単位はdBである。CPU26は、補正CIR値から通信速度指標を導出する(S20)。この導出は、通信速度指標の単位を通信速度とする場合、図5に示すCIR−DRC変換テーブル50を使用して実行される。
【0032】
CPU26は、通信速度指標を表示部30で表示するか、外部IF部34から出力する(S22)。図6(a)−(b)は、表示部30の表示内容を示す。アンテナバー300と速度表示計302が通信速度指標を示す。また、図6(a)は、速度表示計302が数字で表示され、図6(b)は、速度表示計302がグラフで表示された場合である。また、図7に示すLED点灯パターンによって、ユーザに通知してもよい。ここで、点滅1と点滅2のちがいは、点滅2の方が、点灯している比率が高いものとする。
【0033】
本実施の形態によれば、測定した下り回線のCIRを補正した値にもとづいて、通信速度指標を導出するため、通信速度指標の精度をより高くできる。また、補正値に「送信電力値と最大送信可能電力値の差」を使用するため、端末装置での受信状態がよく、高CIR/高DRCで高い通信速度が期待できる環境においても、送信電力値が最大送信可能電力値に近い場合に、将来的に送信電力値が最大送信可能電力値に達し、それでも不十分な場合に上り回線の信号が基地局装置に到達しないことによる通信断をあらかじめ通信速度指標に反映できる。
【0034】
(実施の形態2)
実施の形態2は、実施の形態1と同様にEV−DO方式における端末装置について、通信品質指標として補正したCIRにもとづいた通信速度を示す指標を表示する技術に関する。実施の形態1では、補正値を送信電力値をもとに導出したが、実施の形態2では、端末装置が受信可能な最小受信可能電力値と、端末装置が現在受信している受信電力値の差をもとに導出する。この差は、端末装置のAGCの動作範囲では通信速度はCIRに依存して、受信電力値の影響を受けないが、受信電力値がAGCの動作範囲以下になるとCIRが急激に劣化し、下り回線が切断されやすくなることを反映している。その結果、現在のCIRをもとにすれば高速な通信速度での通信が可能であるが、下り回線の切断の可能性が高いために、将来的な通信速度の低下を考慮した通信速度を示す指標を通知する。
【0035】
実施の形態2における端末装置18として、図2に示されるものが有効である。また、実施の形態2における通信速度指標の導出の処理フローとしては、図4に示されるものが有効である。ここでは、ステップ14とステップ16の処理が異なる。ステップ14に対応して、復調器42が受信電力値206を検出する。ステップ16に対応して、受信電力値206(単位dBm)と最小受信可能電力値(単位dBm)の差(単位dB)や、差を元にした換算値から補正値を計算する。具体的には、最小受信可能電力値を−104dBmとし、受信電力値206と最小受信可能電力値の差が10dB以上あれば、補正値を0とする。一方、差が10dB以下の場合、以下の通りに補正値を計算する。
【0036】
【数3】
補正値=10−(受信電力値−最小受信可能電力値)
また、補正値は計算ではなく、図8に示すテーブルを使用して、受信電力値206から導出してもよい。
【0037】
本実施の形態によれば、補正値に「受信電力値と最低受信可能電力値の差」を使用するため、下り回線のCIRは高いが、下り回線の信号が受信できる強度の下限近傍である場合、基地局装置からの下り回線の信号が受信できないことによる通信断をあらかじめ通信速度指標に反映できる。さらに、送信電力値を利用しないため、基地局装置からの信号を受信しているが送信は行っていない場合にも適用可能である。
【0038】
(実施の形態3)
これまで述べた実施の形態では、通信品質指標をユーザが通信の状況を認識するために表示した。本実施の形態では、端末装置が当該通信品質指標を所定のネットワークで使用されるアプリケーションに出力し、アプリケーションが当該通信品質指標を参照して、通信速度等を設定する。すなわち、EV−DO方式等の無線通信網上でストリーミングビデオ等のアプリケーションを使用する場合、無線通信網上で送受できる通信速度は電波環境の変化や他のユーザによるトラフィックの発生等さまざまな要因により変化するため、アプリケーションによるストリーミングに使用可能な通信速度の確保が困難である。
【0039】
アプリケーションが、高い通信速度を前提としてビデオを伝送した場合、その通信速度が確保できた場合は高品位の画質を得ることができるが、通信速度が変動により前提とする値を下回った場合、画像情報の欠落や動画の停止等の品質の低下が発生する。一方、通信速度の変動に備えて低い通信速度を前提としてビデオを伝送した場合、実際の通信速度に関わらず低品位の動画しか得られない。端末装置で導出された通信品質指標は、通信速度の設定のために使用される。
【0040】
図9は、本実施の形態に係るアプリケーションシステムの構成を示す。図9は、図1における通信システム100の構成に加えて、サーバ56を含む。ここでは、PC20でアプリケーションクライアントを動作させている。端末装置18は基地局装置12からの受信したパイロット信号および受信電力、送信電力を元にDRC及び通信品質指標である品質情報を決定し、DRCを基地局に送信し、品質情報をPC20に通知する。PC20は品質情報、さらに受信バッファの空き容量や受信データ信号の誤り率等の各種の情報をもとにして、EV−DO方式のトラフィックチャネル上で使用可能な通信速度を推定し、当該通信速度を端末装置18、基地局装置12、ネットワーク10を経由してサーバ56に通知し、それをもとにサーバ56は送出する動画データの通信速度を増減する。
【0041】
本実施の形態によれば、PCやネットワーク等でのアプリケーションに通信品質指標を通知することによって、通信品質指標をQoS(Quality of
Service)制御の判断基準として使用できる。
【0042】
(実施の形態4)
本実施の形態は、EV−DO方式とcdma2000 1x方式の複合端末や複数の無線方式を組み合わせて、環境により最適な通信方式を選択して通信する方式(以下、「シームレス通信」という)において、通信品質指標である通信速度指標をEV−DO方式の通信品質を求めるパラメータとして利用する。
【0043】
図10は、本実施の形態に係る複数システムの選択動作の一例を示す。複数システムとしては、EV−DO方式、簡易型携帯電話、W−LAN(Wireless−LAN)とする。ここでは、横軸に時間を示し、縦軸にそれぞれのシステムにおけるスループットを示す。なお、W−LANについては、使用可能あるいは使用不可のみを示す。具体的には、EV−DO方式の通信速度指標が90kbps程度、簡易型携帯電話が128kbps程度が期待できる受信電界強度、W−LANが圏外という場合は簡易型携帯電話を選択し、環境が変化してEV−DO方式の通信速度指標が200kbps程度になれば、EV−DO方式に切り替えるなどの制御をする。
【0044】
図11は、複数システムの選択動作のフローチャートを示す。ここでは、W−LAN、EV−DO方式、簡易型携帯電話の順に優先順位を設けて、システムを選択する。EV−DO方式に対して品質情報を、W−LANに対してRSSI値を、簡易型携帯電話に対してスループットを取得する(S100)。W−LANのRSSI値が−90dBmより大きい場合(S102のY)、W−LANを選択する(S114)。一方、W−LANのRSSI値が−90dBm以下の場合(S102のN)、かつEV−DO方式の品質情報がしきい値より大きい場合(S104のY)、EV−DO方式を選択する(S116)。一方、EV−DO方式の品質情報がしきい値以下の場合(S104のN)、かつ簡易型携帯電話のスループットが64kbpsより大きい場合(S106のY)、簡易型携帯電話を選択する(S118)。
【0045】
一方、簡易型携帯電話のスループットが64kbps以下の場合(S106のN)、かつW−LANが使用可能な場合(S108のY)、W−LANを選択する(S114)。一方、W−LANが使用不可能な場合(S108のN)、かつEV−DO方式が使用可能な場合(S110のY)、EV−DO方式を選択する(S116)。一方、EV−DO方式が使用不可能な場合(S110のN)、かつ簡易型携帯電話が使用可能な場合(S112のY)、簡易型携帯電話を選択する(S118)。一方、簡易型携帯電話が使用不可能な場合(S112のN)、接続不可になる(S120)。以上の処理は、データを受信している期間続行する(S122のY)が、データを受信しなくなれば(S122のN)終了する。
【0046】
本実施の形態によれば、シームレス通信におけるシステム選択の基準として、EV−DO方式については通信品質指標を使用することによって、より正確な選択基準を提供可能にする。
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0047】
実施の形態1において、CPU26は、通信速度指標の補正値を送信電力値から計算し、実施の形態2において、補正値を受信電力値206から計算した。しかし、補正値の計算はこれらに限られず、例えば、送信電力値212にもとづいた補正と受信電力値206にもとづいた補正を同時に行ってもよい。本変形例によれば、送信電力値212と受信電力値206の関係は上り回線62の送信電力制御があるために1対1では対応せず、その結果、下り回線60が受信可能最小電力値に近づくことによる通信品質劣化と、上り回線62が送信可能最大電力値に近づくことによる通信品質劣化が同時に発生しない場合においても対応可能である。
【0048】
実施の形態1において、表示部30は、通信速度指標をアンテナバー300と速度表示計302を表示している。しかし、表示部30の表示はこれに限られず、さらに速度表示計302を表示せず、アンテナバー300のみの表示をしてもよく、さらにアンテナバー300で受信電力値を表示してもよい。さらに、バイブレーションのような形でユーザに通知してもよい。本変形例により、表示部30の表示内容がユーザにより明確になる。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、通信品質に関する指標を通知できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1に係る通信システムを示す構成図である。
【図2】図1の端末装置の構成を示す図である。
【図3】図2のCIR−DRC変換テーブルを示す図である。
【図4】図2の通信速度指標の導出を示す処理フローである。
【図5】図2の送信電力値と補正値の対応テーブルを示す図である。
【図6】図6(a)−(b)は、図2の表示部の表示内容を示す図である。
【図7】図2の表示部のLED点灯パターンを示す図である。
【図8】実施の形態2に係る受信電力値と補正値の対応テーブルを示す図である。
【図9】実施の形態3に係るアプリケーションシステムの構成を示す図である。
【図10】実施の形態4に係る複数システムの選択動作を示す図である。
【図11】図10の複数システムの選択動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 ネットワーク、 12 基地局装置、 14 基地局用アンテナ、 16 端末用アンテナ、 18 端末装置、 20 PC、 22 RF部、 24 ベースバンド処理部、 26 CPU、 28 メモリ、 30 表示部、32 操作部、 34 外部IF部、 40 共用器、 42 復調器、 44 変調器、 46 復号器、 48 予測器、 50 CIR−DRC変換テーブル、 52 符号化器、 54 MUX、 56 サーバ、 60 下り回線、 62 上り回線、 100 通信システム、 200 受信データ、 202 電力制御情報、 204 CIR値、 206 受信電力値、 208 次期CIR値、 210 DRC、 212 送信電力値、 214 送信データ、 300 アンテナバー、 302 速度表示計。
Claims (6)
- 基地局装置から送信される信号を受信する受信手段と、
前記受信した信号の信号対干渉波比を測定する測定手段と、
前記受信した信号から、所定の電力値を検出する検出手段と、
予め設定した基準値と前記検出した電力値に基づいて、補正値を計算する計算手段と、
前記測定した信号対干渉波比を前記計算した補正値で補正する補正手段と、
を含むことを特徴とする無線装置。 - 前記基地局装置から送信される信号には、前記基地局装置へ所定の信号を送信する際の送信電力に関する指示情報が含まれ、
前記検出手段は、前記所定の電力値として、前記受信した信号に含まれた前記送信電力に関する指示情報から送信すべき信号の送信電力値を検出し、
前記計算手段は、前記基準値として最大送信可能電力値を設定し、前記最大送信可能電力値と前記送信すべき信号の送信電力値に基づいて、前記補正値を計算することを特徴とする請求項1に記載の無線装置。 - 前記検出手段は、前記所定の電力値として、前記受信した信号の受信電力値を検出し、
前記計算手段は、前記基準値として最小受信可能電力値を設定し、前記最小受信可能電力値と前記受信した信号の受信電力値に基づいて、前記補正値を計算することを特徴とする請求項1に記載の無線装置。 - 前記計算手段は、前記検出した電力値が予め定めた範囲の値でない場合、前記補正値をゼロにすることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の無線装置。
- 前記基地局装置から送信される信号の通信速度は可変であり、
本無線装置はさらに、前記補正した信号対干渉波比から、前記基地局装置によって将来的に送信される信号の通信速度の予測値を導出する推定手段と、
前記将来的に送信される信号の通信速度の予測値をユーザに通知する通知手段と、
を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の無線装置。 - 前記基地局装置から送信される信号の通信速度は可変であり、
本無線装置はさらに、前記補正した信号対干渉波比から、前記基地局装置によって将来的に送信される信号の通信速度の予測値を導出する推定手段と、
前記将来的に送信される信号の通信速度の予測値を出力する出力手段と、
を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の無線装置。
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