JP2004242052A - 位置情報に基づく情報配信システム及び方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、ユーザのスポットエリア位置情報に基づくスポット情報を、認証、識別されたユーザに配信するシステム及び方法の提供を目的とする。
【解決手段】本発明は、移動通信システム(例えば、携帯電話システム)に、低感度基地局を用いて位置検出範囲を狭めることにより、スポット位置検出を可能にし、ユーザ端末(例えば、携帯電話機)からユーザ(例えば、携帯端末の所有者若しくは契約者)を対応させて、位置情報(例えば、ユーザ位置)と個人情報(例えば、ユーザ属性情報)等をベースに情報配信及びサービス提供を実現する。
【選択図】 図5
【解決手段】本発明は、移動通信システム(例えば、携帯電話システム)に、低感度基地局を用いて位置検出範囲を狭めることにより、スポット位置検出を可能にし、ユーザ端末(例えば、携帯電話機)からユーザ(例えば、携帯端末の所有者若しくは契約者)を対応させて、位置情報(例えば、ユーザ位置)と個人情報(例えば、ユーザ属性情報)等をベースに情報配信及びサービス提供を実現する。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ユーザの位置情報に基づいてユーザに情報やサービスを提供するシステム及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ユーザの位置を検出して、ユーザが携帯しているユーザ端末に情報を配信する技術として、GPSを利用してユーザ位置を検出するシステムがある。GPSを利用する場合、ユーザは屋外に居ることが想定されている。また、GPSは、原則として、位置検出機能しか備えていないので、GPSに基づくシステムでは、ユーザの音声、データ等を送受信する通信機能と、ユーザ識別機能を別途設けている。
【0003】
これに対して、ユーザの位置検出機能とユーザの識別機能を備えたシステムとしては、PDCやPHSを利用した情報提供システムが提案されている。PDCを利用する場合、位置検出精度は、1km〜であり、PHSの場合、位置検出精度は100m〜である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように、GPSでは屋内では使用できないという制限がある。また、PDC、PHSでは受信対象エリアが広く、位置検出精度が低いという制限がある。そのため、これらの従来技術による情報配信サービスでは、屋内外を問わずに、ユーザの位置をスポットレベルで同定することが困難であり、その結果として、ユーザに対して、狭い範囲内の情報、特に、スポット情報を提供することができない、という問題点が生じる。
【0005】
したがって、本発明は、ユーザのスポットエリア位置情報に基づくスポット情報を、認証、識別されたユーザに配信するシステム及び方法の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、移動通信システム(例えば、携帯電話システム)に、低感度基地局を用いて位置検出範囲を狭めることにより、スポット位置検出を可能にし、ユーザ端末(例えば、携帯電話機)からユーザ(例えば、携帯端末の所有者若しくは契約者)を対応させて、位置情報(例えば、ユーザ位置)と個人情報(例えば、ユーザ属性情報)等をベースに情報サービスを提供する。本発明は、移動通信システムに低感度基地局を設置することにより、位置検出機能、ユーザの通信機能、及び、ユーザ識別機能を実現することを可能にする。
【0007】
請求項1に記載の発明は、移動通信システムと、低感度基地局と、情報配信部と、を有する位置情報に基づく情報配信システムである。移動通信システムは、カバーエリア内のユーザ端末からの位置登録要求信号を受信し上記ユーザ端末と無線通信する基地局、及び、移動通信に必要な情報を管理し上記基地局を制御する制御局を備えている。低感度基地局は、上記基地局のカバーエリア内で既知の位置情報と関連付けられた場所に設置され、上記基地局よりも低い感度でユーザ端末から送出された位置登録要求信号を受信し、位置登録要求信号を送出したユーザ端末の識別情報を上記制御局へ通知する。情報配信部は、位置情報に関連した情報を集積し、上記制御局に識別情報が通知されたユーザ端末に対し、上記移動通信システムを介して、上記既知の位置情報に関連した情報を配信する。
【0008】
本発明は、受信専用の低感度基地局(小利得基地局)を設置することによって、位置検出範囲を狭め、結果として位置検出精度を高精度化する。さらに、低感度基地局は、受信機能に限定できるので既存の携帯電話基地局や他の無線システムへの干渉の問題がなく、かつ、低コスト化可能であるため、既存の基地局や設備を活用してシステムを構築することができる。また、携帯電話システムのような移動通信システムを利用することによって、例えば、電話番号等からユーザ識別を行うことができる。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、上記情報配信部は、上記制御局に接続され、上記制御局に通知されたユーザ端末の識別情報に対応した個人情報データを管理する個人情報管理サーバと、上記個人情報管理サーバに接続され、位置情報に関連付けられた提供情報をネットワーク経由で集積するサービスアグリゲーションサーバと、を含む。上記個人情報管理サーバは、上記低感度基地局の上記既知の位置情報と上記個人情報データに対応した情報を上記サービスアグリゲーションサーバに要求する。上記サービスアグリゲーションサーバは、上記個人情報管理サーバからの要求に応じて選択した提供情報を、上記制御局を介して、上記制御局に識別情報が通知されたユーザ端末へ送信する。
【0010】
個人情報管理サーバを具備することによって、特定の個人に対してよりきめ細かい情報を提供できるようになる。また、サービスアグリゲーションサーバを設けることによって、ネットワークを介して、様々なサービス提供サーバから情報を収集し、蓄積できるようになる。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、上記サービスアグリゲーションサーバは、上記低感度基地局の上記既知の位置情報と提供情報に関連付けられた位置情報との差、及び、上記個人情報データと提供情報との関連性を評価し、所定の条件を満たす提供情報を、ユーザ端末へ送信する情報として選択する。
【0012】
サービスアグリゲーションサーバは、ユーザに提供するための情報として、ユーザが検出された位置の付近に関する情報であり、かつ、そのユーザに固有の関連性のある情報を選択することができるようになる。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、上記サービスアグリゲーションサーバは、少なくとも上記ユーザ端末へ送信された情報を含む個人別のログ情報を上記個人情報管理サーバへ送信する。上記個人情報管理サーバは、上記個人別のログ情報を上記個人情報データに付加する。
【0014】
これにより、アグリゲーションサーバは、特に、過去に同じユーザへ配信された情報の内容や、アグリゲーションサーバに収集された同じユーザに関して情報に基づいて、よりユーザに適した情報をユーザへ提供できるようになる。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、上記制御局は、上記基地局に対応し、上記基地局のカバーエリア内の在圏ユーザ端末を管理する第1の制御局と、移動通信システムのユーザのプロファイル及びユーザ端末の位置情報を管理する第2の制御局と、を含む。上記第1の制御局は、上記低感度基地局から識別情報を通知された在圏ユーザ端末に、上記低感度基地局の識別情報を関連付けるように構成される。上記第2の制御局は、ユーザ端末の位置情報として、基地局の識別情報及び低感度基地局の識別情報を管理するように構成されている。低感度基地局の識別情報には低感度基地局の位置(情報)がリンクされているので、低感度基地局の識別情報からユーザ端末の位置情報が取得できる。
【0016】
これにより、本発明の情報配信システムは、特に、携帯電話システムのような既設の移動通信システムに低コストで導入することが可能になる。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、上記低感度基地局はユーザ端末から定期的に送出される位置登録要求信号を受信する。
【0018】
これにより、特に、ユーザ端末が基地局のカバーエリア内の複数の低感度基地局カバーエリアを移動する場合でも、ユーザ端末に位置情報に基づく情報を提供できるようになる。
【0019】
請求項7に記載の発明は、カバーエリア内のユーザ端末からの位置登録要求信号を受信し上記ユーザ端末と無線通信する基地局、及び、移動通信に必要な情報を管理し上記基地局を制御する制御局を備えた移動通信システムにおける位置情報に基づく情報配信方法である。
【0020】
この情報配信方法は、
上記基地局のカバーエリア内で既知の位置情報と関連付けられた場所に設置され、上記基地局よりも低い感度で位置登録要求信号を受信する上記低感度基地局によって、ユーザ端末から送出された位置登録要求信号を受信する手順と、
位置登録要求信号を送出したユーザ端末の識別情報を上記低感度基地局から上記制御局へ通知する手順と、
上記制御局から情報配信部へ上記ユーザ端末の識別情報及び上記低感度基地局の識別情報を送信する手順と、
上記ユーザ端末の識別情報に関連した個人情報、及び、上記低感度基地局に関連付けられた上記既知の位置情報に基づいて、位置情報に関連付けられた収集情報の中から提供情報を選択する手順と、
上記選択された提供情報を、上記移動通信システムを介して、上記ユーザ端末へ送信する手順と、を有する。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の種々の実施例を詳細に説明する。全ての図面を通じで、同一若しくは同等の構成要素又は機能には、同じ参照番号が付けられている。
【0022】
図1は、ユーザ端末の位置情報に基づいて当該ユーザ端末へ位置情報に関連した情報を配信する本発明の第1実施例による位置情報に基づく情報配信システムの構成図である。本実施例の情報配信システムは、カバーエリア内のユーザ端末2からの位置登録要求信号を受信し、上記ユーザ端末2と無線通信する基地局10、及び、移動通信に必要な情報を管理し上記基地局10を制御する制御局20を備えた移動通信システム1を含む。基地局10のカバーエリアには、例えば、レストラン街や商店街が含まれるが、これらの例に限定されるものではない。
【0023】
移動通信システム1の一例は、現在の携帯電話システムである。移動通信システム1として、携帯電話システムを採用した場合、ユーザ端末2は、いわゆる、携帯電話機である。ユーザ端末2は、基地局10からの報知情報等に応答して、適宜位置登録要求信号を発信し、自端末の位置を制御局20へ登録している。携帯電話システムのような移動通信システム1では、使用可能なユーザ端末2が、そのユーザ端末2の保有者(すなわち、ユーザ)の情報と共に登録されている。
よって、情報配信システムの情報配信先として、移動通信システム1で利用可能なユーザ端末2を指定することによって、自動的にユーザ認証がなされる、という利点が得られる。
【0024】
携帯電話システムにおける位置登録処理については、例えば、文献:立川監修、”W−CDMA移動通信方式”、丸善、2001年、pp.250−253と、文献:服部編著、”ワイヤレス・ブロードバンド教科書”、IDGジャパン、2002年、pp.32−35に記載されている。
【0025】
情報配信システムは、低感度基地局3を更に含む。低感度基地局3は、上記基地局10のカバーエリア内で既知の位置情報と関連付けられた場所に設置され、上記基地局10よりも低い感度でユーザ端末2から送出された位置登録要求信号を受信し、位置登録要求信号を送出したユーザ端末2の識別情報を上記制御局20へ通知する。低感度基地局3は、低感度の受信専用の基地局であり、検出範囲を狭めることにより、すなわち、検出エリアをスポット的にすることにより、位置検出精度を等価的に向上させる。低感度基地局3のカバーエリアには、例えば、レストラン街や商店街の一角(1乃至数軒の店舗)が含まれるが、これらの例には限定されない。
【0026】
本実施例における制御局20は、この低感度基地局3でユーザ端末2からの位置登録要求信号を検出することによって、通常の通話サービスで用いられる位置管理情報とは独立に、検出範囲の狭い位置管理を行う。
【0027】
情報配信システムは、更に、位置情報に関連した情報を集積し、上記制御局20に識別情報が通知されたユーザ端末2に対し、上記移動通信システム1を介して、上記既知の位置情報に関連した情報を配信する情報配信部4を含む。
【0028】
情報配信部4は、例えば、ネットワークを介して、サービス提供サーバ43から情報を収集する。収集される情報には、例えば、レストランや商店が提供する情報が含まれる。
【0029】
低感度基地局3のカバーエリアは狭いので、情報配信部4は、蓄積している情報の中から、低感度基地局3の位置周辺に所在するレストランや商店の情報を選択して、ユーザ端末2へ送信する。ユーザ端末2とユーザは制御局20で対応付けられているので、情報配信部4は、ユーザ端末2に対応した特定のユーザに固有の情報に基づいて、ユーザへ提供する情報を絞り込むことができる。
【0030】
したがって、本発明の第1実施例の情報配信システムは、特定のユーザに関するユーザ位置情報、ユーザ識別情報、及び、ユーザ属性情報に基づいて、当該特定のユーザにとって有用な情報を配信することが可能である。
【0031】
図2は、本発明の第1実施例の情報配信システムで使用される情報配信部の一例の構成図である。情報配信部4は、上記制御局12に接続され、上記制御局12に通知されたユーザ端末2の識別情報に対応した個人情報データを管理する個人情報管理サーバ41と、上記個人情報管理サーバ41に接続され、位置情報に関連付けられた提供情報をネットワーク経由で集積するサービスアグリゲーションサーバ42と、を含む。上記個人情報管理サーバ41は、上記低感度基地局3の上記既知の位置情報と上記個人情報データに対応した情報を上記サービスアグリゲーションサーバ42に要求する。上記サービスアグリゲーションサーバ42は、上記個人情報管理サーバ41からの要求に応じて選択した提供情報を、上記制御局20及び上記基地局10を介して、上記制御局20に識別情報が通知されたユーザ端末2へ送信する。したがって、低感度基地局3は、ユーザ端末2への提供情報の送信に関与しない。
【0032】
上記サービスアグリゲーションサーバ42は、上記低感度基地局3の上記既知の位置情報と提供情報に関連付けられた位置情報との差、及び、上記個人情報データと提供情報との関連性を評価し、所定の条件を満たす提供情報を、ユーザ端末へ送信する情報として選択する。更に、上記サービスアグリゲーションサーバ42は、少なくとも上記ユーザ端末2へ送信された情報を含む個人別のログ情報を上記個人情報管理サーバ41へ送信し、上記個人情報管理サーバ41は、上記個人別のログ情報を上記個人情報データに付加する。
【0033】
ユーザが商店街に居る場合を想定する。まず、サービスアグリゲーションサーバ42は、一例として、各店舗のお奨め商品を含む取扱商品や割引情報を収集する。これらの情報は、各サービス提供サーバ43に存在し、サービスアグリゲーションサーバ42が定期的に収集、更新、登録する。
【0034】
低感度基地局3の位置情報からユーザ端末の所有者であるユーザがどの店舗に近い位置に存在するかが分かる。店舗位置については、事前に、店舗の情報と共にサービスアグリケーション42内に格納されている。
【0035】
個人情報管理サーバ41は、個人識別情報、個人属性情報、個人履歴を管理する。ユーザ端末2(例えば、携帯電話機)とユーザ(例えば、携帯電話所有者又は契約者)が1対1対応であることを仮定すると、そのユーザを特定できる。また、個人情報管理サーバ41には個人属性情報として、例えば、年齢、性別、職業、趣味等が格納されている。さらに、個人情報管理サーバ41は、ユーザ端末2(すなわち、ユーザ)にサービスアグリゲーションサーバ42から送信された情報を情報提供ログとして格納し、それを情報提供ログとして各個人ごとに対応させて管理する。
【0036】
本実施例では、上述のように、ユーザ端末2の位置は、低感度基地局3の位置に等しいと見なす。低感度基地局3の位置、店舗位置については、緯度、経度情報で扱われる。店舗内ではGPSは使用できないが、たとえば、店舗入り口等でGPS端末を用いて緯度、経度情報は容易に得られるので、それをサービスアグリゲーションサーバ42に格納しておく。これらの位置情報設定作業自体は、例えば、情報配信サービスのプラットフォームを提供する事業者が行う。
【0037】
位置情報として、緯度・経度情報を採用した場合、2地点の緯度、経度から算出される距離は直線距離であるため、端末位置から店舗位置に到達するための経路の存在が問題となり得る。しかし、市中で展開されるサービスを想定した場合、2点間には若干の迂回が考えられるものの経路が存在するので、この経路の問題は重大ではない。また、周辺情報の提供の範囲として、周辺の定義を距離とすることにより、距離設定の変更により、提供情報の範囲を柔軟に変えることができる。
【0038】
本実施例の構成によれば、サービスアグリゲーションサーバ42は位置情報から端末所有者の現在位置に近い店舗の情報をユーザの個人属性を考慮して(例えば、男性ならば、化粧品、美容院等の情報を事前に除去し、嗜好にあわせた情報(遊戯施設等の情報))送信することができる。また、情報提供ログを管理していることから過去に出した情報を出さない等を含め、個人指向の情報提供が可能である。
【0039】
本実施例では、低感度基地局3の位置(緯度、経度)と店舗位置(緯度、経度)から距離を算出して、それをベースにある距離内の店舗情報を選択している。
より具体的には、ユーザが距離指定(例えば、半径**m以内とかの条件を送信)を行い、サービス提供側がその範囲内の店舗情報を出すことができる。これにより、ユーザは、GPSを用いずに(例えば、GPS搭載端末を使用せずに)、事業者が設置する低感度基地局を用いて、サービスの提供を享受できるので、ユーザに負担をかけない(例えば、ユーザは既存のユーザ端末を保有していればよい)という利点が得られる。
【0040】
これに対し、本発明の他の一実施例では、低感度基地局3をある店舗に設置したときに、その店舗及び周辺の店舗と、その低感度基地局3(の位置情報)とを、予め関連付けておく。これにより、あるユーザ端末2からの位置登録要求信号がその低感度基地局3で受信されると、ユーザ端末の位置情報(すなわち、低感度基地局3の位置情報)に関連付けられた周辺の店舗等の情報が取得できる。この場合、位置情報に関する計算、例えば、上述の2点間の距離の計算は不要である。低感度基地局3の識別情報と、関連した店舗情報は、予めサービスアグリゲーションサーバ42内に格納される。一例として、端末位置情報は、低感度基地局の識別番号であればよく、サービスアグリゲーションサーバ42では、低感度基地局の識別番号に、その低感度基地局の周辺(数10m)の店舗情報(の識別番号)をリンクさせておけばよい。この実施例は、サービスアグリゲーションサーバの運営機関と低利特基地局の設置機関が同一である場合に好適である。
【0041】
図3は、本発明の第1実施例の情報配信システムにおける制御局の構成図である。制御局20は、上記基地局10のカバーエリア内の在圏ユーザ端末2を管理する第1の制御局21と、移動通信のユーザのプロファイル及びユーザ端末の位置情報を管理する第2の制御局22と、を含む。
【0042】
上記第1の制御局21は、上記低感度基地局3から識別情報を通知された在圏ユーザ端末2に、上記低感度基地局3の識別情報を関連付けるように構成される。この第1の制御局21は、例えば、上述の文献に記載されているようなIMT−2000コアネットワークにおけるGMSC MSC/VLR BSCで実現することができる。ここで、GMSCは電話網、ISDNおよび他の移動通信網と相互接続するための関門交換機能を提供する。MSC/VLRは電話の通話路やデータ通信路の設定、開放、交換や移動管理の機能、端末の移動先で加入者情報を一時的に保持する。また、BSCは無線チャンネルのユーザ端末への割り当てや切り替えの制御を行う。
【0043】
上記第2の制御局22は、ユーザ端末の位置情報として、基地局の識別情報及び低感度基地局の識別情報を管理するように構成されている。低感度基地局の識別情報には低感度基地局の位置情報がリンクされているので、低感度基地局の識別情報からユーザ端末の位置情報としてこの低感度基地局の位置情報が取得できる。この第2の制御局22は、例えば、上述の文献に記載されているようなIMT−2000コアネットワークにおけるHLRで実現することができる。ここで、HLRは、当該携帯電話事業者に加入するすべての加入者に関する位置情報、サービス加入情報、認証情報等を保持、管理するホームロケーションレジスタを表す。
【0044】
本実施例では、通常の通話ワービス用の(高感度)基地局10と低感度基地局3が併存しているので、GMSC MSC/VLR BSCは、通常の高感度基地局と、本発明の低感度基地局3の両方からの位置登録要求信号を受信する。ホームロケーションレジスタ(HLR)は、ユーザ端末の位置情報を個人情報管理サーバへ送る。また、サービスアグリケーションサーバからの情報をGMSC MSC/VLR BSCを経由してユーザ端末へ送信する。
【0045】
携帯電話機から出る位置登録要求信号は共通であるが、利用目的は異なることから(一方は通話エリア変更の検出、他方は小範囲エリアに携帯電話機が存在していることの検出)、GMSC MSC/VLR BSCやHLRの中では、別の信号として扱う必要がある。このためにGMSC MSC/VLR BSCやHLRの中では低感度基地局からの信号を格納するフィールド等を追加する。
【0046】
低感度基地局3は、識別情報として、当該低感度基地局3がどの携帯電話基地局10のゾーンに属しているかの情報をHLRに送信しておく必要がある。ユーザ端末2への情報送信は、通常の携帯電話基地局10から送信される。位置情報は、識別情報からどの低感度基地局3であるかが同定できるので、当該低感度基地局3の位置を事前登録しておくことで、位置情報としてHLRに送信できる。
【0047】
従来のIMT−2000ネットワークアーキテクチャに基づく携帯電話機は、GMSC MSC/VLR BSCからの報知情報により、位置登録エリアの変更を検出すると位置登録要求信号を送出する。本発明の一実施例では、低感度基地局3は、別途報知情報を送出することなく、この通常の位置登録エリアの変更のための位置登録要求信号を受信する。通常の携帯電話機が送出している位置登録要求信号を利用するので、ユーザ端末2として、従来の携帯電話機そのものを利用することができる。この携帯電話機が出す位置登録要求信号を低感度基地局3が受けて、それをGMSC MSC/VLR BSCに送信する。
【0048】
この場合、位置登録要求信号は、従前通りに携帯電話機から送信されるものであり、既存のシステムとして携帯電話機の属しているエリアの認識に使用され、さらに、低感度基地局の受信によって、より狭い範囲での携帯電話機の存在の検出に使用される。
【0049】
上述のように低感度受信基地局は報知情報を出さずに、あくまで既存の基地局10からの報知情報を利用する。そのため、本実施例は、特に、移動先でのスポット情報提供という環境に好適である。
【0050】
これに対して、既存の基地局のカバーエリア内でユーザ端末2が、ある低感度基地局から別の低感度基地局のカバーエリアへ移動した場合に、その移動先のスポット情報を提供するため、本発明の他の一実施例では、上記低感度基地局3は、ユーザ端末2から定期的に送出される位置登録要求信号を受信することができる。従来の基地局10からの報知情報だけを利用する場合、既存基地局内での移動では、報知情報の変化が判別できず、結果として携帯電話機が位置登録要求信号を出せない。そこで、本実施例では、携帯電話機が報知情報の変化を検出して位置登録要求信号を出す方式の代わりに、携帯電話機が定期的に(例えば、一定間隔で)位置登録要求信号を出す方式を採用する。これにより、携帯電話機が既存基地局内で移動する場合でも、低感度基地局が携帯電話機の位置登録要求信号を受信することによって、狭い範囲で携帯電話機の存在を検出できる。位置登録情報を定期的に(一定間隔で)送信することにより、低感度基地局は、その検出エリア内に携帯電話機が入れば、必ずその存在を検出でき、結果として情報送信がもれなくできるメリットがある。
【0051】
図4は、本発明の第2実施例による位置情報に基づく情報配信方法のフローチャートである。この情報配信方法は、カバーエリア内のユーザ端末からの位置登録要求信号を受信し上記ユーザ端末と無線通信する基地局、及び、移動通信に必要な情報を管理し上記基地局を制御する制御局を備えた移動通信システムにおいて実施される。
【0052】
ステップ1:上記基地局のカバーエリア内で既知の位置情報と関連付けられた場所に設置され、上記基地局よりも低い感度で位置登録要求信号を受信する上記低感度基地局によって、ユーザ端末から送出された位置登録要求信号を受信する。
【0053】
ステップ2:位置登録要求信号を送出したユーザ端末の識別情報を上記低感度基地局から上記制御局へ通知する。
【0054】
ステップ3:上記制御局から情報配信部へ上記ユーザ端末の識別情報及び上記低感度基地局の識別情報を送信する。
【0055】
ステップ4:上記ユーザ端末の識別情報に関連した個人情報、及び、上記低感度基地局に関連付けられた上記既知の位置情報に基づいて、位置情報に関連付けられた収集情報の中から提供情報を選択する。
【0056】
ステップ5:上記選択された提供情報を、上記移動通信システムを介して、上記ユーザ端末へ送信する。
【0057】
図5は、本発明の第3実施例による位置情報に基づく情報配信及びサービス提供システムの構成図であり、図6は、そのシーケンス説明図である。本実施例のシステムは、携帯電話システムをベースにして構築される。
【0058】
携帯電話システムでは、ユーザ端末2の所有者(すなわち、ユーザ)の移動によって、ユーザ端末2の所属するカバーエリアが変化したとき、例えば、無線基地局カバーエリアBから無線基地局カバーエリアAへ移動したとき、ユーザ端末2は、GMSC MSC/VLR BSC21から、携帯電話基地局10を介して送信される報知情報により、カバーエリア変更を検出し、検出後、位置登録要求信号を、携帯電話基地局10及びGMSC MSC/VLR BSC21を介して、HLR22へ送信する。
【0059】
本実施例では、ユーザ端末2からの位置登録要求信号をユーザ位置検出に利用する。すなわち、低感度基地局3が設けられる。低感度基地局3は、低利得の受信アンテナ又は低感度の受信機を用いて位置登録要求信号の検出範囲を小さく設定している。これにより、ユーザが特定の狭いスポットエリアに存在していることが検出できる。携帯電話基地局10は、検出感度が高く、その検出範囲は、現状の携帯電話で1km以上、PHSでも100m以上であり、位置検出精度という意味で、特定の狭いスポットエリアの検出は不可能である。
【0060】
図6のシーケンス説明図に示されるように、ユーザ端末2は、GMSC MSC/VLR BSC21からの報知信号(2)、(3)によってカバーエリアの変化を検出したとき、位置登録要求信号(4)を送出し、低感度基地局3はこの位置登録要求信号(4)を受信し、GMSC MSC/VLR BSC21を介して(5)、HLR22へ送信する(6)。
【0061】
HLR22は、ユーザ端末2から受信した位置登録要求信号によって、どの端末がどのスポット位置に到来したかが、低感度基地局3の設置位置とスポット位置との対応関係からわかるので、その情報を、ユーザ端末位置情報として、個人識別・属性・履歴管理サーバ41へ送信する(7)。
【0062】
個人識別・属性・履歴管理サーバ41は、ユーザ端末識別情報(電話番号等)から、ユーザ(ユーザ端末の所有者)を同定する。ここで、ユーザ端末とユーザは1対1の関係である。個人識別・属性・履歴管理サーバ41は、個人属性情報、履歴情報を参照して選択した情報、或いは、事前にユーザ端末2から要求された情報を、ユーザ端末2へ送信するようにサービスアグリゲーションサーバ42に対して指示する(8)。ここで、サービスアグリゲーションサーバ42からの情報送信実績は、個人識別・属性・履歴管理サーバ41で管理され(9)、選択情報は、HLR22、GMSC MSC/VLR BSC21、及び、携帯電話基地局10を介して(10)、ユーザ端末2へ送信される(11)。
【0063】
本実施例では、選択情報は、低感度基地局3ではなく、携帯電話基地局10を経由してユーザ端末2へ送信される。このように低感度基地局3を受信機能に限定することによって、低コスト化が実現され、既存の他の無線システムへの電波干渉の問題が回避される。
【0064】
さらに、サービスアグリゲーションサーバ42は、定期的に、サービス提供サーバ43から、提供情報を受信、収集、アップデートしている(1)。
【0065】
このような本発明の第3実施例によれば、特定の個人の現在位置と、個人属性情報と、履歴情報とに基づいて、その個人に対して有意な情報をその個人の所有する携帯端末へ送信することが可能になる。
【0066】
個人識別・属性・履歴サーバ41で管理される識別情報には、例えば、契約者番号等個人を特定できる情報が含まれ、属性情報には性別、年齢、出身地、趣味、職業等が含まれる。また、個人履歴情報としては、既にその個人に送信したURL、ファイル名等の他に、その個人がその場所に来た回数や購入履歴等も含まれる。
【0067】
購入履歴については、サービスアグリゲーションサーバ42、或いは、個人識別・属性・履歴管理サーバ41から、サービス提供サーバ43(すなわち、店舗)に対して、特定個人の個人情報を提供し、かつ、サービス提供サーバ43から特定個人の購入情報を取得することによって、最終的に個人識別・属性・履歴サーバ41で管理される。購入履歴は、個人属性情報とはカテゴリーが異なる。属性情報は基本的に変わらないもので、データも更新する頻度も少ないが、履歴情報はデータとして常に更新される。この履歴情報は、購入実績に応じた割引、クーポンの発行やマーケット情報として有意な情報である。
【0068】
サービスアグリゲーションサーバ42で管理されている情報には、例えば、URLあるいはHTTPファイル(店舗宣伝等)、画像データ、クーポン等が含まれる。
【0069】
サービスアグリゲーションサーバ42は、種々の形態で構成可能であるが、ユーザ個人毎の情報を蓄積するかどうかという点で二つに分かれる。
【0070】
第1の構成は、サービスアグリゲーションサーバ42は、個人情報を一切蓄積しない、という形態である。図7は、この形態に対応した、本発明の第4実施例によるサービスアグリゲーションサーバのシーケンス説明図である。
【0071】
この場合、サービスアグリゲーションサーバ42は、店舗情報(店舗位置と提供情報)だけを蓄積する。そして、サービスアグリゲーションサーバ42は、個人識別・属性・履歴管理サーバ41から、これから情報を提供すべき相手の端末識別情報(=電話番号、メールアドレス或いは端末MACアドレス)と、現在位置(=端末位置情報)と、その人の属性と、過去にその人へ提供された情報の履歴を受け取り、蓄積している店舗情報から、適切な情報を検索し、端末識別情報で示された相手先へ適切な情報を送信する。サービスアグリゲーションサーバ42には、ユーザの電話番号やメールアドレスさえ通知せずに、端末MACアドレスだけを通知することによってユーザ端末2を識別させ、サービスアグリゲーションサーバ42の情報を個人識別・属性・履歴管理サーバ41からユーザ端末2へ情報を送信するような構成も可能である。この場合、サービスアグリゲーションサーバ42は、個人識別・属性・履歴管理サーバ41から要求される情報を個人識別・属性・履歴管理サーバ41へ送信する機能だけを備えていればよい。勿論、サービスアグリゲーションサーバ42は、端末識別情報と、その人の属性と、その人の履歴とを蓄積してデータベース化することは可能であるが、例えば、姓名(=携帯電話機の契約者名)或いは電話番号、メールアドレスは特定できないようにされる。本実施例では、サービスアグリゲーションサーバ42の運営機関と、個人識別・属性・履歴管理サーバ41の運営機関が別個であることを想定している。例えば、低感度基地局3、GMSC MSC/VLR BSC21、HLR22の運営機関Aと、個人識別・属性・履歴管理サーバ41の運営機関Bが近い関係である場合、例えば、運営機関Aと運営機関Bが同一、或いは、提携関係である場合に有利な形態である。
【0072】
もう一つの構成は、サービスアグリゲーションサーバの運営機関と、個人識別・属性・履歴管理サーバの運営機関が一体である場合に適した構成である。図8は、この形態に対応した、本発明の第5実施例によるサービスアグリゲーションサーバのシーケンス説明図である。個人情報は、サービスアグリゲーションサーバ42まで送られているので、例えば、サービスアグリゲーションサーバ42は、この個人情報をサービス提供サーバ43(或いは、店舗)へ提供するように拡張することが可能である。
【0073】
本発明の他の実施例によれば、ユーザ位置情報、ユーザ識別情報、ユーザ属性情報、及び、ユーザ履歴情報を連動させた情報配信システム、及び、サービス提供システムを実現することができる。
【0074】
たとえば、本発明は、
(i)来店履歴、購入履歴に応じたその場での電子クーポンの発行
(ii)購入履歴をベースとしたお奨め商品の提示
(iii)乗車回数、乗車距離のモニタリングとそれに応じた顧客サービスの提供
(iv)食品売り場でのレシピ情報の提供
(v)ユーザ嗜好に応じたスポット情報提供
等に提供される。
【0075】
これらの適用例によれば、サービス提供スポットの集客効果、売上増加、及び、宣伝効果による増収が期待できる。また、ユーザは、各種の情報提供、及び、各種のサービスを享受できる。さらに、サービス運営機関は、サービス提供者から、システム・インテグレーション費用やプラットフォーム利用費を収入として得るビジネスモデルを構築することができる。
【0076】
以上、本発明の代表的な実施例を説明したが、本発明は、上記の実施例に限定されることなく、特許請求の範囲内において、種々変更・応用が可能である。
【0077】
【発明の効果】
本発明によれば、ユーザのスポットエリア位置情報に基づいて、認証、識別されたユーザに対し、スポット情報配信及びサービス提供を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例による位置情報に基づく情報配信システムの構成図である。
【図2】本発明の第1実施例における情報配信部の構成図である。
【図3】本発明の第1実施例における制御局の構成図である。
【図4】本発明の第2実施例による情報配信方法のフローチャートである。
【図5】本発明の第3実施例による情報配信及びサービス提供システムの構成図である。
【図6】本発明の第3実施例による情報配信及びサービス提供システムのシーケンス説明図である。
【図7】本発明の第4実施例によるサービスアグリゲーションサーバのシーケンスの説明図である。
【図8】本発明の第5実施例によるサービスアグリゲーションサーバのシーケンス説明図である。
【符号の説明】
1 移動通信システム
2 ユーザ端末
3 低感度基地局
4 情報配信部
10 基地局
20 制御局
21 GMSC MSC/VLR BSC
22 HLR
41 個人識別・属性・履歴管理サーバ
42 サービスアグリゲーションサーバ
43 サービス提供サーバ
【発明の属する技術分野】
本発明は、ユーザの位置情報に基づいてユーザに情報やサービスを提供するシステム及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ユーザの位置を検出して、ユーザが携帯しているユーザ端末に情報を配信する技術として、GPSを利用してユーザ位置を検出するシステムがある。GPSを利用する場合、ユーザは屋外に居ることが想定されている。また、GPSは、原則として、位置検出機能しか備えていないので、GPSに基づくシステムでは、ユーザの音声、データ等を送受信する通信機能と、ユーザ識別機能を別途設けている。
【0003】
これに対して、ユーザの位置検出機能とユーザの識別機能を備えたシステムとしては、PDCやPHSを利用した情報提供システムが提案されている。PDCを利用する場合、位置検出精度は、1km〜であり、PHSの場合、位置検出精度は100m〜である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように、GPSでは屋内では使用できないという制限がある。また、PDC、PHSでは受信対象エリアが広く、位置検出精度が低いという制限がある。そのため、これらの従来技術による情報配信サービスでは、屋内外を問わずに、ユーザの位置をスポットレベルで同定することが困難であり、その結果として、ユーザに対して、狭い範囲内の情報、特に、スポット情報を提供することができない、という問題点が生じる。
【0005】
したがって、本発明は、ユーザのスポットエリア位置情報に基づくスポット情報を、認証、識別されたユーザに配信するシステム及び方法の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、移動通信システム(例えば、携帯電話システム)に、低感度基地局を用いて位置検出範囲を狭めることにより、スポット位置検出を可能にし、ユーザ端末(例えば、携帯電話機)からユーザ(例えば、携帯端末の所有者若しくは契約者)を対応させて、位置情報(例えば、ユーザ位置)と個人情報(例えば、ユーザ属性情報)等をベースに情報サービスを提供する。本発明は、移動通信システムに低感度基地局を設置することにより、位置検出機能、ユーザの通信機能、及び、ユーザ識別機能を実現することを可能にする。
【0007】
請求項1に記載の発明は、移動通信システムと、低感度基地局と、情報配信部と、を有する位置情報に基づく情報配信システムである。移動通信システムは、カバーエリア内のユーザ端末からの位置登録要求信号を受信し上記ユーザ端末と無線通信する基地局、及び、移動通信に必要な情報を管理し上記基地局を制御する制御局を備えている。低感度基地局は、上記基地局のカバーエリア内で既知の位置情報と関連付けられた場所に設置され、上記基地局よりも低い感度でユーザ端末から送出された位置登録要求信号を受信し、位置登録要求信号を送出したユーザ端末の識別情報を上記制御局へ通知する。情報配信部は、位置情報に関連した情報を集積し、上記制御局に識別情報が通知されたユーザ端末に対し、上記移動通信システムを介して、上記既知の位置情報に関連した情報を配信する。
【0008】
本発明は、受信専用の低感度基地局(小利得基地局)を設置することによって、位置検出範囲を狭め、結果として位置検出精度を高精度化する。さらに、低感度基地局は、受信機能に限定できるので既存の携帯電話基地局や他の無線システムへの干渉の問題がなく、かつ、低コスト化可能であるため、既存の基地局や設備を活用してシステムを構築することができる。また、携帯電話システムのような移動通信システムを利用することによって、例えば、電話番号等からユーザ識別を行うことができる。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、上記情報配信部は、上記制御局に接続され、上記制御局に通知されたユーザ端末の識別情報に対応した個人情報データを管理する個人情報管理サーバと、上記個人情報管理サーバに接続され、位置情報に関連付けられた提供情報をネットワーク経由で集積するサービスアグリゲーションサーバと、を含む。上記個人情報管理サーバは、上記低感度基地局の上記既知の位置情報と上記個人情報データに対応した情報を上記サービスアグリゲーションサーバに要求する。上記サービスアグリゲーションサーバは、上記個人情報管理サーバからの要求に応じて選択した提供情報を、上記制御局を介して、上記制御局に識別情報が通知されたユーザ端末へ送信する。
【0010】
個人情報管理サーバを具備することによって、特定の個人に対してよりきめ細かい情報を提供できるようになる。また、サービスアグリゲーションサーバを設けることによって、ネットワークを介して、様々なサービス提供サーバから情報を収集し、蓄積できるようになる。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、上記サービスアグリゲーションサーバは、上記低感度基地局の上記既知の位置情報と提供情報に関連付けられた位置情報との差、及び、上記個人情報データと提供情報との関連性を評価し、所定の条件を満たす提供情報を、ユーザ端末へ送信する情報として選択する。
【0012】
サービスアグリゲーションサーバは、ユーザに提供するための情報として、ユーザが検出された位置の付近に関する情報であり、かつ、そのユーザに固有の関連性のある情報を選択することができるようになる。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、上記サービスアグリゲーションサーバは、少なくとも上記ユーザ端末へ送信された情報を含む個人別のログ情報を上記個人情報管理サーバへ送信する。上記個人情報管理サーバは、上記個人別のログ情報を上記個人情報データに付加する。
【0014】
これにより、アグリゲーションサーバは、特に、過去に同じユーザへ配信された情報の内容や、アグリゲーションサーバに収集された同じユーザに関して情報に基づいて、よりユーザに適した情報をユーザへ提供できるようになる。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、上記制御局は、上記基地局に対応し、上記基地局のカバーエリア内の在圏ユーザ端末を管理する第1の制御局と、移動通信システムのユーザのプロファイル及びユーザ端末の位置情報を管理する第2の制御局と、を含む。上記第1の制御局は、上記低感度基地局から識別情報を通知された在圏ユーザ端末に、上記低感度基地局の識別情報を関連付けるように構成される。上記第2の制御局は、ユーザ端末の位置情報として、基地局の識別情報及び低感度基地局の識別情報を管理するように構成されている。低感度基地局の識別情報には低感度基地局の位置(情報)がリンクされているので、低感度基地局の識別情報からユーザ端末の位置情報が取得できる。
【0016】
これにより、本発明の情報配信システムは、特に、携帯電話システムのような既設の移動通信システムに低コストで導入することが可能になる。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、上記低感度基地局はユーザ端末から定期的に送出される位置登録要求信号を受信する。
【0018】
これにより、特に、ユーザ端末が基地局のカバーエリア内の複数の低感度基地局カバーエリアを移動する場合でも、ユーザ端末に位置情報に基づく情報を提供できるようになる。
【0019】
請求項7に記載の発明は、カバーエリア内のユーザ端末からの位置登録要求信号を受信し上記ユーザ端末と無線通信する基地局、及び、移動通信に必要な情報を管理し上記基地局を制御する制御局を備えた移動通信システムにおける位置情報に基づく情報配信方法である。
【0020】
この情報配信方法は、
上記基地局のカバーエリア内で既知の位置情報と関連付けられた場所に設置され、上記基地局よりも低い感度で位置登録要求信号を受信する上記低感度基地局によって、ユーザ端末から送出された位置登録要求信号を受信する手順と、
位置登録要求信号を送出したユーザ端末の識別情報を上記低感度基地局から上記制御局へ通知する手順と、
上記制御局から情報配信部へ上記ユーザ端末の識別情報及び上記低感度基地局の識別情報を送信する手順と、
上記ユーザ端末の識別情報に関連した個人情報、及び、上記低感度基地局に関連付けられた上記既知の位置情報に基づいて、位置情報に関連付けられた収集情報の中から提供情報を選択する手順と、
上記選択された提供情報を、上記移動通信システムを介して、上記ユーザ端末へ送信する手順と、を有する。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の種々の実施例を詳細に説明する。全ての図面を通じで、同一若しくは同等の構成要素又は機能には、同じ参照番号が付けられている。
【0022】
図1は、ユーザ端末の位置情報に基づいて当該ユーザ端末へ位置情報に関連した情報を配信する本発明の第1実施例による位置情報に基づく情報配信システムの構成図である。本実施例の情報配信システムは、カバーエリア内のユーザ端末2からの位置登録要求信号を受信し、上記ユーザ端末2と無線通信する基地局10、及び、移動通信に必要な情報を管理し上記基地局10を制御する制御局20を備えた移動通信システム1を含む。基地局10のカバーエリアには、例えば、レストラン街や商店街が含まれるが、これらの例に限定されるものではない。
【0023】
移動通信システム1の一例は、現在の携帯電話システムである。移動通信システム1として、携帯電話システムを採用した場合、ユーザ端末2は、いわゆる、携帯電話機である。ユーザ端末2は、基地局10からの報知情報等に応答して、適宜位置登録要求信号を発信し、自端末の位置を制御局20へ登録している。携帯電話システムのような移動通信システム1では、使用可能なユーザ端末2が、そのユーザ端末2の保有者(すなわち、ユーザ)の情報と共に登録されている。
よって、情報配信システムの情報配信先として、移動通信システム1で利用可能なユーザ端末2を指定することによって、自動的にユーザ認証がなされる、という利点が得られる。
【0024】
携帯電話システムにおける位置登録処理については、例えば、文献:立川監修、”W−CDMA移動通信方式”、丸善、2001年、pp.250−253と、文献:服部編著、”ワイヤレス・ブロードバンド教科書”、IDGジャパン、2002年、pp.32−35に記載されている。
【0025】
情報配信システムは、低感度基地局3を更に含む。低感度基地局3は、上記基地局10のカバーエリア内で既知の位置情報と関連付けられた場所に設置され、上記基地局10よりも低い感度でユーザ端末2から送出された位置登録要求信号を受信し、位置登録要求信号を送出したユーザ端末2の識別情報を上記制御局20へ通知する。低感度基地局3は、低感度の受信専用の基地局であり、検出範囲を狭めることにより、すなわち、検出エリアをスポット的にすることにより、位置検出精度を等価的に向上させる。低感度基地局3のカバーエリアには、例えば、レストラン街や商店街の一角(1乃至数軒の店舗)が含まれるが、これらの例には限定されない。
【0026】
本実施例における制御局20は、この低感度基地局3でユーザ端末2からの位置登録要求信号を検出することによって、通常の通話サービスで用いられる位置管理情報とは独立に、検出範囲の狭い位置管理を行う。
【0027】
情報配信システムは、更に、位置情報に関連した情報を集積し、上記制御局20に識別情報が通知されたユーザ端末2に対し、上記移動通信システム1を介して、上記既知の位置情報に関連した情報を配信する情報配信部4を含む。
【0028】
情報配信部4は、例えば、ネットワークを介して、サービス提供サーバ43から情報を収集する。収集される情報には、例えば、レストランや商店が提供する情報が含まれる。
【0029】
低感度基地局3のカバーエリアは狭いので、情報配信部4は、蓄積している情報の中から、低感度基地局3の位置周辺に所在するレストランや商店の情報を選択して、ユーザ端末2へ送信する。ユーザ端末2とユーザは制御局20で対応付けられているので、情報配信部4は、ユーザ端末2に対応した特定のユーザに固有の情報に基づいて、ユーザへ提供する情報を絞り込むことができる。
【0030】
したがって、本発明の第1実施例の情報配信システムは、特定のユーザに関するユーザ位置情報、ユーザ識別情報、及び、ユーザ属性情報に基づいて、当該特定のユーザにとって有用な情報を配信することが可能である。
【0031】
図2は、本発明の第1実施例の情報配信システムで使用される情報配信部の一例の構成図である。情報配信部4は、上記制御局12に接続され、上記制御局12に通知されたユーザ端末2の識別情報に対応した個人情報データを管理する個人情報管理サーバ41と、上記個人情報管理サーバ41に接続され、位置情報に関連付けられた提供情報をネットワーク経由で集積するサービスアグリゲーションサーバ42と、を含む。上記個人情報管理サーバ41は、上記低感度基地局3の上記既知の位置情報と上記個人情報データに対応した情報を上記サービスアグリゲーションサーバ42に要求する。上記サービスアグリゲーションサーバ42は、上記個人情報管理サーバ41からの要求に応じて選択した提供情報を、上記制御局20及び上記基地局10を介して、上記制御局20に識別情報が通知されたユーザ端末2へ送信する。したがって、低感度基地局3は、ユーザ端末2への提供情報の送信に関与しない。
【0032】
上記サービスアグリゲーションサーバ42は、上記低感度基地局3の上記既知の位置情報と提供情報に関連付けられた位置情報との差、及び、上記個人情報データと提供情報との関連性を評価し、所定の条件を満たす提供情報を、ユーザ端末へ送信する情報として選択する。更に、上記サービスアグリゲーションサーバ42は、少なくとも上記ユーザ端末2へ送信された情報を含む個人別のログ情報を上記個人情報管理サーバ41へ送信し、上記個人情報管理サーバ41は、上記個人別のログ情報を上記個人情報データに付加する。
【0033】
ユーザが商店街に居る場合を想定する。まず、サービスアグリゲーションサーバ42は、一例として、各店舗のお奨め商品を含む取扱商品や割引情報を収集する。これらの情報は、各サービス提供サーバ43に存在し、サービスアグリゲーションサーバ42が定期的に収集、更新、登録する。
【0034】
低感度基地局3の位置情報からユーザ端末の所有者であるユーザがどの店舗に近い位置に存在するかが分かる。店舗位置については、事前に、店舗の情報と共にサービスアグリケーション42内に格納されている。
【0035】
個人情報管理サーバ41は、個人識別情報、個人属性情報、個人履歴を管理する。ユーザ端末2(例えば、携帯電話機)とユーザ(例えば、携帯電話所有者又は契約者)が1対1対応であることを仮定すると、そのユーザを特定できる。また、個人情報管理サーバ41には個人属性情報として、例えば、年齢、性別、職業、趣味等が格納されている。さらに、個人情報管理サーバ41は、ユーザ端末2(すなわち、ユーザ)にサービスアグリゲーションサーバ42から送信された情報を情報提供ログとして格納し、それを情報提供ログとして各個人ごとに対応させて管理する。
【0036】
本実施例では、上述のように、ユーザ端末2の位置は、低感度基地局3の位置に等しいと見なす。低感度基地局3の位置、店舗位置については、緯度、経度情報で扱われる。店舗内ではGPSは使用できないが、たとえば、店舗入り口等でGPS端末を用いて緯度、経度情報は容易に得られるので、それをサービスアグリゲーションサーバ42に格納しておく。これらの位置情報設定作業自体は、例えば、情報配信サービスのプラットフォームを提供する事業者が行う。
【0037】
位置情報として、緯度・経度情報を採用した場合、2地点の緯度、経度から算出される距離は直線距離であるため、端末位置から店舗位置に到達するための経路の存在が問題となり得る。しかし、市中で展開されるサービスを想定した場合、2点間には若干の迂回が考えられるものの経路が存在するので、この経路の問題は重大ではない。また、周辺情報の提供の範囲として、周辺の定義を距離とすることにより、距離設定の変更により、提供情報の範囲を柔軟に変えることができる。
【0038】
本実施例の構成によれば、サービスアグリゲーションサーバ42は位置情報から端末所有者の現在位置に近い店舗の情報をユーザの個人属性を考慮して(例えば、男性ならば、化粧品、美容院等の情報を事前に除去し、嗜好にあわせた情報(遊戯施設等の情報))送信することができる。また、情報提供ログを管理していることから過去に出した情報を出さない等を含め、個人指向の情報提供が可能である。
【0039】
本実施例では、低感度基地局3の位置(緯度、経度)と店舗位置(緯度、経度)から距離を算出して、それをベースにある距離内の店舗情報を選択している。
より具体的には、ユーザが距離指定(例えば、半径**m以内とかの条件を送信)を行い、サービス提供側がその範囲内の店舗情報を出すことができる。これにより、ユーザは、GPSを用いずに(例えば、GPS搭載端末を使用せずに)、事業者が設置する低感度基地局を用いて、サービスの提供を享受できるので、ユーザに負担をかけない(例えば、ユーザは既存のユーザ端末を保有していればよい)という利点が得られる。
【0040】
これに対し、本発明の他の一実施例では、低感度基地局3をある店舗に設置したときに、その店舗及び周辺の店舗と、その低感度基地局3(の位置情報)とを、予め関連付けておく。これにより、あるユーザ端末2からの位置登録要求信号がその低感度基地局3で受信されると、ユーザ端末の位置情報(すなわち、低感度基地局3の位置情報)に関連付けられた周辺の店舗等の情報が取得できる。この場合、位置情報に関する計算、例えば、上述の2点間の距離の計算は不要である。低感度基地局3の識別情報と、関連した店舗情報は、予めサービスアグリゲーションサーバ42内に格納される。一例として、端末位置情報は、低感度基地局の識別番号であればよく、サービスアグリゲーションサーバ42では、低感度基地局の識別番号に、その低感度基地局の周辺(数10m)の店舗情報(の識別番号)をリンクさせておけばよい。この実施例は、サービスアグリゲーションサーバの運営機関と低利特基地局の設置機関が同一である場合に好適である。
【0041】
図3は、本発明の第1実施例の情報配信システムにおける制御局の構成図である。制御局20は、上記基地局10のカバーエリア内の在圏ユーザ端末2を管理する第1の制御局21と、移動通信のユーザのプロファイル及びユーザ端末の位置情報を管理する第2の制御局22と、を含む。
【0042】
上記第1の制御局21は、上記低感度基地局3から識別情報を通知された在圏ユーザ端末2に、上記低感度基地局3の識別情報を関連付けるように構成される。この第1の制御局21は、例えば、上述の文献に記載されているようなIMT−2000コアネットワークにおけるGMSC MSC/VLR BSCで実現することができる。ここで、GMSCは電話網、ISDNおよび他の移動通信網と相互接続するための関門交換機能を提供する。MSC/VLRは電話の通話路やデータ通信路の設定、開放、交換や移動管理の機能、端末の移動先で加入者情報を一時的に保持する。また、BSCは無線チャンネルのユーザ端末への割り当てや切り替えの制御を行う。
【0043】
上記第2の制御局22は、ユーザ端末の位置情報として、基地局の識別情報及び低感度基地局の識別情報を管理するように構成されている。低感度基地局の識別情報には低感度基地局の位置情報がリンクされているので、低感度基地局の識別情報からユーザ端末の位置情報としてこの低感度基地局の位置情報が取得できる。この第2の制御局22は、例えば、上述の文献に記載されているようなIMT−2000コアネットワークにおけるHLRで実現することができる。ここで、HLRは、当該携帯電話事業者に加入するすべての加入者に関する位置情報、サービス加入情報、認証情報等を保持、管理するホームロケーションレジスタを表す。
【0044】
本実施例では、通常の通話ワービス用の(高感度)基地局10と低感度基地局3が併存しているので、GMSC MSC/VLR BSCは、通常の高感度基地局と、本発明の低感度基地局3の両方からの位置登録要求信号を受信する。ホームロケーションレジスタ(HLR)は、ユーザ端末の位置情報を個人情報管理サーバへ送る。また、サービスアグリケーションサーバからの情報をGMSC MSC/VLR BSCを経由してユーザ端末へ送信する。
【0045】
携帯電話機から出る位置登録要求信号は共通であるが、利用目的は異なることから(一方は通話エリア変更の検出、他方は小範囲エリアに携帯電話機が存在していることの検出)、GMSC MSC/VLR BSCやHLRの中では、別の信号として扱う必要がある。このためにGMSC MSC/VLR BSCやHLRの中では低感度基地局からの信号を格納するフィールド等を追加する。
【0046】
低感度基地局3は、識別情報として、当該低感度基地局3がどの携帯電話基地局10のゾーンに属しているかの情報をHLRに送信しておく必要がある。ユーザ端末2への情報送信は、通常の携帯電話基地局10から送信される。位置情報は、識別情報からどの低感度基地局3であるかが同定できるので、当該低感度基地局3の位置を事前登録しておくことで、位置情報としてHLRに送信できる。
【0047】
従来のIMT−2000ネットワークアーキテクチャに基づく携帯電話機は、GMSC MSC/VLR BSCからの報知情報により、位置登録エリアの変更を検出すると位置登録要求信号を送出する。本発明の一実施例では、低感度基地局3は、別途報知情報を送出することなく、この通常の位置登録エリアの変更のための位置登録要求信号を受信する。通常の携帯電話機が送出している位置登録要求信号を利用するので、ユーザ端末2として、従来の携帯電話機そのものを利用することができる。この携帯電話機が出す位置登録要求信号を低感度基地局3が受けて、それをGMSC MSC/VLR BSCに送信する。
【0048】
この場合、位置登録要求信号は、従前通りに携帯電話機から送信されるものであり、既存のシステムとして携帯電話機の属しているエリアの認識に使用され、さらに、低感度基地局の受信によって、より狭い範囲での携帯電話機の存在の検出に使用される。
【0049】
上述のように低感度受信基地局は報知情報を出さずに、あくまで既存の基地局10からの報知情報を利用する。そのため、本実施例は、特に、移動先でのスポット情報提供という環境に好適である。
【0050】
これに対して、既存の基地局のカバーエリア内でユーザ端末2が、ある低感度基地局から別の低感度基地局のカバーエリアへ移動した場合に、その移動先のスポット情報を提供するため、本発明の他の一実施例では、上記低感度基地局3は、ユーザ端末2から定期的に送出される位置登録要求信号を受信することができる。従来の基地局10からの報知情報だけを利用する場合、既存基地局内での移動では、報知情報の変化が判別できず、結果として携帯電話機が位置登録要求信号を出せない。そこで、本実施例では、携帯電話機が報知情報の変化を検出して位置登録要求信号を出す方式の代わりに、携帯電話機が定期的に(例えば、一定間隔で)位置登録要求信号を出す方式を採用する。これにより、携帯電話機が既存基地局内で移動する場合でも、低感度基地局が携帯電話機の位置登録要求信号を受信することによって、狭い範囲で携帯電話機の存在を検出できる。位置登録情報を定期的に(一定間隔で)送信することにより、低感度基地局は、その検出エリア内に携帯電話機が入れば、必ずその存在を検出でき、結果として情報送信がもれなくできるメリットがある。
【0051】
図4は、本発明の第2実施例による位置情報に基づく情報配信方法のフローチャートである。この情報配信方法は、カバーエリア内のユーザ端末からの位置登録要求信号を受信し上記ユーザ端末と無線通信する基地局、及び、移動通信に必要な情報を管理し上記基地局を制御する制御局を備えた移動通信システムにおいて実施される。
【0052】
ステップ1:上記基地局のカバーエリア内で既知の位置情報と関連付けられた場所に設置され、上記基地局よりも低い感度で位置登録要求信号を受信する上記低感度基地局によって、ユーザ端末から送出された位置登録要求信号を受信する。
【0053】
ステップ2:位置登録要求信号を送出したユーザ端末の識別情報を上記低感度基地局から上記制御局へ通知する。
【0054】
ステップ3:上記制御局から情報配信部へ上記ユーザ端末の識別情報及び上記低感度基地局の識別情報を送信する。
【0055】
ステップ4:上記ユーザ端末の識別情報に関連した個人情報、及び、上記低感度基地局に関連付けられた上記既知の位置情報に基づいて、位置情報に関連付けられた収集情報の中から提供情報を選択する。
【0056】
ステップ5:上記選択された提供情報を、上記移動通信システムを介して、上記ユーザ端末へ送信する。
【0057】
図5は、本発明の第3実施例による位置情報に基づく情報配信及びサービス提供システムの構成図であり、図6は、そのシーケンス説明図である。本実施例のシステムは、携帯電話システムをベースにして構築される。
【0058】
携帯電話システムでは、ユーザ端末2の所有者(すなわち、ユーザ)の移動によって、ユーザ端末2の所属するカバーエリアが変化したとき、例えば、無線基地局カバーエリアBから無線基地局カバーエリアAへ移動したとき、ユーザ端末2は、GMSC MSC/VLR BSC21から、携帯電話基地局10を介して送信される報知情報により、カバーエリア変更を検出し、検出後、位置登録要求信号を、携帯電話基地局10及びGMSC MSC/VLR BSC21を介して、HLR22へ送信する。
【0059】
本実施例では、ユーザ端末2からの位置登録要求信号をユーザ位置検出に利用する。すなわち、低感度基地局3が設けられる。低感度基地局3は、低利得の受信アンテナ又は低感度の受信機を用いて位置登録要求信号の検出範囲を小さく設定している。これにより、ユーザが特定の狭いスポットエリアに存在していることが検出できる。携帯電話基地局10は、検出感度が高く、その検出範囲は、現状の携帯電話で1km以上、PHSでも100m以上であり、位置検出精度という意味で、特定の狭いスポットエリアの検出は不可能である。
【0060】
図6のシーケンス説明図に示されるように、ユーザ端末2は、GMSC MSC/VLR BSC21からの報知信号(2)、(3)によってカバーエリアの変化を検出したとき、位置登録要求信号(4)を送出し、低感度基地局3はこの位置登録要求信号(4)を受信し、GMSC MSC/VLR BSC21を介して(5)、HLR22へ送信する(6)。
【0061】
HLR22は、ユーザ端末2から受信した位置登録要求信号によって、どの端末がどのスポット位置に到来したかが、低感度基地局3の設置位置とスポット位置との対応関係からわかるので、その情報を、ユーザ端末位置情報として、個人識別・属性・履歴管理サーバ41へ送信する(7)。
【0062】
個人識別・属性・履歴管理サーバ41は、ユーザ端末識別情報(電話番号等)から、ユーザ(ユーザ端末の所有者)を同定する。ここで、ユーザ端末とユーザは1対1の関係である。個人識別・属性・履歴管理サーバ41は、個人属性情報、履歴情報を参照して選択した情報、或いは、事前にユーザ端末2から要求された情報を、ユーザ端末2へ送信するようにサービスアグリゲーションサーバ42に対して指示する(8)。ここで、サービスアグリゲーションサーバ42からの情報送信実績は、個人識別・属性・履歴管理サーバ41で管理され(9)、選択情報は、HLR22、GMSC MSC/VLR BSC21、及び、携帯電話基地局10を介して(10)、ユーザ端末2へ送信される(11)。
【0063】
本実施例では、選択情報は、低感度基地局3ではなく、携帯電話基地局10を経由してユーザ端末2へ送信される。このように低感度基地局3を受信機能に限定することによって、低コスト化が実現され、既存の他の無線システムへの電波干渉の問題が回避される。
【0064】
さらに、サービスアグリゲーションサーバ42は、定期的に、サービス提供サーバ43から、提供情報を受信、収集、アップデートしている(1)。
【0065】
このような本発明の第3実施例によれば、特定の個人の現在位置と、個人属性情報と、履歴情報とに基づいて、その個人に対して有意な情報をその個人の所有する携帯端末へ送信することが可能になる。
【0066】
個人識別・属性・履歴サーバ41で管理される識別情報には、例えば、契約者番号等個人を特定できる情報が含まれ、属性情報には性別、年齢、出身地、趣味、職業等が含まれる。また、個人履歴情報としては、既にその個人に送信したURL、ファイル名等の他に、その個人がその場所に来た回数や購入履歴等も含まれる。
【0067】
購入履歴については、サービスアグリゲーションサーバ42、或いは、個人識別・属性・履歴管理サーバ41から、サービス提供サーバ43(すなわち、店舗)に対して、特定個人の個人情報を提供し、かつ、サービス提供サーバ43から特定個人の購入情報を取得することによって、最終的に個人識別・属性・履歴サーバ41で管理される。購入履歴は、個人属性情報とはカテゴリーが異なる。属性情報は基本的に変わらないもので、データも更新する頻度も少ないが、履歴情報はデータとして常に更新される。この履歴情報は、購入実績に応じた割引、クーポンの発行やマーケット情報として有意な情報である。
【0068】
サービスアグリゲーションサーバ42で管理されている情報には、例えば、URLあるいはHTTPファイル(店舗宣伝等)、画像データ、クーポン等が含まれる。
【0069】
サービスアグリゲーションサーバ42は、種々の形態で構成可能であるが、ユーザ個人毎の情報を蓄積するかどうかという点で二つに分かれる。
【0070】
第1の構成は、サービスアグリゲーションサーバ42は、個人情報を一切蓄積しない、という形態である。図7は、この形態に対応した、本発明の第4実施例によるサービスアグリゲーションサーバのシーケンス説明図である。
【0071】
この場合、サービスアグリゲーションサーバ42は、店舗情報(店舗位置と提供情報)だけを蓄積する。そして、サービスアグリゲーションサーバ42は、個人識別・属性・履歴管理サーバ41から、これから情報を提供すべき相手の端末識別情報(=電話番号、メールアドレス或いは端末MACアドレス)と、現在位置(=端末位置情報)と、その人の属性と、過去にその人へ提供された情報の履歴を受け取り、蓄積している店舗情報から、適切な情報を検索し、端末識別情報で示された相手先へ適切な情報を送信する。サービスアグリゲーションサーバ42には、ユーザの電話番号やメールアドレスさえ通知せずに、端末MACアドレスだけを通知することによってユーザ端末2を識別させ、サービスアグリゲーションサーバ42の情報を個人識別・属性・履歴管理サーバ41からユーザ端末2へ情報を送信するような構成も可能である。この場合、サービスアグリゲーションサーバ42は、個人識別・属性・履歴管理サーバ41から要求される情報を個人識別・属性・履歴管理サーバ41へ送信する機能だけを備えていればよい。勿論、サービスアグリゲーションサーバ42は、端末識別情報と、その人の属性と、その人の履歴とを蓄積してデータベース化することは可能であるが、例えば、姓名(=携帯電話機の契約者名)或いは電話番号、メールアドレスは特定できないようにされる。本実施例では、サービスアグリゲーションサーバ42の運営機関と、個人識別・属性・履歴管理サーバ41の運営機関が別個であることを想定している。例えば、低感度基地局3、GMSC MSC/VLR BSC21、HLR22の運営機関Aと、個人識別・属性・履歴管理サーバ41の運営機関Bが近い関係である場合、例えば、運営機関Aと運営機関Bが同一、或いは、提携関係である場合に有利な形態である。
【0072】
もう一つの構成は、サービスアグリゲーションサーバの運営機関と、個人識別・属性・履歴管理サーバの運営機関が一体である場合に適した構成である。図8は、この形態に対応した、本発明の第5実施例によるサービスアグリゲーションサーバのシーケンス説明図である。個人情報は、サービスアグリゲーションサーバ42まで送られているので、例えば、サービスアグリゲーションサーバ42は、この個人情報をサービス提供サーバ43(或いは、店舗)へ提供するように拡張することが可能である。
【0073】
本発明の他の実施例によれば、ユーザ位置情報、ユーザ識別情報、ユーザ属性情報、及び、ユーザ履歴情報を連動させた情報配信システム、及び、サービス提供システムを実現することができる。
【0074】
たとえば、本発明は、
(i)来店履歴、購入履歴に応じたその場での電子クーポンの発行
(ii)購入履歴をベースとしたお奨め商品の提示
(iii)乗車回数、乗車距離のモニタリングとそれに応じた顧客サービスの提供
(iv)食品売り場でのレシピ情報の提供
(v)ユーザ嗜好に応じたスポット情報提供
等に提供される。
【0075】
これらの適用例によれば、サービス提供スポットの集客効果、売上増加、及び、宣伝効果による増収が期待できる。また、ユーザは、各種の情報提供、及び、各種のサービスを享受できる。さらに、サービス運営機関は、サービス提供者から、システム・インテグレーション費用やプラットフォーム利用費を収入として得るビジネスモデルを構築することができる。
【0076】
以上、本発明の代表的な実施例を説明したが、本発明は、上記の実施例に限定されることなく、特許請求の範囲内において、種々変更・応用が可能である。
【0077】
【発明の効果】
本発明によれば、ユーザのスポットエリア位置情報に基づいて、認証、識別されたユーザに対し、スポット情報配信及びサービス提供を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例による位置情報に基づく情報配信システムの構成図である。
【図2】本発明の第1実施例における情報配信部の構成図である。
【図3】本発明の第1実施例における制御局の構成図である。
【図4】本発明の第2実施例による情報配信方法のフローチャートである。
【図5】本発明の第3実施例による情報配信及びサービス提供システムの構成図である。
【図6】本発明の第3実施例による情報配信及びサービス提供システムのシーケンス説明図である。
【図7】本発明の第4実施例によるサービスアグリゲーションサーバのシーケンスの説明図である。
【図8】本発明の第5実施例によるサービスアグリゲーションサーバのシーケンス説明図である。
【符号の説明】
1 移動通信システム
2 ユーザ端末
3 低感度基地局
4 情報配信部
10 基地局
20 制御局
21 GMSC MSC/VLR BSC
22 HLR
41 個人識別・属性・履歴管理サーバ
42 サービスアグリゲーションサーバ
43 サービス提供サーバ
Claims (7)
- カバーエリア内のユーザ端末からの位置登録要求信号を受信し上記ユーザ端末と無線通信する基地局、及び、移動通信に必要な情報を管理し上記基地局を制御する制御局を備えた移動通信システムと、
上記基地局のカバーエリア内で既知の位置情報と関連付けられた場所に設置され、上記基地局よりも低い感度でユーザ端末から送出された位置登録要求信号を受信し、位置登録要求信号を送出したユーザ端末の識別情報を上記制御局へ通知する低感度基地局と、
位置情報に関連した情報を集積し、上記制御局に識別情報が通知されたユーザ端末に対し、上記移動通信システムを介して、上記既知の位置情報に関連した情報を配信する情報配信部と、を有する、位置情報に基づく情報配信システム。 - 上記情報配信部は、
上記制御局に接続され、上記制御局に通知されたユーザ端末の識別情報に対応した個人情報データを管理する個人情報管理サーバと、
上記個人情報管理サーバに接続され、位置情報に関連付けられた提供情報をネットワーク経由で集積するサービスアグリゲーションサーバと、
を含み、
上記個人情報管理サーバは、上記低感度基地局の上記既知の位置情報と上記個人情報データに対応した情報を上記サービスアグリゲーションサーバに要求し、上記サービスアグリゲーションサーバは、上記個人情報管理サーバからの要求に応じて選択した提供情報を、上記制御局を介して、上記制御局に識別情報が通知されたユーザ端末へ送信する、請求項1記載の情報配信システム。 - 上記サービスアグリゲーションサーバは、上記低感度基地局の上記既知の位置情報と提供情報に関連付けられた位置情報との差、及び、上記個人情報データと提供情報との関連性を評価し、所定の条件を満たす提供情報を、ユーザ端末へ送信する情報として選択する、請求項2記載の情報配信システム。
- 上記サービスアグリゲーションサーバは、少なくとも上記ユーザ端末へ送信された情報を含む個人別のログ情報を上記個人情報管理サーバへ送信し、
上記個人情報管理サーバは、上記個人別のログ情報を上記個人情報データに付加する、請求項3記載の情報配信システム。 - 上記制御局は、
上記基地局に対応し、上記基地局のカバーエリア内の在圏ユーザ端末を管理する第1の制御局と、
移動通信システムのユーザのプロファイル及びユーザ端末の位置情報を管理する第2の制御局と、を含み、
上記第1の制御局は、上記低感度基地局から識別情報を通知された在圏ユーザ端末に、上記低感度基地局の識別情報を関連付けるように構成され、
上記第2の制御局は、ユーザ端末の位置情報として、基地局の識別情報及び低感度基地局の識別情報を管理するように構成されている、請求項1乃至4のうちいずれか一項記載の情報配信システム。 - 上記低感度基地局はユーザ端末から定期的に送出される位置登録要求信号を受信する請求項1乃至5のうちいずれか一項記載の情報配信システム。
- カバーエリア内のユーザ端末からの位置登録要求信号を受信し上記ユーザ端末と無線通信する基地局、及び、移動通信に必要な情報を管理し上記基地局を制御する制御局を備えた移動通信システムにおいて、
上記基地局のカバーエリア内で既知の位置情報と関連付けられた場所に設置され、上記基地局よりも低い感度で位置登録要求信号を受信する上記低感度基地局によって、ユーザ端末から送出された位置登録要求信号を受信する手順と、
位置登録要求信号を送出したユーザ端末の識別情報を上記低感度基地局から上記制御局へ通知する手順と、
上記制御局から情報配信部へ上記ユーザ端末の識別情報及び上記低感度基地局の識別情報を送信する手順と、
上記ユーザ端末の識別情報に関連した個人情報、及び、上記低感度基地局に関連付けられた上記既知の位置情報に基づいて、位置情報に関連付けられた収集情報の中から提供情報を選択する手順と、
上記選択された提供情報を、上記移動通信システムを介して、上記ユーザ端末へ送信する手順と、を有する位置情報に基づく情報配信方法。
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-
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