JP2004239738A - エステル油中のポリアルキレングリコール油濃度測定方法 - Google Patents

エステル油中のポリアルキレングリコール油濃度測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】フロン規制にともない、冷凍機油を従来のPAG油からエステル油やエーテル油などの代替冷媒対応油に変える際に、代替冷媒対応油中のPAG油の混入濃度を、現場で、特殊な装置を用いず、安価で、短時間に、簡易な操作により測定することができる方法を提供する。
【解決手段】空調機から取り出したエステル油またはエーテル油と、PAG油以下の体積抵抗率を有する物質とを混合し、電極面積と電極間距離の比が5000cm以上である電極を用いて抵抗を測定することにより、前記空調機から取り出したエステル油またはエーテル油中のポリアルキレングリコール油濃度を測定することを特徴とするエステル油またはエーテル油中のポリアルキレングリコール油濃度測定方法。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、機械の潤滑などに用いられているエステル油などに混入しているポリアルキレングリコール(PAG)油などの濃度を、体積抵抗率により簡易に測定する方法に関するものであり、とくに冷凍・空調機のレトロフィットおよびリプレースの際に用いられる。
【0002】
【従来の技術】
フロンは毒性が低く、不燃性で冷媒としての特性も優れていることから、広く冷媒などとして使用されてきた。しかし、近年、成層圏まで拡散したフロンが分解され、放出される塩素がオゾン層を破壊することが指摘された。1996年に特定フロン(CFC系フロン)が全廃され、規制フロン(HCFC系フロン)に関しては1996年から総量規制が始まり、2020年に全廃されることが決まっている。冷凍・空調機業界でも、オゾン層を破壊しないフロンに冷媒を代替化することが急務となっている。
【0003】
特定フロンおよび規制フロンを用いた従来のガスヒートポンプ(GHP)冷凍・空調機には、冷凍機油としてポリアルキレングリコール(PAG)油などが用いられてきた。特定フロンおよび規制フロンを、オゾン層を破壊しない代替フロンに変える際には、冷凍機油もPAG油などから代替フロンに対応したエステル油やエーテル油などに変えることが必要である。
【0004】
フロンおよび冷凍機油を変えるにあたっては、(1)従来の室外機、室内機、配管を使用し、フロンおよび冷凍機油のみを変える場合(レトロフィット)、(2)従来の配管のみ(または配管と室内機)を使用し、室外機(または室外機と室内機)、フロンおよび冷凍機油を変える場合(リプレース)の2通りがある。いずれの場合もPAG油などを完全に抜き変えられないので、エステル油などの代替フロン対応冷凍機油を入れると、微量のPAG油などが混入した状態になる。微量のPAG油などが混入すると、冷凍・空調機の性能、信頼性に影響をするため、影響のないレベル以下にPAG油等混入濃度を管理することが必要であり、そのためにはPAG油などの混入濃度が測定できなければならない。
【0005】
従来の技術として、たとえば、油の分子量分析に使用されている分析機器(ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC))により少量(5cc程度)のエステル油を用いて0.1質量%レベルのエステル油中のPAG油定量が可能である(非特許文献1参照)。エステル油とエーテル油の分子量は約500、PAG油は約3000であるため、分子量の違いを利用してGPCによりエステル油またはエーテル油中のPAG濃度の定量が可能である。
【0006】
GPCによるエステル油中のPAG油の定量手順の一例は次の通りである。空調機からエステル油(PAG油を含む)を回収してエステル油に溶解しているフロンを除去する。エステル油を5mlサンプリングし、テトラヒドロフラン(GPCの溶離液)10mlを加えて混合する。80μlをGPCに注入し、PAGとエステル油を分離して示差屈折計でPAG油のピーク面積を求める(測定時間、約60分)。あらかじめ測定していたPAG油の量とピーク面積の関係(検量線)から、エステル油中のPAG油を定量する。
【0007】
【非特許文献1】
舟阪渡編集、「石油機器分析の実際」(南江堂出版)、p.51−54
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
空調機のリプレース需要は今後高まり、年間3000〜50000台が見込まれている。リプレースする時期は空調機の使用頻度が少ない中間期(3月〜5月、9月〜11月)に集中し、日本各地で実施されるため、高価な(500万円/台)GPC装置を300台以上購入する必要がある。また、GPC装置の重量は約100kgで、ポンプ、検出器、カラム槽、PCなどが配線で繋がれており、運搬にかかる費用、配線、装置の調整にかかる費用、GPC装置の操作習得にかかる費用などが必要なため、1サンプルの分析費用は非常に高価になる。また、GPC装置は前述の通り、ポンプ、検出器、カラム槽、PCなどからなり、配線が必要なので、リプレース現場に運搬後、配線、装置の調整、サンプル分析を実施する必要があり、結果を得るのに24時間程度必要になると考えられる。
【0009】
本発明は前述のような問題点を解決するためになされたものであり、とくにフロン規制にともない、冷凍機油を従来のPAG油からエステル油やエーテル油などの代替冷媒対応油に変える際に、代替冷媒対応油中のPAG油の混入濃度を、現場で、特殊な装置を用いず、安価で、短時間に、簡易な操作により測定することができる方法を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかわるエステル油またはエーテル油中のPAG油濃度の定量方法は、PAG油の濃度が高くなるにしたがい、エステル油の体積抵抗率が低下することを利用している。PAG油を含むエステル油の体積抵抗率は大きいため(1010〜1013Ω・cm)、そのままではテスターで抵抗を検知することはできないが、特定の物質を加えて体積抵抗率を低下させ、さらに電極面積(w)を電極間距離(t)で割った値(w/t)が5000cm以上である電極を使用することによって、テスターで抵抗を検知可能にし、抵抗値からPAG油を定量するものである。
【0011】
すなわち、本発明は、空調機から取り出したエステル油またはエーテル油について該油中のPAG油濃度を測定する方法であって、空調機から取り出したエステル油またはエーテル油と、PAG油以下の体積抵抗率を有する物質とを混合し、該混合液の抵抗を、電極面積(w)を電極間距離(t)で割った値(w/t)が5000cm以上である電極を用いて測定することにより、前記空調機から取り出したエステル油またはエーテル油中のPAG油濃度を測定する測定方法に関する。
【0012】
また、本発明は、空調機内のエステル油またはエーテル油について該油中のPAG油濃度を測定する方法であって、空調機内のエステル油またはエーテル油の抵抗を、電極面積(w)を電極間距離(t)で割った値(w/t)が5000cm以上である電極を用いて測定することにより、空調機内のエステル油またはエーテル油中のPAG油濃度を測定する測定方法に関する。
【0013】
さらに、本発明は、空調機から取り出したエステル油またはエーテル油について該油中のPAG油濃度を測定するための測定装置であって、空調機から取り出したエステル油またはエーテル油と、PAG油以下の体積抵抗率を有する物質とを混合する混合手段と、電極面積(w)を電極間距離(t)で割った値(w/t)が5000cm以上である電極を有し、該電極を用いて前記混合液の抵抗を測定する抵抗測定手段とからなる測定装置に関する。
【0014】
また、本発明は、電極面積(w)を電極間距離(t)で割った値(w/t)が5000cm以上である抵抗測定用電極を、エステル油またはエーテル油からなる冷凍機油中に浸漬してなる冷凍・空調機に関する。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明は、空調機から取り出したエステル油またはエーテル油と、該エステル油またはエーテル油の体積抵抗率を低下させ得る物質とを混合し、電極面積と電極間距離の比が5000cm以上である電極を用いて抵抗を測定することにより、前記空調機から取り出したエステル油またはエーテル油中のポリアルキレングリコール油濃度を測定することを特徴とするエステル油またはエーテル油中のポリアルキレングリコール油濃度測定方法に関する。
【0016】
本発明におけるエステル油またはエーテル油などの代替冷媒対応冷凍機油中のPAG油混入濃度測定方法は以下の通りである。
【0017】
代替冷媒対応冷凍機油(エステル油やエーテル油など)を空調機より一定量取り出し、溶解しているフロンを除去する。これに所定の体積抵抗率を有する物質を所定量加える。あるいは、所定の体積抵抗率を有する物質所定量に、取り出した一定量の冷凍機油を加えてもよい。
【0018】
つぎに、この混合液に、電極面積(w)を電極間距離(t)で割った値(w/t)が5000cm以上である電極を浸し、電極間の混合液の抵抗値をテスターで測定する。抵抗値によるPAG油の定量は、予め作成した抵抗値とPAG油量の検量線を用いて実施する。
【0019】
エステル油の体積抵抗率は1013Ω・cm、PAG油は1010Ω・cmであり、本発明は、PAG油がエステル油に混入すると体積抵抗率が低下することを利用してPAG油の濃度を定量する。ただし、PAG油を含むエステル油の体積抵抗率は大きいため(1010〜1013Ω・cm)、そのままではテスターで抵抗を検知できない。一般的なテスターで測定可能な抵抗範囲は1〜10Ω程度であるため、本発明は、PAG油を含むエステル油の体積抵抗率を低下させ、電極面積が大きく電極間距離が短い電極を使用することにより、テスターでの抵抗を検知可能にした。
【0020】
PAG油を含むエステル油の体積抵抗率を低下させる方法として、体積抵抗率がPAG油と同等、あるいはより低い物質を添加する。添加する物質の体積抵抗率が極端に低いと、PAG油の混入によるエステル油の体積抵抗率の低下が検知できず、逆に極端に高いと体積抵抗率の低下が見られず添加の効果がなくなるため、適度な体積抵抗率を持つ物質の選択が必要である。物質の添加量も同様で、添加量が多すぎるとPAG油の混入によるエステル油の体積抵抗率の低下が検知できず、逆に少なすぎると添加の効果がなくなるため、適量の添加が必要である。
【0021】
体積抵抗率の低下を目的として添加する物質は、好ましくは体積抵抗率が10〜1010Ω・cmの物質、さらに好ましくは10〜10Ω・cmの物質で、エステル油とPAG油に溶解するものであれば、とくに限定はない。また、物質の添加量は、エステル油またはエーテル油の0.3〜10質量%、さらに好ましくは1〜5質量%である。
【0022】
添加する物質の具体例としては、エタノール、メタノール、プロパノール、ブタノール、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、フラン、メチルエチルケトン、アセトンなどの有機化合物、および、水と油溶性界面活性剤(あらかじめ混合しておいてもよいし、別個に添加してもよい)などがあげられる。
【0023】
油溶性界面活性剤の具体例としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルアミンプロピオン酸塩、ドデシルアミン酪酸塩、ドデシルアミンカプリン酸塩、オクタデシルアミンプロピオン酸塩、オクタデシルアミンプロピオン酪酸塩などがあげられる。水と油溶性界面活性剤の混合割合は、水が15〜45質量%、油溶性界面活性剤が55質量%以上であると好ましい。水が15質量%より少ないと、体積抵抗率の低下が小さくテスターで検知できなくなる傾向があり、45質量%を超えると、PAG油の混入による体積抵抗率の変化を検知できなくなる傾向がある。また、油溶性界面活性剤が55質量%より少ないと、水が冷凍機油(エステル油やエーテル油)に分散しなくなる傾向がある。水と油溶性界面活性剤には、必要に応じて塩化ナトリウムなどの電解質を加える。
【0024】
前記物質の中でも、操作性、安定性、経済性、安全性などの点から、エタノール、または、水とラウリル硫酸ナトリウムが好ましい。
【0025】
電極間に満たされた液体の体積抵抗率は式(1)で表わされる。
(体積抵抗率)=(テスターで測定した抵抗値)×(電極の表面積)/(電極間距離)・・・式(1)
【0026】
体積抵抗率は固有のものであるため、テスターで抵抗を検知可能にするためには、電極面積(w)を大きくし、電極間距離(t)を短くすればよい。電極面積が大きすぎると、冷凍・空調機から多量の冷凍機油の回収が必要になり、電極間距離が短すぎると電極の作製コストが高くなり、電極間に冷凍機油が入り込まなくなるため、電極面積、電極間距離とも適当な大きさにする必要がある。
【0027】
本発明に関わる電極は、電極面積(w)と電極間距離(t)の比(w/t)が5000cm以上であると好ましく、さらには20000cm以上であると好ましい。また、電極間体積は10cc以下であると好ましく、さらには5cc以下であると好ましい。電極構造にはとくに限定はなく、具体例としては、図2に示すような櫛形電極のほか、電極間に絶縁紙を挟み丸めたものなどがあげられる。なお、図2の櫛型電極は、櫛型の電極1、2を櫛歯がかみ合うように組み合わせ、絶縁物3を介して固定している。
【0028】
なお、本発明は液体A中に混入した液体Bの量、すなわち液体A中の液体B濃度の測定方法に関するものであり、ここでは、とくにA液が冷凍機油、B液がPAG油の場合について説明したが、液体Aは体積抵抗率が1013〜1015Ω・cm、液体Bは10〜1011Ω・cmのものであればとくに限定はなく、具体例としては、液体Aはエステル油、エーテル油、鉱油など、液体BはPAG油、ハイドロフルオロエーテルなどがあげられる。
【0029】
なお、ここでは、PAG濃度の測定精度を向上させるために、空調機から取り出した冷凍機油から冷媒を除去しているが、期待する測定精度に応じて冷媒を除去するかしないかを決定すればよい。また、同様の観点から冷凍機油中に溶解する、または浮遊している水分、異物なども除去するかしないかを決定すればよい。
【0030】
また、冷媒(フロン)の除去に関しても、対象が冷凍機油である場合に必要となるのであって、冷媒を使用しない場合は必要ない。また冷媒をほとんど含まないようにエステル油を冷凍・空調機から取り出す場合も必要ない。
【0031】
エステル油中のPAG濃度の測定は、一定の期間ごとに数回行ない、エステル油中のPAG濃度に偏りがなく、安定していることを確認すると測定の信頼性を増すことができる。エステル油中のPAG濃度を測定した結果、エステル油中のPAG濃度が基準値以上の場合は、エステル油中のPAG濃度が所定値以下になるように、検出されたPAG濃度に応じて油の交換や追加など、エステル油中のPAG濃度を下げるための適切な処置を実施する。
【0032】
さらに、電極を冷凍・空調機内に取り付け、冷凍機油中に浸漬させておくことにより、冷凍機油中のPAG濃度を測定してもよい。たとえば、単相もしくは3相モータを圧縮機シェル内に内蔵して駆動する圧縮機のシェル内に所定の電極を内蔵すると、圧縮機シェル内のエステル油には、体積抵抗率が1010cm・Ω程度とエステル油よりも小さな体積抵抗率を持つ冷媒が溶解しているため、電気抵抗を容易に測定することが可能であるとともに、PAG濃度に応じてその電気抵抗も変化するのでPAG濃度の定量が可能である。この結果、空調機からエステル油を抜き取ることなくエステル油中のPAG濃度を測定することが可能である。この際、圧縮機シェル内の圧力と圧縮機シェル内のエステル油の温度を測定した結果からエステル油中の冷媒の溶解度を推定し、冷媒の溶解度に応じてPAG濃度の推定値を補正する手段を設けるとこで、測定精度を向上することも可能である。また、この方法では、エステル油中のPAG濃度を空調機の運転中に推定することが可能であり、前記方法において、PAG濃度を常時モニターし、所定値以上になった場合にユニット表示したり、外部取出し可能な出力信号として通知したりしてもよい。
【0033】
【実施例】
つぎに本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例において、「%」は、とくに断りのない限り、「質量%」を表す。
【0034】
本発明の一実施の形態におけるエステル油やエーテル油などの代替冷媒対応油中のPAG油混入濃度測定方法の手順を図1に示す。
【0035】
空調機からエステル油(またはエーテル油、PAG油を含む)を回収してエステル油(またはエーテル油)に溶解しているフロンを除去する。エステル油(またはエーテル油)15mlを体積抵抗率が10〜1010Ω・cmの物質が入っている容器に加える(物質の量は、エステル油の0.3〜10%)。混合後、面積(w)と電極間距離(t)の比(w/t)が5000cm以上かつ電極間体積が10cc以下である電極を浸ける。テスターで抵抗を測り、抵抗値と検量線からPAG油を定量する。
【0036】
なお、空調機からエステル油を回収するタイミングは、レトロフィットやリプレースの工事後、圧縮機を運転した時間、既設の冷媒配管内を流れた冷媒の積算流量、運転モードから予め冷凍サイクル内のエステル油中のPAG濃度が一様になるまでの判断基準を作成し、その判定基準のもとに決定する。また、油を回収するタイミングになった場合には、ユニット表示したり、外部取出し可能な出力信号として通知したりしてもよい。
【0037】
実施例1〜18および比較例1〜4
前述の手順にしたがい、PAG油濃度が0%、0.1%、0.3%、0.5%のエステル油またはエーテル油溶液15mlを用い、下記表1、表2および表3のとおり電極(w/t)、添加物質の種類および添加量を変化させ、PAG油混入濃度測定が可能かどうかを評価した。測定可否はPAG油0.1%および0.3%の定量が可能か否かで判断し、判断結果も併せて表1および表2に示した。表において、○印はPAG油0.1%の定量が可能であったことを、△印は0.3%の定量が可能であったことを、×印はPAG油0.3%の定量ができなかったことを示す。
【0038】
なお、定量には0.2〜10Ωの範囲について測定が可能なテスターを用いた。このようなテスターは、安価かつ容易に入手することができ、空調機のレトロフィットやリプレースを行なう現場に普通に用意され、使用されているものである。
【0039】
【表1】
Figure 2004239738
【0040】
【表2】
Figure 2004239738
【0041】
【表3】
Figure 2004239738
【0042】
実施例1〜18のいずれも、PAG油濃度0.3%を定量することができたことから、本発明の方法により、PAG油混入量測定が可能である。また、実施例1〜12については、PAG油濃度0.1%を定量することができたことから、本発明の方法により、さらに精密なPAG油混入量測定が可能である。一方、比較例1〜4のいずれも、PAG油濃度が0.1%レベルを定量することができなかった。
【0043】
実施例および比較例の結果から、PAG油以下の体積抵抗率を有する物質(たとえば、エタノール、水と界面活性剤など)を添加し、w/t比が5000cm以上である電極を使用することによって、PAG油濃度の測定が可能であることが分かる。また、体積抵抗率が10〜1010Ω・cmの物質を0.3〜10%加え、w/t比が5000cm以上である電極を使用することによって、さらに精密にPAG油濃度の測定が可能であることが分かる。
【0044】
なお、今回はエステル油またはエーテル油の量が15mlで評価したが、量に関して特に限定はなく、冷凍・空調機から回収できるエステル油またはエーテル油の量に応じて、添加物質の量を変えればよい。
【0045】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、空調機から取り出した一定量のエステル油またはエーテル油と、該PAG油以下の体積抵抗率を有する物質を混合し、電極面積(w)と電極間距離(t)との比(w/t)が5000cm以上の電極を用いて抵抗を測定するようにしたため、現場で安全に、特殊な装置を用いず、安価で、短時間に、簡易な操作により、空調機から取り出したエステル油あるいはエーテル油中のPAG油濃度を0.3質量%、さらには0.1質量%のレベルで測定できる。
【0046】
また、本発明によれば、空調機内のエステル油またはエーテル油の抵抗を、電極面積(w)を電極間距離(t)で割った値(w/t)が5000cm以上である電極を用いて測定するようにしたため、空調機からエステル油またはエーテル油を取り出す必要がなく、簡単にエステル油あるいはエーテル油中のPAG油濃度を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態におけるエステル油中のPAG油濃度測定方法を示す説明図である。
【図2】本発明における電極の構造例である。
【符号の説明】
1 電極、2 電極、3 絶縁物。

Claims (8)

  1. 空調機から取り出したエステル油またはエーテル油について該油中のポリアルキレングリコール油濃度を測定する方法であって、
    空調機から取り出したエステル油またはエーテル油と、ポリアルキレングリコール油以下の体積抵抗率を有する物質とを混合し、該混合液の抵抗を、電極面積(w)を電極間距離(t)で割った値(w/t)が5000cm以上である電極を用いて測定することにより、前記空調機から取り出したエステル油またはエーテル油中のポリアルキレングリコール油濃度を測定するエステル油またはエーテル油中のポリアルキレングリコール油濃度測定方法。
  2. 体積抵抗率が10〜1010Ω・cmの物質を、エステル油またはエーテル油の0.3〜10質量%混合する請求項1記載のエステル油またはエーテル油中のポリアルキレングリコール油濃度測定方法。
  3. 体積抵抗率が10〜1010Ω・cmの物質が、エタノールまたは、水と油溶性界面活性剤である請求項2記載のエステル油またはエーテル油中のポリアルキレングリコール油濃度測定方法。
  4. 油溶性界面活性剤がラウリル硫酸ナトリウムである請求項3記載のエステル油またはエーテル油中のポリアルキレングリコール油濃度測定方法。
  5. エステル油またはエーテル油中に含まれる冷媒を除去したのち、ポリアルキレングリコール油濃度を測定する請求項1、2、3または4記載のエステル油またはエーテル油中のポリアルキレングリコール油濃度測定方法。
  6. 空調機内のエステル油またはエーテル油について該油中のポリアルキレングリコール油濃度を測定する方法であって、
    空調機内のエステル油またはエーテル油の抵抗を、電極面積(w)を電極間距離(t)で割った値(w/t)が5000cm以上である電極を用いて測定することにより、前記空調機内のエステル油またはエーテル油中のポリアルキレングリコール油濃度を測定するエステル油またはエーテル油中のポリアルキレングリコール油濃度測定方法。
  7. 空調機から取り出したエステル油またはエーテル油について該油中のポリアルキレングリコール油濃度を測定するための測定装置であって、空調機から取り出したエステル油またはエーテル油と、ポリアルキレングリコール油以下の体積抵抗率を有する物質とを混合する混合手段と、電極面積(w)を電極間距離(t)で割った値(w/t)が5000cm以上である電極を有し、該電極を用いて前記混合液の抵抗を測定する抵抗測定手段とからなるエステル油またはエーテル油中のポリアルキレングリコール油濃度測定装置。
  8. 電極面積(w)を電極間距離(t)で割った値(w/t)が5000cm以上である抵抗測定用電極を、エステル油またはエーテル油からなる冷凍機油中に浸漬してなる冷凍・空調機。
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