【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、X線解析プロファイルに基づいて、構造が未知の炭素材料の構造や組成などを解析するのに有用な炭素の構造解析法および構造解析プロセスに関する。
【0002】
【従来の技術】
黒鉛化度の低い炭素材の二次元(hk)回折は、低角側で鋭く立ち上がり高角側でゆっくり減少するようなきわめて広がったパターンとなる。例えば、ハウスカ及びワレン(Houska & Warren)は、炭素六方網面が積層した平行層群中で、各網面がその法線方向に無秩序に回転しているときに、このような回折が認められ、その回折線の高角度側のプロファイルは下記式(1)で表されることを示した。
【0003】
【数1】
【0004】
式中、Kは定数、mは多重度、λはX線波長、Fは二次元格子の構造因子、θ0は(hk)面に対する回折角を示す。また、上式より求められる係数An(hk)は重要なパラメータであり、この係数により黒鉛化度P1を下記式(2)に従って求めることができる。
【0005】
【数2】
【0006】
黒鉛化度に関しては、バウマン(J.C.Bowman, ”Proc. 1st and 2nd Conf. on Carbon”, Buffalo Univ., (1955), p.59)、野田(野田、岩附、稲垣、炭素、(1966) [No.47] 14−23)、岩下(N.Iwashita and M.Inagaki, Carbon, 31(1993)1107−1113)らがP1と他の構造パラメータとの関係について議論している。
【0007】
しかし、これらの理論に基づく解析では、解析対象となる回折線が、10,11,20,21の4つの回折線のみであり、全回折パターンのうち局所的な回折線をフーリエ解析するため、非常に誤差が多い。また、上記理論による解析では、黒鉛化度P1の物理的意味合い(第1隣接網面間にAB型積層を見いだす確率)を考えると、AB型積層割合が非常に少ない乱層構造体、すなわちP1値が非常に小さい炭素を解析するのが困難である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、統計的手法により、黒鉛化度などの炭素材の構造や組成を高い精度で解析できる方法および構造解析システムを提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、被測定炭素材のX線回折データに基づいて、黒鉛化度が低い炭素材であっても、高い精度で、黒鉛化度などの炭素材の構造や組成分析を行うことができる構造解析方法および構造解析システムを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、未知の炭素試料が、異なる積層構造を有する炭素モデル結晶子の混合物であると想定し、各積層モデル結晶子に対する理論散乱強度に関して、それぞれの存在割合(重み係数)を考慮して、実測散乱強度と理論散乱強度とを関連づけることにより、黒鉛化度などの炭素試料の構造および組成を高い精度で算出できることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明の構造解析方法は、炭素網面に関する構造パラメータで規定される炭素モデル網面が所定の積層様式で積層した複数の積層モデル結晶子に関する理論散乱強度に、それぞれ、重み係数wを乗じた散乱強度の和で表される理論散乱強度式を利用して被測定炭素材を解析する。この方法では、被測定炭素材のX線回折プロファイルに基づいて、前記重み係数wを統計的手法により算出し、被測定炭素材の構造又は組成を解析する。
【0012】
前記炭素モデル網面は、ベンゼン、ペリレン、ピレンおよびコロネンから選択された少なくとも一種の基本骨格で構成できる。前記積層モデル結晶子は、(a)六方晶系型結晶子、(b)菱面体晶系型結晶子、及び(c)任意の2枚の網面がランダムな位置関係で積層している乱層型結晶子を含んでいてもよい。前記積層モデル結晶子に関する理論散乱強度に重み係数wを乗じた散乱強度は、各積層モデル結晶子を構成する結晶子の全理論散乱強度Bi(s)にそれぞれ重み係数wiを乗じた散乱強度の和で表すことができる。前記六方晶系型結晶子及び前記菱面体晶系型結晶子を構成する結晶子に対しては、通常、デバイ(Debye)の干渉性散乱強度式を適用でき、前記乱層型結晶子を構成する結晶子に対しては、通常、ワレン−ボーデンスタイン(Warren−Bodenstein)の式、又はヤング−フリント(Yang−Fringt)の式を適用できる。なお、全理論散乱強度Bi(s)は、(i)デバイ(Debye)の干渉性散乱強度式、ワレン−ボーデンスタイン(Warren−Bodenstein)の式、又はヤング−フリント(Yang−Fringt)の式と、(ii)ハジュ(Hajdu)の非干渉性散乱強度式とを組合せた近似式で表してもよい。
【0013】
本発明では、最小二乗法により重み係数wを算出することにより、積層モデル結晶子の存在割合又は黒鉛化度を求めることができる。前記重み係数wは、通常、w≧0の条件で算出される。
【0014】
本発明は、前記方法に対応する構造解析システム(又は装置)も包含する。すなわち、本発明の構造解析システムは、被測定炭素材のX線回折プロファイルデータに基づいて、被測定炭素材の構造を解析するためのシステムであって、炭素網面に関する構造パラメータで規定される炭素モデル網面が所定の積層様式で積層した複数の積層モデル結晶子に関する理論散乱強度に、それぞれ、重み係数wを乗じた散乱強度の和で表される理論散乱強度式に対応する関係式を格納するための記憶手段と、被測定炭素材のX線回折プロファイルデータに基づいて、統計的手法により重み係数を算出するための演算手段とで構成されている。
【0015】
なお、本明細書において、特に断りがない限り、Icohは干渉性散乱強度を示し、Iincは非干渉性散乱強度を示し、Ieuは電子単位で表現した強度を示し、Bは干渉性散乱強度と非干渉性散乱強度との和を示し、2θは回折角を示し、λはX線波長を示し、rijは2つの原子ij間の原子間距離を示し、fは原子散乱因子を示す。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明では、未知の炭素試料が、異なる積層構造を有する積層モデル結晶子の混合物であると想定し、各積層モデル結晶子に対する理論散乱強度と、実測散乱強度(X線回折プロファイル)とを関連づけることにより炭素試料の構造を解析又は分析する。すなわち、本発明では、炭素網面に関する構造パラメータで規定される炭素モデル網面が所定の積層様式で積層した複数の積層モデル結晶子に関する理論散乱強度に、それぞれ、重み係数wを乗じた散乱強度の和で表される理論散乱強度式を利用して被測定炭素材を解析する方法であって、被測定炭素材のX線回折プロファイルに基づいて、前記重み係数wを統計的手法により算出し、被測定炭素材の構造又は組成を解析する。
【0017】
[炭素モデル網面]
積層モデル結晶子は、炭素網面を所定の(特定の)積層様式により積層して構築できる。炭素網面としては、炭素網面に関する構造パラメータ(格子定数a0、結晶子サイズLa)で規定される炭素モデル網面を使用できる。
【0018】
炭素モデル網面は、炭素材の網面基本骨格モデルと、この基本骨格モデルの網面に沿って周囲にn回の繰り返しで配置された前記基本骨格モデルとを有しており、通常、前記基本骨格モデルの網面に沿って全周に亘り前記基本骨格を最密充填の形式でn回の繰り返し配置することにより形成されている。すなわち、二次元的構造の炭素モデル網面は、格子定数a0の炭素網面で構成され、結晶子サイズLaは、ベンゼン、コロネンベース骨格ではLa=a0×(2n+1)であり、ピレンベース骨格ではLa=2na0である。
【0019】
前記炭素モデル網面は所定の面間隔d002でM層積層し、炭素モデル結晶子を形成しており、積層数Mにより結晶子サイズLcが規定される。すなわち、実在の炭素試料は、所定の積層様式により積層された三次元的構造の炭素モデル結晶子の集合体(n及び/又はMの異なる炭素モデル結晶子の集合体)として把握できる。
【0020】
前記網面基本骨格モデルおよび炭素モデル網面は、炭素材の起源、種類、焼成温度や炭素化又は黒鉛化度の程度などに応じて選択できる。例えば、ベンゼンを基本骨格(n=0)とする場合、基本骨格の周囲に六員環を配置してコロネン骨格(n=1)を形成し、さらにその周囲に六員環を設けることにより、より大きなモデル網面を形成できる。なお、ベンゼンを基本骨格モデルとして用いた場合、網面サイズLaは、格子定数a0の2倍(2a0)を単位として増加する。そのため、例えば、基本骨格の増大によっても網面サイズLaが格子サイズa0×nに対応しない網面(ナフタレン、アントラセンやピレンなどの大きさの網面)を多く含む試料では、解析精度の低下を招くことになる。特に、石炭やピッチなどの材料では、このような傾向が顕著になる。
【0021】
このような場合、図1に示すような炭化水素環骨格(ピレン、コロネン)をベースとした骨格モデル(網面骨格モデル)を採用すればよい。図1に示すように、ピレン、コロネン骨格(n=1)の周囲に六員環を配置(特にオルソアンドペリ縮合)した骨格(n=2)を形成し、さらにその周囲に六員環を配置(特にオルソアンドペリ縮合)した骨格(n=3)を形成できる。この操作をn回繰り返すことにより第n番目の炭素モデル網面を形成できる。これらのモデルでは、格子定数a0を単位として網面サイズが大きくなるため、解析精度(分解能)が向上することになる。なお、n=0での炭素モデル網面は、上記操作ではベンゼン環であるが、ナフタレンを採用すると実際の構造モデルに近くなることもある。これらのモデルでは、一定の規則の下に網面を形成するので、モデル網面中の水素原子の数NHおよび炭素原子の数NCは、それぞれ下記式(3)、(4)で表すことができる。
【0022】
【数3】
【0023】
前記より明らかなように、網面基本骨格モデルは、炭化水素環(5員環〜8員環など)や複素環(5又は6員環など)などの種々の環で構成でき、芳香族性環であってもよく非芳香族性環であってもよい。網面基本骨格モデルは、通常、ベンゼン環を基本単位とする炭化水素環、例えば、ベンゼン、ナフタレン、ペリレン、ピレン、コロネンなどであってもよい。これらの炭化水素環は、単独で又は組み合わせて網面基本骨格モデルを形成してもよい。
【0024】
このようにして種々の網面サイズLaを有する二次元的炭素モデル網面(又は炭素モデル網面の集合体)を構築できる。さらに、このような炭素モデル網面を、後述する特定の積層様式で、面間隔d002で積層数Mで積層すると、積層モデル結晶子としての三次元的な構造の炭素モデル結晶子を構築できる。
【0025】
結晶子サイズLcは、下記式(5)で表すことができる。なお、Laはコロネンベースモデルおよびピレンベースモデルではそれぞれ式(6)で表すことができる。
【0026】
【数4】
【0027】
[積層モデル結晶子]
積層モデル結晶子は、前記炭素モデル網面(以下、単に炭素網面ということがある)を特定の積層様式(又は積層型)で積層することにより構築できる。炭素モデル網面の積層様式は、限定されないが、例えば、網面層Aに対して、a軸方向に2/3a0、b軸方向に1/3a0だけずれた位置関係にある網面層を層B、a軸方向に−2/3a0、b軸に沿って−1/3a0だけずれた位置関係にある網面層を層Cとすると、炭素基準網面層Aに対して、第2n−1番隣接網面層が層B、第2n番隣接網面が層Aで積層したABA積層様式(隣接する炭素網面がa軸方向に2/3a0、b軸方向に1/3a0だけずれて積層している積層様式);炭素基準網面層Aに対して、第3n−2番隣接網面が層B、第3n−1番隣接網面が層Cで積層したABC積層様式(連続する3枚の炭素網面の位置関係に関し、第2網面が第1網面に対してa軸方向に2/3a0、b軸方向に1/3a0、第3網面が第2網面に対してa軸方向に2/3a0、b軸方向に1/3a0だけずれて積層している積層様式);炭素基準網面層Aに対して、第n番隣接面がランダムに位置ずれして積層しているランダム積層様式(任意の2枚の網面がランダムな位置関係で積層している積層様式)などが挙げられる(nは整数)。
【0028】
本発明では、積層モデル結晶子として、少なくとも前記ABA積層様式(黒鉛の積層様式)で積層した六方晶系型結晶子を利用する。また、前記六方晶系型結晶子と組み合わせる積層モデル結晶子としては、実体に即した形で解析できるため、存在が確認されている積層様式の積層モデル結晶子を利用するのが好ましい。このような積層モデル結晶子としては、前記ABC積層様式で積層した菱面体晶系型結晶子、ランダム積層様式で積層した乱層型結晶子などが挙げられる。
【0029】
なお、上記積層様式は、ハウスカらが前記式(1)を導く過程において考慮した確率理論を参考にできる。ハウスカらの解析方法では、炭素の基準網面(層A)に対して、第n番隣接網面がランダムにずれている確率をPn R、第n番隣接網面がずれていない確率をPn 0、第n隣接網面が単位胞基準でXn=2/3、Yn=1/3だけずれている(層Aに対して層Bの位置関係にある)確率をPn +、基準網面に対して第n隣接網面が単位胞基準でXn=−2/3、Yn=−1/3だけずれている(層Aに対して層Cの位置関係にある)確率をPn −とする4つの確率事象を想定し、炭素の積層構造を規定している。例えば、P2 0は、ABA積層様式の確率を示し、(P2 ++P2 −)は、ABC積層様式の確率を示す。
【0030】
本発明では、複数の積層モデル結晶子に関する理論散乱強度と、実測散乱強度とを関連づけることができる。具体的には、未知の炭素試料が、例えば、前記3つの積層構造体(六方晶系型結晶子、菱面体晶系型結晶子、乱層型結晶子)を含む混合物であるとすると、実測理論散乱強度IOBS(s)は、各積層モデル結晶子に関する理論散乱強度に、それぞれ、重み係数wを乗じた散乱強度の和と関連づけられ、これらの関係式は、下記式(7)の理論散乱強度式で表すことができる。
【0031】
【数5】
【0032】
式中、IABA(s)、IABC(s)、IR(s)は、それぞれ、六方晶系型結晶子、菱面体晶系型結晶子、乱層型結晶子の理論散乱強度を示し、wABA、wABC、wRは、それぞれ、六方晶系型結晶子、菱面体晶系型結晶子、乱層型結晶子の存在割合(重み係数)を示す。
【0033】
より具体的には、前述のように、前記積層モデル結晶子が、それぞれ、結晶子サイズLa及び/又はLcの異なる結晶子(炭素モデル結晶子)の集まり(異なるn及び/又はMの結晶子の集まり)であると考えることができる。すなわち、各積層モデル結晶子を構成する結晶子の全理論散乱強度Bi(s)(以下、単にB又はB(s)で表すことがある)を、それぞれ、Bi−ABA(s)、Bi−ABC(s)、Bi−R(s)とし、各積層モデル結晶子を構成する結晶子の数を、それぞれ、p、q、rとすると、前記式(7)は、下記式のように変形できる。
【0034】
【数6】
【0035】
式中、wi−ABA、wi−ABC、wi−Rは、それぞれ、Bi−ABA(s)、Bi−ABC(s)、Bi−R(s)の存在割合(重み係数)を示す。
【0036】
従って、式(8)に示すように、積層モデル結晶子(例えば、六方晶系型結晶子)に関する理論散乱強度(例えば、IABA)に重み係数w(例えば、wABA)を乗じた散乱強度(例えば、IABAwABA)は、前記積層モデル結晶子を構成する結晶子の全理論散乱強度Bi(s)(例えば、Bi−ABA)にそれぞれ重み係数(例えば、wi−ABA)を乗じた散乱強度の和で表すことができる。
【0037】
なお、結晶子の全理論散乱強度B(s)(Bi−ABA(s)、Bi−ABC(s)、Bi−R(s)など)は、バックグラウンド散乱を無視し得るとすると、干渉性散乱強度Icohと非干渉性散乱強度Iincとの和として、次式で表現することができる。
【0038】
【数7】
【0039】
式中、K,A(s),P(s)は、それぞれ、スケール因子、吸収因子、偏光因子を示す。
【0040】
以上のような積層モデル結晶子に関する理論散乱強度を基にして、前記式(7)及び式(8)に対して解析的手法を適用し、それぞれの積層モデル結晶子(又は積層モデル結晶子を構成する結晶子)における重み係数(又は重み係数の和)を求めることにより、炭素材中におけるABA積層構造(黒鉛構造)、ABC積層構造、及び乱層構造の割合(存在割合)や炭素材中の黒鉛化度を求めることができる。以下に解析方法について詳細に説明する。
【0041】
[結晶子の理論散乱強度]
積層モデル結晶子の理論散乱強度(又は積層モデル結晶子を構成する結晶子の全理論散乱強度B(s))において、結晶子単位の理論散乱強度(干渉性散乱強度)は、慣用の散乱強度式を用いて算出できる。
【0042】
前記式(7)において、理論散乱強度IABA(s)、IABC(s)では、積層モデル結晶子に対応する積層構造(結晶構造)がそれぞれ、六方晶系、菱面体晶系であり、単位胞中の原子座標が明らかであるため、下記デバイ(Debye)の散乱強度式(10)又は(11)を用いて結晶子の理論散乱強度を簡便に算出できる。
【0043】
【数8】
【0044】
式中、Mは結晶子における炭素網面の積層数、Nは結晶子を構成する炭素網面内の炭素原子数を示す。
【0045】
また、前記式(7)において、理論散乱強度IR(s)では、積層モデル結晶子に対応する積層構造がランダム積層構造であり、正確な炭素原子座標が表現できないために前記デバイの式を適用できない。そのため、例えば、デバイの散乱強度式を拡張し、積層網面体群からの理論散乱強度を求める下記ワレン−ボーデンスタイン(Warren−Bodenstein)の式(12)(デバイの式の変形式)において、第2項を近似した下記式(13)〜(16)を用いることにより結晶子の理論散乱強度を算出できる。
【0046】
【数9】
【0047】
式中、Icohは干渉性散乱強度を示し、Ieuは電子単位で表現した強度を示し、fは原子散乱因子、rijは2つの原子iとjとの間の原子間距離を示し、pは基準網面からp−1層はなれた第p番目の網面を示し、rは積分範囲にある2つの原子間距離を示し、M及びNは前記に同じ。
【0048】
すなわち、上記式(13)では、上記式(12)の第2項の二重和部分を積分近似計算していることからも明らかなように、本来、単位胞基準で離散的又は不連続に存在する炭素原子の位置(例えば、単位胞に対し、X=2/3及びY=1/3だけずれた位置、X=1/3及びY=2/3だけずれた位置など)を、幾何学的な解釈において、炭素網面中において炭素原子が連続的又は均一に存在するという仮定のもとで計算を行っている。従って、前記式(13)は、二枚の隣接網面の位置関係が平均的に完全に乱層積層している場合の散乱強度式として解釈できるため、乱層型結晶子を構成する結晶子の理論散乱強度(干渉性散乱強度)に対して適用できる。
【0049】
前記式(7)又は式(9)において、ランダム積層型結晶子に対して下記ヤング−フリント(Yang−Fringt)の式(17)を適用することもできる。
【0050】
【数10】
【0051】
式中、Dは炭素網面内の原子密度を示し、Icoh、f、rij、p、s、M及びNは前記に同じ。
【0052】
上記式(17)は、前記ワレン−ボーデンスタイン(Warren−Bodenstein)の式に比べて非常に簡素化されており、演算時間を前記ワレン−ボーデンスタイン(Warren−Bodenstein)に基づく演算に比べて、大幅に(約1/M2に)短縮できる。
【0053】
なお、前記式(17)は、前記ワレン−ボーデンスタイン(Warren−Bodenstein)の式の演算の煩雑さを改善するために提案された式であり、前記式(17)の詳細は、ヤングらの文献[D.Yang and R.F.Fringt, Powder x−ray diffraction of turbostratically stacked layer systems, J. Mater. Res., Vol.11, No.7, (1996) 1733−1738(乱層的に積層した系の粉末X線回折)]を参照できる。
【0054】
従って、本発明では、積層モデル結晶子として前記3つの積層モデル結晶子を考慮する場合には、六方晶系型結晶子及び菱面体晶系型結晶子を構成する結晶子に対してはデバイ(Debye)の干渉性散乱強度式を適用でき、乱層型結晶子を構成する結晶子に対してはワレン−ボーデンスタイン(Warren−Bodenstein)の式、又はヤング−フリント(Yang−Fringt)の式を適用できる。
【0055】
[結晶子の全理論散乱強度式B(s)]
結晶子の全理論散乱強度B(s)は、前記結晶子の散乱強度式と関連づけることができ、前述のように、干渉性散乱強度Icoh及び非干渉性散乱強度Iincの和として前記式(9)のように表現できる。
【0056】
全理論散乱強度B(s)について、非干渉性散乱強度は、一定であるとの仮定の下に解析を行ってもよく、より精度を高めるためには、例えば、下記式(18)に示すように、ハジュ(Hajdu)の非干渉性散乱強度式(F. Hajdu, Acta. Cryst., A27, (1971)73−74,F. Hajdu, Acta. Cryst., A28, (1972)250−252)にルーランド(Ruland)の減衰関数Q(s/2)(W. Ruland, Brit. J. Appl. Phys., (1964)1301−1307)を乗じることにより見積もってもよい。
【0057】
【数11】
【0058】
本発明では、全理論散乱強度B(s)を、前記結晶子の理論散乱強度式(デバイの干渉性散乱強度式、ワレン−ボーデンスタインの式、又はヤング−フリント(Yang−Fringt)の式と、上記ハジュの非干渉性散乱強度式とを組合せた近似式で表すのが好ましい。
【0059】
なお、係数A,B,C,Dは文献(F. Hajdu, Acta. Cryst., A28, (1972)250−252)のTable 1で与えられている。また、前記結晶子の理論散乱強度式を前記式(9)に適用するにあたり、K、A(s),及びP(s)は、それぞれの積層モデル結晶子に対応する値を使用できる。
【0060】
[解析方法]
理論散乱強度と実測散乱強度とを関連づける前記式(7)又は(8)において、炭素材を解析する統計的手法としては、特に限定されず、種々の方法を利用できるが、最小二乗法が好ましい。具体的には、下記式に示すように、前記式(8)の右辺から左辺を減じた誤差関数v(s)の二乗残査の和ε2が最小となるように、最小二乗法により、重み係数wを決定すればよい。
【0061】
【数12】
【0062】
そして、上記式により算出された重み係数wiをもとにして、前記式(8)に示すように、それぞれの積層モデル結晶子において重み係数wiの和を算出することにより、各積層モデル結晶子(ひいては積層構造)が炭素試料中に占める存在割合w(ひいては炭素試料を構成する積層構造の割合)を求めることができる。
【0063】
前記最小二乗法としては、最急降下法やシンプレックス法などの通常の方法を用いることができる。なお、最小二乗法などの統計的手法において、重み係数w(又はwi)が負の値として算出される場合がある。このような場合、重み係数w(wi)は係数w≧0(wi≧0)の条件で重み係数を算出すると、炭素材の実体に即した解析結果が得られる。
【0064】
また、本発明では、算出された重み係数wを用いて、炭素材の黒鉛化度を以下の式により求めることができる。
【0065】
【数13】
【0066】
なお、ABC積層構造は、非常に結晶性が高い材料でしか認められないため、一般炭素材料を扱う場合には、下記式のように近似することができる。
【0067】
【数14】
【0068】
さらに、本発明では、結晶子に関する理論散乱強度の重み係数を算出できるため、下記式によりLa,Lcの異なる結晶子が集合した炭素試料(集合体)におけるLa,Lc軸方向の結晶子サイズ分布(又は平均結晶子サイズ)をも求めることができる。
【0069】
【数15】
【0070】
式中、平均結晶子サイズ<La>,<Lc>は、それぞれ、La,Lc軸方向の平均結晶子サイズを示し、Lai(Lai−ABA,Lai−ABC,Lai−R)、Lci(Lci−ABA,Lci−ABC,Lci−R)は、それぞれ、積層モデル結晶子を構成する結晶子におけるLa,Lc軸方向の結晶子サイズを示す。
【0071】
このように、本発明では、統計的手法(特に最小二乗法)を用いて、種々の積層構造を加味した理論散乱強度式と被測定炭素材のX線解析データ(X線回折プロファイルデータ)とのフィッティングを行い、結晶子の理論散乱強度式の重み係数を算出することにより、それぞれの積層構造の含有割合や黒鉛化度などの被測定炭素材の構造又は組成を解析又は分析できる。
【0072】
なお、前記重み係数の算出においては、コンピュータを利用したシステムを用いるのが有利である。このようなシステムでは、被測定炭素材のX線回折プロファイルデータに基づいて、被測定炭素材の構造又は組成が解析される。すなわち、構造解析システムでは、炭素網面に関する構造パラメータで規定される炭素モデル網面が所定の積層様式で積層した複数の積層モデル結晶子に関する理論散乱強度に、それぞれ、重み係数wを乗じた散乱強度の和で表される理論散乱強度式に対応する関係式が記憶手段に格納されており、被測定炭素材のX線回折プロファイルデータに基づいて、統計的手法により理論散乱強度式の各重み係数を算出するための演算手段を備えている。X線回折プロファイルデータは、入力手段により入力でき、マニュアル操作により入力してもよく、X線回折装置から自動的に入力してもよい。
【0073】
本発明は、種々の炭素材、特に少なくとも黒鉛構造を有する炭素材、例えば、炭素繊維、粉粒状炭素材、カーボンナノチューブ、フラーレンなどの構造及び組成の分析において有効である。
【0074】
【発明の効果】
本発明では、未知の炭素試料が、異なる積層構造を有する積層モデル結晶子の混合物であると想定し、各積層モデル結晶子の理論散乱強度に対して、それぞれの存在割合(重み係数)を考慮するため、統計的手法により、黒鉛化度などの炭素材の構造や組成を高い精度で解析できる。また、本発明では、黒鉛化度が低い炭素材であっても、高い精度で黒鉛化度などの被測定炭素材の構造や組成分析を行うことができる。
【0075】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0076】
実施例1
(1)X線回折
測定試料として、1900℃で焼成した大阪瓦斯(株)製メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)を選び、理学電機社製X線回折装置RINT2500(線源Cuka)を用いて、管電圧−管電流40kV−200mAの下で2θ=10〜100°の範囲をステップスキャン幅0.1°で測定を行った。
【0077】
(2)理論散乱強度
炭素網面モデルとして、ピレン、コロネンをベースとした網面モデルを採用し、図1に示すように、ピレン、コロネン骨格(n=1)の周囲に六員環を配置した骨格(n=2)を形成し、さらにその周囲に六員環を配置した骨格(n=3)を形成し、この操作をn回繰り返すことによって第n番目のモデル網面を形成した。このようにして形成した網面をM枚積層させることによって炭素モデル結晶子を形成した。なお、X線回折パターンから面間隔d002を算出し、炭素モデル結晶子の面間隔として採用した。
【0078】
得られたX線回折プロファイルのデータに対して、六方晶系型結晶子、菱面体晶系型結晶子、及び乱層型結晶子に関する理論散乱強度に、それぞれ、重み係数を乗じた散乱強度の和で表される理論散乱強度式に対応する関係式を格納したコンピュータシステムに入力し、最急降下法による最小二乗フィッティングを行い、黒鉛化度を求めたところ、0.03であった。フィッティング結果を図2に示す。
なお、前記関係式において、六方晶系型結晶子及び菱面体晶系型結晶子に対しては、前記デバイ(Debye)の式を適用し、乱層型結晶子に対しては、前記ワレン−ボーデンスタイン(Warren−Bodenstein)の式を適用した。また、前記関係式において、前記3つのすべての結晶子に関し、前記ハジュ(Hajdu)の非干渉性散乱強度式を考慮した。
【0079】
実施例2
2100℃で焼成した大阪瓦斯(株)製メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)を使用した以外は、実施例1と同様にして、黒鉛化度を求めたところ、0.11であった。フィッティング結果を図3に示す。図3において、グラフ上部の曲線は、残差曲線(理論曲線−実測曲線)を示す。なお、前記関係式において、六方晶系型結晶子及び菱面体晶系型結晶子に対しては、前記デバイ(Debye)の式を適用し、乱層型結晶子に対しては、前記ヤング−フリント(Yang−Fringt)の式を適用した。また、前記関係式において、前記3つのすべての結晶子に関し、前記ハジュ(Hajdu)の非干渉性散乱強度式を考慮した。
【0080】
図2及び図3からも明らかなように、実施例では、積層モデル結晶子に関する理論散乱強度と実測散乱強度とを高い精度でフィッティングでき、低い黒鉛化度であっても炭素試料の黒鉛化度を求めることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は炭素モデル網面の構築工程を示す概略図である。
【図2】図2は実施例1によるフィッティング結果を示すグラフである。
【図3】図3は実施例2によるフィッティング結果を示すグラフである。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a carbon structure analysis method and structure analysis process useful for analyzing the structure and composition of a carbon material whose structure is unknown based on an X-ray analysis profile.
[0002]
[Prior art]
Two-dimensional (hk) diffraction of a carbon material having a low degree of graphitization results in an extremely widened pattern that sharply rises at a low angle side and gradually decreases at a high angle side. For example, Hauska & Warren have observed such diffraction in a group of parallel layers in which carbon hexagonal meshes are stacked, when each mesh is randomly rotating in its normal direction. The profile on the high angle side of the diffraction line was represented by the following equation (1).
[0003]
(Equation 1)
[0004]
Where K is a constant, m is the multiplicity, λ is the X-ray wavelength, F is the structure factor of the two-dimensional lattice, θ0Indicates the diffraction angle with respect to the (hk) plane. The coefficient A obtained from the above equationn(Hk) is an important parameter, and the degree of graphitization P1Can be obtained according to the following equation (2).
[0005]
(Equation 2)
[0006]
Regarding the degree of graphitization, Bowman (JC Bowman, "Proc. 1st and 2nd Conf. On Carbon", Buffalo Univ., (1955), p. 59), Noda (Noda, Iwatsuki, Inagaki, Carbon, ( 1966) [No. 47] 14-23), Iwashita (N. Iwashita and M. Inagaki, Carbon, 31 (1993) 1107-1113), et al.1And its relationship with other structural parameters.
[0007]
However, in the analysis based on these theories, only four diffraction lines 10, 11, 20, and 21 are analyzed, and a local diffraction line of all diffraction patterns is subjected to Fourier analysis. There are many errors. In the analysis based on the above theory, the graphitization degree P1(Probability of finding an AB-type stack between the first adjacent net planes), the turbostratic structure having a very small AB-type stacking ratio, that is, P1It is difficult to analyze very low carbon values.
[0008]
[Problems to be solved by the invention]
Therefore, an object of the present invention is to provide a method and a structural analysis system capable of analyzing the structure and composition of a carbon material such as the degree of graphitization with high accuracy by a statistical method.
[0009]
Another object of the present invention is to analyze the structure and composition of a carbon material, such as a degree of graphitization, with high accuracy, even if the degree of graphitization is low, based on the X-ray diffraction data of the carbon material to be measured. An object of the present invention is to provide a structural analysis method and a structural analysis system that can be performed.
[0010]
[Means for Solving the Problems]
The present inventor has conducted intensive studies to achieve the above object, and assuming that an unknown carbon sample is a mixture of carbon model crystallites having different stacked structures, and with respect to the theoretical scattering intensity for each stacked model crystallite, The inventors have found that the structure and composition of a carbon sample, such as the degree of graphitization, can be calculated with high accuracy by associating the measured scattering intensity with the theoretical scattering intensity in consideration of the respective abundance ratios (weight factors), and completed the present invention. did.
[0011]
In other words, the structural analysis method of the present invention assigns a weighting factor w to each of the theoretical scattering intensities of a plurality of stacked model crystallites in which a carbon model network defined by structural parameters related to a carbon network is stacked in a predetermined stacking mode. The carbon material to be measured is analyzed using a theoretical scattering intensity formula expressed by the sum of the multiplied scattering intensities. In this method, the weight coefficient w is calculated by a statistical method based on the X-ray diffraction profile of the measured carbon material, and the structure or composition of the measured carbon material is analyzed.
[0012]
The carbon model network can be composed of at least one basic skeleton selected from benzene, perylene, pyrene and coronene. The laminated model crystallites include (a) hexagonal crystallites, (b) rhombohedral crystallites, and (c) random two-plane crystal layers stacked in a random positional relationship. It may contain a layered crystallite. The scattering intensity obtained by multiplying the theoretical scattering intensity of the stacked model crystallite by a weight coefficient w is the total theoretical scattering intensity B of the crystallites constituting each stacked model crystallite.i(S) shows the weighting factor wiAnd the sum of the scattered intensities. For the crystallites constituting the hexagonal crystallite and the rhombohedral crystallite, the Debye coherent scattering intensity equation can be usually applied, and the turbostratic crystallite is formed. For such crystallites, the Warren-Bodenstein equation or the Young-Fringt equation can be generally applied. The total theoretical scattering intensity Bi(S) is (i) Debye's coherent scattering intensity equation, Warren-Bodenstein's equation, or Young-Fringt's equation, and (ii) Hajdu ) May be represented by an approximate expression combining the incoherent scattering intensity expression.
[0013]
In the present invention, the weighting factor w is calculated by the least-squares method, whereby the existence ratio or the degree of graphitization of the laminated model crystallite can be obtained. The weight coefficient w is usually calculated under the condition of w ≧ 0.
[0014]
The present invention also includes a structural analysis system (or apparatus) corresponding to the above method. That is, the structural analysis system of the present invention is a system for analyzing the structure of a carbon material to be measured based on X-ray diffraction profile data of the carbon material to be measured, and is defined by structural parameters relating to a carbon mesh plane. A relational expression corresponding to a theoretical scattering intensity equation represented by a sum of scattering intensities obtained by multiplying the theoretical scattering intensities of a plurality of stacked model crystallites in which carbon model net surfaces are stacked in a predetermined stacking mode by a weighting factor w. It comprises a storage means for storing and an arithmetic means for calculating a weighting coefficient by a statistical method based on the X-ray diffraction profile data of the carbon material to be measured.
[0015]
In this specification, unless otherwise specified, IcohDenotes the coherent scattering intensity and IincDenotes incoherent scattering intensity and IeuRepresents the intensity expressed in electron units, B represents the sum of the coherent scattering intensity and the incoherent scattering intensity, 2θ represents the diffraction angle, λ represents the X-ray wavelength, and rijRepresents an interatomic distance between two atoms ij, and f represents an atomic scattering factor.
[0016]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
In the present invention, the unknown carbon sample is assumed to be a mixture of laminated model crystallites having different laminated structures, and the theoretical scattering intensity and the measured scattering intensity (X-ray diffraction profile) for each laminated model crystallite are associated with each other. In this way, the structure of the carbon sample is analyzed or analyzed. That is, in the present invention, the scattering intensity obtained by multiplying the theoretical scattering intensity for a plurality of stacked model crystallites in which the carbon model network defined by the structural parameters related to the carbon network is stacked in a predetermined stacking mode by a weighting factor w. Is a method of analyzing the measured carbon material using a theoretical scattering intensity formula represented by the sum of the above, wherein the weight coefficient w is calculated by a statistical method based on the X-ray diffraction profile of the measured carbon material. The structure or composition of the carbon material to be measured is analyzed.
[0017]
[Carbon model screen]
The laminated model crystallite can be constructed by laminating carbon mesh planes in a predetermined (specific) lamination mode. As the carbon mesh plane, the structural parameters related to the carbon mesh plane (lattice constant a0, A carbon model network defined by the crystallite size La) can be used.
[0018]
The carbon model net surface has a net surface basic skeleton model of a carbon material, and the basic skeleton model arranged around the net surface of the basic skeleton model by repeating n times around. The basic skeleton is formed by repeatedly arranging the basic skeleton n times in a close-packed manner over the entire circumference along the mesh plane of the basic skeleton model. That is, the carbon model network of the two-dimensional structure has a lattice constant a0And the crystallite size La is La = a in a benzene or coronene-based skeleton.0× (2n + 1), and La = 2na in the pyrene-based skeleton.0It is.
[0019]
The carbon model mesh plane has a predetermined plane spacing d.002Are stacked to form a carbon model crystallite, and the crystallite size Lc is defined by the number of layers M. That is, the actual carbon sample can be grasped as an aggregate of carbon model crystallites having a three-dimensional structure stacked in a predetermined stacking mode (an aggregate of carbon model crystallites having different n and / or M).
[0020]
The net plane basic skeleton model and the carbon model net plane can be selected according to the origin and type of the carbon material, the firing temperature, the degree of carbonization or graphitization, and the like. For example, when benzene is used as the basic skeleton (n = 0), a six-membered ring is arranged around the basic skeleton to form a coronene skeleton (n = 1), and further a six-membered ring is provided around the coronene skeleton. A larger model screen can be formed. When benzene is used as the basic skeleton model, the net size La is the lattice constant a0Twice (2a0) As a unit. Therefore, for example, even when the basic skeleton is increased, the screen size La becomes larger than the lattice size a.0In a sample including many screens (screens of a size such as naphthalene, anthracene, and pyrene) that do not correspond to × n, the analysis accuracy is reduced. In particular, such a tendency is remarkable in materials such as coal and pitch.
[0021]
In such a case, a skeleton model (retinal skeleton model) based on a hydrocarbon ring skeleton (pyrene, coronene) as shown in FIG. 1 may be used. As shown in FIG. 1, a skeleton (n = 2) in which a six-membered ring is arranged (particularly, ortho-and-peri condensation) around a pyrene and coronene skeleton (n = 1) is formed, and a six-membered ring is further formed around the skeleton. An arrangement (particularly ortho-and peri condensation) skeleton (n = 3) can be formed. By repeating this operation n times, the n-th carbon model network plane can be formed. In these models, the lattice constant a0Since the screen size is increased in units of, the analysis accuracy (resolution) is improved. Note that the carbon model network plane at n = 0 is a benzene ring in the above operation, but may be closer to an actual structural model when naphthalene is employed. In these models, since the mesh plane is formed under a certain rule, the number N of hydrogen atoms in the model mesh plane is NHAnd the number of carbon atoms NCCan be represented by the following formulas (3) and (4), respectively.
[0022]
(Equation 3)
[0023]
As is clear from the above, the network plane basic skeleton model can be composed of various rings such as a hydrocarbon ring (such as a 5- to 8-membered ring) and a heterocyclic ring (such as a 5- or 6-membered ring). It may be a ring or a non-aromatic ring. The reticulated basic skeleton model may be a hydrocarbon ring having a benzene ring as a basic unit, for example, benzene, naphthalene, perylene, pyrene, coronene, or the like. These hydrocarbon rings may be used alone or in combination to form a network basic skeleton model.
[0024]
In this way, a two-dimensional carbon model screen (or an aggregate of carbon model screens) having various screen sizes La can be constructed. Further, such a carbon model mesh surface is formed by a specific lamination method described later in the plane spacing d.002When the number of stacked layers is M, a carbon model crystallite having a three-dimensional structure as a stacked model crystallite can be constructed.
[0025]
The crystallite size Lc can be represented by the following equation (5). Note that La can be expressed by equation (6) in the coronene-based model and the pyrene-based model.
[0026]
(Equation 4)
[0027]
[Laminated model crystallite]
The laminated model crystallite can be constructed by laminating the carbon model network plane (hereinafter sometimes simply referred to as a carbon network plane) in a specific lamination mode (or lamination type). The lamination style of the carbon model net surface is not limited.0, 1 / 3a in b-axis direction0The net layer having a positional relationship shifted by only the layer B is -−2a in the a-axis direction.0,-/ A along the b axis0Assuming that the screen layer having a positional relationship shifted by only the layer C is the layer C, the 2n-1st adjacent screen layer is layer B, and the 2nth adjacent network layer is layer A with respect to the carbon reference screen layer A. ABA lamination method (adjacent carbon network plane is 2 / 3a in the a-axis direction)0, 1 / 3a in b-axis direction0An ABC lamination mode in which the 3n-2nd adjacent net surface is layer B and the 3n-1st adjacent net surface is layer C with respect to the carbon reference net layer A. (Regarding the positional relationship between three continuous carbon nets, the second net is 2 / 3a in the a-axis direction with respect to the first net.0, 1 / 3a in b-axis direction0, The third mesh plane is 2 / 3a in the a-axis direction with respect to the second mesh plane.0, 1 / 3a in b-axis direction0A random lamination mode in which the n-th adjacent surface is randomly displaced with respect to the carbon reference net surface layer A (any two net surfaces are random). (N is an integer).
[0028]
In the present invention, a hexagonal crystallite stacked in at least the ABA stacking mode (graphite stacking mode) is used as a stacking model crystallite. In addition, as a stacked model crystallite to be combined with the hexagonal crystallite, it is preferable to use a stacked model crystallite of a stacked mode whose existence has been confirmed since it can be analyzed in a form corresponding to the substance. Examples of such a stacked model crystallite include a rhombohedral crystallite stacked in the ABC stacking mode and a turbostratic crystallite stacked in a random stacking mode.
[0029]
In addition, the above-mentioned lamination mode can refer to the probability theory considered by Hauska et al. In the process of deriving the formula (1). In the analysis method of Hauska et al., The probability that the n-th adjacent net plane is randomly shifted from the reference net plane of carbon (layer A) is Pn R, The probability that the n-th adjacent screen is not shifted is Pn 0, The probability that the nth adjacent network plane is shifted by Xn == and Yn = 1/3 on the unit cell basis (the position of layer B with respect to layer A) is Pn +, The probability that the n-th adjacent net plane is shifted from the reference net plane by Xn = −2 / 3 and Yn = − / on a unit cell basis (the positional relation of the layer C to the layer A). Pn −Assuming the following four probability events, the laminated structure of carbon is defined. For example, P2 0Indicates the probability of the ABA stacking mode, and (P2 ++ P2 −) Indicates the probability of the ABC stacking mode.
[0030]
According to the present invention, it is possible to associate the theoretical scattering intensity of a plurality of stacked model crystallites with the measured scattering intensity. Specifically, assuming that the unknown carbon sample is, for example, a mixture containing the three laminated structures (a hexagonal crystallite, a rhombohedral crystallite, and a turbostratic crystallite). Theoretical scattering intensity IOBS(S) is associated with the sum of the scattering intensities obtained by multiplying the theoretical scattering intensities of the respective stacked model crystallites by the weighting factor w, respectively, and these relational expressions are expressed by the following theoretical expression (7). be able to.
[0031]
(Equation 5)
[0032]
Where IABA(S), IABC(S), IR(S) shows the theoretical scattering intensity of a hexagonal crystallite, a rhombohedral crystallite, and a turbostratic crystallite, respectively, and wABA, WABC, WRIndicates the abundance ratio (weight coefficient) of hexagonal crystallite, rhombohedral crystallite, and turbostratic crystallite, respectively.
[0033]
More specifically, as described above, the stacked model crystallites are a collection of crystallites (carbon model crystallites) having different crystallite sizes La and / or Lc (different n and / or M crystallites). Collection). That is, the total theoretical scattering intensity B of the crystallites constituting each stacked model crystallitei(S) (hereinafter sometimes simply referred to as B or B (s))i-ABA(S), Bi-ABC(S), Bi-RAssuming that (s) and the numbers of crystallites constituting each stacked model crystallite are p, q, and r, respectively, the above equation (7) can be modified as the following equation.
[0034]
(Equation 6)
[0035]
Where wi-ABA, Wi-ABC, Wi-RIs Bi-ABA(S), Bi-ABC(S), Bi-RThe existence ratio (weight coefficient) of (s) is shown.
[0036]
Therefore, as shown in the equation (8), the theoretical scattering intensity (for example, I) of the stacked model crystallite (for example, hexagonal crystallite) is obtained.ABA) Has a weighting factor w (for example, wABA) (For example, IABAwABA) Is the total theoretical scattering intensity B of the crystallites constituting the laminated model crystallite.i(S) (for example, Bi-ABA) Is assigned a weighting factor (for example, wi-ABA) Is multiplied by the sum of the scattering intensities.
[0037]
Note that the total theoretical scattering intensity of crystallites B (s) (Bi-ABA(S), Bi-ABC(S), Bi-R(S), etc.), if background scattering is negligible, the coherent scattering intensity IcohAnd incoherent scattering intensity IincCan be expressed by the following equation.
[0038]
(Equation 7)
[0039]
In the formula, K, A (s) and P (s) indicate a scale factor, an absorption factor, and a polarization factor, respectively.
[0040]
Based on the theoretical scattering intensity of the stacked model crystallite as described above, an analytical method is applied to the equations (7) and (8), and each of the stacked model crystallites (or By determining the weighting factor (or the sum of the weighting factors) of the constituent crystallites, the ratio (existence ratio) of the ABA laminated structure (graphite structure), ABC laminated structure, and turbostratic structure in the carbon material and the carbon material Can be determined. Hereinafter, the analysis method will be described in detail.
[0041]
[Theoretical scattering intensity of crystallite]
In the theoretical scattering intensity of the stacked model crystallite (or the total theoretical scattering intensity B (s) of the crystallites constituting the stacked model crystallite), the theoretical scattering intensity (coherent scattering intensity) of a crystallite unit is calculated by a conventional scattering intensity. It can be calculated using an equation.
[0042]
In the equation (7), the theoretical scattering intensity IABA(S), IABCIn (s), since the laminated structure (crystal structure) corresponding to the laminated model crystallite is a hexagonal system and a rhombohedral system, and the atomic coordinates in the unit cell are clear, the following Debye's The theoretical scattering intensity of the crystallite can be easily calculated using the scattering intensity formula (10) or (11).
[0043]
(Equation 8)
[0044]
In the formula, M indicates the number of layers of the carbon network plane in the crystallite, and N indicates the number of carbon atoms in the carbon network plane constituting the crystallite.
[0045]
In the above equation (7), the theoretical scattering intensity IRIn (s), the stacked structure corresponding to the stacked model crystallite is a random stacked structure, and the Debye's formula cannot be applied since accurate carbon atom coordinates cannot be expressed. Therefore, for example, in the following Warren-Bodenstein equation (12) (a modified equation of the Debye equation), which is obtained by extending the Debye scattering intensity equation to obtain the theoretical scattering intensity from the laminated reticulated body group, The theoretical scattering intensity of the crystallite can be calculated by using the following equations (13) to (16) that approximate the two terms.
[0046]
(Equation 9)
[0047]
Where IcohDenotes the coherent scattering intensity and IeuRepresents the intensity expressed in electron units, f represents the atomic scattering factor, rijRepresents the interatomic distance between two atoms i and j, p represents the p-th net plane separated from the reference net plane by p-1 layer, and r represents the interatomic distance in the integration range. Where M and N are the same as above.
[0048]
That is, in the above equation (13), as apparent from the fact that the double sum part of the second term of the above equation (12) is calculated by integral approximation, it is originally discrete or discontinuous on a unit cell basis. The positions of existing carbon atoms (for example, positions shifted by X = 2 and Y = 1/3 with respect to the unit cell, positions shifted by X = 1/3 and Y = 2 with respect to the unit cell) are geometrically described. In the chemical interpretation, the calculation is performed on the assumption that carbon atoms exist continuously or uniformly in the carbon network plane. Therefore, the above equation (13) can be interpreted as a scattering intensity equation in the case where the positional relationship between two adjacent net planes is, on average, completely superficially layered. To the theoretical scattering intensity (coherent scattering intensity).
[0049]
In the above formula (7) or (9), the following Young-Fringt formula (17) can also be applied to the random stack type crystallite.
[0050]
(Equation 10)
[0051]
In the formula, D indicates the atomic density in the plane of the carbon network,coh, F, rij, P, s, M and N are the same as above.
[0052]
The above equation (17) is greatly simplified as compared with the Warren-Bodenstein equation, and the calculation time is shorter than the calculation based on the Warren-Bodenstein. Significantly (about 1 / M2To).
[0053]
The equation (17) is an equation proposed to improve the complexity of the calculation of the Warren-Bodenstein equation. The details of the equation (17) are described by Young et al. Reference [D. Yang and R.S. F. Fringt, Power x-ray diffraction of turbostastically stacked layer systems, J. Mol. Mater. Res. , Vol. 11, No. 7, (1996) 1733-1738 (powder X-ray diffraction of a system laminated in a turbostratic manner)].
[0054]
Therefore, in the present invention, when considering the three stacked model crystallites as the stacked model crystallites, the crystallites constituting the hexagonal crystallite and the rhombohedral crystallite are debyed ( Debye's coherent scattering intensity formula can be applied, and the Warren-Bodenstein formula or the Young-Fringt formula is used for crystallites constituting a turbostratic crystallite. Applicable.
[0055]
[Total theoretical scattering intensity formula of crystallite B (s)]
The total theoretical scattering intensity B (s) of a crystallite can be related to the crystallite scattering intensity equation, and as described above, the coherent scattering intensity I (cohAnd incoherent scattering intensity IincCan be expressed as the above equation (9).
[0056]
The analysis may be performed on the assumption that the incoherent scattering intensity is constant with respect to the total theoretical scattering intensity B (s). To improve the accuracy, for example, the following expression (18) is used. As described above, Hajdu's incoherent scattering intensity formula (F. Hajdu, Acta. Cryst., A27, (1971) 73-74, F. Hajdu, Acta. Cryst., A28, (1972) 250-252 ) May be multiplied by the Ruland's decay function Q (s / 2) (W. Ruland, Brit. J. Appl. Phys., (1964) 1301-1307).
[0057]
(Equation 11)
[0058]
In the present invention, the total theoretical scattering intensity B (s) is calculated by using the theoretical scattering intensity formula of the crystallite (Debye's coherent scattering intensity formula, Warren-Bodenstein formula, or Young-Fringt formula). , Is preferably represented by an approximate expression combining the above-mentioned Haju's incoherent scattering intensity expression.
[0059]
The coefficients A, B, C, and D are given in Table 1 of the literature (F. Hajdu, Acta. Cryst., A28, (1972) 250-252). In applying the crystallite theoretical scattering intensity equation to the equation (9), K, A (s), and P (s) can use values corresponding to the respective stacked model crystallites.
[0060]
[analysis method]
In the equation (7) or (8) for associating the theoretical scattering intensity with the measured scattering intensity, the statistical method for analyzing the carbon material is not particularly limited, and various methods can be used, but the least square method is preferable. . Specifically, as shown in the following equation, the sum ε of the square residual of the error function v (s) obtained by subtracting the left side from the right side of the above equation (8)2May be determined by the least-squares method so that is minimized.
[0061]
(Equation 12)
[0062]
Then, the weight coefficient w calculated by the above equationiBased on the above, as shown in the above equation (8), the weight coefficient wiBy calculating the sum of the above, it is possible to determine the abundance ratio w of the respective laminated model crystallites (and thus the laminated structure) in the carbon sample (therefore, the ratio of the laminated structure constituting the carbon sample).
[0063]
As the least squares method, an ordinary method such as a steepest descent method or a simplex method can be used. In a statistical method such as the least squares method, the weight coefficient w (or wi) May be calculated as a negative value. In such a case, the weight coefficient w (wi) Is a coefficient w ≧ 0 (wiWhen the weight coefficient is calculated under the condition of ≧ 0), an analysis result suitable for the substance of the carbon material can be obtained.
[0064]
In the present invention, the degree of graphitization of the carbon material can be obtained by the following equation using the calculated weight coefficient w.
[0065]
(Equation 13)
[0066]
In addition, since the ABC laminated structure is recognized only with a material having extremely high crystallinity, when a general carbon material is handled, it can be approximated by the following equation.
[0067]
[Equation 14]
[0068]
Furthermore, in the present invention, since the weight coefficient of the theoretical scattering intensity for the crystallite can be calculated, the crystallite size distribution in the La and Lc axis directions in a carbon sample (aggregate) in which crystallites having different La and Lc are aggregated by the following equation (Or average crystallite size) can also be determined.
[0069]
[Equation 15]
[0070]
In the formula, the average crystallite sizes <La> and <Lc> indicate the average crystallite sizes in the La and Lc axis directions, respectively.i(Lai-ABA, Lai-ABC, Lai-R), Lci(Lci-ABA, Lci-ABC, Lci-R) Indicates the crystallite sizes in the La and Lc axis directions of the crystallites constituting the laminated model crystallite, respectively.
[0071]
As described above, in the present invention, using a statistical method (particularly, a least-squares method), the theoretical scattering intensity formula considering various laminated structures and the X-ray analysis data (X-ray diffraction profile data) of the measured carbon material are used. By performing the fitting described above and calculating the weight coefficient of the theoretical scattering intensity formula of the crystallite, the structure or composition of the carbon material to be measured such as the content ratio of each laminated structure and the degree of graphitization can be analyzed or analyzed.
[0072]
In the calculation of the weight coefficient, it is advantageous to use a computer-based system. In such a system, the structure or composition of the measured carbon material is analyzed based on the X-ray diffraction profile data of the measured carbon material. That is, in the structural analysis system, the scattering obtained by multiplying the theoretical scattering intensity for a plurality of stacked model crystallites in which a carbon model network defined by the structural parameters related to the carbon network is stacked in a predetermined stacking mode by a weighting factor w. A relational expression corresponding to the theoretical scattering intensity expression represented by the sum of the intensities is stored in the storage means, and based on the X-ray diffraction profile data of the carbon material to be measured, each weight of the theoretical scattering intensity expression is statistically calculated. An arithmetic unit for calculating a coefficient is provided. The X-ray diffraction profile data can be input by input means, may be input by a manual operation, or may be automatically input from an X-ray diffraction device.
[0073]
INDUSTRIAL APPLICABILITY The present invention is effective in analyzing structures and compositions of various carbon materials, particularly carbon materials having at least a graphite structure, for example, carbon fibers, granular carbon materials, carbon nanotubes, fullerenes, and the like.
[0074]
【The invention's effect】
In the present invention, it is assumed that the unknown carbon sample is a mixture of laminated model crystallites having different laminated structures, and the existence ratio (weighting factor) is considered for the theoretical scattering intensity of each laminated model crystallite. Therefore, the structure and composition of the carbon material such as the degree of graphitization can be analyzed with high accuracy by a statistical method. Further, in the present invention, even if the carbon material has a low degree of graphitization, the structure and composition of the measured carbon material such as the degree of graphitization can be analyzed with high accuracy.
[0075]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described in more detail based on examples, but the present invention is not limited to these examples.
[0076]
Example 1
(1) X-ray diffraction
As a measurement sample, mesocarbon microbeads (MCMB) manufactured by Osaka Gas Co., Ltd., which was fired at 1900 ° C., was selected, and using a X-ray diffractometer RINT2500 (ray source Cuka) manufactured by Rigaku Denki Co., Ltd., the tube voltage−the tube current 40 kV− The measurement was performed at a step scan width of 0.1 ° in a range of 2θ = 10 to 100 ° under 200 mA.
[0077]
(2) Theoretical scattering intensity
As a carbon net model, a net model based on pyrene and coronene was adopted, and as shown in FIG. 1, a skeleton in which a six-membered ring was arranged around a pyrene and coronene skeleton (n = 1) (n = 2) ) Was formed, and a skeleton (n = 3) around which a six-membered ring was arranged was formed, and this operation was repeated n times to form an n-th model network. The carbon model crystallites were formed by laminating M pieces of the thus-formed net faces. Note that, from the X-ray diffraction pattern, the plane distance d002Was calculated and adopted as the plane spacing of the carbon model crystallites.
[0078]
For the obtained X-ray diffraction profile data, the scattering intensity obtained by multiplying the theoretical scattering intensity for the hexagonal type crystallite, the rhombohedral type crystallite, and the turbostratic type crystallite by a weighting factor, respectively. The relational expression corresponding to the theoretical scattering intensity expression represented by the sum was input to a computer system, and the least square fitting by the steepest descent method was performed. The degree of graphitization was 0.03. FIG. 2 shows the fitting results.
In the above relational expression, the Debye's formula is applied to hexagonal crystallites and rhombohedral crystallites, and the warren-crystal is used for turbostratic crystallites. The Warren-Bodenstein equation was applied. In the above relational expression, the Hajdu incoherent scattering intensity formula was considered for all three crystallites.
[0079]
Example 2
Except for using mesocarbon microbeads (MCMB) manufactured by Osaka Gas Co., Ltd. fired at 2100 ° C., the degree of graphitization was determined to be 0.11 in the same manner as in Example 1. FIG. 3 shows the fitting results. In FIG. 3, the curve at the top of the graph indicates a residual curve (theoretical curve-actual measurement curve). In the above relational expression, the Debye equation is applied to hexagonal crystallites and rhombohedral crystallites, and the Young-type crystallite is applied to turbostratic crystallites. The Yang-Fringt equation was applied. In the above relational expression, the Hajdu incoherent scattering intensity formula was considered for all three crystallites.
[0080]
As is clear from FIGS. 2 and 3, in the example, the theoretical scattering intensity and the measured scattering intensity of the laminated model crystallite can be fitted with high accuracy, and even if the graphitization degree is low, the graphitization degree of the carbon sample can be reduced. Could be asked.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a schematic view showing a construction process of a carbon model net surface.
FIG. 2 is a graph showing a fitting result according to the first embodiment.
FIG. 3 is a graph showing a fitting result according to Example 2.