【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液滴を吐出する液滴吐出装置用の振動板に関する。
【0002】
【従来の技術】
図13は、特許文献1に開示された従来の液滴吐出装置を示す断面図である。
【0003】
図13に示されている従来の液滴吐出装置の基板101には、ノズル105、圧力室104、インク供給路107、インク溜まり106に相当する溝が形成されており、振動板102を基板101の上に接合することで、それぞれの機能を有する流路となるように構成されている。さらに、振動板102の圧力室104に該当する部分には電気機械変換素子103が接合されている。インク溜まり106は、外部のインク供給系(不図示)に連通している。
【0004】
このように構成された液滴吐出装置では、電気機械変換素子103に駆動信号を加えると電気機械変換素子103は横方向に変形しようとするが、振動板102に拘束されているため圧力室104側に変形し、圧力室104内のインクに圧力を発生させる。圧力室104内のインクはこの圧力によってノズル105から押し出され、インク滴108となって飛翔する。このとき、電気機械変換素子103には駆動信号が加えられておらず、自身の復元力によって元の状態に復帰し、圧力室104は一時的に負圧になって、インクがインク溜まり106からインク供給室107を介して圧力室104内に流入し、初期状態に戻る。
【0005】
液滴吐出装置は、上記の一連の動作を適宜繰り返して液滴を記録媒体(不図示)に付着させることで、記録媒体に記録を行う。
【0006】
図14は、特許文献2に開示された従来の他の液滴吐出装置を示す断面図である。
【0007】
図14に示す従来の他の液滴吐出装置は、ガラスや金属板などにエッチングや機械加工等により複数のインク噴射用ノズル202、噴射流路203、インク加圧室205、インク供給路206、および共通なインク溜め207を形成したキャビティ板201と振動板209とを積層して一体化した後、振動板209の外側面のインク加圧室205に対向する位置に電気機械変換素子としての圧電素子210が導電性膜211を介して接合された構造を有している。
【0008】
この液滴吐出装置においても、圧電素子210に電気信号としての電圧を印加すると、振動板209がインク加圧室205の内側に変位してインク加圧室205の容積を急激に減少させ、その容積分に相当するインクがノズル202から噴射され、それがインク滴となって、対向配置された記録紙(不図示)に点着する。
【0009】
【特許文献1】
特開平2−80252号公報
【特許文献2】
特開平5−24206号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述した液滴吐出装置では、振動板の上に圧電体(電気機械変換素子や圧電素子)が接合された構成を有している。このような構成では、圧電体を変形させて振動板を変位させる際に、振動板と圧電体との接合面に剪断応力が発生する。そのため、圧電体をより大きく変形させて振動板をより大きく変位させようとすると、その接合面に生じる剪断応力が大きくなり、振動板と圧電体とが接合面で剥離するおそれが生じる。したがって、振動板をより大きく変位させるためには、振動板と圧電体との間の接合力を大きくしなければならない。ところが、振動板の上に圧電体を単に接合した構成では、その構造上、振動板と圧電体との間の接合力を大きくすることに限界がある。
【0011】
また、上述した従来の液滴吐出装置では、液滴の吐出周波数を大きくして記録速度を向上させるには、ばね定数の大きな、すなわち固有振動数の大きな振動板を用いることが好ましい。この場合は、固有振動数の大きな振動板を良好に変形させる力を得るために、厚みがより厚い圧電体を用いる必要がある。
【0012】
しかしながら、圧電体の厚みを厚くすると、圧電体の断面二次モーメントIは次式(1)に示すようにその厚さの三乗に比例して大きくなるため、圧電体自体が曲げ変形を生じ難くなる。その結果、圧電体が接合された振動板の変位量も小さくなり、得られる液滴吐出エネルギーが小さくなってしまう。
【0013】
I=bh3/12 ・・・ 式(1)
ここで、「b」は圧電体の幅であり、「h」は圧電体の厚さである。
【0014】
そこで本発明は、厚みがより厚い圧電体を用いた場合でも、圧電体と振動板とが剥離することがなく、かつ圧電体による振動板の変位量が小さくならない構造の振動板を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の液滴吐出装置用の振動板は、液滴吐出装置用の振動板であって、前記振動板内に圧電体が埋め込まれており、前記振動板の表面に平行な方向における該圧電体の一方の側面に正電極が形成され、該一方の側面に対向する他方の側面に負電極が形成されていることを特徴とする。
【0016】
本発明の振動板は、両電極間にパルス電圧を印加して圧電体に電界を加えると、圧電体が振動板の表面に平行な方向に歪み、圧電体とこれに接する振動板の壁面との間に圧縮応力が生じる。すると、振動板の圧電体が設けられている部分が表面と平行な方向に伸び変形を生じ、この伸び変形によって、振動板に曲げ変形が生じる。このように構成された振動板を備えた液滴吐出装置では、上記のようにして曲げ変形が生じた振動板の一部が、液体が充填された流路中の圧力室内に入り込むことで、その圧力室の容積が減少し、流路内に充填されていた液体が押し出されて、流路に連通するノズルから吐出される。
【0017】
上記のように、本発明の振動板は、振動板内に圧電体が埋め込まれ、圧電体とこれに接する振動板の壁面との間に生じる圧縮応力によって曲げ変形を生じるように構成されている。そのため、圧電体とこれに接する振動板の壁面との間に大きな剪断応力が生じることはなく、圧電体が振動板から剥離しにくい構成になっている。したがって、圧電体をより大きく変形させて振動板をより大きく変位させるために、厚さが比較的厚い圧電体を用いた場合であっても、振動板と圧電体とが接合面で剥離するおそれを低減することができる。
【0018】
また、本発明の振動板は、振動板の圧電体が設けられている部分に振動板の表面に平行な方向に伸び変形が生じ、これによって全体に曲げ変形が生じるように構成されているが、圧電体自体はさほど曲げ変形を生じない。そのため、厚みがより厚い圧電体を用いた場合であっても、その厚みによって圧電体自身の曲げ変形量が制限されて液滴吐出エネルギーが小さくなることはないので、圧電体の機能を十分引き出して液体を良好に吐出させることができる。
【0019】
このように、本発明の構成によれば、より変位量の多い圧電体を用いることができるので、振動板のばね定数、すなわち固有振動数をより大きくすることができ、これを備えた液滴吐出装置による液滴吐出周波数をより大きくすることが可能になる。
【0020】
さらに、複数の圧電体を各々の伸び変形の方向を揃えて直列に並べた構成とした場合には、各圧電体の歪みによる伸び変形が累積し、振動板をより大きく曲げ変形させることができ、液滴の吐出圧力をより高くすることが可能になる。また、このような構成とすることで、振動板のばね定数、すなわち固有振動数をより一層大きくすることができ、これを備えた液滴吐出装置の液滴吐出周波数をさらに向上することが可能になる。
【0021】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0022】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る液滴吐出装置を示す断面図である。
【0023】
図1に示すように、本実施形態の液滴吐出装置は、Si(シリコン)から成るSi基板1の上に、同じくSiから成る振動板4がガラス13を介して接合されて構成されている。
【0024】
Si基板1は、振動板4が接合される接合面2に流路溝3aが形成されており、その上に振動板4が接合されることで、吐出する液体が通る液滴流路3が形成されている。この液滴流路3はノズル、圧力室、液体溜まり等(不図示)を有している。なお、図1は液滴流路3の幅方向の断面を示しており、この液滴流路3は図面に対して垂直な方向に延びている。
【0025】
また、振動板4は、Si基板1に接合される接合面9とは反対側の表面8に溝部5が形成されている。溝部5の両側の側壁6,7には正電極と負電極の対をなす電極10,11が設けられており、溝部5の残りの空間には圧電体12が埋め込まれている。
【0026】
なお、溝部5内に設けられた圧電体12は、液滴流路3の圧力室(不図示)の上方に位置合わせされた状態で配置されている。
【0027】
このように構成された液滴吐出装置は、両電極10,11間にパルス電圧を印加して圧電体12に電界を加えると圧電体12が図1の左右方向に変形し、これにより振動板4の表面8に形成された溝部5が同じく図1の左右方向に押し広げられる。振動板4は、液体流路3を跨いだ両方の部分がSi基板1に固定されていることから、溝部5が図1の左右方向に押し広げられることで生じる変位の逃げ場を求めるように、振動板4の液体流路3に面する部分が液体流路3の圧力室内に入り込む方向に変位する。すると、液体流路3内の容積が減少するので、圧力室内に充填されていたインクは圧力室に連通するノズル(不図示)に押しやられて、そのノズルから吐出される。
【0028】
次に、図1に示した液滴吐出装置の製造方法について図2〜図5を参照して説明する。図2は図1に示した液滴吐出装置におけるSi基板およびガラスを示す断面図、図3は図1に示した液滴吐出装置における振動板を示す断面図、図4は図3に示した振動板に電極と圧電体を設けた状態を示す断面図、図5は図2に示したSi基板と図4に示した振動板とを接合する前の状態を示す断面図である。
【0029】
まず、図2に示すように、Si基板1の流路溝3aが形成された接合面2上に、例えばコーニング社製のPyrex(登録商標)ガラスからなるシート状のガラス13を陽極接合する。なお、流路溝3aの上面が開放されるように、ガラス13の流路溝3aを覆う部分は除去されている。
【0030】
次に、図3に示すように、振動板4のSi基板1に接合される接合面9とは反対側の表面8に、深さ10μm、幅30μmの矩形断面を有する溝部5を形成する。この溝部5は、例えばエッチング等の従来から知られた手法を用いて形成することができる。
【0031】
次に、図4に示すように、溝部5の両側の側壁6,7上にアルミニウムからなる電極10,11をそれぞれ成膜し、さらに溝部5の内部にPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)からなる圧電体12を隙間なく成膜する。その後、圧電体12の上面を研磨し、図4に示すように平坦化する。
【0032】
続いて、図5に示すように、Si基板1の上方に振動板4を配置して、Si基板1と振動板4との位置合わせを行い、流路溝3aの圧力室(不図示)となる部分の上方に圧電体12が位置するように、Si基板1と振動板4とを相対させる。
【0033】
最後に、振動板4の接合面9に、Si基板1上に接合されたガラス13を陽極接合し、図1に示した液滴吐出装置を構成した。その後、液滴吐出装置のノズル先端部分(不図示)をカットする加工を施して液滴流路3を外部に連通させ、液滴が吐出可能な状態にした。
【0034】
以上の工程によって、本実施形態の液滴吐出装置を製造することができた。
【0035】
上記のように作成した液滴吐出装置を、インク供給手段やパルス電圧印加手段等を有する液滴吐出系(不図示)に組み込み、液滴流路3内にインクを供給した状態で両電極10,11の間にパルス電圧を印加して圧電体12に電界を加えたところ、ノズル(不図示)からインク滴を良好に吐出させることができた。
【0036】
以上説明したように、本実施形態の液滴吐出装置用の振動板4は、振動板4内に圧電体12が埋め込まれており、振動板4の表面8に平行な方向における圧電体12の互いに対向する側壁6,7に電極10,11が形成されているので、圧電体12が振動板4から剥離しにくい構成になっており、圧電体12をより大きく変形させて振動板4をより大きく変位させるために、厚さが比較的厚い圧電体12を用いた場合であっても、振動板4と圧電体12とが剥離するおそれを低減することができる。また、本実施形態の構成では圧電体12自体は曲げ変形をさほど生じないので、厚みがより厚い圧電体12を用いた場合であっても、その厚みによって圧電体12自身の曲げ変形量が制限されて液滴吐出エネルギーが小さくなることはなく、圧電体12の機能を十分引き出して液体を良好に吐出させることができる。
【0037】
したがって、本実施形態の構成によれば、より変位量の多い圧電体12を用いることが可能であるので、振動板4のばね定数、すなわち固有振動数をより大きくすることができ、これを備えた液滴吐出装置による液滴吐出周波数をより大きくすることができる。
【0038】
なお、本実施形態では圧電体12の材料としてはPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)を使用した例を示したが、圧電体12の材料には、この他にも例えばチタン酸バリウム、ZnO(酸化亜鉛)、その他の好適な材料を用いることができる。
【0039】
また、本実施形態では溝部5の断面形状を矩形形状に形成した例を示したが、溝部5の断面形状は、この他にも例えば半円形、台形、あるいは他の任意の多角形であってもよい。溝部5の断面形状によって本発明の意図するところが何ら変わるものではない。
【0040】
さらに、本実施形態においては、1つの液滴流路3に対して1つの圧電体12を配置した例を示したが、1つの液滴流路3に対して複数の圧電体12を配置してもよい。その配置例としては、図面の左右方向(液滴流路3の流れ方向に対して直交する方向)に、複数の圧電体12を各々の伸び変形方向を揃えて並べた配置が考えられる。複数の圧電体12をこのように配置した場合には、各圧電体12に生じさせた歪みが累積して、振動板4を大きく曲げ変形させることが可能になり、高い吐出圧力を生じさせることができることから、振動板4のばね定数、すなわち固有振動数をより大きくして、液滴吐出装置の液滴吐出周波数をさらに高めることができる。
【0041】
(第2の実施形態)
図6は、本発明の第2の実施形態に係る液滴吐出装置を示す断面図である。
【0042】
図6に示すように、本実施形態の液滴吐出装置は、Si(シリコン)から成るSi基板1の上に、同じくSiから成る振動板4がガラス13を介して接合されて構成されている。
【0043】
Si基板1は、図1等に示したものと同様に、振動板4が接合される接合面2に流路溝3aが形成されており、その上に振動板4が接合されることで、吐出する液体が通る液滴流路3が形成されている。この液滴流路3はノズル、圧力室、液体溜まり等(不図示)を有している。図6も液滴流路3の幅方向の断面を示しており、この液滴流路3は図面に対して垂直な方向に延びている。
【0044】
一方、振動板4は、Si基板1に接合される接合面9とは反対側の表面8に断面が三角形状の溝部5が形成されている。溝部5の内面とそれに繋がるSi基板1の表面8の一部には電極10が形成されており、その電極10の上には、溝部5の内部を埋め、さらに振動板4の上に盛り上がった圧電体12が設けられている。圧電体12の上面には溝部5と相似形の三角形状の溝12aが形成されており、その溝12aの内面には電極11が形成されている。電極10,11は正電極と負電極の対をなしている。
【0045】
なお、溝部5の上に設けられた圧電体12は、液滴流路3の上方に、圧電体12と液滴流路3との中心が位置合わせされた状態で配置されている。
【0046】
次に、図6に示した液滴吐出装置の製造方法について図7〜図10を参照して説明する。図7は図6に示した液滴吐出装置における振動板を示す断面図、図8は図7に示した振動板の上に電極を形成した状態を示す断面図、図9は図8に示した振動板の上に圧電体を設けた状態を示す断面図、図10は図6に示したSi基板と図9に示した振動板とを接合する前の状態を示す断面図である。
【0047】
まず、Si基板1の流路溝3aが形成された接合面2上に、例えばコーニング社製のPyrex(登録商標)ガラスからなるシート状のガラス13を陽極接合する。なお、流路溝3aの上面が開放されるように、ガラス13の流路溝3aを覆う部分は除去されている。
【0048】
次に、図7に示すように、振動板4のSi基板1に接合される接合面9とは反対側の表面8に、深さ10μmの三角形状の断面を有する溝部5を形成する。この溝部5は、表面8が(100)面となるようにSi基板1を構成し、その面を異方性エッチングすることで形成することができる。
【0049】
次に、図8に示すように、溝部5の内面上にアルミニウムからなる電極10を成膜し、さらに図9に示すように、電極10の上にPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)からなる圧電体12を隙間なく成膜する。さらに、圧電体12の上面に溝部5と相似形の三角形状の断面を有する溝12aを形成し、その溝12aの上にアルミニウムからなる電極11を成膜する。
【0050】
続いて、図10に示すように、Si基板1の上方に振動板4を配置して、Si基板1と振動板4との位置合わせを行い、流路溝3aの圧力室(不図示)となる部分の上方に圧電体12が位置するように、Si基板1と振動板4とを相対させる。
【0051】
最後に、振動板4の接合面9に、Si基板1上に接合されたガラス13を陽極接合し、図6に示した液滴吐出装置を構成した。その後、液滴吐出装置のノズル先端部分(不図示)をカットする加工を施して液滴流路3を外部に連通させ、液滴が吐出可能な状態にした。
【0052】
以上の工程によって、本実施形態の液滴吐出装置を製造することができた。
【0053】
上記のように作成した液滴吐出装置を液滴吐出系(不図示)に組み込み、液滴流路3内にインクを供給した状態で両電極10,11の間にパルス電圧を印加したところ、ノズル(不図示)からインク滴を良好に吐出させることができた。
【0054】
このように構成された本実施形態の液滴吐出装置は、両電極10,11間にパルス電圧を印加して圧電体12に電界を加え、圧電体12に歪みを生じさせることで、振動板4の表面8に形成された溝部5の壁面に圧力Pが加えられる。図6に示すように溝部5は三角形状の断面を有しているので、溝部5の側壁上のある点sに作用する圧力Pのうち、振動板4の表面8に平行な成分である水平方向の分力P1が、振動板4の表面8に形成された溝部5を図6の左右方向に押し広げる成分として作用する。なお、図6では溝部5の一方の側壁に関してのみ分力P1を示しているが、この分力P1は、溝部5の互いに対向する両側壁に、等しい大きさで、かつ互いに反対方向に作用する。
【0055】
振動板4の表面に形成された溝部5の両側壁は、この分力P1によって図6の左右方向に押し広げられる。本実施形態の構成においても、振動板4は、液滴流路3を跨いだ両方の部分がSi基板1に固定されていることから、溝部5が図6の左右方向に押し広げられることで生じる変位の逃げ場を求めるように、振動板4の液滴流路3に面する部分が液滴流路3内に入り込む方向に変位する。すると、液滴流路3の圧力室(不図示)内の容積が減少するので、液滴流路3内に充填されていたインクは液滴流路3に連通するノズル(不図示)に押しやられて、そのノズルから吐出される。
【0056】
なお、本実施形態では溝部5の断面を三角形状にした例を示したが、溝部5が、圧電体12の歪みにより生じる圧力によって振動板4の表面と平行な方向に押し広げられる構成であれば、溝部5の断面形状は半円形や多角形等の他の形状であってもよい。
【0057】
(第3の実施形態)
図11は本発明の第3の実施形態に係る液滴吐出装置を示す断面図、図12は図11に示した液滴吐出装置の振動板を変位させた状態を示す断面図である。
【0058】
図11に示すように、本実施形態の液滴吐出装置は、Si(シリコン)から成るSi基板1の上に、同じくSiから成る振動板4がガラス13を介して接合されて構成されている。
【0059】
Si基板1は、図1等に示したものと同様に、振動板4が接合される接合面2に流路溝3aが形成されており、その上に振動板4が接合されることで、吐出する液体が通る液滴流路3が形成されている。この液滴流路3はノズル、圧力室、液体溜まり等(不図示)を有している。なお、図11も液滴流路3の幅方向の断面を示しており、この液滴流路3は紙面に対して垂直な方向に延びている。
【0060】
一方、振動板4は、Si基板1に接合される接合面9上の、液滴流路3に対向する部分に、複数の溝部5が形成されている。これらの溝部5は、図面の左右方向(液滴流路3の流れ方向に対して直交する方向)に並べられている。各溝部5の両側の側壁6,7には正電極と負電極の対をなす電極10,11がそれぞれ設けられており、各溝部5の残りの空間には圧電体12が埋め込まれている。
【0061】
このように構成された液滴吐出装置は、各溝部5に設けた両電極10,11間にパルス電圧をそれぞれ印加して各圧電体12に電界を加えると各圧電体12が図11の左右方向に変形し、これにより振動板4の接合面9に形成された各溝部5が図11の左右方向に押し広げられる。振動板4は、液滴流路3を跨いだ両方の部分がSi基板1に固定されていることから、各溝部5が図1の左右方向に押し広げられることで生じる変位の逃げ場を求めるように、振動板4の液滴流路3に面する部分が液滴流路3の圧力室(不図示)内に入り込む方向に変位する(図12参照)。すると、液滴流路3の圧力室内の容積が減少するので、圧力室内に充填されていたインクは液滴流路3に連通するノズル(不図示)に押しやられて、そのノズルから吐出される。
【0062】
本実施形態では、複数の溝部5が図面の左右方向(液滴流路3の流れ方向に対して直交する方向)に各々の伸び変形方向が揃えられた状態に並べられており、各々の溝部5が圧電体12によってその方向に押し広げられる構成になっているので、各圧電体12に生じさせた歪みが累積し、振動板4を大きく曲げ変形させることができる。そのため、振動板4の変形により発生する吐出圧力をより高めることができる。
【0063】
次に、図11に示した液滴吐出装置の製造方法について説明する。
【0064】
まず、Si基板1の流路溝3aが形成された接合面2上に、例えばコーニング社製のPyrex(登録商標)ガラスからなるシート状のガラス13を陽極接合する。なお、流路溝3aの上面が開放されるように、ガラス13の流路溝3aを覆う部分は除去されている。
【0065】
次に、振動板4のSi基板1に接合される接合面9に、各々が深さ10μm、幅30μmの矩形断面を有する複数の溝部5を形成する。この溝部5は、例えば切削やエッチング等の従来から知られた手法を用いて形成することができる。これらの溝部5は、図11の左右方向(液滴流路3の流れ方向に対して直交する方向)に並ぶように形成する。
【0066】
次に、各溝部5の両側の側壁6,7上にアルミニウムからなる電極10,11をそれぞれ成膜し、さらに各溝部5の内部にPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)からなる圧電体12を隙間なく成膜する。さらに、各圧電体12と電極10,11がインク液に直接触れて腐蝕しないように、圧電体12と電極10,11の表面に耐蝕性のある有機膜(不図示)を塗付する。
【0067】
続いて、Si基板1の上方に振動板4を配置して、Si基板1の流路溝3aに複数の溝部5が対面するように、Si基板1と振動板4との位置合わせを行う。
【0068】
最後に、振動板4の接合面9に、Si基板1上に接合されたガラス13を陽極接合し、図11に示した液滴吐出装置を構成した。その後、液滴吐出装置のノズル先端部分(不図示)をカットする加工を施して液滴流路3を外部に連通させ、液滴が吐出可能な状態にした。
【0069】
以上の工程によって、本実施形態の液滴吐出装置を製造することができた。
【0070】
上記のように作成した液滴吐出装置を液滴吐出系(不図示)に組み込み、液滴流路3内にインクを供給した状態で両電極10,11の間にパルス電圧を印加して各圧電体12に電界を加えたところ、図12に示すように各圧電体12が図12の左右方向に伸び変位することで振動板4の接合面9が液滴流路3内に凸状に変形した。そして、この変形によって液滴流路3の圧力室内の容積が収縮し、圧力室に連通するノズル(不図示)からインク滴を良好に吐出させることができた。
【0071】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の液滴吐出装置用の振動板は、振動板内に圧電体が埋め込まれており、振動板の表面に平行な方向における圧電体の一方の側面に正電極が形成され、一方の側面に対向する他方の側面に負電極が形成されているので、圧電体が振動板から剥離しにくい構成になっており、圧電体をより大きく変形させて振動板をより大きく変位させるために、厚さが比較的厚い圧電体を用いた場合であっても、振動板と圧電体とが接合面で剥離するおそれを低減することができる。また、本発明の構成では圧電体自体は曲げ変形をさほど生じないので、厚みがより厚い圧電体を用いた場合であっても、その厚みによって圧電体自身の曲げ変形量が制限されず、得られる液滴吐出エネルギーが小さくなることはなく、圧電体の機能を十分引き出して液体を良好に吐出させることができる。
【0072】
したがって、本発明の構成によれば、より変位量の多い圧電体を用いることが可能であるので、振動板のばね定数、すなわち固有振動数をより大きくすることができ、これを備えた液滴吐出装置による液滴吐出周波数をより大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る液滴吐出装置を示す断面図である。
【図2】図1に示した液滴吐出装置におけるSi基板およびガラスを示す断面図である。
【図3】図1に示した液滴吐出装置における振動板を示す断面図である。
【図4】図3に示した振動板に電極と圧電体を設けた状態を示す断面図である。
【図5】図2に示したSi基板と図4に示した振動板とを接合する前の状態を示す断面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る液滴吐出装置を示す断面図である。
【図7】図6に示した液滴吐出装置における振動板を示す断面図である。
【図8】図7に示した振動板の上に電極を形成した状態示す断面図である。
【図9】図8に示した振動板の上に圧電体を設けた状態を示す断面図である。
【図10】図6に示したSi基板と図9に示した振動板とを接合する前の状態を示す断面図である。
【図11】本発明の第3の実施形態に係る液滴吐出装置を示す断面図である。
【図12】図11に示した液滴吐出装置の振動板を変位させた状態を示す断面図である。
【図13】従来の液滴吐出装置を示す断面図である。
【図14】従来の他の液滴吐出装置を示す断面図である。
【符号の説明】
1 Si基板
2,9 接合面
3 液滴流路
3a 流路溝
4 振動板
5 溝部
6,7 側壁
8 表面
10,11 電極
12 圧電体
12a 溝
13 ガラス[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a diaphragm for a droplet discharge device that discharges droplets.
[0002]
[Prior art]
FIG. 13 is a cross-sectional view showing a conventional droplet discharge device disclosed in Patent Document 1. As shown in FIG.
[0003]
A groove corresponding to a nozzle 105, a pressure chamber 104, an ink supply path 107, and an ink reservoir 106 is formed on a substrate 101 of the conventional droplet discharge device shown in FIG. By joining on top of the above, it is configured to be a flow path having each function. Further, an electromechanical transducer 103 is joined to a portion of the diaphragm 102 corresponding to the pressure chamber 104. The ink reservoir 106 communicates with an external ink supply system (not shown).
[0004]
In the droplet discharge device configured as described above, when a driving signal is applied to the electromechanical transducer 103, the electromechanical transducer 103 tends to deform in the lateral direction. To generate pressure on the ink in the pressure chamber 104. The ink in the pressure chamber 104 is pushed out from the nozzle 105 by this pressure, and flies as an ink droplet 108. At this time, no drive signal is applied to the electromechanical transducer 103, and the electromechanical transducer 103 returns to its original state due to its own restoring force. It flows into the pressure chamber 104 via the ink supply chamber 107 and returns to the initial state.
[0005]
The droplet discharge device performs recording on a recording medium by appropriately repeating the above-described series of operations to cause droplets to adhere to a recording medium (not shown).
[0006]
FIG. 14 is a cross-sectional view showing another conventional droplet discharge device disclosed in Patent Document 2. As shown in FIG.
[0007]
Another conventional droplet discharge device shown in FIG. 14 includes a plurality of ink ejecting nozzles 202, an ejection flow path 203, an ink pressurizing chamber 205, an ink supply path 206, and a glass or metal plate which are etched or machined. After the cavity plate 201 having the common ink reservoir 207 and the vibrating plate 209 are laminated and integrated, the piezoelectric plate as an electromechanical transducer is disposed on the outer surface of the vibrating plate 209 at a position facing the ink pressurizing chamber 205. The element 210 has a structure in which the element 210 is joined via a conductive film 211.
[0008]
Also in this droplet discharge device, when a voltage as an electric signal is applied to the piezoelectric element 210, the vibration plate 209 is displaced inside the ink pressurizing chamber 205 to rapidly reduce the volume of the ink pressurizing chamber 205. Ink equivalent to the volume is ejected from the nozzle 202 and becomes an ink droplet, which is spotted on a recording paper (not shown) disposed opposite to the ink.
[0009]
[Patent Document 1]
JP-A-2-80252
[Patent Document 2]
JP-A-5-24206
[0010]
[Problems to be solved by the invention]
The above-described droplet discharge device has a configuration in which a piezoelectric body (an electromechanical transducer or a piezoelectric element) is joined on a vibration plate. In such a configuration, when the piezoelectric body is deformed and the diaphragm is displaced, a shear stress is generated on the joint surface between the diaphragm and the piezoelectric body. Therefore, when the piezoelectric body is deformed more largely and the diaphragm is more displaced, the shear stress generated at the joint surface increases, and the diaphragm and the piezoelectric body may be separated from each other at the joint surface. Therefore, in order to displace the diaphragm more greatly, the joining force between the diaphragm and the piezoelectric body must be increased. However, in the configuration in which the piezoelectric body is simply joined on the diaphragm, there is a limit in increasing the joining force between the diaphragm and the piezoelectric body due to its structure.
[0011]
Further, in the above-described conventional droplet discharge device, it is preferable to use a diaphragm having a large spring constant, that is, a large natural frequency, in order to increase the discharge frequency of the droplet and improve the recording speed. In this case, it is necessary to use a piezoelectric member having a larger thickness in order to obtain a force for satisfactorily deforming a diaphragm having a large natural frequency.
[0012]
However, when the thickness of the piezoelectric body is increased, the second moment of area I of the piezoelectric body increases in proportion to the cube of the thickness as shown in the following equation (1). It becomes difficult. As a result, the amount of displacement of the vibration plate to which the piezoelectric body is joined also decreases, and the obtained droplet discharge energy decreases.
[0013]
I = bh 3 / 12 Expression (1)
Here, “b” is the width of the piezoelectric body, and “h” is the thickness of the piezoelectric body.
[0014]
Accordingly, the present invention provides a diaphragm having a structure in which even when a thicker piezoelectric body is used, the piezoelectric body and the diaphragm are not separated and the displacement of the diaphragm by the piezoelectric body is not reduced. With the goal.
[0015]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve the above object, a diaphragm for a droplet discharge device of the present invention is a diaphragm for a droplet discharge device, wherein a piezoelectric body is embedded in the diaphragm, and a surface of the diaphragm is provided. A positive electrode is formed on one side surface of the piezoelectric body in a direction parallel to the above, and a negative electrode is formed on the other side surface opposite to the one side surface.
[0016]
When a pulse voltage is applied between both electrodes to apply an electric field to the piezoelectric body, the piezoelectric body is distorted in a direction parallel to the surface of the diaphragm, and the piezoelectric body and the wall surface of the diaphragm in contact with the piezoelectric body Compressive stress occurs during Then, the portion of the diaphragm on which the piezoelectric body is provided undergoes elongation and deformation in a direction parallel to the surface, and the elongation and deformation causes bending of the diaphragm. In the droplet discharge device including the diaphragm configured as described above, a part of the diaphragm that has been bent and deformed as described above enters the pressure chamber in the flow path filled with the liquid, The volume of the pressure chamber is reduced, and the liquid filled in the flow path is pushed out and discharged from the nozzle communicating with the flow path.
[0017]
As described above, the diaphragm of the present invention is configured such that the piezoelectric body is embedded in the diaphragm and the bending deformation is caused by the compressive stress generated between the piezoelectric body and the wall surface of the diaphragm in contact with the piezoelectric body. . For this reason, a large shear stress does not occur between the piezoelectric body and the wall surface of the diaphragm that is in contact with the piezoelectric body, and the piezoelectric body is configured to be hard to be separated from the diaphragm. Therefore, even if a relatively thick piezoelectric body is used to deform the piezoelectric body more and displace the diaphragm more, there is a possibility that the diaphragm and the piezoelectric body are separated at the joint surface. Can be reduced.
[0018]
Further, the diaphragm of the present invention is configured such that a portion where the piezoelectric body of the diaphragm is provided undergoes elongation deformation in a direction parallel to the surface of the diaphragm, thereby causing bending deformation as a whole. On the other hand, the piezoelectric body itself does not undergo much bending deformation. Therefore, even when a thicker piezoelectric material is used, the thickness of the piezoelectric material does not limit the amount of bending deformation of the piezoelectric material itself and does not reduce the droplet discharge energy. Liquid can be satisfactorily ejected.
[0019]
As described above, according to the configuration of the present invention, it is possible to use a piezoelectric body having a larger displacement amount, so that the spring constant of the diaphragm, that is, the natural frequency can be further increased, and a droplet having the same can be used. It is possible to further increase the droplet discharge frequency of the discharge device.
[0020]
Further, when a plurality of piezoelectric bodies are arranged in series with the respective directions of elongation deformation being aligned, the elongation deformation due to the distortion of each piezoelectric body accumulates, and the diaphragm can be bent more flexibly. In addition, it is possible to further increase the discharge pressure of the droplet. In addition, with such a configuration, the spring constant of the diaphragm, that is, the natural frequency can be further increased, and the droplet discharge frequency of the droplet discharge device including the same can be further improved. become.
[0021]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Next, an embodiment of the present invention will be described with reference to the drawings.
[0022]
(1st Embodiment)
FIG. 1 is a sectional view showing a droplet discharge device according to a first embodiment of the present invention.
[0023]
As shown in FIG. 1, the droplet discharge device according to the present embodiment is configured such that a vibration plate 4 also made of Si is bonded via a glass 13 on a Si substrate 1 made of Si (silicon). .
[0024]
The Si substrate 1 has a flow channel 3a formed on a bonding surface 2 to which a vibration plate 4 is bonded, and the vibration plate 4 is bonded thereon, thereby forming a droplet flow path 3 through which a liquid to be discharged passes. Is formed. The droplet flow path 3 has a nozzle, a pressure chamber, a liquid pool, and the like (not shown). FIG. 1 shows a cross section of the droplet flow path 3 in the width direction, and the droplet flow path 3 extends in a direction perpendicular to the drawing.
[0025]
Further, the diaphragm 4 has a groove 5 formed on the surface 8 opposite to the bonding surface 9 to be bonded to the Si substrate 1. Electrodes 10 and 11 forming a pair of a positive electrode and a negative electrode are provided on the side walls 6 and 7 on both sides of the groove 5, and a piezoelectric body 12 is embedded in the remaining space of the groove 5.
[0026]
Note that the piezoelectric body 12 provided in the groove 5 is arranged above the pressure chamber (not shown) of the droplet flow path 3 so as to be aligned.
[0027]
In the droplet discharge device thus configured, when a pulse voltage is applied between the electrodes 10 and 11 to apply an electric field to the piezoelectric body 12, the piezoelectric body 12 is deformed in the left-right direction of FIG. The groove 5 formed on the surface 8 of the fourth member 4 is also expanded in the left-right direction in FIG. Since both portions of the vibration plate 4 straddling the liquid flow path 3 are fixed to the Si substrate 1, the vibration plate 4 seeks a relief area for displacement caused by the groove portion 5 being expanded in the left-right direction in FIG. 1. The portion of the diaphragm 4 facing the liquid flow path 3 is displaced in a direction to enter the pressure chamber of the liquid flow path 3. Then, since the volume in the liquid flow path 3 decreases, the ink filled in the pressure chamber is pushed by a nozzle (not shown) communicating with the pressure chamber, and is discharged from the nozzle.
[0028]
Next, a method for manufacturing the droplet discharge device shown in FIG. 1 will be described with reference to FIGS. FIG. 2 is a cross-sectional view showing the Si substrate and the glass in the droplet discharge device shown in FIG. 1, FIG. 3 is a cross-sectional view showing the diaphragm in the droplet discharge device shown in FIG. 1, and FIG. FIG. 5 is a cross-sectional view showing a state in which electrodes and a piezoelectric body are provided on the diaphragm, and FIG. 5 is a cross-sectional view showing a state before the Si substrate shown in FIG. 2 and the diaphragm shown in FIG.
[0029]
First, as shown in FIG. 2, a sheet-like glass 13 made of, for example, Pyrex (registered trademark) glass made by Corning is anodically bonded onto the bonding surface 2 of the Si substrate 1 on which the flow channel 3a is formed. The portion of the glass 13 covering the flow channel 3a is removed so that the upper surface of the flow channel 3a is opened.
[0030]
Next, as shown in FIG. 3, a groove 5 having a rectangular cross section with a depth of 10 μm and a width of 30 μm is formed on the surface 8 of the vibration plate 4 opposite to the bonding surface 9 bonded to the Si substrate 1. The groove 5 can be formed by using a conventionally known technique such as etching.
[0031]
Next, as shown in FIG. 4, electrodes 10 and 11 made of aluminum are formed on the side walls 6 and 7 on both sides of the groove 5, respectively, and PZT (lead zirconate titanate) is formed inside the groove 5. The piezoelectric body 12 is formed without any gap. Thereafter, the upper surface of the piezoelectric body 12 is polished and flattened as shown in FIG.
[0032]
Subsequently, as shown in FIG. 5, the vibration plate 4 is arranged above the Si substrate 1, the Si substrate 1 and the vibration plate 4 are aligned, and a pressure chamber (not shown) of the flow channel 3a is formed. The Si substrate 1 and the vibration plate 4 are opposed to each other so that the piezoelectric body 12 is located above the portion.
[0033]
Finally, the glass 13 bonded on the Si substrate 1 was anodically bonded to the bonding surface 9 of the diaphragm 4 to form the droplet discharge device shown in FIG. Thereafter, a process of cutting the nozzle tip portion (not shown) of the droplet discharge device was performed to make the droplet flow path 3 communicate with the outside, so that the droplet could be discharged.
[0034]
Through the above steps, the droplet discharge device of the present embodiment was manufactured.
[0035]
The droplet discharge device prepared as described above is incorporated into a droplet discharge system (not shown) having an ink supply unit, a pulse voltage application unit, and the like. And 11, a pulse voltage was applied to apply an electric field to the piezoelectric body 12. As a result, ink droplets were successfully ejected from a nozzle (not shown).
[0036]
As described above, the vibrating plate 4 for the droplet discharge device of the present embodiment has the piezoelectric body 12 embedded in the vibrating plate 4 and the piezoelectric body 12 in a direction parallel to the surface 8 of the vibrating plate 4. Since the electrodes 10 and 11 are formed on the side walls 6 and 7 facing each other, the configuration is such that the piezoelectric body 12 does not easily peel off from the vibration plate 4, and the piezoelectric body 12 is deformed more greatly to make the vibration plate 4 more flexible. Even when the piezoelectric body 12 having a relatively large thickness is used for large displacement, the possibility that the vibration plate 4 and the piezoelectric body 12 are separated can be reduced. Further, in the configuration of the present embodiment, the bending deformation of the piezoelectric body 12 itself does not significantly occur, and therefore, even when the thicker piezoelectric body 12 is used, the bending deformation amount of the piezoelectric body 12 itself is limited by the thickness. Thus, the droplet discharge energy is not reduced, and the function of the piezoelectric body 12 can be sufficiently extracted to discharge the liquid satisfactorily.
[0037]
Therefore, according to the configuration of the present embodiment, it is possible to use the piezoelectric body 12 having a larger displacement amount, so that the spring constant of the diaphragm 4, that is, the natural frequency can be further increased. Droplet discharge frequency by the droplet discharge device can be further increased.
[0038]
In this embodiment, an example in which PZT (lead zirconate titanate) is used as the material of the piezoelectric body 12 has been described. However, other materials such as barium titanate and ZnO (oxide Zinc) and other suitable materials can be used.
[0039]
In the present embodiment, an example in which the cross-sectional shape of the groove 5 is formed in a rectangular shape is shown. However, the cross-sectional shape of the groove 5 may be, for example, a semicircle, a trapezoid, or any other polygon. Is also good. The intention of the present invention does not change at all depending on the cross-sectional shape of the groove 5.
[0040]
Further, in the present embodiment, an example in which one piezoelectric body 12 is arranged for one droplet channel 3 has been described, but a plurality of piezoelectric bodies 12 are arranged for one droplet channel 3. You may. As an example of the arrangement, a plurality of piezoelectric bodies 12 may be arranged in the left-right direction of the drawing (the direction orthogonal to the flow direction of the droplet flow path 3) so that the respective elongation deformation directions are aligned. When the plurality of piezoelectric bodies 12 are arranged in this manner, the strain generated in each of the piezoelectric bodies 12 is accumulated, and the diaphragm 4 can be largely bent and deformed, and a high discharge pressure is generated. Therefore, the spring constant of the vibration plate 4, that is, the natural frequency can be further increased, and the droplet discharge frequency of the droplet discharge device can be further increased.
[0041]
(Second embodiment)
FIG. 6 is a sectional view showing a droplet discharge device according to the second embodiment of the present invention.
[0042]
As shown in FIG. 6, the droplet discharge device of the present embodiment is configured such that a vibration plate 4 also made of Si is bonded via a glass 13 on a Si substrate 1 made of Si (silicon). .
[0043]
In the Si substrate 1, similarly to those shown in FIG. 1 and the like, the flow channel 3 a is formed on the bonding surface 2 to which the vibration plate 4 is bonded, and the vibration plate 4 is bonded thereon. A droplet flow path 3 through which the liquid to be discharged passes is formed. The droplet flow path 3 has a nozzle, a pressure chamber, a liquid pool, and the like (not shown). FIG. 6 also shows a cross section of the droplet flow path 3 in the width direction, and the droplet flow path 3 extends in a direction perpendicular to the drawing.
[0044]
On the other hand, the diaphragm 4 has a groove 5 having a triangular cross section on the surface 8 opposite to the joining surface 9 joined to the Si substrate 1. An electrode 10 is formed on the inner surface of the groove 5 and a part of the surface 8 of the Si substrate 1 connected to the groove 5. A piezoelectric body 12 is provided. A triangular groove 12a similar to the groove 5 is formed on the upper surface of the piezoelectric body 12, and an electrode 11 is formed on the inner surface of the groove 12a. The electrodes 10 and 11 form a pair of a positive electrode and a negative electrode.
[0045]
The piezoelectric body 12 provided on the groove 5 is disposed above the droplet flow path 3 with the centers of the piezoelectric body 12 and the droplet flow path 3 aligned.
[0046]
Next, a method for manufacturing the droplet discharge device shown in FIG. 6 will be described with reference to FIGS. 7 is a sectional view showing a diaphragm in the droplet discharge device shown in FIG. 6, FIG. 8 is a sectional view showing a state in which electrodes are formed on the diaphragm shown in FIG. 7, and FIG. 9 is a view showing FIG. FIG. 10 is a sectional view showing a state in which a piezoelectric body is provided on the vibrating plate, and FIG. 10 is a sectional view showing a state before the Si substrate shown in FIG. 6 and the vibrating plate shown in FIG. 9 are joined.
[0047]
First, a sheet-like glass 13 made of, for example, Pyrex (registered trademark) glass made by Corning is anodic-bonded on the bonding surface 2 of the Si substrate 1 on which the flow channel 3a is formed. The portion of the glass 13 covering the flow channel 3a is removed so that the upper surface of the flow channel 3a is opened.
[0048]
Next, as shown in FIG. 7, a groove 5 having a triangular cross section with a depth of 10 μm is formed on the surface 8 of the diaphragm 4 opposite to the bonding surface 9 bonded to the Si substrate 1. The groove 5 can be formed by forming the Si substrate 1 so that the surface 8 becomes the (100) plane, and anisotropically etching the plane.
[0049]
Next, as shown in FIG. 8, an electrode 10 made of aluminum is formed on the inner surface of the groove 5, and as shown in FIG. 9, a piezoelectric material made of PZT (lead zirconate titanate) is formed on the electrode 10. The body 12 is formed without any gap. Further, a groove 12a having a triangular cross section similar to the groove 5 is formed on the upper surface of the piezoelectric body 12, and an electrode 11 made of aluminum is formed on the groove 12a.
[0050]
Subsequently, as shown in FIG. 10, the diaphragm 4 is disposed above the Si substrate 1, the Si substrate 1 and the diaphragm 4 are aligned with each other, and a pressure chamber (not shown) in the flow channel 3 a is formed. The Si substrate 1 and the vibration plate 4 are opposed to each other so that the piezoelectric body 12 is located above the portion.
[0051]
Finally, the glass 13 bonded on the Si substrate 1 was anodically bonded to the bonding surface 9 of the diaphragm 4 to form the droplet discharge device shown in FIG. Thereafter, a process of cutting the nozzle tip portion (not shown) of the droplet discharge device was performed to make the droplet flow path 3 communicate with the outside, so that the droplet could be discharged.
[0052]
Through the above steps, the droplet discharge device of the present embodiment was manufactured.
[0053]
The droplet discharge device prepared as described above was incorporated into a droplet discharge system (not shown), and a pulse voltage was applied between the electrodes 10 and 11 in a state where ink was supplied into the droplet flow path 3. Ink droplets were successfully ejected from a nozzle (not shown).
[0054]
The thus configured droplet discharge device of the present embodiment applies a pulse voltage between the two electrodes 10 and 11 to apply an electric field to the piezoelectric body 12 to cause the piezoelectric body 12 to be distorted. The pressure P is applied to the wall surface of the groove 5 formed on the surface 8 of the substrate 4. As shown in FIG. 6, since the groove 5 has a triangular cross section, of the pressure P acting on a certain point s on the side wall of the groove 5, a horizontal component which is parallel to the surface 8 of the diaphragm 4 The component force P1 in the direction acts as a component for expanding the groove 5 formed in the surface 8 of the diaphragm 4 in the left-right direction in FIG. In FIG. 6, the component force P1 is shown only on one side wall of the groove 5, but the component force P1 acts on both opposing side walls of the groove 5 with the same magnitude and in opposite directions. .
[0055]
The two side walls of the groove 5 formed on the surface of the diaphragm 4 are expanded in the left-right direction in FIG. 6 by the component force P1. Also in the configuration of the present embodiment, since both portions of the diaphragm 4 straddling the droplet flow path 3 are fixed to the Si substrate 1, the groove 5 is expanded in the left-right direction in FIG. 6. The portion of the diaphragm 4 facing the droplet flow path 3 is displaced in a direction to enter the droplet flow path 3 so as to find a relief area for the generated displacement. Then, the volume in the pressure chamber (not shown) of the droplet flow path 3 is reduced, so that the ink filled in the droplet flow path 3 is pushed to a nozzle (not shown) communicating with the droplet flow path 3. It is discharged and discharged from the nozzle.
[0056]
In the present embodiment, an example is shown in which the cross section of the groove 5 is triangular. However, the groove 5 may be expanded in a direction parallel to the surface of the diaphragm 4 by pressure generated by distortion of the piezoelectric body 12. For example, the cross-sectional shape of the groove 5 may be another shape such as a semicircle or a polygon.
[0057]
(Third embodiment)
FIG. 11 is a cross-sectional view illustrating a droplet discharge device according to a third embodiment of the present invention, and FIG. 12 is a cross-sectional view illustrating a state where a diaphragm of the droplet discharge device illustrated in FIG. 11 is displaced.
[0058]
As shown in FIG. 11, the droplet discharge device of the present embodiment is configured such that a vibration plate 4 also made of Si is bonded via a glass 13 on a Si substrate 1 made of Si (silicon). .
[0059]
In the Si substrate 1, similarly to those shown in FIG. 1 and the like, the flow channel 3 a is formed on the bonding surface 2 to which the vibration plate 4 is bonded, and the vibration plate 4 is bonded thereon. A droplet flow path 3 through which the liquid to be discharged passes is formed. The droplet flow path 3 has a nozzle, a pressure chamber, a liquid pool, and the like (not shown). FIG. 11 also shows a cross section of the droplet flow path 3 in the width direction, and the droplet flow path 3 extends in a direction perpendicular to the paper surface.
[0060]
On the other hand, the diaphragm 4 has a plurality of grooves 5 in a portion facing the droplet flow path 3 on a bonding surface 9 bonded to the Si substrate 1. These grooves 5 are arranged in the left-right direction of the drawing (the direction orthogonal to the flow direction of the droplet flow path 3). Electrodes 10 and 11 forming a pair of a positive electrode and a negative electrode are provided on side walls 6 and 7 on both sides of each groove 5, respectively, and a piezoelectric body 12 is embedded in the remaining space of each groove 5.
[0061]
In the droplet discharge device configured as described above, when a pulse voltage is applied between the electrodes 10 and 11 provided in each groove 5 to apply an electric field to each piezoelectric body 12, each piezoelectric body 12 Thus, each groove 5 formed on the joint surface 9 of the diaphragm 4 is expanded in the left-right direction in FIG. Since both portions of the vibration plate 4 straddling the liquid droplet flow path 3 are fixed to the Si substrate 1, the vibration plate 4 seeks a relief area for displacement caused by each groove portion 5 being expanded in the left-right direction in FIG. 1. Then, the portion of the diaphragm 4 facing the droplet flow path 3 is displaced in a direction to enter a pressure chamber (not shown) of the droplet flow path 3 (see FIG. 12). Then, since the volume in the pressure chamber of the droplet flow path 3 decreases, the ink filled in the pressure chamber is pushed by a nozzle (not shown) communicating with the droplet flow path 3 and is discharged from the nozzle. .
[0062]
In the present embodiment, the plurality of grooves 5 are arranged in a state where their respective extending and deforming directions are aligned in the left-right direction of the drawing (the direction orthogonal to the flow direction of the droplet flow path 3). Since the piezoelectric element 5 is configured to be pushed and spread in the direction by the piezoelectric body 12, the strain generated in each piezoelectric body 12 is accumulated, and the diaphragm 4 can be largely bent and deformed. Therefore, the discharge pressure generated by the deformation of the diaphragm 4 can be further increased.
[0063]
Next, a method for manufacturing the droplet discharge device shown in FIG. 11 will be described.
[0064]
First, a sheet-like glass 13 made of, for example, Pyrex (registered trademark) glass made by Corning is anodic-bonded on the bonding surface 2 of the Si substrate 1 on which the flow channel 3a is formed. The portion of the glass 13 covering the flow channel 3a is removed so that the upper surface of the flow channel 3a is opened.
[0065]
Next, a plurality of grooves 5 each having a rectangular cross section with a depth of 10 μm and a width of 30 μm are formed on a bonding surface 9 of the vibration plate 4 bonded to the Si substrate 1. The groove 5 can be formed by using a conventionally known method such as cutting or etching. These grooves 5 are formed so as to be aligned in the left-right direction (the direction orthogonal to the flow direction of the droplet flow path 3) in FIG.
[0066]
Next, electrodes 10 and 11 made of aluminum are formed on the side walls 6 and 7 on both sides of each groove 5, respectively, and a piezoelectric body 12 made of PZT (lead zirconate titanate) is formed inside each groove 5 with a gap. It is formed without. Furthermore, a corrosion-resistant organic film (not shown) is applied to the surfaces of the piezoelectric bodies 12 and the electrodes 10 and 11 so that the piezoelectric bodies 12 and the electrodes 10 and 11 do not come into direct contact with the ink liquid and corrode.
[0067]
Subsequently, the diaphragm 4 is arranged above the Si substrate 1, and the Si substrate 1 and the diaphragm 4 are aligned so that the plurality of grooves 5 face the flow channel 3 a of the Si substrate 1.
[0068]
Finally, the glass 13 bonded on the Si substrate 1 was anodically bonded to the bonding surface 9 of the diaphragm 4 to form the droplet discharge device shown in FIG. Thereafter, a process of cutting the nozzle tip portion (not shown) of the droplet discharge device was performed to make the droplet flow path 3 communicate with the outside, so that the droplet could be discharged.
[0069]
Through the above steps, the droplet discharge device of the present embodiment was manufactured.
[0070]
The droplet discharge device prepared as described above is incorporated in a droplet discharge system (not shown), and a pulse voltage is applied between the two electrodes 10 and 11 in a state where ink is supplied into the droplet flow path 3 to each of the droplet discharge devices. When an electric field is applied to the piezoelectric bodies 12, as shown in FIG. 12, each piezoelectric body 12 extends and displaces in the left-right direction in FIG. Deformed. Then, the volume of the pressure chamber of the droplet flow path 3 was reduced by this deformation, and ink droplets could be ejected favorably from a nozzle (not shown) communicating with the pressure chamber.
[0071]
【The invention's effect】
As described above, in the diaphragm for the droplet discharge device of the present invention, the piezoelectric body is embedded in the diaphragm, and the positive electrode is provided on one side surface of the piezoelectric body in a direction parallel to the surface of the diaphragm. Since the negative electrode is formed on the other side opposite to the one side, the piezoelectric body is configured to be difficult to peel from the diaphragm, and the piezoelectric body is deformed more to make the diaphragm larger. Even when a relatively thick piezoelectric body is used for displacement, the possibility that the diaphragm and the piezoelectric body are separated from each other at the joint surface can be reduced. Further, in the configuration of the present invention, since the piezoelectric body itself does not cause much bending deformation, even when a thicker piezoelectric body is used, the amount of bending deformation of the piezoelectric body itself is not limited by the thickness, so that the piezoelectric body itself can be obtained. The droplet discharge energy to be obtained does not decrease, and the function of the piezoelectric body can be sufficiently extracted to discharge the liquid satisfactorily.
[0072]
Therefore, according to the configuration of the present invention, it is possible to use a piezoelectric body having a larger displacement amount, so that the spring constant of the diaphragm, that is, the natural frequency can be further increased, and a droplet having the same can be used. The droplet discharge frequency by the discharge device can be further increased.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a cross-sectional view illustrating a droplet discharge device according to a first embodiment of the present invention.
FIG. 2 is a sectional view showing a Si substrate and glass in the droplet discharge device shown in FIG.
FIG. 3 is a sectional view showing a diaphragm in the droplet discharge device shown in FIG. 1;
FIG. 4 is a cross-sectional view showing a state where electrodes and a piezoelectric body are provided on the diaphragm shown in FIG. 3;
FIG. 5 is a cross-sectional view showing a state before bonding the Si substrate shown in FIG. 2 and the diaphragm shown in FIG. 4;
FIG. 6 is a sectional view showing a droplet discharge device according to a second embodiment of the present invention.
FIG. 7 is a cross-sectional view showing a diaphragm in the droplet discharge device shown in FIG.
FIG. 8 is a cross-sectional view showing a state where electrodes are formed on the diaphragm shown in FIG.
FIG. 9 is a cross-sectional view showing a state where a piezoelectric body is provided on the diaphragm shown in FIG.
FIG. 10 is a cross-sectional view showing a state before bonding the Si substrate shown in FIG. 6 and the diaphragm shown in FIG. 9;
FIG. 11 is a sectional view showing a droplet discharge device according to a third embodiment of the present invention.
FIG. 12 is a cross-sectional view showing a state where the diaphragm of the droplet discharge device shown in FIG. 11 is displaced.
FIG. 13 is a cross-sectional view illustrating a conventional droplet discharge device.
FIG. 14 is a cross-sectional view showing another conventional droplet discharge device.
[Explanation of symbols]
1 Si substrate
2,9 Joint surface
3 Droplet channel
3a Channel groove
4 diaphragm
5 groove
6,7 side wall
8 surface
10,11 electrodes
12 Piezoelectric body
12a groove
13 Glass