JP2004227436A - 知識バリューチェイン管理システム - Google Patents

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Mikio Nagasawa
幹夫 長澤
Daisuke Nishioka
大祐 西岡
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Abstract

【課題】知識コンテンツの価値をポイント単位で定量化し、組み合わせ利用時の課金方式を確立することにより、信頼性があり、安定的かつ拡張的な知識コンテンツの登録管理システムを提供する。
【解決手段】知識の依存関係をもつバリューチェインを管理するシステムの構成として、知識コンテンツの依存度とそのリンク先アドレスを記憶する血統書310を登録し、知識が利用された時点での知識利用フロー計算330を実施して、知識利用ポイントをリンク先に再帰的に分配し、記憶する手段320を備えることにより、知識バリューチェインの寄与率に対して公正な課金計算を実現する。知識利用ポイントを正負の値域に指定することにより、権利のみを主張する従来の知識管理システムと異なり、賠償責任などの負の価値も管理することにより、中立的かつ客観的な依存度の登録記憶を行う。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、利用ポイント方式の決済による知識コンテンツの利用流通管理システムに関し、特に、複雑な依存関係を持つ、評価の困難な知識の知識提供システム、および、知識利用システムを実現するために使用される知識血統書管理システムとそのビジネスモデルに関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開平10−78867
【特許文献2】
特開平11−25174
【特許文献3】
特開2001−195497
【特許文献4】
特開2000−66998
【特許文献5】
特開平9−34720
【特許文献6】
特開平8−123817
【特許文献7】
特開平11−31165
【非特許文献1】
電子情報通信学会、通信学技報 DE2001−51(2001−07)pp.113−120
従来の知識バリューチェインを用いたシステムとしては、顧客からの問い合わせに答えるコールセンターのヘルプデスクシステムがある。
【0003】
コンテンツ流通管理システムでは、著作権の管理のために、権利者の所有率を属性タグとして、コンテンツに付随して記憶させる方式がある。これは、ひとつのコンテンツを利用する際のコンテンツ課金の手段である。しかし、そのコンテンツが作られた依存度を、上流にさかのぼって、分配する方法は規定されていない。
【0004】
現在インターネット上では、次のようなシステムが知られている。第1の例 では、インターネット上で、専門家やコンサルタントを仲介するシステムを運営し、任意の質問に回答する専門家を仲介管理する手数料ビジネスモデルを実施している。ポイント制による専門家の評価方式や、質問オークション制度が実施されているが、知識コンテンツとしては、あくまで、特定の専門家紹介と、質問に対する回答例であり、血統書などのリンク構造でのポイント分配などがないため、ひとりの専門家の持つ知識の範囲でしか、ソリューションが構成できない。
第2の例でも、同じく、専門家への仲介により、知識コンテンツを提供する。さらに、過去の質問履歴を解析することにより、質問者の予測される質問および興味に適合したコンテンツ分類配信機能を備えた、利用者の傾向を学習して、最適な広告を掲示する広告配信ビジネスモデルを実施している。これでは、質問を登録し、回答した者に対して、質問者が満足度に応じてポイントを付与する。知識コンテンツは、利用後に登録されるが、知識コンテンツごとに、ポイントが記憶管理されることはないため、個々の知識コンテンツの有益度を定量的に評価する指標は存在しない。
【0005】
第3の例では、著作権属性と分配を含むコンテンツIDの仕様を提案している。これは、課金方式の提案ではなく、コンテンツに関連する権利関係をコンテンツそのものに付随させることにより、偽造や、不正コピーを防ぎ、デジタルコンテンツの流通を促進しようとする標準化団体のビジネスモデルである。権利の割合を規定する方法は、従来の社会慣習や法令に基づくものを、そのまま用いることになる。
【0006】
特開平10−78867では、知識コンテンツのひとつであるソフトウェアの流通方法として、プリペイド方式を提示している。複数のプログラムからソフトウェアが構成される場合は、価値が分配するバリューチェイン構成も可能ではあるが、前払い制であることや、組み合わせを変えた知識コンテンツが構成できないなどの知識コンテンツとしての一般化は困難である。
【0007】
特開平11−25174では、異種情報の源問い合わせ変換として、階層的なリンクをたどって、ソリューションに辿りつく解決手段を備えている。しかし、知識アドレスは、リンクされているが、ソリューション自体はひとつの知識コンテンツとして記憶管理されているため、バリューチェインは構成されていない。コンテンツの相関リンクを指標に利用する例として、ある検索エンジンとして用いられているページランク判定アルゴリズムは、リンクされる確率で、大規模固有値問題を解いて、ページの人気度を順位づけしている。リンクを探査するという仕組みは、ここで実施されているものの、リンクされる確率は、ページの登録者が指定するものではなく、ページを引用する他のページの分布によって、そのリンクの強さが、確率算定されるものである。つまり、依存度は、登録時、あるいは、引用時には、確定しておらず、登録者が意図しない依存関係が構成されてしまうこともある。たとえば、誹謗中傷の的として、あるページからの強いリンクが張られることによって、注目度が高く評価されてしまうこともある。
【0008】
そのような問題に対処するために、絹川ら(神戸大)は、文献:電子情報通信学会、通信学技報 DE2001−51(2001−07)pp.113−120において、Social Credibility Indexを用いたWebページの責任度判定方法を提示している。人気度のほかに、信頼性の指標を用意することにより、被リンクの少ない良いページの評価が低くなったり、多数の友人間で相互にリンクしているページの評価が不用意に高くなったりすることを回避する。信頼性指標をリンク割合で分配することにより、各ページの信頼性が更新されることができる。信頼度の分配は、各ページの作成者が、リンクを作成する際に、各リンクの評価率(与信割合)を直接ページに記述する。リンクによる相対評価や責任度合いが伝播するツリーが構成される点は、知識血統書の概念に類似しているが、評価ポイントは、リンク先に評価率の割合で、分配ではなく、逐次、追加付与されていく非保存系システムであるため、システム全体として、評価ポイントの合計は一定とはならない。そのため、コンテンツ利用に応じた、課金分配などの収支計算アルゴリズムと対応させることはできない。
【0009】
知識コンテンツの利用ポイントを課金に用いるシステムの例として、特開2001−195497では、顧客問い合わせに答えるヘルプデスクの課金方式として、質問者優先度・回答時間による利用ポイント計算が、公平な課金のひとつの方法であるとしている。
【0010】
特開2000−66998では、トラブルチケット流通方法を発明しているが、これは、知識提供者側である複数のヘルプデスクで業務委譲を行うためのチケットであり、本チケットで解決されるソリューションの利用者に対する価格付けの方法を提供する効果をもたらすものではない。
【0011】
特開平9−34720「知識取引システム」は、交渉手段と価値判定手段を持つ知識ベースであり、登録前に値段付けをする知識買取システムを構成している。信頼度、主観客観性、新規性、影響度を事前査定する値付け方式である。知識の価値を決定するという課題は、本発明と共通するが、利用前に価格が決定される方式であり、利用者が、事後に不満を持つ可能性や、トラブルへの対処方法については、解決する効果を持たない。
【0012】
特開平8−123817「解析知識管理装置」では、階層インデクスをつけて、知識を登録管理することにより、検索の効率化を図っている。
【0013】
また、特開平11−31165「設計支援システム構築方法」は、集約関係表と汎化関係表と仕様決定表を備える構成により、設計事例ベースの組み合わせ利用による、設計仕様知識を保持することを可能にしている。これらは、知識コンテンツと知識アドレスを別管理することにより、知識の利用効率が向上する効果をねらったものである。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の知識コンテンツの利用時の課金処理や利益分配処理システムにおいては、公平性や迅速性に関して困難があった。任意の知識コンテンツを部品とするソリューション製品の価値分配指標の欠如、あるいは、方式の曖昧さにより、知識コンテンツを流通させるビジネスモデルが実現しにくく、従来の特許・著作権の許諾契約といった、個別契約を締結する手間がかかること、また、その価格付けに合理性が乏しいという問題があった。
【0015】
また、権利関係が複雑に絡み合った知識コンテンツの価値や価格を、自動的に判定して利用者の利便性に供するシステムがなく、交渉手段により価格づけを行うなど、対価を用意してから、知識の登録取り引きを行うものであるため、単独では価値が認められそうにない知識コンテンツの登録および利用が抑制されてきた。
【0016】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、知識コンテンツの価値と依存関係を明確化することができ、複数の知識コンテンツの組み合わせによる知識ソリューションの利用者への提供を、迅速かつ効率的に行う知識バリューチェイン管理システムを提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点は、知識コンテンツを利用した知識バリューチェインにより、知識ソリューションを提供するシステムであって、知識コンテンツ間の依存関係と依存度を、知識系統情報を示す知識血統書データとして登録する手段と、各知識アドレスに割り当てられる知識利用ポイントを知識の価値指標として表示し、利用者が知識アドレスを選択するための手段と、知識ソリューションの利用時には、知識血統書に基づいた知識利用ポイントの再帰的な分配更新手段により、知識コンテンツの利用による価値指標として、利用ポイントを分配計算する手段とを有することを要旨とする。
【0018】
本発明の一態様は、知識コンテンツを利用したソリューション提供システムであって、複数の知識コンテンツを蓄積する分散知識コンテンツ格納部と、ある知識コンテンツの他の知識コンテンツへの依存度を系統的に示す知識知識血統書データを蓄積する知識血統書登録部と、上記知識血統書データに基づいて、上記ある知識コンテンツに与えられたポイントを、上記他の知識コンテンツに分配する利用ポイント分配部と、を有する。
【0019】
本発明の第1の観点にあっては、知識コンテンツの登録者は、知識コンテンツの依存関係と依存度を知識アドレスを用いて表現し、知識血統書データとして登録する。この血統書をもとに、知識利用ポイントは、各知識アドレスに分配されることから、知識アドレスには、知識利用ポイント値が、あわせて記憶されることになる。利用者には、このポイントが知識コンテンツの価値指標として提示される。
【0020】
また本発明の第2の観点は、知識コンテンツの対象としては、文書、ソフトウェア、専門家、学会、常識などを分散配置したまま利用するため、対応する知識アドレスとして、URLや個人ID情報により、知識コンテンツをメタデータ管理する方式を備え、知識ソリューション利用時に、分配されるポイントデータの分配を、知識アドレスに付随する指標データとして記憶保持する記憶方式を用いることを要旨とする。
【0021】
本発明の第2の観点にあっては、知識コンテンツ自体の格納方式については特定せず、知識アドレスで表現された依存関係と依存度登録された血統書データとそれに付随するポイント属性のみのデータ記憶手段により、容量の増大を抑制し、多様な知識コンテンツに対応する血統書データの管理方式としている。
【0022】
本発明の第3の観点は、知識ソリューションの利用時に、依存関係をもつ知識コンテンツの利用のために必要な知識利用ポイントを、利用者が持つための手段として、実社会の経済価値たとえば貨幣価値と、知識利用ポイントとの兌換により決済する手段を備えた知識ソリューションの利用課金処理システムであることを要旨とする。
【0023】
本発明の第3の観点にあっては、利用者は、知識ソリューションを利用するために、ポイントを入力する必要があるが、このポイントは、本発明の知識バリューチェイン管理システムの運用者との取引として、得られるものである。知識利用者は、経済価値との交換により、知識利用ポイントを購入し、知識ソリューションを利用する。また、ここでのポイントと経済価値の換算レートは、本発明のバリューチェインを構成する知識コンテンツの経済価値を示す指標特性としても利用される。
【0024】
さらに、本発明の第4の観点は、複数のモデル提供者の協業によるITシステム性能シミュレーションサービスを実施例とした場合に、知識血統書付きのソフトウェアモデルを組み合わせ利用するインターフェースを備えたシミュレーション環境を構成し、シミュレーション結果に対して与えられた知識利用ポイントから、ソフトウェアモデルへのポイント分配処理する手段までを有するシミュレーションモデルの管理システムを構成することを要旨とする。
【0025】
本発明の第4の観点にあっては、独立なシミュレーションモデルを、選択して、結合シミュレーション実行する従来のソフトウェア技術に加えて、シミュレーション結果の有効度に応じた利用ポイントは、モデルの依存度に応じて、モデルの属性として分配、記憶管理している。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。
【0027】
図1は、本発明の実施の形態に係る知識バリューチェイン管理システムの構成を示すブロック図である。新ソリューション303を知識として知識血統書310に登録する際には、依存度を例えば20%, 10%, 10%, 10%, 50%と、おのおの登録済みの5種類の知識アドレスへとリンク登録する。ここで、ソリューションとは、電子ファイルの形態で準備された知識コンテンツの組み合わせ、または、これらと独自の情報の組み合わせにより新たな価値をもつ知識であって、知識利用者の問題解決に寄与するものをいう。登録済みの知識コンテンツとしては、特許番号201、専門家名202、文献203、シミュレーションモデル204、学会常識205などがあり、これらの知識コンテンツに、それぞれを識別する知識アドレスが付与されている。さらに、登録済みの知識アドレスにある文書203は、別の知識アドレスへの血統が登録されている。図1の例では、その知識アドレスが付与された知識コンテンツは、著者101、引用文献103、常識105である。すなわち、知識コンテンツ文献203は、知識コンテンツ著者101、引用文献103、常識105から、構成されていることが分る。すなわち、知識コンテンツはいわば部品であり、それら自身に価値がある。この、知識コンテンツの組み合わせで新たな問題を解決できる知識が生まれれば、それがソリューションと定義できる。さらに、ソリューションが再帰的にコンテンツにもなり得る。
【0028】
知識血統書310の記憶手段は、個別アドレスの依存度を登録するだけで、必要に応じて、リンクを多段階層に辿ることができるものとする。
【0029】
各コンテンツの評価値ポイントを求める分配計算手段330は、種々のものが考えられるが、例えば文献:電子情報通信学会、通信学技報 DE2001−51(2001−07)pp.113−120 などに示されている有効グラフのアルゴリズムにより、リンクの張られたコンテンツ数の2乗回程度の計算ステップで算定することができる。
【0030】
各知識コンテンツを識別する知識アドレスは、ポイント属性を持っている。分配計算されたポイント増減を累積した知識アドレスごとのポイント属性は、記憶手段320に管理される。
【0031】
知識利用者は、利用ポイント為替手段450によって知識ポイントを購入し、知識利用ポイント口座410を所有する。知識ソリューションの利用時に、この口座410から知識利用ポイントを、知識ポイント受領手段340に送信する。利用ポイントは、利用価値の対価として、正のポイントを、また逆に、知識ソリューションによって損害を被った場合は、負のポイントを与える、つまり、ポイントの返還ないし、ポイントによる賠償を求めることができる。
【0032】
図2に示す知識バリューチェイン管理システムの利用方式フローチャートを参照して、知識ソリューション利用者の利用手順を、説明する。利用者は、知識利用ポイント口座を開設することにより、知識利用受付501での、利用者認証502を認められる。知識バリューチェイン管理システムの初めての利用者は、利用者登録手段503によって、口座401を開設してから、再度、利用受付501を手続きする。知識ソリューションの利用に関しては、そのソリューションを構成する知識コンテンツの血統書を閲覧し(504)、依存する知識コンテンツのポイント情報を参考にして、よく利用され、正のポイントを累積している知識コンテンツのバリューチェインを選択し、その知識アドレスから、分散配置される知識ベースにジャンプするなどして、知識コンテンツの内容を呼び出し、利用実行(506)することができる。この知識ソリューションの利用により、効果が得られたと判断(508)できる場合は、利用した知識ソリューションに対してポイントを付与する。なお、知識利用後の利用ポイント支払いは、ゼロでも負でも可としている。システムに受領されたポイントは、ポイント系統分配計算509により、依存関係のあるすべての知識コンテンツへと分配される。これにより、ポイント決済を伴う、知識バリューチェインの利用取引が、ひとつ完結することになる。
【0033】
図3は、知識バリューチェイン管理システムに使用されている知識血統書の登録画面構成の一例を示す図である。登録には、登録する知識および依存関係のある知識の、知識アドレスと依存度情報のみを入力する。コンテンツ内容は判定処理しない。ルーツが別なら、別の独立知識として登録を受け付ける。依存関係のみで時間情報タイムスタンプなどは登録しないため、登録前の未公開知識や、不特定の一般常識への分配も可能とする。
【0034】
知識血統書の登録においては、新ソリューションの依存率の合計が100%未満の場合には、その残余の割合が、新知識Xの新規性と独自性を主張する割合となる。新知識Xは、そのソリューション独自の分散知識コンテンツ100として保存される。一般に、既存の知識コンテンツZへ100%依存する、モノ真似タイプの知識や、新規性のない組み合わせでも、新知識として申告登録することができる。次に、登録完了ステップとして、血統書の登録記憶手段においては、新知識Xの知識アドレスと知識依存関係が、管理システムに記憶される。そして、新知識Xの実体である知識コンテンツは、図1の分散知識コンテンツ100のなかに新たに登録される。
【0035】
図4は、図2の知識利用時の知識利用ポイントの系統分配の計算集計方法を示す図である。知識登録の第1ステップとして、知識コンテンツ単位での依存関係と依存度が、知識血統書として申告登録されるが、知識血統書の登録時点では、リンクのルートをたどる必要はなく、隣接する一段階の依存関係のみでよい。知識利用ポイントの分配計算時にはじめて、登録された依存関係の多階層リンクを辿ることにより、血縁関係に相当する全体系統図を作成することが実施される。
【0036】
登録される新知識Xの100%は、別に登録された知識Aにa%と、知識Bにb%、そして、知識Bは、別の知識Yにもc%の割合で寄与していると登録されている場合、知識Xが利用ポイントx点を受領し、知識Yが、別の利用ポイントy点を受領した場合、知識Aのポイントはax点だけ増加し、知識Yのポイントは、(bx+cy)点の増加となる。
【0037】
図5では、一例として、情報システムの構成を教える知識ソリューション商品を、知識コンテンツのバリューチェインから構成し、利用する場合について、その知識コンテンツの価値が更新され、利用者からの利用ポイントの支払いが決済される知識ソリューション例について説明する。
【0038】
図5は、複数の知識血統書リンクと、それを辿る知識バリューチェインへの利用ポイント分配集計データの明細を示す図である。
顧客の課題「一秒間に100万トランザクションを処理できる情報システム」設計のソリューションが、多くの知識コンテンツの組み合わせにより成り立つ例である。
【0039】
所望の情報システムの性能設計知識ソリューションは、ITシステムコンサルタントAの持つノウハウが40%、Webシステムの構成テンプレートBが10%、スケーラビリィティ・シミュレーションの実行環境Cが20%、実測データDが10%、管理ツールEと、成功事例Fが5%の寄与であると血統書に登録されている。さらに、シミュレーション環境Cの血統書には、探査ツールβ、シミュレータγ、シミュレーション実行者α、モデルδ、モデルεの寄与と寄与率が登録されており、さらに、各モデルやシミュレータには、その開発者や提供者の寄与が登録されている。
【0040】
知識バリューチェインとは、このように、知識ソリューションを形作る上流からの知識コンテンツの関連全体を指すものである。
この例では、性能設計ソリューションには、性能コンサルサービスが必要であり、性能コンサルサービスには、シミュレーションサービスが寄与しており、シミュレーションサービスには、モデリングサービスが不可欠であるという、知識コンテンツ利用の連鎖情報が、知識血統書を管理することにより、全体管理できることになる。この例で構成された知識ソリューションに対して、利用者が3000点の知識利用ポイントを支払った場合、各知識コンテンツの知識アドレスには、依存度を階層的にたどった割合で、ポイントが増減分が分配付与される。ITコンサルAの知識アドレスには、ポイント1200点が加えられ、モデラーKの知識アドレスには、ポイント67.5点が加えられることになる。
【0041】
以上説明したように、本発明の実施例によれば、事前の依存度分配だけで、知識利用ポイント決済時に、知識血統書リンクを辿って、知識単位にポイントの増減を分配される遅い確定決済により、価値判定が困難で、登録を躊躇する知識コンテンツでも、知識価値の定量化による公平な登録利用が促進される。
【0042】
知識利用ポイントは知識アドレスに付与され、個別の知識コンテンツ単位で価値が管理される。知識コンテンツの所有者は、知識コンテンツからの依存度が指定されることによってのみ、ポイントを所有する価値指標を有することになる。したがって、本発明が管理する知識コンテンツの表現は、文書、データ、モデル、人間など多種多様な形態の混在した知識ベースに対応することができる。有償コンテンツと無償コンテンツ、個人の知識と企業の知識財産の混在したソリューションの利用が可能になる。先人の知識を利用した場合、知識コンテンツの属するコミュニティーに対してポイントを還元することも可能となる。
【0043】
本発明の知識バリューチェイン管理システムを用いれば、知識コンテンツ利用したソリューション事業のビジネスモデルを促進する効果がある。例えば、知識利用ポイントを貨幣に兌換する知識為替市場ビジネスモデルや、知識血統書の登記所ビジネスモデルなどが成り立つ。さらに、知識利用ポイントを有価証券と同様に扱うことにより、価値ないし損害が発生する前のオプション取引や先物市場を構成することも可能となる。知識の内容分類や正当性判定、事前の価値査定が不要となり、異種フォーマットの知識コンテンツが、血統書だけで構成可能になるため、従来より広い範囲の知識コンテンツ組み合わせを探索する仲介ビジネスも成立する。
【0044】
【発明の効果】
算定されたポイントは、知識コンテンツの価値指標となることから、知的財産の公明正大な価格づけが可能となり、知識バリューチェインを用いた知識ソリューション利用の課金システムとして、また、大規模な集中型の知識ベースを構成しなくても、知識相関を判定できる知識血統書の登記システムとして機能する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る知識バリューチェイン管理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1の知識バリューチェイン管理システムの作用を示すフローチャートである。
【図3】図1の知識バリューチェイン管理システムに使用されている知識血統書の登録画面構成の一例を示す図である。
【図4】図2の知識利用ポイントの系統分配の計算集計方法を示す図である。
【図5】複数の知識血統書リンクと、それをを辿る知識バリューチェインへの利用ポイント分配集計データ一例を示す図である。
【符号の説明】
100.分散配置された知識コンテンツの記憶手段
101.知識アドレスの例。文書203の著者名
103.知識アドレスの例。文書203の引用文献アドレス
105.知識アドレスの例。文書203に寄与した常識アドレス
201.知識アドレスの例。特許登録番号
202.知識アドレスの例。専門家氏名
203.知識アドレスの例。文書
204.知識アドレスの例。モデル名
205.知識アドレスの例。学会常識を提供する学会名
303.知識コンテンツとしての新規登録ソリューション名
310.知識血統書の記憶手段
320.知識アドレスと決済による付与されたポイントの記憶手段
330.血統書をもとにポイントを各知識アドレスに分配する手段
340.知識利用時にポイントを受領する手段
410.知識利用ポイントを記憶管理する手段
450.知識利用時に知識利用ポイントを振込みする手段。

Claims (5)

  1. 知識コンテンツを利用したソリューション提供システムであって、
    複数の知識コンテンツを蓄積する分散知識コンテンツ格納部と、
    ある知識コンテンツの他の知識コンテンツへの依存度を系統的に示す知識知識血統書データを蓄積する知識血統書登録部と、
    上記知識血統書データに基づいて、上記ある知識コンテンツに与えられたポイントを、上記他の知識コンテンツに分配する利用ポイント分配部と、
    を有するソリューション提供システム。
  2. 知識コンテンツを利用したソリューション提供システムであって、
    知識系統情報を示す知識血統書データを登録する手段と、
    利用者に知識アドレスを提示し、知識血統書と各知識アドレスに割り当てられる知識利用ポイントの表示手段と、
    知識血統書に基づいた知識利用ポイントの再帰的な分配更新手段とを有し、知識コンテンツの利用による価値の増減を分配計算する手段を有することを特徴とする知識バリューチェイン管理システム。
  3. 前記、知識コンテンツは、文書、ソフトウェア、専門家、学会、常識などを含み、
    対応する知識アドレスとして、URLや個人ID情報を含み、
    知識ソリューション利用の結果、分配されるポイントデータを、知識アドレスに付随する指標データとして記憶保持する手段を有することを特徴とする請求項2記載の知識バリューチェイン管理システム。
  4. 前記、知識コンテンツの利用のために必要な、知識利用ポイントを貨幣価値との兌換により決済する手段を備えた、請求項2記載の知識ソリューションの利用課金処理システム。
  5. 知識血統書付きのソフトウェアモデルを組み合わせ利用したシミュレーションを実行する手段を有し、シミュレーション結果に対して与えられた知識利用ポイントから、ソフトウェアモデルへのポイント分配処理する手段を有するシミュレーションシステム。
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