JP2004227041A - 個別患者臨床検査数値データ処理システムとこれを用いた診断用情報処理プログラムの記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【構成】臨床検査数値データ項目について、各検査機関毎に異なる基準値と成書記載の診断決定値、或いは基礎疾患・合併症・治療の副作用等から予測される検査項目における個別患者の正常範囲値、診断決定値を任意に設定可能に構成し、診断時に同患者について測定した臨床検査数値データを入力することにより、上記設定による正常範囲値、診断決定値を基準とした診断上の重症度に対応する臨床診断評価値に変換処理するようにした。
【選択図】図5
Description
【産業上の利用分野】
本発明は、臨床医療の現場において、臨床検査結果の異常数値データを基準範囲値と成書記載の診断決定値を基準として臨床的重症度或いは治療レベルを示す臨床評価値に変換し、更に、臨床医が長期間担当している患者について各患者個人の過去の経歴や基礎疾患・合併症・治療の副作用等から予測される検査項目の異常測定値を、当人の正常時或いは治療目的の範囲を基準として担当医の裁定による臨床的重症度或いは治療レベルを示す評価数値に変換表示し、更に、診断時に評価数値に変換するために入力され正負の整数値に変換された個別患者についての測定臨床検査数値データを、その都度順次に個人別評価表として記録保存し、選択された検査項目群の経時的な表示と共に評価値による全測定項目を一覧表示処理する個別患者についての臨床検査数値データの処理システムとこれを用いた診断用情報処理プログラムの記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、臨床検査室あるいは臨床検査機関から患者担当医に報告される検査データは、多種多様な数値データであり、各検査項目毎に各検査機関が健康人で測定したデータを統計処理して得られる下限と上限の数値からなる各検査機関が採用した単位による集団正常域を伴って報告される。
【0003】
多項目について、また過去にも亘って、更に鑑別診断疾病ごとに組合せセットとなる数種の項目の各データを、検査室・検査法さらに時に再調査結果から変更される各項目毎に固有の基準範囲値を参考にした評価を行い、診断を進めることは患者を前にした臨床医にとって多大な労苦となり、その負担により重要な総合的所見を見落とすことすら起こりかねない。
【0004】
そこで、例えば特許文献1に示されるように検査データをグラフ表示するとき、グラフの縦軸に所定の間隔を空けて上基準値と下基準値を設定し、グラフ表示する検査項目の標準値の上限及び下限が縦軸の上下の基準値にそれぞれ一致するように縦軸のスケールを想定してその検査データをグラフ上に描画し、異なる標準値又は異なる単位系の複数の検査項目のデータを共通の基準軸の上で重ねて表示するような方法が考えられてきた。
【0005】
上記のような実情から、本件出願人は特許文献2に示されるように異種類の数値単位で表現されて項目別に提示される複数の臨床検査数値データを、比較可能な統一単位に変換する変換処理と、変換された臨床検査数値データを検査項目別に一覧表示し、診断上の重要度に従ってランク付けして処理する臨床検査数値データ処理システムと診断プログラムの記録媒体として開発し提案している。
【0006】
【特許文献1】特開2001−133293号公報
【特許文献2】特許第3300763号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献2に示される表示処理方法は、臨床検査データを統一化数列に変換し、更に、臨床医師が自由選択した検査項目群を同一グラフ上に表示するものであるが、健康人集団についてテストして得たデータの下に決められた基準範囲を基本としており、各検査結果の数値が示す臨床的意義、即ち重症度との関係、更には、各患者個人の過去の経歴や基礎疾患・合併症・治療の副作用等から予測される検査項目の異常測定値を、当人の正常時或いは治療目的の範囲を基準として担当医の裁定による臨床的重症度或いは治療レベルを示すには至っていない。
【0008】
患者一人一人の特性や疾患の現段階を把握し、治療効果の判定その他の監視・管理を担当医師が行うには、患者固有の正常値を基本とし、また疾患の進行状况の監視や治療法の変更の目安としての担当医師の判断による診断決定値を反映できるシステムが不可欠となる。
【0009】
このようなシステムを確立するには、その前に総合的な医学会或いは疾病の専門部会等で測定値の診断決定値とその臨床的治療レベルが決定されることが望ましいが、そのためには先ず統一された各検査機関の持つバイアスを消去し普遍化した値に変換した検査データ表示法の設定が基礎となる。
しかし、何よりも先ず測定値を検査項目の特性としての診断決定値と重症度との関係を示す数式を見出すことが可能であることが確定されていなければならない。
【0010】
即ち、臨床医が臨床結果数値データの結果を手にした時、まず各検査項目の基準範囲内、或いは長期治療・管理している患者ではカルテをめくり、その患者固有の正常範囲内か否かを判定し、範囲外の場合は更に成書に記載されている重症度の高い疾患につき、治療レベルの変更を示す診断決定値を超えているか否かを判定して、これら多くの検査結果と病状を総合して診断と治療を決定する。
【0011】
項目毎に異なる多種多様な数値を、これらの参照する数値から判定を行うに当たっての数値処理に対し、それぞれの検査項目について診断決定値をも表現でき、また、長期観察・治療を行う慢性疾患患者の疾患に対して、疾患に関連する特定項目の測定データには更に個人の正常値範囲を基準とし、データの単位及び基準範囲が測定機関毎に異なる点に対することも含め、統一された数値表示が望まれてきたものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記した課題に対応しようとするものであり、重症度或いは治療レベルをランク付けした数値列を臨床評価値(Generalized Diagnostic Value)として定義しておき、既に成書に記載されている各検査の診断決定値を参考として各項目の基準値と診断決定値及びこの値に対応する臨床評価値、或いは個人正常値と医師裁定の診断決定値から、予めコンピューターサブプログラムで各測定値を連続的に臨床評価値に変換する関数(Gd(x) )をコンピューターで検索・決定させてデータ表各項目にそれぞれの変換式を設定しておき、入力された各測定値を設定された式から変換して整数化することによって即座に臨床評価値に変換してコンピューター画面に表示できるようにしたものである。
【0013】
先ず、項目別、患者別に、患者個人の正常値範囲を基本として治療レベルをランク付けした値に変換する関数Gd(x) に含まれる関数F(x)(固有関数)を、測定値、評価値(座標領域上の点)を入力することによりコンピューターで検索・決定するため、図2に示すように測定値、評価値点の占める座標領域を6分割し、それぞれに適応するコンピューター処理のための各初期値C0と、コンピューター処理範囲を越えないための測定値補正関数rの決定を含めた関数型F(x)が決定処理される臨床検査数値データ処理システムとして構成する。
【0014】
即ち、測定値xを臨床評価値Gd(x) に変換する基本公式は下記の「式1」「式2」である。臨床検査数値データには、項目ごとに3つのタイプ(2値で示され、下限値lより大若しくはイコール、上限値uより小若しくはイコールのタイプA、単値で示され、上限値uより小若しくはイコールのタイプB、単値で示され、下限値lより大若しくはイコールのタイプC)のいずれかの基準範囲が付加されている。従って、臨床診断評価値の正負の整数値への変換を、臨床診断評価値の範囲を所定の正負振幅数値の範囲、例えば−60〜60、正常値範囲を−9〜9として、臨床検査数値データとして与えられるxが、基準範囲の各タイプごとに、正負の整数値への変換前関数H(x)を置く。
【0015】
特に、タイプAについては、測定値領域を下限値lと上限値uの中点mで2分割して各々独立にH(x)内の自由関数F(x) を決定した後に、これらを中点で結合して変換処理を行うようにした。(式中の*の符号は、(乗除算の乗符号である×)を意味し、アルファベットxとの混同を避けるため*の符号を用いているものである。)
S(X)はシグモイド曲線を与える関数、主として逆正接関数Tan −1(X) と双曲線正接関数数 Tanh(X)を用い、Gd(x) を臨床評価値、H(x)を臨床評価値前関数(以下、前関数という。)とする。
【数1】
【式1】
【式2】
【0016】
以下、基準値或いは正常値、及び点(診断値決定値、臨床評価値)が(p,P)(p>上限値u)、或いは第2点(q,Q) (q<下限値l)が与えられたとき、前関数 H(x) を如何にコンピューターで決定できるかが問題となる。
【0017】
各医師固有の変換関数に適用するためには、測定値が容易に読み取りでき、単純な値へのデータ変換のための方法の統一が必要である。先ず、「式2」についてF(x)=xと置いた基本となる下記 Gn(x)、Hn(x) 式を定義する。
【式3】
【式4】
Gn(x) は基準境界値だけで決定される関数であり、その値を基準変換値(Generalized Laboratory Value)、関数を基準変換関数(Laboratory function) 、Hn(x) を基準変換前関数(Laboratory pre−function) と記載する。
【0018】
「式2」「式4」共に測定値l、uに対する評価値L、Uが決定されると、θは自動的に決定される。従って、「式2」のF(x)の型の如何に関わらずH(x)は点(u,U)及び(l,−U(=L))の二点を通過する。臨床的診断が決定できる異常値(Decision level) dの検査測定値が得られ、これに対する重症度或いは治療レベルを示す臨床評価値Dが与えられた場合、D=H(d) とする適当なF(x)を選ぶことができれば、H(x)は即座に得られた測定値を臨床評価値に変換できることになる。但し、測定値と臨床評価値は共に連続的に変化するものとする。
【0019】
或るテストにおいて、点(l,L) 、(u,U) 、(d,D) が与えられた場合、F(x)の決定がコンピューター処理で可能かどうかを考えると、F(x)を検索する上に、関数H(x)の枠関数S(X)内に含まれるF(x)には条件がある。
【0020】
【数2】
【式5】
【式6】
【式7】
【0021】
換言すれば「式6」左辺の定数aやbは無意味であり、F(x)の型の変形は限られている。従って、単一の関数型ではF(x)は、F(x)=xを除いてF(x,c)として一つの定数だけしか許されないため、その選択の自由度は制限される。
【0022】
【数3】
【0023】
特に正常範囲外の指定された一点或いは二点を通る「式2」の自由関数F(x)を定数cと共に全検査項目について、全てコンピューターで調べることは殆ど不可能である。
【0024】
これに対する解決案の基本は、先ず3型存在する基準(正常)範囲の各型ごとに、それぞれ下記のように前関数H(x)を置く。以下、GD値の範囲を−60〜60、正常値範囲を−9〜9とする。
【0025】
また、GD値の絶対値が10〜14を中間域、15以上を臨床域とする。特に、二数値で正常範囲が与えられるタイプAでは、正常範囲より高い領域と低い領域でそれぞれ診断決定値が存在する場合、これら2点を通過して「式2」を満足する単一の関数F(x)を見つけることは理論的には不可能である。
【0026】
従って、以下のように測定値領域を先ずlとuの中点mで二分割し、各々独立にF(x) 関数を決定した後、これらを中点で結合するようにする。これは正常範囲内の数値は臨床医学的には、厳密な評価は行われない空白領域にあることに基づくものである。以下、正常値範囲のタイプ別に基本的な前関数を示す。
【0027】
(1)タイプA:正常範囲は下限値と上限値の2値が与えられている場合
【数4】
【式8】
【式9】
【数5】
【式10】
【式11】
【0028】
いま診断決定値pとその臨床評価値Pとして(p,P)、或いは(q,Q) が与えられているとし、またIとJを次のように定義する。Uは正常範囲上限GD値で9を与える閉区間境界値:9.4947(開区間の場合は9.503 )を用い、Lは正常範囲下限GD値で同様に−9を与える値:−9.4947(開区間の場合は−9.503)を用いる。これらの少数点以下の値は「式16」を参考とし、また計算による桁落ちや桁上がりを考慮したものである。また、定数IとJを次の「式12」の通り定義する。
【0029】
【式12】
上記式において、タイプAの場合、診断決定値がIより小さく、従って正常範囲下限GD値に−9を与える場合はUがLに、pがqに、PがQになる。
以上の定義からcを定数とすれば、式8〜式11は次の方程式に統一される。
【式13】
【0030】
上記の定数を用い「式8」〜「式11」から、F(x)の関数型が決まれば、「式13」Eq(c)=0 の方程式から定数cを決定し、求める前関数H(x)を得ることができる。タイプB及びタイプCの場合はm=0と置く。従って、 Eq(c)=0とするF(x,c)を決定すればよい。
【0031】
方程式 Eq(c)=0の解を求めるには、主としてNewton法が利用されるが、この場合方程式がNewton法で収斂する条件を満足し、二根の内の求める解に収斂する検索開始点c0を与えねばならない。
【0032】
以下、基準範囲或いは正常値外(以下臨床範囲)の点(診断決定値、評価値)を与え、規準範囲のタイプと点のグラフ上の位置によって適応できるF(x,c)の型、方程式による定数cの決定方法は後記の「表1」「表2」にまとめた通りである。
【0033】
最終的に得られる前関数H(x)は、2種の枠関数S(逆正接関数:Arctangentと双曲線正接関数:Hyperbolic tangent)の2タイプ毎に得られるが、与えた診断決定値の他の点、特に基準範囲から十分に離れた測定値を当てはめ、期待に近い変換値を与えるS関数を含むH(x)を選択・採用する。
【0034】
更に、方程式をコンピューターで解くにあたっては、コンピューターの取り扱える数値の範囲(パーソナルコンピューターでは10−307〜10308 )を越えてはならない。
【0035】
そのために、測定値にある定数(r)を乗じて解を求め、得られた解を補正する必要がある。この定数も測定値に基づく関数となる。以下、診断決定値とそれに対応するGD値によって点が座標上に占める領域を判定し、それぞれの関数内の定数cを決定する。
【0036】
先ず、与えられた点(p,P)の値から、相当する下記タイプの基準変換前関数Hn(x) 関数を用い、Hn(p) と与えられた臨床評価値pを調べる。
もしpが不等式:
【式14】
を満足するならば、H(x) はHn(x) とする(|〜|は絶対値を表す)。(「図2」の領域▲2▼又は▲5▼)。
この不等式が満足されない場合、下記の「表1」「表2」の「条件2」の行に従った値と関数を「式13」の各項に代入し、コンピューターで表の解法に記された方法で方程式を解いて定数を求め、F(x,c)を決定する。この不等式「式14」の判定結果から、点(測定値、評価値)の座標上の分布域は図2に示されるように6領域に分割される。
更に、H(x) 内の定数項を計算すれば、A、Bを定数として一般に下記の型の簡単な式となる。
【式15】
【0037】
「表1」「表2」は、各正常範囲タイプ別に、臨床域の点が指定された場合の「式13」方程式の各項に代入する関数の選択と、定数、方程式の解法を正常値タイプと臨床域の指定点(p,P )或いはQ<0の点(q,Q )の値で分類したものである。
【表1】
【表2】
【0038】
上記の各式に用いる定数は、臨床評価値を−60〜60とすると下表の値となる。
【表3】
【表4】
【0039】
以上、常に点(l,−9)(u,9)を、また、臨床域(x>u,x<l)において任意に与えた点(p,P)或いは点(q,Q)を通過するGD変換前関数H(x)を、コンピューターで求める方法が得られた。
【0040】
そこで新たに次の問題が生じる。それは測定機関による再調査や測定法の変更その他で測定値の単位や基準範囲の変更が行われた場合、GD関数はどうなるかである。また、担当医が当患者の過去に他の機関で測定された結果について、これらを参照する場合も同様である。
【0041】
解決案の一つは、単純な統一された値に変換し、保存することである。その変換方法と保存数値(以下、標準値という。)に、以下の二種の方法のいずれによっても可能である。
【数6】
【式16】
【式17】
【式18】
【0042】
担当医が保存値yを用いてGD変換式を作成する場合、「表1」「表2」において、タイプAとタイプBでは、m=0と置きxをy又はZ標準値変換関数の逆関数に置換するだけでよい。
また、タイプCでは、式のxにy+10を代入する(「式6」参考)。
u及びlは、正常値範囲が基準範囲と同じであれば、それぞれ、1と−1であり、変更があれば(患者固有の正常値を用いる場合)Y標準値を代入する。
【0043】
担当医が上記の保存値を患者の過去のデータをy或いはz値として取得し、そのまま或いはz値の場合は「式17」のタイプA〜Bから復元して担当医が患者各位に測定値x或いはy値で作成されたGD変換式に代入する。小数第2位までを採用した理由は、整数だけでは復元された値に精度が欠けるため、再変換に適用して得られたGD値は、他のデータとの比較が困難となることによる。
【0044】
小数第2位まで保存された変換値は、同測定値と同等の小数点位置までの値を四捨五入して得れば、不等号の如何に関わらず殆ど正確に原測定値を復元することができる。厳密には、標準値zを用いた場合ですら保存式と復元式が異なる不等号(≦か<を、<か≦で復元)として行われた場合の差は±0.00091*(x−m)の範囲である。(x,mは復元された値)
【0045】
ここに提示した標準値に変換する方法は、いずれも単位や測定機関のバイアス等で変動する基準値には関係しない普遍的な値である。方法(1)に対し、方法(2)は一定の値の範囲内の値(ここでは−60〜60)であり、直接グラフ化し時間的変動の観察ができる。
【0046】
従って、バイアスの無い何れかの変換法が決定されれば(St値:Standardized Value )、新たに内科系学会等で総合的に全ての、或いは慢性疾患や老人学等の専門分野で関連する項目について、点(St値、GD値)として臨床評価値を定めることができる。方法(1)か方法(2)の何れを統一的に採択するかは、国際機関レベルで決定されるべきことである。
【0047】
これらのSt値は、担当医のファイルに用いている基準値で復元するか或いは担当医の測定値をSt値に変換し、直接に指定されたGD値でGD変換公式を求めれば良いことになる。
【0048】
特に標準値のSt値から得た前関数式H(y)は、yにxを標準化する式を「式15」に代入すればよく、x,y両表現の値に使用できる便利さを持つ。特に、タイプAとBは、F(x)の制限条件を「式7」及び「式8」が示すことから、標準化式xにyの値を入力してもyは同値だから同一式で統一できる(「表6」註)。
【0049】
但し、標準値に変換される測定値の基準境界値は、標準試料を測定して補正するか、或いはISO(International Organization for Standardization)やNCCLS(National Committee for Clinical Laboratory standards)等の公認の決定方法に従って求められたものとする。
【0050】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明する。次の表は、以下に説明する臨床実例について、重症度或いは治療レベルの数値(臨床評価値)への割付の一モデルである。本データ処理法が採用される場合は、総合的な臨床学会或いは国際機関レベルで定義付けされるものとする。
【表5】
【0051】
臨床実例の1は非糖尿病患者と糖尿病治療中の患者の空腹時血糖値の評価値について、下記の2つの表(表5は非糖尿病患者の場合:一般診断値、表6はインシュリン治療中の糖尿病患者の場合:個人診断値)に上記の評価値モデルに基づいて仮に設定したものである。それぞれの表の下の式は、得られた評価値変換式で、これらは図1に示すようなグラフに表示される。
【表6】
【数7】
【表7】
【0052】
健康人或いは非糖尿病患者では、空腹時血糖値が60〜100(mg/dL)では、一桁整数(−9〜9)に変換される。しかし、この例の糖尿病患者では、インシュリン治療のため、維持血糖値は90〜140(mg/dL)が正常維持値であり、これがGD値−9〜9に対応する。
【0053】
特に後者ではインシュリン投与中のため、血糖値が低下し始めると急速に低下する傾向があり、容易にショック状態に陥り易いため、かなり高い位置(60mg/dL) で医師の受診治療を必要とするGD値(−30, 背景は赤、白抜き文字として表示する)に設定する。
【0054】
コンピューターシステムでは、GD関数変更命令でプログラムを呼出し、これら4点の値を入力するだけで上記H(x)が求められ、その関数Gd(x) が当患者のデータ表に埋め込まれ、以後は測定値表にデータが入力された瞬間にグラフ、GD値表(図7の右の表)や最新データによる評価値表「図8」が作成される。
【0055】
臨床実例の2は基準変換値表示と評価値変換表示の相違を、実例患者の肝機能測定数値に基づいて(これを公表するについては、患者の管理担当者及び病院総責任者の許可を得た。)対比したものである。図3と図4のGL値、GD値グラフは、同一測定値を基準変換した値(GL)と評価値変換した値をそれぞれ試料採取日付の上に折れ線グラフとして表示したものである。図3と図4はそれぞれの項目の時間的変動に関する読み取りには見かけ上、大差はない。
【0056】
図3のGL値グラフでは、各項目の時間的経過とY軸が−10と10の2線を越えるか否かの評価価値しか持たない。他方、GL値に比べると図4のGD値グラフでは、特にAlb(血清アルブミン)や TTT(チモール混濁試験) ZTT(硫酸亜鉛混濁試験)のような僅かな異常でも臨床的には重要な意味を持つ検査の値は大きな変動となり、また、数値の割にはそれに相当する程の臨床的な意義が少ない検査( AST、ALT )では、変動が小さくなる。なお、図3と図4ではコンピューター画面の識別し易い彩色線と彩色マークはモノカラー用に変更してある。
【0057】
LDH とrGTPは、基準変換式と評価値変換式が殆ど一致した。これらのように、基準変換式と評価値変換式が殆ど一致する場合が、かなりの検査項目で経験されている。
【0058】
血清アルブミン濃度の異常な減少は、肝細胞による合成能の低下か、分解又は腎炎や血管外漏出等の原因の究明が必要であるが、その低下が他の疾病をも含めた薬剤治療に対して副作用が出現し易く、投与しても治療効果も低くなるので、投薬療法には十分な注意と管理が要求されることを意味する。また、血清アルブミン濃度が評価値−25より低くなれば治療内容によっては、その補給も考慮することになる。
【0059】
本発明は以上のように構成されているので、重要な検査項目では臨床域では僅かな変動でもGD値は大きな値となり、余り重要でない検査では僅かな変動しか与えない。このようにGD変換では値そのものが統一された異常度或いは重症度を示し、何れの検査が異常なのか或いはテスト項目間の精密な変動の関係等の判定すら可能である。
【0060】
即ち、一人の患者について臨床診断における唯一の客観的科学的データである検査数値各項目が全て当患者にとっての臨床的意義の多寡としての臨床評価値に変換されれば、各検査項目間の臓器や生化学的反応系・調節系の異常の度合いを比較することができる。
【0061】
従って、多くの検査に異常値がある場合には、特にその最も異常な検査結果を示した臓器或いは測定内容の示す臨床的意味から、その基本的な疾患や原因を見出すことができるものである。
【0062】
図5は本発明による個別患者臨床検査数値データ処理システムをフローチャートとして示すもので、測定値シートにデータ、日付、単位、基準値、補正値を入力することにより、各ルーチン(プログラム)のデータ変換と換算が自動的に行われ、データファイルに格納されて呼出しにより画面表示されるようになっている。
【0063】
図5のフローチャートにおける太線矢印はプログラムの呼出し関係、鎖線矢印は関数参照と設定の関係、単線矢印はデータ変換・転送の関係を示す。
一般診断値は基準値或いは標準値及び成書記載の一般に知られている診断決定値から得た変換関数によって変換された値、疾病専門診断値は患者が罹患している特定の疾病に関連する項目で、その専門の医師らによって提称されている診断決定値から得られる変換関数によって変換された評価値を意味する。
また、個人診断値は長期管理している担当医が過去のデータから当患者の正常値を基準とするか、又は治療目的範囲値を基準として、治療内容を変更する診断決定値とその対応する臨床評価値から誘導された変換関数によって変換された評価値である。
【0064】
図6乃至8は、本発明による個別患者臨床検査数値データ処理システムによる画面表示の一例を示すもので、図6のフロント頁によって項目群を選択し新規測定によるデータ入力や治療内容等の確認を行う。(なお、図6乃至図8の評価値では各セルの評価値の程度に対応する背景色は、それぞれ対応させた模様に変更してある。)異常値(9より大きい絶対値)では太字、負数はイタリックで表示され、文字記録情報も含まれる。
【0065】
例えば、図6画面左側の生化Iを選択して打鍵することにより図7の画面が表示され左表の右端スペース(列D)に最新測定値を入力することにより、測定値が即座に変換されて右表(列G)に表示されると共に同項目の全グラフに記入が行われる。入力終了後、右表の変換値は重症度に応じた色分けと文字サイズの調整、次いで最新評価値表にコピーされる。
【0066】
図8は特定患者の各検査項目の評価値を総合的に表示し、異常度に応じて色分け(この図では模様に変更してある)されるように構成されている。
項目群名の右は、試料採取日付(月、日)が記されているが、この日付の試料では測定されていない項目では、最新の過去に測定された値が表示され下線が付されている。この画面によりその患者の病状について関連項目の対比や総合判断を行うことができ、健康状態、更に病態・病勢についての早期診断による対応が可能となるものである。
【0067】
以上のように、本発明が一人の患者についての診断決定値を織り込み、検査項目間での比較ができる表示方法を開発したことにより、臨床検査が示す臨床医の診断に必要な情報を十分に且つ即座に臨床医に提供することを可能としたものである。
【0068】
臨床検査結果を表示した数値或いはグラフが、個人に中心を置いて臨床的な意義を直接表示する提案は本発明が初めての提案であり、担当医を数値処理から解放して各検査の病態生理学的意義に集中させることができ、有効な診断と治療設計に大いなる効果を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】空腹時血清グルコース濃度(mg/dL )を例にとった基準変換値(S(x)=Tan−1(x)を用いた「式3」或いは「式17A」による変換値) 、一般診断値と個人診断値の関係を示す各関数のグラフ
【図2】図1の個人診断値のグラフを例にとって(p,P)、(q,Q) の所在領域により臨床評価値への変換関数構造を示す説明図。縦軸は臨床評価値、横軸は測定値である。
【図3】実例患者の肝機能測定値に基づき、測定時系列から基準変換値(GL値)による経過表示を行ったグラフ。横軸は試料採取日で、年度の変り目だけ年/月、その他は月/日である。
【図4】同じく実例患者の肝機能測定値に基づき、測定時系列から臨床評価値(GD値、一般診断値)による経過表示を行ったグラフ
【図5】本発明の検査数値データ処理システムのコンピュータープログラム相互の関係を示すフローチャート
【図6】図5のシステムの実行によって画面表示されるフロント頁
【図7】同じくシステムの実行によって画面表示される項目別測定値の入力画面。入力された測定値を即座に評価値に変換し、背景が色分け(ここでは模様の変化に置換)された過去の評価値と対比できる。
【図8】同じくシステムの実行によって画面表示される特定患者の最新の全検査項目の評価値を異常度に応じて色分け(ここでは模様の変化に置換)表示し、総合的に読み取る画面
Claims (7)
- 臨床検査数値データ項目について、各検査機関毎に異なる基準値と成書記載の診断決定値、或いは基礎疾患・合併症・治療の副作用等から予測される検査項目における個別患者の正常範囲値、診断決定値を任意に設定可能に構成し、診断時に同患者について測定した臨床検査数値データを入力することにより、上記設定による正常範囲値、診断決定値を基準とした診断上の重症度に対応する臨床診断評価値に変換処理するようにしたことを特徴とする個別患者臨床検査数値データ処理システム
- 診断上の重症度に従って治療レベルをランク付けする臨床診断評価値の正負の整数値への変換を、臨床診断評価値を所定の正負振幅数値の範囲とし、正常値範囲を−9〜9として、臨床検査数値データとして与えられるxが、2値で示され、下限値l(下限値lのlはlower の略で小文字のエル、以下同じ)より大若しくはイコール、上限値uより小若しくはイコールのタイプA、単値で示され、上限値uより小若しくはイコールのタイプB、単値で示され、下限値lより大若しくはイコールのタイプCの各タイプごとに、正負の整数値への変換前関数H(x)を置き、タイプAについて測定値領域を下限値lと上限値uの中点mで2分割して各々独立にH(x)内の自由関数F(x) を決定した後にこれらを中点で結合して変換処理を行うようにした請求項1記載の臨床検査数値データ処理システム
- 診断時に入力され正負の整数値に変換された個別患者についての測定臨床検査数値データを順次に個人別評価表として記録保存されるように構成した請求項2記載の臨床検査数値データ処理システム
- 入力された測定臨床検査数値データの、設定された正常範囲値、診断決定値を基準とした診断上の重症度に対応する臨床診断評価値への変換処理と、変換された臨床検査数値データを検査項目別に一覧表示し、基準範囲値と試料採取日付と共に表示する処理をコンピューターに実行させるためのプログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体
- 診断時に入力され正負の整数値に変換された個別患者についての測定臨床検査数値データを、その都度順次に個人別評価表として記録保存し、検査項目別経時的な一覧表示処理をコンピューターに実行させるためのプログラムを記録した請求項4記載のコンピューター読み取り可能な記録媒体
- 入力された臨床検査数値データの、各検査項目に付加された基準範囲境界値を基準とした偏差値に相当する標準値への変換処理と、変換された臨床検査数値データを検査項目別に基準範囲値と試料採取日付と共に表示する処理をコンピューターに実行させるためのプログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体
- 正常値との比較を行って診断評価し、正負の整数値として結果を表示する数字欄を、ランク別にそれぞれ任意に定める色彩に塗りつぶす表示処理をコンピューターに実行させるためのプログラムを記録した請求項4又は請求項5記載のコンピューター読み取り可能な記録媒体
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- 2003-01-20 JP JP2003010610A patent/JP2004227041A/ja active Pending
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