JP2004219339A - ソーナー受信音処理方法、ソーナー装置、シミュレーション方法、シミュレータ及びシミュレーション用プログラム - Google Patents

ソーナー受信音処理方法、ソーナー装置、シミュレーション方法、シミュレータ及びシミュレーション用プログラム Download PDF

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博 長倉
Koji Uda
康治 右田
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Abstract

【課題】海底に着底している物体、もしくは海底付近の物体を高い確率で検出することが出来るソーナー受信音処理方法を提供する。
【解決手段】本発明によるソーナー受信音処理方法は、発信器から水中で音波を発信し、反響する音波を受信器で受信して物体を探知するアクティブソーナーの受信音処理方法であって、海底1近くの物体、もしくは海底1に着底している物体2に遮られ、ソーナーSから直線的に音波が伝播しない海底の領域20から反響する残響音レベルを検出するステップと、検出された残響音レベルから物体2を探知するステップとを含むものである。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はアクティブ方式のソーナーの受信音処理方法等に係り、特に海底付近にある物体や海底に着底している物体を検出するためのソーナーの受信音処理方法、ソーナー装置、シミュレーション方法、シミュレータ及びシミュレーション用プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
水中の物体を音波もしくは超音波を使用して検出するためにソーナーが使用されている。ソーナーとして、自らが短い音を発信し、その音が物体に反響する音を受信して水中の物体の有無や物体までの距離等を探知するするアクティブソーナーが使用される場合があり、このようなソーナーでは、受信した反響音(エコー)の受信レベルが設定した閾値を越えた場合、物体があると判断する。従って、従来のソーナーは、受信した音波レベルの隆起をとらえて、物体を探知している。
【0003】
しかし、物体が海底に着底していたり、物体が海底付近に存在している場合、物体からのエコーと海底からのエコーである残響が時間的に重なり、物体からのエコーの検出が難しくなる。
【0004】
また、物体からのエコーを検出するために、閾値を低めに設定すると誤探知が増加する。逆に閾値を高めに設定すると、物体の見落としが増加する。
【0005】
このため、海底に着底していたり、物体が海底付近に存在している物体を高い確率で探知できるソーナーの受信音処理方法が求められる。
【0006】
また、ソーナーから発信される音波が、海底に着底している物体、または、海底付近に存在している物体により遮られている海底の領域(以下、シャドウ領域)からの反響音を検知して、その物体を高い確率で探知できるソーナーの信号処理方法が求められる。
【0007】
ソーナーの探知性能の評価は、実際に水中で評価するほか、シミュレータによるシミュレーションにより行なわれる場合がある。シミュレータは、コンピュータを含む演算装置であり、シミュレータへ、様々な条件を設定することにより、ソーナーの探知性能を評価するために使用される場合がある。
【0008】
従来のシミュレータは、ソーナーの位置、物体の位置、海底の位置等から、ソーナーが受信する反響音をシミュレーションする。従来のシミュレータにおいても、海底からの残響音や海底近くの物体からの反響音をシミュレーションすることは出来る。しかし、従来のシミュレータにおいては、シャドウ領域からの残響音をシミュレーションする方法は実施されていない。
【0009】
シャドウ領域からの残響音をシミュレーションすることが出来るシミュレーション方法及びシミュレーション用モデルが望まれる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の点に鑑み、海底に着底している物体、もしくは海底付近の物体を高い確率で検出することが出来るソーナー受信音処理方法及びソーナー装置を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、ソーナーの音波が物体に遮られて直線的に伝播しない海底からの残響音のレベル低下をシミュレーションすることが出来るソーナーシミュレーション用モデルを提供する、換言すれば、シミュレーション方法、シミュレータ及びシミュレーション用プログラムを提供することにある。
【0012】
本発明のその他の目的や新規な特徴は後述の実施の形態において明らかにする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
以下に、[発明の実施の形態]で使用する番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明の実施の形態]の記載との対応関係を明らかにするために付加されたものであるが、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0014】
本発明によるソーナー受信音処理方法は、水中で音波を発信し、反響する音波を受信して物体を探知するソーナー(S)の受信音処理方法であって、海底(1)近くの物体、もしくは海底(1)に着底している物体(2)に遮られ、ソーナー(S)から直線的に音波が伝播しない海底の領域(20)から反響する残響音レベルを検出するステップと、検出された残響音レベルから物体(2)を探知するステップとを含む。
【0015】
また、本発明によるソーナー受信音処理方法は、水中で音波を発信し、反響する音波を受信して物体を探知するソーナー(S)の受信音処理方法であって、海底(1)近くの物体、もしくは海底(1)に着底している物体(2)に反響する音波の反響音レベルを検出するステップと、物体に遮られ、ソーナー(S)から直線的に音波が伝播しない海底の領域(20)から反響する残響音レベルを検出するステップと、反響音レベルと残響音レベルとから物体(2)を探知するステップとを含む構成であってもよい。
【0016】
上記ソーナー受信音処理方法の残響音レベルから物体(2)を探知するステップにおいて、本発明によるソーナー受信音処理方法は、残響音レベルの落ち込みを検出して物体(2)を探知することができる。
【0017】
本発明によるソーナー装置(30)は、上記のいずれかに記載されたソーナー受信音処理方法を実施する。
【0018】
本発明のシミュレーション方法は、水中で音波を発信し、反響する音波を受信して物体の有無を探知するソーナー(S)のシミュレーション方法であって、海底(1)近くの物体、もしくは海底(1)に着底している物体(2)に遮られ、ソーナーから直線的に音波が伝播しない海底の領域(20)から反響する残響音レベルを算出するステップを含む。
【0019】
上記の本発明のシミュレーション方法は、さらに、残響音レベルを、海底(1)が複数の区分に区切られた各々の区分毎の面積である散乱面積(3)と、海底(1)にある角度で音波を入射した時に入射方向へ音波が反射する係数である散乱係数と、前記領域へ音波が回折して伝播する時の回折効果係数とを使用して算出することができる。
【0020】
また、本発明のシミュレーション方法は、水中で音波を発信し、反響する音波を受信して物体を探知するソーナー(S)のシミュレーション方法であって、海底(1)からの反響音を考慮する水中の領域における任意の位置の音波レベルを算出するモデル上で、海底(1)に対してソーナー(S)に線対称となる位置に仮のソーナー(S’)を仮定するステップと、前記モデル上で海底(1)を消去するステップと、ソーナー(S)が音波を発信すると同時に、仮のソーナー(S’)が、ソーナー(S)の音波が海底(1)で反射される反響音を発信するステップとを含むことができる。
【0021】
本発明のシミュレーション方法は、さらに、海底(1)からの反響音を考慮する水中の領域に物体(2)がある場合、海底(1)に対して物体(2)に線対称となる位置に仮の物体(2’)を仮定するステップをさらに含んでもよい。
【0022】
本発明のシミュレータ(40)は、上記のいずれかに記載されたシミュレーション方法を使用する。
【0023】
本発明のシミュレーション用プログラムは、上記のいずれかに記載されたシミュレーション方法を、コンピュータを使用して実現する。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るソーナー受信音処理方法、ソーナー装置、シミュレーション方法、シミュレータ及びシミュレーション用プログラムの実施の形態を図面に従って説明する。
【0025】
(実施の形態1)
本発明は、海底付近もしくは海底に着底している物体を、高い確率で探知するためのソーナー受信音処理方法及びその方法を使用するソーナー装置に関するものであり、図1及び図2を用いて実施の形態1を説明する。
【0026】
図2は実施の形態1におけるソーナー装置30の構成を示し、ソーナー装置30は、処理装置31、発信器32、受信器33、入力部34、表示部35、及びスピーカ36を具備する。処理装置31は、CPU等を含むコンピュータで、発信音の制御や受信音の解析を行なう。発信器32は、水中に音波を発信する部分で、スピーカに代表される。受信器33は、水中の音波を受信する部分で、マイクロフォンに代表される。入力部34は、ソーナー使用者が音波発信の命令や各種条件を入力する入力部で、キーボードや各種スイッチに代表される。表示部35は、受信した音波の波形や、解析結果、探知した物体の位置関係等を表示する部分で、モニタに代表される。スピーカ36は、発信した音波及び受信した音波をソーナー使用者に聞こえるように出力する部分である。
【0027】
図1(a)は、ソーナーS(図2のソーナー装置30の発信器32及び受信器33の位置)、海底1、物体2の鉛直面上の位置関係モデルを示す。この場合、ソーナーSが、海底1から鉛直方向に離れた水中に位置し、物体2がソーナーから水平方向に離れた海底1上に着底している。海底1は、水平かつ無限の平面と仮定する。
【0028】
図1(b)は、横軸に音波を受信する時間tを、縦軸にソーナーSが受信する音波のレベルを示すグラフである。音波を受信する時間は、ソーナーSと、残響音や反響音を反射する地点との距離に対応する。
【0029】
以後、残響音とは、海底1から、音波の入射角に対称角度で反響する音波以外でソーナーSで受信する音とする。具体的には、ソーナーSの発信器32からソーナーピンを発信した後、音波は水中を伝播するが、鉛直方向に伝播した音波が垂直に海底に入射し、海底1で反射されて、最初に大きなレベルで反響音が受信器33で受信される。これを反響音とする。ソーナーSから海底に垂直な点から離れた点には、ある角度をもって音波が入射され、その角度に対称な角度で音波が反射される。しかし、音波の波動は広がりを持って伝播するため一部はソーナーS方向に伝播して、ソーナーSで受信される。この音波を残響音とする。
【0030】
ソーナーSは、水平な海底からある距離を有した水中で、既知の周波数を持つソーナーピンを発信する。ソーナーSは、音波の発信から一定時間経過後、海底からの反響音を受信する。その後も連続する海底1から残響音を受信する。ここで海底は水平と仮定しているので、ソーナーSが受信する残響音レベルは、図1(b)の線Wに示されるように、残響音を反射する海底までの距離に応じて時間と共に低下する。その後、物体2からの反響音を受信するため、線Xのように受信する反響音レベルが隆起する。この反響音は、海底1からの残響音と同時に受信されるので、海底1から離れた位置に物体2がある時に比べ検出し難い。
【0031】
物体2からの反響音を受信した後は、受信する残響音のレベルが線Yのように落ち込む。
【0032】
この受信レベルの落ち込みは以下のように発生する。
【0033】
物体2が無ければ破線に示されるレベルで海底からの残響音を受信するところ、物体2に遮られ、直線的にソーナーSからの音波が伝わらない海底1へは、回折した音波が海底1に伝わる。さらに、回折した音が海底1で反響し、その音も物体2が障害となって直線的にソーナーSに伝わらず、再度回折した残響音がソーナーSに伝播する。このため、伝播する音波のレベルが回折により減衰することにより、受信レベルの落ち込みが発生する。
【0034】
ここで、ソーナーSからの音波が、物体2に遮られ、直線的に伝わらない海底の領域をシャドウ領域20とする。
【0035】
ソーナーSは、シャドウ領域20からの残響音を受信後、シャドウ領域20より遠い海底1から、線Wの直線延長線上にある線Zで示されるように残響音を受信する。
【0036】
このように、物体2に反響した音だけでなく、シャドウ領域20の海底からの残響音の受信レベルの落ち込みをとらえることにより、より高い確率で海底に着底している物体もしくは海底付近の物体を探知することが出来る。
【0037】
従って、ソーナー装置30の処理装置31は、発信器32及び受信器33を制御して発信器32により水中で音波を発信し、反響する音波を受信器33で受信し、海底1に着底している物体2に反響する音波の反響音レベルを検出するステップと、物体2に遮られ、ソーナーSから直線的に音波が伝播しない海底のシャドウ領域20から反響する残響音レベルを検出するステップと、反響音レベルと残響音レベルとから物体2を探知するステップとを順次実行することで、物体の有無を検出することができる。
【0038】
本実施の形態では、海底1に着底している物体2について説明されたが、海底付近の物体についても、シャドウ領域が発生するので同様に検出することが出来る。
【0039】
(実施の形態2)
実施の形態2では、水中で音波を発信し、反響する音波を受信して物体の有無を探知するソーナーにおいて、シャドウ領域20からの残響音をシミュレーションする方法が説明される。
【0040】
上記のようなシャドウ領域20を使用した物体2の検出方法を、様々に条件を変えて実機で検証、評価するには限界があるため、シミュレータによるシミュレーションが行なわれる。このため、シャドウ領域20を考慮したモデルが組み込まれた(換言すれば該モデルを実現するためのプログラムを実行する)シミュレータが使用される。
【0041】
図3を参照して、シミュレータ40の構成が説明される。シミュレータ40は、演算部41、表示部42、入力部43を具備する。演算部41は、CPUを含むコンピュータ本体に代表され、記憶装置やメモリーを含み、シミュレーション用プログラムを使用して、使用者が入力した条件でシミュレーションを行なう。表示部42は、使用者が入力した条件やシミュレーション結果を表示する。表示部42はモニタに代表される。入力部43は、使用者が条件等を入力する装置で、キーボードに代表される。
【0042】
通常の海底1からの残響レベルは演算部41において以下の式により求められる。
(残響レベル)=(散乱面積)×(散乱係数)
【0043】
残響レベルは連続する海底1までの距離に対して連続的に変化するが、シミュレーション上は、ソーナーSからの距離により、海底をある面積の区分に区切って、区分毎に残響レベルを算出する。散乱面積は、海底を区切った区分の面積である。
【0044】
散乱係数は、ある音波をある角度で上記面積に入射したとき、どれくらい入射した方向へ音波が伝播するか示す係数である。
【0045】
シャドウ領域20の海底からの残響レベルは以下の式により求められる。
(残響レベル)=(散乱面積)×(散乱係数)×2×(回折効果係数)
【0046】
散乱面積は、海底を区切った区分の面積である。図4は、物体2と海底の上視図を示す。散乱面積3は物体2からある距離離れた区分の面積を示す。決められた距離毎に散乱面積3が求められる。散乱係数は、ある音波をある角度で上記面積に入射したとき、どれくらい入射した方向へ音波が反響するか示す係数である。回折効果係数は、回折した音のレベルがどれくらい低下するかを示す係数である。音波は、回折角が大きければ、低下率も大きくなる。すなわち、シャドウ領域20の中で物体2に近いほど、低下幅が大きくなる。
【0047】
シャドウ領域20からの残響は、以下のように伝わる。
【0048】
音波は発信源から影になっている領域には回折して伝播する。ソーナーSから物体2により影になっているシャドウ領域20には、回折した音が伝播する。伝播した音波はシャドウ領域20で、ある散乱係数をもって反響する。さらに、反響した音波は、反響地点からソーナーSが物体2の影になっているので、回折した音波がソーナーSに伝播する。この場合、音波は2回、同じ角度で回折をしている。このため回折効果係数には2が乗じられる。
【0049】
次に図5を参照して、回折効果係数について説明する。
【0050】
図5(a)は、物体2とシャドウ領域20の鉛直面上の(横から見た)関係のモデルを示す。入射角αは、ソーナーSから物体2上部に対して引かれる接線と、海底1とで形成される角度を示す。点A〜Hは、物体2から、ある等間隔の距離で離れた海底1の地点を示す。点Aは物体2が海底に接する点である。図5(a)では、ソーナーSから物体2に対しての接線が、点Gで海底と交わるので、点Aから点Gの間がシャドウ領域20となる。入射角αが小さくなれば、シャドウ領域20は広くなり、入射角αが大きくなれば、シャドウ領域20は狭くなる。
【0051】
図5(b)は、海底の各位置からの、物体2が無い時の残響音と、物体があるときにソーナーSが受信する低下した残響音のレベルの例を示している。それぞれの地点における破線と実線の差が、低下幅である。物体2に近いほど低下幅が大きい。点Aと点Bの間は、物体2の形状などにより複雑な残響音が発生するが、シャドウ領域20検出のために必要な間隔で点の間隔が決められるので、各地点間は滑らかな線で結ばれている。回折や反射により低下する音波のレベルは、境界要素法等で算出される。
【0052】
図5のモデルで求められる回折効果係数は、図6の表として示される。入射角(グレージング角)α(deg)を示す行11と位置を示す列12に対応する回折効果係数が、行11と列12の交差する表内の欄13に記入される。回折効果係数は、デシベル(dB)表示で示される。
【0053】
シミュレータ40は、ソーナーSの位置、物体2までの水平距離、鉛直距離、海底までの距離、物体Sの大きさにより、入射角度αを決定することで、物体2からの各地点の回折効果係数を、表10を参照して求めることができる。
【0054】
シャドウ領域20をシミュレータに組み込み、どのような残響音を受信することが出来るかシミュレーション試験することにより、シャドウ検出処理のパラメータの設定を最適化できる。ここでのパラメータは、シャドウ領域20に対するゲートレベル、ソーナー受信音処理における積分処理の時定数、シャドウ検出処理を行なう時の音波の送信パルス幅、ソーナーS位置の海底高度等である。
【0055】
シミュレーションする場合に、散乱面積がどのように決定されるかを、図7を参照して説明する。図7は、物体2と海底の上視図と、等レンジ線及び等ドップラ線で囲まれた計算領域4を示す。シャドウ領域5は、物体2によりソーナーからの音波が直線的に伝播しない領域である。
【0056】
散乱面積を算出するため、等レンジ線(r1、r2、…)、等ドップラ線(d1、d2、…)で囲まれた領域(以下、計算領域4)毎に海底を分割し、各計算領域4の面積を散乱面積とする。ここで、等レンジ線(r1、r2、…)はソーナーSからある距離間隔で等水平距離にある海底上の地点を結んだ線を示す。等ドップラ線(d1、d2、…)は、ソーナーSが移動している時、ドップラ効果により反響音の周波数が同じように変化する点を結んだ線である。
【0057】
計算領域4の全面がシャドウ領域5となっている場合、この領域全体にシャドウモデルを適用して残響レベルを算出する。
【0058】
計算領域4の一部がシャドウ領域5となっている場合、計算領域4をシャドウ領域5と通常の海底の領域に分割して、各々の残響レベルを算出し、両者の和を対象計算領域の残響レベルとする。
【0059】
次に、図8を参照して、水中の任意の位置の音の強さを算出する方法が説明される。図8は、ソーナーS、物体2、海底1と、仮のソーナーS’、仮の物体2’の鉛直面上の位置関係を示すモデルである。
【0060】
各時間における水中各地点の音のレベルは、境界要素法で求められる。境界要素法では、水中物体の表面を、ある大きさに分割し、それぞれの境界上に未知数を取って数値解析する。境界要素法を使用する場合、無限領域で計算することが好ましいが、海底1があると無限長さの海底の条件設定が必要となる。無限の海底1を設定することは計算上好ましくないため、図8に示されるように、海底に対して線対称の位置に、仮のソーナーS’と、仮の物体2’を仮定する。ソーナー1から発信される音波が海底1に反射される音波を、仮のソーナーS’が発信するように仮定する。これにより、海底1が無視でき、無限領域での計算が可能となる。
【0061】
具体的には、地点Oには、ソーナーSからの音が伝播した後、連続する海底からの反射音が伝播するが、反射音の代わりに、その反射音を仮のソーナーS’から、ソーナーSの音波発信と同時に発信する。これにより仮のソーナーS’から発信される音波を、海底1の反響音として計算することができ、海底1の設定をする必要がない。これにより、境界要素法が適用でき、水中の各時間における各地点の音のレベルが求められる。
【0062】
以上本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されることなく請求項の記載の範囲内において各種の変形、変更が可能なことは当業者には自明であろう。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るソーナー受信音処理方法及び当該方法を用いるソーナー装置は、海底に着底している物体、もしくは海底付近の物体を高い確率で検出することが出来る。
【0064】
また、本発明のソーナーシミュレーション用モデルを使用するシミュレーション方法、シミュレータ及びシミュレーション用プログラムは、物体の影になった海底からの残響音のレベル低下を良好にシミュレーションすることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】ソーナーと物体の位置関係及び音波レベルであって、(a)は、ソーナーS、海底1、物体2の鉛直面上の位置関係のモデルを示す説明図、(b)は、横軸にソーナーSが音波を受信する時間を、縦軸にソーナーSが受信する音波のレベルを示すグラフである。
【図2】本発明の実施の形態1におけるソーナー装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態2におけるシミュレータの構成を示すブロック図である。
【図4】物体2と海底1の位置関係を示す上視図である。
【図5】(a)は、物体2とシャドウ領域20の鉛直面上の関係のモデルを示す説明図、(b)は、海底の各位置からの、物体2が無い時の残響音と、物体があるときにソーナーSが受信する低下した残響音のレベルを示すグラフである。
【図6】回折効果係数を記載した表の例を示す説明図である。
【図7】物体2と海底の上視図と、等レンジ線及び等ドップラ線で囲まれた計算領域の例を示す説明図である。
【図8】ソーナーS、物体2、海底1と、仮のソーナーS’、仮の物体2’の鉛直面上の位置関係のモデルを示す説明図である。
【符号の説明】
1 海底
2 物体
2’ 仮の物体
3 散乱面積
4 計算領域
5 シャドウ領域
10 (回折効果係数)表
11 (入射角を示す)行
12 (位置を示す)列
13 (回折効果係数が記載される)欄
20 シャドウ領域
30 ソーナー装置
31 処理装置
32 発信器
33 受信器
34 入力部
35 表示部
36 スピーカ
40 シミュレータ
41 演算部
42 表示部
43 入力部
α 入射角
S ソーナー
S’ 仮のソーナー
A、B、C、D、E、F、G、H (物体2から等間隔で離れた)地点
d1、d2 等レンジ線
r1、r2 等ドップラ線

Claims (10)

  1. 水中で音波を発信し、反響する音波を受信して物体を探知するソーナーの受信音処理方法において、
    海底近くの物体、もしくは海底に着底している物体に遮られ、前記ソーナーから直線的に音波が伝播しない海底の領域から反響する残響音レベルを検出するステップと、
    検出された前記残響音レベルから前記物体を探知するステップとを含むことを特徴とするソーナー受信音処理方法。
  2. 水中で音波を発信し、反響する音波を受信して物体を探知するソーナーの受信音処理方法において、
    海底近くの物体、もしくは海底に着底している物体に反響する音波の反響音レベルを検出するステップと、
    前記物体に遮られ、前記ソーナーから直線的に音波が伝播しない海底の領域から反響する残響音レベルを検出するステップと、
    前記反響音レベルと前記残響音レベルとから前記物体を探知するステップとを含むことを特徴とするソーナー受信音処理方法。
  3. 前記残響音レベルから物体を探知するステップは、前記残響音レベルの落ち込みを検出して前記物体を探知する請求項1又は2記載のソーナー受信音処理方法。
  4. 請求項1,2又は3記載のソーナー受信音処理方法を使用するソーナー装置。
  5. 水中で音波を発信し、反響する音波を受信して物体の有無を探知するソーナーのシミュレーション方法において、
    海底近くの物体、もしくは海底に着底している物体に遮られ、前記ソーナーから直線的に音波が伝播しない海底の領域から反響する残響音レベルを算出するステップを含むことを特徴とするシミュレーション方法。
  6. 前記残響音レベルを、前記海底が複数の区分に区切られた各々の区分毎の面積である散乱面積と、前記散乱面積にある角度で音波を入射した時に入射方向へ前記音波が反射する係数である散乱係数と、前記領域へ音波が回折して伝播する時の回折効果係数とを使用して算出する請求項5記載のシミュレーション方法。
  7. 水中で音波を発信し、反響する音波を受信して物体を探知するソーナーのシミュレーション方法において、
    海底からの反響音を考慮する水中の領域における任意の位置の音波レベルを算出するモデル上で、
    前記海底に対して前記ソーナーに線対称となる位置に仮のソーナーを仮定するステップと、
    前記モデル上で前記海底を消去するステップと、
    前記ソーナーが音波を発信すると同時に、前記仮のソーナーが、前記ソーナーの音波が前記海底で反射される反響音を発信するステップとを含むことを特徴とするシミュレーション方法。
  8. 前記海底からの反響音を考慮する水中の領域に物体がある場合、前記海底に対して前記物体に線対称となる位置に仮の物体を仮定するステップをさらに含む請求項7記載のシミュレーション方法。
  9. 請求項5乃至8のいずれかに記載のシミュレーション方法を使用するシミュレータ。
  10. 請求項5乃至8のいずれかに記載のシミュレーション方法をコンピュータを使用して実現するシミュレーション用プログラム。
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