【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、整流特性を有する有機−無機半導体ヘテロ接合を有する光半導体素子に関し、例えば、紫外線の照射による電気抵抗の変化や光起電力を利用した光伝導セル、フォトダイオード、紫外線センサーに関する。
【0002】
【従来の技術】
有機−無機半導体複合材料を用いた電子デバイスの研究が活発に行われている。これは無機半導体の高い電気伝導性や光学特性を有機半導体のフレキシブルなプロセス化技術と組み合わせることにより、従来のシリコンベース半導体素子を置き換えたり、新たなデバイスを作製することを目的としている。特に最近、誘電体薄膜上にペンタセンなどの有機薄膜を積層した電界効果型トランジスターの研究が盛んに行われている(特許文献1など)。
【0003】
一方、オプトエレクトロニクス分野では主に可視、赤外領域の光を用いた光通信やセンサー技術が用いられているが、近年、より多くの情報量伝達を行うために紫外領域の光を用いる技術開発が盛んに行われている。また、半導体の微細加工に用いるフォトリソグラフィーにおいても、より微細な加工を可能とする紫外線フォトリソグラフィー技術の開発が行われている。今後、紫外線を用いる技術開発が益々重要になると予想される。
【0004】
一方、環境問題においてはオゾンホールの発生に伴い地球に降り注ぐ紫外線量の増加が懸念されている。紫外線は一般に人体に有害であり、皮膚病などを誘発する。これを回避するには地球規模の環境対策とともに、個人レベルでの紫外線警告対策が必要であり、簡便で安価な小型紫外線センサーが必要である。
【0005】
従来から用いられている紫外線センサーの用途として火災報知器がある。これは炎から発せられる微弱な紫外線を可視および赤外の外光に邪魔されずに検出することにより、炎の発生や強度をモニターするものであり、火災発生の報知やボイラーなどの炎の監視に使用されている。
【0006】
現在、半導体を用いた光センサーには光伝導または光起電力を利用したものが使われている。前者には硫化カドミウム、硫化鉛等を用いた光伝導セルがあり、後者にはシリコンなどのpn接合を用いたフォトダイオードがある。これらの半導体材料はバンドギャップエネルギーが2eV以下であるため、可視から近赤外領域の光に対して高い感度を有するが、3eV以上のエネルギーを有する紫外線に対しては感度が低い。
【0007】
従来の光伝導セルの材料としては、いずれもカドミウム、鉛といった環境衛生上問題となる材料を用いており好ましくない。これに対し本発明にあっては毒性の強い材料を使用せず、環境衛生上も好ましい。
また、従来のフォトダイオードは主に高価なシリコンのpn接合を用いており、高コストである。
【0008】
火災の検知および火炎の制御を行うためには、可視光や赤外光などの外光に影響されず炎中から発せられる微弱な紫外線を選択的に高感度に検出することが必要である。そのために波長が240nm及至280nmの紫外線が利用されている。
現在広く使用されている火災報知用の紫外線センサーとして紫外線検出管(UVtron)がある。これはガス入り光電管の一種であり、波長185〜260nmの紫外線に対して感度を有する。しかしながら最も重要な波長240nm及至280nmの紫外線に対しては感度が低く、その量子効率は10%以下である。また、光電管であるため300V前後の高い動作電圧において動作することから複雑な回路を必要とし、また、寿命にも問題がある。さらに、紫外線検出方向に強い指向性があり、設置条件に関する自由度が低い。これを改善するため、複数のセンサーを用いた火災報知器が提案されている(特許文献2)。
【0009】
一方、これらの困難を克服するために無機半導体の光導電型紫外線センサーが提案されている。例えば、AlxGa1−xNを用いた光導電センサーではそのバンドギャップを調整することにより、波長200nm及至280nmの紫外線に選択的な感度を有し、かつ無指向性の紫外線センサーが提案されている(特許文献3)。
しかし、AlxGa1−xNを用いた光導電センサーでは火炎が存在しないときの暗電流が大きく、火炎が存在するときの明電流との差が小さいため、高精度の電気信号検出や温度補償が必要となり、感度が低い。また、複雑な素子構成を必要とするため高コストとなる。
【0010】
チタンを含む酸化物はその高い化学的安定性や触媒作用のために古くから様々な材料として用いられている。特に高い光学活性を有するため、光触媒や太陽電池用の材料として多くの実用研究がなされている。その電気的性質は大きなバンドギャップ(例えば、二酸化チタンでは3.0eV、チタン酸ストロンチウムでは3.2eV)を有する半導体である。よって可視・赤外光に対しては吸収を示さず、400nm以下の波長の紫外線のみをよく吸収する。また不純物としてNb,Ta,As,Sb,W、または、Laを少量ドープすること、または酸素欠損を導入することによりn型半導体特性を持たせたものでは弱い光伝導現象を示すことが知られている。しかしながら、その光伝導性は小さく、センサーなどへの応用は困難である。
【0011】
二酸化チタンに白金やルテニウムなどを担持することにより光触媒活性が向上することが知られている。また、二酸化チタンを用いた太陽電池セルにおいてはその光エネルギー変換効率の改善を目指して適当な色素分子を吸着させる試みが行われている。後者の有機−無機複合材料においては太陽光を色素分子が吸収し、生成された電子−ホールペアのうち電子が二酸化チタンに移動することが知られている。
【0012】
また、pn接合型の太陽電池セルとして、p型半導体にテトラフェニルジアミン系化合物、銅フタロシアニン系化合物またはスターバーストアミン系化合物からなる有機p型半導体を用い、n型半導体として、インジウム(In)−亜鉛(Zn)−硫黄(S)からなる無機p型半導体を用いる提案がなされている(特許文献4)。しかしながら、太陽電池セルはもともと可視光を対象としており、紫外線を検出するセンサーなどに応用することはできない。
【0013】
本発明者らはn型チタン酸化物上に種々の遷移金属酸化物薄膜を積層し、無機ヘテロ接合を作製した。これに紫外線を照射するとチタン酸化物中に生成された電子−ホールペアのうちホールのみが選択的に遷移金属酸化物薄膜に移動することを見出した。その結果、遷移金属酸化物薄膜の電気抵抗が急激に減少し、また、接合を通して大きな光起電力を発生する。
本発明者らはこれを用いたエレクトロニクスデバイスをすでに提案している(特許文献5)。
【0014】
【特許文献】
特許文献1:特開平10−270712号公報
特許文献2:特開平6−290375号公報
特許文献3:特開平6−232605号公報
特許文献4:特開2001−7355号公報
特許文献5:特願2002−332745
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、良好な整流特性を示す無機−有機半導体接合を有する光半導体素子を得ることを目的とする。そして、この光半導体素子を用いて低コストで紫外線のみに対して高感度な小型光センサーを提供する。これは太陽光中に含まれる人体に有害な紫外線量を簡便に検出するセンサーを与える。また、火炎から放射される紫外線を選択的に高効率に検出し、火災報知器などの火炎センサーとして使用される。
【0016】
【課題を解決するための手段】
無機半導体として少量のドナーをドープしたn型チタン酸化物半導体(TiO2、SrTiO3またはBaTiO3)を用い、有機半導体としてフタロシアニンを含む分子性化合物またはポリチオフェンを含む高分子化合物薄膜を用いる。前者の単結晶、多結晶体または厚膜上に後者の薄膜を溶液滴下法、スピンコーティング法、インクジェット印刷法、蒸着法などにより作製する。これによりpn接合またはこれと類似する特性を有するヘテロ接合を形成する。
【0017】
上記n型チタン酸化物半導体は可視光、赤外光を吸収せず、紫外光のみを吸収する。一方、有機半導体は可視光領域に吸収を有するが、薄膜化することでその吸収は無視できる。
【0018】
本発明に係る光半導体素子における有機−無機半導体ヘテロ接合の大きな特徴は、その接合バンド構造にある。チタン酸化物が3eV程度の大きなバンドギャップを持つのに対し、有機半導体は1〜2eV程度の小さなバンドギャップを持つ。両者の接合を作製したとき、価電子帯のトップと伝導帯のボトムは共に有機半導体側が高い位置に来る。ところがバンドギャップの値が大きく異なること、および、チタン酸化物のフェルミ準位が伝導帯の直下にあることから、接合近傍において特に荷電子帯に大きなポテンシャル勾配が生じる。
以上のような特徴的なバンド構造から、本接合デバイスは通常の半導体pn接合と同様の整流特性を示す。
【0019】
この接合に紫外線を照射した場合、チタン酸化物基板内で生成した電子とホールのうち、ホールのみが有機半導体薄膜に移動し、光誘起のpn接合が形成される。よって、紫外線照射により有機半導体薄膜の電気抵抗が減少し、光伝導セルとして機能する。また、この時、基板と薄膜の間には接合を通して光起電力が生じるため、フォトダイオードとして機能する。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。デバイスの基本となる部分は、Nb,Ta,As,Sb、W、または、Laを添加した、または酸素欠損を導入した二酸化チタン(TiO2)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)またはチタン酸バリウム(BaTiO3)基板上に、フタロシアニンを含む分子性化合物またはポリチオフェンを含む高分子化合物を積層したものからなる。基板の厚さは0.1〜1mm程度であり、薄膜の厚さは数μm以下であることが望ましい。基板中のドナー濃度は0.1%以下が好ましい。
【0021】
図1に光伝導セルの基本構造を示す。チタン酸化物基板上に成長させた有機半導体薄膜上に1対の電極A,Bを作製する。この電極間に数ミリVから数V程度の電圧を印加し、流れる電流値の紫外線照射による変化を出力として取り出す。
【0022】
図2に光起電力セルの基本構造を示す。有機半導体薄膜表面とチタン酸化物基板表面に作製した電極A,B間の電圧を測定する。紫外線照射による電圧の変化をセンサー出力として取り出す。
【0023】
図3に本デバイスの基本となるチタン酸化物と有機半導体からなるヘテロ接合の模式的なバンド構造を示す。チタン酸化物は3eV程度の大きなバンドギャップを持つのに対し有機半導体は1〜2eV程度の小さなバンドギャップを持つ。両者の接合を作製したとき、図3のように価電子帯のトップと伝導帯のボトムは共に有機半導体側が高い位置に来る。ところがバンドギャップの値が大きく異なること、および、チタン酸化物のフェルミ準位が伝導帯の直下にあることから、特に荷電子帯に大きなポテンシャル勾配が生じる。
【0024】
図4に本デバイスの基本となるチタン酸化物と有機半導体からなるヘテロ接合に紫外線を照射したときの模式的なバンド構造を示す。紫外線はチタン酸化物によって効率的に吸収され、価電子帯にホールが伝導帯に電子が生成される。接合での内部電場によりホールのみが有機半導体薄膜に移動するので、有機半導体側が正に帯電する。この光起電力を測定することで照射された紫外線強度を測定することが出来る。一方、外部回路で短絡してやると光電流が取り出される。さらに有機半導体はホールドーピングされるので、それ自身の電気抵抗が減少し、これを測定することでも紫外線強度を知ることが出来る。
【0025】
有機半導体薄膜は水溶液または有機溶液を基板上に滴下することによって簡便に作製することができる。
【0026】
NbをドープしたTiO2基板上およびSrTiO3基板上にポリチオフェン高分子(PEDOT)薄膜を作製した。基板および薄膜の厚さは0.5mmおよび0.5μmである。ポリチオフェン高分子(PEDOT−PSS)の構造式は図5に示す。
【0027】
NbまたはLaをドープしたTiO2基板上およびSrTiO3基板上にニッケルフタロシアニン(NiPc)薄膜を作製した。基板および薄膜の厚さは0.5mmおよび1μmである。ニッケルフタロシアニン(NiPc)の構造式は図5に示す。
【0028】
図6に上記のPEDOT−PSS/TiO2:Nb接合およびPEDOT−PSS/SrTiO3:Nb接合における光伝導度の光強度依存性を示した。光源にはキセノンランプを使用し、波長300〜400nmの紫外光および波長400〜700nmの可視光を取り出して試料に照射した。ともに紫外光に対して大きな光伝導性を示し、可視光に対しては2桁程度低い値を示した。
【0029】
図7にPEDOT−PSS/TiO2:Nb接合およびPEDOT−PSS/SrTiO3:Nb接合の電流−電圧特性を示す。紫外線照射を行わないときは、正バイアスにおいて(PEDOT−PSS側がプラス電圧)0.5〜0.7Vあたりから急激に電流が増大するが、負バイアスではほとんど電流が流れない。このような整流特性は無機半導体pn接合と同等のものである。一方、37.7mWcm−2の紫外光を照射するとゼロバイアスで逆方向電流Iscが流れ、また、電流ゼロにおいて光起電力Voc=0.55V(TiO2:Nb)、0.74V(SrTiO3:Nb)が発生し、通常のシリコンフォトダイオードと類似の特性を示した。
【0030】
図8は室温においてPEDOT−PSS/SrTiO3:Nb接合の光起電力を光強度に対して図示したものである。紫外線に対しては、光強度が10−6から10−1mWcm−2の非常に広範囲にわたって起電力が光強度に比例する領域が見られる。このような比例関係はセンサー回路の簡単化に極めて有利である。また、その広いダイナミックレンジは素子の高い感度を意味する。一方、可視光に対してはこの比例領域においてほとんど起電力を発生しないことがわかる。また、10−1mWcm−2以上の光強度に対しても可視光での感度は紫外光のそれに比べてはるかに低い。
【0031】
図9は上記のニッケルフタロシアニン(NiPc)/TiO2:Nb接合の光起電力を光強度に対して図示したものである。PEDOT−PSSの場合と同様に紫外光に対してのみ高い感度を示した。
【0032】
図10はPEDOT−PSS/TiO2:Nb接合において、0.5mWcm−2の微弱な光を照射したときの光起電力をエネルギー(波長)の関数としてプロットしたものである。エネルギー3eV以下(波長410nm以上)の光に対してはほとんど起電力が発生しないが、エネルギー3eV以上(波長410nm以下)6eV(波長200nm以上)までの光に対しては大きな起電力が得られる。特に火炎検知に重要なエネルギー4.4〜5.2eV(波長240〜280nm)領域の光に対して大きな出力を示す。波長300nmの光に対する量子効率は30%以上であった。
【0033】
【発明の効果】
以上に説明したように本発明に係る光半導体素子は、紫外光のみを選択的に高感度で検出する簡便で低コストな紫外線センサーとして応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光半導体素子としての光伝導セルの基本となる部分を示す図
【図2】本発明に係る光半導体素子としての光起電力セルの基本となる部分を示す図
【図3】本発明に係る光半導体素子(紫外線センサー)の基本となるバンド構造を示す図
【図4】本発明に係る光半導体素子(紫外線センサー)に紫外線を照射したときのバンド構造を示す図
【図5】ポリチオフェン高分子(PEDOT−PSS)およびニッケルフタロシアニン(NiPc)の構造式を示す図
【図6】本発明に係る光半導体素子(紫外線センサー)のPEDOT−PSS/TiO2:NbおよびPEDOT−PSS/SrTiO3:Nbにおける光伝導度の光強度依存性を示す図
【図7】本発明に係る光半導体素子(紫外線センサー)のPEDOT−PSS/TiO2:NbおよびPEDOT−PSS/SrTiO3:Nbにおける接合の電流−電圧特性を示す図
【図8】PEDOT−PSS/SrTiO3:Nbにおける光起電力の光強度依存性を示す図
【図9】NiPc/TiO2:Nbにおける光起電力の光強度依存性を示す図
【図10】PEDOT−PSS/TiO2:Nbにおける光起電力の光エネルギー(波長)依存性を示す図[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to an optical semiconductor device having an organic-inorganic semiconductor heterojunction having rectification characteristics, and for example, relates to a photoconductive cell, a photodiode, and an ultraviolet sensor using a change in electric resistance due to irradiation of ultraviolet rays and photovoltaic power.
[0002]
[Prior art]
Research on electronic devices using organic-inorganic semiconductor composite materials has been actively conducted. The purpose of this is to replace the conventional silicon-based semiconductor element or to create a new device by combining the high electrical conductivity and optical properties of an inorganic semiconductor with the flexible processing technology of an organic semiconductor. In particular, recently, a field effect transistor in which an organic thin film such as pentacene is stacked on a dielectric thin film has been actively researched (Patent Document 1, etc.).
[0003]
On the other hand, optical communication and sensor technology using light in the visible and infrared regions are mainly used in the field of optoelectronics. In recent years, technology development using light in the ultraviolet region to transmit more information has been developed. Is being actively conducted. In photolithography used for fine processing of semiconductors, ultraviolet photolithography technology that enables finer processing has been developed. It is expected that technology development using ultraviolet rays will become more important in the future.
[0004]
On the other hand, regarding environmental issues, there is a concern that the amount of ultraviolet rays falling on the earth due to the generation of the ozone hole will increase. Ultraviolet rays are generally harmful to the human body and induce skin diseases and the like. In order to avoid this, together with global environmental measures, it is necessary to take measures against ultraviolet rays at the individual level, and a simple and inexpensive small-sized ultraviolet sensor is required.
[0005]
There is a fire alarm as an application of a conventionally used ultraviolet sensor. This monitors the generation and intensity of the flame by detecting the weak ultraviolet rays emitted from the flame without being disturbed by visible and infrared external light, and reports the occurrence of a fire or monitors the flame of a boiler or the like. Used in
[0006]
At present, an optical sensor using a semiconductor using photoconductive or photovoltaic is used. The former includes a photoconductive cell using cadmium sulfide, lead sulfide, or the like, and the latter includes a photodiode using a pn junction such as silicon. Since these semiconductor materials have a band gap energy of 2 eV or less, they have high sensitivity to light in the visible to near infrared region, but have low sensitivity to ultraviolet light having an energy of 3 eV or more.
[0007]
As a material for the conventional photoconductive cell, any material that is environmentally problematic such as cadmium and lead is used, which is not preferable. On the other hand, in the present invention, a highly toxic material is not used, which is preferable in environmental hygiene.
Further, the conventional photodiode mainly uses an expensive pn junction of silicon, which is expensive.
[0008]
In order to detect a fire and control a flame, it is necessary to selectively and highly sensitively detect weak ultraviolet rays emitted from the flame without being affected by external light such as visible light and infrared light. For this purpose, ultraviolet light having a wavelength of 240 nm to 280 nm is used.
An ultraviolet detector (UVtron) is currently used as an ultraviolet sensor for fire alarm. This is a kind of gas-filled photoelectric tube and has sensitivity to ultraviolet rays having a wavelength of 185 to 260 nm. However, it has low sensitivity to the most important ultraviolet light having a wavelength of 240 nm to 280 nm, and its quantum efficiency is 10% or less. In addition, since it is a phototube, it operates at a high operating voltage of about 300 V, so that a complicated circuit is required, and there is a problem in life. Furthermore, there is strong directivity in the ultraviolet ray detection direction, and the degree of freedom regarding the installation conditions is low. In order to improve this, a fire alarm using a plurality of sensors has been proposed (Patent Document 2).
[0009]
On the other hand, in order to overcome these difficulties, an inorganic semiconductor photoconductive ultraviolet sensor has been proposed. For example, the photoconductive sensor using Al x Ga 1-x N by adjusting the band gap, have a selective sensitivity to ultraviolet rays of wavelength 200nm及至280 nm, and omnidirectional ultraviolet sensors have been proposed (Patent Document 3).
However, Al x Ga large dark current when no flame in photoconductive sensors using 1-x N, a light for the difference between the current is small, high-precision electrical signal detection and temperature when the flame is present Compensation is required and sensitivity is low. In addition, since a complicated element configuration is required, the cost is high.
[0010]
Oxides containing titanium have long been used as various materials because of their high chemical stability and catalytic action. Because of its particularly high optical activity, many practical studies have been made as materials for photocatalysts and solar cells. It is a semiconductor having a large band gap (for example, 3.0 eV for titanium dioxide and 3.2 eV for strontium titanate). Therefore, it does not absorb visible / infrared light and absorbs only ultraviolet light having a wavelength of 400 nm or less. It is also known that a small amount of Nb, Ta, As, Sb, W or La as an impurity or an n-type semiconductor having an oxygen vacancy introduced therein exhibits a weak photoconductive phenomenon. ing. However, its photoconductivity is small, and application to sensors and the like is difficult.
[0011]
It is known that photocatalytic activity is improved by supporting platinum, ruthenium, or the like on titanium dioxide. Also, attempts have been made to adsorb appropriate dye molecules in solar cells using titanium dioxide in order to improve the light energy conversion efficiency. In the latter organic-inorganic composite material, it is known that dye molecules absorb sunlight and electrons of the generated electron-hole pairs move to titanium dioxide.
[0012]
As a pn junction type solar cell, an organic p-type semiconductor comprising a tetraphenyldiamine-based compound, a copper phthalocyanine-based compound or a starburst amine-based compound is used as a p-type semiconductor, and indium (In)-is used as an n-type semiconductor. A proposal using an inorganic p-type semiconductor made of zinc (Zn) -sulfur (S) has been made (Patent Document 4). However, solar cells are originally intended for visible light, and cannot be applied to sensors for detecting ultraviolet light.
[0013]
The present inventors stacked various transition metal oxide thin films on an n-type titanium oxide to form an inorganic heterojunction. It has been found that, when this is irradiated with ultraviolet rays, only holes of the electron-hole pairs generated in the titanium oxide selectively move to the transition metal oxide thin film. As a result, the electrical resistance of the transition metal oxide thin film sharply decreases, and a large photovoltaic voltage is generated through the junction.
The present inventors have already proposed an electronic device using this (Patent Document 5).
[0014]
[Patent Document]
Patent Document 1: JP-A-10-270712 Patent Document 2: JP-A-6-290375 Patent Document 3: JP-A-6-232605 Patent Document 4: JP-A-2001-7355 Patent Document 5: Japanese Patent Application 2002-332745
[0015]
[Problems to be solved by the invention]
An object of the present invention is to obtain an optical semiconductor device having an inorganic-organic semiconductor junction exhibiting good rectification characteristics. Further, a small-sized optical sensor which is low-cost and highly sensitive only to ultraviolet light is provided by using the optical semiconductor element. This provides a sensor that easily detects the amount of ultraviolet light harmful to the human body contained in sunlight. In addition, ultraviolet rays emitted from a flame are selectively and efficiently detected, and are used as a flame sensor such as a fire alarm.
[0016]
[Means for Solving the Problems]
An n-type titanium oxide semiconductor (TiO 2 , SrTiO 3 or BaTiO 3 ) doped with a small amount of donor is used as an inorganic semiconductor, and a molecular compound containing phthalocyanine or a polymer compound thin film containing polythiophene is used as an organic semiconductor. The latter thin film is formed on the former single crystal, polycrystal or thick film by a solution dropping method, a spin coating method, an ink jet printing method, a vapor deposition method, or the like. This forms a pn junction or a heterojunction having similar characteristics.
[0017]
The n-type titanium oxide semiconductor does not absorb visible light and infrared light, but only ultraviolet light. On the other hand, organic semiconductors have absorption in the visible light region, but their absorption can be ignored by making them thinner.
[0018]
A major feature of the organic-inorganic semiconductor heterojunction in the optical semiconductor device according to the present invention lies in its junction band structure. Titanium oxide has a large band gap of about 3 eV, while organic semiconductors have a small band gap of about 1 to 2 eV. When the two junctions are formed, both the top of the valence band and the bottom of the conduction band are at a higher position on the organic semiconductor side. However, since the value of the band gap is greatly different and the Fermi level of the titanium oxide is directly below the conduction band, a large potential gradient is generated particularly in the valence band near the junction.
From the characteristic band structure as described above, the present junction device exhibits the same rectification characteristics as a normal semiconductor pn junction.
[0019]
When this junction is irradiated with ultraviolet light, of the electrons and holes generated in the titanium oxide substrate, only the holes move to the organic semiconductor thin film, and a photo-induced pn junction is formed. Therefore, the electric resistance of the organic semiconductor thin film is reduced by the irradiation of ultraviolet rays, and the organic semiconductor thin film functions as a photoconductive cell. At this time, a photoelectromotive force is generated between the substrate and the thin film through the junction, so that the thin film functions as a photodiode.
[0020]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, embodiments of the present invention will be described with reference to the accompanying drawings. The basic part of the device is titanium dioxide (TiO 2 ), strontium titanate (SrTiO 3 ) or barium titanate added with Nb, Ta, As, Sb, W, or La, or introduced with oxygen vacancy. BaTiO 3 ) is formed by stacking a molecular compound containing phthalocyanine or a polymer compound containing polythiophene on a substrate. The thickness of the substrate is about 0.1 to 1 mm, and the thickness of the thin film is preferably several μm or less. The donor concentration in the substrate is preferably 0.1% or less.
[0021]
FIG. 1 shows the basic structure of a photoconductive cell. A pair of electrodes A and B are formed on an organic semiconductor thin film grown on a titanium oxide substrate. A voltage of several millivolts to several volts is applied between the electrodes, and a change in the flowing current value due to ultraviolet irradiation is taken out as an output.
[0022]
FIG. 2 shows the basic structure of the photovoltaic cell. The voltage between the electrodes A and B formed on the surface of the organic semiconductor thin film and the surface of the titanium oxide substrate is measured. The change in voltage due to ultraviolet irradiation is extracted as a sensor output.
[0023]
FIG. 3 shows a schematic band structure of a heterojunction composed of a titanium oxide and an organic semiconductor, which is the basis of the present device. The titanium oxide has a large band gap of about 3 eV, whereas the organic semiconductor has a small band gap of about 1 to 2 eV. When both junctions are fabricated, the organic semiconductor side of the top of the valence band and the bottom of the conduction band both come to a higher position as shown in FIG. However, since the value of the band gap is largely different and the Fermi level of titanium oxide is directly below the conduction band, a large potential gradient is generated particularly in the valence band.
[0024]
FIG. 4 shows a schematic band structure when a heterojunction composed of a titanium oxide and an organic semiconductor, which is the basis of the present device, is irradiated with ultraviolet rays. Ultraviolet rays are efficiently absorbed by the titanium oxide, and holes are generated in the valence band and electrons are generated in the conduction band. Since only holes move to the organic semiconductor thin film due to the internal electric field at the junction, the organic semiconductor side is positively charged. The intensity of the irradiated ultraviolet light can be measured by measuring the photoelectromotive force. On the other hand, when a short circuit occurs in an external circuit, a photocurrent is extracted. Further, since the organic semiconductor is hole-doped, the electric resistance of the organic semiconductor itself is reduced, and it is possible to know the ultraviolet intensity by measuring the electric resistance.
[0025]
The organic semiconductor thin film can be easily prepared by dropping an aqueous solution or an organic solution on a substrate.
[0026]
Polythiophene polymer (PEDOT) thin films were formed on a Nb-doped TiO 2 substrate and a SrTiO 3 substrate. The thicknesses of the substrate and the thin film are 0.5 mm and 0.5 μm. The structural formula of the polythiophene polymer (PEDOT-PSS) is shown in FIG.
[0027]
A nickel phthalocyanine (NiPc) thin film was formed on a TiO 2 substrate and a SrTiO 3 substrate doped with Nb or La. The thicknesses of the substrate and the thin film are 0.5 mm and 1 μm. The structural formula of nickel phthalocyanine (NiPc) is shown in FIG.
[0028]
FIG. 6 shows the light intensity dependence of the photoconductivity in the PEDOT-PSS / TiO 2 : Nb junction and the PEDOT-PSS / SrTiO 3 : Nb junction. A xenon lamp was used as a light source, and ultraviolet light having a wavelength of 300 to 400 nm and visible light having a wavelength of 400 to 700 nm were extracted and irradiated to the sample. Both showed large photoconductivity with respect to ultraviolet light, and showed a value about two orders of magnitude lower with respect to visible light.
[0029]
FIG. 7 shows current-voltage characteristics of a PEDOT-PSS / TiO 2 : Nb junction and a PEDOT-PSS / SrTiO 3 : Nb junction. When ultraviolet irradiation is not performed, the current sharply increases from about 0.5 to 0.7 V in the positive bias (positive voltage on the PEDOT-PSS side), but almost no current flows in the negative bias. Such rectification characteristics are equivalent to those of an inorganic semiconductor pn junction. On the other hand, when ultraviolet light of 37.7 mWcm −2 is irradiated, the reverse current Isc flows at zero bias, and at zero current, the photoelectromotive force Voc = 0.55 V (TiO 2 : Nb) and 0.74 V (SrTiO 3 : Nb) occurred and exhibited characteristics similar to those of a normal silicon photodiode.
[0030]
FIG. 8 illustrates the photovoltaic power of the PEDOT-PSS / SrTiO 3 : Nb junction at room temperature with respect to the light intensity. For ultraviolet light, a region where the electromotive force is proportional to the light intensity is seen over a very wide range of light intensity from 10 −6 to 10 −1 mWcm −2 . Such a proportional relationship is extremely advantageous for simplifying the sensor circuit. Further, the wide dynamic range means high sensitivity of the element. On the other hand, it can be seen that almost no electromotive force is generated in this proportional region for visible light. In addition, the sensitivity to visible light is much lower than that of ultraviolet light even at a light intensity of 10 -1 mWcm -2 or more.
[0031]
FIG. 9 illustrates the photoelectromotive force of the above-mentioned nickel phthalocyanine (NiPc) / TiO 2 : Nb junction with respect to the light intensity. As in the case of PEDOT-PSS, high sensitivity was exhibited only for ultraviolet light.
[0032]
FIG. 10 is a plot of photovoltaic power as a function of energy (wavelength) when irradiating weak light of 0.5 mWcm −2 in the PEDOT-PSS / TiO 2 : Nb junction. Almost no electromotive force is generated for light having an energy of 3 eV or less (wavelength of 410 nm or more), but a large electromotive force is obtained for light of energy of 3 eV or more (wavelength of 410 nm or less) and 6 eV (wavelength of 200 nm or more). In particular, it shows a large output for light in the energy range of 4.4 to 5.2 eV (wavelength 240 to 280 nm) which is important for flame detection. The quantum efficiency for light having a wavelength of 300 nm was 30% or more.
[0033]
【The invention's effect】
As described above, the optical semiconductor device according to the present invention can be applied as a simple and low-cost ultraviolet sensor that selectively detects only ultraviolet light with high sensitivity.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a diagram showing a basic portion of a photoconductive cell as an optical semiconductor device according to the present invention. FIG. 2 is a diagram showing a basic portion of a photovoltaic cell as an optical semiconductor device according to the present invention. FIG. 3 is a diagram showing a basic band structure of an optical semiconductor device (ultraviolet sensor) according to the present invention. FIG. 4 is a diagram showing a band structure when an optical semiconductor device (ultraviolet sensor) according to the present invention is irradiated with ultraviolet light. [5] polythiophene polymer (PEDOT-PSS) and nickel phthalocyanine optical semiconductor device according to Figure 6 the present invention showing the structural formula of (NiPc) (UV sensor) of PEDOT-PSS / TiO 2: Nb and PEDOT FIG. 7 is a graph showing the light intensity dependence of the photoconductivity of -PSS / SrTiO 3 : Nb. Diagram showing current-voltage characteristics of junctions in S / TiO 2 : Nb and PEDOT-PSS / SrTiO 3 : Nb. FIG. 8 shows light intensity dependence of photovoltaic power in PEDOT-PSS / SrTiO 3 : Nb. FIG. 9 is a diagram showing the light intensity dependency of the photovoltaic power in NiPc / TiO 2 : Nb. FIG. 10 is a diagram showing the light energy (wavelength) dependency of the photovoltaic power in PEDOT-PSS / TiO 2 : Nb.